説明

撮像装置

【課題】撮像素子ユニットに付いたダストを効率良く除去できる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置10Aは、撮像素子101およびローパスフィルタ108が設けられた撮像素子ユニットUcをX方向およびY方向に移動させるヨー方向アクチュエータおよびピッチ方向アクチュエータ206と、姿勢検出センサ135とを備えている。この撮像装置10Aにおいて撮像素子ユニットUcを移動させてローパスフィルタ108に付いたダストを払い落とす際には、姿勢検出センサ135で検出された重力方向に基づき撮像素子ユニットUcの移動方向を設定するとともに、その移動に使用するアクチュエータをヨー・ピッチ方向アクチュエータから選定する。これにより、撮像素子ユニットに付いたダストを効率良く除去できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子が設けられた撮像素子ユニットを所定方向に移動できる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等として構成される撮像装置においては、撮影時の手振れ補正を行うために、撮像素子およびローパスフィルタ(光学フィルタ)が設けられた撮像素子ユニットの位置をシフトさせる手振れ補正機構を備えたものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方、デジタル一眼レフカメラ等の撮像装置では、レンズ交換時等にダスト(例えばゴミやホコリ)がカメラ本体内に侵入しローパスフィルタの表面に付着する場合がある。この場合には、ローパスフィルタに付着したダストが撮影画像に写り込んでしまい、撮影画像の品質が低下することとなる。
【0004】
以上のようなダストの付着に対しては、ローパスフィルタの表面に導電性塗装やフッ素コートを施したり、上記の手振れ補正機構を作動し撮像素子ユニットを往復駆動(振動)させることによりローパスフィルタに付着したダストを払い落とすダスト除去の対策がある。
【0005】
【特許文献1】特開2006−78898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の手振れ補正機構によるダスト除去においては、予め定められた一定の方向(例えば撮像素子の対角線に沿った斜め方向)に撮像素子ユニットを往復駆動させているだけのため、必ずしも効率の良いダスト除去が行われているとは限らない。よって、十分なダスト除去には、撮像素子ユニットを何度も往復駆動しなければならず、この駆動に一定の時間が必要となる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、撮像素子ユニットに付いたダストを効率良く除去できる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの側面は、撮像装置であって、(a)被写体に係る画像信号を生成する撮像素子が設けられた撮像素子ユニットを、第1方向と前記第1方向に略直交する第2方向とに移動可能な移動機構部と、(b)前記撮像素子ユニットを前記第1方向に移動させる第1アクチュエータと、(c)前記撮像素子ユニットを前記第2方向に移動させる第2アクチュエータと、(d)重力方向を検知する検知手段と、(e)前記第1アクチュエータおよび/または前記第2アクチュエータにより前記撮像素子ユニットを移動させることで、前記撮像素子ユニットに付いたダストを払い落として除去するダスト除去手段とを備え、前記ダスト除去手段は、(e-1)前記撮像素子ユニットの移動に関して、前記検知手段で検知された重力方向に基づく移動方向を設定する設定手段と、(e-2)前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータから、前記設定手段で設定された移動方向への前記撮像素子ユニットの移動に使用するアクチュエータを選定する選定手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撮像素子ユニットを第1方向および第1方向に略直交する第2方向に移動させる第1アクチュエータおよび第2アクチュエータを用いて撮像素子ユニットを移動させることにより撮像素子ユニットに付いたダストを払い落として除去する際には、撮像素子ユニットの移動に関して、重力方向に基づく移動方向を設定するとともに、この設定された移動方向への撮像素子ユニットの移動に使用するアクチュエータを第1アクチュエータおよび第2アクチュエータから選定する。その結果、撮像素子ユニットに付いたダストを効率良く除去できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<第1実施形態>
<撮像装置の外観構成>
図1および図2は、本発明の第1実施形態に係る撮像装置10Aの外観構成を説明する図である。ここで、図1は撮像装置10Aの正面外観図を示し、図2は撮像装置10Aの背面外観図を示している。図1に示すように、撮像装置10Aは、カメラ本体1と、このカメラ本体1の正面略中央に着脱可能(交換可能)に装着される撮影レンズ2(交換レンズ)とを備えた一眼レフレックス型デジタルスチールカメラとして構成されている。
【0011】
図1において、カメラ本体1は、正面略中央に撮影レンズ2が装着されるマウント部3と、正面左端部において突設され、ユーザが片手(または両手)により確実に把持可能とするためのグリップ部4と、正面右上部に制御値を設定するための制御値設定ダイアル5と、正面左上部に撮影モードを切り換えるためのモード設定ダイアル6と、グリップ部4の上面に撮影動作(露光)の開始や終了を指示するためのレリーズボタン7とを備えている。
【0012】
撮影レンズ2は、被写体からの光(光像)を取り込むレンズ窓として機能するとともに、当該光をカメラ本体1の内部に配置されている後述の撮像素子101やファインダ部102へ導くための撮影レンズ系(例えば光軸に沿って直列的に配置されるズームレンズブロックや固定レンズブロック)を構成するものである。撮影レンズ2は、マニュアル操作または自動的に各レンズ位置を移動させて焦点調整を行うことが可能に構成されている。
【0013】
なお、マウント部3の近傍には、撮影レンズ2を着脱するための着脱ボタン31と、装着された撮影レンズ2との電気的接続を行うための複数個の電気的接点(図示省略)と機械的接続を行うための複数個のカプラ(図示省略)とが設けられている。この電気的接点は、撮影レンズ2に内蔵されたレンズROM(リードオンリメモリ)から当該レンズに関する固有の情報(開放F値や焦点距離等の情報)をカメラ本体1内の全体制御部100(図13参照)に送出したり、撮影レンズ2内のフォーカスレンズの位置やズームレンズの位置の情報を全体制御部100に送出したりするためのものである。また、カプラは、カメラ本体1内に設けられたフォーカスレンズ駆動用モータの駆動力を撮影レンズ2内の各レンズに伝達するためのものである。
【0014】
モード設定ダイアル6は、自動露出(AE)制御モードや自動焦点(AF;オートフォーカス)制御モード、または静止画を撮影する静止画撮影モードや動画を撮影する動画撮影モード(連続撮影モード)、フラッシュモード等の各種撮影モードを設定するためのものである。
【0015】
レリーズボタン7は、途中まで押し込んだ「半押し状態」の操作と、さらに押し込んだ「全押し状態」の操作とが可能とされた押下スイッチである。静止画撮影モードにおいてレリーズボタン7が半押しされると、被写体の静止画を撮影するための準備動作(露出制御値の設定や焦点調節等の準備動作)が実行され、レリーズボタン7が全押しされると、撮影動作(後述する撮像素子を露光し、その露光によって得られた画像信号に所定の画像処理を施してメモリカードに記録する一連の動作)が実行される。また、動画撮影モードにおいてレリーズボタン7が全押しされると、撮影動作(上記と同様の撮像素子の露光、露光で得られた画像信号への画像処理、及びこの画像処理された画像データのメモリカードへの記録という一連の動作)が開始され、再度レリーズボタン7が全押しされると撮影動作が終了される。
【0016】
図2において、カメラ本体1の背面略中央上部には、ファインダ窓11が設けられている。このファインダ窓11には、撮影レンズ2からの被写体像が導かれており、ユーザ(撮影者)は、このファインダ窓11を覗くことにより被写体を視認することができる。カメラ本体1の背面の略中央には、外部表示部12(LCD;液晶モニター)が設けられている。外部表示部12は、本実施形態では例えば画素数が400(X方向)×300(Y方向)=120000のカラー液晶表示素子からなり、上記動画像を表示するとともに、AE制御やAF制御に関するモード、撮影シーンに関するモード或いは撮影条件等を設定するためのメニュー画面を表示したり、再生モードにおいてメモリカードに記録された撮影画像を再生表示したりするものである。
【0017】
外部表示部12の左上部には電源スイッチ13が設けられている。この電源スイッチ13は例えば2点スライドスイッチからなり、接点を左方の「OFF」位置に設定すると電源がオフになり、接点を右方の「ON」位置に設定すると電源がオンになる。また、外部表示部12の右側には方向選択キー14および手振れ補正スイッチ15が設けられている。方向選択キー14は円形の操作ボタンを有し、この操作ボタンにおける上下左右の4方向の押圧操作と、右上、左上、右下及び左下の4方向の押圧操作とが、それぞれ検出されるようになっている。この方向選択キー14は多機能化されており、例えば外部表示部12に表示される撮影シーン設定のためのメニュー画面において選択された項目を変更するための操作スイッチとして機能し、複数のサムネイル画像が配列表示されるインデックス画面において選択された再生対象のコマを変更するための操作スイッチとして機能する。また、方向選択キー14は、撮影レンズ2のズームレンズの焦点距離を変更するためのズームスイッチとして機能させることもできる。
【0018】
手振れ補正スイッチ15は、手持ち撮影や望遠撮影、暗部での(長時間露光が必要な)撮影時において、手振れ等の「振れ」が発生する恐れのある場合に対して確実な撮影を可能とするための振れ補正モードを設定するものである。この手振れ補正スイッチ15は、電源スイッチ13と同様に2点スライドスイッチとしてもよい。
【0019】
外部表示部12の左側には、外部表示部12の表示や表示内容に関する操作を行うためのスイッチとして、取消スイッチ16、確定スイッチ17、メニュー表示スイッチ18および外部表示切換スイッチ19が設けられている。取消スイッチ16はメニュー画面で選択された内容を取り消すためのスイッチである。確定スイッチ17はメニュー画面で選択された内容を確定するためのスイッチである。メニュー表示スイッチ18は外部表示部12にメニュー画面を表示させたり、メニュー画面の内容(例えば撮影シーン設定画面や露出制御に関するモード設定画面など)を切り換えるためのスイッチで、メニュー表示スイッチ18の押圧ごとにメニュー画面が切り換わる。外部表示切換スイッチ19は、外部表示部12への表示をオンにしたり、その表示をオフにしたりするスイッチで、外部表示切換スイッチ19の押圧ごとに外部表示部12の表示と非表示とが交互に行われる。なお、カメラ本体1の適所には、上記各スイッチ以外にズームスイッチ、露出補正スイッチ、AEロックスイッチ等のプッシュ式スイッチやダイヤル式スイッチといった各種スイッチが備えられていてもよい。
【0020】
次に、以上の外観構成を有する撮像装置10Aの内部構成について説明する。
【0021】
<撮像装置10Aの内部構成>
図3は、撮像装置10Aの正面透視図であり、図4は、撮像装置10Aの側面断面図である。また、図5は、撮像装置10Aの上面断面図である。ここで、図3および図5はそれぞれ撮影レンズ2を取り外した状態での透視図及び断面図としている。図3〜5に示すように、カメラ本体1に撮影レンズ2が装着された場合の当該撮影レンズ2が備えているレンズ群21の光軸L(図4参照)に対して垂直となる方向に方形状の撮像素子101が配設されている。
【0022】
撮像素子101は、被写体輝度を検出(被写体光を撮像)する、すなわち撮影レンズ2により結像された被写体光像の光量に応じて、R、G、B各成分の画像信号に光電変換して後述の制御基板140(画像処理回路141)に出力するものである。具体的には、撮像素子101は、例えばフォトダイオードを有して構成される複数の画素がマトリクス状に2次元配置され、各画素の受光面に、それぞれ分光特性の異なる例えばR(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタが1:2:1の比率で配設されてなるベイヤー配列のカラーエリアセンサが用いられる。撮像素子(撮像センサ)101は、撮影レンズ2のレンズ群21により結像された被写体の光像をR(赤)、G(緑)、B(青)各色成分のアナログの電気信号(画像信号)に変換し、R、G、B各色の画像信号を生成する。なお、撮像素子101としては、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ、VMISイメージセンサ等幾つかの選択肢があるが、本実施形態ではCCDイメージセンサを採用している。
【0023】
図4に示す光軸L上において、被写体光をファインダ部102(ファインダ光学系)に向けて反射させる位置には、ミラー部103が配置されている。撮影レンズ2を通過した被写体光は、ミラー部103(後述の主ミラー1031)によって上方へ反射され、焦点板104(ピントグラス)に結像される。一方、撮影レンズ2を通過した被写体光の一部はこのミラー部103を透過する。
【0024】
ファインダ部102は、ペンタプリズム105、接眼レンズ106及び上記ファインダ窓11を備えている。ペンタプリズム105は、断面が5角形をしており下面から入射された被写体光像を内部での反射によって当該像の天地左右を入れ替えて正立像にするためのプリズムである。接眼レンズ106により、ペンタプリズム105で正立像にされた被写体像がファインダ窓11の外側に導かれる。このような構成により、ファインダ部102は、撮影待機時において被写界を確認するための光学ファインダとして機能する。
【0025】
ミラー部103は、主ミラー1031およびサブミラー1032から構成されており、主ミラー1031の背面側において、サブミラー1032が主ミラー1031の背面に向けて倒れるように回動可能に設けられている。主ミラー1031を透過した被写体光の一部はサブミラー1032によって反射され、この反射された被写体光は焦点検出部107に入射される。焦点検出部107は、被写体のピント情報を検出する測距素子等からなっており、いわゆるAFセンサーとして機能する。
【0026】
上記のミラー部103は、いわゆるクイックリターンミラーとして構成されており、露光時には回転軸1033を回動支点として矢印Aで示す上方へ向けて跳ね上がり、焦点板104の下方位置で停止する。この際、サブミラー1032は、主ミラー1031の背面に対して矢印Bで示す方向に回転軸1034を支点として回動し、ミラー部103が焦点板104の下方位置で停止したときには、主ミラー1031と略平行となるように折り畳まれた状態となる。これにより、撮影レンズ2からの被写体光がミラー部103によって遮られることなく撮像素子101上に届き、該撮像素子101が露光される。露光が終了すると、ミラー部103は元の位置(図4に示す位置)に復帰する。
【0027】
撮像素子101の露光面の前方には、疑似カラーや色モアレの発生を防止するためのローパスフィルタ108(光学フィルタ)が配置されており、さらにローパスフィルタ108の前方には、シャッター部109が配設されている。このシャッター部109は、露光時に開閉するよう制御されるものであり、例えば縦走りフォーカルプレーンシャッターが採用される。シャッター部109は、その前方側が後述の枠体120の後端部に当接された状態とされ、一方その後方側がシャッタ押さえ板1091にて挟まれた状態とされている。このシャッタ押さえ板1091は枠体120に対してビス1092(図6参照)で固定されており、これによりシャッター部109は枠体120に支持される形となっている。なお、撮像素子101の後部には撮像素子101面と平行に、後述の側面シャーシ183を挟んで外部表示部12が配設されている。
【0028】
撮像素子101は、後述のスライダ202やアクチュエータ(ヨー方向アクチュエータ205、ピッチ方向アクチュエータ206)とともに、後述のジャイロユニット170により検出された振れ情報に基づき、当該アクチュエータを駆動させることにより撮像素子101を上下方向および左右方向にスライド移動させて振れ補正を行う振れ補正ユニット200(手振れ機構)を構成している。この振れ補正ユニット200の構造及び動作の詳細については後述する。
【0029】
図3においてマウント部3の後部におけるカメラ本体1の略中央部には、枠体120(前枠)が配置されている(図4、5における斜線部参照)。この枠体120は、該枠体120の前後面部及び上記ペンタプリズム105(焦点板104)と対向する上面部が開口された正面視略四角形状の角筒体であり、歪み等に対する強度を有した金属製の剛体である。枠体120の前面は、マウント部3の形状に合わせて円筒状のマウント受け部121が形成されており、このマウント受け部121にマウント部3が嵌合された状態で、符号122の矢印(図5参照)で示す前面側から複数のビス123によってビス止めされている。枠体120は、その内部にミラー部103が配置されており当該ミラー部103の保持部材を兼ねたものとなっている。
【0030】
枠体120の左側(グリップ部4の内部)には電池室131が配置されている。この電池室131は、例えばプラスチック等の樹脂からなり、その内部には、撮像装置10Aの動作電源として例えば所定数の単3形乾電池が収納される。電池室131の背後にはカード収納部132が設けられている。このカード収納部132には、撮影画像の画像データを記録するための記録媒体、例えばメモリカードが着脱自在に収納されるようになっており、グリップ部4の側面位置に設けられたカードスロット蓋133を開いて当該メモリカードを収納する構成とされている。なお、電池室131及びカード収納部132からなる構造体のことを、以降ではバッテリーユニット130と称する。
【0031】
バッテリーユニット130(カード収納部132)の背面部には制御基板140が配置されている。この制御基板140には、画像データに対する所定の信号処理(画像処理)を行う画像処理回路141(例えば画像処理用ASIC)や後述の振れ補正駆動を制御する振れ補正回路142(例えば振れ補正用ASIC)等の電子部品がマウントされており、後述の全体制御部100を構成する基板体である。制御基板140は、振れ補正ユニット200と略同一平面方向に隣接配置されており、後述の側面シャーシ183に接続部143にて固定されたバッテリーユニット130に対してマウントされる形で、ネジ部144、145によって取り付けられている。制御基板140と撮像素子101とは、フレキシブル配線基板146により電気的に接続されている。
【0032】
枠体120の右側の隣接位置には、ミラー部103およびシャッター部109を駆動するための駆動ユニット150が配置されている。駆動ユニット150は、具体的には、シャッター部109の開閉駆動を行うシャッタ駆動部151と、ミラー部103の駆動を行うミラー駆動部152とを備えて構成されている。ただし、ミラー駆動部152はシャッタ駆動を行うためのシャッタ駆動部を一部内包して構成されている。駆動ユニット150のさらに右側(外側)には、リモート端子やUSB端子等のホルダーまたはAC電源のジャック等を備えた構造体としての、例えばプラスチック等の樹脂からなるコネクタ部160が配置されている。
【0033】
バッテリーユニット130における電池室131の前方の側壁部にはジャイロユニット170が設けられている。このジャイロユニット170は、ジャイロ部171、ジャイロ基板172、緩衝材173およびジャイロ用フレキシブル配線基板174等からなり、撮像装置10Aの振れ方向や振れ量などの振れ情報を検出するためのものである。ジャイロユニット170において検出された振れ情報は、振れ補正ユニット200による振れ補正駆動の制御に用いられる。ジャイロ部171は、ヨー(Yaw)方向における撮像装置10Aの振れの角速度に基づく振れ量を検出するヨー方向ジャイロ171bと、ピッチ(Pitch)方向における当該振れの角速度に基づく振れ量を検出するピッチ方向ジャイロ171aとを備えている。このようなジャイロとしては、例えば圧電素子に電圧を印加して振動状態とし、該圧電素子に回転運動による角速度が加わったときに生じるコリオリ力に起因する歪みを、電気信号として取り出すことで角速度を検出するタイプのものが使用できる。ジャイロ部171はジャイロ基板172上にマウントされており、このジャイロ基板172は、バッテリーユニット130の側壁部に形成された平板状のジャイロ取付部134に、緩衝材173を介して取り付けられている。
【0034】
緩衝材173は、ミラー部103の動作振動が伝播してジャイロ部171がこの振動を誤検出することを防止するためのものであり、例えば両面に接着層を備えるブチルゴム等のゴム材からなるシート状(板状)の部材を用いることができる。なお、ジャイロ用フレキシブル配線基板174は、ジャイロ部171(ヨー方向ジャイロ171bおよびピッチ方向ジャイロ171a)と制御基板140とを電気的に接続するためのものである。
【0035】
バッテリーユニット130における電池室131の前方には、撮像装置10Aの姿勢を検出する姿勢検出センサ135が設けられている。姿勢検出センサ135は、例えば水銀スイッチや重力センサ、加速度センサ等として構成されている。この姿勢検出センサ135の検出結果に基づき、撮像装置10Aが横姿勢であるのか縦姿勢であるのかを検知できるとともに、後述の重力方向検知部313A(図13参照)において重力方向(鉛直方向下向き)の検知が可能となる。なお、姿勢検出センサ135については、少なくとも撮像装置10Aの上下・左右の4方向の何れかが重力方向であるのかを判定できるセンサとして構成されていることが好ましい。
【0036】
撮像装置10Aの上記各部は、例えば鉄などの金属材料からなるシャーシ部180によって互いに連結(固定)されている。撮像装置10Aにおいては、シャーシ部180は、前面シャーシ181、182、側面シャーシ183(バックシャーシ)および底面シャーシ184(底板)から構成されている。
【0037】
<振れ補正ユニット200について>
次に、図4〜5とともに図6〜7を用い振れ補正ユニット200について詳述する。図6は、側面シャーシ183を取り外した状態を示す図であり、図7は、振れ補正ユニット200の構成を概略的に示した斜視図である。
【0038】
振れ補正ユニット200は、撮像素子101、ローパスフィルタ108、撮像素子101とローパスフィルタ108とを保持する撮像素子ホルダ201、撮像素子101の後面に配設された放熱板203、および放熱板203の後面に配設された撮像素子基板204を有する撮像素子ユニットUcと、撮像素子ユニットUcを保持するスライダ202と、ヨー方向アクチュエータ205と、ピッチ方向アクチュエータ206と、振れ台板207と、位置検出センサ部208とを備えて構成されている。
【0039】
撮像素子基板204は、撮像素子101がマウントされる略長方形状の基板である。ただし当該マウントは、撮像素子101と撮像素子基板204との間に放熱板203が介在された状態で行われる。放熱板203は所定の金属材料からなる板状体であり、撮像素子101の駆動(光電変換)により発生した熱を逃がすためのものである。撮像素子ホルダ201は断面略長方形状の前後が開口された枠体であり、この枠体の前方部にはローパスフィルタ108が取り付けられ、このローパスフィルタ108の後方部に撮像素子101が配設されている。撮像素子101は、撮像素子基板204により放熱板203とともに撮像素子ホルダ201に対して押圧された状態で、当該撮像素子基板204が撮像素子ホルダ201に対してビス2041により固定されて取り付けられている。
【0040】
撮像素子ホルダ201の左右方向における一端辺部(ここでは左辺部)には、ピッチ方向アクチュエータ206が設けられており、撮像素子ホルダ201は、当該ピッチ方向アクチュエータ206を介し、スライダ202に対してピッチ方向(図7の上下方向C)にスライド移動可能に取り付けられている。スライダ202は、その略中央部に撮像素子基板204よりも大きな長方形状の開口部2021が形成された略平板状の枠体である。スライダ202のピッチ方向アクチュエータ206に対向する位置には、上記スライド移動を可能とするべく、ピッチ方向アクチュエータ206(後述の軸部2061)に対して摺動自在に嵌合されるV溝が形成された軸受け部2022が固設されている。また、スライダ202の下部には、ヨー方向アクチュエータ205に対応する上記軸受け部2022と同様に構成された軸受け部2023が固設されている。なお、軸受け部2022(2023)に対する軸部2051(2061)の嵌合(後述の摩擦接合)は、図6に示すように、バネ体等の付勢部材2054(2064)による付勢力により、押さえ板(ヨー用押さえ板、ピッチ用押さえ板)と軸受け部2022(2023)との間に軸部2051(2061)を挟持する形で行われる。
【0041】
振れ台板207は、撮像素子ホルダ201が保持された状態のスライダ202を保持するための振れ補正ユニット200における基台をなすものであり、その略中央部に、スライダ202の開口部2021と同程度のサイズを有した開口部2071(実際にはスライダ202の開口部2021の方が若干大きなサイズとなっている)が形成された枠体である。この振れ台板207の上下方向の一端辺部(ここでは下辺部)には、ヨー方向アクチュエータ205が固設されており、スライダ202の軸受け部2023が当該ヨー方向アクチュエータ205(後述の軸部2051)に対して摺動自在に嵌合された状態でヨー方向(図7の矢印Dで示す左右方向)にスライド移動可能となるよう、振れ台板207に対してスライダ202が取り付けられている。
【0042】
以上のような構成により、撮像素子ユニットUcを撮像装置10Aの上下方向C(図7)と、これに略直交する左右方向D(図7)とに移動可能な移動機構Mvが形成されるとともに、ヨー方向アクチュエータ(第1アクチュエータ)205およびピッチ方向アクチュエータ(第2アクチュエータ)206により撮像素子ユニットUcを左右方向Dおよび上下方向Cに移動させることが可能となる。
【0043】
また、振れ台板207は、右上の角部2072において、撮像素子ホルダ201の角部を、該角部の裏表面2011に遊嵌されたボール体を挟み込んだ状態で、スライダ202の角部2024を角部2072へ向けて押し付けるように、バネ体等の付勢部材により付勢した状態で角部2024と連結されている。これにより、スライダ202(撮像素子ユニットUc)のヨー方向へのスライド移動及び撮像素子ユニットUcのピッチ方向へのスライド移動を可能とした状態で、撮像素子ユニットUcとともにスライダ202を振れ台板207へ押し付け、これらが振れ台板207から外れることのないよう確実な保持を実現している。なお、振れ台板207は、図6に示す3点の取付位置Pa、Pb、Pcにおいて、図5に示すように圧縮スプリング2073を介してビス2074により所謂浮かせた状態でシャッタ押さえ板1091に対して固定されており、当該ビス2074の締め度合いによって、撮像素子101の振れ台板207に対するピッチ方向とヨー方向との傾きの調整(あおり調整)が可能とされている。
【0044】
位置検出センサ部208は、振れ補正駆動またはカメラ起動時における撮像素子101の位置検出を行うものである。この位置検出センサ部208は、磁石部2081と2次元ホールセンサ2082とを備えて構成されている。磁石部2081は、磁力線を出す(特に中心部の磁力が強い)素子であり、撮像素子ホルダ201(の角部)に設けられ(図6参照)、撮像素子ユニットUcと一体的に移動する。2次元ホールセンサ2082は、磁石部2081から出る磁力線の強弱に応じた信号を出力する所定数(例えば4つ)のホール素子を2次元配置したセンサであり、磁石部2081と対向する位置の振れ台板207に設けられて位置固定されている(図7)。位置検出センサ部208は、振れ台板207に対する撮像素子ホルダ201の上下左右の移動に伴って移動する磁石部2081の位置を、2次元ホールセンサ2082によって検出することで、当該撮像素子101の位置検出を行う。なお、位置検出センサ部208は、上記ヨー方向アクチュエータ205およびピッチ方向アクチュエータ206とともに、第2フレキシブル配線基板209によって制御基板140に電気的に接続されている。
【0045】
ヨー方向アクチュエータ205およびピッチ方向アクチュエータ206は、いわゆる超音波駆動が行われるインパクト形のリニアアクチュエータ(圧電アクチュエータ)である。これらのアクチュエータは、それぞれ軸部2051、2061、圧電素子部2052、2062および錘部2053、2063を備えて構成されている。軸部2051、2061は、それぞれ圧電素子部2052、2062によって振動駆動される所定の断面形状(例えば円形)を有した棒状の駆動軸であり、上記軸受け部2023、2022(のV溝部)に対して摩擦結合されるものである。
【0046】
圧電素子部2052(2062)は、セラミックなどから構成され、印加される電圧に応じて伸縮され、この伸縮に応じて軸部2051(2061)を振動させるものである。圧電素子部2052(2062)による当該伸縮においては、高速伸長と低速縮小とが、若しくは低速伸長と高速縮小とが、または伸長速度及び縮小速度が同じである等速伸長と等速縮小とが交互に繰り返される。この圧電素子部2052(2062)は、例えば積層型圧電素子からなり軸部2051(2061)の一端において、分極方向が当該軸部2051(2061)の軸方向と一致した状態で固着されている。
【0047】
圧電素子部2052(2062)の電極部には、制御基板140(振れ補正回路142)からの信号線が接続されており、制御基板140からの駆動信号に応じて圧電素子部2052(2062)が充電又は放電(逆方向充電)されることで上記伸縮が行われる。圧電素子部2052(2062)がこのように伸縮を繰り返すことにより、軸受け部2023(2022)と軸部2051(2061)との間に相対変位が生じスライダ202が軸部2051に対して(撮像素子ユニットUcがスライダ202に対して)相対的に正方向又は逆方向に摺動したり、或いは、その場に停止した状態となる。なお、軸部2051(2061)における圧電素子部2052(2062)と反対側の端部には、圧電素子部2052(2062)によって発生した振動が軸部2051(2061)に効率良く伝達されるようにするための錘部2053(2063)すなわちウエイトが固設されている。
【0048】
また、軸部2051には、その両端付近に撮像素子ユニットUcの左右方向Dの移動を制限して移動可能範囲を規定するストッパSa、Sbが設けられており、このストッパSa(Sb)に軸受け部2023の端面Ea(Eb)が当接することでストッパSa(Sb)以遠の軸部2051に対する軸受け部2023の移動が不可能となる。同様に、軸部2061にも、その両端付近に撮像素子ユニットUcの上下方向Cの移動を制限して移動可能範囲を規定する矩形板状のストッパSc、Sdが設けられており、このストッパSc(Sd)に軸受け部2022の端面Ec(Ed)が当接することでストッパSc(Sd)以遠の軸部2061に対する軸受け部2022の移動が不可能となる。
【0049】
以下では、ヨー方向アクチュエータ205およびピッチ方向アクチュエータ206に対応した圧電アクチュエータ9の駆動原理を説明する。
【0050】
図8は、圧電アクチュエータ9の駆動原理を説明するための図である。また、図9〜図11は、圧電アクチュエータ9の動作を説明するための図である。
【0051】
圧電アクチュエータ9は、ヨー方向アクチュエータ205(ピッチ方向アクチュエータ206)と同様の構成を有している。すなわち、圧電アクチュエータ9は、軸部2051に対応する駆動軸91と、圧電素子部2052に対応する圧電素子部92と、錘部2053に対応する錘部93と、軸受け部2023に対応する可動部94とを備えており、駆動軸91と可動部94とは摩擦結合されている。
【0052】
このような構成を有する圧電アクチュエータ9において圧電素子部92にデューティ比33%のパルス波形(図9(a))の電圧を印加すると、駆動軸91の伸び方向への変位U(図8)が図9(b)に示す波形のように変化する。これにより、可動部94は、駆動軸91に対して圧電素子部92に近づく方向Daに相対的に移動することとなる(図9(c))。
【0053】
また、圧電素子部92にデューティ比50%のパルス波形(図10(b))の電圧を印加すると、駆動軸91の変位U(図8)が図10(b)に示す波形のように変化する。この場合には、可動部94は、駆動軸91に対しての移動が生じないこととなる(図10(c))。
【0054】
一方、圧電素子部92にデューティ比67%のパルス波形(図11(a))の電圧を印加すると、駆動軸91の変位U(図8)が図11(b)に示す波形のように変化する。これにより、可動部94は、駆動軸91に対して圧電素子部92から遠ざかる方向Dbに相対的に移動することとなる(図11(c))。
【0055】
以上のことから、圧電アクチュエータ9の圧電素子部92に印加するパルス列のデューティ比を変化させるPWM(パルス幅変調)駆動を行えば、図12に示すように駆動軸91に対する可動部94の移動速度を可変できることとなる。なお、図12の縦軸については、圧電素子部92に近づく方向(図9の方向Da)の可動部94の速度を正(プラス)としている。
【0056】
したがって、ヨー方向アクチュエータ205の圧電素子部2052に電圧印加を行えば、振れ台板207に対して左右方向D(図7)に撮像素子ユニットUcが摺動駆動されて撮像素子101のヨー方向の振れが補正されるとともに、ピッチ方向アクチュエータ206の圧電素子部2062に電圧印加を行えば、スライダ202に対して撮像素子ユニットUcが上下方向C(図7)に摺動駆動されて撮像素子101のピッチ方向の振れが補正される。
【0057】
<撮像装置10Aの機能構成>
図13は、撮像装置10Aの機能構成を示すブロック図である。図13に示すように撮像装置10Aは、全体制御部100、振れ検出部301、振れ補正部302、撮像素子駆動部303、信号処理部304、記録部305、画像再生部306、AF/AE演算部307、レンズ駆動部308、電源部309、外部I/F部310、ミラー駆動部311、シャッター駆動部312、重力方向検知部313Aおよび操作部314を備えている。全体制御部100は、各制御プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、演算処理や制御処理などのデータを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)、および上記の制御プログラム等をROMから読み出して実行するCPU(中央演算処理装置)等からなり、振れ検出部301や操作部314または駆動部等からの各種信号を受けて撮像装置10Aの各部の動作制御を司るものである。
【0058】
振れ検出部301は、ジャイロユニット170からなり、撮像装置10Aの振れ(手振れ)を検出するものである。振れ補正部302は、振れ補正ユニット200からなり、振れ検出部301により検出された振れ情報、および位置検出センサ部208により検出された撮像素子101の位置情報に基づいてヨー方向アクチュエータ205およびピッチ方向アクチュエータ206を駆動させることで振れ補正を行うものである。
【0059】
撮像素子駆動部303は、撮像素子101の光電変換を制御するとともに、撮像素子101の出力信号に対しての増幅等のアナログ処理を施すものである。具体的には、撮像素子駆動部303に備えたタイミングジェネレータによって撮像素子101へ駆動制御信号を出力し、被写体光を所定時間だけ露光させて画像信号に変換させ 、この画像信号を増幅した後、信号処理部304に送出させる。
【0060】
信号処理部304は、撮像素子101から送出される画像信号に所定のアナログ信号処理およびデジタル信号処理を施すものであり、画像信号のサンプリングノイズの低減を行うCDS(相関二重サンプリング)回路や画像信号のレベル調整を行うAGC(オートゲインコントロール)回路を備えて撮像素子101から出力されるアナログ値の画像信号に所定のアナログ信号処理を施すアナログ信号処理回路、このアナログ信号処理回路から出力される画像信号をデジタル値の画像信号に変換するA/D変換回路、A/D変換された画素データに画素補間を行う補間回路、A/D変換された各画素データの黒レベルを基準の黒レベルに補正する黒レベル補正回路、画像のホワイトバランスを調整するホワイトバランス(WB)回路、画素データのγ特性を補正することにより階調補正を行うγ補正回路、および信号処理の終了した画像データを一時的に保存する画像メモリ等を備えている。
【0061】
記録部305は、生成された画像データを着脱可能な記録媒体M(例えばメモリカード)に記録するとともに、記録媒体Mに記録されている画像データを読み出すものである。画像再生部306は、信号処理部304によって生成された画像データまたは記録部305により記録媒体Mから読み出された画像データを加工し、外部表示部12の表示に適した画像データを作成するものである。
【0062】
AF/AE演算部307は、自動焦点制御(AF)や自動露光制御(AE)のための演算を行うものである。レンズ駆動部308は、撮影レンズ2のレンズ群21の駆動を制御するものである。ただし、撮影レンズ2は、フォーカスレンズ、ズームレンズおよび透過光量を調節するための絞りを備えるとともに、当該レンズに関する固有の情報(開放F値や焦点距離等の情報)が格納されたレンズROMを備えている。このレンズROMは、電気的接点を介して全体制御部100に接続されている。
【0063】
電源部309は、バッテリーユニット130からなり、撮像装置10A各部に電源を供給するものである。外部I/F部310は、コネクタ部160からなり、リモート端子やUSB端子等のホルダーまたはAC電源のジャック等を備え、外部装置とのI/F(インターフェイス)をなすものである。
【0064】
ミラー駆動部311は、ミラー部103(主ミラー1031及びサブミラー1032)を駆動させるものである。ミラー駆動部311は、全体制御部100から入力される退避信号に基づき、サブミラー1032とともに、主ミラー1031を撮影レンズ2の光軸Lから回動させて退避させる。この退避信号は、レリーズボタン7のオン信号が全体制御部100に入力されることで当該全体制御部100によって生成される。ミラー駆動部311は、撮影が終了すると、この退避した状態のミラー部103を光軸L上の元の位置に回動させて戻す。シャッター駆動部312は、シャッター部109(の開閉)を駆動させるものである。
【0065】
重力方向検知部313Aは、上述した姿勢検出センサ135(図5)の検出結果に基づき、自由落下の方向である重力方向を検知するものである。このように姿勢検出センサ135を利用すれば、重力方向検知部313Aにおいて重力方向を簡易に検出できることとなる。
【0066】
また、操作部314は、モード設定ダイアル6や方向選択キー14、手振れ補正スイッチ15等の操作部材からなり、ユーザの操作による指示入力がなされるものである。
【0067】
<ローパスフィルタ108のダスト除去について>
撮像装置10Aでは、手振れ補正ユニット200におけるヨー方向アクチュエータ205および/またはピッチ方向アクチュエータ206を用いて撮像素子ユニットUcを移動させることにより、撮像素子ユニットUcのローパスフィルタ108の表面に付着したダストを払い落として除去する動作(ダスト除去動作)が可能である。このダスト除去に関して以下で説明する。
【0068】
撮像装置10Aのダスト除去においては、重力方向検知部313A(図13)で検知された重力方向と略同一の方向に向かって、まず撮像素子ユニットUcを移動させて軸受け部2022、2023をストッパSa〜Sdに衝突させる動作が行われる。この衝突により受ける撮像素子ユニットUcの衝撃により、ローパスフィルタ108の表面に付着したダストを効率良く払い落とせることとなる。
【0069】
例えば、姿勢検出センサ135が重力方向について撮像装置10Aの上下左右4方向の検出を行える場合には、検出された重力方向に撮像素子ユニットUcを駆動させるための1つのアクチュエータをヨー方向アクチュエータ205およびピッチ方向アクチュエータ206から選択する。そして、選択されたアクチュエータを例えばデューティ比33%または67%で駆動し重力方向に向かって撮像素子ユニットUcを高速に移動させ、1つの軸受け部(軸受け部2022または軸受け部2023)を1つのストッパ(4つのストッパSa〜Sdのうちの1つ)に衝突させるようにする。
【0070】
すなわち、撮像素子ユニットUcの移動に関して姿勢検出センサ135で検知された重力方向に基づく移動方向(上下左右4方向のうち1つの方向)が設定され、この設定された移動方向への撮像素子ユニットUcの移動に使用する1つのアクチュエータがヨー方向アクチュエータ205およびピッチ方向アクチュエータ206から選定される。そして、選定されたアクチュエータを駆動し重力方向に撮像素子ユニットUcを移動させて軸受け部をストッパに衝突させる。これにより、撮像素子ユニットUcのローパスフィルタ108に付いたダストを効率良く迅速に除去できることとなる。
【0071】
ここで、撮像素子ユニットUcを重力方向に移動させて軸受け部をストッパに衝突させた後には、上記の選択されたアクチュエータを駆動し、鉛直方向に沿って撮像素子ホルダ201を一定時間振動させるのが好ましい。この振動時間については、ストッパへの衝突によってローパスフィルタ108に付着しているダストが概ね払い落とされているため、従来より短時間で十分である。なお、このような撮像素子ホルダ201の振動動作においても、重力方向に駆動する際には、ストッパに衝突させるようにすると良い。このようにストッパへの衝突が複数回にわたれば、より確実にダストを払い落とせることとなる。
【0072】
以上のダスト除去動作においては、軸受け部2022、2023をストッパに衝突させるのは必須でなく、ストッパへの衝突なしに鉛直方向に撮像素子ホルダ201を往復動(振動)させるようにしても良い。この場合にも、従来に比べて効率良くダストを払い落とすことが可能である。
【0073】
以上で説明したように撮像装置10Aでは、ダスト除去の際、姿勢検出センサ135で検出された重力方向への撮像素子ユニットUcの移動に使用するアクチュエータをヨー方向アクチュエータ205およびピッチ方向アクチュエータ206から選定するため、重力を利用して撮像素子ユニットUcに付いたダストを効率良く除去できる。そして、撮像素子ユニットUcを重力方向に移動させて移動機構Mv(図7)に設けられたストッパSa〜Sdのうちのいずれかのストッパに衝突させれば、1回だけの駆動でも効果的なダスト除去が可能となり、ダスト除去の迅速化や移動機構Mv等の耐久性向上が図れる。
【0074】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る撮像装置10Bについては、図1〜6に示す第1実施形態の撮像装置10Aと類似の構成を有しているが、重力方向検知部の構成が異なっている。
【0075】
すなわち、撮像装置10Bの重力方向検知部313Bは、撮像素子ユニットUcの移動速度の情報に基づき重力方向の検知を行う構成となっている。この重力方向検知部313Bにおける重力方向の検知について、以下で説明する。
【0076】
<重力方向検知部313Bにおける重力方向の検知について>
図14および図15は、重力方向検知部313Bにおける重力方向の検知原理を説明するための図である。図14(a)〜(c)それぞれには、図8と同様の構成を有する圧電アクチュエータ9が表わされているが、駆動軸91が鉛直方向に沿って配置される姿勢となっている。また、図15において破線で示す特性Hoは、図12に示すデューティ比と速度とに関する特性に対応している。
【0077】
図14(a)に示すような圧電アクチュエータ9の姿勢において、圧電素子部92にデューティ比33%のパルス列(図9(a)参照)の電圧を印加して可動部94を重力方向と逆方向に移動させる場合には、可動部94が重力方向への引力を受けるため、駆動軸91が水平方向に沿って配置される水平方向への移動時に比べて遅い速度Vaで移動する。
【0078】
また、図14(b)に示すような圧電アクチュエータ9の姿勢において、圧電素子部92にデューティ比50%のパルス列(図10(a)参照)の電圧を印加する場合には、駆動軸91と可動部94との摩擦結合が動摩擦力によるものとなるため、引力により重力方向に速度Vbで可動部94が移動する。
【0079】
一方、図14(c)に示すような圧電アクチュエータ9の姿勢において、圧電素子部92にデューティ比67%のパルス列(図11(a)参照)の電圧を印加して可動部94を重力方向に移動させる場合には、可動部94が重力方向への引力を受けるため、水平方向への移動時に比べて速い速度Vcで可動部94が移動する。
【0080】
以上のことから、圧電アクチュエータ9の駆動軸91が鉛直方向に沿って配置されている場合に生じる可動部94の各速度Va〜Vc(図14(a)〜(c))をグラフに表わすと、図15において実線で示す速度特性Hpが得られる。この鉛直方向の速度特性Hpについては、水平方向の速度特性Hoに対して重力方向に速度が相対的にシフトしたものとなっている。
【0081】
このことは、圧電アクチュエータ9を駆動させた際に可動部94の速度を観測すれば、重力方向を検出できることを表している。なお、この可動部94に対応した撮像素子ユニットUcの移動速度については、位置検出センサ部208で検出される位置を時間微分、例えば微小時間(例えば50ms)に移動した距離を計測することにより検出する。
【0082】
以上のような検知原理を用いて重力方向検知部313Bで重力方向の検知が行われるが、その具体的な方法(i)、(ii)を以下で説明する。
【0083】
(i)小ストロークの駆動による重力方向の検知
駆動軸91が水平方向に沿って配置される場合に往路および復路での可動部94の速度の大きさが略同一となる各ディーティ比(相補的なデューティ比)のパルス電圧の印加を圧電素子部92に行って可動部94を小ストローク(例えば0.3〜0.5mm程度)で往復駆動させ、往路および復路での可動部94の速度を検出する。そして、往路および復路での速度差が生じる場合には、速度の絶対値が大きい方を重力方向と判断する。
【0084】
例えばディーティ比33%のパルス電圧の印加による往路の駆動時に可動部94が速度v+の移動を行い、ディーティ比67%のパルス電圧印加による復路の駆動時に可動部94が速度v-の移動を行うとすると、|v+|>|v-|の場合には往路の移動方向が重力方向となり、|v+|<|v-|の場合には、往路の移動方向が重力方向となる。
【0085】
以上のような重力方向の検知方法を、駆動軸91に対応した軸部2051、2061が互いに直交するヨー方向アクチュエータ205およびピッチ方向アクチュエータ206を備えた本実施形態の撮像装置10Bに適用すると、以下のようになる。
【0086】
ヨー方向アクチュエータ205においてX方向に沿って配置された軸部2051に対する軸受け部2023の相対速度について例えばデューティ比33%の駆動による(+X方向)への速度をvX+、例えばデューティ比67%の駆動による(−X方向)への速度をvX-とすると、それらの絶対値の差ΔvXは、次の式(1)で表される。
【0087】
ΔvX=|vX+|−|vX-| ・・・・・・(1):
一方、ピッチ方向アクチュエータ206においてY方向に沿って配置された軸部2061に対する軸受け部2022の相対速度について例えばデューティ比33%の駆動による(+Y方向)への速度をvy+、例えばデューティ比67%の駆動による(−Y方向)への速度をvy-とすると、それらの絶対値の差Δvyは、次の式(2)で表される。
【0088】
Δvy=|vy+|−|vy-| ・・・・・・(2):
次に、上記の式(1)および式(2)で得られたΔvXおよびΔvyから次の式(3)を用いて、撮像装置10BのX軸(図1参照)に対して重力方向のなす角度θが算出される。
【0089】
θ=tan-1(Δvy/ΔvX) ・・・・・・・・(3):
上式(3)で得られた角度θの方向、つまり重力方向に対応した移動方向に撮像素子ユニットUcをヨー方向アクチュエータ205および/またはピッチ方向アクチュエータ206を用いて移動させれば、効率の良いダスト除去動作が可能となる。
【0090】
すなわち、重力方向を表すベクトルが撮像装置10BのX方向(図7の左右方向D)に平行な第1ベクトルとY方向(図7の上下方向C)に平行な第2ベクトルとに分解されるとすると、撮像素子ユニットUcを水平方向に往復移動させる際に当該往復移動に係る往路および復路での移動速度の大きさが略等しくなる各駆動入力(例えばデューティ比33%およびデューティ比67%の駆動入力)をピッチ方向アクチュエータ206とヨー方向アクチュエータ205とに与え、左右方向Dおよび上下方向Cにおける往路および復路での撮像素子ユニットUcの移動速度を検出する。そして、左右方向Dの移動速度の大きさに関して、往路の方が復路より大きい場合には当該往路の方向に上記の第1ベクトルが向いていると判断する一方、復路の方が往路より大きい場合には当該復路の方向に上記の第1ベクトルが向いていると判断する。また、上下方向Cの移動速度の大きさに関して、往路の方が復路より大きい場合には当該往路の方向に上記の第2ベクトルが向いていると判断する一方、復路の方が往路より大きい場合には当該復路の方向に上記の第2ベクトルが向いていると判断する。
【0091】
以上のような検知方法により、適切な重力方向を簡易に検知できることとなる。以下では、上式(3)で得られた角度θ、つまり検出された重力方向に応じたピッチ方向アクチュエータ206およびヨー方向アクチュエータ205の駆動(ダスト除去時の駆動)について説明する。
【0092】
図16は、ピッチ方向アクチュエータ206およびヨー方向アクチュエータ205のダスト除去時の駆動について説明するための図である。この図16においては、横軸が撮像装置10BのX軸(図1参照)の方向を示し、縦軸が撮像装置10BのY軸(図1参照)の方向を示している。
【0093】
上式(3)で算出される角度θが範囲G1(つまり−30°<θ≦30°)に入る場合には、ヨー方向アクチュエータ205を選定し、これを(+X方向)に駆動する。また、角度θが範囲G5(つまり150°<θ≦210°)に入る場合にも、ヨー方向アクチュエータ205を選定し、これを(−X方向)に駆動する。
【0094】
上式(3)で算出される角度θが範囲G3(つまり60°<θ≦120°)に入る場合には、ピッチ方向アクチュエータ206を選定し、これを(+Y方向)に駆動する。また、角度θが範囲G7(つまり240°<θ≦300°)に入る場合にも、ピッチ方向アクチュエータ206を選定し、これを(−Y方向)に駆動する。
【0095】
一方、上式(3)で算出される角度θが範囲G2(つまり30°<θ≦60°)に入る場合には、ヨー・ピッチ方向アクチュエータ205、206を選定し、ヨー方向アクチュエータ205を(+X方向)に駆動するとともに、ピッチ方向アクチュエータ206を(+Y方向)に駆動する。これにより、撮像素子ユニットUcは例えば角度θ=45°の方向に移動することとなる。
【0096】
また、上式(3)で算出される角度θが範囲G4(つまり120°<θ≦150°)に入る場合には、ヨー・ピッチ方向アクチュエータ205、206を選定し、ヨー方向アクチュエータ205を(−X方向)に駆動するとともに、ピッチ方向アクチュエータ206を(+Y方向)に駆動する。これにより、撮像素子ユニットUcは例えば角度θ=135°の方向に移動することとなる。
【0097】
また、上式(3)で算出される角度θが範囲G6(つまり210°<θ≦240°)に入る場合には、ヨー・ピッチ方向アクチュエータ205、206を選定し、ヨー方向アクチュエータ205を(−X方向)に駆動するとともに、ピッチ方向アクチュエータ206を(−Y方向)に駆動する。これにより、撮像素子ユニットUcは例えば角度θ=225°の方向に移動することとなる。
【0098】
また、上式(3)で算出される角度θが範囲G8(つまり300°<θ≦330°)に入る場合には、ヨー・ピッチ方向アクチュエータ205、206を選定し、ヨー方向アクチュエータ205を(+X方向)に駆動するとともに、ピッチ方向アクチュエータ206を(−Y方向)に駆動する。これにより、撮像素子ユニットUcは例えば角度θ=315°の方向に移動することとなる。
【0099】
以上のようにヨー方向アクチュエータ205およびピッチ方向アクチュエータ206を駆動すれば、重力方向と略同じ方向に撮像素子ユニットUcを移動できるため、効率の良いダスト除去が可能となる。
【0100】
(ii)デューティ比50%の駆動による重力方向の検知
水平方向において可動部94の移動が生じないディーティ比50%のパルス電圧を圧電アクチュエータ9に印加し、可動部94の速度を検出する。そして、可動部94の速度が検出される場合には、その速度の方向を重力方向と判断する。このような重力方向の検知方法を、本実施形態の撮像装置10Bに適用すると、次のようになる。
【0101】
ヨー方向アクチュエータ205の軸部2051に対する軸受け部2023の相対速度をvX、ピッチ方向アクチュエータ206の軸部2061に対する軸受け部2022の相対速度をvyとすると、次の式(4)のように撮像装置10BのX軸(図1参照)に対して重力方向のなす角度θが算出される。
【0102】
θ=tan-1(vy/vX) ・・・・・・・・・・(4):
そして、上記(i)と同様に、上式(4)で得られた角度θの方向つまり重力方向に応じてアクチュエータを選定し、それを駆動させるようにすれば、効率の良いダスト除去動作を行えることとなる。
【0103】
すなわち、重力方向を表すベクトルが撮像装置10BのX方向(図7の左右方向D)に平行な第1ベクトルとY方向(図7の上下方向C)に平行な第2ベクトルとに分解されるとすると、水平方向において撮像素子ユニットUcの移動が生じない特定の駆動入力(例えば上述したデューティ比が50%であるパルス列の駆動入力)をヨー方向アクチュエータ205とピッチ方向アクチュエータ206とに与え、左右方向Dおよび上下方向Cに関する撮像素子ユニットUcの移動速度を検出する。そして、左右方向Dに撮像素子ユニットUcの移動速度が検出される場合には、当該移動速度の方向に上記の第1ベクトルが向いていると判断する。また、上下方向Cに撮像素子ユニットUcの移動速度が検出される場合には、当該移動速度の方向に上記の第2ベクトルが向いていると判断する。
【0104】
以上のような検知方法により、適切な重力方向を簡易に検知できることとなる。そして、検知された重力方向に対応した移動方向に撮像素子ユニットUcを移動させれば、効率の良いダスト除去が可能となる。
【0105】
以上で説明した撮像装置10Bのダスト除去動作により、撮像装置10Aと同様の効果を奏する。さらに、撮像装置10Bにおいては、重力方向検知部313Bにおいてヨー方向アクチュエータ205およびピッチ方向アクチュエータ206の特性を利用して重力方向を検知するため、重力方向検知のための姿勢検出センサ135が不要になる。また、姿勢検出センサ135では、限られた方向(例えば上下左右の4方位)にのみ重力方向の検知が可能となっているが、重力方向検知部313Bでは、上記の式(3)や式(4)を用いて理論的に全方位についての重力方向の検知が可能である。
【0106】
<変形例>
上記の各実施形態における撮像素子ユニットUcにおいては、ローパスフィルタ108を備えるのは必須でなく、ローパスフィルタ(光学フィルタ)がない構成でも良い。また、ローパスフィルタ108の代わりにフィルタ機能のない単なるガラス部材を備えるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の第1実施形態に係る撮像装置10Aの外観構成を説明する図である。
【図2】撮像装置10Aの外観構成を説明する図である。
【図3】撮像装置10Aの正面透視図である。
【図4】撮像装置10Aの側面断面図である。
【図5】撮像装置10Aの上面断面図である。
【図6】側面シャーシ183を取り外した状態を示す図である。
【図7】振れ補正ユニット200の構成を概略的に示した斜視図である。
【図8】圧電アクチュエータ9の駆動原理を説明するための図である。
【図9】圧電アクチュエータ9の動作を説明するための図である。
【図10】圧電アクチュエータ9の動作を説明するための図である。
【図11】圧電アクチュエータ9の動作を説明するための図である。
【図12】圧電アクチュエータ9に印加するパルス電圧のデューティ比と可動部94の移動速度との関係を説明するための図である。
【図13】撮像装置10Aの機能構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る撮像装置10Bの重力方向検知部313Bにおける重力方向の検知原理を説明するための図である。
【図15】重力方向検知部313Bにおける重力方向の検知原理を説明するための図である。
【図16】ピッチ方向アクチュエータ206およびヨー方向アクチュエータ205のダスト除去時の駆動について説明するための図である。
【符号の説明】
【0108】
1 カメラ本体
2 撮影レンズ(交換レンズ)
9 圧電アクチュエータ
10A、10B 撮像装置
91 駆動軸
92 圧電素子部
93 錘部
94 可動部
101 撮像素子
108 ローパスフィルタ
135 姿勢検出センサ
200 振れ補正ユニット
201 撮像素子ホルダ
202 スライダ
205 ヨー方向アクチュエータ
206 ピッチ方向アクチュエータ
207 振れ台板
208 位置検出センサ部
313A、313B 重力方向検知部
2022、2023 軸受け部
2051、2061 軸部
2052、2062 圧電素子部
2053、2063 錘部
Ea〜Ed 軸受け部の端面
Sa〜Sd ストッパ
Uc 撮像素子ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置であって、
(a)被写体に係る画像信号を生成する撮像素子が設けられた撮像素子ユニットを、第1方向と前記第1方向に略直交する第2方向とに移動可能な移動機構部と、
(b)前記撮像素子ユニットを前記第1方向に移動させる第1アクチュエータと、
(c)前記撮像素子ユニットを前記第2方向に移動させる第2アクチュエータと、
(d)重力方向を検知する検知手段と、
(e)前記第1アクチュエータおよび/または前記第2アクチュエータにより前記撮像素子ユニットを移動させることで、前記撮像素子ユニットに付いたダストを払い落として除去するダスト除去手段と、
を備え、
前記ダスト除去手段は、
(e-1)前記撮像素子ユニットの移動に関して、前記検知手段で検知された重力方向に基づく移動方向を設定する設定手段と、
(e-2)前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータから、前記設定手段で設定された移動方向への前記撮像素子ユニットの移動に使用するアクチュエータを選定する選定手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記移動機構部には、前記第1方向および/または前記第2方向に関する前記撮像素子ユニットの移動を制限する所定のストッパが設けられており、
前記ダスト除去手段は、前記撮像素子ユニットを前記移動方向に移動させ前記所定のストッパに衝突させることで、前記ダストの除去を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記撮像素子ユニットには、前記撮像素子の露光面の前方に光学フィルタが設けられていることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記検知手段は、
(d-1)前記撮像装置の姿勢を検出する姿勢検出センサ、
を有しており、
前記検知手段は、前記姿勢検出センサで検出される検出結果に基づき前記重力方向を検知することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1に記載の撮像装置において、
(f)前記撮像素子ユニットの移動速度を検出する速度検出手段、
をさらに備え、
前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータとは、前記撮像素子ユニットを摺動駆動するとともに、
前記検知手段は
(d-2)前記速度検出手段で検出される前記移動速度の情報に基づき、前記重力方向を検出する重力方向検出手段、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記重力方向を表すベクトルは、前記第1方向に平行な第1ベクトルと、前記第2方向に平行な第2ベクトルとに分解されるとともに、
前記重力方向検出手段は、
前記撮像素子ユニットを水平方向に往復移動させる際に当該往復移動に係る往路および復路での移動速度の大きさが略等しくなる各駆動入力を前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータとに与え、前記第1方向および前記第2方向における往路および復路での撮像素子ユニットの移動速度を前記速度検出手段によって検出する移動速度検出手段と、
前記移動速度検出手段で検出される前記第1方向の移動速度の大きさに関して、往路の方が復路より大きい場合には当該往路の方向に前記第1ベクトルが向いていると判断する一方、復路の方が往路より大きい場合には当該復路の方向に前記第1ベクトルが向いていると判断する手段と、
前記移動速度検出手段で検出される前記第2方向の移動速度の大きさに関して、往路の方が復路より大きい場合には当該往路の方向に前記第2ベクトルが向いていると判断する一方、復路の方が往路より大きい場合には当該復路の方向に前記第2ベクトルが向いていると判断する手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記重力方向を表すベクトルは、前記第1方向に平行な第1ベクトルと、前記第2方向に平行な第2ベクトルとに分解されるとともに、
前記重力方向検出手段は、
水平方向において前記撮像素子ユニットの移動が生じない特定の駆動入力を前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータとに与え、前記第1方向および前記第2方向に関する前記撮像素子ユニットの移動速度を前記速度検出手段によって検出する移動速度検出手段と、
前記移動速度検出手段において前記第1方向に前記撮像素子ユニットの移動速度が検出される場合には、当該移動速度の方向に前記第1ベクトルが向いていると判断する手段と、
前記移動速度検出手段において前記第2方向に前記撮像素子ユニットの移動速度が検出される場合には、当該移動速度の方向に前記第2ベクトルが向いていると判断する手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像装置において、
前記特定の駆動入力は、デューティ比が50%であるパルス列の駆動入力であることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−311925(P2008−311925A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157565(P2007−157565)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】