説明

撮像装置

【課題】拡大画像の画質低下を抑えるとともに撮像素子の画素数を増やすことなく撮像範囲の拡大を図る。
【解決手段】本実施形態の撮像装置Aによれば、画像処理部7において、対象とする画像を拡大する拡大処理、および当該対象とする画像の鮮鋭度を高める鮮鋭化処理を行っているので、拡大画像の画質低下を抑えることができる。また、撮像部1の撮像範囲(レンズの画角)を大きくする場合、CCDイメージセンサの画素数を増やさずとも、撮像された画像に対して拡大処理と鮮鋭化処理を行うことで撮像範囲の拡大を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲光の影響を低減した画像を撮像するための撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、光照射手段で光を照射しているときに撮像した画像(発光時画像)と、光照射手段で光を照射していないときに撮像した画像(非発光時画像)との差分画像を取得する撮像装置を既に提案している(特許文献1参照)。かかる差分画像では、光照射手段から照射される光の反射光成分のみを画素値としており、太陽光などの周囲光による影響が低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−121617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような撮像装置において、撮像した画像から被写体が映っている範囲を拡大した画像(拡大画像)を作成する場合、単純に拡大しただけでは画質(特に解像度)が低下してしまうという問題がある。また、撮像範囲(画角)を大きくする場合、撮像素子の画素数が同じであれば、撮像範囲が大きくなるに従って画質(特に解像度)が低下してしまう。故に、画質を維持したままで撮像範囲を大きくしようとすれば、撮像素子の画素数を多くしなければならない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、拡大画像の画質低下を抑えるとともに撮像素子の画素数を増やすことなく撮像範囲の拡大を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像装置は、対象領域に光を照射する光照射手段と、前記光照射手段が光を照射する照射期間に同期して撮像した第1の画像と前記照射期間以外で撮像した第2の画像との差分画像を生成する差分画像生成手段と、前記第1の画像又は第2の画像又は差分画像のうちの少なくとも何れか1種類の画像に対して画像処理を行う画像処理手段とを備え、前記画像処理手段は、対象とする画像を拡大する拡大処理、および当該対象とする画像の鮮鋭度を高める鮮鋭化処理を行うことを特徴とする。
【0007】
この撮像装置において、前記画像処理手段は、連続した複数フレームの前記差分画像に対して画像処理を行うことが好ましい。
【0008】
この撮像装置において、前記画像処理手段は、前記第1の画像又は前記差分画像の複数のフレームに対して画像処理を行うことが好ましい。
【0009】
この撮像装置において、前記画像処理手段は、前記第1の画像と前記差分画像に対して各フレーム毎に画像処理を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の撮像装置は、拡大画像の画質低下を抑えるとともに撮像素子の画素数を増やすことなく撮像範囲の拡大を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る撮像装置の実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上における輪郭強調処理の動作を説明するための説明図である。
【図3】同上を用いた監視システムのシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明に係る撮像装置の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
本実施形態の撮像装置Aは、図1に示すように光源部1、発光制御部2、撮像部3、駆動制御部4、差分画像生成部5、撮像制御部6、画像処理部7を備えている。光源部1は、1乃至複数の赤外発光ダイオード(図示せず)からなる。発光制御部2は、非常に高い周波数(例えば、10メガヘルツ)の変調信号を光源部1の赤外発光ダイオードに出力して発光させることで光源部1から変調光を照射させる。
【0014】
撮像部3は、CCDイメージセンサや当該CCDイメージセンサの受光面に光を集光するためのレンズなどを有している。また駆動制御部4は、撮像部3のCCDイメージセンサを駆動して画像を撮像させる。
【0015】
撮像制御部6は、発光制御部2と駆動制御部4の双方を制御し、光源部1から変調光を照射させる照射期間に同期して撮像部3に画像(第1の画像)を撮像させるとともに、光源部1に変調光を照射させない非照射期間に同期して撮像部3に画像(第2の画像)を撮像させる。
【0016】
差分画像生成部5は、撮像部3から出力される第1及び第2の画像をディジタルの画像データに変換した後、照射期間に得られる画像データと非照射期間に得られる画像データとの各画素毎の差分を演算することで変調光(赤外光)の反射光成分のみを画素値とする差分画像(光変調画像)を生成する。但し、このような差分画像生成部5については、特許文献1等にも記載されているように公知の技術で実現可能であるから詳細な説明は省略する。
【0017】
画像処理部7は、対象となる画像に対して、主に2種類の画像処理(拡大処理および鮮鋭化処理)を行う。拡大処理は、元の画像の画素の位置を倍率に応じて縦方向および横方向にそれぞれシフトするとともに、元の画像の画素間に生じる新たな画素の画素値を補間することで実現される。但し、このような拡大処理については、画像処理の技術分野では周知慣用の技術であるから詳細な説明は省略する。ここで、拡大処理における補間により、画像の輪郭の鮮鋭度が低下する。従って、鮮鋭化処理を行うことにより、拡大された画像の鮮鋭度の低下を抑えることができる。
【0018】
画像処理部7で行われる鮮鋭化処理の1例として、画像の輪郭を強調する輪郭強調処理について、図2に示すブロック図を用いて説明する。拡大処理された画像(以下、拡大画像と呼ぶ。)の画素値からLPF(ローパスフィルタ)70によって低周波成分が抽出され、LPF70で抽出された低周波成分が減算器71によって元の拡大画像の画素値から減算されることで高周波成分が得られる。当該高周波成分に対してコアリング処理部72によりコアリング処理が行われ、コアリング処理後の高周波成分がアンプ73で増幅される。そして、アンプ73で増幅された高周波成分が加算器74で低周波成分と加算されることにより、最終的に拡大画像の輪郭が強調される。LPF70は、例えば着目画素の水平方向における前後2画素を重み付けして着目画素に加える処理を行っている。また、コアリング処理部72では高周波成分の画素値をあらかじめ与えられた閾値Kcと比較し、当該高周波成分の画素値が−Kc以上且つKc以下のときはアンプ73を介さずに加算器74に出力し、当該画素値が−Kc未満又はKcより大きいときにのみ高周波成分をアンプ73に出力している。すなわち、高周波成分の画素値が−Kc以上且つKc以下である場合は画像の輪郭でない平坦な部分であるとみなして輪郭を強調しない。
【0019】
ここで、輪郭強調処理は1枚(1フレーム)の画像に対して行われる鮮鋭化処理であるが、複数枚(複数フレーム)の画像に対して行われる鮮鋭化処理もある。例えば、複数フレームの拡大画像を合成することにより、見かけ上の画素数を増やして鮮鋭度を高めることができる。あるいは、撮像部1のCCDイメージセンサを2枚とし、レンズを通過した光をプリズムで分岐させ、水平方向並びに垂直方向に2分の1画素分ずつずらして配置された2枚のCCDイメージセンサに受光させ、各CCDイメージセンサで撮像される画像を合成することで見かけ上の解像度を2倍にする方法(いわゆる空間画素ずらし法)などもある。このように複数枚の画像に対して鮮鋭化処理を行えば、1枚の画像に対して鮮鋭化処理を行う場合と比較して、画像の情報量が増えることで精鋭度をより高めることができる。
【0020】
但し、画像処理部7が画像処理の対象とする画像は、第1の画像又は第2の画像、差分画像の何れであっても構わない。また、上述したように複数枚(複数フレーム)の画像に対して画像処理を行う場合においては、第1の画像又は差分画像の何れか一方に画像処理を行ってもよいし、第1の画像と差分画像の2種類の画像に対して画像処理を行ってもよい。
【0021】
上述のように本実施形態の撮像装置Aによれば、画像処理部7において、対象とする画像を拡大する拡大処理、および当該対象とする画像の鮮鋭度を高める鮮鋭化処理を行っているので、拡大画像の画質低下を抑えることができる。また、撮像部1の撮像範囲(レンズの画角)を大きくする場合、CCDイメージセンサの画素数を増やさずとも、撮像された画像に対して拡大処理と鮮鋭化処理を行うことで撮像範囲の拡大を図ることができる。
【0022】
ところで、本実施形態の撮像装置Aは、図3に示すように監視システムの監視カメラに利用することができる。以下、図3を参照して、本実施形態の撮像装置Aを監視カメラに用いた監視システムについて説明する。
【0023】
この監視システムは、撮像装置A、伝送装置B、モニタ装置M、データ記憶装置Sで構成されている。伝送装置Bは、画像インタフェース(I/F)100、メモリ部101、アナログ伝送部102、画像符号化部103、ディジタル伝送部104、データバス105などを備えている。画像I/F100は、撮像装置Aから出力される画像データを受け取り、受け取った画像データをデータバス105を介してメモリ部101に格納する。アナログ伝送部102は、メモリ部101に格納されている画像データをデータバス105を介して読み出し、読み出した画像データからアナログの画像伝送方式(NTSCやPAL、SECAMなど)に対応した映像信号を生成するとともに、当該映像信号をアナログ伝送路L1を介してモニタ装置Mに伝送する。モニタ装置Mはアナログ伝送路L1を介して伝送されてくる映像信号を再生して液晶パネルなどの表示デバイスに画像(映像)を表示する。
【0024】
画像符号化部103は、データバス105を介してメモリ部101から画像データを読み出すとともに、読み出した画像データを符号化(圧縮)する。符号化の方式としては、動画像についてはH.264やMPEG4、静止画像についてはJPEGなどの符号化方式が用いられる。但し、これらの符号化方式については従来周知であるから説明は省略する。
【0025】
ディジタル伝送部104は、画像符号化部103で符号化された画像データをパケットに分割するとともにディジタル変調してディジタル伝送路L2を介してデータ記憶装置Sに伝送する。ディジタル変調の方式は、例えば、従来周知であるBPSKやQPSKなどが考えられる。また、データ記憶装置Sはハードディスクドライブなどの大容量の記憶媒体を有し、伝送装置Bからディジタル伝送路L2を介して伝送される画像データを記憶する。なお、ディジタル伝送路L2には、LANケーブルや光ケーブルなどの汎用の通信ケーブルが用いられる。但し、撮像装置Aが、図3に示した伝送装置Bの構成要素を全て備えていても構わない。
【符号の説明】
【0026】
A 撮像装置
1 光源部(光照射手段)
2 発光制御部(光照射手段)
3 撮像部(撮像手段)
4 駆動制御部(撮像手段)
5 差分画像生成部(差分画像生成手段)
6 撮像制御部(撮像手段)
7 画像処理部(画像処理手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域に光を照射する光照射手段と、前記光照射手段が光を照射する照射期間に同期して撮像した第1の画像と前記照射期間以外で撮像した第2の画像との差分画像を生成する差分画像生成手段と、前記第1の画像又は第2の画像又は差分画像のうちの少なくとも何れか1種類の画像に対して画像処理を行う画像処理手段とを備え、
前記画像処理手段は、対象とする画像を拡大する拡大処理、および当該対象とする画像の鮮鋭度を高める鮮鋭化処理を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、連続した複数フレームの前記差分画像に対して画像処理を行うことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記画像処理手段は、前記第1の画像又は前記差分画像の複数のフレームに対して画像処理を行うことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記画像処理手段は、前記第1の画像と前記差分画像に対して各フレーム毎に画像処理を行うことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−15906(P2012−15906A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152287(P2010−152287)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】