説明

撮影レンズ

【課題】レンズ鏡胴の中心に対して光軸がずれるようにレンズを配置し、回転絞り機構が設けられたレンズ鏡胴の大きさを最小限にする。
【解決手段】撮影レンズは、レンズと、複数の絞り孔が形成された絞り板42を回転させて絞り値を変化させる絞り機構と、前記レンズ及び絞り機構を保持するレンズ鏡胴とから構成されている。そして、前記レンズ鏡胴の中心Cが、レンズの光軸Lと絞り板42の回転中心42Aとの間に位置するように前記レンズ鏡胴に対してレンズ及び絞り機構を配置し、これによりレンズ鏡胴の内部空間を有効に使用し、レンズ鏡胴の大きさを最小限にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮影レンズに係り、特に絞り孔が形成された絞り板を回転させて絞り値を変化させる絞り機構を有する撮影レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、撮影レンズのレンズ鏡胴には、レンズが正規の位置に取り付けられ、また絞り機構が取り付けられているのが普通である。
【0003】
また、レンズは、その光軸がレンズ鏡胴の中心と一致するようにレンズ鏡胴に配置されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レンズ鏡胴に、絞り孔が形成された絞り板を回転させて絞り値を変化させる絞り機構(以下、回転絞り機構という)を設ける場合には、絞り板が大きく、且つ絞り板の回転中心がレンズ鏡胴の中心よりも偏倚しているため、レンズ鏡胴が回転絞り機構のために大型化するという問題があった。特に、従来の撮影レンズとして、回転絞り機構がレンズ鏡胴内を移動するように構成されたものはなく、回転絞り機構がレンズ鏡胴内を移動するように構成した場合には、レンズ鏡胴の大型化は避けられなかった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、回転絞り機構が設けられたレンズ鏡胴の大きさを最小限にすることができる撮影レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記目的を達成するために、レンズと、絞り孔が形成された絞り板を回転させて絞り値を変化させる絞り機構と、前記レンズ及び絞り機構を保持するレンズ鏡胴と、を備えた撮影レンズにおいて、前記レンズ鏡胴の中心が、前記レンズの光軸と前記絞り板の回転中心との間に位置するように前記レンズ鏡胴に対して前記レンズ及び前記絞り機構を配置したことを特徴としている。
【0007】
即ち、レンズ鏡胴の中心に対して光軸がずれるようにレンズを配置し、そのずれたレンズとは、レンズ鏡胴の中心に対して対向する側に絞り機構を配置するようにしている。これにより、レンズ鏡胴の内部空間を有効に使用し、レンズ鏡胴の大きさを最小限にしている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、レンズ鏡胴の中心が、レンズの光軸と絞り板の回転中心との間に位置するように、レンズ鏡胴に対してレンズ及び回転絞り機構を配置したため、レンズ鏡胴の内部空間を有効に使用することができ、レンズ鏡胴の大きさを最小限にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下添付図面に従って本発明に係る撮影レンズの好ましい実施の形態を詳説する。
【0010】
図1は本発明に係る撮影レンズが適用されたデジタルカメラの外観を示した斜視図である。同図において、1は撮影レンズとしてのズームレンズ、2はシャッターボタン、3はファインダー窓、4はズームストロボ、5は液晶表示パネル、6はAFセンサ、7はスト
ロボ調光センサである。
【0011】
また、同図に示すデジタルカメラは、背面側にメモリカード装填部を有している。ズームレンズ1から取り込まれてCCDセンサの結像面に結像された被写体像は、電気信号に変換され、メモリカード装填部のメモリカードにデジタル記録される。
【0012】
図2は図1に示したズームレンズ1の詳細を示す分解斜視図である。
【0013】
同図に示すように、このズームレンズ1は、撮影を行わないときには突出しているレンズ鏡胴がカメラ本体内に収納される沈胴式のズームレンズであり、第1群レンズ(変倍系レンズ)10、第2群レンズ(補正系レンズ)20、及び第3群レンズ(フォーカスレンズ)30の3群から構成されている。前記変倍レンズ10、補正系レンズ20及びフォーカスレンズ30は、それぞれ第1群レンズ枠12、第2群レンズ枠22及び第3群レンズ枠32に固定されている。
【0014】
前記第1群レンズ枠12は、カム内筒14内に進退自在に配設されている。即ち、カム内筒14には3本の直線溝14Aが形成されており、このカム内筒14は、カム筒16内に挿入されたのち、地板70に固定される。一方、第1群レンズ枠12には3本のガイドピン12Aが植設されており、これらの3本のガイドピン12Aがカム内筒14の3本の直線溝14A及びカム筒16内の3本のカム溝16Aに挿入される。これにより第1群レンズ枠12(変倍系レンズ10)は、カム内筒14の直線溝14Aによって光軸L方向に進退自在に案内されるとともに、カム筒16の回転により光軸L方向に移動する。
【0015】
前記第2群レンズ枠22及び第3群レンズ枠32は、それぞれガイドバー支持筒24内に進退自在に配設されている。即ち、ガイドバー支持筒24は、3本のガイドバー26、27、28の一端側をそれぞれ支持するもので、地板70に固定され、該地板70との間で3本のガイドバー26、27、28を固定する。第2群レンズ枠22は、ガイドバー26、27によって光軸L方向に進退自在に案内され、第3群レンズ枠32はガイドバー27、28によって光軸L方向に進退自在に案内されている。
【0016】
第2群レンズ枠22にはガイドピン22Aが植設されており、このガイドピン22Aは、ガイドバー支持筒24の長孔24Aを介してカム筒16内に形成されたカム溝(図示せず)に係合している。従って、第2群レンズ枠22(補正系レンズ20)は、カム筒16の回転により光軸L方向に移動する。
【0017】
一方、第3群レンズ枠32は、その一端が、ガイドバー支持筒24の長孔24Bを介してフォーカスレンズ駆動ユニット50のリードスクリュー53に螺合している。前記フォーカスレンズ駆動ユニット50は、地板70に固定される支持枠51と、この支持枠51に配設されたステップモータからなるフォーカスモータ52と、該フォーカスモータ52によって回転する前記リードスクリュー53と、支持枠51に配設され前記第3群レンズ枠32(フォーカスレンズ30)の基準位置を検出するフォトインタラプタ(図示せず)とから構成されている。
【0018】
上記フォーカスレンズ駆動ユニット50のフォーカスモータ52を駆動してリードスクリュー52を回転させることにより、第3群レンズ枠32(フォーカスレンズ30)を光軸L方向に移動させることができる。また、フォーカスレンズ30の位置は、フォーカスレンズ30の基準位置がフォトインタラプタ(図示せず)によって検出された時点からフォーカスモータ30に印加した駆動パルスのパルス数によって検出することができる。
【0019】
前記第2群レンズ枠22には、アイリスユニット40が搭載されている。このアイリス
ユニット40は、複数の絞り孔が形成された絞り板42と、この絞り板42を回転させるアイリスモータ44とを有しており、絞り板42の回転位置を制御することにより、所望の絞り孔を光軸L上に位置決めし、又は絞り孔が形成されていない遮光部分を光軸L上に位置決めする。
【0020】
また、前記カム筒16を回転させるカム筒駆動ユニット60は、地板70に固定されている。カム筒駆動ユニット60は、ズームモータ61と、複数の遮光羽を有する回転板62及び各遮光羽を検出するフォトインタラプタ63とからなるモータ回転検出部と、ズームモータ61の回転駆動力をカム筒16のリングギア17に伝達するギア列64とから構成されている。
【0021】
このカム筒駆動ユニット60のズームモータ61を回転させると、その回転駆動力はギア列64を介してカム筒16のリングギア17に伝達される。これにより、カム筒16はカム内筒14の外周に沿って回転し、前述したように第1群レンズ枠12及び第2群レンズ枠22をそれぞれ移動させる。また、回転板62が同時に回転し、この回転板62の遮光羽を検出するフォトインタラプタ63からは、回転板62の回転に応じてパルス信号(回転板62の1回転当たり4パルスのパルス信号)が出力される。このパルス信号を図示しないカウンタによってカウントすることにより、カム筒16の回転量を検出することができる。尚、18は、ズームレンズ1のズーム位置を検出するためのコード板18であり、19はコード板18に接触する5本のブラシである。
【0022】
図3はレンズ鏡胴内における各レンズと絞り板との位置関係を示す概略図である。
【0023】
同図において、Cはレンズ鏡胴の中心を示し、Lは変倍系レンズ10、補正系レンズ20及びフォーカスレンズ30の光軸を示し、42Aはアイリスユニット40の絞り板42の回転中心42Aを示している。
【0024】
前述したようにアイリスユニット40は、第2群レンズ枠22上に配設されているため、第2群レンズ枠22(補正系レンズ20)とともにレンズ鏡胴内を移動する。絞り板42上に形成された絞り孔は、レンズの光軸上に位置決めされるため、光軸Lと絞り板42の回転中心42Aとはずれている。一方、レンズの光軸とレンズ鏡胴の中心とは通常一致しているが、本発明では、レンズ鏡胴の中心Cとレンズの光軸Lとをずらすようにしている。即ち、レンズ鏡胴の中心Cが、光軸Lと絞り板42の回転中心42Aとの略中央の位置にくるように、レンズ鏡胴内に各レンズ及びアイリスユニット40が配置されている。これにより、レンズ鏡胴の内径を最小にし、レンズ鏡胴をコンパクトにしている。
【0025】
図4はカム筒16の回動範囲を制限するストッパ72と、カム筒16との位置関係を示す図である。このストッパ72は地板72上に固定されており(図2参照))、カム筒16の内周面に形成された凹部16B内に挿入される。これにより、カム筒16は、その凹部16Bがストッパ72に当接する範囲内で回動する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は本発明に係る撮影レンズが適用されたデジタルカメラの外観を示した斜視図である。
【図2】図2は図1に示したズームレンズの詳細を示す分解斜視図である。
【図3】図3はレンズ鏡胴内における各レンズと絞り板との位置関係を示す概略図である。
【図4】図4はカム筒の回動範囲を説明するために用いた図である。
【符号の説明】
【0027】
1…撮影レンズ(ズームレンズ)、10…第1群レンズ(変倍系レンズ)、12…第1群レンズ枠、14…カム内筒、16…カム筒、17…リングギア、20…第2群レンズ(補正系レンズ)、22…第2群レンズ枠、24…ガイドバー支持筒、30…第3群レンズ(フォーカスレンズ)、32…第3群レンズ枠、40…アイリスユニット、42…絞り板、44…アイリスモータ、50…フォーカスレンズ駆動ユニット、60…カム筒駆動ユニット、61…ズームモータ、L…光軸、C…レンズ鏡胴の中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、絞り孔が形成された絞り板を回転させて絞り値を変化させる絞り機構と、前記レンズ及び絞り機構を保持するレンズ鏡胴と、を備えた撮影レンズにおいて、
前記レンズ鏡胴の中心が、前記レンズの光軸と前記絞り板の回転中心との間に位置するように前記レンズ鏡胴に対して前記レンズ及び前記絞り機構を配置したことを特徴とする撮影レンズ。
【請求項2】
前記レンズ鏡胴の中心が、前記レンズの光軸と前記絞り板の回転中心との略中央の位置にくるように前記レンズ鏡胴に対して前記レンズ及び前記絞り機構を配置したことを特徴とする請求項1の撮影レンズ。
【請求項3】
前記レンズはズームレンズであり、前記絞り機構は、前記ズームレンズを構成する移動レンズのレンズ枠に搭載され、前記移動レンズとともに前記レンズ鏡胴内を移動することを特徴とする請求項1又は2の撮影レンズ。
【請求項4】
レンズと、前記レンズを保持する円筒形のレンズ鏡胴とを備えた撮影レンズにおいて、
前記レンズ鏡胴の中心に対して、前記レンズの光軸が偏芯するように前記レンズを前記レンズ鏡胴に配置したことを特徴とする撮影レンズ。
【請求項5】
前記レンズ鏡胴の中心に対して、前記レンズの光軸と対向する側に絞り機構を配置したことを特徴とする請求項4の撮影レンズ。
【請求項6】
レンズと、絞り機構と、前記レンズ及び絞り機構を保持するレンズ鏡胴と、を備えた撮影レンズにおいて、
前記レンズ鏡胴の中心が、前記レンズの光軸と前記絞り機構の絞りの回転中心との間に位置するように、前記レンズ鏡胴に対して前記レンズ及び絞り機構を配置したことを特徴とする撮影レンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−262236(P2008−262236A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198289(P2008−198289)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【分割の表示】特願2005−236055(P2005−236055)の分割
【原出願日】平成9年2月17日(1997.2.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】