説明

撮像装置及びこれを備えた電子内視鏡

【課題】撮像装置において、信号ケーブル,フレキシブル基板,固体撮像素子等の部品やこれらの接合部に剥離や破損が生じることを防止するとともに、先端硬質部の径を細くするのに貢献する。
【解決手段】ケーブルカバー39の端部39aが連結部材40の端部40eの内側に第1接着剤42によって接着され、レンズ鏡筒26が前端部14aに固定され、かつ鍔部26aに連結部材40の一対の爪部40dが係合しているため、信号ケーブル37が連結部材40から離れる方向に引っ張られても、各信号線38が動くことがない。CCD29とフレキシブル基板35の一端部35aは、連結部材40によって覆われていないため、連結部材40の厚みや、連結部材40とCCD29との間に充填される接着剤の厚みの分、省スペースとなり、先端硬質部14の細径化に寄与できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、及びこれを挿入部の先端部に備えた電子内視鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子内視鏡は、被検者の体内に挿入される挿入部を備えている。この挿入部は、挿入部の先端に設けられた先端硬質部と、これを所望の方向に向けるため、先端硬質部の後端側に連設された湾曲自在の湾曲部と、この後端側に連設された長い(用途によって異なるが1m〜2m程度)軟性部とからなる。
【0003】
先端硬質部には、レンズやプリズム等の複数個の光学部品からなる光学系と、この光学系によって結像された光学画像を撮像信号に光電変換するCCD等の固体撮像素子とからなる撮像装置が組み込まれている。固体撮像素子はフレキシブル基板を介して信号ケーブルと接続され、信号ケーブルは画像処理装置に電気的に接続される。また、フレキシブル基板には固体撮像素子を駆動するために電子部品が実装されている。撮像装置から出力された撮像信号が画像処理装置で適宜信号処理され、モニタTVに出力されて、モニタTVに病変等の画像が表示される。
【0004】
信号ケーブルは、挿入部の全長にわたって挿通されているので、挿入部がループされたり、挿入部に設けられた湾曲部が大きく湾曲される度に、強く押し引きされる。このため、信号ケーブルがフレキシブル基板から剥離する場合がある。
【0005】
このような剥離を回避するため、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1記載の電子内視鏡では、フレキシブル基板の一端側に信号ケーブルが半田付けされるとともに、その半田付けされた信号ケーブルを囲むようにフレキシブル基板がコの字状に折り曲げられ、その周囲をシールドテープと絶縁テープによって被覆され、この内部空間にエポキシ系の接着剤が充填されて変形しないように固められている。さらに、信号ケーブルが固定された側の回路基板は、押さえ板を介して、固定ねじによって連結筒に固定されているため、信号ケーブルが強く押し引きされても、回路基板は動かず、信号ケーブルから回路基板に加わるねじれや傾きの力も、可撓性のある回路基板で吸収されて、固体撮像素子及び対物光学系には伝わらない。
【0006】
特許文献2記載の撮像装置では、フレキシブル基板と信号ケーブルの接続部は封止材で覆い固められている。
【0007】
特許文献3記載の撮像装置は、固体撮像素子及びフレキシブル基板の電子部品実装部を収容する補強枠を備え、この補強枠の内側に接着剤を充填している。さらに、フレキシブル基板に半田付けされた信号ケーブルの先端部分と補強枠とを熱収縮チューブで覆い、この内側に接着剤を充填して密封している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−261064号公報
【特許文献2】特開平9−146011号公報
【特許文献3】特開2008−118568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1記載の撮像装置では、回路基板を固定ねじによって連結筒に固定するという面倒な作業が必要となるという欠点がある。上記特許文献2記載の撮像装置では、信号ケーブルが押し引きされる力は、フレキシブル基板との接合部やフレキシブル基板に伝わる。フレキシブル基板に伝わった力は、信号ケーブルとフレキシブル基板との半田付け部やフレキシブル基板と固体撮像素子との接合部等にかかることになり、これらのいずれか弱いところに剥離や破損が生じる懸念がある。
【0010】
上記特許文献3記載の撮像装置では、固体撮像素子を補強枠の内部に収納する関係上、固体撮像素子のサイズによって補強枠のサイズが影響を受ける。撮影画像の高画質化への要求は年々高まる傾向にあるので、固体撮像素子は大型化せざるを得ない。しかしながら、固体撮像素子が大型化すると、これを収納する補強枠も大型化するため、内視鏡挿入部の先端硬質部の径が太くなり、患者の負担が増加するという欠点がある。
【0011】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、信号ケーブルが強く押し引きされた場合でも、信号ケーブル,フレキシブル基板,固体撮像素子等の部品やこれらの接合部に剥離や破損が生じることを防止できるとともに、先端硬質部の径を細くすることで患者の負担を軽減できる撮像装置及びこれを備えた電子内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の撮像装置は、レンズ鏡筒からの光学画像がプリズムを介して結像され、前記光学画像を光電変換する固体撮像素子と、前記固体撮像素子と電気的に接続されたフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に電気的に接続された信号ケーブルと、前記レンズ鏡筒と信号ケーブルとを連結して前記プリズムの少なくとも一面を覆うとともに、前記固体撮像素子が接続された側のフレキシブル基板の端部及び固体撮像素子が外側に露出される連結部材とを備えたことを特徴とする。
【0013】
前記連結部材は、少なくとも前記信号ケーブルの外皮をなすケーブルカバーの端部と前記フレキシブル基板の一部とを三方から覆うコの字状部を有し、このコの字状部の内側に前記ケーブルカバーの端部を固定することが好ましい。
【0014】
前記連結部材のコの字状部の内側に充填され、少なくとも前記プリズムの一部と、前記フレキシブル基板の一部とを封止する第1樹脂と、前記第1樹脂によって封止された部分を除く前記プリズムと前記フレキシブル基板と前記固体撮像素子とを封止する第2樹脂とを備えることが好ましい。
【0015】
前記ケーブルカバーの端部を封止する第1樹脂と、前記フレキシブル基板の信号ケーブルが電気的に接続された部分を封止する第2樹脂と、前記第1,2樹脂によって封止された部分を除く前記フレキシブル基板と前記プリズムの一部と前記固体撮像素子とを封止する第3樹脂とを備えたことが好ましい。
【0016】
前記第2樹脂は、硬化後の硬度が、前記第1樹脂よりも低いことが好ましい。また、前記第2,第3樹脂は、硬化後の各硬度が、同程度で、かつ前記第1樹脂よりも低いことが好ましい。
【0017】
前記ケーブルカバーの端部を封止する第1樹脂と、少なくとも前記プリズムの一部と前記フレキシブル基板の信号ケーブルが電気的に接続された部分とを封止する第2樹脂と、前記第1,第2樹脂によって封止された部分を除く前記フレキシブル基板の一部と前記固体撮像素子とを封止する第3樹脂と、前記レンズ鏡筒と前記プリズムとが接触した部分の周囲を封止する第4樹脂とを備えたことが好ましい。
【0018】
前記第1〜第3樹脂は、硬化後の各硬度が同程度に高く、前記第4樹脂は、硬化後の硬度が、前記第1〜第3樹脂よりも低いことが好ましい。
【0019】
前記ケーブルカバーの端部を封止する第1樹脂と、前記フレキシブル基板の信号ケーブルが電気的に接続された部分を封止する第2樹脂と、前記プリズムと前記プリズム近傍の前記レンズ鏡筒の一部と前記第2樹脂によって封止されていない前記フレキシブル基板の一部とを封止する第3樹脂と、前記第2,3樹脂によって封止された部分を除く前記プリズムの一部と前記フレキシブル基板の一部と前記固体撮像素子とを封止する第4樹脂とを備えたことが好ましい。
【0020】
前記第2樹脂は、硬化後の硬度が、前記第1樹脂よりも低く、前記第3,第4樹脂は、硬化後の各硬度が、前記第1樹脂と同程度であることが好ましい。
【0021】
本発明の電子内視鏡は、上記撮像装置のいずれかを被検体内に挿入される挿入部の先端部に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、連結部材によりレンズ鏡筒と信号ケーブルとを連結してプリズムの少なくとも一面を覆うので、信号ケーブルが強く押し引きされた場合でも、信号ケーブル,フレキシブル基板,固体撮像素子等の部品やこれらの接合部に剥離や破損が生じることを防止できる。また、固体撮像素子が接続された側のフレキシブル基板の端部及び固体撮像素子が連結部材の外側に露出されるので、先端硬質部の径を細くすることができ、患者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の電子内視鏡を示す外観図である。
【図2】先端部の内部、特には本発明の撮像装置の第1実施形態を側方から示す断面図である。
【図3】フレキシブル基板の一例を示す斜視図である。
【図4】撮像装置を斜め上方から示す外観図である。
【図5】撮像装置の第2実施形態を示す断面図である。
【図6】撮像装置の第3実施形態を示す断面図である。
【図7】撮像装置の第4実施形態を示す断面図である。
【図8】撮像装置の第5実施形態を示す断面図である。
【図9】撮像装置の第6実施形態を示す断面図である。
【図10】フレキシブル基板の別の例を示す斜視図である。
【図11】フレキシブル基板の更に別の例を示す斜視図である。
【図12】連結部材の別の例を示す斜視図である。
【図13】図12に示す連結部材を用いた撮像装置を示す側面図である。
【図14】更に別の連結部材を用いた撮像装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の第1実施形態である撮像装置1(図2,4参照)を備えた電子内視鏡10は、図1に示すように、被検体内に挿入される挿入部11と、挿入部11の基端部分に連設された操作部12と、プロセッサ装置や光源装置(いずれも図示せず)に接続されるユニバーサルコード13とを備えている。
【0025】
プロセッサ装置は、被検体内撮影用の固体撮像素子であるCCD29(図2参照)からユニバーサルコード13を介して入力された撮像信号に各種画像処理を施して、映像信号に変換するとともに、CCD29の駆動を制御する駆動制御信号を送信する。プロセッサ装置で変換された映像信号は、プロセッサ装置にケーブル接続されたモニタ(図示せず)に内視鏡画像として表示される。
【0026】
挿入部11は、先端から順に、先端硬質部14、湾曲部15、及び軟性部16で構成されている。先端硬質部14は、表面は樹脂であるが、その内側は硬質な金属材料等で形成され、後述する撮像装置1等が内蔵される。湾曲部15は、複数の関節用節輪を連結して構成され、アングルノブ17,18を操作することにより軟性部16内に挿通されたアングルワイヤー(図示せず)の移動に連動して上下左右方向に湾曲動作する。これにより、先端硬質部14が体腔内の所望の方向に向けられ、体腔内の被観察部位を撮像装置1で撮像することができる。軟性部16は、操作部12と湾曲部15との間を細径で長尺状に繋ぐ部分であり、可撓性を有している。
【0027】
操作部12には、鉗子口19が設けられている。鉗子口19には、患部の治療に用いられる鉗子や注射針といった処置具が挿通される。鉗子口19は、挿入部11内に配設された鉗子チャンネル30(図2参照)に接続され、鉗子チャンネル30は、先端硬質部14に設けられた鉗子出口23(図2参照)に接続される。
【0028】
操作部11には、送気・送水ボタン20、および吸引ボタン21が設けられている。送気・送水ボタン20を操作することにより、挿入部11内に設けられた送気・送水チャンネル(図示せず)を介して、先端硬質部14の端面に設けられた送気・送水ノズル24(図2参照)から、エアー、または水等の液体を噴射する。吸引ボタン21は、体内の液体や組織等の被吸引物を、鉗子出口23から吸引する際に操作される。
【0029】
図2において、先端硬質部14の端面には、観察窓22、照明窓(図示せず)、鉗子出口23、及び送気・送水ノズル24が設けられている。観察窓22の奥には、体腔内の像光を取り込むための対物光学系25(撮像用レンズ)がレンズ鏡筒26内に配設されている。対物光学系25を経由した観察部位の像光は、プリズム27に入射してプリズム27の内部で屈曲され、カバーガラス28を介してCCD29の撮像面29aに結像する。なお、CCD29の代わりにCMOSイメージセンサでもよい。鉗子出口23の先端硬質部14内の端部には、鉗子チャンネル30に接続されている。
【0030】
先端硬質部14の前端部14aは硬質樹脂、周表皮31は軟質樹脂からそれぞれ形成されており、周表皮31の内側には、硬質な金属材料から形成された筒状部32が一端部を前端部14aに接合されて設けられている。
【0031】
CCD29は、細長いフレキシブル基板35の一端部35aに形成された開口35b(図3参照)から撮像面29aが露呈されるように、周辺部が一端部35aの外面に密接され、ボンディングワイヤにより一端部35aに電気的に接続される。フレキシブル基板35は、U字型に湾曲された湾曲部35cを有し、ほぼ真っ直ぐに延びた直線部35dを介して、その他端部35eがプリズム27近傍まで達している。
【0032】
他端部35eの所定長さ範囲は、プリズム27の傾斜面に対してほぼ平行となるように、直線部35dに対して屈曲されている。他端部35eのプリズム27側の面には、CCD29を駆動する回路やCCD29から出力される映像信号を増幅するアンプ等の部品(破線で仮想的に示す)が設けられている。このように、部品をプリズム27の近傍に設けたので、フレキシブル基板35の他の部分、例えば挿入部11の長手方向に延びた直線部35dに部品を実装するのに比較して、撮像装置1の省スペース化に寄与でき、延いては先端硬質部14の小型化(細径化、長さが短くできる)に寄与できる。
【0033】
他端部35eには、コの字状をしたカバー36が固着され、このカバー36の両縁部がプリズム27の両側面に固着されている。カバー36によって上述したアンプ等が囲われ、保護される。なお、CCD29やアンプ等の部品は駆動される際に熱を発するが、この熱はフレキシブル基板35及び後述する連結部材40によって放熱される。
【0034】
フレキシブル基板35には、図3に示すように、直線部35dの長手方向に直交する方向に突出されるとともに直角に折り曲げられた枝部35fが連設され、この先端部に長方形をしたサブ基板35gが連設されている。このサブ基板35gの面は、枝部35fの面に対して直角であり、直線部35dの面に対してほぼ平行になっている。この面に対向するサブ基板35gの内面には、半田付け部35hが設けられ、この半田付け部35hに設けられた多数の端子に、後述する信号ケーブル37(図2参照)の各信号線38がそれぞれ半田付けされる。
【0035】
図2に戻って、信号ケーブル37は、多数の信号線38を円筒状のケーブルカバー39内に収納した多芯ケーブルで、挿入部11及び操作部12内を経てユニバーサルコード13内に挿通されている。
【0036】
図4に示すように、レンズ鏡筒26の端部に形成された鍔部26aとケーブルカバー39の端部39aは、剛性を有する金属製の連結部材40によって連結される。連結部材40は、サブ基板35g(図2,3参照)を覆う細長い本体部40aと、この両縁部に連設され、ほぼ直角に屈曲されたスカート部40bとからなるほぼコの字状をしている。
【0037】
スカート部40bの一端には、レンズ鏡筒26側に向かって延長されるように細長く連設された一対のアーム部40cが形成されている。一対のアーム部40cの各先端には、互いに内側に屈曲された爪部40dが形成され、この爪部40dが鍔部26aの縁に係合する。また、スカート部40bの信号ケーブル37側の端部40eは、本体部40aの端部と協働して、ケーブルカバー39の端部39aを覆う。
【0038】
図2に戻って、コの字状をした連結部材40で囲まれる中空部に、第1接着剤42(第1樹脂)を充填し、固化させる。これにより、プリズム27の一部,カバー36,直線部35dの上面(図面上で上側の面),枝部35f,サブ基板35g,半田付け部35h,信号ケーブル37の各信号線38,及びケーブルカバー39の端部39aが、連結部材40の内側に固定される。
【0039】
また、CCD29とフレキシブル基板35の一端部35aと湾曲部35cと直線部35dとプリズム27とで囲まれた中空部(ほぼ湾曲部35cの内側の中空部)と、レンズ鏡筒26とプリズム27の一部とCCD29とカバーガラス28の縁とフレキシブル基板35の一端部35aとで囲まれた中空部とには、第2接着剤43(第2樹脂)を充填して固化させる。また、CCD29の縁と一端部35aの外面にも第2接着剤43を塗布して固化させる。これにより、CCD29とフレキシブル基板35の一端部35aとが電気的に接続されるだけでなく第2接着剤43により接着され、また、レンズ鏡筒26の一部がプリズム27の一部やカバーガラス28の縁やフレキシブル基板35の一端部35aに接着される。
【0040】
第1接着剤42は、JIS−K−7215に準拠したデュロメータタイプDで測定された硬化後の硬度がD70〜D90(硬性)のエポキシ系やアクリル系の接着剤である。第2接着剤43は、JIS−K−7215に準拠したデュロメータタイプAで測定された硬化後の硬度がA30〜A100(軟性)のエポキシ系やシリコーン系の接着剤である。つまり、第1接着剤42は、硬化後の硬度が高く(硬く)、第2接着剤43は、第1接着剤42よりも低い(軟らかい)。
【0041】
このように構成された撮像装置1は、レンズ鏡筒26の外周部の例えば3箇所に設けられた雌ねじに、雄ねじ45が螺合されることにより、先端硬質部14の前端部14a内の所定位置にネジ止め固定される。この後、前端部14aの後部に筒状部32が固定され、更に、この上に周表皮31が被せられる。
【0042】
ケーブルカバー39の端部39aは、連結部材40の端部40eの内側に第1接着剤42によって接着され、また、レンズ鏡筒26は、前端部14aに固定されているとともに、鍔部26aに連結部材40の一対の爪部40dが係合しているため、湾曲部15の湾曲等により信号ケーブル37が連結部材40から離れる方向に引っ張られても、信号ケーブル37の各信号線38が動くことがなく、各信号線38が半田付け部35hの各端子から外れたり断線することがない。
【0043】
また、フレキシブル基板35のサブ基板35gが第1接着剤42によって連結部材40に接着固定されているため、湾曲部15の湾曲等により信号ケーブル37が連結部材40側へ押されても、半田付け部35hの各端子と各信号線38との距離が縮まることがなく、各信号線38が半田付け部35hの各端子から外れたり断線することがない。
【0044】
このように信号ケーブル37が押し引きされても、信号線38が半田付け部35hの各端子から外れたり断線することはないが、信号ケーブル37が強く押し引きされた場合、第1接着剤42によって接着され一体化された部分(連結部材40及びこの内側全体)の全体に負荷がかかる場合はあり得る。しかしながら、フレキシブル基板35の直線部35dを境界として、第1接着剤42によって接着された部分と、第2接着剤43によって接着された部分とは、これらを繋ぐフレキシブル基板35を除いて、互いに独立している。更に、第2接着剤43は比較的軟らかいので、フレキシブル基板35のある程度の変形を許容する。したがって、第1接着剤42によって接着された部分にかかる負荷は、フレキシブル基板35の変形(特に湾曲部35cの変形)により、第2接着剤43によって接着された部分には及ばない。このため、最も重要な部品であるCCD29に負荷がかかることはなく、CCD29が損傷する虞はない。
【0045】
連結部材40に強い引張、揺動、ネジリの力が加えられた場合、連結部材40は変形する可能性がある。この場合、第1接着剤42は追従して一定の形状を保持したまま連結部材40の変形に追従する。第2接着剤43は、第1接着剤42よりも軟らかいので、連結部材40の変形に追従して第1接着剤42が変形すると、フレキシブル基板35の直線部35dは第1接着剤42の変形に追従して変形するが、CCD29の周辺では変形量が小さく、CCD29に伝わる力としては小さくて済む。
【0046】
また、CCD29とフレキシブル基板35の一端部35aは、連結部材40によって覆われていない(連結部材40の外側に露出している)ため、先端硬質部14の細径化に寄与できる。また、上述のように連結部材40が変形した場合でも、CCD29が連結部材40の外側にあるため、連結部材40の変形による力はCCD29に及ぶことを防止することができる。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態である撮像装置50について、図5を参照して説明する。なお、第1実施形態で説明した部材と同じものについては、同じ符号を付してその説明は省略する(以下、第3実施形態以降も同様)。撮像装置50は、第1接着剤42による接着範囲をカバー36までとし、プリズム27までは接着しないようにした他は、第1実施形態の撮像装置1と同様である。
【0048】
本実施形態では、信号ケーブル37が連結部材40側へ押された場合、第1接着剤42によって半田付け部35hの各端子から各信号線38が外れたり断線する虞はないが、連結部材40がレンズ鏡筒26側へ移動する虞がある。しかしながら、第2接着剤43によってレンズ鏡筒26とフレキシブル基板35の一端部35aとが接着されているとともに、連結部材40のレンズ鏡筒26側への移動は、湾曲部35cの変形によって吸収され、一端部35aまでは及ばないので、CCD29とフレキシブル基板35との電気的及び機械的な接続に影響を及ぼす虞はない。本実施形態では、第1接着剤42の使用量が第1実施形態よりも少なくなり、撮像装置のローコスト化に寄与できる。
【0049】
次に、本発明の第3実施形態である撮像装置55について、図6を参照して説明する。撮像装置55は、端部40eの内側に第1接着剤42(第1樹脂)を充填するとともに、直線部35dとサブ基板35gとの間に第2接着剤43(第2樹脂)を充填し、更に、CCD29,カバーガラス28,フレキシブル基板35の一端部35aに第2接着剤43(請求項4記載の第3樹脂に該当)を塗布して、固化させたものである。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0050】
本実施形態では、信号ケーブル37が連結部材40側へ押された場合、連結部材40がレンズ鏡筒26側へ移動される虞があるが、上記第2実施形態と同様に、たとえ連結部材40がレンズ鏡筒26側へ移動されても、この移動による影響は、湾曲部35cの変形によって吸収され、一端部35aまでは伝わらないので、CCD29とフレキシブル基板35との電気的及び機械的な接続に影響を及ぼす虞はない。
【0051】
次に、本発明の第4実施形態である撮像装置60について、図7を参照して説明する。撮像装置60は、連結部材40で囲まれる中空部のうちプリズム27近傍を除く部分と、湾曲部35cの内側の中空部と、にそれぞれ第1接着剤42(請求項7記載の第1〜第3樹脂に該当)を充填し、固化させている。また、CCD29の縁と一端部35aの外面にも第1接着剤42(第1樹脂)を塗布して固化させている。更に、一対の爪部40dがレンズ鏡筒26の鍔部26a(図4参照)に係合している部分を含め、レンズ鏡筒26の鍔部26aとプリズム27とが当接された部分の外周に第2接着剤43(請求項7記載の第4樹脂)を塗布し、固化させている。
【0052】
本実施形態では、信号ケーブル37が押し引きされた場合でも、レンズ鏡筒26と信号ケーブル37との距離が変化することはない。これにより、半田付け部35hの各端子と各信号線38との半田付けが外れたり、CCD29とフレキシブル基板35との接合が剥離するようなことがない。電子内視鏡10を落下させる等により先端硬質部14に大きな衝撃力が加えられたような場合、連結部材40に長手方向と直交する方向に力が加わり、接着力が比較的弱い第2接着剤43で接着されたレンズ鏡筒26の鍔部26aとプリズム27との接合が剥がれることが起こり得る。しかしながら、レンズ鏡筒26とプリズム27との接合が剥がれることによって、レンズ鏡筒26やプリズム27が受ける衝撃力が弱まり、レンズ鏡筒26やプリズム27の破損が防止される。レンズ鏡筒26とプリズム27との接合が剥がれた場合、第2接着剤43をきれいに剥がしてから、再度、第2接着剤43を元通りに塗布して固化させることにより、容易かつローコストに修復することができる。
【0053】
次に、本発明の第5実施形態である撮像装置65について、図8を参照して説明する。撮像装置65は、端部40eの内側に第1接着剤42(第1樹脂)を充填し、端部40eを除く連結部材40で囲まれる中空部のうち、半田付け部35hの各端子に信号ケーブル37の各信号線38が半田付けされた部分から端部40e側の端までには、第2接着剤43(第2樹脂)を充填し、残りのプリズム27側の部分には、第1接着剤42(請求項9記載の第3樹脂)を充填し、固化させている。また、湾曲部35cの内側の中空部に第1接着剤42を充填し、固化させている。そして、CCD29の縁と一端部35aの外面にも第1接着剤42(請求項9記載の第4樹脂)を塗布して固化させている。
【0054】
本実施形態では、信号ケーブル37が押し引きされても、その力がプリズム27やCCD29に加わえられて破損するようなことがない。また、万が一、大きな力が信号ケーブル37や連結部材40に加えられて、接着力が比較的弱い第2接着剤43が剥がれ、半田付け部35hの各端子と信号ケーブル37の各信号線38との半田付けが剥がれるようなことがあっても、第2接着剤43を綺麗に剥がして上記半田付けをやり直し、再び第2接着剤43を塗布して固化させることにより、比較的簡単に修復することができる。
【0055】
次に、本発明の第6実施形態である撮像装置70について、図9を参照して説明する。撮像装置70は、連結部材40で囲まれる中空部のうちプリズム27近傍を除く部分と、湾曲部35cの内側のプリズム27近傍を除く中空部と、にそれぞれ第1接着剤42(第1樹脂)を充填し、固化させている。湾曲部35cの内側のプリズム27側の中空部には、第2接着剤43(第2樹脂)を充填し、固化させている。
【0056】
本実施形態では、プリズム27とCCD29とフレキシブル基板35とは接着力が比較的弱い第2接着剤43により接着されているため、先端硬質部14に大きな衝撃力が加えられたような場合、フレキシブル基板35が動いて、第2接着剤43が剥がれることも起こり得るが、却って、これにより衝撃力がプリズム27やCCD29に伝わることがなく、プリズム27やCCD29の破損を防止することができる。
【0057】
次に、別のフレキシブル基板の例を示す。図10に示すように、フレキシブル基板75は、フレキシブル基板35と同様にサブ基板75aを有するが、その長手方向の長さがフレキシブル基板35よりも長く、湾曲部75bで内側に湾曲され、その先端部75cが信号ケーブル37(図2等参照)側へ長く延びた形状をしている。この延長された先端部75c側の下面(図面の下側の面)に半田付け部を設け、この半田付け部の各端子に信号ケーブル37の各信号線38を半田付けする。信号ケーブル37の押し引きによるフレキシブル基板75への負荷は、湾曲部75bの変形により吸収される。
【0058】
また、図11に示すように、別のフレキシブル基板77は、フレキシブル基板35の他端部35eに対応する部位77aが他端部35eよりも長く延長され、湾曲部77bを介してサブ基板77cの上面を経て、その先端部77dが信号ケーブル37(図2等参照)側へ長く延びた形状をしている。先端部77dの下面(図面の下側の面)に半田付け部を設け、この半田付け部の各端子に信号ケーブル37の各信号線38を半田付けする。信号ケーブル37の押し引きによるフレキシブル基板77への負荷は、湾曲部77bの変形により吸収される。
【0059】
次に、別の連結部材の例を示す。図12及び図13に示すように、連結部材80は、連結部材40と同様に、コの字状をした本体部80aのレンズ鏡筒26側と係合される前側には、一対のアーム部80b,80cが形成されている。アーム部80b,80cの各先端には、互いに内側に屈曲された爪部80d,80eが形成され、この爪部80d,80eがレンズ鏡筒26の鍔部26aの縁に係合される。そして、一方のアーム部80bには、鍔部26aを上側から押さえる押さえ片80fが一体に形成されている。この押さえ片80fにより、鍔部26aとの係合がより強固になされる。本体部80aの後側には、本体部80aよりも幅が狭い細胴部80gを介して本体部80aより小さいコの字状をした端部80hが一体に形成されている。
【0060】
また、図14に示す連結部材83は、一対のアーム部83aが途中から上方へ屈曲したクランク型形状をしており、プリズム27及びカバー36が一対のアーム部83aの間から外側へ全く突出しないので、一対のアーム部83a間に第1接着剤42を充填した際に、プリズム27及びカバー36が完全に第1接着剤42に覆われ、プリズム27及びカバー36を保護する上で有利である。なお、レンズ鏡筒84の鍔部84aの一部84bをアーム部83aの凹部83bに係合する形状とするのが好ましい。
【0061】
以上説明した実施形態における第1,第2接着剤に係る各数値は、上記のものだけに限定されるものではないことは勿論である。
【0062】
上記実施形態では、信号ケーブルの端部は、連結部材の内側に充填された接着剤によって固定するようにしたが、本発明はこれに限定されることなく、例えば連結部材の端部をかしめて信号ケーブルの端部を連結部材に固定するようにしてもよい。この場合、ケーブルカバーの上に更に保護チューブを被せるなど、連結部材の端部のかしめによって信号ケーブルが損傷しないよう保護対策を講じることが好ましい。
【符号の説明】
【0063】
1,50,55,60,65,70 撮像装置
10 電子内視鏡
11 挿入部
14 先端硬質部
26,84 レンズ鏡筒
27 プリズム
28 カバーガラス
29 CCD
35,75,77 フレキシブル基板
37 信号ケーブル
38 信号線
39 ケーブルカバー
39a 端部
40,80,83 連結部材
40d,80d,80e 爪部
42 第1接着剤
43 第2接着剤
80f 押さえ片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ鏡筒からの光学画像がプリズムを介して結像され、前記光学画像を光電変換する固体撮像素子と、
前記固体撮像素子と電気的に接続されたフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板に電気的に接続された信号ケーブルと、
前記レンズ鏡筒と信号ケーブルとを連結して前記プリズムの少なくとも一面を覆うとともに、前記固体撮像素子が接続された側のフレキシブル基板の端部及び固体撮像素子が外側に露出される連結部材と
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記連結部材は、少なくとも前記信号ケーブルの外皮をなすケーブルカバーの端部と前記フレキシブル基板の一部とを三方から覆うコの字状部を有し、このコの字状部の内側に前記ケーブルカバーの端部を固定することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記連結部材のコの字状部の内側に充填され、少なくとも前記プリズムの一部と、前記フレキシブル基板の一部とを封止する第1樹脂と、
前記第1樹脂によって封止された部分を除く前記プリズムと前記フレキシブル基板と前記固体撮像素子とを封止する第2樹脂と
を備えたことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記ケーブルカバーの端部を封止する第1樹脂と、
前記フレキシブル基板の信号ケーブルが電気的に接続された部分を封止する第2樹脂と、
前記第1,2樹脂によって封止された部分を除く前記フレキシブル基板と前記プリズムの一部と前記固体撮像素子とを封止する第3樹脂と
を備えたことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第2樹脂は、硬化後の硬度が、前記第1樹脂よりも低いことを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第2,第3樹脂は、硬化後の各硬度が、同程度で、かつ前記第1樹脂よりも低いことを特徴とする請求項4記載の撮像装置。
【請求項7】
前記ケーブルカバーの端部を封止する第1樹脂と、
少なくとも前記プリズムの一部と前記フレキシブル基板の信号ケーブルが電気的に接続された部分とを封止する第2樹脂と、
前記第1,第2樹脂によって封止された部分を除く前記フレキシブル基板の一部と前記固体撮像素子とを封止する第3樹脂と、
前記レンズ鏡筒と前記プリズムとが接触した部分の周囲を封止する第4樹脂と
を備えたことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1〜第3樹脂は、硬化後の各硬度が同程度に高く、前記第4樹脂は、硬化後の硬度が、前記第1〜第3樹脂よりも低いことを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
【請求項9】
前記ケーブルカバーの端部を封止する第1樹脂と、
前記フレキシブル基板の信号ケーブルが電気的に接続された部分を封止する第2樹脂と、
前記プリズムと前記プリズム近傍の前記レンズ鏡筒の一部と前記第2樹脂によって封止されていない前記フレキシブル基板の一部とを封止する第3樹脂と、
前記第2,3樹脂によって封止された部分を除く前記プリズムの一部と前記フレキシブル基板の一部と前記固体撮像素子とを封止する第4樹脂と
を備えたことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第2樹脂は、硬化後の硬度が、前記第1樹脂よりも低く、前記第3,第4樹脂は、硬化後の各硬度が、前記第1樹脂と同程度であることを特徴とする請求項9記載の撮像装置。
【請求項11】
請求項1ないし10いずれか1項記載の撮像装置を、被検体内に挿入される挿入部の先端部に設けたことを特徴とする電子内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−157472(P2012−157472A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18403(P2011−18403)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】