撮像装置および撮像方法
【課題】ライブビュー表示や動画に相応しいクロスフィルタ処理が可能な撮像装置および撮像方法を提供する。
【解決手段】 撮像素子107からの画像データに対して、効果付与領域を設定し(S45)、この効果付与領域内の飽和点を検出し(S61)、この検出された飽和点の位置においてクロスフィルタ処理を行い(S63)、クロスフィルタ処理された画像を表示や記録を行っている(S51、S141)。撮像素子107の撮像領域の全てについてクロスフィルタ処理を行うのではなく、効果付与領域内の飽和点に対して輝点処理を行う。
【解決手段】 撮像素子107からの画像データに対して、効果付与領域を設定し(S45)、この効果付与領域内の飽和点を検出し(S61)、この検出された飽和点の位置においてクロスフィルタ処理を行い(S63)、クロスフィルタ処理された画像を表示や記録を行っている(S51、S141)。撮像素子107の撮像領域の全てについてクロスフィルタ処理を行うのではなく、効果付与領域内の飽和点に対して輝点処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロスフィルタと類似の特殊効果を施すことが可能な撮像装置および撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、静止画撮影の際に、光学フィルタであるクロスフィルタを装着し、特殊効果を施す手法が知られている。また、近年、デジタルカメラ等の撮像装置において、静止画撮影を行う際に、クロスフィルタを装着して撮影する代わりに、画像処理によりクロスフィルタと類似の特殊効果を施すことが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、静止画撮影された画像の中から輝度の高い部分を抽出し、高輝度の中心に光のスジ(以下、光条という)を画像処理によって施し、クロスフィルタと類似の特殊効果を達成する可能な電子スチルカメラが開示されている。この電子スチルカメラによれば、光学クロスフィルタを装着することなく、電気的なスイッチによりデジタル処理だけで手軽に光条効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−30373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年のデジタルカメラでは、液晶モニタ等の表示部に動画で被写体像を表示するライブビュー表示を行い、撮影者はライブビュー表示を確認しながら静止画や動画の撮影を行うのが一般的となっている。このライブビュー表示においても、前述のクロスフィルタと類似の特殊効果を付与する画像処理ができると便利である。しかしながら、動画であるライブビュー表示を行う際に、クロスフィルタ効果を与える画像処理を行うのは、困難であった。
【0006】
すなわち、クロスフィルタ効果を与えるためには、画像全体をスキャンして輝点を探し出し、探し出した輝点の輝度や色に応じてクロス画像を描写しなければならず、これらの一連の処理を行うには、非常に時間がかかってしまう。特に、(1)対象画像が大きければ大きい程、輝点を探すための時間が増加し、(2)クロスフィルタの光条の数が多い程、また長さが長い程、処理時間が増加する。さらに、(3)被写体の輝点数が多い程、処理時間が増加し、また処理時間が変動してしまう。
【0007】
従来のように静止画を撮影し、記録済みの静止画を編集処理するのであれば、クロスフィルタ効果を与えるための画像処理は可能である。しかし、ライブビュー表示や、動画撮影のように、所定のフレームレート、例えば、30fps(frame-per-second)程度の高速で動画処理される場合には、クロスフィルタ効果を与えるための画像処理は、前述の(1)〜(3)のため処理負担が大きく、現実にはクロスフィルタ効果を与えることは困難であった。また、前述の(3)のため、通常のライブビュー表示や動画撮影において、撮影方向を変化させると、処理時間の変動に伴い、フレームレートが変動してしまい、不自然なライブビュー表示や動画表現になってしまった。
【0008】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、ライブビュー表示や動画に相応しいクロスフィルタ処理が可能な撮像装置および撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため第1の発明に係わる撮像装置は、被写体像を電気信号に変換しライブビューで画像データを出力する撮像部と、上記画像データに対して、輝点検出領域を設定する輝点領域設定部と、上記輝点領域設定部によって設定された上記輝点検出領域内の輝点を検出する輝点検出部と、上記輝点検出部によって検出された上記輝点の輝点位置において輝点処理を行う輝点処理部と、上記輝点処理部によって輝点処理された画像を表示用または記録用に出力する画像出力部と、を有する。
【0010】
第2の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記輝点領域設定部は、ランダムな位置または大きさに切換えて上記輝点領域を設定する。
第3の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記輝点領域設定部は、縦横に最小限のサイズ以上に上記輝点領域を設定する。
第4の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記輝点領域設定部は、予め設定した上記輝点領域を順番に設定する。
【0011】
第5の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記輝点処理部における輝点処理は、クロスフィルタ処理である。
第6の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記輝点処理部は、連続するフレームの輝点処理の際に、少なくとも一部の明るさ、クロスの長さ、色、大きさの何れかのサイズを変える。
【0012】
第7の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記輝点領域設定部は、上記輝点領域の設定にあたって、複数フレームで同一の領域を含む領域を少なくとも一度は設定する。
第8の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記輝点処理部は、設定された輝点領域内で処理する輝点の数を限定する。
【0013】
第9の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記輝点処理部は、上記撮像部から出力される画像データの内、所定フレーム毎に上記輝点処理を行う。
第10の発明に係わる撮像装置は、上記第9の発明において、上記輝点処理部は、上記所定フレーム毎に上記輝点処理を行う際には、取得フレームとは別個にクロスフィルタ画像を生成し、この生成したクロスフィルタ画像に取得フレームの画像を合成した合成画像を出力し、上記所定フレームに当たらないフレームの際には、上記取得フレームによる画像を出力する。
【0014】
第11の発明に係わる撮像方法は、被写体像を電気信号に変換しライブビューで画像データを出力し、上記画像データに対して、輝点検出領域を設定し、上記設定された上記輝点検出領域内の輝点を検出し、上記検出された輝点の輝点位置において輝点処理を行い、上記輝点処理された画像を表示用または記録用に出力する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ライブビュー表示や動画に相応しいクロスフィルタ処理が可能な撮像装置および撮像方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係わるカメラの主として電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係わるカメラの背面側から見た外観斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、クロスフィルタ効果を与える領域を説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態に係わるカメラのメイン動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係わるカメラのライブビュー動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係わるカメラのクロスフィルタ処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係わるカメラの飽和点検出処理の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係わるカメラのクロスフィルタ描画処理の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態に係わるカメラのライブビュー動作の変形例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態に係わるカメラのクロスフィルタ動画撮影の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施形態に係わるカメラのクロスフィルタ動画撮影の第1変形例の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態に係わるカメラのクロスフィルタ動画撮影の第1変形例における演出効果設定の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の一実施形態に係わるカメラのクロスフィルタ動画撮影の第2の変形例の動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態に係わるカメラのクロスフィルタでの画像を説明する図である。
【図15】本発明の一実施形態に係わるカメラのクロスフィルタ動画撮影の第2の変形例における画像を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。本発明の好ましい一実施形態に係わるカメラは、デジタルカメラであり、撮像部を有し、この撮像部によって被写体像を画像データに変換し、この変換された画像データに基づいて、被写体像を本体の背面等に配置した表示部にライブビュー表示する。撮影者はライブビュー表示を観察することにより、構図やシャッタチャンスを決定する。レリーズ操作時には、画像データが記録媒体に記録される。記録媒体に記録された画像データは、再生モードを選択すると、表示部に再生表示することができる。また、クロスフィルタモードを設定すると、クロスフィルタ処理が施されたライブビュー表示がなされ、また、動作撮影の際には、クロスフィルタ処理が施された画像データが記録される。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係わるカメラ100の主として電気的構成を示すブロック図である。撮影レンズ101の光軸上に、絞り機構103、シャッタ105および撮像素子107が配置されている。撮像素子107の出力はA/D変換部109に接続され、A/D変換部109の出力はメモリ110に接続されている。メモリ110は画像処理部111とシステム制御部116に接続されている。システム制御部116には、撮像制御部108、シャッタ制御部106、絞り制御部104、レンズ制御部102、露出制御部112、AF処理部113、フラッシュ制御部121、不揮発性メモリ118、外部メモリ114、表示部115、操作部117、電源制御部120がそれぞれ接続されている。上述の撮像制御部108は撮像素子107に接続されており、シャッタ制御部106はシャッタ105に接続されており、絞り制御部104は絞り103に接続されており、レンズ制御部102は撮影レンズ101に接続されている。また、電源制御部120は電源部119に接続されており、フラッシュ制御部121はフラッシュ充電部122とフラッシュ発光部123にそれぞれ接続されている。
【0019】
撮影レンズ101は、被写体光束を撮像素子107に集光させ、被写体像を結像させるための光学系である。この撮影レンズ101は、システム制御部116からの指示に応じて動作するレンズ制御部102により光軸方向に移動され、焦点状態が変化する。絞り機構103は、撮影レンズ101を介して撮像素子107に入射する被写体光束の入射量を調節する。絞り機構103は、システム制御部116からの指示に応じて動作する絞り制御部104により開口量が制御される。
【0020】
シャッタ105は、撮影レンズ101によって形成される被写体像の光束の開閉を行うものであり、公知のレンズシャッタやフォーカルプレーンシャッタ等によって構成される。シャッタ105は、システム制御部116からの指示に応じて動作するシャッタ制御部106によりシャッタ開口時間(シャッタ速度値)が制御される。
【0021】
撮像部として機能する撮像素子107は、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の二次元撮像センサであり、前面に配置されたベイヤ―配列のカラーフィルタと、このカラーフィルタに対応して配列されたフォトダイオード等の光電変換素子から構成される。各カラーフィルタとこれに対応する各光電変換素子から構成される画素群によって撮像領域が構成される。撮像素子107は、撮影レンズ101により集光された光を各画素で受光し光電流に変換し、この光電流をコンデンサに蓄積し、アナログ電圧信号(画像信号)としてA/D変換部109に出力する。撮像制御部108は、システム制御部116からの指示に応じて撮像素子107の動作制御を行う。
【0022】
A/D変換部109は、撮像素子107から出力されるアナログ電圧信号(画像信号)をデジタル画像信号(画像データ)に変換する。メモリ110は、A/D変換部109において得られた画像データや、画像処理部111において処理された画像データ等、各種データを一時的に記憶する記憶部である。なお、本明細書においては、撮像素子107から出力される画像信号に基づく信号であれば、A/D変換部109によってA/D変換された信号のみならず画像処理された信号も含めて画像データと称する場合がある。
【0023】
画像処理部111は、メモリ110に一時記憶された画像データを読み出し、この画像データに対して、ホワイトバランス補正処理、同時化処理、色変換処理等の画像処理を行う。また、画像処理部111は、後述する外部メモリ114に記録する際に画像圧縮を行い、また外部メモリ114から読み出した圧縮された画像データの伸張を行う。
【0024】
露出制御部112はメモリ110に一時記憶された画像データを用いて被写体輝度(被写体を含むシーンの明るさ)を算出する。なお、専用の測光センサを用いて被写体輝度を算出するようにしても勿論かまわない。
【0025】
AF(Auto Focus)処理部113は、メモリ110に一時記憶された画像データから高周波成分の信号を抽出し、AF積算処理により合焦評価値を取得する。システム制御部116は、合焦評価値に基づいてレンズ制御部102を通じて、撮影レンズ101が合焦位置となるように駆動制御を行う。なお、AF処理部113は、TTL位相差AFセンサ等、専用のセンサを設け、この専用センサの出力に基づいて撮影レンズ101の焦点ずれ量を求めるようにしても勿論かまわない。露出制御部112およびAF処理部113は、静止画撮影時と動画撮影時ではそれぞれの撮影モードに適した処理を行い、両者の処理は異なっている。
【0026】
システム制御部116は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)等を含むASIC(Application Specific Circuit:特定用途向け集積回路)で構成され、撮像制御部108やフラッシュ制御部121等のカメラ100の各種シーケンスを統括的に制御する。システム制御部116は、後述するように、撮像素子107からの画像データに対して輝点領域を設定する輝点領域設定部として機能する。また、設定された輝点領域内で、輝点を検出する輝点検出部として、また検出された輝点の輝点位置において輝点処理を行う輝点処理部として、また輝点処理された画像を表示用または記録用に出力する画像出力部としても機能する。
【0027】
操作部117は、図2に示すような電源釦117a、レリーズ釦117b、撮影モードダイヤル117c、動画釦117d、ファンクション釦117e、十字釦117f、OK釦117g、メニュー釦、各種入力キー等の操作部材を含む。ユーザが操作部117のいずれかの操作部材を操作すると、システム制御部116は、ユーザの操作に応じた各種シーケンスを実行する。
【0028】
操作部117の内の電源釦117aはカメラ100の電源のオンオフを指示するための操作部材であり、電源釦117aが押されるとシステム制御部116は電源オンとし、再度押されると電源オフとする。レリーズ釦117bは、1stレリーズスイッチと2ndレリーズスイッチの2段スイッチを有している。レリーズ釦117bが半押しされると1stレリーズスイッチがオンとなり、半押しから更に押し込まれ全押しされると2ndレリーズスイッチがオンとなる。1stレリーズスイッチがオンとなると、システム制御部116は、AE処理やAF処理等撮影準備シーケンスを実行する。また2ndレリーズスイッチがオンとなると、システム制御部116は、静止画の撮影シーケンスを実行し、撮影を行う。
【0029】
操作部117の内の動画釦117dは、動画撮影の開始と停止を指示する釦である。最初に動画釦117dを押下げると動画撮影を開始し、再度、動画釦117dを押下げると動画撮影を停止する。撮影モードダイヤル117cは、オートモード、絞り優先モード、シャッタ速度優先モード、ムービー撮影モード(動画撮影モード)、シーンモード、バルブ撮影モード等を設定するためのダイヤルである。
【0030】
外部メモリ114は、例えば、カメラ本体に着脱自在に記憶媒体であり、画像処理部111において圧縮された画像データおよびその付随データが記録される。また、記憶された画像データは読み出され、表示部115に再生表示される。なお、画像データ等を記録するための記録媒体として、カメラ本体に着脱可能な外部メモリに限らず、カメラ本体に内蔵のハードディスク等の記録媒体であってもかまわない。
【0031】
表示部115は、カメラ本体の背面等に配置された液晶モニタ115a(図2参照)等を含み、画像データに基づいてライブビュー表示を行う。また、表示部115は、外部メモリ114に記録された撮影画像の再生表示を行い、さらに露出制御値等の表示や撮影モード等設定のためのメニュー画面の表示を行う。このメニュー画面において、後述するクロスフィルタモードの設定を行う。メニュー画面以外にも、ファンクション釦117e等の操作部材によって設定するようにしても構わない。なお、画像等を表示できるものであれば、液晶モニタに限らず、有機EL等のディスプレイでもよい。
【0032】
不揮発性メモリ118は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリであり、カメラ100の動作に必要な各種パラメータを記憶している。また、不揮発性メモリ118は、システム制御部116において実行するプログラムも記憶している。システム制御部116は、不揮発性メモリ118に記憶されているプログラムに従い、また不揮発性メモリ118に記憶されているパラメータを読み込み、各種シーケンスを実行する。
【0033】
電源部119は、カメラ100の各部の動作に必要な電力を供給し、例えば、2次電池等の電源電池で構成される。電源制御部120は、電源部119を構成する電池の電源電圧や残量の検出等、電源部119の制御を行う。
【0034】
フラッシュ制御部121は、システム制御部116からの指示に応じてフラッシュ充電部122における充電動作、およびフラッシュ発光部123における発光動作を制御する。フラッシュ充電部122は、電源部119の電源電圧を昇圧する昇圧回路や、ここで昇圧された電圧でエネルギを蓄積するコンデンサを有し、フラッシュ発光部123の発光を行うに必要なエネルギを蓄積する。フラッシュ発光部123は、例えば、キセノン(Xe)管等の発光管や反射傘を備えており、フラッシュ制御部121から発光指示を受信した際に、フラッシュ充電部122のコンデンサに蓄積されたエネルギを利用して発光する。
【0035】
次に、本実施形態に係わるカメラ100の外観について、図2を用いて説明する。図2は、背面側からみたカメラ100の外観図であり、カメラ本体10に交換レンズ20が装着されている。カメラ本体10の上面には、電源釦117a、レリーズ釦117b、撮影モードダイヤル117cが配置されている。
【0036】
また、カメラ本体10の背面には、液晶モニタ115aが配置されており、これによって被写体像のライブビュー表示やメニュー画面表示、記録画像の再生表示等の各種表示を行う。カメラ本体10の背面の右上側には、動画釦117d、ファンクション釦117eが配置されており、また、これらの釦の下側には、十字釦117gとOK釦117fが配置されている。十字釦117gは、液晶モニタ115aに表示されるメニュー画面等において、カーソルを画面上で移動させ、OK釦117fを押下げるとカーソルによって選択された項目を確定させることができる。
【0037】
次に、本実施形態におけるクロスフィルタ処理について、図3を用いて説明する。図3(a)は、撮像素子107の画素群を縦4・横6の24のエリアに分割した様子を示す。本実施形態においては、1フレームごとにランダマイズ関数によって、乱数を発生させ、この乱数に基づいて、24分割されたエリアを選択し、このエリアとこのエリアに隣接する全4エリアを効果付与領域(輝点処理を施す輝点検出領域)とし、その効果付与領域に対して輝点処理を施す。
【0038】
例えば、図3(b)は1フレーム目であり、ここでは、(1,1)、(1,2)、(2,1)、(2,2)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。続く2フレーム目では、図3(c)に示すように、(4,1)、(4,2)、(5,1)、(5,2)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。続く3フレーム目では、図3(d)に示すように、(3,2)、(3,3)、(4,2)、(4,3)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。
【0039】
4フレーム目では、図3(e)に示すように、(2,3)、(2,4)、(3,3)、(3,4)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。続く5フレーム目では、図3(f)に示すように、(5,2)、(5,3)、(6,2)、(6,3)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。続く6フレーム目では、図3(g)に示すように、(1,3)、(1,4)、(2,3)、(2,4)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。
【0040】
7フレーム目では、図3(h)に示すように、(2,1)、(2,2)、(3,1)、(3,2)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。続く8フレーム目では、図3(i)に示すように、(4,3)、(4,4)、(5,3)、(5,4)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。続く9フレーム目では、図3(j)に示すように、(5,1)、(5,2)、(6,1)、(6,2)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。
【0041】
10フレーム目では、図3(k)に示すように、(5,3)、(5,4)、(6,3)、(6,4)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。本実施形態においては、10フレーム目に効果を施すと、再度、1フレーム目に戻る。図3から分かるように、1フレーム目から10フレームまで、エリア選択が一巡すると、全てのエリアでクロスフィルタ処理が実行される。これらのエリアの設定と輝点処理としてのクロスフィルタ処理は、システム制御部116によって実行される。
【0042】
次に、本実施形態におけるカメラ100の動作について、図4ないし図13に示すフローチャートを用いて説明する。これらのフローは不揮発性メモリ118に記憶されているプログラムに従ってシステム制御部116によって実行される。図4に示すフローはメインルーチン動作である。このメインルーチンは、操作部117の電源釦117aがオンとなると実行を開始する。
【0043】
メインルーチンの動作が開始すると、まず、ライブビュー動作を行う(S1)。ライブビュー動作では、撮像素子107から出力される画像信号が、画像処理部111によってライブビュー表示用に画像処理され、この処理された画像データが表示部115の液晶モニタ115aに表示される。撮影者はこのライブビュー表示を見て、静止画や動画の構図を決定し、シャッタタイミングを決める。また、クロスフィルタモード設定時に、ライブビュー表示を行う際には、図3を用いて説明したような効果付与領域(輝点検出領域)に対してクロスフィルタ処理を画像データに施し、表示を行う。ライブビュー動作の詳細については、図5を用いて後述する。
【0044】
ライブビュー動作を行うと、次に、操作部117のレリーズ釦117bが半押しされたか、すなわち、1stレリーズスイッチがオンか否かの判定を行う(S3)。この判定の結果、1stレリーズスイッチがオンとなると、AF処理を実行する(S5)。このステップでは、システム制御部116は、AF処理部113によって得られる合焦評価値に基づいて、撮像素子107上に結像される被写体像が最も鮮明になるように、言い換えると合焦状態となるように、レンズ制御部102を介して撮影レンズ101の焦点状態を制御する。
【0045】
AF処理を行うと、続いて、測光を行い(S7)、露出演算を行う(S9)。これらのステップにおいて、露出制御部112は被写体輝度の算出を行い、システム制御部116は算出された被写体輝度を用いて絞り値とシャッタ速度等の露出制御値を求める。絞り値とシャッタ速度の算出にあたっては、アペックス演算またはテーブル参照により決定する。
【0046】
ステップS9において露出演算を行うと、または、ステップS3における判定の結果、1stレリーズがオンでなかった場合には、次に、動画釦117dに連動してオンオフする動画スイッチがオフからオンに変化したか否かの判定を行う(S11)。ここでは、操作部117の動画釦117dの状態に基づいて判定する。
【0047】
ステップS11における判定の結果、動画スイッチがオフからオンに変化した場合には、次に、動画撮影のフラグが0、静止画撮影のフラグがxであるか否かを判定する(S13)。ここで、動画フラグの0は動画撮影が停止状態にあることを示し、動画フラグの1は動画撮影が続行中であることを示す。また、静止画撮影フラグの1は静止画撮影中であることを示し、静止画撮影フラグの0は静止画撮影終了であることを示す。動画撮影または静止画撮影のフラグのxは、任意状態、すなわち、いずれの状態であってもよく、それまでの状態を示すフラグが保持される。なお、カメラ100のリセット時に、動画撮影のフラグおよび静止画撮影のフラグは、共に0にリセットされる。
【0048】
ステップS13における判定の結果、動画撮影フラグが0、すなわち動画撮影が停止状態にあった場合には、動画撮影フラグを1とし、静止画撮影フラグをxとする(S15)。ここで、xとするとは、フラグに変更をかけずに、保持することを意味する。このフラグ設定を行うと、動画の撮影を開始する(S17)。ここでは、撮像素子107によって取得した画像データを画像処理部111によって動画処理した後、外部メモリ114に記録する。また、同時に表示部115にライブビュー表示を行う。なお、クロスフィルタモードの設定時に、動画撮影を行う場合には、図3を用いて説明したようなクロスフィルタ処理を記録用の画像データに施し、記録する。このクロスフィルタモード設定時の動画撮影の詳細については、図10を用いて後述する。
【0049】
一方、ステップS13における判定の結果、動画撮影フラグ1、すなわち動画撮影中であった場合には、動画撮影フラグを0とし、静止画撮影フラグをxとする(S19)。動画撮影中にステップS11において、動画釦117dが押下げられたことを検出したことから、このステップでは動画撮影停止のためのフラグ処理を行う。このフラグ設定を行うと、動画の撮影を停止する(S21)。ここでは、動画の画像データの記録動作を終了するための処理を行う。
【0050】
ステップS17において動画の撮影を開始すると、またはステップS21において動画の撮影を停止すると、次に、静止画が撮影終了であるか否かを判定する(S23)。後述するステップS27において2ndレリーズがオンすると、静止画撮影が開始し、静止画の画像データを外部メモリ114に記録すると静止画撮影が終了する。そこで、このステップでは、これらの一連の動作中であるか否かに基づいて判定する。
【0051】
ステップS23における判定の結果、静止画撮影が終了していれば、次に、動画撮影フラグをxとし、静止画撮影フラグを0とする(S25)。このフラグ設定を行うと、次に、2ndレリーズがオンか否かを判定する(S27)。ここでは、操作部117のレリーズ釦117bが全押しされたか否かを判定する。
【0052】
ステップS27における判定の結果、2ndレリーズがオンであった場合には、次に、動画撮影フラグをxとし、静止画撮影フラグを1とする(S29)。そして、静止画撮影を実行する(S31)。ここでは、撮像素子107によって取得した画像データを画像処理部111によって静止画処理した後、外部メモリ114に記録する。
【0053】
静止画撮影を行うと、次に、動画撮影フラグが0、静止画撮影フラグが0であるか否かを判定する(S33)。ここでは、動画撮影中でもなく静止画撮影中でもないか否かを判定する。この判定の結果、Yesの場合、すなわち、動画撮影も終了し、また静止画撮影も終了している場合には、ステップS1に戻る。
【0054】
ステップS33における判定の結果、Noであった場合、すなわち、動画撮影中であるか又は静止画撮影中であった場合には、次に、動画撮影フラグが1、静止画撮影フラグが0であるか否かを判定する(S35)。ここでは、動画撮影中であるが静止画撮影中ではないかを判定する。
【0055】
ステップS35における判定の結果、Yesであった場合、すなわち、静止画撮影が終了し、動画撮影が行われている場合には、ステップS3に戻り、動画撮影を続行する。一方、ステップS35における判定の結果、Noであった場合、すなわち、動画撮影は終了しているが、静止画撮影が終了していない場合には、ステップS11に戻り、静止画撮影を続行する。
【0056】
このように、本実施形態におけるメインフローにおいては、ライブビュー表示を行うと共に、動画釦117dが操作されるたびに動画撮影の開始と停止を交互に実行し、またレリーズ釦117bの全押しに応じて静止画撮影を実行する。クロスフィルタモードが設定されている場合には、ライブビュー表示や動画撮影時に効果付与領域に対してクロスフィルタ処理が施される。
【0057】
次に、ステップS1におけるライブビュー動作の詳細について図5を用いて説明する。ライブビュー動作に入ると、クロスフィルタモードが設定されているか否かを判定する(S41)。
【0058】
ステップS41における判定の結果、クロスフィルタモードが設定されていた場合には、次に、乱数を発生し(S43)、効果付与領域の決定を行う(S45)。ここでは、図3を用いて説明したように、撮像素子107の画素を縦4分割、横6分割の合計24のエリア、この中から、ランダムにエリアを選択し、この選択されたエリアに基づいて効果付与領域(輝点検出領域)を決定する。
【0059】
まず、乱数を発生させ、乱数によって決まるエリアと、そのエリアの右隣、下、右斜め下の合計4エリアを効果付与領域とする。なお、本実施形態においては、4つのエリアを効果付与領域(輝点検出領域)としているが、輝点検出領域の数や、その輝点検出領域内の画素数等に応じて、エリアの数としては4より多くても少なくても構わない。
【0060】
ステップS43において乱数を発生させるが、本実施形態においては、乱数(RND)は、0.000000・・・〜0.999999・・・の値を発生する。図3に示した例では、縦4分割、横6分割であることから、
x=INT(RND×6+1)、y=INT(RND×4+1)
をエリアの位置と定義し、このエリアとエリアの右隣、下、右斜め下を輝点検出領域とすればよい。ここで、INTは括弧内の整数部分を意味する。
【0061】
乱数発生および効果付与領域の決定を行うと、次に、クロスフィルタ処理を行う(S47)。ここでは、ステップS45において決定された効果付与領域内において、明るく輝いている輝点部分を検出し、この検出された輝点部分に対して、光学クロスフィルタと同様の効果を与えるクロスフィルタ描画処理を施す。このクロスフィルタ処理の詳細については、図6ないし図8を用いて後述する。
【0062】
ステップS47においてクロスフィルタ処理を行うと、またはステップS41における判定の結果、クロスフィルタモードが設定されていなかった場合には、次に、表示を行う(S51)。ここでは、撮像素子107からの画像データに基づいて、表示部115にライブビュー表示を行う。クロスフィルタモードが設定されている場合には、クロスフィルタ処理を施したライブビュー表示を行う。
【0063】
表示を行うと、次に、次のフレームの取得が完了した否かを判定する(S53)。撮像素子107が次のフレームの画像データを取得したか否かを判定する。フレームレートが30fpsの場合には、1/30秒に1回の割合でフレームが取得される。この判定の結果、次のフレームの取得が完了していなかった場合には、ステップS51に戻り、一方、取得完了の場合には、ステップS41に戻る。
【0064】
次に、ステップS47のクロスフィルタ処理について、図6を用いて説明する。クロスフィルタ処理に入ると、まず、飽和点検出処理を行う(S61)。ここでは、ステップS45において決定された効果付与領域内の全画素のRGBの画像データについて、飽和値に対応する輝度値以上であるか否かを判定し、飽和値以上の輝点を検出する。この飽和点検出処理の詳細については、図7を用いて後述する。
【0065】
飽和点検出処理を行うと、次に、クロスフィルタ描画処理を行う(S63)。ここでは、ステップS61において検出された輝点に対して、光学クロスフィルタを装着した場合と同様の効果を生ずる画像処理を施す。このクロスフィルタ描画処理の詳細については、図8を用いて後述する。
【0066】
次に、ステップS61の飽和点検出処理について、図7を用いて説明する。飽和点検出処理のフローに入ると、まず、飽和点を示すフラグfを0にリセットする(S71)。続いて、画素の位置を示す座標(x,y)をx=1、y=1に初期化する(S73)。なお、画素の座標は、設定された効果付与領域内の左上隅等を(1,1)の位置とする。
【0067】
続いて、位置(x,y)のRデータが255より大きいか否かを判定する(S75)。本実施形態においえは、画像データを構成するRGBの各データは、8ビットで構成されおり、その最大値を10進数で表わすと、255となる。従って、この数値255は、画像データのビット数に基づいて適宜決めればよく、また、飽和状態とみなせる程度であれば、ビット数で決まる最大値よりも小さな値でも構わない。
【0068】
ステップS75における判定の結果、R(x,y)≧255であった場合には、次に、(R,G,B,f)(x,y)=(R,G,B,1)とする(S77)。ここでは、位置(x,y)の画像データの内、Rデータ、Gデータ、Bデータは取得した値のままとし、飽和点を示すフラグfを1とする。フラグf=1とすることにより、位置(x,y)の画素の画像データは、飽和しており、輝点であることを示す。
【0069】
ステップS77において(R,G,B,f)(x,y)=(R,G,B,1)とすると、またはステップS75における判定の結果、R(x、y)<255であった場合には、次に、G(x,y)≧255であるか否かを判定する(S79)。ここでは、位置(x,y)のGデータが255より大きいか否かを判定する。
【0070】
ステップS79における判定の結果、G(x,y)≧255であった場合には、ステップS77と同様に、(R,G,B,f)(x,y)=(R,G,B,1)とする(S81)。この処理を行うと、またはステップS79における判定の結果、G(x,y)<255であった場合には、次に、B(x,y)≧255であるか否かを判定する(S83)。ここでは、位置(x,y)のBデータが255より大きいか否かを判定する。
【0071】
ステップS83における判定の結果、B(x,y)≧255であった場合には、ステップS77と同様に、(R,G,B,f)(x,y)=(R,G,B,1)とする(S85)。この処理を行うと、またはステップS83における判定の結果、B(x,y)<255であった場合には、次に、画素の位置を表わすxをインクリメント、すなわち、xに1を加算する(S87)。
【0072】
ステップS87において、xをインクリメントすると、次に、x>最大座標であるか否かを判定する(S89)。前述したように、ステップS45において効果付与領域が決定されており、この決定された効果付与領域内のx座標について最大座標に達したか否かを判定する。この判定の結果、xが最大座標に達していなかった場合には、ステップS75に戻り、隣のx座標の位置における画素について、RGBデータのいずれかが飽和していないか検出する。
【0073】
ステップS89における判定の結果、xが最大座標に達した場合には、次に、画素の位置を表わすyをインクリメント、すなわち、yに1を加算する(S91)。続いて、画素の位置を表わすxに1を設定する(S93)。
【0074】
次に、y>最大座標であるか否かを判定する(S95)。ステップS45において決定された効果付与領域内のy座標について最大座標に達したか否かを判定する。この判定の結果、yが最大座標に達していなかった場合には、ステップS75に戻り、隣のy座標の位置における画素について、x=1から順次、RGBデータのいずれかが飽和していないか検出する。一方、判定の結果、yが最大座標に達すると、元のフローに戻る。
【0075】
次に、ステップS63のクロスフィルタ描画処理について、図8を用いて説明する。クロスフィルタ描画処理のフローに入ると、まず、ステップS73と同様に、画像データの画素の位置(x,y)をx=1、y=1に初期化する(S101)。
【0076】
画素位置を初期化すると、次に、(R,G,B,f)のf=1であるか否かを判定する(S103)。ステップS77、S81、またはS85において、RGBの画像データの内、少なくとも1つが飽和していると、飽和フラグfに1が設定される。このステップでは、画素位置(x,y)の画像データについて、飽和フラグfに1が設定されているか否かを判定する。
【0077】
ステップS103における判定の結果、飽和フラグ1に1が設定されていた場合には、次に、(R、G,B)の色のクロスフィルタパターンの描画を行う(S105)。ここでは、飽和フラグ1が設定されていた画素位置(x,y)を中心としてその周辺に、光条を施す画像処理を行う。
【0078】
クロスフィルタパターンの描画を行うと、またはステップS103における判定の結果、(R,G,B,f)のf=1でなかった場合には、次に、ステップS87と同様に、画素の位置を表わすxをインクリメントする(S107)。xのインクリメントを行うと、次に、ステップS89と同様に、x>最大座標であるか否かを判定する(S109)。この判定の結果、x>最大座標でなかった場合には、ステップS103に戻り、インクリメントしたxの座標位置の画素の画像データに対して前述の処理を繰り返す。
【0079】
一方、ステップS109における判定の結果、x>最大座標であった場合には、ステップS91と同様に、画素の位置を表わすyをインクリメントする(S111)。yのインクリメントを行うと、次に、ステップS93と同様に、画素の位置を表わすxに1を設定する(S113)。
【0080】
続いて、ステップS95と同様に、y>最大座標であるか否かを判定する(S115)。この判定の結果、y>最大座標でなかった場合には、ステップS103に戻り、インクリメントしたy座標について、x=1から順次、前述の処理を繰り返す。一方、ステップS115における判定の結果、y>最大座標であった場合には、元のフローに戻る。
【0081】
このように、本実施形態におけるライブビュー動作のフローにおいて、クロスフィルタモード設定時には、ライブビュー表示を行うためのフレーム画像を取得するたびに、効果付与領域を決定し、この決定された効果付与領域内で輝点検出(飽和点検出)を行い、この検出された輝点(飽和点)に対してクロスフィルタを装着したと同様の効果を与える画像処理(S105参照)を行っている。このクロスフィルタ処理の施された画像は、ライブビュー表示として表示部115に表示される。このため、撮影者は、クロスフィルタ処理が施された画像を容易に確認することができる。
【0082】
次に、本実施形態におけるライブビュー動作の変形例について、図9を用いて説明する。図5ないし図8を用いて説明した本発明の一実施形態に係わるライブビュー動作では、1フレームの画像を取得するたびに、飽和点を検出し、この検出した飽和点の画像データに対して光条を表現するためのクロスフィルタ処理を施していた。このクロスフィルタ処理を行う領域を広くとると、処理に要する時間が長くなり、1フレームごとに処理することが困難となる。そこで、本変形例においては、数フレームごとにクロスフィルタ処理を行い、処理時間の短縮を図っている。
【0083】
本変形例に係わるライブビュー動作のフローは、図5のライブビュー動作と比較し、ステップS48〜S50、S55、およびS57が追加されているだけであるので、この追加部分を中心に説明する。
【0084】
本変形例のライブビュー動作のフローに入り、クロスフィルタモードが設定されていた場合には(S41Yes)、乱数を発生し(S43)、効果付与領域を決定する(S43)。続いて、クロスフィルタ画像生成処理を行う(S48)。今、取得したライブビュー表示用のフレーム画像203(図14(a)参照)とすると、ステップS48において、このフレーム画像203とは別画像で、画像合成用クロスフィルタ画像201を生成する。この画像合成用クロスフィルタ画像201は、ライブビュー表示用のフレーム画像に基づいて、ステップS45において決定した効果付与領域の領域に光条201aを生成し、この光条201aのみを抽出した画像である。
【0085】
ステップS48において、クロスフィルタ画像を生成すると、次に、効果付与フラグとしてNを設定する(S49)。効果付与フラグは、何フレームごとにクロスフィルタによる効果を付与するかを示す自然数Nである。N回目の取得画像にクロスフィルタ処理を実行する。
【0086】
効果付与フラグを設定すると、次に、クロスフィルタ画像合成処理を行う(S50)。ここでは、図14(b)に示すように、ステップS48において生成した画像合成用クロスフィルタ画像201に、ライブビュー表示用のフレーム画像203を合成し、表示用の合成画像205を生成する。
【0087】
クロスフィルタ画像合成処理を行うと、次に、表示を行い(S51)、次のフレーム画像の取得が完了したか否かを判定する(S53)。この判定の結果、次のフレーム画像の取得が完了していなかった場合には、ステップS51に戻る。
【0088】
一方、ステップS53における判定の結果、次のフレーム画像の取得が完了した場合には、効果フラグから1を減算し、この減算値を効果付与フラグとする(S55)。続いて、この効果付与フラグが0か否かの判定を行う(S57)。この判定の結果、効果フラグが0でなかった場合には、ステップS50に戻る。したがって、効果付与フラグが0になるまでは、ステップS48において新たにクロスフィルタ画像を生成することなく、同じクロスフィルタ画像を、新たに取得したライブビュー表示用のフレーム画像と合成し、表示用合成画像を生成し、ライブビュー表示する。
【0089】
ステップS57における判定の結果、効果付与フラグが0となると、ステップS41に戻る。このため、クロスフィルタモードが設定されていれば、新たな画像合成用クロスフィルタ画像を生成し、前述の処理を繰り返す。
【0090】
このように、本変形例においては、所定フレーム(ここではNフレーム)毎に、画像合成用クロスフィルタ画像を生成しており、クロスフィルタ処理がNフレーム分ほど、長くかかっても、ライブビューのフレームレートを落とさずに済む。
【0091】
次に、ステップS17において開始し、ステップS21において停止する動画撮影において、クロスフィルタモードが設定されているときのクロスフィルタ動画撮影の詳細について、図10を用いて説明する。クロスフィルタ動画撮影のフローに入ると、まず、ステップS41と同様に、クロスフィルタモードに設定されているか否かを判定する(S121)。
【0092】
ステップS121における判定の結果、クロスフィルタモードが設定されていた場合には、図9のステップS43〜S57と同様の処理を行う。すなわち、ステップS43と同様に、乱数を発生し(S123)、この乱数に基づいて、ステップS45と同様に、効果付与領域を決定する(S125)。
【0093】
効果付与領域を決定すると、次に、ステップS48と同様に、クロスフィルタ画像生成処理を行う(S127)。ここでは、図14(a)に示すように、フレーム画像203とは別画像で、画像合成用クロスフィルタ画像201を生成する。ただし、ライブビュー動作時には、ライブビュー表示用の画素数の画像データを用いていたが、動画撮影の際には、外部メモリ114に記録するレベルの画素数のフレーム画像203と画像合成用クロスフィルタ画像201を処理する。
【0094】
画像合成用クロスフィルタ画像を生成すると、次に、ステップS49と同様に、効果付与フラグにNを設定し(S129)、ステップS50と同様に、クロスフィルタ画像合成処理を行う(S131)。
【0095】
ステップS121における判定の結果、クロスフィルタモードが設定されていなかった場合、またはステップS131においてクロスフィルタ画像合成処理を行うと、次に、表示を行う(S141)。ここでは、クロスフィルタ処理された動画撮影中の記録用画像データを、表示用画像データに変換して、表示部115に表示する。また、この表示と並行して、クロスフィルタ処理された画像データを、圧縮処理した後、外部メモリ114に記録する。なお、クロスフィルタモードが設定されていない場合には、通常の撮影画像の表示と、記録を行う。
【0096】
表示を行うと、次に、ステップS53と同様に、次のフレームの取得が完了した否かを判定する(S143)。この判定の結果、取得が完了していなければ、ステップS141に戻る。一方、次のフレームの取得が完了した場合には、次に、ステップS55と同様に、効果フラグから1を減算し、この減算値を効果付与フラグとし(S145)、この効果付与フラグが0か否かの判定を行う(S147)。この効果フラグが0でなければ、ステップS131に戻る。したがって、効果付与フラグが0になるまでは、ステップS127において新たにクロスフィルタ画像を生成することなく、同じクロスフィルタ画像を、新たに取得した記録用の撮影画像のフレーム画像と合成し、記録用合成画像を生成し、外部メモリ114に記録する。また、クロスフィルタ処理された撮影画像を、表示用に変換し、表示部115に表示する。
【0097】
一方、ステップS147における判定の結果、効果付与フラグが0となると、ステップS121に戻る。このため、クロスフィルタモードが設定されていれば、新たな画像合成用クロスフィルタ画像を生成し、動画の撮影を続行する。
【0098】
このように、本実施形態におけるクロスフィルタ動画撮影では、図9を用いて説明したライブビュー動作とほぼ同様の処理を行うことにより、クロスフィルタ処理を施した動画を表示すると共に記録することができる。特に動画撮影の場合には、記録する画像データの容量が大きくなり、処理時間もかかることから、所定フレーム毎にクロスフィルタ処理を行うことにより、処理時間の短縮を図ることができる。
【0099】
次に、本実施形態におけるクロスフィルタ動画撮影の第1の変形例を図11および図12を用いて説明する。本実施形態においては、クロスフィルタ動画撮影時のクロスフィルタ処理では、一律の光条を追加する画像処理であった。本変形例においては、クロスフィルタ処理にあたって、乱数を発生させ、この乱数によってランダムな変化を与えるようにしている。
【0100】
図11に示す本変形例におけるクロスフィルタ動画撮影のフローは、図10に示した本発明の一実施形態におけるクロスフィルタ動画撮影のフローに対して、ステップS126を追加しただけであり、他のステップは一実施形態と同様である。ステップS126は、ステップS125において決定した効果付与領域に対するクロスフィルタ処理の演出効果を設定する。この演出効果設定の詳細について、図12を用いて説明する。
【0101】
演出効果設定のフローに入ると、まず、乱数を発生させ(S151)、続いて、発生した乱数に応じて光条の本数を設定する(S153)。光条の数としては、例えば、4本、6本、8本等、発生させた乱数に近い本数を設定する。
【0102】
光条の本数を設定すると、再び、乱数を発生させ(S155)、続いて、光条の長さを設定する(S157)。光条の長さとしては、例えば、ショート(=4)、ミドル(=6)、ロング(=8)の内、発生させた乱数が近い長さを設定する。なお、括弧内の数値は乱数の値である。
【0103】
光条の長さを設定すると、再び乱数を発生させ(S159)、続いて、光条角度を設定する(S161)。光条角度としては、例えば、0度(=4)、30度(=6)、45度(=8)の内、発生させた乱数が近い角度を設定する。なお、括弧内の数値は乱数の値である。
【0104】
光条角度を設定すると、再び、乱数を発生させ、光条色を設定する(S165)。光条色としては、例えば、赤(=4)、緑(=6)、青(=8)の内、発生させた乱数が近い色を設定する。なお、括弧内の数値は乱数の値である。光条色を設定すると、元のフローに戻る。
【0105】
このように、本変形例においては、光条の本数や、長さ、角度、色等について、クロスフィルタ処理を行うたびに異なるようにしている。このため、変化に富んだクロスフィルタ処理が施され、興味をそそる画像となる。なお、本変形例においては、乱数を発生させ、この乱数に応じて演出を設定していたが、これに限らず、数フレームに亘って所定のプログラムされた変化を与えるようにしても勿論かまわない。また、光条の変化も、例示したものに限らず、またその一部であっても構わない。
【0106】
次に、本実施形態におけるクロスフィルタ動画撮影の第2の変形例を図13および図15を用いて説明する。一実施形態や第1変形例においては、効果付与フラグNフレーム間隔で、画像合成用クロスフィルタ画像を生成していた。この処理は、モーションJPEGに最適なクロスフィルタ処理であるが、MPEGを採用する場合には、キーフレームのみにクロスフィルタ処理による効果を付するようにしてもよい。キーフレームは通常2秒おきに現われるので、処理時間を十分にとることができ、このため、効果付与領域としては、前述の実施例や変形例よりも広くとることが可能となる。
【0107】
本変形例は、図11に示した第1変形例のフローチャートにおいて、ステップS129における効果付与フラグの設定と、ステップS145における効果付与フラグから1を減算するステップを省略し、ステップS147における判定をキーフレームか否かの判定に変更した以外は、同様である。図11のフローと同一の処理を行うステップについては、同一のステップ番号を付し、相違点を中心に説明する。
【0108】
ステップS121における判定の結果、クロスフィルタモードが設定されていた場合には、乱数を発生させ(S123)、この乱数に応じて効果付与領域の決定を行い(125)、演出効果を設定し(S126)、この設定された演出効果に従って、クロスフィルタ画像の生成処理を行う(S127)。ここでは、図15(a)に示すように、フレーム画像203とは別に、クロスフィルタ処理に用いる画像合成用クロスフィルタ画像201を生成する。
【0109】
ステップS127においてクロスフィルタ画像の生成処理を行うと、第1変形例では、次に効果付与フラグの設定を行っていたが、本変形例では効果付与フラグを使用しないことからのこの設定を省略し、次に、クロスフィルタ画像合成処理を行う(S131)。ここでは、図15(b)に示すように、フレーム画像203に画像合成用クロスフィルタ画像201を合成し、合成画像205を生成する。
【0110】
クロスフィルタ画像合成処理を行うと、次に、表示と記録を行い(S141)、次のフレームの取得が完了したか否かを判定する(S143)。この判定の結果、次のフレームの取得が完了していない場合には、ステップS141に戻り、表示を続行する。
【0111】
一方、ステップS143における判定の結果、次のフレームの取得が完了すると、キーフレームか否かの判定を行う(S148)。前述したようにMPEGでは、所定時間間隔でキーフレームが現われる。このステップでは、現在、取得したフレームがキーフレームか否かを判定する。
【0112】
ステップS148における判定の結果、キーフレームでない場合には、ステップS141に戻り、ステップS127において新たにクロスフィルタ画像を生成することなく、同じクロスフィルタ画像を、新たに取得した記録用の撮影画像のフレーム画像と合成し、記録用合成画像を生成し、外部メモリ114に記録する。また、クロスフィルタ処理された撮影画像を、表示用に変換し、表示部115に表示する。
【0113】
一方、ステップS148における判定の結果、キーフレームであった場合には、ステップS121に戻る。ステップS121に戻り、クロスフィルタモードが設定されていれば、新たな画像合成用クロスフィルタ画像を生成し、動画の撮影を続行する。
【0114】
本変形例においては、図15(c)に示すように、所定時間間隔でキーフレームが現われ、キーフレームに対してのみ、合成画像205が表示・記録され、その間はフレーム画像203のみが表示・記録される。
【0115】
このように、本発明の第2変形例においては、キーフレームを巧みに活用し、キーフレームに対してクロスフィルタ処理を施すようにしている。このため、効果付与フラグの管理が不要になる。
【0116】
以上説明したように、本発明の一実施形態やその変形例においては、撮像素子107からの画像データに対して、輝点検出領域を設定し(S45)、この輝点検出領域内の輝点を検出し(S61)、この検出された輝点の輝点位置において輝点処理を行い(S63)、輝点処理された画像を表示や記録を行っている(S51、S141)。このように撮像素子107の撮像領域の全てについて輝点処理を行うのではなく、輝点検出領域内の輝点に対して輝点処理を行うようにしている。このため、ライブビュー表示や動画に相応しいクロスフィルタ処理が可能となる。
【0117】
なお、本発明の一実施形態や変形例においては、効果付与領域(輝点検出領域)の設定にあたって、撮像領域を24のエリアに分割し、その中から4エリアを設定するようにしていたが、撮像領域の分割数や、また効果付与領域のエリア数は、適宜変更しても構わない。縦横に最小限サイズ以上に効果付与領域を設定すればよい。また、そのエリアの大きさは、一定であったが、フレーム毎に変更しても構わない。また、本発明の一実施形態や変形例においては、効果付与領域(輝点検出領域)の設定は、乱数を発生させランダムに設定したが、輝点領域を順番に選択するようにしても構わない。
【0118】
また、本発明の一実施形態や変形例においては、設定された効果付与領域(輝点検出領域)で処理する輝点の数を制限しなかったが、処理する輝点の数を制限するようにしてもよい。輝点の数を制限することにより、処理時間が長時間になることを防止することができる。
【0119】
また、本発明の一実施形態においては、輝点処理として高輝度の中心に光のスジを追加するクロスフィルタ処理を施した。しかしながら、輝点を検出した場合に、クロスフィルタ処理以外にも輝点周辺を円形に飽和(白く)させたり、また星型に飽和させたり等、他の輝点処理を施すようにしても構わない。
【0120】
また、本発明の一実施形態や変形例においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。
【0121】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0122】
10・・・カメラ本体、20・・・交換レンズ、100・・・デジタルカメラ、101・・・撮影レンズ、102・・・レンズ制御部、103・・・絞り機構、104・・・絞り制御部、105・・・シャッタ、106・・・シャッタ制御部、107・・・撮像素子、108・・・撮像制御部、109・・・A/D変換部、110・・・メモリ、111・・・画像処理部、112・・・露出制御部、113・・・AF処理部、114・・・外部メモリ、115・・・表示部、115a・・・液晶モニタ、116・・・システム制御部、117・・・操作部、117a・・・電源釦、117b・・・レリーズ釦、117c・・・撮影モードダイヤル、117d・・・動画釦、117e・・・ファンクション釦、117f・・・十字釦、117g・・・OK釦、118・・・不揮発性メモリ、119・・・電源部、120・・・電源制御部、121・・・フラッシュ制御部、122・・・フラッシュ充電部、123・・・フラッシュ発光部、201・・・画像合成用クロスフィルタ画像、201a・・・光条、203・・・フレーム画像、205・・・合成画像
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロスフィルタと類似の特殊効果を施すことが可能な撮像装置および撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、静止画撮影の際に、光学フィルタであるクロスフィルタを装着し、特殊効果を施す手法が知られている。また、近年、デジタルカメラ等の撮像装置において、静止画撮影を行う際に、クロスフィルタを装着して撮影する代わりに、画像処理によりクロスフィルタと類似の特殊効果を施すことが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、静止画撮影された画像の中から輝度の高い部分を抽出し、高輝度の中心に光のスジ(以下、光条という)を画像処理によって施し、クロスフィルタと類似の特殊効果を達成する可能な電子スチルカメラが開示されている。この電子スチルカメラによれば、光学クロスフィルタを装着することなく、電気的なスイッチによりデジタル処理だけで手軽に光条効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−30373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年のデジタルカメラでは、液晶モニタ等の表示部に動画で被写体像を表示するライブビュー表示を行い、撮影者はライブビュー表示を確認しながら静止画や動画の撮影を行うのが一般的となっている。このライブビュー表示においても、前述のクロスフィルタと類似の特殊効果を付与する画像処理ができると便利である。しかしながら、動画であるライブビュー表示を行う際に、クロスフィルタ効果を与える画像処理を行うのは、困難であった。
【0006】
すなわち、クロスフィルタ効果を与えるためには、画像全体をスキャンして輝点を探し出し、探し出した輝点の輝度や色に応じてクロス画像を描写しなければならず、これらの一連の処理を行うには、非常に時間がかかってしまう。特に、(1)対象画像が大きければ大きい程、輝点を探すための時間が増加し、(2)クロスフィルタの光条の数が多い程、また長さが長い程、処理時間が増加する。さらに、(3)被写体の輝点数が多い程、処理時間が増加し、また処理時間が変動してしまう。
【0007】
従来のように静止画を撮影し、記録済みの静止画を編集処理するのであれば、クロスフィルタ効果を与えるための画像処理は可能である。しかし、ライブビュー表示や、動画撮影のように、所定のフレームレート、例えば、30fps(frame-per-second)程度の高速で動画処理される場合には、クロスフィルタ効果を与えるための画像処理は、前述の(1)〜(3)のため処理負担が大きく、現実にはクロスフィルタ効果を与えることは困難であった。また、前述の(3)のため、通常のライブビュー表示や動画撮影において、撮影方向を変化させると、処理時間の変動に伴い、フレームレートが変動してしまい、不自然なライブビュー表示や動画表現になってしまった。
【0008】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、ライブビュー表示や動画に相応しいクロスフィルタ処理が可能な撮像装置および撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため第1の発明に係わる撮像装置は、被写体像を電気信号に変換しライブビューで画像データを出力する撮像部と、上記画像データに対して、輝点検出領域を設定する輝点領域設定部と、上記輝点領域設定部によって設定された上記輝点検出領域内の輝点を検出する輝点検出部と、上記輝点検出部によって検出された上記輝点の輝点位置において輝点処理を行う輝点処理部と、上記輝点処理部によって輝点処理された画像を表示用または記録用に出力する画像出力部と、を有する。
【0010】
第2の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記輝点領域設定部は、ランダムな位置または大きさに切換えて上記輝点領域を設定する。
第3の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記輝点領域設定部は、縦横に最小限のサイズ以上に上記輝点領域を設定する。
第4の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記輝点領域設定部は、予め設定した上記輝点領域を順番に設定する。
【0011】
第5の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記輝点処理部における輝点処理は、クロスフィルタ処理である。
第6の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記輝点処理部は、連続するフレームの輝点処理の際に、少なくとも一部の明るさ、クロスの長さ、色、大きさの何れかのサイズを変える。
【0012】
第7の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記輝点領域設定部は、上記輝点領域の設定にあたって、複数フレームで同一の領域を含む領域を少なくとも一度は設定する。
第8の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記輝点処理部は、設定された輝点領域内で処理する輝点の数を限定する。
【0013】
第9の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記輝点処理部は、上記撮像部から出力される画像データの内、所定フレーム毎に上記輝点処理を行う。
第10の発明に係わる撮像装置は、上記第9の発明において、上記輝点処理部は、上記所定フレーム毎に上記輝点処理を行う際には、取得フレームとは別個にクロスフィルタ画像を生成し、この生成したクロスフィルタ画像に取得フレームの画像を合成した合成画像を出力し、上記所定フレームに当たらないフレームの際には、上記取得フレームによる画像を出力する。
【0014】
第11の発明に係わる撮像方法は、被写体像を電気信号に変換しライブビューで画像データを出力し、上記画像データに対して、輝点検出領域を設定し、上記設定された上記輝点検出領域内の輝点を検出し、上記検出された輝点の輝点位置において輝点処理を行い、上記輝点処理された画像を表示用または記録用に出力する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ライブビュー表示や動画に相応しいクロスフィルタ処理が可能な撮像装置および撮像方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係わるカメラの主として電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係わるカメラの背面側から見た外観斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、クロスフィルタ効果を与える領域を説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態に係わるカメラのメイン動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係わるカメラのライブビュー動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係わるカメラのクロスフィルタ処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係わるカメラの飽和点検出処理の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係わるカメラのクロスフィルタ描画処理の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態に係わるカメラのライブビュー動作の変形例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態に係わるカメラのクロスフィルタ動画撮影の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施形態に係わるカメラのクロスフィルタ動画撮影の第1変形例の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態に係わるカメラのクロスフィルタ動画撮影の第1変形例における演出効果設定の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の一実施形態に係わるカメラのクロスフィルタ動画撮影の第2の変形例の動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態に係わるカメラのクロスフィルタでの画像を説明する図である。
【図15】本発明の一実施形態に係わるカメラのクロスフィルタ動画撮影の第2の変形例における画像を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。本発明の好ましい一実施形態に係わるカメラは、デジタルカメラであり、撮像部を有し、この撮像部によって被写体像を画像データに変換し、この変換された画像データに基づいて、被写体像を本体の背面等に配置した表示部にライブビュー表示する。撮影者はライブビュー表示を観察することにより、構図やシャッタチャンスを決定する。レリーズ操作時には、画像データが記録媒体に記録される。記録媒体に記録された画像データは、再生モードを選択すると、表示部に再生表示することができる。また、クロスフィルタモードを設定すると、クロスフィルタ処理が施されたライブビュー表示がなされ、また、動作撮影の際には、クロスフィルタ処理が施された画像データが記録される。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係わるカメラ100の主として電気的構成を示すブロック図である。撮影レンズ101の光軸上に、絞り機構103、シャッタ105および撮像素子107が配置されている。撮像素子107の出力はA/D変換部109に接続され、A/D変換部109の出力はメモリ110に接続されている。メモリ110は画像処理部111とシステム制御部116に接続されている。システム制御部116には、撮像制御部108、シャッタ制御部106、絞り制御部104、レンズ制御部102、露出制御部112、AF処理部113、フラッシュ制御部121、不揮発性メモリ118、外部メモリ114、表示部115、操作部117、電源制御部120がそれぞれ接続されている。上述の撮像制御部108は撮像素子107に接続されており、シャッタ制御部106はシャッタ105に接続されており、絞り制御部104は絞り103に接続されており、レンズ制御部102は撮影レンズ101に接続されている。また、電源制御部120は電源部119に接続されており、フラッシュ制御部121はフラッシュ充電部122とフラッシュ発光部123にそれぞれ接続されている。
【0019】
撮影レンズ101は、被写体光束を撮像素子107に集光させ、被写体像を結像させるための光学系である。この撮影レンズ101は、システム制御部116からの指示に応じて動作するレンズ制御部102により光軸方向に移動され、焦点状態が変化する。絞り機構103は、撮影レンズ101を介して撮像素子107に入射する被写体光束の入射量を調節する。絞り機構103は、システム制御部116からの指示に応じて動作する絞り制御部104により開口量が制御される。
【0020】
シャッタ105は、撮影レンズ101によって形成される被写体像の光束の開閉を行うものであり、公知のレンズシャッタやフォーカルプレーンシャッタ等によって構成される。シャッタ105は、システム制御部116からの指示に応じて動作するシャッタ制御部106によりシャッタ開口時間(シャッタ速度値)が制御される。
【0021】
撮像部として機能する撮像素子107は、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の二次元撮像センサであり、前面に配置されたベイヤ―配列のカラーフィルタと、このカラーフィルタに対応して配列されたフォトダイオード等の光電変換素子から構成される。各カラーフィルタとこれに対応する各光電変換素子から構成される画素群によって撮像領域が構成される。撮像素子107は、撮影レンズ101により集光された光を各画素で受光し光電流に変換し、この光電流をコンデンサに蓄積し、アナログ電圧信号(画像信号)としてA/D変換部109に出力する。撮像制御部108は、システム制御部116からの指示に応じて撮像素子107の動作制御を行う。
【0022】
A/D変換部109は、撮像素子107から出力されるアナログ電圧信号(画像信号)をデジタル画像信号(画像データ)に変換する。メモリ110は、A/D変換部109において得られた画像データや、画像処理部111において処理された画像データ等、各種データを一時的に記憶する記憶部である。なお、本明細書においては、撮像素子107から出力される画像信号に基づく信号であれば、A/D変換部109によってA/D変換された信号のみならず画像処理された信号も含めて画像データと称する場合がある。
【0023】
画像処理部111は、メモリ110に一時記憶された画像データを読み出し、この画像データに対して、ホワイトバランス補正処理、同時化処理、色変換処理等の画像処理を行う。また、画像処理部111は、後述する外部メモリ114に記録する際に画像圧縮を行い、また外部メモリ114から読み出した圧縮された画像データの伸張を行う。
【0024】
露出制御部112はメモリ110に一時記憶された画像データを用いて被写体輝度(被写体を含むシーンの明るさ)を算出する。なお、専用の測光センサを用いて被写体輝度を算出するようにしても勿論かまわない。
【0025】
AF(Auto Focus)処理部113は、メモリ110に一時記憶された画像データから高周波成分の信号を抽出し、AF積算処理により合焦評価値を取得する。システム制御部116は、合焦評価値に基づいてレンズ制御部102を通じて、撮影レンズ101が合焦位置となるように駆動制御を行う。なお、AF処理部113は、TTL位相差AFセンサ等、専用のセンサを設け、この専用センサの出力に基づいて撮影レンズ101の焦点ずれ量を求めるようにしても勿論かまわない。露出制御部112およびAF処理部113は、静止画撮影時と動画撮影時ではそれぞれの撮影モードに適した処理を行い、両者の処理は異なっている。
【0026】
システム制御部116は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)等を含むASIC(Application Specific Circuit:特定用途向け集積回路)で構成され、撮像制御部108やフラッシュ制御部121等のカメラ100の各種シーケンスを統括的に制御する。システム制御部116は、後述するように、撮像素子107からの画像データに対して輝点領域を設定する輝点領域設定部として機能する。また、設定された輝点領域内で、輝点を検出する輝点検出部として、また検出された輝点の輝点位置において輝点処理を行う輝点処理部として、また輝点処理された画像を表示用または記録用に出力する画像出力部としても機能する。
【0027】
操作部117は、図2に示すような電源釦117a、レリーズ釦117b、撮影モードダイヤル117c、動画釦117d、ファンクション釦117e、十字釦117f、OK釦117g、メニュー釦、各種入力キー等の操作部材を含む。ユーザが操作部117のいずれかの操作部材を操作すると、システム制御部116は、ユーザの操作に応じた各種シーケンスを実行する。
【0028】
操作部117の内の電源釦117aはカメラ100の電源のオンオフを指示するための操作部材であり、電源釦117aが押されるとシステム制御部116は電源オンとし、再度押されると電源オフとする。レリーズ釦117bは、1stレリーズスイッチと2ndレリーズスイッチの2段スイッチを有している。レリーズ釦117bが半押しされると1stレリーズスイッチがオンとなり、半押しから更に押し込まれ全押しされると2ndレリーズスイッチがオンとなる。1stレリーズスイッチがオンとなると、システム制御部116は、AE処理やAF処理等撮影準備シーケンスを実行する。また2ndレリーズスイッチがオンとなると、システム制御部116は、静止画の撮影シーケンスを実行し、撮影を行う。
【0029】
操作部117の内の動画釦117dは、動画撮影の開始と停止を指示する釦である。最初に動画釦117dを押下げると動画撮影を開始し、再度、動画釦117dを押下げると動画撮影を停止する。撮影モードダイヤル117cは、オートモード、絞り優先モード、シャッタ速度優先モード、ムービー撮影モード(動画撮影モード)、シーンモード、バルブ撮影モード等を設定するためのダイヤルである。
【0030】
外部メモリ114は、例えば、カメラ本体に着脱自在に記憶媒体であり、画像処理部111において圧縮された画像データおよびその付随データが記録される。また、記憶された画像データは読み出され、表示部115に再生表示される。なお、画像データ等を記録するための記録媒体として、カメラ本体に着脱可能な外部メモリに限らず、カメラ本体に内蔵のハードディスク等の記録媒体であってもかまわない。
【0031】
表示部115は、カメラ本体の背面等に配置された液晶モニタ115a(図2参照)等を含み、画像データに基づいてライブビュー表示を行う。また、表示部115は、外部メモリ114に記録された撮影画像の再生表示を行い、さらに露出制御値等の表示や撮影モード等設定のためのメニュー画面の表示を行う。このメニュー画面において、後述するクロスフィルタモードの設定を行う。メニュー画面以外にも、ファンクション釦117e等の操作部材によって設定するようにしても構わない。なお、画像等を表示できるものであれば、液晶モニタに限らず、有機EL等のディスプレイでもよい。
【0032】
不揮発性メモリ118は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリであり、カメラ100の動作に必要な各種パラメータを記憶している。また、不揮発性メモリ118は、システム制御部116において実行するプログラムも記憶している。システム制御部116は、不揮発性メモリ118に記憶されているプログラムに従い、また不揮発性メモリ118に記憶されているパラメータを読み込み、各種シーケンスを実行する。
【0033】
電源部119は、カメラ100の各部の動作に必要な電力を供給し、例えば、2次電池等の電源電池で構成される。電源制御部120は、電源部119を構成する電池の電源電圧や残量の検出等、電源部119の制御を行う。
【0034】
フラッシュ制御部121は、システム制御部116からの指示に応じてフラッシュ充電部122における充電動作、およびフラッシュ発光部123における発光動作を制御する。フラッシュ充電部122は、電源部119の電源電圧を昇圧する昇圧回路や、ここで昇圧された電圧でエネルギを蓄積するコンデンサを有し、フラッシュ発光部123の発光を行うに必要なエネルギを蓄積する。フラッシュ発光部123は、例えば、キセノン(Xe)管等の発光管や反射傘を備えており、フラッシュ制御部121から発光指示を受信した際に、フラッシュ充電部122のコンデンサに蓄積されたエネルギを利用して発光する。
【0035】
次に、本実施形態に係わるカメラ100の外観について、図2を用いて説明する。図2は、背面側からみたカメラ100の外観図であり、カメラ本体10に交換レンズ20が装着されている。カメラ本体10の上面には、電源釦117a、レリーズ釦117b、撮影モードダイヤル117cが配置されている。
【0036】
また、カメラ本体10の背面には、液晶モニタ115aが配置されており、これによって被写体像のライブビュー表示やメニュー画面表示、記録画像の再生表示等の各種表示を行う。カメラ本体10の背面の右上側には、動画釦117d、ファンクション釦117eが配置されており、また、これらの釦の下側には、十字釦117gとOK釦117fが配置されている。十字釦117gは、液晶モニタ115aに表示されるメニュー画面等において、カーソルを画面上で移動させ、OK釦117fを押下げるとカーソルによって選択された項目を確定させることができる。
【0037】
次に、本実施形態におけるクロスフィルタ処理について、図3を用いて説明する。図3(a)は、撮像素子107の画素群を縦4・横6の24のエリアに分割した様子を示す。本実施形態においては、1フレームごとにランダマイズ関数によって、乱数を発生させ、この乱数に基づいて、24分割されたエリアを選択し、このエリアとこのエリアに隣接する全4エリアを効果付与領域(輝点処理を施す輝点検出領域)とし、その効果付与領域に対して輝点処理を施す。
【0038】
例えば、図3(b)は1フレーム目であり、ここでは、(1,1)、(1,2)、(2,1)、(2,2)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。続く2フレーム目では、図3(c)に示すように、(4,1)、(4,2)、(5,1)、(5,2)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。続く3フレーム目では、図3(d)に示すように、(3,2)、(3,3)、(4,2)、(4,3)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。
【0039】
4フレーム目では、図3(e)に示すように、(2,3)、(2,4)、(3,3)、(3,4)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。続く5フレーム目では、図3(f)に示すように、(5,2)、(5,3)、(6,2)、(6,3)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。続く6フレーム目では、図3(g)に示すように、(1,3)、(1,4)、(2,3)、(2,4)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。
【0040】
7フレーム目では、図3(h)に示すように、(2,1)、(2,2)、(3,1)、(3,2)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。続く8フレーム目では、図3(i)に示すように、(4,3)、(4,4)、(5,3)、(5,4)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。続く9フレーム目では、図3(j)に示すように、(5,1)、(5,2)、(6,1)、(6,2)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。
【0041】
10フレーム目では、図3(k)に示すように、(5,3)、(5,4)、(6,3)、(6,4)の各エリアにクロスフィルタ処理等の輝点処理が施される。本実施形態においては、10フレーム目に効果を施すと、再度、1フレーム目に戻る。図3から分かるように、1フレーム目から10フレームまで、エリア選択が一巡すると、全てのエリアでクロスフィルタ処理が実行される。これらのエリアの設定と輝点処理としてのクロスフィルタ処理は、システム制御部116によって実行される。
【0042】
次に、本実施形態におけるカメラ100の動作について、図4ないし図13に示すフローチャートを用いて説明する。これらのフローは不揮発性メモリ118に記憶されているプログラムに従ってシステム制御部116によって実行される。図4に示すフローはメインルーチン動作である。このメインルーチンは、操作部117の電源釦117aがオンとなると実行を開始する。
【0043】
メインルーチンの動作が開始すると、まず、ライブビュー動作を行う(S1)。ライブビュー動作では、撮像素子107から出力される画像信号が、画像処理部111によってライブビュー表示用に画像処理され、この処理された画像データが表示部115の液晶モニタ115aに表示される。撮影者はこのライブビュー表示を見て、静止画や動画の構図を決定し、シャッタタイミングを決める。また、クロスフィルタモード設定時に、ライブビュー表示を行う際には、図3を用いて説明したような効果付与領域(輝点検出領域)に対してクロスフィルタ処理を画像データに施し、表示を行う。ライブビュー動作の詳細については、図5を用いて後述する。
【0044】
ライブビュー動作を行うと、次に、操作部117のレリーズ釦117bが半押しされたか、すなわち、1stレリーズスイッチがオンか否かの判定を行う(S3)。この判定の結果、1stレリーズスイッチがオンとなると、AF処理を実行する(S5)。このステップでは、システム制御部116は、AF処理部113によって得られる合焦評価値に基づいて、撮像素子107上に結像される被写体像が最も鮮明になるように、言い換えると合焦状態となるように、レンズ制御部102を介して撮影レンズ101の焦点状態を制御する。
【0045】
AF処理を行うと、続いて、測光を行い(S7)、露出演算を行う(S9)。これらのステップにおいて、露出制御部112は被写体輝度の算出を行い、システム制御部116は算出された被写体輝度を用いて絞り値とシャッタ速度等の露出制御値を求める。絞り値とシャッタ速度の算出にあたっては、アペックス演算またはテーブル参照により決定する。
【0046】
ステップS9において露出演算を行うと、または、ステップS3における判定の結果、1stレリーズがオンでなかった場合には、次に、動画釦117dに連動してオンオフする動画スイッチがオフからオンに変化したか否かの判定を行う(S11)。ここでは、操作部117の動画釦117dの状態に基づいて判定する。
【0047】
ステップS11における判定の結果、動画スイッチがオフからオンに変化した場合には、次に、動画撮影のフラグが0、静止画撮影のフラグがxであるか否かを判定する(S13)。ここで、動画フラグの0は動画撮影が停止状態にあることを示し、動画フラグの1は動画撮影が続行中であることを示す。また、静止画撮影フラグの1は静止画撮影中であることを示し、静止画撮影フラグの0は静止画撮影終了であることを示す。動画撮影または静止画撮影のフラグのxは、任意状態、すなわち、いずれの状態であってもよく、それまでの状態を示すフラグが保持される。なお、カメラ100のリセット時に、動画撮影のフラグおよび静止画撮影のフラグは、共に0にリセットされる。
【0048】
ステップS13における判定の結果、動画撮影フラグが0、すなわち動画撮影が停止状態にあった場合には、動画撮影フラグを1とし、静止画撮影フラグをxとする(S15)。ここで、xとするとは、フラグに変更をかけずに、保持することを意味する。このフラグ設定を行うと、動画の撮影を開始する(S17)。ここでは、撮像素子107によって取得した画像データを画像処理部111によって動画処理した後、外部メモリ114に記録する。また、同時に表示部115にライブビュー表示を行う。なお、クロスフィルタモードの設定時に、動画撮影を行う場合には、図3を用いて説明したようなクロスフィルタ処理を記録用の画像データに施し、記録する。このクロスフィルタモード設定時の動画撮影の詳細については、図10を用いて後述する。
【0049】
一方、ステップS13における判定の結果、動画撮影フラグ1、すなわち動画撮影中であった場合には、動画撮影フラグを0とし、静止画撮影フラグをxとする(S19)。動画撮影中にステップS11において、動画釦117dが押下げられたことを検出したことから、このステップでは動画撮影停止のためのフラグ処理を行う。このフラグ設定を行うと、動画の撮影を停止する(S21)。ここでは、動画の画像データの記録動作を終了するための処理を行う。
【0050】
ステップS17において動画の撮影を開始すると、またはステップS21において動画の撮影を停止すると、次に、静止画が撮影終了であるか否かを判定する(S23)。後述するステップS27において2ndレリーズがオンすると、静止画撮影が開始し、静止画の画像データを外部メモリ114に記録すると静止画撮影が終了する。そこで、このステップでは、これらの一連の動作中であるか否かに基づいて判定する。
【0051】
ステップS23における判定の結果、静止画撮影が終了していれば、次に、動画撮影フラグをxとし、静止画撮影フラグを0とする(S25)。このフラグ設定を行うと、次に、2ndレリーズがオンか否かを判定する(S27)。ここでは、操作部117のレリーズ釦117bが全押しされたか否かを判定する。
【0052】
ステップS27における判定の結果、2ndレリーズがオンであった場合には、次に、動画撮影フラグをxとし、静止画撮影フラグを1とする(S29)。そして、静止画撮影を実行する(S31)。ここでは、撮像素子107によって取得した画像データを画像処理部111によって静止画処理した後、外部メモリ114に記録する。
【0053】
静止画撮影を行うと、次に、動画撮影フラグが0、静止画撮影フラグが0であるか否かを判定する(S33)。ここでは、動画撮影中でもなく静止画撮影中でもないか否かを判定する。この判定の結果、Yesの場合、すなわち、動画撮影も終了し、また静止画撮影も終了している場合には、ステップS1に戻る。
【0054】
ステップS33における判定の結果、Noであった場合、すなわち、動画撮影中であるか又は静止画撮影中であった場合には、次に、動画撮影フラグが1、静止画撮影フラグが0であるか否かを判定する(S35)。ここでは、動画撮影中であるが静止画撮影中ではないかを判定する。
【0055】
ステップS35における判定の結果、Yesであった場合、すなわち、静止画撮影が終了し、動画撮影が行われている場合には、ステップS3に戻り、動画撮影を続行する。一方、ステップS35における判定の結果、Noであった場合、すなわち、動画撮影は終了しているが、静止画撮影が終了していない場合には、ステップS11に戻り、静止画撮影を続行する。
【0056】
このように、本実施形態におけるメインフローにおいては、ライブビュー表示を行うと共に、動画釦117dが操作されるたびに動画撮影の開始と停止を交互に実行し、またレリーズ釦117bの全押しに応じて静止画撮影を実行する。クロスフィルタモードが設定されている場合には、ライブビュー表示や動画撮影時に効果付与領域に対してクロスフィルタ処理が施される。
【0057】
次に、ステップS1におけるライブビュー動作の詳細について図5を用いて説明する。ライブビュー動作に入ると、クロスフィルタモードが設定されているか否かを判定する(S41)。
【0058】
ステップS41における判定の結果、クロスフィルタモードが設定されていた場合には、次に、乱数を発生し(S43)、効果付与領域の決定を行う(S45)。ここでは、図3を用いて説明したように、撮像素子107の画素を縦4分割、横6分割の合計24のエリア、この中から、ランダムにエリアを選択し、この選択されたエリアに基づいて効果付与領域(輝点検出領域)を決定する。
【0059】
まず、乱数を発生させ、乱数によって決まるエリアと、そのエリアの右隣、下、右斜め下の合計4エリアを効果付与領域とする。なお、本実施形態においては、4つのエリアを効果付与領域(輝点検出領域)としているが、輝点検出領域の数や、その輝点検出領域内の画素数等に応じて、エリアの数としては4より多くても少なくても構わない。
【0060】
ステップS43において乱数を発生させるが、本実施形態においては、乱数(RND)は、0.000000・・・〜0.999999・・・の値を発生する。図3に示した例では、縦4分割、横6分割であることから、
x=INT(RND×6+1)、y=INT(RND×4+1)
をエリアの位置と定義し、このエリアとエリアの右隣、下、右斜め下を輝点検出領域とすればよい。ここで、INTは括弧内の整数部分を意味する。
【0061】
乱数発生および効果付与領域の決定を行うと、次に、クロスフィルタ処理を行う(S47)。ここでは、ステップS45において決定された効果付与領域内において、明るく輝いている輝点部分を検出し、この検出された輝点部分に対して、光学クロスフィルタと同様の効果を与えるクロスフィルタ描画処理を施す。このクロスフィルタ処理の詳細については、図6ないし図8を用いて後述する。
【0062】
ステップS47においてクロスフィルタ処理を行うと、またはステップS41における判定の結果、クロスフィルタモードが設定されていなかった場合には、次に、表示を行う(S51)。ここでは、撮像素子107からの画像データに基づいて、表示部115にライブビュー表示を行う。クロスフィルタモードが設定されている場合には、クロスフィルタ処理を施したライブビュー表示を行う。
【0063】
表示を行うと、次に、次のフレームの取得が完了した否かを判定する(S53)。撮像素子107が次のフレームの画像データを取得したか否かを判定する。フレームレートが30fpsの場合には、1/30秒に1回の割合でフレームが取得される。この判定の結果、次のフレームの取得が完了していなかった場合には、ステップS51に戻り、一方、取得完了の場合には、ステップS41に戻る。
【0064】
次に、ステップS47のクロスフィルタ処理について、図6を用いて説明する。クロスフィルタ処理に入ると、まず、飽和点検出処理を行う(S61)。ここでは、ステップS45において決定された効果付与領域内の全画素のRGBの画像データについて、飽和値に対応する輝度値以上であるか否かを判定し、飽和値以上の輝点を検出する。この飽和点検出処理の詳細については、図7を用いて後述する。
【0065】
飽和点検出処理を行うと、次に、クロスフィルタ描画処理を行う(S63)。ここでは、ステップS61において検出された輝点に対して、光学クロスフィルタを装着した場合と同様の効果を生ずる画像処理を施す。このクロスフィルタ描画処理の詳細については、図8を用いて後述する。
【0066】
次に、ステップS61の飽和点検出処理について、図7を用いて説明する。飽和点検出処理のフローに入ると、まず、飽和点を示すフラグfを0にリセットする(S71)。続いて、画素の位置を示す座標(x,y)をx=1、y=1に初期化する(S73)。なお、画素の座標は、設定された効果付与領域内の左上隅等を(1,1)の位置とする。
【0067】
続いて、位置(x,y)のRデータが255より大きいか否かを判定する(S75)。本実施形態においえは、画像データを構成するRGBの各データは、8ビットで構成されおり、その最大値を10進数で表わすと、255となる。従って、この数値255は、画像データのビット数に基づいて適宜決めればよく、また、飽和状態とみなせる程度であれば、ビット数で決まる最大値よりも小さな値でも構わない。
【0068】
ステップS75における判定の結果、R(x,y)≧255であった場合には、次に、(R,G,B,f)(x,y)=(R,G,B,1)とする(S77)。ここでは、位置(x,y)の画像データの内、Rデータ、Gデータ、Bデータは取得した値のままとし、飽和点を示すフラグfを1とする。フラグf=1とすることにより、位置(x,y)の画素の画像データは、飽和しており、輝点であることを示す。
【0069】
ステップS77において(R,G,B,f)(x,y)=(R,G,B,1)とすると、またはステップS75における判定の結果、R(x、y)<255であった場合には、次に、G(x,y)≧255であるか否かを判定する(S79)。ここでは、位置(x,y)のGデータが255より大きいか否かを判定する。
【0070】
ステップS79における判定の結果、G(x,y)≧255であった場合には、ステップS77と同様に、(R,G,B,f)(x,y)=(R,G,B,1)とする(S81)。この処理を行うと、またはステップS79における判定の結果、G(x,y)<255であった場合には、次に、B(x,y)≧255であるか否かを判定する(S83)。ここでは、位置(x,y)のBデータが255より大きいか否かを判定する。
【0071】
ステップS83における判定の結果、B(x,y)≧255であった場合には、ステップS77と同様に、(R,G,B,f)(x,y)=(R,G,B,1)とする(S85)。この処理を行うと、またはステップS83における判定の結果、B(x,y)<255であった場合には、次に、画素の位置を表わすxをインクリメント、すなわち、xに1を加算する(S87)。
【0072】
ステップS87において、xをインクリメントすると、次に、x>最大座標であるか否かを判定する(S89)。前述したように、ステップS45において効果付与領域が決定されており、この決定された効果付与領域内のx座標について最大座標に達したか否かを判定する。この判定の結果、xが最大座標に達していなかった場合には、ステップS75に戻り、隣のx座標の位置における画素について、RGBデータのいずれかが飽和していないか検出する。
【0073】
ステップS89における判定の結果、xが最大座標に達した場合には、次に、画素の位置を表わすyをインクリメント、すなわち、yに1を加算する(S91)。続いて、画素の位置を表わすxに1を設定する(S93)。
【0074】
次に、y>最大座標であるか否かを判定する(S95)。ステップS45において決定された効果付与領域内のy座標について最大座標に達したか否かを判定する。この判定の結果、yが最大座標に達していなかった場合には、ステップS75に戻り、隣のy座標の位置における画素について、x=1から順次、RGBデータのいずれかが飽和していないか検出する。一方、判定の結果、yが最大座標に達すると、元のフローに戻る。
【0075】
次に、ステップS63のクロスフィルタ描画処理について、図8を用いて説明する。クロスフィルタ描画処理のフローに入ると、まず、ステップS73と同様に、画像データの画素の位置(x,y)をx=1、y=1に初期化する(S101)。
【0076】
画素位置を初期化すると、次に、(R,G,B,f)のf=1であるか否かを判定する(S103)。ステップS77、S81、またはS85において、RGBの画像データの内、少なくとも1つが飽和していると、飽和フラグfに1が設定される。このステップでは、画素位置(x,y)の画像データについて、飽和フラグfに1が設定されているか否かを判定する。
【0077】
ステップS103における判定の結果、飽和フラグ1に1が設定されていた場合には、次に、(R、G,B)の色のクロスフィルタパターンの描画を行う(S105)。ここでは、飽和フラグ1が設定されていた画素位置(x,y)を中心としてその周辺に、光条を施す画像処理を行う。
【0078】
クロスフィルタパターンの描画を行うと、またはステップS103における判定の結果、(R,G,B,f)のf=1でなかった場合には、次に、ステップS87と同様に、画素の位置を表わすxをインクリメントする(S107)。xのインクリメントを行うと、次に、ステップS89と同様に、x>最大座標であるか否かを判定する(S109)。この判定の結果、x>最大座標でなかった場合には、ステップS103に戻り、インクリメントしたxの座標位置の画素の画像データに対して前述の処理を繰り返す。
【0079】
一方、ステップS109における判定の結果、x>最大座標であった場合には、ステップS91と同様に、画素の位置を表わすyをインクリメントする(S111)。yのインクリメントを行うと、次に、ステップS93と同様に、画素の位置を表わすxに1を設定する(S113)。
【0080】
続いて、ステップS95と同様に、y>最大座標であるか否かを判定する(S115)。この判定の結果、y>最大座標でなかった場合には、ステップS103に戻り、インクリメントしたy座標について、x=1から順次、前述の処理を繰り返す。一方、ステップS115における判定の結果、y>最大座標であった場合には、元のフローに戻る。
【0081】
このように、本実施形態におけるライブビュー動作のフローにおいて、クロスフィルタモード設定時には、ライブビュー表示を行うためのフレーム画像を取得するたびに、効果付与領域を決定し、この決定された効果付与領域内で輝点検出(飽和点検出)を行い、この検出された輝点(飽和点)に対してクロスフィルタを装着したと同様の効果を与える画像処理(S105参照)を行っている。このクロスフィルタ処理の施された画像は、ライブビュー表示として表示部115に表示される。このため、撮影者は、クロスフィルタ処理が施された画像を容易に確認することができる。
【0082】
次に、本実施形態におけるライブビュー動作の変形例について、図9を用いて説明する。図5ないし図8を用いて説明した本発明の一実施形態に係わるライブビュー動作では、1フレームの画像を取得するたびに、飽和点を検出し、この検出した飽和点の画像データに対して光条を表現するためのクロスフィルタ処理を施していた。このクロスフィルタ処理を行う領域を広くとると、処理に要する時間が長くなり、1フレームごとに処理することが困難となる。そこで、本変形例においては、数フレームごとにクロスフィルタ処理を行い、処理時間の短縮を図っている。
【0083】
本変形例に係わるライブビュー動作のフローは、図5のライブビュー動作と比較し、ステップS48〜S50、S55、およびS57が追加されているだけであるので、この追加部分を中心に説明する。
【0084】
本変形例のライブビュー動作のフローに入り、クロスフィルタモードが設定されていた場合には(S41Yes)、乱数を発生し(S43)、効果付与領域を決定する(S43)。続いて、クロスフィルタ画像生成処理を行う(S48)。今、取得したライブビュー表示用のフレーム画像203(図14(a)参照)とすると、ステップS48において、このフレーム画像203とは別画像で、画像合成用クロスフィルタ画像201を生成する。この画像合成用クロスフィルタ画像201は、ライブビュー表示用のフレーム画像に基づいて、ステップS45において決定した効果付与領域の領域に光条201aを生成し、この光条201aのみを抽出した画像である。
【0085】
ステップS48において、クロスフィルタ画像を生成すると、次に、効果付与フラグとしてNを設定する(S49)。効果付与フラグは、何フレームごとにクロスフィルタによる効果を付与するかを示す自然数Nである。N回目の取得画像にクロスフィルタ処理を実行する。
【0086】
効果付与フラグを設定すると、次に、クロスフィルタ画像合成処理を行う(S50)。ここでは、図14(b)に示すように、ステップS48において生成した画像合成用クロスフィルタ画像201に、ライブビュー表示用のフレーム画像203を合成し、表示用の合成画像205を生成する。
【0087】
クロスフィルタ画像合成処理を行うと、次に、表示を行い(S51)、次のフレーム画像の取得が完了したか否かを判定する(S53)。この判定の結果、次のフレーム画像の取得が完了していなかった場合には、ステップS51に戻る。
【0088】
一方、ステップS53における判定の結果、次のフレーム画像の取得が完了した場合には、効果フラグから1を減算し、この減算値を効果付与フラグとする(S55)。続いて、この効果付与フラグが0か否かの判定を行う(S57)。この判定の結果、効果フラグが0でなかった場合には、ステップS50に戻る。したがって、効果付与フラグが0になるまでは、ステップS48において新たにクロスフィルタ画像を生成することなく、同じクロスフィルタ画像を、新たに取得したライブビュー表示用のフレーム画像と合成し、表示用合成画像を生成し、ライブビュー表示する。
【0089】
ステップS57における判定の結果、効果付与フラグが0となると、ステップS41に戻る。このため、クロスフィルタモードが設定されていれば、新たな画像合成用クロスフィルタ画像を生成し、前述の処理を繰り返す。
【0090】
このように、本変形例においては、所定フレーム(ここではNフレーム)毎に、画像合成用クロスフィルタ画像を生成しており、クロスフィルタ処理がNフレーム分ほど、長くかかっても、ライブビューのフレームレートを落とさずに済む。
【0091】
次に、ステップS17において開始し、ステップS21において停止する動画撮影において、クロスフィルタモードが設定されているときのクロスフィルタ動画撮影の詳細について、図10を用いて説明する。クロスフィルタ動画撮影のフローに入ると、まず、ステップS41と同様に、クロスフィルタモードに設定されているか否かを判定する(S121)。
【0092】
ステップS121における判定の結果、クロスフィルタモードが設定されていた場合には、図9のステップS43〜S57と同様の処理を行う。すなわち、ステップS43と同様に、乱数を発生し(S123)、この乱数に基づいて、ステップS45と同様に、効果付与領域を決定する(S125)。
【0093】
効果付与領域を決定すると、次に、ステップS48と同様に、クロスフィルタ画像生成処理を行う(S127)。ここでは、図14(a)に示すように、フレーム画像203とは別画像で、画像合成用クロスフィルタ画像201を生成する。ただし、ライブビュー動作時には、ライブビュー表示用の画素数の画像データを用いていたが、動画撮影の際には、外部メモリ114に記録するレベルの画素数のフレーム画像203と画像合成用クロスフィルタ画像201を処理する。
【0094】
画像合成用クロスフィルタ画像を生成すると、次に、ステップS49と同様に、効果付与フラグにNを設定し(S129)、ステップS50と同様に、クロスフィルタ画像合成処理を行う(S131)。
【0095】
ステップS121における判定の結果、クロスフィルタモードが設定されていなかった場合、またはステップS131においてクロスフィルタ画像合成処理を行うと、次に、表示を行う(S141)。ここでは、クロスフィルタ処理された動画撮影中の記録用画像データを、表示用画像データに変換して、表示部115に表示する。また、この表示と並行して、クロスフィルタ処理された画像データを、圧縮処理した後、外部メモリ114に記録する。なお、クロスフィルタモードが設定されていない場合には、通常の撮影画像の表示と、記録を行う。
【0096】
表示を行うと、次に、ステップS53と同様に、次のフレームの取得が完了した否かを判定する(S143)。この判定の結果、取得が完了していなければ、ステップS141に戻る。一方、次のフレームの取得が完了した場合には、次に、ステップS55と同様に、効果フラグから1を減算し、この減算値を効果付与フラグとし(S145)、この効果付与フラグが0か否かの判定を行う(S147)。この効果フラグが0でなければ、ステップS131に戻る。したがって、効果付与フラグが0になるまでは、ステップS127において新たにクロスフィルタ画像を生成することなく、同じクロスフィルタ画像を、新たに取得した記録用の撮影画像のフレーム画像と合成し、記録用合成画像を生成し、外部メモリ114に記録する。また、クロスフィルタ処理された撮影画像を、表示用に変換し、表示部115に表示する。
【0097】
一方、ステップS147における判定の結果、効果付与フラグが0となると、ステップS121に戻る。このため、クロスフィルタモードが設定されていれば、新たな画像合成用クロスフィルタ画像を生成し、動画の撮影を続行する。
【0098】
このように、本実施形態におけるクロスフィルタ動画撮影では、図9を用いて説明したライブビュー動作とほぼ同様の処理を行うことにより、クロスフィルタ処理を施した動画を表示すると共に記録することができる。特に動画撮影の場合には、記録する画像データの容量が大きくなり、処理時間もかかることから、所定フレーム毎にクロスフィルタ処理を行うことにより、処理時間の短縮を図ることができる。
【0099】
次に、本実施形態におけるクロスフィルタ動画撮影の第1の変形例を図11および図12を用いて説明する。本実施形態においては、クロスフィルタ動画撮影時のクロスフィルタ処理では、一律の光条を追加する画像処理であった。本変形例においては、クロスフィルタ処理にあたって、乱数を発生させ、この乱数によってランダムな変化を与えるようにしている。
【0100】
図11に示す本変形例におけるクロスフィルタ動画撮影のフローは、図10に示した本発明の一実施形態におけるクロスフィルタ動画撮影のフローに対して、ステップS126を追加しただけであり、他のステップは一実施形態と同様である。ステップS126は、ステップS125において決定した効果付与領域に対するクロスフィルタ処理の演出効果を設定する。この演出効果設定の詳細について、図12を用いて説明する。
【0101】
演出効果設定のフローに入ると、まず、乱数を発生させ(S151)、続いて、発生した乱数に応じて光条の本数を設定する(S153)。光条の数としては、例えば、4本、6本、8本等、発生させた乱数に近い本数を設定する。
【0102】
光条の本数を設定すると、再び、乱数を発生させ(S155)、続いて、光条の長さを設定する(S157)。光条の長さとしては、例えば、ショート(=4)、ミドル(=6)、ロング(=8)の内、発生させた乱数が近い長さを設定する。なお、括弧内の数値は乱数の値である。
【0103】
光条の長さを設定すると、再び乱数を発生させ(S159)、続いて、光条角度を設定する(S161)。光条角度としては、例えば、0度(=4)、30度(=6)、45度(=8)の内、発生させた乱数が近い角度を設定する。なお、括弧内の数値は乱数の値である。
【0104】
光条角度を設定すると、再び、乱数を発生させ、光条色を設定する(S165)。光条色としては、例えば、赤(=4)、緑(=6)、青(=8)の内、発生させた乱数が近い色を設定する。なお、括弧内の数値は乱数の値である。光条色を設定すると、元のフローに戻る。
【0105】
このように、本変形例においては、光条の本数や、長さ、角度、色等について、クロスフィルタ処理を行うたびに異なるようにしている。このため、変化に富んだクロスフィルタ処理が施され、興味をそそる画像となる。なお、本変形例においては、乱数を発生させ、この乱数に応じて演出を設定していたが、これに限らず、数フレームに亘って所定のプログラムされた変化を与えるようにしても勿論かまわない。また、光条の変化も、例示したものに限らず、またその一部であっても構わない。
【0106】
次に、本実施形態におけるクロスフィルタ動画撮影の第2の変形例を図13および図15を用いて説明する。一実施形態や第1変形例においては、効果付与フラグNフレーム間隔で、画像合成用クロスフィルタ画像を生成していた。この処理は、モーションJPEGに最適なクロスフィルタ処理であるが、MPEGを採用する場合には、キーフレームのみにクロスフィルタ処理による効果を付するようにしてもよい。キーフレームは通常2秒おきに現われるので、処理時間を十分にとることができ、このため、効果付与領域としては、前述の実施例や変形例よりも広くとることが可能となる。
【0107】
本変形例は、図11に示した第1変形例のフローチャートにおいて、ステップS129における効果付与フラグの設定と、ステップS145における効果付与フラグから1を減算するステップを省略し、ステップS147における判定をキーフレームか否かの判定に変更した以外は、同様である。図11のフローと同一の処理を行うステップについては、同一のステップ番号を付し、相違点を中心に説明する。
【0108】
ステップS121における判定の結果、クロスフィルタモードが設定されていた場合には、乱数を発生させ(S123)、この乱数に応じて効果付与領域の決定を行い(125)、演出効果を設定し(S126)、この設定された演出効果に従って、クロスフィルタ画像の生成処理を行う(S127)。ここでは、図15(a)に示すように、フレーム画像203とは別に、クロスフィルタ処理に用いる画像合成用クロスフィルタ画像201を生成する。
【0109】
ステップS127においてクロスフィルタ画像の生成処理を行うと、第1変形例では、次に効果付与フラグの設定を行っていたが、本変形例では効果付与フラグを使用しないことからのこの設定を省略し、次に、クロスフィルタ画像合成処理を行う(S131)。ここでは、図15(b)に示すように、フレーム画像203に画像合成用クロスフィルタ画像201を合成し、合成画像205を生成する。
【0110】
クロスフィルタ画像合成処理を行うと、次に、表示と記録を行い(S141)、次のフレームの取得が完了したか否かを判定する(S143)。この判定の結果、次のフレームの取得が完了していない場合には、ステップS141に戻り、表示を続行する。
【0111】
一方、ステップS143における判定の結果、次のフレームの取得が完了すると、キーフレームか否かの判定を行う(S148)。前述したようにMPEGでは、所定時間間隔でキーフレームが現われる。このステップでは、現在、取得したフレームがキーフレームか否かを判定する。
【0112】
ステップS148における判定の結果、キーフレームでない場合には、ステップS141に戻り、ステップS127において新たにクロスフィルタ画像を生成することなく、同じクロスフィルタ画像を、新たに取得した記録用の撮影画像のフレーム画像と合成し、記録用合成画像を生成し、外部メモリ114に記録する。また、クロスフィルタ処理された撮影画像を、表示用に変換し、表示部115に表示する。
【0113】
一方、ステップS148における判定の結果、キーフレームであった場合には、ステップS121に戻る。ステップS121に戻り、クロスフィルタモードが設定されていれば、新たな画像合成用クロスフィルタ画像を生成し、動画の撮影を続行する。
【0114】
本変形例においては、図15(c)に示すように、所定時間間隔でキーフレームが現われ、キーフレームに対してのみ、合成画像205が表示・記録され、その間はフレーム画像203のみが表示・記録される。
【0115】
このように、本発明の第2変形例においては、キーフレームを巧みに活用し、キーフレームに対してクロスフィルタ処理を施すようにしている。このため、効果付与フラグの管理が不要になる。
【0116】
以上説明したように、本発明の一実施形態やその変形例においては、撮像素子107からの画像データに対して、輝点検出領域を設定し(S45)、この輝点検出領域内の輝点を検出し(S61)、この検出された輝点の輝点位置において輝点処理を行い(S63)、輝点処理された画像を表示や記録を行っている(S51、S141)。このように撮像素子107の撮像領域の全てについて輝点処理を行うのではなく、輝点検出領域内の輝点に対して輝点処理を行うようにしている。このため、ライブビュー表示や動画に相応しいクロスフィルタ処理が可能となる。
【0117】
なお、本発明の一実施形態や変形例においては、効果付与領域(輝点検出領域)の設定にあたって、撮像領域を24のエリアに分割し、その中から4エリアを設定するようにしていたが、撮像領域の分割数や、また効果付与領域のエリア数は、適宜変更しても構わない。縦横に最小限サイズ以上に効果付与領域を設定すればよい。また、そのエリアの大きさは、一定であったが、フレーム毎に変更しても構わない。また、本発明の一実施形態や変形例においては、効果付与領域(輝点検出領域)の設定は、乱数を発生させランダムに設定したが、輝点領域を順番に選択するようにしても構わない。
【0118】
また、本発明の一実施形態や変形例においては、設定された効果付与領域(輝点検出領域)で処理する輝点の数を制限しなかったが、処理する輝点の数を制限するようにしてもよい。輝点の数を制限することにより、処理時間が長時間になることを防止することができる。
【0119】
また、本発明の一実施形態においては、輝点処理として高輝度の中心に光のスジを追加するクロスフィルタ処理を施した。しかしながら、輝点を検出した場合に、クロスフィルタ処理以外にも輝点周辺を円形に飽和(白く)させたり、また星型に飽和させたり等、他の輝点処理を施すようにしても構わない。
【0120】
また、本発明の一実施形態や変形例においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。
【0121】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0122】
10・・・カメラ本体、20・・・交換レンズ、100・・・デジタルカメラ、101・・・撮影レンズ、102・・・レンズ制御部、103・・・絞り機構、104・・・絞り制御部、105・・・シャッタ、106・・・シャッタ制御部、107・・・撮像素子、108・・・撮像制御部、109・・・A/D変換部、110・・・メモリ、111・・・画像処理部、112・・・露出制御部、113・・・AF処理部、114・・・外部メモリ、115・・・表示部、115a・・・液晶モニタ、116・・・システム制御部、117・・・操作部、117a・・・電源釦、117b・・・レリーズ釦、117c・・・撮影モードダイヤル、117d・・・動画釦、117e・・・ファンクション釦、117f・・・十字釦、117g・・・OK釦、118・・・不揮発性メモリ、119・・・電源部、120・・・電源制御部、121・・・フラッシュ制御部、122・・・フラッシュ充電部、123・・・フラッシュ発光部、201・・・画像合成用クロスフィルタ画像、201a・・・光条、203・・・フレーム画像、205・・・合成画像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を電気信号に変換しライブビューで画像データを出力する撮像部と、
上記画像データに対して、輝点検出領域を設定する輝点領域設定部と、
上記輝点領域設定部によって設定された上記輝点検出領域内の輝点を検出する輝点検出部と、
上記輝点検出部によって検出された上記輝点の輝点位置において輝点処理を行う輝点処理部と、
上記輝点処理部によって輝点処理された画像を表示用または記録用に出力する画像出力部と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
上記輝点領域設定部は、ランダムな位置または大きさに切換えて上記輝点領域を設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
上記輝点領域設定部は、縦横に最小限のサイズ以上に上記輝点領域を設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
上記輝点領域設定部は、予め設定した上記輝点領域を順番に設定することを特徴とする請求項1に記載に撮像装置。
【請求項5】
上記輝点処理部における輝点処理は、クロスフィルタ処理であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
上記輝点処理部は、連続するフレームの輝点処理の際に、少なくとも一部の明るさ、クロスの長さ、色、大きさの何れかのサイズを変えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
上記輝点領域設定部は、上記輝点領域の設定にあたって、複数フレームで同一の領域を含む領域を少なくとも一度は設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
上記輝点処理部は、設定された輝点領域内で処理する輝点の数を限定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
上記輝点処理部は、上記撮像部から出力される画像データの内、所定フレーム毎に上記輝点処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
上記輝点処理部は、上記所定フレーム毎に上記輝点処理を行う際には、取得フレームとは別個にクロスフィルタ画像を生成し、この生成したクロスフィルタ画像に取得フレームの画像を合成した合成画像を出力し、上記所定フレームに当たらないフレームの際には、上記取得フレームによる画像を出力することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
被写体像を電気信号に変換しライブビューで画像データを出力し、
上記画像データに対して、輝点検出領域を設定し、
上記設定された上記輝点検出領域内の輝点を検出し、
上記検出された輝点の輝点位置において輝点処理を行い、
上記輝点処理された画像を表示用または記録用に出力する、
ことを特徴とする撮像方法。
【請求項1】
被写体像を電気信号に変換しライブビューで画像データを出力する撮像部と、
上記画像データに対して、輝点検出領域を設定する輝点領域設定部と、
上記輝点領域設定部によって設定された上記輝点検出領域内の輝点を検出する輝点検出部と、
上記輝点検出部によって検出された上記輝点の輝点位置において輝点処理を行う輝点処理部と、
上記輝点処理部によって輝点処理された画像を表示用または記録用に出力する画像出力部と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
上記輝点領域設定部は、ランダムな位置または大きさに切換えて上記輝点領域を設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
上記輝点領域設定部は、縦横に最小限のサイズ以上に上記輝点領域を設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
上記輝点領域設定部は、予め設定した上記輝点領域を順番に設定することを特徴とする請求項1に記載に撮像装置。
【請求項5】
上記輝点処理部における輝点処理は、クロスフィルタ処理であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
上記輝点処理部は、連続するフレームの輝点処理の際に、少なくとも一部の明るさ、クロスの長さ、色、大きさの何れかのサイズを変えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
上記輝点領域設定部は、上記輝点領域の設定にあたって、複数フレームで同一の領域を含む領域を少なくとも一度は設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
上記輝点処理部は、設定された輝点領域内で処理する輝点の数を限定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
上記輝点処理部は、上記撮像部から出力される画像データの内、所定フレーム毎に上記輝点処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
上記輝点処理部は、上記所定フレーム毎に上記輝点処理を行う際には、取得フレームとは別個にクロスフィルタ画像を生成し、この生成したクロスフィルタ画像に取得フレームの画像を合成した合成画像を出力し、上記所定フレームに当たらないフレームの際には、上記取得フレームによる画像を出力することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
被写体像を電気信号に変換しライブビューで画像データを出力し、
上記画像データに対して、輝点検出領域を設定し、
上記設定された上記輝点検出領域内の輝点を検出し、
上記検出された輝点の輝点位置において輝点処理を行い、
上記輝点処理された画像を表示用または記録用に出力する、
ことを特徴とする撮像方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−104932(P2012−104932A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249860(P2010−249860)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
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