説明

撮影環境確認方法

【課題】 背景置換に適した撮影画像が得られる環境であるか否かを確認するための撮影環境確認方法を提供する。
【解決手段】 被写体が載置される、該被写体の下部から背後に至る載置面を有し、該載置面からの光で該被写体を照らす撮影台上に、撮影環境確認用の既知の基準被写体を載置して撮影することで撮影画像を得る撮影過程と、前記撮影過程で得られた撮影画像について、前記基準被写体の上部が写る既知の第1領域中の明るさに対し前記載置面が写る既知の第2領域中の明るさが所定程度を越えて明るいか否かを判定する判定過程とを有することを特徴とする撮影環境確認方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮影して取得した撮影画像中の背景を別の背景に置換して背景置換画像を作成するにあたり、取得する該撮影画像の撮影環境を確認する撮影環境確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、写真館等では、背景幕を使った写真撮影が行なわれている。しかし、この写真撮影では、十分に背景を作り出すための大きな背景幕が使用されることから、広い撮影スペースを必要とし、また、背景幕の交換等にも手間がかかるため、結果的に撮影コストが高くなる。
【0003】
そこで、もっと手軽に撮影ができるように、従来のような大きな背景幕や広い撮影スペースが不要な、小型の撮影システムの開発が望まれている。このような小型の撮影システムでは、上記のような背景幕の代わりとなる何らかの仮の背景の前で行なって得られた撮影画像に対して、撮影画像中の背景を顧客が所望する背景と差替える背景置換処理が施される。
【0004】
このような背景置換処理に関する技術の一例として、例えば、青色等に塗られた背景パネル等を被写体の背後に配置して撮影を行ない、その撮影で得られた撮影画像において、背景パネルの色と同色の部分と、異なる色の部分とを、それぞれ撮影画像中の背景と被写体として区別し、撮影画像中の背景に区別された部分を所望の背景に置換するクロマキー処理と呼ばれる処理が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
ところで、上述のように撮影画像中の背景を所望の背景と置換するためには、撮影によって得た撮影画像中の被写体と背景とを精度良く区別する必要がある。
【0006】
ところが、そのような撮影画像は、被写体がきれいに写ることに主眼が置かれた撮影光条件の下で撮影されたものであるため、その撮影画像中の被写体と背景とを、その撮影画像自体に基づいて互いに誤認することなく区別することが困難であることが多い。
【0007】
撮影画像中の被写体と背景とを精度良く区別するためには、被写体がきれいに写っている撮影画像を含む、相違する複数の撮影光条件の下でそれぞれ撮影された複数の撮影画像がある方が望ましく、また、それら複数の撮影光条件の相違は極端な方が望ましい。
【0008】
そこで、異なる複数の撮影光条件として順光状態と逆光状態との双方で撮影を行い、特に逆光状態での撮影では、被写体と背景とで撮影画像上における明るさの違いを際だたせることで撮影画像中の被写体と背景とを精度良く区別することが可能である。
【特許文献1】特開2000−224410号公報(第3−10頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、逆光撮影画像上の被写体に光が写り込んだり、背景中に暗い部分があったりすると、撮影画像中の被写体と背景との区別がし難くなるという問題がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、背景置換に適した逆光撮影画像が得られる環境であるか否かを確認するための撮影環境確認方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する本発明の撮影環境確認方法は、
被写体が載置される、この被写体の下部から背後に至る載置面を有し、この載置面からの光でこの被写体を照らす撮影台上に、撮影環境確認用の既知の基準被写体を載置して撮影することで撮影画像を得る撮影過程と、
上記撮影過程で得られた撮影画像について、上記基準被写体の上部が写る既知の第1領域中の明るさに対し上記載置面が写る既知の第2領域中の明るさが所定程度を越えて明るいか否かを判定する判定過程とを有することを特徴とする。
【0012】
逆光状態で撮影を行って得られた逆光撮影画像を利用して被写体と背景とを精度良く区別するには、逆光撮影画像上における被写体の明るさと背景の明るさとの違いが際だっている必要がある。そこで、本発明の撮影環境確認方法は、通常の被写体よりも背景に対する明るさの違いを際だたせ難い基準被写体を被写体とする逆光撮影画像において、背景の明るさが基準被写体の明るさに対し所定程度を越えて確保されていれば、通常の被写体であれば当然に被写体と背景とを精度良く区別するのに必要な明るさの差が確保されるはずという発想に基づいて成されたものである。
【0013】
ここで、上記撮影過程で得られた撮影画像について上記第1領域中で最も明るい箇所の明るさを求める上記第1の明るさ解析過程と、
上記撮影過程で得られた撮影画像について上記第2領域中で最も暗い箇所の明るさを求める第2の明るさ解析過程とを有し、
上記判定過程が、上記第1の明るさ解析過程で求められた明るさに対し上記第2の明るさ解析過程で求められた明るさが明るいか否かを判定する過程であることが好ましく、また、上記撮影過程で得られた撮影画像について明暗のエッジを検出するエッジ検出過程を有し、上記判定過程が、上記エッジ検出過程で検出されたエッジに、上記第1領域と上記第2領域との既知の境界と位置が一致するエッジが存在するか否かを判定する過程であることも好ましい態様である。
【0014】
判定過程が上記のいずれかであると、撮影画像中の被写体と背景との区別を一層高精度に行うことができる。
【0015】
また、上記判定過程での判定結果が否定的である場合に、上記載置面の、上記被写体の背後に存在する部分とこの被写体との距離を広げる拡張過程を備えたことが好ましく、また、上記判定過程での判定結果が否定的である場合に、上記載置面の、上記被写体の背後に存在する部分の角度を後方に傾ける傾斜過程を備えたことも好ましい態様である。
【0016】
この様にすると、基準被写体の上部の明るさを簡易にシャドウ側に寄らせることができる。これにより、基準被写体の上部の明るさに対する所定程度を越えた背景の明るさの確保が可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、背景置換方法に適した逆光撮影画像が得られる環境であるか否かを確認するための撮影環境確認方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を説明する前に、背景置換方法の基本的な内容、および、その方法の実施に必要な設備について説明する。
【0019】
図1は、背景置換画像を作成するための撮影システムの概要を示す図である。
【0020】
この図1に示す撮影システム1は、被写体を撮影して撮影画像を取得する撮影セット10と、その撮影画像における被写体と背景とを区別して、撮影画像中の背景を所望の背景に置換して背景置換画像を作成するパーソナルコンピュータ20と、パーソナルコンピュータ20で作成された背景置換画像を出力するプリンタ30と、置換用の背景画像がストックされているサーバ40とを備えている。
【0021】
撮影セット10は、デジタルカメラ11と、第1閃光発光装置12と、撮影台13とを備えており、撮影台13の内部には、第2閃光発光装置130が備えられている。
【0022】
デジタルカメラ11は、連写機能を有しており、撮影者がシャッタボタンを1回押すと、短時間に異なる撮影条件下で被写体Pを各1回ずつ計2回撮影する。撮影によって得られた撮影画像は、デジタルカメラ11内のメモリに一時的に保管されるが、撮影システム1では、デジタルカメラ11がパーソナルコンピュータ20に接続されており、2回の撮影が終了した時点で、この2回の撮影で得られた撮影画像は、このパーソナルコンピュータ20に直ちに送られる。また、デジタルカメラ11は、撮影の際、第1閃光発光装置12および第2閃光発光装置130に対して、閃光発光を指示する指示信号を個別に発信できるようになっており、計2回の撮影のうち最初の撮影の際には第1閃光発光装置12に対してのみ上記指示信号が発信され、2回目の撮影の際には第2閃光発光装置130に対してのみ上記指示信号が発信される。
【0023】
撮影台13は、被写体Pが載せられる、厚みの薄い乳白色のプラスティック板131と、このプラスティック板131を保持する筐体132、および、その筐体132内に内蔵された第2閃光発光装置130を備えている。尚、プラスティック板131上には、被写体Pであるお椀が奥側にもう1つ載せられている。
【0024】
ここで、この撮影システム1の撮影セット10では、上述したように、1回目の撮影は第1閃光発光装置12のみが閃光を発した状態で行なわれ、2回目の撮影は第2閃光発光装置130のみが閃光を発した状態で行なわれる。その結果、1回目の撮影では、デジタルカメラ11側から被写体Pを照らすという順光状態での撮影により、被写体Pがきれいに写った撮影画像が得られる。また、この1回目の撮影に連続して行なわれる2回目の撮影では、第2閃光発光装置130からの閃光が、図1に示すように湾曲した乳白色のプラスティック板131の背面側から発光されることで、このプラスティック板131からは図1における奥行き方向および上下方向に均一な明るさの光が出射されるが、湾曲したプラスティック板131上の各箇所の向きとデジタルカメラ11の向きとの関係により、撮影画像上では、被写体はシャドウ側に偏ったものとなるのに対し、背景は左右方向には均一で上方から下方にかけてハイライト側から一様にシャドウ側に変化するものとなる。
【0025】
パーソナルコンピュータ20では、デジタルカメラ11から送信されてきた上述の2つの撮影画像を基に背景置換画像が作成される。この背景置換画像の作成については後述する。
【0026】
図2は、図1に示すパーソナルコンピュータの外観斜視図である。
【0027】
図2に示すパーソナルコンピュータ20は、外観構成上、フレキシブルディスク(以降、FDと呼ぶ)やCD−ROMの装填口を有し、その装填口に装填されたFDやCD−ROMへのアクセス機能を有する本体装置210、その本体装置210からの指示に応じて表示画面220a上に画像を表示する画像表示装置220、本体装置210にキー操作に応じた各種の情報を入力するキーボード230、表示画面220a上の任意の位置を指定することにより、その位置に表示された、例えばアイコン等に応じた指示を入力するマウス240、および、デジタルカメラ等で撮影画像の記憶に用いられる小型記憶メディアが装填され、その小型記憶メディアをアクセスするメディアドライブ250を備えている。
【0028】
図1に示すプリンタ30は、パーソナルコンピュータ20から送られてくる画像をプリントするものであり、撮影システム1では、パーソナルコンピュータ20によって作成された背景置換画像をプリントする役割を担っている。
【0029】
図1に示すサーバ40には、パーソナルコンピュータ20で実行される背景置換における、置換背景となる複数の背景候補が格納されている。これら背景候補は、表示画面220a上に表示されることによって提示される。また、この撮影システム1では、サーバ40内に格納されている背景以外にも、前記のCD−ROMや前記の小型記憶メディア等といった何らかの入力用記憶媒体を介して提供される背景も、表示画面220aを通じて提示される。
【0030】
次に、この図1に示す撮影システム1で実行される、背景置換画像の作成の流れについて説明する。尚、以下の説明では、図1に示す要素については特に図番を断らずに図1中の符号を使って参照する。
【0031】
図3は、図1の撮影システムにおける背景置換作業の流れを示す図である。
【0032】
まず、撮影者が、プラスティック板131上に載せられた被写体Pに対するピントや露光の調節等を行なった後にデジタルカメラ11のシャッタボタンを押すと、被写体Pに対する撮影が2回連続して行なわれる。まず1回目の撮影では、デジタルカメラ11から発信される指示信号に応じて第1閃光発光装置12のみ閃光発光させて、被写体Pが撮影される(ステップS1)。続いて、2回目の撮影が、第2閃光発光装置130のみ閃光発光させて行なわれる(ステップS2)。
【0033】
これら2回の撮影それぞれで得られた2つの撮影画像は、デジタルカメラ11内のメモリに一時的に保管された後、パーソナルコンピュータ20に送信される。また、パーソナルコンピュータ20に対する操作により、顧客が所望する背景がサーバ40あるいは何らかの入力用記憶媒体から読み出される(ステップS3)。続いて、これら2つの撮影画像を基に背景置換画像を作成するという、詳しくは後述する背景置換処理が実行される(ステップS4)。そして、この背景置換処理で作成された背景置換画像を表わす画像データが、まず画像表示装置220に転送され、さらに、プリンタ30と、顧客が希望する出力用記憶媒体とのうちの少なくとも1つに転送される(ステップS5)。続いて、背景置換画像が表示画面220a上に表示される(ステップS6)。
【0034】
さらに、画像データがプリンタ30に転送された場合には、プリンタ30において、その画像データに基づいて背景置換画像がプリントされる(ステップS7)。
【0035】
以下では、これらの処理を実行するパーソナルコンピュータ20と、パーソナルコンピュータ20における背景置換処理の詳細について説明する。
【0036】
まず、このパーソナルコンピュータ20の内部構成について説明する。
【0037】
図4は、図1に示すパーソナルコンピュータのハードウェア構成図である。
【0038】
この図4に示すように、本体装置210の内部には、各種プログラムを実行するCPU211、各種プログラムやデータ等が保存されたハードディスク装置213、ハードディスク装置213に格納されたプログラムが読み出されCPU211での実行のために展開される主メモリ212、FD520が装填され、その装填されたFD520をアクセスするFDドライブ214、CD−ROM510をアクセスするCD−ROMドライブ215、図1のサーバ40やデジタルカメラ11と接続され、これらの機器から置換用の背景や撮影画像等を受け取る入力インタフェース216、および、図1のプリンタ30と接続され、背景置換画像等を出力する出力インタフェース217が内蔵されている。これらの各種要素と、さらに図1にも示す画像表示装置220、キーボード230、マウス240、および、小型記憶メディア530をアクセスするメディアドライブ250は、バス260を介して相互に接続されている。
【0039】
ここで、CD−ROM510には、背景置換プログラムが記憶されている。そして、その背景置換プログラムが記憶されたCD−ROM510がCD−ROMドライブ215に装填されると、そのCD−ROM510に記憶された背景置換プログラムがこのパーソナルコンピュータ20にアップロードされてハードディスク装置213に書き込まれる。これにより、パーソナルコンピュータ20は背景置換装置として動作する。
【0040】
次に、この背景置換プログラムについて説明する。
【0041】
図5は、CD−ROMの概念図である。
【0042】
図5に示すCD−ROM510には、図1等に示すパーソナルコンピュータ20を背景置換装置の一例として動作させるための背景置換プログラムが記憶されている。
【0043】
図5に示すCD−ROM510には背景置換プログラム600が記憶されており、この背景置換プログラム600は、画像取得部610、背景置換処理部620、画像データ転送部630、画像表示部640、および撮影環境判定部650で構成されている。
【0044】
この背景置換プログラム600の各部の詳細については、背景置換装置の一例の各部の作用と併せて説明する。尚、以下の説明では、図1、図4、および図5に示す要素については特に図番を断らずに各図中の符号を使って参照する。
【0045】
図6は、機能ブロック図である。尚、図5に示す背景置換プログラムが図1等に示すパーソナルコンピュータにインストールされることで、パーソナルコンピュータは、背景置換装置の一例として動作する。
【0046】
図6には、背景置換装置700および撮影環境判定装置800が示されている。尚、撮影環境判定装置800についての説明は後に譲る。
【0047】
また、図6には、図1にも示す、デジタルカメラ11、第1閃光発光装置12、および第2閃光発光装置130を備えた撮影セット10や、プリンタ30、サーバ40が示されている。
【0048】
この図6に示す背景置換装置700では、上述したように、撮影セット10のデジタルカメラ11によって撮影された2つの撮影画像を取得し、これらの2つの撮影画像のうち、第2閃光発光装置130のみを閃光発光させて得られた撮影画像(以下、この撮影画像を逆光画像と称す。)に基づいて、第1閃光発光装置12のみを閃光発光させて得られた撮影画像(以下、この撮影画像を通常画像と称す。)上の被写体領域と背景領域とを区別し、そのうちの背景領域については所望の背景に置換するという背景置換処理が実行され、この背景置換装置700は、画像取得部710、背景置換処理部720、画像データ転送部730、および画像表示部740で構成されている。
【0049】
画像取得部710では、まず、デジタルカメラ11で撮影され、そのデジタルカメラ11から送信される、2つの撮影画像を表すRGB値をそれぞれ受け取る。また、この画像取得部710では、顧客が所望する背景を、サーバ40から、あるいは、CD−ROMや小型記憶メディア等といった入力用記憶媒体540から取得する。この画像取得部710は、実質的には、パーソナルコンピュータ20のCPU211が、背景置換プログラム600の画像取得部610に従って、入力インタフェース216、FDドライブ214、CD−ROMドライブ215、およびメディアドライブ250を制御することによって構成される。
【0050】
背景置換処理部720では、画像取得部710により取得された2つの撮影画像(逆光画像および通常画像)に基づいて背景置換画像が作成される。背景置換処理部720は、実質的には、パーソナルコンピュータ20のCPU211が、背景置換プログラム600の置換処理部620に従って動作することによって構成される。
【0051】
画像データ転送部730では、背景置換処理部720で作成された背景置換画像を表わす画像データを、プリンタ30および顧客が希望する出力用記憶媒体550のうちの少なくとも一方と、この背景置換装置700の画像表示部740とに転送する。この画像データ転送部730は、実質的には、パーソナルコンピュータ20のCPU211が、背景置換プログラム600の画像データ転送部630に従って、出力インタフェース217、FDドライブ214、CD−ROMドライブ215、およびメディアドライブ250を制御することによって構成される。
【0052】
画像表示部740では、画像データ転送部730から転送されてくる画像データが表す背景置換画像を表示画面220aに表示し、画像表示部740は、実質的には、パーソナルコンピュータ20のCPU211が、背景置換プログラム600の画像表示部640に従って画像表示装置220を制御することによって構成される。
【0053】
また、上記画像データ転送部730からプリンタ30に背景置換画像を表わす画像データが出力された場合には、プリンタ30では、この画像データによって表される背景置換画像がプリントされ、また、画像データ転送部730から、何らかの出力用記憶媒体550に背景置換画像を表わす画像データが出力された場合には、この画像データがその出力用記憶媒体550に書き込まれる。そして、背景置換画像がプリントされたプリント紙と、背景置換画像を表わす画像データが書き込まれた出力用記憶媒体550との両方、あるいは一方が、顧客の希望に応じて提供される。
【0054】
次に、背景置換処理部720の詳細について説明する。
【0055】
図7は、背景置換処理部の詳細を示す図である。
【0056】
図7に示される背景置換処理部720は、背景推定部721、差し引き部722、調整部725、2値化部723、および背景置換画像作成部724を備えている。尚、以下では、画像取得部710が取得した2つの撮影画像のRGB値群のうち、第1閃光発光装置12のみを利用して撮影された撮影画像(通常画像)を表すRGB値群を第1RGB値群と称し、第2閃光発光装置130のみを利用して撮影された撮影画像(逆光画像)を表すRGB値群を第2RGB値群と称す。また、顧客が所望した背景のRGB値を背景RGB値群と称す。尚、図7中に示される第3RGB値群については後述する。
【0057】
ここで、図8は、図7に示される各部で生成される画像を観念的に示す図である。
【0058】
図8(a)には、第2RGB値群によって表される画像(逆光画像)が示されており、ここには、上から下にかけて一様なグラデーションを有する背景と、この背景の上部よりもシャドウ側に寄った被写体とが示されている。図8(b)には、図7中に示される背景推定部721において、第2RGB値群に基づいて被写体の背後については背景推定がされて作成された第3RGB値群が表す背景画像が示されている。図8(c)には、差し引き部722において、第2RGB値群から第3RGB値群の各値が差し引かれた結果のRGB値群で表された画像が示されており、ここには、ベタ黒の背景に被写体がうっすら浮かび上がっている様子が示されている。図8(d)には、差し引かれた結果のRGB値群が調整部725での調整を終え、その後、2値化部723において2値化処理された後のRGB値群が表す画像が示されている。
【0059】
図7に示される各部の動作についてさらに詳細に説明する。
【0060】
まず、図7に示される背景推定部721には、図8(a)に示される撮影画像を表す第2RGB値群が入力され、この第2RGB値群に基づいて、図8(a)に示される逆光の撮影画像から、被写体に隠れた背後の領域のRGB値の推定が行われる。
【0061】
図9は、被写体に隠れた背後の領域のRGB値の推定の手法を概念的に示す図である。尚、図9に示されている画像は、明暗の図示が省略されているが、図8(a)に示される図と同じ図であるとして話を進める。
【0062】
背景推定部721では、入力されてきた第2RGB値群から、まず、図9に示される画像の左側の1列目の上端に位置する画素から下端に位置する画素までのうちの最初の数画素の輝度を読み出した後は、その先の画素の輝度予測が外挿法により行なわれると共に輝度の実際の読み出しも行われ、予測した輝度(以下、この予測した輝度を予測輝度と称す。)と実際に読み出した輝度(以下、この読み出した輝度を読出輝度と称す。)との間に所定値以上のズレがあるか否かが判定される。これら輝度の読み出し、輝度の予測、および判定を、図9に示す撮影画像の左端から右端にかけて列毎に行う。その結果、読出輝度と予測輝度との差が全て所定値未満の画素からなる列は、背景領域のみを通過する列として認識される。一方、列の中に、読出輝度と予測輝度との差が所定値以上である画素が存在した列は被写体領域を通過する列として認識され、その列上の、被写体領域に属する画素の輝度は、被写体領域を通過する列の直前の、背景領域を通過する列の対応する画素の読出輝度に置き換えられる。この様にして被写体Pの背後の領域の輝度が推定される。尚、被写体Pの背後の領域の輝度の推定において、輝度の読み出しを撮影画像の上端から開始するのは、この撮影セット10において撮影される撮影画像の背景は前述したように上方が明るく下方に行くほど暗くなっており、背景領域に、例えば、背景の周縁が黒枠として写っている場合でも、所定の閾値を下回る暗い部分は除外しつつ所定の閾値以上の明るさが読み取れた画素を背景領域の始まりの画素とすることができるからである。
【0063】
図10は、撮影画像上の上下方向の位置と読出輝度との関係を示す図である。
【0064】
図10(a)には、横軸に図9に示す逆光撮影の画像上の上下方向の位置、縦軸に輝度(0〜255)をとった場合の、この画像の背景領域に属する列の上下位置と読出輝度との関係が示されており、ここには、列の上端では、255に近い‘明’側の読出輝度が、列の下端に近づくにつれて0に近い‘暗’側へなだらかに変化していく様子が示されている。また、図9に示される、背景領域を通過する列のうち代表的な列A、B、C、E、F、およびGにおける上下位置と読出輝度との関係がほぼ同じであることで、図10(a)には、プロットがほぼ同じ位置に重ねて行われている様子が示されている。このことは、つまり、図9に示される撮影画像の背景が左右方向に均一であることを表している。
【0065】
図10(b)には、被写体領域を通過する列の中から代表的に抽出した列Dについて得られた、列Dにおける上下位置と読出輝度との関係が示されている。この列Dについては、位置a手前までの画素は背景領域に属しているものの、位置aから位置bまでの間の画素が被写体領域に属していることで外挿法による予測輝度と読出輝度とのズレが所定値以上となる。このため、この範囲内の読出輝度が、背景領域のみを通過する列のうちの直前の列である列Cの対応する範囲の読出輝度に置き換えられる。図10(b)には、輝度の置き換えが行われた範囲が点線で示されている。以上説明したようにして、背景推定部721では、被写体Pに隠れた背後の画素の輝度推定を行った上で、背景全体のRGB値群である第3RGB値群を作成する。
【0066】
図7に示す差し引き部722では、第2RGB値群から第3RGB値群が差し引かれる。
【0067】
従来の背景置換技術では、背景と被写体とが極端に異なる色や明るさを有していることが背景置換処理を高精度に行うための要件となっている。そのため、被写体と背景との境目の色や明るさに明らかな差がないと、背景と被写体との区別の精度は低下する。しかし、この背景置換処理部720では、被写体を逆光で撮影して得られた第2RGB値群から、被写体Pに隠れた背後については推定を用いた背景画像を表す第3RGB値群を差し引くことで得られた差分により被写体領域と背景領域とを区別する。つまり、背景置換処理部720によれば、被写体と背景との境目の色や明るさに明らかな差がなくても、被写体領域のRGB値群と、その被写体領域に隠れた背後の領域について推定されたRGB値群とに僅かでも差があれば被写体領域と背景領域とを区別することができる。
【0068】
図7に示す調整部725では、第2RGB値群から第3RGB値群が差し引かれた後のRGB値群に対する、オペレータによる調整が可能となっている。
【0069】
ここで、図11は、パーソナルコンピュータの画像表示装置の画面表示を示す図である。
【0070】
パーソナルコンピュータ20では、第2RGB値群から第3RGB値群が差し引かれた後のRGB値群に対し、光の写り込み等によるノイズ成分の除去をオペレータが調整部725を介して手動で行えるようになっており、図11(a)には、この手動による調整が行われる際に表示画面220a上に表示される画面表示が示されている。
【0071】
図11(a)には、第2RGB値群から第3RGB値群が差し引かれた後のRGB値群が表す画像が表示された表示画面220aが示されており、この表示画面220aには、入力欄221a、‘実行’ボタン222a、および‘OK’ボタン223aも表示されている。
【0072】
図11(a)に示される入力欄221aには、ノイズ成分除去のための閾値が入力される。例えば、この入力欄221aに値‘10’が入力され、‘実行’ボタン222aが操作されると、入力欄221aで指定されている値(ここに示す例では‘10’)以下の画素数からなる画素群であって、周囲とRGB値が異なる孤立した画素群の検出が行われ、そのような画素群はノイズ成分であるとして、その画素群のRGB値はその周囲の画素のRGB値と同じRGB値に置き換えられる。このように、このパーソナルコンピュータ20では、第2RGB値群から第3RGB値群が差し引かれた後のRGB値群に対するノイズ成分の除去の判断基準となる画素数のオペレータによる変更が可能となっている。図11(a)に示される‘OK’ボタン223aは、ノイズ成分が除去されたRGB値群を2値化部723(図7参照)に送る際に操作されるボタンである。
【0073】
その後、画面220aには、図11(b)に示すように、調整部725でノイズ成分が除去されたRGB値群に対して2値化部723における2値化処理が施されたRGB値群によって表される画像が表示される。
【0074】
2値化部723では、調整部725から送られてきた、ノイズ成分が除去されたRGB値群から輝度を読み出し、閾値A未満の輝度については輝度を‘0’(ベタ黒)とし、閾値A以上の輝度については輝度を‘255’(白)としている。この閾値としては、デフォルトで、ノイズ成分が除去されたRGB値群から読み出された輝度の出現頻度の分布における最大輝度と最小輝度の中間値が設定されるようになっている。
【0075】
このパーソナルコンピュータ20では、調整部725でのノイズ成分の除去処理がなされた後のRGB値群に対する2値化処理についての調整を、オペレータが手動で行えるようになっており、図11(b)には、この手動による調整が行われる際の画面表示が示されている。
【0076】
図11(b)に示される‘ヒストグラム’ボタン224aは、調整部725から送られてきたRGB値群の輝度を出現頻度の分布で表す際に操作されるボタンである。
【0077】
図11(c)には、‘ヒストグラム’ボタン224aが操作されたことによる画面表示が示されている。ここには、調整部725から送られてきたRGB値群から読み出された輝度の出現頻度の分布が示されており、ノイズ成分が除去されたRGB値群の輝度分布における最大輝度である‘2A’と最小輝度である値‘0’の中間値である‘A’が現在の閾値となっている様子が図中の直線Sで示されている。オペレータは、マウス240を使用してこの直線Sをつまみながら左右に移動することで閾値を変更できるようになっている。図11(b)に示される‘実行’ボタン222aは、オペレータが新たに設定した閾値を基準として2値化処理を行う際に操作される。また、図11(b)に示される‘OK’ボタン223aは、2値化処理がなされたRGB値群を背景置換画像作成部724に送る際に操作されるボタンである。図11(c)に示される‘決定’ボタン225aは、マウス240を使用して直線Sを移動させた後、それを閾値として設定するために操作されるボタンである。‘戻る’ボタン226aは、図11(c)に示される画面表示から図11(b)に示される画面表示に戻る際に操作されるボタンである。
【0078】
図7に示す背景置換画像作成部724では、2値化部723により輝度が‘255’とされた被写体領域のRGB値については、第1RGB値群の対応するRGB値に置き換えられ、2値化部723により輝度が‘0’とされた背景領域のRGB値については、顧客が所望した背景RGB値群の対応するRGB値に置き換えられる。これにより、順光できれいに撮影された被写体と、顧客が所望する背景とが組み合わさった背景置換画像が作成される。
【0079】
このようにして作成された背景置換画像を表わすRGB値群が、図6に示される画像データ転送部730に送信され、各出力デバイスや出力用記憶媒体550(図6参照)に転送される。
【0080】
以上説明したように、パーソナルコンピュータ20では、被写体Pを挟んでデジタルカメラ11とは反対側に位置するプラスティック板131からの、このプラスティック板131に沿って所定の一様さを有する光で照らされたこの被写体Pを撮影した逆光画像に基づいて、被写体Pに隠れた背後については推定して背景全体のRGB値群を得、逆光画像を表すRGB値群から背景全体のRGB値群を差し引くことで被写体領域が高精度に検出されて背景置換が行われる。
【0081】
ここで、上述の背景置換装置における被写体と背景との切り分けは、逆光撮影画像上の被写体領域と背景領域との間に明るさの違いがあるほど精度が高まるものの、この逆光撮影画像の撮影の際に、周囲が明るい場合や、ELパネル130の光が被写体の上部に写り込むなどして被写体領域中に背景領域とほぼ同じ明るさの部分が発生すると、背景領域と被写体領域との切り分けが高精度に行えなくなるおそれがある。
【0082】
そこで、この撮影システム1が設置されている環境が、逆光撮影画像における背景領域と被写体領域との高精度な切り分けが可能な撮影環境か否かを実際の被写体を撮影する前に確認する必要がある。以下では、この撮影環境を確認する方法について説明する。
【0083】
図12は、撮影環境確認方法の流れを示す図である。この撮影環境確認方法が、本発明の撮影環境確認方法の第1実施形態である。また、この撮影環境確認方法は、写真撮影がオペレータによって行われた後は図6に示す撮影環境判定装置800により実施される。尚、この撮影環境判定装置800は、実質的には、パーソナルコンピュータ20のCPU211が、背景置換プログラム600の一部である撮影環境判定部650に従って動作することによって構成され、オペレータは、パーソナルコンピュータ20の表示画面220a上で背景置換動作と撮影環境判定動作とを切り換えて実行できるようになっている。
【0084】
この撮影環境確認方法は、ステップS11として、上部表面が鏡面になっているダミーの基準被写体を、ELパネル130からの光のみがこの基準被写体を後方から照らすという逆光状態で撮影する。尚、この逆光撮影は、撮影画像上の基準被写体が予め決められた位置および大きさとなるように、デジタルカメラ1および基準被写体が所定の場所に配置されて行われる。撮影画像は、図3で説明したように、パーソナルコンピュータ20からなる撮影環境判定装置800に送信される。撮影環境判定装置800では、撮影画像上の所定範囲を被写体領域として把握する。ステップS12として、撮影環境判定装置800では、撮影画像上の、基準被写体の上部鏡面が写っているものと把握している所定範囲に属する各画素の画素値を画素毎に換算し、各画素毎に輝度を得る。ステップS13として、撮影環境判定装置800では、取得した輝度の中での最大輝度(Ox)を検出する。ステップS14として、撮影環境判定装置800では、撮影画像上の被写体領域を除いたその他の領域である背景領域に属する各画素の画素値を画素毎に換算し、各画素毎に輝度を得る。上述したように、撮影画像上の背景領域は撮影環境判定装置800によって把握されていることから、撮影環境判定装置800では、撮影画像上の背景領域も把握が可能となっている。ステップS15として、撮影環境判定装置800では、背景領域の各画素の画素値を画素毎に換算し、各画素毎に輝度を得る。その後、撮影環境判定装置800では、これら輝度の中での最小輝度(Bn)を検出する。ステップS16として、撮影環境判定装置800では、背景領域の最小輝度(Bn)が被写体上部の最大輝度(Ox)を超えているか否かを判定し、超えていなければ被写体と背景との区別が困難な状況にあるとして、プラスティック板131の端部の吊り下げ位置の降下を指示する表示を画像表示装置220に行わさせる。尚、図1に示す様に、プラスティック板131の端部の吊り下げ位置は3段階(上、中、下)での変更が可能となっており、この吊り下げ位置の降下は、画像表示装置220の表示画面上に‘中’、‘下’のうちのいずれかへの変更指示が表示され、それを受けてオペレータによって行われる。以下、この撮影環境確認方法について、さらに詳細に説明する。
【0085】
図13は、基準被写体の撮影の様子を示す図である。
【0086】
図13には、上部表面が鏡面の基準被写体Sがプラスティック板131上に載置されている様子が示されている。
【0087】
本実施形態の撮影環境確認方法では、背景置換用の撮影の前に、現在の撮影環境が背景領域と被写体領域とを区別できる逆光撮影画像を得られる撮影環境か否かを確認するため、背景領域と被写体領域との区別がし難い、上部に鏡面を有する基準被写体Sをダミーの被写体として用いて逆光撮影を行ってみて、背景領域の最小輝度(Bn)が基準被写体上部の最大輝度(Ox)を超えているか否かを判定する。その結果、超えていなければ被写体と背景との区別が困難な状況にあるとして、背景領域の最小輝度(Bn)が基準被写体上部の最大輝度(Ox)を超えるようにプラスティック板131の端部の吊り下げ位置が下げられる。プラスティック板131の端部の吊り下げ位置を下げることで、基準被写体Sとプラスティック板131との間を空けると共に、プラスティック板131の角度を寝かせることとなる。背景領域の最小輝度(Bn)が基準被写体上部の最大輝度(Ox)を超えていない場合にプラスティック板131の端部の吊り下げ位置を下げるのは、基準被写体上部の最大輝度(Ox)が背景領域の最小輝度(Bn)を上回るのは、プラスティック板131からの光の写り込みが原因と考えられるからであり、この様にすることで、基準被写体Sへの光の写り込みが抑えられ、基準被写体上部の最大輝度(Ox)を小さくすることができるからである。
【0088】
また、上部に鏡面を有する基準被写体Sを被写体として使用し、その上部の最大輝度(Ox)を背景領域の最小輝度(Bn)と比較しているのは、上部は下部に比べて背面からの光が写り込みやすいために被写体領域の中で最も明るくなりやすく、基準被写体Sよりも光を吸収するために暗く写りやすい通常の被写体であれば、いずれの部分の輝度であっても当然にこの最大輝度(Ox)を下回ると考えられ、逆光撮影画像上ではハイライト側である背景領域の最小輝度(Bn)が被写体領域の最大輝度(Ox)よりも明るいという、背景領域と被写体領域とを区別する上で最低限必要な条件をこの基準被写体Sで満たせば、通常の被写体であれば当然にこの条件を満たすと考えられるからである。尚、基準被写体Sとして全面が鏡面のもの、あるいは、プラスティック板131からの光を透過するものを使用してもよい。
【0089】
以上説明したように、本実施形態の撮影環境確認方法では、基準被写体Sの逆光撮影画像上の背景領域の中の最も暗い箇所の明るさが、被写体領域の中の最も明るい箇所の明るさよりも明るいか否かを判定することで、被写体と背景との区別が可能な逆光撮影画像が得られる撮影環境か否かを確認することができる。また、この撮影環境確認方法によれば、逆光撮影画像における背景領域と被写体領域との区別が通常の被写体よりもし難いと考えられる、逆光撮影画像において通常の被写体よりも明るく写りがちな被写体として、一部に鏡面を有すると共に一部が光を透過するものを使用していることで、被写体と背景との区別が可能な撮影画像が得られる撮影環境か否かをより確実に確認することができる。
【0090】
次に、本発明の撮影環境確認方法の第2実施形態について説明する。
【0091】
図14は、撮影環境確認方法の流れを示す図である。尚、この撮影環境確認方法も、オペレータによる撮影後は、図6に示す撮影環境判定装置800により実施される。
【0092】
この撮影環境確認方法は、まず、ステップS21として、第1実施形態と同様に上部表面が鏡面の基準被写体を、ELパネル130からの光のみがこの基準被写体を後方から照らすという逆光状態で、撮影画像上の基準被写体が予め決められた位置および大きさとなるように撮影する。ステップS22として、撮影環境判定装置800では、撮影画像上の基準被写体上部のエッジ位置の抽出を行う。このエッジ位置の抽出は、撮影画像上の各画素の画素値から換算し得られた輝度差の大小に基づいて行われる。ステップS23として、撮影環境判定装置800では、ステップS22で抽出したエッジの位置が、撮影画像上の基準被写体が予め決められた位置および大きさとなるように撮影されていることを前提として把握している、撮影画像上の基準被写体上部のエッジ位置と同じであるか否かを判定する。ステップS24として、撮影環境判定装置800では、エッジ位置が合致していない場合には、被写体と背景との区別が困難な状況にあるとして、プラスティック板131の端部の吊り下げ位置の降下を指示する。この第2実施形態の撮影環境確認方法によっても、被写体と背景との区別が可能な撮影画像が得られる撮影環境か否かを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】背景置換画像を作成するための撮影システムの概要を示す図である。
【図2】図1に示すパーソナルコンピュータの外観斜視図である。
【図3】図1の撮影システムにおける背景置換作業の流れを示す図である。
【図4】図1に示すパーソナルコンピュータのハードウェア構成図である。
【図5】CD−ROMの概念図である。
【図6】機能ブロック図である。
【図7】背景置換処理部の詳細を示す図である。
【図8】図7に示される各部で生成される画像を観念的に示す図である。
【図9】被写体に隠れた背後の領域のRGB値の推定の手法を概念的に示す図である。
【図10】撮影画像上の上下方向の位置と読出輝度との関係を示す図である。
【図11】画像表示装置の画面表示を示す図である。
【図12】撮影環境確認方法の流れを示す図である。
【図13】基準被写体の撮影の様子を示す図である。
【図14】撮影環境確認方法の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0094】
1 撮影システム
10 撮影セット
11 デジタルカメラ
12 第1閃光発光装置
13 撮影台
130 第2閃光発光装置
131 プラスティック板
132 筐体
20 パーソナルコンピュータ
600 背景置換プログラム
610 画像取得部
620 置換処理部
630 画像データ転送部
640 画像表示部
650 撮影環境判定部
700 背景置換装置
710 画像取得部
720 背景置換処理部
721 背景推定部
722 差し引き部
723 2値化部
724 背景置換画像作成部
725 調整部
730 画像データ転送部
740 画像表示部
800 撮影環境判定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体が載置される、該被写体の下部から背後に至る載置面を有し、該載置面からの光で該被写体を照らす撮影台上に、撮影環境確認用の既知の基準被写体を載置して撮影することで撮影画像を得る撮影過程と、
前記撮影過程で得られた撮影画像について、前記基準被写体の上部が写る既知の第1領域中の明るさに対し前記載置面が写る既知の第2領域中の明るさが所定程度を越えて明るいか否かを判定する判定過程とを有することを特徴とする撮影環境確認方法。
【請求項2】
前記撮影過程で得られた撮影画像について前記第1領域中で最も明るい箇所の明るさを求める前記第1の明るさ解析過程と、
前記撮影過程で得られた撮影画像について前記第2領域中で最も暗い箇所の明るさを求める第2の明るさ解析過程とを有し、
前記判定過程が、前記第1の明るさ解析過程で求められた明るさに対し前記記第2の明るさ解析過程で求められた明るさが明るいか否かを判定する過程であることを特徴とする請求項1記載の撮影環境確認方法。
【請求項3】
前記撮影過程で得られた撮影画像について明暗のエッジを検出するエッジ検出過程を有し、
前記判定過程が、前記エッジ検出過程で検出されたエッジに、前記第1領域と前記第2領域との既知の境界と位置が一致するエッジが存在するか否かを判定する過程であることを特徴とする請求項1記載の撮影環境確認方法。
【請求項4】
前記判定過程での判定結果が否定的である場合に、前記載置面の、前記被写体の背後に存在する部分と該被写体との距離を広げる拡張過程を備えたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の撮影環境確認方法。
【請求項5】
前記判定過程での判定結果が否定的である場合に、前記載置面の、前記被写体の背後に存在する部分の角度を後方に傾ける傾斜過程を備えたことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載の撮影環境確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−93372(P2010−93372A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258772(P2008−258772)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】