撮像装置
【課題】カラーフィルタアレイを有さない撮像素子によってカラー画像を撮像する。
【解決手段】撮像装置は、結像レンズと該結像レンズの領域毎に透過波長域を異ならせる光学フィルタとを有する撮像光学系と、受光素子を複数有するモノクロの受光部と、複数の前記受光素子にそれぞれ対応して設けられ、前記撮像光学系の射出瞳における予め定められた瞳領域を通過した被写体光を、対応する受光素子にそれぞれ受光させる複数の光学要素と、前記複数の受光素子の撮像信号から、被写体の画像を生成する画像生成部とを備え、前記複数の光学要素のうちの複数の第1光学要素は、前記撮像光学系の第1の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第1瞳領域を通過する被写体光を、対応する受光素子へ入射させ、前記複数の光学要素のうちの複数の第2光学要素は、前記撮像光学系の第2の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第2瞳領域を通過する被写体光を、対応する受光素子へ入射させる。
【解決手段】撮像装置は、結像レンズと該結像レンズの領域毎に透過波長域を異ならせる光学フィルタとを有する撮像光学系と、受光素子を複数有するモノクロの受光部と、複数の前記受光素子にそれぞれ対応して設けられ、前記撮像光学系の射出瞳における予め定められた瞳領域を通過した被写体光を、対応する受光素子にそれぞれ受光させる複数の光学要素と、前記複数の受光素子の撮像信号から、被写体の画像を生成する画像生成部とを備え、前記複数の光学要素のうちの複数の第1光学要素は、前記撮像光学系の第1の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第1瞳領域を通過する被写体光を、対応する受光素子へ入射させ、前記複数の光学要素のうちの複数の第2光学要素は、前記撮像光学系の第2の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第2瞳領域を通過する被写体光を、対応する受光素子へ入射させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特にカラーフィルタアレイを有さない撮像素子によってカラー画像を撮像する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置には、複数の光電変換素子を有するCCDやCMOSなどの撮像素子が用いられる。一般に、カラー画像の撮影では、特許文献1のように、色分解プリズムによって波長毎(R、G、B)に分離した光をそれぞれの撮像素子において受光するか、または特許文献2のように、光電変換素子毎に配置されたカラーフィルタによって透過波長を制限することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−175893号公報
【特許文献2】特開2007−147738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、色分解プリズムの構成やカラーフィルタの製造方法は複雑であり、高コスト化を招いているという問題点があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、撮像素子の構成の簡素化及び低コスト化を図りつつ、複数の色が異なる画像を、同時に、かつ独立に分離した画像データとして取得可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明に係る撮像装置は、結像レンズと該結像レンズの領域毎に透過波長域を異ならせる光学フィルタとを有する撮像光学系と、受光素子を複数有するモノクロの受光部と、複数の前記受光素子にそれぞれ対応して設けられ、前記撮像光学系の射出瞳における予め定められた瞳領域を通過した被写体光を、対応する受光素子にそれぞれ受光させる複数の光学要素と、前記複数の受光素子の撮像信号から、被写体の画像を生成する画像生成部とを備え、前記複数の光学要素のうちの複数の第1光学要素は、前記撮像光学系の第1の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第1瞳領域を通過する被写体光を、対応する受光素子へ入射させ、前記複数の光学要素のうちの複数の第2光学要素は、前記撮像光学系の第2の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第2瞳領域を通過する被写体光を、対応する受光素子へ入射させることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、撮像素子の構成の簡素化及び低コスト化を図りつつ、複数の色が異なる画像を、同時に、かつ独立に分離した画像データとして取得することができる。
【0008】
前記光学フィルタは、三原色のカラーフィルタを含むことが好ましい。
【0009】
これにより、カラー画像の撮影が可能となる。
【0010】
前記光学フィルタは、前記結像レンズの中心からの距離により区分された円形及び円環形状のフィルタからなり、円形および円環形状のフィルタ毎に透過波長域が異なっていてもよい。
【0011】
これにより、適切に複数の色が異なる画像を取得することができる。
【0012】
前記光学フィルタは、前記受光部に対して特定の波長域の光量を多く与えてもよい。
【0013】
これにより、所望の画像を取得することができる。
【0014】
前記結像レンズは、該結像レンズの領域毎に異なるMTF特性を有していてもよい。
【0015】
これにより、所望の画像を取得することができる。
【0016】
前記光学フィルタは、前記結像レンズに対して特定の波長域に高周波成分を多く与えてもよい。
【0017】
これにより、所望の画像を取得することができる。
【0018】
フィルタ交換手段を備え、前記光学フィルタは、波長選択性の異なる複数種類のフィルタから任意に選択可能であってもよい。
【0019】
これにより、所望の画像を取得することができる。
【0020】
前記複数の光学要素の各光学要素は、複数の受光素子単位毎に設けられたマイクロレンズであり、前記撮像光学系の第1の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第1瞳領域を通過する被写体光を第1の受光素子へ入射させ、前記撮像光学系の第2の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第2瞳領域を通過する被写体光を第2の受光素子へ入射させることが好ましい。
【0021】
これにより、適切に複数の色が異なる画像を取得することができる。
【0022】
前記複数の光学要素は、それぞれ前記予め定められた瞳領域を通過した被写体光を、対応する前記受光素子に受光させるべく光軸を前記受光素子の受光開口に対して偏倚して設けられたマイクロレンズであってもよい。
【0023】
これにより、適切に複数の色が異なる画像を取得することができる。
【0024】
前記複数の光学要素はそれぞれ、対応する受光素子に対し前記予め定められた瞳領域への指向性を持つ開口が形成された遮光要素であってもよい。
【0025】
これにより、適切に複数の色が異なる画像を取得することができる。
【0026】
前記複数の光学要素は、複数の前記瞳領域において互いに異なる偏光成分を透過する第1偏光フィルタと、前記複数の受光素子にそれぞれ対応して設けられ、前記異なる偏光成分をそれぞれ透過する第2偏光フィルタとを有していてもよい。
【0027】
これにより、適切に複数の色が異なる画像を取得することができる。
【0028】
前記複数の光学要素はそれぞれ、前記予め定められた瞳領域を通過した被写体光を対応する受光素子に受光させるプリズム要素であってもよい。
【0029】
これにより、適切に複数の色が異なる画像を取得することができる。
【0030】
前記複数の光学要素は、焦点距離をそれぞれ異ならせたマイクロレンズと円環形状の開口を形成する遮光要素であってもよい。
【0031】
これにより、適切に複数の色が異なる画像を取得することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、撮像素子の構成の簡素化及び低コスト化を図りつつ、複数の色が異なる画像を、同時に、かつ独立に分離した画像データとして取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】撮像装置のブロック構成の一例を模式的に示す図
【図2】マイクロレンズと対応する受光素子群を光軸方向から見た模式図
【図3】図2(a)の破線A−Aにおける断面図
【図4】第2の実施形態に係る受光ユニットの一例を模式的に示す図
【図5】第3の実施形態に係る受光ユニットの一例を模式的に示す図
【図6】第4の実施形態に係る受光ユニットの一例を模式的に示す図
【図7】色分離フィルタ部を光軸方向から見た模式図
【図8】第5の実施形態に係る撮像装置のブロック構成の一例を模式的に示す図
【図9】遮光マスクの形状を示す斜視図
【図10】レンズ系、マイクロレンズ、遮光マスク、受光素子を模式的に示す俯瞰図
【図11】第5の実施形態に係る受光ユニットの一例を模式的に示す図
【図12】第6の実施形態に係る受光ユニットの一例を模式的に示す図
【図13】マイクロレンズに入射した光と受光素子が受光する光の関係を示す図
【図14】マイクロレンズに入射した光と受光素子が受光する光の関係を示す図
【図15】マイクロレンズに入射した光と受光素子が受光する光の関係を示す図
【図16】第5の実施形態に係るマイクロレンズと対応する受光素子群を光軸方向から見た模式図
【図17】円環状の受光を説明するための図
【図18】結像原理によるレンズの各領域のMTF特性を説明するための図
【図19】ターレット切り替え式フィルタ装置の一部断面を含む側面図
【図20】ターレット切り替え式フィルタ装置の正面図
【図21】第9の実施形態に係る撮像装置のブロック構成の一例を模式的に示す図
【図22】偏向部、マイクロレンズ部および受光部の構成の一例を模式的に示す図
【図23】光軸に垂直な面で偏向部を切断した模式断面を示す図
【図24】偏向部の構成の他の一例を模式的に示す図
【図25】仕切板の変形例を示す図
【図26】第10の実施形態に係る撮像装置のブロック構成の一例を示す図
【図27】第10の実施形態に係る撮像装置の変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0035】
〔第1の実施形態〕
図1は、撮像装置10のブロック構成の一例を模式的に示す。本実施形態に係る撮像装置10は、それぞれ色が異なる複数の画像を撮像する機能を提供する。特に、撮像装置10に係る光学構成は、受光センサに色分離用カラーフィルタアレイが不要な撮像装置を提供する。撮像装置10は、レンズ系100、受光ユニット20、画像生成部170および画像記録部190を備える。
【0036】
レンズ系100は、単一の撮像用のレンズ系であり、入射した光が通過する領域毎に異なる透過波長特性を持つ。レンズ系100は、1以上のレンズ100aと、結像レンズの入射領域毎に透過波長域を異ならせるための色分離フィルタ部100bを備える。
【0037】
色分離フィルタ部100bは、三原色のカラーフィルタを有している。すなわち、緑(G)に属する波長域の光を透過するGフィルタ100b−Gと、赤(R)に属する波長域の光を透過するRフィルタ100b−Rと、青(B)に属する波長域の光を透過するBフィルタ100b−Bを有している。これらの各フィルタを、色分離フィルタ部100bのG領域、R領域、B領域と呼ぶ場合がある。
【0038】
ここで、レンズ100aの射出瞳120の瞳領域122aにはBフィルタ100b−Bが、瞳領域122bにはRフィルタ100b−Rが、瞳領域122cにはGフィルタ100b−Gが、それぞれ対応して配置されている。したがって、レンズ系100を通過した被写体光のうち、レンズ系100の射出瞳120の瞳領域122aを通過した光はBの波長域、瞳領域122bを通過した光はRの波長域、瞳領域122cを通過した光はGの波長域、をそれぞれ有する光となっている。
【0039】
なお、本実施形態の色分離フィルタ部100bは、レンズ100aの瞳面の近傍であって、被写体光の光路上においてレンズ100aの後段に配置されているが、これと光学的に等価な位置に配置されていればよい。またレンズ系100は、レンズ系全体で異なる透過波長特性を与える光路が存在すればよく、透過波長特性の違いが特定のフィルタの特定の光学面によって提供されなくてよい。また、色分離フィルタ部100bが、レンズ効果を併せ持っていてもよい。
【0040】
レンズ系100を通過した被写体光は、受光ユニット20に入射する。受光ユニット20は、レンズ系100の射出瞳120の瞳領域122aを通過した光、瞳領域122bを通過した光および瞳領域122cを通過した光を、それぞれ分離して受光する。受光ユニット20は、それぞれ分離して受光した光による信号を画像信号として画像生成部170に供給する。画像生成部170は、当該画像信号から、それぞれ色の異なる画像を生成する。画像記録部190は、画像生成部170が生成した画像を記録する。画像記録部190は、不揮発性メモリに当該画像を記録してよい。当該不揮発性メモリは、画像記録部190が有してよい。また、当該不揮発性メモリは、撮像装置10に対して着脱可能に設けられた外部メモリであってよい。画像記録部190は、撮像装置10の外部に画像を出力してもよい。
【0041】
受光ユニット20は、複数のマイクロレンズ152を有する。マイクロレンズ152は、光軸に垂直な方向に所定の規則に従って配置されている。各マイクロレンズ152には、それぞれ対応する受光素子群161が偏向光学要素として配置されている。受光素子群161は、複数の受光素子162から構成されている。
【0042】
複数の受光素子162は、MOS型撮像素子を形成してよい。複数の受光素子162は、MOS型撮像素子の他、CCD型撮像素子などの固体撮像素子を形成してよい。
【0043】
図2(a)は、マイクロレンズ152と対応する受光素子群161を光軸方向から見た模式図である。同図に示すように、本実施形態では、1つのマイクロレンズ152に対応して、9つの受光素子162−1a、162−1b、162−1c、162−2a、162−2b、162−2c、162−3a、162−3b、162−3cが3行3列に配置された受光素子群161が備えられている。
【0044】
なお、マイクロレンズと対応する受光素子群は、図2(b)に示すように、マイクロレンズ152に対して矩形状の受光素子1162−1、2、3が配置された受光素子群1161が対応していてもよいし、図2(c)に示すように、縦長のマイクロレンズ1152に対して受光素子2162−1、2、3が配置された受光素子群2161が対応していてもよい。
【0045】
図3は、図2(a)の破線A−Aにおける断面図である。同図に示すように、レンズ系100の射出瞳120の瞳領域122aを通過した光は、マイクロレンズ152により、受光素子162−1a(第1の受光素子に相当)に受光される。ここでは図示を省略しているが、瞳領域122aを通過した光は、マイクロレンズ152により、受光素子162−1b、162−1cにも同様に受光される。
【0046】
また、瞳領域122bを通過した光は、マイクロレンズ152により、受光素子162−2a(第2の受光素子に相当)、162−2b、162−2cに受光される。同様に、瞳領域122cを通過した光は、マイクロレンズ152により、受光素子162−3a、162−3b、162−3cに受光される。
【0047】
なお、同図に示す262は、隣接画素との間の干渉を防ぐために設けられた遮光部である。
【0048】
前述のように、瞳領域122aを通過した光はBの波長域の光、瞳領域122bを通過した光はRの波長域の光、瞳領域122cを通過した光はGの波長域の光である。したがって、受光素子162−1a、162−1b、162−1cはBの波長域の光を受光し、受光素子162−2a、162−2b、162−2cはRの波長域の光を受光し、受光素子162−3a、162−3b、162−3cはGの波長域の光を受光する。
【0049】
このように、マイクロレンズがレンズ系100の瞳と複数の受光素子162との結像関係を結ぶことで、各々の受光素子162が受光する光は、レンズ系100の射出瞳120における予め定められた瞳領域122を通過したものに制限される。
【0050】
受光素子群161の各受光素子162は、受光量に応じた強度の撮像信号を、画像生成部170に出力する。画像生成部170は、複数の受光素子162の撮像信号から、被写体の画像を生成する。具体的には、画像生成部170は、受光素子群161から供給された撮像信号から、異なる色の画像を示す画像信号を生成する。
【0051】
本例では、画像生成部170は、瞳領域122aを通過した光を受光する受光素子162−1a、162−1b、162−1cの撮像信号から、Bの波長域の画像(B画像)を生成する。また瞳領域122bを通過した光を受光する受光素子162−2a、162−2b、162−2cの撮像信号から、Rの波長域の画像(R画像)を生成する。同様に、瞳領域122aを通過した光を受光する受光素子162−3a、162−3b、162−3cの撮像信号から、Gの波長域の画像(G画像)を生成する。
【0052】
さらに画像生成部170は、B画像、R画像、G画像から、カラー画像を生成してもよい。
【0053】
本実施形態では、マイクロレンズが射出瞳の3つの領域を通過した光を、縦方向に3つの受光素子に入射させる例を示している。マイクロレンズが指向する射出瞳の3つの領域は、撮像光学系の透過波長がそれぞれ異なる各領域に対応する。このため、3つの異なる色の画像を、同時に、独立に、並列に得ることができる。
【0054】
ここでは、色分離フィルタ部100bとしてRGBの3色の透過波長領域を持つフィルタを例に説明したが、色の配置や種類、数は適宜変更することが可能である。例えば、色分離フィルタとしてRGBの他に、W(白)の透過波長領域を有する4色のフィルタを適用してもよい。この場合、色分離フィルタの4色の配置に対応させて、4つの波長域の光をそれぞれ受光する受光素子を配置すればよい。これにより、射出瞳の4つの領域を通過した光を、それぞれ4つの受光素子に入射させることができる。また、色分離フィルタは、連続的に透過波長が変化するように構成されていてもよい。
【0055】
〔第2の実施形態〕
図4は、第2の実施形態に係る受光ユニットの一例を模式的に示す図である。本実施形態の受光ユニット20は、1つのマイクロレンズに対応して1つの受光素子が備えられている。図4の例では、マイクロレンズ952aに対応して受光素子162a、マイクロレンズ952bに対応して受光素子162b、マイクロレンズ952cに対応して受光素子162c、マイクロレンズ952dに対応して受光素子162dがそれぞれ配置されている。
【0056】
各マイクロレンズ952には、射出瞳120の略全面を通過した光が入射する。マイクロレンズ952は、射出瞳120の一部領域を通過した光を各受光素子162に受光させる大きさの屈折力を持つ。したがって、受光素子162が受光することができる光束の大きさは、射出瞳120の一部範囲を通過するものに制限される。
【0057】
本実施形態における受光ユニット20は、マイクロレンズ952の光軸が、レンズ系100の光軸に垂直な面内において、受光素子162の中心位置に対し偏倚して設けられる。ここで、受光素子162の中心位置とは、受光素子162が受光し光電変換に利用できる光が通過する領域の中心位置とする。受光素子162の中心位置とは、受光素子162の近傍に位置する遮光部262に形成された受光開口の中心であってよい。
【0058】
マイクロレンズ952は、予め定められた瞳領域122を通過した光を対応する受光素子162に受光させるべく、それぞれの偏倚量が設計されている。マイクロレンズ952の屈折力および偏倚により、受光素子162が受光することができる光束は、射出瞳120の一部領域を通過したものに制限される。
【0059】
本実施形態では、マイクロレンズ952aは、受光素子162aが受光開口を通じて受光できる光を、瞳領域122aを通過したものに制限する。同様に、マイクロレンズ952bおよびcは、対応する受光素子162aおよびcが受光開口を通じて受光できる光を、それぞれ瞳領域122bおよびcを通過したものに制限する。マイクロレンズ952dは、マイクロレンズ952aと同様、受光素子162dが受光開口を通じて受光できる光を、瞳領域122aを通過したものに制限する。
【0060】
したがって、受光素子162a、162dはBの波長域の光を、受光素子162bはRの波長域の光を、受光素子162cはGの波長域の光を受光する。
【0061】
このように、複数のマイクロレンズ952は、それぞれ予め定められた瞳領域122を通過した被写体光を対応する受光素子162に受光させるべく、光軸を受光素子162の受光開口に対して偏倚して設けられる。その結果、各受光素子162は、それぞれ異なる透過波長域の光を受光する。画像生成部170は、各受光素子162の撮像信号から、B画像、R画像、G画像を得ることができる。
【0062】
〔第3の実施形態〕
図5は、第3の実施形態に係る受光ユニットの一例を模式的に示す図である。本実施形態の受光ユニット20は、第2の実施形態と同様に、1つのマイクロレンズに対応して1つの受光素子が備えられている。図5の例では、マイクロレンズ1052aに対応して受光素子162a、マイクロレンズ1052bに対応して受光素子162b、マイクロレンズ1052cに対応して受光素子162c、マイクロレンズ1052dに対応して受光素子162dがそれぞれ配置されている。
【0063】
さらに受光ユニット20は、遮光部1060および遮光部1070を備えている。遮光部1060および遮光部1070には、それぞれ開口1062および開口1072が形成されている。マイクロレンズ1052により受光素子162に向けて集光される光のうち、開口1062および開口1072を通過した一部の光が、遮光部262に形成された受光開口を通じて受光素子162に入射する。
【0064】
開口1062および開口1072は、レンズ系100の光軸に垂直な面内において互いに偏倚して設けられる。開口1062および開口1072は、予め定められた瞳領域122を通過した光を対応する受光素子162に受光させるべく、それぞれの位置が設計されている。開口1062および開口1072の偏倚により、受光素子162が受光することができる光束は、射出瞳120の一部領域を通過したものに制限される。
【0065】
本実施形態では、開口1062および開口1072は、受光素子162aが受光開口を通じて受光できる光を、瞳領域122aを通過したものに制限する。その結果、受光素子162aはBの波長域の光を受光する。
【0066】
受光素子162b〜dに対応する開口も同様であるので、説明を省略する。このように、遮光部1060および遮光部1070は、対応する受光素子162に対し予め定められた瞳領域122への指向性を持つ開口を有する。これにより、画像生成部170は、各受光素子162の撮像信号から、B画像、R画像、G画像を得ることができる。
【0067】
〔第4の実施形態〕
遮光部1060および遮光部1070ではなく、遮光部262が、対応する受光素子162に対し予め定められた瞳領域122への指向性を持つ開口を有していてもよい。
【0068】
図6は、第4の実施形態に係る受光ユニットの一例を模式的に示す図である。本実施形態の受光ユニット20は、遮光部262の開口1264を偏向光学要素として有する。
【0069】
遮光部262の開口1264は、レンズ系100の光軸に垂直な面内において受光素子162の中心位置に対し偏倚して設けられている。ここでは、受光素子162の中心位置とは、受光素子162が受光し光電変換に利用できる光が通過する領域の中心位置とする。
【0070】
開口1264は、予め定められた瞳領域122を通過した光を対応する受光素子162に受光させるべく、それぞれの偏倚量が設計されている。開口1264の偏倚により、受光素子162が受光することができる光束は、射出瞳120の一部領域を通過したものに制限される。
【0071】
ここでは、開口1264aは、受光素子162aが受光できる光を瞳領域122aを通過したものに制限する。その結果、受光素子162aはBの波長域の光を受光する。
【0072】
同様に、開口1264bおよびcは、対応する受光素子162bおよびcが受光できる光を、それぞれ瞳領域122bおよびcを通過したものに制限する。その結果、受光素子162bおよびcは、それぞれRの波長域、Gの波長域の光を受光する。さらに開口1264dは、開口1264aと同様、受光素子162dが受光できる光を、瞳領域122aを通過したものに制限する。
【0073】
このように、遮光部262の複数の開口1264は、それぞれ予め定められた瞳領域122を通過した被写体光を対応する受光素子162に受光させるべく、受光素子162の中心位置に対し偏倚して設けられる。これにより、画像生成部170は、各受光素子162の撮像信号から、B画像、R画像、G画像を得ることができる。
【0074】
〔第5の実施形態〕
図7(a)は、図1に示す色分離フィルタ部100bを光軸方向から見た模式図である。同図に示すように、色分離フィルタ部100bは、Gフィルタ100b−G、Rフィルタ100b−R、Bフィルタ100b−Bが縦方向に分割されて配置されている。
【0075】
図7(b)は、本実施形態に係る色分離フィルタ102bを光軸方向から見た模式図である。色分離フィルタ102bは、レンズ100aの中心に対応する点からの距離により区分された円形および円環形状のフィルタからなる。本実施形態では、中心に円形のBフィルタ102b−B、Bフィルタの外側に円環形状のRフィルタ102b−R、さらにRフィルタの外側に円環形状のGフィルタ102b−Gが配置されている。色分離フィルタ部102bが、レンズ効果を併せ持つ態様も可能である。
【0076】
このように各色フィルタを配置した場合であっても、複数の受光素子162によって色を分離して受光することができる。
【0077】
例えば図4に関連して説明したマイクロレンズを偏倚させる場合であれば、マイクロレンズの偏倚の方向と量を色分離フィルタ102bに対応させて調整すればよい。また図5、図6に関連して説明した開口を偏倚させる場合であれば、開口の偏倚の方向と量を色分離フィルタ102bに対応させて調整すればよい。
【0078】
本実施形態では、円形状及び円環形状の遮光部を用いて、色を分離して受光する。
【0079】
図8は、本実施形態に係る撮像装置10のブロック構成の一例を模式的に示す。同図に示すように、レンズ系100は、1以上のレンズ100aと、図7(b)に示した色分離フィルタ102bを備える。
【0080】
ここで、レンズ100aの射出瞳220の円環形状の瞳領域222aにはGフィルタ102b−Gが、瞳領域222aの内側の円環形状の瞳領域222bにはRフィルタ102b−Rが、瞳領域222bの中央の円形状の瞳領域222cにはBフィルタ102b−Bが、それぞれ対応して配置されている。したがって、レンズ系100を通過した被写体光のうち、レンズ系100の射出瞳220の瞳領域222aを通過した光はGの波長域、瞳領域222bを通過した光はRの波長域、瞳領域122cを通過した光はBの波長域、をそれぞれ有する光となっている。
【0081】
この各色の光を分離して受光するために、本実施形態では、遮光部262の各受光素子上に設けられた遮光マスクの形状が円形状又は円環形状となっており、これにより受光素子上の開口形状が円形状又は円環形状となっている。
【0082】
図9(a)〜(c)は、それぞれ各受光素子上に形成される遮光マスク2262−1、遮光マスク2262−2、及び遮光マスク2262−3の形状を示す斜視図である。遮光マスク2262−1の開口部は、Bフィルタ102b−Bと相似形状となっており、受光素子162の中心部のみに受光させる形状となっている。また遮光マスク2262−2の開口部は、Rフィルタ102b−Rと相似形状となっており、遮光マスク2262−1の開口部の周辺部分に相当する円環形状部のみに受光させる形状となっている。さらに遮光マスク2262−3の開口部は、Gフィルタ102b−Gと相似形状となっており、遮光マスク2262−2の開口部の周辺部分に相当する円環形状部のみに受光させる形状となっている。
【0083】
図10は、レンズ系100、各マイクロレンズ1052a〜1052c、各遮光マスク2262−1〜2262−3、及び各受光素子162a〜162cを模式的に示す俯瞰図である。また図11は、受光ユニットの一例を模式的に示す断面図である。
【0084】
本実施形態の受光ユニット20は、これまでと同様に1つのマイクロレンズに対応して1つの受光素子が備えられている。図11の例では、マイクロレンズ1052aに対応して受光素子162a、マイクロレンズ1052bに対応して受光素子162b、マイクロレンズ1052cに対応して受光素子162c、マイクロレンズ1052dに対応して受光素子162dがそれぞれ配置されている。なお、各マイクロレンズ1052の中心位置と各受光素子162の中心位置とは、一致するように配置されている。
【0085】
また、受光素子162aの受光面上には遮光部2262aが、受光素子162bの受光面上には遮光部2262bが、受光素子162cの受光面上には遮光部2262cが、対応して形成されている。ここで、遮光部2262aは遮光マスク2262−1の形状、遮光部2262bは遮光マスク2262−2の形状、遮光部2262cは遮光マスク2262−3の形状を有する遮光部となっている。
【0086】
さらに受光素子162dの受光面上には、遮光部2262dが形成されている。この遮光部2262dは、遮光部2262aと同様に遮光マスク2262−1の形状を有している。図では省略されているが、遮光マスク2262−1〜2262−3は、各受光素子162の受光面上に所定の規則に従って繰り返して配置される。
【0087】
各マイクロレンズ1052には、射出瞳220の略全面を通過した光が入射する。ここで、マイクロレンズ1052aを通過した光は、遮光マスク2262−1の形状を有する遮光部2262aにより瞳領域222cを通過した光のみに制限され、瞳領域222cを通過した光のみが受光素子162aに受光される。したがって、受光素子162aには、Bフィルタ102b−Bを通過したBの波長域を有する光のみが受光される。
【0088】
同様に、遮光マスク2262−2の形状の遮光部2262bにより、マイクロレンズ1052bを通過した光のうち、瞳領域222bを通過した光のみが受光素子162bに受光される。また遮光マスク2262−3の形状の遮光部2262cにより、マイクロレンズ1052cを通過した光のうち、瞳領域222aを通過した光のみが受光素子162cに受光される。したがって、受光素子162bには、Rフィルタ102b−Rを通過したRの波長域を有する光のみが受光され、受光素子162cには、Gフィルタ102b−Gを通過したGの波長域を有する光のみが受光される。
【0089】
このように、複数の遮光部2262は、それぞれ予め定められた瞳領域222を通過した被写体光を対応する受光素子162に受光させるべく、各色フィルタと相似形状に設けられる。これにより、画像生成部170は、各受光素子162の撮像信号から、B画像、R画像、G画像を得ることができる。
【0090】
〔第6の実施形態〕
本実施形態は、図7(b)に示す円環状の色分離フィルタ102bに対し、それぞれ焦点距離の異なるマイクロレンズを用いて、色を分離して受光する。本実施形態に係る撮像装置10のブロック構成は、図8と同様である。したがって、レンズ系100を通過した被写体光のうち、レンズ系100の射出瞳220の瞳領域222aを通過した光はGの波長域、瞳領域222bを通過した光はRの波長域、瞳領域122cを通過した光はBの波長域、をそれぞれ有する光となる。
【0091】
図12は、本実施形態に係る受光ユニットの一例を模式的に示す断面図である。
【0092】
本実施形態の受光ユニット20は、これまでと同様に1つのマイクロレンズに対応して1つの受光素子が備えられている。図12の例では、マイクロレンズ1252aに対応して受光素子162a、マイクロレンズ1252bに対応して受光素子162b、マイクロレンズ1252cに対応して受光素子162c、マイクロレンズ1252dに対応して受光素子162dがそれぞれ配置されている。なお、各マイクロレンズ1252の中心位置と各受光素子162の中心位置とは、一致するように配置されている。
【0093】
また、各受光素子162の受光面上には、遮光部2362が配置されている。遮光部2362は、図9(b)に示す遮光マスク2262−2と同様に、円形状の遮光マスク及び円環形状の遮光マスクからなり、円環形状の開口部を有している。この開口部の幅は、適切に色を分離できるように、適宜決定することができる。
【0094】
ここで、各マイクロレンズ1252は、それぞれ異なる焦点距離を有している。図12の例では、マイクロレンズ1252aの焦点距離は第1の焦点距離f1であり、受光素子162aの受光面上に焦点位置を有している。また、マイクロレンズ1252bの焦点距離は、第1の焦点距離f1よりも短い第2の焦点距離f2であり、受光素子162bの受光面よりも手前(マイクロレンズ側)に焦点位置を有する。また、マイクロレンズ1252cの焦点距離は、第2の焦点距離f2よりも短い第3の焦点距離f3あり、マイクロレンズ1252bの焦点位置よりもさらに手前(マイクロレンズ側)に焦点位置を有する。
【0095】
またマイクロレンズ1252dは、マイクロレンズ1252aと同様に構成されており、マイクロレンズ1252dの焦点距離は第1の焦点距離f1となっている。図では省略されているが、第1の焦点距離f1、第2の焦点距離f2、及び第3の焦点距離f3を有する各マイクロレンズ1252は、所定の規則に従って繰り返して配置される。
【0096】
次に、各マイクロレンズ1252に入射した光と対応する受光素子162が受光する光の関係について説明する。図13は、第1の焦点距離f1を有するマイクロレンズ1252aに入射した光と受光素子162aが受光する光の関係を示す図である。
【0097】
マイクロレンズ1252aには、射出瞳220の略全面を通過した光が入射する。ここで、射出瞳220のうち瞳領域222cを通過したBの波長域を有する光は、図13(a)に示すように、遮光部2362の中央の円形状の遮光マスクにより制限され、受光素子162aには入射しない。同様に、射出瞳220のうち瞳領域222bを通過したRの波長域を有する光も、図13(b)に示すように、遮光部2362の中央の円形状の遮光マスクにより制限され、受光素子162aには入射しない。
【0098】
これに対し、射出瞳220のうち瞳領域222aを通過したGの波長域を有する光は、図13(c)に示すように、遮光部2362の開口部から受光素子162aに入射する。
【0099】
このように、マイクロレンズ1252aを通過した光は、マイクロレンズ1252a及び遮光部2362により瞳領域222aを通過した光のみに制限され、瞳領域222aを通過した光のみが受光素子162aに受光される。したがって、受光素子162aには、Gフィルタ102b−Gを通過したGの波長域を有する光のみが受光される。
【0100】
図14は、第2の焦点距離f2を有するマイクロレンズ1252bに入射した光と受光素子162bが受光する光の関係を示す図である。
【0101】
マイクロレンズ1252bには、射出瞳220の略全面を通過した光が入射する。ここで、射出瞳220のうち瞳領域222cを通過したBの波長域を有する光は、図14(a)に示すように、遮光部2362の中央の円形状の遮光マスクにより制限され、受光素子162bには入射しない。
【0102】
これに対し、射出瞳220のうち瞳領域222bを通過したRの波長域を有する光は、図14(b)に示すように、遮光部2362の開口部から受光素子162bに入射する。
【0103】
また、射出瞳220のうち瞳領域222aを通過したGの波長域を有する光は、図14(c)に示すように、遮光部2362の円環形状の遮光マスクにより制限され、受光素子162bには入射しない。
【0104】
このように、マイクロレンズ1252bを通過した光は、マイクロレンズ1252b及び遮光部2362により瞳領域222bを通過した光のみに制限され、瞳領域222bを通過した光のみが受光素子162bに受光される。したがって、受光素子162bには、Rフィルタ102b−Rを通過したRの波長域を有する光のみが受光される。
【0105】
図15は、第3の焦点距離f3を有するマイクロレンズ1252cに入射した光と受光素子162cが受光する光の関係を示す図である。
【0106】
マイクロレンズ1252cには、射出瞳220の略全面を通過した光が入射する。ここで、射出瞳220のうち瞳領域222cを通過したBの波長域を有する光は、図15(a)に示すように、遮光部2362の開口部から受光素子162cに入射する。
【0107】
これに対し、射出瞳220のうち瞳領域222bを通過したRの波長域を有する光は、図15(b)に示すように、遮光部2362の円環形状の遮光マスクにより制限され、受光素子162cには入射しない。同様に、射出瞳220のうち瞳領域222aを通過したGの波長域を有する光も、図15(c)に示すように、遮光部2362の円環形状の遮光マスクにより制限され、受光素子162cには入射しない。
【0108】
このように、マイクロレンズ1252cを通過した光は、マイクロレンズ1252c及び遮光部2362により瞳領域222cを通過した光のみに制限され、瞳領域222cを通過した光のみが受光素子162cに受光される。したがって、受光素子162cには、Bフィルタ102b−Bを通過したBの波長域を有する光のみが受光される。
【0109】
以上のように、それぞれ予め定められた瞳領域222を通過した被写体光を対応する受光素子162に受光させるべく、各マイクロレンズ1252の焦点距離が設定され、遮光部2362が配置される。これにより、画像生成部170は、各受光素子162の撮像信号から、B画像、R画像、G画像を得ることができる。
【0110】
〔第7の実施形態〕
ここでは、1つのマイクロレンズに対応して複数の受光素子を備える場合について説明する。本実施形態は、図7(b)に示す円環状の色分離フィルタ102bを用いる。
【0111】
図16(a)は、本実施形態に係るマイクロレンズ152と対応する受光素子群1161を光軸方向から見た模式図である。同図に示すように、本実施形態では、1つのマイクロレンズ152に対応して、25個の受光素子1162−1a〜1162−1e、1162−2a〜1162−2e、1162−3a〜1162−3e、1162−4a〜1162−4e、1162−5a〜1162−5eが5行5列に配置された受光素子群1161が備えられている。また図16(b)は、図16(a)の破線B−Bにおける断面図である。
【0112】
このような色分離フィルタ102bと受光素子群1161とからなる撮像装置10の作用について説明する。
【0113】
レンズ系100の射出瞳120のうち、色分離フィルタ102bのB領域に対応する領域を通過した光は、色分離フィルタ102bのB領域を通過し、マイクロレンズ152に入射する。この光は、マイクロレンズ152により、受光素子群1161のうち中央に配置された受光素子1162−3cに受光される(図17(a))。すなわち、この受光素子は、Bの波長域の光を受光する。
【0114】
また、レンズ系100の射出瞳120のうち、色分離フィルタ102bのR領域に対応する領域を通過した光は、色分離フィルタ102bのR領域を通過し、マイクロレンズ152に入射する。この光は、マイクロレンズ152により、受光素子群1161のうち中央の受光素子1162−3cの周辺に配置された受光素子1162−2b、2c、2d、3b、3d、4b、4c、4dに受光される(図17(b))。すなわち、これらの受光素子は、Rの波長域の光を受光する。
【0115】
さらに、レンズ系100の射出瞳120のうち、色分離フィルタ102bのG領域に対応する領域を通過した光は、色分離フィルタ102bのG領域を通過し、マイクロレンズ152に入射する。この光は、マイクロレンズ152により、受光素子群1161のうち外周に配置された受光素子1162−1a〜1e、2a、2e、3a、3e、4a、4e、5a〜5eに受光される(図17(c))。すなわち、これらの受光素子は、Gの波長域の光を受光する。
【0116】
このように、色分離フィルタの各色を円環状に配置しても、各色の波長域の光を分離して受光することができる。画像生成部170は、これら複数の受光素子1162の撮像信号から、被写体の画像を生成すればよい。
【0117】
本実施形態では、複数の受光素子1162の面積が均一であり、Bの波長域の光を受光する受光素子が1画素、Rの波長域の光を受光する受光素子が8画素、Gの波長域の光を受光する受光素子が16画素となっている。したがって、各色の受光比率はB:R:G=1:8:16である。このように、特定の波長域(ここではG)に光量を多く与えるように、色分離フィルタ102bの面積が設定されている。この受光比率は、色分離フィルタ102の各色の領域の面積および各受光素子1162の面積を変更することで、調整することが可能である。
【0118】
ここで、結像原理によって、レンズの領域毎にMTF特性が異なる点について説明する。
【0119】
図18(a)に示すように、レンズ系100の光軸付近の円形領域を100a−1、領域100a−1の周辺の円環形状領域を100a−2、および領域100a−2の周辺の円環形状領域(レンズ100aの外周領域)を100a−3、とすると、結像原理による各領域のMTF特性は図18(b)のように表される。
【0120】
図18(b)に示すように、領域100a−1、100a−2、100a−3の順にカットオフ周波数が高くなり、空間周波数に対するMTFが高くなる。このカットオフ周波数は、瞳直径により異なってくる。このように、結像原理によりレンズの各領域のMTF特性(高周波強調特性)がそれぞれ異なっている。
【0121】
したがって、本実施形態に係る色分離フィルタ102bおよび受光素子群1161によれば、各受光素子1162が受光する光は、色が異なるとともに、MTF特性が異なっている。すなわち、Bの波長域の光、Rの波長域の光、Gの波長域の光の順に高周波特性が高い。ここでは、色分離フィルタ部102bの最外周にG領域を設けているので、Gの波長域の光の高周波特性を最も高めることができる。
【0122】
なお、ここでは結像原理的にMTF特性が異なる点について説明したが、レンズ設計によって、意図的にレンズの透過領域毎のMTF特性を異ならせてもよい。例えば、意図的にレンズ周辺のMTFを落とした設計をすることが考えられる。
【0123】
この場合、レンズの領域毎のMTF特性と、色分離フィルタ部の領域毎の透過特性によって、様々な組み合わせの画像を生成することができる。また、レンズの領域毎に色収差を最適化してもよい。
【0124】
〔第8の実施形態〕
図1に示す撮像装置10において、色分離フィルタ部100bを、レンズ100aの光路上から退避可能に構成してもよい。またこのとき、異なるフィルタをレンズ100aの光路上に挿入可能に構成してもよい。
【0125】
図19は、本実施形態に係るターレット切り替え式フィルタ装置3000の一部断面を含む側面図である。ターレット切り替え式フィルタ装置3000は、主としてターレット3002と、モータ3100と、モータ3100を制御する制御部(不図示)とから構成されている。
【0126】
また図20は、ターレット切り替え式フィルタ装置3000の正面図である。本図に示すように、ターレット3002は円板形状であり、ターレット3002の同一円周上には、それぞれ特性の異なる光学フィルタ部3010、3012、3014、3016が90度の等間隔で配設されている。
【0127】
ターレット3002の回転軸3006は、軸受け3008により回転自在に軸支されている。またターレット3002の外周面には、モータ3100の出力軸に固定されたギア3102と螺合するギア3004が設けられている。これにより、モータ3100を回転駆動させると、ターレット3002を回転させることができる。
【0128】
このターレット切り替え式フィルタ装置3000を図1に示す撮像装置10に適用することで、レンズ100aの光路上のフィルタ部を交換可能となる。
【0129】
例えば、光学フィルタ部3010に色分離フィルタ部100bを適用することができる。また光学フィルタ部3012には赤外線カットフィルタ、光学フィルタ部3014には色分離フィルタ部100bと赤外線カットフィルタの二層構造のフィルタ、光学フィルタ部3016には素通しのダミーガラス、等のように適用し、モータ3100の回転駆動によりこれらのフィルタ部を適宜交換することができる。
【0130】
〔第9の実施形態〕
図21は、本実施形態に係る撮像装置1010のブロック構成の一例を模式的に示す図である。レンズ系100、受光ユニット20、画像生成部170、制御部180および画像記録部190を備える。レンズ系100、画像生成部170、画像記録部190については、第1の実施形態と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0131】
本実施形態の受光ユニット20は、偏向部140、マイクロレンズ部150、受光部160から構成される。
【0132】
偏向部140は、偏向光学要素の一例としての複数のプリズム要素142a〜cを含む。マイクロレンズ部150は、複数のマイクロレンズ152a〜cを含む。受光部160は、複数の受光素子162a〜cを有する。本図では、説明を分かり易くするために、3個の受光素子162a〜c、3個のマイクロレンズ152a〜c、3個のプリズム要素142a〜cを図示しているが、これらの光学要素をそれぞれ3個しか有さないことを示しているわけではない。被写体を撮像すべく任意の数を各光学要素が有することはいうまでもない。
【0133】
本実施形態の受光ユニット20は、1つのマイクロレンズに対応して1つの受光素子が備えられている。図21の例では、マイクロレンズ152aに対応して受光素子162a、マイクロレンズ152bに対応して受光素子162b、マイクロレンズ152cに対応して受光素子162cがそれぞれ配置されている。
【0134】
マイクロレンズ152aは、レンズ100aにより結像された被写体光を再結像して、受光素子162aに受光させる。同様に、マイクロレンズ152b、cは、レンズ100aにより結像された被写体光をそれぞれ再結像して、それぞれ受光素子162b、cに受光させる。マイクロレンズ152は、受光素子162のそれぞれへの光束が通過する射出瞳120の大きさを制限する。例えば、マイクロレンズ152は、射出瞳120の一部領域を通過した光を各受光素子162に受光させる大きさの屈折力を持つ。例えばマイクロレンズ152は、射出瞳120の1/4以下の面積の領域を通過した光を各受光素子162に受光させる屈折力を有することができる。
【0135】
また本実施形態の受光ユニット20は、1つのマイクロレンズに対応して1つのプリズム要素が備えられている。図21の例では、プリズム要素142aに対応してマイクロレンズ152a、プリズム要素142bに対応してマイクロレンズ152b、プリズム要素142cに対応してマイクロレンズ152cがそれぞれ配置されている。
【0136】
このように、プリズム要素142、マイクロレンズ152、および、受光素子162は、互いに一対一に対応して設けられる。例えば、プリズム要素142aは、マイクロレンズ152aおよび受光素子162aに対応して設けられる。プリズム要素142、マイクロレンズ152および受光素子162のうちの互いに対応する光学要素の組は、符号の添え字a〜cで区別される。
【0137】
プリズム要素142は、予め定められた瞳領域122を通過した被写体光を、対応する受光素子162にそれぞれ受光させる光学要素の一例である。具体的には、プリズム要素142aは、レンズ系100の射出瞳120における瞳領域122aを通過した被写体光130aを、マイクロレンズ152aを介して受光素子162aに受光させる。また、プリズム要素142bは、レンズ系100の射出瞳120における瞳領域122bを通過した被写体光130bを、マイクロレンズ152bを介して受光素子162bに受光させる。一方、プリズム要素142cは、レンズ系100の射出瞳120における瞳領域122cを通過した被写体光130cを、マイクロレンズ152cを介して受光素子162cに受光させる。
【0138】
色分離フィルタ部100bにより、瞳領域122aを通過した光はBの波長域、瞳領域122bを通過した光はRの波長域を、瞳領域122cを通過した光はGの波長域を有している。したがって、受光素子162aはBの波長域の光を受光し、受光素子162bはRの波長域の光を受光し、受光素子162cはGの波長域の光を受光する。
【0139】
このように、プリズム要素142は、レンズ110の射出瞳120における予め定められた瞳領域122を通過した被写体光を、複数の受光素子162のうちの対応する受光素子162にそれぞれ受光させる。
【0140】
なお、制御部180は、偏向部140が被写体光を偏向させる向きを制御する。例えば、制御部180は、プリズム要素142のプリズム角を制御する。偏向部140による偏向の向きを制御部180が制御することより、例えば、各受光素子にいずれの瞳領域を通過する光を受光させるかを制御することができる。制御部180による具体的な制御内容については後述する。
【0141】
図22は、偏向部140、マイクロレンズ部150および受光部160の構成の一例を模式的に示す図である。本実施形態において、偏向部140が有する複数のプリズム要素142は、屈折率が互いに異なる液体の界面で形成される液体プリズム要素である。プリズム要素142のプリズム角は、液体界面の角度で定まる。
【0142】
偏向部140は、第1液体および第2液体を保持するハウジング200、仕切板242、駆動部290を有する。仕切板242は、ハウジング200の内部を、レンズ系100の光軸に沿って第1液体が充填される第1液体領域210と第2液体が充填される第2液体領域220とに分割する。第1液体と第2液体は、屈折率が互いに異なり、かつ、水と油のように接触状態において互いに混合しない性質を持つ。第1液体および第2液体の組み合わせとして、PDMS(Poly−Dimethyl−Siloxane)および純水を例示することができる。ここでは第2液体の屈折率よりも第1液体の屈折率の方が大きいとする。また、第1液体および第2液体のそれぞれの密度は実質的に等しいことが好ましい。
【0143】
仕切板242には、複数のプリズム要素142a〜dが形成される位置に対応して複数の貫通孔250a〜dが形成される。図21に例示したプリズム要素142a〜cは、それぞれ貫通孔250a〜cが形成された位置に形成される。ハウジング200の物体側の面または像側の面から見た貫通孔250の形状は、正方形、長方形、台形、円または楕円等であってよく、その他の種々の形状であってよい。
【0144】
ハウジング200の物体側の面および像側の面には、ガラスなどの透光性の材料で形成された透光部が形成される。透光部は、貫通孔250、マイクロレンズ152および受光素子162に対応する位置に形成され、被写体光は物体側の面に形成された透光部、貫通孔250、像側の面に形成された透光部を通過して、対応するマイクロレンズ152に入射する。なお、ハウジング200の物体側の面および像側の全面が、ガラスなどの透明な材料から形成されてもよい。
【0145】
仕切板242は、仕切部240−1〜5を含む。貫通孔250は、対向する仕切部240の間の空間で形成される。仕切部240は第1液体と第2液体とを接触させない。第1液体および第2液体は、貫通孔250内で互いに接触して、プリズム要素142となる界面を形成する。
【0146】
貫通孔250aは、側面部252a(第1側面部に相当)および側面部254a(第2側面部に相当)を持つ。側面部252aおよび側面部254aは、それぞれ仕切部240−1および仕切部240−2の対向する側面部である。側面部252aは、レンズ系100の光軸方向に沿って第1の厚さを持ち、側面部254aは、レンズ100aの光軸方向に沿って第2の厚さを持つ。つまり、貫通孔250aは、厚さの異なる仕切板242の側面部252aおよび側面部254aを含む側面に包囲されて形成される。例えば、貫通孔250aが四角形の開口を持つ場合、貫通孔250aは、側面部252aと、側面部254aと、側面部252aおよび側面部254aを結合する2の側面部とにより包囲されて形成される。ここでは第2の厚さが第1の厚さより大きいとする。
【0147】
貫通孔250bは、側面部252bおよび側面部254bを持つ。側面部252bおよび側面部254bは、それぞれ仕切部240−2および仕切部240−3の対向する側面部である。側面部252bは、レンズ系100の光軸方向に沿って第2の厚さを持ち、側面部254bは、レンズ系100の光軸方向に沿って第3の厚さを持つ。第3の厚さは、第1の厚さより大きく第2の厚さより小さいとする。貫通孔250aとは異なり、貫通孔250bは、複数の貫通孔250が並ぶ方向に、第1の厚さの側面部252b、第3の厚さの側面部254bを順に有する。その他の点は、貫通孔250aと同様であるので説明を省略する。
【0148】
貫通孔250cは、側面部252cおよび側面部254cを持つ。側面部252cおよび側面部254cは、それぞれ仕切部240−3および仕切部240−4の対向する側面部である。貫通孔250cは、第3の厚さを有する側面部252cと、第4の厚さを有する側面部254cとにより形成される。第4の厚さは、第1の厚さより小さいとする。ここで、第2の厚さと第3の厚さとの差は、第3の厚さと第4の厚さとの差とは異なるとする。
【0149】
貫通孔250dは、貫通孔250aと同様の形状を持つ。貫通孔250dは、第1の厚さを有する側面部252dと、第2の厚さを有する側面部254dとにより形成される。側面部252dおよび側面部254dは、それぞれ仕切部240−4および仕切部240−5によって提供される。仕切部240−4は、一方の側に第4の厚さの側面部254cを持ち、他方の側に第1の厚さの側面部252dを持つ。本実施形態では貫通孔250dまでしか例示していないが、仕切板242には、貫通孔250a、貫通孔250b、貫通孔250cがこの順で等間隔に繰り返して一列に形成される。
【0150】
第1液体領域210に充填された第1液体の圧力を特定の圧力にすると、当該圧力に応じて、液体の圧力差と表面張力とが釣り合うように平面状の界面が形成される。各貫通孔250内において第2液体が充填された状態で釣り合った状態となるよう第1液体の圧力を第1圧力にすると、プリズム要素282のように本図の破線で示す液体界面が形成される。具体的には、各貫通孔250において、側面部252の第1液体領域210側の端部と側面部254の第1液体領域210側の端部で液体界面が担持される。仕切板242は第1液体側において略平面状の端面を持つ。すなわち、仕切部240のそれぞれの第1液体側は略同一平面を形成する。当該端面はハウジング200の像側と平行であるので、破線で示す液体界面は、プリズム効果を実質的に有さない。
【0151】
一方、各貫通孔250内において第1液体が充填された状態で釣り合った状態となるよう、第1液体の圧力を第1圧力より高めて第2圧力にすると、液体界面の位置は第2液体側に移動して、プリズム要素281のように本図の実線で示す液体界面が形成される。例えば、各貫通孔250において、側面部252の第2液体領域220側の端部および側面部254の第2液体領域220側の端部に液体界面が担持される。この液体界面の傾きは、各貫通孔250を形成する側面部の厚さに応じた傾きになる。したがって、この状態では、異なる3種類の角度のプリズム角を持つプリズムが順に繰り返し形成されたプリズム列が形成される。
【0152】
マイクロレンズ部150および受光部160の構成について説明する。複数のマイクロレンズ152は、複数の貫通孔250に対応して透明基板上に設けられる。受光部160は、遮光部262および複数の受光素子162を有する。複数の受光素子162は、貫通孔250に対応して設けられる。すなわち、マイクロレンズ152および受光素子162は、複数の貫通孔250に対応してそれぞれ設けられる。
【0153】
遮光部262は、隣接画素との間の干渉を防ぐべく、複数の受光素子162のそれぞれの受光開口を画定する開口264が、複数の受光素子162のそれぞれに対応する位置に形成されている。被写体光は、貫通孔250、マイクロレンズ152を通じて受光素子162に向かう。複数の受光素子162は、対応する開口264を通過した光をそれぞれ受光して、光電変換により撮像信号を形成する電圧信号をそれぞれ生成する。
【0154】
本図の破線で示した液体界面が形成されている状態では、当該液体界面はプリズム効果を有しない。このため、この状態では、受光素子162は、射出瞳120のうちの光軸を中心とする領域を通過した光を受光する。したがって、複数の受光素子162によって形成される画像は、レンズ系100の光軸近傍領域に対応する色分離フィルタ部100bの領域の透過特性に基づく色の画像となる。この場合、1色での撮影となるが、高解像度の画像を得ることができる。
【0155】
また、ターレット切り替え式フィルタ装置3000を用いて、レンズ100aの光路上のフィルタを色分離フィルタ部100b以外の単色のフィルタ等に交換した場合に有効である。
【0156】
本図の実線で示した液体界面が形成されている状態では、貫通孔250a〜cには、異なるプリズム角を持つ液体界面が形成される。したがって、この状態では、受光素子162a〜cが受光する光束の向きは、射出瞳120の互いに異なる瞳領域122に向けられる。ここでは、貫通孔250aに形成される液体界面、貫通孔250bに形成される液体界面および貫通孔250cに形成される液体界面が、それぞれ図21で例示したプリズム要素142a、プリズム要素142bおよびプリズム要素142cを形成する。この状態では、色分離フィルタ部100bの領域毎の透過波長特性に基づく複数の色の画像を得ることができる。
【0157】
このように、プリズム要素142は、屈折率が互いに異なる第1液体と第2液体との間の液体界面でプリズム界面が形成される液体プリズム要素である。制御部180は、複数のプリズム要素142にそれぞれ対応する受光素子162の受光する光束の向きを制御すべく、レンズ系100の光軸に対するプリズム界面の傾きを制御する。具体的には、制御部180は、貫通孔250の側面部252における液体界面の位置および側面部252に対向する側面部254における液体界面の位置を制御することにより、光軸に対するプリズム界面の傾きを制御する。
【0158】
例えば、制御部180は、第1液体領域210に連通する液体領域230内の圧力を制御することにより、第1液体の圧力を制御する。具体的には、ハウジング200は、液体領域230内の第1液体に接する弾性面280を持つ。また、偏向部140は、液体領域230の体積を制御すべく弾性面280を変位させる駆動部290を有する。駆動部290としては、圧電素子を有することができる。圧電素子はピエゾ素子であってよい。制御部180は、圧電素子に印加する電圧を制御して圧電素子の形状を変化させ、それにより弾性面280に当接する先端部を紙面左右方向に変位させる。
【0159】
制御部180は、第1液体と第2液体の界面を貫通孔250の側面部に沿って物体側の方向に移動させる場合には、液体領域230の体積が減少する方向に駆動部290の先端部を変位させる。これにより、第1液体の内圧が高まり、液体界面は物体側の方向に移動する。制御部180は、貫通孔250の側面部に沿って像側方向に液体界面を移動させる場合には、液体領域230の体積が増加する方向に駆動部290の先端部を変位させる。これにより、第1液体の内圧が低下して、液体界面は像側の方向に移動する。
【0160】
本実施形態の偏向部140のように、制御部180が液体領域210の内圧を制御することにより、貫通孔250の側面部252での液体界面の位置および当該側面部252に対向する側面部254での液体界面の位置が制御され、したがって光軸に対する液体界面の傾きが制御される。すなわち、制御部180は、液体領域210の内圧を制御することにより、プリズム要素142の傾きを制御することができる。特に本実施形態の仕切板242のように、制御部180が仕切部240の両側面部で囲まれる領域内に第1液体が充填された状態と、当該領域内に第2液体が充填された状態との間で切り替えることにより、光軸に対する液体界面が異なる傾きに切り替えられる。本実施形態の偏向部140によれば、制御部180は、射出瞳120における光軸を含む瞳領域を通過した被写体光130を受光素子162に受光させる場合に、光軸に対して液体界面を略直交させ、射出瞳120における光軸を含まない瞳領域122を通過した被写体光130を受光素子162に受光させる場合に、光軸に対して液体界面を傾斜させることができる。液体領域210の内圧を制御することにより受光素子162の受光する光束の向きを高速に制御することができるので、多色の撮影と単色の撮影とを高速に切り替えることができる。
【0161】
図23は、光軸に垂直な面で偏向部140を切断した模式断面を示す図である。本図は、図22の仕切板242を切断した模式断面を例示する。被写体光は紙面に向かって進行するとし、参照のために受光素子162の位置を破線で模式的に示した。図示されるように、仕切板242には貫通孔250がマトリクス状に形成される。受光素子162も貫通孔250に対応する位置に設けられる。すなわち、貫通孔250および複数の受光素子162はマトリクス状に配置される。貫通孔250および受光素子162は、行方向350および列方向360に略等間隔で設けられる。
【0162】
具体的には、仕切部240−1、仕切部240−2、仕切部240−3および仕切部240−4は、列方向360に延伸する部材である。これらの行の間は、行方向350に延伸する部材で仕切られる。これにより、貫通孔250a〜dの他に、行方向350に並ぶ貫通孔の列が、複数形成される。例えば、貫通孔250aを先頭とする行、貫通孔250eを先頭とする行、貫通孔250fを先頭とする行に、行方向350に並ぶ貫通孔の列が形成される。
【0163】
図22に関連して説明したように、仕切部240−1は、レンズ系100の光軸方向に沿って第1の厚さの側面部を側部に持つ。また、仕切部240−2は、レンズ系100の光軸方向に沿って第2の厚さの側面部を両側部に持つ。仕切部240−3は、レンズ系100の光軸方向に沿って第3の厚さの側面部を両側部に持つ。仕切部240−4は、レンズ系100の光軸方向に沿って第4の厚さの側面部と第1の厚さの側面部とを側部に持つ。つまり、仕切板242は、対向する側面部の間で厚さの差を呈する仕切部を持つ。また、隣り合う貫通孔250の間で当該厚さの差が異なるよう、2種類以上の仕切部が順次に形成される。これにより、行方向350に互いに異なるプリズム角を提供する貫通孔250が複数の行に順次に配置される。
【0164】
本図では3種類の傾きを持つプリズム角を同時に形成すべく3種類の仕切部を形成する仕切板242を例示した。2種類以上のプリズム角度を同時に形成する場合は、2種類の仕切部が交互に形成されるようにすればよい。つまり、レンズ系100の光軸方向に沿って第1の厚さの側面部を両側部に持つ第1仕切部と、光軸方向に沿って第2の厚さの側面部を両側部に持つ第2仕切部とによって、貫通孔250が形成されればよい。具体的には、貫通孔250は、第1仕切部の側面部と、第1仕切部に隣り合う第2仕切部の側面部とによりそれぞれ形成される。そして、制御部180が、仕切部240の側面部で囲まれる領域内に第1液体が充填された状態に制御することで、光軸に対する液体界面の傾きを列方向360に互いに異ならせることができる。
【0165】
また、貫通孔250a〜dは、液体領域210を介して連通している。液体領域210は複数の領域に区画されていてもよいが、区画されていなくてもよい。液体領域210が区画されている場合、区画された複数の液体領域210に対応してそれぞれ駆動部が設けられ、各駆動部は対応する液体領域210内の第1液体の圧力を制御する。本図の例では、行毎に駆動部290、駆動部291、駆動部292が設けられる。これにより、1の駆動部で第1液体領域の内圧を制御する場合と比較して、速やかにプリズム要素を制御することができる。なお、液体領域210が複数の領域に区画されておらず全貫通孔が液体領域210で連通している場合でも、駆動部を複数設けてもよい。すなわち、第1液体領域210の内圧を、複数の駆動部で制御してもよい。
【0166】
図24は、偏向部140の構成の他の一例を模式的に示す図である。図22に例示した偏向部140は、第1状態で射出瞳120の異なる3つの瞳領域を通過する光束でそれぞれ撮像することができ、第2状態では射出瞳120の1つの瞳領域を通過する光束で撮像することができる。本例の偏向部140は、液体界面の状態として三の状態を有し、それぞれの状態で異なる3つの瞳領域を通過する光束でそれぞれ撮像することができる構成を有する。特に、第1液体側および第2液体側における仕切板242の面形状および貫通孔250を形成する側面部の構成が、図22に例示した仕切板242とは異なる。ここでは、その差異を中心に説明する。
【0167】
本例の貫通孔250aは、仕切部640−1が有する第1の厚さの側面部642aと、仕切部640−2が有する第4の厚さの側面部644aとによって形成される。第4の厚さは、第2の厚さよりも厚い。また、本実施形態の貫通孔250aにおいて、両側面部の第2液体側の端点を結ぶ界面は、図22に例示した貫通孔250aの第2液体側で形成される界面と同じプリズム角を持つ。したがって、当該界面で形成されるプリズム要素は、受光素子162aが受光する光を瞳領域122aを通過したものに制限する。そして、本図の破線で示されるように、本実施形態の貫通孔250aにおいて両側面部の第1液体側の端点を結ぶ界面は、光軸に垂直面から傾斜したプリズム角を持つ。当該プリズム角を持つプリズム要素142aは、受光素子162aが受光する光を、射出瞳120において光軸近傍領域と瞳領域122cと間の瞳領域を通過したものに制限する。
【0168】
本例の貫通孔250bは、仕切部640−2が有する第4の厚さの側面部642bと、仕切部640−3が有する第4の厚さの側面部644bとによって形成される。仕切部640−2と仕切部640−3とは、光軸方向に同位置に位置する。このため、第2液体側の端点および第1液体側の端点の双方で、光軸に垂直な界面が形成される。したがって、貫通孔250bに形成される界面は、受光部160bが受光する光を、射出瞳120の光軸近傍領域を通過したものに制限する。
【0169】
本例の貫通孔250cは、仕切部640−3が有する第4の厚さの側面部642cと、仕切部640−4が有する第1の厚さの側面部644bとによって形成される。本例の貫通孔250cにおいて、両側面部の第2液体側の端点を結ぶ界面は、図22に例示した貫通孔250cの第2液体側で形成される界面と同じプリズム角を持つとする。したがって、当該界面で形成されるプリズム要素は、受光素子162cが受光する光を瞳領域122cを通過したものに制限する。そして、本図の破線で示されるように、本例の貫通孔250cにおいて両側面部の第1液体側の端点を結ぶ界面は、光軸に垂直面から傾斜したプリズム角を持つ。当該プリズム角を持つプリズム要素142cは、受光素子162cが受光する光を、射出瞳120において光軸近傍領域と瞳領域122aと間の瞳領域を通過したものに制限する。
【0170】
貫通孔250dは、仕切部640−3が有する第1の厚さの側面部642dと、仕切部640−5が有する第4の厚さの側面部644dとによって形成される。仕切部640−5は、仕切部640−2と同様の部材とする。このため、貫通孔250dに形成されるプリズム要素は、貫通孔250aに形成されるプリズム要素と同様となるので、説明を省略する。
【0171】
また、本例の仕切板242によれば、プリズム要素680−2のように本図の一点鎖線で示したプリズム要素が形成される。一点鎖線で示したプリズム要素は、プリズム要素680−1のような実線で示したプリズム角よりも傾斜が小さく、プリズム要素680−3のような破線で示したプリズム角よりも傾斜が大きいプリズム角を持つ。本図の一点鎖線で示したプリズム要素を安定して保持する構成については、図25に関連して説明する。
【0172】
制御部180は、液体領域210の内圧を制御することにより、本実施形態例の実線、破線、一点鎖線のいずれかの状態に液体界面の傾きを制御することができる。すなわち、制御部180は、射出瞳120における光軸を含まない瞳領域122を通過した被写体光130を受光素子162に受光させる場合に、光軸に対して液体界面を第1の傾きに傾斜させ、射出瞳120における光軸を含まない他の瞳領域122を通過した被写体光130を受光素子162に受光させる場合に、光軸に対して液体界面を第2の傾きに傾斜させる。
【0173】
本例の偏向部140によれば、本図の実線、一点鎖線および破線で示したように、液体界面は三の状態に制御することができる。このため、異なる組み合わせのプリズム角で撮像することができる。すなわち、各プリズム角に対応する瞳領域の透過波長特性に基づく色の画像を取得することができる。
【0174】
図25は、仕切板242の変形例を示す図である。図24に例示した仕切板242の、特に図24のB部を取り上げて、仕切板242の変形例を説明する。
【0175】
側面部642aには、貫通孔250aの内側に向かう突起部700および突起部701が形成される。側面部644aには、貫通孔250aの内側に向かう突起部702、突起部703および突起部704が形成される。いずれの突起部も、液体界面がトラップされる程度の厚みを有する。突起部703は、光軸方向において、突起部700よりも液体領域220側に位置する。
【0176】
第1状態では、液体領域220側の端部の突起部700の先端と、液体領域220側の端部の突起部702の先端との間に界面が形成されて、プリズム要素680−1となる。第2状態では、液体領域210側の端部の突起部701の先端と、液体領域210側の端部の突起部704の先端との間に界面が形成されて、プリズム要素680−3となる。第3状態では、液体領域220側の端部の突起部700の先端と、側面部644aの突起部703の先端との間に界面が形成されて、プリズム要素680−2となる。
【0177】
本例によると、側面部642aおよび側面部644aが突起部を有しているので、液体界面が当該突起部の先端にトラップされやすくなる。そのため、プリズム角の制御を安定して行うことができる。
【0178】
本例では、図24のB部を取り上げて、貫通孔250aに形成される突起部を説明した。仕切板242が有する全ての貫通孔250に意図した位置に界面をトラップさせるべく突起部を形成してよく、図22、図23において説明した仕切板242の貫通孔250にも、意図した位置に界面をトラップさせるべく突起部を形成してよいことはいうまでもない。
【0179】
このように、制御部180は、レンズ系100の色分離フィルタ部100bが有する透過波長特性に基づいて、被写体光が受光部160に結像するよう、受光部160に受光させる瞳領域122の組み合わせを選択する。具体的には、制御部180は、対応する受光素子162が受光する光束の向きを、受光部160の位置に結像する被写体光が通過する瞳領域122に指向させるべく、プリズム界面の傾きを制御する。また、制御部180は、レンズ系100の色分離フィルタ部100bが有する透過波長特性に基づいて、いずれの瞳領域122を通過した光で撮像するかを制御することができる。
【0180】
〔第10の実施形態〕
図26は、第10の実施形態に係る撮像装置1110のブロック構成の一例を示す図である。本実施形態の撮像装置1110は、レンズ系100、受光ユニット20、画像生成部170および画像記録部190を備える。本実施形態の受光ユニット20は、図21から図25にかけて説明した偏向部140に替えて、偏光フィルタ部1140を偏向光学要素として有する。
【0181】
本実施形態の撮像装置1110では、レンズ系100は、レンズ100a、色分離フィルタ部(図26では不図示)および偏光フィルタ部100cを有する。偏光フィルタ部100cは、射出瞳の近傍に設けられる。偏光フィルタ部100cは、レンズ系100の射出瞳における異なる瞳領域に対応して設けられた第1偏光フィルタ1132および第2偏光フィルタ1134を持つ。また色分離フィルタ部(図26では不図示)も同様に、レンズ系100の射出瞳における異なる瞳領域に対応して各色フィルタが設けられているものとする。
【0182】
第1偏光フィルタ1132および第2偏光フィルタ1134には、それぞれ対応する瞳領域を通過した光が入射する。第1偏光フィルタ1132および第2偏光フィルタ1134は、それぞれ互いに直交する偏光成分を選択的に通過する。直交する偏光成分の組み合わせとしては、偏光方位が互いに直交する直線偏光成分を例示することができる。直交する偏光成分の組み合わせとして、他にも右回り円偏光成分と左回り円偏光成分との組み合わせを例示することができる。
【0183】
マイクロレンズ部150は複数のマイクロレンズ152を有する。本例では、マイクロレンズ152は、射出瞳の略全面を通過した光を受光素子162に向けて集光する大きさの屈折力を持つ。マイクロレンズ152が有する屈折力は、これまで説明したマイクロレンズが有する屈折力よりも小さくてよい。偏光フィルタ部1140は、複数の受光素子162に対応して設けられた複数の偏光フィルタ1142を持つ。偏光フィルタ1142のうち、偏光フィルタ1142aは、第2偏光フィルタ1134が透過する偏光成分を通過させ、第1偏光フィルタ1132が通過する偏光成分を通過させない。偏光フィルタ1142のうち、偏光フィルタ1142bは、第1偏光フィルタ1132が透過する偏光成分を通過させ、第2偏光フィルタ1134が通過する偏光成分を通過させない。偏光フィルタ部1140は、偏光フィルタ1142aおよび偏光フィルタ1142bの組を複数有する。
【0184】
受光素子162は、対応する偏光フィルタ1142が通過した光を受光する。具体的には、受光素子162aは、偏光フィルタ1142aが通過した光を受光する。受光素子162bは、偏光フィルタ1142bが通過した光を受光する。したがって、受光素子162aが受光する光は、第2偏光フィルタ1134を通過したものに制限される。受光素子162bが受光する光は、第1偏光フィルタ1132を通過したものに制限される。このため、受光素子162aと受光素子162bとは、色分離フィルタ部(図26では不図示)の互いに異なる透過波長特性を持つ光学面を通過した光を受光する。画像生成部170は、受光素子162aなど第2偏光フィルタ1134を通過した光を受光した受光素子162から対応する色の画像を生成する。また、画像生成部170は、受光素子162bなど第1偏光フィルタ1132を通過した光を受光した受光素子162から対応する色の画像を生成する。本実施形態の撮像装置1110によっても、複数の色の異なる画像を同時に撮像することができる。
【0185】
このように、本実施形態の撮像装置1110は、複数の瞳領域において互いに異なる偏光成分を透過する第1偏光フィルタ1132および第2偏光フィルタ1134と、複数の受光素子162に対応して設けられ、異なる偏光成分をそれぞれ透過する偏光フィルタ1142aおよびbをそれぞれ複数有する。
【0186】
図27は、撮像装置1110の変形例を示す図である。図26で例示した撮像装置1110では2種類の色で撮像することができるのに対して、本例の撮像装置1110は、4種類の色で撮像することができる構成を有する。ここでは本例の撮像装置1110の構成を、主としてレンズ系100の構成の相違を中心に説明する。
【0187】
レンズ系100は、図26の偏光フィルタ部100cに替えて、レンズ系100の射出瞳1122の近傍に設けられた偏光フィルタ100dを有する。偏光フィルタ100dは、第1偏光フィルタ1232a、第1偏光フィルタ1232b、第2偏光フィルタ1234aおよび第2偏光フィルタ1234bを有する。
【0188】
第1偏光フィルタ1232aおよび第2偏光フィルタ1234aは、射出瞳1122の瞳領域1222aにおける異なる領域に対応して設けられる。第1偏光フィルタ1232aおよび第2偏光フィルタ1234aには、それぞれ対応する領域を通過した光が入射する。第1偏光フィルタ1232aおよび第2偏光フィルタ1234aは、それぞれ互いに直交する偏光成分を選択的に通過する。
【0189】
第1偏光フィルタ1232bおよび第2偏光フィルタ1234bは、射出瞳1122の瞳領域1122bにおける異なる領域に対応して設けられる。第1偏光フィルタ1232bおよび第2偏光フィルタ1234bには、それぞれ対応する領域を通過した光が入射する。第1偏光フィルタ1232bおよび第2偏光フィルタ1234bは、それぞれ互いに直交する偏光成分を選択的に通過する。
【0190】
本例の撮像装置1110が有する受光部160に向かう光束は、瞳領域1122aおよび瞳領域1122bのいずれか一方を通過したものに制限される。例えば、図1から図3に関連して説明したように、1つのマイクロレンズ152に対応して設けられた受光素子群1162の複数の受光素子によって、受光部160に入射した光束を制限することができる。また、図4に関連して説明したように、マイクロレンズ152の偏倚によって、受光部160に向かう光束を制限することができる。また、図5、図6に関連して説明したように、受光部160に向かう光束を遮光部によって制限することができる。
【0191】
瞳領域1122aを通過した光を受光する受光素子162のうち、偏光フィルタ1142aに対応して設けられた受光素子162は、第1偏光フィルタ1232aを通過した光を受光することができる。したがって、当該受光素子162が受光する光は、第1偏光フィルタ1232aを通過したものに制限される。一方、瞳領域1222aを通過した光を受光する受光素子162のうち、偏光フィルタ1142bに対応して設けられた受光素子162は、第2偏光フィルタ1234aを通過した光を受光することができる。したがって、当該受光素子162が受光する光は、第2偏光フィルタ1234aを通過したものに制限される。
【0192】
また、瞳領域1122bを通過した光を受光する受光素子162のうち、偏光フィルタ1142aに対応して設けられた受光素子162は、第1偏光フィルタ1232bを通過した光を受光することができる。したがって、当該受光素子162が受光する光は、第1偏光フィルタ1232bを通過したものに制限される。一方、瞳領域1222bを通過した光を受光する受光素子162のうち、偏光フィルタ1142bに対応して設けられた受光素子162は、第2偏光フィルタ1234bを通過した光を受光することができる。したがって、当該受光素子162が受光する光は、第2偏光フィルタ1234bを通過したものに制限される。
【0193】
本例では、偏向光学要素によって、瞳領域1122aと瞳領域1122bのように2以上の瞳領域に分割される。そして、分割された瞳領域は、少なくとも一方の瞳領域が偏光フィルタでさらに分割される。つまり、撮像装置1110は、偏向光学要素および偏光フィルタの組み合わせにより、3以上の異なる瞳領域を通じて別個に撮像することができる。このため、3以上の異なる透過波長特性で撮像することができる。
【0194】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0195】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0196】
10、1010、1110…撮像装置、20…受光ユニット、100…レンズ系、100a…レンズ、100b…色分離フィルタ部、100c、100d…偏光フィルタ、120、220、1120…射出瞳、122、222、1122…瞳領域、140…偏向部、142…プリズム要素、150…マイクロレンズ部、152、952、1052、1252…マイクロレンズ、160…受光部、161、1161、2161…受光素子群、162、1162…受光素子、170…画像生成部、180…制御部、190…画像記録部、200…ハウジング、210、220、230…液体領域、240、640…仕切部、242…仕切板、250…貫通孔、252、254、642、644…側面部、262…遮光部、264、1264…開口、281、282、680…プリズム要素、290、291、292…駆動部、280…弾性面、350…行方向、360…列方向、400…像面、700、701、702、703、704…突起部、1060、1070…遮光部、1062、1072…開口、1130、1140…偏光フィルタ部、1132、1232…第1偏光フィルタ、1134、1234…第2偏光フィルタ、1142…偏光フィルタ、2262、2263…遮光マスク、3000…ターレット切り替え式フィルタ装置、3002…ターレット、3010、3012、3014、3016…光学フィルタ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特にカラーフィルタアレイを有さない撮像素子によってカラー画像を撮像する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置には、複数の光電変換素子を有するCCDやCMOSなどの撮像素子が用いられる。一般に、カラー画像の撮影では、特許文献1のように、色分解プリズムによって波長毎(R、G、B)に分離した光をそれぞれの撮像素子において受光するか、または特許文献2のように、光電変換素子毎に配置されたカラーフィルタによって透過波長を制限することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−175893号公報
【特許文献2】特開2007−147738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、色分解プリズムの構成やカラーフィルタの製造方法は複雑であり、高コスト化を招いているという問題点があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、撮像素子の構成の簡素化及び低コスト化を図りつつ、複数の色が異なる画像を、同時に、かつ独立に分離した画像データとして取得可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明に係る撮像装置は、結像レンズと該結像レンズの領域毎に透過波長域を異ならせる光学フィルタとを有する撮像光学系と、受光素子を複数有するモノクロの受光部と、複数の前記受光素子にそれぞれ対応して設けられ、前記撮像光学系の射出瞳における予め定められた瞳領域を通過した被写体光を、対応する受光素子にそれぞれ受光させる複数の光学要素と、前記複数の受光素子の撮像信号から、被写体の画像を生成する画像生成部とを備え、前記複数の光学要素のうちの複数の第1光学要素は、前記撮像光学系の第1の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第1瞳領域を通過する被写体光を、対応する受光素子へ入射させ、前記複数の光学要素のうちの複数の第2光学要素は、前記撮像光学系の第2の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第2瞳領域を通過する被写体光を、対応する受光素子へ入射させることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、撮像素子の構成の簡素化及び低コスト化を図りつつ、複数の色が異なる画像を、同時に、かつ独立に分離した画像データとして取得することができる。
【0008】
前記光学フィルタは、三原色のカラーフィルタを含むことが好ましい。
【0009】
これにより、カラー画像の撮影が可能となる。
【0010】
前記光学フィルタは、前記結像レンズの中心からの距離により区分された円形及び円環形状のフィルタからなり、円形および円環形状のフィルタ毎に透過波長域が異なっていてもよい。
【0011】
これにより、適切に複数の色が異なる画像を取得することができる。
【0012】
前記光学フィルタは、前記受光部に対して特定の波長域の光量を多く与えてもよい。
【0013】
これにより、所望の画像を取得することができる。
【0014】
前記結像レンズは、該結像レンズの領域毎に異なるMTF特性を有していてもよい。
【0015】
これにより、所望の画像を取得することができる。
【0016】
前記光学フィルタは、前記結像レンズに対して特定の波長域に高周波成分を多く与えてもよい。
【0017】
これにより、所望の画像を取得することができる。
【0018】
フィルタ交換手段を備え、前記光学フィルタは、波長選択性の異なる複数種類のフィルタから任意に選択可能であってもよい。
【0019】
これにより、所望の画像を取得することができる。
【0020】
前記複数の光学要素の各光学要素は、複数の受光素子単位毎に設けられたマイクロレンズであり、前記撮像光学系の第1の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第1瞳領域を通過する被写体光を第1の受光素子へ入射させ、前記撮像光学系の第2の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第2瞳領域を通過する被写体光を第2の受光素子へ入射させることが好ましい。
【0021】
これにより、適切に複数の色が異なる画像を取得することができる。
【0022】
前記複数の光学要素は、それぞれ前記予め定められた瞳領域を通過した被写体光を、対応する前記受光素子に受光させるべく光軸を前記受光素子の受光開口に対して偏倚して設けられたマイクロレンズであってもよい。
【0023】
これにより、適切に複数の色が異なる画像を取得することができる。
【0024】
前記複数の光学要素はそれぞれ、対応する受光素子に対し前記予め定められた瞳領域への指向性を持つ開口が形成された遮光要素であってもよい。
【0025】
これにより、適切に複数の色が異なる画像を取得することができる。
【0026】
前記複数の光学要素は、複数の前記瞳領域において互いに異なる偏光成分を透過する第1偏光フィルタと、前記複数の受光素子にそれぞれ対応して設けられ、前記異なる偏光成分をそれぞれ透過する第2偏光フィルタとを有していてもよい。
【0027】
これにより、適切に複数の色が異なる画像を取得することができる。
【0028】
前記複数の光学要素はそれぞれ、前記予め定められた瞳領域を通過した被写体光を対応する受光素子に受光させるプリズム要素であってもよい。
【0029】
これにより、適切に複数の色が異なる画像を取得することができる。
【0030】
前記複数の光学要素は、焦点距離をそれぞれ異ならせたマイクロレンズと円環形状の開口を形成する遮光要素であってもよい。
【0031】
これにより、適切に複数の色が異なる画像を取得することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、撮像素子の構成の簡素化及び低コスト化を図りつつ、複数の色が異なる画像を、同時に、かつ独立に分離した画像データとして取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】撮像装置のブロック構成の一例を模式的に示す図
【図2】マイクロレンズと対応する受光素子群を光軸方向から見た模式図
【図3】図2(a)の破線A−Aにおける断面図
【図4】第2の実施形態に係る受光ユニットの一例を模式的に示す図
【図5】第3の実施形態に係る受光ユニットの一例を模式的に示す図
【図6】第4の実施形態に係る受光ユニットの一例を模式的に示す図
【図7】色分離フィルタ部を光軸方向から見た模式図
【図8】第5の実施形態に係る撮像装置のブロック構成の一例を模式的に示す図
【図9】遮光マスクの形状を示す斜視図
【図10】レンズ系、マイクロレンズ、遮光マスク、受光素子を模式的に示す俯瞰図
【図11】第5の実施形態に係る受光ユニットの一例を模式的に示す図
【図12】第6の実施形態に係る受光ユニットの一例を模式的に示す図
【図13】マイクロレンズに入射した光と受光素子が受光する光の関係を示す図
【図14】マイクロレンズに入射した光と受光素子が受光する光の関係を示す図
【図15】マイクロレンズに入射した光と受光素子が受光する光の関係を示す図
【図16】第5の実施形態に係るマイクロレンズと対応する受光素子群を光軸方向から見た模式図
【図17】円環状の受光を説明するための図
【図18】結像原理によるレンズの各領域のMTF特性を説明するための図
【図19】ターレット切り替え式フィルタ装置の一部断面を含む側面図
【図20】ターレット切り替え式フィルタ装置の正面図
【図21】第9の実施形態に係る撮像装置のブロック構成の一例を模式的に示す図
【図22】偏向部、マイクロレンズ部および受光部の構成の一例を模式的に示す図
【図23】光軸に垂直な面で偏向部を切断した模式断面を示す図
【図24】偏向部の構成の他の一例を模式的に示す図
【図25】仕切板の変形例を示す図
【図26】第10の実施形態に係る撮像装置のブロック構成の一例を示す図
【図27】第10の実施形態に係る撮像装置の変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0035】
〔第1の実施形態〕
図1は、撮像装置10のブロック構成の一例を模式的に示す。本実施形態に係る撮像装置10は、それぞれ色が異なる複数の画像を撮像する機能を提供する。特に、撮像装置10に係る光学構成は、受光センサに色分離用カラーフィルタアレイが不要な撮像装置を提供する。撮像装置10は、レンズ系100、受光ユニット20、画像生成部170および画像記録部190を備える。
【0036】
レンズ系100は、単一の撮像用のレンズ系であり、入射した光が通過する領域毎に異なる透過波長特性を持つ。レンズ系100は、1以上のレンズ100aと、結像レンズの入射領域毎に透過波長域を異ならせるための色分離フィルタ部100bを備える。
【0037】
色分離フィルタ部100bは、三原色のカラーフィルタを有している。すなわち、緑(G)に属する波長域の光を透過するGフィルタ100b−Gと、赤(R)に属する波長域の光を透過するRフィルタ100b−Rと、青(B)に属する波長域の光を透過するBフィルタ100b−Bを有している。これらの各フィルタを、色分離フィルタ部100bのG領域、R領域、B領域と呼ぶ場合がある。
【0038】
ここで、レンズ100aの射出瞳120の瞳領域122aにはBフィルタ100b−Bが、瞳領域122bにはRフィルタ100b−Rが、瞳領域122cにはGフィルタ100b−Gが、それぞれ対応して配置されている。したがって、レンズ系100を通過した被写体光のうち、レンズ系100の射出瞳120の瞳領域122aを通過した光はBの波長域、瞳領域122bを通過した光はRの波長域、瞳領域122cを通過した光はGの波長域、をそれぞれ有する光となっている。
【0039】
なお、本実施形態の色分離フィルタ部100bは、レンズ100aの瞳面の近傍であって、被写体光の光路上においてレンズ100aの後段に配置されているが、これと光学的に等価な位置に配置されていればよい。またレンズ系100は、レンズ系全体で異なる透過波長特性を与える光路が存在すればよく、透過波長特性の違いが特定のフィルタの特定の光学面によって提供されなくてよい。また、色分離フィルタ部100bが、レンズ効果を併せ持っていてもよい。
【0040】
レンズ系100を通過した被写体光は、受光ユニット20に入射する。受光ユニット20は、レンズ系100の射出瞳120の瞳領域122aを通過した光、瞳領域122bを通過した光および瞳領域122cを通過した光を、それぞれ分離して受光する。受光ユニット20は、それぞれ分離して受光した光による信号を画像信号として画像生成部170に供給する。画像生成部170は、当該画像信号から、それぞれ色の異なる画像を生成する。画像記録部190は、画像生成部170が生成した画像を記録する。画像記録部190は、不揮発性メモリに当該画像を記録してよい。当該不揮発性メモリは、画像記録部190が有してよい。また、当該不揮発性メモリは、撮像装置10に対して着脱可能に設けられた外部メモリであってよい。画像記録部190は、撮像装置10の外部に画像を出力してもよい。
【0041】
受光ユニット20は、複数のマイクロレンズ152を有する。マイクロレンズ152は、光軸に垂直な方向に所定の規則に従って配置されている。各マイクロレンズ152には、それぞれ対応する受光素子群161が偏向光学要素として配置されている。受光素子群161は、複数の受光素子162から構成されている。
【0042】
複数の受光素子162は、MOS型撮像素子を形成してよい。複数の受光素子162は、MOS型撮像素子の他、CCD型撮像素子などの固体撮像素子を形成してよい。
【0043】
図2(a)は、マイクロレンズ152と対応する受光素子群161を光軸方向から見た模式図である。同図に示すように、本実施形態では、1つのマイクロレンズ152に対応して、9つの受光素子162−1a、162−1b、162−1c、162−2a、162−2b、162−2c、162−3a、162−3b、162−3cが3行3列に配置された受光素子群161が備えられている。
【0044】
なお、マイクロレンズと対応する受光素子群は、図2(b)に示すように、マイクロレンズ152に対して矩形状の受光素子1162−1、2、3が配置された受光素子群1161が対応していてもよいし、図2(c)に示すように、縦長のマイクロレンズ1152に対して受光素子2162−1、2、3が配置された受光素子群2161が対応していてもよい。
【0045】
図3は、図2(a)の破線A−Aにおける断面図である。同図に示すように、レンズ系100の射出瞳120の瞳領域122aを通過した光は、マイクロレンズ152により、受光素子162−1a(第1の受光素子に相当)に受光される。ここでは図示を省略しているが、瞳領域122aを通過した光は、マイクロレンズ152により、受光素子162−1b、162−1cにも同様に受光される。
【0046】
また、瞳領域122bを通過した光は、マイクロレンズ152により、受光素子162−2a(第2の受光素子に相当)、162−2b、162−2cに受光される。同様に、瞳領域122cを通過した光は、マイクロレンズ152により、受光素子162−3a、162−3b、162−3cに受光される。
【0047】
なお、同図に示す262は、隣接画素との間の干渉を防ぐために設けられた遮光部である。
【0048】
前述のように、瞳領域122aを通過した光はBの波長域の光、瞳領域122bを通過した光はRの波長域の光、瞳領域122cを通過した光はGの波長域の光である。したがって、受光素子162−1a、162−1b、162−1cはBの波長域の光を受光し、受光素子162−2a、162−2b、162−2cはRの波長域の光を受光し、受光素子162−3a、162−3b、162−3cはGの波長域の光を受光する。
【0049】
このように、マイクロレンズがレンズ系100の瞳と複数の受光素子162との結像関係を結ぶことで、各々の受光素子162が受光する光は、レンズ系100の射出瞳120における予め定められた瞳領域122を通過したものに制限される。
【0050】
受光素子群161の各受光素子162は、受光量に応じた強度の撮像信号を、画像生成部170に出力する。画像生成部170は、複数の受光素子162の撮像信号から、被写体の画像を生成する。具体的には、画像生成部170は、受光素子群161から供給された撮像信号から、異なる色の画像を示す画像信号を生成する。
【0051】
本例では、画像生成部170は、瞳領域122aを通過した光を受光する受光素子162−1a、162−1b、162−1cの撮像信号から、Bの波長域の画像(B画像)を生成する。また瞳領域122bを通過した光を受光する受光素子162−2a、162−2b、162−2cの撮像信号から、Rの波長域の画像(R画像)を生成する。同様に、瞳領域122aを通過した光を受光する受光素子162−3a、162−3b、162−3cの撮像信号から、Gの波長域の画像(G画像)を生成する。
【0052】
さらに画像生成部170は、B画像、R画像、G画像から、カラー画像を生成してもよい。
【0053】
本実施形態では、マイクロレンズが射出瞳の3つの領域を通過した光を、縦方向に3つの受光素子に入射させる例を示している。マイクロレンズが指向する射出瞳の3つの領域は、撮像光学系の透過波長がそれぞれ異なる各領域に対応する。このため、3つの異なる色の画像を、同時に、独立に、並列に得ることができる。
【0054】
ここでは、色分離フィルタ部100bとしてRGBの3色の透過波長領域を持つフィルタを例に説明したが、色の配置や種類、数は適宜変更することが可能である。例えば、色分離フィルタとしてRGBの他に、W(白)の透過波長領域を有する4色のフィルタを適用してもよい。この場合、色分離フィルタの4色の配置に対応させて、4つの波長域の光をそれぞれ受光する受光素子を配置すればよい。これにより、射出瞳の4つの領域を通過した光を、それぞれ4つの受光素子に入射させることができる。また、色分離フィルタは、連続的に透過波長が変化するように構成されていてもよい。
【0055】
〔第2の実施形態〕
図4は、第2の実施形態に係る受光ユニットの一例を模式的に示す図である。本実施形態の受光ユニット20は、1つのマイクロレンズに対応して1つの受光素子が備えられている。図4の例では、マイクロレンズ952aに対応して受光素子162a、マイクロレンズ952bに対応して受光素子162b、マイクロレンズ952cに対応して受光素子162c、マイクロレンズ952dに対応して受光素子162dがそれぞれ配置されている。
【0056】
各マイクロレンズ952には、射出瞳120の略全面を通過した光が入射する。マイクロレンズ952は、射出瞳120の一部領域を通過した光を各受光素子162に受光させる大きさの屈折力を持つ。したがって、受光素子162が受光することができる光束の大きさは、射出瞳120の一部範囲を通過するものに制限される。
【0057】
本実施形態における受光ユニット20は、マイクロレンズ952の光軸が、レンズ系100の光軸に垂直な面内において、受光素子162の中心位置に対し偏倚して設けられる。ここで、受光素子162の中心位置とは、受光素子162が受光し光電変換に利用できる光が通過する領域の中心位置とする。受光素子162の中心位置とは、受光素子162の近傍に位置する遮光部262に形成された受光開口の中心であってよい。
【0058】
マイクロレンズ952は、予め定められた瞳領域122を通過した光を対応する受光素子162に受光させるべく、それぞれの偏倚量が設計されている。マイクロレンズ952の屈折力および偏倚により、受光素子162が受光することができる光束は、射出瞳120の一部領域を通過したものに制限される。
【0059】
本実施形態では、マイクロレンズ952aは、受光素子162aが受光開口を通じて受光できる光を、瞳領域122aを通過したものに制限する。同様に、マイクロレンズ952bおよびcは、対応する受光素子162aおよびcが受光開口を通じて受光できる光を、それぞれ瞳領域122bおよびcを通過したものに制限する。マイクロレンズ952dは、マイクロレンズ952aと同様、受光素子162dが受光開口を通じて受光できる光を、瞳領域122aを通過したものに制限する。
【0060】
したがって、受光素子162a、162dはBの波長域の光を、受光素子162bはRの波長域の光を、受光素子162cはGの波長域の光を受光する。
【0061】
このように、複数のマイクロレンズ952は、それぞれ予め定められた瞳領域122を通過した被写体光を対応する受光素子162に受光させるべく、光軸を受光素子162の受光開口に対して偏倚して設けられる。その結果、各受光素子162は、それぞれ異なる透過波長域の光を受光する。画像生成部170は、各受光素子162の撮像信号から、B画像、R画像、G画像を得ることができる。
【0062】
〔第3の実施形態〕
図5は、第3の実施形態に係る受光ユニットの一例を模式的に示す図である。本実施形態の受光ユニット20は、第2の実施形態と同様に、1つのマイクロレンズに対応して1つの受光素子が備えられている。図5の例では、マイクロレンズ1052aに対応して受光素子162a、マイクロレンズ1052bに対応して受光素子162b、マイクロレンズ1052cに対応して受光素子162c、マイクロレンズ1052dに対応して受光素子162dがそれぞれ配置されている。
【0063】
さらに受光ユニット20は、遮光部1060および遮光部1070を備えている。遮光部1060および遮光部1070には、それぞれ開口1062および開口1072が形成されている。マイクロレンズ1052により受光素子162に向けて集光される光のうち、開口1062および開口1072を通過した一部の光が、遮光部262に形成された受光開口を通じて受光素子162に入射する。
【0064】
開口1062および開口1072は、レンズ系100の光軸に垂直な面内において互いに偏倚して設けられる。開口1062および開口1072は、予め定められた瞳領域122を通過した光を対応する受光素子162に受光させるべく、それぞれの位置が設計されている。開口1062および開口1072の偏倚により、受光素子162が受光することができる光束は、射出瞳120の一部領域を通過したものに制限される。
【0065】
本実施形態では、開口1062および開口1072は、受光素子162aが受光開口を通じて受光できる光を、瞳領域122aを通過したものに制限する。その結果、受光素子162aはBの波長域の光を受光する。
【0066】
受光素子162b〜dに対応する開口も同様であるので、説明を省略する。このように、遮光部1060および遮光部1070は、対応する受光素子162に対し予め定められた瞳領域122への指向性を持つ開口を有する。これにより、画像生成部170は、各受光素子162の撮像信号から、B画像、R画像、G画像を得ることができる。
【0067】
〔第4の実施形態〕
遮光部1060および遮光部1070ではなく、遮光部262が、対応する受光素子162に対し予め定められた瞳領域122への指向性を持つ開口を有していてもよい。
【0068】
図6は、第4の実施形態に係る受光ユニットの一例を模式的に示す図である。本実施形態の受光ユニット20は、遮光部262の開口1264を偏向光学要素として有する。
【0069】
遮光部262の開口1264は、レンズ系100の光軸に垂直な面内において受光素子162の中心位置に対し偏倚して設けられている。ここでは、受光素子162の中心位置とは、受光素子162が受光し光電変換に利用できる光が通過する領域の中心位置とする。
【0070】
開口1264は、予め定められた瞳領域122を通過した光を対応する受光素子162に受光させるべく、それぞれの偏倚量が設計されている。開口1264の偏倚により、受光素子162が受光することができる光束は、射出瞳120の一部領域を通過したものに制限される。
【0071】
ここでは、開口1264aは、受光素子162aが受光できる光を瞳領域122aを通過したものに制限する。その結果、受光素子162aはBの波長域の光を受光する。
【0072】
同様に、開口1264bおよびcは、対応する受光素子162bおよびcが受光できる光を、それぞれ瞳領域122bおよびcを通過したものに制限する。その結果、受光素子162bおよびcは、それぞれRの波長域、Gの波長域の光を受光する。さらに開口1264dは、開口1264aと同様、受光素子162dが受光できる光を、瞳領域122aを通過したものに制限する。
【0073】
このように、遮光部262の複数の開口1264は、それぞれ予め定められた瞳領域122を通過した被写体光を対応する受光素子162に受光させるべく、受光素子162の中心位置に対し偏倚して設けられる。これにより、画像生成部170は、各受光素子162の撮像信号から、B画像、R画像、G画像を得ることができる。
【0074】
〔第5の実施形態〕
図7(a)は、図1に示す色分離フィルタ部100bを光軸方向から見た模式図である。同図に示すように、色分離フィルタ部100bは、Gフィルタ100b−G、Rフィルタ100b−R、Bフィルタ100b−Bが縦方向に分割されて配置されている。
【0075】
図7(b)は、本実施形態に係る色分離フィルタ102bを光軸方向から見た模式図である。色分離フィルタ102bは、レンズ100aの中心に対応する点からの距離により区分された円形および円環形状のフィルタからなる。本実施形態では、中心に円形のBフィルタ102b−B、Bフィルタの外側に円環形状のRフィルタ102b−R、さらにRフィルタの外側に円環形状のGフィルタ102b−Gが配置されている。色分離フィルタ部102bが、レンズ効果を併せ持つ態様も可能である。
【0076】
このように各色フィルタを配置した場合であっても、複数の受光素子162によって色を分離して受光することができる。
【0077】
例えば図4に関連して説明したマイクロレンズを偏倚させる場合であれば、マイクロレンズの偏倚の方向と量を色分離フィルタ102bに対応させて調整すればよい。また図5、図6に関連して説明した開口を偏倚させる場合であれば、開口の偏倚の方向と量を色分離フィルタ102bに対応させて調整すればよい。
【0078】
本実施形態では、円形状及び円環形状の遮光部を用いて、色を分離して受光する。
【0079】
図8は、本実施形態に係る撮像装置10のブロック構成の一例を模式的に示す。同図に示すように、レンズ系100は、1以上のレンズ100aと、図7(b)に示した色分離フィルタ102bを備える。
【0080】
ここで、レンズ100aの射出瞳220の円環形状の瞳領域222aにはGフィルタ102b−Gが、瞳領域222aの内側の円環形状の瞳領域222bにはRフィルタ102b−Rが、瞳領域222bの中央の円形状の瞳領域222cにはBフィルタ102b−Bが、それぞれ対応して配置されている。したがって、レンズ系100を通過した被写体光のうち、レンズ系100の射出瞳220の瞳領域222aを通過した光はGの波長域、瞳領域222bを通過した光はRの波長域、瞳領域122cを通過した光はBの波長域、をそれぞれ有する光となっている。
【0081】
この各色の光を分離して受光するために、本実施形態では、遮光部262の各受光素子上に設けられた遮光マスクの形状が円形状又は円環形状となっており、これにより受光素子上の開口形状が円形状又は円環形状となっている。
【0082】
図9(a)〜(c)は、それぞれ各受光素子上に形成される遮光マスク2262−1、遮光マスク2262−2、及び遮光マスク2262−3の形状を示す斜視図である。遮光マスク2262−1の開口部は、Bフィルタ102b−Bと相似形状となっており、受光素子162の中心部のみに受光させる形状となっている。また遮光マスク2262−2の開口部は、Rフィルタ102b−Rと相似形状となっており、遮光マスク2262−1の開口部の周辺部分に相当する円環形状部のみに受光させる形状となっている。さらに遮光マスク2262−3の開口部は、Gフィルタ102b−Gと相似形状となっており、遮光マスク2262−2の開口部の周辺部分に相当する円環形状部のみに受光させる形状となっている。
【0083】
図10は、レンズ系100、各マイクロレンズ1052a〜1052c、各遮光マスク2262−1〜2262−3、及び各受光素子162a〜162cを模式的に示す俯瞰図である。また図11は、受光ユニットの一例を模式的に示す断面図である。
【0084】
本実施形態の受光ユニット20は、これまでと同様に1つのマイクロレンズに対応して1つの受光素子が備えられている。図11の例では、マイクロレンズ1052aに対応して受光素子162a、マイクロレンズ1052bに対応して受光素子162b、マイクロレンズ1052cに対応して受光素子162c、マイクロレンズ1052dに対応して受光素子162dがそれぞれ配置されている。なお、各マイクロレンズ1052の中心位置と各受光素子162の中心位置とは、一致するように配置されている。
【0085】
また、受光素子162aの受光面上には遮光部2262aが、受光素子162bの受光面上には遮光部2262bが、受光素子162cの受光面上には遮光部2262cが、対応して形成されている。ここで、遮光部2262aは遮光マスク2262−1の形状、遮光部2262bは遮光マスク2262−2の形状、遮光部2262cは遮光マスク2262−3の形状を有する遮光部となっている。
【0086】
さらに受光素子162dの受光面上には、遮光部2262dが形成されている。この遮光部2262dは、遮光部2262aと同様に遮光マスク2262−1の形状を有している。図では省略されているが、遮光マスク2262−1〜2262−3は、各受光素子162の受光面上に所定の規則に従って繰り返して配置される。
【0087】
各マイクロレンズ1052には、射出瞳220の略全面を通過した光が入射する。ここで、マイクロレンズ1052aを通過した光は、遮光マスク2262−1の形状を有する遮光部2262aにより瞳領域222cを通過した光のみに制限され、瞳領域222cを通過した光のみが受光素子162aに受光される。したがって、受光素子162aには、Bフィルタ102b−Bを通過したBの波長域を有する光のみが受光される。
【0088】
同様に、遮光マスク2262−2の形状の遮光部2262bにより、マイクロレンズ1052bを通過した光のうち、瞳領域222bを通過した光のみが受光素子162bに受光される。また遮光マスク2262−3の形状の遮光部2262cにより、マイクロレンズ1052cを通過した光のうち、瞳領域222aを通過した光のみが受光素子162cに受光される。したがって、受光素子162bには、Rフィルタ102b−Rを通過したRの波長域を有する光のみが受光され、受光素子162cには、Gフィルタ102b−Gを通過したGの波長域を有する光のみが受光される。
【0089】
このように、複数の遮光部2262は、それぞれ予め定められた瞳領域222を通過した被写体光を対応する受光素子162に受光させるべく、各色フィルタと相似形状に設けられる。これにより、画像生成部170は、各受光素子162の撮像信号から、B画像、R画像、G画像を得ることができる。
【0090】
〔第6の実施形態〕
本実施形態は、図7(b)に示す円環状の色分離フィルタ102bに対し、それぞれ焦点距離の異なるマイクロレンズを用いて、色を分離して受光する。本実施形態に係る撮像装置10のブロック構成は、図8と同様である。したがって、レンズ系100を通過した被写体光のうち、レンズ系100の射出瞳220の瞳領域222aを通過した光はGの波長域、瞳領域222bを通過した光はRの波長域、瞳領域122cを通過した光はBの波長域、をそれぞれ有する光となる。
【0091】
図12は、本実施形態に係る受光ユニットの一例を模式的に示す断面図である。
【0092】
本実施形態の受光ユニット20は、これまでと同様に1つのマイクロレンズに対応して1つの受光素子が備えられている。図12の例では、マイクロレンズ1252aに対応して受光素子162a、マイクロレンズ1252bに対応して受光素子162b、マイクロレンズ1252cに対応して受光素子162c、マイクロレンズ1252dに対応して受光素子162dがそれぞれ配置されている。なお、各マイクロレンズ1252の中心位置と各受光素子162の中心位置とは、一致するように配置されている。
【0093】
また、各受光素子162の受光面上には、遮光部2362が配置されている。遮光部2362は、図9(b)に示す遮光マスク2262−2と同様に、円形状の遮光マスク及び円環形状の遮光マスクからなり、円環形状の開口部を有している。この開口部の幅は、適切に色を分離できるように、適宜決定することができる。
【0094】
ここで、各マイクロレンズ1252は、それぞれ異なる焦点距離を有している。図12の例では、マイクロレンズ1252aの焦点距離は第1の焦点距離f1であり、受光素子162aの受光面上に焦点位置を有している。また、マイクロレンズ1252bの焦点距離は、第1の焦点距離f1よりも短い第2の焦点距離f2であり、受光素子162bの受光面よりも手前(マイクロレンズ側)に焦点位置を有する。また、マイクロレンズ1252cの焦点距離は、第2の焦点距離f2よりも短い第3の焦点距離f3あり、マイクロレンズ1252bの焦点位置よりもさらに手前(マイクロレンズ側)に焦点位置を有する。
【0095】
またマイクロレンズ1252dは、マイクロレンズ1252aと同様に構成されており、マイクロレンズ1252dの焦点距離は第1の焦点距離f1となっている。図では省略されているが、第1の焦点距離f1、第2の焦点距離f2、及び第3の焦点距離f3を有する各マイクロレンズ1252は、所定の規則に従って繰り返して配置される。
【0096】
次に、各マイクロレンズ1252に入射した光と対応する受光素子162が受光する光の関係について説明する。図13は、第1の焦点距離f1を有するマイクロレンズ1252aに入射した光と受光素子162aが受光する光の関係を示す図である。
【0097】
マイクロレンズ1252aには、射出瞳220の略全面を通過した光が入射する。ここで、射出瞳220のうち瞳領域222cを通過したBの波長域を有する光は、図13(a)に示すように、遮光部2362の中央の円形状の遮光マスクにより制限され、受光素子162aには入射しない。同様に、射出瞳220のうち瞳領域222bを通過したRの波長域を有する光も、図13(b)に示すように、遮光部2362の中央の円形状の遮光マスクにより制限され、受光素子162aには入射しない。
【0098】
これに対し、射出瞳220のうち瞳領域222aを通過したGの波長域を有する光は、図13(c)に示すように、遮光部2362の開口部から受光素子162aに入射する。
【0099】
このように、マイクロレンズ1252aを通過した光は、マイクロレンズ1252a及び遮光部2362により瞳領域222aを通過した光のみに制限され、瞳領域222aを通過した光のみが受光素子162aに受光される。したがって、受光素子162aには、Gフィルタ102b−Gを通過したGの波長域を有する光のみが受光される。
【0100】
図14は、第2の焦点距離f2を有するマイクロレンズ1252bに入射した光と受光素子162bが受光する光の関係を示す図である。
【0101】
マイクロレンズ1252bには、射出瞳220の略全面を通過した光が入射する。ここで、射出瞳220のうち瞳領域222cを通過したBの波長域を有する光は、図14(a)に示すように、遮光部2362の中央の円形状の遮光マスクにより制限され、受光素子162bには入射しない。
【0102】
これに対し、射出瞳220のうち瞳領域222bを通過したRの波長域を有する光は、図14(b)に示すように、遮光部2362の開口部から受光素子162bに入射する。
【0103】
また、射出瞳220のうち瞳領域222aを通過したGの波長域を有する光は、図14(c)に示すように、遮光部2362の円環形状の遮光マスクにより制限され、受光素子162bには入射しない。
【0104】
このように、マイクロレンズ1252bを通過した光は、マイクロレンズ1252b及び遮光部2362により瞳領域222bを通過した光のみに制限され、瞳領域222bを通過した光のみが受光素子162bに受光される。したがって、受光素子162bには、Rフィルタ102b−Rを通過したRの波長域を有する光のみが受光される。
【0105】
図15は、第3の焦点距離f3を有するマイクロレンズ1252cに入射した光と受光素子162cが受光する光の関係を示す図である。
【0106】
マイクロレンズ1252cには、射出瞳220の略全面を通過した光が入射する。ここで、射出瞳220のうち瞳領域222cを通過したBの波長域を有する光は、図15(a)に示すように、遮光部2362の開口部から受光素子162cに入射する。
【0107】
これに対し、射出瞳220のうち瞳領域222bを通過したRの波長域を有する光は、図15(b)に示すように、遮光部2362の円環形状の遮光マスクにより制限され、受光素子162cには入射しない。同様に、射出瞳220のうち瞳領域222aを通過したGの波長域を有する光も、図15(c)に示すように、遮光部2362の円環形状の遮光マスクにより制限され、受光素子162cには入射しない。
【0108】
このように、マイクロレンズ1252cを通過した光は、マイクロレンズ1252c及び遮光部2362により瞳領域222cを通過した光のみに制限され、瞳領域222cを通過した光のみが受光素子162cに受光される。したがって、受光素子162cには、Bフィルタ102b−Bを通過したBの波長域を有する光のみが受光される。
【0109】
以上のように、それぞれ予め定められた瞳領域222を通過した被写体光を対応する受光素子162に受光させるべく、各マイクロレンズ1252の焦点距離が設定され、遮光部2362が配置される。これにより、画像生成部170は、各受光素子162の撮像信号から、B画像、R画像、G画像を得ることができる。
【0110】
〔第7の実施形態〕
ここでは、1つのマイクロレンズに対応して複数の受光素子を備える場合について説明する。本実施形態は、図7(b)に示す円環状の色分離フィルタ102bを用いる。
【0111】
図16(a)は、本実施形態に係るマイクロレンズ152と対応する受光素子群1161を光軸方向から見た模式図である。同図に示すように、本実施形態では、1つのマイクロレンズ152に対応して、25個の受光素子1162−1a〜1162−1e、1162−2a〜1162−2e、1162−3a〜1162−3e、1162−4a〜1162−4e、1162−5a〜1162−5eが5行5列に配置された受光素子群1161が備えられている。また図16(b)は、図16(a)の破線B−Bにおける断面図である。
【0112】
このような色分離フィルタ102bと受光素子群1161とからなる撮像装置10の作用について説明する。
【0113】
レンズ系100の射出瞳120のうち、色分離フィルタ102bのB領域に対応する領域を通過した光は、色分離フィルタ102bのB領域を通過し、マイクロレンズ152に入射する。この光は、マイクロレンズ152により、受光素子群1161のうち中央に配置された受光素子1162−3cに受光される(図17(a))。すなわち、この受光素子は、Bの波長域の光を受光する。
【0114】
また、レンズ系100の射出瞳120のうち、色分離フィルタ102bのR領域に対応する領域を通過した光は、色分離フィルタ102bのR領域を通過し、マイクロレンズ152に入射する。この光は、マイクロレンズ152により、受光素子群1161のうち中央の受光素子1162−3cの周辺に配置された受光素子1162−2b、2c、2d、3b、3d、4b、4c、4dに受光される(図17(b))。すなわち、これらの受光素子は、Rの波長域の光を受光する。
【0115】
さらに、レンズ系100の射出瞳120のうち、色分離フィルタ102bのG領域に対応する領域を通過した光は、色分離フィルタ102bのG領域を通過し、マイクロレンズ152に入射する。この光は、マイクロレンズ152により、受光素子群1161のうち外周に配置された受光素子1162−1a〜1e、2a、2e、3a、3e、4a、4e、5a〜5eに受光される(図17(c))。すなわち、これらの受光素子は、Gの波長域の光を受光する。
【0116】
このように、色分離フィルタの各色を円環状に配置しても、各色の波長域の光を分離して受光することができる。画像生成部170は、これら複数の受光素子1162の撮像信号から、被写体の画像を生成すればよい。
【0117】
本実施形態では、複数の受光素子1162の面積が均一であり、Bの波長域の光を受光する受光素子が1画素、Rの波長域の光を受光する受光素子が8画素、Gの波長域の光を受光する受光素子が16画素となっている。したがって、各色の受光比率はB:R:G=1:8:16である。このように、特定の波長域(ここではG)に光量を多く与えるように、色分離フィルタ102bの面積が設定されている。この受光比率は、色分離フィルタ102の各色の領域の面積および各受光素子1162の面積を変更することで、調整することが可能である。
【0118】
ここで、結像原理によって、レンズの領域毎にMTF特性が異なる点について説明する。
【0119】
図18(a)に示すように、レンズ系100の光軸付近の円形領域を100a−1、領域100a−1の周辺の円環形状領域を100a−2、および領域100a−2の周辺の円環形状領域(レンズ100aの外周領域)を100a−3、とすると、結像原理による各領域のMTF特性は図18(b)のように表される。
【0120】
図18(b)に示すように、領域100a−1、100a−2、100a−3の順にカットオフ周波数が高くなり、空間周波数に対するMTFが高くなる。このカットオフ周波数は、瞳直径により異なってくる。このように、結像原理によりレンズの各領域のMTF特性(高周波強調特性)がそれぞれ異なっている。
【0121】
したがって、本実施形態に係る色分離フィルタ102bおよび受光素子群1161によれば、各受光素子1162が受光する光は、色が異なるとともに、MTF特性が異なっている。すなわち、Bの波長域の光、Rの波長域の光、Gの波長域の光の順に高周波特性が高い。ここでは、色分離フィルタ部102bの最外周にG領域を設けているので、Gの波長域の光の高周波特性を最も高めることができる。
【0122】
なお、ここでは結像原理的にMTF特性が異なる点について説明したが、レンズ設計によって、意図的にレンズの透過領域毎のMTF特性を異ならせてもよい。例えば、意図的にレンズ周辺のMTFを落とした設計をすることが考えられる。
【0123】
この場合、レンズの領域毎のMTF特性と、色分離フィルタ部の領域毎の透過特性によって、様々な組み合わせの画像を生成することができる。また、レンズの領域毎に色収差を最適化してもよい。
【0124】
〔第8の実施形態〕
図1に示す撮像装置10において、色分離フィルタ部100bを、レンズ100aの光路上から退避可能に構成してもよい。またこのとき、異なるフィルタをレンズ100aの光路上に挿入可能に構成してもよい。
【0125】
図19は、本実施形態に係るターレット切り替え式フィルタ装置3000の一部断面を含む側面図である。ターレット切り替え式フィルタ装置3000は、主としてターレット3002と、モータ3100と、モータ3100を制御する制御部(不図示)とから構成されている。
【0126】
また図20は、ターレット切り替え式フィルタ装置3000の正面図である。本図に示すように、ターレット3002は円板形状であり、ターレット3002の同一円周上には、それぞれ特性の異なる光学フィルタ部3010、3012、3014、3016が90度の等間隔で配設されている。
【0127】
ターレット3002の回転軸3006は、軸受け3008により回転自在に軸支されている。またターレット3002の外周面には、モータ3100の出力軸に固定されたギア3102と螺合するギア3004が設けられている。これにより、モータ3100を回転駆動させると、ターレット3002を回転させることができる。
【0128】
このターレット切り替え式フィルタ装置3000を図1に示す撮像装置10に適用することで、レンズ100aの光路上のフィルタ部を交換可能となる。
【0129】
例えば、光学フィルタ部3010に色分離フィルタ部100bを適用することができる。また光学フィルタ部3012には赤外線カットフィルタ、光学フィルタ部3014には色分離フィルタ部100bと赤外線カットフィルタの二層構造のフィルタ、光学フィルタ部3016には素通しのダミーガラス、等のように適用し、モータ3100の回転駆動によりこれらのフィルタ部を適宜交換することができる。
【0130】
〔第9の実施形態〕
図21は、本実施形態に係る撮像装置1010のブロック構成の一例を模式的に示す図である。レンズ系100、受光ユニット20、画像生成部170、制御部180および画像記録部190を備える。レンズ系100、画像生成部170、画像記録部190については、第1の実施形態と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0131】
本実施形態の受光ユニット20は、偏向部140、マイクロレンズ部150、受光部160から構成される。
【0132】
偏向部140は、偏向光学要素の一例としての複数のプリズム要素142a〜cを含む。マイクロレンズ部150は、複数のマイクロレンズ152a〜cを含む。受光部160は、複数の受光素子162a〜cを有する。本図では、説明を分かり易くするために、3個の受光素子162a〜c、3個のマイクロレンズ152a〜c、3個のプリズム要素142a〜cを図示しているが、これらの光学要素をそれぞれ3個しか有さないことを示しているわけではない。被写体を撮像すべく任意の数を各光学要素が有することはいうまでもない。
【0133】
本実施形態の受光ユニット20は、1つのマイクロレンズに対応して1つの受光素子が備えられている。図21の例では、マイクロレンズ152aに対応して受光素子162a、マイクロレンズ152bに対応して受光素子162b、マイクロレンズ152cに対応して受光素子162cがそれぞれ配置されている。
【0134】
マイクロレンズ152aは、レンズ100aにより結像された被写体光を再結像して、受光素子162aに受光させる。同様に、マイクロレンズ152b、cは、レンズ100aにより結像された被写体光をそれぞれ再結像して、それぞれ受光素子162b、cに受光させる。マイクロレンズ152は、受光素子162のそれぞれへの光束が通過する射出瞳120の大きさを制限する。例えば、マイクロレンズ152は、射出瞳120の一部領域を通過した光を各受光素子162に受光させる大きさの屈折力を持つ。例えばマイクロレンズ152は、射出瞳120の1/4以下の面積の領域を通過した光を各受光素子162に受光させる屈折力を有することができる。
【0135】
また本実施形態の受光ユニット20は、1つのマイクロレンズに対応して1つのプリズム要素が備えられている。図21の例では、プリズム要素142aに対応してマイクロレンズ152a、プリズム要素142bに対応してマイクロレンズ152b、プリズム要素142cに対応してマイクロレンズ152cがそれぞれ配置されている。
【0136】
このように、プリズム要素142、マイクロレンズ152、および、受光素子162は、互いに一対一に対応して設けられる。例えば、プリズム要素142aは、マイクロレンズ152aおよび受光素子162aに対応して設けられる。プリズム要素142、マイクロレンズ152および受光素子162のうちの互いに対応する光学要素の組は、符号の添え字a〜cで区別される。
【0137】
プリズム要素142は、予め定められた瞳領域122を通過した被写体光を、対応する受光素子162にそれぞれ受光させる光学要素の一例である。具体的には、プリズム要素142aは、レンズ系100の射出瞳120における瞳領域122aを通過した被写体光130aを、マイクロレンズ152aを介して受光素子162aに受光させる。また、プリズム要素142bは、レンズ系100の射出瞳120における瞳領域122bを通過した被写体光130bを、マイクロレンズ152bを介して受光素子162bに受光させる。一方、プリズム要素142cは、レンズ系100の射出瞳120における瞳領域122cを通過した被写体光130cを、マイクロレンズ152cを介して受光素子162cに受光させる。
【0138】
色分離フィルタ部100bにより、瞳領域122aを通過した光はBの波長域、瞳領域122bを通過した光はRの波長域を、瞳領域122cを通過した光はGの波長域を有している。したがって、受光素子162aはBの波長域の光を受光し、受光素子162bはRの波長域の光を受光し、受光素子162cはGの波長域の光を受光する。
【0139】
このように、プリズム要素142は、レンズ110の射出瞳120における予め定められた瞳領域122を通過した被写体光を、複数の受光素子162のうちの対応する受光素子162にそれぞれ受光させる。
【0140】
なお、制御部180は、偏向部140が被写体光を偏向させる向きを制御する。例えば、制御部180は、プリズム要素142のプリズム角を制御する。偏向部140による偏向の向きを制御部180が制御することより、例えば、各受光素子にいずれの瞳領域を通過する光を受光させるかを制御することができる。制御部180による具体的な制御内容については後述する。
【0141】
図22は、偏向部140、マイクロレンズ部150および受光部160の構成の一例を模式的に示す図である。本実施形態において、偏向部140が有する複数のプリズム要素142は、屈折率が互いに異なる液体の界面で形成される液体プリズム要素である。プリズム要素142のプリズム角は、液体界面の角度で定まる。
【0142】
偏向部140は、第1液体および第2液体を保持するハウジング200、仕切板242、駆動部290を有する。仕切板242は、ハウジング200の内部を、レンズ系100の光軸に沿って第1液体が充填される第1液体領域210と第2液体が充填される第2液体領域220とに分割する。第1液体と第2液体は、屈折率が互いに異なり、かつ、水と油のように接触状態において互いに混合しない性質を持つ。第1液体および第2液体の組み合わせとして、PDMS(Poly−Dimethyl−Siloxane)および純水を例示することができる。ここでは第2液体の屈折率よりも第1液体の屈折率の方が大きいとする。また、第1液体および第2液体のそれぞれの密度は実質的に等しいことが好ましい。
【0143】
仕切板242には、複数のプリズム要素142a〜dが形成される位置に対応して複数の貫通孔250a〜dが形成される。図21に例示したプリズム要素142a〜cは、それぞれ貫通孔250a〜cが形成された位置に形成される。ハウジング200の物体側の面または像側の面から見た貫通孔250の形状は、正方形、長方形、台形、円または楕円等であってよく、その他の種々の形状であってよい。
【0144】
ハウジング200の物体側の面および像側の面には、ガラスなどの透光性の材料で形成された透光部が形成される。透光部は、貫通孔250、マイクロレンズ152および受光素子162に対応する位置に形成され、被写体光は物体側の面に形成された透光部、貫通孔250、像側の面に形成された透光部を通過して、対応するマイクロレンズ152に入射する。なお、ハウジング200の物体側の面および像側の全面が、ガラスなどの透明な材料から形成されてもよい。
【0145】
仕切板242は、仕切部240−1〜5を含む。貫通孔250は、対向する仕切部240の間の空間で形成される。仕切部240は第1液体と第2液体とを接触させない。第1液体および第2液体は、貫通孔250内で互いに接触して、プリズム要素142となる界面を形成する。
【0146】
貫通孔250aは、側面部252a(第1側面部に相当)および側面部254a(第2側面部に相当)を持つ。側面部252aおよび側面部254aは、それぞれ仕切部240−1および仕切部240−2の対向する側面部である。側面部252aは、レンズ系100の光軸方向に沿って第1の厚さを持ち、側面部254aは、レンズ100aの光軸方向に沿って第2の厚さを持つ。つまり、貫通孔250aは、厚さの異なる仕切板242の側面部252aおよび側面部254aを含む側面に包囲されて形成される。例えば、貫通孔250aが四角形の開口を持つ場合、貫通孔250aは、側面部252aと、側面部254aと、側面部252aおよび側面部254aを結合する2の側面部とにより包囲されて形成される。ここでは第2の厚さが第1の厚さより大きいとする。
【0147】
貫通孔250bは、側面部252bおよび側面部254bを持つ。側面部252bおよび側面部254bは、それぞれ仕切部240−2および仕切部240−3の対向する側面部である。側面部252bは、レンズ系100の光軸方向に沿って第2の厚さを持ち、側面部254bは、レンズ系100の光軸方向に沿って第3の厚さを持つ。第3の厚さは、第1の厚さより大きく第2の厚さより小さいとする。貫通孔250aとは異なり、貫通孔250bは、複数の貫通孔250が並ぶ方向に、第1の厚さの側面部252b、第3の厚さの側面部254bを順に有する。その他の点は、貫通孔250aと同様であるので説明を省略する。
【0148】
貫通孔250cは、側面部252cおよび側面部254cを持つ。側面部252cおよび側面部254cは、それぞれ仕切部240−3および仕切部240−4の対向する側面部である。貫通孔250cは、第3の厚さを有する側面部252cと、第4の厚さを有する側面部254cとにより形成される。第4の厚さは、第1の厚さより小さいとする。ここで、第2の厚さと第3の厚さとの差は、第3の厚さと第4の厚さとの差とは異なるとする。
【0149】
貫通孔250dは、貫通孔250aと同様の形状を持つ。貫通孔250dは、第1の厚さを有する側面部252dと、第2の厚さを有する側面部254dとにより形成される。側面部252dおよび側面部254dは、それぞれ仕切部240−4および仕切部240−5によって提供される。仕切部240−4は、一方の側に第4の厚さの側面部254cを持ち、他方の側に第1の厚さの側面部252dを持つ。本実施形態では貫通孔250dまでしか例示していないが、仕切板242には、貫通孔250a、貫通孔250b、貫通孔250cがこの順で等間隔に繰り返して一列に形成される。
【0150】
第1液体領域210に充填された第1液体の圧力を特定の圧力にすると、当該圧力に応じて、液体の圧力差と表面張力とが釣り合うように平面状の界面が形成される。各貫通孔250内において第2液体が充填された状態で釣り合った状態となるよう第1液体の圧力を第1圧力にすると、プリズム要素282のように本図の破線で示す液体界面が形成される。具体的には、各貫通孔250において、側面部252の第1液体領域210側の端部と側面部254の第1液体領域210側の端部で液体界面が担持される。仕切板242は第1液体側において略平面状の端面を持つ。すなわち、仕切部240のそれぞれの第1液体側は略同一平面を形成する。当該端面はハウジング200の像側と平行であるので、破線で示す液体界面は、プリズム効果を実質的に有さない。
【0151】
一方、各貫通孔250内において第1液体が充填された状態で釣り合った状態となるよう、第1液体の圧力を第1圧力より高めて第2圧力にすると、液体界面の位置は第2液体側に移動して、プリズム要素281のように本図の実線で示す液体界面が形成される。例えば、各貫通孔250において、側面部252の第2液体領域220側の端部および側面部254の第2液体領域220側の端部に液体界面が担持される。この液体界面の傾きは、各貫通孔250を形成する側面部の厚さに応じた傾きになる。したがって、この状態では、異なる3種類の角度のプリズム角を持つプリズムが順に繰り返し形成されたプリズム列が形成される。
【0152】
マイクロレンズ部150および受光部160の構成について説明する。複数のマイクロレンズ152は、複数の貫通孔250に対応して透明基板上に設けられる。受光部160は、遮光部262および複数の受光素子162を有する。複数の受光素子162は、貫通孔250に対応して設けられる。すなわち、マイクロレンズ152および受光素子162は、複数の貫通孔250に対応してそれぞれ設けられる。
【0153】
遮光部262は、隣接画素との間の干渉を防ぐべく、複数の受光素子162のそれぞれの受光開口を画定する開口264が、複数の受光素子162のそれぞれに対応する位置に形成されている。被写体光は、貫通孔250、マイクロレンズ152を通じて受光素子162に向かう。複数の受光素子162は、対応する開口264を通過した光をそれぞれ受光して、光電変換により撮像信号を形成する電圧信号をそれぞれ生成する。
【0154】
本図の破線で示した液体界面が形成されている状態では、当該液体界面はプリズム効果を有しない。このため、この状態では、受光素子162は、射出瞳120のうちの光軸を中心とする領域を通過した光を受光する。したがって、複数の受光素子162によって形成される画像は、レンズ系100の光軸近傍領域に対応する色分離フィルタ部100bの領域の透過特性に基づく色の画像となる。この場合、1色での撮影となるが、高解像度の画像を得ることができる。
【0155】
また、ターレット切り替え式フィルタ装置3000を用いて、レンズ100aの光路上のフィルタを色分離フィルタ部100b以外の単色のフィルタ等に交換した場合に有効である。
【0156】
本図の実線で示した液体界面が形成されている状態では、貫通孔250a〜cには、異なるプリズム角を持つ液体界面が形成される。したがって、この状態では、受光素子162a〜cが受光する光束の向きは、射出瞳120の互いに異なる瞳領域122に向けられる。ここでは、貫通孔250aに形成される液体界面、貫通孔250bに形成される液体界面および貫通孔250cに形成される液体界面が、それぞれ図21で例示したプリズム要素142a、プリズム要素142bおよびプリズム要素142cを形成する。この状態では、色分離フィルタ部100bの領域毎の透過波長特性に基づく複数の色の画像を得ることができる。
【0157】
このように、プリズム要素142は、屈折率が互いに異なる第1液体と第2液体との間の液体界面でプリズム界面が形成される液体プリズム要素である。制御部180は、複数のプリズム要素142にそれぞれ対応する受光素子162の受光する光束の向きを制御すべく、レンズ系100の光軸に対するプリズム界面の傾きを制御する。具体的には、制御部180は、貫通孔250の側面部252における液体界面の位置および側面部252に対向する側面部254における液体界面の位置を制御することにより、光軸に対するプリズム界面の傾きを制御する。
【0158】
例えば、制御部180は、第1液体領域210に連通する液体領域230内の圧力を制御することにより、第1液体の圧力を制御する。具体的には、ハウジング200は、液体領域230内の第1液体に接する弾性面280を持つ。また、偏向部140は、液体領域230の体積を制御すべく弾性面280を変位させる駆動部290を有する。駆動部290としては、圧電素子を有することができる。圧電素子はピエゾ素子であってよい。制御部180は、圧電素子に印加する電圧を制御して圧電素子の形状を変化させ、それにより弾性面280に当接する先端部を紙面左右方向に変位させる。
【0159】
制御部180は、第1液体と第2液体の界面を貫通孔250の側面部に沿って物体側の方向に移動させる場合には、液体領域230の体積が減少する方向に駆動部290の先端部を変位させる。これにより、第1液体の内圧が高まり、液体界面は物体側の方向に移動する。制御部180は、貫通孔250の側面部に沿って像側方向に液体界面を移動させる場合には、液体領域230の体積が増加する方向に駆動部290の先端部を変位させる。これにより、第1液体の内圧が低下して、液体界面は像側の方向に移動する。
【0160】
本実施形態の偏向部140のように、制御部180が液体領域210の内圧を制御することにより、貫通孔250の側面部252での液体界面の位置および当該側面部252に対向する側面部254での液体界面の位置が制御され、したがって光軸に対する液体界面の傾きが制御される。すなわち、制御部180は、液体領域210の内圧を制御することにより、プリズム要素142の傾きを制御することができる。特に本実施形態の仕切板242のように、制御部180が仕切部240の両側面部で囲まれる領域内に第1液体が充填された状態と、当該領域内に第2液体が充填された状態との間で切り替えることにより、光軸に対する液体界面が異なる傾きに切り替えられる。本実施形態の偏向部140によれば、制御部180は、射出瞳120における光軸を含む瞳領域を通過した被写体光130を受光素子162に受光させる場合に、光軸に対して液体界面を略直交させ、射出瞳120における光軸を含まない瞳領域122を通過した被写体光130を受光素子162に受光させる場合に、光軸に対して液体界面を傾斜させることができる。液体領域210の内圧を制御することにより受光素子162の受光する光束の向きを高速に制御することができるので、多色の撮影と単色の撮影とを高速に切り替えることができる。
【0161】
図23は、光軸に垂直な面で偏向部140を切断した模式断面を示す図である。本図は、図22の仕切板242を切断した模式断面を例示する。被写体光は紙面に向かって進行するとし、参照のために受光素子162の位置を破線で模式的に示した。図示されるように、仕切板242には貫通孔250がマトリクス状に形成される。受光素子162も貫通孔250に対応する位置に設けられる。すなわち、貫通孔250および複数の受光素子162はマトリクス状に配置される。貫通孔250および受光素子162は、行方向350および列方向360に略等間隔で設けられる。
【0162】
具体的には、仕切部240−1、仕切部240−2、仕切部240−3および仕切部240−4は、列方向360に延伸する部材である。これらの行の間は、行方向350に延伸する部材で仕切られる。これにより、貫通孔250a〜dの他に、行方向350に並ぶ貫通孔の列が、複数形成される。例えば、貫通孔250aを先頭とする行、貫通孔250eを先頭とする行、貫通孔250fを先頭とする行に、行方向350に並ぶ貫通孔の列が形成される。
【0163】
図22に関連して説明したように、仕切部240−1は、レンズ系100の光軸方向に沿って第1の厚さの側面部を側部に持つ。また、仕切部240−2は、レンズ系100の光軸方向に沿って第2の厚さの側面部を両側部に持つ。仕切部240−3は、レンズ系100の光軸方向に沿って第3の厚さの側面部を両側部に持つ。仕切部240−4は、レンズ系100の光軸方向に沿って第4の厚さの側面部と第1の厚さの側面部とを側部に持つ。つまり、仕切板242は、対向する側面部の間で厚さの差を呈する仕切部を持つ。また、隣り合う貫通孔250の間で当該厚さの差が異なるよう、2種類以上の仕切部が順次に形成される。これにより、行方向350に互いに異なるプリズム角を提供する貫通孔250が複数の行に順次に配置される。
【0164】
本図では3種類の傾きを持つプリズム角を同時に形成すべく3種類の仕切部を形成する仕切板242を例示した。2種類以上のプリズム角度を同時に形成する場合は、2種類の仕切部が交互に形成されるようにすればよい。つまり、レンズ系100の光軸方向に沿って第1の厚さの側面部を両側部に持つ第1仕切部と、光軸方向に沿って第2の厚さの側面部を両側部に持つ第2仕切部とによって、貫通孔250が形成されればよい。具体的には、貫通孔250は、第1仕切部の側面部と、第1仕切部に隣り合う第2仕切部の側面部とによりそれぞれ形成される。そして、制御部180が、仕切部240の側面部で囲まれる領域内に第1液体が充填された状態に制御することで、光軸に対する液体界面の傾きを列方向360に互いに異ならせることができる。
【0165】
また、貫通孔250a〜dは、液体領域210を介して連通している。液体領域210は複数の領域に区画されていてもよいが、区画されていなくてもよい。液体領域210が区画されている場合、区画された複数の液体領域210に対応してそれぞれ駆動部が設けられ、各駆動部は対応する液体領域210内の第1液体の圧力を制御する。本図の例では、行毎に駆動部290、駆動部291、駆動部292が設けられる。これにより、1の駆動部で第1液体領域の内圧を制御する場合と比較して、速やかにプリズム要素を制御することができる。なお、液体領域210が複数の領域に区画されておらず全貫通孔が液体領域210で連通している場合でも、駆動部を複数設けてもよい。すなわち、第1液体領域210の内圧を、複数の駆動部で制御してもよい。
【0166】
図24は、偏向部140の構成の他の一例を模式的に示す図である。図22に例示した偏向部140は、第1状態で射出瞳120の異なる3つの瞳領域を通過する光束でそれぞれ撮像することができ、第2状態では射出瞳120の1つの瞳領域を通過する光束で撮像することができる。本例の偏向部140は、液体界面の状態として三の状態を有し、それぞれの状態で異なる3つの瞳領域を通過する光束でそれぞれ撮像することができる構成を有する。特に、第1液体側および第2液体側における仕切板242の面形状および貫通孔250を形成する側面部の構成が、図22に例示した仕切板242とは異なる。ここでは、その差異を中心に説明する。
【0167】
本例の貫通孔250aは、仕切部640−1が有する第1の厚さの側面部642aと、仕切部640−2が有する第4の厚さの側面部644aとによって形成される。第4の厚さは、第2の厚さよりも厚い。また、本実施形態の貫通孔250aにおいて、両側面部の第2液体側の端点を結ぶ界面は、図22に例示した貫通孔250aの第2液体側で形成される界面と同じプリズム角を持つ。したがって、当該界面で形成されるプリズム要素は、受光素子162aが受光する光を瞳領域122aを通過したものに制限する。そして、本図の破線で示されるように、本実施形態の貫通孔250aにおいて両側面部の第1液体側の端点を結ぶ界面は、光軸に垂直面から傾斜したプリズム角を持つ。当該プリズム角を持つプリズム要素142aは、受光素子162aが受光する光を、射出瞳120において光軸近傍領域と瞳領域122cと間の瞳領域を通過したものに制限する。
【0168】
本例の貫通孔250bは、仕切部640−2が有する第4の厚さの側面部642bと、仕切部640−3が有する第4の厚さの側面部644bとによって形成される。仕切部640−2と仕切部640−3とは、光軸方向に同位置に位置する。このため、第2液体側の端点および第1液体側の端点の双方で、光軸に垂直な界面が形成される。したがって、貫通孔250bに形成される界面は、受光部160bが受光する光を、射出瞳120の光軸近傍領域を通過したものに制限する。
【0169】
本例の貫通孔250cは、仕切部640−3が有する第4の厚さの側面部642cと、仕切部640−4が有する第1の厚さの側面部644bとによって形成される。本例の貫通孔250cにおいて、両側面部の第2液体側の端点を結ぶ界面は、図22に例示した貫通孔250cの第2液体側で形成される界面と同じプリズム角を持つとする。したがって、当該界面で形成されるプリズム要素は、受光素子162cが受光する光を瞳領域122cを通過したものに制限する。そして、本図の破線で示されるように、本例の貫通孔250cにおいて両側面部の第1液体側の端点を結ぶ界面は、光軸に垂直面から傾斜したプリズム角を持つ。当該プリズム角を持つプリズム要素142cは、受光素子162cが受光する光を、射出瞳120において光軸近傍領域と瞳領域122aと間の瞳領域を通過したものに制限する。
【0170】
貫通孔250dは、仕切部640−3が有する第1の厚さの側面部642dと、仕切部640−5が有する第4の厚さの側面部644dとによって形成される。仕切部640−5は、仕切部640−2と同様の部材とする。このため、貫通孔250dに形成されるプリズム要素は、貫通孔250aに形成されるプリズム要素と同様となるので、説明を省略する。
【0171】
また、本例の仕切板242によれば、プリズム要素680−2のように本図の一点鎖線で示したプリズム要素が形成される。一点鎖線で示したプリズム要素は、プリズム要素680−1のような実線で示したプリズム角よりも傾斜が小さく、プリズム要素680−3のような破線で示したプリズム角よりも傾斜が大きいプリズム角を持つ。本図の一点鎖線で示したプリズム要素を安定して保持する構成については、図25に関連して説明する。
【0172】
制御部180は、液体領域210の内圧を制御することにより、本実施形態例の実線、破線、一点鎖線のいずれかの状態に液体界面の傾きを制御することができる。すなわち、制御部180は、射出瞳120における光軸を含まない瞳領域122を通過した被写体光130を受光素子162に受光させる場合に、光軸に対して液体界面を第1の傾きに傾斜させ、射出瞳120における光軸を含まない他の瞳領域122を通過した被写体光130を受光素子162に受光させる場合に、光軸に対して液体界面を第2の傾きに傾斜させる。
【0173】
本例の偏向部140によれば、本図の実線、一点鎖線および破線で示したように、液体界面は三の状態に制御することができる。このため、異なる組み合わせのプリズム角で撮像することができる。すなわち、各プリズム角に対応する瞳領域の透過波長特性に基づく色の画像を取得することができる。
【0174】
図25は、仕切板242の変形例を示す図である。図24に例示した仕切板242の、特に図24のB部を取り上げて、仕切板242の変形例を説明する。
【0175】
側面部642aには、貫通孔250aの内側に向かう突起部700および突起部701が形成される。側面部644aには、貫通孔250aの内側に向かう突起部702、突起部703および突起部704が形成される。いずれの突起部も、液体界面がトラップされる程度の厚みを有する。突起部703は、光軸方向において、突起部700よりも液体領域220側に位置する。
【0176】
第1状態では、液体領域220側の端部の突起部700の先端と、液体領域220側の端部の突起部702の先端との間に界面が形成されて、プリズム要素680−1となる。第2状態では、液体領域210側の端部の突起部701の先端と、液体領域210側の端部の突起部704の先端との間に界面が形成されて、プリズム要素680−3となる。第3状態では、液体領域220側の端部の突起部700の先端と、側面部644aの突起部703の先端との間に界面が形成されて、プリズム要素680−2となる。
【0177】
本例によると、側面部642aおよび側面部644aが突起部を有しているので、液体界面が当該突起部の先端にトラップされやすくなる。そのため、プリズム角の制御を安定して行うことができる。
【0178】
本例では、図24のB部を取り上げて、貫通孔250aに形成される突起部を説明した。仕切板242が有する全ての貫通孔250に意図した位置に界面をトラップさせるべく突起部を形成してよく、図22、図23において説明した仕切板242の貫通孔250にも、意図した位置に界面をトラップさせるべく突起部を形成してよいことはいうまでもない。
【0179】
このように、制御部180は、レンズ系100の色分離フィルタ部100bが有する透過波長特性に基づいて、被写体光が受光部160に結像するよう、受光部160に受光させる瞳領域122の組み合わせを選択する。具体的には、制御部180は、対応する受光素子162が受光する光束の向きを、受光部160の位置に結像する被写体光が通過する瞳領域122に指向させるべく、プリズム界面の傾きを制御する。また、制御部180は、レンズ系100の色分離フィルタ部100bが有する透過波長特性に基づいて、いずれの瞳領域122を通過した光で撮像するかを制御することができる。
【0180】
〔第10の実施形態〕
図26は、第10の実施形態に係る撮像装置1110のブロック構成の一例を示す図である。本実施形態の撮像装置1110は、レンズ系100、受光ユニット20、画像生成部170および画像記録部190を備える。本実施形態の受光ユニット20は、図21から図25にかけて説明した偏向部140に替えて、偏光フィルタ部1140を偏向光学要素として有する。
【0181】
本実施形態の撮像装置1110では、レンズ系100は、レンズ100a、色分離フィルタ部(図26では不図示)および偏光フィルタ部100cを有する。偏光フィルタ部100cは、射出瞳の近傍に設けられる。偏光フィルタ部100cは、レンズ系100の射出瞳における異なる瞳領域に対応して設けられた第1偏光フィルタ1132および第2偏光フィルタ1134を持つ。また色分離フィルタ部(図26では不図示)も同様に、レンズ系100の射出瞳における異なる瞳領域に対応して各色フィルタが設けられているものとする。
【0182】
第1偏光フィルタ1132および第2偏光フィルタ1134には、それぞれ対応する瞳領域を通過した光が入射する。第1偏光フィルタ1132および第2偏光フィルタ1134は、それぞれ互いに直交する偏光成分を選択的に通過する。直交する偏光成分の組み合わせとしては、偏光方位が互いに直交する直線偏光成分を例示することができる。直交する偏光成分の組み合わせとして、他にも右回り円偏光成分と左回り円偏光成分との組み合わせを例示することができる。
【0183】
マイクロレンズ部150は複数のマイクロレンズ152を有する。本例では、マイクロレンズ152は、射出瞳の略全面を通過した光を受光素子162に向けて集光する大きさの屈折力を持つ。マイクロレンズ152が有する屈折力は、これまで説明したマイクロレンズが有する屈折力よりも小さくてよい。偏光フィルタ部1140は、複数の受光素子162に対応して設けられた複数の偏光フィルタ1142を持つ。偏光フィルタ1142のうち、偏光フィルタ1142aは、第2偏光フィルタ1134が透過する偏光成分を通過させ、第1偏光フィルタ1132が通過する偏光成分を通過させない。偏光フィルタ1142のうち、偏光フィルタ1142bは、第1偏光フィルタ1132が透過する偏光成分を通過させ、第2偏光フィルタ1134が通過する偏光成分を通過させない。偏光フィルタ部1140は、偏光フィルタ1142aおよび偏光フィルタ1142bの組を複数有する。
【0184】
受光素子162は、対応する偏光フィルタ1142が通過した光を受光する。具体的には、受光素子162aは、偏光フィルタ1142aが通過した光を受光する。受光素子162bは、偏光フィルタ1142bが通過した光を受光する。したがって、受光素子162aが受光する光は、第2偏光フィルタ1134を通過したものに制限される。受光素子162bが受光する光は、第1偏光フィルタ1132を通過したものに制限される。このため、受光素子162aと受光素子162bとは、色分離フィルタ部(図26では不図示)の互いに異なる透過波長特性を持つ光学面を通過した光を受光する。画像生成部170は、受光素子162aなど第2偏光フィルタ1134を通過した光を受光した受光素子162から対応する色の画像を生成する。また、画像生成部170は、受光素子162bなど第1偏光フィルタ1132を通過した光を受光した受光素子162から対応する色の画像を生成する。本実施形態の撮像装置1110によっても、複数の色の異なる画像を同時に撮像することができる。
【0185】
このように、本実施形態の撮像装置1110は、複数の瞳領域において互いに異なる偏光成分を透過する第1偏光フィルタ1132および第2偏光フィルタ1134と、複数の受光素子162に対応して設けられ、異なる偏光成分をそれぞれ透過する偏光フィルタ1142aおよびbをそれぞれ複数有する。
【0186】
図27は、撮像装置1110の変形例を示す図である。図26で例示した撮像装置1110では2種類の色で撮像することができるのに対して、本例の撮像装置1110は、4種類の色で撮像することができる構成を有する。ここでは本例の撮像装置1110の構成を、主としてレンズ系100の構成の相違を中心に説明する。
【0187】
レンズ系100は、図26の偏光フィルタ部100cに替えて、レンズ系100の射出瞳1122の近傍に設けられた偏光フィルタ100dを有する。偏光フィルタ100dは、第1偏光フィルタ1232a、第1偏光フィルタ1232b、第2偏光フィルタ1234aおよび第2偏光フィルタ1234bを有する。
【0188】
第1偏光フィルタ1232aおよび第2偏光フィルタ1234aは、射出瞳1122の瞳領域1222aにおける異なる領域に対応して設けられる。第1偏光フィルタ1232aおよび第2偏光フィルタ1234aには、それぞれ対応する領域を通過した光が入射する。第1偏光フィルタ1232aおよび第2偏光フィルタ1234aは、それぞれ互いに直交する偏光成分を選択的に通過する。
【0189】
第1偏光フィルタ1232bおよび第2偏光フィルタ1234bは、射出瞳1122の瞳領域1122bにおける異なる領域に対応して設けられる。第1偏光フィルタ1232bおよび第2偏光フィルタ1234bには、それぞれ対応する領域を通過した光が入射する。第1偏光フィルタ1232bおよび第2偏光フィルタ1234bは、それぞれ互いに直交する偏光成分を選択的に通過する。
【0190】
本例の撮像装置1110が有する受光部160に向かう光束は、瞳領域1122aおよび瞳領域1122bのいずれか一方を通過したものに制限される。例えば、図1から図3に関連して説明したように、1つのマイクロレンズ152に対応して設けられた受光素子群1162の複数の受光素子によって、受光部160に入射した光束を制限することができる。また、図4に関連して説明したように、マイクロレンズ152の偏倚によって、受光部160に向かう光束を制限することができる。また、図5、図6に関連して説明したように、受光部160に向かう光束を遮光部によって制限することができる。
【0191】
瞳領域1122aを通過した光を受光する受光素子162のうち、偏光フィルタ1142aに対応して設けられた受光素子162は、第1偏光フィルタ1232aを通過した光を受光することができる。したがって、当該受光素子162が受光する光は、第1偏光フィルタ1232aを通過したものに制限される。一方、瞳領域1222aを通過した光を受光する受光素子162のうち、偏光フィルタ1142bに対応して設けられた受光素子162は、第2偏光フィルタ1234aを通過した光を受光することができる。したがって、当該受光素子162が受光する光は、第2偏光フィルタ1234aを通過したものに制限される。
【0192】
また、瞳領域1122bを通過した光を受光する受光素子162のうち、偏光フィルタ1142aに対応して設けられた受光素子162は、第1偏光フィルタ1232bを通過した光を受光することができる。したがって、当該受光素子162が受光する光は、第1偏光フィルタ1232bを通過したものに制限される。一方、瞳領域1222bを通過した光を受光する受光素子162のうち、偏光フィルタ1142bに対応して設けられた受光素子162は、第2偏光フィルタ1234bを通過した光を受光することができる。したがって、当該受光素子162が受光する光は、第2偏光フィルタ1234bを通過したものに制限される。
【0193】
本例では、偏向光学要素によって、瞳領域1122aと瞳領域1122bのように2以上の瞳領域に分割される。そして、分割された瞳領域は、少なくとも一方の瞳領域が偏光フィルタでさらに分割される。つまり、撮像装置1110は、偏向光学要素および偏光フィルタの組み合わせにより、3以上の異なる瞳領域を通じて別個に撮像することができる。このため、3以上の異なる透過波長特性で撮像することができる。
【0194】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0195】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0196】
10、1010、1110…撮像装置、20…受光ユニット、100…レンズ系、100a…レンズ、100b…色分離フィルタ部、100c、100d…偏光フィルタ、120、220、1120…射出瞳、122、222、1122…瞳領域、140…偏向部、142…プリズム要素、150…マイクロレンズ部、152、952、1052、1252…マイクロレンズ、160…受光部、161、1161、2161…受光素子群、162、1162…受光素子、170…画像生成部、180…制御部、190…画像記録部、200…ハウジング、210、220、230…液体領域、240、640…仕切部、242…仕切板、250…貫通孔、252、254、642、644…側面部、262…遮光部、264、1264…開口、281、282、680…プリズム要素、290、291、292…駆動部、280…弾性面、350…行方向、360…列方向、400…像面、700、701、702、703、704…突起部、1060、1070…遮光部、1062、1072…開口、1130、1140…偏光フィルタ部、1132、1232…第1偏光フィルタ、1134、1234…第2偏光フィルタ、1142…偏光フィルタ、2262、2263…遮光マスク、3000…ターレット切り替え式フィルタ装置、3002…ターレット、3010、3012、3014、3016…光学フィルタ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像レンズと該結像レンズの領域毎に透過波長域を異ならせる光学フィルタとを有する撮像光学系と、
受光素子を複数有するモノクロの受光部と、
複数の前記受光素子にそれぞれ対応して設けられ、前記撮像光学系の射出瞳における予め定められた瞳領域を通過した被写体光を、対応する受光素子にそれぞれ受光させる複数の光学要素と、
前記複数の受光素子の撮像信号から、被写体の画像を生成する画像生成部と
を備え、
前記複数の光学要素のうちの複数の第1光学要素は、前記撮像光学系の第1の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第1瞳領域を通過する被写体光を、対応する受光素子へ入射させ、
前記複数の光学要素のうちの複数の第2光学要素は、前記撮像光学系の第2の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第2瞳領域を通過する被写体光を、対応する受光素子へ入射させることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記光学フィルタは、三原色のカラーフィルタを含むことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記光学フィルタは、前記結像レンズの中心からの距離により区分された円形及び円環形状のフィルタからなり、円形および円環形状のフィルタ毎に透過波長域が異なることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記光学フィルタは、前記受光部に対して特定の波長域の光量を多く与えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記結像レンズは、該結像レンズの領域毎に異なるMTF特性を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記光学フィルタは、前記結像レンズに対して特定の波長域に高周波成分を多く与えることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
フィルタ交換手段を備え、前記光学フィルタは、波長選択性の異なる複数種類のフィルタから任意に選択可能であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記複数の光学要素の各光学要素は、複数の受光素子単位毎に設けられたマイクロレンズであり、前記撮像光学系の第1の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第1瞳領域を通過する被写体光を第1の受光素子へ入射させ、前記撮像光学系の第2の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第2瞳領域を通過する被写体光を第2の受光素子へ入射させることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記複数の光学要素は、それぞれ前記予め定められた瞳領域を通過した被写体光を、対応する前記受光素子に受光させるべく光軸を前記受光素子の受光開口に対して偏倚して設けられたマイクロレンズであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記複数の光学要素はそれぞれ、対応する受光素子に対し前記予め定められた瞳領域への指向性を持つ開口が形成された遮光要素であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記複数の光学要素は、複数の前記瞳領域において互いに異なる偏光成分を透過する第1偏光フィルタと、前記複数の受光素子にそれぞれ対応して設けられ、前記異なる偏光成分をそれぞれ透過する第2偏光フィルタとを有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記複数の光学要素はそれぞれ、前記予め定められた瞳領域を通過した被写体光を対応する受光素子に受光させるプリズム要素であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記複数の光学要素は、焦点距離をそれぞれ異ならせたマイクロレンズと円環形状の開口を形成する遮光要素であることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項1】
結像レンズと該結像レンズの領域毎に透過波長域を異ならせる光学フィルタとを有する撮像光学系と、
受光素子を複数有するモノクロの受光部と、
複数の前記受光素子にそれぞれ対応して設けられ、前記撮像光学系の射出瞳における予め定められた瞳領域を通過した被写体光を、対応する受光素子にそれぞれ受光させる複数の光学要素と、
前記複数の受光素子の撮像信号から、被写体の画像を生成する画像生成部と
を備え、
前記複数の光学要素のうちの複数の第1光学要素は、前記撮像光学系の第1の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第1瞳領域を通過する被写体光を、対応する受光素子へ入射させ、
前記複数の光学要素のうちの複数の第2光学要素は、前記撮像光学系の第2の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第2瞳領域を通過する被写体光を、対応する受光素子へ入射させることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記光学フィルタは、三原色のカラーフィルタを含むことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記光学フィルタは、前記結像レンズの中心からの距離により区分された円形及び円環形状のフィルタからなり、円形および円環形状のフィルタ毎に透過波長域が異なることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記光学フィルタは、前記受光部に対して特定の波長域の光量を多く与えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記結像レンズは、該結像レンズの領域毎に異なるMTF特性を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記光学フィルタは、前記結像レンズに対して特定の波長域に高周波成分を多く与えることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
フィルタ交換手段を備え、前記光学フィルタは、波長選択性の異なる複数種類のフィルタから任意に選択可能であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記複数の光学要素の各光学要素は、複数の受光素子単位毎に設けられたマイクロレンズであり、前記撮像光学系の第1の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第1瞳領域を通過する被写体光を第1の受光素子へ入射させ、前記撮像光学系の第2の透過波長域を持つ領域および前記射出瞳における第2瞳領域を通過する被写体光を第2の受光素子へ入射させることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記複数の光学要素は、それぞれ前記予め定められた瞳領域を通過した被写体光を、対応する前記受光素子に受光させるべく光軸を前記受光素子の受光開口に対して偏倚して設けられたマイクロレンズであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記複数の光学要素はそれぞれ、対応する受光素子に対し前記予め定められた瞳領域への指向性を持つ開口が形成された遮光要素であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記複数の光学要素は、複数の前記瞳領域において互いに異なる偏光成分を透過する第1偏光フィルタと、前記複数の受光素子にそれぞれ対応して設けられ、前記異なる偏光成分をそれぞれ透過する第2偏光フィルタとを有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記複数の光学要素はそれぞれ、前記予め定められた瞳領域を通過した被写体光を対応する受光素子に受光させるプリズム要素であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記複数の光学要素は、焦点距離をそれぞれ異ならせたマイクロレンズと円環形状の開口を形成する遮光要素であることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2012−247645(P2012−247645A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119532(P2011−119532)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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