説明

撮像装置及び撮像システム

【課題】本発明は、外部表示装置を併用する際のユーザの手間を軽減することのできる撮像装置を提供することを目的とする。また、本発明は、操作性の高い撮像システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の撮像装置は、画像を表示可能な表示部と、被写体を撮像して被写体画像を取得する撮像部と、外部表示装置を接続し、その外部表示装置へ画像を送出可能な送出部と、ユーザの指示に応じて前記表示部、前記撮像部、前記送出部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記送出部に対する前記外部表示装置の接続状態に応じて(ステップS12)前記制御の内容を変化させる(ステップS13,S14)ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタルカメラやビデオカメラなどの表示部を備えた撮像装置に関する。また、本発明は、撮像装置と表示装置とからなる撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なディジタルカメラやビデオカメラには液晶表示素子(LCD)が設けられているので、被写体の様子をリアルタイムに表す画像(スルー画像)を表示させておけば、ユーザはカメラから眼を離したまま構図を確認することがきる。但し、カメラを身体から離し過ぎたり角度を傾け過ぎたりすると、LCDが見え難くなる。このような場合、頭部装着型ディスプレイ(以下、「HMD」と称す。)が有効である。
【0003】
特許文献1には、カメラにHMDを接続し、それをファインダ代わりに使用する例が開示されている。この使用形態によると、カメラの位置や姿勢に制約が無くなり、構図の自由度が高まる。
【特許文献1】特開平9−18756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一般のHMDはカメラに専用の機器ではないため、それを正しく機能させるためには、HMD又はカメラの設定をユーザが詳細に行う必要がある。
そこで本発明は、外部表示装置を併用する際のユーザの手間を軽減することのできる撮像装置を提供することを目的とする。また、本発明は、操作性の高い撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の撮像装置は、画像を表示可能な表示部と、被写体を撮像して被写体画像を取得する撮像部と、外部表示装置を接続し、その外部表示装置へ画像を送出可能な送出部と、ユーザの指示に応じて前記表示部、前記撮像部、前記送出部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記送出部に対する前記外部表示装置の接続状態に応じて前記制御の内容を変化させることを特徴とする。
【0006】
なお、前記制御部は、前記送出部に前記外部表示装置が接続されていない期間には、前記被写体画像の表示先と非被写体画像の表示先とを共に前記表示部へ割り当て、前記送出部に前記外部表示装置が接続されている期間には、前記被写体画像の表示先と前記非被写体画像の表示先とを、前記外部表示装置及び前記表示部の一方と他方とへ個別に割り当ててもよい。
【0007】
また、前記被写体画像は、現在の前記被写体の様子をリアルタイムで表すスルー画像であり、前記非被写体画像は、前記撮像部の設定内容を示す画像であってもよい。
また、前記被写体画像は、過去の前記被写体の様子を表す再生画像であり、前記非被写体画像は、前記再生画像の添付情報を示す画像であってもよい。
また、前記撮像部は、近接した前記被写体を撮像する接写モードと非接写モードとの間で切り替えが可能であり、前記制御部は、前記撮像部が非接写モードに設定されているときであっても、前記送出部に前記外部表示装置が接続されると、前記撮像部を自動的に接写モードへ移行させてもよい。
【0008】
また、本発明の何れかの撮像装置は、前記近接した被写体から前記撮像部までの距離を固定するスペーサの取付部を更に備えてもよい。
また、前記送出部に対する前記外部表示装置の接続状態には、前記撮像装置と前記外部表示装置との相対位置が固定される直接接続があり、前記制御部は、前記撮像装置が撮影モードに設定されているときであっても、前記送出部に前記外部表示装置が前記直接接続で接続されると、前記撮像装置を自動的に非撮影モードへ移行させてもよい。
【0009】
また、本発明の撮像システムは、本発明の何れかの撮像装置と、前記ユーザの頭部へ装着可能であり、かつ前記撮像装置の前記送出部へ接続可能な表示装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外部表示装置を併用する際のユーザの手間を軽減することのできる撮像装置が実現する。また、本発明は、操作性の高い撮像システムが実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態は、撮像システムの実施形態である。
先ず、本システムの構成を説明する。
図1は、本システムの全体構成図である。図1に示すとおり、本システムには、HMD100とディジタルカメラ200とが備えられ、両者はケーブル300によって接続可能である。
【0012】
HMD100には、左右のヘッドホン102L,102Rと、それらヘッドホン102L,102Rを支持するヘッドバンド103と、左のヘッドホン102Lに連結されたサイドアーム104と、サイドアーム104の先端に固定された表示ユニット101とが備えられる。このHMD100がユーザの頭部に装着されると、ヘッドバンド103の弾性力で左右のヘッドホン102L,102Rがユーザの左右の耳へ押し当てられ、これによってHMD100の全体がユーザの頭部へ固定される。この状態で表示ユニット101がユーザの左眼(観察眼)の前に位置する。
【0013】
ディジタルカメラ200には、モード切り替え釦、レリーズ釦、マルチセレクタなどの操作釦201と、LCDパネル203とが設けられる(LCDパネル203は、LCD、バックライトなどからなる。)。ユーザは、操作釦201を操作することにより、ディジタルカメラ200に各種の情報を入力することができる。ユーザが入力できる情報は、例えば、ディジタルカメラ200のモード切り替えの指示、撮影条件の指定、撮影指示などである。
【0014】
図2は、本システムの機能ブロック図である。図2に示すとおり、HMD100の表示ユニット101の内部には、バックライト101Bと、バックライト101Bにより照明されるLCD101Dと、LCD101Dからの射出光束を偏向するミラー101Mと、ミラー101Mからの射出光束を観察眼へ入射させるレンズ101Lとが配置される。
HMD100の右のヘッドホン102Rには、右音声を出力するスピーカ102RSが配置される。HMD100の左のヘッドホン102Lには、左音声を出力するスピーカ102LSが配置されると共に、LCD101Dを駆動するためのLCD駆動回路1022と、バックライト101Bを駆動するためのバックライト駆動回路1023と、HMD100の各部を制御するCPU1021とが配置される。また、HMD100の各部は、前述したケーブル300と電気的に接続されている。
【0015】
ケーブル300は、オーディオ信号を伝送するオーディオ線(A)と、ビデオ信号を伝送するビデオ線(V)と、制御信号を伝送する制御線(S)とを束ねたAVケーブルであり、その先端に外部再生装置(ここではディジタルカメラ200)との接続を図るコネクタ301が設けられている。
ケーブル300からHMD100へ入力されるビデオ信号は、LCD駆動回路1022へ与えられ、そのビデオ信号に応じてLCD駆動回路1022がLCD101Dに映像を表示させる。また、ケーブル300からHMD100へ入力されるオーディオ信号は、HMD100の内部で左音声信号と右音声信号とに分離され、それぞれスピーカ102LS,102RSへ与えられる。これによってスピーカ102LS,102RSから左音声と右音声とが個別に出力される。また、ケーブル300からHMD100へ入力される制御信号は、CPU1021へ与えられる。
【0016】
ディジタルカメラ200の外装には、コネクタ211が設けられる。コネクタ211は、ケーブル300のコネクタ301に適合する。ディジタルカメラ200の内部には、被写体光束を捉えて被写体像を形成する撮影レンズ204と、その被写体像を撮像して画像信号を生成する撮像素子205と、撮像素子205から出力される画像信号をA/D変換するA/D変換器206と、A/D変換後の画像信号を一時的に格納するフレームメモリ207と、撮影レンズ204や撮像素子205など撮影に関係する要素を駆動する撮像部210と、多数の画像ファイルを格納するフラッシュメモリ209と、コネクタ211に対する外部表示装置(ここではHMD100)の接続の有無を検出するセンサ212と、操作釦201から入力される情報に応じて各部を制御するCPU202と、CPU202の作業に用いられるRAM208とが備えられる。
【0017】
CPU202は、ディジタルカメラ200の各部を制御する他、ビデオ信号を生成してコネクタ211のビデオ線(V)へ送出したり、制御信号を生成してコネクタ211の制御線(S)へ送出したりすることもできる。また、前述した画像ファイルに音声情報が含まれている場合、CPU202は、オーディオ信号を生成してコネクタ211のオーディオ線(A)へ送出することもできる。但し、以下では簡単のため、ディジタルカメラ200から送出される信号を、ビデオ信号のみとする。
【0018】
次に、ディジタルカメラ200のCPU202の基本動作を説明する。
(撮影モード)
CPU202は、ユーザから撮影モードの設定指示が入力されると、ディジタルカメラ200を撮影モードに移行させるべく、スルー画像用の画像信号の取得を開始するよう撮像部210へと指示を与え、それによって取得されたスルー画像用の画像信号を取り込み、画像処理を施してからLCDパネル203へと送出する。これによって、LCDパネル203にスルー画像が表示される。
【0019】
このスルー画像の表示中、ユーザから撮影条件の指定がなされると、それに応じてCPU202は、撮像部202の設定内容、画像処理の特性などを変更する。
また、スルー画像の表示中、CPU202は、ディジタルカメラ200の現状(設定中の撮影条件や電池残量など)を示す確認画像(例えばアイコン画像)を生成し、それをスルー画像に重畳させる。
【0020】
また、スルー画像の表示中、ユーザから撮影指示が入力されると、CPU202は、保存画像用の画像信号を取得するよう撮像部210へ指示を与え、それによって取得された保存画像用の画像信号を取り込み、画像処理を施してから保存画像の画像ファイルを作成する。
この際、CPU202は、画像信号の取得時に設定されていた撮影条件などに基づき、画像ファイルの添付情報(撮影時の撮影条件、撮影日など)を作成し、それを画像ファイルと共にフラッシュメモリ209へ格納する。これによって、撮影が完了する。
(再生モード)
CPU202は、ユーザから再生モードの設定指示が入力されると、ディジタルカメラ200を再生モードに移行させるべく、フラッシュメモリ209に格納された画像ファイルを再生して再生画像用の画像信号を生成し、それをLCDパネル203へ送出する。これによって、LCDパネル203に再生画像が表示される。
【0021】
この際、CPU202は、フラッシュメモリ209から、再生対象となった画像ファイルの添付情報(撮影時の撮影条件、撮影日など)を読み出し、その添付情報の少なくとも一部を示す確認画像(例えばテキスト画像)を生成し、それを再生画像上に重畳させる。
また、再生画像の表示中、ユーザからコマ送り指示が入力されると、CPU202は、再生対象を別の画像ファイルに変更する。これによって、LCDパネル203上の再生画像及び確認画像が切り替わる(以上、再生モード)。
【0022】
次に、撮影モードにおけるCPU202の表示制御を説明する。
図3は、撮影モードにおけるCPU202の表示制御の動作フローチャートである。図3に示すとおり、CPU202は、撮影モード中、センサ212からの検出信号を参照し、ディジタルカメラ200に外部表示装置(ここではHMD100)が接続されているか否かを判別する(ステップS12)。
【0023】
外部表示装置(ここではHMD100)が接続されていた場合(ステップS12YES)、CPU202は、スルー画像用の画像信号をビデオ信号に変換し、そのビデオ信号をコネクタ211から外部表示装置(ここではHMD100)へ送出すると共に、ディジタルカメラ200の現状(設定中の撮影条件や電池残量など)を示す確認画像を、ディジタルカメラ200のLCDパネル203へ表示させる(ステップS13)。
【0024】
つまり、CPU202は、図4に示すとおり、スルー画像Ithroughの表示先と、確認画像Iinfoの表示先とを、外部表示装置(ここではHMD100)とディジタルカメラ200との一方及び他方へ個別に割り当てる。このように、スルー画像Ithroughの表示先と、確認画像Iinfoの表示先とを区別すれば、確認画像Iinfoの表示スペースを広く採れるので、ディジタルカメラ200の現状(設定中の撮影条件や電池残量)を、主にテキスト画像によって詳細に表示することができる。
【0025】
このとき表示される撮影条件は、例えば、図4に示すとおり、露光時間(シャッタースピード)、絞り値、撮影距離、マクロ撮影の設定の有無、ホワイトバランス設定の内容などである。また、図4には示さなかったが、フォーカスエリア、コントラスト、シャープネス、セルフタイマーの設定の有無、ストロボ発光の設定の有無などを加えてもよい。
一方、外部表示装置(ここではHMD100)が接続されていなかった場合(ステップS12NO)、CPU202は、上述した基本動作と同様、スルー画像をLCDパネル203へ表示すると共に、そのスルー画像上に、ディジタルカメラ200の現状(設定中の撮影条件や電池残量など)を示す確認画像を重畳させる(ステップS14)。
【0026】
つまり、CPU202は、図5に示すとおり、スルー画像Ithroughの表示先と、確認画像Iinfoの表示先とを、共にディジタルカメラ200に割り当てる。この場合、確認画像Iinfoの表示スペースを広く採れないので、スルー画像Ithroughをなるべく遮らないよう、ディジタルカメラ200の現状(設定中の撮影条件や電池残量)を、主にアイコン画像によって簡易的に表示することが望ましい。
【0027】
その後、CPU202は、ユーザから撮影指示が入力されると(ステップS15)、撮影を行う(ステップS16)。撮影の方法は、前述した基本動作と同じである。撮影後、CPU202は、ステップS12へ戻り、再び接続の有無を判別する。
次に、再生モードにおけるCPU202の表示制御を説明する。
図6は、再生モードにおけるCPU202の表示制御の動作フローチャートである。図6に示すとおり、CPU202は、再生モード中、センサ212からの検出信号を参照し、ディジタルカメラ200に外部表示装置(ここではHMD100)が接続されているか否かを判別する(ステップS22)。
【0028】
外部表示装置(ここではHMD100)が接続されていた場合(ステップS22YES)、CPU202は、画像ファイルを再生して得た再生画像用の画像信号をビデオ信号に変換し、そのビデオ信号をコネクタ211から外部表示装置(ここではHMD100)へ送出すると共に、その再生ファイルの添付情報(撮影時の撮影条件、撮影日など)を示す確認画像を、LCDパネル203へ表示させる(ステップS23)。
【0029】
つまり、CPU202は、図7に示すとおり、再生画像Irecordの表示先と、確認画像Iinfoの表示先とを、外部表示装置(ここではHMD100)とディジタルカメラ200との一方及び他方へ個別に割り当てる。このように、再生画像Irecordの表示先と、確認画像Iinfoの表示先とを区別すれば、確認画像Iinfoの表示スペースを広く採れるので、再生画像の添付情報(撮影時の撮影条件、撮影日など)を、主にテキスト画像によって詳細に表示することができる。
【0030】
このとき表示される撮影条件は、例えば、図7に示すとおり、露光時間(シャッタースピード)、絞り値、撮影距離、ホワイトバランス設定の内容などである。また、添付情報にフォーカスエリア、コントラスト、シャープネス、セルフタイマーの設定の有無、ストロボ発光の設定の有無などが含まれる場合は、これらの情報を表示してもよい。
一方、外部表示装置(ここではHMD100)が接続されていなかった場合(ステップS22NO)、CPU202は、上述した基本動作と同様、再生画像をLCDパネル203へ表示すると共に、その再生画像上に、添付情報を示す確認画像を重畳して表示する(ステップS24)。
【0031】
つまり、CPU202は、図8に示すとおり、再生画像Irecordの表示先と、確認画像Iinfoの表示先とを、共にディジタルカメラ200に割り当てる。この場合、確認画像Iinfoの表示スペースを広く採れないので、再生画像Irecordをなるべく遮らないよう、添付情報(撮影時の撮影条件、撮影日など)を、主にアイコン画像によって簡易的に表示することが望ましい。
【0032】
その後、CPU202は、ユーザからコマ送り指示が入力されると(ステップS25)、再生画像Irecordを切り替える(ステップS26)。切り替えの方法は、前述した基本動作と同じである。その後、CPU202は、ステップS22へ戻り、再び接続の有無を判別する。
以上、本システムのディジタルカメラ200は、外部表示装置(ここではHMD100)の接続状態に応じて制御内容を変化させる。
【0033】
具体的に、ディジタルカメラ200のCPU202は、撮影モード中、かつディジタルカメラ200が外部表示装置(ここではHMD100)に接続されている期間には、スルー画像Ithroughの表示先と、確認画像Iinfoの表示先とを、外部表示装置(ここではHMD100)とディジタルカメラ200との一方及び他方へ個別に割り当てるのに対し(図4参照)、ディジタルカメラ200が外部表示装置(ここではHMD100)に接続されていない期間には、スルー画像Ithroughの表示先と、確認画像Iinfoの表示先とを、共にディジタルカメラ200に割り当てる(図5参照)。
【0034】
したがって、本システムのユーザは、ディジタルカメラ200を撮影モードに設定し、それを外部表示装置(ここではHMD100)に接続するだけで、ディジタルカメラ200と外部表示装置(ここではHMD100)とを、情報表示装置と、ファインダとしてそれぞれ機能させることができる。また、本システムのユーザは、その接続を解除するだけで、ディジタルカメラ200を情報表示装置及びファインダとして機能させることができる。
【0035】
また、ディジタルカメラ200のCPU202は、再生モード中、かつディジタルカメラ200が外部表示装置(ここではHMD100)に接続されている期間には、再生画像Irecordの表示先と、確認画像Iinfoの表示先とを、外部表示装置(ここではHMD100)とディジタルカメラ200との一方及び他方へ個別に割り当てるのに対し(図7参照)、ディジタルカメラ200が外部表示装置(ここではHMD100)に接続されていない期間には、再生画像Irecordの表示先と、確認画像Iinfoの表示先とを、共にディジタルカメラ200に割り当てる(図8参照)。
【0036】
したがって、本システムのユーザは、ディジタルカメラ200を再生モードに設定し、それを外部表示装置(ここではHMD100)に接続するだけで、ディジタルカメラ200と外部表示装置(ここではHMD100)とを、情報表示装置と画像再生装置としてそれぞれ機能させることができる。また、本システムのユーザは、その接続を解除するだけで、ディジタルカメラ200を情報表示装置及び画像再生装置として機能させることができる。
【0037】
なお、本システムでは、ディジタルカメラ200とHMD100とが通信を行わないが、通信を行ってもよい。その場合、HMD100とディジタルカメラ200との双方に通信回路(例えば、USB規格に準拠する通信回路)が備えられる。さらに、その通信回路を無線通信回路(例えば、WirelessUSB規格に準拠する通信回路)とすれば、ディジタルカメラ200とHMD100とを無線で接続することができる。
【0038】
因みに、通信回路を使用する場合、ディジタルカメラ200のセンサ212を省略することもできる。その場合、ディジタルカメラ200のCPU202は、通信プロトコルの確立の有無により、外部表示装置(ここではHMD100)の接続の有無を認識すればよい。
また、ディジタルカメラ200とHMD100とが通信を行い、ディジタルカメラ200のCPU202が外部表示装置(ここではHMD100)の現状(設定中のカラーバランス、バックライト輝度、電池残量など)を認識できる場合、CPU202は、上述したステップS13(図3)にて表示する確認画像へ、外部表示装置(ここではHMD100)の現状を反映させてもよい。また、その場合、CPU202は、上述したステップS23(図6)にて表示する確認画像へ、外部表示装置(ここではHMD100)の現状を反映させてもよい。
【0039】
また、本システムでは、HMD100に再生機能が搭載されなかったが、HMD100に再生機能が搭載されてもよい。その場合、HMD100の内部に画像ファイルを格納するメモリと、その画像ファイルを再生する再生回路とが備えられる。
また、このような再生機能がHMD100に搭載される場合、HMD100からディジタルカメラ200へと画像(画像信号又は画像ファイル)を送出させ、その画像を、前述した再生画像の代わりにディジタルカメラ200のLCDパネル203へ表示させてもよい。
【0040】
また、本システムのディジタルカメラ200は、外部表示装置(ここではHMD100)が接続されているとき、スルー画像又は再生画像の表示先を外部表示装置(ここではHMD100)へ割り当て、確認画像の表示先をディジタルカメラ200へ割り当てたが、これら2つの表示先を反転させてもよい。反転させた場合、定点観測のように、ディジタルカメラ200の撮影条件を変化させながら同じ構図で繰り返し撮影を行う場合に有効となる。なお、2つの表示先を反転させるか否かについては、ユーザが予め設定可能であることが望ましい。
【0041】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態も、撮像システムの実施形態である。ここでは、第1実施形態との相違点のみ説明する。相違点は、撮影モードにおいて、CPU202が、図3に示した表示制御に加えて、以下のレンズ制御を行う点にある。
図9は、撮影モードにおけるCPU202のレンズ制御の動作フローチャートである。図9に示すとおり、CPU202は、撮影モード中、センサ212からの検出信号を参照し、ディジタルカメラ200に外部表示装置(ここではHMD100)が接続されているか否かを判別する(ステップS12)。
【0042】
外部表示装置(ここではHMD100)が接続されていた場合(ステップS12YES)、CPU202は、ユーザによるマクロ撮影の設定の有無に拘わらず、撮影レンズ204のレンズポジションを、マクロ撮影用のレンズポジションに設定するよう撮像部210へ指示を与える(ステップS33)。マクロ撮影用のレンズポジションは、撮影レンズ204の全体を、通常撮影用の配置位置よりも被写体側へシフトさせたものである。通常撮影用のレンズポジションでは、撮影レンズ204の合焦範囲が、「有限距離から無限遠方まで」となるのに対し、このマクロ撮影用のレンズポジションでは、撮影レンズ204の合焦範囲が、「前記有限距離より近方の有限距離から遠方の有限距離まで」となる。
【0043】
一方、外部表示装置(ここではHMD100)が接続されていなかった場合(ステップS12NO)、CPU202は、ユーザによるマクロ撮影の設定が無い限り(ステップS31NO)、撮影レンズ204のレンズポジションを、通常撮影用のレンズポジションに設定するよう撮像部210へ指示を与える(ステップS34)。ユーザによるマクロ撮影の設定が有れば(ステップS31YES)、ステップS33を実行する。
【0044】
その後、CPU202は、ユーザから撮影指示が入力されると(ステップS15)、撮影を行う(ステップS16)。撮影の方法は、前述したとおりである。撮影後、COU202は、ステップS12へ戻り、再び接続の有無を判別する。
したがって、本システムのユーザは、ディジタルカメラ200を撮影モードに設定し、それを外部表示装置(ここではHMD100)に接続するだけで、ディジタルカメラ200をマクロ撮影モードへ移行させることができる。また、本システムのユーザは、その接続を解除するだけで、ディジタルカメラ200を通常撮影モードへ移行させることができる。
【0045】
例えば、ユーザは、ディジタルカメラ200で花を撮影するときなど、ディジタルカメラ200を身体から離す。この場合、ディジタルカメラ200のLCDパネル203をファインダとして使用することは難しく、しかも、花とディジタルカメラ200とを近接させる必要がある。そのような場合、本システムのユーザは、ディジタルカメラ200にHMD100を接続するだけで、何の設定も行うことなく、HMD100をファインダ代わりに使用したマクロ撮影を、即座に開始することができる。
【0046】
ここで、本システムのディジタルカメラ200は、ユーザがマクロ撮影を快適に行うため、図10に示すように、被写体側の面に固定台400を装着可能であることが望ましい。固定台400は、マクロ撮影時の被写体とディジタルカメラ200との距離を固定するスペーサの働きがあり、テーブル上に置いた本の文字を拡大して読むときなど、手ブレを防止できるので便利である。ディジタルカメラ200に対する固定台400の装着方法は、スライド式、ネジ込み式など各種の方法を採用することができる。
【0047】
なお、本システムのディジタルカメラ200は、撮影モード中に、上述したレンズ制御(図9)と、第1実施形態と同じ表示制御(図3)とを並列的に実行するが、表示制御については、従来と同様の表示制御であってもよい。因みに、従来と同様の表示制御は、次のとおりである。
ディジタルカメラ200に外部表示装置(ここではHMD100)が接続されている期間には、LCDパネル203にスルー画像と確認画像との双方を表示させると共に、それと同じ画像のビデオ信号を生成して外部表示装置へ送出する。一方、ディジタルカメラ200に外部表示装置(ここではHMD100)が接続されていない期間には、LCDパネル203にスルー画像と確認画像の双方を表示させ、ビデオ信号の生成及び送出は省略する。
【0048】
[第3実施形態]
本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態も、撮像システムの実施形態である。ここでは、第1実施形態との相違点のみ説明する。相違点は、システムの構成と、CPU202の動作とにある。
先ず、システムの構成の相違点を説明する。
【0049】
図11に示すとおり、HMD100の右のヘッドホン102Rの外装部には、ディジタルカメラ200を装着するホルダ400が設けられる。そのホルダ400の内部には、プラグ100Aが設けられる。一方、ディジタルカメラ200には、前述したコネクタ211とは別に、プラグ100Aに適合するレセプタクル200Aが設けられる。
ディジタルカメラ200がHMD100のホルダ400へ装着されると、レセプタクル200Aにプラグ100Aが差し込まれ、ディジタルカメラ200とHMD100とが電気的に接続される。なお、ディジタルカメラ200の内部とレセプタクル200Aとの接続関係は、ディジタルカメラの内部とコネクタ211との接続関係(図2参照)と同じであり、HMD100の内部とプラグ100Aとの接続関係は、HMD100の内部とコネクタ301との接続関係(図2参照)と同じである。
【0050】
ディジタルカメラ200の内部には、レセプタクル200Aにプラグ100Aが差し込まれたか否かを検出するセンサ(第2センサ)が、前述したセンサ212とは別に設けられる(図示省略)。ディジタルカメラ200のCPU202は、第2センサからの検出信号により、ディジタルカメラ200がHMD100のホルダ400へ適切に装着されたか否かを認識する。
【0051】
ここで、ホルダ400による接続は、ケーブル300による接続(図1参照)とは異なり、ディジタルカメラ200とHMD100とを互いに拘束する。よって、以下では、ケーブル300による接続を「間接接続」と称し、ホルダ400による接続を「直接接続」と称す。このうち間接接続は、ディジタルカメラ200で画像の撮影を行うとき、構図の自由度を高めるので便利であり、直接接続は、ディジタルカメラ200で画像の再生を行うとき、ユーザをハンズフリーにすることができるので便利である。
【0052】
次に、CPU202の動作の相違点を説明する。
本実施形態のCPU202は、撮影モードにおいて、図3に示した表示制御の代わりに以下の表示制御を行う。
図12は、撮影モードにおけるCPU202の表示制御の動作フローチャートである。図12に示すとおり、CPU202は、撮影モード中、第2センサからの検出信号を参照し、ディジタルカメラ200にHMD100が直接接続されたか否かを判別する(ステップS42)。
【0053】
HMD100が直接接続されていた場合(ステップS42YES)、CPU202は、ユーザによるモード設定の内容に拘わらず、再生モードの動作を行う(ステップS45)。 このステップS45において、CPU202は、LCDパネル203をオフすると共に、再生画像と確認画像との双方を表示するためのビデオ信号を生成し、それをレセプタクル200AからHMD100へ向けて送出する(ステップS451)。さらに、ユーザからコマ送り指示が入力されると(ステップS452YES)、CPU202は、再生対象を別の画像ファイルに変更する(ステップS453)。その後、CPU202は、ステップS42へ戻り、再び直接接続の有無を判別する。
【0054】
一方、HMD100が直接接続されていなかった場合(ステップS42NO)、CPU202は、撮影モードの動作を行う(ステップS44)。
このステップS44において、CPU202は、スルー画像と確認画像との双方をLCDパネル203上に表示させる(ステップS441)。但し、HMD100が間接接続されていた場合には(ステップS442YES)、それと同じ画像を表示するためのビデオ信号を生成し、それをコネクタ211からHMD100へ向けて送出する(ステップS443)。さらに、ユーザから撮影指示が入力されると(ステップS444)、CPU202は撮影を実行する(ステップS445)。その後、CPU202は、ステップS42へ戻り、再び直接接続の有無を判別する。
【0055】
したがって、本システムのユーザは、ディジタルカメラ200を撮影モードに設定していたとしても、ディジタルカメラ200をHMD100のホルダ400へ装着するだけで、ディジタルカメラ200を再生モードへ移行させることができる。また、本システムのユーザは、ホルダ400からディジタルカメラ200を外すだけで、ディジタルカメラ200を再び撮影モードへ移行させることができる。
【0056】
[その他]
なお、上述した各実施形態では、ディジタルカメラの表示素子としてLCDを使用したが、他のタイプの表示素子を使用してもよい。また、上述した各実施形態では、HMDの表示素子としてLCDを使用したが、他のタイプの表示素子を使用してもよい。
また、上述した各実施形態では、ディジタルスチルカメラを備えた撮像システムを説明したが、ビデオカメラを備えた撮像システムに変形することもできる。
【0057】
また、上述した第1実施形態、第2実施形態では、HMDを備えた撮像システムを説明したが、HMD以外の表示装置(携帯表示装置、非携帯表示装置など)を備えた撮像システムに変形することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】撮像システムの全体構成図である。
【図2】撮像システムの機能ブロック図である。
【図3】第1実施形態の撮影モードにおけるCPU202の表示制御の動作フローチャートである。
【図4】スルー画像の表示先と確認画像の表示先とが分離された様子を示す図である。
【図5】スルー画像の表示先と確認画像の表示先とが一致した様子を示す図である。
【図6】第1実施形態の再生モードにおけるCPU202の表示制御の動作フローチャートである。
【図7】再生画像の表示先と確認画像の表示先とが分離された様子を示す図である。
【図8】再生画像の表示先と確認画像の表示先とが一致した様子を示す図である。
【図9】第2実施形態の撮影モードにおけるCPU202のレンズ制御の動作フローチャートである。
【図10】固定台400が装着されたディジタルカメラ200の様子を示す斜視図である。
【図11】第3実施形態の撮像システムの全体構成図である。
【図12】第3実施形態の撮影モードにおけるCPU202の表示制御の動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
100…HMD,200…ディジタルカメラ,201…操作釦,203…LCDパネル,101…表示ユニット,102L,102R…ヘッドホン,104…サイドアーム,103…ヘッドバンド,300…ケーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示可能な表示部と、
被写体を撮像して被写体画像を取得する撮像部と、
外部表示装置を接続し、その外部表示装置へ画像を送出可能な送出部と、
ユーザの指示に応じて前記表示部、前記撮像部、前記送出部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記送出部に対する前記外部表示装置の接続状態に応じて前記制御の内容を変化させる
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記制御部は、
前記送出部に前記外部表示装置が接続されていない期間には、前記被写体画像の表示先と非被写体画像の表示先とを共に前記表示部へ割り当て、
前記送出部に前記外部表示装置が接続されている期間には、前記被写体画像の表示先と前記非被写体画像の表示先とを、前記外部表示装置及び前記表示部の一方と他方とへ個別に割り当てる
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記被写体画像は、
現在の前記被写体の様子をリアルタイムで表すスルー画像であり、
前記非被写体画像は、
前記撮像部の設定内容を示す画像である
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記被写体画像は、
過去の前記被写体の様子を表す再生画像であり、
前記非被写体画像は、
前記再生画像の添付情報を示す画像である
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の撮像装置において、
前記撮像部は、
近接した前記被写体を撮像する接写モードと非接写モードとの間で切り替えが可能であり、
前記制御部は、
前記撮像部が非接写モードに設定されているときであっても、前記送出部に前記外部表示装置が接続されると、前記撮像部を自動的に接写モードへ移行させる
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記近接した被写体から前記撮像部までの距離を固定するスペーサの取付部を更に備えた
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の撮像装置において、
前記送出部に対する前記外部表示装置の接続状態には、
前記撮像装置と前記外部表示装置との相対位置が固定される直接接続があり、
前記制御部は、
前記撮像装置が撮影モードに設定されているときであっても、前記送出部に前記外部表示装置が前記直接接続で接続されると、前記撮像装置を自動的に非撮影モードへ移行させる
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の撮像装置と、
前記ユーザの頭部へ装着可能であり、かつ前記撮像装置の前記送出部へ接続可能な表示装置と、
を備えたことを特徴とする撮像システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−34908(P2008−34908A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202821(P2006−202821)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】