撮像装置
【課題】撮像装置に対する傾斜検出手段の位置関係が当初設定された状態とは変化した場合であっても、適切な撮像装置の傾斜としての傾斜情報を生成することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像部と傾きセンサ111とそれを保持するセンサ保持部材と表示部16と記憶媒体とを有する撮像装置10である。その角度情報を出力する角度出力手段と基準角度読出手段と傾き情報出力手段と傾き情報を表示部に表示する表示手段とを備え、状態情報取得手段と状態判断手段と基準角度更新動作を行う基準角度更新手段と、を有し、状態判断手段が、所定の状態情報が所定の範囲内にあると判断した場合は、基準角度更新手段は、基準角度更新動作を行い、状態判断手段が、所定の状態情報が所定の範囲内にないと判断した場合は、基準角度更新手段は、基準角度更新動作を行わない。
【解決手段】撮像部と傾きセンサ111とそれを保持するセンサ保持部材と表示部16と記憶媒体とを有する撮像装置10である。その角度情報を出力する角度出力手段と基準角度読出手段と傾き情報出力手段と傾き情報を表示部に表示する表示手段とを備え、状態情報取得手段と状態判断手段と基準角度更新動作を行う基準角度更新手段と、を有し、状態判断手段が、所定の状態情報が所定の範囲内にあると判断した場合は、基準角度更新手段は、基準角度更新動作を行い、状態判断手段が、所定の状態情報が所定の範囲内にないと判断した場合は、基準角度更新手段は、基準角度更新動作を行わない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像手段からの取得画像を表示する画像表示画面が設けられた撮像装置であって、特に、撮像装置の傾きを示す傾き表示を画像表示画面に表示可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置では、水平面に対して傾きのない画像を取得したいという要望があることから、傾きのない画像を取得することを支援するための様々な機能を備えたものが考えられている。
【0003】
その一例として、撮影の際に画像表示画面に表示される取得画像の一部に棒状の図柄を表示するとともに、その棒状の図柄上を水準器のように動くマーカーを表示することで、使用者が撮像装置の姿勢すなわち取得画像の傾斜状態を認識することを支援する撮像装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、画像表示画面に水平状態を示すべく画像表示画面を横切る基準線と、現在の撮像装置の姿勢を示すべく画像表示画面を横切る撮影補助線とを表示することで、使用者が撮像装置の姿勢すなわち取得画像の傾斜状態を認識することを支援する撮像装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、設定されるモードに応じて、傾斜検出手段により検出された傾斜情報に相応する傾斜ガイド表示を画像表示画面上に表示するか否かを制御することで、モードに応じて適宜傾斜のない画像を取得することを支援する撮像装置がある(例えば、特許文献3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記した各撮像装置では、傾斜検出手段からの検出結果に基づいて撮像装置の傾斜情報を生成することから、撮像装置に対する傾斜検出手段の位置関係が当初設定された状態から変化してしまうと、生成された傾斜情報と実際の撮像装置の傾斜とに差異が生じてしまう。詳細には、各撮像装置では、撮像装置が水平状態であるときの傾斜検出手段が出力する検出結果、すなわち傾斜検出手段自体の傾斜角度を基準角度として設定し、当該基準角度と傾斜検出手段自体の傾斜角度との差に基づいて、撮像装置の傾斜としての傾斜情報を生成している。このことから、上記したように当初設定された位置関係ではなくなると、傾斜検出手段自体の傾斜角度が基準角度となっても撮像装置が水平状態ではないので、生成する撮像装置の傾斜としての傾斜情報が、実際の撮像装置の傾斜と一致しなくなってしまう。
【0007】
このため、撮像装置に対して当初設定された位置関係ではない傾斜検出手段からの検出結果に基づいて、実際の撮像装置の傾斜に一致する傾斜情報の生成を可能とするために、変化後の位置関係に適合する新たな基準角度を設定する機能を設けることが考えられる。
【0008】
また、傾斜検出手段は、当初想定された条件とは大きく異なる条件下では、自らの傾斜角度としての検出結果の精度が低下してしまう場合がある。このように、精度が低下した条件下では新たな基準角度の設定を行わず、適切な条件下でのみ新たな基準角度の設定を行うことにより、この新たな基準角度に基づいて生成される撮像装置の傾斜としての傾斜情報の精度をより良好なものとすることができる。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みて為されたもので、撮像装置に対する傾斜検出手段の位置関係が当初設定された状態とは変化した場合であっても、適切な撮像装置の傾斜としての傾斜情報を生成することができる撮像装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、レンズを通過した光による被写体像を撮像する撮像部と、傾きを検出する傾きセンサと、前記傾きセンサを保持するセンサ保持部材と、表示部と、所定の基準角度情報が記録された記憶媒体と、を有する撮像装置において、前記傾きセンサの出力に基づいて前記撮像装置の角度情報を出力する角度出力手段と、前記所定の基準角度情報を前記記憶媒体から読み出す基準角度読出手段と、前記角度出力手段が出力した角度情報と、前記基準角度読出手段で読み出した前記所定の基準角度情報とを比較した結果に基づいて前記撮像装置の傾き情報を出力する傾き情報出力手段と、前記傾き情報を前記表示部に表示する表示手段とを備え、前記撮像装置の所定の状態情報を取得する状態情報取得手段と、前記所定の状態情報が所定の範囲内にあるか判断する状態判断手段と、前記状態判断手段の判断結果に基づいて、前記角度出力手段が出力した角度情報を基準角度情報として前記記憶媒体に記録する基準角度更新動作を行う基準角度更新手段と、を有し、前記状態判断手段が、前記所定の状態情報が前記所定の範囲内にあると判断した場合は、前記基準角度更新手段は、前記基準角度更新動作を行い、前記状態判断手段が、前記所定の状態情報が前記所定の範囲内にないと判断した場合は、前記基準角度更新手段は、前記基準角度更新動作を行わないことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の撮像装置であって、前記傾きセンサは、加速度センサであることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、温度を検出する温度検出手段と、前記所定の基準角度情報が前記記憶媒体に記録された時に前記温度検出手段が検出した温度を、基準温度として記憶媒体に記録する基準温度記録手段と、前記基準温度を読み出す基準温度読出手段と、前記温度検出手段が検出する温度と前記基準角度読出手段が読み出した前記基準温度とを比較した結果に基づいて温度差情報を出力する温度比較手段を有し、前記状態情報取得手段は、前記温度差情報を前記所定の状態情報として取得し、前記状態判断手段は、前記温度差情報が前記所定の範囲内にあるか判断することを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置であって、重力方向をY軸としたXYZ直交座標系から見て、前記撮像装置を前記レンズの光軸がZ軸と平行になるように保持した場合、前記撮像装置のX軸まわりの回転角度の情報をピッチ角情報、前記撮像装置のZ軸周りの回転角度の情報をロール角情報とし、前記角度出力手段は、前記ピッチ角情報と前記ロール角情報のうち、少なくとも一方を出力することを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の撮像装置であって、前記角度出力手段は、前記ロール角情報および前記ピッチ角情報を出力し、前記基準角度更新手段は前記ロール角情報を基準角度として前記記憶媒体に記録する前記基準角度更新動作を行い、前記状態情報取得手段は前記角度出力手段が出力したピッチ角情報を前記所定の状態情報として取得し、前記判断手段は、前記ピッチ角情報が所定の範囲の範囲内にあるか判断することを特徴とする。
【0015】
請求項6に係る発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の撮像装置であって、前記判断手段が、前記状態情報が前記所定の範囲の範囲内にないと判断したとき、前記状態情報が前記所定の範囲の範囲内にない旨を報知する報知部を有することを特徴とする。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の撮像装置であって、前記撮像装置は、前記撮像部が撮像した前記被写体像を前記表示部に表示する画像表示手段を有し、前記表示手段は、前記傾き情報を、前記画像表示手段が表示する前記被写体像と同時に前記表示部に表示することを特徴とする。
【0017】
請求項8に係る発明は、請求項6に記載の撮像装置であって、前記撮像装置は、前記撮像部が撮像した前記被写体像を前記表示部に表示する画像表示手段を有し、前記表示手段は、前記傾き情報を、前記被写体像に重畳して表示することを特徴とする。
【0018】
請求項9に係る発明は、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の撮像装置であって、撮影指示受付部と、被写体像記憶媒体とを有し、前記撮影指示受付部が撮影指示を受け付けた場合、前記撮像部が撮像した画像データを被写体像記憶媒体に記録することを特徴とする。
【0019】
請求項10に係る発明は、傾きを検出する傾きセンサと、前記傾きセンサを保持するセンサ保持部材と、表示部と、基準角度情報を記憶する記憶媒体と、を備え、前記傾きセンサの出力に基づいて前記撮像装置の角度情報を出力する角度出力手段と、前記基準角度情報を前記記憶媒体から読み出す基準角度読出手段と、前記角度出力手段が出力した角度情報と、前記基準角度読出手段で読み出した前記基準角度情報とを比較した結果に基づいて前記撮像装置の傾き情報を出力する傾き情報出力手段と、前記傾き情報を前記表示部に表示する表示手段と、前記角度出力手段が出力した角度情報を基準角度情報として前記記憶媒体に記録する基準角度更新動作を行う基準角度更新手段とを有する撮像装置の基準角度更新方法であって、前記撮像装置の所定の状態情報を取得する状態情報取得工程と、前記状態情報が所定の範囲内にあるか判断する状態判断工程と、前記状態判断工程において前記状態情報が前記所定の範囲内にないと判断した場合、前記基準角度更新手段は、前記基準角度更新動作を中止する基準角度更新動作中止工程と、を有することを特徴とする。
【0020】
請求項11に係る発明は、傾きを検出する傾きセンサと、前記傾きセンサを保持するセンサ保持部材と、表示部と、基準角度情報を記憶する記憶媒体と、を有する電子機器において、前記傾きセンサの出力に基づいて前記撮像装置の角度情報を出力する角度出力手段と、前記基準角度情報を前記記憶媒体から読み出す基準角度読出手段と、前記角度出力手段が出力した角度情報と、前記基準角度読出手段で読み出した前記基準角度情報とを比較した結果に基づいて前記電子機器の傾き情報を出力する傾き情報出力手段と、前記傾き情報を前記表示部に表示する表示手段と、を備え、前記撮像装置の所定の状態情報を取得する状態情報取得手段と、前記状態情報が所定の範囲内にあるか判断する状態判断手段と、前記状態判断手段の判断結果に基づいて、前記角度出力手段が出力した角度情報を基準角度情報として前記記憶媒体に記録する基準角度更新動作を行う基準角度更新手段と、を有し、前記状態判断手段が、前記状態情報が前記所定の範囲内にないと判断した場合、前記基準角度記録手段は、前記記録動作を行わないことを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決するため、請求項12に係る発明は、撮像装置本体に設けられた撮像手段と、前記撮像装置本体に設けられ前記撮像手段が取得した画像が表示される画像表示画面と、前記撮像装置本体に設けられ水平方向に対する傾斜を検出する傾斜検出手段と、該傾斜検知手段からの検出結果を前記撮像装置本体に対する前記傾斜検出手段の位置関係を示す基準角度を用いて前記撮像装置本体の傾斜情報を生成する傾斜情報生成手段と、前記傾斜情報を前記画像表示画面に表示させる傾斜情報表示制御手段と、新たな基準角度を設定する基準角度更新手段と、を備える撮像装置であって、前記基準角度更新手段は、前記傾斜検出手段が適切な傾斜の検出を可能とする可能条件を満たすものであるときにのみ、前記傾斜検出手段からの検出結果に基づいて前記新たな基準角度を設定することを特徴とする。
【0022】
請求項13に係る発明は、請求項12に記載の撮像装置であって、前記傾斜検出手段は、加速度センサであり、前記可能条件は、前記傾斜検出手段の周辺温度が所定の範囲内であることを特徴とする。
【0023】
請求項14に係る発明は、請求項13に記載の撮像装置であって、前記所定の範囲は、前記基準角度が設定された際の前記傾斜検出手段の周辺温度を基準として設定されていることを特徴とする。
【0024】
請求項15に係る発明は、請求項12ないし請求項14のいずれか1項に記載の撮像装置であって、前記撮像装置本体において、前記撮像手段の光軸方向をZ方向とし、光軸方向が水平面に沿う状態における鉛直方向をY方向とし、Y−Z平面に直交する方向をX方向として、前記傾斜情報生成手段は、前記傾斜情報として、前記撮像装置本体のZ方向周りの傾きであるロール角度および前記撮像装置本体のX方向周りの傾きであるピッチ角度のうち、少なくともいずれか一方を生成することを特徴とする。
【0025】
請求項16に係る発明は、請求項15に記載の撮像装置であって、前記傾斜検出手段は、加速度センサであり、前記可能条件は、前記傾斜検出手段自体のピッチ角度が閾値以下であることを特徴とする。
【0026】
請求項17に係る発明は、請求項12ないし請求項16のいずれか1項に記載の撮像装置であって、前記傾斜情報表示制御手段は、前記傾斜検出手段からの検出結果に基づく前記新たな基準角度を設定しない場合、前記傾斜検出手段が前記可能条件を満たすものではないことを前記画像表示画面に表示させることを特徴とする。
【0027】
請求項18に係る発明は、請求項12ないし請求項17のいずれか1項に記載の撮像装置であって、前記傾斜情報表示制御手段は、前記傾斜情報を前記取得画像と同時に前記画像表示画面に表示させることを特徴とする。
【0028】
請求項19に係る発明は、請求項12ないし請求項18のいずれか1項に記載の撮像装置であって、前記傾斜情報表示制御手段は、前記傾斜情報を前記取得画像に重ねて前記画像表示画面に表示させることを特徴とする。
【0029】
請求項20に係る発明は、請求項12ないし請求項19のいずれか1項に記載の撮像装置であって、さらに、撮影指示受付部と、前記撮像手段が取得した画像データを格納する記憶手段とを備え、前記記憶手段には、前記撮影指示受付部が撮影指示の指令を受けた場合に、前記画像データが格納されることを特徴とする。
【0030】
請求項21に係る発明は、撮像装置本体に設けられた撮像手段と、前記撮像装置本体に設けられ前記撮像手段が取得した画像が表示される画像表示画面と、前記撮像装置本体に設けられ水平方向に対する傾斜を検出する傾斜検出手段と、該傾斜検知手段からの検出結果を前記撮像装置本体に対する前記傾斜検出手段の位置関係を示す基準角度を用いて前記撮像装置本体の傾斜情報を生成する傾斜情報生成手段と、前記傾斜情報を前記画像表示画面に表示させる傾斜情報表示制御手段と、新たな基準角度を設定する基準角度更新手段と、を備える撮像装置における新たな基準角度の設定方法であって、前記基準角度更新手段は、前記傾斜検出手段からの検出結果に基づく暫定基準角度を設定する工程と、前記傾斜検出手段が適切な傾斜の検出を可能とする可能条件を満たすか否かを判断する工程と、前記可能条件を満たした場合に前記暫定基準角度を前記新たな基準角度として採用する工程と、前記可能条件を満たしていない場合に前記暫定基準角度を前記新たな基準角度として採用しない工程と、を有することを特徴とする。
【0031】
請求項22に係る発明は、撮像装置本体と、該撮像装置本体に設けられ任意の画像が表示される画像表示画面と、前記撮像装置本体に設けられ水平方向に対する傾斜を検出する傾斜検出手段と、該傾斜検知手段からの検出結果を前記撮像装置本体に対する前記傾斜検出手段の位置関係を示す基準角度を用いて前記撮像装置本体の傾斜情報を生成する傾斜情報生成手段と、前記傾斜情報を前記画像表示画面に表示させる傾斜情報表示制御手段と、新たな基準角度を設定する基準角度更新手段と、を備える電子機器であって、前記基準角度更新手段は、前記傾斜検出手段が適切な傾斜の検出を可能とする可能条件を満たすものであるときにのみ、前記傾斜検出手段からの検出結果に基づいて前記新たな基準角度を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る撮像装置では、所定の状態情報が所定の範囲にあるときにのみ、基準角度更新手段が基準角度更新動作を行うので、撮像装置に対する傾斜検出手段の位置関係が当初設定された状態とは変化した場合であっても、適切な撮像装置の傾斜としての傾斜情報を生成することができる。
【0033】
上記した構成に加えて、前記傾きセンサは、加速度センサであることとすると、加速度センサからの信頼性の低い検出結果に基づいて新たな基準角度を設定することを防止することができる。
【0034】
上記した構成に加えて、温度を検出する温度検出手段と、前記所定の基準角度情報が前記記憶媒体に記録された時に前記温度検出手段が検出した温度を、基準温度として記憶媒体に記録する基準温度記録手段と、前記基準温度を読み出す基準温度読出手段と、前記温度検出手段が検出する温度と前記基準角度読出手段が読み出した前記基準温度とを比較した結果に基づいて温度差情報を出力する温度比較手段を有し、前記状態情報取得手段は、前記温度差情報を前記所定の状態情報として取得し、前記状態判断手段は、前記温度差情報が前記所定の範囲内にあるか判断することとすると、より信頼性の高い検出結果に基づいて新たな基準角度を設定することを防止することができる。
【0035】
上記した構成に加えて、重力方向をY軸としたXYZ直交座標系から見て、前記撮像装置を前記レンズの光軸がZ軸と平行になるように保持した場合、前記撮像装置のX軸まわりの回転角度の情報をピッチ角情報、前記撮像装置のZ軸周りの回転角度の情報をロール角情報とし、前記角度出力手段は、前記ピッチ角情報と前記ロール角情報のうち、少なくとも一方を出力することとすると、撮影時に求められる傾斜情報を画像表示画面に表示させることができる。
【0036】
上記した構成に加えて、前記角度出力手段は、前記ロール角情報および前記ピッチ角情報を出力し、前記基準角度更新手段は前記ロール角情報を基準角度として前記記憶媒体に記録する前記基準角度更新動作を行い、前記状態情報取得手段は前記角度出力手段が出力したピッチ角情報を前記所定の状態情報として取得し、前記判断手段は、前記ピッチ角情報が所定の範囲の範囲内にあるか判断することとすると、加速度センサからの信頼性の低い検出結果に基づいて新たな基準角度を設定することを防止することができる。
【0037】
上記した構成に加えて、前記判断手段が、前記状態情報が前記所定の範囲の範囲内にないと判断したとき、前記状態情報が前記所定の範囲の範囲内にない旨を報知する報知部を有することとすると、使用者は、新たな基準角度を設定できなかったことを容易に認識することができる。
【0038】
上記した構成に加えて、前記撮像装置は、前記撮像部が撮像した前記被写体像を前記表示部に表示する画像表示手段を有し、前記表示手段は、前記傾き情報を、前記画像表示手段が表示する前記被写体像と同時に前記表示部に表示することとすると、傾斜情報を表示することによる利便性をより高めることができる。
【0039】
上記した構成に加えて、前記撮像装置は、前記撮像部が撮像した前記被写体像を前記表示部に表示する画像表示手段を有し、前記表示手段は、前記傾き情報を、前記被写体像に重畳して表示することとすると、傾斜情報を表示することによる利便性をより高めることができる。
【0040】
上記した構成に加えて、撮影指示受付部と、被写体像記憶媒体とを有し、前記撮影指示受付部が撮影指示を受け付けた場合、前記撮像部が撮像した画像データを被写体像記憶媒体に記録することとすると、使用者が望む画像を取得させることができる。
【0041】
撮像装置本体に設けられた撮像手段と、前記撮像装置本体に設けられ前記撮像手段が取得した画像が表示される画像表示画面と、前記撮像装置本体に設けられ水平方向に対する傾斜を検出する傾斜検出手段と、該傾斜検知手段からの検出結果を前記撮像装置本体に対する前記傾斜検出手段の位置関係を示す基準角度を用いて前記撮像装置本体の傾斜情報を生成する傾斜情報生成手段と、前記傾斜情報を前記画像表示画面に表示させる傾斜情報表示制御手段と、新たな基準角度を設定する基準角度更新手段と、を備える撮像装置であって、前記基準角度更新手段は、前記傾斜検出手段が適切な傾斜の検出を可能とする可能条件を満たすものであるときにのみ、前記傾斜検出手段からの検出結果に基づいて前記新たな基準角度を設定することとすると、新たに基準角度を設定する際、傾斜検出手段が適切な検出を可能とする可能条件を満たすものであるときにのみ、傾斜検出手段からの検出結果に基づいて新たな基準角度を設定するので、撮像装置に対する傾斜検出手段の位置関係が当初設定された状態とは変化した場合であっても、適切な撮像装置の傾斜としての傾斜情報を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の撮像装置の一実施形態を模式的に示す正面図である。
【図2】本発明の撮像装置の一実施形態を模式的に示す背面図である。
【図3】本発明の撮像装置の一実施形態を模式的に示す上面図である。
【図4】本発明の撮像装置のシステム構成を示す全体構成図である。
【図5】撮像装置の傾きを説明するための説明図である。
【図6】撮像装置がロール方向に傾いた状態の例を示す説明図であり、(a)はロール角度が0度の状態を示し、(b)はロール角度が45度の状態を示し、(c)はロール角度が180度の状態を示す。
【図7】撮像装置に搭載された傾斜検出手段の一例を示す模式図である。トである。
【図8】撮像装置の画像表示画面に表示された傾斜情報の一例を示す説明図である。
【図9】撮像装置の画像表示画面に表示された操作メニューの一例を示す説明図である。
【図10】撮像装置における新たな基準角度の設定ための制御処理を示すフローチャー
【図11】本発明の撮像装置の作用を説明するための模式図であり、(a)は初期設定の位置関係が維持されている状態を示し、(b)は初期設定の位置関係が変化した状態を示し、(c)は変化後の状態でロール方向に傾斜された状態を示し、(d)は変化後の状態で新たな基準角度を設定する様子を示す。
【実施例】
【0043】
以下に、本発明に係る撮像装置の一例について図面を参照しつつ説明する。
【0044】
図1〜図3は、本発明の撮像装置10の一実施形態を模式的に示す外観図であり、図1は正面図、図2は背面図、図3は上面図である。以下の説明では、各図に矢印で示すように、撮像装置10において、撮影光軸方向OをZ方向とし、正面視(図1参照)した高さ方向をY方向とし、Y―Z平面に直交する方向をX方向とする。また、以下の説明では、中央演算処理ユニットを「CPU」、液晶表示素子からなる表示装置を「LCD」、電荷結合素子からなる撮像素子を「CCD」という。さらに、以下の説明では、図1に記載された側を正面11a、図2に記載された側を背面11b、図3に記載された側を上面11c、撮像装置10自体で見て光軸方向右側(X方向プラス側とする)を右側面11e、左側を左側面11dと称する。
【0045】
この撮像装置10は、デジタルスチルカメラである。撮像装置10は、図1〜図3に示すように、全体に直方体形状を呈する本体ケース(撮像装置本体)11により外形が形作られており、その正面11aに、ストロボ発光部12、測距ユニット13、光学ファインダ14が設けられている。また、正面11aの中央付近には、撮影レンズを含む鏡胴ユニット15が配設されている。
【0046】
本体ケース11の上面11cには、レリーズスイッチ(シャッタレリーズ釦)SW1、モードダイヤルSW2、第1ジョグダイヤルSW3が配設されている。
【0047】
本体ケース11の背面11bには、LCDモニタ16と、第2ジョグダイヤルSW4と、ズームスイッチ[TELE]SW5と、ズームスイッチ[WIDE]SW6と、上方向指示スイッチSW7と、右方向指示スイッチSW8と、OKスイッチSW9と、左指示スイッチSW10と、マクロスイッチを兼ねた下方向指示スイッチSW11と、ディスプレイスイッチSW12と、削除スイッチSW13と、メニュースイッチSW14と、電源スイッチSW15と、光学ファインダ14の接眼部14aと、が配設されている。このLCDモニタ16は、X方向およびY方向と縦横の方向が一致するように設けられた横長(X方向に長い)の矩形状の画像表示画面16aを有し、後述するように、取得画像や操作メニュー等を表示することができる。なお、本明細書では、上記各種スイッチSW1〜SW15を一括して示す場合、操作キーユニットという。この操作キーユニットは、使用者が操作する操作キーである。本体ケース11の右側面11eには、電池の交換等のための開閉可能な電池蓋17が設けられている。
【0048】
撮像装置10では、上記方向指示スイッチSW7、SW8、SW10、SW11を適宜操作することにより、各種機能を選択することができ、レリーズスイッチSW1を押圧操作することにより被写体を撮影することができる。また、撮像装置10では、LCDモニタ16の画像表示画面16aに画像を映し出しつつ被写体を撮影することができる。なお、本発明に係る撮像装置の外観は、必ずしも本実施例に限定されるものではなく、他の外観を備えていてもよい。
【0049】
撮像装置10の各部材の機能および作用は、公知であるので、その説明は省略することにし、次に撮像装置内部のシステム構成を図4に基づいて説明する。図4は、本発明の撮像装置10のシステム構成を示す全体構成図である。
【0050】
CCD101は、光学画像を光電変換するための固体撮像素子である。F/E(フロントエンド)−IC102は、CDS102−1と、AGC102−2と、A/D変換器102−3と、TG(タイミングジェネレータ)102−4と、を有している。CDS102−1は、画像ノイズ除去用相関二重サンプリングを行う。AGC102−2は、利得調整を行う。A/D変換器102−3は、アナログ信号をデジタル信号に変換する。TG102−4は、後述するデジタルスチルカメラプロセッサ104に含まれるCCD1信号処理ブロック104−1から垂直同期信号VD、水平同期信号HDが供給され、CPUブロック104−3によって制御されて、上記CCD101とF/E−IC102の駆動タイミング信号を発生する。
【0051】
鏡胴ユニット15は、上述したように、撮像装置10において、本体ケース11の正面11aに設けられている。鏡胴ユニット15は、ズーム光学系15−1と、フォーカス光学系15−2と、絞りユニット15−3と、メカシャッタユニット15−4と、モータドライバ15−5と、を有する。ズーム光学系15−1は、被写体の光学画像を取り込むズームレンズ15−1aと、ズーム駆動モータ15−1bと、からなる。フォーカス光学系15−2は、フォーカスレンズ15−2aと、フォーカス駆動モータ15−2bと、からなる。絞りユニット15−3は、絞り15−3aと、絞り駆動モータ15−3bと、からなる。メカシャッタユニット15−4は、メカシャッタ15−4aと、メカシャッタ駆動モータ15−4bと、からなる。モータドライバ15−5は、鏡胴ユニット15の各モータを駆動する。
【0052】
撮像装置10では、メカシャッタ15−4aのシャッター操作により、被写体光がズームレンズ15−1a、フォーカスレンズ15−2a、絞り15−3aを通して撮像素子101に受光される(撮像手段)。
【0053】
デジタルスチルカメラプロセッサ104は、CCD101から入力されF/E―IC102から出力されるデータにホワイトバランス設定やガンマ設定を行う。このデジタルスチルカメラプロセッサ104は、CCD1信号処理ブロック104−1、CCD2信号処理ブロック104−2、CPUブロック104−3、ローカルSRAM104−4、USBブロック104−5、シリアルブロック104−6、JPEG CODECブロック104−7、リサイズブロック104−8、TV信号表示ブロック104−9、およびメモリカードコントローラブロック104−10、I2Cブロック104−11を有する。CCD1信号処理ブロック104−1は、前述したように、TG102−4に、垂直同期信号VD、水平同期信号HDを供給する。CCD2信号処理ブロック104−2は、フィルタリング処理により輝度データ・色差データへの変換を行う。CPUブロック104−3、前述した装置各部の動作を制御する。ローカルSRAM104−4は、前述した制御に必要なデータ等を一時的に保存する。USBブロック104−5は、パソコンなどの外部機器とUSB通信を行う。シリアルブロック104−6は、パソコンなどの外部機器とシリアル通信を行う。JPEG CODECブロック104−7は、JPEG圧縮・伸張を行う。リサイズブロック104−8は、画像データのサイズを補間処理により拡大/縮小する。TV信号表示ブロック104−9は、画像データを液晶モニタやTVなどの外部表示機器に表示するためのビデオ信号に変換する。メモリカードコントローラブロック104−10は、撮影された画像データを記録するメモリカードの制御を行う。
【0054】
SDRAM103は、前述したデジタルスチルカメラプロセッサ104で画像データに各種処理を施す際に、画像データを一時的に保存するものである。保存される画像データは、例えば、CCD101からF/E−IC102を経由して取り込まれ、CCD1信号処理ブロック104−1でホワイトバランス設定およびガンマ設定が行われた状態の「RAW−RGB画像データ」や、CCD2信号処理ブロック104−2で輝度データ・色差データ変換が行われた状態の「YUV画像データ」や、JPEG CODECブロック(104−7)でJPEG圧縮された「JPEG画像データ」等である。
【0055】
内蔵メモリ107は、撮影して得られた画像データを記憶できるようにするためのメモリである。
【0056】
LCDドライバ108は、LCDモニタ16を駆動するドライブ回路であり、TV信号表示ブロック104−9から出力されたビデオ信号を、LCDモニタ16に表示するための信号に変換する機能も有している。LCDモニタ16は、撮影前に被写体の状態を監視する、撮影した画像を確認する、メモリカードや前述した内臓メモリ107に記録した画像データを表示する、など、各種表示を行うためのモニタである。ビデオAMP118は、TV信号表示ブロック104−9から出力されたビデオ信号を、75Ωインピーダンス変換するためのアンプである。ビデオジャック110は、TV等の外部表示機器と接続するためのジャックである。
【0057】
操作Key(キー)ユニット(SW1〜15)は、ユーザーが操作するキー回路であり、上述した各スイッチSW1〜15がこれに該当する。SUB−CPU105は、ROMおよびRAMをワンチップに内蔵した中央演算処理ユニット(CPU)であり、操作キーユニット(SW1〜15)等の出力信号をユーザーの操作情報として、前述したCPUブロック104−3に出力する。また、SUB−CPU105は、時刻をカウントするRTC(Real Time Clock)112と通信することにより、時間を制御する。
【0058】
本発明に係る撮像装置10は、上記した構成に加えて加速度センサ111を備える。加速度センサ111は、基本的には加速度を計測可能なものであり、重力方向を検出することすなわち重力方向に対する傾斜度合いを計測することもできる。このため加速度センサ111は、傾斜検出手段として機能する。この加速度センサ111は、プリント回路基板(PCB(Printed Circuit Board))上に実装され、直交する2軸x、y方向の加速度データと温度情報とをI2Cブロック104−11に出力する。デジタルスチルカメラプロセッサ104は、I2Cブロック104−11を介して加速度センサ111とシリアル通信し、取得したデータからカメラの傾きを演算し、後述するロール角度の傾き情報をLCDモニタ16等に撮影画像と重畳して表示する。カメラの傾きの演算は、例えばCPUブロック104−3が行う。なお、本実施例では、後述するように、可能条件の判断のために加速度センサ111から出力される温度情報を用いているが、傾斜検出手段(加速度センサ111)の雰囲気温度を検出するものであれば、他に温度検出手段を設けるものであってもよい。
【0059】
この加速度センサ111について詳細に説明する。ここで、図5に示すように、鏡胴ユニット15の光軸方向(Z方向)周りにおける重力方向に対する本体ケース11(撮像装置10)の傾きをロール方向の傾き(ロール角度)とし、ロール角度が無い(0度)の状態において光軸方向に直交する方向(X方向)周りにおける重力方向に対する本体ケース11(撮像装置10)の傾きをピッチ方向の傾き(ピッチ角度)とする。撮像装置10では、ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きとのそれぞれについて、後述する基準角度が設定されており、それに基づく傾斜情報を生成し表示するが、基本的には同様の処理を行うものであることから、以下では理解容易のため、ピッチ方向の傾きが無い状態でのロール方向の傾きについて説明する。
【0060】
上記のようにロール方向が定義されていることから、撮像装置10では、本体ケース11の背面11b側から見て、図6(a)に示すように、本体ケース11のX方向が水平面(水平方向)Hと平行な状態がロール方向の傾斜が無いもの(ロール角度が0度)となり、図6(b)に示すように、本体ケース11のX方向が水平面Hに対して45度の角度を為す状態がロール方向に45度傾斜したもの(ロール角度が45度)となり、図6(c)に示すように、本体ケース11の上下が反転してX方向が水平面Hと平行な状態がロール方向に180(−180)度傾斜したもの(ロール角度が180(−180)度)となる。
【0061】
加速度センサ111は、2軸x、y方向を本体ケース11のX−Y平面上にあるものとすると、水平状態に対するロール角度(後述する傾斜角度θs)は以下の式で表される。
【0062】
θs[deg]=(180/π)*arctan((y−y0)/(x−x0))
ここで、xは、x軸方向の出力値(加速度)であり、yは、y軸方向の出力値(加速度)である。また、x0は、重力が無い状態におけるx軸方向の出力値であり、y0は、重力が無い状態におけるy軸方向の出力値である。なお、ピッチ角度を検出する場合には、3軸とする、すなわち上記したものと同様にz軸方向の出力値を用いればよい。
【0063】
加速度センサ111としては、例えば、ピエゾ抵抗型、静電容量型、熱検知型等の半導体式加速度センサを用いることができる。この実施形態では、図7に示すように、熱感知型の加速度センサが用いられている。加速度センサ111は、図示を略すカバー部材により密封された空間内において、中央にヒータ111aが設けられ、そのヒータ111aから等しい距離でヒータ111aを挟んで対向するように複数の熱感知センサ111bが設けられて構成されている。この加速度センサ111を用いることにより、ヒータ111aに熱せられた中央の空気が加速度に応じて位置を変えることにより生じた熱分布の不均一性、すなわちヒータ111aを挟んで対向する両熱感知センサ111bが検知した温度差に基づいて、加速度を検出することができる。
【0064】
この実施形態では、加速度センサ111は、本体ケース11内に配設された基板(図示せず)上に設けられ、本体ケース11(撮像装置10)に対して、そのX−Y平面上であって、x軸方向がX方向に対して45度傾斜する(y軸方向もY方向に対して45度傾斜)ように、配設されている。なお、この実施形態では、後の作用の説明を容易とするために、x軸方向においてX−Y平面の第3象限側を正方向とし、y軸方向においてX−Y平面の第4象限側を正方向とする。
【0065】
CPUブロック104−3は、次のように本体ケース11(撮像装置10)の傾斜としての傾斜情報、すなわち加速度センサ111からの検出結果に基づいて、加速度センサ111自体の傾斜角度θsを演算し、この傾斜角度θsから傾斜情報(後述する傾斜報知表示Iとしてのロール角度θd)を生成する(傾斜情報生成手段)。
【0066】
先ず、撮像装置10では、初期設定として、X−Y平面上に配設された加速度センサ111からの検出結果によりピッチ方向に傾斜しておらず(ピッチ角度が0度)、かつ横長の構図(横位置)で見た長尺方向が水平面と平行となる画像をCCD101が取得する状態を、ロール方向への傾斜が無い状態とし、その状態における加速度センサ111から出力される検出結果に基づいて演算された加速度センサ111自体の傾斜角度θsを基準角度θbpとする。この初期設定は、撮像装置毎に調整されており、例えば、製造工程において行われる。
【0067】
CPUブロック104−3は、加速度センサ111からの検出結果に基づく当該加速度センサ111の傾斜角度θsを、基準角度θbpを用いて本体ケース11(撮像装置10)の傾斜に換算することにより、ロール角度θdを生成する。すなわち、加速度センサ111の傾斜角度θsが基準角度θbpである場合、ロール角度θdが0度(ロール方向に傾斜していない水平状態)となり、加速度センサ111の傾斜角度θsと基準角度θbpとに差がある場合、その差分がロール角度θdとなる。
【0068】
本発明に係る撮像装置10では、このようにして検知された傾斜度合いを、図8に示すように、CPUブロック104−3の制御下で、LCDモニタ16の画像表示画面16aにおいて、取得画像に重ねて表示する傾斜報知表示Iにより報知する(傾斜情報表示制御手段)。この傾斜報知表示Iは、水平面に対して傾きのない画像を取得したいという要望に応える(または、任意の角度で画像を取得したいという要望に応える)ために、傾きのない画像を取得することを支援するものである。ここで、水平面に対して傾きのない画像を取得したいという要望は、例えば、水平線または地平線が構図に存在する場合、またはテーブル上の料理を撮影する場合等では、傾きが画像の見栄えを大きく左右することがあることによる。
【0069】
傾斜報知表示Iは、X方向に延在するように画像表示画面16aに表示される。なお、撮像装置において、横置き画像と縦置き画像とを判断する構成とした場合、傾斜報知表示Iは、横置き画像の際はX方向に延在するように、かつ縦置き画像の際はY方向に延在する(図示せず)ように、画像表示画面16aに表示されるものとしてもよい。傾斜報知表示Iでは、延在方向(X方向)で見た中央を中心としその両側に等しい間隔で正面視右側をプラスとしかつ左側をマイナスとしてロール角度を示す表示枠If上で、CPUブロック104−3が演算(生成)したロール角度θdに相当する位置に指標Imを重ねて表示することにより、ロール角度θdを一見して認識可能とするものである。ここで、本体ケース11(撮像装置10)において右側面11e側が上方へと向かうようにロールする方向をロール角度のプラス側としている。このため、傾斜報知表示Iでは、本体ケース11が傾斜されることによりLCDモニタ16の画像表示画面16aにおいて上方へと変位された側へと、そのロール角度に応じて表示枠If上を指標Imが移動するように表示され、この態様が、液体中の気泡により傾きを検知する水準器の気泡の動きと似通うものとなることから、使用者にとって馴染みのあるものとなり、傾斜度合いの認識をより容易なものとすることができる。
【0070】
なお、傾斜報知表示Iでは、表示枠If上の中央に指標Imが位置している場合、すなわちロール方向への傾斜が無い状態(水平状態)である場合には、水平状態であることを報知する表示態様とすることで、水平状態であることの把握をより容易なものとすることができる。また、この実施形態では、ピッチ方向の傾きが無い状態でのロール方向の傾きについて説明していることから、ロール角度を表示する傾斜報知表示をX方向に延在するように画像表示画面16aに表示していたが、例えば、併せてピッチ角度表示する傾斜報知表示をY方向に延在するように画像表示画面16aに表示することもできる。
【0071】
本願発明の撮像装置10では、初期設定としての基準角度θbpとは別に新たな基準角度θbnを設定可能なものとされている。LCDモニタ16(画像表示画面16a)には、図9に示すように、CPUブロック104−3の制御下において、この設定のためのメニュー画面が表示可能とされている。このメニュー画面で、基準角度設定が選択されると、デフォルトとカスタムとの選択表示が為され、そのうちのカスタムが選択されると、前回調整角度と調整モードとの選択表示が為され、調整モードが選択されると、CPUブロック104−3が調整モードすなわち新たな基準角度θbnの設定のための制御処理(図10のフローチャート)を開始する。
【0072】
以下、CPUブロック104−3における新たな基準角度θbnの設定のための制御処理の一例である図10のフローチャート(基準角度設定(更新)手段)の各ステップについて説明する。
【0073】
ステップS1では、検出精度向上制御を開始して、ステップS2へ進む。このステップS1では、加速度センサ111により検出される検出結果の精度、すなわちそれに基づき演算される傾斜角度θsの精度を高めるための制御を開始する。これは、後述するように、演算した加速度センサ111自体の傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定することによる。検出精度向上制御としては、加速度センサ111からの検出結果に基づいて加速度センサ111自体の傾斜角度θsを演算する際、データを取得する時間間隔を狭めることによりサンプリング数を増加したり、平均化処理の回数を増加したりすることが挙げられる。
【0074】
ステップS2では、ステップS1での検出精度向上制御の開始に続き、設定要求が為されたか否かを判断し、Yesの場合はステップS3へ進み、Noの場合はステップS2を繰り返す。このステップS2では、設定要求、すなわち現状の傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定する要求が為されたか否かを判断し、当該要求が為されるとその判断時点における加速度センサ111自体の傾斜角度θsを記憶(例えば、内蔵メモリ(107)に格納する)して、ステップS3へ進む。この設定要求は、操作Keyユニット(SW1〜15)に為された操作、例えば、OKスイッチSW9への押圧操作が挙げられる。
【0075】
ステップS3では、ステップS2での設定要求が為されたとの判断に続き、雰囲気温度Tが所定の範囲内であるか否かを判断し、Yesの場合はステップS4へ進み、Noの場合はステップS6へ進む(温度比較手段)。このステップS3では、加速度センサ111から出力された雰囲気温度Tが、所定の範囲内であるか否かを判断する。この所定の範囲とは、現状の雰囲気温度Tと初期設定が為された際の雰囲気温度Tp(基準温度)との差に起因して加速度センサ111が適切に検出結果を出せなくなる虞がある温度範囲に設定されている。この実施例では、初期設定が為された際の雰囲気温度Tpに対して、±5℃に設定されている。すなわち、ステップS3は、初期設定時の温度(雰囲気温度Tp)を基準とする判断時点での温度(雰囲気温度T)の温度差における閾値を定めたものであり、Tp−5≦雰囲気温度T≦Tp+5、であるか否かを判断している。
【0076】
ステップS4では、ステップS3での雰囲気温度Tが所定の範囲内であるとの判断に続き、ピッチ角度が閾値以下であるか否かを判断し、Yesの場合はステップS5へ進み、Noの場合はステップS6へ進む(角度比較手段)。このステップS4では、加速度センサ111からの検出結果に基づいて演算されたピッチ角度が、閾値以下であるか否かを判断する。この閾値とは、加速度センサ111がピッチ方向へと傾斜されることに起因して、当該加速度センサ111が適切に検出結果を出せなくなる虞がある角度である。この実施例では、±60度に設定されている。すなわち、ステップS4は、検出する方向とは異なる方向への傾斜の制限を定めたものであり、|ピッチ角度|≦60、であるか否かを判断している。
【0077】
ステップS5では、ステップS4でのピッチ角度が閾値以下であるとの判断に続き、ステップS2において記憶した要求判断時点における加速度センサ111からの検出結果に基づく傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定して、ステップS7へ進む。このステップS5では、雰囲気温度Tが所定の範囲内であり(ステップS3)かつピッチ角度が閾値以下である(ステップS4)ことから、設定要求が為された時点(正確には設定要求が為されたことを判断した時点)での傾斜角度θs(ステップS2で記憶した傾斜角度θs)の精度が十分に良いものと判断し、当該傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定する。このため、雰囲気温度Tが所定の範囲内であることと、ピッチ角度が閾値以下であることとは、加速度センサ111が適切な検出を可能とする可能条件となる。すなわち、雰囲気温度Tと加速度センサ111のピッチ角度とが、所定の状態情報となる。また、ステップS2で記憶した傾斜角度θsが、暫定基準角度となる。
【0078】
ステップS6では、ステップS3での雰囲気温度Tが所定の範囲内ではないとの判断、あるいは、ステップS4でのピッチ角度が閾値以下ではないとの判断に続き、警告表示制御を実行し、ステップS7へ進む。このステップS6では、雰囲気温度Tが所定の範囲内ではない、またはピッチ角度が閾値以下ではないことから、設定要求が為された時点での傾斜角度θsの精度が良くないものと判断し、当該傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定することを許可せずに、LCDモニタ16(画像表示画面16a)にて警告表示する。この警告表示は、設定要求が為された時点での傾斜角度θsを、新たな基準角度θbnとして設定することができないことを認識させるものであれば良い。また、この警告表示は、雰囲気温度Tが所定の範囲内ではないことに基づくものであるのか、ピッチ角度が閾値以下ではないことに基づくものであるのか、を認識させるものであってもよい。これは、ピッチ角度が閾値以下ではないことに基づくものである場合、使用者が再度設定作業と行う際に、容易に解消できるものであることによる。
【0079】
ステップS7では、ステップS5での新たな基準角度θbnとして設定、あるいは、ステップS6での警告表示制御を実行に続き、検出精度向上制御を終了して、新たな基準角度θbnの設定のための制御処理を終了する。このとき、ステップS5で設定した新たな基準角度θbnを記憶(例えば、内蔵メモリ(107)に格納する)する。これにより、上述したメニュー画面(図9参照)において、基準角度設定→カスタムと選択された後の前回調整角度と調整モードとの選択表示において、前回調整角度が選択することにより、この設定した新たな基準角度θbnを用いることが可能となる。
【0080】
なお、この図10のフローチャートでは、ステップS6での警告表示制御の後、ステップS7へと進んで、新たな基準角度θbnの設定のための制御処理を終了するものとされていたが、ステップS6での警告表示制御の後、ステップS2へと戻り、新たな基準角度θbnの設定のための制御処理を継続するものであってもよい。
【0081】
この新たな基準角度θbnの設定のための制御処理(図10のフローチャート)が終了することにより、撮像装置10では、図8に示すように、当該新たな基準角度θbnを用いた傾斜報知表示IがLCDモニタ16の画像表示画面16aに表示される。具体的には、CPUブロック104−3は、上述したように、加速度センサ111の傾斜角度θsを、基準角度θbpから見た角度に換算することによりロール角度θdを演算(傾斜情報を生成)し、傾斜報知表示Iにおいて、表示枠If上のロール角度θdに相当する位置に指標Imを表示させる。これにより、当該新たな基準角度θbnを用いた傾斜報知表示IがLCDモニタ16の画像表示画面16aに表示される。
【0082】
撮像装置10では、上述したように、加速度センサ111からの検出結果に基づいて、自ら(本体ケース11)のロール方向への傾斜を示す傾斜情報としてのロール角度θdを生成する。すなわち、加速度センサ111の傾斜角度θsを、基準角度θbpから見た角度に換算して、ロール角度θdを演算する。この基準角度θbpは、本体ケース11内における(そこに取り付けられた撮像素子としてのCCD101に対する)加速度センサ111の位置関係、すなわち本体ケース11内に配設されたCCD101における取得する画像で見た水平方向に対する加速度センサ111の2軸x、yの位置関係を示すものであり、各撮像装置毎の公差に応じて調整されて初期設定されている。以下では、理解容易のために、CCD101における取得する画像で見た水平方向および垂直方向と光軸方向(O)とが、本体ケース11のXYZ方向に一致しているものとして概念的に説明する。また、加速度センサ111のx軸に対して座標中心から鉛直方向下側へ向かう方向の為す角度を、加速度センサ111のロール方向への傾斜角度θsとする。
【0083】
撮像装置10では、上述したように、図11(a)に示すように、本体ケース11に対して、そのX−Y平面上であって、x軸方向がX方向に対して45度傾斜する(y軸方向もY方向に対して45度傾斜)ように、加速度センサ111が配設されており、初期設定時においてこの状態からズレが無かったものとする。ここで、x軸方向においてX−Y平面の第3象限側を正方向とし、y軸方向においてX−Y平面の第4象限側を正方向とする。
【0084】
このため、撮像装置10では、本体ケース11が実際に水平状態とされている場合、加速度センサ111からの検出結果、すなわち加速度センサ111の傾斜角度θsは45度となるので、初期設定としての基準角度θbpが45度とされている。
【0085】
ここで、何らかの外的要因、例えば、図示を略すUSBコネクタにケーブルが装着される際、想定したものよりも遥かに大きな力が付与されること、撮像装置10自体が落下されること、等により、本体ケース11に対する加速度センサ111の位置関係、すなわち本体ケース11内における加速度センサ111の角度関係が、当初設定されたものから変化してしまうと、生成する傾斜情報(ロール角度θd)と実際の撮像装置10の傾斜(ロール角度θr)とに差異が生じてしまう。この例として、図11(b)〜(d)に示すように、加速度センサ111のx軸方向が、本体ケース11のX−Y平面上で、ロール方向のマイナス側へと3度ずれたものとする(矢印A参照)。なお、図11では、理解容易のため、ずれ量(マイナス側へ3度)を誇張して示している。
【0086】
すると、撮像装置10では、図11(b)に示すように、本体ケース11が実際に水平状態とされていても、加速度センサ111からの検出結果すなわち加速度センサ111自体の傾斜角度θsは48度となることから、CPUブロック104−3は、傾斜角度θsを基準角度θbp(=45度)から見た角度に換算することにより、傾斜情報として−3度のロール角度θdを生成する。このため、実際の撮像装置10の傾斜であるロール角度θrが0度であるにも拘らず、図示は略すが、LCDモニタ16の画像表示画面16aに表示される傾斜報知表示Iでは、−3度として表示(表示枠If上の指標Imの位置が−3度)してしまう。
【0087】
また、上記した状態の撮像装置10では、図11(c)に示すように、本体ケース11がロール方向プラス側に3度傾斜されていても、加速度センサ111からの検出結果すなわち加速度センサ111自体の傾斜角度θsが45度となることから、CPUブロック104−3は、45度の基準角度θbpから見た角度に換算することにより、傾斜情報として0度のロール角度θdを生成する。このため、実際の撮像装置10の傾斜であるロール角度θrが3度であるにも拘らず、図示は略すが、LCDモニタ16の画像表示画面16aに表示される傾斜報知表示Iでは、0度として表示すなわち水平状態と表示されてしまう。このため、何らかの対策により、本体ケース11に対する加速度センサ111の位置関係が当初設定されたものから変化してしまった場合であっても、傾斜情報として、実際の撮像装置10の傾斜であるロール角度θrに等しいロール角度θdを生成可能なものとすることが望ましい。
【0088】
そこで、本発明に係る撮像装置10では、基本的に、使用者が実際の撮像装置10の傾斜状態に応じて新たな基準角度θbnを設定することを可能とし、この設定した新たな基準角度θbnを用いて傾斜情報としてのロール角度θdを生成することにより、実際の撮像装置10の傾斜であるロール角度θrに等しいロール角度θdを生成可能としている。
【0089】
ところが、加速度センサ111は、当初想定された条件(初期設定としての基準角度θbpが設定された条件)とは大きく異なる条件下では、検出結果の精度が低下する、すなわち自らの傾斜として信頼性の低い傾斜角度θsが演算される虞がある。本実施例では、加速度センサ111が熱感知型の加速度センサであることから、上述したように、熱分布の不均一性(分布態様)すなわち複数の熱感知センサ111bが検知した温度差に基づいて加速度を検出するので、加速度センサ111では、感度に温度依存性がある。
【0090】
また、加速度センサ111を用いると、ヒータ111aに熱せられた中央の空気が重力加速度に応じて位置を変えることにより生じた熱分布の不均一性に基づいて検出した重力加速度から傾斜を検出(演算)するため、ある方向に大きく傾斜された状態ではその傾斜方向へと熱せられた空気の偏りが生じてしまうので、そことは異なる方向の傾斜に対する熱分布の寄与が小さくなってしまい、異なる方向で見た熱分布の不均一性を小さなものとして検出してしまう虞がある。例えば、加速度センサ111のx−y平面に対して直交するz軸方向周りの傾斜(本実施例では、撮像装置10で見たロール方向の傾斜)を検出する場合、当該z軸が鉛直方向に近づくように加速度センサ111が大きく傾斜されると、z軸方向周りの傾斜としての検出結果の信頼性が低くなってしまう。
【0091】
なお、他の形式の加速度センサ、例えば、ピエゾ抵抗型や静電容量型の半導体式加速度センサでも、温度特性を有し感度に温度依存性があるとともに、ある方向に大きく傾斜された場合、異なる方向の傾斜の検出結果に影響を与えるので、当初想定された条件(初期設定としての基準角度θbpが設定された条件)とは大きく異なる条件下では、検出結果の精度が低下する、すなわち自らの傾斜として信頼性の低い傾斜角度θsが演算される虞がある。
【0092】
このように、出力する検出結果の信頼性が低くなる状態では、等しい傾斜状態であっても、加速度センサ111から出力される検出結果に基づく傾斜角度θsの値のばらつきが大きくなってしまう(異なる値が出力されるとともにその差異が大きくなる)。
【0093】
このように、信頼性の低い傾斜角度θsに基づいて新たな基準角度θbnを設定してしまうと、この基準角度θbnを用いて生成された傾斜情報としてのロール角度θdの信頼性(精度)が低くなってしまい、傾斜情報として、実際の撮像装置10の傾斜であるロール角度θrに等しいロール角度θdを生成できなくなってしまう。
【0094】
このため、何らかの対策により、新たに設定する基準角度θbnを信頼性(精度)の高いものとする必要がある。
【0095】
本発明に係る撮像装置10では、使用者が実際の撮像装置10の傾斜状態に応じて新たな基準角度θbnを設定することを可能とし、この設定した新たな基準角度θbnを用いて傾斜情報としてのロール角度θdを生成することができ、その新たな基準角度θbnを設定する際に、一定の制限を設けることにより、新たに設定する基準角度θbnを信頼性(精度)の高いものとする。この一定の制限とは、傾斜検出手段(加速度センサ111)が適切に傾斜を検出可能な条件下である(可能条件を満たす)場合にのみ、新たな基準角度θbnを設定することを許可するものである。
【0096】
すなわち、撮像装置10では、メニュー画面で調整モードが選択されると、新たな基準角度θbnの設定のための制御処理が開始され、図10のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2へと進み、ステップS2において新たな基準角度θbnとして設定する要求が為されることを待つ。これは、使用者により本体ケース11(撮像装置10)の水平状態を判断させるためである。ステップS2において新たな基準角度θbnとして設定する要求が為されると、ステップS3において雰囲気温度Tが所定の範囲内であるか否かを判断し、ステップS4においてピッチ角度が閾値以下であるか否かを判断し、雰囲気温度Tが所定の範囲内でありかつピッチ角度が閾値以下である場合にのみステップS5へと進み、設定要求が為された際の傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定する。このため、ステップS2において新たな基準角度θbnの設定要求をすることは、新たな基準角度θbnとして設定する傾斜角度θsを決定することとなる。ここで、実際の本体ケース11(撮像装置10)の傾斜であるロール角度θrは、使用者が認識するものであることから、結果として、新たな基準角度θbnを用いて生成されたロール角度θdは、実際の撮像装置10の傾斜であるロール角度θrに等しいものとなる。
【0097】
また、雰囲気温度Tが所定の範囲内ではない、またはピッチ角度が閾値以下ではない場合には、ステップS6へと進み、設定要求が為された際の傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定せず、その旨(警告表示制御)をLCDモニタ16の画像表示画面16aに表示させる。
【0098】
このため、使用者は、調整モードを選択した後、例えば、LCDモニタ16の画像表示画面16a(光学ファインダ14や本体ケース11自体でも同様である)を見ながら、本体ケース11(撮像装置10)が水平状態となったと判断したときに、設定要求(例えば、OKスイッチSW9への押圧操作)することで、自らが判断した水平状態を基準としたロール方向への傾斜度合いを傾斜報知表示Iに表示させることができる。上記した例では、図11(d)に示すように、本体ケース11(撮像装置10)が水平状態とされると、加速度センサ111からの検出結果すなわち加速度センサ111自体の傾斜角度θsは48度となり、雰囲気温度Tが所定の範囲内でありかつピッチ角度が閾値以下である場合、この48度が新たな基準角度θbnとして設定される。すると、撮像装置10では、図11(b)に示すように、本体ケース11が実際に水平状態とされると、加速度センサ111自体の傾斜角度θsが48度であることから、CPUブロック104−3は、傾斜角度θsを48度の基準角度θbpから見た角度に換算することにより、傾斜情報として0度のロール角度θdを生成する。また、上記した状態の撮像装置10では、図11(c)に示すように、本体ケース11がロール方向プラス側に3度傾斜されると、加速度センサ111自体の傾斜角度θsは45度となり、CPUブロック104−3は、傾斜角度θsを48度の基準角度θbpから見た角度に換算することにより、傾斜情報として3度のロール角度θdを生成する。
【0099】
したがって、本発明に係る撮像装置10では、新たな基準角度θbnを用いることにより、実際の撮像装置10の傾斜であるロール角度θrに等しいロール角度θdを生成することができる。
【0100】
また、本発明に係る撮像装置10では、雰囲気温度Tが所定の範囲内でありかつピッチ角度が閾値以下である場合にのみ、加速度センサ111から出力される検出結果である傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定可能とされていることから、信頼性の高い新たな基準角度θbnを用いてロール角度θdを生成することができ、当該ロール角度θdの信頼性をより高めることができる。
【0101】
さらに、本発明に係る撮像装置10では、雰囲気温度Tが所定の範囲内ではないまたはピッチ角度が閾値以下ではない場合には、設定要求が為された際の傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定しないので、信頼性の低い新たな基準角度θbnを用いることにより、信頼性の低いロール角度θdが生成されることを防止することができる。
【0102】
本発明に係る撮像装置10では、雰囲気温度Tが所定の範囲内ではないまたはピッチ角度が閾値以下ではない場合には、LCDモニタ16の画像表示画面16aに警告表示制御が表示されるので、使用者は、設定要求が為された際の傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定できなかったことを容易に認識することができる。特に、警告表示を、雰囲気温度Tが所定の範囲内ではないことに基づくものであるのか、ピッチ角度が閾値以下ではないことに基づくものであるのか、を認識させるものであると、使用者が同じ条件下で再度設定作業と行うことを防止することができ、より利便性を高めることができる。
【0103】
本発明に係る撮像装置10では、新たな基準角度θbnの設定のための制御処理において、検出精度向上制御(上記した実施例では、加速度センサ111からの検出結果に基づいて加速度センサ111自体の傾斜角度θsを演算する際、データを取得する時間間隔を狭めることによりサンプリング数を増加し、平均化処理の回数を増加している。)が実行されていることから、より信頼性の高い新たな基準角度θbnを用いてロール角度θdを生成することができ、当該ロール角度θdの信頼性をより高めることができる。
【0104】
なお、上記した実施例では、加速度センサ111は、本体ケース11のX−Y平面上で、x軸方向がロール方向のマイナス側へと45度ずれて配設されていたが、本体ケース11(撮像装置10)の傾き、特に、光軸方向周りの傾きを検出できるものであればよく、上記した位置関係に限定されるものではない。その場合、その位置関係に応じてピッチ角度の閾値を変更する。
【0105】
また、上記した実施例では、初期設定としての基準角度θbpとは別に新たな基準角度θbnを設定可能なものとされていたが、変化後の本体ケース11(撮像装置10)に対する加速度センサ111の位置関係に適合する新たな基準角度を設定するものであれば、初期設定としての基準角度θbpを新たな基準角度θbnに更新するものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0106】
さらに、上記した実施例では、本体ケース11(撮像装置10)を水平状態とするために新たな基準角度θbnを設定していたが、本体ケース11(撮像装置10)が任意の傾斜角度である状態において新たな基準角度θbnを設定してもよい。これにより、任意の傾斜角度を基準とする本体ケース11(撮像装置10)の傾斜度合いを生成および表示させることができる。
【0107】
上記した実施例では、所定の状態情報が所定の範囲にない(可能条件を満たすものではない)旨を報知する報知部として、LCDモニタ16の画像表示画面16aに警告表示制御を表示させる制御を行っていたが、使用者に所定の状態情報が所定の範囲にない旨を報知できるものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0108】
以上、本発明を実施例に基づき詳述してきたが、この具体的な構成に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
10 撮像装置
11 (撮像装置本体としての)本体ケース
15 (撮像手段としての)鏡胴ユニット
16a 画像表示画面
111 (傾斜検出手段としての)加速度センサ
I (傾斜情報としての)傾斜報知表示
θr ロール角度
θbp 基準角度
θbn 新たな基準角度
θd (傾斜情報としての)ロール角度
θs (傾斜検出手段からの検出結果としての)加速度センサ自体の傾斜角度
T 雰囲気温度
Tp 初期設定が為された際の雰囲気温度
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】特開2004−343476号公報
【特許文献2】特許第3896505号公報
【特許文献3】特開2007−174156号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像手段からの取得画像を表示する画像表示画面が設けられた撮像装置であって、特に、撮像装置の傾きを示す傾き表示を画像表示画面に表示可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置では、水平面に対して傾きのない画像を取得したいという要望があることから、傾きのない画像を取得することを支援するための様々な機能を備えたものが考えられている。
【0003】
その一例として、撮影の際に画像表示画面に表示される取得画像の一部に棒状の図柄を表示するとともに、その棒状の図柄上を水準器のように動くマーカーを表示することで、使用者が撮像装置の姿勢すなわち取得画像の傾斜状態を認識することを支援する撮像装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、画像表示画面に水平状態を示すべく画像表示画面を横切る基準線と、現在の撮像装置の姿勢を示すべく画像表示画面を横切る撮影補助線とを表示することで、使用者が撮像装置の姿勢すなわち取得画像の傾斜状態を認識することを支援する撮像装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、設定されるモードに応じて、傾斜検出手段により検出された傾斜情報に相応する傾斜ガイド表示を画像表示画面上に表示するか否かを制御することで、モードに応じて適宜傾斜のない画像を取得することを支援する撮像装置がある(例えば、特許文献3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記した各撮像装置では、傾斜検出手段からの検出結果に基づいて撮像装置の傾斜情報を生成することから、撮像装置に対する傾斜検出手段の位置関係が当初設定された状態から変化してしまうと、生成された傾斜情報と実際の撮像装置の傾斜とに差異が生じてしまう。詳細には、各撮像装置では、撮像装置が水平状態であるときの傾斜検出手段が出力する検出結果、すなわち傾斜検出手段自体の傾斜角度を基準角度として設定し、当該基準角度と傾斜検出手段自体の傾斜角度との差に基づいて、撮像装置の傾斜としての傾斜情報を生成している。このことから、上記したように当初設定された位置関係ではなくなると、傾斜検出手段自体の傾斜角度が基準角度となっても撮像装置が水平状態ではないので、生成する撮像装置の傾斜としての傾斜情報が、実際の撮像装置の傾斜と一致しなくなってしまう。
【0007】
このため、撮像装置に対して当初設定された位置関係ではない傾斜検出手段からの検出結果に基づいて、実際の撮像装置の傾斜に一致する傾斜情報の生成を可能とするために、変化後の位置関係に適合する新たな基準角度を設定する機能を設けることが考えられる。
【0008】
また、傾斜検出手段は、当初想定された条件とは大きく異なる条件下では、自らの傾斜角度としての検出結果の精度が低下してしまう場合がある。このように、精度が低下した条件下では新たな基準角度の設定を行わず、適切な条件下でのみ新たな基準角度の設定を行うことにより、この新たな基準角度に基づいて生成される撮像装置の傾斜としての傾斜情報の精度をより良好なものとすることができる。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みて為されたもので、撮像装置に対する傾斜検出手段の位置関係が当初設定された状態とは変化した場合であっても、適切な撮像装置の傾斜としての傾斜情報を生成することができる撮像装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、レンズを通過した光による被写体像を撮像する撮像部と、傾きを検出する傾きセンサと、前記傾きセンサを保持するセンサ保持部材と、表示部と、所定の基準角度情報が記録された記憶媒体と、を有する撮像装置において、前記傾きセンサの出力に基づいて前記撮像装置の角度情報を出力する角度出力手段と、前記所定の基準角度情報を前記記憶媒体から読み出す基準角度読出手段と、前記角度出力手段が出力した角度情報と、前記基準角度読出手段で読み出した前記所定の基準角度情報とを比較した結果に基づいて前記撮像装置の傾き情報を出力する傾き情報出力手段と、前記傾き情報を前記表示部に表示する表示手段とを備え、前記撮像装置の所定の状態情報を取得する状態情報取得手段と、前記所定の状態情報が所定の範囲内にあるか判断する状態判断手段と、前記状態判断手段の判断結果に基づいて、前記角度出力手段が出力した角度情報を基準角度情報として前記記憶媒体に記録する基準角度更新動作を行う基準角度更新手段と、を有し、前記状態判断手段が、前記所定の状態情報が前記所定の範囲内にあると判断した場合は、前記基準角度更新手段は、前記基準角度更新動作を行い、前記状態判断手段が、前記所定の状態情報が前記所定の範囲内にないと判断した場合は、前記基準角度更新手段は、前記基準角度更新動作を行わないことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の撮像装置であって、前記傾きセンサは、加速度センサであることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、温度を検出する温度検出手段と、前記所定の基準角度情報が前記記憶媒体に記録された時に前記温度検出手段が検出した温度を、基準温度として記憶媒体に記録する基準温度記録手段と、前記基準温度を読み出す基準温度読出手段と、前記温度検出手段が検出する温度と前記基準角度読出手段が読み出した前記基準温度とを比較した結果に基づいて温度差情報を出力する温度比較手段を有し、前記状態情報取得手段は、前記温度差情報を前記所定の状態情報として取得し、前記状態判断手段は、前記温度差情報が前記所定の範囲内にあるか判断することを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置であって、重力方向をY軸としたXYZ直交座標系から見て、前記撮像装置を前記レンズの光軸がZ軸と平行になるように保持した場合、前記撮像装置のX軸まわりの回転角度の情報をピッチ角情報、前記撮像装置のZ軸周りの回転角度の情報をロール角情報とし、前記角度出力手段は、前記ピッチ角情報と前記ロール角情報のうち、少なくとも一方を出力することを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の撮像装置であって、前記角度出力手段は、前記ロール角情報および前記ピッチ角情報を出力し、前記基準角度更新手段は前記ロール角情報を基準角度として前記記憶媒体に記録する前記基準角度更新動作を行い、前記状態情報取得手段は前記角度出力手段が出力したピッチ角情報を前記所定の状態情報として取得し、前記判断手段は、前記ピッチ角情報が所定の範囲の範囲内にあるか判断することを特徴とする。
【0015】
請求項6に係る発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の撮像装置であって、前記判断手段が、前記状態情報が前記所定の範囲の範囲内にないと判断したとき、前記状態情報が前記所定の範囲の範囲内にない旨を報知する報知部を有することを特徴とする。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の撮像装置であって、前記撮像装置は、前記撮像部が撮像した前記被写体像を前記表示部に表示する画像表示手段を有し、前記表示手段は、前記傾き情報を、前記画像表示手段が表示する前記被写体像と同時に前記表示部に表示することを特徴とする。
【0017】
請求項8に係る発明は、請求項6に記載の撮像装置であって、前記撮像装置は、前記撮像部が撮像した前記被写体像を前記表示部に表示する画像表示手段を有し、前記表示手段は、前記傾き情報を、前記被写体像に重畳して表示することを特徴とする。
【0018】
請求項9に係る発明は、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の撮像装置であって、撮影指示受付部と、被写体像記憶媒体とを有し、前記撮影指示受付部が撮影指示を受け付けた場合、前記撮像部が撮像した画像データを被写体像記憶媒体に記録することを特徴とする。
【0019】
請求項10に係る発明は、傾きを検出する傾きセンサと、前記傾きセンサを保持するセンサ保持部材と、表示部と、基準角度情報を記憶する記憶媒体と、を備え、前記傾きセンサの出力に基づいて前記撮像装置の角度情報を出力する角度出力手段と、前記基準角度情報を前記記憶媒体から読み出す基準角度読出手段と、前記角度出力手段が出力した角度情報と、前記基準角度読出手段で読み出した前記基準角度情報とを比較した結果に基づいて前記撮像装置の傾き情報を出力する傾き情報出力手段と、前記傾き情報を前記表示部に表示する表示手段と、前記角度出力手段が出力した角度情報を基準角度情報として前記記憶媒体に記録する基準角度更新動作を行う基準角度更新手段とを有する撮像装置の基準角度更新方法であって、前記撮像装置の所定の状態情報を取得する状態情報取得工程と、前記状態情報が所定の範囲内にあるか判断する状態判断工程と、前記状態判断工程において前記状態情報が前記所定の範囲内にないと判断した場合、前記基準角度更新手段は、前記基準角度更新動作を中止する基準角度更新動作中止工程と、を有することを特徴とする。
【0020】
請求項11に係る発明は、傾きを検出する傾きセンサと、前記傾きセンサを保持するセンサ保持部材と、表示部と、基準角度情報を記憶する記憶媒体と、を有する電子機器において、前記傾きセンサの出力に基づいて前記撮像装置の角度情報を出力する角度出力手段と、前記基準角度情報を前記記憶媒体から読み出す基準角度読出手段と、前記角度出力手段が出力した角度情報と、前記基準角度読出手段で読み出した前記基準角度情報とを比較した結果に基づいて前記電子機器の傾き情報を出力する傾き情報出力手段と、前記傾き情報を前記表示部に表示する表示手段と、を備え、前記撮像装置の所定の状態情報を取得する状態情報取得手段と、前記状態情報が所定の範囲内にあるか判断する状態判断手段と、前記状態判断手段の判断結果に基づいて、前記角度出力手段が出力した角度情報を基準角度情報として前記記憶媒体に記録する基準角度更新動作を行う基準角度更新手段と、を有し、前記状態判断手段が、前記状態情報が前記所定の範囲内にないと判断した場合、前記基準角度記録手段は、前記記録動作を行わないことを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決するため、請求項12に係る発明は、撮像装置本体に設けられた撮像手段と、前記撮像装置本体に設けられ前記撮像手段が取得した画像が表示される画像表示画面と、前記撮像装置本体に設けられ水平方向に対する傾斜を検出する傾斜検出手段と、該傾斜検知手段からの検出結果を前記撮像装置本体に対する前記傾斜検出手段の位置関係を示す基準角度を用いて前記撮像装置本体の傾斜情報を生成する傾斜情報生成手段と、前記傾斜情報を前記画像表示画面に表示させる傾斜情報表示制御手段と、新たな基準角度を設定する基準角度更新手段と、を備える撮像装置であって、前記基準角度更新手段は、前記傾斜検出手段が適切な傾斜の検出を可能とする可能条件を満たすものであるときにのみ、前記傾斜検出手段からの検出結果に基づいて前記新たな基準角度を設定することを特徴とする。
【0022】
請求項13に係る発明は、請求項12に記載の撮像装置であって、前記傾斜検出手段は、加速度センサであり、前記可能条件は、前記傾斜検出手段の周辺温度が所定の範囲内であることを特徴とする。
【0023】
請求項14に係る発明は、請求項13に記載の撮像装置であって、前記所定の範囲は、前記基準角度が設定された際の前記傾斜検出手段の周辺温度を基準として設定されていることを特徴とする。
【0024】
請求項15に係る発明は、請求項12ないし請求項14のいずれか1項に記載の撮像装置であって、前記撮像装置本体において、前記撮像手段の光軸方向をZ方向とし、光軸方向が水平面に沿う状態における鉛直方向をY方向とし、Y−Z平面に直交する方向をX方向として、前記傾斜情報生成手段は、前記傾斜情報として、前記撮像装置本体のZ方向周りの傾きであるロール角度および前記撮像装置本体のX方向周りの傾きであるピッチ角度のうち、少なくともいずれか一方を生成することを特徴とする。
【0025】
請求項16に係る発明は、請求項15に記載の撮像装置であって、前記傾斜検出手段は、加速度センサであり、前記可能条件は、前記傾斜検出手段自体のピッチ角度が閾値以下であることを特徴とする。
【0026】
請求項17に係る発明は、請求項12ないし請求項16のいずれか1項に記載の撮像装置であって、前記傾斜情報表示制御手段は、前記傾斜検出手段からの検出結果に基づく前記新たな基準角度を設定しない場合、前記傾斜検出手段が前記可能条件を満たすものではないことを前記画像表示画面に表示させることを特徴とする。
【0027】
請求項18に係る発明は、請求項12ないし請求項17のいずれか1項に記載の撮像装置であって、前記傾斜情報表示制御手段は、前記傾斜情報を前記取得画像と同時に前記画像表示画面に表示させることを特徴とする。
【0028】
請求項19に係る発明は、請求項12ないし請求項18のいずれか1項に記載の撮像装置であって、前記傾斜情報表示制御手段は、前記傾斜情報を前記取得画像に重ねて前記画像表示画面に表示させることを特徴とする。
【0029】
請求項20に係る発明は、請求項12ないし請求項19のいずれか1項に記載の撮像装置であって、さらに、撮影指示受付部と、前記撮像手段が取得した画像データを格納する記憶手段とを備え、前記記憶手段には、前記撮影指示受付部が撮影指示の指令を受けた場合に、前記画像データが格納されることを特徴とする。
【0030】
請求項21に係る発明は、撮像装置本体に設けられた撮像手段と、前記撮像装置本体に設けられ前記撮像手段が取得した画像が表示される画像表示画面と、前記撮像装置本体に設けられ水平方向に対する傾斜を検出する傾斜検出手段と、該傾斜検知手段からの検出結果を前記撮像装置本体に対する前記傾斜検出手段の位置関係を示す基準角度を用いて前記撮像装置本体の傾斜情報を生成する傾斜情報生成手段と、前記傾斜情報を前記画像表示画面に表示させる傾斜情報表示制御手段と、新たな基準角度を設定する基準角度更新手段と、を備える撮像装置における新たな基準角度の設定方法であって、前記基準角度更新手段は、前記傾斜検出手段からの検出結果に基づく暫定基準角度を設定する工程と、前記傾斜検出手段が適切な傾斜の検出を可能とする可能条件を満たすか否かを判断する工程と、前記可能条件を満たした場合に前記暫定基準角度を前記新たな基準角度として採用する工程と、前記可能条件を満たしていない場合に前記暫定基準角度を前記新たな基準角度として採用しない工程と、を有することを特徴とする。
【0031】
請求項22に係る発明は、撮像装置本体と、該撮像装置本体に設けられ任意の画像が表示される画像表示画面と、前記撮像装置本体に設けられ水平方向に対する傾斜を検出する傾斜検出手段と、該傾斜検知手段からの検出結果を前記撮像装置本体に対する前記傾斜検出手段の位置関係を示す基準角度を用いて前記撮像装置本体の傾斜情報を生成する傾斜情報生成手段と、前記傾斜情報を前記画像表示画面に表示させる傾斜情報表示制御手段と、新たな基準角度を設定する基準角度更新手段と、を備える電子機器であって、前記基準角度更新手段は、前記傾斜検出手段が適切な傾斜の検出を可能とする可能条件を満たすものであるときにのみ、前記傾斜検出手段からの検出結果に基づいて前記新たな基準角度を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る撮像装置では、所定の状態情報が所定の範囲にあるときにのみ、基準角度更新手段が基準角度更新動作を行うので、撮像装置に対する傾斜検出手段の位置関係が当初設定された状態とは変化した場合であっても、適切な撮像装置の傾斜としての傾斜情報を生成することができる。
【0033】
上記した構成に加えて、前記傾きセンサは、加速度センサであることとすると、加速度センサからの信頼性の低い検出結果に基づいて新たな基準角度を設定することを防止することができる。
【0034】
上記した構成に加えて、温度を検出する温度検出手段と、前記所定の基準角度情報が前記記憶媒体に記録された時に前記温度検出手段が検出した温度を、基準温度として記憶媒体に記録する基準温度記録手段と、前記基準温度を読み出す基準温度読出手段と、前記温度検出手段が検出する温度と前記基準角度読出手段が読み出した前記基準温度とを比較した結果に基づいて温度差情報を出力する温度比較手段を有し、前記状態情報取得手段は、前記温度差情報を前記所定の状態情報として取得し、前記状態判断手段は、前記温度差情報が前記所定の範囲内にあるか判断することとすると、より信頼性の高い検出結果に基づいて新たな基準角度を設定することを防止することができる。
【0035】
上記した構成に加えて、重力方向をY軸としたXYZ直交座標系から見て、前記撮像装置を前記レンズの光軸がZ軸と平行になるように保持した場合、前記撮像装置のX軸まわりの回転角度の情報をピッチ角情報、前記撮像装置のZ軸周りの回転角度の情報をロール角情報とし、前記角度出力手段は、前記ピッチ角情報と前記ロール角情報のうち、少なくとも一方を出力することとすると、撮影時に求められる傾斜情報を画像表示画面に表示させることができる。
【0036】
上記した構成に加えて、前記角度出力手段は、前記ロール角情報および前記ピッチ角情報を出力し、前記基準角度更新手段は前記ロール角情報を基準角度として前記記憶媒体に記録する前記基準角度更新動作を行い、前記状態情報取得手段は前記角度出力手段が出力したピッチ角情報を前記所定の状態情報として取得し、前記判断手段は、前記ピッチ角情報が所定の範囲の範囲内にあるか判断することとすると、加速度センサからの信頼性の低い検出結果に基づいて新たな基準角度を設定することを防止することができる。
【0037】
上記した構成に加えて、前記判断手段が、前記状態情報が前記所定の範囲の範囲内にないと判断したとき、前記状態情報が前記所定の範囲の範囲内にない旨を報知する報知部を有することとすると、使用者は、新たな基準角度を設定できなかったことを容易に認識することができる。
【0038】
上記した構成に加えて、前記撮像装置は、前記撮像部が撮像した前記被写体像を前記表示部に表示する画像表示手段を有し、前記表示手段は、前記傾き情報を、前記画像表示手段が表示する前記被写体像と同時に前記表示部に表示することとすると、傾斜情報を表示することによる利便性をより高めることができる。
【0039】
上記した構成に加えて、前記撮像装置は、前記撮像部が撮像した前記被写体像を前記表示部に表示する画像表示手段を有し、前記表示手段は、前記傾き情報を、前記被写体像に重畳して表示することとすると、傾斜情報を表示することによる利便性をより高めることができる。
【0040】
上記した構成に加えて、撮影指示受付部と、被写体像記憶媒体とを有し、前記撮影指示受付部が撮影指示を受け付けた場合、前記撮像部が撮像した画像データを被写体像記憶媒体に記録することとすると、使用者が望む画像を取得させることができる。
【0041】
撮像装置本体に設けられた撮像手段と、前記撮像装置本体に設けられ前記撮像手段が取得した画像が表示される画像表示画面と、前記撮像装置本体に設けられ水平方向に対する傾斜を検出する傾斜検出手段と、該傾斜検知手段からの検出結果を前記撮像装置本体に対する前記傾斜検出手段の位置関係を示す基準角度を用いて前記撮像装置本体の傾斜情報を生成する傾斜情報生成手段と、前記傾斜情報を前記画像表示画面に表示させる傾斜情報表示制御手段と、新たな基準角度を設定する基準角度更新手段と、を備える撮像装置であって、前記基準角度更新手段は、前記傾斜検出手段が適切な傾斜の検出を可能とする可能条件を満たすものであるときにのみ、前記傾斜検出手段からの検出結果に基づいて前記新たな基準角度を設定することとすると、新たに基準角度を設定する際、傾斜検出手段が適切な検出を可能とする可能条件を満たすものであるときにのみ、傾斜検出手段からの検出結果に基づいて新たな基準角度を設定するので、撮像装置に対する傾斜検出手段の位置関係が当初設定された状態とは変化した場合であっても、適切な撮像装置の傾斜としての傾斜情報を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の撮像装置の一実施形態を模式的に示す正面図である。
【図2】本発明の撮像装置の一実施形態を模式的に示す背面図である。
【図3】本発明の撮像装置の一実施形態を模式的に示す上面図である。
【図4】本発明の撮像装置のシステム構成を示す全体構成図である。
【図5】撮像装置の傾きを説明するための説明図である。
【図6】撮像装置がロール方向に傾いた状態の例を示す説明図であり、(a)はロール角度が0度の状態を示し、(b)はロール角度が45度の状態を示し、(c)はロール角度が180度の状態を示す。
【図7】撮像装置に搭載された傾斜検出手段の一例を示す模式図である。トである。
【図8】撮像装置の画像表示画面に表示された傾斜情報の一例を示す説明図である。
【図9】撮像装置の画像表示画面に表示された操作メニューの一例を示す説明図である。
【図10】撮像装置における新たな基準角度の設定ための制御処理を示すフローチャー
【図11】本発明の撮像装置の作用を説明するための模式図であり、(a)は初期設定の位置関係が維持されている状態を示し、(b)は初期設定の位置関係が変化した状態を示し、(c)は変化後の状態でロール方向に傾斜された状態を示し、(d)は変化後の状態で新たな基準角度を設定する様子を示す。
【実施例】
【0043】
以下に、本発明に係る撮像装置の一例について図面を参照しつつ説明する。
【0044】
図1〜図3は、本発明の撮像装置10の一実施形態を模式的に示す外観図であり、図1は正面図、図2は背面図、図3は上面図である。以下の説明では、各図に矢印で示すように、撮像装置10において、撮影光軸方向OをZ方向とし、正面視(図1参照)した高さ方向をY方向とし、Y―Z平面に直交する方向をX方向とする。また、以下の説明では、中央演算処理ユニットを「CPU」、液晶表示素子からなる表示装置を「LCD」、電荷結合素子からなる撮像素子を「CCD」という。さらに、以下の説明では、図1に記載された側を正面11a、図2に記載された側を背面11b、図3に記載された側を上面11c、撮像装置10自体で見て光軸方向右側(X方向プラス側とする)を右側面11e、左側を左側面11dと称する。
【0045】
この撮像装置10は、デジタルスチルカメラである。撮像装置10は、図1〜図3に示すように、全体に直方体形状を呈する本体ケース(撮像装置本体)11により外形が形作られており、その正面11aに、ストロボ発光部12、測距ユニット13、光学ファインダ14が設けられている。また、正面11aの中央付近には、撮影レンズを含む鏡胴ユニット15が配設されている。
【0046】
本体ケース11の上面11cには、レリーズスイッチ(シャッタレリーズ釦)SW1、モードダイヤルSW2、第1ジョグダイヤルSW3が配設されている。
【0047】
本体ケース11の背面11bには、LCDモニタ16と、第2ジョグダイヤルSW4と、ズームスイッチ[TELE]SW5と、ズームスイッチ[WIDE]SW6と、上方向指示スイッチSW7と、右方向指示スイッチSW8と、OKスイッチSW9と、左指示スイッチSW10と、マクロスイッチを兼ねた下方向指示スイッチSW11と、ディスプレイスイッチSW12と、削除スイッチSW13と、メニュースイッチSW14と、電源スイッチSW15と、光学ファインダ14の接眼部14aと、が配設されている。このLCDモニタ16は、X方向およびY方向と縦横の方向が一致するように設けられた横長(X方向に長い)の矩形状の画像表示画面16aを有し、後述するように、取得画像や操作メニュー等を表示することができる。なお、本明細書では、上記各種スイッチSW1〜SW15を一括して示す場合、操作キーユニットという。この操作キーユニットは、使用者が操作する操作キーである。本体ケース11の右側面11eには、電池の交換等のための開閉可能な電池蓋17が設けられている。
【0048】
撮像装置10では、上記方向指示スイッチSW7、SW8、SW10、SW11を適宜操作することにより、各種機能を選択することができ、レリーズスイッチSW1を押圧操作することにより被写体を撮影することができる。また、撮像装置10では、LCDモニタ16の画像表示画面16aに画像を映し出しつつ被写体を撮影することができる。なお、本発明に係る撮像装置の外観は、必ずしも本実施例に限定されるものではなく、他の外観を備えていてもよい。
【0049】
撮像装置10の各部材の機能および作用は、公知であるので、その説明は省略することにし、次に撮像装置内部のシステム構成を図4に基づいて説明する。図4は、本発明の撮像装置10のシステム構成を示す全体構成図である。
【0050】
CCD101は、光学画像を光電変換するための固体撮像素子である。F/E(フロントエンド)−IC102は、CDS102−1と、AGC102−2と、A/D変換器102−3と、TG(タイミングジェネレータ)102−4と、を有している。CDS102−1は、画像ノイズ除去用相関二重サンプリングを行う。AGC102−2は、利得調整を行う。A/D変換器102−3は、アナログ信号をデジタル信号に変換する。TG102−4は、後述するデジタルスチルカメラプロセッサ104に含まれるCCD1信号処理ブロック104−1から垂直同期信号VD、水平同期信号HDが供給され、CPUブロック104−3によって制御されて、上記CCD101とF/E−IC102の駆動タイミング信号を発生する。
【0051】
鏡胴ユニット15は、上述したように、撮像装置10において、本体ケース11の正面11aに設けられている。鏡胴ユニット15は、ズーム光学系15−1と、フォーカス光学系15−2と、絞りユニット15−3と、メカシャッタユニット15−4と、モータドライバ15−5と、を有する。ズーム光学系15−1は、被写体の光学画像を取り込むズームレンズ15−1aと、ズーム駆動モータ15−1bと、からなる。フォーカス光学系15−2は、フォーカスレンズ15−2aと、フォーカス駆動モータ15−2bと、からなる。絞りユニット15−3は、絞り15−3aと、絞り駆動モータ15−3bと、からなる。メカシャッタユニット15−4は、メカシャッタ15−4aと、メカシャッタ駆動モータ15−4bと、からなる。モータドライバ15−5は、鏡胴ユニット15の各モータを駆動する。
【0052】
撮像装置10では、メカシャッタ15−4aのシャッター操作により、被写体光がズームレンズ15−1a、フォーカスレンズ15−2a、絞り15−3aを通して撮像素子101に受光される(撮像手段)。
【0053】
デジタルスチルカメラプロセッサ104は、CCD101から入力されF/E―IC102から出力されるデータにホワイトバランス設定やガンマ設定を行う。このデジタルスチルカメラプロセッサ104は、CCD1信号処理ブロック104−1、CCD2信号処理ブロック104−2、CPUブロック104−3、ローカルSRAM104−4、USBブロック104−5、シリアルブロック104−6、JPEG CODECブロック104−7、リサイズブロック104−8、TV信号表示ブロック104−9、およびメモリカードコントローラブロック104−10、I2Cブロック104−11を有する。CCD1信号処理ブロック104−1は、前述したように、TG102−4に、垂直同期信号VD、水平同期信号HDを供給する。CCD2信号処理ブロック104−2は、フィルタリング処理により輝度データ・色差データへの変換を行う。CPUブロック104−3、前述した装置各部の動作を制御する。ローカルSRAM104−4は、前述した制御に必要なデータ等を一時的に保存する。USBブロック104−5は、パソコンなどの外部機器とUSB通信を行う。シリアルブロック104−6は、パソコンなどの外部機器とシリアル通信を行う。JPEG CODECブロック104−7は、JPEG圧縮・伸張を行う。リサイズブロック104−8は、画像データのサイズを補間処理により拡大/縮小する。TV信号表示ブロック104−9は、画像データを液晶モニタやTVなどの外部表示機器に表示するためのビデオ信号に変換する。メモリカードコントローラブロック104−10は、撮影された画像データを記録するメモリカードの制御を行う。
【0054】
SDRAM103は、前述したデジタルスチルカメラプロセッサ104で画像データに各種処理を施す際に、画像データを一時的に保存するものである。保存される画像データは、例えば、CCD101からF/E−IC102を経由して取り込まれ、CCD1信号処理ブロック104−1でホワイトバランス設定およびガンマ設定が行われた状態の「RAW−RGB画像データ」や、CCD2信号処理ブロック104−2で輝度データ・色差データ変換が行われた状態の「YUV画像データ」や、JPEG CODECブロック(104−7)でJPEG圧縮された「JPEG画像データ」等である。
【0055】
内蔵メモリ107は、撮影して得られた画像データを記憶できるようにするためのメモリである。
【0056】
LCDドライバ108は、LCDモニタ16を駆動するドライブ回路であり、TV信号表示ブロック104−9から出力されたビデオ信号を、LCDモニタ16に表示するための信号に変換する機能も有している。LCDモニタ16は、撮影前に被写体の状態を監視する、撮影した画像を確認する、メモリカードや前述した内臓メモリ107に記録した画像データを表示する、など、各種表示を行うためのモニタである。ビデオAMP118は、TV信号表示ブロック104−9から出力されたビデオ信号を、75Ωインピーダンス変換するためのアンプである。ビデオジャック110は、TV等の外部表示機器と接続するためのジャックである。
【0057】
操作Key(キー)ユニット(SW1〜15)は、ユーザーが操作するキー回路であり、上述した各スイッチSW1〜15がこれに該当する。SUB−CPU105は、ROMおよびRAMをワンチップに内蔵した中央演算処理ユニット(CPU)であり、操作キーユニット(SW1〜15)等の出力信号をユーザーの操作情報として、前述したCPUブロック104−3に出力する。また、SUB−CPU105は、時刻をカウントするRTC(Real Time Clock)112と通信することにより、時間を制御する。
【0058】
本発明に係る撮像装置10は、上記した構成に加えて加速度センサ111を備える。加速度センサ111は、基本的には加速度を計測可能なものであり、重力方向を検出することすなわち重力方向に対する傾斜度合いを計測することもできる。このため加速度センサ111は、傾斜検出手段として機能する。この加速度センサ111は、プリント回路基板(PCB(Printed Circuit Board))上に実装され、直交する2軸x、y方向の加速度データと温度情報とをI2Cブロック104−11に出力する。デジタルスチルカメラプロセッサ104は、I2Cブロック104−11を介して加速度センサ111とシリアル通信し、取得したデータからカメラの傾きを演算し、後述するロール角度の傾き情報をLCDモニタ16等に撮影画像と重畳して表示する。カメラの傾きの演算は、例えばCPUブロック104−3が行う。なお、本実施例では、後述するように、可能条件の判断のために加速度センサ111から出力される温度情報を用いているが、傾斜検出手段(加速度センサ111)の雰囲気温度を検出するものであれば、他に温度検出手段を設けるものであってもよい。
【0059】
この加速度センサ111について詳細に説明する。ここで、図5に示すように、鏡胴ユニット15の光軸方向(Z方向)周りにおける重力方向に対する本体ケース11(撮像装置10)の傾きをロール方向の傾き(ロール角度)とし、ロール角度が無い(0度)の状態において光軸方向に直交する方向(X方向)周りにおける重力方向に対する本体ケース11(撮像装置10)の傾きをピッチ方向の傾き(ピッチ角度)とする。撮像装置10では、ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きとのそれぞれについて、後述する基準角度が設定されており、それに基づく傾斜情報を生成し表示するが、基本的には同様の処理を行うものであることから、以下では理解容易のため、ピッチ方向の傾きが無い状態でのロール方向の傾きについて説明する。
【0060】
上記のようにロール方向が定義されていることから、撮像装置10では、本体ケース11の背面11b側から見て、図6(a)に示すように、本体ケース11のX方向が水平面(水平方向)Hと平行な状態がロール方向の傾斜が無いもの(ロール角度が0度)となり、図6(b)に示すように、本体ケース11のX方向が水平面Hに対して45度の角度を為す状態がロール方向に45度傾斜したもの(ロール角度が45度)となり、図6(c)に示すように、本体ケース11の上下が反転してX方向が水平面Hと平行な状態がロール方向に180(−180)度傾斜したもの(ロール角度が180(−180)度)となる。
【0061】
加速度センサ111は、2軸x、y方向を本体ケース11のX−Y平面上にあるものとすると、水平状態に対するロール角度(後述する傾斜角度θs)は以下の式で表される。
【0062】
θs[deg]=(180/π)*arctan((y−y0)/(x−x0))
ここで、xは、x軸方向の出力値(加速度)であり、yは、y軸方向の出力値(加速度)である。また、x0は、重力が無い状態におけるx軸方向の出力値であり、y0は、重力が無い状態におけるy軸方向の出力値である。なお、ピッチ角度を検出する場合には、3軸とする、すなわち上記したものと同様にz軸方向の出力値を用いればよい。
【0063】
加速度センサ111としては、例えば、ピエゾ抵抗型、静電容量型、熱検知型等の半導体式加速度センサを用いることができる。この実施形態では、図7に示すように、熱感知型の加速度センサが用いられている。加速度センサ111は、図示を略すカバー部材により密封された空間内において、中央にヒータ111aが設けられ、そのヒータ111aから等しい距離でヒータ111aを挟んで対向するように複数の熱感知センサ111bが設けられて構成されている。この加速度センサ111を用いることにより、ヒータ111aに熱せられた中央の空気が加速度に応じて位置を変えることにより生じた熱分布の不均一性、すなわちヒータ111aを挟んで対向する両熱感知センサ111bが検知した温度差に基づいて、加速度を検出することができる。
【0064】
この実施形態では、加速度センサ111は、本体ケース11内に配設された基板(図示せず)上に設けられ、本体ケース11(撮像装置10)に対して、そのX−Y平面上であって、x軸方向がX方向に対して45度傾斜する(y軸方向もY方向に対して45度傾斜)ように、配設されている。なお、この実施形態では、後の作用の説明を容易とするために、x軸方向においてX−Y平面の第3象限側を正方向とし、y軸方向においてX−Y平面の第4象限側を正方向とする。
【0065】
CPUブロック104−3は、次のように本体ケース11(撮像装置10)の傾斜としての傾斜情報、すなわち加速度センサ111からの検出結果に基づいて、加速度センサ111自体の傾斜角度θsを演算し、この傾斜角度θsから傾斜情報(後述する傾斜報知表示Iとしてのロール角度θd)を生成する(傾斜情報生成手段)。
【0066】
先ず、撮像装置10では、初期設定として、X−Y平面上に配設された加速度センサ111からの検出結果によりピッチ方向に傾斜しておらず(ピッチ角度が0度)、かつ横長の構図(横位置)で見た長尺方向が水平面と平行となる画像をCCD101が取得する状態を、ロール方向への傾斜が無い状態とし、その状態における加速度センサ111から出力される検出結果に基づいて演算された加速度センサ111自体の傾斜角度θsを基準角度θbpとする。この初期設定は、撮像装置毎に調整されており、例えば、製造工程において行われる。
【0067】
CPUブロック104−3は、加速度センサ111からの検出結果に基づく当該加速度センサ111の傾斜角度θsを、基準角度θbpを用いて本体ケース11(撮像装置10)の傾斜に換算することにより、ロール角度θdを生成する。すなわち、加速度センサ111の傾斜角度θsが基準角度θbpである場合、ロール角度θdが0度(ロール方向に傾斜していない水平状態)となり、加速度センサ111の傾斜角度θsと基準角度θbpとに差がある場合、その差分がロール角度θdとなる。
【0068】
本発明に係る撮像装置10では、このようにして検知された傾斜度合いを、図8に示すように、CPUブロック104−3の制御下で、LCDモニタ16の画像表示画面16aにおいて、取得画像に重ねて表示する傾斜報知表示Iにより報知する(傾斜情報表示制御手段)。この傾斜報知表示Iは、水平面に対して傾きのない画像を取得したいという要望に応える(または、任意の角度で画像を取得したいという要望に応える)ために、傾きのない画像を取得することを支援するものである。ここで、水平面に対して傾きのない画像を取得したいという要望は、例えば、水平線または地平線が構図に存在する場合、またはテーブル上の料理を撮影する場合等では、傾きが画像の見栄えを大きく左右することがあることによる。
【0069】
傾斜報知表示Iは、X方向に延在するように画像表示画面16aに表示される。なお、撮像装置において、横置き画像と縦置き画像とを判断する構成とした場合、傾斜報知表示Iは、横置き画像の際はX方向に延在するように、かつ縦置き画像の際はY方向に延在する(図示せず)ように、画像表示画面16aに表示されるものとしてもよい。傾斜報知表示Iでは、延在方向(X方向)で見た中央を中心としその両側に等しい間隔で正面視右側をプラスとしかつ左側をマイナスとしてロール角度を示す表示枠If上で、CPUブロック104−3が演算(生成)したロール角度θdに相当する位置に指標Imを重ねて表示することにより、ロール角度θdを一見して認識可能とするものである。ここで、本体ケース11(撮像装置10)において右側面11e側が上方へと向かうようにロールする方向をロール角度のプラス側としている。このため、傾斜報知表示Iでは、本体ケース11が傾斜されることによりLCDモニタ16の画像表示画面16aにおいて上方へと変位された側へと、そのロール角度に応じて表示枠If上を指標Imが移動するように表示され、この態様が、液体中の気泡により傾きを検知する水準器の気泡の動きと似通うものとなることから、使用者にとって馴染みのあるものとなり、傾斜度合いの認識をより容易なものとすることができる。
【0070】
なお、傾斜報知表示Iでは、表示枠If上の中央に指標Imが位置している場合、すなわちロール方向への傾斜が無い状態(水平状態)である場合には、水平状態であることを報知する表示態様とすることで、水平状態であることの把握をより容易なものとすることができる。また、この実施形態では、ピッチ方向の傾きが無い状態でのロール方向の傾きについて説明していることから、ロール角度を表示する傾斜報知表示をX方向に延在するように画像表示画面16aに表示していたが、例えば、併せてピッチ角度表示する傾斜報知表示をY方向に延在するように画像表示画面16aに表示することもできる。
【0071】
本願発明の撮像装置10では、初期設定としての基準角度θbpとは別に新たな基準角度θbnを設定可能なものとされている。LCDモニタ16(画像表示画面16a)には、図9に示すように、CPUブロック104−3の制御下において、この設定のためのメニュー画面が表示可能とされている。このメニュー画面で、基準角度設定が選択されると、デフォルトとカスタムとの選択表示が為され、そのうちのカスタムが選択されると、前回調整角度と調整モードとの選択表示が為され、調整モードが選択されると、CPUブロック104−3が調整モードすなわち新たな基準角度θbnの設定のための制御処理(図10のフローチャート)を開始する。
【0072】
以下、CPUブロック104−3における新たな基準角度θbnの設定のための制御処理の一例である図10のフローチャート(基準角度設定(更新)手段)の各ステップについて説明する。
【0073】
ステップS1では、検出精度向上制御を開始して、ステップS2へ進む。このステップS1では、加速度センサ111により検出される検出結果の精度、すなわちそれに基づき演算される傾斜角度θsの精度を高めるための制御を開始する。これは、後述するように、演算した加速度センサ111自体の傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定することによる。検出精度向上制御としては、加速度センサ111からの検出結果に基づいて加速度センサ111自体の傾斜角度θsを演算する際、データを取得する時間間隔を狭めることによりサンプリング数を増加したり、平均化処理の回数を増加したりすることが挙げられる。
【0074】
ステップS2では、ステップS1での検出精度向上制御の開始に続き、設定要求が為されたか否かを判断し、Yesの場合はステップS3へ進み、Noの場合はステップS2を繰り返す。このステップS2では、設定要求、すなわち現状の傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定する要求が為されたか否かを判断し、当該要求が為されるとその判断時点における加速度センサ111自体の傾斜角度θsを記憶(例えば、内蔵メモリ(107)に格納する)して、ステップS3へ進む。この設定要求は、操作Keyユニット(SW1〜15)に為された操作、例えば、OKスイッチSW9への押圧操作が挙げられる。
【0075】
ステップS3では、ステップS2での設定要求が為されたとの判断に続き、雰囲気温度Tが所定の範囲内であるか否かを判断し、Yesの場合はステップS4へ進み、Noの場合はステップS6へ進む(温度比較手段)。このステップS3では、加速度センサ111から出力された雰囲気温度Tが、所定の範囲内であるか否かを判断する。この所定の範囲とは、現状の雰囲気温度Tと初期設定が為された際の雰囲気温度Tp(基準温度)との差に起因して加速度センサ111が適切に検出結果を出せなくなる虞がある温度範囲に設定されている。この実施例では、初期設定が為された際の雰囲気温度Tpに対して、±5℃に設定されている。すなわち、ステップS3は、初期設定時の温度(雰囲気温度Tp)を基準とする判断時点での温度(雰囲気温度T)の温度差における閾値を定めたものであり、Tp−5≦雰囲気温度T≦Tp+5、であるか否かを判断している。
【0076】
ステップS4では、ステップS3での雰囲気温度Tが所定の範囲内であるとの判断に続き、ピッチ角度が閾値以下であるか否かを判断し、Yesの場合はステップS5へ進み、Noの場合はステップS6へ進む(角度比較手段)。このステップS4では、加速度センサ111からの検出結果に基づいて演算されたピッチ角度が、閾値以下であるか否かを判断する。この閾値とは、加速度センサ111がピッチ方向へと傾斜されることに起因して、当該加速度センサ111が適切に検出結果を出せなくなる虞がある角度である。この実施例では、±60度に設定されている。すなわち、ステップS4は、検出する方向とは異なる方向への傾斜の制限を定めたものであり、|ピッチ角度|≦60、であるか否かを判断している。
【0077】
ステップS5では、ステップS4でのピッチ角度が閾値以下であるとの判断に続き、ステップS2において記憶した要求判断時点における加速度センサ111からの検出結果に基づく傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定して、ステップS7へ進む。このステップS5では、雰囲気温度Tが所定の範囲内であり(ステップS3)かつピッチ角度が閾値以下である(ステップS4)ことから、設定要求が為された時点(正確には設定要求が為されたことを判断した時点)での傾斜角度θs(ステップS2で記憶した傾斜角度θs)の精度が十分に良いものと判断し、当該傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定する。このため、雰囲気温度Tが所定の範囲内であることと、ピッチ角度が閾値以下であることとは、加速度センサ111が適切な検出を可能とする可能条件となる。すなわち、雰囲気温度Tと加速度センサ111のピッチ角度とが、所定の状態情報となる。また、ステップS2で記憶した傾斜角度θsが、暫定基準角度となる。
【0078】
ステップS6では、ステップS3での雰囲気温度Tが所定の範囲内ではないとの判断、あるいは、ステップS4でのピッチ角度が閾値以下ではないとの判断に続き、警告表示制御を実行し、ステップS7へ進む。このステップS6では、雰囲気温度Tが所定の範囲内ではない、またはピッチ角度が閾値以下ではないことから、設定要求が為された時点での傾斜角度θsの精度が良くないものと判断し、当該傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定することを許可せずに、LCDモニタ16(画像表示画面16a)にて警告表示する。この警告表示は、設定要求が為された時点での傾斜角度θsを、新たな基準角度θbnとして設定することができないことを認識させるものであれば良い。また、この警告表示は、雰囲気温度Tが所定の範囲内ではないことに基づくものであるのか、ピッチ角度が閾値以下ではないことに基づくものであるのか、を認識させるものであってもよい。これは、ピッチ角度が閾値以下ではないことに基づくものである場合、使用者が再度設定作業と行う際に、容易に解消できるものであることによる。
【0079】
ステップS7では、ステップS5での新たな基準角度θbnとして設定、あるいは、ステップS6での警告表示制御を実行に続き、検出精度向上制御を終了して、新たな基準角度θbnの設定のための制御処理を終了する。このとき、ステップS5で設定した新たな基準角度θbnを記憶(例えば、内蔵メモリ(107)に格納する)する。これにより、上述したメニュー画面(図9参照)において、基準角度設定→カスタムと選択された後の前回調整角度と調整モードとの選択表示において、前回調整角度が選択することにより、この設定した新たな基準角度θbnを用いることが可能となる。
【0080】
なお、この図10のフローチャートでは、ステップS6での警告表示制御の後、ステップS7へと進んで、新たな基準角度θbnの設定のための制御処理を終了するものとされていたが、ステップS6での警告表示制御の後、ステップS2へと戻り、新たな基準角度θbnの設定のための制御処理を継続するものであってもよい。
【0081】
この新たな基準角度θbnの設定のための制御処理(図10のフローチャート)が終了することにより、撮像装置10では、図8に示すように、当該新たな基準角度θbnを用いた傾斜報知表示IがLCDモニタ16の画像表示画面16aに表示される。具体的には、CPUブロック104−3は、上述したように、加速度センサ111の傾斜角度θsを、基準角度θbpから見た角度に換算することによりロール角度θdを演算(傾斜情報を生成)し、傾斜報知表示Iにおいて、表示枠If上のロール角度θdに相当する位置に指標Imを表示させる。これにより、当該新たな基準角度θbnを用いた傾斜報知表示IがLCDモニタ16の画像表示画面16aに表示される。
【0082】
撮像装置10では、上述したように、加速度センサ111からの検出結果に基づいて、自ら(本体ケース11)のロール方向への傾斜を示す傾斜情報としてのロール角度θdを生成する。すなわち、加速度センサ111の傾斜角度θsを、基準角度θbpから見た角度に換算して、ロール角度θdを演算する。この基準角度θbpは、本体ケース11内における(そこに取り付けられた撮像素子としてのCCD101に対する)加速度センサ111の位置関係、すなわち本体ケース11内に配設されたCCD101における取得する画像で見た水平方向に対する加速度センサ111の2軸x、yの位置関係を示すものであり、各撮像装置毎の公差に応じて調整されて初期設定されている。以下では、理解容易のために、CCD101における取得する画像で見た水平方向および垂直方向と光軸方向(O)とが、本体ケース11のXYZ方向に一致しているものとして概念的に説明する。また、加速度センサ111のx軸に対して座標中心から鉛直方向下側へ向かう方向の為す角度を、加速度センサ111のロール方向への傾斜角度θsとする。
【0083】
撮像装置10では、上述したように、図11(a)に示すように、本体ケース11に対して、そのX−Y平面上であって、x軸方向がX方向に対して45度傾斜する(y軸方向もY方向に対して45度傾斜)ように、加速度センサ111が配設されており、初期設定時においてこの状態からズレが無かったものとする。ここで、x軸方向においてX−Y平面の第3象限側を正方向とし、y軸方向においてX−Y平面の第4象限側を正方向とする。
【0084】
このため、撮像装置10では、本体ケース11が実際に水平状態とされている場合、加速度センサ111からの検出結果、すなわち加速度センサ111の傾斜角度θsは45度となるので、初期設定としての基準角度θbpが45度とされている。
【0085】
ここで、何らかの外的要因、例えば、図示を略すUSBコネクタにケーブルが装着される際、想定したものよりも遥かに大きな力が付与されること、撮像装置10自体が落下されること、等により、本体ケース11に対する加速度センサ111の位置関係、すなわち本体ケース11内における加速度センサ111の角度関係が、当初設定されたものから変化してしまうと、生成する傾斜情報(ロール角度θd)と実際の撮像装置10の傾斜(ロール角度θr)とに差異が生じてしまう。この例として、図11(b)〜(d)に示すように、加速度センサ111のx軸方向が、本体ケース11のX−Y平面上で、ロール方向のマイナス側へと3度ずれたものとする(矢印A参照)。なお、図11では、理解容易のため、ずれ量(マイナス側へ3度)を誇張して示している。
【0086】
すると、撮像装置10では、図11(b)に示すように、本体ケース11が実際に水平状態とされていても、加速度センサ111からの検出結果すなわち加速度センサ111自体の傾斜角度θsは48度となることから、CPUブロック104−3は、傾斜角度θsを基準角度θbp(=45度)から見た角度に換算することにより、傾斜情報として−3度のロール角度θdを生成する。このため、実際の撮像装置10の傾斜であるロール角度θrが0度であるにも拘らず、図示は略すが、LCDモニタ16の画像表示画面16aに表示される傾斜報知表示Iでは、−3度として表示(表示枠If上の指標Imの位置が−3度)してしまう。
【0087】
また、上記した状態の撮像装置10では、図11(c)に示すように、本体ケース11がロール方向プラス側に3度傾斜されていても、加速度センサ111からの検出結果すなわち加速度センサ111自体の傾斜角度θsが45度となることから、CPUブロック104−3は、45度の基準角度θbpから見た角度に換算することにより、傾斜情報として0度のロール角度θdを生成する。このため、実際の撮像装置10の傾斜であるロール角度θrが3度であるにも拘らず、図示は略すが、LCDモニタ16の画像表示画面16aに表示される傾斜報知表示Iでは、0度として表示すなわち水平状態と表示されてしまう。このため、何らかの対策により、本体ケース11に対する加速度センサ111の位置関係が当初設定されたものから変化してしまった場合であっても、傾斜情報として、実際の撮像装置10の傾斜であるロール角度θrに等しいロール角度θdを生成可能なものとすることが望ましい。
【0088】
そこで、本発明に係る撮像装置10では、基本的に、使用者が実際の撮像装置10の傾斜状態に応じて新たな基準角度θbnを設定することを可能とし、この設定した新たな基準角度θbnを用いて傾斜情報としてのロール角度θdを生成することにより、実際の撮像装置10の傾斜であるロール角度θrに等しいロール角度θdを生成可能としている。
【0089】
ところが、加速度センサ111は、当初想定された条件(初期設定としての基準角度θbpが設定された条件)とは大きく異なる条件下では、検出結果の精度が低下する、すなわち自らの傾斜として信頼性の低い傾斜角度θsが演算される虞がある。本実施例では、加速度センサ111が熱感知型の加速度センサであることから、上述したように、熱分布の不均一性(分布態様)すなわち複数の熱感知センサ111bが検知した温度差に基づいて加速度を検出するので、加速度センサ111では、感度に温度依存性がある。
【0090】
また、加速度センサ111を用いると、ヒータ111aに熱せられた中央の空気が重力加速度に応じて位置を変えることにより生じた熱分布の不均一性に基づいて検出した重力加速度から傾斜を検出(演算)するため、ある方向に大きく傾斜された状態ではその傾斜方向へと熱せられた空気の偏りが生じてしまうので、そことは異なる方向の傾斜に対する熱分布の寄与が小さくなってしまい、異なる方向で見た熱分布の不均一性を小さなものとして検出してしまう虞がある。例えば、加速度センサ111のx−y平面に対して直交するz軸方向周りの傾斜(本実施例では、撮像装置10で見たロール方向の傾斜)を検出する場合、当該z軸が鉛直方向に近づくように加速度センサ111が大きく傾斜されると、z軸方向周りの傾斜としての検出結果の信頼性が低くなってしまう。
【0091】
なお、他の形式の加速度センサ、例えば、ピエゾ抵抗型や静電容量型の半導体式加速度センサでも、温度特性を有し感度に温度依存性があるとともに、ある方向に大きく傾斜された場合、異なる方向の傾斜の検出結果に影響を与えるので、当初想定された条件(初期設定としての基準角度θbpが設定された条件)とは大きく異なる条件下では、検出結果の精度が低下する、すなわち自らの傾斜として信頼性の低い傾斜角度θsが演算される虞がある。
【0092】
このように、出力する検出結果の信頼性が低くなる状態では、等しい傾斜状態であっても、加速度センサ111から出力される検出結果に基づく傾斜角度θsの値のばらつきが大きくなってしまう(異なる値が出力されるとともにその差異が大きくなる)。
【0093】
このように、信頼性の低い傾斜角度θsに基づいて新たな基準角度θbnを設定してしまうと、この基準角度θbnを用いて生成された傾斜情報としてのロール角度θdの信頼性(精度)が低くなってしまい、傾斜情報として、実際の撮像装置10の傾斜であるロール角度θrに等しいロール角度θdを生成できなくなってしまう。
【0094】
このため、何らかの対策により、新たに設定する基準角度θbnを信頼性(精度)の高いものとする必要がある。
【0095】
本発明に係る撮像装置10では、使用者が実際の撮像装置10の傾斜状態に応じて新たな基準角度θbnを設定することを可能とし、この設定した新たな基準角度θbnを用いて傾斜情報としてのロール角度θdを生成することができ、その新たな基準角度θbnを設定する際に、一定の制限を設けることにより、新たに設定する基準角度θbnを信頼性(精度)の高いものとする。この一定の制限とは、傾斜検出手段(加速度センサ111)が適切に傾斜を検出可能な条件下である(可能条件を満たす)場合にのみ、新たな基準角度θbnを設定することを許可するものである。
【0096】
すなわち、撮像装置10では、メニュー画面で調整モードが選択されると、新たな基準角度θbnの設定のための制御処理が開始され、図10のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2へと進み、ステップS2において新たな基準角度θbnとして設定する要求が為されることを待つ。これは、使用者により本体ケース11(撮像装置10)の水平状態を判断させるためである。ステップS2において新たな基準角度θbnとして設定する要求が為されると、ステップS3において雰囲気温度Tが所定の範囲内であるか否かを判断し、ステップS4においてピッチ角度が閾値以下であるか否かを判断し、雰囲気温度Tが所定の範囲内でありかつピッチ角度が閾値以下である場合にのみステップS5へと進み、設定要求が為された際の傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定する。このため、ステップS2において新たな基準角度θbnの設定要求をすることは、新たな基準角度θbnとして設定する傾斜角度θsを決定することとなる。ここで、実際の本体ケース11(撮像装置10)の傾斜であるロール角度θrは、使用者が認識するものであることから、結果として、新たな基準角度θbnを用いて生成されたロール角度θdは、実際の撮像装置10の傾斜であるロール角度θrに等しいものとなる。
【0097】
また、雰囲気温度Tが所定の範囲内ではない、またはピッチ角度が閾値以下ではない場合には、ステップS6へと進み、設定要求が為された際の傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定せず、その旨(警告表示制御)をLCDモニタ16の画像表示画面16aに表示させる。
【0098】
このため、使用者は、調整モードを選択した後、例えば、LCDモニタ16の画像表示画面16a(光学ファインダ14や本体ケース11自体でも同様である)を見ながら、本体ケース11(撮像装置10)が水平状態となったと判断したときに、設定要求(例えば、OKスイッチSW9への押圧操作)することで、自らが判断した水平状態を基準としたロール方向への傾斜度合いを傾斜報知表示Iに表示させることができる。上記した例では、図11(d)に示すように、本体ケース11(撮像装置10)が水平状態とされると、加速度センサ111からの検出結果すなわち加速度センサ111自体の傾斜角度θsは48度となり、雰囲気温度Tが所定の範囲内でありかつピッチ角度が閾値以下である場合、この48度が新たな基準角度θbnとして設定される。すると、撮像装置10では、図11(b)に示すように、本体ケース11が実際に水平状態とされると、加速度センサ111自体の傾斜角度θsが48度であることから、CPUブロック104−3は、傾斜角度θsを48度の基準角度θbpから見た角度に換算することにより、傾斜情報として0度のロール角度θdを生成する。また、上記した状態の撮像装置10では、図11(c)に示すように、本体ケース11がロール方向プラス側に3度傾斜されると、加速度センサ111自体の傾斜角度θsは45度となり、CPUブロック104−3は、傾斜角度θsを48度の基準角度θbpから見た角度に換算することにより、傾斜情報として3度のロール角度θdを生成する。
【0099】
したがって、本発明に係る撮像装置10では、新たな基準角度θbnを用いることにより、実際の撮像装置10の傾斜であるロール角度θrに等しいロール角度θdを生成することができる。
【0100】
また、本発明に係る撮像装置10では、雰囲気温度Tが所定の範囲内でありかつピッチ角度が閾値以下である場合にのみ、加速度センサ111から出力される検出結果である傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定可能とされていることから、信頼性の高い新たな基準角度θbnを用いてロール角度θdを生成することができ、当該ロール角度θdの信頼性をより高めることができる。
【0101】
さらに、本発明に係る撮像装置10では、雰囲気温度Tが所定の範囲内ではないまたはピッチ角度が閾値以下ではない場合には、設定要求が為された際の傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定しないので、信頼性の低い新たな基準角度θbnを用いることにより、信頼性の低いロール角度θdが生成されることを防止することができる。
【0102】
本発明に係る撮像装置10では、雰囲気温度Tが所定の範囲内ではないまたはピッチ角度が閾値以下ではない場合には、LCDモニタ16の画像表示画面16aに警告表示制御が表示されるので、使用者は、設定要求が為された際の傾斜角度θsを新たな基準角度θbnとして設定できなかったことを容易に認識することができる。特に、警告表示を、雰囲気温度Tが所定の範囲内ではないことに基づくものであるのか、ピッチ角度が閾値以下ではないことに基づくものであるのか、を認識させるものであると、使用者が同じ条件下で再度設定作業と行うことを防止することができ、より利便性を高めることができる。
【0103】
本発明に係る撮像装置10では、新たな基準角度θbnの設定のための制御処理において、検出精度向上制御(上記した実施例では、加速度センサ111からの検出結果に基づいて加速度センサ111自体の傾斜角度θsを演算する際、データを取得する時間間隔を狭めることによりサンプリング数を増加し、平均化処理の回数を増加している。)が実行されていることから、より信頼性の高い新たな基準角度θbnを用いてロール角度θdを生成することができ、当該ロール角度θdの信頼性をより高めることができる。
【0104】
なお、上記した実施例では、加速度センサ111は、本体ケース11のX−Y平面上で、x軸方向がロール方向のマイナス側へと45度ずれて配設されていたが、本体ケース11(撮像装置10)の傾き、特に、光軸方向周りの傾きを検出できるものであればよく、上記した位置関係に限定されるものではない。その場合、その位置関係に応じてピッチ角度の閾値を変更する。
【0105】
また、上記した実施例では、初期設定としての基準角度θbpとは別に新たな基準角度θbnを設定可能なものとされていたが、変化後の本体ケース11(撮像装置10)に対する加速度センサ111の位置関係に適合する新たな基準角度を設定するものであれば、初期設定としての基準角度θbpを新たな基準角度θbnに更新するものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0106】
さらに、上記した実施例では、本体ケース11(撮像装置10)を水平状態とするために新たな基準角度θbnを設定していたが、本体ケース11(撮像装置10)が任意の傾斜角度である状態において新たな基準角度θbnを設定してもよい。これにより、任意の傾斜角度を基準とする本体ケース11(撮像装置10)の傾斜度合いを生成および表示させることができる。
【0107】
上記した実施例では、所定の状態情報が所定の範囲にない(可能条件を満たすものではない)旨を報知する報知部として、LCDモニタ16の画像表示画面16aに警告表示制御を表示させる制御を行っていたが、使用者に所定の状態情報が所定の範囲にない旨を報知できるものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0108】
以上、本発明を実施例に基づき詳述してきたが、この具体的な構成に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
10 撮像装置
11 (撮像装置本体としての)本体ケース
15 (撮像手段としての)鏡胴ユニット
16a 画像表示画面
111 (傾斜検出手段としての)加速度センサ
I (傾斜情報としての)傾斜報知表示
θr ロール角度
θbp 基準角度
θbn 新たな基準角度
θd (傾斜情報としての)ロール角度
θs (傾斜検出手段からの検出結果としての)加速度センサ自体の傾斜角度
T 雰囲気温度
Tp 初期設定が為された際の雰囲気温度
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】特開2004−343476号公報
【特許文献2】特許第3896505号公報
【特許文献3】特開2007−174156号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを通過した光による被写体像を撮像する撮像部と、
傾きを検出する傾きセンサと、
前記傾きセンサを保持するセンサ保持部材と、
表示部と、
所定の基準角度情報が記録された記憶媒体と、を有する撮像装置において、
前記傾きセンサの出力に基づいて前記撮像装置の角度情報を出力する角度出力手段と、
前記所定の基準角度情報を前記記憶媒体から読み出す基準角度読出手段と、
前記角度出力手段が出力した角度情報と、前記基準角度読出手段で読み出した前記所定の基準角度情報とを比較した結果に基づいて前記撮像装置の傾き情報を出力する傾き情報出力手段と、
前記傾き情報を前記表示部に表示する表示手段とを備え、
前記撮像装置の所定の状態情報を取得する状態情報取得手段と、
前記所定の状態情報が所定の範囲内にあるか判断する状態判断手段と、
前記状態判断手段の判断結果に基づいて、前記角度出力手段が出力した角度情報を基準角度情報として前記記憶媒体に記録する基準角度更新動作を行う基準角度更新手段と、を有し、
前記状態判断手段が、前記所定の状態情報が前記所定の範囲内にあると判断した場合は、前記基準角度更新手段は、前記基準角度更新動作を行い、
前記状態判断手段が、前記所定の状態情報が前記所定の範囲内にないと判断した場合は、前記基準角度更新手段は、前記基準角度更新動作を行わないことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記傾きセンサは、加速度センサであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
温度を検出する温度検出手段と、
前記所定の基準角度情報が前記記憶媒体に記録された時に前記温度検出手段が検出した温度を、基準温度として記憶媒体に記録する基準温度記録手段と、
前記基準温度を読み出す基準温度読出手段と、
前記温度検出手段が検出する温度と前記基準角度読出手段が読み出した前記基準温度とを比較した結果に基づいて温度差情報を出力する温度比較手段を有し、
前記状態情報取得手段は、前記温度差情報を前記所定の状態情報として取得し、
前記状態判断手段は、前記温度差情報が前記所定の範囲内にあるか判断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
重力方向をY軸としたXYZ直交座標系から見て、前記撮像装置を前記レンズの光軸がZ軸と平行になるように保持した場合、前記撮像装置のX軸まわりの回転角度の情報をピッチ角情報、前記撮像装置のZ軸周りの回転角度の情報をロール角情報とし、
前記角度出力手段は、前記ピッチ角情報と前記ロール角情報のうち、少なくとも一方を出力することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記角度出力手段は、前記ロール角情報および前記ピッチ角情報を出力し、
前記基準角度更新手段は前記ロール角情報を基準角度として前記記憶媒体に記録する前記基準角度更新動作を行い、
前記状態情報取得手段は前記角度出力手段が出力したピッチ角情報を前記所定の状態情報として取得し、
前記判断手段は、前記ピッチ角情報が所定の範囲の範囲内にあるか判断することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記判断手段が、前記状態情報が前記所定の範囲の範囲内にないと判断したとき、前記状態情報が前記所定の範囲の範囲内にない旨を報知する報知部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像装置は、前記撮像部が撮像した前記被写体像を前記表示部に表示する画像表示手段を有し、
前記表示手段は、前記傾き情報を、前記画像表示手段が表示する前記被写体像と同時に前記表示部に表示することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像装置は、前記撮像部が撮像した前記被写体像を前記表示部に表示する画像表示手段を有し、
前記表示手段は、前記傾き情報を、前記被写体像に重畳して表示することを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項9】
撮影指示受付部と、被写体像記憶媒体とを有し、前記撮影指示受付部が撮影指示を受け付けた場合、前記撮像部が撮像した画像データを被写体像記憶媒体に記録することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
傾きを検出する傾きセンサと、
前記傾きセンサを保持するセンサ保持部材と、
表示部と、
基準角度情報を記憶する記憶媒体と、を備え、
前記傾きセンサの出力に基づいて前記撮像装置の角度情報を出力する角度出力手段と、
前記基準角度情報を前記記憶媒体から読み出す基準角度読出手段と、
前記角度出力手段が出力した角度情報と、前記基準角度読出手段で読み出した前記基準角度情報とを比較した結果に基づいて前記撮像装置の傾き情報を出力する傾き情報出力手段と、
前記傾き情報を前記表示部に表示する表示手段と、
前記角度出力手段が出力した角度情報を基準角度情報として前記記憶媒体に記録する基準角度更新動作を行う基準角度更新手段とを有する撮像装置の基準角度更新方法であって、
前記撮像装置の所定の状態情報を取得する状態情報取得工程と、
前記状態情報が所定の範囲内にあるか判断する状態判断工程と、
前記状態判断工程において前記状態情報が前記所定の範囲内にないと判断した場合、前記基準角度更新手段は、前記基準角度更新動作を中止する基準角度更新動作中止工程と、を有することを特徴とする基準角度更新方法。
【請求項11】
傾きを検出する傾きセンサと、
前記傾きセンサを保持するセンサ保持部材と、
表示部と、
基準角度情報を記憶する記憶媒体と、を有する電子機器において、
前記傾きセンサの出力に基づいて前記撮像装置の角度情報を出力する角度出力手段と、
前記基準角度情報を前記記憶媒体から読み出す基準角度読出手段と、
前記角度出力手段が出力した角度情報と、前記基準角度読出手段で読み出した前記基準角度情報とを比較した結果に基づいて前記電子機器の傾き情報を出力する傾き情報出力手段と、
前記傾き情報を前記表示部に表示する表示手段と、を備え、
前記撮像装置の所定の状態情報を取得する状態情報取得手段と、
前記状態情報が所定の範囲内にあるか判断する状態判断手段と、
前記状態判断手段の判断結果に基づいて、前記角度出力手段が出力した角度情報を基準角度情報として前記記憶媒体に記録する基準角度更新動作を行う基準角度更新手段と、を有し、
前記状態判断手段が、前記状態情報が前記所定の範囲内にないと判断した場合、前記基準角度記録手段は、前記記録動作を行わないことを特徴とする電子機器。
【請求項12】
撮像装置本体に設けられた撮像手段と、前記撮像装置本体に設けられ前記撮像手段が取得した画像が表示される画像表示画面と、前記撮像装置本体に設けられ水平方向に対する傾斜を検出する傾斜検出手段と、該傾斜検知手段からの検出結果を前記撮像装置本体に対する前記傾斜検出手段の位置関係を示す基準角度を用いて前記撮像装置本体の傾斜情報を生成する傾斜情報生成手段と、前記傾斜情報を前記画像表示画面に表示させる傾斜情報表示制御手段と、新たな基準角度を設定する基準角度更新手段と、を備える撮像装置であって、
前記基準角度更新手段は、前記傾斜検出手段が適切な傾斜の検出を可能とする可能条件を満たすものであるときにのみ、前記傾斜検出手段からの検出結果に基づいて前記新たな基準角度を設定することを特徴とする撮像装置。
【請求項13】
前記傾斜検出手段は、加速度センサであり、
前記可能条件は、前記傾斜検出手段の周辺温度が所定の範囲内であることを特徴とする請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記所定の範囲は、前記基準角度が設定された際の前記傾斜検出手段の周辺温度を基準として設定されていることを特徴とする請求項13に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記撮像装置本体において、前記撮像手段の光軸方向をZ方向とし、光軸方向が水平面に沿う状態における鉛直方向をY方向とし、Y−Z平面に直交する方向をX方向として、
前記傾斜情報生成手段は、前記傾斜情報として、前記撮像装置本体のZ方向周りの傾きであるロール角度および前記撮像装置本体のX方向周りの傾きであるピッチ角度のうち、少なくともいずれか一方を生成することを特徴とする請求項12ないし請求項14のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記傾斜検出手段は、加速度センサであり、
前記可能条件は、前記傾斜検出手段自体のピッチ角度が閾値以下であることを特徴とする請求項15に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記傾斜情報表示制御手段は、前記傾斜検出手段からの検出結果に基づく前記新たな基準角度を設定しない場合、前記傾斜検出手段が前記可能条件を満たすものではないことを前記画像表示画面に表示させることを特徴とする請求項12ないし請求項16のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項18】
前記傾斜情報表示制御手段は、前記傾斜情報を前記取得画像と同時に前記画像表示画面に表示させることを特徴とする請求項12ないし請求項17のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項19】
前記傾斜情報表示制御手段は、前記傾斜情報を前記取得画像に重ねて前記画像表示画面に表示させることを特徴とする請求項12ないし請求項18のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項20】
請求項12ないし請求項19のいずれか1項に記載の撮像装置であって、
さらに、撮影指示受付部と、前記撮像手段が取得した画像データを格納する記憶手段とを備え、
前記記憶手段には、前記撮影指示受付部が撮影指示の指令を受けた場合に、前記画像データが格納されることを特徴とする撮像装置。
【請求項21】
撮像装置本体に設けられた撮像手段と、前記撮像装置本体に設けられ前記撮像手段が取得した画像が表示される画像表示画面と、前記撮像装置本体に設けられ水平方向に対する傾斜を検出する傾斜検出手段と、該傾斜検知手段からの検出結果を前記撮像装置本体に対する前記傾斜検出手段の位置関係を示す基準角度を用いて前記撮像装置本体の傾斜情報を生成する傾斜情報生成手段と、前記傾斜情報を前記画像表示画面に表示させる傾斜情報表示制御手段と、新たな基準角度を設定する基準角度更新手段と、を備える撮像装置における新たな基準角度の設定方法であって、
前記基準角度更新手段は、前記傾斜検出手段からの検出結果に基づく暫定基準角度を設定する工程と、
前記傾斜検出手段が適切な傾斜の検出を可能とする可能条件を満たすか否かを判断する工程と、
前記可能条件を満たした場合に前記暫定基準角度を前記新たな基準角度として採用する工程と、
前記可能条件を満たしていない場合に前記暫定基準角度を前記新たな基準角度として採用しない工程と、を有することを特徴とする新たな基準角度の設定方法。
【請求項22】
撮像装置本体と、該撮像装置本体に設けられ任意の画像が表示される画像表示画面と、前記撮像装置本体に設けられ水平方向に対する傾斜を検出する傾斜検出手段と、該傾斜検知手段からの検出結果を前記撮像装置本体に対する前記傾斜検出手段の位置関係を示す基準角度を用いて前記撮像装置本体の傾斜情報を生成する傾斜情報生成手段と、前記傾斜情報を前記画像表示画面に表示させる傾斜情報表示制御手段と、新たな基準角度を設定する基準角度更新手段と、を備える電子機器であって、
前記基準角度更新手段は、前記傾斜検出手段が適切な傾斜の検出を可能とする可能条件を満たすものであるときにのみ、前記傾斜検出手段からの検出結果に基づいて前記新たな基準角度を設定することを特徴とする電子機器。
【請求項1】
レンズを通過した光による被写体像を撮像する撮像部と、
傾きを検出する傾きセンサと、
前記傾きセンサを保持するセンサ保持部材と、
表示部と、
所定の基準角度情報が記録された記憶媒体と、を有する撮像装置において、
前記傾きセンサの出力に基づいて前記撮像装置の角度情報を出力する角度出力手段と、
前記所定の基準角度情報を前記記憶媒体から読み出す基準角度読出手段と、
前記角度出力手段が出力した角度情報と、前記基準角度読出手段で読み出した前記所定の基準角度情報とを比較した結果に基づいて前記撮像装置の傾き情報を出力する傾き情報出力手段と、
前記傾き情報を前記表示部に表示する表示手段とを備え、
前記撮像装置の所定の状態情報を取得する状態情報取得手段と、
前記所定の状態情報が所定の範囲内にあるか判断する状態判断手段と、
前記状態判断手段の判断結果に基づいて、前記角度出力手段が出力した角度情報を基準角度情報として前記記憶媒体に記録する基準角度更新動作を行う基準角度更新手段と、を有し、
前記状態判断手段が、前記所定の状態情報が前記所定の範囲内にあると判断した場合は、前記基準角度更新手段は、前記基準角度更新動作を行い、
前記状態判断手段が、前記所定の状態情報が前記所定の範囲内にないと判断した場合は、前記基準角度更新手段は、前記基準角度更新動作を行わないことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記傾きセンサは、加速度センサであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
温度を検出する温度検出手段と、
前記所定の基準角度情報が前記記憶媒体に記録された時に前記温度検出手段が検出した温度を、基準温度として記憶媒体に記録する基準温度記録手段と、
前記基準温度を読み出す基準温度読出手段と、
前記温度検出手段が検出する温度と前記基準角度読出手段が読み出した前記基準温度とを比較した結果に基づいて温度差情報を出力する温度比較手段を有し、
前記状態情報取得手段は、前記温度差情報を前記所定の状態情報として取得し、
前記状態判断手段は、前記温度差情報が前記所定の範囲内にあるか判断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
重力方向をY軸としたXYZ直交座標系から見て、前記撮像装置を前記レンズの光軸がZ軸と平行になるように保持した場合、前記撮像装置のX軸まわりの回転角度の情報をピッチ角情報、前記撮像装置のZ軸周りの回転角度の情報をロール角情報とし、
前記角度出力手段は、前記ピッチ角情報と前記ロール角情報のうち、少なくとも一方を出力することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記角度出力手段は、前記ロール角情報および前記ピッチ角情報を出力し、
前記基準角度更新手段は前記ロール角情報を基準角度として前記記憶媒体に記録する前記基準角度更新動作を行い、
前記状態情報取得手段は前記角度出力手段が出力したピッチ角情報を前記所定の状態情報として取得し、
前記判断手段は、前記ピッチ角情報が所定の範囲の範囲内にあるか判断することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記判断手段が、前記状態情報が前記所定の範囲の範囲内にないと判断したとき、前記状態情報が前記所定の範囲の範囲内にない旨を報知する報知部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像装置は、前記撮像部が撮像した前記被写体像を前記表示部に表示する画像表示手段を有し、
前記表示手段は、前記傾き情報を、前記画像表示手段が表示する前記被写体像と同時に前記表示部に表示することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像装置は、前記撮像部が撮像した前記被写体像を前記表示部に表示する画像表示手段を有し、
前記表示手段は、前記傾き情報を、前記被写体像に重畳して表示することを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項9】
撮影指示受付部と、被写体像記憶媒体とを有し、前記撮影指示受付部が撮影指示を受け付けた場合、前記撮像部が撮像した画像データを被写体像記憶媒体に記録することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
傾きを検出する傾きセンサと、
前記傾きセンサを保持するセンサ保持部材と、
表示部と、
基準角度情報を記憶する記憶媒体と、を備え、
前記傾きセンサの出力に基づいて前記撮像装置の角度情報を出力する角度出力手段と、
前記基準角度情報を前記記憶媒体から読み出す基準角度読出手段と、
前記角度出力手段が出力した角度情報と、前記基準角度読出手段で読み出した前記基準角度情報とを比較した結果に基づいて前記撮像装置の傾き情報を出力する傾き情報出力手段と、
前記傾き情報を前記表示部に表示する表示手段と、
前記角度出力手段が出力した角度情報を基準角度情報として前記記憶媒体に記録する基準角度更新動作を行う基準角度更新手段とを有する撮像装置の基準角度更新方法であって、
前記撮像装置の所定の状態情報を取得する状態情報取得工程と、
前記状態情報が所定の範囲内にあるか判断する状態判断工程と、
前記状態判断工程において前記状態情報が前記所定の範囲内にないと判断した場合、前記基準角度更新手段は、前記基準角度更新動作を中止する基準角度更新動作中止工程と、を有することを特徴とする基準角度更新方法。
【請求項11】
傾きを検出する傾きセンサと、
前記傾きセンサを保持するセンサ保持部材と、
表示部と、
基準角度情報を記憶する記憶媒体と、を有する電子機器において、
前記傾きセンサの出力に基づいて前記撮像装置の角度情報を出力する角度出力手段と、
前記基準角度情報を前記記憶媒体から読み出す基準角度読出手段と、
前記角度出力手段が出力した角度情報と、前記基準角度読出手段で読み出した前記基準角度情報とを比較した結果に基づいて前記電子機器の傾き情報を出力する傾き情報出力手段と、
前記傾き情報を前記表示部に表示する表示手段と、を備え、
前記撮像装置の所定の状態情報を取得する状態情報取得手段と、
前記状態情報が所定の範囲内にあるか判断する状態判断手段と、
前記状態判断手段の判断結果に基づいて、前記角度出力手段が出力した角度情報を基準角度情報として前記記憶媒体に記録する基準角度更新動作を行う基準角度更新手段と、を有し、
前記状態判断手段が、前記状態情報が前記所定の範囲内にないと判断した場合、前記基準角度記録手段は、前記記録動作を行わないことを特徴とする電子機器。
【請求項12】
撮像装置本体に設けられた撮像手段と、前記撮像装置本体に設けられ前記撮像手段が取得した画像が表示される画像表示画面と、前記撮像装置本体に設けられ水平方向に対する傾斜を検出する傾斜検出手段と、該傾斜検知手段からの検出結果を前記撮像装置本体に対する前記傾斜検出手段の位置関係を示す基準角度を用いて前記撮像装置本体の傾斜情報を生成する傾斜情報生成手段と、前記傾斜情報を前記画像表示画面に表示させる傾斜情報表示制御手段と、新たな基準角度を設定する基準角度更新手段と、を備える撮像装置であって、
前記基準角度更新手段は、前記傾斜検出手段が適切な傾斜の検出を可能とする可能条件を満たすものであるときにのみ、前記傾斜検出手段からの検出結果に基づいて前記新たな基準角度を設定することを特徴とする撮像装置。
【請求項13】
前記傾斜検出手段は、加速度センサであり、
前記可能条件は、前記傾斜検出手段の周辺温度が所定の範囲内であることを特徴とする請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記所定の範囲は、前記基準角度が設定された際の前記傾斜検出手段の周辺温度を基準として設定されていることを特徴とする請求項13に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記撮像装置本体において、前記撮像手段の光軸方向をZ方向とし、光軸方向が水平面に沿う状態における鉛直方向をY方向とし、Y−Z平面に直交する方向をX方向として、
前記傾斜情報生成手段は、前記傾斜情報として、前記撮像装置本体のZ方向周りの傾きであるロール角度および前記撮像装置本体のX方向周りの傾きであるピッチ角度のうち、少なくともいずれか一方を生成することを特徴とする請求項12ないし請求項14のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記傾斜検出手段は、加速度センサであり、
前記可能条件は、前記傾斜検出手段自体のピッチ角度が閾値以下であることを特徴とする請求項15に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記傾斜情報表示制御手段は、前記傾斜検出手段からの検出結果に基づく前記新たな基準角度を設定しない場合、前記傾斜検出手段が前記可能条件を満たすものではないことを前記画像表示画面に表示させることを特徴とする請求項12ないし請求項16のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項18】
前記傾斜情報表示制御手段は、前記傾斜情報を前記取得画像と同時に前記画像表示画面に表示させることを特徴とする請求項12ないし請求項17のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項19】
前記傾斜情報表示制御手段は、前記傾斜情報を前記取得画像に重ねて前記画像表示画面に表示させることを特徴とする請求項12ないし請求項18のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項20】
請求項12ないし請求項19のいずれか1項に記載の撮像装置であって、
さらに、撮影指示受付部と、前記撮像手段が取得した画像データを格納する記憶手段とを備え、
前記記憶手段には、前記撮影指示受付部が撮影指示の指令を受けた場合に、前記画像データが格納されることを特徴とする撮像装置。
【請求項21】
撮像装置本体に設けられた撮像手段と、前記撮像装置本体に設けられ前記撮像手段が取得した画像が表示される画像表示画面と、前記撮像装置本体に設けられ水平方向に対する傾斜を検出する傾斜検出手段と、該傾斜検知手段からの検出結果を前記撮像装置本体に対する前記傾斜検出手段の位置関係を示す基準角度を用いて前記撮像装置本体の傾斜情報を生成する傾斜情報生成手段と、前記傾斜情報を前記画像表示画面に表示させる傾斜情報表示制御手段と、新たな基準角度を設定する基準角度更新手段と、を備える撮像装置における新たな基準角度の設定方法であって、
前記基準角度更新手段は、前記傾斜検出手段からの検出結果に基づく暫定基準角度を設定する工程と、
前記傾斜検出手段が適切な傾斜の検出を可能とする可能条件を満たすか否かを判断する工程と、
前記可能条件を満たした場合に前記暫定基準角度を前記新たな基準角度として採用する工程と、
前記可能条件を満たしていない場合に前記暫定基準角度を前記新たな基準角度として採用しない工程と、を有することを特徴とする新たな基準角度の設定方法。
【請求項22】
撮像装置本体と、該撮像装置本体に設けられ任意の画像が表示される画像表示画面と、前記撮像装置本体に設けられ水平方向に対する傾斜を検出する傾斜検出手段と、該傾斜検知手段からの検出結果を前記撮像装置本体に対する前記傾斜検出手段の位置関係を示す基準角度を用いて前記撮像装置本体の傾斜情報を生成する傾斜情報生成手段と、前記傾斜情報を前記画像表示画面に表示させる傾斜情報表示制御手段と、新たな基準角度を設定する基準角度更新手段と、を備える電子機器であって、
前記基準角度更新手段は、前記傾斜検出手段が適切な傾斜の検出を可能とする可能条件を満たすものであるときにのみ、前記傾斜検出手段からの検出結果に基づいて前記新たな基準角度を設定することを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−219924(P2010−219924A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64814(P2009−64814)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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