説明

撮像装置

【課題】よりよい条件でバウンス撮像する。
【解決手段】照明光を発生する発光部と、照明光の照射方向を変化させる駆動部と、照明光を照射された撮像対象を撮像する撮像部と、撮像指示を1回受け付けた場合に、駆動部により照射方向を変えつつ発光部を繰り返し発光させて、撮像対象に照明光が照射される毎に撮像部により撮像対象を撮像させる発光撮像制御部と、撮像部により撮像された複数の画像を一時記憶する一時記憶部と、一時記憶部に記憶された複数の画像に基づいて、少なくとも1つの画像を記録用画像として出力する記録用画像出力部と、記録用画像出力部により出力された画像を記録する記録部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人工照明による撮像において、照明装置の照明光を壁面、天井面等で反射させて、撮像対象を間接光で照明しつつ撮像するバウンス撮像という撮像手法がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−256849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バウンス撮像においては、撮像装置から撮像対象に向かう方向と異なる方向に照明光を照射させる。このため、照明光の適切な照射方向を選ぶことが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を且つ決すべく、本発明の第一態様として、照明光を発生する発光部(200)と、照明光の照射方向を変化させる駆動部(224)と、照明光を照射された撮像対象(430)を撮像する撮像部(340)と、撮像指示を1回受け付けた場合に、駆動部により照射方向を変えつつ発光部を繰り返し発光させて、撮像対象に照明光が照射される毎に撮像部により撮像対象を撮像させる発光撮像制御部(330)と、撮像部により撮像された複数の画像を一時記憶する一時記憶部(350)と、一時記憶部に記憶された複数の画像に基づいて、少なくとも1つの画像を記録用画像として出力する記録用画像出力部(362)と、記録用画像出力部により出力された画像を記録する記録部(370)とを備える撮像装置が提供される。
【0006】
また、本発明の第二形態として、照射方向を変化させつつ発光部に照明光を発生させる発光制御部(332)と、照明光を照射された撮像対象を撮像する撮像部と、を備え、1回の撮像指示を受け付けた場合に、照射方向を変えつつ発光部を繰り返し発光させて、撮像対象に照明光が照射される毎に撮像対象を撮像して複数の画像を保存する撮像装置が提供される。
【0007】
上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションも発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】デジタルカメラ100の斜視図である。
【図2】デジタルカメラ100の側面図である。
【図3】デジタルカメラ100の内部構造を示すブロック図である。
【図4】バウンス撮像を説明する図である。
【図5】デジタルカメラ100における画像の処理を説明する図である。
【図6】デジタルカメラ100における画像の処理を説明する図である。
【図7】他のバウンス撮像を説明する図である。
【図8】デジタルカメラ100における画像の処理を説明する図である。
【図9】他のバウンス撮像を説明する図である。
【図10】デジタルカメラ100における画像の処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、デジタルカメラ100の斜視図である。デジタルカメラ100は、筐体110と、筐体110の前面に配された撮像レンズ120およびファインダ130とを備える。また、筐体110の天面の片側に、ズームレバー140、シャッタレリーズボタン150、電源ボタン160、コマンドダイヤル170およびモードダイヤル180を備える。更に、筐体110の天面においてシャッタレリーズボタン150とは反対側に、起立式の発光部200を有する。
【0011】
筐体110は、図上の左側端部は前方に厚さを増してグリップ部112を形成する。撮像レンズ120は沈胴式で、図示の状態では筐体110の内部に格納されている。ファインダ130は、撮像対象に面して開口して、筐体110の背面側から、ユーザに撮像対象および撮像範囲を観察させる。
【0012】
電源ボタン160は、このデジタルカメラ100を撮影できる状態にする。電源ボタン160が押された場合、撮像レンズ120は筐体110の前方に突出する。シャッタレリーズボタン150は、デジタルカメラ100が撮像対象を撮像するタイミングをユーザが指示する場合に押される。ズームレバー140は、撮像レンズ120の焦点距離を変化させる。
【0013】
コマンドダイヤル170は、ユーザがデジタルカメラ100に対して何らかのパラメータの増減を指示する場合に使用される。モードダイヤル180は、ユーザがデジタルカメラ100の動作モードを選択する場合に使用される。
【0014】
発光部200は、筐体110と連続した面をなすベゼル220と、ベゼル220の一部で露出する発光窓210とを有する。発光部200を使用する場合は、ベゼル220の前端側をヒンジとして、筐体110の上に発光部200が起立する。
【0015】
図2は、デジタルカメラ100の側面図であり、図1に示す矢印Aの方向から見た様子を示す。図1と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0016】
図2に示す状態では、発光部200は、筐体110の上面に起立している。ベゼル220は、筐体110の前面と平行に起立し、発光窓210も前方を向く。ベゼル220の裏面は、発光部200が起立する場合のヒンジを中心とする円弧をなし、当該円弧に沿って形成された歯を有する歯車部222を有する。
【0017】
歯車部222は、筐体110の内部まで延長され、筐体110に内蔵された駆動モータ224のピニオンと噛み合っている。これにより、駆動モータ224を動作させて、発光部200を起立させまた格納することができる。
【0018】
また、ベゼル220の起立位置と格納位置の中間で駆動モータ224を停止させることにより、ベゼル220を任意の角度で停止させることができる。これにより、発光窓210から出射される照明光の照射角度を、撮像レンズ120の光軸と平行ではない任意の角度に向けることができる。
【0019】
なお、図2に示すように、デジタルカメラ100は、表示部190を背面に有する。表示部190は、イメージセンサが受光した光像を表示できる。また、表示部190は、撮像した画像を再生表示できる。更に、表示部190は、デジタルカメラ100の各種設定をする場合に、ユーザインターフェイスの一部として機能する。
【0020】
図3は、デジタルカメラ100の内部構造300を示すブロック図である。内部構造300は、合焦部312、測光部314、発光部200、制御部330、撮像部340、画像処理部360および記録部370等を含む。
【0021】
制御部330は、以下に説明する内部構造300の各部の動作を統括して制御する。また、制御部330は、デジタルカメラ100のシャッタレリーズボタン150、電源ボタン160、モードダイヤル180等がユーザに操作された場合に、当該操作を通じて入力されたデジタルカメラ100への指示を受け付ける。また、表示部190に表示する表示画像を生成する。
【0022】
合焦部312は、撮像レンズ120から入射してイメージセンサ342上に結ばれた光像の空間周波数を検出して撮像レンズ120の合焦位置を検出する。これにより、デジタルカメラ100のオートフォーカス機能が形成される。
【0023】
測光部314は、イメージセンサ342に入射する撮像対象の輝度を検出して、撮像する場合の露出条件を検出する。これにより、デジタルカメラ100の自動露出機能が形成される。
【0024】
発光部200は、発光駆動部322およびバウンス駆動部324を含む。発光駆動部322は、発光部200の発光窓210の内側に配された放電管に放電電圧を供給して閃光を発生させる。また、測光部314の測定結果を参照して、発光部の発光強度に応じた電力を発光管に供給する。
【0025】
バウンス駆動部324は、駆動モータ224の回転または停止と、回転した場合の回転量とを制御する。これにより、発光部200のベゼル220を、求められた角度で起立させる。発光部200の動作は、制御部330に含まれる発光制御部332の制御の下に実行される。
【0026】
なお、以下の説明において、筐体110の天面に対するベゼル220の角度を、バウンス角度と記載する。バウンス角度は、発光部200が筐体110に格納された状態を0°、発光部200が起立し切った状態を90°とする。バウンス角度が90°の場合は、発光窓からの照明光の照射方向が撮像レンズ120の光軸と平行になる。従って、バウンス角度90°の場合、撮像対象は直接光により照明される。
【0027】
撮像部340は、イメージセンサ342、アナログ信号処理回路344およびアナログ/デジタル変換器346を含む。イメージセンサ342は、撮像レンズ120を通じて入射した光像を電気信号に変換する。
【0028】
イメージセンサ342から読み出された電気信号は、アナログ信号処理回路344のOBクランプ回路、自動利得制御回路、二重相関サンプリング回路において黒レベル再生、波形整形、雑音除去等の処理をした後等の処理を受けた後、アナログ/デジタル変換器346により離散化される。撮像部340におけるこれら一連の処理は、タイミング発生部336から供給されるタイミング信号により同期して実行される。
【0029】
撮像部340から出力されたデジタル画像信号は、バッファ350に保持される。バッファ350は、撮像部340の他、画像処理部360、不揮発性記録媒体374等からもアクセスされる。なお、撮像部340の一連の動作は、制御部330に含まれる撮像制御部334の制御の下に実行される。
【0030】
画像処理部360は、画像出力部362、画像合成部364および画像選択部366を含む。画像出力部362は、バッファ350に保持された画像情報を、圧縮およびファイル化して、不揮発性記録媒体374のファイルシステム下で保存できる状態にする。画像情報のファイル化に先立つ画像合成部364および画像選択部366における処理については他の図を参照して後述する。
【0031】
記録部370は、書込/読出制御部372を含む。書込/読出制御部372は、バッファ350にファイル化して保持された画像情報を、不揮発性記録媒体374に書き込む制御を管理する。また、不揮発性記録媒体374からバッファ350へ画像ファイルを読み出す場合も、書込/読出制御部372が管理する。
【0032】
図4は、デジタルカメラ100を用いたバウンス撮像の形態を示す図である。ここでは、デジタルカメラ100は、三脚410上に固定されるものとする。撮像対象430は、テーブル420に載せられた鉢植えの花とする。デジタルカメラ100は、発光部200のバウンス角度θを段階的に変化させながら、段階毎に撮像対象430を撮像する。
【0033】
撮像対象430の花は、撮像レンズ120の略正面に位置する。これに対して、シャッタレリーズボタン150がユーザに1回操作されると、制御部330の制御により、発光部200は、デジタルカメラ100の筐体110上面から起立しつつ、その途中の段階A、B、Cにおいて照明光を発光し、撮像部340は撮像対象430を撮像する。更に、制御部330の制御により、発光部200はバウンス角度が90°になったときに直接光Dを照明し、撮像部340は照明された撮像対象430を撮像する。この一連の撮像において撮像された複数の画像情報は、逐次バッファ350に一時記憶させる。
【0034】
図5は、デジタルカメラ100が撮像した画像の処理を説明する図である。デジタルカメラ100の画像処理部360は、バッファ350に格納された画像情報のうち、中間のバウンス角度で照射されたバウンス照明B、Cで照明した状態で撮像した画像512、514を画像合成部364において合成する。
【0035】
即ち、照明光の照射光軸が撮像対象430のやや下方を通過するバウンス照明Bにより照明された状態で撮像した画像512では、上部の花は鮮明に撮像されているが、下部の葉の部分は露出不足でローキーになっている。一方、照明光の照射光軸が撮像対象430の上方を通過するバウンス照明Cにより照明された状態で撮像した画像514は、下部の葉の部分は鮮明に撮像されているが、上部の花に白とびが生じている。
【0036】
画像合成部364は、画像512の上部と画像514の下部を合わせて、全体に鮮明な合成画像516を生成する合成処理Sを実行する。これにより生成された合成画像516は、バッファ350に保持され、画像出力部362により画像ファイル化された後、書込/読出制御部372の制御の下に、不揮発性記録媒体374へ出力され、保存される。
【0037】
こうして、ブラケット角度を変化させながら撮像した複数の画像512、514を合成して、全体に鮮明な合成画像516の画像ファイルが得られる。また、合成に供された画像512、514は、いずれもバウンス照明B、Cにより撮像されているので、閃光照明でも自然な画像が得られるバウンス撮像の利点が活かされている。
【0038】
なお、バウンス撮像をする場合は、照明光の光路長が、直接照明光の場合よりも長くなるので、直接照明光の場合よりも発光部200の発光強度を高くしてもよい。また、連続した一連の撮像においては、発光部200の発光強度は一定にしてもよい。これにより、簡単な制御で後述する効果が得られる。
【0039】
更に、バウンス角度を変化させながら連続撮像する場合、バウンス角度の変化は、照明光の反射光が撮像対象530に照射される可能性が高い角度で小刻みに変化させることが好ましい。例えば、バウンス駆動部324により、バウンス照明Cの場合の照射方向と直接照明Dの場合の照射方向との差が、バウンス照明Bの場合の照射方向とバウンス照明Cの場合の照射方向との差よりも大きくなるように照射方向が駆動される。これにより、無駄な撮像回数を減じると共に、バウンス撮像固有の効果が現れた画像を比較あるいは合成に供することができる。
【0040】
図6は、デジタルカメラ100を用いたバウンス撮像のまた他の形態を示す図である。デジタルカメラ100の画像処理部360は、バッファ350に格納された複数の画像情報のうち、中間のバウンス角度で照射されたバウンス照明A、B、Cで照明した状態で撮像した画像522、524、526と、直接照明Dで撮像した画像528とから画像を選択する処理Sを、画像選択部366において実行する。
【0041】
照明光の照射光軸が撮像対象430の遥か下方を通過するバウンス照明Aにより照明された状態で撮像した画像522は、画像全体が暗くダイナミックレンジが狭い。照明光の照射光軸が撮像対象430の下部を照射するバウンス照明Bにより照明された状態で撮像した画像524は、白とびも黒つぶれも発生しておらず、イメージセンサ342のダイナミックレンジが有効に利用されている。
【0042】
照明光の照射光軸が撮像対象430のやや上方を通過するバウンス照明Cにより照明された状態で撮像した画像526は、画像522よりは明るいが、画像全体がやや暗くダイナミックレンジが狭い。更に、直接照明Dにより照明された状態で撮像した画像528は、随所に白とびが生じて、画像情報の一部が失われている。
【0043】
画像選択部366は、上記のような画像522、524、526、528をそれぞれ分析して、白とびまたは黒つぶれが生じておらず、且つ、輝度のダイナミックレンジが最も広い画像524を選択する。選択された画像524は、バッファ350に保持され、画像出力部362により画像ファイル化された後、書込/読出制御部372の制御の下に不揮発性記録媒体374へ出力され保存される。
【0044】
こうして、ブラケット角度を変化させながら撮像した複数の画像522、524、526、528からダイナミックレンジの広い画像524を選択することにより、特定のバウンス角度θを設定することなく、鮮明な画像を撮像できる。選択された画像524は、バウンス照明Bにより撮像されているので、閃光照明でも自然な画像が得られるバウンス撮像の利点が活かされている。
【0045】
なお、上記形態では、発光部200が水平な回転軸の廻りを回転しつつ起立してバウンス角度θを変化させた。しかしながら、発光部200による照明光の照射方向を水平に変化させても、同様の効果が得られる場合がある。また、上記の形態は、閃光光源を用いた発光部200について説明したが、連続発光する発光部200を用いても同様の効果が得られる。
【0046】
図7は、デジタルカメラ100を用いたバウンス撮像の他の形態を示す図である。引き続き、テーブル420に載せられた鉢植えの花を撮像対象430とした。ただし、この例では、テーブル420の形状が図4に示した場合と異なっている。即ち、テーブル420は、1本の脚部424と、脚部424の上端に支持されて、側方に張り出した天板422とを有する。
【0047】
デジタルカメラ100は、やはり三脚410上に固定される。デジタルカメラ100による撮像は、発光部200がバウンス角度θを与えられて天井440によるバウンス照明Aで照明された撮像対象430を撮像する段階と、バウンス角度θが90°になり直接光Dにより照明された撮像対象430を撮像する段階とを含む。
【0048】
図8は、上記の撮像によりデジタルカメラ100が撮像した画像の処理を説明する図である。デジタルカメラ100の画像処理部360は、バッファ350に格納された画像情報のうち、中間のバウンス角度で照射されたバウンス照明Aで照明した状態で撮像した画像532と、直接光Dで照明した状態で撮像した画像534とを、画像合成部364において合成する合成処理Sを実行する。
【0049】
バウンス照明Aにより照明された状態で撮像した画像532では、上方から下方に向かって照射される照明光により陰影が強調されている。また、テーブル420の天板422の影が、脚部424に明瞭に顕れている。一方、直接光Dにより照明された状態で撮像された画像534は、デジタルカメラ100の撮像光学系の光軸と同じ方向から照射された強い直接光Dにより照明された状態で撮像されるので陰影が生じ難く、葉の部分のように、撮像対象において同じ色が集まっている部分では、輪郭が判りにくくなる。
【0050】
画像合成部364は、画像534において輪郭がわかりにくい領域を、画像532から抽出した輪郭情報により補って合成画像536を生成する。生成された合成画像436はバッファ350に保持され、画像出力部362により画像ファイル化された後、書込/読出制御部372の制御の下に、不揮発性記録媒体374に保存される。
【0051】
こうして、バウンス照明により撮像した画像と直接光により撮像した画像を合成することにより、色と形状とが細部まで明瞭な画像が得られる。なお、上記の合成処理では、画像534を補うと記載したが、画像532を補うというアルゴリズムで合成を実行してもよい。また、その両方の画像補完を併せて実行してもよい。
【0052】
更に、格納状態から直接照明状態に至る複数のバウンス角度でバウンス照明して撮像した複数の画像を合成してもよい。この場合、バウンス照明により撮像された画像そのものに加えて、バウンス角度の変化に伴う画像の変化を抽出して、被写体の形状等を検出してもよい。
【0053】
図9は、デジタルカメラ100を用いたバウンス撮像の他の形態を示す図である。図7に示した場合と同じ形状のテーブル420を用いて、テーブル420上に球形の物体を載せて撮像対象430とした。また、撮像対象430は、壁面442の直前に配した。
【0054】
デジタルカメラ100は三脚410上に固定される。デジタルカメラ100による撮像は、発光部200がバウンス角度θを与えられて天井440によるバウンス照明Aで照明された撮像対象430を撮像する段階と、バウンス角度θが90°になり、直接光Dにより照明された撮像対象430を撮像する段階とを含む。
【0055】
図10は、上記の撮像によりデジタルカメラ100が撮像した画像の処理を説明する図である。デジタルカメラ100の画像処理部360は、バッファ350に格納された画像情報のうち、中間のバウンス角度で照射されたバウンス照明Aで照明した状態で撮像した画像532と、直接光Dで照明した状態で撮像した画像534とを、画像合成部364において合成する合成処理Sを実行する。
【0056】
バウンス照明Aにより照明された状態で撮像した画像532では、上方から下方に向かって照射される照明光により、球体の立体感が現れている。しかしながら、テーブル420の天板422の影が脚部424に映っている。一方、直接光Dにより照明された状態で撮像された画像534では、テーブル420に影は生じていないが、撮像対象430全体の影が、背後の壁面に明瞭に現れている。
【0057】
画像合成部364は、コントラストを低くして明瞭な影を除いた画像542と、濃い影を除去した画像544とを合成して、合成画像546を生成する。生成された合成画像546はバッファ350に保持され、画像出力部362により画像ファイル化された後、書込/読出制御部372の制御の下に、不揮発性記録媒体374に保存される。こうして、バウンス照明により撮像した画像と直接光により撮像した画像を合成することにより、閃光照明独特の濃い影を取り除きつつ、画像の立体感を保った画像が得られる。
【0058】
更に、格納状態から直接照明状態に至る複数のバウンス角度でバウンス照明して撮像した複数の画像を合成してもよい。この場合、バウンス照明により撮像された画像そのものに加えて、バウンス角度の変化に伴う画像の変化を抽出して、取り除くべき影の形状等を検出してもよい。
【0059】
更に、上記形態では、発光部200を内蔵したデジタルカメラ100を例に挙げて説明したが、周辺機器としての照明機器を装着した一眼レフカメラにおいても同様の効果を上げることができる。更に、デジタルビデオカメラ、銀塩フィルムを用いたアナログカメラ等においても同様の効果が得られる。
【0060】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0061】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を、後の処理で用いる場合でない限り、任意の順序で実現しうることに留意されたい。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0062】
100 デジタルカメラ、200 発光部、210 発光窓、222 歯車部、224 駆動モータ、300 内部構造、312 合焦部、314 測光部、322 発光駆動部、324 バウンス駆動部、330 制御部、332 発光制御部、334 撮像制御部、340 撮像部、350 バッファ、360 画像処理部、362 画像出力部、364 画像合成部、366 画像選択部、370 記録部、372 書込/読出制御部、374 不揮発性記録媒体、430 撮像対象、512、514、522、524、526、528、532、534、542、544 画像、516、536、546 合成画像、110 筐体、112 グリップ部、120 撮像レンズ、130 ファインダ、140 ズームレバー、150 シャッタレリーズボタン、160 電源ボタン、170 コマンドダイヤル、180 モードダイヤル、190 表示部、220 ベゼル、22 歯車部、336 タイミング発生部、342 イメージセンサ、344 アナログ信号処理回路、346 アナログ/デジタル変換器、410 三脚、420 テーブル、422 天板、424 脚部、436 合成画像、440 天井、442 壁面、530 撮像対象

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を発生する発光部と、
前記照明光の照射方向を変化させる駆動部と、
前記照明光を照射された撮像対象を撮像する撮像部と、
1回の撮像指示を受け付けた場合に、前記駆動部により前記照射方向を変えつつ前記発光部を繰り返し発光させて、前記撮像対象に前記照明光が照射される毎に前記撮像部により前記撮像対象を撮像させる発光撮像制御部と、
前記撮像部により撮像された複数の画像を一時記憶する一時記憶部と、
前記一時記憶部に記憶された前記複数の画像に基づいて、少なくとも1つの記録用画像を出力する記録用画像出力部と、
前記記録用画像を記録する記録部と
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記記録用画像出力部は、前記複数の画像を合成して合成画像を生成する画像合成部を含み、
前記記録用画像出力部は前記合成画像を前記記録用画像として出力することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記画像合成部は、前記照明光が前記撮像対象を直接に照明して撮像した直接照明画像と、前記照明光が前記撮像対象を間接に照明して撮像した間接照明画像とを合成して単一の画像として保存する請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記記録用画像出力部は、前記複数の画像から、前記撮像対象の輝度が撮像素子のダイナミックレンジの範囲内に収まる画像を選択する画像選択部を含み、
前記記録用画像出力部は、前記画像選択部に選択された単一の画像を前記記録用画像として前記記録部に記録するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記発光部は、前記照明光が前記撮像対象を間接に照明する場合に、前記照明光が前記撮像対象を直接に照明する場合よりも発光量を増加させる請求項1から請求項4までのいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記駆動部は、前記照明光の照射方向が前記撮像対象に対して直接光になる照射方向に近づくほど、前記照射方向の変化を大きくする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の撮像装置。
【請求項7】
照射方向を変化させつつ発光部に照明光を発生させる発光制御部と、
前記照明光を照射された撮像対象を撮像する撮像部と、
を備え、1回の撮像指示を受け付けた場合に、前記照射方向を変えつつ前記発光部を繰り返し発光させて、前記撮像対象に前記照明光が照射される毎に前記撮像対象を撮像して複数の画像を保存する撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−118309(P2011−118309A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277966(P2009−277966)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】