説明

撮像装置及び撮像装置の制御方法

【課題】記録される画像データに影響を及ぼすことなく、フォーカス動作を正確にすることが可能となる撮像装置を提供する。
【解決手段】所定期間毎のタイミング信号に応答して撮像素子102の露光と読み出しを制御する撮像制御手段10と、撮像レンズ101を駆動する撮像レンズ駆動手段と、補助光発光手段30と、読み出された画像信号の所定の周波数帯域の信号レベルを検出するノイズレベル検出回路106を有し、第1の撮像制御モードで読み出された1画面分の画像信号から、ノイズレベル検出回路106により検出される信号に基いて算出した第1のノイズ信号レベルが第1の所定値より大きい場合、第2の撮像制御モードに切り替え、第2の撮像制御モードで読み出された1画面分の画像信号から、ノイズレベル検出回路106により検出される信号に基いて算出した第2のノイズ信号レベルが第2の所定値より小さい場合、第1の撮像制御モードに切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低照度な被写体を動画記録する際に好適な、デジタルカメラ等の撮像装置及び撮像装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置では、被写体はCCDセンサ等の撮像素子に露光され、光電変換された画像信号が読み出される。フォーカスのような撮影条件は、撮像素子から出力された画像信号に基づいて調整される。画像信号にノイズが多く含まれると、フォーカス位置制御に使用する合焦データにも、多くのノイズが含まれてしまう。
【0003】
低照度被写体では、動画記録開始前に補助光を照射し、主被写体に対する合焦位置を決定できるが、動画記録中に、主被写体、もしくは撮影者が移動すると、合焦位置が変わってしまい、その際、合焦データのS/Nが低下し、ピントがずれてしまう場合がある。
【0004】
これを解決するため、下記の特許文献1では、奇数駒の被写体像を表す画像データは,動画を表す画像データとしてメモリ・カードに記録し、偶数駒の被写体像が撮像により得られるタイミングでは,被写体に補助光を照射し、合焦制御に利用する。
【0005】
また、下記の特許文献2では、被写体の明るさが不十分な場合には撮像周期を遅くする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−163527号公報
【特許文献2】特開2001−257931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、通常の撮像周期よりも2倍の周期に駆動を切り替えた場合、1回の撮像で確保できる露光時間が短く、光信号入力レベルが小さくなり、回路ゲインをアップさせることになる。
【0008】
S/Nの観点では、一般的に、入力側のS/Nに対して、出力側のS/Nがどれだけ劣化するかを示すものとして、雑音指数Fが定義され、次の式で表される。
【0009】
F=(S/N)/(S/N
この雑音指数を多段の増幅器で接続されたシステムで考えた場合、各段の増幅器の利得をG、G、・・・G、雑音指数をF、F、・・・Fとすると、そのトータル雑音指数Ftotalは、次の式で表される。
【0010】
total=F+(F−1)/G+・・・+(F−1)/(G×G×・・・×Gn−1
この式から、第2項はGが大きければF2の影響は少なくなり、初段の利得が大きければ2段目の雑音指数の影響は少なくなり、3段目以降は更に顕著になることがわかる。すなわち、多段接続システムのトータル雑音指数を低くするには、できるだけ前段で増幅した方が有利である。その上、光電変換するシステムでは、光でのパワーが1/2になると、電気での電圧が1/2に、電気での電力が1/4になってしまい、更に顕著である。従って、撮像素子の露光時間を短くすると、記録画像のS/Nが低下してしまう。
【0011】
特許文献2では、被写体の明るさが不十分な場合には撮像周期を遅くするので、1回の撮像で確保できる露光時間が長くなり、記録画像のS/Nは高くなるが、フレームレートが遅くなってしまう。
【0012】
このように、所望のフォーカス精度が得られる場合にも、撮像手段の駆動を切り替えるのは、記録画像としては、好ましくない。また、特許文献2では、被写体の明るさで、撮像手段の駆動切り替え判別を行うのは、適切ではない。例えばCCDセンサでは、画像信号輝度レベルが同じであっても、温度上昇により、暗電流が増加し、出力された画像信号にノイズが多く含まれると、フォーカス位置制御に使用する合焦データにも、多くのノイズが含まれてしまう。
【0013】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、所望のフォーカス精度が得られない場合のみ、撮像手段の駆動を切り替え、ピントの精度を維持するので、記録される画像データに影響を及ぼすことなく、フォーカス動作を正確にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、被写体の光学像を光電変換して画像信号を生成する撮像素子と、所定期間毎のタイミング信号に応答して前記撮像素子の露光と読み出しを制御する撮像制御手段と、前記撮像素子の受光面前方に移動自在に配置された撮像レンズと、前記撮像レンズを駆動する撮像レンズ駆動手段と、被写体に補助光を照射する補助光発光手段と、前記撮像制御手段によって読み出された前記画像信号の所定の周波数帯域の信号レベルを検出する信号レベル検出手段と、を有し、前記撮像制御手段における第1の撮像制御モードで読み出された1画面分の前記画像信号から、前記信号レベル検出手段により検出される信号に基づき第1のノイズ信号レベルを算出し、前記第1のノイズ信号レベルが第1の所定値より大きい場合、前記撮像制御手段を第2の撮像制御モードに切り替え、前記撮像制御手段における第2の撮像制御モードで読み出された1画面分の前記画像信号から、前記信号レベル検出手段により検出される信号に基づき第2のノイズ信号レベルを算出し、前記第2のノイズ信号レベルが第2の所定値より小さい場合、前記撮像制御手段を第1の撮像制御モードに切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば所望のフォーカス精度が得られない場合のみ、撮像手段の駆動を切り替え、ピントの精度を維持するので、記録される画像データに影響を及ぼすことなく、フォーカス動作を正確にすることが可能となる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係る撮像装置として挙げられる、デジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】ノイズ信号レベル検出回路106を構成する、特に検波回路の具体的な回路図の一例を示す図である。
【図3】撮像手段10の駆動を切り替える一例を示す図である。
【図4】撮像手段10の駆動を切り替える一例を示す図である。
【図5】フォーカスレンズ位置が決定され、動画記録を開始した後の、撮像手段10の駆動を切り替える処理の一例のフローチャートを示す図である。
【図6】撮像手段10の駆動を切り替える一例を示す図である。
【図7】撮像手段10の駆動を切り替える一例を示す図である。
【図8】フォーカスレンズ位置が決定され、動画記録を開始した後の、撮像手段10の駆動を切り替える処理の一例のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、第1の実施形態に係る撮像装置として挙げられる、デジタルカメラの構成を示すブロック図である。101はレンズ及び絞りからなる撮像光学系であり、102はCCDセンサ(撮像素子)である。103はアナログ信号処理を行う相関二重サンプリング(Correllated Double Sampling:以下CDS)回路であり、104は所望の増幅度に設定可能なプログラマブル・ゲイン・アンプ(Programmable Gain Amp:以下PGA)回路である。105はアナログデジタルコンバータ(Analog Digital Converter:以下ADC)回路であり、106は、PGA回路104の出力信号のノイズ信号レベル検出回路である。また、107は、CCDセンサ102、CDS回路103、PGA回路104、ADC回路105、及びノイズ信号レベル検出回路106を動作させる信号を発生するタイミング信号発生回路であり、108は、光学系101の駆動回路である。102〜105までを合わせて撮像手段10とし、後述するシステム制御部115をタイミング信号発生回路107を用いて撮像手段10を制御する制御手段とする。撮像光学系101には、被写体像を撮像素子102の受光面上に結像させるためのフォーカスレンズが設けられている。フォーカスレンズの光軸は、撮像素子102の光軸と一致しており、光軸に沿って移動自在である。駆動回路108によって制御される。
【0019】
109〜114は109に入力される画像データを処理する画像処理手段20を構成する。109は撮影した画像データに必要な信号処理を行う信号処理回路であり、110は信号処理された画像データを記憶する画像メモリであり、111は撮像装置から取り外し可能な画像記録媒体である。112は信号処理された画像データを画像記録媒体111に記録する記録制御部であり、113は信号処理された画像データを表示する画像表示装置であり、114は画像表示装置113に画像を表示する表示回路である。115は撮像装置全体を制御するシステム制御部であり、116は不揮発性メモリ(ROM)である。不揮発性メモリ116には、システム制御部115により実行される制御方法を記載したプログラム、プログラムを実行する際に使用されるパラメータ及びテーブル等の制御データ、並びにキズアドレス等の補正データが記憶されている。117は不揮発性メモリ116に記憶されたプログラム、制御データ及び補正データが転送されて記憶し、システム制御部115が撮像装置を制御する際に使用する揮発性メモリ(RAM)である。118は操作部であり、ユーザから撮像手段10あるいは画像処理手段20へ与える指示全般を、指示信号としてシステム制御部115に送信する。なお、撮影動作に先立ち、撮像装置の電源投入時等のシステム制御部115の動作開始時において、不揮発性メモリ116から必要なプログラム、制御データ及び補正データを揮発性メモリ117に転送して記憶してある。また、これらのプログラムやデータは、システム制御部115が撮像装置を制御する際に使用される。更に、必要に応じて、追加のプログラムやデータが不揮発性メモリ116から揮発性メモリ117に転送されたり、システム制御部115により直接不揮発性メモリ116内のデータが読み出されて使用されたりする。
【0020】
119〜120は被写体に補助光を照射する補助光発光手段30を構成する。119は補助光発光部であり、120は補助光発光部119の発光制御を行う補助光発光制御回路である。
【0021】
次に、上述のように構成された撮像装置を用いた、低照度被写体での動画撮影動作について説明する。
【0022】
操作部118から、動画記録開始の指示を受けたシステム制御部115は、記録開始に先立ち、タイミング信号発生回路107を用いて、撮像手段10によって、一定周期、例えば、通常の撮像周期である1/30秒での撮像動作を行う。もちろん、撮像周期は、1/30秒に限らず1/60秒などその他のものでも良い。また、補助光発光手段30から所定時間照射された被写体像を表す画像信号からフォーカスレンズ制御信号を取得し、駆動回路108によって、光学系101に設けられているフォーカスレンズを制御する。フォーカスレンズ制御は、例えば以下により行われる。撮像手段10から、被写体像を表すデジタル画像信号が、画像処理手段20に一定周期で出力される。信号処理回路109において、デジタル画像信号から高周波数成分が抽出され、被写体像の合焦の程度を表す合焦データが演算される。演算された合焦データにもとづいて、駆動回路108によってフォーカスレンズが制御され、フォーカスレンズが移動させられる。被写体の撮像、合焦データの演算が繰り返されて合焦データのレベルが最大となったときのフォーカスレンズの位置が合焦位置として決定される。
【0023】
フォーカスレンズ位置が決定されると、システム制御部115は、動画記録を開始する。動画記録は、例えば以下により行われる。撮像手段10から一定周期で出力されるデジタル画像信号に対して、画像処理手段20は、色変換、ホワイトバランス、ガンマ補正等の画像処理、解像度変換処理等を行う。画像メモリ110は、信号処理中のデジタル画像信号を一時的に記憶したり、信号処理された画像データを記憶したりするために用いられる。記録制御部112は、この画像ファイルを、画像記録媒体111に記録する。記録するのと合わせ、信号処理回路109により解像度変換処理を実施された後、表示回路114により画像表示装置113に適した信号に変換されて画像表示装置113に表示されることもある。
【0024】
ここで、ノイズ信号レベル検出回路106は、撮像手段10でAD変換される前のアナログ画像から、所定の周波数帯域のノイズ信号レベルを検出し、システム制御部115に一定周期で出力する。
【0025】
図2は、ノイズ信号レベル検出回路106を構成する、特に検波回路の具体的な回路図の一例を示す図である。検波回路は、オペアンプOP201〜OP203と抵抗R201〜R212、コンデンサC201〜C204、ダイオードD201、D202で構成される。なお、本発明にかかる検波回路は、図2に示した回路に限定されるものではなく、種種の変形例が可能である。
【0026】
ノイズ信号レベル検出回路106の入力段には、撮像手段10が有する伝送周波数帯域の中で、撮像信号には含まれない周波数帯域のみを通過する帯域制限フィルタが構成されている。すなわち撮像信号成分は無く、ホワイトノイズのみが存在する周波数帯域の信号を検波回路に入力する。ノイズ信号レベル検出回路106の入力であるADC回路105の入力信号レベルは、被写体照度に係わらず、常に適正レベルになるように、CCDセンサ102の露光量や露光時間、PGA回路104の増幅度が調整されている。ここでの信号レベルは一定であるので、撮像信号が有する周波数帯域外のホワイトノイズレベルを検出すれば、撮像信号のS/Nがわかる。従って、システム制御部115は、ノイズ信号レベル検出回路106から出力されるノイズ信号レベルより、前記フォーカスレンズを制御するために演算される合焦データのS/Nを算出することができる。ノイズ信号レベルが所定値より大きい場合、所望のフォーカス精度が得られないと判断し、以下の処理を行う。
図3及び図4は、撮像手段10の駆動を切り替える一例を示す図である。図3においては、通常の撮像周期は1/30秒で行われており、30fps動画が、画像記録媒体111に記録されている。システム制御部115は、所望のフォーカス精度が得られないと判断すると、撮像手段10によって、例えば図4に示す、通常の撮像周期である1/30秒よりも2倍の周期である1/60秒に駆動を切り替える。更に、2回の撮像に1回の割合で、補助光発光手段30によって、被写体に補助光を照射させる。補助光が照射された時に撮像された被写体像を表すデジタル画像信号にもとづいて、フォーカスレンズが合焦位置に位置決めさせられる。補助光が照射されていない時に撮像された被写体像を表す画像データは、画像記録媒体111に記録される。補助光が照射されて得られる被写体像を表すデジタル画像信号にもとづいて、フォーカスレンズが合焦位置に位置決めさせられるので、比較的正確にフォーカスレンズを位置決めできる。画像記録媒体111には、補助光が照射させられていないので、補助光による影響がない、30fps動画が記録される。もちろん、撮像周期は、2倍の周期である1/60秒に限らず、4倍の周期である1/120秒などその他のものでも良い。また、補助光照射は、2回の撮像に1回の割合に限らず、複数回の撮像に1回の割合でも良い。
【0027】
図5は、フォーカスレンズ位置が決定され、動画記録を開始した後の、撮像手段10の駆動を切り替える処理の一例のフローチャートを示す図である。動画記録が開始される(S501)と、システム制御部115の指示により、タイミング信号発生回路107が撮像手段10を制御し、第1の動画撮影動作である、通常の撮像周期である1/30秒での撮像動作を行う(S502)。もちろん、撮像周期は、1/30秒に限らず1/60秒などその他のものでも良い。システム制御部115は、操作部118からの動画記録終了通知有無を確認(S503)し、動画記録終了通知が有ると動画記録を終了させる(S510)。動画記録終了通知が無い場合、システム制御部115は、ノイズ信号レベル検出回路106から、第1のノイズ信号レベルである、通常の撮像周期である1/30秒での撮像動作時の所定の周波数帯域のノイズ信号レベルを検出する(S504)。システム制御部115は、第1のノイズ信号レベルと予め設定されている第1の所定値と比較する(S505)。システム制御部115は、第1のノイズ信号レベルが第1の所定値より小さい場合、第1の動画撮影動作を継続する。システム制御部115は、第1のノイズ信号レベルが第1の所定値より大きい場合、第2の動画撮影動作である、例えば、通常の撮像周期である1/30秒よりも2倍の周期である1/60秒に駆動を切り替える。更に、2回の撮像に1回の割合で、補助光発光手段30によって、被写体に補助光を照射させる。補助光が照射された時に撮像された被写体像を表すデジタル画像信号にもとづいて、フォーカスレンズが合焦位置に位置決めさせられる。補助光が照射されていない時に撮像された被写体像を表す画像データは、画像記録媒体111に記録される(S506)。もちろん、撮像周期は、2倍の周期である1/60秒に限らず、4倍の周期である1/120秒などその他のものでも良い。また、補助光照射は、2回の撮像に1回の割合に限らず、複数回の撮像に1回の割合でも良い。システム制御部115は、操作部118からの動画記録終了通知有無を確認(S507)し、動画記録終了通知が有ると動画記録を終了させる(S510)。動画記録終了通知が無い場合、システム制御部115は、ノイズ信号レベル検出回路106から、第2のノイズ信号レベルである、1/60秒での撮像動作で、被写体に補助光を照射させていない撮像信号の所定周波数帯域のノイズ信号レベルを検出する(S508)。システム制御部115は、第2のノイズ信号レベルと予め設定されている第2の所定値と比較する(S509)。システム制御部115は、第2のノイズ信号レベルが第2の所定値より大きい場合、第2の動画撮影動作を継続する。システム制御部115は、第2のノイズ信号レベルが第2の所定値より小さい場合、第1の動画撮影動作に切り替える。
【0028】
ここで、S505において、第1のノイズ信号レベルが第1の所定値より大きい場合が所定回数連続した時に、第2の動画撮影動作に切り替える、としても良い。また、S509において、第2のノイズ信号レベルが第2の所定値より小さい場合が所定回数連続した時に、第1の動画撮影動作に切り替える、としても良い。
【0029】
以上、本発明の第1の実施の形態の撮像装置の一例であるデジタルカメラにおいては、所望のフォーカス精度が得られない場合のみ、撮像手段の駆動を切り替え、ピントの精度を維持するので、記録される画像データに影響を及ぼすことなく、フォーカス動作を正確にすることが可能となる。
【実施例2】
【0030】
本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、図1に示したものと同様の構成を備えたデジタルカメラにおいて、第1の実施形態とは異なる撮像手段10の駆動切り替えを行う。
【0031】
図6及び図7は、撮像手段10の駆動を切り替える一例を示す図である。図6においては、通常の撮像周期は1/30秒で行われており、30fps動画が、画像記録媒体111に記録されている。システム制御部115は、所望のフォーカス精度が得られないと判断すると、撮像手段10によって、例えば図7に示す、通常の撮像周期である1/30秒よりも1/2倍の周期である1/15秒に駆動を切り替える。1回の撮像で確保できる露光時間が長くなると、画像信号のS/Nは高くなる。被写体像を表すデジタル画像信号にもとづいて、フォーカスレンズが合焦位置に位置決めさせられるので、比較的正確にフォーカスレンズを位置決めできる。
【0032】
図8は、フォーカスレンズ位置が決定され、動画記録を開始した後の、撮像手段10の駆動を切り替える処理の一例のフローチャートを示す図である。動画記録が開始される(S801)と、システム制御部115の指示により、タイミング信号発生回路107が撮像手段10を制御し、第3の動画撮影動作である、通常の撮像周期である1/30秒での撮像動作を行う(S802)。もちろん、撮像周期は、1/30秒に限らず1/60秒などその他のものでも良い。システム制御部115は、操作部118からの動画記録終了通知有無を確認(S803)し、動画記録終了通知が有ると動画記録を終了させる(S810)。動画記録終了通知が無い場合、システム制御部115は、ノイズ信号レベル検出回路106から、第3のノイズ信号レベルである、通常の撮像周期である1/30秒での撮像動作時の所定の周波数帯域のノイズ信号レベルを検出する(S804)。システム制御部115は、第3のノイズ信号レベルと予め設定されている第3の所定値と比較する(S805)。システム制御部115は、第3のノイズ信号レベルが第3の所定値より小さい場合、第3の動画撮影動作を継続する。システム制御部115は、第3のノイズ信号レベルが第3の所定値より大きい場合、第4の動画撮影動作である、例えば、通常の撮像周期である1/30秒よりも1/2倍の周期である1/15秒に駆動を切り替える(S806)。システム制御部115は、操作部118からの動画記録終了通知有無を確認(S807)し、動画記録終了通知が有ると動画記録を終了させる(S810)。動画記録終了通知が無い場合、システム制御部115は、ノイズ信号レベル検出回路106から、第4のノイズ信号レベルである、1/15秒での撮像動作時の所定の周波数帯域のノイズ信号レベルを検出する(S808)。システム制御部115は、第4のノイズ信号レベルと予め設定されている第4の所定値と比較する(S809)。システム制御部115は、第4のノイズ信号レベルが第4の所定値より大きい場合、第4の動画撮影動作を継続する。システム制御部115は、第4のノイズ信号レベルが第4の所定値より小さい場合、第3の動画撮影動作に切り替える。
【0033】
ここで、S805において、第3のノイズ信号レベルが第3の所定値より大きい場合が所定回数連続した時に、第4の動画撮影動作に切り替える、としても良い。また、S809において、第4のノイズ信号レベルが第4の所定値より小さい場合が所定回数連続した時に、第3の動画撮影動作に切り替える、としても良い。
【0034】
以上、本発明の第2の実施の形態の撮像装置の一例であるデジタルカメラにおいては、所望のフォーカス精度が得られない場合のみ、撮像手段の駆動を切り替え、ピントの精度を維持するので、記録される画像データに影響を及ぼすことなく、フォーカス動作を正確にすることが可能となる。
【0035】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
101:撮像光学系
102:撮像素子
103:CDS回路
104:PGA回路
105:ADC回路
106:ノイズ信号レベル検出回路
107:タイミング信号発生回路
108:駆動回路
109:信号処理回路
110:画像メモリ
111:画像記録媒体
112:記録制御部
113:画像表示装置
114:表示回路
115:システム制御部
116:不揮発性メモリ
117:揮発性メモリ
118:操作部
119:補助光発光部
120:補助光発光制御回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の光学像を光電変換して画像信号を生成する撮像素子と、所定期間毎のタイミング信号に応答して前記撮像素子の露光と読み出しを制御する撮像制御手段と、前記撮像素子の受光面前方に移動自在に配置された撮像レンズと、前記撮像レンズを駆動する撮像レンズ駆動手段と、被写体に補助光を照射する補助光発光手段と、前記撮像制御手段によって読み出された前記画像信号の所定の周波数帯域の信号レベルを検出する信号レベル検出手段と、を有し、
前記撮像制御手段における第1の撮像制御モードで読み出された1画面分の前記画像信号から、前記信号レベル検出手段により検出される信号に基づき第1のノイズ信号レベルを算出し、前記第1のノイズ信号レベルが第1の所定値より大きい場合、前記撮像制御手段を第2の撮像制御モードに切り替え、前記撮像制御手段における第2の撮像制御モードで読み出された1画面分の前記画像信号から、前記信号レベル検出手段により検出される信号に基づき第2のノイズ信号レベルを算出し、前記第2のノイズ信号レベルが第2の所定値より小さい場合、前記撮像制御手段を第1の撮像制御モードに切り替えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1のノイズ信号レベルが第1の所定値より大きい場合が所定回数連続した時に、第2の撮像制御モードに切り替え、前記第2のノイズ信号レベルが第2の所定値より小さい場合が所定回数連続した時に、第1の撮像制御モードに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第2の撮像制御モードでの1画面分の読出し時間は、前記第1の撮像制御モードでの1画面分の読出し時間よりも短く、かつ、複数画面の露光に一回の割合で被写体に補助光を照射するように前記補助光発光手段を制御し、前記補助光発光手段により補助光が照射された被写体像を表す1画面分の画像信号に基づいて、上記撮像レンズを合焦位置に位置決めすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2の撮像制御モードでの1画面分の読出し時間は、前記第1の撮像制御モードでの1画面分の読出し時間よりも長いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
被写体の光学像を光電変換して画像信号を生成する撮像素子と、所定期間毎のタイミング信号に応答して前記撮像素子の露光と読み出しを制御する撮像制御手段と、前記撮像素子の受光面前方に移動自在に配置された撮像レンズと、前記撮像レンズを駆動する撮像レンズ駆動手段と、被写体に補助光を照射する補助光発光手段と、前記撮像制御手段によって読み出された前記画像信号の所定の周波数帯域の信号レベルを検出する信号レベル検出手段と、を有し、
前記撮像制御手段における第1の撮像制御モードで読み出された1画面分の前記画像信号から、前記信号レベル検出手段により検出される信号に基づき第1のノイズ信号レベルを算出し、前記第1のノイズ信号レベルが第1の所定値より大きい場合、前記撮像制御手段を第2の撮像制御モードに切り替え、前記撮像制御手段における第2の撮像制御モードで読み出された1画面分の前記画像信号から、前記信号レベル検出手段により検出される信号に基づき第2のノイズ信号レベルを算出し、前記第2のノイズ信号レベルが第2の所定値より小さい場合、前記撮像制御手段を第1の撮像制御モードに切り替えることを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項6】
前記第1のノイズ信号レベルが第1の所定値より大きい場合が所定回数連続した時に、第2の撮像制御モードに切り替え、前記第2のノイズ信号レベルが第2の所定値より小さい場合が所定回数連続した時に、第1の撮像制御モードに切り替えることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置の制御方法。
【請求項7】
前記第2の撮像制御モードでの1画面分の読出し時間は、前記第1の撮像制御モードでの1画面分の読出し時間よりも短く、かつ、複数画面の露光に一回の割合で被写体に補助光を照射するように前記補助光発光手段を制御し、前記補助光発光手段により補助光が照射された被写体像を表す1画面分の画像信号に基づいて、上記撮像レンズを合焦位置に位置決めすることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の撮像装置の制御方法。
【請求項8】
前記第2の撮像制御モードでの1画面分の読出し時間は、前記第1の撮像制御モードでの1画面分の読出し時間よりも長いことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の撮像装置の制御方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−113203(P2012−113203A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263308(P2010−263308)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】