説明

撮像装置

【課題】所定の周期パターンの場合でも適切にフォーカス調節できる撮像装置を提供すること。
【解決手段】撮像装置201は、結像光学系209の異なる領域を通過した光束を受光する焦点検出画素を含む撮像素子212と、焦点検出画素からの信号を用いて、異なる領域に対応する光束がそれぞれ形成する像の位相差に基づくデフォーカス情報を検出する焦点検出手段214と、焦点検出画素からの信号が所定の周期パターンを有するか否かを判定する判定手段214と、判定手段214による判定結果およびデフォーカス情報に基づいてフォーカス調節光学系210の移動を制御するフォーカス制御手段214、206と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
結像光学系の異なる領域を通過した光束を受光する焦点検出用画素を撮像素子に設け、該焦点検出用画素からの出力信号を用いて焦点調節状態を検出する撮像面位相差検出方式のオートフォーカス(以下AFという)技術が知られている(特許文献1参照)。従来技術では、画素ピッチと模様の周波数のずれに起因する周期パターン(モアレと呼ばれる)による影響を避けるため、特定のパターンを検出した場合に位相差検出方式に代えてコントラスト検出方式のAFを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−217252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
異なるAF方式へ代えてしまう場合は、AF方式の違いによる誤差が生じるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による撮像装置は、結像光学系の異なる領域を通過した光束を受光する焦点検出画素を含む撮像素子と、焦点検出画素からの信号を用いて、異なる領域に対応する光束がそれぞれ形成する像の位相差に基づくデフォーカス情報を検出する焦点検出手段と、焦点検出画素からの信号が所定の周期パターンを有するか否かを判定する判定手段と、判定手段による判定結果およびデフォーカス情報に基づいてフォーカス調節光学系の移動を制御するフォーカス制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明による撮像装置では、所定の周期パターンの場合でも、適切にフォーカス調節できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態によるデジタルカメラの構成を例示する図である。
【図2】撮影画面上の焦点検出位置を例示する図である。
【図3】撮像素子の焦点検出エリアの近傍を拡大した図である。
【図4】焦点検出画素列の拡大図である。
【図5】焦点検出画素列に入射される光束を説明する図である。
【図6】焦点検出処理時にボディ制御部が行う処理の流れを説明するフローチャートである。
【図7】モアレ判定処理の詳細を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態によるデジタルカメラシステムの構成を例示する図である。デジタルカメラシステム201は、交換レンズ202とカメラボディ203から構成される。交換レンズ202は、マウント部204を介してカメラボディ203に装着される。
【0009】
交換レンズ202は、レンズ制御部206、撮影レンズ209、ズームレンズ208、フォーカシングレンズ210、および絞り211を含む。レンズ制御部206は、マイクロコンピューターとメモリなどで構成され、フォーカシングレンズ210と絞り211の駆動制御、絞り211、ズームレンズ208およびフォーカシングレンズ210の状態検出、後述するカメラボディ203側のボディ制御部214に対するレンズ情報の送信と、ボディ制御部214からのカメラ情報の受信などを行う。
【0010】
カメラボディ203は、撮像素子212、撮像素子駆動制御部219、ボディ制御部214、液晶表示素子駆動回路215、液晶表示素子216、接眼レンズ217、および操作部材218などを含み、着脱可能なメモリーカード220が装着されている。撮像素子212の撮像面には、後述する画素が二次元状に配列される。撮像素子212は、交換レンズ202の予定結像面に配置されて交換レンズ202により結像される被写体像を撮像する。なお、撮像素子212の所定の焦点検出位置(フォーカスポイント)には焦点検出画素が配列される。焦点検出画素の詳細については後述する。
【0011】
ボディ制御部214は、マイクロコンピューターとメモリなどで構成される。ボディ制御部214は、撮像素子212からの画像信号の読み出し、画像信号に対する補正処理、交換レンズ202による焦点調節状態の検出処理、レンズ制御部206からのレンズ情報の受信、レンズ制御部206へのカメラ情報(デフォーカス量)の送信、デジタルカメラシステム全体の動作制御などを行う。ボディ制御部214とレンズ制御部206は、マウント部204の電気接点部213を介して通信を行うように構成されている。
【0012】
撮像素子駆動制御部219は、ボディ制御部214からの指示に応じて撮像素子212で必要な制御信号を生成する。液晶表示素子駆動回路215は、液晶ビューファインダー(EVF:電気的ビューファインダー)を構成する液晶表示素子216を駆動する。撮影者は、接眼レンズ217を介して液晶表示素子216に表示された像を観察する。メモリーカード220は、画像信号などを格納記憶する記憶媒体である。
【0013】
交換レンズ202によって撮像素子212上に結像された被写体像は、撮像素子212によって光電変換される。撮像素子212は、撮像素子駆動制御部219からの制御信号によって信号蓄積および信号読出しのタイミング(フレームレート)が制御される。撮像素子212から読出された画像信号は、不図示のA/D変換部でデジタルデータに変換されボディ制御部214へ送られる。ボディ制御部214は、フレームごとの画像信号を不図示のメモリに記憶させる。
【0014】
ボディ制御部214は、メモリに記憶されたフレームごとの画像信号のうち焦点検出画素からの出力信号(焦点検出信号)に基づいてデフォーカス量を算出し、このデフォーカス量を示す情報をレンズ制御部206へ送る。また、ボディ制御部214は、撮像素子212上の撮像画素の出力信号(撮像信号)に基づいて生成した画像信号をメモリーカード220に格納するとともに、画像信号を液晶表示素子駆動回路215へ送り、液晶表示素子216に画像を表示させる。
【0015】
カメラボディ203にはシャッターボタン、焦点検出位置の設定部材などを含む操作部材218が設けられており、これらの操作部材218からの操作信号をボディ制御部214が検出し、検出結果に応じた動作(撮像動作、焦点検出位置の設定動作、画像処理動作)の制御を行う。
【0016】
レンズ制御部206は、ズームレンズ208およびフォーカシングレンズ210の位置と絞り211の絞り位置とをモニターし、該モニター情報に応じてレンズ情報を演算したり、あるいは予め用意されたルックアップテーブルからモニター情報に応じたレンズ情報を読み出したりする。レンズ制御部206はさらに、ボディ制御部214から受信したデフォーカス量に基づいてフォーカシングレンズ駆動量を算出し、このレンズ駆動量に基づいてフォーカシングレンズ210を不図示のモーター等で駆動して合焦位置へ移動させる。
【0017】
<撮像素子の説明>
図2は、撮影画面100上の焦点検出位置を例示する図である。本実施形態では、焦点検出位置の1つに撮影画面100の略中央部を含む。焦点検出位置には長方形で例示する焦点検出エリア101が設けられ、この焦点検出エリア101の長手方向に焦点検出画素が並べて配列される。焦点検出画素列は、焦点検出の際に焦点検出用の被写体像を取得する。焦点検出エリア101以外の領域には、撮像画素が配列される。撮像画素は、撮影用の被写体像を取得する。
【0018】
図3は、撮像素子212の詳細な構成を例示する図であり、図2における焦点検出エリア101の近傍を拡大したものである。図3において、画素並びの縦横(画素の行と列)が、撮影画面100(図2)の縦横に対応する。撮像素子212は、撮像用の撮像画素310と焦点検出用の焦点検出画素312、313から構成される。焦点検出エリア101には、焦点検出画素312と焦点検出画素313とが交互に水平方向に配列される。焦点検出画素312および313は、たとえば、撮像画素310のBとGが配置されるべき行に直線的に配置されている。
【0019】
図4は、焦点検出画素列の拡大図である。焦点検出画素列を構成する画素312および313には、それぞれ瞳分割用のマスキングが施されている。具体的には、画素に対応して形成されるオンチップマイクロレンズの略半面、すなわち画素の右半分、または左半分が配線層によって遮光される。各画素において右半面または左半面が交互にマスキングされることにより、横方向に隣接する画素間ではマスキングされた半面同士、またはマスキングされていない半面同士が隣り合う。
【0020】
<デフォーカス演算>
図5は、焦点検出画素列に入射される光束を説明する図である。図5において、左半面がマスキングされている画素のフォトダイオードには左方向からの光束(A成分と呼ぶ)が入射される。また、右半面がマスキングされている画素のフォトダイオードには右方向からの光束(B成分と呼ぶ)が入射される。
【0021】
この結果、A成分の光束が入射される焦点検出画素群から得られる画素出力(焦点検出信号)は、撮影レンズ209の片半分を介して入射された光束による像を表し、B成分の光束が入射される焦点検出画素群から得られる画素出力(焦点検出信号)は、上記撮影レンズ209の他半分を介して入射された光束による像を表す。
【0022】
合焦時は撮像素子212に鮮鋭像が結ばれる状態であるため、上述したように異なる瞳位置に瞳分割された光束による一対の像は撮像素子212上で一致する。つまり、焦点検出画素列を構成する画素群から得られるA成分波形およびB成分波形は、その形状が重なる。
【0023】
一方、非合焦時は撮像素子212の手前で鮮鋭像を結ぶ状態、あるいは撮像素子212の後ろ側に鮮鋭像を結ぶ状態であるため、上記瞳分割された光束による一対の像は撮像素子212上では一致しない。この場合のA成分波形およびB成分波形は、合焦状態からのずれ(デフォーカス量)に応じて、A成分波形とB成分波形の位置関係(ずれ方向およびずれ量)が異なる。
【0024】
ボディ制御部214は、A成分波形およびB成分波形の位置関係に基づいて交換レンズ202による焦点位置の調節状態(デフォーカス量)を算出し、算出結果をカメラ情報としてレンズ制御部206へ送信する。レンズ制御部206がカメラ情報に基づいてフォーカシングレンズ210を光軸方向へ進退移動させると、撮像素子212上に鮮鋭像を結ぶようにフォーカスが調節される。
【0025】
<焦点検出処理>
本実施形態は、上述した焦点検出処理時にモアレを判定した場合の処理に特徴を有するので、以降の説明は焦点検出処理を中心に行う。図6は、焦点検出処理時にボディ制御部214が行う処理の流れを説明するフローチャートである。ボディ制御部214は、たとえば、操作部材218を構成するAF開始ボタン(不図示)が操作されると、図6による処理を繰り返し実行する。
【0026】
図6のステップS11において、ボディ制御部214は、焦点検出画素からの出力信号(焦点検出信号)が示す位相差情報、すなわち、上述したA成分波形およびB成分波形の位置関係に基づいてデフォーカス量を演算し、ステップS12へ進む。ステップS12において、ボディ制御部214は、デフォーカス量を検出成功したか否かを判定する。ボディ制御部214は、デフォーカス量を演算できた場合にステップS12を肯定判定してステップS13へ進む。ボディ制御部214は、デフォーカス量を演算できなかった場合にはステップS12を否定判定してステップS18へ進む。ステップS12を否定判定する場合とは、たとえば、主要被写体に模様が含まれないことに起因してA成分波形およびB成分波形間のずれ(すなわち位相差)を検出できない場合である。
【0027】
ステップS13において、ボディ制御部214はモアレ判定処理を行ってステップS14へ進む。モアレ判定処理の詳細については後述する。ステップS14において、ボディ制御部214はモアレか否かを判断する。ボディ制御部214は、モアレ判定処理(S13)によってモアレを判定している場合に、ステップS14を肯定判定してステップS16へ進む。ボディ制御部214は、モアレ判定処理(S13)によってモアレを判定していない場合には、ステップS14を否定判定してステップS15へ進む。
【0028】
ステップS15において、ボディ制御部214は、デフォーカス演算(S11)で検出したデフォーカス量をフォーカシングレンズ210の駆動制御に採用する。具体的には、検出されているデフォーカス量に基づくカメラ情報をレンズ制御部206へ送り、図6による処理を終了する。カメラ情報を受信したレンズ制御部206が該カメラ情報に基づいてフォーカシングレンズ210を光軸方向へ進退移動させることにより、フォーカスを調節する。
【0029】
ステップS16において、ボディ制御部214は、ステップS11で検出されているデフォーカス量が合焦許可閾値より小さいか否かを判定する。ボディ制御部214は、ステップS11で演算したデフォーカス量の大きさ(絶対値)があらかじめ定めた合焦許可閾値より小さい場合(すなわち合焦と判定できる場合)にステップS16を肯定判定してステップS17へ進む。ボディ制御部214は、ステップS11で演算したデフォーカス量の大きさ(絶対値)が上記合焦許可閾値以上である場合(すなわち合焦と判定できない場合)には、ステップS16を否定判定してステップS15へ進む。一般に、モアレが生じるのはフォーカシングレンズ210が合焦位置の近傍に位置している場合である。このため、モアレ判定(S14を肯定判定)した場合であって、かつ合焦と判定できない場合には、上述したA成分波形およびB成分波形が有する周期パターンに基づいて複数算出されたデフォーカス量のうち最小のデフォーカス量を採用してカメラ情報とするように、ステップS16を否定判定する。
【0030】
ステップS17において、ボディ制御部214は、フォーカシングレンズ210を駆動させることなく図6による処理を終了する。この場合は、既に合焦と判定できることから、フォーカシングレンズ210を移動させる必要がないためである。
【0031】
ステップS18において、ボディ制御部214は、デフォーカス量の検出不能時に行う所定の制御を行って図6による処理を終了する。検出不能時の制御は、たとえば、フォーカシングレンズ210を至近端から無限遠端に向けてスキャン駆動させながらデフォーカス量の演算を所定間隔で繰り返すスキャン動作である。なお、フォーカシングレンズ210の現位置を維持して非駆動とすることを検出不能時の制御としてもよい。
【0032】
<モアレ判定処理>
モアレ判定処理の詳細について、図7に例示するフローチャートを参照して説明する。図7のステップS131において、ボディ制御部214は、ステップS11で検出されているデフォーカス量の大きさ(絶対値)がモアレ発生閾値より小さく、かつ、周期パターンと判定できるか否かを判定する。ここで、上述したA成分波形およびB成分波形間で位相差検出された箇所が所定個数(たとえば2個)以上であれば、A成分波形およびB成分波形に周期パターンが存在する(すなわち周期変化を有する)と判断する。ボディ制御部214は、ステップS11で演算したデフォーカス量の大きさ(絶対値)があらかじめ定めたモアレ発生閾値より小さい場合であって、かつ、上記周期変化有りを判定する場合にはステップS131を肯定判定してステップS132へ進む。ボディ制御部214は、ステップS11で演算したデフォーカス量の大きさ(絶対値)が上記モアレ発生閾値以上である場合、または上記周期変化有りと判定しない場合には、ステップS131を否定判定してステップS134へ進む。
【0033】
ステップS132において、ボディ制御部214は、検出したデフォーカス量の過去履歴が以下のモアレ条件に一致するか否かを判定する。
モアレ条件(1):前回検出したデフォーカス量の大きさ(絶対値)が上記モアレ発生閾値以上であって、かつ、上記周期パターンの存在(周期変化有り)を判定しない場合。
モアレ条件(2):前回のモアレ判定処理においてモアレと判定した場合。
【0034】
ボディ制御部214は、上記モアレ条件(1)およびモアレ条件(2)のうち少なくとも一方に該当する場合はステップS132を肯定判定してステップS133へ進む。ボディ制御部214は、上記モアレ条件(1)およびモアレ条件(2)のいずれにも該当しない場合は、ステップS132を否定判定してステップS134へ進む。
【0035】
ステップS133において、ボディ制御部214は、周期パターンをモアレと判定して図7による処理を終了する。ステップS134において、ボディ制御部214は、周期パターンを非モアレと判定して図7による処理を終了する。
【0036】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)デジタルカメラシステム201は、撮影レンズ209の異なる瞳位置を通過した光束を受光する焦点検出画素312、313を含む撮像素子212と、焦点検出画素312、313からの信号を用いて、異なる瞳位置に対応する光束がそれぞれ形成する像の位相差に基づくデフォーカス量を検出するボディ制御部214と、焦点検出画素312、313からの信号がモアレを有するか否かを判定するボディ制御部214と、ボディ制御部214による判定結果およびデフォーカス量に基づいてフォーカシングレンズ210の移動を制御するボディ制御部214、レンズ制御部206と、を備えるようにした。これにより、焦点検出画素312、313からの信号がモアレを有する場合でも、撮像面位相差方式によって適切にフォーカス調節できる。一般に撮像面位相差方式は、撮像素子と別に専用の位相差検出用センサを設ける外部位相差方式に比べて、焦点検出画素の画素ピッチが細かいことからモアレの影響を受けやすい。本実施形態は、撮像面位相差方式でフォーカス調節を行う場合において特に有効である。
【0037】
(2)上記(1)のデジタルカメラシステム201において、ボディ制御部214は、焦点検出画素312、313からの信号に周期パターンが存在するか否かとデフォーカス量の大きさとに基づいて、焦点検出画素312、313からの信号がモアレを有するか否かを判定するようにしたので、モアレ判定を適切に行うことができる。
【0038】
(3)上記(2)のデジタルカメラシステム201において、ボディ制御部214は、焦点検出画素312、313からの信号に周期パターンが存在しており、かつデフォーカス量の大きさがモアレ発生閾値より小さい場合に焦点検出画素312、313からの信号がモアレを有すると判定するので、モアレ判定を適切に行うことができる。
【0039】
(4)上記(3)のデジタルカメラシステム201において、ボディ制御部214は、フォーカシングレンズ210の異なる位置においてそれぞれデフォーカス量の検出およびモアレを有するか否かの判定を行い、ボディ制御部214は、現在のフォーカシングレンズ210の位置において焦点検出画素312、313からの信号に周期パターンが存在しており、かつデフォーカス量の大きさがモアレ発生閾値より小さい場合であって、前回のフォーカシングレンズ210の位置において焦点検出画素312、313からの信号に周期パターンが存在しておらず、かつデフォーカス量の大きさがモアレ発生閾値以上である場合、または、前回のフォーカシングレンズ210の位置において焦点検出画素312、313からの信号に周期パターンが存在しており、かつデフォーカス量の大きさがモアレ発生閾値より小さい場合に、焦点検出画素312、313からの信号がモアレを有すると判定するようにした。これにより、モアレ判定をさらに適切に行うことができる。
【0040】
(5)上記デジタルカメラシステム201において、ボディ制御部214は、焦点検出画素312、313からの信号がモアレを有すると判定した場合、最も小さいデフォーカス量に基づいてフォーカシングレンズ210の移動を制御するので、適切にフォーカス調節できる。そもそも、モアレが生じるのはフォーカシングレンズ210が合焦位置の近傍に位置している場合であるので、最も小さいデフォーカス量を採用するのが最も好適である。
【0041】
(6)上記デジタルカメラシステム201において、ボディ制御部214は、焦点検出画素312、313からの信号がモアレに該当しないと判定した場合、デフォーカス量に基づいてフォーカシングレンズ210の移動を制御するので、モアレに該当しない場合も適切にフォーカス調節できる。
【0042】
(変形例1)
上述したステップS132のモアレ条件(1)において、「前回検出したデフォーカス量」の代わりに、「前回までの所定回数のデフォーカス量」や、「前回までの所定時間内に検出したデフォーカス量」を使用してもよい。たとえば、所定回数検出したデフォーカス量の平均値を用いて上記判断を行う。
【0043】
(変形例2)
上記実施形態では、操作部材218を構成するAF開始ボタン(不図示)が操作された場合に焦点検出処理(図6)を繰り返し実行するので、フォーカシングレンズ210は主要被写体にピントが合うように適宜駆動される。このため、上記ステップS132のモアレ条件(1)において「前回検出したデフォーカス量」というのは、「一つ前のフォーカシングレンズ210の位置において検出したデフォーカス量」に該当する。
【0044】
変形例2では、上記「一つ前のフォーカシングレンズ210の位置において検出したデフォーカス量」の代わりに、AF開始ボタン(不図示)の操作時点、すなわち「フォーカシングレンズ210の移動前に検出したデフォーカス量」に基づくモアレ条件判定(1A)を用いてステップS132のモアレ条件判定を行う。
モアレ条件(1A):フォーカシングレンズ210の移動前に検出したデフォーカス量の大きさ(絶対値)が上記モアレ発生閾値以上であって、かつ、上記周期パターンの存在(周期変化有り)を判定しない場合。
【0045】
変形例2のボディ制御部214は、上記モアレ条件(1A)に該当する場合にステップS132を肯定判定してステップS133へ進む。変形例2のボディ制御部214は、上記モアレ条件(1A)に該当しない場合は、ステップS132を否定判定してステップS134へ進む。
【0046】
変形例2によれば、ステップS132においてモアレ条件判定(1A)のみに基づいて判定処理を行えるので、複数のモアレ条件を用いる場合に比べて処理負担を軽減できる。このような変形例2においても、モアレ判定を適切に行うことができる。
【0047】
(変形例3)
以上の説明では、レンズ交換式のカメラを例示したが、レンズ一体型のカメラであってもよい。また、ビデオカメラにも本発明を適用しても構わない。
【0048】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0049】
201…デジタルカメラシステム
202…交換レンズ
203…カメラボディ
206…レンズ制御部
209…撮影レンズ
210…フォーカシングレンズ
212…撮像素子
214…ボディ制御部
218…操作部材
219…撮像素子駆動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像光学系の異なる領域を通過した光束を受光する焦点検出画素を含む撮像素子と、
前記焦点検出画素からの信号を用いて、前記異なる領域に対応する光束がそれぞれ形成する像の位相差に基づくデフォーカス情報を検出する焦点検出手段と、
前記焦点検出画素からの信号が所定の周期パターンを有するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果および前記デフォーカス情報に基づいてフォーカス調節光学系の移動を制御するフォーカス制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記判定手段は、前記焦点検出画素からの信号の周期変化の有無と前記デフォーカス情報の大きさとに基づいて、前記所定の周期パターンを有するか否かを判定することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記判定手段は、前記焦点検出画素からの信号が前記周期変化を有しており、かつ前記デフォーカス情報の大きさが所定の判定閾値より小さい場合に前記所定の周期パターンを有すると判定することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像装置において、
前記焦点検出手段および前記判定手段は、前記フォーカス調節光学系の異なる位置においてそれぞれ前記デフォーカス情報の検出および前記所定の周期パターンを有するか否かの判定を行い、
前記判定手段は、現在の前記フォーカス調節光学系の位置において前記焦点検出画素からの信号が前記周期変化を有しており、かつ前記デフォーカス情報の大きさが前記所定の判定閾値より小さい場合であって、
前回の前記フォーカス調節光学系の位置において前記焦点検出画素からの信号が前記周期変化を有しておらず、かつ前記デフォーカス情報の大きさが前記所定の判定閾値以上である場合、
または、前回の前記フォーカス調節光学系の位置において前記焦点検出画素からの信号が前記周期変化を有しており、かつ前記デフォーカス情報の大きさが前記所定の判定閾値より小さい場合に、
前記所定の周期パターンを有すると判定することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項3に記載の撮像装置において、
前記焦点検出手段および前記判定手段は、前記フォーカス調節光学系の異なる位置においてそれぞれ前記デフォーカス情報の検出および前記所定の周期パターンを有するか否かの判定を行い、
前記判定手段は、現在の前記フォーカス調節光学系の位置において前記焦点検出画素からの信号が前記周期変化を有しており、かつ前記デフォーカス情報の大きさが所定の判定閾値より小さい場合であって、
前記フォーカス調節光学系の移動前において前記焦点検出画素からの信号が前記周期変化を有しておらず、かつ前記デフォーカス情報の大きさが前記所定の判定閾値以上である場合に、
前記所定の周期パターンを有すると判定することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記フォーカス制御手段は、前記判定手段によって前記所定の周期パターンを有すると判定された場合、最も小さい前記デフォーカス情報に基づいて前記フォーカス調節光学系の移動を制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記フォーカス制御手段は、前記判定手段によって前記所定の周期パターンに該当しないと判定された場合、前記デフォーカス情報に基づいて前記フォーカス調節光学系の移動を制御することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−15567(P2013−15567A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146354(P2011−146354)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】