説明

撮像装置

【課題】撮像素子が発する熱を筐体の外へ放熱することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像素子1の透光領域4aの周囲部分とシールドケース20の内面とに放熱部材50を当接させて設ける。また、シールドケース20の外面と筐体70の内面とに放熱部材60を当接させて設ける。撮像素子1が発した熱は放熱部材50を介してシールドケース20に伝達され、更に放熱部材60を介して筐体70に伝達されて、外部に放熱される。シールドケース20には、折曲片25及び26により放熱部材50を挟んで保持する保持部24を設ける。筐体70には突出部78及び79により放熱部材60を挟んで保持する保持部77を設ける。これにより、放熱部材50及び60を不動に保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子が発する熱を放熱する手段を備える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には多数の電子機器が搭載されて種々の処理を行っているが、車載環境では周囲の温度が高温となる虞があるため、車載の電子機器における放熱又は冷却等の温度対策を行うことが必須である。車両のバンパー近傍又はサイドミラー等に搭載されて車両周辺の撮像を行う撮像装置が普及しているが、撮像装置が備えるCCD又はCMOS等の撮像素子では、温度の上昇によって撮像した映像にノイズが生じるなどの画質悪化が発生する虞がある。特に近年では、撮像を行うための受光部であるCCD又はCMOS等と、撮像した映像の補正などを行う処理回路とを1つのチップに集積することが可能となり、撮像素子自身の発熱量が増大しているため、撮像素子が発する熱を効率よく放熱することが望まれる。
【0003】
特許文献1においては、CCDイメージセンサなどのように、パッケージの上面に放熱ブロックを取り付けることができない場合であっても効率よく放熱を行うことができる半導体装置が提案されている。この場合、半導体装置のパッケージの下面側に放熱ブロックを取り付け、この放熱ブロックを半導体装置が実装されたプリント配線基板を貫通させ、放熱ブロックに設けられたフィンがプリント配線基板の裏側に位置するように構成することによって、プリント配線基板の裏面側の解放された空間に放熱を行うことができる。
【0004】
特許文献2においては、発熱素子を実装したプリント基板をケース内部に収容し、発熱素子及びケースの双方に接触する放熱シートを配置し、放熱シートを受け入れる凹部をケースの内側表面に形成することにより、簡潔な構成で放熱シートの接触位置を安定させることができる発熱素子の実装構造が提案されている。
【特許文献1】特開平7−283349号公報
【特許文献2】特開2002−280776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の半導体装置は、CCDイメージセンサなどが実装されるプリント配線基板の裏面側に解放された空間が必要である。車両に搭載する撮像装置は、車両の美観を損なうことがないように、できるだけ小型であることが望ましく、プリント配線基板の裏面側に十分な空間を確保することは難しい。
【0006】
また、特許文献2に記載の発熱素子の実装構造は、発熱素子としてCCD又はCMOS等による撮像素子を考慮した構造ではない。撮像素子は、受光部をなすCCD又はCMOS等のICチップをパッケージに封入すると共に、パッケージの一部にガラスなどを用いた受光部への透光領域を設けた構成であるため、放熱シートを撮像素子及びケースの双方に接触して配置することが難しい。よって、特許文献2に係る実装構造を撮像素子の場合に簡単に適用することはできないという問題がある。更に、撮像装置には、外部からの電磁気ノイズが回路動作に与える影響を低減すると共に、回路基板上のノイズ源が発する電磁気ノイズを外部へ放出することを防止することを目的として、回路基板を覆うように金属製のシールドケースが設けられる場合があり、この場合にも特許文献2に係る実装構造を適用することができないという問題がある。よって、撮像装置に適した放熱のための構造が求められる。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、撮像素子の透光領域の周囲部分とシールドケースとに第1の放熱部材を当接させると共に、シールドケースに第1の放熱部材を保持する保持部を設け、また、シールドケースと筐体又は鏡筒とに第2の放熱部材を当接させると共に、筐体又は鏡筒に第2の放熱部材を保持する保持部を設ける構成とすることにより、撮像素子が発する熱を第1の放熱部材及び第2の放熱部材を介して効率よく筐体から放熱することができる撮像装置を提供することにある。なお、筐体は金属製であってもよく、合成樹脂製であってもよい。
【0008】
また本発明の他の目的とするところは、撮像素子へ光を通過させるために形成されたシールドケースの開口の縁部分を折り曲げた第1の折曲片と、シールドケースの開口の周囲部分に切り込みを形成して折り曲げた第2の折曲片とを設けて、第1の折曲片及び第2の折曲片が第1の放熱部材を挟んで保持する構成とすることにより、撮像素子及びシールドケースの間に第1の放熱部材を確実に固定して保持することができる撮像装置を提供することにある。
【0009】
また本発明の他の目的とするところは、撮像素子の透光領域に固着された光学フィルタを備える場合に、シールドケースに切り込みを形成して折り曲げた折曲片と、光学フィルタの側部とで第1の放熱部材を挟んで保持する構成とすることにより、撮像素子及びシールドケースの間に第1の放熱部材を簡単な構成で確実に固定して保持することができる撮像装置を提供することにある。
【0010】
また本発明の他の目的とするところは、撮像素子の透光領域に固着された光学フィルタを備える場合に、光学フィルタに嵌合する形状の第1の放熱部材を撮像素子の透光領域の周囲部分とシールドケースとに当接させ、また、シールドケースと筐体又は鏡筒とに第2の放熱部材を当接させると共に、筐体又は鏡筒に第2の放熱部材を保持する保持部を設ける構成とすることにより、簡単な構成で撮像素子が発する熱を第1の放熱部材及び第2の放熱部材を介して効率よく筐体へ放熱することができる撮像装置を提供することにある。
【0011】
また本発明の他の目的とするところは、第2の放熱部材が当接する筐体又は鏡筒に複数の突出部を設け、複数の突出部が第2の放熱部材を挟んで保持する構成とすることにより、シールドケースと筐体又は鏡筒との間に第2の放熱部材を確実に固定して保持することができる撮像装置を提供することにある。
【0012】
また本発明の他の目的とするところは、筐体が金属製でシールドケースを兼ねる場合又はシールドケースが不要で備えない場合には、撮像素子の透光領域の周囲部分と筐体又は鏡筒とに放熱部材を当接させると共に、筐体又は鏡筒に放熱部材を保持する保持部を設ける構成とすることにより、撮像素子が発する熱を放熱部材を介して効率よく筐体へ放熱することができる撮像装置を提供することにある。
【0013】
また本発明の他の目的とするところは、放熱部材が当接する筐体又は鏡筒に複数の突出部を設け、複数の突出部が放熱部材を挟んで保持する構成とすることにより、撮像素子と筐体又は鏡筒との間に放熱部材を確実に固定して保持することができる撮像装置を提供することにある。
【0014】
また本発明の他の目的とするところは、撮像素子の透光領域に固着された光学フィルタを備える場合に、放熱部材が当接する筐体又は鏡筒に突出部を設け、光学フィルタの側部及び突出部で放熱部材を挟んで保持する構成とすることにより、撮像素子と筐体又は鏡筒との間に放熱部材を簡単な構成で確実に固定して保持することができる撮像装置を提供することにある。
【0015】
また本発明の他の目的とするところは、撮像素子の透光領域に固着された光学フィルタを備える場合に、光学フィルタに嵌合する形状の放熱部材を撮像素子の透光領域の周囲部分と筐体又は鏡筒とに当接させる構成とすることにより、簡単な構成で撮像素子が発する熱を放熱部材を介して効率よく筐体へ放熱することができる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1発明に係る撮像装置は、透光領域が設けられたパッケージ内に受光部が封入された撮像素子と、電磁気ノイズ遮蔽用のシールドケースと、前記撮像素子及び前記シールドケースを収容する筐体と、前記撮像素子へ光を集光するレンズを保持し、前記筐体に固定された鏡筒とを備える撮像装置において、前記撮像素子の前記透光領域の周囲部分に当接すると共に、前記シールドケースに当接して設けられる第1の放熱部材と、前記シールドケースに設けられ、前記第1の放熱部材を保持する保持部と、前記シールドケースに当接すると共に、前記筐体又は前記鏡筒に当接して設けられる第2の放熱部材と、該第2の放熱部材が当接する前記筐体又は前記鏡筒に設けられ、前記第2の放熱部材を保持する保持部とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、撮像素子の透光領域の周囲部分とシールドケースとに第1の放熱部材を当接させ、シールドケースと筐体又は鏡筒とに第2の放熱部材を当接させる。撮像素子が発する熱は第1の放熱部材を介してシールドケースへ伝わり、更に第2の放熱部材を介して筐体へ伝わるため、撮像素子が発する熱を筐体外へ放熱することができる。放熱部材を撮像素子の透光領域の周囲部分にのみ当接させる構成とすることにより、放熱部材が撮像素子の撮像の妨げとなることはない。また、シールドケースに第1の放熱部材を保持する保持部を設け、筐体又は鏡筒に第2の放熱部材を保持する保持部を設ける。これにより、撮像装置に加わる振動などによって放熱部材の配設位置にズレが生じて放熱効率が悪化することを防止できる。
【0018】
また、第2発明に係る撮像装置は、前記シールドケースには、前記撮像素子へ光を通過させる開口が形成してあり、前記シールドケースの保持部は、前記シールドケースの開口の縁部分を前記撮像素子側へ折り曲げた第1の折曲片と、前記シールドケースの開口の周囲部分に切り込みを形成し、前記周囲部分の一部を前記撮像素子側へ折り曲げた第2の折曲片とを有し、前記第1の折曲片及び前記第2の折曲片により前記第1の放熱部材を挟んで保持するようにしてあることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、撮像素子へ光を通過させるために形成されたシールドケースの開口の縁部分を折り曲げて第1の折曲片を設ける。また、シールドケースの開口の周囲部分に例えばコ字型又は半円型等の切込みを形成し、切り込みの内側部分を折り曲げて第2の折曲片を設ける。撮像素子及びシールドケースの間に配された第1の放熱部材を、第1及び第2の折曲片で挟んで固定する。シールドケースを折り曲げるのみの簡単な構成で第1の放熱部材を不動に固定することができる。また、撮像装置の製造工程において、第1の放熱部材の位置決めを容易に行うことができる。
【0020】
また、第3発明に係る撮像装置は、前記撮像素子の透光領域に固着された板状の光学フィルタを備え、前記シールドケースの保持部は、前記シールドケースに切り込みを形成して一部を前記撮像素子側へ折り曲げた折曲片を有し、前記光学フィルタの側部及び前記折曲片により前記第1の放熱部材を挟んで保持するようにしてあることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、シールドケースに例えばコ字型又は半円型等の切込みを形成し、切り込みの内側部分を折り曲げて折曲片を設ける。撮像装置には光学ローパスフィルタ又は赤外線カットフィルタ等の光学フィルタを搭載する必要があることが多く、光学フィルタを撮像素子の透光領域に接着剤などを用いて接着して固定する場合には、シールドケースの折曲片と光学フィルタの側部とにより、撮像素子及びシールドケースの間に配された第1の放熱部材を挟んで固定する。シールドケースを折り曲げるのみの簡単な構成で第1の放熱部材を不動に固定することができる。また、光学フィルタの側部を利用することで、シールドケースの折曲片の数が少なくてよく、シールドケースの製造工程の増加を抑制できる。
【0022】
また、第4発明に係る撮像装置は、透光領域が設けられたパッケージ内に受光部が封入された撮像素子と、電磁気ノイズ遮蔽用のシールドケースと、前記撮像素子及び前記シールドケースを収容する筐体と、前記撮像素子へ光を集光するレンズを保持し、前記筐体に固定された鏡筒とを備える撮像装置において、前記撮像素子の透光領域に固着された板状の光学フィルタと、前記撮像素子の透光領域の周囲部分に当接すると共に、前記シールドケースに当接して設けられ、前記光学フィルタに嵌合する形状をなす第1の放熱部材と、前記シールドケースに当接すると共に、前記筐体又は前記鏡筒に当接して設けられる第2の放熱部材と、該第2の放熱部材が当接する前記筐体又は前記鏡筒に設けられ、前記第2の放熱部材を保持する保持部とを備えることを特徴とする。
【0023】
本発明においては、光学フィルタを撮像素子の透光領域に接着剤などを用いて接着して固定する場合に、光学フィルタに嵌合する第1の放熱部材を撮像素子の透光領域の周囲部分とシールドケースとに当接させて設ける。また、第2の放熱部材をシールドケースと筐体又は鏡筒とに当接させて設ける。撮像素子が発する熱は第1の放熱部材を介してシールドケースへ伝わり、更に第2の放熱部材を介して筐体へ伝わるため、撮像素子が発する熱を筐体外へ放熱することができる。放熱部材を撮像素子の透光領域の周囲部分にのみ当接させる構成とすることにより、放熱部材が撮像素子の撮像の妨げとなることはない。また、第1の放熱部材は光学フィルタに嵌合する形状であるため、配設位置などにズレが生じることはない。第2の放熱部材はこれを保持する保持部を筐体又は鏡筒に形成することによって配設位置などにズレが生じることを防止する。
【0024】
また、第5発明に係る撮像装置は、前記筐体又は前記鏡筒の保持部が、前記筐体又は前記鏡筒から突出して設けられた複数の突出部を有し、前記第2の放熱部材を複数の突出部により挟んで保持するようにしてあることを特徴とする。
【0025】
本発明においては、第2の放熱部材が当接する筐体又は鏡筒に複数の突出部を設ける。筐体及び鏡筒は合成樹脂などで成形される場合が多く、容易に突出部を設けることができる。シールドケースと筐体又は鏡筒の間に配された第2の放熱部材を複数の突出部で挟んで固定する。簡単な構成で第2の放熱部材を不動に固定することができる。また、撮像装置の製造工程において、第2の放熱部材の位置決めを容易に行うことができる。
【0026】
また、第6発明に係る撮像装置は、透光領域が設けられたパッケージ内に受光部が封入された撮像素子と、該撮像素子を収容する筐体と、前記撮像素子へ光を集光するレンズを保持し、前記筐体に固定された鏡筒とを備える撮像装置において、前記撮像素子の透光領域の周囲部分に当接すると共に、前記筐体又は前記鏡筒に当接して設けられる放熱部材と、該放熱部材が当接する前記筐体又は前記鏡筒に設けられ、前記放熱部材を保持する保持部とを備えることを特徴とする。
【0027】
本発明においては、撮像素子の透光領域の周囲部分と筐体又は鏡筒とに放熱部材を当接させて設ける。撮像素子が発する熱は放熱部材を介して筐体へ伝わり、又は放熱部材を介して鏡筒へ伝わった後に筐体へ伝わるため、筐体外へ放熱を行うことができる。また、筐体又は鏡筒に放熱部材を保持する保持部を設けることによって、撮像装置に加わる振動などによって放熱部材の配設位置にズレが生じて放熱効率が悪化することを防止できる。
【0028】
また、第7発明に係る撮像装置は、前記保持部が、前記筐体又は前記鏡筒から突出して設けられた複数の突出部を有し、前記放熱部材を複数の突出部により挟んで保持するようにしてあることを特徴とする。
【0029】
本発明においては、放熱部材が当接する筐体又は鏡筒に複数の突出部を設ける。筐体及び鏡筒は合成樹脂などで成形される場合が多く、容易に突出部を設けることができる。撮像素子と筐体又は鏡筒の間に配された放熱部材を複数の突出部で挟んで固定する。簡単な構成で放熱部材を不動に固定することができる。また、撮像装置の製造工程において、放熱部材の位置決めを容易に行うことができる。
【0030】
また、第8発明に係る撮像装置は、前記撮像素子の透光領域に固着された板状の光学フィルタを備え、前記保持部は、前記筐体又は前記鏡筒から突出して設けられた突出部を有し、前記光学フィルタの側部及び前記突出部により前記放熱部材を挟んで保持するようにしてあることを特徴とする。
【0031】
本発明においては、光学フィルタを撮像素子の透光領域に接着剤などを用いて接着して固定する場合には、筐体又は鏡筒に突出部を形成し、突出部と光学フィルタの側部とにより、撮像素子と筐体又は鏡筒との間に配された放熱部材を挟んで固定する。光学フィルタの側部を利用することで、筐体又は鏡筒に設ける突出部の数が少なくてよい。
【0032】
また、第9発明に係る撮像装置は、透光領域が設けられたパッケージ内に受光部が封入された撮像素子と、該撮像素子を収容する筐体と、前記撮像素子へ光を集光するレンズを保持し、前記筐体に固定された鏡筒とを備える撮像装置において、前記撮像素子の透光領域に固着された板状の光学フィルタと、前記撮像素子の透光領域の周囲部分に当接すると共に、前記筐体又は前記鏡筒に当接して設けられ、前記光学フィルタに嵌合する形状をなす放熱部材とを備えることを特徴とする。
【0033】
本発明においては、光学フィルタを撮像素子の透光領域に接着剤などを用いて接着して固定する場合に、光学フィルタに嵌合する放熱部材を撮像素子の透光領域の周囲部分と筐体又は鏡筒とに当接させて設ける。撮像素子が発する熱は放熱部材を介して筐体へ伝わり、又は放熱部材を介して鏡筒へ伝わった後に筐体へ伝わるため、筐体外へ放熱を行うことができる。放熱部材を撮像素子の透光領域の周囲部分にのみ当接させる構成とすることにより、放熱部材が撮像素子の撮像の妨げとなることはない。また、放熱部材は光学フィルタに嵌合する形状であるため、配設位置などにズレが生じることはない。
【発明の効果】
【0034】
第1発明による場合は、撮像素子の透光領域の周囲部分とシールドケースとに第1の放熱部材を当接させると共に、シールドケースに第1の放熱部材を保持する保持部を設け、また、シールドケースと筐体又は鏡筒とに第2の放熱部材を当接させると共に、筐体又は鏡筒に第2の放熱部材を保持する保持部を設ける構成とすることにより、撮像素子が発する熱を第1の放熱部材、シールドケース及び第2の放熱部材を介して筐体外へ放熱することができるため、撮像素子が撮像する映像の画質低下又は撮像素子の誤動作等が発生することを防止できる。
【0035】
また、第2発明による場合は、シールドケースの開口の縁部分を折り曲げて第1の折曲片と、シールドケースの開口の周囲部分に切り込みを形成して折り曲げた第2の折曲片とを設けて、第1の折曲片及び第2の折曲片が第1の放熱部材を挟んで保持する構成とすることにより、シールドケースを折り曲げるのみの簡単な構成で第1の放熱部材を不動に固定することができるため、放熱の信頼性を高めることができると共に、第1の放熱部材の位置決めを容易に行うことができるため、撮像装置の製造工程の複雑化を抑制できる。
【0036】
また、第3発明による場合は、撮像素子の透光領域に固着された光学フィルタを備える場合に、シールドケースに切り込みを形成して折り曲げた折曲片と、光学フィルタの側部とで第1の放熱部材を挟んで保持する構成とすることにより、シールドケースを折り曲げるのみの簡単な構成で第1の放熱部材を不動に固定することができるため、放熱の信頼性を高めることができると共に、光学フィルタの側部を利用することで、シールドケースの折曲片の数が少なくてよいため、シールドケースの製造工程の複雑化を抑制でき、撮像装置の製造工程の複雑化をより確実に抑制できる。
【0037】
また、第4発明による場合は、光学フィルタに嵌合する第1の放熱部材を撮像素子の透光領域の周囲部分とシールドケースとに当接させて設け、シールドケースと筐体又は鏡筒とに第2の放熱部材を当接させると共に、筐体又は鏡筒に第2の放熱部材を保持する保持部を設ける構成とすることにより、撮像素子が発する熱を第1の放熱部材、シールドケース及び第2の放熱部材を介して筐体外へ放熱することができるため、撮像素子が撮像する映像の画質低下又は撮像素子の誤動作等が発生することを防止できる。また、第1の放熱部材は光学フィルタに嵌合する形状であり、配設位置などにズレが生じることはないため、放熱の信頼性を高めることができる。
【0038】
また、第5発明による場合は、第2の放熱部材が当接する筐体又は鏡筒に複数の突出部を設け、複数の突出部が第2の放熱部材を挟んで保持する構成とすることにより、簡単な構成で第2の放熱部材を不動に固定することができるため、放熱の信頼性を高めることができ、また、第2の放熱部材の位置決めを容易に行うことができるため、撮像装置の製造工程の複雑化を抑制できる。
【0039】
また、第6発明による場合は、撮像素子の透光領域の周囲部分と筐体又は鏡筒とに放熱部材を当接させると共に、筐体又は鏡筒に放熱部材を保持する保持部を設ける構成とすることにより、撮像素子が発する熱を放熱部材を介して筐体外へ放熱することができるため、撮像素子が撮像する映像の画質低下又は撮像素子の誤動作等が発生することを防止できる。
【0040】
また、第7発明による場合は、放熱部材が当接する筐体又は鏡筒に複数の突出部を設け、複数の突出部が放熱部材を挟んで保持する構成とすることにより、簡単な構成で放熱部材を不動に固定することができるため、放熱の信頼性を高めることができ、また、放熱部材の位置決めを容易に行うことができるため、撮像装置の製造工程の複雑化を抑制できる。
【0041】
また、第8発明による場合は、撮像素子の透光領域に固着された光学フィルタを備える場合に、放熱部材が当接する筐体又は鏡筒に突出部を設け、光学フィルタの側部及び突出部で放熱部材を挟んで保持する構成とすることにより、筐体又は鏡筒に少ない突出部を設けるのみの簡単な構成で放熱部材を不動に固定することができるため、放熱の信頼性を高めることができる。
【0042】
また、第9発明による場合は、撮像素子の透光領域に固着された光学フィルタを備える場合に、光学フィルタに嵌合する形状の放熱部材を撮像素子の透光領域の周囲部分と筐体又は鏡筒とに当接させる構成とすることにより、撮像素子が発する熱を放熱部材を介して筐体外へ放熱することができるため、撮像素子が撮像する映像の画質低下又は撮像素子の誤動作等が発生することを防止でき、また、放熱部材は光学フィルタに嵌合する形状であり、配設位置などにズレが生じることはないため、放熱の信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置の構成を示す模式的側断面図である。図において1は撮像素子であり、受光部をなすCCD又はCMOS等が集積されたICチップ2が、略矩形の板状をなす合成樹脂製のパッケージ3に封入してある。また、撮像素子1には、パッケージ3の一面(以下、上面という)の中央に、略矩形のガラス板4が埋設してあり、ICチップ2がガラス板4を通して受光し、撮像を行うようにしてある。即ち、撮像素子1は、略矩形をなす上面の中央に、略矩形の透光領域4aが設けてあり、透光領域4aを通してパッケージ3内のICチップ2にて撮像を行うようにしてある。
【0044】
撮像素子1は回路基板10に搭載してあり、回路基板10にはその他のIC、抵抗及びコンデンサ等の電子部品(図示は省略する)が搭載されて電子回路が構成してある。回路基板10に搭載された撮像素子1及びその他の電子部品を外部の電磁気ノイズから遮断すると共に、撮像素子1及びその他の電子部品が発する電磁気ノイズが外部へ放出されることを防止するために、撮像装置は金属製のシールドケース20を備えている。シールドケース20は、四角筒状の周壁部21と、周壁部21の一端側(以下、この一端側を上端側といい、反対側を下端側という)を閉塞する上壁部22とを有し、周壁部21の下端側は解放されて回路基板10に外嵌する形状にしてある。シールドケース20は回路基板10に外嵌した状態でねじ止め又は溶接等の方法で回路基板10に固定される。シールドケース20の上壁部22には、回路基板10に搭載された撮像素子1の透光領域4aに対向する位置に、撮像素子1への光を通過させる開口23が形成してある。
【0045】
また、本発明に係る撮像装置は、撮像素子1及びシールドケース20の間に介装された放熱部材50を備えている。図2は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置の放熱部材50の構成を示す模式図であり、(a)に側断面図を示し、(b)に平面図を示してある。放熱部材50は、平面視で略コ字型の板状をなしており、熱の伝達効率の高い物質により一体的に形成してある。実施の形態1に係る撮像装置では、2つの放熱部材50が、コ字の凹部51を対向させて、撮像素子1の透光領域4aを囲むように、撮像素子1の上面に当接させて配設してある。即ち、2つの放熱部材50は、撮像素子1の透光領域4aの周囲部分に当接するように配設してある。
【0046】
また、放熱部材50は、回路基板10にシールドケース20を固定した場合に、放熱部材50の下面が撮像素子1の上面に当接すると共に、放熱部材50の上面がシールドケース20の内面(上壁部22の下面)に当接する厚さとしてあり、撮像素子1及びシールドケース20に挟持されて垂直方向(上下方向)に不動に固定されるようにしてある。これに対して、放熱部材50を水平方向に不動に固定するために、シールドケース20には、放熱部材50を保持するための保持部24が設けてある。
【0047】
図3は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置のシールドケース20の構成を示す模式図であり、(a)に側断面図を示し、(b)に平面図を示し、(c)に展開図を示してある。また、図4は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置のシールドケース20の構成を示す模式的斜視図である。シールドケース20は、薄い金属板を図3(c)に示す形状に截断し、折曲加工を施して形成したものである(図3(c)には、截断線を実線で示し、折曲線を破線で示してある)。シールドケース20は、上述のように上壁部22及び周壁部21を有する器状であり、上壁部22には略矩形の開口23が形成してある。開口23の大きさは、撮像素子1の透光領域4aと略同じか又は透光領域4aより若干大きくしてある。略矩形の開口23の内縁部分には、四辺に略台形の折曲片25がそれぞれ設けてあり、シールドケース20の内側へ折曲片25を略直角にそれぞれ折り曲げてある。
【0048】
また、略矩形をなす上壁部22には、開口23の四辺と上壁部22の四辺との間にコ字型の切り込み26aがそれぞれ内向きに形成してあり、切り込み26aに囲まれた部分をそれぞれ折曲片26としてある。折曲片26は、シールドケース20の内側へ略直角にそれぞれ折り曲げられて、開口23に設けられた4つの折曲片25に4つの折曲片26がそれぞれ対向するようにしてある。放熱部材50を保持する保持部24は、シールドケース20の内側へ折り曲げられた折曲片25及び26により構成され、対向する折曲片25及び26の間に放熱部材50を挟んで保持することによって、放熱部材50を撮像装置の水平方向に不動に固定することができるようにしてある。
【0049】
また、撮像装置は、撮像素子1が搭載された回路基板10及び放熱部材50を保持して回路基板10に固定されたシールドケース20等を収容する筐体70を備えている。筐体70は、合成樹脂により形成され、略直方体形をなしており、一面に略円筒形の鏡筒部73が突設してある。鏡筒部73内には、一又は複数のレンズ74が同軸的に保持してあり、筐体70内に収容された撮像素子1の受光部をなすICチップ2へ透光領域4aを透過して外部の光を集光するようにしてある。
【0050】
筐体70は正面側筐体71と背面側筐体72との2つに分割してあり、回路基板10及びシールドケース20等を収容した後に、ねじ止め、接着又は溶接等の方法によって固定するようにしてある。背面側筐体72には、回路基板10を固定するための基板固定部75が形成してあり、ねじ止め、接着又は溶接等の方法によって基板固定部75に回路基板10を固定するようにしてある。
【0051】
また、本発明に係る撮像装置は、筐体70内に収容されたシールドケース20と正面側筐体71との間に介装される放熱部材60を備えている。図5は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置の正面側筐体71及び放熱部材60の構成を示す模式図であり、(a)に側断面図を示し、(b)に背面図を示してある。放熱部材60は、略矩形の板体の中央に略矩形の開口61が形成された略ロ字型をなしており、熱の伝達効率の高い物質により一体的に形成してある。放熱部材60は、回路基板10に固定されたシールドケース20が筐体70内に収容された場合に、シールドケース20の上面に当接すると共に、正面側筐体71の内面(鏡筒部73が突設された面の反対面)に当接する厚さとしてあり、シールドケース20及び正面側筐体71に挟持されて垂直方向に不動に固定されるようにしてある。これに対して放熱部材60を水平方向に不動に固定するために、正面側筐体71の内面には、放熱部材60を保持するための保持部77が形成してある。
【0052】
正面側筐体71の内面には、鏡筒73内に連通する略円形の開口73aが形成してあり、開口73aを囲むようにして略矩形の板状をなす4つの突出部78が形成してある。また、4つの突出部78から所定の間隔を隔ててそれぞれに対向するように、略矩形の板状をなす4つの突出部79が形成してある。放熱部材60を保持する保持部77は、正面側筐体71の内面に形成された4つの突出部78及び4つの突出部79により構成され、対抗する突出部78及び79の間に放熱部材60を挟んで保持することによって、放熱部材60を撮像装置の水平方向に不動に固定することができるようにしてある。
【0053】
撮像素子1が撮像処理を行うことによってICチップ2から発せられた熱は、撮像素子1のパッケージ3に伝達され、撮像素子1の上面に当接する放熱部材50を介してシールドケース20に伝達される。更に、シールドケース20の上面に当接する放熱部材60を介して筐体70に熱が伝達され、筐体70の外部に放熱することができる。
【0054】
以上の構成の撮像装置においては、撮像素子1の透光領域4aの周囲に当接する放熱部材50を介してシールドケース20に熱を伝達し、更に放熱部材60を介して筐体70に熱を伝達する構成とすることにより、撮像素子1の撮像の妨げとなることなく簡単且つ確実に放熱を行うことができる。また、シールドケース20に放熱部材50を保持する保持部24を設ける構成とすることにより、撮像素子1及びシールドケース20の間に挟まれた放熱部材50を不動に固定することができるため、撮像装置に衝撃などが加わった場合であっても、放熱部材50に位置ズレなどが生じることがなく、また、撮像装置の組立工程において放熱部材50の位置決めを容易に行うことができる。また、シールドケース20に設けた折曲片25及び26を折り曲げるのみで保持部24を容易に形成することができる。また、正面側筐体71の内面に放熱部材60を保持する保持部77を設ける構成とすることにより、シールドケース20及び正面側筐体71の間に挟まれた放熱部材60を不動に固定することができるため、放熱部材60に位置ズレなどが生じることがなく、また、放熱部材60の位置決めを容易に行うことができる。
【0055】
なお、本実施の形態に係る撮像装置においては、放熱部材50を略コ字型としたが、これに限るものではなく、他の形状であってもよい。また、2つの放熱部材50を備える構成としたが、これに限るものではなく、1つ又は3つ以上の放熱部材を備える構成としてもよい。また、放熱部材60を略ロ字型としたが、これに限るものではなく、他の形状であってもよい。また、1つの放熱部材60を備える構成としたが、これに限るものではなく、放熱部材50と同様に2つの放熱部材を備える構成としてもよく、3つ以上の放熱部材を備える構成としてもよい。また、放熱部材50及び60を保持する保持部24及び77の形状は図示のものに限らず、他の形状であってもよい。また、放熱部材50及び60をシールドケース20及び正面側筐体71に接着剤などを用いて接着してもよい。
【0056】
(変形例)
図6は、本発明の実施の形態1の変形例に係る撮像装置の放熱部材の構成を示す模式的平面図であり、3つの変形例を図示してある。図2に示した放熱部材50は平面視で略コ字型であるが、例えば図3(a)に示すように、平面視で略長方形の2つの放熱部材50aを、撮像素子1の略矩形をなす透光領域4aの対向する2辺側に、パッケージ3の透光領域4a周辺部分に当接して設ける構成としてもよい。また、図3(b)に示すように、平面視で略L字型の2つの放熱部材50bを撮像素子1の透光領域4aを囲むように設ける構成としてもよい。また、図3(c)に示すように、平面視で略長方形の4つの放熱部材50cを、撮像素子1の略矩形をなす透光領域4aの四辺に沿って配設し、透光領域4aを囲むように設ける構成としてもよい。なお、図示は省略するが、シールドケース20及び正面側筐体71の間に介装される放熱部材60の形状も、図6に示すように様々な形状とすることが可能である。
【0057】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2に係る撮像装置の構成を示す模式的側断面図である。実施の形態2に係る撮像装置は、撮像素子1、回路基板10、放熱部材50、放熱部材60及び筐体70等の構成は実施の形態1に係る撮像装置と同じであるが、回路基板10に固定されるシールドケース220の構成が異なる。本実施の形態のシールドケース220は、実施の形態1のシールドケース20と同様に4つの折曲片26を有しているが、開口23の内縁部分に折曲片25を有していない。
【0058】
また、実施の形態2に係る撮像装置は、撮像素子1の透光領域4aに接着剤などで着設される光学フィルタ90を備えている。光学フィルタ90は、平面視が透光領域4aと略同じ大きさの略矩形をなす板体であり、例えば光学ローパスフィルタ又は赤外線カットフィルタ等の機能を有するものである。撮像素子1及びシールドケース20の間に介装される略コ字型の2つの放熱部材50を撮像装置の水平方向に不動に保持する保持部224は、放熱部材50の外側面に折曲片26を当接させると共に、放熱部材50の内側面に光学フィルタ90の側面を当接させることによって、放熱部材50を保持するようにしてある。
【0059】
以上の構成の実施の形態2に係る撮像装置においては、放熱部材50の内側面を光学フィルタ90の側面に当接させる構成とすることによって、シールドケース220には開口23の内縁部分に折曲片を設ける必要がないため、シールドケース220の製造を容易に行うことができるという利点がある。なお、放熱部材50の形状は、実施の形態1の変形例に示すように、他の形状であってもよい。
【0060】
なお、実施の形態2に係る撮像装置のその他の構成は、実施の形態1に係る撮像装置の構成と同様であるため、対応する箇所には同じ符号を付して説明を省略する。
【0061】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3に係る撮像装置の構成を示す模式的側断面図である。また、図9は、本発明の実施の形態3に係る撮像装置の放熱部材350の構成を示す模式図であり、(a)に側断面図を示し、(b)に平面図を示してある。実施の形態3に係る撮像装置は、撮像素子1、回路基板10、光学フィルタ90、放熱部材60及び筐体70等の構成は実施の形態2に係る撮像装置と同じであるが、回路基板10に固定されるシールドケース320と、撮像素子1及びシールドケース320の間に介装される放熱部材350の構成が異なる。実施の形態3のシールドケース320は、折り曲げ片が設けられておらず、開口23が形成されているのみであり、放熱部材350を保持する保持部が設けられていない。
【0062】
また、放熱部材350は、略矩形の板状をなし、略矩形の板状をなす光学フィルタ90に嵌合する開口351が中央に形成してある。即ち、放熱部材350は、中央に開口351を有する略ロ字型である。撮像素子1の透光領域4aに着設された光学フィルタ90に放熱部材350を嵌合させることによって、放熱部材350を撮像装置の水平方向に不動に固定することができる。また、放熱部材350は撮像素子1の透光領域4aの周辺に当接すると共にシールドケース320の内面に当接するようにしてあり、撮像素子1及びシールドケース320に挟んで放熱部材350を撮像装置の垂直方向に不動に固定することができるようにしてある。
【0063】
以上の構成の実施の形態3に係る撮像装置においては、放熱部材350を光学フィルタ90に嵌合させて固定する構成とすることにより、シールドケース320に放熱部材350を保持するための保持部を設ける必要がないため、シールドケース320の製造をより容易に行うことができるという利点がある。
【0064】
なお、実施の形態3に係る撮像装置のその他の構成は、実施の形態2に係る撮像装置の構成と同様であるため、対応する箇所には同じ符号を付して説明を省略する。
【0065】
(実施の形態4)
図10は、本発明の実施の形態4に係る撮像装置の構成を示す模式的側面図である。実施の形態4に係る撮像装置は、実施の形態1〜3に係る撮像装置が備えるシールドケースを備えない構成である。このため、平面視が略コ字型をなす2つの放熱部材50は、撮像素子1の透光領域4aの周辺部分に当接すると共に、正面側筐体71の内面に当接するように介装されている。また、正面側筐体71の内面には突出部78及び79にて構成される保持部77が設けてあり、放熱部材50の内側の側面に突出部78が当接し、外側の側面に突出部79が当接して放熱部材50を保持するようにしてある。これらにより、撮像装置の垂直方向及び水平方向に不動に放熱部材50を固定できるようにしてある。
【0066】
以上の構成の実施の形態4に係る撮像装置においては、撮像素子1が発した熱を放熱部材50を介して筐体70に伝達し、筐体70の外部へ放熱することができる。例えば筐体70が金属製でありシールドケースを兼ねる場合又は電磁気ノイズ対策が必要でないなどの理由で、撮像装置がシールドケースを備えない場合には、放熱部材50を直接的に撮像素子1及び筐体70の間に介装することによって、簡単に放熱を行うことができる。なお、放熱部材50の形状は略コ字型に限るものではなく、実施の形態1の変形例に示したように、その他の種々の形状とすることができる。
【0067】
なお、実施の形態4に係る撮像装置のその他の構成は、実施の形態1に係る撮像装置の構成と同様であるため、対応する箇所には同じ符号を付して説明を省略する。
【0068】
(実施の形態5)
図11は、本発明の実施の形態5に係る撮像装置の構成を示す模式的側断面図である。実施の形態5に係る撮像装置は、撮像素子1、回路基板10、放熱部材50及び背面側筐体72等の構成は実施の形態4に係る撮像装置と同じであるが、正面側筐体571の構成が異なる。実施の形態4の正面側筐体571は、実施の形態4と同様に放熱部材50の外側の側面に当接する突出部79を有しているが、内側の側面に当接する突出部78は有していない。
【0069】
また、実施の形態5に係る撮像装置は、撮像素子1の透光領域4aに接着剤などで着設される光学フィルタ90を備えている。光学フィルタ90は、平面視が透光領域4aと略同じ大きさの略矩形をなす板体であり、例えば光学ローパスフィルタ又は赤外線カットフィルタ等の機能を有するものである。撮像素子1及び正面側筐体571の間に介装される略コ字型の2つの放熱部材を保持する保持部577は、放熱部材50の外側の側面に突出部79を当接させると共に、放熱部材50の内側の側面に光学フィルタ90の側面を当接させることによって、放熱部材50を保持するようにしてある。
【0070】
以上の構成の実施の形態5に係る撮像装置においては、放熱部材50の内側面を光学フィルタ90の側面に当接させる構成とすることによって、正面側筐体571に形成する突出部が少なくてよいため、正面側筐体571の製造を容易に行うことができるという利点がある。
【0071】
なお、実施の形態5に係る撮像装置のその他の構成は、実施の形態4に係る撮像装置の構成と同様であるため、対応する箇所には同じ符号を付して説明を省略する。
【0072】
(実施の形態6)
図12は、本発明の実施の形態6に係る撮像装置の構成を示す模式的断面図である。実施の形態6に係る撮像装置は、撮像素子1、回路基板10、光学フィルタ90及び背面側筐体72等の構成は実施の形態5に係る撮像装置と同じであるが、正面側筐体671と、撮像素子1及び正面側筐体671の間に介装される放熱部材350の構成が異なる。実施の形態6の正面側筐体671には、内面に突出部が形成されておらず、放熱部材350を保持する保持部が設けられていない。
【0073】
また、放熱部材350は、実施の形態3に係る撮像装置が備えるものと略同じであり、光学フィルタ90に嵌合する開口351を中央に有する略ロ字型である。撮像素子1の透光領域4aに着設された光学フィルタ90に放熱部材350を嵌合させることによって、放熱部材350を撮像装置の水平方向に不動に固定することができる。また、放熱部材350は撮像素子1の透光領域4aの周辺に当接すると共に正面側筐体671の内面に当接するようにしてあり、撮像素子1及び正面側筐体671に挟んで放熱部材350を撮像装置の垂直方向に不動に固定することができるようにしてある。
【0074】
以上の構成の実施の形態6に係る撮像装置においては、放熱部材350を光学フィルタ90に嵌合させて固定する構成とすることにより、正面側筐体671に放熱部材350を保持するための保持部を設ける必要がないため、正面側筐体671の製造をより容易に行うことができるという利点がある。
【0075】
なお、実施の形態6に係る撮像装置のその他の構成は、実施の形態5に係る撮像装置の構成と同様であるため、対応する箇所には同じ符号を付して説明を省略する。
【0076】
(実施の形態7)
図13は、本発明の実施の形態7に係る撮像装置の構成を示す模式的側断面図である。実施の形態4〜6に係る撮像装置は放熱部材を撮像素子1及び正面側筐体の間に介装する構成であるが、実施の形態7に係る撮像装置は撮像素子1とレンズ74を保持する鏡筒780との間に放熱部材750を介装する構成である。
【0077】
実施の形態7に係る撮像装置の鏡筒780は、複数のレンズ74を同軸上に保持する略円筒状の筒部781を有しており、筒部781の外周面にはネジ溝782が形成してある。また、筒部781の一端には、外周面に略円形の鍔部783が設けてある。撮像装置の正面側筐体771には、鏡筒780のネジ溝782に螺合するネジ溝773aが内周面に形成された略円筒状の筒部773が正面に突設してあり、正面側筐体771の内側から筒部773に鏡筒780を螺合させることによって、鏡筒780を正面側筐体771に固定するようにしてある。
【0078】
また、実施の形態7に係る撮像装置は、撮像素子1の透光領域4aの周辺部分に当接すると共に、鏡筒780の鍔部783に当接して設けられる放熱部材750を備えている。図14は、本発明の実施の形態7に係る撮像装置の放熱部材750の構成を示す模式図であり、(a)に側断面図を示し、(b)に平面図を示してある。放熱部材750は円板体の中央に円形の開口751が形成された円環状の構成であり、開口751の直径は撮像素子1に設けられた透光領域4aの対角線の長さに略等しくしてある。これにより、放熱部材750は、撮像素子1の透光領域4aを覆い隠すことなく、透光領域4aの周辺部分に当接することができるようにしてある。
【0079】
また、鏡筒780の鍔部783には、放熱部材750を保持する保持部784が設けてある。図15は、本発明の実施の形態7に係る撮像装置の放熱部材750及び鏡筒780の構成を示す模式的背面図である。鏡筒780の鍔部783は、背面視で略円形であり、レンズ74が保持される筒部781に連通する開口783aが中央に形成してある。鍔部783の背面には開口783aを囲むように円環状の突起部785が形成してあり、更に突起部785から所定の間隔を開けて円環状の突起部786が同心に形成してある。内側の突起部785は放熱部材750の開口751に内嵌するようにしてあると共に、外側の突起部786は放熱部材750の外周に外嵌するようにしてあり、保持部784は突起部785及び786の間に放熱部材750を挟んで保持する構成である。
【0080】
撮像素子1が撮像処理を行うことによってICチップ2から発せられた熱は、撮像素子1のパッケージ3に伝達され、撮像素子1の上面に当接する放熱部材750を介して鏡筒780に伝達される。更に、鏡筒780が螺合する筐体70に熱が伝達され、筐体70の外部に放熱することができるようにしてある。
【0081】
以上の構成の実施の形態7に係る撮像装置においては、放熱部材750を撮像素子1及び鏡筒780の間に介装する構成とすることにより、撮像素子1が発する熱を筐体70へ伝達して放熱することができる。なお、本実施の形態においては、撮像装置がシールドケースを備えない構成を示したが、シールドケースを備える場合であっても同様の構成を適用することができる。この場合、シールドケース及び鏡筒の間に図13〜15に示した放熱部材750を介装する構成とすればよい。また、撮像装置が光学フィルタを備える構成としてもよく、この場合には、撮像素子1に光学フィルタを着設して放熱部材を光学フィルタに嵌合させる構成とすることによって、鏡筒780に保持部784を設けない構成とすることもできる。また、放熱部材750を鏡筒780に当接させるのではなく、鏡筒に保持されたレンズに当接させる構成としてもよい。
【0082】
なお、実施の形態7に係る撮像装置のその他の構成は、実施の形態4に係る撮像装置の構成と同様であるため、対応する箇所には同じ符号を付して説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の形態1に係る撮像装置の構成を示す模式的側断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る撮像装置の放熱部材の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る撮像装置のシールドケースの構成を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る撮像装置のシールドケースの構成を示す模式的斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る撮像装置の正面側筐体及び放熱部材の構成を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態1の変形例に係る撮像装置の放熱部材の構成を示す模式的平面図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る撮像装置の構成を示す模式的側断面図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る撮像装置の構成を示す模式的側断面図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る撮像装置の放熱部材の構成を示す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態4に係る撮像装置の構成を示す模式的側面図である。
【図11】本発明の実施の形態5に係る撮像装置の構成を示す模式的側断面図である。
【図12】本発明の実施の形態6に係る撮像装置の構成を示す模式的断面図である。
【図13】本発明の実施の形態7に係る撮像装置の構成を示す模式的側断面図である。
【図14】本発明の実施の形態7に係る撮像装置の放熱部材の構成を示す模式図である。
【図15】本発明の実施の形態7に係る撮像装置の放熱部材及び鏡筒の構成を示す模式的背面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 撮像素子
2 ICチップ(受光部)
3 パッケージ
4 ガラス板
4a 透光領域
10 回路基板
20 シールドケース
23 開口
24 保持部
25 折曲片(第1の折曲片)
26 折曲片(第2の折曲片)
26a 切り込み
50、50a、50b、50c 放熱部材(第1の放熱部材)
60 放熱部材(第2の放熱部材)
70 筐体
71 正面側筐体
72 背面側筐体
73 鏡筒部
74 レンズ
77 保持部
78、79 突出部
90 光学フィルタ
220 シールドケース
224 保持部
320 シールドケース
350 放熱部材
571 正面側筐体
577 保持部
671 正面側筐体
750 放熱部材
771 正面側筐体
780 鏡筒
784 保持部
785、786 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光領域が設けられたパッケージ内に受光部が封入された撮像素子と、電磁気ノイズ遮蔽用のシールドケースと、前記撮像素子及び前記シールドケースを収容する筐体と、前記撮像素子へ光を集光するレンズを保持し、前記筐体に固定された鏡筒とを備える撮像装置において、
前記撮像素子の前記透光領域の周囲部分に当接すると共に、前記シールドケースに当接して設けられる第1の放熱部材と、
前記シールドケースに設けられ、前記第1の放熱部材を保持する保持部と、
前記シールドケースに当接すると共に、前記筐体又は前記鏡筒に当接して設けられる第2の放熱部材と、
該第2の放熱部材が当接する前記筐体又は前記鏡筒に設けられ、前記第2の放熱部材を保持する保持部と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記シールドケースには、前記撮像素子へ光を通過させる開口が形成してあり、
前記シールドケースの保持部は、
前記シールドケースの開口の縁部分を前記撮像素子側へ折り曲げた第1の折曲片と、
前記シールドケースの開口の周囲部分に切り込みを形成し、前記周囲部分の一部を前記撮像素子側へ折り曲げた第2の折曲片と
を有し、
前記第1の折曲片及び前記第2の折曲片により前記第1の放熱部材を挟んで保持するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像素子の透光領域に固着された板状の光学フィルタを備え、
前記シールドケースの保持部は、
前記シールドケースに切り込みを形成して一部を前記撮像素子側へ折り曲げた折曲片を有し、
前記光学フィルタの側部及び前記折曲片により前記第1の放熱部材を挟んで保持するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
透光領域が設けられたパッケージ内に受光部が封入された撮像素子と、電磁気ノイズ遮蔽用のシールドケースと、前記撮像素子及び前記シールドケースを収容する筐体と、前記撮像素子へ光を集光するレンズを保持し、前記筐体に固定された鏡筒とを備える撮像装置において、
前記撮像素子の透光領域に固着された板状の光学フィルタと、
前記撮像素子の透光領域の周囲部分に当接すると共に、前記シールドケースに当接して設けられ、前記光学フィルタに嵌合する形状をなす第1の放熱部材と、
前記シールドケースに当接すると共に、前記筐体又は前記鏡筒に当接して設けられる第2の放熱部材と、
該第2の放熱部材が当接する前記筐体又は前記鏡筒に設けられ、前記第2の放熱部材を保持する保持部と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
前記筐体又は前記鏡筒の保持部は、
前記筐体又は前記鏡筒から突出して設けられた複数の突出部を有し、
前記第2の放熱部材を複数の突出部により挟んで保持するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項6】
透光領域が設けられたパッケージ内に受光部が封入された撮像素子と、該撮像素子を収容する筐体と、前記撮像素子へ光を集光するレンズを保持し、前記筐体に固定された鏡筒とを備える撮像装置において、
前記撮像素子の透光領域の周囲部分に当接すると共に、前記筐体又は前記鏡筒に当接して設けられる放熱部材と、
該放熱部材が当接する前記筐体又は前記鏡筒に設けられ、前記放熱部材を保持する保持部と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
前記保持部は、
前記筐体又は前記鏡筒から突出して設けられた複数の突出部を有し、
前記放熱部材を複数の突出部により挟んで保持するようにしてあること
を特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像素子の透光領域に固着された板状の光学フィルタを備え、
前記保持部は、
前記筐体又は前記鏡筒から突出して設けられた突出部を有し、
前記光学フィルタの側部及び前記突出部により前記放熱部材を挟んで保持するようにしてあること
を特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項9】
透光領域が設けられたパッケージ内に受光部が封入された撮像素子と、該撮像素子を収容する筐体と、前記撮像素子へ光を集光するレンズを保持し、前記筐体に固定された鏡筒とを備える撮像装置において、
前記撮像素子の透光領域に固着された板状の光学フィルタと、
前記撮像素子の透光領域の周囲部分に当接すると共に、前記筐体又は前記鏡筒に当接して設けられ、前記光学フィルタに嵌合する形状をなす放熱部材と
を備えることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−211378(P2008−211378A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44484(P2007−44484)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】