撮像装置、管理装置、および、映像監視システム
【課題】複数の撮像装置の間または撮像装置−記録装置間で効率的に映像データを記録することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【解決手段】鉄道車両等に設置される撮像装置、ネットワークスイッチ、映像表示装置および管理装置等を備える映像監視システムであって、車両内の状況を映像監視するとともに映像データを撮像装置内部に搭載する記録媒体に記録し、また、記録媒体の交換または映像データの抜き取りのインターバルを最適にするために他の撮像装置の記録媒体を共有する。
【解決手段】鉄道車両等に設置される撮像装置、ネットワークスイッチ、映像表示装置および管理装置等を備える映像監視システムであって、車両内の状況を映像監視するとともに映像データを撮像装置内部に搭載する記録媒体に記録し、また、記録媒体の交換または映像データの抜き取りのインターバルを最適にするために他の撮像装置の記録媒体を共有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自装置内に映像データを記録する撮像装置であって、他の撮像装置へネットワークを介して映像データを送信する撮像装置、これを管理する管理装置、および、映像監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道車両において、撮像装置、ネットワークスイッチおよび映像表示装置を備え、車両内の状況を映像監視するとともに、撮像装置内部に搭載する記録媒体に映像データを記録する映像監視システムの運用が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−028754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の撮像装置においては、内部に搭載する記録媒体に映像データを記録する際に、搭載できる記録媒体の記録容量が少ないため、超過分の映像データが記録できない、または、上書き保存により映像データの保存時間が短くなってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、以上の課題に鑑み、複数の撮像装置の間または撮像装置−記録装置間で効率的に映像データを記録することができる撮像装置、これを管理する管理装置、および、映像監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の撮像装置は、被写体を撮像して映像信号を出力する撮像素子と、前記映像信号に所定の映像処理を施し映像データを出力する映像処理部と、映像データを記録する記録部と、外部の機器と通信する通信部と、各部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記記録部の空き容量に余裕がなくなると前記外部の機器に対して映像データを送信し、前記外部の機器から映像データを受信すると前記記録部に該映像データを記録することを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するために、上記撮像装置は、さらに、前記制御部は、他の撮像装置の記録部の空き容量を確認し、確認結果に基づいて前記他の撮像装置の記録部の空き容量の一部に自機の映像データを記録するための記録予約領域を設定することを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するために、上記撮像装置は、さらに、前記制御部は、前記他の撮像装置の記録部の現在までの平均記録量と現在の空き容量に基づいて前記記録予約領域を設定し、送信先である前記他の撮像装置の優先順位を設定することを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するために、上記撮像装置は、さらに、前記制御部は、送信可能な前記映像データの送信先である前記他の撮像装置を設定することを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の管理装置は、ネットワークを介して、記録部を備える複数の撮像装置の記録部の記録状態を監視し、空き容量に余裕が無い撮像装置の取得した映像データを、他の空き容量に余裕がある撮像装置に対して送信させる様に制御することを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するために、上記管理装置は、さらに、前記複数の撮像装置の記録部の記録状態に基づいて、前記空き容量に余裕がある撮像装置の記録部の空き容量の一部に、前記空き領域に余裕が無い撮像装置の取得した映像データを記録するための記録予約領域を設定することを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するために、上記管理装置は、さらに、前記空き容量に余裕がある撮像装置の記録部の現在までの平均記録量と現在の空き容量に基づいて前記記録予約領域を設定し、送信先である前記空き容量に余裕がある撮像装置の内、前記記録予約領域が大きい撮像装置から順に映像データを送信する優先順位を設定することを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するために、上記管理装置は、さらに、映像データを送信可能な撮像装置のグループを設定することを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の映像監視システムは、被写体を撮像して映像信号を出力する撮像素子と、前記映像信号に所定の映像処理を施し映像データを出力する映像処理部と、映像データを記録する記録部と、外部の機器と通信する通信部と、各部を制御する制御部と、を備える複数の撮像装置と、前記複数の撮像装置の各記録部の空き容量を監視し、制御する管理装置と、がネットワークを介して接続され、前記管理装置は、空き容量に余裕が無い撮像装置の取得した映像データを、他の空き容量に余裕がある撮像装置に対して送信させることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の映像監視システムは、被写体を撮像して映像信号を出力する撮像素子と、前記映像信号に所定の映像処理を施し映像データを出力する映像処理部と、映像データを記録する記録部と、外部の機器と通信する通信部と、各部を制御する制御部と、を備える複数の撮像装置と、前記複数の撮像装置の各記録部の空き容量を監視し、制御する管理装置と、がネットワークを介して接続され、前記制御部は、前記記録部の空き容量に余裕がなくなると前記外部の機器に対して映像データを送信し、前記他の撮像装置から映像データを受信すると前記記録部に該映像データを記録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
複数の撮像装置の記録状況に基づいて、他の撮像装置または記録装置と記録領域を共有して映像データを記録することで、効率的に映像データを記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態である撮像装置が配置された鉄道車両内の構成と各機器のアドレステーブルを示す説明図。
【図2】本発明の一実施形態である撮像装置の構成の一例を示す説明図。
【図3】本発明の一実施形態である撮像装置の配置と視野の一例を説明する説明図。
【図4】本発明の一実施形態である各撮像装置の各記録映像容量を示す説明図。
【図5】本発明の一実施形態である撮像装置と記録装置が配置された鉄道車両内の構成を示す説明図。
【図6】本発明の一実施形態である撮像装置における一車両単位での映像記録の状態を示す説明図。
【図7】本発明の一実施形態である撮像装置における装置単位での映像記録の状態を示す説明図。
【図8】本発明の一実施形態である撮像装置の記録予約した様子とその関係式を示す説明図。
【図9】本発明の一実施形態である撮像装置の記録領域共有中の記録処理の遷移過程の一例を示す説明図。
【図10】本発明の一実施形態である各撮像装置の記録領域共有中の記録処理の遷移過程の他の一例を示す説明図。
【図11】本発明の一実施形態である撮像装置の記録領域共有記録動作の一例を示す信号図。
【図12】本発明の一実施形態である撮像装置の記録領域共有記録動作および送信先撮像装置の切り替え処理の一例を示す信号図。
【図13】本発明の一実施形態である撮像装置の撮像装置のグルーピング処理の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態は、鉄道車両等に設置される撮像装置、ネットワークスイッチ、映像表示装置および管理装置等を備える映像監視システムであって、車両内の状況を映像監視するとともに映像データを撮像装置内部に搭載する記録媒体に記録し、また、各撮像装置内部に搭載する少ない記録媒体容量を効率的に使用して、映像データを記録するものである。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態である複数の撮像装置が配置された鉄道車両内の構成と各機器のアドレステーブルを示す説明図である。本発明の一実施形態である撮像装置は、例えば鉄道車両内に複数台設けられ、無線通信または有線通信によりLANやWAN等のネットワークで接続されることにより映像監視システムを構成して、効率的に映像監視システムが運用される。
【0020】
すなわち、図1の(a)において、連結された第1車両T1乃至第4車両T4である鉄道車両に対して、第1車両T1において、撮像装置1−1〜撮像装置1−4と、表示装置H1と、管理装置Kと、管理装置Kに接続された車両装置9と、表示装置H1と、スイッチ部W1と、を備え、撮像装置1−1〜撮像装置1−4、管理装置Kおよび表示装置H1はそれぞれスイッチ部W1と接続されている。
【0021】
これらの第1車両T1の撮像装置1−1〜撮像装置1−4、表示装置H1、管理装置Kは、例えば192.168.1.0/24のネットワークグループにて一意にIPアドレスが割り付けられている。
【0022】
同様に、第2車両T2において、撮像装置2−1〜撮像装置2−4と、スイッチ部W2とを備え、撮像装置2−1〜撮像装置2−4はそれぞれスイッチ部W2と接続されている。これらの第2車両T2の撮像装置2−1〜撮像装置2−4は、同様に、例えば192.168.1.0/24のネットワークグループにてIP一意にアドレスが割り付けられている。
【0023】
同様に、第3車両T3において、撮像装置3−1〜撮像装置3−4と、スイッチ部W3とを備え、撮像装置3−1〜撮像装置3−4はそれぞれスイッチ部W3と接続されている。これらの第3車両T3の撮像装置3−1〜撮像装置3−4は、同様に、例えば192.168.1.0/24のネットワークグループにて一意にIPアドレスが割り付けられている。
【0024】
同様に、第4車両T4において、撮像装置4−1〜撮像装置4−4と、表示装置H2と、スイッチ部W4とを備え、撮像装置4−1〜撮像装置4−4および表示装置H2はそれぞれスイッチ部W4と接続されている表示装置H2。これらの第4車両T4の撮像装置4−1〜撮像装置4−4と表示装置H2は、同様に、例えば192.168.1.0/24のネットワークグループにて一意にIPアドレスが割り付けられている。
【0025】
なお、各車両間は、それぞれのスイッチ部で隣接車両と接続されている。また、管理装置Kは、一編成分(第1車両T1、第2車両T2、第3車両T3、第4車両T4)の全機器のIPアドレスを事前にまたは都度取得・更新して、図1の下半分に示す様なデータベースとして管理している。また、管理装置Kは、車両内の各機器に対して、状態を監視したり様々な指示を出したりするものとする。また、乗務員の操作による表示装置H1またはH2からの信号に基づいて、管理装置Kは車両内の各機器に対して指示を出すものとする。
【0026】
車両装置9は、鉄道車両の外部、例えば駅に設けられた通信部や管理センターと無線または有線で、車両や運行に関する様々な情報を通信する。ここで様々な情報とは、例えば、車両編成情報やダイヤに関する情報、駅ごとにどちら側のドアが開くのかといった情報等が挙げられる。
【0027】
乗務員が表示装置を用いて任意車両の撮像装置のライブ映像を確認する場合は、「車両番号」や「撮像装置番号/名称」などを指定して選択する。すると、表示装置H1、H2は、指定された情報から管理装置が管理しているデータベースを用いて対象撮像装置のIPアドレスを照会し、そのIPアドレスをもって対象撮像装置に接続し、ライブ映像を取得して、自機の表示部に映像を表示するものである。
【0028】
乗務員が表示装置H1、H2を用いて任意車両の撮像装置の記録映像を確認する場合は、「記録装置番号/名称」と「車両番号」や「撮像装置番号/名称」と「記録映像日時」や「イベント」などを指定して選択する。表示装置H1、H2は、指定された情報から管理装置Kが管理しているデータベースを用いて対象撮像装置のIPアドレスを照会し、そのIPアドレスをもって対象撮像装置に接続し、撮像装置内部に搭載する記録媒体に記録された映像データを取得して、自機の表示部に記録映像を表示するものである。また、撮像装置内部に搭載する記憶媒体は取り外し可能なSDカード等の形態をとっており、撮像装置から取り外した後、パソコン等に接続して記録映像を確認することも可能である。
【0029】
また、図2は、本発明の一実施形態である撮像装置の構成の一例を示す説明図である。撮像装置は、撮像装置全体の動作を制御する制御部11と、被写体の光を捉えて映像信号を出力するCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子12と、撮像素子12から出力される映像信号に対し映像処理や各種変換を施す映像処理部13と、SDカード等の着脱可能な記録媒体を保持する記録部14と、有線通信または無線通信による通信部15を具備している。
【0030】
撮像素子12は撮像領域からの入射光を光電変換して映像信号を生成し、映像処理部13に出力する。映像処理部13では、制御部11の指示により、映像信号に映像処理や各種変換処理を施し、記録部14や通信部15に映像データを出力する。記録部14では、映像データを記録し、場合によっては、制御部11の指示により映像データを通信部15に出力する。通信部15では、撮像装置の外部と通信し、映像データを伝送路の種類に即した形式に変換して送信したり、外部からの信号を受信する。
【0031】
上述した様な構成の撮像装置およびこれを含む鉄道車両等に設けられた監視システムの一般的な記録処理について以下に述べる。図3は、本発明の一実施形態である各撮像装置の配置と視野の一例を説明する説明図、図4は、各撮像装置の各記録映像容量を示す説明図、図5は、撮像装置と記録装置が配置された鉄道車両内の構成を示す説明図、図6は、撮像装置における一車両単位での映像記録の状態を示す説明図、図7は、撮像装置における装置単位での映像記録の状態を示す説明図である。
【0032】
図3に示す第1車両T1において、撮像装置1−1〜−3が車両内の状況を映像監視するとともに映像データを撮像装置内部に搭載する記録媒体に記録する場合を考察する。撮像装置1−1はドア22が開閉したという情報を通知されることにより、ドア開閉時の映像を記録するよう運用する。同様に撮像装置1−2はドア21が、撮像装置1−3はドア23が開閉した情報を通知された時に映像を記録するものとする。ここで、ドアの開閉は、各ドアにセンサを設けてセンサから各撮像装置に通知する様にしても良いし、管理装置Kが各撮像装置にドアの開閉情報を通知する様にしても良いし、取得した映像からドアの開閉を検知する様にしても良い。撮像装置1−3は、客の乗降や車両間の人の移動による列車内のドア開閉状況に基づいて映像を記録するため、ドア23の開閉される頻度および映像記録頻度が一番高いものとする。次いで、駅に着いた際に客の乗降のためにドア22およびドア23が開閉されるが、ドア22の方が開閉される頻度および映像記録頻度が高く、ドア21が開閉される頻度および映像記録頻度が一番低いものとする。
【0033】
この様な状況下にて監視システムを運用すると、図4に示す様に、撮像装置内部に搭載する記憶媒体に記録される映像記録容量は、撮像装置1−1〜1−3の中では、(c)の撮像装置1−3が最も早く記録媒体の最大記録容量に達することとなる。この様な状態になった場合は、通常、撮像装置から記録媒体を取り外して新たな記録媒体を挿入するか、または、管理センター等からの遠隔制御等により、撮像装置から記録映像データをダウンロードして記録媒体の記録データ量を空にする必要がある。
【0034】
これに対しては、図5に示す様に、第1車両T1〜第4車両T4のそれぞれに記録装置を設けたり、例えば先頭車両に記録装置を設けたりすることで、撮像装置内部に搭載する記録媒体容量が少ないことによる記録時間が短いという問題は解決することができる。しかし、列車内という限られたスペースにおいては記録装置を別途設置することが容易にできない場合があり、また、システム導入コストが高価になってしまうという問題がある。
【0035】
撮像装置内部に搭載する記録媒体はSDカード等の記録媒体であるが、それらの容量としては数MB〜32GBというものが、現在一般的である。そのため、1つの記録媒体につき、2〜3フレーム/秒にて常時記録し、3〜4日間分の記録映像を保存できる程度である。この場合は、3〜4日間に一度という高頻度で、記録媒体の交換やデータの抜き取りの手間がかかる。
【0036】
また、1〜2フレーム/秒という、フレームレートを下げた状態で映像を記録すれば、4〜5日間程度は記録映像を撮像装置内部に保管しておけるが、車両内で何か異常が発生した際の記録映像を確認しようと思っても、低フレームレートであるために肝心の映像が記録できていないということがある。
【0037】
そのための記録方式として、イベント(アラーム)記録方式というものがある。例えば、撮像装置30は、通常時は低フレームレートで撮像しておき、ドア34が開閉したという情報を通知されることにより、その時のみ高フレームレートで映像記録する。この方式を用いれば、人物等の出入りがあった時の事象等の、イベントのあった時のみ映像を記録し、何も変化が無い場合には映像を記録を記録しないという様に、限られた記録容量を効率的に使用して記録できる。
【0038】
しかしながら、このイベント(アラーム)記録方式においても、図4で示した様に、イベント(アラーム)記録される映像データの記録量は撮像装置毎にばらつきはあるため、依然として、撮像装置毎に異なるインターバルにて、記録媒体の交換やデータの抜き取りにより映像データを確認することが必要である。以下の説明では、この記録媒体の交換やデータの抜き取りにより映像データを確認する間隔を、「確認インターバル」と呼ぶことにする。
【0039】
本発明の一実施形態では、この『確認インターバル』をいかに最適化するかがポイントとなる。
まず、確認インターバルを『車両単位』とする場合が考えられる。図6に示す様に、最も記録量の多い撮像装置(この場合は撮像装置1−3)の確認インターバルに合わせて、全ての撮像装置の記録媒体の交換やデータの抜き取りにより映像データを確認する。
【0040】
この『車両単位』または『編成単位』の確認インターバルは、上述した複数の撮像装置の一つが、自機の撮像装置の記録部の記録量および同一車両の他の撮像装置の記録量をモニタリングし管理して、または管理装置Kが全車両の撮像装置の記録量をモニタリングし管理して、最も記録量が多い撮像装置のインターバルを『車両単位の確認インターバル』または『編成単位の確認インターバル』と決定して、例えば、管理装置Kの制御により、車両装置9からネットワーク等を介して記録媒体の交換または映像データのダウンロードのタイミングを管理センター等に通知することで実現する。
【0041】
この方式は、『確認インターバル』を定めやすく、また、一括して記録媒体の交換または映像データのダウンロードができるので、作業員の手間が少なく済む。しかしながら、その一方、例えば、使用頻度の低い撮像装置1−2の記録媒体は効率よく使用されているとは言い難い。
【0042】
次に、確認インターバルを『撮像装置単位』とする場合が考えられる。図7に示す様に、撮像装置の、それぞれ個別の確認インターバルでの撮像装置の記録媒体の交換やデータの抜き取りにより映像データを確認する。
【0043】
この『撮像装置単位』の確認インターバルは、複数の撮像装置の各制御部11が、自機の記録部14の記録量をモニタリングし管理して、例えば、管理装置Kを経由して車両装置9からネットワーク等を介して記録媒体の交換または映像データのダウンロードのタイミングを管理センター等に通知することで実現する。
【0044】
この撮像装置単位の運用方式では、上述した『車両単位の確認インターバル』および『編成単位の確認インターバル』よりも効率的に記録容量を使用することができる。しかしながら、一方で、場合によっては毎日いずれかの撮像装置から記録媒体を取り外すか、または、撮像装置から記録映像データをダウンロードして映像データを確認する必要が生じるため、作業員の手間は少なくはない。
【0045】
次に、本発明の実施形態である撮像装置間で記録容量を共有する際に、『最適な確認インターバル』となる様に各撮像装置の記録領域の使用方法(以降、記録予定)を求める場合が考えられる。図8〜12に示す様に、複数の撮像装置の間で、容量に余裕がある撮像装置の記録領域を、容量に余裕が無くなった撮像装置の記録領域として活用することで、複数の撮像装置をトータルで見た際に記録容量を有効に活用することができる。これらの図を用いて以下に詳細に説明する。なお、『最適な確認インターバル』とするために、本実施形態では、各撮像装置の今までの各平均記録量または現在の記録量に基づいて、どの撮像装置の取得映像をどの撮像装置の記録媒体にどれだけ送信すれば、トータルで最も効率的に記録容量を使用でき、記録媒体の交換または映像データのダウンロードのインターバルを長く且つ同タイミングにできるかという記録予定を算出する。
【0046】
本実施形態においては、図11および図12に示す様に、撮像装置1−3は、列車内のドア23の開閉情報等のイベントを検出またはイベント情報を受信すると(ステップS11)、撮像装置1−3の記録部14の記録容量に余裕があるかないかを確認する。余裕がある場合にはそのまま記録を継続し、余裕がない場合には、通信部15からネットワーク上に存在する通信可能な他の撮像装置1−1、1−2に対して、各々の撮像装置内部の記録媒体の記録状況(記録量および/または空き容量)を確認させるコマンドを送信する(ステップS12)。
【0047】
本コマンドを受信した撮像装置1−1、1−2は、自機の記録媒体の使用量、空き容量、記録開始日時等の情報を撮像装置1−3に対して返信する(ステップS13,S14)。撮像装置1−3は、受信した情報に基づき、各々の撮像装置状態を分析し、記録予定を算出して各撮像装置に対する記録予約領域を求め、送信して記録してもらう撮像装置の順番(優先順位)を決定し、対象となる撮像装置1−1、1−2に対して、記録予約領域を確保させるコマンドを送信する(ステップS15)。ここでの分析と記録予定の算出方法についての詳細は後述する。ここで、記録予約領域とは、記録容量が足りなくなった撮像装置が取得した超過分の映像を他の撮像装置に送信して記録してもらうために、他の撮像装置の記録媒体に設定する記録領域のことである。
【0048】
コマンドを受信した撮像装置1−1,1−2はそれぞれ、撮像装置1−3の超過分の映像を記録するために使用する記録媒体の記録領域の一部(図8におけるA,B)に対して、記録予約領域を設定し、設定した旨の情報を撮像装置1−3に対して送信する(ステップS16,17)。
【0049】
次に、撮像装置1−3は、再び列車内のドア23開閉のイベントを検出またはイベント情報を受信すると(ステップS18)、優先順位に基づいて、最も優先順位の高い撮像装置1−2に対して、取得した映像データと映像データを記録予約領域Bに記録させるコマンドを送信する(ステップS19)。撮像装置1−2は、撮像装置1−3から映像データとコマンドを受信すると、撮像装置1−3からの映像データを自機の記録媒体に設定した記録予約領域Bに記録し、記録後の空き容量を確認して、映像データの記録が正常に完了したことを撮像装置1−3に返信する(ステップS20)。このとき、撮像装置1−2は、ドア21の開閉等のイベント情報に基づいて、自機の取得した映像データを自機の記録媒体に記録している。
なお、この時の映像データの送信処理または以降に記載する映像データの送信処理は、撮像装置素子12から映像処理部13を経由してそのまま通信部15を介して送信してもよいし、撮像装置素子12からの映像データを記録部14にいったん記録し、その後、読み出して送信してもよい。
【0050】
これらステップS18からステップS20までの撮像装置1−3が取得した映像データを他の撮像装置1−2に送信して代わりに記録してもらう処理は、撮像装置1−2の記録予約領域が満杯になるまで継続される。図12に示す様に、イベント通知S21および、S19と同様の映像データ送信処理の後、映像データおよびコマンドを受信した撮像装置1−2は、自機の記録予約領域に受信した映像データを記録し、記録予約領域の空き容量を確認し、無しまたは少ないと判断すると、空き容量が無しまたは少ないことを映像データの記録が正常に完了したことと共に撮像装置1−3に通知する(ステップS23)。このときの状態が図9に示してある。この通知に基づき、撮像装置1−3は、映像データ送信先である撮像装置を先のステップ15で決定した優先順位に従って、次に優先順位の高い撮像装置1−1に変更する(ステップS24)。
【0051】
再び列車内のドア23開閉のイベントを検出またはイベント情報を受信すると(ステップS25)、優先順位に基づいて、2番目に優先順位の高い撮像装置1−2に対して、取得した映像データと映像データを記録予約領域Aに記録させるコマンドを送信する(ステップS26)。撮像装置1−1は、撮像装置1−3から映像データとコマンドを受信すると、撮像装置1−3からの映像データを自機の記録媒体に設定した記録予約領域Aに記録し、記録後の空き容量を確認して、映像データの記録が正常に完了したことを撮像装置1−3に返信する(ステップS27)。このとき、撮像装置1−1は、ドア22の開閉等のイベント情報基づいて、自機の取得した映像データを自機の記録媒体に記録している。
【0052】
これらステップS25からステップS27までの撮像装置1−3が取得した映像データを他の撮像装置1−1に送信して代わりに記録してもらう処理は、上述の撮像装置1−2の場合と同様に、撮像装置1−1の記録予約領域が満杯になるまで継続される。これらの動作が繰り返される中で、撮像装置1−2は、記録予約領域の空き容量を確認し、無しまたは少ないと判断すると、空き容量が無しまたは少ないことを映像データの記録が正常に完了したことと共に撮像装置1−3に通知する。このときの状態が図10に示してある。この通知に基づき、撮像装置1−3は、映像データ送信先である撮像装置を先のステップ15で決定した優先順位に従って、次に優先順位の高い撮像装置に変更する。
【0053】
そしてまた、これらの処理が繰り返され、全ての撮像装置の記録媒体の記録容量が満杯になったときに、管理センター等に対して交換または映像データのダウンロードが必要である旨が通知される。好ましくは、全ての撮像装置の記録媒体の記録容量が満杯になる前に、いつ頃満杯になるかという情報も付加して、管理センター等に対して交換または映像データのダウンロードが必要である旨が通知される。
【0054】
ここで、ステップS15における各々の撮像装置の状態の分析と記録予定の算出方法について、図8を用いて詳細に説明する。
まず、記録媒体に記録されていた記録開始日時および記録量から、対象撮像装置の平均記録量を算出し、記録媒体の空き容量がより多く平均記録量がより少ない撮像装置から順に有線順位を設定していく。そして、各撮像装置の記憶媒体の空き容量の合計および各撮像装置の平均記録量から記録予定を算出する。
【0055】
なお、これは、その時の記録媒体に記録されている内容(記録開始日や使用量)から求めても良いし、今までの記録してきた内容から統計的に求めても良い。好ましくは、システム導入の日からまたは導入からある程度のサンプルが入手できたら、日々または確認インターバルごとに、記録された内容に基づいて平均記録量を更新すると良い。
【0056】
すなわち、『最適な確認インターバル』とするために記録予定は、図8の下部にも示す様に、
(撮像装置1−1の記録空き容量−撮像装置1−3の記録予約容量)/撮像装置1−1の平均記録量
と、
(撮像装置1−2の記録空き容量−撮像装置1−3の記録予約容量)/撮像装置1−2の平均記録量
と、
(撮像装置1−1内に確保した撮像装置1−3の記録予約容量+撮像装置1−2内に確保した撮像装置1−3の記録予約容量)/撮像装置1−3の平均記録量
の、これら3つの値がほぼ等しい値となる様な記録予定を、代数演算により求める。
【0057】
ここで、『撮像装置1−1の記録空き容量−撮像装置1−3の記録予約容量』をC、『撮像装置1−2の記録空き容量−撮像装置1−3の記録予約容量』をD、『撮像装置1−1内に確保した撮像装置1−3の記録予約容量』をA、『撮像装置1−2内に確保した撮像装置1−3の記録予約容量』をBとすると、この式は、
C/(撮像装置1−1の平均記録量)≒
D/(撮像装置1−2の平均記録量)≒
A+B/(撮像装置1−3の平均記録量)
の様に簡略化して表現できる。
【0058】
この様に第1実施形態では、上述した式に基づいて『最適な確認インターバル』とするための記録予定を求め、この記録予定に基づいて送信処理を実行することで、最も効率良く監視映像記録システムを運用することができる。
なお、本実施形態では、記録容量が最も早く足りなくなった撮像装置1−3が記録予定を求めて決定したが、他に、予めグループ毎に親となる撮像装置を設定しておき、親となる撮像装置が他の撮像装置の記録状態を監視したり記録予定を求めたりする様にしても良い。
【0059】
(第2実施形態)
第2実施形態は、先に第1実施形態において映像データを他の撮像装置に送信する際に、送信する対象の撮像装置をどの範囲に設定するか、言い換えれば、どういった撮像装置の纏まりで記録領域を共有(記録予約領域を設定)するか、ということを目的とする。すなわち、全車両の撮像装置は全て送信の対象とするのか、同一車両に存在する撮像装置だけを対象とするか、複数の車両分の撮像装置を対象とするか、または、何かの条件(例えば、各車両の同じ位置に設置された撮像装置をグループとする等)に基づいた撮像装置の纏まりを対象とするか、ということを決定する。ここで設定された撮像装置の纏まり(グループ)ごとに、それぞれ記録予定を求めて運用する。
【0060】
ここでは、車両単位で撮像装置のグループを設定する場合を例に挙げて説明する。以降、この撮像装置のグループを設定する処理を「グルーピング」と称する。
【0061】
このグルーピングは、撮像装置本体を操作することで設定してもよく、また、撮像装置にノートパソコン等を接続して、ノートパソコンの操作画面において設定しても良く、管理装置および表示装置を利用して設定しても良く、また、管理センター等から車両装置を介して設定しても良い。
【0062】
なお、ここでは、乗務員が表示装置H1を介して管理装置Kを操作することにより、例えば、図13に示す操作画面を表示させてグルーピングを行う。
表示装置H1の画面に、図13の(a)に示す様にIPアドレスを伴った編成車両に設置されている撮像装置のリストを表示し、操作に応じて、撮像装置1−1〜4−4から、所望のグループに撮像装置を振り分ける様に設定する。複数のグループにグルーピングされると、図13の(b)に示す様にIPアドレスを伴った撮像装置のリストを表示する。ここでは撮像装置を車両ごとにグループ分けする。この設定は、管理装置Kが管理情報として記憶し、各撮像装置にグループの情報を送信する。これに基づき、各撮像装置は実施形態1で記載した記録予定を算出して実行する。
【0063】
また、撮像装置に予めグルーピングのルール(例えば同一車両に存在する撮像装置をグループとする等)を設定しておくことで、操作者による操作を不要とし、手間を省くことができる。
また、管理装置Kが自動的に理想的なグループ分け(最も記録容量を効率的に使用できる撮像装置の組み合わせ)をする様にしても良い。この場合、これまでに収集してきた各撮像装置の平均記録量の比率に基づいて、平均記録量の割合がそれぞれ均等になる様に撮像装置のグループを設定し、予め記録予約領域を設定しておく。これにより、操作者の手間を省くことができ、より効率的に記録容量を使用することができる。
【0064】
(第3実施形態)
上述した実施形態においては、主に撮像装置がグルーピングに基づいて記録予定と優先順位を求めていたが、本実施形態では、管理装置Kが記録予定を求めて全体を管理する。すなわち、実施形態1で撮像装置が他の撮像装置に対して空き容量を確認して記録予約領域を設定し優先順位を決定する処理を、管理装置Kが実行する。図1を用いて以下に詳細に説明するが、構成としては上述した実施形態と同様であるため省略する。管理装置Kと各装置が通信する際にはスイッチ部Wを介して信号がやり取りするが、それぞれ最初の1度だけスイッチを介することを説明し、その後はスイッチを介することは前提としてその説明は省略する。また、ここでは、第1車両の撮像装置1−1、第2車両の撮像装置2−2、第3車両の撮像装置3−3、第4車両の撮像装置4−4(第1グループとし、本実施形態ではこのグループを例に説明する)といった様に、各車両から1台ずつそれぞれ異なる位置に設置された撮像装置の纏まりでグルーピングされたこととする。また、記録量は撮像装置1−1、撮像装置1−2、撮像装置1−3、撮像装置1−4の順に多いものとする。
【0065】
各撮像装置はドアの開閉情報に応じて撮像・記録動作を行っており、管理装置Kはそれぞれの撮像装置の記録状況を監視している。具体的には、第1グループの場合で説明すると、管理装置Kは記録量を確認して返信させるコマンドを、スイッチW1を介して撮像装置1−1、スイッチW1およびW2を介して撮像装置2−2、スイッチW1,W2およびW3を介して撮像装置3−3、スイッチW1,W2,W3およびW4を介して撮像装置4−4へ送信する。このコマンドを受信した各撮像装置は自機の現在の記録量を確認して管理装置Kへ記録状態情報を送信する。管理装置は、受信した各撮像装置の記録状況を更新する。
【0066】
管理装置Kは、例えば、1番記録量の多い撮像装置の空き容量が半分や1/3になる等、ある程度空き容量が少なくなってきたところで、他の撮像装置の現在の空き容量とこれまでの各撮像装置の平均使用量に基づいて記録予定を求め、優先順位を決定し、対象となる撮像装置に対して記録予約領域を設定させる。そして、記録量の1番多い撮像装置の空き容量に余裕が無くなったタイミングで、優先順位に従って他の撮像装置に映像データを送信させる。ここで実施形態1の様に記録容量に余裕が無くなったタイミングで記録予定を算出しないのは、管理装置Kが全てのグループを管理しているためで、記録予定の算出のタイミングが重なって負荷が集中しない様にするためである。ただし、実施形態1の様に記録容量に余裕が無くなったタイミングで記録予定を算出する様にしても問題ない。
【0067】
具体的には、管理装置Kは、各撮像装置の記録状態を監視する中で、撮像装置1−1の空き容量が少なくなってきたら、他の撮像装置の記録状況と平均使用量に基づいて記録予定を求め、優先順位を決定する。このとき、優先順位は、記録量の少ない撮像装置4−4、撮像装置3−3、撮像装置4−2の順となる。また、管理装置Kは、撮像装置4−4、撮像装置3−3、撮像装置4−2に対して、記録予約領域を設定する様にコマンドを送信し、撮像装置4−4、撮像装置3−3、撮像装置4−2はコマンドに従って自機の記録領域に記録予約領域を設定する。そして、撮像装置1−1の空き容量に余裕がなくなったら、管理装置Kは撮像装置1−1に対して、映像データを優先順位の1番高い撮像装置4−4に送信する様にコマンドを送信する。撮像装置1−1は、コマンドに従って撮像装置4−4に映像データを送信し、撮像装置4−4は自機の記録予約領域に受信した撮像装置1−1の映像データを記録する。
【0068】
ここで、グループ内の空き容量がなくなる2台目、3台目撮像装置が出てくることが考えられる。その際には、できるだけ、既に空き容量の無くなった撮像装置が代替記録してもらっている撮像装置以外の撮像装置に対して記録予約領域を再設定して代替記録してもらう。
【0069】
具体的には、さらに撮像装置2−2の空き容量が少なくなってきたら、さらに他の撮像装置の記録状況と平均使用量に基づいて記録予定を求める。また、管理装置Kは、撮像装置3−3に対して、撮像装置1−1用の記録予約領域を平均使用量などに基づいて削除または縮小して撮像装置2−2用の記録予約領域を設定する様にコマンドを送信し、撮像装置3−3はコマンドに従って自機の記録領域に記録予約領域を設定し直す。そして、撮像装置2−2の空き容量に余裕がなくなったら、管理装置Kは撮像装置1−1に対して、映像データを撮像装置4−4に送信する様にコマンドを送信する。撮像装置1−1は、コマンドに従って撮像装置4−4に映像データを送信し、撮像装置4−4は自機の記録予約領域に受信した撮像装置1−1の映像データを記録する。このとき、撮像装置4−4は撮像装置1−1の映像データを代替して記録しているため、撮像装置2−2の映像データを代替して記録する対象とはしないが、グループ内の撮像装置の数が多くて他に代替して記録可能な撮像装置がある場合には、記録予約領域を設定し、優先順位を決定する。
【0070】
自機の映像データ記録、他機の映像データ代替記録を継続し、撮像装置4−4に設定された撮像装置1−1の記録予約領域が満杯になると、管理装置Kは、撮像装置3−3に縮小されて設定し直された撮像装置1−1用の記録予約領域に記録させるために、撮像装置1−1に対して撮像装置3−3に映像データを送信する様にコマンドを送信する。撮像装置3−3は、撮像装置2−2から送信されてきた映像データを撮像装置2−2用の記録予約領域に記録すると共に、コマンドに従って撮像装置1−1から送信されてきた映像データを撮像装置1−1用の記録予約領域に記録する。
【0071】
そして、全ての撮像装置の記録媒体の記録容量が満杯になったときに、管理センター等に対して交換または映像データのダウンロードが必要である旨が通知される。好ましくは、全ての撮像装置の記録媒体の記録容量が満杯になる前に、いつ頃満杯になるかという情報も付加して、管理センター等に対して交換または映像データのダウンロードが必要である旨が通知され、列車が運行しない夜間等に、記録媒体の交換や映像データの抜き取りが行われる。
【0072】
これにより、管理装置が一括して全ての撮像装置の記録状態と記録予定等を管理・制御することで、監視システムの管理・運用が容易になり、システム全体として効率的に運用することができる。
【0073】
しかし、万が一、列車の運行中等の記録媒体の交換や映像データの抜き取りができないときに、グループ内または全ての撮像装置の記録容量が満杯になってしまうことが考えられる。その様な場合は、前者であれば他のグループの空き容量をチェックして、空いていればそちらの撮像装置に、後者であれば超過分を管理装置Kに設けられたHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記録媒体や別途設けられた記録装置に記録する。
【0074】
グループ内の撮像装置の記録容量が満杯になった場合、具体的には、管理装置Kは全てのグループ、撮像装置の記録状態を監視し管理しているため、他のグループに空き容量があり記録予約領域がそれほど埋まっていない撮像装置がないか探索し、あった場合には、その撮像装置に記録予約領域を設定し直し、超過分の映像データをその撮像装置に対して送信する様に制御する。他のグループに空き容量があり記録予約領域がそれほど埋まっていない撮像装置がなく、全ての撮像装置の記録容量が満杯になってしまった場合、別途設けられた記録装置または管理装置Kの記録媒体に超過分の映像データの記録予約領域を設定し、各カメラに対して記録装置または管理装置Kの記録媒体に映像データを送信する様にコマンドを送信する。各カメラはコマンドに従って映像データを記録装置または管理装置Kに送信し、記録装置または管理装置Kは自機の記録予約領域に各映像データを記録する。
【0075】
これにより、万が一、列車の運行中等の記録媒体の交換や映像データの抜き取りができないときに、グループ内または全ての撮像装置の記録容量が満杯になってしまった場合でも、映像データの記録を継続することができ、監視動作を維持することができる。
【0076】
さらに、本発明によると、記録媒体の交換や映像データの抜き取りおよび確認作業の回数を低減することができ、監視システム運用の手間を低減することができる。
【0077】
また、撮像装置は、イベントを検知すると記録の際の映像データの圧縮率を低くする、イベントの検出がなければ映像データの圧縮率を高くすることも可能であり、これにより映像データ量が低減でき、ひいては確認インターバルを長期化することができる。
【0078】
また、イベントは、上述したドア開閉だけに限定されず、ドア開閉の他に、例えば、被写体の顔検出、火災検知、非常通報ボタンの押下等としても良い。
【0079】
以上記載した様々な実施形態は複数同時に実施することが可能であり、これらの記載により、当業者は本発明を実現することができるが、更にこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0080】
1−1〜4−4…撮像装置、H1,H2…表示装置、K…管理装置、W1〜W4…スイッチ部、11…制御部、12…撮像素子、13…映像処理部、14…記録部、15…通信部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自装置内に映像データを記録する撮像装置であって、他の撮像装置へネットワークを介して映像データを送信する撮像装置、これを管理する管理装置、および、映像監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道車両において、撮像装置、ネットワークスイッチおよび映像表示装置を備え、車両内の状況を映像監視するとともに、撮像装置内部に搭載する記録媒体に映像データを記録する映像監視システムの運用が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−028754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の撮像装置においては、内部に搭載する記録媒体に映像データを記録する際に、搭載できる記録媒体の記録容量が少ないため、超過分の映像データが記録できない、または、上書き保存により映像データの保存時間が短くなってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、以上の課題に鑑み、複数の撮像装置の間または撮像装置−記録装置間で効率的に映像データを記録することができる撮像装置、これを管理する管理装置、および、映像監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の撮像装置は、被写体を撮像して映像信号を出力する撮像素子と、前記映像信号に所定の映像処理を施し映像データを出力する映像処理部と、映像データを記録する記録部と、外部の機器と通信する通信部と、各部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記記録部の空き容量に余裕がなくなると前記外部の機器に対して映像データを送信し、前記外部の機器から映像データを受信すると前記記録部に該映像データを記録することを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するために、上記撮像装置は、さらに、前記制御部は、他の撮像装置の記録部の空き容量を確認し、確認結果に基づいて前記他の撮像装置の記録部の空き容量の一部に自機の映像データを記録するための記録予約領域を設定することを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するために、上記撮像装置は、さらに、前記制御部は、前記他の撮像装置の記録部の現在までの平均記録量と現在の空き容量に基づいて前記記録予約領域を設定し、送信先である前記他の撮像装置の優先順位を設定することを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するために、上記撮像装置は、さらに、前記制御部は、送信可能な前記映像データの送信先である前記他の撮像装置を設定することを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の管理装置は、ネットワークを介して、記録部を備える複数の撮像装置の記録部の記録状態を監視し、空き容量に余裕が無い撮像装置の取得した映像データを、他の空き容量に余裕がある撮像装置に対して送信させる様に制御することを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するために、上記管理装置は、さらに、前記複数の撮像装置の記録部の記録状態に基づいて、前記空き容量に余裕がある撮像装置の記録部の空き容量の一部に、前記空き領域に余裕が無い撮像装置の取得した映像データを記録するための記録予約領域を設定することを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するために、上記管理装置は、さらに、前記空き容量に余裕がある撮像装置の記録部の現在までの平均記録量と現在の空き容量に基づいて前記記録予約領域を設定し、送信先である前記空き容量に余裕がある撮像装置の内、前記記録予約領域が大きい撮像装置から順に映像データを送信する優先順位を設定することを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するために、上記管理装置は、さらに、映像データを送信可能な撮像装置のグループを設定することを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の映像監視システムは、被写体を撮像して映像信号を出力する撮像素子と、前記映像信号に所定の映像処理を施し映像データを出力する映像処理部と、映像データを記録する記録部と、外部の機器と通信する通信部と、各部を制御する制御部と、を備える複数の撮像装置と、前記複数の撮像装置の各記録部の空き容量を監視し、制御する管理装置と、がネットワークを介して接続され、前記管理装置は、空き容量に余裕が無い撮像装置の取得した映像データを、他の空き容量に余裕がある撮像装置に対して送信させることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の映像監視システムは、被写体を撮像して映像信号を出力する撮像素子と、前記映像信号に所定の映像処理を施し映像データを出力する映像処理部と、映像データを記録する記録部と、外部の機器と通信する通信部と、各部を制御する制御部と、を備える複数の撮像装置と、前記複数の撮像装置の各記録部の空き容量を監視し、制御する管理装置と、がネットワークを介して接続され、前記制御部は、前記記録部の空き容量に余裕がなくなると前記外部の機器に対して映像データを送信し、前記他の撮像装置から映像データを受信すると前記記録部に該映像データを記録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
複数の撮像装置の記録状況に基づいて、他の撮像装置または記録装置と記録領域を共有して映像データを記録することで、効率的に映像データを記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態である撮像装置が配置された鉄道車両内の構成と各機器のアドレステーブルを示す説明図。
【図2】本発明の一実施形態である撮像装置の構成の一例を示す説明図。
【図3】本発明の一実施形態である撮像装置の配置と視野の一例を説明する説明図。
【図4】本発明の一実施形態である各撮像装置の各記録映像容量を示す説明図。
【図5】本発明の一実施形態である撮像装置と記録装置が配置された鉄道車両内の構成を示す説明図。
【図6】本発明の一実施形態である撮像装置における一車両単位での映像記録の状態を示す説明図。
【図7】本発明の一実施形態である撮像装置における装置単位での映像記録の状態を示す説明図。
【図8】本発明の一実施形態である撮像装置の記録予約した様子とその関係式を示す説明図。
【図9】本発明の一実施形態である撮像装置の記録領域共有中の記録処理の遷移過程の一例を示す説明図。
【図10】本発明の一実施形態である各撮像装置の記録領域共有中の記録処理の遷移過程の他の一例を示す説明図。
【図11】本発明の一実施形態である撮像装置の記録領域共有記録動作の一例を示す信号図。
【図12】本発明の一実施形態である撮像装置の記録領域共有記録動作および送信先撮像装置の切り替え処理の一例を示す信号図。
【図13】本発明の一実施形態である撮像装置の撮像装置のグルーピング処理の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態は、鉄道車両等に設置される撮像装置、ネットワークスイッチ、映像表示装置および管理装置等を備える映像監視システムであって、車両内の状況を映像監視するとともに映像データを撮像装置内部に搭載する記録媒体に記録し、また、各撮像装置内部に搭載する少ない記録媒体容量を効率的に使用して、映像データを記録するものである。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態である複数の撮像装置が配置された鉄道車両内の構成と各機器のアドレステーブルを示す説明図である。本発明の一実施形態である撮像装置は、例えば鉄道車両内に複数台設けられ、無線通信または有線通信によりLANやWAN等のネットワークで接続されることにより映像監視システムを構成して、効率的に映像監視システムが運用される。
【0020】
すなわち、図1の(a)において、連結された第1車両T1乃至第4車両T4である鉄道車両に対して、第1車両T1において、撮像装置1−1〜撮像装置1−4と、表示装置H1と、管理装置Kと、管理装置Kに接続された車両装置9と、表示装置H1と、スイッチ部W1と、を備え、撮像装置1−1〜撮像装置1−4、管理装置Kおよび表示装置H1はそれぞれスイッチ部W1と接続されている。
【0021】
これらの第1車両T1の撮像装置1−1〜撮像装置1−4、表示装置H1、管理装置Kは、例えば192.168.1.0/24のネットワークグループにて一意にIPアドレスが割り付けられている。
【0022】
同様に、第2車両T2において、撮像装置2−1〜撮像装置2−4と、スイッチ部W2とを備え、撮像装置2−1〜撮像装置2−4はそれぞれスイッチ部W2と接続されている。これらの第2車両T2の撮像装置2−1〜撮像装置2−4は、同様に、例えば192.168.1.0/24のネットワークグループにてIP一意にアドレスが割り付けられている。
【0023】
同様に、第3車両T3において、撮像装置3−1〜撮像装置3−4と、スイッチ部W3とを備え、撮像装置3−1〜撮像装置3−4はそれぞれスイッチ部W3と接続されている。これらの第3車両T3の撮像装置3−1〜撮像装置3−4は、同様に、例えば192.168.1.0/24のネットワークグループにて一意にIPアドレスが割り付けられている。
【0024】
同様に、第4車両T4において、撮像装置4−1〜撮像装置4−4と、表示装置H2と、スイッチ部W4とを備え、撮像装置4−1〜撮像装置4−4および表示装置H2はそれぞれスイッチ部W4と接続されている表示装置H2。これらの第4車両T4の撮像装置4−1〜撮像装置4−4と表示装置H2は、同様に、例えば192.168.1.0/24のネットワークグループにて一意にIPアドレスが割り付けられている。
【0025】
なお、各車両間は、それぞれのスイッチ部で隣接車両と接続されている。また、管理装置Kは、一編成分(第1車両T1、第2車両T2、第3車両T3、第4車両T4)の全機器のIPアドレスを事前にまたは都度取得・更新して、図1の下半分に示す様なデータベースとして管理している。また、管理装置Kは、車両内の各機器に対して、状態を監視したり様々な指示を出したりするものとする。また、乗務員の操作による表示装置H1またはH2からの信号に基づいて、管理装置Kは車両内の各機器に対して指示を出すものとする。
【0026】
車両装置9は、鉄道車両の外部、例えば駅に設けられた通信部や管理センターと無線または有線で、車両や運行に関する様々な情報を通信する。ここで様々な情報とは、例えば、車両編成情報やダイヤに関する情報、駅ごとにどちら側のドアが開くのかといった情報等が挙げられる。
【0027】
乗務員が表示装置を用いて任意車両の撮像装置のライブ映像を確認する場合は、「車両番号」や「撮像装置番号/名称」などを指定して選択する。すると、表示装置H1、H2は、指定された情報から管理装置が管理しているデータベースを用いて対象撮像装置のIPアドレスを照会し、そのIPアドレスをもって対象撮像装置に接続し、ライブ映像を取得して、自機の表示部に映像を表示するものである。
【0028】
乗務員が表示装置H1、H2を用いて任意車両の撮像装置の記録映像を確認する場合は、「記録装置番号/名称」と「車両番号」や「撮像装置番号/名称」と「記録映像日時」や「イベント」などを指定して選択する。表示装置H1、H2は、指定された情報から管理装置Kが管理しているデータベースを用いて対象撮像装置のIPアドレスを照会し、そのIPアドレスをもって対象撮像装置に接続し、撮像装置内部に搭載する記録媒体に記録された映像データを取得して、自機の表示部に記録映像を表示するものである。また、撮像装置内部に搭載する記憶媒体は取り外し可能なSDカード等の形態をとっており、撮像装置から取り外した後、パソコン等に接続して記録映像を確認することも可能である。
【0029】
また、図2は、本発明の一実施形態である撮像装置の構成の一例を示す説明図である。撮像装置は、撮像装置全体の動作を制御する制御部11と、被写体の光を捉えて映像信号を出力するCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子12と、撮像素子12から出力される映像信号に対し映像処理や各種変換を施す映像処理部13と、SDカード等の着脱可能な記録媒体を保持する記録部14と、有線通信または無線通信による通信部15を具備している。
【0030】
撮像素子12は撮像領域からの入射光を光電変換して映像信号を生成し、映像処理部13に出力する。映像処理部13では、制御部11の指示により、映像信号に映像処理や各種変換処理を施し、記録部14や通信部15に映像データを出力する。記録部14では、映像データを記録し、場合によっては、制御部11の指示により映像データを通信部15に出力する。通信部15では、撮像装置の外部と通信し、映像データを伝送路の種類に即した形式に変換して送信したり、外部からの信号を受信する。
【0031】
上述した様な構成の撮像装置およびこれを含む鉄道車両等に設けられた監視システムの一般的な記録処理について以下に述べる。図3は、本発明の一実施形態である各撮像装置の配置と視野の一例を説明する説明図、図4は、各撮像装置の各記録映像容量を示す説明図、図5は、撮像装置と記録装置が配置された鉄道車両内の構成を示す説明図、図6は、撮像装置における一車両単位での映像記録の状態を示す説明図、図7は、撮像装置における装置単位での映像記録の状態を示す説明図である。
【0032】
図3に示す第1車両T1において、撮像装置1−1〜−3が車両内の状況を映像監視するとともに映像データを撮像装置内部に搭載する記録媒体に記録する場合を考察する。撮像装置1−1はドア22が開閉したという情報を通知されることにより、ドア開閉時の映像を記録するよう運用する。同様に撮像装置1−2はドア21が、撮像装置1−3はドア23が開閉した情報を通知された時に映像を記録するものとする。ここで、ドアの開閉は、各ドアにセンサを設けてセンサから各撮像装置に通知する様にしても良いし、管理装置Kが各撮像装置にドアの開閉情報を通知する様にしても良いし、取得した映像からドアの開閉を検知する様にしても良い。撮像装置1−3は、客の乗降や車両間の人の移動による列車内のドア開閉状況に基づいて映像を記録するため、ドア23の開閉される頻度および映像記録頻度が一番高いものとする。次いで、駅に着いた際に客の乗降のためにドア22およびドア23が開閉されるが、ドア22の方が開閉される頻度および映像記録頻度が高く、ドア21が開閉される頻度および映像記録頻度が一番低いものとする。
【0033】
この様な状況下にて監視システムを運用すると、図4に示す様に、撮像装置内部に搭載する記憶媒体に記録される映像記録容量は、撮像装置1−1〜1−3の中では、(c)の撮像装置1−3が最も早く記録媒体の最大記録容量に達することとなる。この様な状態になった場合は、通常、撮像装置から記録媒体を取り外して新たな記録媒体を挿入するか、または、管理センター等からの遠隔制御等により、撮像装置から記録映像データをダウンロードして記録媒体の記録データ量を空にする必要がある。
【0034】
これに対しては、図5に示す様に、第1車両T1〜第4車両T4のそれぞれに記録装置を設けたり、例えば先頭車両に記録装置を設けたりすることで、撮像装置内部に搭載する記録媒体容量が少ないことによる記録時間が短いという問題は解決することができる。しかし、列車内という限られたスペースにおいては記録装置を別途設置することが容易にできない場合があり、また、システム導入コストが高価になってしまうという問題がある。
【0035】
撮像装置内部に搭載する記録媒体はSDカード等の記録媒体であるが、それらの容量としては数MB〜32GBというものが、現在一般的である。そのため、1つの記録媒体につき、2〜3フレーム/秒にて常時記録し、3〜4日間分の記録映像を保存できる程度である。この場合は、3〜4日間に一度という高頻度で、記録媒体の交換やデータの抜き取りの手間がかかる。
【0036】
また、1〜2フレーム/秒という、フレームレートを下げた状態で映像を記録すれば、4〜5日間程度は記録映像を撮像装置内部に保管しておけるが、車両内で何か異常が発生した際の記録映像を確認しようと思っても、低フレームレートであるために肝心の映像が記録できていないということがある。
【0037】
そのための記録方式として、イベント(アラーム)記録方式というものがある。例えば、撮像装置30は、通常時は低フレームレートで撮像しておき、ドア34が開閉したという情報を通知されることにより、その時のみ高フレームレートで映像記録する。この方式を用いれば、人物等の出入りがあった時の事象等の、イベントのあった時のみ映像を記録し、何も変化が無い場合には映像を記録を記録しないという様に、限られた記録容量を効率的に使用して記録できる。
【0038】
しかしながら、このイベント(アラーム)記録方式においても、図4で示した様に、イベント(アラーム)記録される映像データの記録量は撮像装置毎にばらつきはあるため、依然として、撮像装置毎に異なるインターバルにて、記録媒体の交換やデータの抜き取りにより映像データを確認することが必要である。以下の説明では、この記録媒体の交換やデータの抜き取りにより映像データを確認する間隔を、「確認インターバル」と呼ぶことにする。
【0039】
本発明の一実施形態では、この『確認インターバル』をいかに最適化するかがポイントとなる。
まず、確認インターバルを『車両単位』とする場合が考えられる。図6に示す様に、最も記録量の多い撮像装置(この場合は撮像装置1−3)の確認インターバルに合わせて、全ての撮像装置の記録媒体の交換やデータの抜き取りにより映像データを確認する。
【0040】
この『車両単位』または『編成単位』の確認インターバルは、上述した複数の撮像装置の一つが、自機の撮像装置の記録部の記録量および同一車両の他の撮像装置の記録量をモニタリングし管理して、または管理装置Kが全車両の撮像装置の記録量をモニタリングし管理して、最も記録量が多い撮像装置のインターバルを『車両単位の確認インターバル』または『編成単位の確認インターバル』と決定して、例えば、管理装置Kの制御により、車両装置9からネットワーク等を介して記録媒体の交換または映像データのダウンロードのタイミングを管理センター等に通知することで実現する。
【0041】
この方式は、『確認インターバル』を定めやすく、また、一括して記録媒体の交換または映像データのダウンロードができるので、作業員の手間が少なく済む。しかしながら、その一方、例えば、使用頻度の低い撮像装置1−2の記録媒体は効率よく使用されているとは言い難い。
【0042】
次に、確認インターバルを『撮像装置単位』とする場合が考えられる。図7に示す様に、撮像装置の、それぞれ個別の確認インターバルでの撮像装置の記録媒体の交換やデータの抜き取りにより映像データを確認する。
【0043】
この『撮像装置単位』の確認インターバルは、複数の撮像装置の各制御部11が、自機の記録部14の記録量をモニタリングし管理して、例えば、管理装置Kを経由して車両装置9からネットワーク等を介して記録媒体の交換または映像データのダウンロードのタイミングを管理センター等に通知することで実現する。
【0044】
この撮像装置単位の運用方式では、上述した『車両単位の確認インターバル』および『編成単位の確認インターバル』よりも効率的に記録容量を使用することができる。しかしながら、一方で、場合によっては毎日いずれかの撮像装置から記録媒体を取り外すか、または、撮像装置から記録映像データをダウンロードして映像データを確認する必要が生じるため、作業員の手間は少なくはない。
【0045】
次に、本発明の実施形態である撮像装置間で記録容量を共有する際に、『最適な確認インターバル』となる様に各撮像装置の記録領域の使用方法(以降、記録予定)を求める場合が考えられる。図8〜12に示す様に、複数の撮像装置の間で、容量に余裕がある撮像装置の記録領域を、容量に余裕が無くなった撮像装置の記録領域として活用することで、複数の撮像装置をトータルで見た際に記録容量を有効に活用することができる。これらの図を用いて以下に詳細に説明する。なお、『最適な確認インターバル』とするために、本実施形態では、各撮像装置の今までの各平均記録量または現在の記録量に基づいて、どの撮像装置の取得映像をどの撮像装置の記録媒体にどれだけ送信すれば、トータルで最も効率的に記録容量を使用でき、記録媒体の交換または映像データのダウンロードのインターバルを長く且つ同タイミングにできるかという記録予定を算出する。
【0046】
本実施形態においては、図11および図12に示す様に、撮像装置1−3は、列車内のドア23の開閉情報等のイベントを検出またはイベント情報を受信すると(ステップS11)、撮像装置1−3の記録部14の記録容量に余裕があるかないかを確認する。余裕がある場合にはそのまま記録を継続し、余裕がない場合には、通信部15からネットワーク上に存在する通信可能な他の撮像装置1−1、1−2に対して、各々の撮像装置内部の記録媒体の記録状況(記録量および/または空き容量)を確認させるコマンドを送信する(ステップS12)。
【0047】
本コマンドを受信した撮像装置1−1、1−2は、自機の記録媒体の使用量、空き容量、記録開始日時等の情報を撮像装置1−3に対して返信する(ステップS13,S14)。撮像装置1−3は、受信した情報に基づき、各々の撮像装置状態を分析し、記録予定を算出して各撮像装置に対する記録予約領域を求め、送信して記録してもらう撮像装置の順番(優先順位)を決定し、対象となる撮像装置1−1、1−2に対して、記録予約領域を確保させるコマンドを送信する(ステップS15)。ここでの分析と記録予定の算出方法についての詳細は後述する。ここで、記録予約領域とは、記録容量が足りなくなった撮像装置が取得した超過分の映像を他の撮像装置に送信して記録してもらうために、他の撮像装置の記録媒体に設定する記録領域のことである。
【0048】
コマンドを受信した撮像装置1−1,1−2はそれぞれ、撮像装置1−3の超過分の映像を記録するために使用する記録媒体の記録領域の一部(図8におけるA,B)に対して、記録予約領域を設定し、設定した旨の情報を撮像装置1−3に対して送信する(ステップS16,17)。
【0049】
次に、撮像装置1−3は、再び列車内のドア23開閉のイベントを検出またはイベント情報を受信すると(ステップS18)、優先順位に基づいて、最も優先順位の高い撮像装置1−2に対して、取得した映像データと映像データを記録予約領域Bに記録させるコマンドを送信する(ステップS19)。撮像装置1−2は、撮像装置1−3から映像データとコマンドを受信すると、撮像装置1−3からの映像データを自機の記録媒体に設定した記録予約領域Bに記録し、記録後の空き容量を確認して、映像データの記録が正常に完了したことを撮像装置1−3に返信する(ステップS20)。このとき、撮像装置1−2は、ドア21の開閉等のイベント情報に基づいて、自機の取得した映像データを自機の記録媒体に記録している。
なお、この時の映像データの送信処理または以降に記載する映像データの送信処理は、撮像装置素子12から映像処理部13を経由してそのまま通信部15を介して送信してもよいし、撮像装置素子12からの映像データを記録部14にいったん記録し、その後、読み出して送信してもよい。
【0050】
これらステップS18からステップS20までの撮像装置1−3が取得した映像データを他の撮像装置1−2に送信して代わりに記録してもらう処理は、撮像装置1−2の記録予約領域が満杯になるまで継続される。図12に示す様に、イベント通知S21および、S19と同様の映像データ送信処理の後、映像データおよびコマンドを受信した撮像装置1−2は、自機の記録予約領域に受信した映像データを記録し、記録予約領域の空き容量を確認し、無しまたは少ないと判断すると、空き容量が無しまたは少ないことを映像データの記録が正常に完了したことと共に撮像装置1−3に通知する(ステップS23)。このときの状態が図9に示してある。この通知に基づき、撮像装置1−3は、映像データ送信先である撮像装置を先のステップ15で決定した優先順位に従って、次に優先順位の高い撮像装置1−1に変更する(ステップS24)。
【0051】
再び列車内のドア23開閉のイベントを検出またはイベント情報を受信すると(ステップS25)、優先順位に基づいて、2番目に優先順位の高い撮像装置1−2に対して、取得した映像データと映像データを記録予約領域Aに記録させるコマンドを送信する(ステップS26)。撮像装置1−1は、撮像装置1−3から映像データとコマンドを受信すると、撮像装置1−3からの映像データを自機の記録媒体に設定した記録予約領域Aに記録し、記録後の空き容量を確認して、映像データの記録が正常に完了したことを撮像装置1−3に返信する(ステップS27)。このとき、撮像装置1−1は、ドア22の開閉等のイベント情報基づいて、自機の取得した映像データを自機の記録媒体に記録している。
【0052】
これらステップS25からステップS27までの撮像装置1−3が取得した映像データを他の撮像装置1−1に送信して代わりに記録してもらう処理は、上述の撮像装置1−2の場合と同様に、撮像装置1−1の記録予約領域が満杯になるまで継続される。これらの動作が繰り返される中で、撮像装置1−2は、記録予約領域の空き容量を確認し、無しまたは少ないと判断すると、空き容量が無しまたは少ないことを映像データの記録が正常に完了したことと共に撮像装置1−3に通知する。このときの状態が図10に示してある。この通知に基づき、撮像装置1−3は、映像データ送信先である撮像装置を先のステップ15で決定した優先順位に従って、次に優先順位の高い撮像装置に変更する。
【0053】
そしてまた、これらの処理が繰り返され、全ての撮像装置の記録媒体の記録容量が満杯になったときに、管理センター等に対して交換または映像データのダウンロードが必要である旨が通知される。好ましくは、全ての撮像装置の記録媒体の記録容量が満杯になる前に、いつ頃満杯になるかという情報も付加して、管理センター等に対して交換または映像データのダウンロードが必要である旨が通知される。
【0054】
ここで、ステップS15における各々の撮像装置の状態の分析と記録予定の算出方法について、図8を用いて詳細に説明する。
まず、記録媒体に記録されていた記録開始日時および記録量から、対象撮像装置の平均記録量を算出し、記録媒体の空き容量がより多く平均記録量がより少ない撮像装置から順に有線順位を設定していく。そして、各撮像装置の記憶媒体の空き容量の合計および各撮像装置の平均記録量から記録予定を算出する。
【0055】
なお、これは、その時の記録媒体に記録されている内容(記録開始日や使用量)から求めても良いし、今までの記録してきた内容から統計的に求めても良い。好ましくは、システム導入の日からまたは導入からある程度のサンプルが入手できたら、日々または確認インターバルごとに、記録された内容に基づいて平均記録量を更新すると良い。
【0056】
すなわち、『最適な確認インターバル』とするために記録予定は、図8の下部にも示す様に、
(撮像装置1−1の記録空き容量−撮像装置1−3の記録予約容量)/撮像装置1−1の平均記録量
と、
(撮像装置1−2の記録空き容量−撮像装置1−3の記録予約容量)/撮像装置1−2の平均記録量
と、
(撮像装置1−1内に確保した撮像装置1−3の記録予約容量+撮像装置1−2内に確保した撮像装置1−3の記録予約容量)/撮像装置1−3の平均記録量
の、これら3つの値がほぼ等しい値となる様な記録予定を、代数演算により求める。
【0057】
ここで、『撮像装置1−1の記録空き容量−撮像装置1−3の記録予約容量』をC、『撮像装置1−2の記録空き容量−撮像装置1−3の記録予約容量』をD、『撮像装置1−1内に確保した撮像装置1−3の記録予約容量』をA、『撮像装置1−2内に確保した撮像装置1−3の記録予約容量』をBとすると、この式は、
C/(撮像装置1−1の平均記録量)≒
D/(撮像装置1−2の平均記録量)≒
A+B/(撮像装置1−3の平均記録量)
の様に簡略化して表現できる。
【0058】
この様に第1実施形態では、上述した式に基づいて『最適な確認インターバル』とするための記録予定を求め、この記録予定に基づいて送信処理を実行することで、最も効率良く監視映像記録システムを運用することができる。
なお、本実施形態では、記録容量が最も早く足りなくなった撮像装置1−3が記録予定を求めて決定したが、他に、予めグループ毎に親となる撮像装置を設定しておき、親となる撮像装置が他の撮像装置の記録状態を監視したり記録予定を求めたりする様にしても良い。
【0059】
(第2実施形態)
第2実施形態は、先に第1実施形態において映像データを他の撮像装置に送信する際に、送信する対象の撮像装置をどの範囲に設定するか、言い換えれば、どういった撮像装置の纏まりで記録領域を共有(記録予約領域を設定)するか、ということを目的とする。すなわち、全車両の撮像装置は全て送信の対象とするのか、同一車両に存在する撮像装置だけを対象とするか、複数の車両分の撮像装置を対象とするか、または、何かの条件(例えば、各車両の同じ位置に設置された撮像装置をグループとする等)に基づいた撮像装置の纏まりを対象とするか、ということを決定する。ここで設定された撮像装置の纏まり(グループ)ごとに、それぞれ記録予定を求めて運用する。
【0060】
ここでは、車両単位で撮像装置のグループを設定する場合を例に挙げて説明する。以降、この撮像装置のグループを設定する処理を「グルーピング」と称する。
【0061】
このグルーピングは、撮像装置本体を操作することで設定してもよく、また、撮像装置にノートパソコン等を接続して、ノートパソコンの操作画面において設定しても良く、管理装置および表示装置を利用して設定しても良く、また、管理センター等から車両装置を介して設定しても良い。
【0062】
なお、ここでは、乗務員が表示装置H1を介して管理装置Kを操作することにより、例えば、図13に示す操作画面を表示させてグルーピングを行う。
表示装置H1の画面に、図13の(a)に示す様にIPアドレスを伴った編成車両に設置されている撮像装置のリストを表示し、操作に応じて、撮像装置1−1〜4−4から、所望のグループに撮像装置を振り分ける様に設定する。複数のグループにグルーピングされると、図13の(b)に示す様にIPアドレスを伴った撮像装置のリストを表示する。ここでは撮像装置を車両ごとにグループ分けする。この設定は、管理装置Kが管理情報として記憶し、各撮像装置にグループの情報を送信する。これに基づき、各撮像装置は実施形態1で記載した記録予定を算出して実行する。
【0063】
また、撮像装置に予めグルーピングのルール(例えば同一車両に存在する撮像装置をグループとする等)を設定しておくことで、操作者による操作を不要とし、手間を省くことができる。
また、管理装置Kが自動的に理想的なグループ分け(最も記録容量を効率的に使用できる撮像装置の組み合わせ)をする様にしても良い。この場合、これまでに収集してきた各撮像装置の平均記録量の比率に基づいて、平均記録量の割合がそれぞれ均等になる様に撮像装置のグループを設定し、予め記録予約領域を設定しておく。これにより、操作者の手間を省くことができ、より効率的に記録容量を使用することができる。
【0064】
(第3実施形態)
上述した実施形態においては、主に撮像装置がグルーピングに基づいて記録予定と優先順位を求めていたが、本実施形態では、管理装置Kが記録予定を求めて全体を管理する。すなわち、実施形態1で撮像装置が他の撮像装置に対して空き容量を確認して記録予約領域を設定し優先順位を決定する処理を、管理装置Kが実行する。図1を用いて以下に詳細に説明するが、構成としては上述した実施形態と同様であるため省略する。管理装置Kと各装置が通信する際にはスイッチ部Wを介して信号がやり取りするが、それぞれ最初の1度だけスイッチを介することを説明し、その後はスイッチを介することは前提としてその説明は省略する。また、ここでは、第1車両の撮像装置1−1、第2車両の撮像装置2−2、第3車両の撮像装置3−3、第4車両の撮像装置4−4(第1グループとし、本実施形態ではこのグループを例に説明する)といった様に、各車両から1台ずつそれぞれ異なる位置に設置された撮像装置の纏まりでグルーピングされたこととする。また、記録量は撮像装置1−1、撮像装置1−2、撮像装置1−3、撮像装置1−4の順に多いものとする。
【0065】
各撮像装置はドアの開閉情報に応じて撮像・記録動作を行っており、管理装置Kはそれぞれの撮像装置の記録状況を監視している。具体的には、第1グループの場合で説明すると、管理装置Kは記録量を確認して返信させるコマンドを、スイッチW1を介して撮像装置1−1、スイッチW1およびW2を介して撮像装置2−2、スイッチW1,W2およびW3を介して撮像装置3−3、スイッチW1,W2,W3およびW4を介して撮像装置4−4へ送信する。このコマンドを受信した各撮像装置は自機の現在の記録量を確認して管理装置Kへ記録状態情報を送信する。管理装置は、受信した各撮像装置の記録状況を更新する。
【0066】
管理装置Kは、例えば、1番記録量の多い撮像装置の空き容量が半分や1/3になる等、ある程度空き容量が少なくなってきたところで、他の撮像装置の現在の空き容量とこれまでの各撮像装置の平均使用量に基づいて記録予定を求め、優先順位を決定し、対象となる撮像装置に対して記録予約領域を設定させる。そして、記録量の1番多い撮像装置の空き容量に余裕が無くなったタイミングで、優先順位に従って他の撮像装置に映像データを送信させる。ここで実施形態1の様に記録容量に余裕が無くなったタイミングで記録予定を算出しないのは、管理装置Kが全てのグループを管理しているためで、記録予定の算出のタイミングが重なって負荷が集中しない様にするためである。ただし、実施形態1の様に記録容量に余裕が無くなったタイミングで記録予定を算出する様にしても問題ない。
【0067】
具体的には、管理装置Kは、各撮像装置の記録状態を監視する中で、撮像装置1−1の空き容量が少なくなってきたら、他の撮像装置の記録状況と平均使用量に基づいて記録予定を求め、優先順位を決定する。このとき、優先順位は、記録量の少ない撮像装置4−4、撮像装置3−3、撮像装置4−2の順となる。また、管理装置Kは、撮像装置4−4、撮像装置3−3、撮像装置4−2に対して、記録予約領域を設定する様にコマンドを送信し、撮像装置4−4、撮像装置3−3、撮像装置4−2はコマンドに従って自機の記録領域に記録予約領域を設定する。そして、撮像装置1−1の空き容量に余裕がなくなったら、管理装置Kは撮像装置1−1に対して、映像データを優先順位の1番高い撮像装置4−4に送信する様にコマンドを送信する。撮像装置1−1は、コマンドに従って撮像装置4−4に映像データを送信し、撮像装置4−4は自機の記録予約領域に受信した撮像装置1−1の映像データを記録する。
【0068】
ここで、グループ内の空き容量がなくなる2台目、3台目撮像装置が出てくることが考えられる。その際には、できるだけ、既に空き容量の無くなった撮像装置が代替記録してもらっている撮像装置以外の撮像装置に対して記録予約領域を再設定して代替記録してもらう。
【0069】
具体的には、さらに撮像装置2−2の空き容量が少なくなってきたら、さらに他の撮像装置の記録状況と平均使用量に基づいて記録予定を求める。また、管理装置Kは、撮像装置3−3に対して、撮像装置1−1用の記録予約領域を平均使用量などに基づいて削除または縮小して撮像装置2−2用の記録予約領域を設定する様にコマンドを送信し、撮像装置3−3はコマンドに従って自機の記録領域に記録予約領域を設定し直す。そして、撮像装置2−2の空き容量に余裕がなくなったら、管理装置Kは撮像装置1−1に対して、映像データを撮像装置4−4に送信する様にコマンドを送信する。撮像装置1−1は、コマンドに従って撮像装置4−4に映像データを送信し、撮像装置4−4は自機の記録予約領域に受信した撮像装置1−1の映像データを記録する。このとき、撮像装置4−4は撮像装置1−1の映像データを代替して記録しているため、撮像装置2−2の映像データを代替して記録する対象とはしないが、グループ内の撮像装置の数が多くて他に代替して記録可能な撮像装置がある場合には、記録予約領域を設定し、優先順位を決定する。
【0070】
自機の映像データ記録、他機の映像データ代替記録を継続し、撮像装置4−4に設定された撮像装置1−1の記録予約領域が満杯になると、管理装置Kは、撮像装置3−3に縮小されて設定し直された撮像装置1−1用の記録予約領域に記録させるために、撮像装置1−1に対して撮像装置3−3に映像データを送信する様にコマンドを送信する。撮像装置3−3は、撮像装置2−2から送信されてきた映像データを撮像装置2−2用の記録予約領域に記録すると共に、コマンドに従って撮像装置1−1から送信されてきた映像データを撮像装置1−1用の記録予約領域に記録する。
【0071】
そして、全ての撮像装置の記録媒体の記録容量が満杯になったときに、管理センター等に対して交換または映像データのダウンロードが必要である旨が通知される。好ましくは、全ての撮像装置の記録媒体の記録容量が満杯になる前に、いつ頃満杯になるかという情報も付加して、管理センター等に対して交換または映像データのダウンロードが必要である旨が通知され、列車が運行しない夜間等に、記録媒体の交換や映像データの抜き取りが行われる。
【0072】
これにより、管理装置が一括して全ての撮像装置の記録状態と記録予定等を管理・制御することで、監視システムの管理・運用が容易になり、システム全体として効率的に運用することができる。
【0073】
しかし、万が一、列車の運行中等の記録媒体の交換や映像データの抜き取りができないときに、グループ内または全ての撮像装置の記録容量が満杯になってしまうことが考えられる。その様な場合は、前者であれば他のグループの空き容量をチェックして、空いていればそちらの撮像装置に、後者であれば超過分を管理装置Kに設けられたHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記録媒体や別途設けられた記録装置に記録する。
【0074】
グループ内の撮像装置の記録容量が満杯になった場合、具体的には、管理装置Kは全てのグループ、撮像装置の記録状態を監視し管理しているため、他のグループに空き容量があり記録予約領域がそれほど埋まっていない撮像装置がないか探索し、あった場合には、その撮像装置に記録予約領域を設定し直し、超過分の映像データをその撮像装置に対して送信する様に制御する。他のグループに空き容量があり記録予約領域がそれほど埋まっていない撮像装置がなく、全ての撮像装置の記録容量が満杯になってしまった場合、別途設けられた記録装置または管理装置Kの記録媒体に超過分の映像データの記録予約領域を設定し、各カメラに対して記録装置または管理装置Kの記録媒体に映像データを送信する様にコマンドを送信する。各カメラはコマンドに従って映像データを記録装置または管理装置Kに送信し、記録装置または管理装置Kは自機の記録予約領域に各映像データを記録する。
【0075】
これにより、万が一、列車の運行中等の記録媒体の交換や映像データの抜き取りができないときに、グループ内または全ての撮像装置の記録容量が満杯になってしまった場合でも、映像データの記録を継続することができ、監視動作を維持することができる。
【0076】
さらに、本発明によると、記録媒体の交換や映像データの抜き取りおよび確認作業の回数を低減することができ、監視システム運用の手間を低減することができる。
【0077】
また、撮像装置は、イベントを検知すると記録の際の映像データの圧縮率を低くする、イベントの検出がなければ映像データの圧縮率を高くすることも可能であり、これにより映像データ量が低減でき、ひいては確認インターバルを長期化することができる。
【0078】
また、イベントは、上述したドア開閉だけに限定されず、ドア開閉の他に、例えば、被写体の顔検出、火災検知、非常通報ボタンの押下等としても良い。
【0079】
以上記載した様々な実施形態は複数同時に実施することが可能であり、これらの記載により、当業者は本発明を実現することができるが、更にこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0080】
1−1〜4−4…撮像装置、H1,H2…表示装置、K…管理装置、W1〜W4…スイッチ部、11…制御部、12…撮像素子、13…映像処理部、14…記録部、15…通信部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して映像信号を出力する撮像素子と、
前記映像信号に所定の映像処理を施し映像データを出力する映像処理部と、
映像データを記録する記録部と、
外部の機器と通信する通信部と、
各部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記記録部の空き容量に余裕がなくなると前記外部の機器に対して映像データを送信し、前記外部の機器から映像データを受信すると前記記録部に該映像データを記録することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御部は、他の撮像装置の記録部の空き容量を確認し、確認結果に基づいて前記他の撮像装置の記録部の空き容量の一部に自機の映像データを記録するための記録予約領域を設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記他の撮像装置の記録部の現在までの平均記録量と現在の空き容量に基づいて前記記録予約領域を設定し、送信先である前記他の撮像装置の優先順位を設定することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御部は、送信可能な前記映像データの送信先である前記他の撮像装置を設定することを特徴とする請求項1乃至3に記載の撮像装置。
【請求項5】
ネットワークを介して、記録部を備える複数の撮像装置の記録部の記録状態を監視し、空き容量に余裕が無い撮像装置の取得した映像データを、他の空き容量に余裕がある撮像装置に対して送信させる様に制御することを特徴とする管理装置。
【請求項6】
前記複数の撮像装置の記録部の記録状態に基づいて、前記空き容量に余裕がある撮像装置の記録部の空き容量の一部に、前記空き領域に余裕が無い撮像装置の取得した映像データを記録するための記録予約領域を設定することを特徴とする請求項5に記載の管理装置。
【請求項7】
前記空き容量に余裕がある撮像装置の記録部の現在までの平均記録量と現在の空き容量に基づいて前記記録予約領域を設定し、送信先である前記空き容量に余裕がある撮像装置の内、前記記録予約領域が大きい撮像装置から順に映像データを送信する優先順位を設定することを特徴とする請求項6に記載の管理装置。
【請求項8】
映像データを送信可能な撮像装置のグループを設定することを特徴とする請求項5乃至請求項7に記載の管理装置。
【請求項9】
被写体を撮像して映像信号を出力する撮像素子と、前記映像信号に所定の映像処理を施し映像データを出力する映像処理部と、映像データを記録する記録部と、外部の機器と通信する通信部と、各部を制御する制御部と、を備える複数の撮像装置と、
前記複数の撮像装置の各記録部の空き容量を監視し、制御する管理装置と、がネットワークを介して接続され、
前記管理装置は、空き容量に余裕が無い撮像装置の取得した映像データを、他の空き容量に余裕がある撮像装置に対して送信させることを特徴とする映像監視システム。
【請求項10】
被写体を撮像して映像信号を出力する撮像素子と、前記映像信号に所定の映像処理を施し映像データを出力する映像処理部と、映像データを記録する記録部と、外部の機器と通信する通信部と、各部を制御する制御部と、を備える複数の撮像装置と、
前記複数の撮像装置の各記録部の空き容量を監視し、制御する管理装置と、がネットワークを介して接続され、
前記制御部は、前記記録部の空き容量に余裕がなくなると前記外部の機器に対して映像データを送信し、前記他の撮像装置から映像データを受信すると前記記録部に該映像データを記録することを特徴とする映像監視システム。
【請求項1】
被写体を撮像して映像信号を出力する撮像素子と、
前記映像信号に所定の映像処理を施し映像データを出力する映像処理部と、
映像データを記録する記録部と、
外部の機器と通信する通信部と、
各部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記記録部の空き容量に余裕がなくなると前記外部の機器に対して映像データを送信し、前記外部の機器から映像データを受信すると前記記録部に該映像データを記録することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御部は、他の撮像装置の記録部の空き容量を確認し、確認結果に基づいて前記他の撮像装置の記録部の空き容量の一部に自機の映像データを記録するための記録予約領域を設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記他の撮像装置の記録部の現在までの平均記録量と現在の空き容量に基づいて前記記録予約領域を設定し、送信先である前記他の撮像装置の優先順位を設定することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御部は、送信可能な前記映像データの送信先である前記他の撮像装置を設定することを特徴とする請求項1乃至3に記載の撮像装置。
【請求項5】
ネットワークを介して、記録部を備える複数の撮像装置の記録部の記録状態を監視し、空き容量に余裕が無い撮像装置の取得した映像データを、他の空き容量に余裕がある撮像装置に対して送信させる様に制御することを特徴とする管理装置。
【請求項6】
前記複数の撮像装置の記録部の記録状態に基づいて、前記空き容量に余裕がある撮像装置の記録部の空き容量の一部に、前記空き領域に余裕が無い撮像装置の取得した映像データを記録するための記録予約領域を設定することを特徴とする請求項5に記載の管理装置。
【請求項7】
前記空き容量に余裕がある撮像装置の記録部の現在までの平均記録量と現在の空き容量に基づいて前記記録予約領域を設定し、送信先である前記空き容量に余裕がある撮像装置の内、前記記録予約領域が大きい撮像装置から順に映像データを送信する優先順位を設定することを特徴とする請求項6に記載の管理装置。
【請求項8】
映像データを送信可能な撮像装置のグループを設定することを特徴とする請求項5乃至請求項7に記載の管理装置。
【請求項9】
被写体を撮像して映像信号を出力する撮像素子と、前記映像信号に所定の映像処理を施し映像データを出力する映像処理部と、映像データを記録する記録部と、外部の機器と通信する通信部と、各部を制御する制御部と、を備える複数の撮像装置と、
前記複数の撮像装置の各記録部の空き容量を監視し、制御する管理装置と、がネットワークを介して接続され、
前記管理装置は、空き容量に余裕が無い撮像装置の取得した映像データを、他の空き容量に余裕がある撮像装置に対して送信させることを特徴とする映像監視システム。
【請求項10】
被写体を撮像して映像信号を出力する撮像素子と、前記映像信号に所定の映像処理を施し映像データを出力する映像処理部と、映像データを記録する記録部と、外部の機器と通信する通信部と、各部を制御する制御部と、を備える複数の撮像装置と、
前記複数の撮像装置の各記録部の空き容量を監視し、制御する管理装置と、がネットワークを介して接続され、
前記制御部は、前記記録部の空き容量に余裕がなくなると前記外部の機器に対して映像データを送信し、前記他の撮像装置から映像データを受信すると前記記録部に該映像データを記録することを特徴とする映像監視システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−217088(P2012−217088A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81972(P2011−81972)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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