撮像装置および測光方法
【課題】リニア出力タイプの測光センサを用いた測光において適正な被写体輝度が検出されるまでの時間を短縮できる撮像装置の技術を提供する。
【解決手段】撮像装置は、露光により複数の画素それぞれで生成される電荷信号を異なる2つのゲインでリニアに増幅し、2つの測光値を出力するリニア出力タイプの測光センサを備え、測定輝度に関して低輝度領域Laと高輝度領域Lcと、これらの間の輝度である中輝度領域Lbとに分け、各輝度領域La、Lb、Lcにおいて以下のように2つのグラフHa、Hcのうち拡張デジタル値として採用する1つのグラフを決定し各画素Pxの拡張デジタル値EBx(i,j)を生成する。この生成された測光データに基づき次の測光で設定する露光条件を導出すれば、適正な被写体輝度が検出されるまでの時間を短縮できることとなる。
【解決手段】撮像装置は、露光により複数の画素それぞれで生成される電荷信号を異なる2つのゲインでリニアに増幅し、2つの測光値を出力するリニア出力タイプの測光センサを備え、測定輝度に関して低輝度領域Laと高輝度領域Lcと、これらの間の輝度である中輝度領域Lbとに分け、各輝度領域La、Lb、Lcにおいて以下のように2つのグラフHa、Hcのうち拡張デジタル値として採用する1つのグラフを決定し各画素Pxの拡張デジタル値EBx(i,j)を生成する。この生成された測光データに基づき次の測光で設定する露光条件を導出すれば、適正な被写体輝度が検出されるまでの時間を短縮できることとなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光により複数の光電変換ユニットそれぞれで生成される電荷信号をリニアに増幅して測光値を生成する測光センサを備えた撮像装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル一眼レフカメラなどの撮像装置においては、測光センサにより被写体の輝度を検出し、これを露出制御に活用するものがある。
【0003】
上記の測光センサに関しては、例えばCCDとして構成されるリニア出力タイプやLOGセンサとして構成される対数圧縮タイプのものがある。ここで、リニア出力タイプの測光センサにおいては、高精度な測光出力を得ることができたり、フラッシュ発光時でも測光を行えるなどの利点を有している。一方、リニア出力タイプでは、測光のダイナミックレンジが対数圧縮タイプに比べて比較的狭いレンジ(例えば6EV程度)となるため、このダイナミックレンジから被写体輝度が外れて白飛びや黒潰れが生じる場合がある。このような場合には、積分時間(露光時間)等の測光条件を変更した再度の測光を行う必要があり、適正な被写体輝度が検出されるまでの時間が長くなってしまう。
【0004】
このリニア出力タイプの欠点を改善する技術としては、例えば特許文献1に開示されるものが提案されている。この技術においては、光電変換作用により光電変換素子で生成された電荷信号を異なるゲイン(増幅率)で増幅し、その増幅された複数の増幅信号を同時にセンサから出力することで、ダイナミックレンジの拡大が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−189537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、異なるゲインが乗じられた複数の増幅信号がセンサから出力されるものの、これらの増幅信号から最適なものを選択する制御を行わなければ、適正な被写体輝度が得られず、その検出時間の短縮に繋がらない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、リニア出力タイプの測光センサを用いた測光において適正な被写体輝度が検出されるまでの時間を短縮できる撮像装置の技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの側面は、撮像装置であって、露光により所定の光電変換セルを有した複数の光電ユニットそれぞれにて生成される電荷信号を異なる複数のゲインでリニアに増幅して複数の測光値を生成し、当該複数の測光値を第1のダイナミックレンジで出力する測光センサと、第1の露光条件に設定された測光により前記測光センサから出力される複数の測光値と前記ゲインとに基づき、前記第1のダイナミックレンジより広い第2のダイナミックレンジを持つ測光データを生成するとともに、当該測光データに基づいて前記第1の露光条件に設定された測光に係る次の測光で設定する第2の露光条件を導出する測光制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、露光により所定の光電変換セルを有した複数の光電ユニットそれぞれにて生成される電荷信号を異なる複数のゲインでリニアに増幅して複数の測光値を生成し、当該複数の測光値を第1のダイナミックレンジで出力する測光センサを備え、第1の露光条件に設定された測光により測光センサから出力される複数の測光値とゲインとに基づき第1のダイナミックレンジより広い第2のダイナミックレンジを持つ測光データを生成するとともに、当該測光データに基づいて次の測光で設定する第2の露光条件を導出する。その結果、リニア出力タイプの測光センサを用いた測光において適正な被写体輝度が検出されるまでの時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る撮像装置の外観構成を示す図である。
【図2】撮像装置の外観構成を示す図である。
【図3】撮像装置の縦断面図である。
【図4】ミラーアップの状態を説明するための図である。
【図5】撮像装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図6】測光センサの構成を説明するための図である。
【図7】測光センサの構成を説明するための図である。
【図8】測光センサの動作を説明するための図である。
【図9】測光センサからの測光出力を説明するための図である。
【図10】測光のダイナミックレンジを拡張する手法を説明するための図である。
【図11】撮像装置の基本的な動作を示すフローチャートである。
【図12】測光処理を示すフローチャートである。
【図13】測光センサからの測光出力を説明するための図である。
【図14】測光のダイナミックレンジを拡張する手法を説明するための図である。
【図15】本発明の変形例に係る測光センサの構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
[撮像装置の外観構成]
図1および図2は、本発明の実施形態に係る撮像装置1の外観構成を示す図である。ここで、図1および図2は、それぞれ正面図および背面図を示している。
【0012】
撮像装置1は、例えば一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラとして構成されており、カメラボディ10と、カメラボディ10に着脱自在な撮影レンズとしての交換レンズ2とを備えている。
【0013】
図1において、カメラボディ10の正面側には、正面略中央に交換レンズ2が装着されるマウント部301と、マウント部301の右横に配置されたレンズ交換ボタン302と、把持可能とするためのグリップ部303とが設けられている。また、カメラボディ10には、正面左上部に配置されたモード設定ダイアル305と、正面右上部に配置された制御値設定ダイアル306と、グリップ部303の上面に配置されたシャッターボタン307とが設けられている。
【0014】
また、図2において、カメラボディ10の背面側には、LCD(Liquid Crystal Display)311と、LCD311の左方に配置された設定ボタン群312と、LCD311の右方に配置された十字キー314と、十字キー314の中央に配置されたプッシュボタン315とが備えられている。また、カメラボディ10の背面側には、LCD311の上方に配設されたファインダ窓316と、ファインダ窓316の周囲を囲むアイカップ321と、ファインダ窓316の左方に配設されたメインスイッチ317とが設けられている。さらに、カメラボディ10は、その背面側にファインダ窓316の右方に配設された露出補正ボタン323およびAEロックボタン324と、ファインダ窓316の上方に配設されたフラッシュ部318および接続端子部319とを備えている。
【0015】
マウント部301には、装着された交換レンズ2との電気的接続を行うためコネクタEc(図5参照)や、機械的接続を行うためのカプラ75(図5参照)が設けられている。
【0016】
レンズ交換ボタン302は、マウント部301に装着された交換レンズ2を取り外す際に押下されるボタンである。
【0017】
グリップ部303は、ユーザが撮影時に撮像装置1を把持する部分であり、フィッティング性を高めるために指形状に合わせた表面凹凸が設けられている。なお、グリップ部303の内部には電池収納室およびカード収納室(不図示)が設けられている。電池収納室にはカメラの電源として電池69B(図5参照)が収納されており、カード収納室には撮影画像の画像データを記録するためのメモリカード67(図5参照)が着脱可能に収納されるようになっている。なお、グリップ部303には、当該グリップ部303をユーザが把持したか否かを検出するためのグリップセンサを設けるようにしても良い。
【0018】
モード設定ダイアル305及び制御値設定ダイアル306は、カメラボディ10の上面と略平行な面内で回転可能な略円盤状の部材からなる。モード設定ダイアル305は、自動露出(AE)制御モードや自動焦点(AF;オートフォーカス)制御モード、或いは1枚の静止画を撮影する静止画撮影モードや連続撮影を行う連続撮影モード等の各種撮影モード、記録済みの画像を再生する再生モード等、撮像装置1に搭載されたモードや機能を択一的に選択するためのものである。一方、制御値設定ダイアル306は、撮像装置1に搭載された各種の機能に対する制御値を設定するためのものである。
【0019】
シャッターボタン307は、途中まで押し込んだ「半押し状態」の操作と、さらに押し込んだ「全押し状態」の操作とが可能とされた押下スイッチである。静止画撮影モードにおいてシャッターボタン307が半押しされると、被写体の静止画を撮影するための準備動作(露出制御値の設定や焦点検出等の準備動作)が実行される。また、シャッターボタン307が全押しされると、撮影動作(撮像素子101(図3参照)を露光し、その露光によって得られた画像信号に所定の画像処理を施してメモリカード67等に記録する一連の動作)が実行される。
【0020】
LCD311は、画像表示が可能なカラー液晶パネルを備えており、撮像素子101(図3参照)により被写体を撮像して取得された画像の表示や記録済みの画像の再生表示等を行うとともに、撮像装置1に搭載される機能やモードの設定画面を表示するものである。なお、LCD311に代えて、有機ELやプラズマ表示装置を用いるようにしても良い。
【0021】
設定ボタン群312は、撮像装置1に搭載された各種の機能に対する操作を行うボタンである。この設定ボタン群312には、例えばLCD311に表示されるメニュー画面で選択された内容を確定するための選択確定スイッチ、選択取り消しスイッチ、メニュー画面の内容を切り替えるメニュー表示スイッチ、表示オン/オフスイッチ、表示拡大スイッチなどが含まれる。
【0022】
十字キー314は、円周方向に一定間隔で配置された複数の押圧部(図中の三角印の部分)を備える環状の部材を有し、各押圧部に対応して備えられた図示省略の接点(スイッチ)により押圧部の押圧操作が検出されるように構成されている。また、プッシュボタン315は、十字キー314の中央に配置されている。十字キー314及びプッシュボタン315は、撮影倍率の変更(ズームレンズ212(図5参照)のワイド方向やテレ方向への移動)、LCD311等に再生する記録画像のコマ送り、及び撮影条件(絞り値、シャッタスピード、フラッシュ発光の有無等)の設定等の指示を入力するためのものである。
【0023】
ファインダ窓316は、被写体が撮影される範囲を光学的に表示するものである。すなわち、ファインダ窓316には、交換レンズ2からの被写体像が導かれており、ユーザは、このファインダ窓316を覗くことにより、実際に撮像素子101にて撮像される被写体を視認することができる。
【0024】
メインスイッチ317は、左右にスライドする2接点のスライドスイッチからなり、左にセットすると撮像装置1の電源がオンされ、右にセットすると電源がオフされる。
【0025】
フラッシュ部318は、ポップアップ式の内蔵フラッシュとして構成されている。一方、外部フラッシュ等をカメラボディ10に取り付ける場合には、接続端子部319を使用して接続する。
【0026】
アイカップ321は、遮光性を有してファインダ窓316への外光の侵入を抑制する「コ」字状の遮光部材である。
【0027】
露出補正ボタン323は、露出値(絞り値やシャッタースピード)を手動で調整するためのボタンであり、AEロックボタン324は、露出を固定するためのボタンである。
【0028】
交換レンズ2は、被写体からの光(光像)を取り込むレンズ窓として機能するとともに、当該被写体光をカメラボディ10の内部に配置されている撮像素子101に導くための撮影光学系として機能するものである。この交換レンズ2は、上述のレンズ交換ボタン302を押下操作することで、カメラボディ10から取り外すことが可能となっている。
【0029】
交換レンズ2は、光軸LTに沿って直列的に配置された複数のレンズからなるレンズ群21を備えている(図5参照)。このレンズ群21には、焦点の調節を行うためのフォーカスレンズ211(図5参照)と、変倍を行うためのズームレンズ212(図5参照)とが含まれており、それぞれ光軸LT(図3参照)方向に駆動されることで、変倍や焦点調節が行われる。また、交換レンズ2には、その鏡胴の外周適所に該鏡胴の外周面に沿って回転可能な操作環が備えられており、上記のズームレンズ212は、マニュアル操作或いはオート操作により、上記操作環の回転方向及び回転量に応じて光軸方向に移動し、その移動先の位置に応じたズーム倍率(撮影倍率)に設定されるようになっている。
【0030】
[撮像装置1の内部構成]
次に、撮像装置1の内部構成について説明する。図3は、撮像装置1の縦断面図である。図3に示すように、カメラボディ10の内部には、撮像素子101、ファインダ部102(ファインダ光学系)、ミラー部103、位相差AFモジュール107などが備えられている。
【0031】
撮像素子101は、カメラボディ10に交換レンズ2が装着された場合の当該交換レンズ2が備えているレンズ群21の光軸LT上において、光軸LTに対して垂直となる方向に配置されている。撮像素子101としては、例えばフォトダイオードを有して構成される複数の画素がマトリクス状に2次元配置され、各画素の受光面に、それぞれ分光特性の異なる例えばR(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタが1:2:1の比率で配設されてなるベイヤー配列のCMOSカラーエリアセンサ(CMOS型の撮像素子)が用いられる。撮像素子101は、交換レンズ2を通って結像された被写体の光像をR(赤)、G(緑)、B(青)各色成分のアナログの電気信号(画像信号)に変換し、R、G、B各色の画像信号として出力する。
【0032】
上記の光軸LT上において、被写体光をファインダ部102へ向けて反射される位置には、ミラー部103が配置されている。交換レンズ2を通過した被写体光は、ミラー部103(後述の主ミラー1031)によって上方へ反射される。交換レンズ2を通過した被写体光の一部はこのミラー部103を透過する。
【0033】
ファインダ部102は、ペンタプリズム105、接眼レンズ106及びファインダ窓316を備えている。ペンタプリズム105は、断面5角形を呈し、その下面から入射された被写体光像を内部での反射によって当該光像の天地左右を入れ替えて正立像にするためのプリズムである。接眼レンズ106は、ペンタプリズム105により正立像にされた被写体像をファインダ窓316の外側に導く。このような構成により、ファインダ部102は、本撮影前の撮影待機時において被写体を確認するためのファインダとして機能する。
【0034】
ミラー部103は、主ミラー1031及びサブミラー1032から構成されており、主ミラー1031の背面側において、サブミラー1032が主ミラー1031の背面に向けて倒れるように回動可能に設けられている。主ミラー1031を透過した被写体光の一部はサブミラー1032によって反射され、この反射された被写体光は位相差AFモジュール107に入射される。
【0035】
上記のミラー部103は、所謂クイックリターンミラーとして構成されており、露光時(本撮影時)には図4に示すように回転軸1033を回動支点として上方に向けて跳ね上がる。この際、サブミラー1032は、上記のミラー部103がペンタプリズム105の下方位置で停止したときには、主ミラー1031と略平行となるように折り畳まれた状態となる。これにより、ミラー部103によって遮られることなく、光軸LT上の光路に沿って交換レンズ2から導光された被写体光が、撮像素子(撮像センサ)101で受光される。撮像素子101が露光される撮像動作が終了すると、ミラー部103は元の位置(図3に示す位置)に復帰する。
【0036】
また、ミラー部103を本撮影(画像記録用の撮影)の前に図4に示すミラーアップの状態にすることにより撮像装置1は、撮像素子101で順次に生成される画像信号に基づき動画的態様で被写体をLCD311に表示するライブビュー(プレビュー)表示が可能となっている。すなわち、本撮影前の撮像装置1では、上記のライブビュー表示が行われる電子ファインダ(ライブビューモード)、または光学ファインダを選択して被写体の構図決めが可能である。なお、電子ファインダと光学ファインダとの切替えは、図2に示す切替スイッチ85を操作することにより行われる。
【0037】
また、ファインダ部102におけるペンタプリズム106の下方には、焦点板(フォーカシングスクリーン)77が配設されるとともに、ペンタプリズム106の上部後方に測光センサ78が設けられている。
【0038】
焦点板77では、主ミラー1031で反射されて上方に進路を変更した被写体光が結像される。
【0039】
測光センサ78は、受光量に比例した測光値が出力されるリニア出力タイプ(リニア積分タイプ)の測光素子として構成されており、焦点板77を通ってペンタプリズム105内に入射された被写体光を受光し、被写体に関する測光値を取得する。この測光センサ78の構成および動作については、後で詳述する。
【0040】
位相差AFモジュール107は、被写体のピント情報を検出する測距素子等からなる所謂AFセンサとして構成されている。この位相差AFモジュール107は、ミラー部103の底部に配設されており、位相差検出方式の焦点検出(以下では「位相差AF」ともいう)により合焦位置を検出する。すなわち、撮影待機時においてユーザがファインダ窓316で被写体を確認する場合には、図3に示すように主ミラー1031およびサブミラー1032がダウンされた状態で位相差AFモジュール107に被写体からの光が導かれる。そして、位相差AFモジュール107からの出力に基づき交換レンズ2内のフォーカスレンズ211が駆動されてピント合わせが行われる。
【0041】
撮像素子101の光軸方向前方には、シャッタユニット40が配置されている。このシャッタユニット40は、上下方向に移動する幕体を備え、その開動作および閉動作により光軸LTに沿って撮像素子101に導かれる被写体光の光路開口動作および光路遮断動作を行うメカニカルフォーカルプレーンシャッタとして構成されている。なお、シャッタユニット40は、撮像素子101が完全電子シャッター可能な撮像素子である場合には省略可能である。
【0042】
また、交換レンズ2には、カメラボディ10に備えられた撮像素子101へ入射される光量を調節するための絞り23が設けられている。
【0043】
[撮像装置1の電気的構成]
図5は、撮像装置1の電気的な構成を示すブロック図である。ここで、図1〜図4と同一の部材等については、同一の符号を付している。なお、説明の便宜上、交換レンズ2の電気的構成について先ず説明する。
【0044】
交換レンズ2は、上述したレンズ群21に加え、レンズ駆動機構24と、レンズ位置検出部25と、レンズ制御部26と、絞り駆動機構27とを備えている。
【0045】
レンズ群21では、フォーカスレンズ211及びズームレンズ212と絞り23とが、鏡胴22内において光軸LT(図3)方向に保持されており、被写体の光像を取り込んで撮像素子101に結像させる。AF制御では、フォーカスレンズ211が交換レンズ2内のAFアクチュエータ71Mにより光軸LT方向に駆動されることで焦点調節が行われる。
【0046】
フォーカス駆動制御部71Aは、レンズ制御部26を介してメイン制御部62から与えられるAF制御信号に基づき、フォーカスレンズ211を合焦位置に移動させるために必要な、AFアクチュエータ71Mに対する駆動制御信号を生成するものである。AFアクチュエータ71Mは、ステッピングモータ等からなり、レンズ駆動機構24にレンズ駆動力を与える。
【0047】
レンズ駆動機構24は、例えばヘリコイド及び該ヘリコイドを回転させる図示省略のギア等で構成され、AFアクチュエータ71Mからの駆動力を受けて、フォーカスレンズ211等を光軸LTと平行な方向に駆動させるものである。なお、フォーカスレンズ211の移動方向及び移動量は、それぞれAFアクチュエータ71Mの回転方向及び回転数に従う。
【0048】
レンズ位置検出部25は、レンズ群21の移動範囲内において光軸LT方向に複数個のコードパターンが所定ピッチで形成されたエンコード板と、このエンコード板に摺接しながらレンズと一体的に移動するエンコーダブラシとを備えており、レンズ群21の焦点調節時の移動量を検出する。なお、レンズ位置検出部24で検出されたレンズ位置は、例えばパルス数として出力される。
【0049】
レンズ制御部26は、例えば制御プログラムを記憶するROMや状態情報に関するデータを記憶するフラッシュメモリ等のメモリが内蔵されたマイクロコンピュータからなっている。
【0050】
また、レンズ制御部26は、コネクタEcを介してカメラボディ10のメイン制御部62との間で通信を行う通信機能を有している。これにより、例えばレンズ群21の焦点距離、射出瞳位置、絞り値、合焦距離及び周辺光量状態等の状態情報データや、レンズ位置検出部25で検出されるフォーカスレンズ211の位置情報をメイン制御部62に送信できるとともに、メイン制御部62から例えばフォーカスレンズ211の駆動量のデータを受信できる。
【0051】
絞り駆動機構27は、カプラ75を介して絞り駆動アクチュエータ76Mからの駆動力を受けて、絞り23の絞り径を変更するものである。
【0052】
続いて、カメラボディ10の電気的構成について説明する。カメラボディ10は、先に説明した撮像素子101、シャッタユニット40等の他に、AFE(アナログフロントエンド)5および画像処理部61、画像メモリ614、メイン制御部62、フラッシュ回路63、操作部64、VRAM65、カードI/F66、メモリカード67を備えて構成される。また、カメラボディ10は、通信用I/F68、電源回路69、電池69B、ミラー駆動制御部72A及びミラー駆動アクチュエータ72M、シャッタ駆動制御部73A及びシャッタ駆動アクチュエータ73M、絞り駆動制御部76A及び絞り駆動アクチュエータ76Mを備えて構成されている。
【0053】
撮像素子101は、先に説明した通りCMOSカラーエリアセンサからなり、後述のタイミング制御回路51により、当該撮像素子101の露光動作の開始(及び終了)や、撮像素子101が備える各画素の出力選択、画素信号の読出し等の撮像動作が制御される。
【0054】
AFE5は、撮像素子101に対して所定の動作を行わせるタイミングパルスを与えるとともに、撮像素子101から出力される被写体の画像信号に所定の信号処理を施し、デジタル信号に変換して画像処理部61に出力するものである。このAFE5は、タイミング制御回路51、信号処理部52及びA/D変換部53などを備えて構成されている。
【0055】
タイミング制御回路51は、メイン制御部62から出力される基準クロックに基づいて所定のタイミングパルス(垂直走査パルスφVn、水平走査パルスφVm、リセット信号φVr等を発生させるパルス)を生成して撮像素子101に出力し、撮像素子101の撮像動作を制御する。また、所定のタイミングパルスを信号処理部52やA/D変換部53にそれぞれ出力することにより、信号処理部52及びA/D変換部53の動作を制御する。
【0056】
信号処理部52は、撮像素子101から出力されるアナログの画像信号に所定のアナログ信号処理を施すもので、CDS(相関二重サンプリング)回路、AGC(オートゲインコントロール)回路及びクランプ回路等が設けられている。このAGC回路では、撮像素子101で生成された画像信号を増幅率(ゲイン)可変に増幅することができる。また、A/D変換部53は、信号処理部52から出力されたアナログのR、G、Bの画像信号を、タイミング制御回路51から出力されるタイミングパルスに基づいて、複数のビット(例えば12ビット)からなるデジタルの画像信号に変換するものである。
【0057】
画像処理部61は、AFE5から出力される画像データに所定の信号処理を行って画像ファイルを作成するもので、黒レベル補正回路611、ホワイトバランス補正回路612及びガンマ補正回路613等を備えて構成されている。なお、画像処理部61へ取り込まれた画像データは、撮像素子101の読み出しに同期して画像メモリ614に一旦書き込まれ、以後この画像メモリ614に書き込まれた画像データにアクセスして、画像処理部61の各ブロックにおいて処理が行われる。
【0058】
黒レベル補正回路611は、A/D変換部53によりA/D変換されたR、G、Bの各デジタル画像信号の黒レベルを、基準の黒レベルに補正するものである。
【0059】
ホワイトバランス補正回路612は、光源に応じた白の基準に基づいて、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分のデジタル信号のレベル変換(ホワイトバランス(WB)調整)を行うものである。すなわち、ホワイトバランス補正回路612は、撮影被写体において輝度や彩度データ等から本来白色であると推定される部分を特定し、その部分のR、G、Bそれぞれの色成分の積分(または平均)と、G/R比及びG/B比とを求め、これをR、Bの補正ゲイン(ホワイトバランスゲイン)としてレベル補正する。
【0060】
ガンマ補正回路613は、WB調整された画像データの階調特性を補正するものである。具体的にはガンマ補正回路613は、画像データのレベルを色成分毎に予め設定されたガンマ補正用テーブルを用いて非線形変換するとともにオフセット調整を行う。
【0061】
画像メモリ614は、撮影モード時には、画像処理部61から出力される画像データを一時的に記憶するとともに、この画像データに対しメイン制御部62により所定の処理を行うための作業領域として用いられるメモリである。また、再生モード時には、メモリカード67から読み出した画像データを一時的に記憶する。
【0062】
メイン制御部62は、マイクロコンピュータとして構成されており、主にCPU、RAMおよびROMを備えている。このメイン制御部62は、ROM内に格納されるプログラムを読み出し、当該プログラムをCPUで実行することによって、各種機能をソフトウェア的に実現する。例えば、メイン制御部62は、位相差AFモジュール107およびフォーカス駆動制御部71A等と協動して、フォーカスレンズ211の位置を制御する合焦制御動作を行う。
【0063】
また、メイン制御部62は、ソフトウェア的に実現される測光制御部621を有している。この測光制御部621は、後述のように測光センサ78からの出力に基づき拡張デジタル値(測光データ)を生成して次回測光時の露光時間を導出する動作を制御する。なお、メイン制御部62のROMには、測光センサ78においての露光時間(積分時間)のデフォルト値(例えば1ms)が記憶されている。
【0064】
フラッシュ回路63は、フラッシュ撮影モードにおいて、フラッシュ部318または接続端子部319に接続される外部フラッシュの発光量を、メイン制御部62により設定された発光量に制御するものである。
【0065】
操作部64は、上述のモード設定ダイアル305、制御値設定ダイアル306、シャッターボタン307、設定ボタン群312、十字キー314、プッシュボタン315、メインスイッチ317等を含み、操作情報をメイン制御部62に入力するためのものである。
【0066】
VRAM65は、LCD311の画素数に対応した画像信号の記憶容量を有し、メイン制御部62とLCD311との間のバッファメモリである。カードI/F66は、メモリカード67とメイン制御部62との間で信号の送受信を可能とするためのインターフェースである。メモリカード67は、メイン制御部62で生成された画像データを保存する記録媒体である。通信用I/F68は、パーソナルコンピュータやその他の外部機器に対する画像データ等の伝送を可能とするためのインターフェースである。
【0067】
電源回路69は、例えば定電圧回路等からなり、メイン制御部62等の制御部、撮像素子101、その他の各種駆動部等、撮像装置1全体を駆動させるための電圧を生成する。なお、撮像素子101への通電制御は、メイン制御部62から電源回路69に与えられる制御信号により行われる。電池69Bは、ニッケル水素充電池等の二次電池や、アルカリ乾電池等の一次電池からなり、撮像装置1全体に電力を供給する電源である。
【0068】
ミラー駆動制御部72Aは、撮影動作のタイミングに合わせて、ミラー駆動アクチュエータ72Mを駆動させる駆動信号を生成するものである。ミラー駆動アクチュエータ72Mは、ミラー部103(クイックリターンミラー)を、水平姿勢若しくは傾斜姿勢に回動させるアクチュエータである。
【0069】
シャッタ駆動制御部73Aは、メイン制御部62から与えられる制御信号に基づき、シャッタ駆動アクチュエータ73Mに対する駆動制御信号を生成するものである。シャッタ駆動アクチュエータ73Mは、シャッタユニット40の開閉駆動(開閉動作)を行うアクチュエータである。
【0070】
絞り駆動制御部76Aは、メイン制御部62から与えられる制御信号に基づき、絞り駆動アクチュエータ76Mに対する駆動制御信号を生成するものである。絞り駆動アクチュエータ76Mは、カプラ75を介して絞り駆動機構27に駆動力を与える。
【0071】
[測光センサ78の構成および動作]
図6および図7は、測光センサ78の構成を説明するための図である。ここで、図6は、測光センサ78の受光面を示しており、図7は、測光センサ78の電気的な構成を示している。また、図8は、測光センサ78の動作を説明するための図であり、左から右に向かって時間の経過が表されたタイムチャートとなっている。
【0072】
測光センサ78においては、図6に示すように赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のカラーフィルタFr、Fg、Fbがベイヤー配列で配置されており、各カラーフィルタFr、Fg、Fbの下方(背後)にはフォトダイオードPD(図7)が設けられている。そして、測光センサ78では、上下左右に隣接する4個のフォトダイオードPDで構成される光電ユニット(以下では「画素」ともいう)Pxが規定されている。これにより、測光センサ78に配設された複数の画素(光電ユニット)Pxそれぞれにおいて3原色それぞれの感度を有したRGB各色の測光データが得られ、1つの画素PxからRGB各色の輝度情報(濃度情報)を取得することが可能となる。
【0073】
また、測光センサ78は、光電変換作用によりフォトダイオードPDに蓄積された電荷信号が、水平シフトレジスタRhおよび垂直シフトレジスタRvを通って、ゲイン(増幅率)αが設定されたアンプ(増幅器)Apと、ゲインβ(ここでβ<α)が設定されたアンプAqとに入力される構成を備えている。なお、アンプApのゲインαは、アンプAqのゲインβに対して例えば3EVに相当する8倍に設定されている。このような構成により、測光センサ78の出力端子Bpおよび出力端子Bqでは、アンプApによってゲイン(以下では「Hゲイン」ともいう)αが乗算された測光値(以下では「H出力値」ともいう)と、アンプAqによってゲイン(以下では「Lゲイン」ともいう)βが乗算された測光値(以下では「L出力値」ともいう)とが同時に得られることとなる。ただし、これらの測光値は、例えば6EV程度のダイナミックレンジで制限されて測光センサ78から出力される。
【0074】
以上のような構成を有する測光センサ78では、図8に示すように露光時間Teの露光動作(積分動作)によってフォトダイオードPDで電荷信号を生成した後に、各フォトダイオードPD内の電荷信号の読出しを期間Tpに渡って実行することで、各出力端子Bp、Bq(図7)から上述のH出力値およびL出力値が適切に得られることとなる。
【0075】
このように測光センサ78では、露光により光電変換セルをそれぞれ構成する4つのフォトダイオードPDを有した各画素(光電ユニット)Pxにて生成される電荷信号を異なる2つのゲインα、βでリニアに増幅して2つの測光値(H出力値およびL出力値)を生成し、これらのH/L出力値を予め定められたダイナミックレンジ(信号レンジ)で出力する。以下では、測光センサ78を用い次回測光時の露光時間Teを精度良く導出して適正な被写体輝度が検出されるまでの時間の短縮を図る測光制御について詳しく説明する。
【0076】
[測光制御について]
図9は、測光センサ78からの測光出力を説明するための図である。この図9では、横軸が被写体に対しての測定輝度(EV)を示し、縦軸が測光センサ78の測光出力を10bitのA/D変換器で変換した際のデジタル値を示している。
【0077】
図9において、測光センサ78からのH出力値とL出力値とに関しては、曲線部Ga1および直線部Ga2からなるグラフGaと、曲線のグラフGbとで表される。ここで、H出力値に関するグラフGaでは高輝度部分で直線部Ga2のように飽和しているが、これは比較的高いゲインαで増幅された測光値(H出力値)が高輝度においてレンジオーバーするためである。なお、リニア出力タイプの測光センサ78は受光量(測定輝度)に応じて出力値が比例して増減するリニア特性を有しているが、図9のように横軸のみが対数化されている場合には、その測光出力が曲線のグラフGa1、Gbで表されることとなる。
【0078】
以上のグラフGa、GbようなH出力値およびL出力値が得られる測光センサ78を用い、次回測光時の露光時間Teを精度良く導出して適正な被写体輝度が検出されるまでの時間の短縮を図るには、1回の測光(測光センサ78の露光)で適切な測光値(測光データ)を得ることが必要である。ここで、1回の測光によって妥当な測光データを得るには、低輝度や高輝度の被写体に対しても、黒潰れや白飛びが生じないようにするのが好ましい。このような測光は、そのダイナミックレンジを広く設定することで実現可能となるものの、リニア出力タイプの測光センサ78は上述のように対数圧縮タイプに比べてダイナミックレンジが比較的狭い。そこで、本実施形態の撮像装置1では、測光センサ78からのH出力値とL出力値とを有効活用することにより、測光のダイナミックレンジを擬似的に拡張できるようになっている。このダイナミックレンジを拡張する手法について、以下で詳しく説明する。
【0079】
図10は、測光のダイナミックレンジを拡張する手法を説明するための図である。この図10では、横軸が被写体に対しての測定輝度(EV)を示し、縦軸が測光センサ78を用いて得られた測光データについてのデジタル値(後述の拡張デジタル値)を対数変換したものを示している。
【0080】
直線部Ha1および直線部Ha2からなる折れ線状のグラフHaと直線状のグラフHbとは、図9に示すグラフGaとグラフGbとを縦軸方向に対数圧縮したものである。
【0081】
測光センサ78からのH出力値については、グラフHa1のように低輝度の被写体に対して黒潰れが生じる可能性を低減できるというメリットがあるものの、高輝度領域Lcでは直線部Ha2のように飽和して適切な測光データが得られない。そこで、グラフHb上の各値を8倍(=ゲインα/β)にしたグラフHcを測光制御部621で生成し、このグラフHcにおける高輝度領域Lcの測光データでグラフHaの飽和部分(直線部Ha2)を補完するようにして各グラフHa、Hcを合成する。これにより、測光センサ78の出力に基づき得られる測光データに関してのダイナミックレンジが10bitから13bitに仮想的に拡張されることとなる。このように拡張された測光データのデジタル値を、以下では「拡張デジタル値」とも称する。
【0082】
以上のように測光のダイナミックレンジを擬似的に拡張することが可能な撮像装置1の具体的な動作について、以下で詳しく説明する。
【0083】
[撮像装置1の動作]
図11は、撮像装置1の基本的な動作を示すフローチャートである。この動作については、特に測光に関しての動作を示しており、主にメイン制御部62の測光制御部621によって実行される。
【0084】
メインスイッチ317に対してのユーザ操作により撮像装置1の電源オンが行われると、シャッターボタン307がユーザによって半押しされたかを判定する(ステップST1)。ここで、シャッターボタン307が半押しされた場合には、ステップST2に進み、半押しされていない場合には、ステップST1を継続する。
【0085】
ステップST2では、フォーカスレンズ211の駆動を伴ったAF制御動作などの撮影準備動作を行う。
【0086】
ステップST3では、測光センサ78からの出力に基づき測光処理を行う(後で詳述)。
【0087】
ステップST4では、シャッターボタン307の半押しが継続しているかを判定する。ここで、半押しが継続している場合には、ステップST2に戻り、半押しが解除されている場合には、本フローチャートを抜ける。
【0088】
図12は、上記のステップST3に対応しており、測光処理を示すフローチャートである。
【0089】
ステップST11では、測光センサ78による1回目の測光であるかを判定する。この1回目の測光とは、シャッターボタン307が半押しされた直後において測光センサ78が最初に行う測光である。ここで、1回目の測光である場合には、ステップST12に進み、2回目以降の測光である場合には、ステップST13に進む。
【0090】
ステップST12では、測光センサ78の露光時間(積分時間)をデフォルト値(例えば1ms)に設定する。また、ここでは、次回(2回目以降)の測光での目標値(動作点)として、予め定められたデフォルト値(例えばデジタル値で「256」)を設定する。
【0091】
ステップST13では、設定された露光時間(第1の露光条件)で測光センサ78の露光(測光積分)を行う。
【0092】
ステップST14では、ステップST13の露光動作によって測光センサ78で生成された電荷信号に基づく測光値を読み出す。そして、このA/D変換した測光データをH出力値とL出力値とに分けて例えばメイン制御部62のRAMに格納する。ここで、測光センサ78での画素位置(i,j)の画素Pxにおいては、RGB各色毎にH/L出力値で得られる測光データのデジタル値を、次のように定義する。
【0093】
・赤色(R)のH/L出力値に係るデジタル値:LBrH(i,j)およびLBrL(i,j)
・緑色(G)のH/L出力値に係るデジタル値:LBgH(i,j)およびLBgL(i,j)
・青色(R)のH/L出力値に係るデジタル値:LBbH(i,j)およびLBbL(i,j)
なお、各画素Pxは図6のように緑色のカラーフィルタFgを2つ備えているが、これら2つの緑色のカラーフィルタFgを介して被写体光を受光する各フォトダイオードPDからの電荷信号に基づく出力値を平均化したものをLBgH(i,j)およびLBgL(i,j)に設定(代入)することとする。なお、以下では、LBrH(i,j)、LBgH(i,j)およびLBbH(i,j)を総称してLBxH(i,j)と表記し、LBrL(i,j)、LBgL(i,j)およびLBbL(i,j)を総称してLBxL(i,j)と表記することもある。
【0094】
次のステップST15〜17の動作は、測光センサ78を用いて得られた測光値の処理を示しているが、この各動作を以下で詳しく説明する。
【0095】
ステップST15では、測光センサ78から得られた測光データのデジタル値を、上述した拡張デジタル値に変換する。すなわち、図10のように、グラフHb上の各値を8倍にしたグラフHcを新たに生成する。そして、グラフHcにおける高輝度領域Lcの測光データでグラフHaの飽和部分(直線部Ha2)を補うようにして、測光のダイナミックレンジを拡張する。以下では、この拡張デジタル値の変換(生成)について具体的に説明する。
【0096】
図10のように測定輝度に関して低輝度領域Laと高輝度領域Lcと、これらの間の輝度である中輝度領域Lbとに分け、各輝度領域La、Lb、Lcにおいて以下のように2つのグラフHa、Hcのうち拡張デジタル値として採用する1つのグラフを決定し各画素Pxの拡張デジタル値EBx(i,j)を生成する。
【0097】
(i)低輝度領域La
図10のようにL出力値を表すグラフHbにおいて閾値Th1(例えばTh1=16)より小さい低輝度領域Laの測定輝度では、H出力値を表すグラフHaを拡張デジタル値として採用する。すなわち、LBxL(i,j)<Th1の場合には、拡張デジタル値EBx(i,j)=LBxH(i,j)とする。
【0098】
(ii)中輝度領域Lb
図10のようにL出力値を表すグラフHbにおいて閾値Th1(例えばTh1=16)以上で閾値Th2(例えばTh2=128)以下となる中輝度領域Lbの測定輝度では、2つのグラフHa、Hcのうち出力値が大きい方を拡張デジタル値として採用する。すなわち、Th1≦LBxL(i,j)≦Th2の場合には、拡張デジタル値EBx(i,j)=Max(LBxH(i,j),LBxL(i,j)×8)とする。なお、関数Max(a,b,・・・)は、引数a、b、・・・のうち最大、つまり大きい方を出力する関数である。このように出力値の大きい方を拡張デジタル値に設定すれば、被写体輝度を高めに検出できるため、そのフィードバック制御により次回の測光時において白飛びの抑制が図れることとなる。
【0099】
ここで、上述した拡張デジタル値として採用するグラフに関しては、ゲインβを基準としたゲインαの倍率(=8倍)の逆数をH出力値LBxH(i,j)に乗じた演算値(=LBxH(i,j)/8)と、ゲインβを基準とした自身(ゲインβ)の倍率(=1倍)の逆数をL出力値LBxL(i,j)に乗じた演算値とを比較し、大きい演算値を選択することによっても、2つのグラフHa、Hcから適切なものを選び出すことが可能である。
【0100】
(iii)高輝度領域Lc
図10のようにL出力値を表すグラフHbにおいて閾値Th2(例えばTh2=128)より大きい高輝度領域Lcの測定輝度では、L出力値を8倍したグラフHcを拡張デジタル値として採用する。すなわち、LBxL(i,j)>Th2の場合には、拡張デジタル値EBx(i,j)=LBxL(i,j)×8とする。
【0101】
以上のように測光センサ78によって得られるL出力値(被写体輝度)が閾値(第1の閾値)Th1より小さい場合には、2つのゲインα、βのうち最大のゲインαで増幅された測光値(H出力値)に基づき拡張デジタル値(測光データ)を生成する一方、閾値Th1より大きい閾値(第2の閾値)Th2と比べてL出力値が大きい場合には、2つのゲインα、βのうち最小のゲインβで増幅された測光値(L出力値)を8倍したものに基づき、拡張デジタル値を生成する。また、L出力値が閾値Th1以上で閾値Th2以下である場合には、上述のように2つの測光値(H出力値およびL出力値)それぞれに係るゲインα、βの逆数を、その測光値に乗じることで得られた各演算値を比較して、拡張デジタル値を生成する。以上のように拡張デジタル値を生成することにより、ダイナミックレンジが適切に拡張された測光データが得られることとなる。
【0102】
ステップST16では、各画素Pxで代表値を決定する。具体的には、測光センサ78の画素Pxそれぞれにおいて、次のように輝度の代表値EBd(i,j)と、その代表値の色情報Ecol(i,j)とを設定する。
【0103】
・輝度の代表値:EBd(i,j)=Max(EBr(i,j),EBg(i,j),EBb(i,j))
・代表値の色情報:Ecol(i,j)=EBd(i,j)の色番号(例えば1=R,2=G,3=B)
このように測光センサ78の全画素(光電ユニット)PxそれぞれにおいてRGB各色の拡張デジタル値(測光データ)のうち最大のものを代表値にすることによれば、この代表値に基づき後述のステップST18にて次回測光時の露光時間(第2の露光条件)を導出することで、適切な測光データに基づいた露光時間の導出が可能となる。
【0104】
ステップST17では、次のステップST18にて利用すべく測光データに関しての中間的なパラメータ(以下では「中間パラメータ」ともいう)を算出する。具体的には、最大値、最小値および平均値に関する中間パラメータEBmax、EBmin、EBaveを、次のように設定する。
【0105】
・最大値EBmax:全ての画素PxにおけるEBd(i,j)の最大値
・最小値EBmin:全ての画素PxにおけるEBd(i,j)の最小値
・平均値EBave:全ての画素PxにおけるEBd(i,j)の平均値
このように測光センサ78の画素(光電ユニット)Pxそれぞれに関しての代表値全てのうちから最大値(最大の代表値)EBmaxおよび最小値(最小の代表値)EBminを抽出するとともに、各画素Pxに係る代表値全てについての平均値EBaveを算出することによれば、これらの中間パラメータEBmax、EBmin、EBaveに基づき後述のステップST18にて次回測光時の露光時間(第2の露光条件)を導出することで、的確な測光情報に基づいた露光時間の導出が可能となる。
【0106】
ステップST18では、次回測光時の露光時間を算出する。以下では、ステップST13における今回の測光で設定された露光時間をTe1とし、次回の測光で設定する露光時間Te2の算出手法について具体的に説明する。
【0107】
(i)今回の測光で白飛びが生じているケース
ステップST17で算出された最小値の中間パラメータEBmin>Th3(例えばTh3=7168)の場合には、次の式(1)によって次回測光時の露光時間Te2を求める。
【0108】
Te2=Te1×(128/EBmin) ・・・・・・・(1)
このように最小値の中間パラメータ(最小の代表値)EBminが閾値Th3より大きい場合には、次回の測光によって得られる最小値の中間パラメータが予め定められた値、つまり上式(1)右辺の「128」となるように次回の露光時間(第2の露光条件)Te2を導出することで、次回測光時の白飛びを適切に抑えることが可能となる。
【0109】
(ii)今回の測光で黒潰れが生じているケース
ステップST17で算出された最大値の中間パラメータEBmax<Th1(例えばTh1=16)の場合には、次の式(2)によって次回測光時の露光時間Te2を求める。
【0110】
Te2=Te1×(896/EBmax) ・・・・・・・(2)
このように最大値の中間パラメータ(最大の代表値)EBmaxが閾値Th1より小さい場合には、次回の測光によって得られる最大値の中間パラメータが予め定められた値、つまり上式(2)右辺の「896」となるように次回の露光時間(第2の露光条件)Te2を導出することで、次回測光時の黒潰れを適切に抑えることが可能となる。
【0111】
(iii)今回の測光で白飛びや黒潰れが生じていないケース
上記のケース(i)およびケース(ii)に該当しない場合には、次の各ケース(iii-a)、(iii-b)を除き、ステップST12で設定した動作点(=256)を用いて次の式(3)により次回測光時の露光時間Te2を求める。これにより、次回測光時の平均輝度を適正値に制御することが可能となる。
【0112】
Te2=Te1×(256/EBave) ・・・・・・・(3)
(iii-a)今回の測光で得られた平均輝度が高いケース
例えばステップST17で算出された平均値の中間パラメータEBave>1024の場合には、次の式(4)によって次回測光時の露光時間Te2を求める。これにより、次回測光時の最低輝度を適正値、つまり下式(4)右辺の「16」に制御することが可能となる。
【0113】
Te2=Te1×(16/EBmin) ・・・・・・・・(4)
(iii-b)今回の測光で得られた平均輝度が低いケース
例えばステップST17で算出された平均値の中間パラメータEBave<16の場合には、次の式(5)によって次回測光時の露光時間Te2を求める。これにより、次回測光時の最大輝度を適正値、つまり下式(5)右辺の「896」に制御することが可能となる。
【0114】
Te2=Te1×(896/EBmax) ・・・・・・・(5)
ステップST19では、次のステップST20の前処理として測光値の正規化を行う。具体的には、RGB各色の測光データに対する補正値としてKr(i,j)、Kg(i,j)およびKb(i,j)を設定し、色が異なっても同等の光強度となるように次の式(6)〜(8)によって正規化された測光値EBrc(i,j)、EBgc(i,j)およびEBbc(i,j)を求める。ここで、補正値Kg(i,j)は、例えば「1」が設定されている。
【0115】
EBrc(i,j)=Kr(i,j)×EBr(i,j)・・・・・・(6)
EBgc(i,j)=Kg(i,j)×EBg(i,j)・・・・・・(7)
EBbc(i,j)=Kb(i,j)×EBb(i,j)・・・・・・(8)
なお、図6のようにカラーフィルタが設けられて色の感度差がある測光センサ78ではなく、色の感度差がない測光センサの場合には、上記のステップST19の動作を省略できる。
【0116】
ステップST20では、Y化および平均化の処理を行う。すなわち、ステップST19で正規化されたRGB各色の測光値EBrc(i,j)、EBgc(i,j)、EBbc(i,j)を用いて被写体の輝度値(Y値)を求め、これを平均化する。具体的には、まず次の式(9)によって各画素PxのY値EY(i,j)を求める。
【0117】
EY(i,j)=(5×EBrc(i,j)+9×EBgc(i,j)+2×EBbc(i,j))/16・・・(9)
そして、上式(9)で算出された各画素PxのY値EY(i,j)を平均化し、その平均値EYaveを求める。
【0118】
ステップST21では、ステップST13における今回の測光で設定された露光条件から、被写体に関する絶対輝度値を算出する。具体的には、交換レンズ2の絞り23に関する絞り値(AV値)AVt、今回の測光時の露光時間(TV値)TVt、および測光センサ78のH出力値に関する実効感度(SV値)SVtに基づき、次の式(10)によって絶対輝度値(BV値)BVzを求める。
【0119】
BVz=AVt+TVt−SVt ・・・・・・・・・(10)
そして、上式(10)で算出された絶対輝度値BVzと、ステップST20で得られた輝度の平均値EYaveと、ステップST12で設定した動作点(=256)とを用い、次の式(11)によって露出制御の予定値BVcを求める。
【0120】
BVc=BVz+log2(EYave−256)・・・・・・・(11)
ステップST22では、ステップST21で算出された絶対輝度値BVzに基づき露出演算を行う。すなわち、本撮影時における露出制御値、具体的には撮像素子101の感度(SV値)SVc、絞り値(AV値)AVc、シャッタースピード(TV値)TVcおよび露光値(EV値)EVcを、次の式(12)〜(14)に基づいて決定する。
【0121】
EVc=SVc+BVc ・・・・・・・・・・・・・・(12)
AVc=EVc/2 ・・・・・・・・・・・・・・・・(13)
TVc=EVc−AVc ・・・・・・・・・・・・・・(14)
ただし、上式(13)〜(14)で算出される絞り値AVcやシャッタースピードTVcについては、予め定められたリミット値による制限を受ける。
【0122】
以上のような撮像装置1の動作により、ステップST13で設定された露光時間(第1の露光条件)による測光を行って測光センサ78から出力される2つの測光値(H出力値およびL出力値)とゲインα、βとに基づき、図10に示すように測光センサ78のダイナミックレンジ(第1のダイナミックレンジ)より広い第2のダイナミックレンジを持つ拡張デジタル値(測光データ)を生成する。そして、この拡張デジタル値に基づき、ステップST13の測光に係る次の測光で設定する露光時間(第2の露光条件)を導出する(ステップST18)。このように測光のダイナミックレンジが拡張された拡張デジタル値を生成して活用することにより、測光データにおいて黒潰れや白飛びの生じる可能性が低下するため、1回の測光(例えば最初の測光)で被写体輝度を的確に把握することが可能となる。その結果、リニア出力タイプの測光センサ78を用いた測光において適正な被写体輝度が検出されるまでの時間を短縮できる。
【0123】
なお、撮像装置1においては、異なる2つのゲインα、βで増幅された各測光値を出力する測光センサ78を用いるのは必須でなく、異なる3以上のゲインで増幅された各測光値を出力する測光センサを用いて拡張デジタル値を生成するようにしても良い。以下では、異なる3つのゲイン(H/M/Lゲイン)が乗算された各測光値を出力する測光センサ78A(図3〜5)を例に挙げて、その拡張デジタル値の算出について説明する。
【0124】
図13は、測光センサ78Aからの測光出力を説明するための図である。この図13では、横軸が被写体に対しての測定輝度(EV)を示し、縦軸が測光センサ78Aの測光出力を12bitのA/D変換器で変換した際のデジタル値を示している。
【0125】
測光センサ78Aは、例えば図7に示す測光センサ78において2個のアンプAp、Aqに加え更に1個のアンプを追加した構成を備えている。これにより、測光センサ78Aの3つの出力端子からは、異なる3つのゲインγa、γb、γcで増幅された測光値(H/M/L出力値)が同時に得られるようになっている。なお、各ゲインについては、例えばゲインγaがゲインγbの8倍、ゲインγbがゲインγcの8倍となる関係、つまりγa=8×γb=64×γcという関係が成立するように設定されている。
【0126】
測光センサ78AからのH/M/L出力値に関しては、図13のように、曲線部Gc1および飽和状態の直線部Gc2からなるグラフGcと、曲線部Gd1および飽和状態の直線部Gd2からなるグラフGdと、曲線のグラフGeとで表される。ここで、H出力値に関するゲインγaはM出力値に関するゲインγbに対して8倍であるため、グラフGcはグラフGdに対して低輝度で飽和する。
【0127】
図14は、図10に対応しており、測光のダイナミックレンジを拡張する手法を説明するための図である。
【0128】
直線部Hd1および直線部Hd2からなる折れ線状のグラフHdと、直線部He1および直線部He2からなる折れ線状のグラフHeと、直線状のグラフHfとは、図13に示すグラフGcとグラフGdとグラフGeとを縦軸方向に対数圧縮したものである。また、グラフHgは、グラフHd上の各値を8倍にしたものであり、グラフHhは、グラフHf上の各値を64倍にしたものである。
【0129】
そして、測定輝度を低輝度領域Ka、中輝度領域Kbおよび高輝度領域Kcに分け、低輝度領域KaではグラフHdの測光データを拡張デジタル値として採用する。また、中輝度領域Kbでは適切な測光データが得られないグラフHdに代わってグラフHgの測光データを拡張デジタル値として採用するとともに、高輝度領域Kcでは適切な測光データが得られないグラフHg(Hd)に代わってグラフHhの測光データを拡張デジタル値として採用する。これにより、測光のダイナミックレンジが12bitから18bitに適切に拡張されることとなる。
【0130】
以上のような拡張デジタル値を生成する撮像装置では、図11および図12に示すフローチャートと類似した動作がメイン制御部62の測光制御部621A(図5)によって実行される。ただし、図12のステップST15における拡張デジタル値の変換動作が異なっており、この動作について以下で詳しく説明する。
【0131】
まず、測光センサ78Aにおける画素位置(i,j)の画素Pxに関して、RGB各色毎にH/M/L出力値で得られる測光データのデジタル値を、次のように定義する。
【0132】
・赤色(R)のH/M/L出力値:LBrH(i,j)、LBrM(i,j)およびLBrL(i,j)
・緑色(G)のH/M/L出力値:LBgH(i,j)、LBgM(i,j)およびLBgL(i,j)
・青色(R)のH/M/L出力値:LBbH(i,j)、LBbM(i,j)およびLBbL(i,j)
そして、測光センサ78Aから得られた測光データのデジタル値を、上述した拡張デジタル値に変換する。すなわち、図14のように、グラフHd上の各値を8倍にしたグラフHgを新たに生成するとともにグラフHf上の各値を64倍にしたグラフHhを新たに生成する。そして、グラフHgにおける中輝度領域Kbの測光データやグラフHhにおける高輝度領域Kcの測光データで、グラフHd、Heの飽和部分(直線部Hd2、He2)を補うようにする。以下では、この拡張デジタル値の変換(生成)について具体的に説明する。
【0133】
図14に示す低輝度領域Ka、中輝度領域Kbおよび高輝度領域Kcにおいて、以下のように3つのグラフHd、Hg、Hhのうち拡張デジタル値として採用する1つのグラフを決定し各画素Pxの拡張デジタル値EBx(i,j)を生成する。
【0134】
(i)低輝度領域Ka
図14のようにM出力値を表すグラフHeにおいて閾値Tha(例えばTha=256)より小さい低輝度領域Kaの測定輝度では、H出力値を表すグラフHdを拡張デジタル値として採用する。すなわち、LBxM(i,j)<Thaの場合には、拡張デジタル値EBx(i,j)=LBxH(i,j)とする。
【0135】
(ii)中輝度領域Kb
図14のようにM出力値を表すグラフHeにおいて閾値Tha(例えばTh1=256)以上で閾値Thb(例えばThb=2048)以下となる中輝度領域Kbの測定輝度では、M出力を8倍したグラフHgを拡張デジタル値として採用する。すなわち、Tha≦LBxM(i,j)≦Thbの場合には、拡張デジタル値EBx(i,j)=LBxM(i,j)×8とする。
【0136】
(iii)高輝度領域Kc
図14のようにM出力値を表すグラフHeにおいて閾値Thb(例えばThb=2048)より大きい高輝度領域Kcの測定輝度では、L出力値を64倍したグラフHhを拡張デジタル値として採用する。すなわち、LBxM(i,j)>Thbの場合には、拡張デジタル値EBx(i,j)=LBxL(i,j)×64とする。
【0137】
以上のように測光センサ78AからのH/M/L出力値に基づき測光のダイナミックレンジが拡張された拡張デジタル値を生成すれば、1回の測光で被写体輝度を的確に把握できるため、適正な被写体輝度が検出されるまでの時間の短縮が図れる。
【0138】
<変形例>
上記の実施形態における測光センサについては、RGB各色のカラーフィルタを図6のようにベイヤー配列で配置するのは必須でなく、図15に示すようにストライプ配列で配置するようにしても良い。なお、図15に示すカラーフィルタ配置では、左右(水平方向)に隣接する赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のカラーフィルタFr、Fg、Fbの組が1つの画素(光電ユニット)Pxを構成することとなる。
【0139】
上記の実施形態における測光センサ78(78A)については、一眼レフタイプのカメラ(撮像装置)に設けるのは必須でなく、コンパクトタイプのカメラに設けるようにしても良い。また、デジタルカメラに設けるのは必須でなく、銀塩フィルムを用いるカメラに設けても良い。
【0140】
本発明は詳細に説明されたが、以上の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0141】
1 撮像装置
2 交換レンズ
10 カメラボディ
62 メイン制御部
78、78A 測光センサ
101 撮像素子
621、621A 測光制御部
Ap、Aq アンプ
Ka、La 低輝度領域
Kb、Lb 中輝度領域
Kc、Lc 高輝度領域
PD フォトダイオード
Px 画素(光電ユニット)
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光により複数の光電変換ユニットそれぞれで生成される電荷信号をリニアに増幅して測光値を生成する測光センサを備えた撮像装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル一眼レフカメラなどの撮像装置においては、測光センサにより被写体の輝度を検出し、これを露出制御に活用するものがある。
【0003】
上記の測光センサに関しては、例えばCCDとして構成されるリニア出力タイプやLOGセンサとして構成される対数圧縮タイプのものがある。ここで、リニア出力タイプの測光センサにおいては、高精度な測光出力を得ることができたり、フラッシュ発光時でも測光を行えるなどの利点を有している。一方、リニア出力タイプでは、測光のダイナミックレンジが対数圧縮タイプに比べて比較的狭いレンジ(例えば6EV程度)となるため、このダイナミックレンジから被写体輝度が外れて白飛びや黒潰れが生じる場合がある。このような場合には、積分時間(露光時間)等の測光条件を変更した再度の測光を行う必要があり、適正な被写体輝度が検出されるまでの時間が長くなってしまう。
【0004】
このリニア出力タイプの欠点を改善する技術としては、例えば特許文献1に開示されるものが提案されている。この技術においては、光電変換作用により光電変換素子で生成された電荷信号を異なるゲイン(増幅率)で増幅し、その増幅された複数の増幅信号を同時にセンサから出力することで、ダイナミックレンジの拡大が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−189537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、異なるゲインが乗じられた複数の増幅信号がセンサから出力されるものの、これらの増幅信号から最適なものを選択する制御を行わなければ、適正な被写体輝度が得られず、その検出時間の短縮に繋がらない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、リニア出力タイプの測光センサを用いた測光において適正な被写体輝度が検出されるまでの時間を短縮できる撮像装置の技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの側面は、撮像装置であって、露光により所定の光電変換セルを有した複数の光電ユニットそれぞれにて生成される電荷信号を異なる複数のゲインでリニアに増幅して複数の測光値を生成し、当該複数の測光値を第1のダイナミックレンジで出力する測光センサと、第1の露光条件に設定された測光により前記測光センサから出力される複数の測光値と前記ゲインとに基づき、前記第1のダイナミックレンジより広い第2のダイナミックレンジを持つ測光データを生成するとともに、当該測光データに基づいて前記第1の露光条件に設定された測光に係る次の測光で設定する第2の露光条件を導出する測光制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、露光により所定の光電変換セルを有した複数の光電ユニットそれぞれにて生成される電荷信号を異なる複数のゲインでリニアに増幅して複数の測光値を生成し、当該複数の測光値を第1のダイナミックレンジで出力する測光センサを備え、第1の露光条件に設定された測光により測光センサから出力される複数の測光値とゲインとに基づき第1のダイナミックレンジより広い第2のダイナミックレンジを持つ測光データを生成するとともに、当該測光データに基づいて次の測光で設定する第2の露光条件を導出する。その結果、リニア出力タイプの測光センサを用いた測光において適正な被写体輝度が検出されるまでの時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る撮像装置の外観構成を示す図である。
【図2】撮像装置の外観構成を示す図である。
【図3】撮像装置の縦断面図である。
【図4】ミラーアップの状態を説明するための図である。
【図5】撮像装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図6】測光センサの構成を説明するための図である。
【図7】測光センサの構成を説明するための図である。
【図8】測光センサの動作を説明するための図である。
【図9】測光センサからの測光出力を説明するための図である。
【図10】測光のダイナミックレンジを拡張する手法を説明するための図である。
【図11】撮像装置の基本的な動作を示すフローチャートである。
【図12】測光処理を示すフローチャートである。
【図13】測光センサからの測光出力を説明するための図である。
【図14】測光のダイナミックレンジを拡張する手法を説明するための図である。
【図15】本発明の変形例に係る測光センサの構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
[撮像装置の外観構成]
図1および図2は、本発明の実施形態に係る撮像装置1の外観構成を示す図である。ここで、図1および図2は、それぞれ正面図および背面図を示している。
【0012】
撮像装置1は、例えば一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラとして構成されており、カメラボディ10と、カメラボディ10に着脱自在な撮影レンズとしての交換レンズ2とを備えている。
【0013】
図1において、カメラボディ10の正面側には、正面略中央に交換レンズ2が装着されるマウント部301と、マウント部301の右横に配置されたレンズ交換ボタン302と、把持可能とするためのグリップ部303とが設けられている。また、カメラボディ10には、正面左上部に配置されたモード設定ダイアル305と、正面右上部に配置された制御値設定ダイアル306と、グリップ部303の上面に配置されたシャッターボタン307とが設けられている。
【0014】
また、図2において、カメラボディ10の背面側には、LCD(Liquid Crystal Display)311と、LCD311の左方に配置された設定ボタン群312と、LCD311の右方に配置された十字キー314と、十字キー314の中央に配置されたプッシュボタン315とが備えられている。また、カメラボディ10の背面側には、LCD311の上方に配設されたファインダ窓316と、ファインダ窓316の周囲を囲むアイカップ321と、ファインダ窓316の左方に配設されたメインスイッチ317とが設けられている。さらに、カメラボディ10は、その背面側にファインダ窓316の右方に配設された露出補正ボタン323およびAEロックボタン324と、ファインダ窓316の上方に配設されたフラッシュ部318および接続端子部319とを備えている。
【0015】
マウント部301には、装着された交換レンズ2との電気的接続を行うためコネクタEc(図5参照)や、機械的接続を行うためのカプラ75(図5参照)が設けられている。
【0016】
レンズ交換ボタン302は、マウント部301に装着された交換レンズ2を取り外す際に押下されるボタンである。
【0017】
グリップ部303は、ユーザが撮影時に撮像装置1を把持する部分であり、フィッティング性を高めるために指形状に合わせた表面凹凸が設けられている。なお、グリップ部303の内部には電池収納室およびカード収納室(不図示)が設けられている。電池収納室にはカメラの電源として電池69B(図5参照)が収納されており、カード収納室には撮影画像の画像データを記録するためのメモリカード67(図5参照)が着脱可能に収納されるようになっている。なお、グリップ部303には、当該グリップ部303をユーザが把持したか否かを検出するためのグリップセンサを設けるようにしても良い。
【0018】
モード設定ダイアル305及び制御値設定ダイアル306は、カメラボディ10の上面と略平行な面内で回転可能な略円盤状の部材からなる。モード設定ダイアル305は、自動露出(AE)制御モードや自動焦点(AF;オートフォーカス)制御モード、或いは1枚の静止画を撮影する静止画撮影モードや連続撮影を行う連続撮影モード等の各種撮影モード、記録済みの画像を再生する再生モード等、撮像装置1に搭載されたモードや機能を択一的に選択するためのものである。一方、制御値設定ダイアル306は、撮像装置1に搭載された各種の機能に対する制御値を設定するためのものである。
【0019】
シャッターボタン307は、途中まで押し込んだ「半押し状態」の操作と、さらに押し込んだ「全押し状態」の操作とが可能とされた押下スイッチである。静止画撮影モードにおいてシャッターボタン307が半押しされると、被写体の静止画を撮影するための準備動作(露出制御値の設定や焦点検出等の準備動作)が実行される。また、シャッターボタン307が全押しされると、撮影動作(撮像素子101(図3参照)を露光し、その露光によって得られた画像信号に所定の画像処理を施してメモリカード67等に記録する一連の動作)が実行される。
【0020】
LCD311は、画像表示が可能なカラー液晶パネルを備えており、撮像素子101(図3参照)により被写体を撮像して取得された画像の表示や記録済みの画像の再生表示等を行うとともに、撮像装置1に搭載される機能やモードの設定画面を表示するものである。なお、LCD311に代えて、有機ELやプラズマ表示装置を用いるようにしても良い。
【0021】
設定ボタン群312は、撮像装置1に搭載された各種の機能に対する操作を行うボタンである。この設定ボタン群312には、例えばLCD311に表示されるメニュー画面で選択された内容を確定するための選択確定スイッチ、選択取り消しスイッチ、メニュー画面の内容を切り替えるメニュー表示スイッチ、表示オン/オフスイッチ、表示拡大スイッチなどが含まれる。
【0022】
十字キー314は、円周方向に一定間隔で配置された複数の押圧部(図中の三角印の部分)を備える環状の部材を有し、各押圧部に対応して備えられた図示省略の接点(スイッチ)により押圧部の押圧操作が検出されるように構成されている。また、プッシュボタン315は、十字キー314の中央に配置されている。十字キー314及びプッシュボタン315は、撮影倍率の変更(ズームレンズ212(図5参照)のワイド方向やテレ方向への移動)、LCD311等に再生する記録画像のコマ送り、及び撮影条件(絞り値、シャッタスピード、フラッシュ発光の有無等)の設定等の指示を入力するためのものである。
【0023】
ファインダ窓316は、被写体が撮影される範囲を光学的に表示するものである。すなわち、ファインダ窓316には、交換レンズ2からの被写体像が導かれており、ユーザは、このファインダ窓316を覗くことにより、実際に撮像素子101にて撮像される被写体を視認することができる。
【0024】
メインスイッチ317は、左右にスライドする2接点のスライドスイッチからなり、左にセットすると撮像装置1の電源がオンされ、右にセットすると電源がオフされる。
【0025】
フラッシュ部318は、ポップアップ式の内蔵フラッシュとして構成されている。一方、外部フラッシュ等をカメラボディ10に取り付ける場合には、接続端子部319を使用して接続する。
【0026】
アイカップ321は、遮光性を有してファインダ窓316への外光の侵入を抑制する「コ」字状の遮光部材である。
【0027】
露出補正ボタン323は、露出値(絞り値やシャッタースピード)を手動で調整するためのボタンであり、AEロックボタン324は、露出を固定するためのボタンである。
【0028】
交換レンズ2は、被写体からの光(光像)を取り込むレンズ窓として機能するとともに、当該被写体光をカメラボディ10の内部に配置されている撮像素子101に導くための撮影光学系として機能するものである。この交換レンズ2は、上述のレンズ交換ボタン302を押下操作することで、カメラボディ10から取り外すことが可能となっている。
【0029】
交換レンズ2は、光軸LTに沿って直列的に配置された複数のレンズからなるレンズ群21を備えている(図5参照)。このレンズ群21には、焦点の調節を行うためのフォーカスレンズ211(図5参照)と、変倍を行うためのズームレンズ212(図5参照)とが含まれており、それぞれ光軸LT(図3参照)方向に駆動されることで、変倍や焦点調節が行われる。また、交換レンズ2には、その鏡胴の外周適所に該鏡胴の外周面に沿って回転可能な操作環が備えられており、上記のズームレンズ212は、マニュアル操作或いはオート操作により、上記操作環の回転方向及び回転量に応じて光軸方向に移動し、その移動先の位置に応じたズーム倍率(撮影倍率)に設定されるようになっている。
【0030】
[撮像装置1の内部構成]
次に、撮像装置1の内部構成について説明する。図3は、撮像装置1の縦断面図である。図3に示すように、カメラボディ10の内部には、撮像素子101、ファインダ部102(ファインダ光学系)、ミラー部103、位相差AFモジュール107などが備えられている。
【0031】
撮像素子101は、カメラボディ10に交換レンズ2が装着された場合の当該交換レンズ2が備えているレンズ群21の光軸LT上において、光軸LTに対して垂直となる方向に配置されている。撮像素子101としては、例えばフォトダイオードを有して構成される複数の画素がマトリクス状に2次元配置され、各画素の受光面に、それぞれ分光特性の異なる例えばR(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタが1:2:1の比率で配設されてなるベイヤー配列のCMOSカラーエリアセンサ(CMOS型の撮像素子)が用いられる。撮像素子101は、交換レンズ2を通って結像された被写体の光像をR(赤)、G(緑)、B(青)各色成分のアナログの電気信号(画像信号)に変換し、R、G、B各色の画像信号として出力する。
【0032】
上記の光軸LT上において、被写体光をファインダ部102へ向けて反射される位置には、ミラー部103が配置されている。交換レンズ2を通過した被写体光は、ミラー部103(後述の主ミラー1031)によって上方へ反射される。交換レンズ2を通過した被写体光の一部はこのミラー部103を透過する。
【0033】
ファインダ部102は、ペンタプリズム105、接眼レンズ106及びファインダ窓316を備えている。ペンタプリズム105は、断面5角形を呈し、その下面から入射された被写体光像を内部での反射によって当該光像の天地左右を入れ替えて正立像にするためのプリズムである。接眼レンズ106は、ペンタプリズム105により正立像にされた被写体像をファインダ窓316の外側に導く。このような構成により、ファインダ部102は、本撮影前の撮影待機時において被写体を確認するためのファインダとして機能する。
【0034】
ミラー部103は、主ミラー1031及びサブミラー1032から構成されており、主ミラー1031の背面側において、サブミラー1032が主ミラー1031の背面に向けて倒れるように回動可能に設けられている。主ミラー1031を透過した被写体光の一部はサブミラー1032によって反射され、この反射された被写体光は位相差AFモジュール107に入射される。
【0035】
上記のミラー部103は、所謂クイックリターンミラーとして構成されており、露光時(本撮影時)には図4に示すように回転軸1033を回動支点として上方に向けて跳ね上がる。この際、サブミラー1032は、上記のミラー部103がペンタプリズム105の下方位置で停止したときには、主ミラー1031と略平行となるように折り畳まれた状態となる。これにより、ミラー部103によって遮られることなく、光軸LT上の光路に沿って交換レンズ2から導光された被写体光が、撮像素子(撮像センサ)101で受光される。撮像素子101が露光される撮像動作が終了すると、ミラー部103は元の位置(図3に示す位置)に復帰する。
【0036】
また、ミラー部103を本撮影(画像記録用の撮影)の前に図4に示すミラーアップの状態にすることにより撮像装置1は、撮像素子101で順次に生成される画像信号に基づき動画的態様で被写体をLCD311に表示するライブビュー(プレビュー)表示が可能となっている。すなわち、本撮影前の撮像装置1では、上記のライブビュー表示が行われる電子ファインダ(ライブビューモード)、または光学ファインダを選択して被写体の構図決めが可能である。なお、電子ファインダと光学ファインダとの切替えは、図2に示す切替スイッチ85を操作することにより行われる。
【0037】
また、ファインダ部102におけるペンタプリズム106の下方には、焦点板(フォーカシングスクリーン)77が配設されるとともに、ペンタプリズム106の上部後方に測光センサ78が設けられている。
【0038】
焦点板77では、主ミラー1031で反射されて上方に進路を変更した被写体光が結像される。
【0039】
測光センサ78は、受光量に比例した測光値が出力されるリニア出力タイプ(リニア積分タイプ)の測光素子として構成されており、焦点板77を通ってペンタプリズム105内に入射された被写体光を受光し、被写体に関する測光値を取得する。この測光センサ78の構成および動作については、後で詳述する。
【0040】
位相差AFモジュール107は、被写体のピント情報を検出する測距素子等からなる所謂AFセンサとして構成されている。この位相差AFモジュール107は、ミラー部103の底部に配設されており、位相差検出方式の焦点検出(以下では「位相差AF」ともいう)により合焦位置を検出する。すなわち、撮影待機時においてユーザがファインダ窓316で被写体を確認する場合には、図3に示すように主ミラー1031およびサブミラー1032がダウンされた状態で位相差AFモジュール107に被写体からの光が導かれる。そして、位相差AFモジュール107からの出力に基づき交換レンズ2内のフォーカスレンズ211が駆動されてピント合わせが行われる。
【0041】
撮像素子101の光軸方向前方には、シャッタユニット40が配置されている。このシャッタユニット40は、上下方向に移動する幕体を備え、その開動作および閉動作により光軸LTに沿って撮像素子101に導かれる被写体光の光路開口動作および光路遮断動作を行うメカニカルフォーカルプレーンシャッタとして構成されている。なお、シャッタユニット40は、撮像素子101が完全電子シャッター可能な撮像素子である場合には省略可能である。
【0042】
また、交換レンズ2には、カメラボディ10に備えられた撮像素子101へ入射される光量を調節するための絞り23が設けられている。
【0043】
[撮像装置1の電気的構成]
図5は、撮像装置1の電気的な構成を示すブロック図である。ここで、図1〜図4と同一の部材等については、同一の符号を付している。なお、説明の便宜上、交換レンズ2の電気的構成について先ず説明する。
【0044】
交換レンズ2は、上述したレンズ群21に加え、レンズ駆動機構24と、レンズ位置検出部25と、レンズ制御部26と、絞り駆動機構27とを備えている。
【0045】
レンズ群21では、フォーカスレンズ211及びズームレンズ212と絞り23とが、鏡胴22内において光軸LT(図3)方向に保持されており、被写体の光像を取り込んで撮像素子101に結像させる。AF制御では、フォーカスレンズ211が交換レンズ2内のAFアクチュエータ71Mにより光軸LT方向に駆動されることで焦点調節が行われる。
【0046】
フォーカス駆動制御部71Aは、レンズ制御部26を介してメイン制御部62から与えられるAF制御信号に基づき、フォーカスレンズ211を合焦位置に移動させるために必要な、AFアクチュエータ71Mに対する駆動制御信号を生成するものである。AFアクチュエータ71Mは、ステッピングモータ等からなり、レンズ駆動機構24にレンズ駆動力を与える。
【0047】
レンズ駆動機構24は、例えばヘリコイド及び該ヘリコイドを回転させる図示省略のギア等で構成され、AFアクチュエータ71Mからの駆動力を受けて、フォーカスレンズ211等を光軸LTと平行な方向に駆動させるものである。なお、フォーカスレンズ211の移動方向及び移動量は、それぞれAFアクチュエータ71Mの回転方向及び回転数に従う。
【0048】
レンズ位置検出部25は、レンズ群21の移動範囲内において光軸LT方向に複数個のコードパターンが所定ピッチで形成されたエンコード板と、このエンコード板に摺接しながらレンズと一体的に移動するエンコーダブラシとを備えており、レンズ群21の焦点調節時の移動量を検出する。なお、レンズ位置検出部24で検出されたレンズ位置は、例えばパルス数として出力される。
【0049】
レンズ制御部26は、例えば制御プログラムを記憶するROMや状態情報に関するデータを記憶するフラッシュメモリ等のメモリが内蔵されたマイクロコンピュータからなっている。
【0050】
また、レンズ制御部26は、コネクタEcを介してカメラボディ10のメイン制御部62との間で通信を行う通信機能を有している。これにより、例えばレンズ群21の焦点距離、射出瞳位置、絞り値、合焦距離及び周辺光量状態等の状態情報データや、レンズ位置検出部25で検出されるフォーカスレンズ211の位置情報をメイン制御部62に送信できるとともに、メイン制御部62から例えばフォーカスレンズ211の駆動量のデータを受信できる。
【0051】
絞り駆動機構27は、カプラ75を介して絞り駆動アクチュエータ76Mからの駆動力を受けて、絞り23の絞り径を変更するものである。
【0052】
続いて、カメラボディ10の電気的構成について説明する。カメラボディ10は、先に説明した撮像素子101、シャッタユニット40等の他に、AFE(アナログフロントエンド)5および画像処理部61、画像メモリ614、メイン制御部62、フラッシュ回路63、操作部64、VRAM65、カードI/F66、メモリカード67を備えて構成される。また、カメラボディ10は、通信用I/F68、電源回路69、電池69B、ミラー駆動制御部72A及びミラー駆動アクチュエータ72M、シャッタ駆動制御部73A及びシャッタ駆動アクチュエータ73M、絞り駆動制御部76A及び絞り駆動アクチュエータ76Mを備えて構成されている。
【0053】
撮像素子101は、先に説明した通りCMOSカラーエリアセンサからなり、後述のタイミング制御回路51により、当該撮像素子101の露光動作の開始(及び終了)や、撮像素子101が備える各画素の出力選択、画素信号の読出し等の撮像動作が制御される。
【0054】
AFE5は、撮像素子101に対して所定の動作を行わせるタイミングパルスを与えるとともに、撮像素子101から出力される被写体の画像信号に所定の信号処理を施し、デジタル信号に変換して画像処理部61に出力するものである。このAFE5は、タイミング制御回路51、信号処理部52及びA/D変換部53などを備えて構成されている。
【0055】
タイミング制御回路51は、メイン制御部62から出力される基準クロックに基づいて所定のタイミングパルス(垂直走査パルスφVn、水平走査パルスφVm、リセット信号φVr等を発生させるパルス)を生成して撮像素子101に出力し、撮像素子101の撮像動作を制御する。また、所定のタイミングパルスを信号処理部52やA/D変換部53にそれぞれ出力することにより、信号処理部52及びA/D変換部53の動作を制御する。
【0056】
信号処理部52は、撮像素子101から出力されるアナログの画像信号に所定のアナログ信号処理を施すもので、CDS(相関二重サンプリング)回路、AGC(オートゲインコントロール)回路及びクランプ回路等が設けられている。このAGC回路では、撮像素子101で生成された画像信号を増幅率(ゲイン)可変に増幅することができる。また、A/D変換部53は、信号処理部52から出力されたアナログのR、G、Bの画像信号を、タイミング制御回路51から出力されるタイミングパルスに基づいて、複数のビット(例えば12ビット)からなるデジタルの画像信号に変換するものである。
【0057】
画像処理部61は、AFE5から出力される画像データに所定の信号処理を行って画像ファイルを作成するもので、黒レベル補正回路611、ホワイトバランス補正回路612及びガンマ補正回路613等を備えて構成されている。なお、画像処理部61へ取り込まれた画像データは、撮像素子101の読み出しに同期して画像メモリ614に一旦書き込まれ、以後この画像メモリ614に書き込まれた画像データにアクセスして、画像処理部61の各ブロックにおいて処理が行われる。
【0058】
黒レベル補正回路611は、A/D変換部53によりA/D変換されたR、G、Bの各デジタル画像信号の黒レベルを、基準の黒レベルに補正するものである。
【0059】
ホワイトバランス補正回路612は、光源に応じた白の基準に基づいて、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分のデジタル信号のレベル変換(ホワイトバランス(WB)調整)を行うものである。すなわち、ホワイトバランス補正回路612は、撮影被写体において輝度や彩度データ等から本来白色であると推定される部分を特定し、その部分のR、G、Bそれぞれの色成分の積分(または平均)と、G/R比及びG/B比とを求め、これをR、Bの補正ゲイン(ホワイトバランスゲイン)としてレベル補正する。
【0060】
ガンマ補正回路613は、WB調整された画像データの階調特性を補正するものである。具体的にはガンマ補正回路613は、画像データのレベルを色成分毎に予め設定されたガンマ補正用テーブルを用いて非線形変換するとともにオフセット調整を行う。
【0061】
画像メモリ614は、撮影モード時には、画像処理部61から出力される画像データを一時的に記憶するとともに、この画像データに対しメイン制御部62により所定の処理を行うための作業領域として用いられるメモリである。また、再生モード時には、メモリカード67から読み出した画像データを一時的に記憶する。
【0062】
メイン制御部62は、マイクロコンピュータとして構成されており、主にCPU、RAMおよびROMを備えている。このメイン制御部62は、ROM内に格納されるプログラムを読み出し、当該プログラムをCPUで実行することによって、各種機能をソフトウェア的に実現する。例えば、メイン制御部62は、位相差AFモジュール107およびフォーカス駆動制御部71A等と協動して、フォーカスレンズ211の位置を制御する合焦制御動作を行う。
【0063】
また、メイン制御部62は、ソフトウェア的に実現される測光制御部621を有している。この測光制御部621は、後述のように測光センサ78からの出力に基づき拡張デジタル値(測光データ)を生成して次回測光時の露光時間を導出する動作を制御する。なお、メイン制御部62のROMには、測光センサ78においての露光時間(積分時間)のデフォルト値(例えば1ms)が記憶されている。
【0064】
フラッシュ回路63は、フラッシュ撮影モードにおいて、フラッシュ部318または接続端子部319に接続される外部フラッシュの発光量を、メイン制御部62により設定された発光量に制御するものである。
【0065】
操作部64は、上述のモード設定ダイアル305、制御値設定ダイアル306、シャッターボタン307、設定ボタン群312、十字キー314、プッシュボタン315、メインスイッチ317等を含み、操作情報をメイン制御部62に入力するためのものである。
【0066】
VRAM65は、LCD311の画素数に対応した画像信号の記憶容量を有し、メイン制御部62とLCD311との間のバッファメモリである。カードI/F66は、メモリカード67とメイン制御部62との間で信号の送受信を可能とするためのインターフェースである。メモリカード67は、メイン制御部62で生成された画像データを保存する記録媒体である。通信用I/F68は、パーソナルコンピュータやその他の外部機器に対する画像データ等の伝送を可能とするためのインターフェースである。
【0067】
電源回路69は、例えば定電圧回路等からなり、メイン制御部62等の制御部、撮像素子101、その他の各種駆動部等、撮像装置1全体を駆動させるための電圧を生成する。なお、撮像素子101への通電制御は、メイン制御部62から電源回路69に与えられる制御信号により行われる。電池69Bは、ニッケル水素充電池等の二次電池や、アルカリ乾電池等の一次電池からなり、撮像装置1全体に電力を供給する電源である。
【0068】
ミラー駆動制御部72Aは、撮影動作のタイミングに合わせて、ミラー駆動アクチュエータ72Mを駆動させる駆動信号を生成するものである。ミラー駆動アクチュエータ72Mは、ミラー部103(クイックリターンミラー)を、水平姿勢若しくは傾斜姿勢に回動させるアクチュエータである。
【0069】
シャッタ駆動制御部73Aは、メイン制御部62から与えられる制御信号に基づき、シャッタ駆動アクチュエータ73Mに対する駆動制御信号を生成するものである。シャッタ駆動アクチュエータ73Mは、シャッタユニット40の開閉駆動(開閉動作)を行うアクチュエータである。
【0070】
絞り駆動制御部76Aは、メイン制御部62から与えられる制御信号に基づき、絞り駆動アクチュエータ76Mに対する駆動制御信号を生成するものである。絞り駆動アクチュエータ76Mは、カプラ75を介して絞り駆動機構27に駆動力を与える。
【0071】
[測光センサ78の構成および動作]
図6および図7は、測光センサ78の構成を説明するための図である。ここで、図6は、測光センサ78の受光面を示しており、図7は、測光センサ78の電気的な構成を示している。また、図8は、測光センサ78の動作を説明するための図であり、左から右に向かって時間の経過が表されたタイムチャートとなっている。
【0072】
測光センサ78においては、図6に示すように赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のカラーフィルタFr、Fg、Fbがベイヤー配列で配置されており、各カラーフィルタFr、Fg、Fbの下方(背後)にはフォトダイオードPD(図7)が設けられている。そして、測光センサ78では、上下左右に隣接する4個のフォトダイオードPDで構成される光電ユニット(以下では「画素」ともいう)Pxが規定されている。これにより、測光センサ78に配設された複数の画素(光電ユニット)Pxそれぞれにおいて3原色それぞれの感度を有したRGB各色の測光データが得られ、1つの画素PxからRGB各色の輝度情報(濃度情報)を取得することが可能となる。
【0073】
また、測光センサ78は、光電変換作用によりフォトダイオードPDに蓄積された電荷信号が、水平シフトレジスタRhおよび垂直シフトレジスタRvを通って、ゲイン(増幅率)αが設定されたアンプ(増幅器)Apと、ゲインβ(ここでβ<α)が設定されたアンプAqとに入力される構成を備えている。なお、アンプApのゲインαは、アンプAqのゲインβに対して例えば3EVに相当する8倍に設定されている。このような構成により、測光センサ78の出力端子Bpおよび出力端子Bqでは、アンプApによってゲイン(以下では「Hゲイン」ともいう)αが乗算された測光値(以下では「H出力値」ともいう)と、アンプAqによってゲイン(以下では「Lゲイン」ともいう)βが乗算された測光値(以下では「L出力値」ともいう)とが同時に得られることとなる。ただし、これらの測光値は、例えば6EV程度のダイナミックレンジで制限されて測光センサ78から出力される。
【0074】
以上のような構成を有する測光センサ78では、図8に示すように露光時間Teの露光動作(積分動作)によってフォトダイオードPDで電荷信号を生成した後に、各フォトダイオードPD内の電荷信号の読出しを期間Tpに渡って実行することで、各出力端子Bp、Bq(図7)から上述のH出力値およびL出力値が適切に得られることとなる。
【0075】
このように測光センサ78では、露光により光電変換セルをそれぞれ構成する4つのフォトダイオードPDを有した各画素(光電ユニット)Pxにて生成される電荷信号を異なる2つのゲインα、βでリニアに増幅して2つの測光値(H出力値およびL出力値)を生成し、これらのH/L出力値を予め定められたダイナミックレンジ(信号レンジ)で出力する。以下では、測光センサ78を用い次回測光時の露光時間Teを精度良く導出して適正な被写体輝度が検出されるまでの時間の短縮を図る測光制御について詳しく説明する。
【0076】
[測光制御について]
図9は、測光センサ78からの測光出力を説明するための図である。この図9では、横軸が被写体に対しての測定輝度(EV)を示し、縦軸が測光センサ78の測光出力を10bitのA/D変換器で変換した際のデジタル値を示している。
【0077】
図9において、測光センサ78からのH出力値とL出力値とに関しては、曲線部Ga1および直線部Ga2からなるグラフGaと、曲線のグラフGbとで表される。ここで、H出力値に関するグラフGaでは高輝度部分で直線部Ga2のように飽和しているが、これは比較的高いゲインαで増幅された測光値(H出力値)が高輝度においてレンジオーバーするためである。なお、リニア出力タイプの測光センサ78は受光量(測定輝度)に応じて出力値が比例して増減するリニア特性を有しているが、図9のように横軸のみが対数化されている場合には、その測光出力が曲線のグラフGa1、Gbで表されることとなる。
【0078】
以上のグラフGa、GbようなH出力値およびL出力値が得られる測光センサ78を用い、次回測光時の露光時間Teを精度良く導出して適正な被写体輝度が検出されるまでの時間の短縮を図るには、1回の測光(測光センサ78の露光)で適切な測光値(測光データ)を得ることが必要である。ここで、1回の測光によって妥当な測光データを得るには、低輝度や高輝度の被写体に対しても、黒潰れや白飛びが生じないようにするのが好ましい。このような測光は、そのダイナミックレンジを広く設定することで実現可能となるものの、リニア出力タイプの測光センサ78は上述のように対数圧縮タイプに比べてダイナミックレンジが比較的狭い。そこで、本実施形態の撮像装置1では、測光センサ78からのH出力値とL出力値とを有効活用することにより、測光のダイナミックレンジを擬似的に拡張できるようになっている。このダイナミックレンジを拡張する手法について、以下で詳しく説明する。
【0079】
図10は、測光のダイナミックレンジを拡張する手法を説明するための図である。この図10では、横軸が被写体に対しての測定輝度(EV)を示し、縦軸が測光センサ78を用いて得られた測光データについてのデジタル値(後述の拡張デジタル値)を対数変換したものを示している。
【0080】
直線部Ha1および直線部Ha2からなる折れ線状のグラフHaと直線状のグラフHbとは、図9に示すグラフGaとグラフGbとを縦軸方向に対数圧縮したものである。
【0081】
測光センサ78からのH出力値については、グラフHa1のように低輝度の被写体に対して黒潰れが生じる可能性を低減できるというメリットがあるものの、高輝度領域Lcでは直線部Ha2のように飽和して適切な測光データが得られない。そこで、グラフHb上の各値を8倍(=ゲインα/β)にしたグラフHcを測光制御部621で生成し、このグラフHcにおける高輝度領域Lcの測光データでグラフHaの飽和部分(直線部Ha2)を補完するようにして各グラフHa、Hcを合成する。これにより、測光センサ78の出力に基づき得られる測光データに関してのダイナミックレンジが10bitから13bitに仮想的に拡張されることとなる。このように拡張された測光データのデジタル値を、以下では「拡張デジタル値」とも称する。
【0082】
以上のように測光のダイナミックレンジを擬似的に拡張することが可能な撮像装置1の具体的な動作について、以下で詳しく説明する。
【0083】
[撮像装置1の動作]
図11は、撮像装置1の基本的な動作を示すフローチャートである。この動作については、特に測光に関しての動作を示しており、主にメイン制御部62の測光制御部621によって実行される。
【0084】
メインスイッチ317に対してのユーザ操作により撮像装置1の電源オンが行われると、シャッターボタン307がユーザによって半押しされたかを判定する(ステップST1)。ここで、シャッターボタン307が半押しされた場合には、ステップST2に進み、半押しされていない場合には、ステップST1を継続する。
【0085】
ステップST2では、フォーカスレンズ211の駆動を伴ったAF制御動作などの撮影準備動作を行う。
【0086】
ステップST3では、測光センサ78からの出力に基づき測光処理を行う(後で詳述)。
【0087】
ステップST4では、シャッターボタン307の半押しが継続しているかを判定する。ここで、半押しが継続している場合には、ステップST2に戻り、半押しが解除されている場合には、本フローチャートを抜ける。
【0088】
図12は、上記のステップST3に対応しており、測光処理を示すフローチャートである。
【0089】
ステップST11では、測光センサ78による1回目の測光であるかを判定する。この1回目の測光とは、シャッターボタン307が半押しされた直後において測光センサ78が最初に行う測光である。ここで、1回目の測光である場合には、ステップST12に進み、2回目以降の測光である場合には、ステップST13に進む。
【0090】
ステップST12では、測光センサ78の露光時間(積分時間)をデフォルト値(例えば1ms)に設定する。また、ここでは、次回(2回目以降)の測光での目標値(動作点)として、予め定められたデフォルト値(例えばデジタル値で「256」)を設定する。
【0091】
ステップST13では、設定された露光時間(第1の露光条件)で測光センサ78の露光(測光積分)を行う。
【0092】
ステップST14では、ステップST13の露光動作によって測光センサ78で生成された電荷信号に基づく測光値を読み出す。そして、このA/D変換した測光データをH出力値とL出力値とに分けて例えばメイン制御部62のRAMに格納する。ここで、測光センサ78での画素位置(i,j)の画素Pxにおいては、RGB各色毎にH/L出力値で得られる測光データのデジタル値を、次のように定義する。
【0093】
・赤色(R)のH/L出力値に係るデジタル値:LBrH(i,j)およびLBrL(i,j)
・緑色(G)のH/L出力値に係るデジタル値:LBgH(i,j)およびLBgL(i,j)
・青色(R)のH/L出力値に係るデジタル値:LBbH(i,j)およびLBbL(i,j)
なお、各画素Pxは図6のように緑色のカラーフィルタFgを2つ備えているが、これら2つの緑色のカラーフィルタFgを介して被写体光を受光する各フォトダイオードPDからの電荷信号に基づく出力値を平均化したものをLBgH(i,j)およびLBgL(i,j)に設定(代入)することとする。なお、以下では、LBrH(i,j)、LBgH(i,j)およびLBbH(i,j)を総称してLBxH(i,j)と表記し、LBrL(i,j)、LBgL(i,j)およびLBbL(i,j)を総称してLBxL(i,j)と表記することもある。
【0094】
次のステップST15〜17の動作は、測光センサ78を用いて得られた測光値の処理を示しているが、この各動作を以下で詳しく説明する。
【0095】
ステップST15では、測光センサ78から得られた測光データのデジタル値を、上述した拡張デジタル値に変換する。すなわち、図10のように、グラフHb上の各値を8倍にしたグラフHcを新たに生成する。そして、グラフHcにおける高輝度領域Lcの測光データでグラフHaの飽和部分(直線部Ha2)を補うようにして、測光のダイナミックレンジを拡張する。以下では、この拡張デジタル値の変換(生成)について具体的に説明する。
【0096】
図10のように測定輝度に関して低輝度領域Laと高輝度領域Lcと、これらの間の輝度である中輝度領域Lbとに分け、各輝度領域La、Lb、Lcにおいて以下のように2つのグラフHa、Hcのうち拡張デジタル値として採用する1つのグラフを決定し各画素Pxの拡張デジタル値EBx(i,j)を生成する。
【0097】
(i)低輝度領域La
図10のようにL出力値を表すグラフHbにおいて閾値Th1(例えばTh1=16)より小さい低輝度領域Laの測定輝度では、H出力値を表すグラフHaを拡張デジタル値として採用する。すなわち、LBxL(i,j)<Th1の場合には、拡張デジタル値EBx(i,j)=LBxH(i,j)とする。
【0098】
(ii)中輝度領域Lb
図10のようにL出力値を表すグラフHbにおいて閾値Th1(例えばTh1=16)以上で閾値Th2(例えばTh2=128)以下となる中輝度領域Lbの測定輝度では、2つのグラフHa、Hcのうち出力値が大きい方を拡張デジタル値として採用する。すなわち、Th1≦LBxL(i,j)≦Th2の場合には、拡張デジタル値EBx(i,j)=Max(LBxH(i,j),LBxL(i,j)×8)とする。なお、関数Max(a,b,・・・)は、引数a、b、・・・のうち最大、つまり大きい方を出力する関数である。このように出力値の大きい方を拡張デジタル値に設定すれば、被写体輝度を高めに検出できるため、そのフィードバック制御により次回の測光時において白飛びの抑制が図れることとなる。
【0099】
ここで、上述した拡張デジタル値として採用するグラフに関しては、ゲインβを基準としたゲインαの倍率(=8倍)の逆数をH出力値LBxH(i,j)に乗じた演算値(=LBxH(i,j)/8)と、ゲインβを基準とした自身(ゲインβ)の倍率(=1倍)の逆数をL出力値LBxL(i,j)に乗じた演算値とを比較し、大きい演算値を選択することによっても、2つのグラフHa、Hcから適切なものを選び出すことが可能である。
【0100】
(iii)高輝度領域Lc
図10のようにL出力値を表すグラフHbにおいて閾値Th2(例えばTh2=128)より大きい高輝度領域Lcの測定輝度では、L出力値を8倍したグラフHcを拡張デジタル値として採用する。すなわち、LBxL(i,j)>Th2の場合には、拡張デジタル値EBx(i,j)=LBxL(i,j)×8とする。
【0101】
以上のように測光センサ78によって得られるL出力値(被写体輝度)が閾値(第1の閾値)Th1より小さい場合には、2つのゲインα、βのうち最大のゲインαで増幅された測光値(H出力値)に基づき拡張デジタル値(測光データ)を生成する一方、閾値Th1より大きい閾値(第2の閾値)Th2と比べてL出力値が大きい場合には、2つのゲインα、βのうち最小のゲインβで増幅された測光値(L出力値)を8倍したものに基づき、拡張デジタル値を生成する。また、L出力値が閾値Th1以上で閾値Th2以下である場合には、上述のように2つの測光値(H出力値およびL出力値)それぞれに係るゲインα、βの逆数を、その測光値に乗じることで得られた各演算値を比較して、拡張デジタル値を生成する。以上のように拡張デジタル値を生成することにより、ダイナミックレンジが適切に拡張された測光データが得られることとなる。
【0102】
ステップST16では、各画素Pxで代表値を決定する。具体的には、測光センサ78の画素Pxそれぞれにおいて、次のように輝度の代表値EBd(i,j)と、その代表値の色情報Ecol(i,j)とを設定する。
【0103】
・輝度の代表値:EBd(i,j)=Max(EBr(i,j),EBg(i,j),EBb(i,j))
・代表値の色情報:Ecol(i,j)=EBd(i,j)の色番号(例えば1=R,2=G,3=B)
このように測光センサ78の全画素(光電ユニット)PxそれぞれにおいてRGB各色の拡張デジタル値(測光データ)のうち最大のものを代表値にすることによれば、この代表値に基づき後述のステップST18にて次回測光時の露光時間(第2の露光条件)を導出することで、適切な測光データに基づいた露光時間の導出が可能となる。
【0104】
ステップST17では、次のステップST18にて利用すべく測光データに関しての中間的なパラメータ(以下では「中間パラメータ」ともいう)を算出する。具体的には、最大値、最小値および平均値に関する中間パラメータEBmax、EBmin、EBaveを、次のように設定する。
【0105】
・最大値EBmax:全ての画素PxにおけるEBd(i,j)の最大値
・最小値EBmin:全ての画素PxにおけるEBd(i,j)の最小値
・平均値EBave:全ての画素PxにおけるEBd(i,j)の平均値
このように測光センサ78の画素(光電ユニット)Pxそれぞれに関しての代表値全てのうちから最大値(最大の代表値)EBmaxおよび最小値(最小の代表値)EBminを抽出するとともに、各画素Pxに係る代表値全てについての平均値EBaveを算出することによれば、これらの中間パラメータEBmax、EBmin、EBaveに基づき後述のステップST18にて次回測光時の露光時間(第2の露光条件)を導出することで、的確な測光情報に基づいた露光時間の導出が可能となる。
【0106】
ステップST18では、次回測光時の露光時間を算出する。以下では、ステップST13における今回の測光で設定された露光時間をTe1とし、次回の測光で設定する露光時間Te2の算出手法について具体的に説明する。
【0107】
(i)今回の測光で白飛びが生じているケース
ステップST17で算出された最小値の中間パラメータEBmin>Th3(例えばTh3=7168)の場合には、次の式(1)によって次回測光時の露光時間Te2を求める。
【0108】
Te2=Te1×(128/EBmin) ・・・・・・・(1)
このように最小値の中間パラメータ(最小の代表値)EBminが閾値Th3より大きい場合には、次回の測光によって得られる最小値の中間パラメータが予め定められた値、つまり上式(1)右辺の「128」となるように次回の露光時間(第2の露光条件)Te2を導出することで、次回測光時の白飛びを適切に抑えることが可能となる。
【0109】
(ii)今回の測光で黒潰れが生じているケース
ステップST17で算出された最大値の中間パラメータEBmax<Th1(例えばTh1=16)の場合には、次の式(2)によって次回測光時の露光時間Te2を求める。
【0110】
Te2=Te1×(896/EBmax) ・・・・・・・(2)
このように最大値の中間パラメータ(最大の代表値)EBmaxが閾値Th1より小さい場合には、次回の測光によって得られる最大値の中間パラメータが予め定められた値、つまり上式(2)右辺の「896」となるように次回の露光時間(第2の露光条件)Te2を導出することで、次回測光時の黒潰れを適切に抑えることが可能となる。
【0111】
(iii)今回の測光で白飛びや黒潰れが生じていないケース
上記のケース(i)およびケース(ii)に該当しない場合には、次の各ケース(iii-a)、(iii-b)を除き、ステップST12で設定した動作点(=256)を用いて次の式(3)により次回測光時の露光時間Te2を求める。これにより、次回測光時の平均輝度を適正値に制御することが可能となる。
【0112】
Te2=Te1×(256/EBave) ・・・・・・・(3)
(iii-a)今回の測光で得られた平均輝度が高いケース
例えばステップST17で算出された平均値の中間パラメータEBave>1024の場合には、次の式(4)によって次回測光時の露光時間Te2を求める。これにより、次回測光時の最低輝度を適正値、つまり下式(4)右辺の「16」に制御することが可能となる。
【0113】
Te2=Te1×(16/EBmin) ・・・・・・・・(4)
(iii-b)今回の測光で得られた平均輝度が低いケース
例えばステップST17で算出された平均値の中間パラメータEBave<16の場合には、次の式(5)によって次回測光時の露光時間Te2を求める。これにより、次回測光時の最大輝度を適正値、つまり下式(5)右辺の「896」に制御することが可能となる。
【0114】
Te2=Te1×(896/EBmax) ・・・・・・・(5)
ステップST19では、次のステップST20の前処理として測光値の正規化を行う。具体的には、RGB各色の測光データに対する補正値としてKr(i,j)、Kg(i,j)およびKb(i,j)を設定し、色が異なっても同等の光強度となるように次の式(6)〜(8)によって正規化された測光値EBrc(i,j)、EBgc(i,j)およびEBbc(i,j)を求める。ここで、補正値Kg(i,j)は、例えば「1」が設定されている。
【0115】
EBrc(i,j)=Kr(i,j)×EBr(i,j)・・・・・・(6)
EBgc(i,j)=Kg(i,j)×EBg(i,j)・・・・・・(7)
EBbc(i,j)=Kb(i,j)×EBb(i,j)・・・・・・(8)
なお、図6のようにカラーフィルタが設けられて色の感度差がある測光センサ78ではなく、色の感度差がない測光センサの場合には、上記のステップST19の動作を省略できる。
【0116】
ステップST20では、Y化および平均化の処理を行う。すなわち、ステップST19で正規化されたRGB各色の測光値EBrc(i,j)、EBgc(i,j)、EBbc(i,j)を用いて被写体の輝度値(Y値)を求め、これを平均化する。具体的には、まず次の式(9)によって各画素PxのY値EY(i,j)を求める。
【0117】
EY(i,j)=(5×EBrc(i,j)+9×EBgc(i,j)+2×EBbc(i,j))/16・・・(9)
そして、上式(9)で算出された各画素PxのY値EY(i,j)を平均化し、その平均値EYaveを求める。
【0118】
ステップST21では、ステップST13における今回の測光で設定された露光条件から、被写体に関する絶対輝度値を算出する。具体的には、交換レンズ2の絞り23に関する絞り値(AV値)AVt、今回の測光時の露光時間(TV値)TVt、および測光センサ78のH出力値に関する実効感度(SV値)SVtに基づき、次の式(10)によって絶対輝度値(BV値)BVzを求める。
【0119】
BVz=AVt+TVt−SVt ・・・・・・・・・(10)
そして、上式(10)で算出された絶対輝度値BVzと、ステップST20で得られた輝度の平均値EYaveと、ステップST12で設定した動作点(=256)とを用い、次の式(11)によって露出制御の予定値BVcを求める。
【0120】
BVc=BVz+log2(EYave−256)・・・・・・・(11)
ステップST22では、ステップST21で算出された絶対輝度値BVzに基づき露出演算を行う。すなわち、本撮影時における露出制御値、具体的には撮像素子101の感度(SV値)SVc、絞り値(AV値)AVc、シャッタースピード(TV値)TVcおよび露光値(EV値)EVcを、次の式(12)〜(14)に基づいて決定する。
【0121】
EVc=SVc+BVc ・・・・・・・・・・・・・・(12)
AVc=EVc/2 ・・・・・・・・・・・・・・・・(13)
TVc=EVc−AVc ・・・・・・・・・・・・・・(14)
ただし、上式(13)〜(14)で算出される絞り値AVcやシャッタースピードTVcについては、予め定められたリミット値による制限を受ける。
【0122】
以上のような撮像装置1の動作により、ステップST13で設定された露光時間(第1の露光条件)による測光を行って測光センサ78から出力される2つの測光値(H出力値およびL出力値)とゲインα、βとに基づき、図10に示すように測光センサ78のダイナミックレンジ(第1のダイナミックレンジ)より広い第2のダイナミックレンジを持つ拡張デジタル値(測光データ)を生成する。そして、この拡張デジタル値に基づき、ステップST13の測光に係る次の測光で設定する露光時間(第2の露光条件)を導出する(ステップST18)。このように測光のダイナミックレンジが拡張された拡張デジタル値を生成して活用することにより、測光データにおいて黒潰れや白飛びの生じる可能性が低下するため、1回の測光(例えば最初の測光)で被写体輝度を的確に把握することが可能となる。その結果、リニア出力タイプの測光センサ78を用いた測光において適正な被写体輝度が検出されるまでの時間を短縮できる。
【0123】
なお、撮像装置1においては、異なる2つのゲインα、βで増幅された各測光値を出力する測光センサ78を用いるのは必須でなく、異なる3以上のゲインで増幅された各測光値を出力する測光センサを用いて拡張デジタル値を生成するようにしても良い。以下では、異なる3つのゲイン(H/M/Lゲイン)が乗算された各測光値を出力する測光センサ78A(図3〜5)を例に挙げて、その拡張デジタル値の算出について説明する。
【0124】
図13は、測光センサ78Aからの測光出力を説明するための図である。この図13では、横軸が被写体に対しての測定輝度(EV)を示し、縦軸が測光センサ78Aの測光出力を12bitのA/D変換器で変換した際のデジタル値を示している。
【0125】
測光センサ78Aは、例えば図7に示す測光センサ78において2個のアンプAp、Aqに加え更に1個のアンプを追加した構成を備えている。これにより、測光センサ78Aの3つの出力端子からは、異なる3つのゲインγa、γb、γcで増幅された測光値(H/M/L出力値)が同時に得られるようになっている。なお、各ゲインについては、例えばゲインγaがゲインγbの8倍、ゲインγbがゲインγcの8倍となる関係、つまりγa=8×γb=64×γcという関係が成立するように設定されている。
【0126】
測光センサ78AからのH/M/L出力値に関しては、図13のように、曲線部Gc1および飽和状態の直線部Gc2からなるグラフGcと、曲線部Gd1および飽和状態の直線部Gd2からなるグラフGdと、曲線のグラフGeとで表される。ここで、H出力値に関するゲインγaはM出力値に関するゲインγbに対して8倍であるため、グラフGcはグラフGdに対して低輝度で飽和する。
【0127】
図14は、図10に対応しており、測光のダイナミックレンジを拡張する手法を説明するための図である。
【0128】
直線部Hd1および直線部Hd2からなる折れ線状のグラフHdと、直線部He1および直線部He2からなる折れ線状のグラフHeと、直線状のグラフHfとは、図13に示すグラフGcとグラフGdとグラフGeとを縦軸方向に対数圧縮したものである。また、グラフHgは、グラフHd上の各値を8倍にしたものであり、グラフHhは、グラフHf上の各値を64倍にしたものである。
【0129】
そして、測定輝度を低輝度領域Ka、中輝度領域Kbおよび高輝度領域Kcに分け、低輝度領域KaではグラフHdの測光データを拡張デジタル値として採用する。また、中輝度領域Kbでは適切な測光データが得られないグラフHdに代わってグラフHgの測光データを拡張デジタル値として採用するとともに、高輝度領域Kcでは適切な測光データが得られないグラフHg(Hd)に代わってグラフHhの測光データを拡張デジタル値として採用する。これにより、測光のダイナミックレンジが12bitから18bitに適切に拡張されることとなる。
【0130】
以上のような拡張デジタル値を生成する撮像装置では、図11および図12に示すフローチャートと類似した動作がメイン制御部62の測光制御部621A(図5)によって実行される。ただし、図12のステップST15における拡張デジタル値の変換動作が異なっており、この動作について以下で詳しく説明する。
【0131】
まず、測光センサ78Aにおける画素位置(i,j)の画素Pxに関して、RGB各色毎にH/M/L出力値で得られる測光データのデジタル値を、次のように定義する。
【0132】
・赤色(R)のH/M/L出力値:LBrH(i,j)、LBrM(i,j)およびLBrL(i,j)
・緑色(G)のH/M/L出力値:LBgH(i,j)、LBgM(i,j)およびLBgL(i,j)
・青色(R)のH/M/L出力値:LBbH(i,j)、LBbM(i,j)およびLBbL(i,j)
そして、測光センサ78Aから得られた測光データのデジタル値を、上述した拡張デジタル値に変換する。すなわち、図14のように、グラフHd上の各値を8倍にしたグラフHgを新たに生成するとともにグラフHf上の各値を64倍にしたグラフHhを新たに生成する。そして、グラフHgにおける中輝度領域Kbの測光データやグラフHhにおける高輝度領域Kcの測光データで、グラフHd、Heの飽和部分(直線部Hd2、He2)を補うようにする。以下では、この拡張デジタル値の変換(生成)について具体的に説明する。
【0133】
図14に示す低輝度領域Ka、中輝度領域Kbおよび高輝度領域Kcにおいて、以下のように3つのグラフHd、Hg、Hhのうち拡張デジタル値として採用する1つのグラフを決定し各画素Pxの拡張デジタル値EBx(i,j)を生成する。
【0134】
(i)低輝度領域Ka
図14のようにM出力値を表すグラフHeにおいて閾値Tha(例えばTha=256)より小さい低輝度領域Kaの測定輝度では、H出力値を表すグラフHdを拡張デジタル値として採用する。すなわち、LBxM(i,j)<Thaの場合には、拡張デジタル値EBx(i,j)=LBxH(i,j)とする。
【0135】
(ii)中輝度領域Kb
図14のようにM出力値を表すグラフHeにおいて閾値Tha(例えばTh1=256)以上で閾値Thb(例えばThb=2048)以下となる中輝度領域Kbの測定輝度では、M出力を8倍したグラフHgを拡張デジタル値として採用する。すなわち、Tha≦LBxM(i,j)≦Thbの場合には、拡張デジタル値EBx(i,j)=LBxM(i,j)×8とする。
【0136】
(iii)高輝度領域Kc
図14のようにM出力値を表すグラフHeにおいて閾値Thb(例えばThb=2048)より大きい高輝度領域Kcの測定輝度では、L出力値を64倍したグラフHhを拡張デジタル値として採用する。すなわち、LBxM(i,j)>Thbの場合には、拡張デジタル値EBx(i,j)=LBxL(i,j)×64とする。
【0137】
以上のように測光センサ78AからのH/M/L出力値に基づき測光のダイナミックレンジが拡張された拡張デジタル値を生成すれば、1回の測光で被写体輝度を的確に把握できるため、適正な被写体輝度が検出されるまでの時間の短縮が図れる。
【0138】
<変形例>
上記の実施形態における測光センサについては、RGB各色のカラーフィルタを図6のようにベイヤー配列で配置するのは必須でなく、図15に示すようにストライプ配列で配置するようにしても良い。なお、図15に示すカラーフィルタ配置では、左右(水平方向)に隣接する赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のカラーフィルタFr、Fg、Fbの組が1つの画素(光電ユニット)Pxを構成することとなる。
【0139】
上記の実施形態における測光センサ78(78A)については、一眼レフタイプのカメラ(撮像装置)に設けるのは必須でなく、コンパクトタイプのカメラに設けるようにしても良い。また、デジタルカメラに設けるのは必須でなく、銀塩フィルムを用いるカメラに設けても良い。
【0140】
本発明は詳細に説明されたが、以上の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0141】
1 撮像装置
2 交換レンズ
10 カメラボディ
62 メイン制御部
78、78A 測光センサ
101 撮像素子
621、621A 測光制御部
Ap、Aq アンプ
Ka、La 低輝度領域
Kb、Lb 中輝度領域
Kc、Lc 高輝度領域
PD フォトダイオード
Px 画素(光電ユニット)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光により所定の光電変換セルを有した複数の光電ユニットそれぞれにて生成される電荷信号を異なる複数のゲインでリニアに増幅して複数の測光値を生成し、当該複数の測光値を第1のダイナミックレンジで出力する測光センサと、
第1の露光条件に設定された測光により前記測光センサから出力される複数の測光値と前記ゲインとに基づき、前記第1のダイナミックレンジより広い第2のダイナミックレンジを持つ測光データを生成するとともに、当該測光データに基づいて前記第1の露光条件に設定された測光に係る次の測光で設定する第2の露光条件を導出する測光制御手段と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記測光制御手段は、
前記測光センサによって検出される被写体輝度が第1の閾値より小さい場合には、前記複数のゲインのうち最大のゲインで増幅された測光値に基づき、前記測光データを生成する第1生成手段と、
前記第1の閾値より大きい第2の閾値と比べて前記被写体輝度が大きい場合には、前記複数のゲインのうち最小のゲインで増幅された測光値に基づき、前記測光データを生成する第2生成手段と、
前記被写体輝度が前記第1の閾値以上で前記第2の閾値以下である場合には、前記複数の測光値それぞれに係るゲインの逆数を当該測光値に乗じることで得られた演算値に基づき、前記測光データを生成する第3生成手段と、
を有する請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記測光センサからは、前記複数の光電ユニットそれぞれにおいて、複数の色それぞれの感度を有した各色の測光データが得られるとともに、
前記測光制御手段は、
前記複数の光電ユニットそれぞれにおいて前記各色の測光データのうちの最大の測光データを代表値とし、当該代表値に基づき第2の露光条件を導出する露光条件導出手段、
を有する請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記露光条件導出手段は、
前記複数の光電ユニットそれぞれに係る前記代表値全てのうちから最大の代表値および最小の代表値を抽出するとともに、前記代表値全てについての平均値を算出する手段と、
前記最大の代表値と前記最小の代表値と前記平均値とに基づき、前記第2の露光条件を導出する手段、
を有する請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記測光制御手段は、
前記最小の代表値が所定の閾値より大きい場合には、前記次の測光によって得られる前記最小の代表値が所定の値となるように前記第2の露光条件を導出する手段、
を有する請求項4記載の撮像装置。
【請求項6】
前記測光制御手段は、
前記最大の代表値が特定の閾値より小さい場合には、前記次の測光によって得られる前記最大の代表値が特定の値となるように前記第2の露光条件を導出する手段、
を有する請求項4記載の撮像装置。
【請求項7】
露光により所定の光電変換セルを有した複数の光電ユニットそれぞれにて生成される電荷信号を異なる複数のゲインでリニアに増幅して複数の測光値を生成し、当該複数の測光値を第1のダイナミックレンジで出力する測光工程と、
第1の露光条件に設定された測光により前記測光工程で出力される複数の測光値と前記ゲインとに基づき、前記第1のダイナミックレンジより広い第2のダイナミックレンジを持つ測光データを生成するとともに、当該測光データに基づいて前記第1の露光条件に設定された測光に係る次の測光で設定する第2の露光条件を導出する測光制御工程と、
を備える測光方法。
【請求項1】
露光により所定の光電変換セルを有した複数の光電ユニットそれぞれにて生成される電荷信号を異なる複数のゲインでリニアに増幅して複数の測光値を生成し、当該複数の測光値を第1のダイナミックレンジで出力する測光センサと、
第1の露光条件に設定された測光により前記測光センサから出力される複数の測光値と前記ゲインとに基づき、前記第1のダイナミックレンジより広い第2のダイナミックレンジを持つ測光データを生成するとともに、当該測光データに基づいて前記第1の露光条件に設定された測光に係る次の測光で設定する第2の露光条件を導出する測光制御手段と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記測光制御手段は、
前記測光センサによって検出される被写体輝度が第1の閾値より小さい場合には、前記複数のゲインのうち最大のゲインで増幅された測光値に基づき、前記測光データを生成する第1生成手段と、
前記第1の閾値より大きい第2の閾値と比べて前記被写体輝度が大きい場合には、前記複数のゲインのうち最小のゲインで増幅された測光値に基づき、前記測光データを生成する第2生成手段と、
前記被写体輝度が前記第1の閾値以上で前記第2の閾値以下である場合には、前記複数の測光値それぞれに係るゲインの逆数を当該測光値に乗じることで得られた演算値に基づき、前記測光データを生成する第3生成手段と、
を有する請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記測光センサからは、前記複数の光電ユニットそれぞれにおいて、複数の色それぞれの感度を有した各色の測光データが得られるとともに、
前記測光制御手段は、
前記複数の光電ユニットそれぞれにおいて前記各色の測光データのうちの最大の測光データを代表値とし、当該代表値に基づき第2の露光条件を導出する露光条件導出手段、
を有する請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記露光条件導出手段は、
前記複数の光電ユニットそれぞれに係る前記代表値全てのうちから最大の代表値および最小の代表値を抽出するとともに、前記代表値全てについての平均値を算出する手段と、
前記最大の代表値と前記最小の代表値と前記平均値とに基づき、前記第2の露光条件を導出する手段、
を有する請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記測光制御手段は、
前記最小の代表値が所定の閾値より大きい場合には、前記次の測光によって得られる前記最小の代表値が所定の値となるように前記第2の露光条件を導出する手段、
を有する請求項4記載の撮像装置。
【請求項6】
前記測光制御手段は、
前記最大の代表値が特定の閾値より小さい場合には、前記次の測光によって得られる前記最大の代表値が特定の値となるように前記第2の露光条件を導出する手段、
を有する請求項4記載の撮像装置。
【請求項7】
露光により所定の光電変換セルを有した複数の光電ユニットそれぞれにて生成される電荷信号を異なる複数のゲインでリニアに増幅して複数の測光値を生成し、当該複数の測光値を第1のダイナミックレンジで出力する測光工程と、
第1の露光条件に設定された測光により前記測光工程で出力される複数の測光値と前記ゲインとに基づき、前記第1のダイナミックレンジより広い第2のダイナミックレンジを持つ測光データを生成するとともに、当該測光データに基づいて前記第1の露光条件に設定された測光に係る次の測光で設定する第2の露光条件を導出する測光制御工程と、
を備える測光方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−81306(P2011−81306A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235280(P2009−235280)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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