説明

撮像装置及びその制御方法、プログラム、記憶媒体

【課題】カメラで撮影するブラケティング撮影の撮影枚数が2枚のときにも、容易に補正値の設定変更を行える撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、ブラケティング撮影の撮影枚数が3枚以上の場合は基準値に対してプラスとマイナスの側に補正値を設定し、第1、第2の操作信号のいずれか一方の操作信号に応じて基準値と補正値の各々との差である補正幅を順次に増加させ、他方の操作信号に応じて該補正幅が0になるまで該補正幅を順次に減少させる。また、撮像装置は、撮影枚数が2枚の場合は、基準値と1つの補正値を設定し、第1、第2の操作信号のいずれか一方の操作信号に応じて補正値を該基準値に対するプラス側の値及びマイナス側の値を含む所定範囲内で順次に増加させ、他方の操作信号に応じて補正値を該所定範囲内で順次に減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置及びその制御方法に関し、特に、オートブラケット撮影における補正値の設定操作に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタルカメラ等の撮像装置において、特定の撮影設定項目を、基準値と、その基準値から補正ステップ量を増減した補正値とに設定して複数枚の撮影を行うオートブラケット撮影(以下、ブラケティング撮影という)が実現されている。また、ブラケティング撮影が可能な撮像装置では、補正ステップ量が設定可能となっている。例えば、撮影枚数が3枚のブラケティング撮影では、設定された基準値と、補正ステップ量を該基準値に加算/減算して得られた2つの補正値(プラス側補正値とマイナス側補正値)とを撮影設定項目の設定値として順次に設定して3枚の画像が撮影される。特許文献1には、ブラケティング設定モードが設定されたときには、第1の操作手段にてブラケティング基準値が設定可能とし、かつ第2の操作手段にて基準値に対して、ブラケティング撮影を行うための補正ステップ量が設定可能な撮像装置が開示されている。
【0003】
ブラケティング撮影の補正値は、基準値と補正ステップ量で決定され、マイナス側補正値とプラス側補正値は基準値から同じ補正ステップ量(補正幅)だけマイナス側とプラス側に離れた値となっている。たとえば、露出に関してブラケティング撮影を行う場合、設定された露出(基準値)とその前後の露出(補正値)での撮影が行なわれ、より確実に撮影の失敗を回避することができる。
【0004】
一般に、ユーザは、ブラケティング撮影における補正ステップ量を調整することができる。例えば、ダイヤルを時計方向に回すことで補正ステップ量を増加させ、ダイヤルを反時計方向に回すことで補正ステップ量を減少させるといったユーザインターフェースが実用化されている。
【0005】
一方、ユーザの要望は多様化しており、ブラケティング撮影は基準値とそのプラス側もしくはマイナス側のいずれかの補正値とで撮影すれば十分であると考えるユーザも存在する。そのようなユーザは、ブラケティング撮影の撮影枚数を2枚に設定できるようにしたいと要望するであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−092703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のようにブラケティング撮影の撮影枚数が3枚の場合は、基準値と補正ステップ量により2つの補正値が決定される。しかしながら、ブラケティング撮影の撮影枚数を2枚にする場合、基準値と補正ステップ量だけでは、設定すべき補正値がマイナス側・プラス側のどちらになるかを決定できない。上述したようなユーザインターフェースでは、ダイヤルの操作方向に応じて補正ステップ量が増減するのみであるため、補正値をマイナス側からプラス側へ、あるいはプラス側からマイナス側へと、基準値をまたいで変更させることはできない。従って、ユーザが、撮影枚数を2枚としてブラケティング撮影の補正ステップ量を調節する場合は、補正ステップ量の調節に加えて、プラス、マイナスの符号の設定が別途必要になり、操作が煩雑になってしまう。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ブラケティング撮影が可能な撮像装置において、ブラケティング撮影時の撮影枚数が2枚のときでも、容易に補正値を設定可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の一態様による撮像装置は以下の構成を備える。すなわち、
撮影設定項目の設定値を、基準値と少なくとも1つの補正値とに設定して複数の画像を取得するブラケティング撮影が可能な撮像装置であって、
ユーザ操作に応じて前記ブラケティング撮影における撮影枚数を設定する設定手段と、
ユーザ操作に応じた第1の操作信号と第2の操作信号により、前記ブラケティング撮影における補正値を、前記基準値に対するプラス側の値及びマイナス側の値を含む所定範囲内で変更する変更手段と、を備え、
前記撮影枚数がN枚(Nは3以上の整数)の場合は前記基準値に対してプラスとマイナスの側にN−1個の補正値が設定され、前記変更手段は、前記第1、第2の操作信号のいずれか一方の操作信号に応じて前記基準値と前記N−1個の補正値の各々との差である補正幅を順次に増加させ、他方の操作信号に応じて前記補正幅が0になるまで前記補正幅を順次に減少させ、
前記撮影枚数が2枚の場合は前記基準値と1つの補正値が設定され、前記変更手段は、前記第1、第2の操作信号のいずれか一方の操作信号に応じて前記1つの補正値を前記所定範囲内で順次に増加させ、他方の操作信号に応じて前記1つの補正値を前記所定範囲内で順次に減少させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ブラケティング撮影における撮影枚数が2枚であっても、補正値の設定を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態に係る撮像装置(デジタル一眼レフカメラ)の外観図。
【図2】図1に示した撮像装置の内部構成図。
【図3】図1に示した撮像装置の回路構成を示すブロック図。
【図4】ユーザがメニューから実行した場合のAEB補正値変更の処理の概要を示すフローチャート。
【図5】図4のS402におけるAEB撮影3枚用の設定処理の詳細を示すフローチャート。
【図6】図4のS403におけるAEB撮影2枚用の設定処理の詳細を示すフローチャート。
【図7】撮影処理を示すフローチャート。
【図8】(a)露出補正値とAEB補正値を設定する画面の表示例、(b)ブラケティング順序を設定する画面の表示例、(c)ブラケティング撮影時に補正量を変える枚数を設定する画面の表示例、を示す図。
【図9】(a)は「ブラケティング撮影時の撮影枚数」が3枚の表示例、(b)、(c)は「ブラケティング撮影時の撮影枚数」が2枚の表示例、を示す図。
【図10】(a)は「ブラケティング時の撮影枚数」が3枚のとき、メイン電子ダイヤル115を操作した場合の表示の遷移例、(b)は「ブラケティング時の撮影枚数」が2枚のとき、メイン電子ダイヤル115を操作した場合の表示の遷移例、を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る撮像装置の外観図、図2は、図1に示した撮像装置の内部構成図である。図1,図2に示した撮像装置は、デジタル一眼レフカメラ(以下、カメラ本体という)100として構成されている。
【0013】
カメラ本体100の上部には、アクセサリシュー110、光学ファインダ104、レリーズボタン114が設けられている。さらに、カメラ本体100の上部には、メイン電子ダイヤル115、撮影モードダイヤル60、外部表示ユニット409も設けられている。レリーズボタン114は、撮像動作を指示するために用いられる。メイン電子ダイヤル115は、ダイレクトに操作されることによって、シャッタスピード値や絞り値などを切換えたり、他の操作ボタンと共に操作されることによって、カメラ動作に関する数値を入力したり撮像設定を切換えたりするために用いられる。外部表示ユニット409は、液晶パネル等により構成され、シャッタスピード値、絞り値、撮像設定等の撮影条件その他の情報を表示する。撮影モードダイヤル60は、撮影モードを変更するために用いられる。
【0014】
カメラ本体100の背面には、LCDモニタユニット417、MENUボタン66、サブ電子ダイヤル116、SETボタン117、電源スイッチ72が設けられている。また、不図示であるが十字キーやマルチコントローラなどの操作部材も設けられている。
【0015】
LCDモニタユニット417は、撮影により得られた画像(画像データ)や各種設定画面等を表示するために利用される。LCDモニタユニット417は、透過型LCDで構成され、バックライト416(図2参照)を有している。なお、LCDモニタユニット417は、本撮像装置で設定或いは処理可能な各種の設定、処理等を指定するためのメニュー画面や、後述するAEB撮影に必要な値を設定する画面(図8(a)〜(c))を表示する表示器としても利用される。
【0016】
MENUボタン66は、メニュー表示の開始・終了をシステム制御回路50に指示してLCDモニタユニット417へのメニュー表示するために操作される。サブ電子ダイヤル116は、メイン電子ダイヤル115と同様に、ダイレクトに操作されることによって、シャッタスピード値や絞り値などを切換えるのに用いられる。また、サブ電子ダイヤル116は、他の操作ボタンと共に操作されることによって、カメラ動作に関する数値を入力したり撮像設定を切換えたりするために用いられる。SETボタン117は、メニュー表示中の選択や確定などに用いられる。
【0017】
カメラ本体100の前面にはマウント106(図3参照)が設けられており、このマウント106には、交換レンズ300に設けられたマウント306が着脱可能に結合される。図2において、500は撮像光軸を示している。交換レンズ300には、複数のレンズにより構成されるレンズユニット310、絞り312が設けられている。
【0018】
また、カメラ本体100の内部において、ミラー130が撮像光路内に配置されている。このミラー130は、レンズユニット310からの被写体光をファインダ光学系に向けて反射する位置(図2に示す位置)と、撮像光路外に退避する位置との間で移動可能となっている。ピント板150上には、ミラー130で反射された被写体光によって被写体像が形成される。
【0019】
152はファインダの視認性を向上させるためのコンデンサレンズ、132はペンタゴナルダハプリズムである。ペンタゴナルダハプリズム132は、ピント板150及びコンデンサレンズ152を通った被写体光を接眼レンズ154に導く。これらピント板150〜接眼レンズ154によって光学ファインダ104が構成される。ユーザは、接眼レンズ154を通してピント板150上に形成された被写体像を観察することができる。
【0020】
156,164は、それぞれ、フォーカルプレンシャッタ12(図3参照)を構成する後幕と先幕である。これら後幕156及び先幕164の開放制御により、撮像素子14が必要な時間だけ露光される。撮像素子14は、CCDセンサやCMOSセンサにより構成され、その前面には光学ローパスフィルタ162が配設されている。また、撮像素子14は、プリント基板160に接続されている。このプリント基板160の後方には、表示基板158が配置されている。
【0021】
200は撮像動作で得られた画像データを記録する記録媒体であり、半導体メモリやハードディスク等により構成される。86は二次電池である。記録媒体200及び二次電池86は、カメラ本体100に対して着脱が可能である。
【0022】
次に、カメラ本体100及び交換レンズ300の回路構成を図3に基づいて説明する。なお、図3において、図1及び図2に示した構成要素については、図1及び図2と同一の符号を付している。
【0023】
まず、交換レンズ300内の回路構成について説明する。交換レンズ300には、この交換レンズ300をカメラ本体100と電気的に接続するためのコネクタ322及びインターフェース320が設けられている。コネクタ322及びインターフェース320は、カメラ本体100に設けられたコネクタ122及びインターフェース120を介して、後述するレンズシステム制御回路350とカメラ本体100内のシステム制御回路50との通信を可能とする。
【0024】
絞り制御部340は、絞り312を制御する絞り制御部である。絞り制御部340は、後述する測光制御部46からの測光情報に基づいて、シャッタ制御部40と連携しながら絞り312を制御する。フォーカス制御部342は、レンズユニット310のフォーカス動作を制御する。ズーム制御部344は、レンズユニット310の変倍動作を制御する。レンズシステム制御回路350は、交換レンズ300の各種動作を全体的に制御する。レンズシステム制御回路350は、各種動作用の定数、変数、コンピュータプログラム等を記憶するメモリを備えている。
【0025】
次に、カメラ本体100内の回路構成について説明する。レンズユニット310及び絞り312を通過した被写体光は、ミラー130が撮像光路外に退避した状態(ミラー130がハーフミラーである場合は撮像光路内に配置された状態)で、開放されたフォーカルプレンシャッタ12を通過して撮像素子14に入射される。撮像素子14は、入射された被写体光を光電変換し、アナログの画像信号として出力する。
【0026】
A/D変換器16は、撮像素子14から出力されるアナログ信号(画像信号)をデジタル信号に変換する。タイミング発生回路18は、メモリ制御回路22及びシステム制御回路50の制御の下に、撮像素子14、A/D変換器16及びD/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給する。
【0027】
画像処理回路20は、A/D変換器16からの画像データ又はメモリ制御回路22からの画像データに対して、画素補間処理や色変換処理を行う。また、画像処理回路20は、A/D変換器16から出力される画像データを用いて所定の演算処理を行う。システム制御回路50は、この演算結果に基づいて、シャッタ制御部40及び焦点調節部42を制御するためのTTL方式のオートフォーカス処理(AF)、自動露出処理(AE)及びフラッシュプリ発光処理(EF)を行う。さらに、画像処理回路20は、A/D変換器16から出力される画像データを用いて所定の演算処理を行い、この演算結果に基づいてTTL方式のオートホワイトバランス(AWB)処理も行う。
【0028】
メモリ制御回路22は、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30及び圧縮・伸長回路32を制御する。A/D変換器16から出力された画像データは、画像処理回路20及びメモリ制御回路22を介して、又はメモリ制御回路22のみを介して画像表示メモリ24又はメモリ30に書き込まれる。
【0029】
画像表示部28は、D/A変換器26によりアナログ信号に変換され、画像表示メモリ24に書き込まれた画像信号を、図1及び図2に示したLCDモニタユニット417に逐次表示することで、電子ビューファインダ(EVF)機能を実現する。なお、画像表示部28は、システム制御回路50の指示により、電子ビューファインダ(EVF)機能をON/OFFする。
【0030】
メモリ30は、撮像に係る静止画像を格納する。また、メモリ30は、動画撮影時に所定レートで連続的に記録媒体200、付属装置210書き込まれる画像のフレームバッファとして使用される。さらに、メモリ30は、システム制御回路50の作業領域としても使用される。圧縮・伸長回路32は、公知の画像圧縮方法を用いて画像データを圧縮・伸長する。圧縮・伸長回路32は、メモリ30に格納された画像を読み込んで圧縮処理又は伸長処理を行い、処理を終えたデータを再びメモリ30に書き込む。
【0031】
シャッタ制御部40は、測光制御部46からの測光情報に基づいて、絞り制御部340と連携しながら、フォーカルプレンシャッタ12のシャッタ速度を制御する。焦点調節部42は、ミラー130を透過して不図示のサブミラーによって導かれた被写体像の位相差を検出することで、AF(オートフォーカス)処理を行う。測光制御部46は、不図示の測光センサからの出力信号に基づいて、AE(自動露出)処理を行う。フラッシュ48は、AF補助光の投光機能やフラッシュ調光機能を有する。なお、測光制御部46は、フラッシュ48と連携して、EF(フラッシュ調光)処理を行う。
【0032】
システム制御回路50は、CPUやメモリを含み、カメラ本体100の動作を全体的に制御する。メモリ52には、システム制御回路50の動作用の定数、変数、コンピュータプログラム(基本プログラム)等が記憶される。通知部54は、システム制御回路50でのコンピュータプログラムの実行に応じて、文字、画像をLCDやLED等により表示したり、音声をスピーカ(図示省略)から発したりして、カメラの動作状態やメッセージ等を外部に通知する。この通知部54には、光学ファインダ104内に絞り値、シャッタ速度、合焦度、手振れ警告、露出補正値等の表示を行うLCDユニットが含まれる。
【0033】
不揮発性メモリ56は、例えば電気的に消去・記録可能なEEPROM等で構成され、コンピュータプログラム等の格納用メモリとして使用される。この場合、当然ながら、コンピュータプログラムは、コンピュータ読取可能に不揮発性メモリ56に格納される。このコンピュータプログラムには、後述する図4〜図7のフローチャートに係るコンピュータ実行可能に構成されたアプリケーションプログラムが含まれる。不揮発性メモリ56には、メニュー画面等のGUI画面上で設定された設定値、メイン電子ダイヤル115、サブ電子ダイヤル116の操作で設定された設定値、撮影モードダイヤル60の操作で指定された撮影モード情報等も格納される。
【0034】
シャッタスイッチ(SW1)62は、レリーズボタン114の第1ストローク操作(半押し)によってONとなり、AF処理、AE処理、AWB処理、EF処理等の動作開始をシステム制御回路50に指示する。シャッタスイッチ(SW2)64は、レリーズボタン114の第2ストローク操作(全押し)によってONとなり、露光処理、現像処理及び記録処理からなる一連の撮像処理の動作開始をシステム制御回路50に指示する。操作部70は、SETボタン117などの各種ボタンや、メイン電子ダイヤル115、サブ電子ダイヤル116、撮影モードダイヤル60などの各種ダイヤルを含む。システム制御回路50は、操作部70からの信号に応じて各種動作を行う。
【0035】
電源スイッチ72は、カメラ本体100の電源のオン/オフを切換えるためのスイッチである。また、電源スイッチ72の操作によって、カメラ本体100に接続された交換レンズ300、外部フラッシュ112、記録媒体200及び他の付属装置(パーソナルコンピュータ等)210の電源のオン/オフも同時に切換えることができる。
【0036】
電源制御部80は、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切換えるスイッチ回路等により構成されている。電源制御部80は、電池の装着の有無、電池の種類及び電池残量の検出を行い、その検出結果及びシステム制御回路50の指示に基づいてDC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体200を含む各部に供給する。
【0037】
コネクタ82,84は、二次電池86等の電源からの電力をカメラ本体100、交換レンズ300、外部フラッシュ112、記録媒体200及び他の付属装置210に供給する。90,94は記録媒体200及び付属装置210のインターフェースであり、92,96は記録媒体200や付属装置210との接続を行うコネクタである。98はコネクタ92,96に記録媒体200や付属装置210が装着されているか否かを検出する着脱検出回路である。
【0038】
次に、ブラケティング撮影として、撮影設定項目を露出補正とした場合、すなわち、オート露出ブラケット撮影(以下、AEB撮影)を適用した例を用いて実施形態を説明する。図8(a)、(b)、(c)は、AEB撮影に必要な値を設定する画面の表示例である。なお、以下では、プラス側補正値を+側補正値、マイナス側補正値を−側補正値のように記載する。図8(a)は、露出の基準値である露出補正値と、AEBの補正ステップ量(以下、AEB補正幅という。正の値である)を設定する画面の表示例である。図8(b)はブラケティング順序を設定する画面の表示例である。例えば、図示のように「0→−→+」が設定された状態でAEB撮影を行うと、露出補正値が基準値、−側補正値(基準値−AEB補正幅)、+側補正値(基準値+AEB補正幅)の順に撮影される。なお、基準値は、自動露出撮影処理(AE)においてどの程度の明るさにするように露出調整するかの基準となる値であり、この値に基づいてAEが行われる。基準値は、ユーザによる露出補正の操作によって変更可能である。
【0039】
図8(c)はブラケティング撮影時に補正量を変えて撮影する枚数(撮影枚数)を設定する画面の表示例である。この画面で撮影枚数を3枚から2枚に変更した場合、AEB補正値は、3枚用のAEB補正値から2枚用のAEB補正値(以下、AEB補正値[2])に切り替わる。このとき、撮影枚数が3枚用のAEB補正幅に、ブラケティング順序が0以外で先に撮影される符号を付加した値が、撮影枚数が2枚の場合のAEB補正値[2]の初期値となる。たとえば、図8(b)の順序設定の画面で「0→−→+」が選択されている状態で、枚数が2枚に変更されると、「0」以外で先に撮影される符号は「−」であり、基準値からAEB補正幅を差し引いた値がAEB補正値[2]となる。これは、撮影枚数が3枚から2枚に変更された場合、撮影枚数が3枚のときの2つの補正値のうち設定された撮影順序で先に使用される補正値が、撮影枚数が2枚のときの補正値(AEB補正値[2])として設定されることと同義である。このAEB補正値[2]は、図6で後述する処理により、ユーザの操作に基づいた変更が可能である。逆に、撮影枚数が2枚から3枚に変更された場合は、補正値の一方である−側補正値は基準値からAEB補正幅(AEB補正値[2]の絶対値)を差し引いた値となり、もう一方の補正値である+側補正値は基準値にAEB補正幅を加算した値となる。なお、AEB補正値[2]の値を、撮影枚数が3枚のときのAEB補正幅と独立して記憶しておき、撮影枚数が3枚から2枚に変更された際にAEB補正値[2]の値を更新せずに、記憶した前回のAEB補正値[2]から変更されないようにしても良い。また、AEB補正値[2]の値の正負のみを、撮影枚数が3枚のときのAEB補正幅と独立して記憶しておき、撮影枚数が3枚から2枚に変更された際に、AEB補正値[2]の初期値を、撮影枚数が3枚のときの2つの補正値のうち記憶してあった正負の補正値としてもよい。
【0040】
各設定画面への遷移は、MENUボタン66を押して表示されるメニュー一覧から選択することでなされる。図8(a)の設定画面では、メイン電子ダイヤル115でAEBの補正値(補正幅)を変更し、サブ電子ダイヤル116で基準値である露出補正値を変更し、SETボタンで変更を確定する。図8の(b)、(c)の各設定画面では、サブ電子ダイヤル116で設定を選択し、SETボタンで変更を確定する。
【0041】
図9は、図8(a)の「露出補正/AEB設定」の露出補正値とAEB補正値の表示部分801の表示例を示した図である。図9(a)は、図8(c)に示される枚数設定のメニューで「ブラケティング時の撮影枚数」が3枚に設定されたときの表示例である。901は、露出補正値(基準値)を示す指標である。902は、AEB補正値の−側補正値を示す指標である。903は、AEB補正値の+側補正値を示す指標である。図9(b),(c)は、図8(c)に示される枚数設定のメニューで「ブラケティング時の撮影枚数」が2枚に設定されたときの表示例である。904は、AEB補正値[2]が+側補正値を示す指標である。905は、AEB補正値[2]が−側補正値を示す指標である。
【0042】
図10は、図8の表示部分801を図示したものであり、「露出補正/AEB設定」の露出補正値(基準値)とAEB補正値の、ユーザ操作に応じた遷移例である。図10(a)は、図8(c)の順序設定のメニューで「ブラケティング時の撮影枚数」が3枚に設定されている状態で、メイン電子ダイヤル115が操作された場合の表示例である。
【0043】
1001は、AEB補正幅が2/3である場合の指標の表示例である(−側補正値が基準値−2/3、+側補正値が基準値+2/3)。1002は、AEB補正幅が1/3である場合の指標の表示例である(−側補正値が基準値−1/3、+側補正値が基準値+1/3)。1003は、AEB補正幅が0である場合、すなわちAEB補正値なしの場合の指標の表示例であり、この場合はブラケティング撮影は行われない。AEB補正幅が1/3(表示例1002)のとき、ユーザがメイン電子ダイヤル115を右に回すと、AEB補正幅が2/3(表示例1001)に変更され、左に回すと0(表示例1003)に変更される。AEB補正幅が0(表示例1003)のとき、メイン電子ダイヤル115が右に回されるとAEB補正幅が1/3(表示例1002)に変更されるが、左に回されてもAEB補正値は変更されない。このように、撮影枚数が3枚の場合は、基準値に対してプラスとマイナスの側に2つの補正値が設定される。そして、所定の操作信号に応じて基準値と2つの補正値の各々との差である補正幅が順次に増加し、他の操作信号に応じて補正幅が0になるまで順次に減少する。
【0044】
図10(b)は、図8(c)のメニューで「ブラケティング時の撮影枚数」が2枚に設定された状態で、メイン電子ダイヤル115が操作された場合の表示例である。1004は、AEB補正値[2]が基準値+2/3である場合の指標の表示例である。1005は、AEB補正値[2]が基準値+1/3である場合の指標の表示例である。1006は、AEB補正幅が0である場合、すなわちAEB補正値[2]がない場合の指標の表示例であり、この場合はブラケティング撮影は行われない。1007は、AEB補正値[2]が基準値−1/3である場合の指標の表示例である。1008は、AEB補正値[2]が基準値−2/3である場合の指標の表示例である。
【0045】
AEB補正値[2]が基準値+2/3(表示例1004)のとき、メイン電子ダイヤル115が左に回されるとAEB補正値[2]が基準値+1/3(表示例1005)に変更される。AEB補正値[2]が基準値+1/3(表示例1005)のとき、メイン電子ダイヤル115が右に回されるとAEB補正値[2]が基準値+2/3(表示例1004)に変更され、左に回すと0(表示例1006)に変更される。
【0046】
AEB補正値[2]が0(表示例1006)のとき、メイン電子ダイヤル115が右に回されるとAEB補正値[2]は基準値+1/3(表示例1005)に変更され、左に回されると基準値−1/3(表示例1007)に変更される。AEB補正値[2]が基準値−1/3(表示例1007)のとき、メイン電子ダイヤル115が右に回されるとAEB補正値[2]は0(表示例1006)に変更され、左に回されるとAEB補正値[2]は基準値−2/3(表示例1008)に変更される。
【0047】
以上のように、撮影枚数が2枚の場合は基準値と1つの補正値が設定され、所定の操作信号に応じて補正値が基準値に対するプラス側の値及びマイナス側の値を含む所定範囲内で順次に増加し、他方の操作信号に応じて補正値が所定範囲内で順次に減少する。このように、本実施形態によれば、AEB補正値[2]の設定においても、メイン電子ダイヤル115の操作によって指標が基準値0を跨ぐことができるので、メイン電子ダイヤル115の操作のみで補正値を+側とするか−側とするかを切り換えることができる。
【0048】
次に、ユーザがメニューから実行した場合のAEB補正値変更の処理の概要を、図4のフローチャートに基づいて説明する。なお、図4のステップS402,ステップS403の処理の詳細は、それぞれ図5,図6のフローチャートに基づいて後で説明する。
【0049】
ユーザが露出補正/AEB設定の開始を指示すると、システム制御回路50はブラケティング時の撮影枚数設定を判別し(S401)、その結果、3枚の場合は、AEB撮影3枚用の設定処理を行い(S402)、処理を終了する。一方、ブラケティング時の撮影枚数設定が2枚の場合は、AEB撮影2枚用の設定処理を行い(S403)、処理を終了する。なお、説明は省略するが、他に、撮影枚数5枚、7枚の場合がある。たとえば、5枚の場合は、+側−側の両側とも撮影枚数3枚のときの補正値と基準値との差(補正幅)を2倍した補正幅で補正値を追加する。また、7枚の場合は、例えば、上記撮影枚数が5枚のときの上記補正値を追加するとともに、+側−側の両側ともに撮影枚数3枚のときの補正幅を3倍した補正幅で補正値を追加する。
【0050】
次に、図4のS402におけるAEB撮影3枚用の設定処理の詳細を、図5のフローチャートに基づいて説明する。AEB撮影3枚用の設定処理では、ブラケティング時の撮影枚数が3枚に設定された場合の、露出補正/AEB設定処理を行う。
【0051】
システム制御回路50は、まず、露出補正値、AEB補正幅、+側補正値、−側補正値、ブラケティング時の撮影枚数、露出設定ステップなどの情報により、露出補正/AEB設定画面(図8の(a))を表示する(S501)。次に、システム制御回路50は、ユーザ操作を判断する(S502)。ユーザ操作がメイン電子ダイヤル115への操作であった場合、システム制御回路50はメイン電子ダイヤル115の回転方向を判断する(S503)。そして、メイン電子ダイヤル115の回転方向が左の場合には処理はステップS504に進み、右の場合には処理はステップS505に進む。
【0052】
メイン電子ダイヤル115の回転方向が左の場合、システム制御回路50は、AEB補正幅が0か否かを判断し(S504)、AEB補正幅が0の場合は、処理はステップS502に進む。AEB補正幅が0でない場合は、システム制御回路50は、露出設定ステップを判断し(S506)、露出設定ステップが1/3の場合は、+側補正値から1/3を引き(S508)、−側補正値に1/3を足し(S509)、処理をステップS516に進める。一方、露出設定ステップが1/2の場合は、システム制御回路50は、+側補正値から1/2を引き(S510)、−側補正値に1/2を足し(S511)、処理をステップS516に進む。
【0053】
他方、メイン電子ダイヤルの回転方向が右の場合、システム制御回路50は、AEB補正幅が3以上か判断し(S505)、3以上であった場合は、処理をステップS502に戻す。AEB補正幅がAEB補正幅が3以上でない場合は、システム制御回路50は、露出設定ステップを判断し(S507)、露出設定ステップが1/3の場合は、+側補正値に1/3を足し(S512)、−側補正値から1/3を引く(S513)。一方、露出設定ステップが1/2の場合は、システム制御回路50は、+側補正値に1/2を足し(S514)、−側補正値から1/2を引く(S515)。次に、システム制御回路50は、AEB補正幅を+側補正値で更新し(S516)、露出補正/AEB設定画面(図8の(a))における+側補正値、−側補正値の表示を更新し(S517)、処理をステップS502に進める。
【0054】
ステップS502でユーザ操作がSETボタン117の場合は、システム制御回路50は、表示中の露出補正値、AEB補正幅、+側補正値、−側補正値をメモリ52に保存して(S518)処理を終了する。
【0055】
次に、図4のS403におけるAEB撮影2枚用の設定処理の詳細を、図6のフローチャートに基づいて説明する。AEB撮影2枚用の設定処理では、ブラケティング時の撮影枚数が2枚設定の場合の、露出補正/AEB設定処理が行われる。
【0056】
システム制御回路50は、まず、露出補正値、AEB補正幅、AEB補正値[2]、ブラケティング時の撮影枚数、露出設定ステップなどの情報により、露出補正/AEB設定画面(図8(a))を表示する(S601)。次に、システム制御回路50は、ユーザ操作を判断し(S602)、メイン電子ダイヤル115の操作と判断した場合は、メイン電子ダイヤル115の回転方向を判断する(S603)。ここで、メイン電子ダイヤル115の回転方向が左の場合は、処理はステップS604に進み、右の場合は、処理はステップS605に進む。
【0057】
メイン電子ダイヤル115の回転方向が左の場合、システム制御回路50は、AEB補正値[2]が−3以下か判断し(S604)、−3以下の場合は、処理をステップS602に戻し、そうでない場合は、処理をステップS606へ進める。その後、システム制御回路50は、露出設定ステップ量を判断し(S606)、露出設定ステップが1/3の場合は、AEB補正値[2]から1/3を引き(S608)、処理をステップS612に進める。一方、露出設定ステップが1/2の場合は、システム制御回路50は、AEB補正値[2]から1/2を引き(S609)、ステップS612に進む。
【0058】
メイン電子ダイヤル115の回転方向が右の場合、システム制御回路50は、AEB補正値[2]が3以上か判断し(S605)、3以上の場合は、処理をステップS602に戻す。一方、AEB補正値[2]が3以上でない場合は、システム制御回路50は、露出設定ステップ量を判断し(S607)、露出設定ステップが1/3の場合は、AEB補正値[2]に1/3を足し(S610)、ステップS612に進む。一方、露出設定ステップが1/2の場合は、システム制御回路50は、AEB補正値[2]に1/2を足す(S611)。次に、AEB補正幅をAEB補正値[2]の絶対値で更新し(S612)、2枚補正値の表示を更新し(S613)、ステップS602に進む。
【0059】
ステップS602でユーザ操作がSETボタン117であった場合、システム制御回路50は、表示中の露出補正値、AEB補正幅、AEB補正値[2]をメモリ52に保存して(S614)処理を終了する。なお、上述したように、本実施形態では、撮影枚数が3枚から2枚に変更されると、撮影枚数が3枚のときの2つの補正値のうち設定された撮影順序で先に使用される補正値が、撮影枚数が2枚のときの補正値の初期値(AEB補正値[2]の初期値)として設定される。そして、図6の処理でAEB補正値[2]は初期値から変更されてユーザーの操作に基づいた値に設定される。さらに、撮影枚数が2枚から3枚に変更されると、AEB補正値[2]が、撮影枚数3枚におけるAEB補正幅となる。すなわち、S614のAEB補正値[2]の上書き処理によって、ステップS518で保持されたAEB補正幅の値を上書きすることになる。
【0060】
以上のような、本実施形態によれば、上述した撮影設定項目の設定値を、基準値と、少なくとも1つの補正値とに設定して複数の画像を取得するブラケティング撮影が可能な撮像装置において、次のような操作が可能となる。即ち、
ブラケティング撮影の撮影枚数がN枚(Nは3以上の整数)の場合は、基準値の+側と−側にN−1個の補正値が設定され、
・第1の操作(例えば、メイン電子ダイヤル115の時計回りの回転操作)に応じた第1の操作信号により、+側および−側のABE補正幅の絶対値を、基準値に対するプラス側の値及びマイナス側の値を含む所定範囲内で(上記例では基準値±3)まで増加させる。
・第2の操作(例えば、メイン電子ダイヤル115の反時計回りの回転操作)に応じた第2の操作信号により、+側および−側のABE補正幅の絶対値を0まで順次に減少させる。
・ABE補正幅が0になった場合(AEB補正値が基準値と同一になった場合)、更に第2の操作を行っても補正値の設定は変更しない(補正幅=0を跨がない)。
【0061】
一方、撮影枚数が2枚である場合は、
・第1の操作に応じた第1の操作信号により、所定範囲内(基準値+最大補正幅までの範囲、上記例では基準値+3までの範囲)で、AEB補正値を順次に増加させる。
・第2の操作に応じた第2の操作信号により、所定範囲内(基準値−最大補正幅までの範囲(上記例では基準値−3までの範囲)で、AEB補正値を順次に減少させる。
・従って、−側の補正値が第1の操作により増加して基準値と同一になった場合に、更に第1の操作が行われると補正値が+側へ変更される(補正幅=0を跨ぐ)。
・同様に、+側の補正値が第2の操作により減少して基準値と同一になった場合に、更に第2の操作が行われると補正値を−側へ変更される(補正幅=0を跨ぐ)。
【0062】
なお、上記では、補正幅または補正値の変更を行うための第1の操作、第2の操作をメイン電子ダイヤル115の時計回りの回転操作及び反時計回りの回転操作としたが、これに限られないことは言うまでもない。また、上記の操作例では、第1の操作信号によりAEB補正幅またはAEB補正値が増加し、第2の操作信号によりAEB補正幅またはAEB補正値が減少するものとしたが、これに限られるものではない。たとえば、第1の操作信号によりAEB補正幅は増加し、AEB補正値は減少するようにしてもよい。なお、Nが3以上の奇数であれば、基準値の+側と−側で同数の補正値が設定されるが、Nが4以上の偶数の場合は、基準値の+側と−側とで設定される補正値の個数が異なることになる(いずれかの側に、他方の側よりも1つ多い補正値が設定される)。この場合、+側と−側のいずれの側の補正値を多くするかは、予め決定されていてもよいし、ユーザが設定可能にしてもよい。
【0063】
次に、ブラケティング撮影処理について、図7のフローチャートに基づいて説明する。シャッタスイッチ(SW1)62などにより撮影準備状態になると、システム制御回路50は、撮影に使用する露出の補正値を求める(S701)。ここで、システム制御回路50は、ユーザが設定した露出補正値(基準値)、+側補正値、−側補正値、AEB補正値[2]、ブラケティング時の撮影枚数、ブラケティング順序、撮影するAEB撮影番号などの情報により、撮影に使用する露出の補正値を求める。例えば、ブラケティング時の撮影枚数が2枚、ブラケティング順序が−→0→+、露出補正値が+1、AEB補正値[2]が露出補正値(基準値)+1/3(すなわち1+1/3)、撮影するAEB番号が1枚目の場合を説明する。ブラケティング順序では1枚目に「−」が設定されているが、AEB補正値[2]は、露出補正値と比較すると+側なので、「−」は無視される。次の順序は「0」なので、撮影に使用する補正値は基準値である露出補正値+1となる。もしAEB番号が2枚目の場合は、その次の順序では「+」なので、撮影に使用する補正値は1+1/3となる。こうして、設定されているブラケティング順序のうち、ブラケティング撮影において存在しない補正値での撮影を飛ばした順番で、撮影が行なわれることになる。
【0064】
次に、システム制御回路50は、ステップS701で求めた補正値などから、シャッタ秒時(CCD蓄積時間)、絞り値等を決定するための測光演算処理を行う(S702)。また、システム制御回路50は、被写体に焦点を合わせる為に、周知の位相差検出方式による測距動作を行い(S703)、前記測距動作によるデータをもとに、レンズを駆動する(S704)。次に、システム制御回路50は、シャッタスイッチ(SW2)などで撮影操作が行われた場合(S705)、撮影動作を行い(S706)、撮影の後処理を行い(S707)、処理を終了する。撮影動作には、CCDのゲイン設定、CCD蓄積動作、CCD読み出し、画像処理、画像書き込み等、が含まれる。ステップS707の撮影後処理で、システム制御回路50は、前述のAEB番号に1を足すが、この結果AEB番号がAEB撮影枚数を超えた場合、AEB番号を0にする。なお、ステップS705において撮影操作が検出されなかった場合は、処理を終了する。
【0065】
なお、撮影枚数2枚のときの補正値の符号の決定に、ブラケティング撮影の−、0、+の撮影順の設定値を用いることも考えられる(例えば、ブラケティング順序で−の方が先の順番である場合には、撮影枚数2枚の時の補正値の符号は−に決定される)。しかしながら、ブラケティング撮影の撮影順とは、ユーザが再生操作で画像を確認する際、ブラケティング撮影した画像の並び順(表示順)をユーザの好ましい順序にすることにより、画像の露出の比較をしやすくするためのものである。従って、ブラケティング撮影の撮影順が、補正値の符号決定という本来の目的とは異なる目的に使用されることになるため、ユーザにとってわかりづらいユーザインターフェースとなってしまう。これに対して、本実施形態によれば、撮影枚数が2枚の時の補正値の符号設定のためにブラケティング順序の設定を変更する必要がなくなる。すなわち、図8(b)に示す順序設定のメニューはブラケティング順序だけを設定する機能になるので、ブラケティング順序の機能をわかりやすくすることができる。
【0066】
なお、上述の例では、1回の撮影指示(SW2)によって1枚の画像を撮影する例を述べたが、1回の撮影指示(SW2)に応じて1組分(複数回)の撮影を連続的に行うものとしてもよい。さらに、上述の例では、露出のブラケティング撮影について説明したが、露出のブラケティング撮影に限るものではなく、本発明は他の撮影条件のブラケティング撮影にも適用可能である。例えば、ストロボ撮影、シャッタ速度、絞り値、ホワイトバランス、ISO感度、フォーカスなどに係るブラケティング撮影の基準値に対する補正値の設定方法にも本発明を適用可能である。また、更に、本発明は、HDR(ハイダイナミックレンジ)撮影や多重露光撮影など、露出、ISO感度などの撮影条件を異ならせて複数回の撮影を行う際の基準値に対する補正値の設定方法にも適用可能である。すなわち、ブラケティング撮影において変化させる撮影設定項目として、上述した項目の一つまたは複数の組み合わせを適用することができる。
【0067】
なお、システム制御回路50の制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0068】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0069】
また、上述した実施形態においては、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず、ブラケティング撮影が可能な撮像装置及びその制御方法であれば適用可能である。すなわち、本発明はカメラ付PDA、カメラ付携帯電話端末、カメラ付音楽プレーヤー、カメラ付ゲーム機、カメラ付電子ブックリーダー、撮像装置をリモート制御可能なパーソナルコンピュータなどに適用可能である。
【0070】
(他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影設定項目の設定値を、基準値と少なくとも1つの補正値とに設定して複数の画像を取得するブラケティング撮影が可能な撮像装置であって、
ユーザ操作に応じて前記ブラケティング撮影における撮影枚数を設定する設定手段と、
ユーザ操作に応じた第1の操作信号と第2の操作信号により、前記ブラケティング撮影における補正値を、前記基準値に対するプラス側の値及びマイナス側の値を含む所定範囲内で変更する変更手段と、を備え、
前記撮影枚数がN枚(Nは3以上の整数)の場合は前記基準値に対してプラスとマイナスの側にN−1個の補正値が設定され、前記変更手段は、前記第1、第2の操作信号のいずれか一方の操作信号に応じて前記基準値と前記N−1個の補正値の各々との差である補正幅を順次に増加させ、他方の操作信号に応じて前記補正幅が0になるまで前記補正幅を順次に減少させ、
前記撮影枚数が2枚の場合は前記基準値と1つの補正値が設定され、前記変更手段は、前記第1、第2の操作信号のいずれか一方の操作信号に応じて前記1つの補正値を前記所定範囲内で順次に増加させ、他方の操作信号に応じて前記1つの補正値を前記所定範囲内で順次に減少させる、ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮影枚数が3枚の場合、前記基準値に対してプラスとマイナスの側に2つの補正値が設定され、前記変更手段は、前記第1の操作信号に応じて前記補正幅を順次に増加させ、前記第2の操作信号に応じて前記補正幅を順次に減少させ、
前記撮影枚数が2枚の場合、前記変更手段は、前記第1の操作信号に応じて前記補正値を前記所定範囲内で順次に増加させ、前記第2の操作信号に応じて前記補正値を前記所定範囲内で順次に減少する、ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
ユーザ操作に応じて、前記ブラケティング撮影における撮影順序として、前記基準値を用いた撮影、前記基準値に対してプラス側の補正値を用いた撮影、前記基準値に対してマイナス側の補正値を用いた撮影の順序を設定する順序設定手段を更に備え、
前記撮影枚数が2枚の場合は、前記順序設定手段で設定された順序のうち、存在しない補正値での撮影を飛ばした順番で前記ブラケティング撮影を行う、ことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記設定手段により前記撮影枚数が3枚から2枚に変更された場合、前記撮影枚数が3枚のときの補正値のうち前記ブラケティング撮影における撮影順序で先に使用される補正値を、前記撮影枚数が2枚のときの補正値として設定する手段を更に備える、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記設定手段により前記撮影枚数が3枚から5枚に変更された場合、前記基準値のプラスとマイナスの両側に1つずつ補正値が追加され、追加された各補正値と前記基準値との差は、前記撮影枚数が3枚のときの前記補正幅の2倍となるように設定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置
【請求項6】
ユーザ操作に応じて前記基準値を設定する基準値の設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置
【請求項7】
前記ブラケティング撮影における前記撮影設定項目は、露出、シャッタスピード、ISO、ホワイトバランス、ストロボ、フォーカス、絞り、HDRのうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置
【請求項8】
撮影設定項目の設定値を、基準値と少なくとも1つの補正値とに設定して複数の画像を取得するブラケティング撮影が可能な撮像装置の制御方法であって、
設定手段が、ユーザ操作に応じて前記ブラケティング撮影における撮影枚数を設定する工程と、
変更手段が、ユーザ操作に応じた第1の操作信号と第2の操作信号により、前記ブラケティング撮影における補正値を、前記基準値に対するプラス側の値及びマイナス側の値を含む所定範囲内で変更する工程とを有し、
前記撮影枚数がN枚(Nは3以上の整数)の場合は前記基準値に対してプラスとマイナスの側にN−1個の補正値が設定され、前記変更する工程では、前記第1、第2の操作信号のいずれか一方の操作信号に応じて前記基準値と前記N−1個の補正値の各々との差である補正幅を順次に増加させ、他方の操作信号に応じて前記補正幅が0になるまで前記補正幅を順次に減少させ、
前記撮影枚数が2の場合は前記基準値と1つの補正値が設定され、前記変更する工程では、前記第1、第2の操作信号のいずれか一方の操作信号に応じて前記1つの補正値を前記所定範囲内で順次に増加させ、他方の操作信号に応じて前記1つの補正値を前記所定範囲内で順次に減少させる、ことを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項9】
撮影設定項目の設定値を、基準値と少なくとも1つの補正値とに設定して複数の画像を取得するブラケティング撮影が可能な撮像装置のコンピュータに、
ユーザ操作に応じて前記ブラケティング撮影における撮影枚数を設定する工程と、
ユーザ操作に応じた第1の操作信号と第2の操作信号により、前記ブラケティング撮影における補正値を、前記基準値に対するプラス側の値及びマイナス側の値を含む所定範囲内で変更する工程と、を実行させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記撮影枚数がN枚(Nは3以上の整数)の場合は前記基準値に対してプラスとマイナスの側にN−1個の補正値を設定させ、前記変更する工程では、前記コンピュータに、前記第1、第2の操作信号のいずれか一方の操作信号に応じて前記基準値と前記N−1個の補正値の各々との差である補正幅を順次に増加させ、他方の操作信号に応じて前記補正幅が0になるまで前記補正幅を順次に減少させ、
前記撮影枚数が2の場合は前記基準値と1つの補正値を設定させ、前記変更する工程では、前記第1、第2の操作信号のいずれか一方の操作信号に応じて前記1つの補正値を前記所定範囲内で順次に増加させ、他方の操作信号に応じて前記1つの補正値を前記所定範囲内で順次に減少させる、ことを実行させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載されたプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−231432(P2012−231432A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100137(P2011−100137)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】