説明

撮像装置

【課題】 GPS受信部をもつ撮像装置において、撮像装置の通常使用時に、撮像装置上側の人体からのノイズの影響の小さい箇所に受信部を配置することを目的とする。
【解決手段】 撮像光学系を有する第一の筐体に対して回動可能な画像表示部を有する撮像装置において、GPS受信部を回動機構上部に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS受信部を有する撮像装置におけるGPS受信部の配置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車や船舶等の移動体のナビゲーションシステムとして、人工衛星から出力される電波を受信し、これに含まれるGPS(Global Positioning System)信号に基づいて移動体の位置を測定する装置が、特開平4-324384号公報に開示されている。GPSを利用して位置を測定するGPS受信装置は、3個以上の人工衛星からGPS信号を受信し、各人工衛星の航法メッセージ信号から距離データ及び高度データを演算することにより、移動体の位置を検出する。
【0003】
GPSアンテナには、縦横が20〜60ミリ角の正方形や、直径が20〜60ミリの円盤状の、いわゆるパッチアンテナと呼ばれる平面アンテナが採用されている。このような平面アンテナでは、多数のアンテナ素子を集積できるので垂直方向の指向性が極めて高くできている。
【0004】
近年、撮像装置にGPS受信部を接続して、受信した測位情報をその撮像装置に送り、その情報から撮影者及び被写体の位置情報を記録媒体に記録して、利用できる技術がある。
【0005】
上記撮像装置において、GPS受信部は、受信性能を確保する為に、天空に向ける必要がある。また、電波を遮蔽しやすいものに、受信部を遮られると、著しく受信性能が低下する。そのため、撮像装置の通常使用時に、上側に受信部を配置するのが望ましい。また、GPS受信部は人体が近接すると、人体からのノイズの影響によって、受信精度が低下する場合がある。
【0006】
一方、撮像装置の小型化が年々進む中、小型の撮像装置においては、上部に配置できるスペースが限られている。
【0007】
その状況下、GPS受信部を撮像装置の上部に配置しようとすると、図7に示すような配置が考えられる。図中、1025がGPS受信部、1032が使用者の手を示している。使用者がビデオカメラ本体1000を把持した状態では、GPS受信部1025の垂直方向(電波受信側)を使用者の手1032が握り込む可能性がある。その為、GPS受信部1025を使用者の手1032に覆われたような状態では、人体からのノイズで、受信精度が低下し、位置情報を取得できない恐れがある。
【0008】
また、GPS受信部を撮像装置の上部に配置する提案としては、撮像装置のショルダーベルトの肩当にGPS受信部を配置したものがある。(特開2001-228527)この方法では、通常使用時に、GPS受信部が天空を向き、人体の影響も受けることは少ない。しかし、この方法では、ショルダーベルトを外すと使えない。フレキシブルなショルダーベルトの肩当まで、電気的接続をとるのが非常に困難であるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4-324384号公報
【特許文献2】特開2001-228527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明では、GPS受信部をもつ撮像装置において、撮像装置の通常使用時に、撮像装置上側の人体からのノイズの影響の小さい箇所に受信部を配置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の撮像装置は、撮像光学系およびGPSを有し、撮像光学系を有する第一の筐体に対して回動可能な画像表示部を有する撮像装置において、GPS受信部が回動機構上部に配置されたことを特徴としている。
【0012】
また、本発明の他の特徴とするところは、GPS受信部の受信方向と回動機構の軸方向を平行に配設したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、GPS受信部を内蔵する撮像装置において、画像表示部の回動機構上部にGPS受信部を配置することにより、撮像装置の通常使用時において、撮像装置上側の人体からの電気ノイズの影響を減ずることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態を説明するブロック図。
【図2】本発明の第1の実施形態の前方(被撮影者側)左側から見た外観斜視図。
【図3】本発明の第1の実施形態の後方(撮影者側)右側から見た外観斜視図。
【図4】本発明の第1の実施形態の内部構成を説明する図。
【図5】GPS受信部の配置を説明する詳細図。
【図6】GPS受信部の電波受信状況を説明する図。
【図7】従来のGPS受信部の電波受信状況を説明する詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例1)
図1は、本発明の第1の実施形態におけるビデオカメラの構成を示すブロック図、図2は本発明の第1の実施形態におけるビデオカメラの表示部が閉じた状態で、前方(被撮影者側)左側から見た外観斜視図、図3は同ビデオカメラの表示部が閉じた状態で、後方(撮影者側)右側から見た外観斜視図である。
【0016】
ビデオカメラ本体100は、図1に示すように、フォーカス及びズーム等の光学制御系を含む光学レンズ群及び絞りからなるレンズ101、CCDなどの撮像素子を含む撮像部102、カメラ信号処理部103、圧縮伸張処理部104、表示部105、表示部開閉検知スイッチ124、記録再生処理部106、カード制御部107、大容量内部メモリ制御部108、マイクロフォン109、音声信号処理部110、メモリ111、メモリ制御部112、CPU113、操作部114、デジタルI/F115、入出力部116、電源制御部117を備えている。また、各機能ブロックはそれぞれデータバス118を介して互いにデータ通信可能に接続されている。
【0017】
このようなビデオカメラ本体100において、メモリ111は、プログラム記憶領域とデータ作業領域を有し、データバス118を介して各機能ブロックでタイム・シェアリングして使用され、メモリ制御部112により制御及び管理されている。
【0018】
CPU113は所定のプログラムを実行すること等により、ビデオカメラ本体100全体を統括制御する中央演算処理回路である。
【0019】
表示部開閉検知スイッチ124は、ON/OFFスイッチで表示部105が撮像装置本体100に対して開いている場合にはOFF、閉じている場合にはONとなって、表示部105の開閉を検出する。表示部105開いている場合(スイッチOFFの場合)には、表示部105に画像を表示し、閉じている場合(スイッチONの場合)には表示部105に画像を表示しない。
【0020】
操作部114は、図2及び図3の114a、114b、114c、114d等の操作キーなどを有し、ユーザーからのキー操作などに基づいて、CPU113に対して動作指示する機能を有する。
【0021】
ここで、各操作キーの機能について、図2及び図3を用いて説明する。
【0022】
114aはレンズの画角をワイド側又はテレ側に変化させるズーム操作を行うためのズームツマミ、114bは静止画の記録を行う静止画撮影ボタンであり、半押しと全押し操作が可能な2段階スイッチである。
【0023】
114cは電源ダイヤルであり、回転動作することで電源オフ、撮影モード、再生モードを切り替えることが可能である。
【0024】
114dは動画撮影ボタンであり、押圧動作することで、動画撮影のスタート/ストップを行うことが可能である。
【0025】
メモリーカード119は、SDカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)等の脱着式のフラッシュメモリーであり、撮影データ及び音声データが記録される。
【0026】
電源制御部117は、バッテリ検出回路、DC-DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成されており、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行う。バッテリ123は、リチウムイオン電池等であり、ビデオカメラ本体100に電源を供給する。
【0027】
次に、本発明の第1の実施形態におけるビデオカメラの撮影動作及び記録動作、再生動作について説明する。
【0028】
例えば、操作部114により撮影動作及び記録動作が指示された場合、被写体からの光は、レンズ101により所定の明るさ、画角、及びフォーカス等が制御された光学信号となって撮像部102に対して入力される。撮像部102は入力光学信号を電気信号に変換し、カメラ信号処理部103に出力する。カメラ信号処理部103はこの電気信号をデジタル画像信号に変換する。そして、この画像信号に対して、色分離、階調補正、及びホワイトバランス調整などの信号処理を施した後出力する。音声信号処理部110は、マイクロフォン109より入力された音声信号を所定レベルにゲインコントロールしてデジタル化することで、音声データとして出力する。
【0029】
圧縮伸張処理部104は、カメラ信号処理部103から出力された画像データ及び音声信号処理部110から出力された音声データを所定の圧縮符号化方式により圧縮符号化する。表示部105は、図2及び図3に示す表示部105により構成され、圧縮伸張処理部104で圧縮符号化対象の撮影データを表示する。また、表示部105は、必要に応じてビデオカメラ本体100の動作状況をオンスクリーン・ディスプレイ情報として表示する。
【0030】
記録再生処理部106は、圧縮伸張処理部104で得られた圧縮符号化後のデータに対して、エラー訂正符号化処理や変調処理等を施し、更に同期、IDなどのデータを付加して記録に適した形態に変換した後、大容量内部メモリ120あるいはメモリーカード119等の記録媒体に記録する。この際、大容量内部メモリ制御部108は大容量内部メモリ120の記録制御を、カード制御部107はメモリーカード119の記録制御をおこなう。
【0031】
一方、操作部114により再生動作が指示された場合、記録再生処理部106は、大容量内部メモリ120またはメモリーカード119から読み出したデータから元のデジタルデータを検出し、エラー訂正及び復調等の処理を施す。また、PLL回路によりこの再生データに同期したクロックを生成する。
【0032】
圧縮伸張処理部104は、記録再生処理部106より出力されたデータに対して、所定の圧縮符号化方式に対応した伸張処理を施し、圧縮符号化前の撮影データ及び音声データを取得する。表示部105は、圧縮伸張処理部104で得られた再生データを表示する。
【0033】
また操作部114によりデジタルI/F115からの入力データを記録する指示があった場合、CPU113はデジタルI/F115により、外部装置121からの画像データあるいは音声データをデジタル信号の状態で入力し、記録再生処理部106に送る。この際、外部装置121からの画像データ、音声データは既に符号化されているものとし、記録再生処理部106は前述のようにこの入力データに対して記録に必要な処理を施して大容量内部メモリ120やメモリーカード119などの記録媒体に記録する。
【0034】
また操作部114により、入出力部116からの入力信号を記録する指示があった場合、CPU113は入出力部116を制御し、外部装置122から出力された画像、音声信号を入力する。入出力部116は外部装置122から出力された画像、音声信号をデジタルデータに変換してメモリ111に出力する。CPU113はこのメモリ111に記憶された画像、音声データを圧縮伸張処理部104に出力して圧縮符号化し、記録再生処理部106に送る。記録再生処理部106は前述の様にこの符号化されたデータに対して記録に必要な処理を施して大容量内部メモリ120やメモリーカード119などの記録媒体に記録する。
【0035】
GPS受信部125は、GPS衛星140から前記GPS衛星140の位置、電波の送信時刻、及び補正係数などを含む信号を受信し、受信した信号をアンプ126にて増幅し、CPU113に出力する。このデータを元に、CPU113は最低3つのGPS衛星140からの距離を算出し、GPS受信部125の位置やその位置における時刻を算出する。この撮像装置では、算出した位置情報や時刻情報を画像データとともに記録媒体にする。再生時には、この位置情報や時刻情報を参照することができ、データや記憶の整理に利用可能である。
【0036】
本発明の第1の実施形態におけるGPS受信部125の配置及びその周辺の構成を図4、5を参照して説明する。図4は図2に示す外観斜視図の外装部分を透明とし、内部構成を説明する図、図5はGPS受信部125の配置を説明する詳細図である。
【0037】
図2に示すように本発明の撮像装置は、ビデオカメラ本体100にフォーカス及びズーム等の光学制御系を含む光学レンズ群及び絞りからなるレンズ101を備え、前記ビデオカメラ本体100に回動可能に取り付けられた表示部105を有する。
【0038】
前記表示部105は回動機構128によりビデオカメラ本体101に対して開閉及び回転可能となっている。
【0039】
前記回動機構128の上部にはGPS受信部125が設けてあり、GPS受信部125は基板127に実装され、GPS受信部125の電波受信方向と回動機構128の開閉回転軸が平行となるよう配設されている。前記基板127は基板保持部材129にビスを介して取り付けられており、基板保持部材129は回動機構128の取り付け部に取り付けられている。また、前記基板127はフレキシブルケーブル130によりメイン基板131と電気的に接続されている。
【0040】
図6はGPS受信部125を回動機構128の上部に設けた撮像装置の電波受信状態を説明する図である。図中140a〜cは人工衛星、132は使用者がビデオカメラ本体100を把持した状態の手を示している。前記撮像装置の通常使用状態において、前記GPS受信部125を前記回動機構128の上部に配設している為、ビデオカメラ本体100を使用者が把持した状態であっても、GPS受信部125は使用者の手132が把持する範囲に掛からない。
【0041】
以上より、通常使用時において、GPS受信部125を回動機構128の上部に配設することにより、GPS受信性能を確保できる。また、GPS受信部125を把持する範囲に掛からない位置に配設することにより、GPS受信部125が人体が接することがなく、人体からのノイズの影響による受信精度の低下が発生しない。
【符号の説明】
【0042】
100,1000 ビデオカメラ本体
101,1001 レンズ
102 撮像部
103 カメラ信号処理部
104 圧縮伸張処理部
105,1005 表示部
106 記録再生処理部
107 カード制御部
108 大容量内部メモリ制御部
109 マイクロフォン
110 音声信号処理部
111 メモリ
112 メモリ制御部
113 CPU
114,1014 操作部
115 デジタルI/F
116 入出力部
117 電源制御部
118 データバス
119 メモリーカード
120 大容量内部メモリ
121 外部装置
122 外部装置
123,1023 バッテリ
124 表示部開閉検知スイッチ
125,1025 GPS受信部
126 アンプ
127 GPS基板
128 回動機構
129 保持部材
130 フレキシブルケーブル
131 メイン基板
132,1032 使用者の手
140a,b,c,1040a,b,c 人工衛星

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS受信部を有し、第一の筐体に対して回動可能な回動機構を介して取り付けされた画像表示部を有する撮像装置において、GPS受信部が回動機構上部に配置されたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記回動機構は回転軸を有し、前記GPS受信部のGPS信号受信方向と回転軸の軸方向を平行に配設したことと特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記回動機構が、前記第一の筐体に対して前記画像表示部の開閉機能を有する軸であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
撮像光学系を有する撮像装置であって、前記GPS受信部のGPS信号受信方向と撮像光学系の光軸方向が直交していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−219898(P2010−219898A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64434(P2009−64434)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】