説明

撮影制御装置

【課題】撮影禁止対象物が遠距離から撮影されるものであっても撮影画像の保存および送信を制限することのできる撮影制御装置を提供する。
【解決手段】携帯端末100に搭載される撮影制御装置1は、記憶部11が、撮影部100から出力される画像データを一時保持し、現在位置算出部12が、GPS信号を受信して現在位置情報を出力し、撮影禁止判定部14が、撮影禁止地域の位置情報が格納されたデータベース13を検索し、現在位置算出部12から出力された現在位置情報に一致する位置情報が抽出されたときは、撮影禁止信号を出力し、この撮影禁止信号が出力されたときに、転送禁止部15が、記憶部11に一時保持された画像データの外部記憶部200、表示部300および通信部400への転送を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影制御装置に関し、特にカメラ付き携帯端末に搭載される撮影制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ付き携帯端末が普及し、搭載されるカメラの高性能化も進んでいる。そのため、風景や人物などの撮影対象物を簡単かつ高精細に撮影できるようになってきた。また、電子メール機能を利用して、撮影した画像の外部への送信も容易に行うこともできる。
【0003】
一方、美術館などにおいては、著作権などの権利上の問題から、撮影禁止とされる撮影対象物がある。
【0004】
そこで、従来、撮影禁止対象物に撮影禁止信号送信装置を取り付けて、光や無線による撮影禁止信号を送信し、その撮影禁止信号を受信したときには、カメラからの映像データの出力を停止させる、映像取得制限システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
このような映像取得制限システムを用いることにより、撮影禁止対象物の撮影が自動的に禁止される。しかし、上述の撮影禁止信号は微弱であり、その到達範囲は限られている。これは、撮影禁止対象物が美術館の展示物など、その撮影禁止対象物の近傍での撮影が禁止できればよいものであり、撮影禁止信号の到達距離が短くても支障がないからである。
【0006】
ところが、撮影禁止対象物の中には、建造物や風景など、対象物を遠距離から撮影するものもある。そのような対象の場合、上述の映像取得制限システムでは撮影禁止信号が届かず、撮影禁止対象物の撮影を自動的に禁止することができない、という問題があった。
【0007】
また、観光地や、例えば世界遺産に登録されたような保護地域では、観光資源や環境の保護のために、建造物や風景などの撮影に撮影料を課金し、撮影料の支払いがないときは撮影禁止となる撮影対象物がある。
【0008】
しかし、従来、遠距離から撮影する建造物や風景などが課金対象であった場合、その課金要求に対応し、撮影料の支払いの有無により撮影の許可/禁止を自動的に行う、ということはできなかった。
【特許文献1】特開2000−152217号公報 (第4ページ、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的は、撮影禁止対象物が遠距離から撮影されるものであっても撮影画像の保存および送信を制限することのできる撮影制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、撮影手段、外部記憶手段、表示手段および通信手段を備える携帯端末に搭載される撮影制御装置であって、前記撮影手段から出力される画像データを一時保持する記憶手段と、GPS信号を受信し、現在位置情報を出力する現在位置算出手段と、撮影禁止地域の位置情報が格納されたデータベースと、前記データベースを検索し、前記現在位置算出手段から出力された前記現在位置情報に一致する位置情報が抽出されたときは、撮影禁止信号を出力する撮影禁止判定手段と、前記撮影禁止信号が出力されたときに、前記記憶手段に一時保持された前記画像データの前記外部記憶手段、前記表示手段および前記通信手段への転送を禁止する転送禁止手段とを備えることを特徴とする撮影制御装置が提供される。
【0011】
また、本発明の別の一態様によれば、撮影手段、外部記憶手段、表示手段、通信手段および電子マネー蓄積手段を備える携帯端末に搭載される撮影制御装置であって、前記撮影手段から出力される画像データを一時保持する記憶手段と、GPS信号を受信し、現在位置情報を出力する現在位置算出手段と、課金対象撮影地域の位置情報が格納されたデータベースと、前記データベースを検索し、前記現在位置算出手段から出力された前記現在位置情報に一致する位置情報が抽出されたときは、課金要求信号を出力する課金要求手段と、前記課金要求信号が出力されたときに、その課金要求への諾否を決定する課金諾否決定手段と、前記課金要求を受諾したときは、前記通信手段を介して、前記電子マネー蓄積手段から課金分の金額を引き出して課金要求者へ送付し、撮影許可を得る課金決済手段と、前記記憶手段に一時保持された前記画像データの前記外部記憶手段、前記表示手段および前記通信手段への転送を、課金要求を受諾し前記課金決済手段による決済が終了したときは許可し、前記課金要求を拒否したときは禁止する転送判定手段とを備えることを特徴とする撮影制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、撮影禁止対象物が遠距離から撮影されるものであっても撮影画像の保存および送信を制限することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係る撮影制御装置1およびこの撮影制御装置1が搭載される携帯端末1000の構成の例を示すブロック図である。
【0015】
携帯端末1000は、撮影部100と、撮影部100により撮影された画像データを保存するメモリカードなどの外部記憶部200と、撮影部100により撮影された画像データのプレビュー表示などを行う表示部300と、撮影部100により撮影された画像データを外部へ送信することのできる通信部400と、を備える。
【0016】
本実施例の撮影制御装置1は、現在位置が撮影禁止地域か否かに応じて、上述の撮影部100により撮影された画像データの、外部記憶部200、表示部300および通信部400への転送を制御する。
【0017】
撮影制御装置1は、撮影部100から出力される画像データを一時保持する記憶部11と、GPS信号を受信し、現在位置情報を出力する現在位置算出部12と、撮影禁止地域の位置情報が格納されたデータベース13と、データベース13を検索し、現在位置算出部12から出力された現在位置情報に一致する位置情報が抽出されたときは、撮影禁止信号を出力する撮影禁止判定部14と、この撮影禁止信号が出力されたときに、記憶部11に一時保持された画像データの外部記憶部200、表示部300および通信部400への転送を禁止する転送禁止部15と、を備える。
【0018】
記憶部11は、撮影部100から出力される画像データを一時的に保持する小容量のメモリである。
【0019】
現在位置算出部12は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信し、現在位置の経度、緯度を算出する。
【0020】
データベース13には、撮影禁止地域の経度、緯度情報が予め格納されている。
【0021】
撮影禁止判定部14は、データベース13を検索し、現在位置算出部12から出力された現在位置の経度、緯度に一致する経度、緯度位置情報が抽出されたときは、現在位置は撮影禁止地域と判定し、撮影禁止信号を出力する。
【0022】
転送禁止部15は、撮影禁止判定部14から撮影禁止信号が出力されたときに、記憶部11に一時保持された画像データの外部記憶部200への転送、表示部300への転送、および通信部400への転送を禁止する。
【0023】
また、このとき、表示部300に、現在地が撮影禁止地域であることを警告する画面を表示する。この表示により、現在地が撮影禁止地域であり、撮影が不可であることを撮影者に知らせる。
【0024】
外部記憶部200への転送禁止により、記憶部11に一時保持された撮影禁止地域で撮影された画像データの外部記憶部200への保存が禁止される。
【0025】
また、表示部300への転送禁止により、撮影禁止地域の画像データの表示部300におけるプレビュー表示も禁止される。これにより、撮影禁止地域で撮影された画像データが撮影者の目に触れることを防止する。これは、プレビュー表示ができれば、その画面から何らかの情報を得ることができるので、そのような形での情報入手を防止するためである。
【0026】
また、通信部400への転送禁止により、撮影禁止地域で撮影された画像データが外部へ送信されることを禁止する。
【0027】
このような本実施例によれば、撮影禁止対象物が遠距離から撮影される風景や建物などであっても、その撮影禁止対象物を撮影できる地域を撮影禁止地域として、その位置情報を予めデータベースに登録しておくことにより、撮影者が撮影禁止地域で撮影禁止対象物を撮影しても、その撮影データの保存や外部への送信を自動的に禁止することができる。また、プレビュー表示も禁止するので、撮影者は撮影禁止対象物の画像データを見ることすらできない。
【0028】
また、本実施例では、撮影者が撮影禁止地域で撮影したときに、現在地が撮影禁止地域であることを警告する画面を表示する。これにより、撮影者は、何故撮影ができなかったかの理由を知ることができる。
【実施例2】
【0029】
図2は、本発明の実施例2に係る撮影制御装置2およびこの撮影制御装置2が搭載される携帯端末2000の構成の例を示すブロック図である。
【0030】
携帯端末2000は、撮影部100と、撮影部100により撮影された画像データを保存するメモリカードなどの外部記憶部200と、撮影部100により撮影された画像データのプレビュー表示などを行う表示部300と、撮影部100により撮影された画像データを外部へ送信することのできる通信部400と、予めチャージされた電子マネーを蓄積する電子マネー蓄積部500と、を備える。
【0031】
本実施例の撮影制御装置2は、現在位置が課金対象地域か否かに応じて、上述の撮影部100により撮影された画像データの、外部記憶部200、表示部300および通信部400への転送を制御する。
【0032】
撮影制御装置2は、撮影部100から出力される画像データを一時保持する記憶部21と、GPS信号を受信し、現在位置情報を出力する現在位置算出部22と、課金対象地域の位置情報が格納されたデータベース23と、データベース23を検索し、現在位置算出部22から出力された現在位置情報に一致する位置情報が抽出されたときは、課金要求信号を出力する課金要求部24と、課金要求部24から課金要求信号が出力されたときに、その課金要求への諾否を決定する課金諾否決定部25と、課金要求を受諾したときは、通信部400を介して、電子マネー蓄積部500からその課金分の金額を引き出して課金要求者へ送付し、撮影許可を得る課金決済部26と、記憶部21に一時保持された画像データの外部記憶部200、表示部300および通信部400への転送を、課金要求を受諾し課金決済部26による決済が終了したときは許可し、課金要求を拒否したときは禁止する転送判定部27と、を備える。
【0033】
記憶部21は、撮影部100から出力される画像データを一時的に保持する小容量のメモリである。
【0034】
現在位置算出部22は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信し、現在位置の経度、緯度を算出する。
【0035】
データベース23には、課金対象地域の経度、緯度および撮影料金の情報が予め格納されている。
【0036】
課金要求部24は、データベース23を検索し、現在位置算出部22から出力された現在位置の経度、緯度に一致する経度、緯度位置情報が抽出されたときは、現在位置は課金対象地域と判定し、その地域の撮影料金の支払いを求める課金要求信号を出力する。
【0037】
課金諾否決定部25は、課金要求部24から課金要求信号が出力されたときに、その課金要求への諾否を問い合わせる画面を表示部300に表示し、撮影者にその判断を求める。
【0038】
図3に、その問い合わせ画面の例を示す。
【0039】
撮影者は、図3の画面の表示に対して、撮影料金の支払いを受諾するときは「はい」のボタンを選択し、撮影料金の支払いを拒否するときは「いいえ」のボタンを選択する。
【0040】
課金諾否決定部25は、この撮影者のボタンの選択により、課金要求への諾否を決定する。
【0041】
課金決済部26は、課金諾否決定部25により課金要求の受諾が決定されたときは、要求されている撮影料金分の金額を電子マネー蓄積部500から引き出し、通信部400を介して課金要求者へ課金決済データとして送付する。折り返し、課金要求者から撮影許可信号が送信されると、課金決済部26は、通信部400を介してこの撮影許可信号を受け取り、課金諾否決定部25へ伝達する。
【0042】
課金諾否決定部25は、課金決済部26から撮影許可信号を受け取ると、転送判定部27へ決済が終了したことを伝達する。
【0043】
これを受けて、転送判定部27は、記憶部21に一時保持された画像データの外部記憶部200、表示部300および通信部400への転送を許可する。
【0044】
一方、撮影者が撮影料金の支払いを拒否したときは、課金諾否決定部25は、転送判定部27へ課金要求を拒否することを伝達する。
【0045】
これを受けて、転送判定部27は、記憶部11に一時保持された画像データの外部記憶部200への転送、表示部300への転送、および通信部400への転送を禁止する。
【0046】
このような本実施例によれば、撮影料金の支払いがなければ撮影を禁止する課金対象物が遠距離から撮影される風景や建物などであっても、その課金対象物を撮影できる地域を課金対象地域として、その位置情報および撮影料金情報を予めデータベースに登録しておくことにより、撮影者が課金対象地域で撮影料金を支払わずに撮影したときに、その撮影データの保存や外部への送信を自動的に禁止することができる。また、プレビュー表示も禁止するので、撮影者は課金対象物の画像データを見ることすらできない。
【0047】
また、本実施例によれば、撮影者が撮影料金の支払いに同意したときは、課金要求者がその料金を自動的に徴収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例1に係る撮影制御装置の構成の例を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例2に係る撮影制御装置の構成の例を示すブロック図。
【図3】課金諾否問い合わせ表示の例を示す図。
【符号の説明】
【0049】
1、2 撮影制御装置
11、21 記憶部
12、22 現在位置算出部
13、23 データベース
14 撮影禁止判定部
15 転送禁止部
24 課金要求部
25 課金諾否決定部
26 課金決済部
27 転送判定部
100 撮影部
200 外部記憶部
300 表示部
400 通信部
500 電子マネー蓄積部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影手段、外部記憶手段、表示手段および通信手段を備える携帯端末に搭載される撮影制御装置であって、
前記撮影手段から出力される画像データを一時保持する記憶手段と、
GPS信号を受信し、現在位置情報を出力する現在位置算出手段と、
撮影禁止地域の位置情報が格納されたデータベースと、
前記データベースを検索し、前記現在位置算出手段から出力された前記現在位置情報に一致する位置情報が抽出されたときは、撮影禁止信号を出力する撮影禁止判定手段と、
前記撮影禁止信号が出力されたときに、前記記憶手段に一時保持された前記画像データの前記外部記憶手段、前記表示手段および前記通信手段への転送を禁止する転送禁止手段と
を備えることを特徴とする撮影制御装置。
【請求項2】
撮影手段、外部記憶手段、表示手段、通信手段および電子マネー蓄積手段を備える携帯端末に搭載される撮影制御装置であって、
前記撮影手段から出力される画像データを一時保持する記憶手段と、
GPS信号を受信し、現在位置情報を出力する現在位置算出手段と、
課金対象撮影地域の位置情報が格納されたデータベースと、
前記データベースを検索し、前記現在位置算出手段から出力された前記現在位置情報に一致する位置情報が抽出されたときは、課金要求信号を出力する課金要求手段と、
前記課金要求信号が出力されたときに、その課金要求への諾否を決定する課金諾否決定手段と、
前記課金要求を受諾したときは、前記通信手段を介して、前記電子マネー蓄積手段から課金分の金額を引き出して課金要求者へ送付し、撮影許可を得る課金決済手段と、
前記記憶手段に一時保持された前記画像データの前記外部記憶手段、前記表示手段および前記通信手段への転送を、課金要求を受諾し前記課金決済手段による決済が終了したときは許可し、前記課金要求を拒否したときは禁止する転送判定手段と
を備えることを特徴とする撮影制御装置。
【請求項3】
前記課金諾否決定手段は、
課金要求の諾否を使用者に問い合わせる問い合わせ画像を前記表示手段に表示し、
前記問い合わせ画像に対する前記使用者の回答に応じて前記課金要求への諾否を決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の撮影制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−224899(P2009−224899A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64774(P2008−64774)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】