説明

撮像装置

【課題】良好な撮影画像を得ることのできる撮像装置を提供すること。
【解決手段】光学系による像を、所定のフレームレートで繰り返し撮像し、撮像した像に対応する撮像画像信号を出力する撮像部31と、焦点調節レンズ12を光軸方向に駆動して、前記光学系の焦点状態を調節する焦点調節部70aと、前記焦点調節レンズが光軸方向に駆動することで、前記光学系の撮影倍率が小さくなる方向に変化した場合に、前記撮像画像信号に基づく画像から、一部の領域を切り出して、切り出し画像を生成する第1画像処理部70と、を備え、前記第1画像処理部は、前記焦点調節レンズが光軸方向に駆動することで前記光学系の撮影倍率が小さくなる方向に変化した後に、前記焦点調節レンズの駆動が停止した場合に、生成する切り出し画像の像倍率と、前記撮像画像信号に基づく画像の像倍率との差が徐々に小さくなるように、前記切り出し画像を繰り返し生成することを特徴とする撮像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮像素子により繰り返し撮像を行うことで、動画像の記録を行なう撮像装置が知られている。このような撮像装置として、たとえば、焦点調節レンズを所定の基準位置から、光軸方向に沿って微小に往復駆動させるウォブリング動作を行なう際に、ウォブリング動作による撮影倍率の変化による動画像の品位の低下を抑制するために、焦点調節レンズが所定の基準位置にある場合にのみ、動画像の記録を行なう方法が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−113291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、焦点調節レンズが所定の基準位置にある場合にのみ、動画像の記録を行なうものであり、そのため、焦点調節を行なうために、焦点調節レンズが所定の基準位置から焦点調節位置まで駆動する際には、撮影倍率の変化による動画像の品位の変化を抑制することができないという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、良好な撮影画像を得ることのできる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、以下においては、本発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は本発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
【0007】
[1]本発明の第一の観点に係る撮像装置は、光学系による像を、所定のフレームレートで繰り返し撮像し、撮像した像に対応する撮像画像信号を出力する撮像部(31)と、焦点調節レンズ(12)を光軸方向に駆動して、前記光学系の焦点状態を調節する焦点調節部(70a)と、前記焦点調節レンズが光軸方向に駆動することで、前記光学系の撮影倍率が小さくなる方向に変化した場合に、前記撮像画像信号に基づく画像から、一部の領域を切り出して、切り出し画像を生成する第1画像処理部(70)と、を備え、前記第1画像処理部は、前記焦点調節レンズが光軸方向に駆動することで前記光学系の撮影倍率が小さくなる方向に変化した後に、前記焦点調節レンズの駆動が停止した場合に、生成する切り出し画像の像倍率と、前記撮像画像信号に基づく画像の像倍率との差が徐々に小さくなるように、前記切り出し画像を繰り返し生成することを特徴とする。
【0008】
[2]本発明の第一の観点に係る撮像装置において、前記第1画像処理部(70)が、生成する切り出し画像の像倍率と、前記撮像画像信号に基づく画像の像倍率との差が徐々に小さくなるように、前記切り出し画像を繰り返し生成した結果、生成した切り出し画像の像倍率と、前記撮像画像信号に基づく画像の像倍率との差が、所定値以下となった場合に、前記切り出し画像の生成を終了するように構成することができる。
【0009】
[3]本発明の第一の観点に係る撮像装置において、ズームレンズ(13)を光軸方向に駆動して、ズーム倍率を変更するズーム倍率変更部(51)と、前記焦点調節レンズの駆動量に対する前記光学系の撮影倍率の変化量の関係を記憶する記憶部(70)と、前記焦点調節レンズが光軸方向に駆動することで、前記光学系の撮影倍率が大きくなる方向に変化した場合に、前記光学系の撮影倍率が、前記焦点調節レンズの駆動を開始する前よりも小さなものとなるように、前記焦点調節レンズの駆動量に対する前記光学系の撮影倍率の変化量の関係に基づいて、前記ズームレンズを光軸方向に駆動させるように前記ズーム倍率変更部の制御を行う制御部(70)と、前記ズームレンズを光軸方向に駆動させることで、前記光学系の撮影倍率が、前記焦点調節レンズの駆動を開始する前よりも小さなものとなった場合に、前記撮像画像信号に基づく画像から、一部の領域を切り出して、切り出し画像を生成する第2画像処理部(70)と、をさらに備え、前記第2画像処理部が、前記焦点調節レンズが光軸方向に駆動することで前記光学系の撮影倍率が大きくなる方向に変化した後に、前記焦点調節レンズの駆動が停止した場合に、生成する切り出し画像の像倍率と、前記撮像画像信号に基づく画像の像倍率との差が徐々に小さくなるように、前記切り出し画像を繰り返し生成するように構成することができる。
【0010】
[4]本発明の第二の観点に係る撮像装置は、光学系による像を、所定のフレームレートで繰り返し撮像し、撮像した像に対応する撮像画像信号を出力する撮像部(31)と、焦点調節レンズ(12)を光軸方向に駆動して、前記光学系の焦点状態を調節する焦点調節部(70a)と、ズームレンズ(13)を光軸方向に駆動して、ズーム倍率を変更するズーム倍率変更部(51)と、前記焦点調節レンズの駆動量に対する前記光学系の撮影倍率の変化量の関係を記憶する記憶部(70)と、前記焦点調節レンズが光軸方向に駆動することで、前記光学系の撮影倍率が大きくなる方向に変化した場合に、前記光学系の撮影倍率が、前記焦点調節レンズの駆動を開始する前よりも小さなものとなるように、前記焦点調節レンズの駆動量に対する前記光学系の撮影倍率の変化量の関係に基づいて、前記ズームレンズを光軸方向に駆動させるように前記ズーム倍率変更部の制御を行う制御部(70)と、前記ズームレンズを光軸方向に駆動させることで、前記光学系の撮影倍率が、前記焦点調節レンズの駆動を開始する前よりも小さなものとなった場合に、前記撮像画像信号に基づく画像から、一部の領域を切り出して、切り出し画像を生成する第2画像処理部(70)と、を備え、前記第2画像処理部は、前記焦点調節レンズが光軸方向に駆動することで前記光学系の撮影倍率が大きくなる方向に変化した後に、前記焦点調節レンズの駆動が停止した場合に、生成する切り出し画像の像倍率と、前記撮像画像信号に基づく画像の像倍率との差が徐々に小さくなるように、前記切り出し画像を繰り返し生成することを特徴とする。
【0011】
[5]本発明の第一および第二の観点に係る撮像装置において、前記第2画像処理部(70)が、生成する合成画像の像倍率と、前記撮像画像信号に基づく画像の像倍率との差が徐々に小さくなるように、前記合成画像を繰り返し生成した結果、生成した合成画像の像倍率と、前記撮像画像信号に基づく画像の像倍率との差が、所定値以下となった場合に、前記合成画像の生成を終了するように構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の撮像装置によれば、良好な撮影画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本実施形態に係るデジタルカメラ1を示すブロック図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るカメラの動作例を示すフローチャート(その1)である。
【図3】図3は、本実施形態に係るカメラの動作例を示すフローチャート(その2)である。
【図4】図4は、本実施形態が適用される一場面例を示す図である。
【図5】図5(A)〜図5(C)は、フォーカスレンズの駆動による撮影倍率の変化の一例を説明する図である。
【図6】図6(A)〜図6(C)は、本実施形態におけるクロップ処理を説明するための図である。
【図7】図7は、本実施形態が適用される一場面例を示す図である。
【図8】図8は、図7に示す場面例における、フォーカスレンズ位置の変化、ズームレンズ位置の変化、および像倍率の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明をデジタルカメラに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るデジタルカメラ1を示すブロック図であり、本発明の撮像装置に関する構成以外のカメラの一般的構成については、その図示と説明を一部省略する。
【0016】
本実施形態のデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、レンズ系10、絞り21、絞り駆動制御部22、撮像素子31、アナログ信号処理回路41、A/D変換部42、レンズ駆動制御部51、メモリ60、カメラ制御部70、操作部80および表示部90を備えている。
【0017】
レンズ系10は、焦点調節用のフォーカスレンズ12、ズーム倍率変更用のズームレンズ13を含む複数のレンズ11,12,13からなり、絞り21とともに撮影光学系を構成する。
【0018】
フォーカスレンズ12は、その光軸L1に沿って移動可能に設けられ、フォーカスレンズ用エンコーダ(不図示)によってその位置または移動量が検出されつつ、フォーカスレンズ駆動モータ52によってその位置が調節される。そして、フォーカスレンズ用エンコーダで検出されたフォーカスレンズ12の現在位置情報は、レンズ駆動制御部51を介してカメラ制御部70へ送信される一方で、カメラ制御部70はこの情報を参照しつつフォーカスレンズ12の焦点調節位置を演算し、レンズ駆動制御部51を介してフォーカスレンズ駆動モータ52にレンズ駆動信号を送信する。
【0019】
ズームレンズ13は、その光軸L1に沿って移動可能に設けられ、ズームレンズ用エンコーダ(不図示)によってその位置または移動量が検出されつつ、ズームレンズ駆動モータ53によってその位置が調節される。ズームレンズ13の位置は、操作部80に設けられたズームボタンを操作することにより、あるいは、カメラ制御部70からレンズ駆動制御部51を介して送出されるズームレンズ駆動指令により、調節される。
【0020】
絞り21は、レンズ系10を通過して、撮像素子31に至る光束L1の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。たとえば自動露出モードにおいては、カメラ制御部70により、撮像素子31に至る光束に基づいて目標とする開口径の演算が行われ、演算された開口径に相当する絞り駆動信号が、カメラ制御部70から絞り駆動制御部22を介して絞り駆動部23へ送信されることにより、絞り21による開口径の調節が行われる。また、開口径の調節は、カメラ1に設けられた操作部80をマニュアル操作することによっても行われ、操作部80で設定された開口径がカメラ制御部70から絞り駆動制御部22を介して絞り駆動部23に入力される。なお、絞り21の開口径は絞り開口センサ(不図示)により検出され、カメラ制御部70により現在の開口径が認識される。
【0021】
撮像素子31は、カメラ1の被写体からの光軸L1上であって、レンズ系10の予定焦点面となる位置に配置されている。撮像素子31は、複数の光電変換素子が二次元に配列されたものであって、二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサまたはCID(電荷注入デバイス)などで構成することができる。なお、撮像素子31は、各画素に蓄積される電荷の蓄積時間、すなわちシャッタースピードをシャッターゲートパルスによって制御する電子シャッター機能を備える。
【0022】
また、撮像素子31の撮像面の有効画素領域には、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)に対応するカラーフィルタが配置されており、撮像面で受光した被写体像はRGBの画像信号に変換されることとなる。このようなカラーフィルタの配列としては、たとえば、ベイヤー配列(Bayer Arrangement)などが挙げられるが、特にこれに限定されない。
【0023】
撮像素子31の撮像面に被写体像が投影されると、その入射光量に応じた量の信号電荷に光電変換され、撮像出力信号として順次読み出される。この光電変換されたアナログ画像信号は、アナログ信号処理部41へ出力される。
【0024】
アナログ信号処理部41は、相関二重サンプリング(CDS)を行うCDS回路と、アナログ画像信号の出力を増幅するゲイン回路と、色分離回路とを有している。このアナログ信号処理部41では、RGBの各色に対応する画素の出力に関する出力ゲインの値をそれぞれ独立して設定できるようになっている。
【0025】
A/D変換部42はアナログ信号処理部41から出力されたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する。A/D変換部42によってデジタル化された画像信号は、カメラ制御部70に出力される。
【0026】
操作部80は、カメラ1を起動させるための主電源スイッチや、シャッターレリーズボタン、ズームレンズ13を駆動させてズーム動作を行なうためのズームスイッチ、さらには、撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチなどを備えている。そして、撮影者は、操作部80を介して、動画撮影モード/静止画撮影モードの切換や、自動露出モード/マニュアル露出モードの切換、さらには、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換などができるようになっている。この操作部80による操作、および設定された各種モードはカメラ制御部70へ送信される。
【0027】
カメラ制御部70は、マイクロプロセッサとメモリなどの周辺部品から構成され、カメラ1を構成する各部の制御するための演算を行う。そして、カメラ制御部70は、該演算結果に基づき、絞り21による開口径を調節したり、アナログ信号処理部41のゲインの設定を行なったりする。
【0028】
また、カメラ制御部70は、A/D変換部42によってデジタル化された画像信号を取得し、取得した画像信号についてデジタル処理を行ない、メモリ60および表示部90に出力して、メモリ60に保存させるとともに、表示部90に、画像信号に基づく画像の表示を行なわせる。
【0029】
さらに、カメラ制御部70は、オートフォーカス動作を制御するAF処理部70aを備えている。AF処理部70aは、レンズ駆動制御部51を介して、フォーカスレンズ駆動モータ52を駆動させることにより、フォーカスレンズ12を移動させながら、撮像素子31に被写体像の撮像を行なわせて、フォーカスレンズ12の各移動位置に対応する、デジタル画像信号を取得する。そして、取得したデジタル画像信号のうち、焦点検出に用いる画像信号から高周波成分を抽出して焦点評価値の演算を行う。具体的には、画像信号をバンドパスフィルタに通して画像信号から所定帯域の周波数成分に対応する信号を抽出し、抽出された信号の絶対値を積分することにより、被写体像に関する焦点評価値を得る。そして、AF処理部70aは、算出された焦点評価値に基づいて、レンズ駆動制御部51を介して、フォーカスレンズ駆動モータ52を駆動させて、これにより、フォーカスレンズ12を所定のレンズ調整位置に移動させる。
【0030】
さらに、AF処理部70aは、動画撮影モードが選択されている場合には、オートフォーカス動作を実行する前に、フォーカスレンズ12を、現在位置近傍において、微小駆動させるウォブリング動作を行い、ウォブリング動作中に、算出された焦点評価値に基づいて、オートフォーカス動作を行なう際における、フォーカスレンズ12の駆動方向を決定する。なお、本実施形態においては、ウォブリング動作は、フォーカスレンズ12を現在のレンズ位置から、撮影倍率が小さくなる方向に微小駆動させ、次いで、元のレンズ位置に戻すという動作を繰り返すことにより実行される。
【0031】
また、カメラ制御部70は、フォーカスレンズ12のレンズ駆動量と、撮像素子31により撮像される撮影画像の像倍率の変化量との関係を示すテーブルを予め記憶しており、このテーブルを用いて、AF処理部70aにより、オートフォーカス動作が行なわれている際のフォーカスレンズ12の駆動中における、撮影画像の像倍率の変化を補正する動作を行なう。なお、撮影画像の像倍率の変化を補正する動作については、後述する。
【0032】
表示部90は、液晶ディスプレイなどで構成され、撮像素子31により撮像した画像を逐次表示する電子ファインダとして機能し、撮影者が、表示部90に表示される被写体を観察しながら撮影操作を行うことができるようになっている。
【0033】
次に、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図2、図3は、本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。なお、以下においては、動画撮影モードが選択されている場面における、動作について説明する。また、以下の動作は、たとえば、撮像素子31のフレームレートに対応して実行される。
【0034】
まず、ステップS101では、カメラ1の電源がオンされると、撮像素子31により被写体像の撮像が行なわれる。本実施形態においては、撮像素子31による被写体像の撮像は、所定のフレームレートで繰り返し行なわれる。
【0035】
次いで、ステップS102では、カメラ制御部70により、撮像素子31により撮像された画像の画像信号の取得が行なわれる。本実施形態では、カメラ制御部70は、撮像素子31により撮像された画像の画像信号を、アナログ信号処理部41およびA/D変換部42により変換され、デジタル化された信号として取得する。
【0036】
次いで、ステップS103では、カメラ制御部70により、ステップS102で取得した画像信号に基づく撮影画像を、メモリ60に記憶させる処理が行なわれる。
【0037】
ステップS104では、カメラ制御部70のAF処理部70aにより、ステップS102で取得した画像信号に基づいて、焦点評価値の算出が行われる。算出された焦点評価値は、フォーカスレンズ12の位置の情報とともに、カメラ制御部70に備えられたメモリに記憶される。
【0038】
ステップS105では、ウォブリング動作が実行されているか否かの判定が行なわれる。ウォブリング動作は、オートフォーカス動作を実行する前に、フォーカスレンズ12を、現在位置近傍において、微小駆動させる動作であり、カメラ制御部70に備えられたAF処理部70aにより制御される。ウォブリング動作を実行していないと判定された場合には、ステップS106に進む。一方、ウォブリング動作が実行中であると判定された場合には、ステップS113に進む。
【0039】
ステップS106では、カメラ制御部70により、オートフォーカス動作を行なうために、フォーカスレンズ12の駆動動作(ウォブリング動作とは異なる、一方向への連続的な駆動動作)が行なわれているか否かの判定が行なわれる。フォーカスレンズ12の駆動動作が行なわれていると判定された場合には、ステップS107に進む。一方、フォーカスレンズ12の駆動動作が行なわれていないと判定された場合には、図3に示すステップS115に進む。なお、フォーカスレンズ12の駆動動作は、カメラ制御部70に備えられたAF処理部70aにより制御される。本実施形態においては、たとえば、ウォブリング動作の結果により、新たな合焦位置を検出する必要が生じたと判断された場合や、撮影輝度が大きく変化した場合、さらには、前回処理時に算出された焦点評価値と比較して所定値以上変化した場合に、AF処理部70aにより、オートフォーカス動作が実行される。
【0040】
次いで、ステップS107では、クロップ処理フラグ=1にセットする処理が行なわれる。なお、クロップ処理フラグは、初期状態では0にセットされている。
【0041】
続くステップS108では、フォーカスレンズ12の駆動が開始された時点(すなわち、オートフォーカス動作が開始された時点)と比較して、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が小さくなる方向(すなわち、画角が広くなる方向)に移動しているか否かの判定が行なわれる。フォーカスレンズ12の駆動が開始された時点と比較して、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が小さくなる方向に移動していると判定された場合には、ステップS109に進む。一方、フォーカスレンズ12の駆動が開始された時点と比較して、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が大きくなる方向(すなわち、画角が狭くなる方向)に移動していると判定された場合には、ステップS112に進む。
【0042】
ここで、図4は、本実施形態が適用される一場面例であり、図4(A)は、一場面例における、フォーカスレンズ12のレンズ位置の変化を示しており、また、図4(B)は、一場面例における、撮像素子31により撮像される画像の像倍率の変化、およびメモリ60に記憶させる動画像の像倍率の変化を示している。なお、図4(A)中においては、撮像素子31からの画像信号の取得タイミングを、黒丸で示した。すなわち、図4(A)においては、時間Tαの間隔で、撮像素子31により撮像が行なわれ、時間Tαの間隔で、AF処理部70aにより、撮像素子31により撮像された画像信号に基づいて、焦点評価値の算出が行われている例を示している。この図4(A)においては、時間t1において、フォーカスレンズ12が位置P1にある場合に、時間t2において、オートフォーカス動作が開始され、フォーカスレンズ12を、撮影倍率が小さくなる方向に駆動させながら、焦点評価値の算出を行い、算出された焦点評価値に基づいて、時間t4において、フォーカスレンズ12を、合焦位置である位置P2に移動させた場面を示している。
【0043】
この図4(A)に示す例においては、時間t2〜t4の間においては、フォーカスレンズ12の駆動が開始された時点におけるフォーカスレンズ12の位置P1と比較して、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が小さくなる方向に移動しているため、この場合には、ステップS109に進むこととなる。
【0044】
このように、フォーカスレンズ12の駆動が開始された時点と比較して、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が小さくなる方向に移動していると判定された場合には、ステップS109に進み、ステップS109では、カメラ制御部70により、ステップS102で得られた画像信号に基づく撮影画像について、一部の領域を切り出すクロップ処理が行なわれる。ここで、フォーカスレンズ12を、撮影倍率が小さくなる方向に駆動すると、得られる撮影画像は、図5(A)に示す画像から、図5(C)に示す画像へと画角が変化してしまうこととなる。これに対し、本実施形態では、このような画角の変化を防止するために、クロップ処理を行なう。具体的には、図6(A)に示すように、得られた撮影画像から、画像を切り出すための切り出し領域を選択し、次いで、図6(B)に示すように、切り出し領域の大きさが、撮影画像の大きさに対応する大きさとなるように、撮影画像を拡大するための処理を行なう。そして、図6(C)に示すように、切り出し領域を切り出す処理を行なうことで、クロップ画像を得る。なお、本実施形態においては、クロップ画像を得る際には、得られるクロップ画像が、フォーカスレンズ12を駆動する前の像倍率と同じ像倍率となるように、画像の切り出しを行なう。具体的には、カメラ制御部70に予め保存されているフォーカスレンズ12のレンズ位置と、各レンズ位置において、撮像素子31により撮像される撮影画像の像倍率との関係を示すテーブルに基づいて、得られるクロップ画像が、フォーカスレンズ12を駆動する前の像倍率と同じ像倍率となるように、画像の切り出しを行なう。
【0045】
なお、本実施形態においては、図6(B)に示す撮影画像を拡大するための処理を行なう際には、AF処理部70aによって、算出された焦点評価値により、異なる処理方法を選択するような対応としてもよい。具体的には、焦点評価値が予め定められた所定値未満であり、撮像素子31により撮像された撮影画像のボケ量が比較的大きいと判断される場合には、比較的演算負荷の低い方法を用い、焦点評価値が予め定められた所定値以上であり、撮像素子31により撮像された撮影画像のボケ量が比較的小さいと判断される場合には、高解像度の画像を得るための方法を用いることができる。たとえば、焦点評価値が予め定められた所定値未満である場合には、比較的演算負荷の低い方法として、たとえば、リニア補間により、画素レベルで画素補間を行なうことで、拡大画像を得る方法などを用いることができる。一方、焦点評価値が予め定められた所定値以上である場合には、高解像度の画像を得るための方法として、たとえば、バイキュービック法や、連続する複数のフレームにおいて撮像された複数の画像を用いて、画素補間を行なう超解像処理を実行することで、拡大画像を得る方法などを用いることができる。なお、この場合における所定値としては、たとえば、撮像素子31により撮像された撮影画像が、合焦位置付近の画像であるか否かが判断できるような値に設定することができる。
【0046】
次いで、ステップS110では、ステップS109で得られたクロップ画像を、動画像として、メモリ60に記憶させる処理が行なわれる。
【0047】
次いで、ステップS111では、ステップS109で得られたクロップ画像が、カメラ制御部70から、表示部90に出力され、表示部90により、クロップ画像の出力が行なわれる。
【0048】
上述したように、本実施形態においては、クロップ画像を得る際に、得られるクロップ画像が、フォーカスレンズ12を駆動する前の像倍率と同じ像倍率となるように、画像の切り出しを行なうものである。そのため、たとえば、図4(A)に示す時間t2〜t4において、フォーカスレンズ12を駆動させることにより、撮影画像の画角が、図5(A)に示す画像から、図5(C)に示す画像のように変化してしまった場合でも、図6(A)〜図6(C)に示すようにクロップ処理を行なうことにより得られたクロップ画像を得て、これを動画像として保存することにより、得られる動画像における、画角の変化を防止することが可能となる。
【0049】
そして、本実施形態によれば、図4(B)に示すように、フォーカスレンズ12が駆動することにより、時間t2〜t4のように、撮像素子31により撮像される撮影画像の像倍率(図4(B)中において、実線で示した。)が変化した場合でも、上述したステップS108で説明したようにクロップ画像を得て、得られたクロップ画像を、メモリ60に保存するための動画像とすることにより、得られる動画像の像倍率(図4(B)において、破線で示した。)が、フォーカスレンズ12を駆動させる前の像倍率α1のままに保たれることとなる。
【0050】
一方、図4に示す場面例においては、時間t2〜t4において、フォーカスレンズ12の駆動が行なわれ、時間t4において、フォーカスレンズ12を、合焦位置である位置P2に移動させた後、すなわち、時間t4以降においては、フォーカスレンズ12の駆動動作が行なわれていない。そのため、フォーカスレンズ12を、合焦位置である位置P2に移動させた時間t4以降においては、ステップS106において、フォーカスレンズ12の駆動動作が行なわれていないと判断され、図3に示すステップS115に進む。
【0051】
図3に示すステップS115では、クロップ処理フラグ=1であるか否かの判断が行なわれる。クロップ処理フラグ=1である場合には、ステップS115に進み、一方、クロップ処理フラグ=1でない場合には、ステップS121に進む。
【0052】
たとえば、図4に示す場面例においては、合焦位置である位置P2に移動した時間t4においては、フォーカスレンズ12が元々のレンズ位置である位置P1から移動しており、そのため、前回処理時においてクロップ画像が生成されており、クロップ処理フラグ=1に設定されていることとなるため(ステップS115=Yes)、ステップS116に進むこととなる。
【0053】
そして、ステップS116では、上述したステップS108と同様にして、ステップS102で得られた画像信号に基づく撮影画像について、一部の領域を切り出すクロップ処理が行なわれる。なお、ステップS116においては、上述したステップS108と異なり、生成されるクロップ画像の像倍率が、前回処理時に生成されたクロップ画像と比較して、現在のフォーカスレンズ12のレンズ位置における像倍率に近づくように、像倍率を変更して、クロップ画像の生成を行なう。なお、この場合における、像倍率の変更量としては、たとえば、メモリ60に記憶される動画像の像倍率の変化速度が、撮影者に違和感を与えないようなものとなるように、十分に小さい量とする。
【0054】
次いで、ステップS117では、ステップS116で得られたクロップ画像の像倍率と、現在のフォーカスレンズ12のレンズ位置における像倍率とを比較し、クロップ画像の像倍率と、現在のフォーカスレンズ12のレンズ位置における像倍率との差が予め定められた所定値以下であるか否かの判定が行なわれる。なお、この場合における、所定値としては、クロップ画像の像倍率と、現在のフォーカスレンズ12のレンズ位置における像倍率とがほぼ一致していると判断できるような値に設定することができる。具体的には、これらの像倍率の差が、ステップS116で得られたクロップ画像と、現在のフォーカスレンズ12のレンズ位置で撮影された撮影画像とを時間的に連続で再生した場合に、撮影者に違和感を与えることがないようなものであると判断できるような値に設定することができる。これらの像倍率の差が、所定値を超えていると判断された場合には、ステップS118に進む。一方、これらの像倍率の差が、所定値以下であると判断された場合には、得られたクロップ画像の像倍率は、現在のフォーカスレンズ12のレンズ位置の像倍率とほぼ一致していると判断し、ステップS120に進み、クロップ画像を得るための処理を終了するために、クロップ処理フラグ=0にセットする処理が行なわれる。
【0055】
ステップS118では、ステップS116で得られたクロップ画像を、動画像として、メモリ60に記憶させる処理が行なわれる。
【0056】
次いで、ステップS119では、ステップS116で得られたクロップ画像が、カメラ制御部70から、表示部90に出力され、表示部90により、クロップ画像の出力が行なわれる。
【0057】
そして、図4に示す場面例においては、フォーカスレンズ12が、合焦位置である位置P2に移動した時間t4以降においては、ステップS117において、得られたクロップ画像の像倍率と、現在のフォーカスレンズ12のレンズ位置における像倍率との差が所定値以下であると判断されるまで、図2に示すステップS101〜S106、図3に示すステップS115〜S119の処理が繰り返し行なわれ、図4(B)に示すように、得られるクロップ画像の像倍率が、現在のフォーカスレンズ12のレンズ位置における像倍率に徐々に近づくように、クロップ画像の生成が繰り返し行なわれる。そして、時間t5において、得られたクロップ画像の像倍率と、現在のフォーカスレンズ12のレンズ位置における像倍率との差が所定値以下であると判断されると、ステップS120に進み、クロップ画像を得るための処理を終了するために、クロップ処理フラグ=0とされ、時間t6以降は、クロップ画像の生成は行われずに、ステップS103において、メモリ60に保存した、撮像素子31により撮像された撮影画像を、動画像として記憶させる処理が行なわれるとともに、この撮影画像を、表示部90に表示させる処理が行なわれることとなる(ステップS121)。
【0058】
一方、ステップS108において、フォーカスレンズ12の駆動が開始された時点と比較して、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が大きくなる方向(すなわち、画角が狭くなる方向)に移動していると判定された場合には、ステップS111に進み、ステップS111では、フォーカスレンズ12の駆動に応じて、ズームレンズ13を駆動させる処理が開始される。ここで、フォーカスレンズ12を、撮影倍率が大きくなる方向に駆動すると、得られる撮影画像は、図5(A)に示す画像から、図5(B)に示す画像へと画角が変化してしまうこととなる。これに対し、本実施形態では、このような画角の変化を防止するために、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が大きくなる方向に移動していると判定された場合には、フォーカスレンズ12の駆動に応じて、ズームレンズ13を駆動させるものである。
【0059】
ここで、図7に、本実施形態が適用される他の場面例を示す。図7(A)は、他の場面例における、フォーカスレンズ12のレンズ位置の変化を示しており、また、図7(B)は、他の場面例における、撮像素子31により撮像される画像の像倍率の変化、およびメモリ60に記憶させる動画像の像倍率の変化を示している。なお、図7(A)中においても、図4(A)と同様に、撮像素子31からの画像信号の取得タイミングを、黒丸で示した。そして、この図7(A)においては、時間t11において、フォーカスレンズ12が位置P3にある場合において、時間t12において、オートフォーカス動作が開始され、フォーカスレンズ12を、撮影倍率が大きくなる方向に駆動させながら、焦点評価値の算出を行い、算出された焦点評価値に基づいて、時間t16において、フォーカスレンズ12を、合焦位置である位置P4に移動させた場面を示している。
【0060】
そして、このような場合において、本実施形態においては、図8(A)、図8(B)に示すように、時間t12において、フォーカスレンズ12を、撮影倍率が大きくなる方向に駆動を開始するのに伴い、時間t12〜t13において、ズームレンズ13を、撮影倍率が小さくなる方向(位置P5→P6)に駆動させ、さらに、時間t14〜t15において、ズームレンズ13を、撮影倍率が小さくなる方向(位置P6→P7)に駆動させるものである。そして、これにより、図8(C)に示すように、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が大きくなる方向に駆動した場合でも、撮像素子31により撮像される撮影画像の像倍率が、フォーカスレンズ12を駆動させる前における像倍率α3よりも小さなものとなるように、制御するものである。なお、図8(C)においては、ズームレンズ13を駆動させた場合における、撮像素子31により撮像される撮影画像の像倍率を実線で、ズームレンズ13を駆動させない場合における、撮像素子31により撮像される撮影画像の像倍率を破線で、それぞれ示した。
【0061】
なお、図8(A)〜図8(C)においては、ズームレンズ13を、フォーカスレンズ12の駆動に伴い、段階的に駆動させる例を示したが、このような例に限定されず、フォーカスレンズ12の駆動に伴い、連続的に駆動させるような構成としてもよい。また、フォーカスレンズ12の駆動に伴って、ズームレンズ13を駆動させる際における、ズームレンズ13の駆動量は、予め記憶されたフォーカスレンズ12のレンズ駆動量と、撮像素子31により撮像される撮影画像の像倍率の変化量との関係を示すテーブルを用い、このテーブルに基づいて、算出することができる。また、ズームレンズ13の駆動量は、ズームレンズ13の駆動後における下限像倍率α5(図8(C)参照)は、フォーカスレンズ12の駆動前の像倍率α3(図8(C)参照)に対して、後述するクロップ処理により拡大画像を得る際における拡大率が1.2倍以内程度となるような範囲に設定することが、得られるクロップ画像の画像品質を良好に保つという観点より望ましい。なお、測光値や画像のヒストグラムが比較的大きく変化した場合には、構図変更がされたものと判断し、ズームレンズ13を、下限像倍率α5を超えて、ズームレンズ13を、撮影倍率が小さくなる方向に駆動してもよい。
【0062】
また、本実施形態において、フォーカスレンズ12の駆動に伴い、ズームレンズ13を駆動させる処理を実行するに際しては、たとえば、撮像素子31により得られる撮影画像の像倍率が、上限像倍率α4(図8(C)参照)と、下限像倍率α5(図8(C)参照)との範囲内となるように制御される。たとえば、図8(A)〜図8(C)においては、上限像倍率α4に到達すると、ズームレンズ13を撮影倍率が小さくなる方向に駆動させ、ズームレンズ13を駆動させた結果、下限像倍率α5に到達すると、ズームレンズ13を停止させる制御が繰り返し行われる。
【0063】
そのため、本実施形態では、ステップS111においては、ズームレンズ13が駆動している場合には、下限像倍率α5に到達したか否かの判断が行なわれ、下限像倍率α5に到達した場合には、ズームレンズ13の駆動を停止する処理が行なわれる。一方、ズームレンズ13が停止している場合には、上限像倍率α4に到達したか否かの判断が行なわれ、上限像倍率α4に到達した場合には、ズームレンズ13を、撮影倍率が小さくなる方向に駆動させる処理が行なわれる。なお、上限像倍率α4としては、フォーカスレンズ12を駆動させる前における像倍率α3よりも小さいものであればよく、特に限定されない。
【0064】
そして、フォーカスレンズ12の駆動に伴い、ズームレンズ13を駆動させる処理が実行されると、ステップS109に進み、上記と同様に、撮影画像のクロップ処理を行ない、フォーカスレンズ12を駆動する前の像倍率と同じ像倍率を有するクロップ画像を得て、次いで、ステップS109において、得られたクロップ画像を、動画像として、メモリ60に記憶させる処理が行なわれ、ステップS110において、クロップ画像を表示部90に表示させる処理が行なわれる。
【0065】
ここで、上述したように、本実施形態においては、クロップ画像を得る際に、得られるクロップ画像が、フォーカスレンズ12を駆動する前の像倍率と同じ像倍率となるように、画像の切り出しを行なうものである。そのため、たとえば、図7(A)に示す時間t12〜t16において、フォーカスレンズ12の駆動に伴い、ズームレンズ13を駆動させることにより、撮影画像の画角を、図5(A)に示す画像から、図5(C)に示す画像のように変化させるとともに、図6(A)〜図6(C)に示すようにクロップ処理を行なうことにより得られたクロップ画像を得て、これを動画像として保存することにより、得られる動画像における、画角の変化を防止することが可能となる。
【0066】
そして、本実施形態によれば、図7(A)に示すように、t12〜t16において、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が大きくなる方向に駆動した場合でも、図8(B)のように、ズームレンズ13を駆動させ、これにより、撮像素子31により撮像される撮影画像の像倍率(図7(B)中において、実線で示した。)を、フォーカスレンズ12を駆動させる前の像倍率α3より小さいものとし、かつ、得られた撮影画像から、上述したステップS108で説明したようにクロップ画像を得て、得られたクロップ画像を、メモリ60に保存するための動画像とすることにより、得られる動画像の像倍率(図4(B)において、破線で示した。)が、フォーカスレンズ12を駆動させる前の像倍率α3のままに保たれることとなる。
【0067】
また、上述した図4に示す場面例と同様に、図7に示す場面例においても、時間t12〜t16において、フォーカスレンズ12の駆動が行なわれ、時間t16において、フォーカスレンズ12を、合焦位置である位置P4に移動させた後、すなわち、時間t16以降においては、フォーカスレンズ12の駆動動作が行なわれておらず、そのため、ステップS106において、フォーカスレンズ12の駆動動作が行なわれていないと判断され、図3に示すステップS115に進む。
【0068】
そして、上述した図4に示す場面例と同様に、図7に示す場面例においても、フォーカスレンズ12が、合焦位置である位置P4に移動した時間t16以降においては、ステップS117において、得られたクロップ画像の像倍率と、現在のフォーカスレンズ12のレンズ位置における像倍率との差が所定値以下であると判断されるまで、図2に示すステップS101〜S106、図3に示すステップS115〜S119の処理が繰り返し行なわれ、図7(B)に示すように、得られるクロップ画像の像倍率が、現在のフォーカスレンズ12のレンズ位置における像倍率に徐々に近づくように、クロップ画像の生成が繰り返し行なわれる。そして、時間t17において、得られたクロップ画像の像倍率と、現在のフォーカスレンズ12のレンズ位置における像倍率との差が所定値以下であると判断されると、ステップS120に進み、クロップ画像を得るための処理を終了するために、クロップ処理フラグ=0とされ、時間t18以降は、クロップ画像の生成は行われずに、ステップS103において、メモリ60に保存した、撮像素子31により撮像された撮影画像を、動画像として記憶させる処理が行なわれるとともに、この撮影画像を、表示部90に表示させる処理が行なわれることとなる(ステップS121)。
【0069】
また、上述したステップS105において、フォーカスレンズ12がウォブリング駆動中であると判断された場合には、ステップS113に進む。なお、上述したように、本実施形態においては、ウォブリング動作は、フォーカスレンズ12を現在のレンズ位置から、撮影倍率が小さくなる方向に微小駆動させ、次いで、元のレンズ位置に戻すという動作を繰り返すことにより実行される。そのため、ステップS113では、フォーカスレンズ12が、ウォブリング動作を実行する前のレンズ位置にあるか、あるいは、ウォブリング動作を実行する前のレンズ位置よりも、撮影倍率が小さくなる方向に位置しているかの判定が行なわれる。ウォブリング動作を実行する前のレンズ位置にあると判断された場合には、ステップS114に進み、ステップS103において、メモリ60に保存した、撮像素子31により撮像された撮影画像を、動画像として記憶させる処理が行なわれるとともに、この撮影画像を、表示部90に表示させる処理が行なわれる。
【0070】
一方、フォーカスレンズ12が、ウォブリング動作を実行する前のレンズ位置よりも、撮影倍率が小さくなる方向に位置していると判定された場合には、ステップS109に進み、上記と同様に、撮影画像のクロップ処理を行ない、ウォブリング動作を実行する前の像倍率と同じ像倍率を有するクロップ画像を得て、次いで、ステップS109において、得られたクロップ画像を、動画像として、メモリ60に記憶させる処理が行なわれ、ステップS110において、クロップ画像を表示部90に表示させる処理が行なわれる。
【0071】
以上のように、本実施形態に係るカメラ1は動作する。
【0072】
本実施形態においては、フォーカスレンズ12を駆動させた際に、クロップ画像を得て、これを動画像としてメモリ60に記憶させる処理を行なった場合に、フォーカスレンズ12の駆動が停止した後において、得られるクロップ画像の像倍率が、現在のフォーカスレンズ12のレンズ位置における像倍率に徐々に近づくように、クロップ画像の生成を繰り返し行なうものである(図4(B)の時間t4〜t6、図7(B)の時間t16〜t17参照)。特に、本実施形態では、撮影者に違和感を与えることなく、得られるクロップ画像の像倍率が、現在のフォーカスレンズ12のレンズ位置における像倍率に徐々に近づくように、クロップ画像の生成を繰り返し行なうものである。そのため、本実施形態によれば、フォーカスレンズ12が合焦位置に移動し、その駆動を終了した際に、撮影者に違和感を与えることなく、クロップ処理により得られたクロップ画像から、撮像素子31により撮像された撮影画像へと移行させることができる。
【0073】
加えて、本実施形態においては、フォーカスレンズ12の駆動が開始された時点(すなわち、オートフォーカス動作が開始された時点)と比較して、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が大きくなる方向(すなわち、画角が狭くなる方向)に移動した場合には、図8(A)〜図8(C)に示すように、フォーカスレンズ12の駆動に伴い、ズームレンズ13を駆動させることにより、フォーカスレンズ12を駆動する前と比較して、撮像素子31により撮像される画像の撮影倍率が小さくなるように制御するとともに、得られた撮影画像について、一部の領域を切り出すクロップ処理を行ない、得られたクロップ画像を、動画像として保存するものである。そのため、本実施形態によれば、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が大きくなる方向に移動した場合でも、得られる動画像の画角の変化を抑制することができ、これにより、フォーカスレンズ12の駆動による急激な画角変化を避けることができる。
【0074】
さらに、本実施形態によれば、フォーカスレンズ12の駆動が開始された時点(すなわち、オートフォーカス動作が開始された時点)と比較して、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が小さくなる方向(すなわち、画角が広くなる方向)に移動した場合には、撮像素子31により撮像された撮影画像について、一部の領域を切り出すクロップ処理を行ない、得られたクロップ画像を、動画像として保存する。そのため、本実施形態によれば、フォーカスレンズ12が、撮影倍率が大きくなる方向に移動した場合に加えて、撮影倍率が小さくなる方向に移動した場合でも、得られる動画像の画角の変化を抑制することができ、これにより、フォーカスレンズ12の駆動による急激な画角変化を避けることができる。
【0075】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0076】
たとえば、上述した実施形態では、AF処理部70aにより、コントラスト方式によって、オートフォーカス動作を行なう態様を例示したが、コントラスト方式に特に限定されず、たとえば、位相差方式によって、オートフォーカス動作を行なう態様としてもよい。
【0077】
また、上述した実施形態においては、レンズ一体型のデジタルカメラ1を例示して説明したが、レンズ交換型のデジタルカメラや、携帯電話機などに内蔵される小型カメラモジュールなどにも適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1…デジタルカメラ
10…レンズ系
12…フォーカスレンズ
13…ズームレンズ
21…絞り
22…絞り駆動制御部
31…撮像素子
41…アナログ信号処理回路
42…A/D変換部
51…レンズ駆動制御部
60…メモリ
70…カメラ制御部
80…操作部
90…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系による像を、所定のフレームレートで繰り返し撮像し、撮像した像に対応する撮像画像信号を出力する撮像部と、
焦点調節レンズを光軸方向に駆動して、前記光学系の焦点状態を調節する焦点調節部と、
前記焦点調節レンズが光軸方向に駆動することで、前記光学系の撮影倍率が小さくなる方向に変化した場合に、前記撮像画像信号に基づく画像から、一部の領域を切り出して、切り出し画像を生成する第1画像処理部と、を備え、
前記第1画像処理部は、前記焦点調節レンズが光軸方向に駆動することで前記光学系の撮影倍率が小さくなる方向に変化した後に、前記焦点調節レンズの駆動が停止した場合に、生成する切り出し画像の像倍率と、前記撮像画像信号に基づく画像の像倍率との差が徐々に小さくなるように、前記切り出し画像を繰り返し生成することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記第1画像処理部は、生成する切り出し画像の像倍率と、前記撮像画像信号に基づく画像の像倍率との差が徐々に小さくなるように、前記切り出し画像を繰り返し生成した結果、生成した切り出し画像の像倍率と、前記撮像画像信号に基づく画像の像倍率との差が、所定値以下となった場合に、前記切り出し画像の生成を終了することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置において、
ズームレンズを光軸方向に駆動して、ズーム倍率を変更するズーム倍率変更部と、
前記焦点調節レンズの駆動量に対する前記光学系の撮影倍率の変化量の関係を記憶する記憶部と、
前記焦点調節レンズが光軸方向に駆動することで、前記光学系の撮影倍率が大きくなる方向に変化した場合に、前記光学系の撮影倍率が、前記焦点調節レンズの駆動を開始する前よりも小さなものとなるように、前記焦点調節レンズの駆動量に対する前記光学系の撮影倍率の変化量の関係に基づいて、前記ズームレンズを光軸方向に駆動させるように前記ズーム倍率変更部の制御を行う制御部と、
前記ズームレンズを光軸方向に駆動させることで、前記光学系の撮影倍率が、前記焦点調節レンズの駆動を開始する前よりも小さなものとなった場合に、前記撮像画像信号に基づく画像から、一部の領域を切り出して、切り出し画像を生成する第2画像処理部と、をさらに備え、
前記第2画像処理部は、前記焦点調節レンズが光軸方向に駆動することで前記光学系の撮影倍率が大きくなる方向に変化した後に、前記焦点調節レンズの駆動が停止した場合に、生成する切り出し画像の像倍率と、前記撮像画像信号に基づく画像の像倍率との差が徐々に小さくなるように、前記切り出し画像を繰り返し生成することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
光学系による像を、所定のフレームレートで繰り返し撮像し、撮像した像に対応する撮像画像信号を出力する撮像部と、
焦点調節レンズを光軸方向に駆動して、前記光学系の焦点状態を調節する焦点調節部と、
ズームレンズを光軸方向に駆動して、ズーム倍率を変更するズーム倍率変更部と、
前記焦点調節レンズの駆動量に対する前記光学系の撮影倍率の変化量の関係を記憶する記憶部と、
前記焦点調節レンズが光軸方向に駆動することで、前記光学系の撮影倍率が大きくなる方向に変化した場合に、前記光学系の撮影倍率が、前記焦点調節レンズの駆動を開始する前よりも小さなものとなるように、前記焦点調節レンズの駆動量に対する前記光学系の撮影倍率の変化量の関係に基づいて、前記ズームレンズを光軸方向に駆動させるように前記ズーム倍率変更部の制御を行う制御部と、
前記ズームレンズを光軸方向に駆動させることで、前記光学系の撮影倍率が、前記焦点調節レンズの駆動を開始する前よりも小さなものとなった場合に、前記撮像画像信号に基づく画像から、一部の領域を切り出して、切り出し画像を生成する第2画像処理部と、を備え、
前記第2画像処理部は、前記焦点調節レンズが光軸方向に駆動することで前記光学系の撮影倍率が大きくなる方向に変化した後に、前記焦点調節レンズの駆動が停止した場合に、生成する切り出し画像の像倍率と、前記撮像画像信号に基づく画像の像倍率との差が徐々に小さくなるように、前記切り出し画像を繰り返し生成することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の撮像装置において、
前記第2画像処理部は、生成する合成画像の像倍率と、前記撮像画像信号に基づく画像の像倍率との差が徐々に小さくなるように、前記合成画像を繰り返し生成した結果、生成した合成画像の像倍率と、前記撮像画像信号に基づく画像の像倍率との差が、所定値以下となった場合に、前記合成画像の生成を終了することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−231354(P2012−231354A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99002(P2011−99002)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】