説明

撮像装置

【課題】光学ファインダ部の複雑化や大型化を抑えつつ、その液晶表示部で生じる散乱光に起因したファインダ窓でのゴーストの視認度を低減できる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、被写体光を角度θaでミラー65eに入射させ、その反射光をファインダ窓10に導く光学ファインダ部17と、高分子分散型のLCD64とを備えている。そして、赤色の波長を有する照明光で照らされたLCD64にて散乱する散乱光が角度θbでミラー65eに入射するとともに、その反射方向の先の光路Qb上にファインダ窓10が存在している。そこで、角度θaで入射する光に比べて角度θbで入射する光についての赤色の波長に係る分光反射率を低減させたミラー65eにより、光学ファインダ部17の複雑化や大型化を抑えつつLCD64で生じる散乱光に起因したファインダ窓10でのゴーストの視認度を低減できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影光学系を通った被写体光をファインダ窓に導く光学ファインダを備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影レンズを通った被写体光像をファインダ窓に導く光学ファインダ部が設けられた一眼レフタイプのカメラ(撮像装置)が知られている。
【0003】
このような撮像装置に関しては、ファインダ窓の画面でAF合焦箇所(AFエリア)などの情報を被写体光像に重ね合わせて表示する、いわゆるスーパーインポーズ表示を行うための様々な手法が提案されている。例えば焦点板の上方に配置した液晶表示部を用いてスーパーインポーズ表示を行う手法が提案されているが、暗い場所での視認性を確保するには、高分子分散型の液晶素子を封入した液晶層の側面からLED等による照明光を入射させ、液晶層において拡散状態の表示箇所で照明光を散乱させることにより、スーパーインポーズ表示を明るくするのが好ましい。
【0004】
しかし、高分子分散型の液晶層に照明光を照射すると、スーパーインポーズ表示に係る表示箇所での散乱光だけでなく、透明状態(透過状態)の非表示箇所においても微小な残存拡散によって無視できない強度の散乱光が生じて液晶表示部から射出される。このように液晶表示部から射出される散乱光は例えばペンタミラーでの反射を経てファインダ窓に到達し、ファインダ窓の画面上部にゴーストを発生させてしまう。
【0005】
このゴースト対策としては、例えば特許文献1に開示される技術がある。この技術によれば、液晶表示部の上方に配設したガラス板でゴーストを発生させる散乱光を反射させ、そのガラス板の透過を遮断(遮光)することで、ファインダ窓でのゴーストの視認度を低減させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−212792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、遮光用のガラス板が必要となるため、その分、部品点数が増加し、光学ファインダ部の複雑化や大型化を招くこととなる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、光学ファインダ部の複雑化や大型化を抑えつつ、その液晶表示部で生じる散乱光に起因したファインダ窓でのゴーストの視認度を低減できる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの側面は、撮像装置であって、撮影光学系を通った被写体光を第1の角度で所定のミラーに入射させ、当該所定のミラーでの反射光をファインダ窓に導く光学ファインダ手段と、前記光学ファインダ手段における前記被写体光の光路上に配置された液晶表示部と、所定の波長を有する光で前記液晶表示部を照らす照明手段とを備えており、前記照明手段によって照らされた液晶表示部にて散乱する散乱光が、第2の角度で前記所定のミラーに入射するとともに、その反射方向の先に前記ファインダ窓が存在し、前記所定のミラーは、前記第1の角度で入射する光に比べて前記第2の角度で入射する光についての前記所定の波長に係る分光反射率を低減させた反射特性を有している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光学ファインダ部の複雑化や大型化を抑えつつ、その液晶表示部で生じる散乱光に起因したファインダ窓でのゴーストの視認度を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る撮像装置の外観構成を示す正面図である。
【図2】撮像装置の外観構成を示す背面図である。
【図3】撮像装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】OVFを用いた構図決め動作を示す断面図である。
【図5】EVFを用いた構図決め動作を示す断面図である。
【図6】撮像素子の露光動作時の状態を示す断面図である。
【図7】光学ファインダ部の構成を説明するための図である。
【図8】光学ファインダ部の構成を説明するための図である。
【図9】光学ファインダ部の構成を説明するための図である。
【図10】照明用LEDから液晶層に入射した光の挙動を説明するための図である。
【図11】ファインダ窓で生じるゴーストを説明するための図である。
【図12】可動ミラーの反射特性を説明するためのグラフである。
【図13】可動ミラーの断面構造を説明するための図である。
【図14】従来技術に係るペンタミラーで用いられるミラーの断面構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
[撮像装置の要部構成]
図1および図2は、本発明の実施形態に係る撮像装置1の外観構成を示す図である。ここで、図1は、撮像装置1の正面外観図であり、図2は、撮像装置1の背面外観図である。この撮像装置1は、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルカメラとして構成されている。
【0013】
図1に示すように、撮像装置1は、カメラ本体部(カメラボディ)2を備えている。このカメラ本体部2に対して、交換式の撮影レンズユニット(交換レンズ)3が着脱可能である。
【0014】
撮影レンズユニット3は、主として、鏡胴36、ならびに鏡胴36の内部に設けられるレンズ群37(図3参照)及び絞り等によって構成される。撮影光学系として働くレンズ群37には、光軸方向に移動することによって焦点位置を変更するフォーカスレンズ等が含まれている。
【0015】
カメラ本体部2は、撮影レンズユニット3が装着される円環状のマウント部Mtを正面略中央に備え、撮影レンズユニット3を着脱するための着脱ボタン89を円環状のマウント部Mt付近に備えている。
【0016】
また、カメラ本体部2は、その正面左上部にモード設定ダイヤル82を備え、その正面右上部に制御値設定ダイヤル86を備えている。モード設定ダイヤル82を操作することによって、カメラの各種モード(各種撮影モード(人物撮影モード、風景撮影モード、およびフルオート撮影モード等)、撮影した画像を再生する再生モード、および外部機器との間でデータ交信を行う通信モード等を含む)の設定動作(切替動作)を行うことが可能である。また、制御値設定ダイヤル86を操作することによれば、各種撮影モードにおける制御値を設定することが可能である。
【0017】
また、カメラ本体部2は、正面左端部に撮影者が把持するためのグリップ部14を備えている。グリップ部14の上面には露光開始を指示するためのレリーズボタン11が設けられており、グリップ部14の内部には電池収納室とカード収納室とが設けられている。電池収納室にはカメラの電源として、例えばニッケル水素充電池等の二次電池や、アルカリ乾電池等の一次電池などが収納され、カード収納室には撮影画像の画像データを記録するためのメモリカード90(図3参照)が着脱可能に収納されるようになっている。
【0018】
レリーズボタン11は、半押し状態(S1状態)と全押し状態(S2状態)との2つの状態を検出可能な2段階検出ボタンである。レリーズボタン11が半押しされS1状態になると、被写体に関する記録用静止画像(本撮影画像)を取得するための準備動作(例えば、AF制御動作およびAE制御動作等)が行われる。また、レリーズボタン11がさらに押し込まれてS2状態になると、当該本撮影画像の撮影動作(撮像素子5(後述)を用いて被写体像(被写体の光像)に関する露光動作を行い、その露光動作によって得られた画像信号に所定の画像処理を施す一連の動作)が行われる。
【0019】
図2において、カメラ本体部2の背面略中央上部には、ファインダ窓(接眼窓)10が設けられている。撮影者は、ファインダ窓10を覗くことによって、撮影レンズユニット3から導かれた被写体の光像を視認して構図決定を行うことができる。すなわち、光学ファインダ部17(図4参照)を用いて構図決めを行うことが可能である。
【0020】
図2において、カメラ本体部2の背面の略中央には、背面モニタ12が設けられている。背面モニタ12は、例えばカラー液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)として構成され、撮影条件等を設定するためのメニュー画面を表示したり、再生モードにおいてメモリカード90に記録された撮影画像を再生表示したりすることができる。また、操作者が光学ファインダによる構図決めではなくライブビュー表示(電子ファインダ)による構図決めを選択した場合には、背面モニタ12には、撮像素子7(後述)によって取得された時系列の複数の画像(すなわち動画像)がライブビュー画像として表示される。
【0021】
背面モニタ12の左上部にはメインスイッチ81が設けられている。メインスイッチ81は2点スライドスイッチからなり、接点を左方の「OFF」位置に設定すると、電源がオフになり、接点の右方の「ON」位置に設定すると、電源がオンになる。
【0022】
背面モニタ12の右側には方向選択キー84が設けられている。この方向選択キー84は円形の操作ボタンを有し、この操作ボタンにおける上下左右の4方向の押圧操作と、右上、左上、右下及び左下の4方向の押圧操作とが、それぞれ検出されるようになっている。なお、方向選択キー84は、上記8方向の押圧操作とは別に、中央部のプッシュボタンの押圧操作も検出されるようになっている。
【0023】
背面モニタ12の左側には、メニュー画面の設定、画像の削除などを行うための複数のボタンからなる設定ボタン群83が設けられている。
【0024】
つぎに、図3を参照しながら、撮像装置1の機能の概要について説明する。図3は、撮像装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0025】
図3に示すように、撮像装置1は、操作部80、全体制御部101、フォーカス制御部121、ミラー制御部122、シャッタ制御部123、タイミング制御回路124、およびデジタル信号処理回路50等を備える。
【0026】
操作部80は、レリーズボタン11(図1参照)を含む各種ボタンおよびスイッチ等を備えて構成される。操作部80に対する操作者の入力操作に応答して、全体制御部101が各種動作を実現する。
【0027】
全体制御部101は、マイクロコンピュータとして構成されており、主にCPU、RAMおよびROMを備えている。
【0028】
全体制御部101は、ROM内に格納されるプログラムを読み出し、当該プログラムをCPUで実行することによって、各種機能をソフトウェア的に実現する。例えば、全体制御部101は、AFモジュール20およびフォーカス制御部121等と協動して、フォーカスレンズの位置を制御する合焦制御動作を行う。全体制御部101は、AFモジュール20によって検出される被写体の合焦状態に応じて、フォーカス制御部121を用いてAF動作を実現する。なお、AFモジュール20は、ミラー機構6を介して進入してきた光を用いて、位相差方式の合焦状態検出手法(位相差AF)により被写体の合焦状態を検出することが可能である。
【0029】
フォーカス制御部121は、全体制御部101から入力される信号に基づいて制御信号を生成しモータM1を駆動することによって、撮影レンズユニット3のレンズ群37に含まれるフォーカスレンズを移動する。また、フォーカスレンズの位置は、撮影レンズユニット3のレンズ位置検出部39によって検出され、フォーカスレンズの位置を示すデータが全体制御部101に送られる。このように、フォーカス制御部121および全体制御部101等は、フォーカスレンズの光軸方向の動きを制御する。
【0030】
ミラー制御部122は、ミラー機構6が光路から退避した状態(ミラーアップ状態)とミラー機構6が光路を遮断した状態(ミラーダウン状態)との状態切替を制御する。ミラー制御部122は、全体制御部101から入力される信号に基づいて制御信号を生成しモータM2を駆動することによって、ミラーアップ状態とミラーダウン状態とを切り替える。
【0031】
シャッタ制御部123は、全体制御部101から入力される信号に基づいて制御信号を生成しモータM3を駆動することによって、シャッタ4の開閉を制御する。
【0032】
タイミング制御回路124は、撮像素子5等に対するタイミング制御を行う。
【0033】
撮像素子5は、例えばCMOSセンサとして構成されており、光電変換作用により被写体の光像を電気的信号に変換し、本撮影画像に係る画像信号(記録用の画像信号)を生成する。この撮像素子5は、画像記録用(記録画像取得用)の撮像素子であるとも表現される。
【0034】
撮像素子5は、タイミング制御回路124から入力される駆動制御信号(蓄積開始信号および蓄積終了信号)に応答して、受光面に結像された被写体像の露光(光電変換による電荷蓄積)を行い、当該被写体像に係る画像信号を生成する。また、撮像素子5は、タイミング制御回路124から入力される読出制御信号に応答して、当該画像信号をAGC(Auto Gain Control)回路等を備えた信号処理部51へ出力する。また、タイミング制御回路124からのタイミング信号(同期信号)は、信号処理部51及びA/D(アナログ/デジタル)変換回路52にも入力される。
【0035】
撮像素子5で取得された画像信号は、信号処理部51で所定のアナログ信号処理(例えばAGC回路でゲインアップなどを施して画像の輝度レベルを適正化する処理)が施され、当該アナログ信号処理後の画像信号はA/D変換回路52によってデジタル画像データ(画像データ)に変換される。この画像データは、デジタル信号処理回路50に入力される。
【0036】
デジタル信号処理回路50は、A/D変換回路52から入力される画像データに対してデジタル信号処理を行い、撮像画像に係る画像データを生成する。デジタル信号処理回路50は、黒レベル補正回路53、ホワイトバランス(WB)回路54、γ補正回路55及び画像メモリ56を備える。
【0037】
黒レベル補正回路53は、A/D変換回路52が出力した画像データを構成する各画素データの黒レベルを基準の黒レベルに補正する。WB回路54は、画像のホワイトバランス調整を行う。γ補正回路55は、撮像画像の階調変換を行う。画像メモリ56は、生成された画像データを一時的に記憶するための、高速アクセス可能な画像メモリであり、複数フレーム分の画像データを記憶可能な容量を有する。
【0038】
本撮影時には、画像メモリ56に一時記憶される画像データは、全体制御部101において適宜画像処理(圧縮処理等)が施された後、カードI/F132を介してメモリカード90に記憶される。
【0039】
また、画像メモリ56に一時記憶される画像データは、全体制御部101によって適宜VRAM131に転送され、背面モニタ12に画像データに基づく画像が表示される。これによって、撮影画像を確認するための確認表示(アフタービュー)、および撮影済みの画像を再生する再生表示等が実現される。
【0040】
また、この撮像装置1は、撮像素子5とは別の撮像素子7(図4も参照)をさらに備えている。撮像素子7は、いわゆるライブビュー画像取得(動画像取得)専用の撮像素子としての役割を果たす。撮像素子7も、撮像素子5と同様の構成を有している。ただし、撮像素子7は、ライブビュー用の画像信号(動画像)を生成するための解像度を有していればよく、通常、撮像素子5よりも少ない画素数であり、低消費電力となっている。
【0041】
撮像素子7で取得された画像信号に対しても、撮像素子5で取得された画像信号と同様の信号処理が施される。すなわち、撮像素子7で取得された画像信号は、信号処理部51で所定の処理が施され、A/D変換回路52でデジタルデータに変換された後、デジタル信号処理回路50で所定の画像処理が施され、画像メモリ56に格納される。
【0042】
また、撮像素子7で取得され画像メモリ56に格納される時系列の画像データは、全体制御部101によって適宜VRAM131に順次に転送され、当該時系列の画像データに基づく画像が背面モニタ12に表示される。これによって、構図決めを行うための動画的態様の表示(ライブビュー表示)が実現される。
【0043】
さらに、撮像装置1は、通信用I/F133を有しており、当該インターフェイス133の接続先の機器(例えば、パーソナルコンピュータ等)とデータ通信をすることが可能である。
【0044】
また、撮像装置1は、フラッシュ41、フラッシュ制御回路42、およびAF補助光発光部43を備えている。フラッシュ41は、被写体の輝度不足時等に利用される光源である。フラッシュの点灯の有無および点灯時間等は、フラッシュ制御回路42および全体制御部101等によって制御される。AF補助光発光部43は、AF用の補助光源である。AF補助光発光部43の点灯の有無および点灯時間等は、全体制御部101等によって制御される。
【0045】
また、撮像装置1は、後述する光学ファインダ部17(図4参照)における被写体光の光路Qa(図7参照)に配置された透過型のファインダ内LCD(液晶表示部)64と、照明用LED66とを備えている。
【0046】
ファインダ内LCD64には、例えば図11に示すファインダ窓10内の画面SrのようにAFモジュール20を用い撮影範囲内で被写体の焦点検出が可能な複数のAFエリアFeなどが、被写体光像に重畳されてスーパーインポーズ表示される。このファインダ内LCD64は、複数の表示セグメントを備え、例えば2枚の透明電極付きガラス基板の間に高分子分散型液晶が封入された液晶層を有する高分子分散型の液晶表示部として構成されている。このような構成のファインダ内LCD64では、液晶層に対する電界を制御することで、光を透過する透過状態と光を拡散する拡散状態とを切替え、AFエリアFe等の表示・非表示の制御が可能である。
【0047】
照明用LED66は、赤色の波長(例えば650nm付近の波長)を有する光でファインダ内LCD64を照らす光源として機能する。この照明用LED66からの照明光によって、ファインダ窓10内の画面に表示されるAFエリアFe(図11参照)などが赤色で発光することとなり、暗い場所でファインダ窓10を覗く際のスーパーインポーズ表示の視認性が向上する。
【0048】
[撮像装置1の撮影動作]
つぎに、撮像装置1における構図決め動作を含む撮影動作について説明する。上述したように撮像装置1においては、ファインダ光学系等で構成される光学ファインダ(光学ビューファインダ(OVF)とも称す)を用いて構図決め(フレーミング)を行うことが可能であるとともに、背面モニタ12に表示されるライブビュー画像を用いて構図決めを行うことも可能である。ここで、撮像素子7および背面モニタ12を利用して実現されるファインダ機能は、被写体の光像を電子データに変換した後に可視化するものであることから電子ビューファインダ(EVF)と称することとする。なお、撮像装置1には、光学ファインダを実現するモード(以下では「OVFモード」ともいう)と、電子ビューファインダ(電子ファインダ)を実現するモード(以下では「EVFモード」ともいう)とを選択するための切替スイッチ85(図2)が設けられている。
【0049】
図4および図5は、撮像装置1の断面図である。図4は、OVFを用いた構図決め動作を示しており、図5は、EVFを用いた構図決め動作を示している。また、図6は、撮像素子5の露光動作時の状態を示す断面図である。
【0050】
図4等に示すように、撮影レンズユニット3から撮像素子5に至る光路(撮影光路)上にはミラー機構6が設けられている。ミラー機構6は、撮影光学系からの光を上方に向けて反射する主ミラー61(主反射面)を有している。この主ミラー61は、例えばその一部または全部がハーフミラーとして構成され、撮影光学系からの光の一部を透過する。また、ミラー機構6は、主ミラー61を透過した光を下方に反射させるサブミラー62(副反射面)をも有している。サブミラー62で下方に反射された光は、AFモジュール20へと導かれて入射し、位相差方式のAF動作に利用される。
【0051】
撮影モードにおいてレリーズボタン11が全押し状態S2にされるまで、換言すれば構図決めの際には、ミラー機構6はミラーダウン状態となるように配置される(図4および図5参照)。そして、この際には、撮影レンズユニット3からの被写体像は、主ミラー61で上方に反射され観察用光束としてペンタミラー65に入射する。ペンタミラー65は、複数のミラー(反射面)を有しており、被写体像の向きを調整する機能を有している。また、ペンタミラー65に入射した後の、観察用光束の進路は、上記の両方式(すなわちOVF方式およびEVF方式)のいずれを採用して構図決めを行うかに応じて異なっている。これについては後述する。操作者は、選択した所望の方式によって構図決めを行うことが可能である。
【0052】
一方、レリーズボタン11が全押し状態S2にされると、ミラー機構6はミラーアップ状態となるように駆動され、露光動作が開始される(図6参照)。被写体に係る記録用静止画像(本撮影画像とも称する)を取得する際の動作(すなわち露光の際の動作)は、上記の両方式(すなわちOVF方式およびEVF方式)による構図決めに共通である。
【0053】
具体的には、図6に示すように、露光時には、ミラー機構6は、撮影光路から待避する。詳細には、撮影光学系からの光(被写体像)を遮らないように主ミラー61とサブミラー62とが上方に待避し、撮影レンズユニット3からの光がシャッタ4の開放タイミングに合わせて撮像素子5に到達する。撮像素子5は、光電変換によって、受光した光束に基づいて被写体の画像信号を生成する。このように、被写体からの光が撮影レンズユニット3を介して撮像素子5に導かれることによって、被写体に係る撮影画像(撮影画像データ)が得られる。
【0054】
次に、構図決めの際の上記両方式の各動作についてそれぞれ説明する。
【0055】
まず、OVF方式の構図決め動作について説明する。
【0056】
図4に示すように、ミラー機構6の主ミラー61およびサブミラー62が、撮影レンズユニット3からの被写体像の光路上に配置されると、被写体像が主ミラー61とペンタミラー65と接眼レンズ67とを介してファインダ窓10へと導かれる。このようにペンタミラー65と接眼レンズ67とを含む光学ファインダ部17では、撮影光学系を通った被写体光であって主ミラー61で反射された被写体光である観察用光束を、光路PAに沿ってファインダ窓10に導き、ファインダ窓10に被写体を表示させることが可能である。
【0057】
詳細には、撮影レンズユニット3からの光は、主ミラー61で反射されて上方に進路を変更し、焦点板63において結像し、焦点板63およびファインダ内LCD64を通過する。そして、これらを通過した光は、ペンタミラー65でその進路をさらに変更した後に接眼レンズ67を通ってファインダ窓10へ向かう(図4の光路PA参照)。このようにして、ファインダ窓10を通過した被写体像は撮影者(観察者)の眼に到達して視認される。すなわち、撮影者はファインダ窓10を覗くことによって、被写体像を確認することができる。
【0058】
ここにおいて、ペンタミラー65は、三角屋根状に形成された2面のミラー(ダハミラー)65a,65bと、当該ダハミラー(ダハ面)65a,65bに対して固定された面65cと、不図示のアクチュエータ(例えばモータ)によって軸AX1を中心とした回転駆動が可能なミラー(以下では「可動ミラー」ともいう)65eとを有している。また、三角屋根状の2面のミラー65a,65bは、プラスチック成型により一体部品65dとして形成されている。主ミラー61で反射されて上方に進路を変更した光は、ペンタミラー65の第1・第2反射面を構成するダハミラー65a,65bで反射されて左右反転されて進行し、さらに第3反射面を構成する可動ミラー65eでも反射されることによって上下も反転されて撮影者の眼に到達する。このように、撮影レンズユニット3において左右上下が反転されていた光像は、ペンタミラー65でさらに左右上下が反転される。これにより、撮影者は、光学ファインダ部17において、その上下左右が実際の被写体と同じ状態で被写体像を観察することができる。
【0059】
また、主ミラー61を透過した光はサブミラー62で反射されて下方に進路を変更しAFモジュール20へと進入する。AFモジュール20およびフォーカス制御部121等は、主ミラー61およびサブミラー62を介して進入してきた光を用いて、AF動作を実現する。
【0060】
次に、EVF方式による構図決め動作について説明する。
【0061】
この場合にも、図5に示すように、ミラー機構6の主ミラー61およびサブミラー62が、撮影レンズユニット3からの被写体像の光路上に配置される。そして、撮影レンズユニット3からの光は、主ミラー61で反射されて上方に進路を変更し、焦点板63において結像し、焦点板63およびファインダ内LCD64を通過する。
【0062】
ただし、このEVF方式による構図決め動作においては、焦点板63およびファインダ内LCD64を通過した光は、ペンタミラー65でその進路をさらに変更した後に、結像レンズ69(結像光学系)を通過して撮像素子7の撮像面上で再結像する(図5の光路PB参照)。なお、主ミラー61で反射されて上方に進路を変更した光は、ダハミラー65a,65bで反射され左右反転されて進行し、さらに可動ミラー65eでも反射されることによって上下も反転され、さらに結像レンズ69で上下左右反転されて撮像素子7に到達する。
【0063】
より詳細には、図4と比較すると判るように、図5においては可動ミラー65eの角度(カメラ本体部2に対する設置角度)が変更されている。具体的には、可動ミラー65eは、図4の状態から、その下端側の軸AX1を中心に矢印AR1の向きに所定角度α回動している。
【0064】
そして、この可動ミラー65eの角度変更によって、可動ミラー65eで反射される光(観察用光束)の反射角度が変更され、当該ミラー65eによる反射光の進行経路が変更される。具体的には、図4の状態に比べて、可動ミラー65eへの入射角度θ1が比較的小さくなり、反射角度θ2も比較的小さくなる。その結果、可動ミラー65eの反射光は、接眼レンズ67に向かう光路からダハミラー65a,65b寄りの光路へとその進路を上方に変更し、結像レンズ69を通過して撮像素子7に到達する。すなわち、撮像素子7は、光学ファインダ部17の光路PAと共通する光路区間を有した光路PBを介し被写体光を受光して画像信号を生成できる。なお、結像レンズ69および撮像素子7は、接眼レンズ67よりも上方に配置されており、且つ、OVFの際に可動ミラー65eから接眼レンズ67へと進行する光束を遮らない位置に配置されている。
【0065】
また、可動ミラー65eで反射された光束の進路は、可動ミラー65eの変更角度αに応じて、その2倍の大きさの角度β(=2×α)変更される。逆に言えば、反射光路の進行角度を角度β変更するために、可動ミラー65eの回転角度は、当該角度βの半分の角度αで済む。すなわち、可動ミラー65eの比較的小さな回転角度で可動ミラー65eの反射光の進路を比較的大きく変更することが可能である。また、可動ミラー65eと撮像素子7とは比較的離れて配置されているため、可動ミラー65eの回転角度を小さく変更するだけで、可動ミラー65eによる2つの反射光を、互いに離れて配置された接眼レンズ67および撮像素子7へと確実に導くことが可能である。すなわち、可動ミラー65eの回転角度を小さく変更することによって可動ミラー65eによる反射光の光束を良好に2つの光路に選択的に進行させることが可能である。したがって、可動ミラー65eの回転によるスペースの増大は最小限に止められる。
【0066】
撮像素子7は、可動ミラー65eで反射され結像レンズ69を通過して撮像素子7に到達した被写体像に基づいて、ライブビュー画像を生成する。具体的には、微小時間間隔(例えば、1/60秒)で複数の画像を順次に生成する。そして、取得された時系列の画像は背面モニタ12において順次に表示される。これによって、撮影者は、背面モニタ12に表示される動画像(ライブビュー画像)を視認し、当該動画像を用いて構図決めを行うことが可能になる。
【0067】
また、この場合も、OVFによる構図決めの際(図4参照)と同様に、主ミラー61とサブミラー62とを介してAFモジュール20に入射した光を用いてAF動作が実現される。
【0068】
以上のように、可動ミラー65eで反射した後の観察用光束の進路は、可動ミラー65eの反射角度の変更によって、可動ミラー65eから接眼レンズ67およびファインダ窓10に向かう光路PA(図4)と、可動ミラー65eから結像レンズ69および撮像素子7に向かう光路PB(図5)との間で切り換えられる。
【0069】
したがって、撮像装置1においては、ペンタミラー65を構成する複数のミラー65a,65b,65eのうち、或る反射面(可動ミラー65e)の反射角度が変更される一方で、他の反射面(ダハミラー65a,65b)は固定されている。すなわち、複数の反射面のうち、一の反射面65eのみを駆動することによって観察用光束の進路が変更されるので、駆動部分を少なくしコンパクトな構成にすることができる。
【0070】
次に、撮像装置1における光学ファインダ部17の構成を詳しく説明する。
【0071】
[光学ファインダ部17の構成について]
図7〜図9は、光学ファインダ部17の構成を説明するための図である。ここで、図7は、光学ファインダ部17の縦断面を示しており、図8は、光学ファインダ部17を正面(−Z方向)から見た図を示している。また、図9は、光学ファインダ部17の下部に関する分解斜視図を示している。
【0072】
図9に示すように、光学ファインダ部17は、その下部筐体として構成されるファインダ台板171を備え、その開口部171hに、上述した焦点板63およびファインダ内LCD64と、これらに介挿される矩形環状のスペーサSPと、ファインダ内LCD64上に配置される枠体FRとが格納される。そして、光学ファインダ部17では、図8や図9に示すように照明用LED66がファインダ内LCD64の側方(−X方向)に配設される。
【0073】
このようなファインダ内LCD64と照明用LED66との位置関係により、図10に示すように、ファインダ内LCD64における液晶層(液晶表示素子)641の側面に入射する照明用LED66からの光(赤色光)は、液晶層641の上下に配置された2枚のガラス基板642の間で全反射を繰り返して進行することが可能となる。ただし、高分子分散型液晶が封入された液晶層641において特定箇所を拡散状態にして図11に示すAFエリアFeなどの表示Dpを行うと、この表示Dpの箇所で照明用LED66からの光が散乱するため、その散乱光Lrがガラス基板642から射出されることとなる。このように射出された散乱光Lrが図7に示す被写体光の光路Qa(破線部)に沿ってファインダ窓10に導かれると、ファインダ窓10を覗く撮影者において、赤色に着色されたAFエリアFe(図11)などのスーパーインポーズ表示を視認することが可能となる。
【0074】
一方、照明用LED66からの照射光により液晶層641における表示Dpの箇所で生じる散乱光Lrや、表示箇所以外の透過状態の液晶層641およびガラス基板642表面で生じる散乱光(多くはないが無視できない強度の散乱光)は、図7に示す光路Qb(平行線部)に沿って、可動ミラー65e、ダハミラー65a,65bの順に反射した後に、再び可動ミラー65eで反射することにより、ファインダ窓10に到達してしまう。これにより、図11に示すようにファインダ窓10内の上部の領域(以下では「ゴースト発生領域」ともいう)Euにおいて赤色で着色されたAFエリアFeのゴーストFgなどが発生することとなる。
【0075】
次に、本実施形態において、このゴーストFgを抑制するための可動ミラー65eの反射特性について詳しく説明する。
【0076】
[可動ミラー65eの反射特性について]
図12は、可動ミラー65eの反射特性を説明するためのグラフである。この図12においては、横軸が光の波長を示し、縦軸が分光反射率を示している。
【0077】
光学ファインダ部17では、OVFによる構図決めの際(可動ミラー65eが図4に示す姿勢の場合)、図7に示すように撮影レンズユニット(撮影光学系)3を通った被写体光が光路Qaに沿って角度θa(例えばθa≦37度)で可動ミラー65eに入射し、この可動ミラー65eでの反射光がファインダ窓10に導かれるようになっている。一方、照明用LED66によって照らされたファインダ内LCD(液晶表示部)64にて散乱する上述の散乱光Lrなど(以下では「ゴースト光」ともいう)は、光路Qbに沿って角度θb(例えばθa≧50度)で、中空のペンタミラー65に含まれる複数のミラーのうちファインダ内LCD64に最も近い可動ミラー65eに入射するとともに、その反射方向の先の光路Qb上にファインダ窓10が存在している。
【0078】
すなわち、可動ミラー65eに対しては、図7に示すように被写体光および被写体光に重畳される上記の散乱光Lr(これらの光を総称し以下では「正規光」ともいう)が角度θaで入射する一方、これと異なる角度θbでゴースト光が入射する。
【0079】
このような正規光およびゴースト光の可動ミラー65eに対する入射角度の違いに着目し、本実施形態では可動ミラー65eの反射特性に入射角度の依存性を与えている。なお、正規光の主成分が円偏光であるのに対し、ゴースト光の主成分がP偏光であるという相違点も考慮し、このような偏光についての依存性をさらに可動ミラー65eの反射特性に与えるようにしても良い。
【0080】
具体的には、可動ミラー65eにおいて、図12に示すように角度θa(図7)で入射する光に対しては可視光の波長域全域を良好に反射させる分光反射率特性Ga(破線)を実現し、角度θb(図7)で入射する光に対しては可視光域のうち照明用LED66から照射される赤色光の波長域Rw(平行斜線部)の反射率を「0」に近づけたバンドパス特性を持つ分光反射率特性Gb(実線)を実現する。これにより、図7のようにファインダ内LCD64から角度θbで入射するゴースト光(赤色光)についての可動ミラー65eでの反射が抑えられるため、ファインダ窓10内のゴースト発生領域Eu(図11)で生じるゴースト現象を抑制できる。一方、角度θaで入射する正規光(可視光)の可動ミラー65eでの反射は良好に保たれるため、ファインダ窓10では、被写体像やファインダ内LCD64のスーパーインポーズ表示が適切に視認できることとなる。
【0081】
以上のような反射特性を実現するための可動ミラー65eの構成について、図13を参照して説明する。
【0082】
図13は、可動ミラー65eの断面構造を説明するための図である。
【0083】
可動ミラー65eでは、ミラー基板Bsの表面側(上側)に、SiO2、MgF2等の低屈折率材料の層JmaとTiO2、Ta2O5等の高屈折率材料の層Jmbとを交互に積層した10層以上の誘電体多層膜を蒸着によって形成している。このような誘電体多層膜で構成されるミラー層(ミラー膜)Jmにより、図12に示す反射特性を適切に実現することが可能となる。なお、従来のペンタミラーで用いられるミラーの断面構造は、図14に示すようにミラー基板Bd上に銀あるいはアルミの金属層Jpおよび保護層Jqを設けているだけの構造であり、このような構造では図12に示す特殊な反射特性の実現は不可能である。
【0084】
図13のようにミラー基板Bdの表面側には10層以上の多層膜コートが施されたミラー層Jmが形成されるが、この多層膜蒸着後の膜応力によりミラー基板Bdのそりが生じる可能性がある。ここで、ミラー基板Bdのそりが生じると面精度が悪化し光学性能を劣化させるため、ミラー基板Bdは剛性の高いガラス材料で形成するのが好ましい。
【0085】
ただし、可動ミラー65eの形状が複雑であるなどでミラー基板Bdに剛性が高くないプラスチック材料等を使用しなければならない場合には、図13に示すようにミラー基板Bsの裏面側に、ミラー層Jmと同等の膜応力を有するように成膜された高応力層Jsを形成するようにする。このようにミラー基板Bsを挟んで、図12に示す反射特性を有するミラー層(ミラー膜)Jmと、ミラー層Jmと同等の膜応力を有する高応力層(所定の膜)Jsとを設けるようにすれば、ミラー基板Bsの表裏で膜応力のバランスがとれミラー層Jmの膜応力を高応力層Jsでキャンセルできるため、ミラー基板Bsの変形(そり)を抑制することが可能となる。
【0086】
なお、ミラー基板Bsの裏面にコーティングされる高応力層Jsの面状態が鏡面でない場合や、高応力層Jsのコート領域内におけるミラー基板Bsの裏面に有意的な構造(例えば離型のためのエジェクター跡)がある場合には、ミラー基板Bsと高応力層Jsとの間の密着性に影響を及ぼして剥離やクラックが発生する恐れがある。よって、高応力層Jsの面状態をミラー基板Bs表面側のミラー層Jmと同等の鏡面状態にすることや、ミラー基板Bs裏面における有意的な構造を高応力層Jsのコート領域外に配置することが好ましいこととなる。
【0087】
また、可動ミラー65eにおいては、図13のようにミラー基板Bsとミラー層Jmとの間にハードコート層Jhを設け、サーマルショックによる初期クラックの抑制を図るようにしても良い。
【0088】
以上のような構成の可動ミラー65eを備えた撮像装置1においては、可動ミラー65eが、角度θa(図7)で入射する光に比べて角度θb(図7)で入射する光についての赤色の波長に係る分光反射率を低減させた反射特性(図12)を有しているため、ゴースト防止用の部品(部材)などが特に必要とならず、光学ファインダ部17の複雑化や大型化を抑えつつ、ファインダ内LCD64で生じる散乱光に起因したファインダ窓10でのゴーストの視認度を低減できる。さらに、ゴースト光(ファインダ内LCD64で生じる散乱光)の主成分がP偏光であることから、可動ミラー65eの反射特性において角度θbで入射するP偏光についての赤色の波長に係る分光反射率を特に低減させるようにすれば、可動ミラー65eにおいてゴースト光の反射を効果的に抑制できることとなる。
【0089】
なお、可動ミラー65eに図12に示す反射特性を持たせずとも、ペンタミラー65において可動ミラー65eを前方(図7における+Z方向)に移動させれば、図11に示すゴースト発生領域Euが相対的に上方に移動するため、これをファインダ窓10の画面外にもっていけばゴーストの防止が図れる。しかし、この手法では、可動ミラー65eを前方に移動させる分、光学ファインダ部17が大型化する欠点があり、この点において大型化が抑えられる本実施形態の手法は有効である。
【0090】
<変形例>
上記の実施形態においては、図12に示す反射特性を可動式のミラー65eで実施するのは必須でなく、固定されたミラーで実施しても良い。
【0091】
上記の実施形態における照明用LED66については、赤色の波長を有する光をファインダ内LCD64に照射するのは必須でなく、他の色(例えば青色)の波長を有する光を照射するようにしても良い。この場合には、可動ミラー65eに角度θbで入射する上記他の色の波長に係る分光反射率を低減させた反射特性を可動ミラー65eに持たせるようにすれば、可動ミラー65eにおいてゴースト光の反射を適切に抑制できることとなる。
【0092】
上記の実施形態においては、ペンタミラー65を一眼レフタイプのデジタルカメラに搭載するのは必須でなく、一眼レフタイプの銀塩カメラに搭載するようにしても良い。
【0093】
本発明は詳細に説明されたが、以上の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0094】
1 撮像装置
2 カメラ本体部
3 撮影レンズユニット(交換レンズ)
5 撮像素子(メイン撮像素子)
6 ミラー機構
7 撮像素子(サブ撮像素子)
10 ファインダ窓
17 光学ファインダ部
63 焦点板
64 ファインダ内LCD
66 照明用LED
65 ペンタミラー
65e 可動ミラー(ペンタミラーの第3反射面)
101 全体制御部
Bd ミラー基板
Eu ゴースト発生領域
Fg ゴースト
Ga、Gb 分光反射率特性
Jm ミラー層
Js 高応力層
Lr 散乱光
Qa 正規光の光路
Qb ゴースト光の光路
θa 可動ミラーに正規光が入射する角度
θb 可動ミラーにゴースト光が入射する角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系を通った被写体光を第1の角度で所定のミラーに入射させ、当該所定のミラーでの反射光をファインダ窓に導く光学ファインダ手段と、
前記光学ファインダ手段における前記被写体光の光路上に配置された液晶表示部と、
所定の波長を有する光で前記液晶表示部を照らす照明手段と、
を備えており、
前記照明手段によって照らされた液晶表示部にて散乱する散乱光が、第2の角度で前記所定のミラーに入射するとともに、その反射方向の先に前記ファインダ窓が存在し、
前記所定のミラーは、前記第1の角度で入射する光に比べて前記第2の角度で入射する光についての前記所定の波長に係る分光反射率を低減させた反射特性を有している撮像装置。
【請求項2】
前記散乱光の主成分は、P偏光であり、
前記反射特性においては、前記所定のミラーに前記第2の角度で入射するP偏光についての前記所定の波長に係る分光反射率を低減させている請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記所定のミラーは、中空のペンタミラーに含まれる複数のミラーのうちの1つのミラーである請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記1つのミラーは、前記複数のミラーのうち前記液晶表示部に最も近いミラーである請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記所定のミラーでは、ミラー基板を挟んで、前記反射特性を有するミラー膜と、前記ミラー膜と同等の膜応力を有する所定の膜とが設けられている請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
前記ミラー膜は、低屈折率の層と高屈折率の層とが交互に積層されて形成されている請求項5記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−59582(P2011−59582A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211915(P2009−211915)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】