説明

撮像装置および料金収受システム

【課題】フロントガラス角度の異なる車両に対しても、太陽光等によるフロントガラスの反射光の影響を低減して、車両内の運転者などの人物を高画質な静止画として撮像できる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像エリア内の任意の車両位置における任意の角度のフロントガラスからの反射光を最小に抑えるために、設置位置および撮像面側に装着する偏光フィルタの偏光角を最適化した複数のカメラを設け、車両のフロントガラス角度および車両位置を測定し、測定したフロントガラス角度に基づき複数のカメラの中から車両のフロントガラス角度に最適なカメラを選択するとともに、当該選択したカメラに対する最適な撮像位置を決定し、測定された車両位置が決定された最適な撮像位置に到達した際に、選択された最適なカメラから静止画を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、高速道路等の有料道路の料金所において、当該有料道路を利用する車両に対し通行料金の収受処理を自動的に行なうETC(ETC:登録商標)システム(ノンストップ自動料金収受システム)と称される料金収受システムにおいて、料金収受車線を走行する車両内の運転者などの人物の顔画像をフロントガラス越しに静止画として撮像する撮像装置、および、この撮像装置を用いた料金収受システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、ETCシステムにおいて、走行する車両内の運転者など人物をフロントガラス越しに撮像する方法として、ストロボ光など強い光を走行する車両の前部に照射して、車両内の運転者を撮像するとともに、画面の下側に位置するナンバプレートをも同時に撮像するものが公知である(たとえば、特許文献1、2参照)。
【0003】
また、車両全体を撮像する配光特性の照明光と、車両のフロントガラス周辺を撮像する配光特性の照明光とを切換えて撮像し、フロントガラスからの反射光による画像の飽和を低減する方法が開示されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0004】
さらに、ガラス反射成分を弱めた画像を取得する方法として、センサに4方向の偏光フィルタを1画素ごとに角度を変えて設置し、同時に4方向の偏光画像を撮像できるイメージセンサを用いる方法が公知であり、偏光の方向を調整することで、フロントガラスからの反射光の成分を弱くすることが知られている(たとえば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭57−67916号公報
【特許文献2】特開平11−316405号公報
【特許文献3】特開2002−152560号公報
【特許文献4】特開2007−86720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2のように、ストロボ光など強い光を照射して車両内の運転者をフロントガラス越しに撮像する場合には、フロントガラスに反射することでカメラで捕らえた画像では飽和している場合がある。また、太陽光が存在する時間での撮像では、太陽光よりも強い光を照射することが必要となる。
【0007】
また、特許文献3のように、配光特性を複数用いて車両内の運転者をフロントガラス越しに撮像する方法では、照明手段が複数必要となり、コストおよび規模が大きくなるという問題がある。
【0008】
さらに、特許文献4のように、偏光フィルタを利用して撮像する方法では、車両のフロントガラスの取付け角度によって、太陽光や雲などの映り込みの低減効果は様々であり、カメラの設置位置や偏光フィルタの偏光角(回転角度)の設定方法が確立されていない。
【0009】
そこで、本発明は、フロントガラス角度の異なる車両に対しても、太陽光等によるフロントガラスの反射光の影響を低減して、車両内の運転者などの人物を高画質な静止画として撮像できる撮像装置および料金収受システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の撮像装置は、道路を走行する車両が当該道路上に設定された撮像エリア内に進入する前、当該道路を走行する車両のフロントガラスの角度を測定するフロントガラス角度測定手段と、前記道路の撮像エリア内を走行する車両の位置を測定する車両位置測定手段と、前記道路の撮像エリア内を走行する車両の少なくともフロントガラス部分を含む画像を静止画として撮像するもので、前記撮像エリア内の任意の車両位置における任意の角度のフロントガラスからの反射光を最小に抑えるために、設置位置および撮像面側に装着する偏光フィルタの偏光角を最適化した複数のカメラと、前記フロントガラス角度測定手段により測定されたフロントガラス角度に基づき、前記複数のカメラの中から車両のフロントガラス角度に対して最適なカメラを選択するとともに、当該選択したカメラに対する前記撮像エリア内の最適な撮像位置を決定する撮像制御手段と、前記車両位置測定手段により測定された車両位置が前記撮像制御手段により決定された最適な撮像位置に到達した際に、前記撮像制御手段により選択された最適なカメラから静止画を取得する静止画取得手段とを具備している。
【0011】
また、本発明の撮像装置は、道路を走行する車両が当該道路上に設定された撮像エリア内に進入する前、当該道路を走行する車両のフロントガラスの角度を測定するフロントガラス角度測定手段と、前記道路の撮像エリア内を走行する車両の位置を測定する車両位置測定手段と、前記道路の撮像エリア内を走行する車両の少なくともフロントガラス部分を含む画像を静止画として撮像するもので、前記撮像エリア内の任意の車両位置における任意の角度のフロントガラスからの反射光を最小に抑えるために、設置位置および撮像面側に装着する偏光フィルタの偏光角を最適化した複数のカメラと、前記フロントガラス角度測定手段により測定されたフロントガラス角度に基づき、前記複数のカメラのそれぞれに対する前記撮像エリア内の最適な撮像位置を決定する撮像制御手段と、前記車両位置測定手段により測定された車両位置が前記撮像制御手段により決定された最適な撮像位置に到達した際に、前記複数のカメラから順次静止画を取得する静止画取得手段とを具備している。
【0012】
また、本発明の料金収受システムは、有料道路の料金所において、当該料金所の道路に進入してくる車両に搭載された車載器との間で無線通信を行なうことにより当該車両に対する通行料金の収受処理を行なうとともに、当該道路を走行する車両内の人物の画像をフロントガラス越しに静止画として撮像する料金収受システムにおいて、前記道路を走行する車両が当該道路上に設定された撮像エリア内に進入する前、当該道路を走行する車両のフロントガラスの角度を測定するフロントガラス角度測定手段と、前記道路の撮像エリア内を走行する車両の位置を測定する車両位置測定手段と、前記道路の撮像エリア内を走行する車両の少なくともフロントガラス部分を含む画像を静止画として撮像するもので、前記撮像エリア内の任意の車両位置における任意の角度のフロントガラスからの反射光を最小に抑えるために、設置位置および撮像面側に装着する偏光フィルタの偏光角を最適化した複数のカメラと、前記フロントガラス角度測定手段により測定されたフロントガラス角度に基づき、前記複数のカメラの中から車両のフロントガラス角度に対して最適なカメラを選択するとともに、当該選択したカメラに対する前記撮像エリア内の最適な撮像位置を決定する撮像制御手段と、前記車両位置測定手段により測定された車両位置が前記撮像制御手段により決定された最適な撮像位置に到達した際に、前記撮像制御手段により選択された最適なカメラから静止画を取得する静止画取得手段と、この静止画取得手段により取得された静止画を処理する画像処理手段とを具備している。
【0013】
また、本発明の料金収受システムは、有料道路の料金所において、当該料金所の道路に進入してくる車両に搭載された車載器との間で無線通信を行なうことにより当該車両に対する通行料金の収受処理を行なうとともに、当該道路を走行する車両内の人物の画像をフロントガラス越しに静止画として撮像する料金収受システムにおいて、前記道路を走行する車両が当該道路上に設定された撮像エリア内に進入する前、当該道路を走行する車両のフロントガラスの角度を測定するフロントガラス角度測定手段と、前記道路の撮像エリア内を走行する車両の位置を測定する車両位置測定手段と、前記道路の撮像エリア内を走行する車両の少なくともフロントガラス部分を含む画像を静止画として撮像するもので、前記撮像エリア内の任意の車両位置における任意の角度のフロントガラスからの反射光を最小に抑えるために、設置位置および撮像面側に装着する偏光フィルタの偏光角を最適化した複数のカメラと、前記フロントガラス角度測定手段により測定されたフロントガラス角度に基づき、前記複数のカメラのそれぞれに対する前記撮像エリア内の最適な撮像位置を決定する撮像制御手段と、前記車両位置測定手段により測定された車両位置が前記撮像制御手段により決定された最適な撮像位置に到達した際に、前記複数のカメラから順次静止画を取得する静止画取得手段と、この静止画取得手段により取得された静止画を処理する画像処理手段とを具備している。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フロントガラス角度の異なる車両に対しても、太陽光等によるフロントガラスの反射光の影響を低減して、車両内の運転者などの人物を高画質な静止画として撮像できる撮像装置および料金収受システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明が適用されるETCシステムと称される料金収受システムの構成を概略的に示す模式図。
【図2】撮像装置の適用例を説明する模式図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の構成を概略的に示すブロック図。
【図4】第1の実施の形態に係る各機器の配置状態を模式的に示すもので、(a)図は側面図、(b)図は上面図。
【図5】フロントガラス角度測定によるフロントガラス角度の具体的な測定方法を説明する図。
【図6】偏光撮像部における偏光撮像の原理を説明する模式図。
【図7】第1の実施の形態に係るカメラ選択テーブルを説明する模式図。
【図8】第1の実施の形態に係る動作を説明するフローチャート。
【図9】第2の実施の形態に係るカメラ選択テーブルを説明する模式図。
【図10】第2の実施の形態に係る動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明が適用されるETCシステム(ノンストップ自動料金収受システム)と称される料金収受システムの構成を模式的に示すものである。なお、図1の例では、説明を簡単にするため1つの料金収受車線(道路)を示しているが、料金収受車線の種類および数はこれに限定されるものではなく、一般に複数の車線が設けられている場合が多い。
【0017】
図1において、たとえば、有料道路の料金所における道路(料金収受車線)11の側部には、その入口側から順次、進入してくる車両12を検知するとともに車種判別を行なう車両検知・車種判別装置51、路側無線装置52、車両12の運転者に対し課金情報や発進/停止などの案内を行なう路側表示器53、および、車両12に対し発進/停止制御を行なう発進制御装置(ゲート)54がそれぞれ設置されていて、これらは車線制御装置55にそれぞれ接続されている。車線制御装置55は、通信回線を介して上位装置(ホストコンピュータ)56に接続されている。
【0018】
路側無線装置52は、外部の無線機器との間で通信を行なうための路側アンテナ57を備えていて、車両12に搭載された車載器58との間で狭域無線通信(DSRC)を利用した無線通信によりデータの送受信を行なうもので、車載器58から送信される車載器情報等を取得し、車線制御装置55に送るようになっている。
車線制御装置55は、全体的な制御を行なうとともに、路側無線装置52から送られる車載器情報に基づき料金収受処理等を行なうようになっている。
【0019】
また、道路11の側部で発進制御装置54よりも上流側には、以下に説明する撮像装置が設置されている。この撮像装置は、図2に示すように、道路11を走行する車両12内の運転者の顔画像をフロントガラス13越しにカメラ14で静止画として撮像するものである。
【0020】
図3は、第1の実施の形態に係る撮像装置の構成を概略的に示すものである。この撮像装置は、道路11を走行する車両12のフロントガラス13の角度を測定するフロントガラス角度測定手段としてのフロントガラス角度測定部21、道路11上に設定された撮像エリア内を走行する車両12の位置を測定する車両位置測定手段としての車両位置測定部22、道路11の撮像エリア内を走行する車両12の少なくともフロントガラス13部分を含む画像を静止画として撮像する複数のカメラからなる偏光撮像部23、フロントガラス角度測定部21により測定されたフロントガラス角度に基づき、偏光撮像部23内の複数のカメラの中から車両12のフロントガラス角度に対して最適なカメラを選択するとともに、当該選択したカメラに対する撮像エリア内の最適な撮像位置を決定する撮像制御手段、および、車両位置測定部22により測定された車両位置が決定された最適な撮像位置に到達した際に、選択された最適なカメラから静止画を取得する静止画取得手段としての撮像制御部24、および、これらを通信可能に接続するデータバスおよびアドレスバス25により構成されている。
データバスおよびアドレスバス25には、撮像装置の外部に設けられた画像処理手段としての録画装置(たとえば、ハードディスク記録装置等)26が接続されている。録画装置26は、撮像された静止画を例えば通行履歴情報として記録するものである。
【0021】
図3は、撮像装置の各機器の配置状態を模式的に示している。道路11上には、図示矢印a方向に走行する車両12を撮像する撮像エリアEが設定されていて、その撮像エリアEの手前に設定されたライン27の近傍にフロントガラス角度測定部21が配設されている。
【0022】
車両12の走行方向aに対する撮像エリアEの前方で、道路11の一方の側部(たとえば、車両12の走行方向aに対して右側部)には、車両位置測定部22が配設されている。この車両位置測定部22は、所定の高さを有するポール(支持部材)28上に設置されている。
【0023】
車両12の走行方向aに対する車両位置測定部22の前方で、道路11の一方の側部(たとえば、車両12の走行方向aに対して右側部)には、偏光撮像部23が配設されている。この偏光撮像部23は、後で詳細を説明するようにそれぞれが偏光フィルタ15a,15b,15cを装着した3つのカメラ14a,14b,14cを有していて、それぞれ路面に対して高さが異なるようにポール(支持部材)29に設置されている。
なお、以下、カメラ14aを単にカメラ1、カメラ14bを単にカメラ2、カメラ14cを単にカメラ3、と略称することもある。
【0024】
以下、各部について詳細に説明する。
フロントガラス角度測定部21は、たとえば、走行する車両12をその側面からカメラで撮像することによりフロントガラス13の角度を測定するものである。以下、カメラを用いたフロントガラス角度の測定の具体的な方法を説明する。道路11の側部に設置したカメラで真横から車両12を撮像すると、図5(a)に示すような画像が得られる。この得られた撮像画像を原画として以下のような画像処理を行なう。
【0025】
まず、図5(a)の原画に対し適切な閾値を用いて2値化処理を行なうことにより、図5(b)に示すような2値化画像を得る。次に、得られた図5(b)の2値化画像に対しエッジ検出処理を行なうことにより、図5(c)に示すようなエッジ検出画像を得る。次に、得られた図5(c)のエッジ検出画像において、車両12のフロントガラス13の位置と考えられる一定のエリア31内で、一定の長さ32を持ったエッジ(線)13aを検出し、その線13aの水平線33に対する角度θaを計算することにより、フロントガラス角度を測定する。
【0026】
なお、フロントガラス角度の測定方法は、上述したカメラを用いた測定方法に限らず、たとえば、公知のレーザレーダを用いても実現可能である。すなわち、レーザユニットからのレーザ光を車両12の側面に照射し、当該レーザ光が車両12の側面に反射して戻ってくるまでの往復時間を測定することにより、車両12までの距離を求め、そのレーザユニットを2次元的にスキャンすることにより、車両12の形状を計測する。次に、計測した車両12の形状から、たとえば、フロントガラス位置と考えられる一定のエリア内で、一定の長さを持った線を検出し、その線の水平線に対する角度を計算することにより、フロントガラス角度を測定する。
【0027】
車両位置測定部22は、たとえば、公知のレーザレーダを用いて実現可能である。すなわち、レーザユニットからのレーザ光を走行してくる車両12の前面に照射し、当該レーザ光が車両12の前面に反射して戻ってくるまでの往復時間を測定することにより、車両12までの距離を求め、この求めた距離により車両12の位置を測定する。
【0028】
なお、車両12の位置測定方法は、上述したレーザレーダによる測定方法に限らず、たとえば、ミリ波レーダや超音波を用いても3次元的に位置を測定できることは周知であり、これらの方法でも実現可能である。
【0029】
偏光撮像部23は、たとえば、図4に示したように、それぞれが偏光フィルタ15a,15b,15cを撮像面側に装着した3つのカメラ(たとえば、デジタルカメラ)14a,14b,14c、および、これら3つのカメラ14a,14b,14cを切換えるカメラ切換部(図示しない)からなり、それぞれのカメラ14a,14b,14cは、特定の車両位置における特定のフロントガラス角度に対して、フロントガラス13からの反射光を理論上零(0)にするように設置、調整される。
【0030】
以下、具体的にカメラ構成の1つについて図6を用いて偏光撮像の原理を説明する。カメラ14の最適配置には2つの条件がある。第1の条件は、車両12のフロントガラス13に対する入射光θがブリュースタ角となることである。一般に知られるように、ガラスのような光学的に滑らかな物質においては、ブリュースタ角と呼ばれる角度にて光が入射した場合、その反射光のうち入射面16上を振動するP波の振幅は0となり、S波のみが反射される。第2の条件として、カメラ14側に装着する偏光フィルタ15の偏光角(回転角)ΦをS波の通過がないように調整する。これによって、S波は遮断され、反射光は偏光フィルタ15を透過しない。
【0031】
なお、図6において、符号17はフロントガラス13に反射する(映り込む)太陽や雲などの反射物体を示している。
【0032】
このように、カメラ14の位置と偏光フィルタ15の偏光角を調整することにより、特定のフロントガラス角度の特定の車両位置における反射光の振幅を理論上0にすることが可能である。
【0033】
本実施の形態においては、異なるフロントガラス角度θ、θ、θを特定車両位置Lに置いてそれぞれ最適化した、それぞれが偏光フィルタ15a,15b,15cを撮像面側に装着した3つのカメラ14a,14b,14cから構成する。これらのカメラ14a,14b,14cに対し、図示しないカメラ切換部が撮像制御部24からのカメラ選択信号に基づき1つのカメラを選択し、撮像制御部24からの撮像信号(シャッタオン信号)に基づき静止画を撮像する。
【0034】
なお、本実施の形態では、カメラ14a,14b,14cとしてデジタルカメラを用いているが、ビデオカメラを用いて静止画を取得する場合も同様に適用可能である。
また、偏光フィルタ15a,15b,15cは、直線偏光フィルタだけではなく、円偏光フィルタも含むものとする。機能的には直線偏光フィルタでも満たすことが可能であるが、カメラの種類によっては受光素子直前に偏光特性を持つフィルタが入っている場合があり、その場合、円偏光フィルタを使用したほうが有利となる。
【0035】
撮像制御部24は、たとえば、プログラムやカメラ選択テーブルを格納するメモリとプログラムを実行するCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)からなり、フロントガラス角度測定部21で測定されたフロントガラス角度と車両位置測定部22で測定された車両位置とを入力とし、図7に示すようなカメラ選択テーブルを用いて最適なカメラの選択信号と最適な撮像位置(撮像ポイント)および撮像信号(シャッタオン信号)を出力するものである。
【0036】
以下、最適なカメラの選択方法について具体的に説明する。カメラ選択テーブルは、たとえば、図7に示すように、任意のフロントガラス角度θに対する最適なカメラと当該最適なカメラに対する撮像エリアE内の最適な撮像位置(撮像ポイント)Lを示している。図7の例では、フロントガラス角度θおよび撮像位置Lを連続的に表示しているが、実際のカメラ選択テーブルではある分解能で構築する。たとえば、フロントガラス角度θは5度ごと、撮像位置Lは50cmごととする。本カメラ選択テーブルは、あらかじめ撮像制御部24内のROM(リード・オンリ・メモリ)に書込まれているものであり、作成の仕方は以下のように行なわれる。
【0037】
図4に示したように、路面に対して高さの異なる3つのカメラ14a,14b,14cを考える。それぞれのカメラ14a,14b,14cの視野範囲は撮像エリアE全体を含むものとする。カメラ14a,14b,14cは、フロントガラス角度θ、θ、θに対し、それぞれ撮像エリアEの中央部Lの車両位置に対して、偏光撮像部23にて述べたように幾何的に最適化したものとする。任意のフロントガラス角度θの車両12に対するカメラと当該カメラに対する撮像エリアE内の撮像位置(撮像ポイント)Lの最適化は、偏光撮像部23で述べた幾何的な最適条件に最も近い撮像位置とカメラの条件を1つだけ選択することにより行なう。なお、複数のフロントガラス角度の車両12に対して車両位置を変えた実験を行なうことにより、作成する方法も考えられる。
【0038】
このようにして、カメラ選択テーブルを用いて求めた最適なカメラの選択信号は、たとえば、2ビットを使用し、3つのカメラ14a,14b,14cに対して、0(カメラ1)、1(カメラ2)、2(カメラ3)、3(出力なし)を割り当て、偏光撮像部23へ送られる。
【0039】
また、カメラ選択テーブルを用いて求めた最適な撮像位置に車両12が到着すると、たとえば、1ビットの撮像信号(シャッタオン信号)を偏光撮像部23に与えることにより、その撮像信号をトリガにしてシャッタをオンして静止画を取得する。
【0040】
次に、上記のような構成において、図8に示すフローチャートを参照して動作を説明する。
図4に示したように、あらかじめ定められた撮像エリアE内にて車両12に搭乗する人物(運転者)の顔画像を静止画としてフロントガラス越しに撮像し、それを例えば通行履歴情報として録画する場合を考える。
【0041】
車両位置測定部22が、走行する車両12が撮像エリアEの手前にあるライン27に到着したことを測定すると(ステップS1)、同じく撮像エリアEの手前にあるフロントガラス角度測定部21は、当該車両12のフロントガラス13の角度θを測定し(ステップS2)、たとえば、角度θという測定結果が得られたとする。
【0042】
すると、撮像制御部24は、図7のようなカメラ選択テーブルにしたがって最適なカメラと当該最適なカメラに対する最適な撮像位置(撮像ポイント)の決定を行なう(ステップS3)。図7によると、フロントガラス角度θにおける最適なカメラはカメラ1(カメラ14a)であり、当該最適なカメラ1に対する最適な撮像位置(撮像ポイント)はLpである(ステップS4)。撮像制御部24は、決定した最適なカメラの選択信号(この例の場合はカメラ1の選択信号)を偏光撮像部23に送る。
【0043】
車両位置測定部22は、走行する車両12の位置の測定を開始し(ステップS5)、車両12が撮像エリアE内の最適な撮像位置Lpに到着したか否かを測定し続ける(ステップS6)。
【0044】
車両位置測定部22が、走行する車両12が撮像位置Lpに到着したことを測定すると、その信号を受けた撮像制御部24は、撮像信号(シャッタオン信号)を偏光撮像部23に与える。偏光撮像部23は、先に送られたカメラ1選択信号に基づきカメラ1(カメラ14a)を選択し、そのシャッタをオンすることにより、車両12に搭乗する人物(運転者)の顔画像を静止画としてフロントガラス越しに撮像する(ステップS7)。カメラ1により撮像された静止画は録画装置26に送られ、例えば通行履歴情報として録画される。
【0045】
なお、ステップS4で決定された最適なカメラがカメラ2(カメラ14b)であった場合、以降、前述したステップS5〜S7の処理と同様の処理(ステップS8〜S10)を行なうことにより、カメラ2により撮像された静止画の録画が行なわれる。
また、ステップS4で決定された最適なカメラがカメラ3(カメラ14c)であった場合、以降、前述したステップS5〜S7の処理と同様の処理(ステップS11〜S13)を行なうことにより、カメラ3により撮像された静止画の録画が行なわれる。
【0046】
以上説明した動作により、複数のカメラの中から最適なカメラを選択し、かつ最適な撮像位置にて撮像することができるので、フロントガラス角度の異なる車両に対しても、太陽光等によるフロントガラスの反射光の影響を低減して、車両内の運転者の顔画像を高画質な静止画として撮像することができる。
【0047】
次に、第2の実施の形態に係る撮像装置について説明する。
なお、第2の実施の形態に係る撮像装置の構成は前述した第1の実施の形態(図3)とほぼ同じであるので図示は省略するが、撮像制御部24の処理内容が一部異なるため、その部分のみについて述べる。
【0048】
撮像制御部24は、第1の実施の形態とは異なり、3つのカメラ14a,14b,14cそれぞれに対して最適な撮像位置(撮像ポイント)を決定し、撮像信号(シャッタオン信号)を出力するもので、図9に示すような撮像位置決定テーブルを用いて行なう。
【0049】
以下、最適なカメラの選択方法について具体的に説明する。撮像位置決定テーブルは、たとえば、図9に示すように、任意のフロントガラス角度θに対する撮像エリアE内の最適な撮像位置(撮像ポイント)Lを各カメラごとに示している。図9の例では、フロントガラス角度θおよび撮像位置Lを連続的に表示しているが、実際の撮像位置決定テーブルではある分解能で構築する。たとえば、フロントガラス角度θは5度ごと、撮像位置Lは50cmごととする。
【0050】
第1の実施の形態では、測定されたフロントガラス角度に対して最も設定の近いカメラと撮像位置の選定を行なったが、第2の実施の形態においては、それぞれのカメラ14a,14b,14cに対して、測定されたフロントガラス角度に対して最適な撮像位置を決定する。図9の例では、フロントガラス角度がθ4の場合の最適な撮像位置(撮像ポイント)Lの決定を示しており、カメラ1は撮像位置L1に決定され、カメラ2は撮像位置L2に決定され、カメラ3は撮像位置L3に決定され、それぞれの撮像位置で最も反射光が低減される。
【0051】
このようにして、撮像位置決定テーブルを用いて決定した各カメラごとの最適な撮像位置Lに車両12が到着すると、たとえば、1ビットの撮像信号(シャッタオン信号)を偏光撮像部23に与え、対応するカメラのシャッタをオンすることにより、静止画を取得する。
【0052】
以下、図10に示すフローチャートを参照して動作を説明する。
車両位置測定部22が、走行する車両12が撮像エリアEの手前にあるライン27に到着したことを測定すると(ステップS21)、同じく撮像エリアEの手前にあるフロントガラス角度測定部21は、当該車両12のフロントガラス13の角度θを測定し(ステップS22)、たとえば、角度θという測定結果が得られたとする。
【0053】
すると、撮像制御部24は、図9のような撮像位置決定テーブルにしたがって、それぞれのカメラ14a,14b,14cに対して、測定されたフロントガラス角度θに対して最適な撮像位置を決定する(ステップS23)。図9によると、フロントガラス角度θにおける最適な撮像位置(撮像ポイント)は、撮像エリア開始位置Lから順にカメラ3がL3、カメラ2がL2、カメラ1がL1である。
【0054】
車両位置測定部22は、走行する車両12の位置の測定を開始し(ステップS24)、車両12が撮像エリアE内のカメラ3の撮像位置L3に到着したか否かを測定し続ける。
【0055】
車両位置測定部22が、走行する車両12がカメラ3の撮像位置L3に到着したことを測定すると(ステップS25)、その信号を受けた撮像制御部24は、カメラ3(カメラ14c)に対する撮像信号(シャッタオン信号)を偏光撮像部23に与える。偏光撮像部23は、受取った撮像信号に基づきカメラ3(カメラ14c)のシャッタをオンすることにより、車両12に搭乗する人物(運転者)の顔画像を静止画としてフロントガラス越しに撮像する(ステップS26)。カメラ3により撮像された静止画は録画装置26に送られ、例えば通行履歴情報として録画される。
【0056】
次に、車両位置測定部22が、走行する車両12がカメラ2の撮像位置L2に到着したことを測定すると(ステップS27)、その信号を受けた撮像制御部24は、カメラ2(カメラ14b)に対する撮像信号(シャッタオン信号)を偏光撮像部23に与える。偏光撮像部23は、受取った撮像信号に基づきカメラ2(カメラ14b)のシャッタをオンすることにより、車両12に搭乗する人物(運転者)の顔画像を静止画としてフロントガラス越しに撮像する(ステップS28)。カメラ2により撮像された静止画は録画装置26に送られ、例えば通行履歴情報として録画される。
【0057】
次に、車両位置測定部22が、走行する車両12がカメラ1の撮像位置L1に到着したことを測定すると(ステップS29)、その信号を受けた撮像制御部24は、カメラ1(カメラ14a)に対する撮像信号(シャッタオン信号)を偏光撮像部23に与える。偏光撮像部23は、受取った撮像信号に基づきカメラ1(カメラ14a)のシャッタをオンすることにより、車両12に搭乗する人物(運転者)の顔画像を静止画としてフロントガラス越しに撮像する(ステップS30)。カメラ1により撮像された静止画は録画装置26に送られ、例えば通行履歴情報として録画される。
【0058】
なお、図10のフローチャート中におけるカメラn1,n2,n3はカメラ1,2,3のいずれかであり、これらは上述したようにステップS23の処理において対応付けされる。
【0059】
以上説明した動作により、第1の実施の形態と同様な作用効果が期待できる。
【0060】
なお、前記実施の形態では、偏光撮像部23として3つのカメラを配置して説明を行なったが、満たすべきフロントガラス角度の範囲があらかじめ判っている場合は、より少ない数のカメラで実施することが可能である。
【0061】
また、カメラや偏光フィルタの性能により、カメラが3つよりも少なくてすむ場合や、多くする必要がある場合がある。
さらに、前記実施の形態では、カメラからの画像を選択し録画したが、人物の顔画像を切り出して認識するなどの画像処理を後段の構成として設けてもよい。この場合も、最適なカメラを選択することによって、画像処理の負荷が低減できるという効果がある。
【符号の説明】
【0062】
11…道路、12…車両、13…フロントガラス、14,14a,14b,14c…カメラ、15,15a,15b,15c…偏光フィルタ、16…入射面、21…フロントガラス角度測定部(フロントガラス角度測定手段)、22…車両位置測定部(車両位置測定手段)、23…偏光撮像部、24…撮像制御部(撮像制御手段、静止画取得手段)、26…録画装置(画像処理手段)、E…撮像エリア、51…車両検知・車種判別装置、52…路側無線装置、54…発進制御装置(ゲート)、55…車線制御装置、56…上位装置(ホストコンピュータ)、57…路側アンテナ57、58…車載器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を走行する車両が当該道路上に設定された撮像エリア内に進入する前、当該道路を走行する車両のフロントガラスの角度を測定するフロントガラス角度測定手段と、
前記道路の撮像エリア内を走行する車両の位置を測定する車両位置測定手段と、
前記道路の撮像エリア内を走行する車両の少なくともフロントガラス部分を含む画像を静止画として撮像するもので、前記撮像エリア内の任意の車両位置における任意の角度のフロントガラスからの反射光を最小に抑えるために、設置位置および撮像面側に装着する偏光フィルタの偏光角を最適化した複数のカメラと、
前記フロントガラス角度測定手段により測定されたフロントガラス角度に基づき、前記複数のカメラの中から車両のフロントガラス角度に対して最適なカメラを選択するとともに、当該選択したカメラに対する前記撮像エリア内の最適な撮像位置を決定する撮像制御手段と、
前記車両位置測定手段により測定された車両位置が前記撮像制御手段により決定された最適な撮像位置に到達した際に、前記撮像制御手段により選択された最適なカメラから静止画を取得する静止画取得手段と、
を具備したことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
道路を走行する車両が当該道路上に設定された撮像エリア内に進入する前、当該道路を走行する車両のフロントガラスの角度を測定するフロントガラス角度測定手段と、
前記道路の撮像エリア内を走行する車両の位置を測定する車両位置測定手段と、
前記道路の撮像エリア内を走行する車両の少なくともフロントガラス部分を含む画像を静止画として撮像するもので、前記撮像エリア内の任意の車両位置における任意の角度のフロントガラスからの反射光を最小に抑えるために、設置位置および撮像面側に装着する偏光フィルタの偏光角を最適化した複数のカメラと、
前記フロントガラス角度測定手段により測定されたフロントガラス角度に基づき、前記複数のカメラのそれぞれに対する前記撮像エリア内の最適な撮像位置を決定する撮像制御手段と、
前記車両位置測定手段により測定された車両位置が前記撮像制御手段により決定された最適な撮像位置に到達した際に、前記複数のカメラから順次静止画を取得する静止画取得手段と、
を具備したことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
有料道路の料金所において、当該料金所の道路に進入してくる車両に搭載された車載器との間で無線通信を行なうことにより当該車両に対する通行料金の収受処理を行なうとともに、当該道路を走行する車両内の人物の画像をフロントガラス越しに静止画として撮像する料金収受システムにおいて、
前記道路を走行する車両が当該道路上に設定された撮像エリア内に進入する前、当該道路を走行する車両のフロントガラスの角度を測定するフロントガラス角度測定手段と、
前記道路の撮像エリア内を走行する車両の位置を測定する車両位置測定手段と、
前記道路の撮像エリア内を走行する車両の少なくともフロントガラス部分を含む画像を静止画として撮像するもので、前記撮像エリア内の任意の車両位置における任意の角度のフロントガラスからの反射光を最小に抑えるために、設置位置および撮像面側に装着する偏光フィルタの偏光角を最適化した複数のカメラと、
前記フロントガラス角度測定手段により測定されたフロントガラス角度に基づき、前記複数のカメラの中から車両のフロントガラス角度に対して最適なカメラを選択するとともに、当該選択したカメラに対する前記撮像エリア内の最適な撮像位置を決定する撮像制御手段と、
前記車両位置測定手段により測定された車両位置が前記撮像制御手段により決定された最適な撮像位置に到達した際に、前記撮像制御手段により選択された最適なカメラから静止画を取得する静止画取得手段と、
この静止画取得手段により取得された静止画を処理する画像処理手段と、
を具備したことを特徴とする料金収受システム。
【請求項4】
有料道路の料金所において、当該料金所の道路に進入してくる車両に搭載された車載器との間で無線通信を行なうことにより当該車両に対する通行料金の収受処理を行なうとともに、当該道路を走行する車両内の人物の画像をフロントガラス越しに静止画として撮像する料金収受システムにおいて、
前記道路を走行する車両が当該道路上に設定された撮像エリア内に進入する前、当該道路を走行する車両のフロントガラスの角度を測定するフロントガラス角度測定手段と、
前記道路の撮像エリア内を走行する車両の位置を測定する車両位置測定手段と、
前記道路の撮像エリア内を走行する車両の少なくともフロントガラス部分を含む画像を静止画として撮像するもので、前記撮像エリア内の任意の車両位置における任意の角度のフロントガラスからの反射光を最小に抑えるために、設置位置および撮像面側に装着する偏光フィルタの偏光角を最適化した複数のカメラと、
前記フロントガラス角度測定手段により測定されたフロントガラス角度に基づき、前記複数のカメラのそれぞれに対する前記撮像エリア内の最適な撮像位置を決定する撮像制御手段と、
前記車両位置測定手段により測定された車両位置が前記撮像制御手段により決定された最適な撮像位置に到達した際に、前記複数のカメラから順次静止画を取得する静止画取得手段と、
この静止画取得手段により取得された静止画を処理する画像処理手段と、
を具備したことを特徴とする料金収受システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−165005(P2011−165005A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28113(P2010−28113)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】