撮像装置
【課題】撮影時の焦点距離に応じた適切なノイズ除去を行うことができる撮像装置を提供すること。
【解決手段】焦点距離が可変であるレンズ101を介して撮像素子103に集光される被写体の像に基づいて得られる画像データがノイズ低減(NR)処理部181に入力される。マイクロコンピュータ116により、撮影時のレンズ101の焦点距離に対応したNR強度がFlashメモリ118から取得され、取得されたNR強度がNR処理部181に入力される。NR処理部181では、マイクロコンピュータ116からのNR強度に従って、入力された画像データの高周波成分に対応する信号に対してNR処理が行われる。
【解決手段】焦点距離が可変であるレンズ101を介して撮像素子103に集光される被写体の像に基づいて得られる画像データがノイズ低減(NR)処理部181に入力される。マイクロコンピュータ116により、撮影時のレンズ101の焦点距離に対応したNR強度がFlashメモリ118から取得され、取得されたNR強度がNR処理部181に入力される。NR処理部181では、マイクロコンピュータ116からのNR強度に従って、入力された画像データの高周波成分に対応する信号に対してNR処理が行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変焦点レンズと撮像素子を備え、少なくともノイズ低減処理を行うことができる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、可変焦点レンズを備え、ズーム位置に応じて焦点距離と画角とを変更することができるデジタルカメラが開発されている。一般のデジタルカメラは、撮影した画像データに重畳されたノイズを低減するノイズ除去機能と、画像データをより鮮明な印象にするためのエッジ強調機能とを搭載していることが多い。ノイズ除去機能では、ノイズ低減の程度であるノイズ除去強度を強くするとノイズを効果的に低減することができるが、ノイズの除去とともに画像データの細部も失われる傾向がある。また、エッジ強調機能では、エッジ強調度を強くすると鮮明度が向上するが、画像データのノイズも強調される傾向がある。
【0003】
さらに、可変焦点レンズは焦点距離が短いほど、MTF(Modulation Transfer Function)が高く、鮮明な画像データを撮影することができるが、焦点距離が長いほどMTFが低いため、鮮明度が失われた画像データが撮影されてしまう傾向がある。
【0004】
この問題を解決する手法として、特許文献1では、焦点距離に応じ画処理パラメータ、特にエッジ強調パラメータを変更する撮像装置が提案されている。この手法により、MTFが低い焦点距離においてもエッジ強調を強めることで画像の鮮明度を上げることができる。しかしながら、エッジ強調を強めるに従ってノイズも強調される傾向がある。このノイズを抑えるためにはノイズ除去強度を強くする必要があるが、ノイズ除去強度を強くすると画像の細部が失われる傾向がある。
【特許文献1】特開2003−101864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような可変焦点レンズを備えたデジタルカメラは、レンズの焦点距離が短い場合には撮影画角が広いため、撮像素子上に結像する被写体像は、相対的に細かくなる傾向にある。一方、レンズの焦点距離が長い場合には撮影画角が狭いので、被写体像は大きくなる傾向となる。
【0006】
また、撮影データには焦点距離によらないノイズが重畳されるため、ノイズ除去機能を用いてノイズを低減した画像データを作成することが望ましい。しかしながら、ノイズ除去機能は画像データの細部を失う傾向があるため、実際には、撮影時の焦点距離をもとに画角や画像データに重畳されるノイズを考慮して、ノイズ除去機能におけるノイズ除去強度を適切に調節する必要がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、撮影時の焦点距離に応じた適切なノイズ除去を行うことができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様の撮像装置は、焦点距離が可変である可変焦点レンズと、被写体を撮影して画像データを得る撮像部と、前記画像データのノイズをノイズ除去の程度を示すノイズ除去強度に応じて除去するノイズ除去部とを具備し、前記ノイズ除去部は、前記可変焦点レンズの撮影時の焦点距離に応じて、前記ノイズ除去強度を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、焦点距離に応じたノイズ除去機能におけるノイズ除去強度の適切な変更を行うことが可能になる。これにより、画像データにおけるノイズを適切に低減しながらも、画角に応じて被写体の細部を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、本発明の範囲は、以下に説明する実施形態に記載されている構成要素、種類、組み合わせ、形状、相対配置等のみに限定されるものではない。
【0011】
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るデジタルスチルカメラのブロック図である。図1に示すデジタルスチルカメラは、レンズ101と、レンズ駆動機構102と、撮像素子103と、アナログ処理部104と、アナログ/デジタル(A/D)変換部105と、バス106と、SDRAM107と、画像処理部108と、AE処理部109と、AF処理部110と、JPEG処理部111と、メモリインターフェース(I/F)112と、記録媒体113と、LCDドライバ114と、LCD115と、マイクロコンピュータ116と、操作部117と、Flashメモリ118とを有している。
【0012】
レンズ101は、被写体の光学像を撮像素子103に集光させる。このレンズ101は可変焦点レンズであり、マイクロコンピュータ116からの指示に応じて駆動するレンズ駆動機構102によりその光軸方向に移動される。これにより、レンズ101の焦点距離や被写体へのフォーカス状態を変更することが可能である。また、レンズ101の近傍には図示しない絞り機構及びメカシャッター機構が設けられている。マイクロコンピュータ116からの指示に応じて図示しない絞り機構を駆動させることで、被写体の光量を調節することが可能である。また、撮影時には、マイクロコンピュータ116からの指示に応じて図示しないメカシャッター機構を駆動させることで撮像素子103の露光時間を制御することが可能である。
【0013】
なお、レンズ101の設計上、設定できる焦点距離には範囲があり、また、その範囲においても任意の焦点距離を設定できるわけではない。レンズ101の場合には、最短焦点距離をa、最長焦点距離をbとしたときに、例えば、aからbの範囲内において
(b−a)/10
の間隔で、aとbを含め11状態の焦点距離を設定できるものとする。
【0014】
撮像素子103は、ベイヤー配列のカラーフィルタが画素を構成するフォトダイオードの前面に配置された撮像素子である。ベイヤー配列は、水平方向にR画素とG(Gr)画素が交互に配置されたラインと、G(Gb)画素とB画素が交互に配置されたラインとを有し、さらにその2つのラインを垂直方向にも交互に配置することで構成されている。この撮像素子103は、レンズ101により集光された光を、画素を構成するフォトダイオードで受光して光電変換することで、光の量を電荷量としてアナログ処理部104へ出力する。なお、撮像素子103はCMOS方式でもCCD方式でも良い。
【0015】
アナログ処理部104は、撮像素子103から出力された電気信号(アナログ画像信号)に対し、リセットノイズ等を低減した上で波形整形を行い、さらに目的の明るさとなるようゲインアップを行う。A/D変換部105は、アナログ処理部104から出力されるアナログ画像信号をデジタル画像信号(以降、画像データという)に変換する。
【0016】
バス106は、デジタルカメラ内部で発生した各種データをデジタルカメラ内の各部に転送するための転送路である。バス106は、A/D変換部105と、SDRAM107と、画像処理部108と、AE処理部109と、AF処理部110と、JPEG処理部111と、メモリI/F112と、LCDドライバ114と、マイクロコンピュータ116とに接続されている。
【0017】
A/D変換部105で得られた画像データは、バス106を介して一旦SDRAM107に記憶される。SDRAM107は、A/D変換部105において得られた画像データや、画像処理部108、JPEG処理部111において処理された画像データ等の各種データが一時的に記憶される記憶部である。
【0018】
画像処理部108は、ノイズ低減(NR)処理部181とエッジ強調処理部182とを少なくとも含み、さらに図示しないホワイトバランス補正部、色変換処理部、色再現処理部を含む。この画像処理部108は、SDRAM107から読み出した画像データに対し、ホワイトバランス補正処理、色変換処理及び色再現処理、ノイズ低減処理、エッジ強調処理等の画像処理を施す。
【0019】
NR処理部181は、画像データの高周波成分を、ハイパスフィルタを用いて抽出し、抽出した高周波成分における所定の信号レベル範囲の信号を一定の値に集約するようなコアリング処理を行うことでノイズ低減(以降、NRという)処理を行う。コアリング処理に用いる画像データの入出力特性(高周波成分減衰特性)は特に限定するものではない。図2(a)はコアリング処理に用いる高周波成分減衰特性の一例について示す図である。図2(a)の破線はコアリング処理前の画像データの入出力特性を示し、図2(a)の実線はコアリング処理後の画像データの入出力特性を示す。図2(a)の例では、所定の信号レベル範囲の信号を0にし、さらに信号の連続性を維持するために、所定の信号レベル範囲外の信号の絶対値を一律減算したものをコアリング後の信号レベルとする。この所定の信号レベル範囲を調節することで、コアリング処理後の信号レベルが変化し、これによって、NR効果を調節できる。具体的には、図2(b)に示すように、所定の信号レベル範囲を大きく設定するとNR効果が強くなり、図2(c)に示すように、所定の信号レベル範囲を小さく設定するとNR効果が弱くなる。このように、NR強度に応じて所定の信号レベル範囲を設定することで、NRの程度を調整することができる。
【0020】
ここで、コアリング処理に用いる高周波成分減衰特性は図2に示すものに限るものではない。例えば、図2の一点鎖線で示す、コアリング処理の後の画像データにおける高周波成分の最大値がコアリング処理前の画像データにおける高周波成分の最大値と一致するような高周波成分減衰特性を用いても良い。
【0021】
エッジ強調処理部182は、NR処理部181でNR処理が行われた画像データのエッジ成分を、バンドパスフィルタを用いて抽出し、抽出したエッジ成分をエッジ強調の度合いを示すエッジ強調度に応じて増幅することで画像データのエッジ部を強調する。
【0022】
ここで、画像処理部108で画像処理が行われた後の画像データは、ベイヤー配列による画像データから、1画素あたりRGBの情報からなる画像データへ同時化され、同時化された画像データはSDRAM107に記憶される。
【0023】
AE処理部109は、画像データを用いて被写体輝度を算出する。被写体輝度を算出するためのデータは、専用の測光センサの出力であってもよい。AF処理部110は、画像データから高周波成分の信号を取り出しAF(Auto Focus)積算処理により合焦評価値を取得する。
【0024】
JPEG処理部111は、画像データの記録時には、SDRAM107からRGBの画像データを読み出し、読み出した画像データをJPEG圧縮方式に従って圧縮する。圧縮された画像データはSDRAM107に一旦記憶された後、メモリI/F112を介して記録媒体113に記録される。ここで、記録媒体113は、例えばカメラ本体に着脱可能なメモリカードからなる記録媒体であるが、これに限定されるものではない。
【0025】
LCDドライバ114は、LCD115に画像を表示させる。記録媒体113に記録されたJPEG圧縮画像データを再生する場合には、JPEG処理部111は、記録媒体113に記録されているJPEG圧縮画像データを読み出して伸張処理を施した上で、伸張した画像データを一旦SDRAM107に記憶させる。LCDドライバ114は、その画像データをSDRAM107から読み出し、読み出した画像データを映像信号へ変換した後でLCD115へ出力し、画像の表示を行う。
【0026】
マイクロコンピュータ116は、デジタルカメラ本体の各種シーケンスを統括的に制御する。このマイクロコンピュータ116には、操作部117、Flashメモリ118が接続されている。
【0027】
操作部117は、電源ボタン、レリーズボタン、ズームボタン、各種入力キー等の操作部材である。ユーザにより操作部117の何れかの操作部材が操作されることにより、マイクロコンピュータ116は、ユーザの操作に応じた各種シーケンスを実行する。電源ボタンは、当該デジタルカメラの電源のオンオフ指示を行うための操作部材である。電源ボタンが押されたときに、マイクロコンピュータ116は、当該デジタルカメラの電源をオン又はオフする。レリーズボタンは、1stレリーズスイッチと2ndレリーズスイッチの2段スイッチを有して構成されている。レリーズボタンが半押しされて1stレリーズスイッチがオンされた場合に、マイクロコンピュータ116は、AE処理やAF処理等の撮影準備シーケンスを行う。また、レリーズボタンが全押しされて2ndレリーズスイッチがオンされた場合に、マイクロコンピュータ116は撮影シーケンスを実行して撮影を行う。ズームボタンは、ワイドボタンとテレボタンとを有している。ワイドボタンが押された場合に、マイクロコンピュータ116はレンズ駆動シーケンスを実行してレンズ駆動機構102を駆動させ、レンズ101の焦点距離を短焦点距離側に変更する。テレボタンが押された場合に、マイクロコンピュータ116はレンズ駆動シーケンスを実行してレンズ駆動機構102を駆動させ、レンズ101の焦点距離を長焦点距離側に変更する。
【0028】
Flashメモリ118は、焦点距離毎のNR強度及び焦点距離毎のエッジ強調度の他に、デジタルカメラの動作に必要な各種パラメータを記憶している。また、Flashメモリ118は、マイクロコンピュータ116にて実行するプログラムも記憶している。マイクロコンピュータ116は、Flashメモリ118に記憶されているプログラムに従い、またFlashメモリ118から各種シーケンスに必要なパラメータを読み込み、各処理を実行する。
【0029】
図3は、図1に示すデジタルカメラにおける撮影時の処理を示すフローチャートである。
図3において、マイクロコンピュータ116は、ユーザによりレリーズボタンが半押しされて1stレリーズスイッチがオンされたかを判定する(ステップS301)。ステップS301の判定において、1stレリーズスイッチがオンされるまで、マイクロコンピュータ116は、繰り返しステップS301の判定を行う。
【0030】
一方、ステップS301の判定において、1stレリーズスイッチがオンされた場合に、マイクロコンピュータ116は、AF処理を実行する(ステップS302)。即ち、マイクロコンピュータ116は、AF処理部110で得られるAF評価値から、撮像素子103に集光される被写体の像が最も鮮明になるようにレンズ駆動機構102を駆動させてレンズ101のフォーカスを調整する。次に、マイクロコンピュータ116は、AE処理部109において被写体輝度を算出させる(ステップS303)。その後、マイクロコンピュータ116は、AE処理部109において算出された被写体輝度と予めFlashメモリ118に記憶された絞り値とシャッター速決定テーブルに基づき、撮影時の絞り値とシャッター速とを算出する(ステップS304)。
【0031】
次に、マイクロコンピュータ116は、ユーザによりレリーズボタンが全押しされて2ndレリーズスイッチがオンされたかを判定する(ステップS305)。ステップS305の判定において、2ndレリーズスイッチがオンされるまで、マイクロコンピュータ116は、繰り返しステップS305の判定を行う。
【0032】
一方、ステップS305の判定において、2ndレリーズスイッチがオンされた場合に、マイクロコンピュータ116は、ステップS304において算出した絞り値とシャッター速とを用いて図示しない絞り機構とメカシャッター機構とを制御しつつ、撮影を行う(ステップS306)。次に、マイクロコンピュータ116は、画像処理部108により、撮影によって得られた画像データに対し、画像処理を行う(ステップS307)。次に、マイクロコンピュータ116は、JPEG処理部111により、画像処理後の画像データをJPEG圧縮する(ステップS308)。最後に、マイクロコンピュータ116は、JPEG圧縮により得られたJPEG圧縮画像データを記録媒体113に記録させる(ステップS309)。
【0033】
上述のように、図3の処理においては、1stレリーズスイッチがオンすると露出条件の算出等の撮影に必要な条件の算出が実行され、2ndレリーズスイッチがオンすると以後の処理が実行される。
【0034】
次に、図4〜図10を参照して、焦点距離に応じたNR強度とエッジ強調度の特性について説明する。
【0035】
図4は、NR処理部181におけるNR処理によるコントラストの変化を示す図である。図4において、破線で示した曲線は、NR処理前の画像データ上の周波数に応じたコントラストを表している。上述のように、NR処理部181は、画像データの高周波成分の一定信号レベル以下をコアリングする(上述の例では0にする)。これにより、高周波成分のコントラストが低減し、その結果、コントラストは図4に示す実線のようになる。
【0036】
ここで、図4の実線に示すコントラストの低下の度合いは、NR強度に依存する。NR強度を強くすると、コアリングされる信号レベル範囲が大きくなるので高周波成分のコントラストが大きく低下するが、ノイズの低減効果は大きい。一方、NR強度を弱くすると、高周波成分のコントラストは維持されるが、ノイズの低減効果は小さい。
【0037】
図5は、エッジ強調処理部182におけるエッジ強調処理によるコントラストの変化を示す図である。図5において、破線で示した曲線はエッジ強調処理前の画像データ上の周波数に応じたコントラストを表している。上述のように、エッジ強調処理部182は、画像データのエッジ成分を増幅する。これにより、中域の周波数成分のコントラストが増加し、その結果、コントラストは図5に示す実線のようになる。
【0038】
ここで、図5の実線に示すコントラストの増加の度合いは、エッジ強調度に依存する。エッジ強調度を強くすると、よりコントラストが増加し、弱くするとコントラストはあまり増加しない。
【0039】
図6は、レンズ101の焦点距離に応じたMTFの変化について説明するための図である。一般に、可変焦点レンズのMTFは、短焦点ほど高く、長焦点ほど低い。また、MTFの低下の度合いに関しては、レンズの設計に依存するが、一般的には長焦点側ほど大きい。即ち、MTFの低下の度合いは焦点距離の変化に対して非線形である。例えば、図6の例では、焦点距離が最も短い場合のMTFが最も高い。そして、焦点距離が長くなるにつれ、徐々にMTFが低下し、焦点距離が最も長い場合のMTFが最も低い。
【0040】
図7は、焦点距離が短い場合でのNR処理とエッジ強調処理によるコントラストの変化を示す図である。図7において、破線で示した曲線はNR処理及びエッジ強調処理前の画像データ上の周波数に応じたコントラストを表している。高周波になるほどコントラストが低下しているのは、レンズ101のMTFによるものである。なお、撮像素子103の画素数やピッチ等により、画像データ上で表現できる周波数には限界がある。したがって、一定周波数以上のコントラストは0になる。
【0041】
図7において、実線で示した曲線はNR処理及びエッジ強調処理後の画像データ上の周波数に応じたコントラストを表している。NR処理によって高周波数成分における所定の信号レベル範囲内の信号がコアリングされ(ここでは0となる)、その後のエッジ強調処理によって中域の周波数成分のコントラストが増加する。
【0042】
ここで、焦点距離が短い場合(広角撮影)では、細かな被写体を撮影することが多い。この場合、被写体を再現するためには高周波成分を多く必要とする。したがって、NR処理部181でのNR強度を小さめに設定することが望ましい。一方、焦点距離が短いほど、レンズ101のMTFは高いため、エッジ強調を行わなくてもある程度のコントラストは得られる。よって、エッジ強調度は小さめに設定することが望ましい。
【0043】
図8は、焦点距離が長い場合でのNR処理とエッジ強調処理によるコントラストの変化を示す図である。図8において、破線で示した曲線はNR処理及びエッジ強調処理前の画像データ上の周波数に応じたコントラストを表している。高周波になるほどコントラストが低下しているのは、レンズ101のMTFによるものである。上述したように、MTFは長焦点になるほど低下する傾向にあるので、コントラストの低下量も長焦点になるほど大きくなる。
【0044】
図8において、実線で示した曲線はNR処理及びエッジ強調処理後の画像データ上の周波数に応じたコントラストを表している。図7と同様に、NR処理によって高周波数成分における所定の信号レベル範囲内の信号がコアリングされ、その後のエッジ強調処理によって中域の周波数成分のコントラストが増加する。
【0045】
ここで、焦点距離が長い場合(望遠撮影)では、被写体を大きく撮影することが多い。この場合、被写体の高周波成分が少なく、短焦点に比べ高周波成分を必要としない。したがって、NR処理部181でのNR強度は大きめに設定し、ノイズを十分に低減することが望ましい。一方、上述のように焦点距離が長いほどMTFは低いため、エッジ強調度を強めに設定し、コントラストを上げることが望ましい。
【0046】
上述のように、焦点距離に応じて画角が異なり、被写体を再現するために必要な周波数が異なる。したがって、本実施形態では、撮影時のレンズ101の焦点距離に応じて、NR強度を図9のように変化させるように設計する。また、上述のように、一般的に焦点距離が短いほどMTFが高く、焦点距離が長いほどMTFが低くなる。このように、焦点距離とMTFとには相関がある。したがって、コントラストを維持する目的から、撮影時のレンズ101の焦点距離に応じて、エッジ強調度を図10のように変化させるように設計する。
【0047】
ここで、図9に示す焦点距離に応じたNR強度の特性と図10に示すエッジ強調度の特性とは、レンズ101で設定可能な焦点距離(上述の例では11個の焦点距離)に対する特性を算出しておき、それらを予めFlashメモリ118に記憶させておく。撮影時にはレンズ101の焦点距離に対応したNR強度及びエッジ強調度をFlashメモリ118から読み出し、読み出したNR強度及びエッジ強調度に基づいて、NR処理及びエッジ強調処理を行う。
【0048】
図11は、第1の実施形態におけるNR処理及びエッジ強調処理について示すフローチャートである。図11に示す処理は、図3のステップS307で行われる画像処理の際に、NR処理部181とエッジ強調処理部182とでそれぞれ行われるNR処理及びエッジ強調処理に係る処理である。
【0049】
まず、マイクロコンピュータ116は、撮影時のレンズ101の焦点距離を取得する(ステップS401)。レンズ101の焦点距離は、ユーザが操作部117のズームボタンを操作することで変更することが可能である。撮影直前のズームボタンの操作により変更された最後の焦点距離をSDRAM107に一時的に記憶させておくことで、マイクロコンピュータ116は、撮影後に、撮影時の焦点距離を取得することができる。
【0050】
次に、マイクロコンピュータ116は、撮影時のレンズ101の焦点距離に対応したNR強度を取得する(ステップS402)。即ち、マイクロコンピュータ116は、Flashメモリ118に記憶されている焦点距離毎のNR強度から、ステップS401で取得した焦点距離に対応するNR強度を得る。NR強度を取得した後、マイクロコンピュータ116は、取得したNR強度を、バス106を介してNR処理部181に転送する。これを受けて、NR処理部181は、ステップS402で取得されたNR強度に応じたNR処理を行う(ステップS403)。
【0051】
次に、マイクロコンピュータ116は、撮影時のレンズ101の焦点距離に対応したエッジ強調度を取得する(ステップS404)。即ち、マイクロコンピュータ116は、Flashメモリ118に記憶されている焦点距離毎のエッジ強調度から、ステップS401で取得した焦点距離に対応するエッジ強調度を得る。エッジ強調度を取得した後、マイクロコンピュータ116は、取得したエッジ強調度を、バス106を介してエッジ強調処理部182に転送する。これを受けて、エッジ強調処理部182は、ステップS404で取得したエッジ強調度を用いてエッジ強調処理を行う(ステップS405)。
【0052】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、撮影時の焦点距離に応じてNR処理のコントロールを行うことにより、画角に応じて被写体の細部を維持しながら、適切なノイズ除去を行うことができる。また、撮影時の焦点距離に応じてエッジ強調処理のコントロールも行うことにより、画角に応じてノイズが目立たないように、適切なエッジ強調を行うことができる。
【0053】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本発明の第2の実施形態においては、デジタルカメラが図1に示す構成を有し、撮影時には図2に示す処理が行われる。
【0054】
第1の実施形態において説明したように、一般に、可変焦点レンズのMTFは、短焦点ほど高く、長焦点ほど低い。しかしながら、MTFの低下の度合いに関してはレンズの設計に依存し、必ずしも図6のようにMTFが単調に低下する訳ではない。図12は、レンズにより画像データ上で再現可能な最大周波数の半分の周波数における焦点距離に対するMTFの変化の例を示す図である。一般的なレンズでは、図12の破線や図6に示すように、焦点距離に応じてMTFが単調に低下する。これに対し、レンズの設計によっては、一般的なレンズのように焦点距離によりMTFが単調に低下せず、図12の実線に示すように、中間的な焦点距離までMTFが単調に低下し、その後に高くなるものもある。第2の実施形態は、このようなMTFが焦点距離に対して単調に変化しない特性を有する場合に対して特に好適なものである。即ち、第2の実施形態においては、図12に示すような焦点距離−MTF特性及び図13に示すようなMTF−エッジ強調度特性を予めFlashメモリ118に記憶させておき、撮影時のレンズ101の焦点距離に応じたMTFに対応したエッジ強調度によってエッジ強調処理を行う。
【0055】
図14は本発明の第2の実施形態におけるNR処理及びエッジ強調処理について示すフローチャートである。この処理も、図3のステップS307で行われる画像処理の際に、NR処理部181とエッジ強調処理部182とでそれぞれ行われるNR処理及びエッジ強調処理に係る処理である。なお、図14において、図11と同じステップ番号の処理は同一の処理のため説明を省略する。即ち、ステップS401〜ステップS403のNR処理までは同一である。
【0056】
NR処理の後、マイクロコンピュータ116は、ステップS401で取得した焦点距離に応じたMTFを取得する(ステップS504)。即ち、マイクロコンピュータ116は、Flashメモリ118に記憶されている、レンズ101で設定可能な焦点距離に応じたそれぞれのMTFの、特定の周波数における特性から、撮影時のレンズ101の焦点距離に応じたMTFを取得する。この特定の周波数は、特に限定するものではないが、本発明の第2の実施形態においては、画像データ上で再現可能な最大周波数の半分の周波数としている。その後、マイクロコンピュータ116は、取得したMTFから、図13に示すようなMTF−エッジ強調度特性を用いてエッジ強調度を得る(ステップS505)。なお、この変換は、予めFlashメモリ118にテーブルを記憶しておくことによりテーブルを参照することで行っても、特性を示す変換式をシーケンスに組み込んでおくことで行っても良い。エッジ強調度を取得した後、マイクロコンピュータ116は、取得したエッジ強調度を、バス106を介してエッジ強調処理部182に転送する。これを受けて、エッジ強調処理部182は、ステップS505で取得したエッジ強調度を用いてエッジ強調処理を行う(ステップS506)。
【0057】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、撮影時の焦点距離に応じたNR処理のコントロールが行えるため、画角に応じて被写体の細部を維持しながら、適切なNR処理が行える。また、レンズのMTFに応じてエッジ強調処理のコントロールが行えるため、MTFによらず鮮明な印象を与えるエッジ強調処理が行える。
【0058】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。例えば、上述の各実施形態においては、NR処理の後にエッジ強調処理を行う例について説明したが、エッジ強調処理の後にNR処理を行うようにしても良い。また、NR処理は必ずしもコアリング処理に限るものではない。
【0059】
さらに、前記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、上述したような課題を解決でき、上述したような効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るデジタルスチルカメラのブロック図である。
【図2】コアリング処理に用いる高周波成分減衰特性について示す図である。
【図3】図1に示すデジタルカメラにおける撮影時の処理を示すフローチャートである。
【図4】NR処理部におけるNR処理によるコントラストの変化を示す図である。
【図5】エッジ強調部におけるエッジ強調処理によるコントラストの変化を示す図である。
【図6】レンズの焦点距離に応じたMTFの変化について説明するための図である。
【図7】焦点距離が短い場合でのNR処理とエッジ強調処理によるコントラストの変化を示す図である。
【図8】焦点距離が長い場合でのNR処理とエッジ強調処理によるコントラストの変化を示す図である。
【図9】焦点距離に応じたNR強度の変更について示す図である。
【図10】焦点距離に応じたエッジ強調度の変更について示す図である。
【図11】第1の実施形態におけるNR処理及びエッジ強調処理について示すフローチャートである。
【図12】レンズにより画像データ上で再現可能な最大周波数の半分の周波数における焦点距離に対するMTFの変化の例を示す図である。
【図13】MTF−エッジ強調度特性について示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態におけるNR処理及びエッジ強調処理について示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
101…レンズ、102…レンズ駆動機構、103…撮像素子、104…アナログ処理部、105…アナログ/デジタル(A/D)変換部、106…バス、107…SDRAM、108…画像処理部、109…AE処理部、110…AF処理部、111…JPEG処理部、112…メモリインターフェース(I/F)、113…記録媒体、114…LCDドライバ、115…LCD、116…マイクロコンピュータ、117…操作部、118…Flashメモリ、181…ノイズ低減(NR)処理部、182…エッジ強調処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変焦点レンズと撮像素子を備え、少なくともノイズ低減処理を行うことができる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、可変焦点レンズを備え、ズーム位置に応じて焦点距離と画角とを変更することができるデジタルカメラが開発されている。一般のデジタルカメラは、撮影した画像データに重畳されたノイズを低減するノイズ除去機能と、画像データをより鮮明な印象にするためのエッジ強調機能とを搭載していることが多い。ノイズ除去機能では、ノイズ低減の程度であるノイズ除去強度を強くするとノイズを効果的に低減することができるが、ノイズの除去とともに画像データの細部も失われる傾向がある。また、エッジ強調機能では、エッジ強調度を強くすると鮮明度が向上するが、画像データのノイズも強調される傾向がある。
【0003】
さらに、可変焦点レンズは焦点距離が短いほど、MTF(Modulation Transfer Function)が高く、鮮明な画像データを撮影することができるが、焦点距離が長いほどMTFが低いため、鮮明度が失われた画像データが撮影されてしまう傾向がある。
【0004】
この問題を解決する手法として、特許文献1では、焦点距離に応じ画処理パラメータ、特にエッジ強調パラメータを変更する撮像装置が提案されている。この手法により、MTFが低い焦点距離においてもエッジ強調を強めることで画像の鮮明度を上げることができる。しかしながら、エッジ強調を強めるに従ってノイズも強調される傾向がある。このノイズを抑えるためにはノイズ除去強度を強くする必要があるが、ノイズ除去強度を強くすると画像の細部が失われる傾向がある。
【特許文献1】特開2003−101864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような可変焦点レンズを備えたデジタルカメラは、レンズの焦点距離が短い場合には撮影画角が広いため、撮像素子上に結像する被写体像は、相対的に細かくなる傾向にある。一方、レンズの焦点距離が長い場合には撮影画角が狭いので、被写体像は大きくなる傾向となる。
【0006】
また、撮影データには焦点距離によらないノイズが重畳されるため、ノイズ除去機能を用いてノイズを低減した画像データを作成することが望ましい。しかしながら、ノイズ除去機能は画像データの細部を失う傾向があるため、実際には、撮影時の焦点距離をもとに画角や画像データに重畳されるノイズを考慮して、ノイズ除去機能におけるノイズ除去強度を適切に調節する必要がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、撮影時の焦点距離に応じた適切なノイズ除去を行うことができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様の撮像装置は、焦点距離が可変である可変焦点レンズと、被写体を撮影して画像データを得る撮像部と、前記画像データのノイズをノイズ除去の程度を示すノイズ除去強度に応じて除去するノイズ除去部とを具備し、前記ノイズ除去部は、前記可変焦点レンズの撮影時の焦点距離に応じて、前記ノイズ除去強度を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、焦点距離に応じたノイズ除去機能におけるノイズ除去強度の適切な変更を行うことが可能になる。これにより、画像データにおけるノイズを適切に低減しながらも、画角に応じて被写体の細部を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、本発明の範囲は、以下に説明する実施形態に記載されている構成要素、種類、組み合わせ、形状、相対配置等のみに限定されるものではない。
【0011】
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るデジタルスチルカメラのブロック図である。図1に示すデジタルスチルカメラは、レンズ101と、レンズ駆動機構102と、撮像素子103と、アナログ処理部104と、アナログ/デジタル(A/D)変換部105と、バス106と、SDRAM107と、画像処理部108と、AE処理部109と、AF処理部110と、JPEG処理部111と、メモリインターフェース(I/F)112と、記録媒体113と、LCDドライバ114と、LCD115と、マイクロコンピュータ116と、操作部117と、Flashメモリ118とを有している。
【0012】
レンズ101は、被写体の光学像を撮像素子103に集光させる。このレンズ101は可変焦点レンズであり、マイクロコンピュータ116からの指示に応じて駆動するレンズ駆動機構102によりその光軸方向に移動される。これにより、レンズ101の焦点距離や被写体へのフォーカス状態を変更することが可能である。また、レンズ101の近傍には図示しない絞り機構及びメカシャッター機構が設けられている。マイクロコンピュータ116からの指示に応じて図示しない絞り機構を駆動させることで、被写体の光量を調節することが可能である。また、撮影時には、マイクロコンピュータ116からの指示に応じて図示しないメカシャッター機構を駆動させることで撮像素子103の露光時間を制御することが可能である。
【0013】
なお、レンズ101の設計上、設定できる焦点距離には範囲があり、また、その範囲においても任意の焦点距離を設定できるわけではない。レンズ101の場合には、最短焦点距離をa、最長焦点距離をbとしたときに、例えば、aからbの範囲内において
(b−a)/10
の間隔で、aとbを含め11状態の焦点距離を設定できるものとする。
【0014】
撮像素子103は、ベイヤー配列のカラーフィルタが画素を構成するフォトダイオードの前面に配置された撮像素子である。ベイヤー配列は、水平方向にR画素とG(Gr)画素が交互に配置されたラインと、G(Gb)画素とB画素が交互に配置されたラインとを有し、さらにその2つのラインを垂直方向にも交互に配置することで構成されている。この撮像素子103は、レンズ101により集光された光を、画素を構成するフォトダイオードで受光して光電変換することで、光の量を電荷量としてアナログ処理部104へ出力する。なお、撮像素子103はCMOS方式でもCCD方式でも良い。
【0015】
アナログ処理部104は、撮像素子103から出力された電気信号(アナログ画像信号)に対し、リセットノイズ等を低減した上で波形整形を行い、さらに目的の明るさとなるようゲインアップを行う。A/D変換部105は、アナログ処理部104から出力されるアナログ画像信号をデジタル画像信号(以降、画像データという)に変換する。
【0016】
バス106は、デジタルカメラ内部で発生した各種データをデジタルカメラ内の各部に転送するための転送路である。バス106は、A/D変換部105と、SDRAM107と、画像処理部108と、AE処理部109と、AF処理部110と、JPEG処理部111と、メモリI/F112と、LCDドライバ114と、マイクロコンピュータ116とに接続されている。
【0017】
A/D変換部105で得られた画像データは、バス106を介して一旦SDRAM107に記憶される。SDRAM107は、A/D変換部105において得られた画像データや、画像処理部108、JPEG処理部111において処理された画像データ等の各種データが一時的に記憶される記憶部である。
【0018】
画像処理部108は、ノイズ低減(NR)処理部181とエッジ強調処理部182とを少なくとも含み、さらに図示しないホワイトバランス補正部、色変換処理部、色再現処理部を含む。この画像処理部108は、SDRAM107から読み出した画像データに対し、ホワイトバランス補正処理、色変換処理及び色再現処理、ノイズ低減処理、エッジ強調処理等の画像処理を施す。
【0019】
NR処理部181は、画像データの高周波成分を、ハイパスフィルタを用いて抽出し、抽出した高周波成分における所定の信号レベル範囲の信号を一定の値に集約するようなコアリング処理を行うことでノイズ低減(以降、NRという)処理を行う。コアリング処理に用いる画像データの入出力特性(高周波成分減衰特性)は特に限定するものではない。図2(a)はコアリング処理に用いる高周波成分減衰特性の一例について示す図である。図2(a)の破線はコアリング処理前の画像データの入出力特性を示し、図2(a)の実線はコアリング処理後の画像データの入出力特性を示す。図2(a)の例では、所定の信号レベル範囲の信号を0にし、さらに信号の連続性を維持するために、所定の信号レベル範囲外の信号の絶対値を一律減算したものをコアリング後の信号レベルとする。この所定の信号レベル範囲を調節することで、コアリング処理後の信号レベルが変化し、これによって、NR効果を調節できる。具体的には、図2(b)に示すように、所定の信号レベル範囲を大きく設定するとNR効果が強くなり、図2(c)に示すように、所定の信号レベル範囲を小さく設定するとNR効果が弱くなる。このように、NR強度に応じて所定の信号レベル範囲を設定することで、NRの程度を調整することができる。
【0020】
ここで、コアリング処理に用いる高周波成分減衰特性は図2に示すものに限るものではない。例えば、図2の一点鎖線で示す、コアリング処理の後の画像データにおける高周波成分の最大値がコアリング処理前の画像データにおける高周波成分の最大値と一致するような高周波成分減衰特性を用いても良い。
【0021】
エッジ強調処理部182は、NR処理部181でNR処理が行われた画像データのエッジ成分を、バンドパスフィルタを用いて抽出し、抽出したエッジ成分をエッジ強調の度合いを示すエッジ強調度に応じて増幅することで画像データのエッジ部を強調する。
【0022】
ここで、画像処理部108で画像処理が行われた後の画像データは、ベイヤー配列による画像データから、1画素あたりRGBの情報からなる画像データへ同時化され、同時化された画像データはSDRAM107に記憶される。
【0023】
AE処理部109は、画像データを用いて被写体輝度を算出する。被写体輝度を算出するためのデータは、専用の測光センサの出力であってもよい。AF処理部110は、画像データから高周波成分の信号を取り出しAF(Auto Focus)積算処理により合焦評価値を取得する。
【0024】
JPEG処理部111は、画像データの記録時には、SDRAM107からRGBの画像データを読み出し、読み出した画像データをJPEG圧縮方式に従って圧縮する。圧縮された画像データはSDRAM107に一旦記憶された後、メモリI/F112を介して記録媒体113に記録される。ここで、記録媒体113は、例えばカメラ本体に着脱可能なメモリカードからなる記録媒体であるが、これに限定されるものではない。
【0025】
LCDドライバ114は、LCD115に画像を表示させる。記録媒体113に記録されたJPEG圧縮画像データを再生する場合には、JPEG処理部111は、記録媒体113に記録されているJPEG圧縮画像データを読み出して伸張処理を施した上で、伸張した画像データを一旦SDRAM107に記憶させる。LCDドライバ114は、その画像データをSDRAM107から読み出し、読み出した画像データを映像信号へ変換した後でLCD115へ出力し、画像の表示を行う。
【0026】
マイクロコンピュータ116は、デジタルカメラ本体の各種シーケンスを統括的に制御する。このマイクロコンピュータ116には、操作部117、Flashメモリ118が接続されている。
【0027】
操作部117は、電源ボタン、レリーズボタン、ズームボタン、各種入力キー等の操作部材である。ユーザにより操作部117の何れかの操作部材が操作されることにより、マイクロコンピュータ116は、ユーザの操作に応じた各種シーケンスを実行する。電源ボタンは、当該デジタルカメラの電源のオンオフ指示を行うための操作部材である。電源ボタンが押されたときに、マイクロコンピュータ116は、当該デジタルカメラの電源をオン又はオフする。レリーズボタンは、1stレリーズスイッチと2ndレリーズスイッチの2段スイッチを有して構成されている。レリーズボタンが半押しされて1stレリーズスイッチがオンされた場合に、マイクロコンピュータ116は、AE処理やAF処理等の撮影準備シーケンスを行う。また、レリーズボタンが全押しされて2ndレリーズスイッチがオンされた場合に、マイクロコンピュータ116は撮影シーケンスを実行して撮影を行う。ズームボタンは、ワイドボタンとテレボタンとを有している。ワイドボタンが押された場合に、マイクロコンピュータ116はレンズ駆動シーケンスを実行してレンズ駆動機構102を駆動させ、レンズ101の焦点距離を短焦点距離側に変更する。テレボタンが押された場合に、マイクロコンピュータ116はレンズ駆動シーケンスを実行してレンズ駆動機構102を駆動させ、レンズ101の焦点距離を長焦点距離側に変更する。
【0028】
Flashメモリ118は、焦点距離毎のNR強度及び焦点距離毎のエッジ強調度の他に、デジタルカメラの動作に必要な各種パラメータを記憶している。また、Flashメモリ118は、マイクロコンピュータ116にて実行するプログラムも記憶している。マイクロコンピュータ116は、Flashメモリ118に記憶されているプログラムに従い、またFlashメモリ118から各種シーケンスに必要なパラメータを読み込み、各処理を実行する。
【0029】
図3は、図1に示すデジタルカメラにおける撮影時の処理を示すフローチャートである。
図3において、マイクロコンピュータ116は、ユーザによりレリーズボタンが半押しされて1stレリーズスイッチがオンされたかを判定する(ステップS301)。ステップS301の判定において、1stレリーズスイッチがオンされるまで、マイクロコンピュータ116は、繰り返しステップS301の判定を行う。
【0030】
一方、ステップS301の判定において、1stレリーズスイッチがオンされた場合に、マイクロコンピュータ116は、AF処理を実行する(ステップS302)。即ち、マイクロコンピュータ116は、AF処理部110で得られるAF評価値から、撮像素子103に集光される被写体の像が最も鮮明になるようにレンズ駆動機構102を駆動させてレンズ101のフォーカスを調整する。次に、マイクロコンピュータ116は、AE処理部109において被写体輝度を算出させる(ステップS303)。その後、マイクロコンピュータ116は、AE処理部109において算出された被写体輝度と予めFlashメモリ118に記憶された絞り値とシャッター速決定テーブルに基づき、撮影時の絞り値とシャッター速とを算出する(ステップS304)。
【0031】
次に、マイクロコンピュータ116は、ユーザによりレリーズボタンが全押しされて2ndレリーズスイッチがオンされたかを判定する(ステップS305)。ステップS305の判定において、2ndレリーズスイッチがオンされるまで、マイクロコンピュータ116は、繰り返しステップS305の判定を行う。
【0032】
一方、ステップS305の判定において、2ndレリーズスイッチがオンされた場合に、マイクロコンピュータ116は、ステップS304において算出した絞り値とシャッター速とを用いて図示しない絞り機構とメカシャッター機構とを制御しつつ、撮影を行う(ステップS306)。次に、マイクロコンピュータ116は、画像処理部108により、撮影によって得られた画像データに対し、画像処理を行う(ステップS307)。次に、マイクロコンピュータ116は、JPEG処理部111により、画像処理後の画像データをJPEG圧縮する(ステップS308)。最後に、マイクロコンピュータ116は、JPEG圧縮により得られたJPEG圧縮画像データを記録媒体113に記録させる(ステップS309)。
【0033】
上述のように、図3の処理においては、1stレリーズスイッチがオンすると露出条件の算出等の撮影に必要な条件の算出が実行され、2ndレリーズスイッチがオンすると以後の処理が実行される。
【0034】
次に、図4〜図10を参照して、焦点距離に応じたNR強度とエッジ強調度の特性について説明する。
【0035】
図4は、NR処理部181におけるNR処理によるコントラストの変化を示す図である。図4において、破線で示した曲線は、NR処理前の画像データ上の周波数に応じたコントラストを表している。上述のように、NR処理部181は、画像データの高周波成分の一定信号レベル以下をコアリングする(上述の例では0にする)。これにより、高周波成分のコントラストが低減し、その結果、コントラストは図4に示す実線のようになる。
【0036】
ここで、図4の実線に示すコントラストの低下の度合いは、NR強度に依存する。NR強度を強くすると、コアリングされる信号レベル範囲が大きくなるので高周波成分のコントラストが大きく低下するが、ノイズの低減効果は大きい。一方、NR強度を弱くすると、高周波成分のコントラストは維持されるが、ノイズの低減効果は小さい。
【0037】
図5は、エッジ強調処理部182におけるエッジ強調処理によるコントラストの変化を示す図である。図5において、破線で示した曲線はエッジ強調処理前の画像データ上の周波数に応じたコントラストを表している。上述のように、エッジ強調処理部182は、画像データのエッジ成分を増幅する。これにより、中域の周波数成分のコントラストが増加し、その結果、コントラストは図5に示す実線のようになる。
【0038】
ここで、図5の実線に示すコントラストの増加の度合いは、エッジ強調度に依存する。エッジ強調度を強くすると、よりコントラストが増加し、弱くするとコントラストはあまり増加しない。
【0039】
図6は、レンズ101の焦点距離に応じたMTFの変化について説明するための図である。一般に、可変焦点レンズのMTFは、短焦点ほど高く、長焦点ほど低い。また、MTFの低下の度合いに関しては、レンズの設計に依存するが、一般的には長焦点側ほど大きい。即ち、MTFの低下の度合いは焦点距離の変化に対して非線形である。例えば、図6の例では、焦点距離が最も短い場合のMTFが最も高い。そして、焦点距離が長くなるにつれ、徐々にMTFが低下し、焦点距離が最も長い場合のMTFが最も低い。
【0040】
図7は、焦点距離が短い場合でのNR処理とエッジ強調処理によるコントラストの変化を示す図である。図7において、破線で示した曲線はNR処理及びエッジ強調処理前の画像データ上の周波数に応じたコントラストを表している。高周波になるほどコントラストが低下しているのは、レンズ101のMTFによるものである。なお、撮像素子103の画素数やピッチ等により、画像データ上で表現できる周波数には限界がある。したがって、一定周波数以上のコントラストは0になる。
【0041】
図7において、実線で示した曲線はNR処理及びエッジ強調処理後の画像データ上の周波数に応じたコントラストを表している。NR処理によって高周波数成分における所定の信号レベル範囲内の信号がコアリングされ(ここでは0となる)、その後のエッジ強調処理によって中域の周波数成分のコントラストが増加する。
【0042】
ここで、焦点距離が短い場合(広角撮影)では、細かな被写体を撮影することが多い。この場合、被写体を再現するためには高周波成分を多く必要とする。したがって、NR処理部181でのNR強度を小さめに設定することが望ましい。一方、焦点距離が短いほど、レンズ101のMTFは高いため、エッジ強調を行わなくてもある程度のコントラストは得られる。よって、エッジ強調度は小さめに設定することが望ましい。
【0043】
図8は、焦点距離が長い場合でのNR処理とエッジ強調処理によるコントラストの変化を示す図である。図8において、破線で示した曲線はNR処理及びエッジ強調処理前の画像データ上の周波数に応じたコントラストを表している。高周波になるほどコントラストが低下しているのは、レンズ101のMTFによるものである。上述したように、MTFは長焦点になるほど低下する傾向にあるので、コントラストの低下量も長焦点になるほど大きくなる。
【0044】
図8において、実線で示した曲線はNR処理及びエッジ強調処理後の画像データ上の周波数に応じたコントラストを表している。図7と同様に、NR処理によって高周波数成分における所定の信号レベル範囲内の信号がコアリングされ、その後のエッジ強調処理によって中域の周波数成分のコントラストが増加する。
【0045】
ここで、焦点距離が長い場合(望遠撮影)では、被写体を大きく撮影することが多い。この場合、被写体の高周波成分が少なく、短焦点に比べ高周波成分を必要としない。したがって、NR処理部181でのNR強度は大きめに設定し、ノイズを十分に低減することが望ましい。一方、上述のように焦点距離が長いほどMTFは低いため、エッジ強調度を強めに設定し、コントラストを上げることが望ましい。
【0046】
上述のように、焦点距離に応じて画角が異なり、被写体を再現するために必要な周波数が異なる。したがって、本実施形態では、撮影時のレンズ101の焦点距離に応じて、NR強度を図9のように変化させるように設計する。また、上述のように、一般的に焦点距離が短いほどMTFが高く、焦点距離が長いほどMTFが低くなる。このように、焦点距離とMTFとには相関がある。したがって、コントラストを維持する目的から、撮影時のレンズ101の焦点距離に応じて、エッジ強調度を図10のように変化させるように設計する。
【0047】
ここで、図9に示す焦点距離に応じたNR強度の特性と図10に示すエッジ強調度の特性とは、レンズ101で設定可能な焦点距離(上述の例では11個の焦点距離)に対する特性を算出しておき、それらを予めFlashメモリ118に記憶させておく。撮影時にはレンズ101の焦点距離に対応したNR強度及びエッジ強調度をFlashメモリ118から読み出し、読み出したNR強度及びエッジ強調度に基づいて、NR処理及びエッジ強調処理を行う。
【0048】
図11は、第1の実施形態におけるNR処理及びエッジ強調処理について示すフローチャートである。図11に示す処理は、図3のステップS307で行われる画像処理の際に、NR処理部181とエッジ強調処理部182とでそれぞれ行われるNR処理及びエッジ強調処理に係る処理である。
【0049】
まず、マイクロコンピュータ116は、撮影時のレンズ101の焦点距離を取得する(ステップS401)。レンズ101の焦点距離は、ユーザが操作部117のズームボタンを操作することで変更することが可能である。撮影直前のズームボタンの操作により変更された最後の焦点距離をSDRAM107に一時的に記憶させておくことで、マイクロコンピュータ116は、撮影後に、撮影時の焦点距離を取得することができる。
【0050】
次に、マイクロコンピュータ116は、撮影時のレンズ101の焦点距離に対応したNR強度を取得する(ステップS402)。即ち、マイクロコンピュータ116は、Flashメモリ118に記憶されている焦点距離毎のNR強度から、ステップS401で取得した焦点距離に対応するNR強度を得る。NR強度を取得した後、マイクロコンピュータ116は、取得したNR強度を、バス106を介してNR処理部181に転送する。これを受けて、NR処理部181は、ステップS402で取得されたNR強度に応じたNR処理を行う(ステップS403)。
【0051】
次に、マイクロコンピュータ116は、撮影時のレンズ101の焦点距離に対応したエッジ強調度を取得する(ステップS404)。即ち、マイクロコンピュータ116は、Flashメモリ118に記憶されている焦点距離毎のエッジ強調度から、ステップS401で取得した焦点距離に対応するエッジ強調度を得る。エッジ強調度を取得した後、マイクロコンピュータ116は、取得したエッジ強調度を、バス106を介してエッジ強調処理部182に転送する。これを受けて、エッジ強調処理部182は、ステップS404で取得したエッジ強調度を用いてエッジ強調処理を行う(ステップS405)。
【0052】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、撮影時の焦点距離に応じてNR処理のコントロールを行うことにより、画角に応じて被写体の細部を維持しながら、適切なノイズ除去を行うことができる。また、撮影時の焦点距離に応じてエッジ強調処理のコントロールも行うことにより、画角に応じてノイズが目立たないように、適切なエッジ強調を行うことができる。
【0053】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本発明の第2の実施形態においては、デジタルカメラが図1に示す構成を有し、撮影時には図2に示す処理が行われる。
【0054】
第1の実施形態において説明したように、一般に、可変焦点レンズのMTFは、短焦点ほど高く、長焦点ほど低い。しかしながら、MTFの低下の度合いに関してはレンズの設計に依存し、必ずしも図6のようにMTFが単調に低下する訳ではない。図12は、レンズにより画像データ上で再現可能な最大周波数の半分の周波数における焦点距離に対するMTFの変化の例を示す図である。一般的なレンズでは、図12の破線や図6に示すように、焦点距離に応じてMTFが単調に低下する。これに対し、レンズの設計によっては、一般的なレンズのように焦点距離によりMTFが単調に低下せず、図12の実線に示すように、中間的な焦点距離までMTFが単調に低下し、その後に高くなるものもある。第2の実施形態は、このようなMTFが焦点距離に対して単調に変化しない特性を有する場合に対して特に好適なものである。即ち、第2の実施形態においては、図12に示すような焦点距離−MTF特性及び図13に示すようなMTF−エッジ強調度特性を予めFlashメモリ118に記憶させておき、撮影時のレンズ101の焦点距離に応じたMTFに対応したエッジ強調度によってエッジ強調処理を行う。
【0055】
図14は本発明の第2の実施形態におけるNR処理及びエッジ強調処理について示すフローチャートである。この処理も、図3のステップS307で行われる画像処理の際に、NR処理部181とエッジ強調処理部182とでそれぞれ行われるNR処理及びエッジ強調処理に係る処理である。なお、図14において、図11と同じステップ番号の処理は同一の処理のため説明を省略する。即ち、ステップS401〜ステップS403のNR処理までは同一である。
【0056】
NR処理の後、マイクロコンピュータ116は、ステップS401で取得した焦点距離に応じたMTFを取得する(ステップS504)。即ち、マイクロコンピュータ116は、Flashメモリ118に記憶されている、レンズ101で設定可能な焦点距離に応じたそれぞれのMTFの、特定の周波数における特性から、撮影時のレンズ101の焦点距離に応じたMTFを取得する。この特定の周波数は、特に限定するものではないが、本発明の第2の実施形態においては、画像データ上で再現可能な最大周波数の半分の周波数としている。その後、マイクロコンピュータ116は、取得したMTFから、図13に示すようなMTF−エッジ強調度特性を用いてエッジ強調度を得る(ステップS505)。なお、この変換は、予めFlashメモリ118にテーブルを記憶しておくことによりテーブルを参照することで行っても、特性を示す変換式をシーケンスに組み込んでおくことで行っても良い。エッジ強調度を取得した後、マイクロコンピュータ116は、取得したエッジ強調度を、バス106を介してエッジ強調処理部182に転送する。これを受けて、エッジ強調処理部182は、ステップS505で取得したエッジ強調度を用いてエッジ強調処理を行う(ステップS506)。
【0057】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、撮影時の焦点距離に応じたNR処理のコントロールが行えるため、画角に応じて被写体の細部を維持しながら、適切なNR処理が行える。また、レンズのMTFに応じてエッジ強調処理のコントロールが行えるため、MTFによらず鮮明な印象を与えるエッジ強調処理が行える。
【0058】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。例えば、上述の各実施形態においては、NR処理の後にエッジ強調処理を行う例について説明したが、エッジ強調処理の後にNR処理を行うようにしても良い。また、NR処理は必ずしもコアリング処理に限るものではない。
【0059】
さらに、前記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、上述したような課題を解決でき、上述したような効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るデジタルスチルカメラのブロック図である。
【図2】コアリング処理に用いる高周波成分減衰特性について示す図である。
【図3】図1に示すデジタルカメラにおける撮影時の処理を示すフローチャートである。
【図4】NR処理部におけるNR処理によるコントラストの変化を示す図である。
【図5】エッジ強調部におけるエッジ強調処理によるコントラストの変化を示す図である。
【図6】レンズの焦点距離に応じたMTFの変化について説明するための図である。
【図7】焦点距離が短い場合でのNR処理とエッジ強調処理によるコントラストの変化を示す図である。
【図8】焦点距離が長い場合でのNR処理とエッジ強調処理によるコントラストの変化を示す図である。
【図9】焦点距離に応じたNR強度の変更について示す図である。
【図10】焦点距離に応じたエッジ強調度の変更について示す図である。
【図11】第1の実施形態におけるNR処理及びエッジ強調処理について示すフローチャートである。
【図12】レンズにより画像データ上で再現可能な最大周波数の半分の周波数における焦点距離に対するMTFの変化の例を示す図である。
【図13】MTF−エッジ強調度特性について示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態におけるNR処理及びエッジ強調処理について示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
101…レンズ、102…レンズ駆動機構、103…撮像素子、104…アナログ処理部、105…アナログ/デジタル(A/D)変換部、106…バス、107…SDRAM、108…画像処理部、109…AE処理部、110…AF処理部、111…JPEG処理部、112…メモリインターフェース(I/F)、113…記録媒体、114…LCDドライバ、115…LCD、116…マイクロコンピュータ、117…操作部、118…Flashメモリ、181…ノイズ低減(NR)処理部、182…エッジ強調処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点距離が可変である可変焦点レンズと、
被写体を撮影して画像データを得る撮像部と、
前記画像データのノイズをノイズ除去の程度を示すノイズ除去強度に応じて除去するノイズ除去部と、
を具備し、
前記ノイズ除去部は、前記可変焦点レンズの撮影時の焦点距離に応じて、前記ノイズ除去強度を変更することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記ノイズ除去部は、前記撮影時の焦点距離が短いほど前記ノイズ除去強度を低くし、前記撮影時の焦点距離が長いほど前記ノイズ除去強度を高くすることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記ノイズ除去部は、前記画像データの高周波成分に対応した信号を出力する際の減衰の特性を示す高周波成分減衰特性を前記ノイズ除去強度に応じて変更し、該変更した高周波成分減衰特性に基づき、前記画像データの高周波成分に対応した信号を減衰させることにより前記ノイズ除去を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記高周波成分減衰特性は、前記画像データの所定の信号レベル範囲をコアリングするための特性であり、
前記ノイズ除去部は、前記ノイズ除去強度に応じて前記所定の信号レベル範囲を変更することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記ノイズ除去部は、前記ノイズ除去強度が高いほど前記所定の信号レベル範囲を大きくし、前記ノイズ除去強度が低いほど前記所定の信号レベル範囲を小さくすることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記画像データのエッジ部の強調度合いを示すエッジ強調度に応じて前記画像データのエッジ部を強調するエッジ強調部をさらに具備し、
前記エッジ強調部は、前記撮影時の焦点距離に応じて、前記エッジ強調度合いを変更することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記エッジ強調部は、前記撮影時の焦点距離が短いほど前記エッジ強調度を弱くし、前記撮影時の焦点距離が長いほど前記エッジ強調度を強くすることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記画像データのエッジ部の強調度合いを示すエッジ強調度に応じて前記画像データのエッジ部を強調するエッジ強調部と、
前記可変焦点レンズの焦点距離におけるMTFを予め記憶するMTF記憶部と、
をさらに具備し、
前記エッジ強調部は、前記撮影時の焦点距離に対応した前記MTFを前記MTF記憶部から読み出し、該読み出したMTFに応じて前記エッジ強調度を変更することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記エッジ強調部は、前記読み出したMTFが高いほど前記エッジ強調度を弱くし、前記読み出したMTFが低いほど前記エッジ強調度を強くすることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項1】
焦点距離が可変である可変焦点レンズと、
被写体を撮影して画像データを得る撮像部と、
前記画像データのノイズをノイズ除去の程度を示すノイズ除去強度に応じて除去するノイズ除去部と、
を具備し、
前記ノイズ除去部は、前記可変焦点レンズの撮影時の焦点距離に応じて、前記ノイズ除去強度を変更することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記ノイズ除去部は、前記撮影時の焦点距離が短いほど前記ノイズ除去強度を低くし、前記撮影時の焦点距離が長いほど前記ノイズ除去強度を高くすることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記ノイズ除去部は、前記画像データの高周波成分に対応した信号を出力する際の減衰の特性を示す高周波成分減衰特性を前記ノイズ除去強度に応じて変更し、該変更した高周波成分減衰特性に基づき、前記画像データの高周波成分に対応した信号を減衰させることにより前記ノイズ除去を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記高周波成分減衰特性は、前記画像データの所定の信号レベル範囲をコアリングするための特性であり、
前記ノイズ除去部は、前記ノイズ除去強度に応じて前記所定の信号レベル範囲を変更することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記ノイズ除去部は、前記ノイズ除去強度が高いほど前記所定の信号レベル範囲を大きくし、前記ノイズ除去強度が低いほど前記所定の信号レベル範囲を小さくすることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記画像データのエッジ部の強調度合いを示すエッジ強調度に応じて前記画像データのエッジ部を強調するエッジ強調部をさらに具備し、
前記エッジ強調部は、前記撮影時の焦点距離に応じて、前記エッジ強調度合いを変更することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記エッジ強調部は、前記撮影時の焦点距離が短いほど前記エッジ強調度を弱くし、前記撮影時の焦点距離が長いほど前記エッジ強調度を強くすることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記画像データのエッジ部の強調度合いを示すエッジ強調度に応じて前記画像データのエッジ部を強調するエッジ強調部と、
前記可変焦点レンズの焦点距離におけるMTFを予め記憶するMTF記憶部と、
をさらに具備し、
前記エッジ強調部は、前記撮影時の焦点距離に対応した前記MTFを前記MTF記憶部から読み出し、該読み出したMTFに応じて前記エッジ強調度を変更することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記エッジ強調部は、前記読み出したMTFが高いほど前記エッジ強調度を弱くし、前記読み出したMTFが低いほど前記エッジ強調度を強くすることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−171320(P2009−171320A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8182(P2008−8182)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
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