説明

撮影レンズの絞り装置

【課題】互いに接離する方向に移動する絞り羽根を使用した撮影レンズの絞り装置に関し、回折による画質劣化やNDフィルタ等による周辺光量落ちを防止すると同時に、絞り装置を小型化・低価格化することで、撮影レンズの市場価値を高める。
【解決手段】互いに接離する方向に移動する2枚の絞り羽根の片方にNDフィルタを具備し、絞り開口の面積が小さくなり前記絞り開口の全面をNDフィルタが覆う直前に光線が素通しとなる部分の形状を概略正三角形とすることで、中間絞りでの回折を効率的に改善し、絞り羽根やNDフィルタの枚数を増やすことなく、また絞り羽根やNDフィルタの面積を小さくし、絞り装置ならびに撮影レンズの小型化を可能とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影レンズの絞り装置に関し、詳しくは、互いに逆方向に移動する絞り羽根によって絞り開口が形成される撮影レンズの絞り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ等の撮影レンズに設けられている絞り装置は、鏡筒などを備えたレンズユニット内に組み込まれており、制御回路により絞り装置が制御されてその絞り開口の径が自動的にコトロールされることで、レンズを通過して撮像素子へ到達する光の明るさを略一定に保つ機能を有している。
【0003】
具体的には、図9に示すように、レンズ鏡筒は、光の入射方向に向かって第一の固定レンズ群21,光軸x−xに沿って移動可能な変倍用のレンズ群22,第二の固定レンズ23および光軸x−xに沿って移動可能な焦点調節用のレンズ群24を有し、入射光が撮像素子25に到達するようになっている。前記レンズ群を構成するうちの変倍用レンズ群22と第二の固定レンズ23との間に、複数の絞り羽根3,4を有する絞り装置20を配置している。そして、絞り装置20は、前記した複数のレンズ群21〜24と撮像素子25との間を結ぶ光軸x−xに対して直交する面上を、前記複数の絞り羽根3,4が互いに接離する方向に移動させることにより絞り開口を形成するようにして、前記した如く撮像素子25へ到達する光の明るさを略一定に保つようにしているものである。
【0004】
ところで、このような、光軸x−xと直交する面上を、絞り羽根3,4が互いに接離する方向に移動させることにより、絞り開口の面積を変化させて透過光量を調整するようにしたビデオカメラ等の撮影レンズに設けられている絞り装置20においては、透過光量を極めて小さくしたいとき、すなわち、絞り込みたいときに、入射光量の僅かな変化によって絞り羽根3,4がハンチング現象を起こしてしまうといった問題点がある。
【0005】
また、従来の絞り装置では、透過光量を極めて小さくしたとき、つまり、絞り込みたいときに、絞り開口の面積が極めて小さくなることで光の回折現象が生じる欠点がある。従って、こうした絞り装置が組み込まれたビデオカメラにおいては、晴天時の屋外等の光量が十分ある被写体を撮影する際に、撮像画像の解像度が著しく劣化する原因となる。さらに、前記光の回折現象による解像度の劣化により、自動焦点検出装置を備えたビデオカメラでは、オートフォーカスの性能を低下させる原因ともなり得る。こうした問題点を小絞りと呼ぶ。
【0006】
そこで、このような問題の発生を防止する一般的な手法として、絞り羽根の一方にNDフィルタを固着して該NDフィルタが絞り羽根の絞り開口を形成するための切り欠き内に突出するようにして、小絞りになるのを防ぐようにしたものがあるが、NDフィルタが1枚ではその濃度を濃くしなければならず、極小絞りに到る中間の過程で、NDフィルタがかかりきらない素通し部分があたかも小絞りのような効果を出してしまうという問題がある。こうした問題点を中間絞りと呼ぶ。
【0007】
そこで、特許文献1に述べられているように、互いに接離する方向に移動する2枚の絞り羽根それぞれにNDフィルタを固着した構造が従来から採用されている。NDフィルタを2枚とすることにより、小絞りにおいては2枚のNDフィルターが重なった状態で使用することにより、NDフィルター1枚毎の透過光量を大きくすることが出来るため、上記した小絞りおよび中間絞りおける問題が緩和されることとなる。
【0008】
図6はこの種の従来の撮影レンズの絞り装置の正面図、図7(a)〜(c)は、それぞれ図6に示す絞り装置の構成部材であるNDフィルタを固着した絞り羽根の移動状態を示す図である。
【0009】
図6および図7(a)〜(c)に示すように、撮影レンズの絞り装置1は、固定枠2と、この固定枠2内に上下方向に接離(移動)自在に収納された2枚の絞り羽根3,4と、この絞り羽根3,4を移動させるための駆動機構としてのモータ7と、それぞれの絞り羽根3,4に固着されたNDフィルタ5,6等から構成されている。
【0010】
図6において、第一の絞り羽根3は、正面視して左右が逆になった略J字形状であり、上下に延びる3つの被案内スリット12a,12b,12cが形成され、これらの被案内スリット12a,12b,12cに、固定枠2に突出して形成されたガイドピン2a,2b,2cとが挿通された状態で、上下に移動自在に配設されている。また、この絞り羽根3の下部上面側にほぼ半円形の絞り開口形成用の切欠き10が形成されている。前記半円形の切り欠き10の下方寄りの部分に概略90度の開角を有する頭頂部10aが形成され、前記の上方寄りの部分を覆うようにNDフィルタ5が固着されている。
【0011】
第二の絞り羽根4は、正面視して左右が逆になった略n字形状であり、上下に延びる3つの被案内スリット13a,13b,13dが形成され、これらの被案内スリット13a,13b,13dに、固定枠2に突出して形成されたガイドピン2a,2b,2dとが挿通された状態で、上下に移動自在に配設されている。そして、この絞り羽根4の下部上面側にほぼ半円形の絞り開口形成用の切り欠き11が形成されている。前記半円形の切り欠き11の上方寄りの部分に概略90度の開角を有する頭頂部11aが形成され、前記の上方寄りの部分を覆うようにNDフィルタ6が固着されている。この切り欠き11の部分と、前記第一の絞り羽根3の切り欠き10とで形成される孔形状部分(絞り開口9)を光が通過するようになっている。なお、2eは、固定枠2に設けられた固定絞り孔であり、開放状態における絞り開口9より0.1〜0.2mm小径となるよう設定されている。前記固定絞り孔2eは撮影レンズにおける絞り装置1が配置されている部位における有効像円半径と等しく設定されており、撮像素子25に前記有効像円の外側から不要な光が入射することを防ぐ為に必要であり、このことは解像度を確保するため不可欠である。特に図6に示す従来の絞り装置においては、絞り羽根3,4における切り欠きの頭頂部11a,11bの部分から不要な光が入射することを防いでいる。
【0012】
さらに、第一の絞り羽根3には左右方向に長い連結長孔14aが形成され、また、第二の絞り羽根4には左右方向に長い連結長孔14bが形成され、これらの連結長孔14a,14bに、後述する回動アーム8に形成された連結ピン8a,8bが挿入されて係合されている。
【0013】
撮影レンズの絞り装置1の駆動機構は、駆動源としてのモータ7及びこのモータ7により駆動される回動アーム8等から構成される。回動アーム8は、その中央部がモータ7の回転軸7aに固定されており、回動アーム8の左右端部に連結ピン8a、8bが突設されて、絞り羽根3,4の連結長孔14a,14bに連結ピン8a,8bがそれぞれ挿入されて係合されている。
【0014】
モータ7が回転し、それにより回動アーム8が回動すると、回動アーム8に固着された連結ピン8a、8bが互いに上下反対方向に変位し、これに伴って、絞り羽根3,4が上下反対方向へ、同じ変位量で移動する。そして、絞り羽根3と絞り羽根4とが互いに接近する方向へ移動することにより、それぞれの絞り径形成用の切欠き10,11が重なり合ってできる絞り開口9の大きさが変化し、絞り羽根3がその移動範囲の上端に位置し、絞り羽根4がその移動範囲の下端に位置したとき、図7(c)に示すように、絞り開口9が最も小さな小絞りの状態となる。また、この小絞りの状態の位置から、絞り羽根3がその移動範囲の中間位置まで上方に移動し、絞り羽根4がその移動範囲の中間位置まで下方に移動したとき、図7(b)に示すように、絞り開口9が中間絞りの状態となる。つまり、絞り開口9において、NDフィルタ5,6が重ならない、光が素通しとなる部位がある状態となる。さらに、絞り羽根3がその移動範囲の下端付近に、絞り羽根4がその移動範囲の上端付近に移動したとき、図7(a)に示すように、絞り開口9が大きくなった開放絞りの状態となる。
【0015】
ここで、前記絞り羽根3,4に設けられたほぼ半円状の切り欠き10,11の頭頂部10a,11aの開角を概略90度としているのは、光が通過する部位の形状が扁平であることにより光の回折現象が起こり易くなることを防ぐものであり、小絞りにおける光が通過する部位の形状を概略正方形とするためである。
【0016】
しかしながら特許文献1における図14〜図17、並びに[0006]段落から[0012]段落に述べられているように、透過光量の差が生じる部位の形状が扁平であったりすると、NDフィルターを2枚とするなどで透過光量の差を小さくしても、同様に小絞りや中間絞りといった状態において、光の回折現象の影響を受けやすくなることがわかっている。こうした問題を無くすため、前述した絞り羽根の切り欠き形状における頭頂部10a,11aの開角を概略90度とすることと同様に、図9に示しているNDフィルターの絞り開口部を覆う部位の形状5a,6aの開角も概略90度としている。この結果、図7(b)に示す中間絞りにおいて、絞り開口9のNDフィルタ5,6で覆われていない部分の形状が概略正方形となっており、光の回折現象が起こりにくくしている。
【0017】
しかしながら、図7(a)に示すように、開放状態から少し絞った状態において、NDフィルタ5,6が重ならない素通しとなる部分の形状が扁平な異形状となることにより点光源のボケた像やゴースト像がこの素通し部の形状の影響を受けて異形になってしまうという問題もある。第2にゴーストの大きさと強度の問題であり、2枚のNDフィルタ5,6が重なり合った絞り開口の面積に比較して、NDフィルタ5,6全体の面積が大きくなるため、絞り羽根で形成された絞り開口部に対するNDフィルタ5,6が占める面積比が大きくなり、NDフィルタ5,6の反射によるゴーストが現れ易いという問題もある。即ち、NDフィルタの材料には反射防止処理を施すことが出来ないので、特に、撮像素子25の撮像面とNDフィルタ5,6との間の相互反射によるゴーストは、NDフィルタの反射面積が増すことによって現れ易くなってしまう。
【0018】
これらに対し絞り装置を改善する手段として、特許文献1の図1〜図6、並びに[0016]段落から[0048]段落に述べられているように、絞り開口9を形成する為の絞り羽根と別に、NDフィルターを駆動するための羽根を形成し、それぞれ違う動作をさせることで、絞り開放時から中間の絞りまでは、NDフィルターを有していない側の絞り羽根が絞り開口の面積を決め、中間の絞り開口以降にNDフィルタが絞り開口の中に突出してくるので、上記した従来の問題点がなくなることが提案されている。
【0019】
即ち、絞り羽根の移動ストロークをそれほど大きくする必要がないので、小型化を阻害することがなく、また、NDフィルタのエッジ形状をシンプルなものとすることができるためNDフィルタのエッジで形成される素通し部の形状を多角形とすることが出来、異形のボケ像やゴースト像が現れてしまうことがなく、更に、NDフィルタの相対面積がそれほど大きくならないため、NDフィルタと撮像素子との間の相互反射によるゴーストの発生を少なくすることができるとするものである。
【特許文献1】特開平04−103894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、小絞り・中間絞りといった光の回折現象による不具合等を改善する為、絞り羽根3,4およびNDフィルタ5,6に不具合が発生しにくくなるような形状を付加することにより、絞り羽根3,4およびNDフィルタ5,6の面積が大きくなり、同時に絞り羽根3,4を移動させる距離は大きくなってくる。
【0021】
ここで、図6において、絞り羽根4は、絞り羽根の切欠き11の頭頂部11aが光軸中心Xまで移動することとなり、移動量Lが必要となる。絞り羽根3についても同様に、絞り羽根3の切欠き10の頭頂部10aが光軸中心Xまで移動することによる移動量Lが必要であり、さらに絞り羽根3,4を駆動させる回動アーム8が動作する為のスペースとしても距離Lが必要となる。このため、絞り装置20は、その他構成する部品や移動のマージンの為のスペースも合せて少なくとも3L以上の長さが必要となる。特に図6におけるモータ7側においては、光軸中心Xから2Lの長さが必要となることから、図9におけるレンズ鏡筒の構成部品のなかで最も半径の大きいレンズ群21より絞り装置1のモータ7の大半となるFの範囲がはみ出す形となる。実際には、小絞り状態から絞り開口が閉じきる部分で、絞り羽根がバウンドすることに配慮したオーバーラップ量など、絞り装置としての性能を満足する為に必要な構成を取るため、前記の寸法より相当なスペースの余裕を取ることとなり、結果としてレンズ鏡筒のサイズが大きくなってしまう。
【0022】
すなわち、レンズ鏡筒を小型化するにあたって、設計的な努力や光学材料の進歩等によって各レンズ群21〜24の小型化が進められた場合においても、絞り装置を小さくしなければ意味が無くなることが考えられる。特に最近のビデオカメラといった光学製品においては、レンズ鏡筒を製品の特徴として捉えるケースが多く、レンズ鏡筒の部分を円筒状に形成し、さらにはメッキや塗装によって強調することが多い。この場合、例え絞り装置のみの部分的な突起であっても、光軸中心Xからの半径として最も出っ張った部分でもってレンズ鏡筒のサイズとされる。このことからも絞り装置の小型化は、レンズ鏡筒の小型化、さらにはレンズ鏡筒を搭載した製品にとって重要な要素となっている。
【0023】
これに対し絞り装置を小型化する手段として、特許文献1の図1〜図6、並びに[0016]段落から[0048]段落に述べられているように、絞り開口を形成する為の絞り羽根を別途設け、NDフィルターを駆動するための絞り羽根と違う動作をさせることで、絞り装置を小型化することが提案されている。しかしながら特許文献1は、小絞りおよび中間絞りにおいての解像度の問題を最優先とし、絞り開口やNDフィルタの覆われる形状を最適化するため、NDフィルタと絞り羽根とを別々に動作させることとしている。このため、4枚の絞り羽根が必要であり、かつそのうち2枚の絞り羽根に2枚のNDフィルタを固着させる構造となっている。さらには、開放状態やそこから中間絞り側に寄った状態までNDフィルタが絞り開口に突出しない構造とする為に、相当な長さが必要とされる。つまり特許文献1により解像度を改善する為に最適な形状とした絞り装置を前提とした絞り装置と比較すると小型化はされるものの、図6に示すような今回の従来例、つまりは通常の2枚のNDフィルタで構成される絞り装置や1枚のNDフィルタで構成される絞り装置と比較すると相当大きいものとなっている。
【0024】
さらに、特許文献1においては、小型化のためにNDフィルタを動かすことを目的とする絞り羽根を追加していることから、光軸x−x方向の厚さが増えることとなる。絞り羽根自体は0.1mm以下と薄いことから影響は小さいように思われるが、絞り羽根のたわみ、曲がりやカット面のバリなどを考慮すると、実際の製品上ではNDフィルタ1枚につき0.3mm程度のスペースを確保するのが通常である。これに対して、特に最近の小型ズームレンズにおいては、変倍用の光軸x−x方向に移動可能としたレンズ群22が、第二の固定レンズ23の極近傍まで移動可能と設定されており、前記レンズ群22と前記レンズ23との間の距離をいかに小さくするかが、重要となってきている。レンズ群22とレンズ23との間の距離を0.1mm大きくすることによって、レンズ鏡筒全長として数mm程度長くなる場合もあり、結果として絞り装置の厚さがレンズ鏡筒の小型化に対する制約となってしまう。
【0025】
さらに、NDフィルタ5,6は、絞り羽根3,4の切り欠き10,11の反対側で接着等で固定され、もう一方がフリーの状態となることから絞り羽根3,4から浮いた状態となる。また、NDフィルタ5,6は、絞り羽根3,4から浮いた状態での相互の干渉を避ける為、絞り羽根3,4の外側に配置されることになる。(図8に示す絞り装置の光軸x-x方向の断面図参照)このため、特許文献1による絞り装置においては、光軸x-x方向の厚さがどうしても厚くなることから、大型の撮影レンズへの搭載は可能であったとしても、小型レンズへの搭載不可となる場合が多い。
【0026】
さらに、中間絞りの状態、つまり2枚のNDフィルタが重なり始める状態で、2枚のNDフィルタ同士の距離が離れることとなり、光軸x-x方向に入射する光線は2枚のNDフィルタのどちらかに遮光されるが、斜めに入射する光線は素通しとなるといった現象が生じることとなる。このことも、光の回折現象をより発生し易くする要因となり、特許文献1による解像度の劣化に対する改善効果を小さくするものである。
【0027】
さらに、特許文献1による絞り装置においては、絞り羽根やNDフィルタの枚数が増えることで駆動する負荷が増えることとなり、従来小型小径のモータで済んでいたものが発生トルクの大きい大型のモータを使用する必要性が生じる場合もある。また、仮に小型モータのまま使用できたとしても、異物付着や変形などによって生じる負荷増に対するマージンが小さくなり、絞り装置の動作不良につながる可能性もある。さらには、NDフィルタや絞り羽根の形状及びそれらの取り付け構造をより複雑にすることによって、作業工数が増えることとなるし、このことによる絞り装置の信頼性を悪化させる恐れもある、といった種々の課題も生じるものである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
前記従来の課題を解決するために、本発明は、2枚の絞り羽根を有し、互いに接離する方向に移動する絞り羽根で絞り開口が形成され、前記絞り開口が所定の面積より小さくなった際に絞り開口の全面を覆うNDフィルタを具備する撮影レンズの絞り装置において、前記絞り開口の面積が小さくなる過程で前記NDフィルタが前記絞り開口の全面を覆う直前に光線が素通しとなる部分の形状を概略正三角形とすることを特徴とする。より、具体的には、前記光線が素通しとなる部分を形成する2枚の絞り羽根とNDフィルタのそれぞれの辺からなる三角形の頂角の角度がそれぞれ概略60°となるよう、絞り羽根およびNDフィルタの形状を設定したことを特徴とする。
【0029】
この構成により、通常絞り羽根やNDフィルタの枚数を増やしたり、絞り羽根やNDフィルタを複雑な形状とすることで、前記光線が素通しとなる部位の形状が異形状となることを防ぐことで中間絞りの状態での解像度の劣化を改善し、結果として絞り装置を大型化させていたものが、絞り装置をより小型化すると同時に中間絞りによる解像度を改善することを可能とするものである。
【0030】
また、本発明は、前記撮影レンズの絞り装置において、前記NDフィルタの前記概略正三角形を形成する切片部に傾斜角20度程度で形成される2等辺の台形状の凹を持たせることを特徴とする。
【0031】
この構成により、NDフィルタが前記絞り開口の全面を覆う直前のいわゆる中間絞りの状態の一歩手前、つまりは光を素通しする面積が若干大きくなった状態での光を素通しする部分の形状において、鋭角となる部分を緩和することで、中間絞りによる解像度を改善することを可能とするものである。
【0032】
また、本発明は、2枚の絞り羽根を有し、互いに接離する方向に移動する絞り羽根で絞り開口が形成され、前記絞り開口が所定の面積より小さくなった際に絞り開口の全面を覆うNDフィルタを具備する撮影レンズの絞り装置において、開放状態での絞り開口形状のうちNDフィルタで覆われた部分を前記2枚の絞り羽根を保持する固定枠に形成された固定絞り孔で形成し、NDフィルタで覆われてない部分を前記2枚の絞り羽根に設けられた概略半円形状の切り欠きで形成することを特徴とする。
【0033】
また、本発明は、前記撮影レンズの絞り装置において、前記2枚の絞り羽根を保持する固定枠に形成された固定絞り孔の直径を、撮影レンズにおける絞り装置が配置される位置での有効像円の直径と同じか0.2mm程度大きくすることを特徴とする。
【0034】
この構成により、開放絞り状態においてNDフィルタとともに絞り羽根の切り欠きを光軸中心から遠ざけることで、開放絞り状態の絞り開口面積をより大きく開くし、より多くの光量を確保することを可能とし、かつNDフィルタによって多くの光が遮られることによる弊害を改善するものである。また、絞り羽根を支持する固定枠に設けられた固定絞り孔の一部で絞り開口が大きくならないよう遮光することにより、開放絞り状態での余分な光線を通さないことで、撮影レンズで撮影する映像の劣化を防ぐものである。
【0035】
また、本発明は、2枚の絞り羽根を有し、互いに接離する方向に移動する絞り羽根で絞り開口が形成され、前記絞り開口が所定の面積より小さくなった際に絞り開口の全面を覆うNDフィルタを具備する撮影レンズの絞り装置において、前記NDフィルタを取り付けた側の絞り羽根を、NDフィルタの無い側の絞り羽根より遅い速度で移動させることを特徴とする。
【0036】
また、本発明は、前記撮影レンズの絞り装置において、前記2枚の絞り羽根で形成される絞り開口の中心を、絞り開口の面積が小さくなったところで光軸中心に合致させたことを特徴とする。
【0037】
この構成により、かつ開放側での絞り開口の面積を大きくすることを実現し、中間絞りから開放までの広い範囲で、より多くの光量を確保することを可能とし、かつNDフィルタによって多くの光が遮られることによる弊害を改善するものである。同時に、中間絞りの改善によるNDフィルタの大型化や絞り羽根の移動量アップを防ぐものである。また、小絞り時の絞り開口の中心を光軸中心と一致させることで、小絞り時の光学性能を安定化させるものである。
【0038】
また、本発明は、2枚の絞り羽根を有し、互いに接離する方向に移動する絞り羽根で絞り開口が形成され、前記絞り開口が所定の面積より小さくなった際に絞り開口の全面を覆うNDフィルタを具備する撮影レンズの絞り装置において、NDフィルタの取付けられてない側の絞り羽根を駆動するための連結ピンの動作点半径を小さくしたことを特徴とする。
【0039】
この構成により、効果的に2枚の絞り羽根の移動速度と移動量に差を持たせることを可能とし、絞り装置の改善に伴う大型化を防ぐものである。
【0040】
また、本発明は、前記撮影レンズの絞り装置において、前記連結ピンの取付けられたアームの回転中心を、撮影レンズの光軸を中心としかつ絞り羽根の移動方向を軸とする線から、連結ピンの動作点半径の小さい方へずらしたことを特徴とする。
【0041】
この構成により、絞り装置の形状を出っ張り部分を凹ますことで、複雑な構造をシンプルなものとし、結果的に絞り装置をより小型化することを可能とするものである。
【0042】
また、本発明は、2枚の絞り羽根を有し、互いに接離する方向に移動する絞り羽根で絞り径が形成される撮影レンズの絞り装置において、NDフィルタを絞り羽根に挟まれる形に配置したことを特徴とする。
【0043】
この構成により、中間絞りといった問題を改善する為に絞り装置の厚さを大きくすることを防ぎ、レンズ鏡筒の小型化に寄与するものである。
【発明の効果】
【0044】
本発明の撮影レンズの絞り装置によれば、小絞りおよび中間絞りの状態で絞り開口やNDフィルタの覆わない部位の形状を扁平としないなかで、絞り羽根の移動量を必要最低である有効像円の半径と同等とすることができ、光の回折現象が生じたりすることなく、絞り装置およびレンズ鏡筒の小型化を可能とするものである。また、NDフィルタや絞り羽根の枚数を少なくし、1枚分の厚さを小さくすることができるので、絞り装置を薄型化することができ、加工費を低減することができるとともに、さらに、貼り合わせ作業等による信頼性や組込品質の低下も最小限に抑えることができる。特に、光軸方向の絞り装置の厚さを小さくすることに効果があり、撮影レンズの全長および外径を短小さくすることができ、撮影レンズを搭載するビデオカメラ等の製品の小型化やデザイン性向上に対して大きな効果を持つものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下に、本発明の実施の形態に係る撮影レンズの絞り装置を図面とともに詳細に説明する。ここで、図1は、本発明による撮影レンズの絞り装置の実施例を示す平面図、図3は、図1の絞り装置を構成する2枚の絞り羽根の平面図、図4は、図3における複数の絞り羽根の移動状態を示す説明図、図2は、絞り装置を構成する絞り羽根やNDフィルタの配置状態を示す光軸x-x方向の断面図、図5は、本発明による絞り装置を撮影レンズに取付けた状態を示す断面図であり、図の左側にある被写体から一群レンズ21、二群レンズ22、絞り装置1、三群レンズ23及び四群レンズ24を光線が通り、撮像素子25に結像される状態を示す。図の状態は、ズーミングによりテレ側に二群レンズ22と四群レンズ24が配置された状態を示し、後に詳細説明する二群レンズ22と三群レンズ23との隙間が1.6mm程度に設定されており、絞り装置1の厚さに制約があることを示している。
【0046】
図1、図2において、3は、絞り開口が形成されるよう切り欠き10が設けられている第一の絞り羽根であり、4は、絞り羽根3に形成された切り欠き10と合せることで絞り開口9が形成されるよう切り欠き11を設けた第二の絞り羽根である。NDフィルタ5は、第一の絞り羽根3に形成された絞り開口形成用切り欠き10より突出した状態で第一の絞り羽根3に固着されている。絞り開口形成用の切り欠き10及び11の形状は、レンズ鏡筒において絞り装置1が配置される位置での有効像円Dの半径と概略等しい半円状であり、かつ小絞り時の絞り開口形状が扁平となることを防ぐ為の突起形状が形成されている。その詳細を図3で説明する。
【0047】
図3において、第一の絞り羽根3に形成される絞り開口形成用切欠き10の突起形状は、開角90度の二等辺10bで形成され、その頭頂部10aは前記二等辺をR0.2で結んでいる。R0.2は、絞り羽根を形成するシートを量産するための金型加工技術によって、これ以上小さくすることが困難なものである。勿論このR形状をさらに小さくすることが可能となれば、絞り装置の小絞りによる問題はさらに改善されることになる。前記二等辺10bの外側は、前記有効像円Dを形成する半径の半円10dと緩やかなコーナーR10cでもってつながれている。ここで、絞り羽根3に設けられた半円状の切り欠き10dの中心10eは、光軸中心Xより絞り羽根3の移動方向で下側に0.2mm程度ずらしている。
【0048】
第二の絞り羽根4に形成される絞り開口形成用切欠き11の突起形状は、開角60度の二等辺11bで形成され、その頭頂部11aは前記二等辺をR0.2で結んでいる。前記二等辺11bの外側は、前記有効像円Dを形成する半径の半円11dと緩やかなコーナーR11cでもってつながれており、前記絞り羽根4に設けられた半円状の切り欠き11dの中心11eは、光軸中心Xと一致させている。
【0049】
撮影レンズの絞り装置1の駆動機構は、駆動源としてのモータ7及びこのモータ7により駆動される回動アーム8等から構成される。回動アーム8は、その中央部がモータ7の回転軸7aに固定されており、回動アーム8の左右端部に連結ピン8a、8bが突設されて、絞り羽根3,4の連結長孔14a,14bに連結ピン8a,8bがそれぞれ挿入されて係合されている。モータ7が回転し、それにより回動アーム8が回動すると、回動アーム8に固着された連結ピン8a、8bが互いに上下反対方向に変位し、これに伴って、絞り羽根3,4が上下反対方向へ、移動する。そして、絞り羽根3と絞り羽根4とが互いに接近する方向へ移動することにより、それぞれの絞り開口形成用の切欠き10,11が重なり合ってできる絞り開口9の大きさが、開放状態から閉じた状態まで変化することとなる。
【0050】
図4(a)に、開放状態から少し絞った状態を示す。第一の絞り羽根3の半円状の切り欠き10の中心位置10eを光軸中心Xの位置からずらしたことから、絞り開口9の面積的な中心9eはレンズ鏡筒の光軸中心Xからずれている。このことは、小絞り対策としてNDフィルタを使用する弊害として発生する周辺光量落ちといった問題を改善する効果を有している。このことを以下で詳細説明する。
【0051】
元々、複数の光学レンズを使用したレンズ鏡筒においては、光の屈折によってどうしても光軸中心と比べて周辺部の光量が小さくなるといった課題を持っている。これを光軸中心に対する周辺の光量のレベルを70%程度以上となる様、光学設計上配慮することで実用上問題無くしている。これは、光量差を70%程度に抑えることができれば、人間の感覚上不自然に感じられないことによる。これに対し、絞り開口9のうちの一部にNDフィルタ5が覆われることで、周辺の光量が光軸中心の70%を割り込む場合が出てくる。この場合、撮影された映像を見た際に、画面周辺が明らかに暗くなって、不自然に感じられてくる。この現象を周辺光量落ちと呼び、特に中間絞りを対策することで顕著になる傾向がある。この対策としては、理屈上、NDフィルタ5が絞り開口9の全面を覆う前の状態で、NDフィルタ5が覆う面積を小さくする方向しかない。しかし、このことは、中間絞り・小絞りを悪化させる方向であり、両立させることが困難な課題である。これを解決するには、極論として、小絞り対策が必要になった瞬間に素早くNDフィルタを絞り開口部に移動させるしかなく、実際、駆動系つまりモータを2個使うことで、上記の課題解決を行っているものも多い。しかし、このことは本発明の課題である小型化に反することとなるし、絞り装置を高価なものとし、互いに接離する方向に移動する絞り羽根を使用した絞り装置を利用する意味を失わせるものである。つまりは、性能重視・価格割切りの絞り装置である、5枚程度複数枚数の絞り羽根を環状に配置し、それぞれをカム駆動により回転させながら絞り開口を変化させる絞り装置と大差なくなってしまう。
【0052】
これらを考慮して、中間絞り・小絞りおよび周辺光量落ちの課題の全てを満足させる方法として考案したのが、NDフィルタ5を固着した絞り羽根3の移動速度をNDフィルタの固着されてない絞り羽根4より早くし、かつ、NDフィルタが絞り開口を覆う面積を開放側で小さくすることを実現する為の、本特許請求の範囲4および6に示す対策である。上記は個々の対策においても効果があるが、双方を適切に組み合わせることで、顕著な効果を得ることが出来る。例えば、上述したように究極の対策であるモータを2個使い、NDフィルタを絞り開口が適切な面積となった瞬間にさっと入れることと、同等の効果を得ることも可能となっている。
【0053】
移動速度を変えている部分を図1で詳細説明する。図1において、第一の絞り羽根3の移動量がLaであり、第二の絞り羽根4の移動量がLbとなっている。2枚の絞り羽根を駆動するモータ7で上記の移動量の差を生じさせるため、回動アーム8の連結ピン8aの回動半径と連結ピン8bの回動半径に差を付けている。このことによって、モータ7部での連結ピン8aの上下方向の移動量つまりは絞り羽根の移動量がLaとなり、連結ピン8bの上下方向の移動量つまりは絞り羽根4の移動量がLbとなり、NDフィルタ5が固着された絞り羽根3の方が移動量が多くなり、同様に、移動速度も速くなる。このことによって、図4(b)から(c)へと絞り開口9の面積が小さくなるにつれ、絞り開口の面積上の中心9eが光軸中心Xに近づいていくこととなり、図4(d)に示される小絞りの状態で一致する様設定している。
【0054】
通常回動アーム8の部分は、絞り羽根3・4の切り欠き10・11の部分の全幅より幅を大きく取ることとなる。回動アームを回動させるモータのトルクを確保可能な範囲が40°程度であり、このことにより絞り羽根の移動量を確保するため連結ピンを配置する半径が設定される為である。ここで、連結ピン8aの移動量が大きくなると、絞り羽根の固定枠2の駆動部側が大きくはみ出すこととなり、他のレンズ鏡筒を構成する部品との干渉からレンズ鏡筒の小型化の障害となる。これを避ける為、つまりは回動アーム8の動作領域による固定枠のはみ出しを小さくする為、モータ7の取付け位置をCほど連結ピン8bつまりは移動量の小さいLb側へ移動させている。このことにより、固定枠つまりは絞り装置の駆動部の占有面積を小さくすることができ、結果としてレンズ鏡筒の小型設計に寄与できる。さらには、第一の絞り羽根3の連結長孔14aの移動範囲を絞り羽根の切り欠き側の全幅の範囲内とすることにより、被案内スリット12a・12bとの配置を工夫することなどにより余分なスペースを省略可能となり、さらなる絞り装置の小型化も可能となる。
【0055】
ここで、従来通り第一の絞り羽根3と第二の絞り羽根4とを同じ速度で動かしている場合は、図4(d)に示す小絞りの状態まで絞り開口の中心9eが光軸中心Xとずれた状態が続くことから、特にテレ側でレンズ鏡筒に使われているレンズの中心から外れた所を光が通過したものが撮像素子25に入射することとなり、光学的に望ましくないし、中心が合致した場合と比べて光量が小さくなってしまう。このことは、開放状態では影響が小さいが、小絞りでNDフィルタに覆われた状態では、特に実感として暗くなることが判る。
【0056】
次に、図4(c)に、NDフィルタ5が絞り開口9を覆う直前、つまりは中間絞りの状態を示す。絞り開口9のうちNDフィルタ5で覆われていない部分つまりは光線が直接透過する部分9aの形状が概略正三角形になっている。このことにより、光線が直接透過する部分の形状が扁平となることによって生じる、光の回折現象による解像度の劣化を対策するものである。通常、前記の中間絞りにおける光線が直接透過する部分は、NDフィルタが取り付けられていない第二の絞り羽根4に設けられた半円状の切り欠き11の突起部を形成する二等辺11bとNDフィルタ5の切片による3個の直線で形成される。3個の直線で形成される最も均一な形状が正三角形であることから、前記絞り羽根の二等辺の頂角を60°とし、前記NDフィルタの切片を二等辺に対して形成される頂角が60°となるよう進入する様設定したものである。仮に、中間絞りにおける光線が直接透過する部分を形成するのが2個の絞り羽根とNDフィルタのそれぞれの直線部分で形成されたり、その他の組合せによる3個の直線で形成される場合においても、同様に正三角形を形成するよう設定することが、中間絞りによる回折現象を改善する最善の方策と考えられる。勿論、中間絞りにおける光線が直接透過する部分を形成するのを4個の直線とすれば正方形であり、さらには多角形に近づける方が改善されることになるが、これらは、絞り羽根やNDフィルタなど構成する部品点数を増やすことにつながり、2枚の絞り羽根で構成される絞り装置の持っている、安価で簡単であるといった特徴を無くすものである。
【0057】
次に、図4(d)に、絞り開口9が小さくなった状態、つまりは小絞りの状態を示す。小絞りにおける絞り開口9の形状を決定するのは、第一の絞り羽根10と第二の絞り羽根それぞれの切り欠き形状における頭頂部を形成する10a,11a,10b,11bであり、図3で先に説明したとおり、第一の絞り羽根の切り欠きの頭頂部は開角90度の二等辺10bで形成され、第二の絞り羽根の切り欠きの頭頂部は開角60度の二等辺11bで形成されている。上記で形成される小絞り時の絞り開口9の形状は、四角形時における絞り開口形状として最も有利である正方形に対すると、一つの頂角が60度となっていることから若干不利となっているが、極端に扁平となっていないことから、実質的な問題レベルとはなっていない。
【0058】
次に、図4(b)に、図4(c)より若干開放状態に近づけた状態を示す。絞り開口9のうちNDフィルタ5で覆われていない部分つまりは光線が直接透過する部分の形状が、正三角形から異形状となっており、図4(c)と比較して回折現象による解像度の劣化が起こり易くなっている。こうした状態を改善する為に、図3(b)における第二の絞り羽根の切り欠き形状11の開角60°で形成する突起部分を大きくすることが有効である。しかしながら、突起部が大きくなることにより、第二の絞り羽根4の移動量を大きく取る必要が生じ、絞り装置が大きくなってしまう。そこで、NDフィルタ5に台形状の凹部を形成し、絞り羽根の切り欠き形状11とNDフィルタ5によって形成される頂角を可能な限り鈍角とすることで、絞り装置を大型化させることなく、中間絞りによる解像度の劣化を抑えることを可能としている。ここで、NDフィルタ5の凹部を大きく取れば大きく取るほど中間絞りでの頂角の角度を大きく取ることが可能であるが、このことは絞り開口9の全面をNDフィルタ5が覆った時点の絞り開口面積が小さくなることにつながる。つまりは、中間絞りの状態が長くなり、より明るい状態で中間絞りの現象が発生することとなる。折角中間絞りの対策を行ってるのに、中間絞りを起こり易くもすることとなり、結局中間絞り対策の効果を小さくしてしまう。これらを配慮し、NDフィルタ5の凹部は極力小さくしている。このことは絞り装置の小型化にも寄与している。
【0059】
また、それぞれの絞り羽根の半円状の切り欠き10d,11dの半径を、前記有効像円Dを形成する半径と概略同等としているのは、撮像素子25に前記有効像円の外側から不要な光が入射することを防ぐ為に必要であり、このことは解像度を確保するためである。絞り羽根や固定枠その他の機械的な誤差によって、絞り羽根によって形成される絞り開口9の半径や中心位置の誤差が生じることを考慮し、前記絞り羽根の半円状の切り欠き10d,11dの半径を前記有効像円の半径よりも0.1mmから0.2mm大きくし、マージンとする場合が多い。ただし、上記マージンを多くとりすぎると不要な光が入射するので、適切なマージン量を検討することとなる。
【0060】
一方、固定枠2に設けられた固定絞り孔2eの半径は絞り羽根3,4によって形成される絞り開口9の開放時の半径より0.2mm程度大きく設定している。絞り羽根や固定枠その他の機械的な誤差によって、有効像円の半径より内側に光を遮るものが入らない為の措置である。従来技術のように前記固定絞り孔2eの半径を有効像円の半径と同等とした場合、逆に絞り羽根によって形成される絞り開口9の開放時の半径を大きく取る必要が生じる。このことによって、絞り羽根の移動量が大きくなることによる絞り装置の大型化を無くすことが出来る。このことは、それぞれの羽根の移動量および回動アーム8の移動範囲で0.2mmの3倍程度の問題ではあるが、ギリギリの設計をするなかでは割切ることが出来ない場合も出てくる。また、回動アーム8の移動範囲が増えることは、モータ7の回転角度が増えることとなり、モータ7のトルクが小さくなるなどの種々の不具合が発生することにつながる。このことは、モータ7の構成部品の機械的・磁気的ばらつきによって影響が顕著になることもあり、最悪外形φ6mmのモータで良いものが外形φ8mmのモータに切り替える必要が生じる場合も出てくる。
【0061】
ここで、上記の対策、つまりNDフィルタ5の絞り羽根3の位置を絞り羽根の切り欠き10の中心で光軸Xから0.2mmずらすことにより、絞り羽根3の移動量が大きくなってしまう。このことは、NDフィルタ1枚・モータ1個の条件のなかで、周辺光量落ちと中間絞りを同時に解決する為に不可欠な事項と捉え、小型化を優先する為に他の対策などのなかから選択している。また、固定枠に設けられた固定絞り孔2eの半径より、絞り羽根の切り欠き10,11の半径を小さくしたにも関らず、結果として開放状態において絞り羽根3の切り欠き10の大部分が固定絞り孔2eよりはみ出すこととなっている。このことは、前に指摘したように、有効像円より外側の不要な光を撮像素子25に入射させることとなり、映像の劣化につながる可能性がある。しかしながら、当該部分はNDフィルタ5に覆われていることなどから、実害はほとんどないことが確認されている。
【0062】
逆に、このことによって開放状態において、絞り開口9にNDフィルタ5が覆われる面積が小さくなることにより、より大きい光量が必要な場合に、より多くの光線を透過させることが可能となり、つまりはレンズ鏡筒の光学性能を向上させるといった効果も出てくる。
【0063】
ところで、従来例および特許文献1などによると、中間絞りによる回折現象を改善する為、NDフィルタを1枚追加し、中間絞り時の光線が直接透過する部分の形状を正方形とすることが提案されている。この改善案によると、NDフィルタが追加されることによる光軸x-x方向の厚さが大きくなる、コストアップとなる、さらにはNDフィルタ接着などによる工数および接着剤が周辺部に付着することによる不具合およびハンドリングが増えることによるゴミなどの異物付着といった不具合の発生頻度を増やすものであった。また、従来例による図7(a)に示すように、NDフィルタのサイズを小さくする為にNDフィルタ5,6に設けられた頂角90°の二等辺でなる凹部から両サイドで水平へ移行させた場合、9a部分において扁平部分が発生することで、回折現象による解像度の劣化となった。これを改善する為、特許文献1においては、NDフィルタ5,6の頂角90°の二等辺をさらに延長している。このことは、NDフィルタのサイズがさらに大きくなるし、絞り羽根の移動距離を大きくする必要から、絞り装置がさらに大きくなるものであるが、ここでは絞り開口を形成する絞り羽根とNDフィルタを保持する羽根を別個に用意し、違った動作をさせることで、大きくなることを可能な限り抑えるというものであり、中間絞り対策を考慮してない元の絞り装置の大きさからすると相当大型化したものにある。本発明による絞り装置においては、絞り羽根およびNDフィルタを元の中間絞りといった課題を配慮する絞り装置のものより小さくしながら、中間絞りや周辺光量落ちといった課題を解決可能とするものであり、絞り装置ならびに撮影レンズの小型化を可能とするものである。
【0064】
ここで、本発明の絞り装置が、中間絞りといった課題に配慮していない従来の絞り装置に対しても、小型化が可能であることを図10で示す。図10は、絞り装置の第一の絞り羽根と第二の絞り羽根およびNDフィルタとを組み合わせた位置関係を示す正面図である。
【0065】
図10(a)に、開放状態から少し絞った状態を示す。絞り開口9の面積的な中心9eはレンズ鏡筒の光軸中心Xと一致していることから、NDフィルタ5に覆われた部分により画面の一部で光量が小さくなる問題である周辺光量落ちといった問題となり易い。特に中間絞りといった課題に配慮してNDフィルタの覆う面積が大きくなったりすると、周辺光量落ちの問題が顕著となる。
【0066】
次に、図10(b)から(c)、(d)の順に、絞り開口9が小さくなるが、図10(c)に示す中間絞りの状態において、絞り開口9のうちNDフィルタ5に覆われてない部分9aの形状が頂角90度の二等辺三角形となることから、やや扁平となり、回折による解像度の劣化が問題となってくる。また、絞り羽根の切り欠きの頭頂部10a,11aの開角を90度としていることから、半円からの頭頂部10a,11aのはみ出し部分が2mmと大きくなり、その分絞り装置が大型化することとなる。実際、絞り装置を少しでも小さくしたいとの要求から頭頂部10a,11aの開角を110度、120度と大きくする例があったが、中間絞りにおける絞り開口9aの形状がより扁平となることから、回折による解像度の劣化が深刻な問題となった事例もある。
【0067】
以上のように、絞り羽根を有し、互いに逆方向に移動する絞り羽根で絞り開口が形成される撮影レンズにおいて、小絞りや中間絞りによる解像度の劣化と光量落ちは潜在的に有している課題であり、開放時の光量の問題と合わせていずれか改善することでいずれかが悪くなる場合が多い。これに対して、絞り羽根の形状やNDフィルタの形状による対策が、特許文献1を始めとして複数の特許で提案されている。これらの提案による対策によって、小絞り、中間絞り、いずれかによる解像度劣化の問題を改善することが可能となっているが、小絞り、中間絞りの両方をクリアするものは少ない。
【0068】
また、これらの対策によると、絞り装置を大型化することとなり、レンズ鏡筒さらにはレンズ鏡筒を搭載したビデオカメラといった商品の商品価値を悪くする場合が多い。特許文献1においては、従来技術より絞り装置の小型化が可能である、とされているが、中間絞りを対策する手段としてNDフィルタや絞り羽根の枚数を増やしたものと比較して小型化が可能としているが、本来の絞り羽根2枚にNDフィルタを1枚貼るものと比べると遥かに大型化するものであった。また、これらの提案においては、NDフィルタによって生じる光量落ちに対する問題については触れられておらず、なかには解像度の改善の副作用として光量落ちを悪化させるものもあった。本発明によれば、光量落ちおよび小絞り・中間絞りでの解像度といった課題を同時に改善するとともに、絞り装置およびレンズ鏡筒の小型化を可能とするものである。
【0069】
また、もうひとつの改善方法として、NDフィルタの透過光量を段階的に変化させることで、小絞りの状態のみ透過光量を小さくし、中間絞り側において透過光量を大きくし、NDフィルタとの境界で急激な光量差を無くすといったものが採用される場合がある。この場合、絞り装置を大型化する必要は無くなるが、NDフィルタの透過光量を段階的に変化させる技術が一般的でないことから対応できる絞り装置メーカーが限定され、その結果として絞り装置を高価なものとしている。本発明においては、絞り装置を従来の2枚の絞り羽根と1枚のNDフィルタで構成される絞り装置よりさらに小型化するなかで、光量落ちや小絞り・中間絞りでの解像度といった問題を同時に解決し、さらには上記従来の構成部品をさらに小型化することでコストダウンも可能とするものであり、ビデオカメラといった撮影レンズの小型化が優先される商品のデザイン上の自由度を大幅に改善し、より商品力の高いものとすることを可能にしている。
【0070】
一方で、図5に示すように、最近の小型撮影レンズにおいては、絞り装置1を挟んだ形で二群レンズ22と三群レンズ23が配置され、テレ側において、二群レンズ22と三群レンズ23のレンズ面間距離が1.6mmと小さく設定される場合がある。このことは、絞り装置の厚さに対する大変な制約となっており、撮影レンズに絞り装置を組み込む際の作業ばらつきによって近接するレンズと接触することで傷や汚れによる撮影レンズの性能を劣化させるといった問題も発生する。このため、図2の絞り装置の断面図に示すように、絞り装置の固定枠2は通常樹脂成形で形成され、強度や成形精度を確保する為基本肉厚は0.7mmから1mmとしており、前記レンズ面間距離1.6mmとする為、レンズの一部が絞り装置に嵌り込む形となる様、肉盗み2fを設けるなどの配慮が必要となっている。こうしたなか、通常絞り羽根やNDフィルタの板厚が0.07mm程度であるが、羽根等の変形やNDフィルタ固着時の浮き等を考慮する必要があることから、絞り羽根やNDフィルタによる厚さは1枚あたり0.3〜0.4mm程度見込まれ、絞り羽根やNDフィルタの枚数を増やすことは、撮影レンズの小型化に対する障害となっている。
【0071】
これに対して、図2の絞り装置の断面図において、絞り羽根を保持する固定枠2に対し、第二の絞り羽根4が挿入され、その上(図では左側)にNDフィルタ5を接着剤15で固着した第一の絞り羽根3が挿入されて、前記固定枠2のガイドピン2a〜2cに支持された状態で上下に移動可能とされている。さらにその左側に絞り羽根がはみ出すことと異物が混入されることを防止する為のカバー16が固定されている。図示しないが固定枠2から0.1mm程度の凸で形成される第二の絞り羽根4をガイドする部位を適所に配置することで、固定枠2側へのソリ・曲がりを防ぐ。逆方向のソリ・曲がりについては、絞り羽根3との距離を十分に取ることで、動作不良といった不具合を無くす。絞り羽根3が絞り羽根4に近接しないようにするため、固定枠2から0.6mm程度の凸で形成される第二の絞り羽根4をガイドする部位を適所に配置する。同様にカバー16からもそれぞれの絞り羽根の位置をキープするために、それぞれの絞り羽根をガイドする凸を形成する。それぞれの絞り羽根をガイドする固定枠2のガイドとカバー16のガイドは互いに向かい合う形で配置され、その隙間は0.2mm程度とする。絞り羽根の厚さは0.07mm程度であることから隙間を0.1mm程度確保することとなり、ガイドの面積をある程度小さくすることで、絞り羽根のソリ・曲がりによって動作に支障をきたすことを防いでいる。
【0072】
また、第一の絞り羽根をガイドする部位と第二の絞り羽根をガイドする部位は互いの羽根が動作する範囲を外して、干渉しないよう配置される。こうすることにより、絞り羽根同士の隙間は0.3〜0.4mmに保持され、NDフィルタ5のソリ・曲がりやNDフィルタの接着剤15の塗布厚を0.3mm以下で管理することで、動作不良を防ぐことができる。さらに、ガイドする箇所と絞り羽根の形状に配慮することで、絞り羽根の曲がりを規制し、小さい隙間でありながら互いの絞り羽根同士がぶつかりあって、動作不良とならないように配慮することも出来る。さらには、最悪ぶつかる箇所を指定し、それらの箇所に端面や孔などの部位を避けることによって、最悪ぶつかっても大きな負荷とならない様配慮される。こうした配慮によって、第一の絞り羽根3と第二の絞り羽根4が占有するスペースとして、厚さ0.7mm程度とすることを可能としている。さらには、カバー16および固定枠2に対して、図5の二群レンズ22および三群レンズ23がめり込む形となる様、逃がしを設けることによって、前述した二群レンズ22と三群レンズ23との面間距離が1.6mmと小さいレンズ鏡筒でも使用可能な絞り装置となっている。
【0073】
従来の技術による絞り装置の断面図を図8に示す。図8において、絞り羽根を保持する固定枠2に対し、NDフィルタ6を接着剤15で固着した第二の絞り羽根4が挿入され、その上(図では左側)にNDフィルタ5を接着剤15で固着した第一の絞り羽根3が挿入されて、前記固定枠2のガイドピン2a〜2cに支持された状態で上下に移動可能とされている。さらにその左側に絞り羽根がはみ出すことと異物が混入されることを防止する為のカバー16が固定されている。NDフィルタ5,6は、相互に干渉しないように絞り羽根3,4の外側に配置されている。図示しないが固定枠2から0.4mm程度の凸で形成される第二の絞り羽根4をガイドする部位を適所に配置することで、固定枠2とNDフィルタ6との干渉による動作不良を防いでいる。絞り羽根4の逆方向(左側)のソリ・曲がりを配慮し、絞り羽根3との距離を十分に取ることで、動作不良といった不具合を無くしている。絞り羽根3が絞り羽根4に近接しないようにするため、固定枠2から0.9mm程度の凸で形成される第二の絞り羽根4をガイドする部位を適所に配置する。
【0074】
同様にカバー16からもそれぞれの絞り羽根の位置をキープするために、それぞれの絞り羽根をガイドする凸を形成する。それぞれの絞り羽根をガイドする固定枠2のガイドとカバー16のガイドは互いに向かい合う形で配置され、その隙間は0.4mm程度となっている。上記の本発明による絞り装置において、絞り羽根の動作を安定させる為の隙間が0.1mm程度であったのに対し、従来例で0.4mm程度必要とされるのは絞り羽根の面積が大きいことと絞り羽根同士の干渉を防ぐために、本発明の絞り装置よりも大きくとる必要があることによる。上記により、絞り羽根およびNDフィルタが占有するスペースとしては、厚さ1.5mm以上となるのが通常である。カバー16および固定枠2に対して、図5の二群レンズ22および三群レンズ23がめり込む形となる様、逃がしを設けた場合でも、前述した二群レンズ22と三群レンズ23との面間距離は最低2mm以上必要となる。
【0075】
面間距離1.6mmと2mmの差は僅かではあるが、当社製品比較では、24倍相当のズーム比を有するレンズ鏡筒において、面間距離を1.6mmとすれば鏡筒全長(図8の寸法G)を45mmとすることが可能であることに対して、面間距離が2mmを超えた場合では鏡筒全長が50mm以上となるといった実績がある。こうした傾向は、ズーム比率が大きくなるほど顕著であることから、昨今の高倍率・小型レンズが求められる状況では製品デザインや製品性能上効果が大である。
【0076】
さらには、NDフィルタ5とNDフィルタ6の光軸x-x上の距離が大きくなることによって、中間絞りにおいて、つまりはNDフィルタ同士が重なり合う直前において、光軸x-xと平行な光線においては遮光できるものが、斜め(図8に示す矢印の方向)の光線が入射した場合に遮光できない、といった現象が生じる。このことによっても、回折現象による解像度の劣化が生じることとなり、図2に示すように、本発明による構造であれば、斜めの光線の影響を受けることなく、解像度の劣化の少ない良好な撮像を得ることを可能とする。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明にかかる撮影レンズの絞り装置は、例えばビデオカメラ、電子スチルカメラなどに用いられる可変焦点のレンズ鏡筒に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明による撮影レンズの絞り装置の正面図
【図2】同絞り装置の光軸方向に対する各部品の配置を概略的に示す断面図
【図3】同絞り装置の第一の絞り羽根および固着したNDフィルタ、第二の絞り羽根を示す正面図
【図4】同絞り装置の第一の絞り羽根と第二の絞り羽根および第一の絞り羽根に固着したNDフィルタとを組み合わせた位置関係を示す正面図
【図5】本発明による絞り装置を使用したレンズ鏡筒の断面図
【図6】従来の絞り装置の正面図
【図7】従来の絞り装置の第一の絞り羽根と第二の絞り羽根およびそれぞれの絞り羽根に固着したNDフィルタとを組み合わせた位置関係を示す正面図
【図8】従来の絞り装置の光軸方向に対する各部品の配置を概略的に示す断面図
【図9】従来の絞り装置を使用したレンズ鏡筒の断面図
【図10】従来の絞り装置の第一の絞り羽根と第二の絞り羽根および第一の絞り羽根に固着したNDフィルタとを組み合わせた位置関係を示す正面図
【符号の説明】
【0079】
1 絞り装置
2 固定枠(固定側部材)
2a,2b,2c,2d ガイドピン(ボス)
2e 固定枠に設けられた固定絞り孔
3 第一の絞り羽根
4 第二の絞り羽根
5 NDフィルタ
7 モータ(駆動源)
8 回動アーム(駆動力伝達部材)
8a、8b 連結ピン
9 絞り開口
9a 絞り開口のうちNDフィルタに覆われてない部分
10 第一の絞り羽根の切欠き
11 第二の絞り羽根の切欠き
12a,12b,12c 被案内スリット
13a,13b,13d 被案内スリット
14a、14b 連結長孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の絞り羽根を有し、互いに接離する方向に移動する絞り羽根で絞り開口が形成され、前記絞り開口が所定の面積より小さくなった際に絞り開口の全面を覆うNDフィルタを具備する撮影レンズの絞り装置において、前記絞り開口の面積が小さくなる過程で前記NDフィルタが前記絞り開口の全面を覆う直前に光線が素通しとなる部分の形状を概略正三角形とすることを特徴とする撮影レンズの絞り装置。
【請求項2】
前記撮影レンズの絞り装置において、前記NDフィルタの前記概略正三角形を形成する切片部に傾斜角20度程度で形成される2等辺の台形状の凹を持たせることを特徴とする請求項1に記載する撮影レンズの絞り装置。
【請求項3】
2枚の絞り羽根を有し、互いに接離する方向に移動する絞り羽根で絞り開口が形成され、前記絞り開口が所定の面積より小さくなった際に絞り開口の全面を覆うNDフィルタを具備する撮影レンズの絞り装置において、開放状態での絞り開口形状のうちNDフィルタで覆われた部分を前記2枚の絞り羽根を保持する固定枠に形成された固定絞り孔で形成し、NDフィルタで覆われてない部分を前記2枚の絞り羽根に設けられた概略半円形状の切り欠きで形成することを特徴とする撮影レンズの絞り装置。
【請求項4】
前記撮影レンズの絞り装置において、前記2枚の絞り羽根を保持する固定枠に形成された固定絞り孔の直径を、撮影レンズにおける絞り装置が配置される位置での有効像円の直径と同じか0.2mm程度大きくすることを特徴とする請求項3に記載する撮影レンズの絞り装置。
【請求項5】
2枚の絞り羽根を有し、互いに接離する方向に移動する絞り羽根で絞り開口が形成され、前記絞り開口が所定の面積より小さくなった際に絞り開口の全面を覆うNDフィルタを具備する撮影レンズの絞り装置において、前記NDフィルタを取り付けた側の絞り羽根を、NDフィルタの無い側の絞り羽根より遅い速度で移動させることを特徴とする撮影レンズの絞り装置。
【請求項6】
前記撮影レンズの絞り装置において、前記2枚の絞り羽根で形成される絞り開口の中心を、絞り開口の面積が小さくなったところで光軸中心に合致させたことを特徴とする請求項5に記載する撮影レンズの絞り装置。
【請求項7】
2枚の絞り羽根を有し、互いに接離する方向に移動する絞り羽根で絞り開口が形成され、前記絞り開口が所定の面積より小さくなった際に絞り開口の全面を覆うNDフィルタを具備する撮影レンズの絞り装置において、NDフィルタの取付けられてない側の絞り羽根を駆動するための連結ピンの動作点半径を小さくしたことを特徴とする撮影レンズの絞り装置。
【請求項8】
前記撮影レンズの絞り装置において、前記連結ピンの取付けられたアームの回転中心を、撮影レンズの光軸を中心としかつ絞り羽根の移動方向を軸とする線から、連結ピンの動作点半径の小さい方へずらしたことを特徴とする請求項7に記載した撮影レンズの絞り装置。
【請求項9】
2枚の絞り羽根を有し、互いに接離する方向に移動する絞り羽根で絞り径が形成される撮影レンズの絞り装置において、NDフィルタを絞り羽根に挟まれる形に配置したことを特徴とする撮影レンズの絞り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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