撮影制御装置およびその方法並びにプログラム
【課題】ダイナミックレンジ拡大の処理を行う場合に、その効果を維持しつつ、最終的に得られる画像の仕上がりをより自然なものとする。
【解決手段】DR拡大率設定部36がダイナミックレンジ拡大率を設定する。内部メモリ35には、ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調カーブおよび画像のゲイン補正量を決定するための補正テーブルが記憶されている。露出条件決定部37は、ダイナミックレンジ拡大率に応じて、階調カーブおよび補正テーブルを内部メモリ35から取得し、補正テーブルによりゲイン補正量を決定し、ゲイン補正量によりゲインを補正して、撮影により取得する画像のゲインを調整する。そして、ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調カーブにより、取得した画像に階調処理を行う。
【解決手段】DR拡大率設定部36がダイナミックレンジ拡大率を設定する。内部メモリ35には、ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調カーブおよび画像のゲイン補正量を決定するための補正テーブルが記憶されている。露出条件決定部37は、ダイナミックレンジ拡大率に応じて、階調カーブおよび補正テーブルを内部メモリ35から取得し、補正テーブルによりゲイン補正量を決定し、ゲイン補正量によりゲインを補正して、撮影により取得する画像のゲインを調整する。そして、ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調カーブにより、取得した画像に階調処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮影装置の撮影の制御を行う撮影制御装置および方法並びに撮影制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラを用いて低輝度の被写体を撮影する場合、得られる撮像信号は暗く、被写体を再生する際に階調の幅として再現される信号値の幅も狭いため、画像データを再生した際に、暗く、階調の乏しい画像として再現されてしまう。
【0003】
この場合、CCD等の撮像素子から出力される撮像信号を一定の倍率で増幅するゲインアップを行うことにより、低輝度の被写体であっても明るく、また、階調豊かに再現することができる。しかしながら、高輝度の被写体を撮像した場合にゲインアップを行うと、再現可能な階調幅以上に撮像信号が増幅されてしまい、いわゆる白飛びが生じてしまう。
【0004】
このため、画像を構成する各画素の画素値の出入力特性が非線形に変化する階調カーブを複数用意し、画像の輝度に応じて選択された階調カーブに基づいて階調処理を行うことにより、広いダイナミックレンジを有する画像を得る手法が提案されている(特許文献1参照)。また、露出をアンダーにして撮影を行い、特許文献1に記載された手法を適用することにより、ダイナミックレンジを拡大する撮影装置も提案されている。
【0005】
また、画像のダイナミックレンジを拡大するとともに、画像に存在するハイライト部の割合に応じて露出補正量を変更して露出補正を行う手法も提案されている(特許文献2参照)。特許文献2に記載された手法は、画像の各画素のについてダイナミックレンジ補正係数を算出し、ダイナミックレンジ拡大後の輝度ヒストグラムのハイライト部の割合に応じて、露出補正を行うためのトーンカーブを作成して露出補正を行うものである。
【特許文献1】特開2004−363726号公報
【特許文献2】特開2002−281510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載された手法のように階調カーブを用いる手法は、単純なゲインアップとは異なり、画像のすべての輝度レベルにおいて輝度アップ量が異なる。このため、露出をアンダーにして撮影を行ってダイナミックレンジを拡大した場合、露出をアンダーにした分、低輝度部分の輝度アップ量は大きくなるが、高輝度部分においては輝度アップ量が少なくなり、その結果、最終的に得られる処理済み画像の仕上がりがアンダー気味となってしまうという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載された手法においては、ダイナミックレンジを拡大した後にトーンカーブにより露出補正を行っているため、露出補正によりダイナミックレンジ拡大の効果が損なわれてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、ダイナミックレンジ拡大の処理を行う場合に、その効果を維持しつつ、最終的に得られる画像の仕上がりをより自然なものとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による撮影制御装置は、撮影により画像を取得する撮影手段と、
前記画像の輝度に応じて該画像に対するダイナミックレンジ拡大率を設定するダイナミックレンジ拡大率設定手段と、
前記ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど輝度が高い画像が得られるように、前記画像の輝度を制御する条件を決定する条件決定手段と、
前記決定された条件により前記撮影手段が取得した画像に対して、前記ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を行って処理済み画像を得る処理手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
なお、本発明による撮影制御装置においては、前記画像の輝度を制御する条件を、前記画像を取得する際の露出条件としてもよい。
【0011】
この場合、前記露出条件を、前記撮影手段が画像を取得する際の露出としてもよく、露出により決定される露出設定値としてもよい。
【0012】
またこの場合、前記露出設定値を、前記撮影手段が取得する画像のゲイン、前記撮影手段が前記画像を取得する際の絞り値、およびシャッタスピードの少なくとも1つとしてもよい。
【0013】
また、本発明による撮影制御装置においては、各種ダイナミックレンジ拡大率に応じて、前記輝度が所定値以上となる高輝度領域の大きさと、前記露出設定値を補正するための露出補正量との関係を複数記憶する記憶手段をさらに備えるものとし、
前記条件決定手段を、前記ダイナミックレンジ拡大率に応じて前記複数の関係から一の関係を取得し、該取得した関係を参照して、前記高輝度領域の大きさに応じて前記露出補正量を取得し、該露出補正量により前記露出設定値を補正して最終的な露出設定値を決定する手段としてもよい。
【0014】
この場合において、前記露出設定値が前記画像のゲインである場合、前記関係を、前記ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ前記高輝度領域が大きいほど前記ゲインの補正量を大きくする関係としてもよい。
【0015】
またこの場合において、前記露出設定値が前記絞り値である場合、前記関係を、前記高輝度領域が大きいほど該絞りの補正量を大きくし、前記ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど前記高輝度領域の大きさに対する前記絞りの補正量が大きく変化する関係としてもよい。
【0016】
またこの場合において、前記露出条件が前記シャッタスピードである場合、前記関係を、前記ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ前記高輝度領域が大きいほど前記シャッタスピードの補正量を大きくする関係としてもよい。
【0017】
本発明による撮影制御方法は、撮影により画像を取得する撮影手段と、
前記画像の輝度に応じて該画像に対するダイナミックレンジ拡大率を設定するダイナミックレンジ拡大率設定手段とを備えた撮影制御装置における撮影制御方法であって、
前記ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど輝度が高い画像が得られるように、前記画像の輝度を制御する条件を決定し、
前記決定された条件により前記撮影手段が取得した画像に対して、前記ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を行って処理済み画像を得ることを特徴とするものである。
【0018】
なお、本発明による撮影制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど輝度が高い画像が得られるように、撮影により取得した画像の輝度を制御する条件を決定し、決定した条件により撮影手段が取得した画像に対して、ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を行って処理済み画像を得るようにしたものである。このように、決定された条件により画像を取得した後に、ダイナミックレンジ拡大率に応じて、取得した画像に階調処理を行うことにより、特許文献1のようにダイナミックレンジ拡大処理後に露出補正を行う場合と比較して、ダイナミックレンジ拡大処理の効果が損なわれてしまうことを防止できる。また、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど処理済み画像が暗く見える傾向があるため、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど、より輝度が高い画像が得られるように処理済み画像の輝度を制御する条件を決定することにより、ダイナミックレンジの拡大率が大きくても、処理済み画像の明るさを自然なものとすることができる。
【0020】
また、画像の輝度を制御する条件を、画像を取得する際の露出または露出設定値とすることにより、より簡易に処理済み画像の輝度を制御する条件を決定することができる。
【0021】
また、各種ダイナミックレンジ拡大率に応じて、輝度が所定値以上となる高輝度領域の大きさと、露出設定値を補正するための露出補正量との関係を複数用意し、ダイナミックレンジ拡大率に応じて複数の関係から一の関係を取得し、取得した関係を参照して高輝度領域の大きさに応じて露出補正値を取得し、露出補正値により露出設定値を補正して最終的な露出設定値を決定することにより、簡易に露出設定値を決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1および図2は、本発明の第1の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラ1の外観を示す図である。図1および図2に示すように、このデジタルカメラ1の上部には、レリーズボタン2、電源ボタン3およびズームレバー4が備えられている。
【0023】
レリーズボタン2は、2段階の押下により2種類の動作を指示できる構造となっている。例えば、自動露出調整機能(AE:Auto Exposure)、自動焦点調節機能(AF:Auto Focus)を利用した撮影では、デジタルカメラ1は、レリーズボタン2が軽く押下される第1の押下操作(半押しともいう)がなされたときに、露出調整、焦点合わせ等の撮影準備を行う。その状態で、レリーズボタン2が強く押下される第2の押下操作(全押しともいう)がなされると、デジタルカメラ1は露光を開始し、露光により得られた1画面分の画像データを記録メディアに記録する。
【0024】
また、デジタルカメラ1の背面には、液晶等のモニタ5、撮影モード等の設定に利用されるモードダイヤル6、および各種操作ボタン8が備えられている。なお、本実施形態においては、撮影を行う撮影モード、記録メディアに記録された画像をモニタ5に再生する再生モードを設定可能とされている。
【0025】
次いで、デジタルカメラ1の内部構成について説明する。図3は本発明の第1の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラの内部構成を示す概略ブロック図である。図3に示すように本実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラ1は、撮像系10を有する。
【0026】
撮像系10は、フォーカスレンズおよびズームレンズからなる撮影レンズ12を有する。撮影レンズ12は、被写体にピントを合わせるためのフォーカスレンズ、ズーム機能を実現するためのズームレンズ等の複数の機能別レンズにより構成される。レンズ駆動部13はステッピングモータ等小型のモータで、CCD18から各機能別レンズのまでの距離が目的に適った距離となるように各機能別レンズの位置を調整する。
【0027】
絞り14は、複数の絞り羽根からなる。絞り駆動部15は、ステッピングモータ等小型のモータで、AE処理部29から出力される絞り値データに応じて、絞りの開口サイズが目的に適ったサイズになるように絞り羽根の位置を調整する。
【0028】
シャッタ16はメカニカルシャッタであり、シャッタ駆動部17によって駆動される。シャッタ駆動部17は、レリーズボタンの押下により発生する信号と、AE処理部29から出力されるシャッタスピードデータとに応じて、シャッタ16の開閉の制御を行う。
【0029】
シャッタ16の後方には撮像素子であるCCD18を有している。CCD18は、多数の受光素子を2次元的に配列した光電面を有しており、撮影レンズ12等の光学系を通過した被写体光がこの光電面に結像し、光電変換される。光電面の前方には、各画素に光を集光するためのマイクロレンズアレイと、R,G,B各色のフィルタが規則的に配列されたカラーフィルタアレイとが配置されている。CCD18は、CCD制御部19から供給される垂直同期信号および水平同期信号に同期して、画素毎に蓄積された電荷を1ラインずつシリアルなアナログ撮影信号として出力する。各画素において電荷を蓄積する時間、すなわち露光時間は、CCD制御部19から与えられる電子シャッタ駆動信号によって決定される。また、CCD18はCCD制御部19により、あらかじめ定められた大きさのアナログ撮像信号が得られるようにゲインが調整されている。
【0030】
CCD18から読み出されたアナログ撮影信号は、アナログフロントエンド(AFE)20に入力される。AFE20は、アナログ信号のノイズを除去する相関2重サンプリング回路(CDS)20Aと、アナログ信号のゲインを調節するオートゲインコントローラ(AGC)20Bと、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ(ADC)20Cとからなる。このデジタル信号に変換された画像データは、画素毎にR,G,Bの濃度値を持つCCD−RAWデータである。なお、デジタル信号に変換された画像データのビット数は、最終的に保存される画像データのビット数よりも大きいものとなっている。例えば、最終的に保存される画像データが8ビットの場合、AFE20から出力される画像データは12ビットとなっている。
【0031】
ここで、AGC20Bは、後述するようにAE処理部29が出力したISO感度データに応じたゲインによりアナログ信号のゲインを調節する。また、後述するようにゲイン補正量が入力された場合には、AE処理部29が出力したISO感度データに応じたゲインを補正し、補正されたゲインによりアナログ信号のゲインを調整する。
【0032】
タイミングジェネレータ21は、タイミング信号を発生させるものであり、このタイミング信号をシャッタ駆動部17、CCD制御部19、およびAFE20に供給することにより、レリーズボタンの操作、シャッタ16の開閉、CCD18からの電荷の読み出し、およびAFE20の処理の同期をとっている。
【0033】
また、デジタルカメラ1は撮影時において必要なときに発光されるフラッシュ24を有する。
【0034】
また、デジタルカメラ1は、AFE20が出力した画像データをデータバス41を介して他の処理部に転送する画像入力コントローラ25、および画像入力コントローラ25から転送された画像データを一時記憶するフレームメモリ26を備える。
【0035】
フレームメモリ26は、画像データに対して後述の各種処理を行う際に使用する作業用メモリであり、例えば、一定周期のバスクロック信号に同期してデータ転送を行うSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)が使用される。
【0036】
表示制御部27は、フレームメモリ26に格納された画像データをスルー画像としてモニタ5に表示させたり、再生モード時に記録メディア34に保存されている画像をモニタ5に表示させたりするためのものである。なお、スルー画像は、撮影モードが選択されている間、タイミングジェネレータ21が発生する垂直同期信号に同期して所定時間間隔で撮像系10により撮影される。
【0037】
AF処理部28およびAE処理部29は、プレ画像に基づいて撮影条件を決定する。このプレ画像とは、レリーズボタンが半押しされることによって発生する半押し信号を検出したCPU40がCCD18にプレ撮影を実行させた結果、フレームメモリ26に格納された画像データにより表される画像である。
【0038】
AF処理部28は、プレ画像に基づいて焦点位置を検出し、フォーカス駆動量データを出力する(AF処理)。焦点位置の検出方式としては、例えば、所望とする被写体にピントが合った状態では画像のコントラストが高くなるという特徴を利用して合焦位置を検出するパッシブ方式が考えられる。
【0039】
AE処理部29は、プレ画像に基づいて被写体輝度を測定し、測定した被写体輝度に基づく露出値から絞り値、シャッタスピードおよびISO感度を算出し、絞り値データ(Av値)、シャッタスピードデータ(Tv値)およびISO感度データ(Sv値)を露出設定値として出力する(AE処理)。
【0040】
AWB処理部30は、撮影時のホワイトバランスを自動調整する(AWB処理)。
【0041】
画像処理部31は、本画像の画像データに対して、階調処理、シャープネス補正処理、色補正処理等の画質補正処理、およびCCD−RAWデータを輝度信号であるYデータと、青色色差信号であるCbデータおよび赤色色差信号であるCrデータとからなるYCデータに変換するYC処理を行う。この本画像とは、レリーズボタンが全押しされることによって実行される本撮影によりCCD18から取り込まれ、AFE20、画像入力コントローラ25経由でフレームメモリ26に格納された画像データにより表される画像である。なお、本実施形態において、階調処理は内部メモリ35から取得された、ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調カーブを用いて行う。また、本実施形態においては、階調処理を行う点に特徴を有するため、画質補正処理およびYC処理のうち、階調処理以外の処理を信号処理と称するものとする。
【0042】
圧縮/伸長処理部32は、画像処理部31によって処理が行われた本画像の画像データに対して、例えば、JPEG等の圧縮形式で圧縮処理を行い画像ファイルを生成する。この画像ファイルには、Exifフォーマット等に基づいて、撮影日時等の付帯情報が格納されたタグが付加される。
【0043】
メディア制御部33は、不図示のメディアスロットルに着脱自在にセットされた記録メディア34にアクセスして、画像ファイルの書き込みと読み込みの制御を行う。
【0044】
内部メモリ35は、デジタルカメラ1において設定される各種定数、後述する各種テーブル、およびCPU40が実行するプログラム等を記憶する。
【0045】
また、デジタルカメラ1は、ダイナミックレンジ拡大率設定部36および露出条件決定部37を備える。
【0046】
ダイナミックレンジ拡大率設定部36(以下DR拡大率設定部とする)は、例えば上記特許文献1に記載された手法を用いて、ダイナミックレンジ拡大率を設定する。具体的には、プレ画像を複数の領域(例えば16)に分割し、各領域の画素値の平均値(輝度平均値)を算出する。そして、すべての領域の輝度平均値を比較し、輝度平均値の最大値の大きさに応じて、ダイナミックレンジ拡大率を設定する。ここで、プレ画像が12ビットの画像データであるとすると、最大値が0〜255である場合、すなわち被写体輝度が低い場合には、ダイナミックレンジ拡大率を100%に設定する。最大値が256〜511である場合には、ダイナミックレンジ拡大率を200%に設定する。また、最大値が512〜1023である場合、すなわち被写体輝度が高い場合には、ダイナミックレンジ拡大率を400%に設定する。さらに、最大値が1024以上である場合には、ダイナミックレンジ拡大率を最大に設定する。
【0047】
露出条件決定部37は、DR拡大率設定部36が設定したダイナミックレンジ拡大率に応じた階調カーブを内部メモリ35から取得する。図4はダイナミックレンジ拡大率に応じた階調カーブを示す図である。図4に示すように、本実施形態においては、ダイナミックレンジ拡大率が100%用、200%用、400%用および最大用の4種類の階調カーブγ1〜γ4が内部メモリ35に記憶されている。ここで、本実施形態においては露出をアンダーにして撮影を行うため、階調カーブγ1〜γ4は、高輝度域において入力に対する出力の変化量を小さくし、中輝度域を適正露出レベルとするように持ち上げるカーブとなっている。また、ダイナミックレンジ拡大率が大きくなるほど、低輝度側の立ち上がりが急峻となる。
【0048】
また、露出条件決定部37は、図5に示すようにプレ画像を64分割し、各領域の画素値の平均値(輝度平均値)を算出し、輝度平均値がしきい値Th1以上となる領域(以下高輝度領域とする)の数を算出する。例えば、図5において斜線部分の領域の輝度平均値がしきい値Th1以上である場合には、高輝度領域数は17となる。なお、しきい値Th1としては、プレ画像の画像データのビット数を12ビットとした場合、例えば10ビット(511)を用いることができる。そして、内部メモリ35に記憶された、高輝度領域数とゲイン補正量との関係を規定した補正テーブルを参照して、ゲイン補正量を決定する。
【0049】
図6はゲイン補正量を決定するための補正テーブルを示す図である。図6に示すようにゲイン補正用の補正テーブルSM1〜SM4は、横軸に高輝度領域数を、縦軸にゲイン補正量Svを規定してなるものであり、ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ高輝度領域数が大きいほど、ゲイン補正量Svが大きくなる。
【0050】
露出条件決定部37は、DR拡大率設定部36が設定したダイナミックレンジ拡大率に応じた補正テーブルSM1〜SM4を内部メモリ35から取得し、取得した補正テーブルを参照して、高輝度領域数に応じたゲイン補正量Svを決定する。例えば、ダイナミックレンジ拡大率が200%であり、高輝度領域数が17の場合、図7に示すようにゲイン補正量Sv=0.2に決定する。なお、ゲイン補正量SvはAFE20に出力される。AFE20のAGC20Bは、AE処理により決定されたISO感度をゲイン補正量Svにより補正し、補正したISO感度に応じたゲインによりアナログ信号のゲインを調整する。
【0051】
ここで、ゲイン補正用の補正テーブルSM1〜SM4は、横軸に高輝度領域数を、縦軸にゲイン補正量Svを規定してなるものであり、ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ高輝度領域数が大きいほどゲイン補正量が大きくなる。このため、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほどゲインが大きくなることから、より輝度が高い画像が得られるものとなっている。
【0052】
CPU40は、操作ボタン8およびAF処理部28等の各種処理部からの信号に応じてデジタルカメラ1の本体各部を制御する。
【0053】
データバス41は、各種処理部、フレームメモリ26およびCPU40等に接続されており、画像データおよび各種指示等のやり取りを行う。
【0054】
次いで、第1の実施形態において行われる処理について説明する。なお、本実施形態はAE処理部29が算出した露出設定値を補正する点に特徴を有するため、以降の説明においては、露出設定値を補正する処理についてのみ説明する。図8は第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。レリーズボタン2が半押しされてプレ撮影が行われ、プレ画像が取得されることによりCPU40が処理を開始し、プレ画像を用いてAF処理部28がAF処理を、AE処理部29がAE処理を行い(ステップST1)、露出設定値、すなわち絞り値、シャッタスピードおよびISO感度を決定する(ステップST2)。さらに、DR拡大率設定部36および露出条件決定部37が露出条件決定処理を行う(ステップST3)。
【0055】
図9は第1の実施形態における露出条件決定処理のフローチャートである。まず、DR拡大率設定部36がダイナミックレンジ拡大率を設定し(ステップST21)、露出条件決定部37が、ダイナミックレンジ拡大率に対応する階調カーブを取得する(ステップST22)。そして、ダイナミックレンジ拡大率が100%である場合には(ステップST23肯定)、ダイナミックレンジ拡大率100%用のゲイン補正用補正テーブルSM1を内部メモリ35から取得する(ステップST24)。ダイナミックレンジ拡大率が200%である場合には(ステップST25肯定)、ダイナミックレンジ拡大率200%用の補正テーブルSM2を内部メモリ35から取得する(ステップST26)。ダイナミックレンジ拡大率が400%である場合には(ステップST27肯定)、ダイナミックレンジ拡大率400%用の補正テーブルSM3を内部メモリ35から取得する(ステップST28)。ダイナミックレンジ拡大率が400%を超える場合には(ステップST27否定)、ダイナミックレンジ拡大率最大用の補正テーブルSM4を内部メモリ35から取得する(ステップST29)。
【0056】
さらに露出条件決定部37は、高輝度領域数を算出し、取得した補正テーブルを参照して、高輝度領域数に基づいてゲイン補正量Svを決定してAFE20に出力する(ステップST30)。そして、AFE20のAGC20Bは取得したゲイン補正量SvによりAE処理部29が算出したISO感度データすなわちゲインを補正する(ステップST31)。以上により、露出条件決定処理を終了する。
【0057】
図8に戻り、レリーズボタン2が全押しされると(ステップST4肯定)、撮像系10が本撮影を行い(ステップST5)、AFE20のAGC20Bが、補正したゲインによりCCD18が出力したアナログ撮像信号のゲインを調整する(ステップST6)。ゲインが調整された撮像信号はデジタルの画像データに変換され、画像処理部31に出力される。画像処理部31は、露出条件決定部37が取得した階調カーブにより階調処理を行い(ステップST7)、さらに信号処理を行う(ステップST8)。
【0058】
さらに、圧縮/伸長処理部32が処理後の画像データの画像ファイルを生成し(ステップST9)、メディア制御部33が記録メディア34に画像ファイルを記録し(ステップST10)、処理を終了する。
【0059】
このように、第1の実施形態においては、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど、より輝度が高い画像が得られるようにゲイン補正量Svを決定し、ゲイン補正量Svにより補正されたゲインにより画像を取得し、ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を、取得した画像に対して行うようにしたものである。このようにゲインが補正された画像に対して階調処理を行っているため、特許文献1のようにダイナミックレンジ拡大処理後に露出補正を行う場合と比較して、ゲインを補正することによってダイナミックレンジ拡大処理の効果が損なわれてしまうことを防止できる。また、露出をアンダーにして撮影を行うと、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど処理済み画像が暗く見える傾向があるが、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほどより大きくゲインを補正することにより、ダイナミックレンジの拡大率が大きくても、処理済み画像の明るさを自然なものとすることができる。
【0060】
また、各種ダイナミックレンジ拡大率に応じて、高輝度領域数とゲイン補正量Svとの関係を規定する補正テーブルを用意し、ダイナミックレンジ拡大率に応じて補正テーブルを取得し、取得した補正テーブルを参照して、高輝度領域数に応じてゲイン補正量Svを決定することにより、簡易にゲイン補正量Svを決定することができる。
【0061】
次いで、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラは、第1の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラと同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。上記第1の実施形態においては、露出設定値のうちISO感度すなわちゲインを補正しているが、第2の実施形態においては、絞り値を補正するようにした点が第1の実施形態と異なる。このため、第2の実施形態においては、絞り値補正量を決定するための補正テーブルが内部メモリ35に記憶されてなる。
【0062】
図10は絞り値補正量を決定するための補正テーブルを示す図である。図10に示すように絞り値補正用補正テーブルAM1〜AM4は、横軸に高輝度領域数を、縦軸に絞り値補正量Avを規定してなるものであり、ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ高輝度領域数が大きいほど、絞り値補正量Avが段階的に大きくなるものとなっている。なお、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど、高輝度領域数に対する絞り値補正量Avの増加の仕方が早くなる。
【0063】
露出条件決定部37は、DR拡大率設定部36が設定したダイナミックレンジ拡大率に応じた補正テーブルAM1〜AM4を内部メモリ35から取得し、取得した補正テーブルを参照して、高輝度領域数に応じた絞り値補正量Avを決定する。例えば、ダイナミックレンジ拡大率が200%であり、高輝度領域数が17の場合、図11に示すように絞り値補正量Av=0.66に決定する。なお、絞り値補正量Avは撮像系10の絞り駆動部15に出力される。絞り駆動部15は、AE処理部29が算出した絞り値を絞り値補正量Avにより補正し、補正した絞り値に応じて、絞りの開口サイズが目的に適ったサイズになるように絞り羽根の位置を調整する。
【0064】
ここで、絞り値補正用の補正テーブルAM1〜AM4は、横軸に高輝度領域数を、縦軸に絞り値補正量Avを規定してなるものであり、ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ高輝度領域数が大きいほど、絞り値補正量Avが段階的に大きくなるものとなっている。このため、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど絞り値が大きくなることから、より輝度が高い画像が得られるものとなっている。
【0065】
次いで、第2の実施形態において行われる処理について説明する。図12は第2の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。レリーズボタン2が半押しされてプレ撮影が行われ、プレ画像が取得されることによりCPU40が処理を開始し、プレ画像を用いてAF処理部28がAF処理を、AE処理部29がAE処理を行い(ステップST41)、露出設定値、すなわち絞り値、シャッタスピードおよびISO感度を決定する(ステップST42)。さらに、DR拡大率設定部36および露出条件決定部37が露出条件決定処理を行う(ステップST43)。
【0066】
図13は第2の実施形態における露出条件決定処理のフローチャートである。まず、DR拡大率設定部36がダイナミックレンジ拡大率を設定し(ステップST51)、露出条件決定部37が、ダイナミックレンジ拡大率に対応する階調カーブを取得する(ステップST52)。そして、ダイナミックレンジ拡大率が100%である場合には(ステップST53肯定)、ダイナミックレンジ拡大率100%用の絞り値補正用補正テーブルAM1を内部メモリ35から取得する(ステップST54)。ダイナミックレンジ拡大率が200%である場合には(ステップST55肯定)、ダイナミックレンジ拡大率200%用の補正テーブルAM2を内部メモリ35から取得する(ステップST56)。ダイナミックレンジ拡大率が400%である場合には(ステップST57肯定)、ダイナミックレンジ拡大率400%用の補正テーブルAM3を内部メモリ35から取得する(ステップST58)。ダイナミックレンジ拡大率が400%を超える場合には(ステップST57否定)、ダイナミックレンジ拡大率最大用の補正テーブルAM4を内部メモリ35から取得する(ステップST59)。
【0067】
さらに露出条件決定部37は、高輝度領域数を算出し、補正テーブルを参照して、高輝度領域数に基づいて絞り値補正量Avを決定して絞り駆動部15に出力する(ステップST60)。そして、絞り駆動部15は、取得した絞り値補正量AvによりAE処理部29が算出した絞り値を補正する(ステップST61)。以上により、露出条件決定処理を終了する。
【0068】
図12に戻り、レリーズボタン2が全押しされると(ステップST44肯定)、補正された絞り値を用いて撮像系10が本撮影を行う(ステップST45)。本撮影により取得されたデジタルの画像データは画像処理部31に出力される。画像処理部31は、露出条件決定部37が取得した階調カーブにより階調処理を行い(ステップST46)、さらに信号処理を行う(ステップST47)。
【0069】
さらに、圧縮/伸長処理部32が処理後の画像データの画像ファイルを生成し(ステップST48)、メディア制御部33が記録メディア34に画像ファイルを記録し(ステップST49)、処理を終了する。
【0070】
このように、第2の実施形態においては、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど、より輝度が高い画像が得られるように絞り値補正量Avを決定し、決定した絞り値正量Avにより補正された絞り値を用いて撮影を行って画像を取得し、ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を、取得した画像に対して行うようにしたものである。このように絞り値を補正することにより取得した画像に対して階調処理を行っているため、特許文献1のようにダイナミックレンジ拡大処理後に露出補正を行う場合と比較して、ダイナミックレンジ拡大処理の効果が損なわれてしまうことを防止できる。また、露出をアンダーにして撮影を行うと、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど処理済み画像が暗く見える傾向があるが、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほどより大きく絞り値を補正することにより、ダイナミックレンジの拡大率が大きくても、処理済み画像の明るさを自然なものとすることができる。
【0071】
また、絞り値を補正しているため、第1の実施形態のようにゲインを調整することによるノイズの発生を防止できる。また、輝度を高くするためにシャッタスピードが遅くなることもないため、手ブレの影響を少なくすることができる。
【0072】
次いで、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラは、第1の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラと同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。上記第1の実施形態においては、露出設定値のうちISO感度すなわちゲインを補正しているが、第3の実施形態においては、シャッタスピードを補正するようにした点が第1の実施形態と異なる。このため、第3の実施形態においては、シャッタスピード補正量を決定するための補正テーブルが内部メモリ35に記憶されてなる。
【0073】
図14はシャッタスピード補正量を決定するための補正テーブルを示す図である。図13に示すようにシャッタスピード補正用補正テーブルTM1〜TM4は、横軸に高輝度領域数を、縦軸にシャッタスピード補正量Tvを規定してなるものであり、ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ高輝度領域数が大きいほど、シャッタスピード補正量Tvが大きくなる。
【0074】
露出条件決定部37は、DR拡大率設定部36が設定したダイナミックレンジ拡大率に応じた補正テーブルTM1〜TM4を内部メモリ35から取得し、取得した補正テーブルを参照して、高輝度領域数に応じたシャッタスピード補正量Tvを決定する。例えば、ダイナミックレンジ拡大率が200%であり、高輝度領域数が17の場合、図15に示すようにシャッタスピード補正量Tv=0.2に決定する。なお、シャッタスピード補正量は撮像系10のシャッタ駆動部17に出力される。シャッタ駆動部17は、AE処理部29が算出したシャッタスピードをシャッタスピード補正量Tvにより補正し、補正したシャッタスピードに応じて、シャッタ16の開閉を制御する。
【0075】
ここで、シャッタスピード補正用補正テーブルTM1〜TM4は、横軸に高輝度領域数を、縦軸にシャッタスピード補正量Tvを規定してなるものであり、ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ高輝度領域数が大きいほど、シャッタスピード補正量Tvが大きくなる。このため、ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ高輝度領域数が大きいほど、シャッタスピードが大きく(すなわち遅く)なることから、より輝度が高い画像が得られるものとなっている。
【0076】
次いで、第3の実施形態において行われる処理について説明する。図16は第3の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。レリーズボタン2が半押しされてプレ撮影が行われ、プレ画像が取得されることによりCPU40が処理を開始し、プレ画像を用いてAF処理部28がAF処理を、AE処理部29がAE処理を行い(ステップST71)、露出設定値、すなわちシャッタスピード、シャッタスピードおよびISO感度を決定する(ステップST72)。さらに、DR拡大率設定部36および露出条件決定部37が露出条件決定処理を行う(ステップST73)。
【0077】
図17は第3の実施形態における露出条件決定処理のフローチャートである。まず、DR拡大率設定部36がダイナミックレンジ拡大率を設定し(ステップST81)、露出条件決定部37が、ダイナミックレンジ拡大率に対応する階調カーブを取得する(ステップST82)。そして、ダイナミックレンジ拡大率が100%である場合には(ステップST83肯定)、ダイナミックレンジ拡大率100%用のシャッタスピード補正用補正テーブルTM1を内部メモリ35から取得する(ステップST84)。ダイナミックレンジ拡大率が200%である場合には(ステップST85肯定)、ダイナミックレンジ拡大率200%用の補正テーブルTM2を内部メモリ35から取得する(ステップST86)。ダイナミックレンジ拡大率が400%である場合には(ステップST87肯定)、ダイナミックレンジ拡大率400%用の補正テーブルTM3を内部メモリ35から取得する(ステップST88)。ダイナミックレンジ拡大率が400%を超える場合には(ステップST87否定)、ダイナミックレンジ拡大率最大用の補正テーブルTM4を内部メモリ35から取得する(ステップST89)。
【0078】
さらに露出条件決定部37は、高輝度領域数を算出し、補正テーブルを参照して、高輝度領域数に基づいてシャッタスピード補正量Tvを決定し、シャッタ駆動部17に出力する(ステップST90)。シャッタ駆動部17は、取得したシャッタスピード補正量Tvにより、AE処理部29が算出したシャッタスピードを補正する(ステップST91)。以上により、露出条件決定処理を終了する。
【0079】
図16に戻り、レリーズボタン2が全押しされると(ステップST74肯定)、補正されたシャッタスピードデータを用いて撮像系10が本撮影を行う(ステップST75)。本撮影により取得されたデジタルの画像データは画像処理部31に出力される。画像処理部31は、露出条件決定部37が取得した階調カーブにより階調処理を行い(ステップST76)、さらに信号処理を行う(ステップST77)。
【0080】
さらに、圧縮/伸長処理部32が処理後の画像データの画像ファイルを生成し(ステップST78)、メディア制御部33が記録メディア34に画像ファイルを記録し(ステップST79)、処理を終了する。
【0081】
このように、第3の実施形態においては、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど、より輝度が高い画像が得られるようにシャッタスピード補正量Tvを決定し、決定したシャッタスピード補正量Tvにより補正されたシャッタスピードを用いて撮影を行って画像を取得し、ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を、取得した画像に対して行うようにしたものである。このようにシャッタスピードを補正することにより取得した画像に対して階調処理を行っているため、特許文献1のようにダイナミックレンジ拡大処理後に露出補正を行う場合と比較して、ダイナミックレンジ拡大処理の効果が損なわれてしまうことを防止できる。また、露出をアンダーにして撮影を行うと、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど処理済み画像が暗く見える傾向があるが、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほどより大きくシャッタスピードを補正することにより、ダイナミックレンジの拡大率が大きくても、処理済み画像の明るさを自然なものとすることができる。
【0082】
また、シャッタスピードを補正しているため、第1の実施形態のようにゲインを調整することによるノイズの発生を防止できる。また、輝度を高くするために絞り変更されることもないため、被写界深度が変わらない画像を取得することができる。
【0083】
次いで、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、第4の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラは、第1の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラと同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。上記第1の実施形態においては、露出設定値のうちISO感度すなわちゲインを補正しているが、第4の実施形態においては、露出設定値を決定するための露出値を補正するようにした点が第1の実施形態と異なる。このため、第4の実施形態においては、露出値補正量を決定するための補正テーブルが内部メモリ35に記憶されてなる。
【0084】
図18は露出値補正量を決定するための補正テーブルを示す図である。図18に示すように露出値補正用の補正テーブルEM1〜EM4は、横軸に高輝度領域数を、縦軸に露出値補正量Evを規定してなるものであり、ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ高輝度領域数が大きいほど、露出値補正量Evが大きくなる。
【0085】
露出条件決定部37は、DR拡大率設定部36が設定したダイナミックレンジ拡大率に応じた補正テーブルEM1〜EM4を内部メモリ35から取得し、取得した補正テーブルを参照して、高輝度領域数に応じた露出値補正量Evを決定する。例えば、ダイナミックレンジ拡大率が200%であり、高輝度領域数が17の場合、図19に示すように露出値補正量Ev=0.2に決定する。なお、露出値補正量EvはAE処理部29に出力される。AE処理部29は、AE処理により決定された露出値を露出値補正量Evにより補正し、補正した露出値に応じて、露出設定値、すなわち絞り値、シャッタスピードおよびISO感度を算出する。
【0086】
ここで、露出値補正用補正テーブルEM1〜EM4は、横軸に高輝度領域数を、縦軸に露出値補正量Evを規定してなるものであり、ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ高輝度領域数が大きいほど、露出値補正量Evが大きくなる。このため、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど露出が大きくなることから、より輝度が高い画像が得られるものとなっている。
【0087】
次いで、第4の実施形態において行われる処理について説明する。図20は第4の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。レリーズボタン2が半押しされてプレ撮影が行われ、プレ画像が取得されることによりCPU40が処理を開始し、DR拡大率設定部36および露出条件決定部37が露出条件決定処理を行う(ステップST101)。
【0088】
図21は第4の実施形態における露出条件決定処理のフローチャートである。まず、DR拡大率設定部36がダイナミックレンジ拡大率を設定し(ステップST111)、露出条件決定部37が、ダイナミックレンジ拡大率に対応する階調カーブを取得する(ステップST112)。そして、ダイナミックレンジ拡大率が100%である場合には(ステップST113肯定)、ダイナミックレンジ拡大率100%用の露出値補正用補正テーブルEM1を内部メモリ35から取得する(ステップST114)。ダイナミックレンジ拡大率が200%である場合には(ステップST115肯定)、ダイナミックレンジ拡大率200%用の補正テーブルEM2を内部メモリ35から取得する(ステップST116)。ダイナミックレンジ拡大率が400%である場合には(ステップST117肯定)、ダイナミックレンジ拡大率400%用の補正テーブルEM3を内部メモリ35から取得する(ステップST118)。ダイナミックレンジ拡大率が400%を超える場合には(ステップST117否定)、ダイナミックレンジ拡大率最大用の補正テーブルEM4を内部メモリ35から取得する(ステップST119)。
【0089】
さらに露出条件決定部37は、高輝度領域数を算出し、補正テーブルを参照して、高輝度領域数に基づいて露出値補正量Evを決定する(ステップST120)。そして、取得した露出値補正量EvをAE処理部29へ出力し(ステップST121)、露出条件決定処理を終了する。
【0090】
図20に戻り、プレ画像を用いてAF処理部28がAF処理を、AE処理部29がAE処理を行う(ステップST102)。AE処理部29は、AE処理により得られる露出値を露出補正値Evにより補正し、補正した露出値に基づいて露出設定値、すなわち絞り値、シャッタスピードおよびISO感度を決定する(ステップST103)。次いで、レリーズボタン2が全押しされると(ステップST104肯定)、撮像系10が、補正された露出値に基づいて決定された露出設定値により本撮影を行い(ステップST105)、本撮影により取得されたデジタルの画像データが画像処理部31に出力される。画像処理部31は、露出条件決定部37が取得した階調カーブにより階調処理を行い(ステップST106)、さらに信号処理を行う(ステップST107)。
【0091】
さらに、圧縮/伸長処理部32が処理後の画像データの画像ファイルを生成し(ステップST108)、メディア制御部33が記録メディア34に画像ファイルを記録し(ステップST109)、処理を終了する。
【0092】
このように、第4の実施形態においては、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど、より輝度が高い画像が得られるように露出値補正量Evを決定し、決定した露出値補正量Evにより補正された露出に基づいてAE処理により露出設定値を決定し、決定した露出設定値により撮影を行うようにし、ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を、撮影により取得した画像に対して行うようにしたものである。このように露出値を補正することにより取得した画像に対して階調処理を行っているため、特許文献1のようにダイナミックレンジ拡大処理後に露出補正を行う場合と比較して、ダイナミックレンジ拡大処理の効果が損なわれてしまうことを防止できる。また、露出をアンダーにして撮影を行うと、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど処理済み画像が暗く見える傾向があるが、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほどより大きく露出値を補正することにより、ダイナミックレンジの拡大率が大きくても、処理済み画像の明るさを自然なものとすることができる。
【0093】
なお、上記第1から第3の実施形態においては、それぞれゲイン、絞り値およびシャッタスピードを補正しているが、ゲイン、絞り値およびシャッタスピードを同時に補正してもよく、ゲイン、絞り値およびシャッタスピードから選択された2つの設定値を補正するようにしてもよい。この場合、補正する設定値の数に応じて補正量を決定する補正テーブルが用意されて内部メモリ35に記憶されることとなる。
【0094】
また、上記第1から第4の実施形態においては、補正テーブルを、露出条件決定部37算出した高輝度領域数に応じて補正量を決定するものとしているが、高輝度領域の面積に応じて補正量を決定するものとしてもよい。この場合、露出条件決定部37は、プレ画像における輝度が所定値以上となる面積(すなわち画素数)を算出し、面積に応じて補正量を決定する。
【0095】
また、上記第1から第4の実施形態においては、内部メモリ35に記憶された補正テーブルを用いて、ゲイン、絞り値、シャッタスピードおよび露出値を補正しているが、高輝度領域数およびダイナミックレンジ拡大率に応じて、ゲイン、絞り値、シャッタスピードおよび露出値の補正量を算出する関数を内部メモリ35に記憶しておき、ダイナミックレンジ拡大率および高輝度領域数に応じて関数を用いて補正量を算出するようにしてもよい。
【0096】
また、上記第1から第4の実施形態においては、最終的に得られる画像の輝度を制御する条件として、ゲイン、絞り値、シャッタスピードおよび露出値を用いているが、これに限定されるものではない。
【0097】
以上、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1について説明したが、コンピュータを、上記のDR拡大率設定部36および露出条件決定部37に対応する手段として機能させ、図8,9,12,13,16,17,20,21に示すような処理を行わせるプログラムも、本発明の実施形態の1つである。また、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体も本発明の実施形態の1つである。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラの外観を示す図(正面側)
【図2】本発明の第1の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラの外観を示す図(背面側)
【図3】本発明の第1の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラの内部構成を示す概略ブロック図
【図4】ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調カーブを示す図
【図5】高輝度領域数の算出を説明するための図
【図6】ゲイン補正量を決定するための補正テーブルを示す図
【図7】ゲイン補正量の決定を説明するための図
【図8】第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図9】第1の実施形態における露出条件決定処理のフローチャート
【図10】絞り値補正量を決定するための補正テーブルを示す図
【図11】絞り値補正量の決定を説明するための図
【図12】第2の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図13】第2の実施形態における露出条件決定処理のフローチャート
【図14】シャッタスピード補正量を決定するための補正テーブルを示す図
【図15】シャッタスピード補正量の決定を説明するための図
【図16】第3の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図17】第3の実施形態における露出条件決定処理のフローチャート
【図18】露出値補正量を決定するための補正テーブルを示す図
【図19】露出値補正量の決定を説明するための図
【図20】第4の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図21】第4の実施形態における露出条件決定処理のフローチャート
【符号の説明】
【0099】
1 デジタルカメラ
2 レリーズボタン
5 モニタ
10 撮像系
14 絞り
15 絞り駆動部
16 シャッタ
17 シャッタ駆動部
18 CCD
19 CCD駆動部
20 AFE
20B AGC
36 DR拡大率設定部
37 露出条件決定部
40 CPU
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮影装置の撮影の制御を行う撮影制御装置および方法並びに撮影制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラを用いて低輝度の被写体を撮影する場合、得られる撮像信号は暗く、被写体を再生する際に階調の幅として再現される信号値の幅も狭いため、画像データを再生した際に、暗く、階調の乏しい画像として再現されてしまう。
【0003】
この場合、CCD等の撮像素子から出力される撮像信号を一定の倍率で増幅するゲインアップを行うことにより、低輝度の被写体であっても明るく、また、階調豊かに再現することができる。しかしながら、高輝度の被写体を撮像した場合にゲインアップを行うと、再現可能な階調幅以上に撮像信号が増幅されてしまい、いわゆる白飛びが生じてしまう。
【0004】
このため、画像を構成する各画素の画素値の出入力特性が非線形に変化する階調カーブを複数用意し、画像の輝度に応じて選択された階調カーブに基づいて階調処理を行うことにより、広いダイナミックレンジを有する画像を得る手法が提案されている(特許文献1参照)。また、露出をアンダーにして撮影を行い、特許文献1に記載された手法を適用することにより、ダイナミックレンジを拡大する撮影装置も提案されている。
【0005】
また、画像のダイナミックレンジを拡大するとともに、画像に存在するハイライト部の割合に応じて露出補正量を変更して露出補正を行う手法も提案されている(特許文献2参照)。特許文献2に記載された手法は、画像の各画素のについてダイナミックレンジ補正係数を算出し、ダイナミックレンジ拡大後の輝度ヒストグラムのハイライト部の割合に応じて、露出補正を行うためのトーンカーブを作成して露出補正を行うものである。
【特許文献1】特開2004−363726号公報
【特許文献2】特開2002−281510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載された手法のように階調カーブを用いる手法は、単純なゲインアップとは異なり、画像のすべての輝度レベルにおいて輝度アップ量が異なる。このため、露出をアンダーにして撮影を行ってダイナミックレンジを拡大した場合、露出をアンダーにした分、低輝度部分の輝度アップ量は大きくなるが、高輝度部分においては輝度アップ量が少なくなり、その結果、最終的に得られる処理済み画像の仕上がりがアンダー気味となってしまうという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載された手法においては、ダイナミックレンジを拡大した後にトーンカーブにより露出補正を行っているため、露出補正によりダイナミックレンジ拡大の効果が損なわれてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、ダイナミックレンジ拡大の処理を行う場合に、その効果を維持しつつ、最終的に得られる画像の仕上がりをより自然なものとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による撮影制御装置は、撮影により画像を取得する撮影手段と、
前記画像の輝度に応じて該画像に対するダイナミックレンジ拡大率を設定するダイナミックレンジ拡大率設定手段と、
前記ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど輝度が高い画像が得られるように、前記画像の輝度を制御する条件を決定する条件決定手段と、
前記決定された条件により前記撮影手段が取得した画像に対して、前記ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を行って処理済み画像を得る処理手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
なお、本発明による撮影制御装置においては、前記画像の輝度を制御する条件を、前記画像を取得する際の露出条件としてもよい。
【0011】
この場合、前記露出条件を、前記撮影手段が画像を取得する際の露出としてもよく、露出により決定される露出設定値としてもよい。
【0012】
またこの場合、前記露出設定値を、前記撮影手段が取得する画像のゲイン、前記撮影手段が前記画像を取得する際の絞り値、およびシャッタスピードの少なくとも1つとしてもよい。
【0013】
また、本発明による撮影制御装置においては、各種ダイナミックレンジ拡大率に応じて、前記輝度が所定値以上となる高輝度領域の大きさと、前記露出設定値を補正するための露出補正量との関係を複数記憶する記憶手段をさらに備えるものとし、
前記条件決定手段を、前記ダイナミックレンジ拡大率に応じて前記複数の関係から一の関係を取得し、該取得した関係を参照して、前記高輝度領域の大きさに応じて前記露出補正量を取得し、該露出補正量により前記露出設定値を補正して最終的な露出設定値を決定する手段としてもよい。
【0014】
この場合において、前記露出設定値が前記画像のゲインである場合、前記関係を、前記ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ前記高輝度領域が大きいほど前記ゲインの補正量を大きくする関係としてもよい。
【0015】
またこの場合において、前記露出設定値が前記絞り値である場合、前記関係を、前記高輝度領域が大きいほど該絞りの補正量を大きくし、前記ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど前記高輝度領域の大きさに対する前記絞りの補正量が大きく変化する関係としてもよい。
【0016】
またこの場合において、前記露出条件が前記シャッタスピードである場合、前記関係を、前記ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ前記高輝度領域が大きいほど前記シャッタスピードの補正量を大きくする関係としてもよい。
【0017】
本発明による撮影制御方法は、撮影により画像を取得する撮影手段と、
前記画像の輝度に応じて該画像に対するダイナミックレンジ拡大率を設定するダイナミックレンジ拡大率設定手段とを備えた撮影制御装置における撮影制御方法であって、
前記ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど輝度が高い画像が得られるように、前記画像の輝度を制御する条件を決定し、
前記決定された条件により前記撮影手段が取得した画像に対して、前記ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を行って処理済み画像を得ることを特徴とするものである。
【0018】
なお、本発明による撮影制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど輝度が高い画像が得られるように、撮影により取得した画像の輝度を制御する条件を決定し、決定した条件により撮影手段が取得した画像に対して、ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を行って処理済み画像を得るようにしたものである。このように、決定された条件により画像を取得した後に、ダイナミックレンジ拡大率に応じて、取得した画像に階調処理を行うことにより、特許文献1のようにダイナミックレンジ拡大処理後に露出補正を行う場合と比較して、ダイナミックレンジ拡大処理の効果が損なわれてしまうことを防止できる。また、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど処理済み画像が暗く見える傾向があるため、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど、より輝度が高い画像が得られるように処理済み画像の輝度を制御する条件を決定することにより、ダイナミックレンジの拡大率が大きくても、処理済み画像の明るさを自然なものとすることができる。
【0020】
また、画像の輝度を制御する条件を、画像を取得する際の露出または露出設定値とすることにより、より簡易に処理済み画像の輝度を制御する条件を決定することができる。
【0021】
また、各種ダイナミックレンジ拡大率に応じて、輝度が所定値以上となる高輝度領域の大きさと、露出設定値を補正するための露出補正量との関係を複数用意し、ダイナミックレンジ拡大率に応じて複数の関係から一の関係を取得し、取得した関係を参照して高輝度領域の大きさに応じて露出補正値を取得し、露出補正値により露出設定値を補正して最終的な露出設定値を決定することにより、簡易に露出設定値を決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1および図2は、本発明の第1の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラ1の外観を示す図である。図1および図2に示すように、このデジタルカメラ1の上部には、レリーズボタン2、電源ボタン3およびズームレバー4が備えられている。
【0023】
レリーズボタン2は、2段階の押下により2種類の動作を指示できる構造となっている。例えば、自動露出調整機能(AE:Auto Exposure)、自動焦点調節機能(AF:Auto Focus)を利用した撮影では、デジタルカメラ1は、レリーズボタン2が軽く押下される第1の押下操作(半押しともいう)がなされたときに、露出調整、焦点合わせ等の撮影準備を行う。その状態で、レリーズボタン2が強く押下される第2の押下操作(全押しともいう)がなされると、デジタルカメラ1は露光を開始し、露光により得られた1画面分の画像データを記録メディアに記録する。
【0024】
また、デジタルカメラ1の背面には、液晶等のモニタ5、撮影モード等の設定に利用されるモードダイヤル6、および各種操作ボタン8が備えられている。なお、本実施形態においては、撮影を行う撮影モード、記録メディアに記録された画像をモニタ5に再生する再生モードを設定可能とされている。
【0025】
次いで、デジタルカメラ1の内部構成について説明する。図3は本発明の第1の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラの内部構成を示す概略ブロック図である。図3に示すように本実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラ1は、撮像系10を有する。
【0026】
撮像系10は、フォーカスレンズおよびズームレンズからなる撮影レンズ12を有する。撮影レンズ12は、被写体にピントを合わせるためのフォーカスレンズ、ズーム機能を実現するためのズームレンズ等の複数の機能別レンズにより構成される。レンズ駆動部13はステッピングモータ等小型のモータで、CCD18から各機能別レンズのまでの距離が目的に適った距離となるように各機能別レンズの位置を調整する。
【0027】
絞り14は、複数の絞り羽根からなる。絞り駆動部15は、ステッピングモータ等小型のモータで、AE処理部29から出力される絞り値データに応じて、絞りの開口サイズが目的に適ったサイズになるように絞り羽根の位置を調整する。
【0028】
シャッタ16はメカニカルシャッタであり、シャッタ駆動部17によって駆動される。シャッタ駆動部17は、レリーズボタンの押下により発生する信号と、AE処理部29から出力されるシャッタスピードデータとに応じて、シャッタ16の開閉の制御を行う。
【0029】
シャッタ16の後方には撮像素子であるCCD18を有している。CCD18は、多数の受光素子を2次元的に配列した光電面を有しており、撮影レンズ12等の光学系を通過した被写体光がこの光電面に結像し、光電変換される。光電面の前方には、各画素に光を集光するためのマイクロレンズアレイと、R,G,B各色のフィルタが規則的に配列されたカラーフィルタアレイとが配置されている。CCD18は、CCD制御部19から供給される垂直同期信号および水平同期信号に同期して、画素毎に蓄積された電荷を1ラインずつシリアルなアナログ撮影信号として出力する。各画素において電荷を蓄積する時間、すなわち露光時間は、CCD制御部19から与えられる電子シャッタ駆動信号によって決定される。また、CCD18はCCD制御部19により、あらかじめ定められた大きさのアナログ撮像信号が得られるようにゲインが調整されている。
【0030】
CCD18から読み出されたアナログ撮影信号は、アナログフロントエンド(AFE)20に入力される。AFE20は、アナログ信号のノイズを除去する相関2重サンプリング回路(CDS)20Aと、アナログ信号のゲインを調節するオートゲインコントローラ(AGC)20Bと、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ(ADC)20Cとからなる。このデジタル信号に変換された画像データは、画素毎にR,G,Bの濃度値を持つCCD−RAWデータである。なお、デジタル信号に変換された画像データのビット数は、最終的に保存される画像データのビット数よりも大きいものとなっている。例えば、最終的に保存される画像データが8ビットの場合、AFE20から出力される画像データは12ビットとなっている。
【0031】
ここで、AGC20Bは、後述するようにAE処理部29が出力したISO感度データに応じたゲインによりアナログ信号のゲインを調節する。また、後述するようにゲイン補正量が入力された場合には、AE処理部29が出力したISO感度データに応じたゲインを補正し、補正されたゲインによりアナログ信号のゲインを調整する。
【0032】
タイミングジェネレータ21は、タイミング信号を発生させるものであり、このタイミング信号をシャッタ駆動部17、CCD制御部19、およびAFE20に供給することにより、レリーズボタンの操作、シャッタ16の開閉、CCD18からの電荷の読み出し、およびAFE20の処理の同期をとっている。
【0033】
また、デジタルカメラ1は撮影時において必要なときに発光されるフラッシュ24を有する。
【0034】
また、デジタルカメラ1は、AFE20が出力した画像データをデータバス41を介して他の処理部に転送する画像入力コントローラ25、および画像入力コントローラ25から転送された画像データを一時記憶するフレームメモリ26を備える。
【0035】
フレームメモリ26は、画像データに対して後述の各種処理を行う際に使用する作業用メモリであり、例えば、一定周期のバスクロック信号に同期してデータ転送を行うSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)が使用される。
【0036】
表示制御部27は、フレームメモリ26に格納された画像データをスルー画像としてモニタ5に表示させたり、再生モード時に記録メディア34に保存されている画像をモニタ5に表示させたりするためのものである。なお、スルー画像は、撮影モードが選択されている間、タイミングジェネレータ21が発生する垂直同期信号に同期して所定時間間隔で撮像系10により撮影される。
【0037】
AF処理部28およびAE処理部29は、プレ画像に基づいて撮影条件を決定する。このプレ画像とは、レリーズボタンが半押しされることによって発生する半押し信号を検出したCPU40がCCD18にプレ撮影を実行させた結果、フレームメモリ26に格納された画像データにより表される画像である。
【0038】
AF処理部28は、プレ画像に基づいて焦点位置を検出し、フォーカス駆動量データを出力する(AF処理)。焦点位置の検出方式としては、例えば、所望とする被写体にピントが合った状態では画像のコントラストが高くなるという特徴を利用して合焦位置を検出するパッシブ方式が考えられる。
【0039】
AE処理部29は、プレ画像に基づいて被写体輝度を測定し、測定した被写体輝度に基づく露出値から絞り値、シャッタスピードおよびISO感度を算出し、絞り値データ(Av値)、シャッタスピードデータ(Tv値)およびISO感度データ(Sv値)を露出設定値として出力する(AE処理)。
【0040】
AWB処理部30は、撮影時のホワイトバランスを自動調整する(AWB処理)。
【0041】
画像処理部31は、本画像の画像データに対して、階調処理、シャープネス補正処理、色補正処理等の画質補正処理、およびCCD−RAWデータを輝度信号であるYデータと、青色色差信号であるCbデータおよび赤色色差信号であるCrデータとからなるYCデータに変換するYC処理を行う。この本画像とは、レリーズボタンが全押しされることによって実行される本撮影によりCCD18から取り込まれ、AFE20、画像入力コントローラ25経由でフレームメモリ26に格納された画像データにより表される画像である。なお、本実施形態において、階調処理は内部メモリ35から取得された、ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調カーブを用いて行う。また、本実施形態においては、階調処理を行う点に特徴を有するため、画質補正処理およびYC処理のうち、階調処理以外の処理を信号処理と称するものとする。
【0042】
圧縮/伸長処理部32は、画像処理部31によって処理が行われた本画像の画像データに対して、例えば、JPEG等の圧縮形式で圧縮処理を行い画像ファイルを生成する。この画像ファイルには、Exifフォーマット等に基づいて、撮影日時等の付帯情報が格納されたタグが付加される。
【0043】
メディア制御部33は、不図示のメディアスロットルに着脱自在にセットされた記録メディア34にアクセスして、画像ファイルの書き込みと読み込みの制御を行う。
【0044】
内部メモリ35は、デジタルカメラ1において設定される各種定数、後述する各種テーブル、およびCPU40が実行するプログラム等を記憶する。
【0045】
また、デジタルカメラ1は、ダイナミックレンジ拡大率設定部36および露出条件決定部37を備える。
【0046】
ダイナミックレンジ拡大率設定部36(以下DR拡大率設定部とする)は、例えば上記特許文献1に記載された手法を用いて、ダイナミックレンジ拡大率を設定する。具体的には、プレ画像を複数の領域(例えば16)に分割し、各領域の画素値の平均値(輝度平均値)を算出する。そして、すべての領域の輝度平均値を比較し、輝度平均値の最大値の大きさに応じて、ダイナミックレンジ拡大率を設定する。ここで、プレ画像が12ビットの画像データであるとすると、最大値が0〜255である場合、すなわち被写体輝度が低い場合には、ダイナミックレンジ拡大率を100%に設定する。最大値が256〜511である場合には、ダイナミックレンジ拡大率を200%に設定する。また、最大値が512〜1023である場合、すなわち被写体輝度が高い場合には、ダイナミックレンジ拡大率を400%に設定する。さらに、最大値が1024以上である場合には、ダイナミックレンジ拡大率を最大に設定する。
【0047】
露出条件決定部37は、DR拡大率設定部36が設定したダイナミックレンジ拡大率に応じた階調カーブを内部メモリ35から取得する。図4はダイナミックレンジ拡大率に応じた階調カーブを示す図である。図4に示すように、本実施形態においては、ダイナミックレンジ拡大率が100%用、200%用、400%用および最大用の4種類の階調カーブγ1〜γ4が内部メモリ35に記憶されている。ここで、本実施形態においては露出をアンダーにして撮影を行うため、階調カーブγ1〜γ4は、高輝度域において入力に対する出力の変化量を小さくし、中輝度域を適正露出レベルとするように持ち上げるカーブとなっている。また、ダイナミックレンジ拡大率が大きくなるほど、低輝度側の立ち上がりが急峻となる。
【0048】
また、露出条件決定部37は、図5に示すようにプレ画像を64分割し、各領域の画素値の平均値(輝度平均値)を算出し、輝度平均値がしきい値Th1以上となる領域(以下高輝度領域とする)の数を算出する。例えば、図5において斜線部分の領域の輝度平均値がしきい値Th1以上である場合には、高輝度領域数は17となる。なお、しきい値Th1としては、プレ画像の画像データのビット数を12ビットとした場合、例えば10ビット(511)を用いることができる。そして、内部メモリ35に記憶された、高輝度領域数とゲイン補正量との関係を規定した補正テーブルを参照して、ゲイン補正量を決定する。
【0049】
図6はゲイン補正量を決定するための補正テーブルを示す図である。図6に示すようにゲイン補正用の補正テーブルSM1〜SM4は、横軸に高輝度領域数を、縦軸にゲイン補正量Svを規定してなるものであり、ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ高輝度領域数が大きいほど、ゲイン補正量Svが大きくなる。
【0050】
露出条件決定部37は、DR拡大率設定部36が設定したダイナミックレンジ拡大率に応じた補正テーブルSM1〜SM4を内部メモリ35から取得し、取得した補正テーブルを参照して、高輝度領域数に応じたゲイン補正量Svを決定する。例えば、ダイナミックレンジ拡大率が200%であり、高輝度領域数が17の場合、図7に示すようにゲイン補正量Sv=0.2に決定する。なお、ゲイン補正量SvはAFE20に出力される。AFE20のAGC20Bは、AE処理により決定されたISO感度をゲイン補正量Svにより補正し、補正したISO感度に応じたゲインによりアナログ信号のゲインを調整する。
【0051】
ここで、ゲイン補正用の補正テーブルSM1〜SM4は、横軸に高輝度領域数を、縦軸にゲイン補正量Svを規定してなるものであり、ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ高輝度領域数が大きいほどゲイン補正量が大きくなる。このため、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほどゲインが大きくなることから、より輝度が高い画像が得られるものとなっている。
【0052】
CPU40は、操作ボタン8およびAF処理部28等の各種処理部からの信号に応じてデジタルカメラ1の本体各部を制御する。
【0053】
データバス41は、各種処理部、フレームメモリ26およびCPU40等に接続されており、画像データおよび各種指示等のやり取りを行う。
【0054】
次いで、第1の実施形態において行われる処理について説明する。なお、本実施形態はAE処理部29が算出した露出設定値を補正する点に特徴を有するため、以降の説明においては、露出設定値を補正する処理についてのみ説明する。図8は第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。レリーズボタン2が半押しされてプレ撮影が行われ、プレ画像が取得されることによりCPU40が処理を開始し、プレ画像を用いてAF処理部28がAF処理を、AE処理部29がAE処理を行い(ステップST1)、露出設定値、すなわち絞り値、シャッタスピードおよびISO感度を決定する(ステップST2)。さらに、DR拡大率設定部36および露出条件決定部37が露出条件決定処理を行う(ステップST3)。
【0055】
図9は第1の実施形態における露出条件決定処理のフローチャートである。まず、DR拡大率設定部36がダイナミックレンジ拡大率を設定し(ステップST21)、露出条件決定部37が、ダイナミックレンジ拡大率に対応する階調カーブを取得する(ステップST22)。そして、ダイナミックレンジ拡大率が100%である場合には(ステップST23肯定)、ダイナミックレンジ拡大率100%用のゲイン補正用補正テーブルSM1を内部メモリ35から取得する(ステップST24)。ダイナミックレンジ拡大率が200%である場合には(ステップST25肯定)、ダイナミックレンジ拡大率200%用の補正テーブルSM2を内部メモリ35から取得する(ステップST26)。ダイナミックレンジ拡大率が400%である場合には(ステップST27肯定)、ダイナミックレンジ拡大率400%用の補正テーブルSM3を内部メモリ35から取得する(ステップST28)。ダイナミックレンジ拡大率が400%を超える場合には(ステップST27否定)、ダイナミックレンジ拡大率最大用の補正テーブルSM4を内部メモリ35から取得する(ステップST29)。
【0056】
さらに露出条件決定部37は、高輝度領域数を算出し、取得した補正テーブルを参照して、高輝度領域数に基づいてゲイン補正量Svを決定してAFE20に出力する(ステップST30)。そして、AFE20のAGC20Bは取得したゲイン補正量SvによりAE処理部29が算出したISO感度データすなわちゲインを補正する(ステップST31)。以上により、露出条件決定処理を終了する。
【0057】
図8に戻り、レリーズボタン2が全押しされると(ステップST4肯定)、撮像系10が本撮影を行い(ステップST5)、AFE20のAGC20Bが、補正したゲインによりCCD18が出力したアナログ撮像信号のゲインを調整する(ステップST6)。ゲインが調整された撮像信号はデジタルの画像データに変換され、画像処理部31に出力される。画像処理部31は、露出条件決定部37が取得した階調カーブにより階調処理を行い(ステップST7)、さらに信号処理を行う(ステップST8)。
【0058】
さらに、圧縮/伸長処理部32が処理後の画像データの画像ファイルを生成し(ステップST9)、メディア制御部33が記録メディア34に画像ファイルを記録し(ステップST10)、処理を終了する。
【0059】
このように、第1の実施形態においては、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど、より輝度が高い画像が得られるようにゲイン補正量Svを決定し、ゲイン補正量Svにより補正されたゲインにより画像を取得し、ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を、取得した画像に対して行うようにしたものである。このようにゲインが補正された画像に対して階調処理を行っているため、特許文献1のようにダイナミックレンジ拡大処理後に露出補正を行う場合と比較して、ゲインを補正することによってダイナミックレンジ拡大処理の効果が損なわれてしまうことを防止できる。また、露出をアンダーにして撮影を行うと、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど処理済み画像が暗く見える傾向があるが、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほどより大きくゲインを補正することにより、ダイナミックレンジの拡大率が大きくても、処理済み画像の明るさを自然なものとすることができる。
【0060】
また、各種ダイナミックレンジ拡大率に応じて、高輝度領域数とゲイン補正量Svとの関係を規定する補正テーブルを用意し、ダイナミックレンジ拡大率に応じて補正テーブルを取得し、取得した補正テーブルを参照して、高輝度領域数に応じてゲイン補正量Svを決定することにより、簡易にゲイン補正量Svを決定することができる。
【0061】
次いで、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラは、第1の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラと同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。上記第1の実施形態においては、露出設定値のうちISO感度すなわちゲインを補正しているが、第2の実施形態においては、絞り値を補正するようにした点が第1の実施形態と異なる。このため、第2の実施形態においては、絞り値補正量を決定するための補正テーブルが内部メモリ35に記憶されてなる。
【0062】
図10は絞り値補正量を決定するための補正テーブルを示す図である。図10に示すように絞り値補正用補正テーブルAM1〜AM4は、横軸に高輝度領域数を、縦軸に絞り値補正量Avを規定してなるものであり、ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ高輝度領域数が大きいほど、絞り値補正量Avが段階的に大きくなるものとなっている。なお、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど、高輝度領域数に対する絞り値補正量Avの増加の仕方が早くなる。
【0063】
露出条件決定部37は、DR拡大率設定部36が設定したダイナミックレンジ拡大率に応じた補正テーブルAM1〜AM4を内部メモリ35から取得し、取得した補正テーブルを参照して、高輝度領域数に応じた絞り値補正量Avを決定する。例えば、ダイナミックレンジ拡大率が200%であり、高輝度領域数が17の場合、図11に示すように絞り値補正量Av=0.66に決定する。なお、絞り値補正量Avは撮像系10の絞り駆動部15に出力される。絞り駆動部15は、AE処理部29が算出した絞り値を絞り値補正量Avにより補正し、補正した絞り値に応じて、絞りの開口サイズが目的に適ったサイズになるように絞り羽根の位置を調整する。
【0064】
ここで、絞り値補正用の補正テーブルAM1〜AM4は、横軸に高輝度領域数を、縦軸に絞り値補正量Avを規定してなるものであり、ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ高輝度領域数が大きいほど、絞り値補正量Avが段階的に大きくなるものとなっている。このため、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど絞り値が大きくなることから、より輝度が高い画像が得られるものとなっている。
【0065】
次いで、第2の実施形態において行われる処理について説明する。図12は第2の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。レリーズボタン2が半押しされてプレ撮影が行われ、プレ画像が取得されることによりCPU40が処理を開始し、プレ画像を用いてAF処理部28がAF処理を、AE処理部29がAE処理を行い(ステップST41)、露出設定値、すなわち絞り値、シャッタスピードおよびISO感度を決定する(ステップST42)。さらに、DR拡大率設定部36および露出条件決定部37が露出条件決定処理を行う(ステップST43)。
【0066】
図13は第2の実施形態における露出条件決定処理のフローチャートである。まず、DR拡大率設定部36がダイナミックレンジ拡大率を設定し(ステップST51)、露出条件決定部37が、ダイナミックレンジ拡大率に対応する階調カーブを取得する(ステップST52)。そして、ダイナミックレンジ拡大率が100%である場合には(ステップST53肯定)、ダイナミックレンジ拡大率100%用の絞り値補正用補正テーブルAM1を内部メモリ35から取得する(ステップST54)。ダイナミックレンジ拡大率が200%である場合には(ステップST55肯定)、ダイナミックレンジ拡大率200%用の補正テーブルAM2を内部メモリ35から取得する(ステップST56)。ダイナミックレンジ拡大率が400%である場合には(ステップST57肯定)、ダイナミックレンジ拡大率400%用の補正テーブルAM3を内部メモリ35から取得する(ステップST58)。ダイナミックレンジ拡大率が400%を超える場合には(ステップST57否定)、ダイナミックレンジ拡大率最大用の補正テーブルAM4を内部メモリ35から取得する(ステップST59)。
【0067】
さらに露出条件決定部37は、高輝度領域数を算出し、補正テーブルを参照して、高輝度領域数に基づいて絞り値補正量Avを決定して絞り駆動部15に出力する(ステップST60)。そして、絞り駆動部15は、取得した絞り値補正量AvによりAE処理部29が算出した絞り値を補正する(ステップST61)。以上により、露出条件決定処理を終了する。
【0068】
図12に戻り、レリーズボタン2が全押しされると(ステップST44肯定)、補正された絞り値を用いて撮像系10が本撮影を行う(ステップST45)。本撮影により取得されたデジタルの画像データは画像処理部31に出力される。画像処理部31は、露出条件決定部37が取得した階調カーブにより階調処理を行い(ステップST46)、さらに信号処理を行う(ステップST47)。
【0069】
さらに、圧縮/伸長処理部32が処理後の画像データの画像ファイルを生成し(ステップST48)、メディア制御部33が記録メディア34に画像ファイルを記録し(ステップST49)、処理を終了する。
【0070】
このように、第2の実施形態においては、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど、より輝度が高い画像が得られるように絞り値補正量Avを決定し、決定した絞り値正量Avにより補正された絞り値を用いて撮影を行って画像を取得し、ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を、取得した画像に対して行うようにしたものである。このように絞り値を補正することにより取得した画像に対して階調処理を行っているため、特許文献1のようにダイナミックレンジ拡大処理後に露出補正を行う場合と比較して、ダイナミックレンジ拡大処理の効果が損なわれてしまうことを防止できる。また、露出をアンダーにして撮影を行うと、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど処理済み画像が暗く見える傾向があるが、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほどより大きく絞り値を補正することにより、ダイナミックレンジの拡大率が大きくても、処理済み画像の明るさを自然なものとすることができる。
【0071】
また、絞り値を補正しているため、第1の実施形態のようにゲインを調整することによるノイズの発生を防止できる。また、輝度を高くするためにシャッタスピードが遅くなることもないため、手ブレの影響を少なくすることができる。
【0072】
次いで、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラは、第1の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラと同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。上記第1の実施形態においては、露出設定値のうちISO感度すなわちゲインを補正しているが、第3の実施形態においては、シャッタスピードを補正するようにした点が第1の実施形態と異なる。このため、第3の実施形態においては、シャッタスピード補正量を決定するための補正テーブルが内部メモリ35に記憶されてなる。
【0073】
図14はシャッタスピード補正量を決定するための補正テーブルを示す図である。図13に示すようにシャッタスピード補正用補正テーブルTM1〜TM4は、横軸に高輝度領域数を、縦軸にシャッタスピード補正量Tvを規定してなるものであり、ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ高輝度領域数が大きいほど、シャッタスピード補正量Tvが大きくなる。
【0074】
露出条件決定部37は、DR拡大率設定部36が設定したダイナミックレンジ拡大率に応じた補正テーブルTM1〜TM4を内部メモリ35から取得し、取得した補正テーブルを参照して、高輝度領域数に応じたシャッタスピード補正量Tvを決定する。例えば、ダイナミックレンジ拡大率が200%であり、高輝度領域数が17の場合、図15に示すようにシャッタスピード補正量Tv=0.2に決定する。なお、シャッタスピード補正量は撮像系10のシャッタ駆動部17に出力される。シャッタ駆動部17は、AE処理部29が算出したシャッタスピードをシャッタスピード補正量Tvにより補正し、補正したシャッタスピードに応じて、シャッタ16の開閉を制御する。
【0075】
ここで、シャッタスピード補正用補正テーブルTM1〜TM4は、横軸に高輝度領域数を、縦軸にシャッタスピード補正量Tvを規定してなるものであり、ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ高輝度領域数が大きいほど、シャッタスピード補正量Tvが大きくなる。このため、ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ高輝度領域数が大きいほど、シャッタスピードが大きく(すなわち遅く)なることから、より輝度が高い画像が得られるものとなっている。
【0076】
次いで、第3の実施形態において行われる処理について説明する。図16は第3の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。レリーズボタン2が半押しされてプレ撮影が行われ、プレ画像が取得されることによりCPU40が処理を開始し、プレ画像を用いてAF処理部28がAF処理を、AE処理部29がAE処理を行い(ステップST71)、露出設定値、すなわちシャッタスピード、シャッタスピードおよびISO感度を決定する(ステップST72)。さらに、DR拡大率設定部36および露出条件決定部37が露出条件決定処理を行う(ステップST73)。
【0077】
図17は第3の実施形態における露出条件決定処理のフローチャートである。まず、DR拡大率設定部36がダイナミックレンジ拡大率を設定し(ステップST81)、露出条件決定部37が、ダイナミックレンジ拡大率に対応する階調カーブを取得する(ステップST82)。そして、ダイナミックレンジ拡大率が100%である場合には(ステップST83肯定)、ダイナミックレンジ拡大率100%用のシャッタスピード補正用補正テーブルTM1を内部メモリ35から取得する(ステップST84)。ダイナミックレンジ拡大率が200%である場合には(ステップST85肯定)、ダイナミックレンジ拡大率200%用の補正テーブルTM2を内部メモリ35から取得する(ステップST86)。ダイナミックレンジ拡大率が400%である場合には(ステップST87肯定)、ダイナミックレンジ拡大率400%用の補正テーブルTM3を内部メモリ35から取得する(ステップST88)。ダイナミックレンジ拡大率が400%を超える場合には(ステップST87否定)、ダイナミックレンジ拡大率最大用の補正テーブルTM4を内部メモリ35から取得する(ステップST89)。
【0078】
さらに露出条件決定部37は、高輝度領域数を算出し、補正テーブルを参照して、高輝度領域数に基づいてシャッタスピード補正量Tvを決定し、シャッタ駆動部17に出力する(ステップST90)。シャッタ駆動部17は、取得したシャッタスピード補正量Tvにより、AE処理部29が算出したシャッタスピードを補正する(ステップST91)。以上により、露出条件決定処理を終了する。
【0079】
図16に戻り、レリーズボタン2が全押しされると(ステップST74肯定)、補正されたシャッタスピードデータを用いて撮像系10が本撮影を行う(ステップST75)。本撮影により取得されたデジタルの画像データは画像処理部31に出力される。画像処理部31は、露出条件決定部37が取得した階調カーブにより階調処理を行い(ステップST76)、さらに信号処理を行う(ステップST77)。
【0080】
さらに、圧縮/伸長処理部32が処理後の画像データの画像ファイルを生成し(ステップST78)、メディア制御部33が記録メディア34に画像ファイルを記録し(ステップST79)、処理を終了する。
【0081】
このように、第3の実施形態においては、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど、より輝度が高い画像が得られるようにシャッタスピード補正量Tvを決定し、決定したシャッタスピード補正量Tvにより補正されたシャッタスピードを用いて撮影を行って画像を取得し、ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を、取得した画像に対して行うようにしたものである。このようにシャッタスピードを補正することにより取得した画像に対して階調処理を行っているため、特許文献1のようにダイナミックレンジ拡大処理後に露出補正を行う場合と比較して、ダイナミックレンジ拡大処理の効果が損なわれてしまうことを防止できる。また、露出をアンダーにして撮影を行うと、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど処理済み画像が暗く見える傾向があるが、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほどより大きくシャッタスピードを補正することにより、ダイナミックレンジの拡大率が大きくても、処理済み画像の明るさを自然なものとすることができる。
【0082】
また、シャッタスピードを補正しているため、第1の実施形態のようにゲインを調整することによるノイズの発生を防止できる。また、輝度を高くするために絞り変更されることもないため、被写界深度が変わらない画像を取得することができる。
【0083】
次いで、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、第4の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラは、第1の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラと同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。上記第1の実施形態においては、露出設定値のうちISO感度すなわちゲインを補正しているが、第4の実施形態においては、露出設定値を決定するための露出値を補正するようにした点が第1の実施形態と異なる。このため、第4の実施形態においては、露出値補正量を決定するための補正テーブルが内部メモリ35に記憶されてなる。
【0084】
図18は露出値補正量を決定するための補正テーブルを示す図である。図18に示すように露出値補正用の補正テーブルEM1〜EM4は、横軸に高輝度領域数を、縦軸に露出値補正量Evを規定してなるものであり、ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ高輝度領域数が大きいほど、露出値補正量Evが大きくなる。
【0085】
露出条件決定部37は、DR拡大率設定部36が設定したダイナミックレンジ拡大率に応じた補正テーブルEM1〜EM4を内部メモリ35から取得し、取得した補正テーブルを参照して、高輝度領域数に応じた露出値補正量Evを決定する。例えば、ダイナミックレンジ拡大率が200%であり、高輝度領域数が17の場合、図19に示すように露出値補正量Ev=0.2に決定する。なお、露出値補正量EvはAE処理部29に出力される。AE処理部29は、AE処理により決定された露出値を露出値補正量Evにより補正し、補正した露出値に応じて、露出設定値、すなわち絞り値、シャッタスピードおよびISO感度を算出する。
【0086】
ここで、露出値補正用補正テーブルEM1〜EM4は、横軸に高輝度領域数を、縦軸に露出値補正量Evを規定してなるものであり、ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ高輝度領域数が大きいほど、露出値補正量Evが大きくなる。このため、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど露出が大きくなることから、より輝度が高い画像が得られるものとなっている。
【0087】
次いで、第4の実施形態において行われる処理について説明する。図20は第4の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。レリーズボタン2が半押しされてプレ撮影が行われ、プレ画像が取得されることによりCPU40が処理を開始し、DR拡大率設定部36および露出条件決定部37が露出条件決定処理を行う(ステップST101)。
【0088】
図21は第4の実施形態における露出条件決定処理のフローチャートである。まず、DR拡大率設定部36がダイナミックレンジ拡大率を設定し(ステップST111)、露出条件決定部37が、ダイナミックレンジ拡大率に対応する階調カーブを取得する(ステップST112)。そして、ダイナミックレンジ拡大率が100%である場合には(ステップST113肯定)、ダイナミックレンジ拡大率100%用の露出値補正用補正テーブルEM1を内部メモリ35から取得する(ステップST114)。ダイナミックレンジ拡大率が200%である場合には(ステップST115肯定)、ダイナミックレンジ拡大率200%用の補正テーブルEM2を内部メモリ35から取得する(ステップST116)。ダイナミックレンジ拡大率が400%である場合には(ステップST117肯定)、ダイナミックレンジ拡大率400%用の補正テーブルEM3を内部メモリ35から取得する(ステップST118)。ダイナミックレンジ拡大率が400%を超える場合には(ステップST117否定)、ダイナミックレンジ拡大率最大用の補正テーブルEM4を内部メモリ35から取得する(ステップST119)。
【0089】
さらに露出条件決定部37は、高輝度領域数を算出し、補正テーブルを参照して、高輝度領域数に基づいて露出値補正量Evを決定する(ステップST120)。そして、取得した露出値補正量EvをAE処理部29へ出力し(ステップST121)、露出条件決定処理を終了する。
【0090】
図20に戻り、プレ画像を用いてAF処理部28がAF処理を、AE処理部29がAE処理を行う(ステップST102)。AE処理部29は、AE処理により得られる露出値を露出補正値Evにより補正し、補正した露出値に基づいて露出設定値、すなわち絞り値、シャッタスピードおよびISO感度を決定する(ステップST103)。次いで、レリーズボタン2が全押しされると(ステップST104肯定)、撮像系10が、補正された露出値に基づいて決定された露出設定値により本撮影を行い(ステップST105)、本撮影により取得されたデジタルの画像データが画像処理部31に出力される。画像処理部31は、露出条件決定部37が取得した階調カーブにより階調処理を行い(ステップST106)、さらに信号処理を行う(ステップST107)。
【0091】
さらに、圧縮/伸長処理部32が処理後の画像データの画像ファイルを生成し(ステップST108)、メディア制御部33が記録メディア34に画像ファイルを記録し(ステップST109)、処理を終了する。
【0092】
このように、第4の実施形態においては、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど、より輝度が高い画像が得られるように露出値補正量Evを決定し、決定した露出値補正量Evにより補正された露出に基づいてAE処理により露出設定値を決定し、決定した露出設定値により撮影を行うようにし、ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を、撮影により取得した画像に対して行うようにしたものである。このように露出値を補正することにより取得した画像に対して階調処理を行っているため、特許文献1のようにダイナミックレンジ拡大処理後に露出補正を行う場合と比較して、ダイナミックレンジ拡大処理の効果が損なわれてしまうことを防止できる。また、露出をアンダーにして撮影を行うと、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど処理済み画像が暗く見える傾向があるが、ダイナミックレンジ拡大率が大きいほどより大きく露出値を補正することにより、ダイナミックレンジの拡大率が大きくても、処理済み画像の明るさを自然なものとすることができる。
【0093】
なお、上記第1から第3の実施形態においては、それぞれゲイン、絞り値およびシャッタスピードを補正しているが、ゲイン、絞り値およびシャッタスピードを同時に補正してもよく、ゲイン、絞り値およびシャッタスピードから選択された2つの設定値を補正するようにしてもよい。この場合、補正する設定値の数に応じて補正量を決定する補正テーブルが用意されて内部メモリ35に記憶されることとなる。
【0094】
また、上記第1から第4の実施形態においては、補正テーブルを、露出条件決定部37算出した高輝度領域数に応じて補正量を決定するものとしているが、高輝度領域の面積に応じて補正量を決定するものとしてもよい。この場合、露出条件決定部37は、プレ画像における輝度が所定値以上となる面積(すなわち画素数)を算出し、面積に応じて補正量を決定する。
【0095】
また、上記第1から第4の実施形態においては、内部メモリ35に記憶された補正テーブルを用いて、ゲイン、絞り値、シャッタスピードおよび露出値を補正しているが、高輝度領域数およびダイナミックレンジ拡大率に応じて、ゲイン、絞り値、シャッタスピードおよび露出値の補正量を算出する関数を内部メモリ35に記憶しておき、ダイナミックレンジ拡大率および高輝度領域数に応じて関数を用いて補正量を算出するようにしてもよい。
【0096】
また、上記第1から第4の実施形態においては、最終的に得られる画像の輝度を制御する条件として、ゲイン、絞り値、シャッタスピードおよび露出値を用いているが、これに限定されるものではない。
【0097】
以上、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1について説明したが、コンピュータを、上記のDR拡大率設定部36および露出条件決定部37に対応する手段として機能させ、図8,9,12,13,16,17,20,21に示すような処理を行わせるプログラムも、本発明の実施形態の1つである。また、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体も本発明の実施形態の1つである。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラの外観を示す図(正面側)
【図2】本発明の第1の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラの外観を示す図(背面側)
【図3】本発明の第1の実施形態による撮影制御装置を適用したデジタルカメラの内部構成を示す概略ブロック図
【図4】ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調カーブを示す図
【図5】高輝度領域数の算出を説明するための図
【図6】ゲイン補正量を決定するための補正テーブルを示す図
【図7】ゲイン補正量の決定を説明するための図
【図8】第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図9】第1の実施形態における露出条件決定処理のフローチャート
【図10】絞り値補正量を決定するための補正テーブルを示す図
【図11】絞り値補正量の決定を説明するための図
【図12】第2の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図13】第2の実施形態における露出条件決定処理のフローチャート
【図14】シャッタスピード補正量を決定するための補正テーブルを示す図
【図15】シャッタスピード補正量の決定を説明するための図
【図16】第3の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図17】第3の実施形態における露出条件決定処理のフローチャート
【図18】露出値補正量を決定するための補正テーブルを示す図
【図19】露出値補正量の決定を説明するための図
【図20】第4の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図21】第4の実施形態における露出条件決定処理のフローチャート
【符号の説明】
【0099】
1 デジタルカメラ
2 レリーズボタン
5 モニタ
10 撮像系
14 絞り
15 絞り駆動部
16 シャッタ
17 シャッタ駆動部
18 CCD
19 CCD駆動部
20 AFE
20B AGC
36 DR拡大率設定部
37 露出条件決定部
40 CPU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影により画像を取得する撮影手段と、
前記画像の輝度に応じて該画像に対するダイナミックレンジ拡大率を設定するダイナミックレンジ拡大率設定手段と、
前記ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど輝度が高い画像が得られるように、前記画像の輝度を制御する条件を決定する条件決定手段と、
前記決定された条件により前記撮影手段が取得した画像に対して、前記ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を行って処理済み画像を得る処理手段とを備えたことを特徴とする撮影制御装置。
【請求項2】
前記画像の輝度を制御する条件は、前記画像を取得する際の露出条件であることを特徴とする請求項1記載の撮影制御装置。
【請求項3】
前記露出条件は、前記撮影手段が画像を取得する際の露出であることを特徴とする請求項2記載の撮影制御装置。
【請求項4】
前記露出条件は、前記撮影手段が画像を取得する際の露出により決定される露出設定値であることを特徴とする請求項2記載の撮影制御装置。
【請求項5】
前記露出設定値は、前記撮影手段が取得する画像のゲイン、前記撮影手段が前記画像を取得する際の絞り値、およびシャッタスピードの少なくとも1つであることを特徴とする請求項4記載の撮影制御装置。
【請求項6】
各種ダイナミックレンジ拡大率に応じて、前記輝度が所定値以上となる高輝度領域の大きさと、前記露出設定値を補正するための露出補正量との関係を複数記憶する記憶手段をさらに備え、
前記条件決定手段は、前記ダイナミックレンジ拡大率に応じて前記複数の関係から一の関係を取得し、該取得した関係を参照して、前記高輝度領域の大きさに応じて前記露出補正量を取得し、該露出補正量により前記露出設定値を補正して最終的な露出設定値を決定する手段であることを特徴とする請求項4または5記載の撮影制御装置。
【請求項7】
前記露出設定値が前記画像のゲインである場合、前記関係は、前記ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ前記高輝度領域が大きいほど前記ゲインの補正量を大きくする関係であることを特徴とする請求項6記載の撮影制御装置。
【請求項8】
前記露出設定値が前記絞り値である場合、前記関係は、前記高輝度領域が大きいほど該絞りの補正量を大きくし、前記ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど前記高輝度領域の大きさに対する前記絞りの補正量が大きく変化する関係であることを特徴とする請求項6記載の撮影制御装置。
【請求項9】
前記露出条件が前記シャッタスピードである場合、前記関係は、前記ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ前記高輝度領域が大きいほど前記シャッタスピードの補正量を大きくする関係であることを特徴とする請求項6記載の撮影制御装置。
【請求項10】
撮影により画像を取得する撮影手段と、
前記画像の輝度に応じて該画像に対するダイナミックレンジ拡大率を設定するダイナミックレンジ拡大率設定手段とを備えた撮影制御装置における撮影制御方法であって、
前記ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど輝度が高い画像が得られるように、前記画像の輝度を制御する条件を決定し、
前記決定された条件により前記撮影手段が取得した画像に対して、前記ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を行って処理済み画像を得ることを特徴とする撮影制御方法。
【請求項11】
撮影により画像を取得する撮影手段と、
前記画像の輝度に応じて該画像に対するダイナミックレンジ拡大率を設定するダイナミックレンジ拡大率設定手段とを備えた撮影制御装置における撮影制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど輝度が高い画像が得られるように、前記画像の輝度を制御する条件を決定する手順と、
前記決定された条件により前記撮影手段が取得した画像に対して、前記ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を行って処理済み画像を得る手順とを有することを特徴とするプログラム。
【請求項1】
撮影により画像を取得する撮影手段と、
前記画像の輝度に応じて該画像に対するダイナミックレンジ拡大率を設定するダイナミックレンジ拡大率設定手段と、
前記ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど輝度が高い画像が得られるように、前記画像の輝度を制御する条件を決定する条件決定手段と、
前記決定された条件により前記撮影手段が取得した画像に対して、前記ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を行って処理済み画像を得る処理手段とを備えたことを特徴とする撮影制御装置。
【請求項2】
前記画像の輝度を制御する条件は、前記画像を取得する際の露出条件であることを特徴とする請求項1記載の撮影制御装置。
【請求項3】
前記露出条件は、前記撮影手段が画像を取得する際の露出であることを特徴とする請求項2記載の撮影制御装置。
【請求項4】
前記露出条件は、前記撮影手段が画像を取得する際の露出により決定される露出設定値であることを特徴とする請求項2記載の撮影制御装置。
【請求項5】
前記露出設定値は、前記撮影手段が取得する画像のゲイン、前記撮影手段が前記画像を取得する際の絞り値、およびシャッタスピードの少なくとも1つであることを特徴とする請求項4記載の撮影制御装置。
【請求項6】
各種ダイナミックレンジ拡大率に応じて、前記輝度が所定値以上となる高輝度領域の大きさと、前記露出設定値を補正するための露出補正量との関係を複数記憶する記憶手段をさらに備え、
前記条件決定手段は、前記ダイナミックレンジ拡大率に応じて前記複数の関係から一の関係を取得し、該取得した関係を参照して、前記高輝度領域の大きさに応じて前記露出補正量を取得し、該露出補正量により前記露出設定値を補正して最終的な露出設定値を決定する手段であることを特徴とする請求項4または5記載の撮影制御装置。
【請求項7】
前記露出設定値が前記画像のゲインである場合、前記関係は、前記ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ前記高輝度領域が大きいほど前記ゲインの補正量を大きくする関係であることを特徴とする請求項6記載の撮影制御装置。
【請求項8】
前記露出設定値が前記絞り値である場合、前記関係は、前記高輝度領域が大きいほど該絞りの補正量を大きくし、前記ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど前記高輝度領域の大きさに対する前記絞りの補正量が大きく変化する関係であることを特徴とする請求項6記載の撮影制御装置。
【請求項9】
前記露出条件が前記シャッタスピードである場合、前記関係は、前記ダイナミックレンジ拡大率が大きく、かつ前記高輝度領域が大きいほど前記シャッタスピードの補正量を大きくする関係であることを特徴とする請求項6記載の撮影制御装置。
【請求項10】
撮影により画像を取得する撮影手段と、
前記画像の輝度に応じて該画像に対するダイナミックレンジ拡大率を設定するダイナミックレンジ拡大率設定手段とを備えた撮影制御装置における撮影制御方法であって、
前記ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど輝度が高い画像が得られるように、前記画像の輝度を制御する条件を決定し、
前記決定された条件により前記撮影手段が取得した画像に対して、前記ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を行って処理済み画像を得ることを特徴とする撮影制御方法。
【請求項11】
撮影により画像を取得する撮影手段と、
前記画像の輝度に応じて該画像に対するダイナミックレンジ拡大率を設定するダイナミックレンジ拡大率設定手段とを備えた撮影制御装置における撮影制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記ダイナミックレンジ拡大率が大きいほど輝度が高い画像が得られるように、前記画像の輝度を制御する条件を決定する手順と、
前記決定された条件により前記撮影手段が取得した画像に対して、前記ダイナミックレンジ拡大率に応じた階調処理を行って処理済み画像を得る手順とを有することを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−296488(P2009−296488A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150193(P2008−150193)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100104189
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 勲将
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100104189
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 勲将
【Fターム(参考)】
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