説明

撮影装置及びプログラム

【課題】集合写真や自分撮り撮影時などのセルフタイマを用いた撮影を行う際でも、直感的に構図を確認して、所望の写真を得る。
【解決手段】液晶モニタ7に表示されたスルー画像に、被写体を擬似的に表した分身画像であるアバター50を重畳して表示し、アバター50の位置、大きさ、向き、及び姿勢を変更して所望の構図を決定する。構図が決定し、画像の記録が指示されると、アバター50を単一色の影画像54に変換し、影画像をスルー画像にマッピングした影画像データとスルー画像とを比較して、影画像とスルー画像上の被写体の領域とが重なったか否かを判定する。重なったと判定されたときにセルフタイマのカウントダウンを開始し、所定時間経過後に、撮影された画像を記録メディアに記録するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置及びプログラムに係り、特に集合写真や自分撮り撮影時などのセルフタイマを用いた撮影を行う際に、構図アシストを行うことができる撮影装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、好みの構図の自分撮り撮影を行うために、撮像素子から得られた画像から被写体の顔を検出し、検出した顔が、撮影者によって任意の位置、大きさで設定されたフレームに収まるか否かを判定して、顔がフレームに収まると判定された場合に、セルフタイマを用いて撮影を行う撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、主撮影画像とこの主撮影画像の周囲画像である周囲撮影画像とから本撮影する被写体それぞれの顔領域を検出し、被写体全員の顔領域が主撮影画像に含まれると判定された場合には、本撮影を行うシャッタ操作を実行させ、顔領域の一部又は全部が主撮影領域外にあると判定された場合には、被写体に対して、主撮影画像内への移動を促す報知を行う撮像装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、撮影画像に他の画像を合成して出力するための画像出力装置であって、撮影画像に対して単に固定的な画像を合成するだけでなく、撮影画像中の物体像に対応した画像を合成して出力する画像出力装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−324877号公報
【特許文献2】特開2008−134452号公報
【特許文献3】特開2004−304261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、顔の撮影を主に想定しており、被写体のエリアが限定的である、という問題がある。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の技術では、自分を含めた集合写真をセルフタイマを用いて撮影する場合などには、自分がどのように写るかという構図を実写に近い形で直感的に確認することができず、所望の画像が得られない場合がある、という問題がある。
【0008】
また、上記特許文献3に記載の技術は、合成写真に関するものであって、自分を含めた撮影での構図をアシストするものではない。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、集合写真や自分撮り撮影時などのセルフタイマを用いた撮影を行う際でも、直感的に構図を確認して、所望の写真を得ることができる撮影装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の撮影装置は、撮影手段で撮影されて表示された記録前の画像に、被写体を擬似的に表した分身画像を指示された位置に重畳して表示手段に表示するように制御する表示制御手段と、撮影された画像の記録の指示があった場合に、前記分身画像を単一色の画像に変換する変換手段と、前記単一色の画像と、前記撮影手段で撮影された画像上の被写体の領域とが重なったか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により、前記単一色の画像と前記被写体の領域とが重なったと判定されたときから所定時間経過後に、前記撮影手段で撮影された画像を記録手段に記録するように制御する記録制御手段と、を含んで構成されている。
【0011】
本発明の撮影装置によれば、表示制御手段が、撮影手段で撮影された記録前の画像を表示手段に表示する。また、表示制御手段は、表示手段に表示した画像に対して、被写体を擬似的に表した分身画像を指示された位置に重畳して表示するように制御する。そして、変換手段が、撮影された画像の記録の指示があった場合に、分身画像を単一色の画像に変換し、判定手段が、単一色の画像と、撮影手段で撮影された画像上の被写体の領域とが重なったか否かを判定する。記録制御手段は、判定手段により単一色の画像と被写体の領域とが重なったと判定されたときから所定時間経過後に、撮影手段で撮影された画像を記録手段に記録するように制御する。
【0012】
このように、被写体を擬似的に表した分身画像を用いて構図を決定し、分身画像を単一色の画像に変換して被写体との重なりを判定することにより、集合写真や自分撮り撮影時などのセルフタイマを用いた撮影を行う際でも、直感的に構図を確認して、所望の写真を得ることができる。
【0013】
また、前記判定手段は、前記単一色の画像と前記被写体の領域との重なり度合いが所定の閾値以上になった場合に、前記単一色の画像と前記被写体の領域とが重なったと判定することができる。
【0014】
また、前記変換手段は、前記単一色の画像の色を、前記撮影手段により撮影された画像の色情報に基づいて設定することができる。これにより、単一色の画像と撮影された画像上の被写体の領域との対比が明確になり、判定手段による判定精度が向上する。
【0015】
また、前記分身画像の画像上での位置及び大きさに基づいて、前記撮影手段の合焦位置を制御する合焦制御手段を含み、前記判定手段は、前記単一色の画像と前記被写体の領域とが重なったと判定した場合に、前記被写体の少なくとも一部の領域の面積と、該被写体の少なくとも一部の領域に対応する前記単一色の画像の一部の領域の面積との差が所定の大きさよりも小さいか否かを判定し、前記記録制御手段は、前記判定手段により、前記面積の差が、所定の大きさよりも小さいと判定された場合に、前記合焦制御手段により合焦位置が制御された撮影手段により撮影された画像を前記記録手段に記録するように制御することができる。これにより、適切な合焦状態を保つことができる。
【0016】
また、前記記録制御手段は、前記判定手段により、前記面積の差が、所定の大きさよりも大きいと判定された場合に、前記記録手段への画像の記録を行うことなく、合焦していないことを警告するか、前記判定手段により再度判定処理を実行させるか、または合焦していないことを警告すると共に、前記判定手段により再度判定処理を実行させるように制御することができる。
【0017】
また、前記判定手段は、前記所定時間内においても、前記単一色の画像と、前記撮影手段で撮影された画像上の被写体の領域とが重なったか否かを判定し、前記記録制御手段は、前記判定手段により、前記所定時間内において、前記単一色の画像と前記被写体の領域とが重ならなくなったと判定された場合には、前記記録手段への画像の記録を行うことなく、前記単一色の画像と前記被写体の領域とが重なっていないことを警告するか、前記判定手段により再度判定処理を実行させるか、または前記単一色の画像と前記被写体の領域とが重なっていないことを警告すると共に、前記判定手段により再度判定処理を実行させるように制御するようにすることができる。これにより、無駄な撮影を回避することができる。
【0018】
また、前記表示制御手段は、前記分身画像の向き、大きさ、及び姿勢の少なくとも1つを、指示された状態に変更して表示するように制御することができる。これにより、より直感的、かつ詳細に構図を決定することができる。
【0019】
また、本発明の撮影プログラムは、コンピュータを、撮影手段で撮影されて表示された記録前の画像に、被写体を擬似的に表した分身画像を指示された位置に重畳して表示手段に表示するように制御する表示制御手段、撮影された画像の記録の指示があった場合に、前記分身画像を単一色の画像に変換する変換手段、前記単一色の画像と、前記撮影手段で撮影された画像上の被写体の領域とが重なったか否かを判定する判定手段、及び前記判定手段により、前記単一色の画像と前記被写体の領域とが重なったと判定されたときから所定時間経過後に、前記撮影手段で撮影された画像を記録手段に記録するように制御する記録制御手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、被写体を擬似的に表した分身画像を用いて構図を決定し、分身画像を単一色の画像に変換して被写体との重なりを判定することにより、集合写真や自分撮り撮影時などのセルフタイマを用いた撮影を行う際でも、直感的に構図を確認して、所望の写真を得ることができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態のデジタルカメラの正面側斜視図である。
【図2】本実施の形態のデジタルカメラの背面側斜視図である。
【図3】本実施の形態のデジタルカメラの内部構成を示す概略ブロック図である。
【図4】第1の実施の形態における構図アシスト撮影処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図5】スルー画像の一例を示すイメージ図である。
【図6】スルー画像にアバターを重畳表示させた場合の一例を示すイメージ図である。
【図7】第1の実施の形態におけるアバター位置決定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図8】(A)アバターの拡大表示、及び(B)アバターの縮小表示の一例を示すイメージ図である。
【図9】アバターの回転の一例を示すイメージ図である。
【図10】アバターの姿勢変更の一例を示すイメージ図である。
【図11】重なり度合いの判定を説明するための模式図である。
【図12】第2の実施の形態におけるアバター影画像変換処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図13】第3の実施の形態の重なり判定処理を説明するための模式図である。
【図14】第3の実施の形態の重なり判定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図15】顔領域の検出及び面積の比較を説明するためのイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、本発明の撮影装置をデジタルカメラに適用した場合について説明する。
【0023】
図1は、第1の実施の形態のデジタルカメラ1の正面側斜視図、図2は背面側斜視図である。図1に示すように、デジタルカメラ1の上部には、レリーズボタン2、電源ボタン3、及びズームレバー4が備えられている。また、デジタルカメラ1の正面には、フラッシュ5、撮影部21のレンズ、及びLED9が配設されている。また、デジタルカメラ1の背面には、各種表示を行う液晶モニタ7、及び各種操作ボタン8が配設されている。
【0024】
操作ボタン8は、液晶モニタ7に表示された各種項目を選択する際などに操作される十字キー、選択した項目を決定する際などに操作される決定キー、及び処理をキャンセルする際に操作されるキャンセルキーを含んで構成されている。
【0025】
図3は、デジタルカメラ1の内部構成を示す概略ブロック図である。図3に示すように、デジタルカメラ1は、撮影部21、撮影制御部22、画像処理部23、圧縮/伸長処理部24、フレームメモリ25、メディア制御部26、内部メモリ27、表示制御部28、入力部36、CPU37、及びLED制御部38を備えている。
【0026】
撮影制御部22は、不図示のAF処理部及びAE処理部からなる。AF処理部はレリーズボタン2の半押し操作により撮影部が取得したプレ画像に基づいて、被写体領域を合焦領域として決定すると共に、レンズの焦点位置を決定し、撮影部21に出力する。なお、被写体領域は、従来既知の画像認識処理によって特定される。AE処理部は、プレ画像に基づいて絞り値とシャッタ速度とを決定し、撮影部21に出力する。
【0027】
また、撮影制御部22は、レリーズボタン2の全押し操作により、撮影部21に対して画像の本画像を取得させる本撮影の指示を行う。なお、レリーズボタン2が操作される前は、撮影制御部22は、撮影範囲を確認させるための本画像よりも画素数が少ないスルー画像を、所定時間間隔(例えば1/30秒間隔)にて順次取得させる指示を撮影部21に対して行う。
【0028】
また、撮影制御部22は、セルフタイマが設定された状態でのレリーズボタン2の全押し操作により、プレ画像を取得して、絞り値とシャッタ速度とを決定して撮影部21に出力し、セルフタイマで設定された所定時間後に撮影部21に対して本撮影の指示を行う。
【0029】
画像処理部23は、撮影部21より取得した画像のデジタルの画像データに対して、ホワイトバランスを調整する処理、階調補正、シャープネス補正、及び色補正等の画像処理を施す。
【0030】
圧縮/伸長処理部24は、画像処理部23によって処理が施された画像を表す画像データに対して、例えば、JPEG等の圧縮形式で圧縮処理を行い、画像ファイルを生成する。
【0031】
フレームメモリ25は、撮影部21が取得した画像を表す画像データに対して、前述の画像処理部23が行う処理を含む各種処理を行う際に使用する作業用メモリである。
【0032】
メディア制御部26は、記録メディア29にアクセスして画像ファイル等の書き込み及び読み込みの制御を行う。
【0033】
内部メモリ27は、デジタルカメラ1において設定される各種定数、及びCPU37が実行するプログラム等を記憶する。また、内部メモリ27には、構図アシストモードの際に液晶モニタ7に表示される被写体を擬似的に表した分身画像であるアバターが記憶される。アバターは、被写体に応じて予め作成したものを記憶しておく。例えば、被写体を撮影した画像に基づいて3次元モデル化するなど、周知のAR技術を用いてアバターを作成することができる。
【0034】
表示制御部28は、撮影時においてフレームメモリ25に格納された画像を液晶モニタ7に表示させたり、記録メディア29に記録されている画像を液晶モニタ7に表示させたりする。また、表示制御部28は、撮影部21にて連続的に撮影されたスルー画像を液晶モニタ7に表示させる。
【0035】
また、表示制御部28は、構図アシストモードが選択された場合に、選択されたアバターを内部メモリ27から読み出して、スルー画像に重畳して液晶モニタ7に表示する。また、表示制御部28は、操作ボタン8またはズームレバー4の操作により入力された指示に従った位置にアバターが表示されるように制御する。また、アバターの向き、大きさ、及び姿勢の変更が指示された場合には、アバターを指示に従った状態に変更して表示するように制御する。
【0036】
また、デジタルカメラ1は、構図アシストモードの際に機能する影画像変換部30、及び重なり度合判定部31を備える。
【0037】
影画像変換部30は、表示制御部28により表示されたアバターを単一色の画像(影画像)に変換し、スルー画像に影画像をマッピングした影画像データをフレームメモリ25に記憶する。
【0038】
重なり度合判定部31は、フレームメモリ25に記憶された影画像データと、スルー画像とを比較して、影画像とスルー画像上の被写体の領域(以下、被写体画像という)とが重なったか否かを判定する。影画像と被写体画像とが重なった場合には、本撮影を開始するために判定結果を撮影制御部22に出力すると共に、本撮影の開始をLED9の点滅を用いて報知するために、判定結果をLED制御部38に出力する。
【0039】
次に、図4を参照して、構図アシストモードが選択された際に、第1の実施の形態のデジタルカメラ1において実行される構図アシスト撮影処理ルーチンについて説明する。本ルーチンは、液晶モニタ7に表示されたメニューから操作ボタン8を操作することにより構図アシストモードが選択された場合にスタートする。
【0040】
ステップ100で、例えば、図5に示すように、液晶モニタ7にスルー画像を表示する。次に、ステップ102で、液晶モニタ7に構図アシストモードのアバター選択メニューを表示し、アバター選択メニューから操作ボタン8を操作することによりアバターが選択されたか否かを判定する。例えば、1台のデジタルカメラ1を複数のユーザが使用する場合、ユーザ毎に自分自身を擬似的に表すアバターを作成して、ユーザ名等と共に記憶しておく。そして、アバター選択メニューとして記憶された複数のアバターに対応したユーザ名のリスト等を表示する。アバターが選択された場合には、ステップ104へ移行し、選択されない場合には、アバターが選択されるまで、本ステップの判定を繰り返す。
【0041】
ステップ104では、選択されたアバターを示すデータを内部メモリ27から読み出して、例えば、図6に示すように、予め定めた初期設定の位置、大きさ、向き、及び姿勢のアバター50としてスルー画像に重畳して表示する。
【0042】
次に、ステップ106で、アバター位置決定処理を実行して、例えば、アバター50を破線で示す配置52に移動させて、所望の構図を決定する。
【0043】
ここで、図7を参照して、アバター位置決定処理ルーチンについて説明する。
【0044】
ステップ1060で、例えば決定キーが押下されるなど操作ボタン8が操作されて撮影画角の決定が指示されたか否かを判定する。撮影画角の決定が指示された場合には、ステップ1062へ移行し、決定されない場合には、決定されるまで本ステップの判定を繰り返す。
【0045】
ステップ1062では、操作ボタン8の十字キーのいずれかが操作されたか否かを判定する。十字キーのいずれかが操作された場合には、ステップ1064へ移行し、十字キーのいずれが操作されたか、及びその操作量に応じて、アバター50を上下左右の方向に移動させる。例えば、キー操作1回につき所定画素分の1ステップ移動させることを予め定めておき、左キーが3回押下された場合には、アバター50を左方向に3ステップ分移動させる。アバター50の表示を移動させたら、ステップ1074へ移行する。
【0046】
一方、上記ステップ1062で、十字キーの操作がないと判定された場合には、ステップ1066へ移行して、ズームレバー4の操作があったか否かを判定する。ズームレバー4の操作があった場合には、ステップ1068へ移行し、ズームレバー4の操作がTeleキー操作(ズームアウト)かWideキー操作(ズームイン)か、及びその操作量に応じて、アバター50の表示を拡大または縮小する。例えば、図8(A)に示すように、Wideキー操作の場合には、その操作量に応じてアバター50の表示を拡大し、同図(B)に示すように、Teleキー操作の場合には、その操作量に応じてアバター50の表示を縮小する。これにより、スルー画像上で擬似的にアバター50を奥行方向へ移動させたり、手前方向へ移動させたりすることができる。アバター50の表示を拡大または縮小させたら、ステップ1074へ移行する。なお、図8では、説明の便宜上、アバター50のみを表示し、その他の被写体や背景の描写を省略している。以下、図9及び図10も同様である。
【0047】
一方、ステップ1066で、ズームレバー4の操作がないと判定された場合には、ステップ1070へ移行して、アバター50の姿勢を変更するためのキー操作があったか否かを判定する。例えば、構図アシスト撮影処理を実行中に、メニューを表示するためのキー操作が行われた場合に、アバター50の姿勢変更のメニューを表示する。そして、この項目が選択された後に、操作ボタン8の操作があった場合には、アバター50の姿勢を変更するためのキー操作があったと判定することができる。アバター50の姿勢を変更するためのキー操作があったと判定された場合には、ステップ1072へ移行し、キー操作がなかったと判定された場合には、ステップ1074へ移行する。
【0048】
ステップ1072では、アバター50の向き及び姿勢をキー操作に応じて変更する。例えば、アバター50の姿勢を変更するためのキー操作として、十字キーの右キーまたは左キーの操作があった場合には、図9に示すように、アバター50を右キーの操作量に応じて右方向に回転させたり、左キーの操作量に応じて左方向に回転させたりすることができる。また、十字キーの下キーの操作があった場合には、図10に示すように、アバター50の姿勢を屈伸姿勢に変更する。上キーが操作された場合には、屈伸姿勢から立位姿勢に変更する。
【0049】
ステップ1074では、操作ボタン8の決定キーが押下されるなどして、アバター50の位置が決定されたか否かを判定する。アバター50の位置が決定されない場合には、ステップ1062へ戻って処理を繰り返し、アバター50の位置が決定した場合には、リターンする。
【0050】
ステップ108に戻って、レリーズボタン2が押下されたか否かを判定する。レリーズボタン2が押下された場合には、ステップ110へ移行し、押下されない場合には、押下されるまで本ステップの判定を繰り返す。
【0051】
ステップ110では、上記ステップ104で表示し、上記ステップ106で位置を決定したアバター50を単一色の画像である影画像に変換し、現在のスルー画像に影画像をマッピングした影画像データを生成して、フレームメモリ25に記憶する。
【0052】
次に、ステップ112で、フレームメモリ25に記憶した影画像データとスルー画像とを比較して、影画像と被写体画像とが重なったか否かを判定する。影画像データ及びスルー画像を模式的に示した図11を参照して、より具体的に説明する。まず同図(A)に示すように、スルー画像に影画像54をマッピングした影画像データがフレームメモリ25に記憶されているとする。そして、レリーズボタン2が押下された直後のスルー画像を同図(B)として、同図(C)に示すように、この2つの画像の輝度情報または色情報に基づいた差分画像を生成する。この差分画像から所定の閾値以上の画素値からなる画素群を抽出すると、概ね影画像54と同一の領域(以下、影領域56という)が抽出される。次に、被写体が撮影エリアに入ることで、同図(D)に示すように、影画像54との重なりを比較すべき被写体画像58がスルー画像内に表れる。すると、同図(E)に示すように、差分画像が変化し、影領域56に対して被写体領域60が重なった重なり領域62が生じる。そして、初期の影領域56の面積に対する重なり領域62の面積の割合を影画像54と被写体画像58との重なり度合いとして算出し、重なり度合いが所定の閾値以上となった場合に、影画像と被写体とが重なったと判定する。
【0053】
影画像と被写体とが重なったと判定されない場合には、判定されるまで本ステップの処理を繰り返し、重なったと判定された場合には、ステップ114へ移行して、LED9を点滅させてセルフタイマのカウントダウンが開始したことを報知した上でセルフタイマのカウントダウンを開始し、予め定めたセルフタイマの所定時間が経過した後に、通常の撮影処理を実行して、処理を終了する。
【0054】
以上説明したように、第1の実施の形態のデジタルカメラによれば、スルー画像に被写体を擬似的に表した分身画像であるアバターを表示し、このアバターの位置、大きさ、姿勢等を変更して構図を決定するため、直感的に所望の構図を決定することがで、また、構図が決定した後は、アバターを影画像に変換して被写体画像との重なり度合いを判定するため、簡易な処理で被写体が所望の位置についたか否かを判定することができ、集合写真や自分撮り撮影時などのセルフタイマを用いた撮影を行う際でも、直感的に構図を確認して、所望の写真を得ることができる。
【0055】
なお、上記ステップ114で、セルフタイマのカウントダウンを開始した後も、影画像と被写体との重なり度合いを判定し、影画像と被写体とが重ならなくなったと判定された場合には、LEDを点滅させてその旨を警告したり、ステップ112へ戻って処理を繰り返したり、警告と共にステップ112へ戻って処理を繰り返したりしてもよい。また、警告の際には、不図示のスピーカからビープ音を鳴らすなどしてもよい。
【0056】
また、第1の実施の形態では、表示されたアバターの姿勢変更の例として、屈伸姿勢に変更する場合について説明したが、腕や脚などの部位毎に姿勢を変更可能にしてもよい。
【0057】
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、アバター50を影画像54に変換する際の色をスルー画像の色情報に基づいて設定する場合について説明する。なお、第2の実施の形態のデジタルカメラの構成は、第1の実施の形態のデジタルカメラ1と同一であるため、同一符号を付して、説明を省略する。
【0058】
第2の実施の形態のデジタルカメラ1の影画像変換部30は、アバター50を単一色の影画像に変換する際の色を、スルー画像の色情報に基づいて設定した上で、アバター50を影画像に変換し、スルー画像に影画像をマッピングした影画像データを生成して、フレームメモリ25に記憶する。
【0059】
ここで、第2の実施の形態における構図アシスト撮影処理ルーチンについて説明する。第2の実施の形態における構図アシスト撮影処理は、第1の実施の形態の構図アシスト撮影処理(図4)のステップ110の処理に替えて、図12に示すアバター影画像変換処理を実行する。以下、アバター影画像変換処理ルーチンについて説明する。
【0060】
ステップ1100で、現在のスルー画像のデータを、フレームメモリ25上に展開する。次に、ステップ1102で、スルー画像のデータから色情報を抽出し、色毎に画素数をカウントする。
【0061】
次に、ステップ1104で、上記ステップ1102でカウントした色毎の画素数が最小の色を影画像の色として設定し、次に、ステップ1106で、アバター50を、上記ステップ1104で設定した色の影画像に変換して、スルー画像に影画像をマッピングした影画像データを生成して、フレームメモリ25に記憶して、リターンする。
【0062】
そして、構図アシスト撮影処理のステップ112において、影画像データとスルー画像との差分画像を、色情報に基づいて生成することで、影領域56をより明確にすることができ、影画像と被写体との重なり度合いの判定精度を向上させることができる。
【0063】
次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、アバター50の情報を利用して適正な合焦位置で撮影されるように制御する場合について説明する。なお、第3の実施の形態のデジタルカメラの構成は、第1の実施の形態のデジタルカメラ1と同一であるため、同一符号を付して、説明を省略する。
【0064】
第3の実施の形態のデジタルカメラ1のAF処理部は、表示されたアバター50の位置及び大きさに基づいて、レンズの焦点位置を決定する。アバター50は、被写体に基づいて生成されているため、アバター50の表示される大きさに基づいて、デジタルカメラ1からアバター50が表示されている画像上の位置に対応する実際の位置までの距離を把握することができる。
【0065】
重なり度合判定部31は、影画像54に被写体画像58が重なったか否かを判定すると共に、影画像54の面積と被写体画像58の面積とを比較して、適正なフォーカス状態にあるか否かを判定する。
【0066】
図13(A)〜(C)に模式的に示すように、影画像54に対してスルー画像上の被写体画像58が重なる位置であっても、被写体が手前に位置する場合には、差分画像において、被写体領域60及び重なり領域62のみとなり、初期の影領域56は消失する。この場合、影画像と被写体との重なり度合いは高いが、被写体の位置が合焦位置に一致しないため、適正なフォーカス状態が保てない。
【0067】
なお、面積を比較する際に、影画像54全体の面積と、被写体画像58の全体の面積とを比較してもよいが、被写体の姿勢の変動等により安定して面積を算出できない場合もあるため、例えば顔領域のように一部の面積を比較してもよい。本実施の形態では、顔領域の面積を比較する場合について説明する。
【0068】
ここで、第3の実施の形態における構図アシスト撮影処理ルーチンについて説明する。第3の実施の形態における構図アシスト撮影処理は、第1の実施の形態の構図アシスト撮影処理(図4)のステップ112の処理に替えて、図14に示す重なり判定処理を実行する。以下、重なり判定処理ルーチンについて説明する。
【0069】
ステップ1120で、現在のスルー画像のデータを、フレームメモリ25上に展開する。次に、ステップ1122で、フレームメモリ25に記憶した影画像データとスルー画像とを比較して、影画像54が消失したか否かを判定する。例えば、図13(C)に示すように、影画像データとスルー画像との差分画像において、初期の影領域56が消失した場合に、影画像54が消失したと判定することができる。なお、影領域56が完全に消失した場合に限らず、影領域56の面積が所定の面積以下になった場合も、影画像が消失したと判定するようにしてもよい。影画像54が消失しない場合には、本ステップの判定を繰り返し、影画像54が消失した場合には、ステップ1124へ移行する。
【0070】
ステップ1124では、図15に示すように、影画像54及び被写体画像58の各々から、画像認識技術を用いて顔領域を検出し、その面積を算出する。なお、影画像54の顔領域の面積については、基になったアバター50における基準の顔領域の面積を予め記憶しておき、表示されたアバター50のサイズに応じて影画像54の顔領域の面積を算出するようにしてもよい。
【0071】
次に、ステップ1126で、上記ステップ1124で算出した影画像54の顔領域の面積が被写体画像58の顔領域の面積より大きいか否かを判定する。大きいか否かの判定は、例えば、影画像54の顔領域の面積に対して、被写体画像58の顔領域の面積が10%以上大きければ、被写体画像58の顔領域の面積の方が大きいと判定することができる。影画像54の顔領域の面積の方が大きい場合には、フォーカス状態は適切であると判定して、リターンする。一方、被写体画像58の顔領域の面積の方が大きい場合には、被写体が合焦位置より手前に存在し、適切なフォーカス状態が保てていないと判定して、ステップ1128へ移行する。
【0072】
ステップ1128では、LED9を点滅させてフォーカス状態が適切でないことを警告し、ステップ1120へ戻る。
【0073】
そして、構図アシスト撮影処理のステップ114において、アバター50の位置及び大きさに基づいて決定されたレンズの焦点位置を用いて撮影処理を実行する。
【0074】
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、集合写真や自分撮り撮影時などのセルフタイマを用いた撮影を行う際でも、直感的に構図を確認して、フォーカス状態が適切に保たれた所望の写真を得ることができる。
【0075】
なお、第3の実施の形態では、フォーカス状態が適切でない場合に、警告をした上で重なり判定処理を繰り返す場合について説明したが、警告をした上で撮影処理へ移行するようにしてもよいし、警告をすることなく重なり判定処理を繰り返すようにしてもよい。
【0076】
また、第3の実施の形態では、影画像が消失したと判定された場合に、顔領域の面積を比較する場合について説明したが、影画像と被写体画像とがある程度重なったと判定された場合に、顔領域の面積を比較し、影画像の顔領域と被写体画像の顔領域との面積の差が所定値(例えば、影画像の顔領域の面積の10%)以上と判定された場合に、警告等を行うようにしてもよい。この場合、影画像の顔領域の面積よりも被写体画像の顔領域の面積の方が小さい、すなわち被写体が合焦位置より奥にいる場合も警告の対象となる。
【0077】
また、上記第1〜第3の実施の形態の構図アシスト撮影処理ルーチンをプログラム化して、そのプログラムをCPUにより実行するようにしてもよい。また、そのプログラムを記憶媒体に記憶して提供してもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 デジタルカメラ
2 レリーズボタン
4 ズームレバー
7 液晶モニタ
8 操作ボタン
9 LED
21 撮影部
22 撮影制御部
25 フレームメモリ
26 メディア制御部
27 内部メモリ
28 表示制御部
29 記録メディア
30 影画像変換部
31 重なり度合判定部
50 アバター
54 影画像
56 影領域
58 被写体画像
60 被写体領域
62 重なり領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影手段で撮影されて表示された記録前の画像に、被写体を擬似的に表した分身画像を指示された位置に重畳して表示手段に表示するように制御する表示制御手段と、
撮影された画像の記録の指示があった場合に、前記分身画像を単一色の画像に変換する変換手段と、
前記単一色の画像と、前記撮影手段で撮影された画像上の被写体の領域とが重なったか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記単一色の画像と前記被写体の領域とが重なったと判定されたときから所定時間経過後に、前記撮影手段で撮影された画像を記録手段に記録するように制御する記録制御手段と、
を含む撮影装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記単一色の画像と前記被写体の領域との重なり度合いが所定の閾値以上になった場合に、前記単一色の画像と前記被写体の領域とが重なったと判定する請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
前記変換手段は、前記単一色の画像の色を、前記撮影手段により撮影された画像の色情報に基づいて設定する請求項1または請求項2記載の撮影装置。
【請求項4】
前記分身画像の画像上での位置及び大きさに基づいて、前記撮影手段の合焦位置を制御する合焦制御手段を含み、
前記判定手段は、前記単一色の画像と前記被写体の領域とが重なったと判定した場合に、前記被写体の少なくとも一部の領域の面積と、該被写体の少なくとも一部の領域に対応する前記単一色の画像の一部の領域の面積との差が所定の大きさよりも小さいか否かを判定し、
前記記録制御手段は、前記判定手段により、前記面積の差が、所定の大きさよりも小さいと判定された場合に、前記合焦制御手段により合焦位置が制御された撮影手段により撮影された画像を前記記録手段に記録するように制御する
請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の撮影装置。
【請求項5】
前記記録制御手段は、前記判定手段により、前記面積の差が、所定の大きさよりも大きいと判定された場合に、前記記録手段への画像の記録を行うことなく、合焦していないことを警告するか、前記判定手段により再度判定処理を実行させるか、または合焦していないことを警告すると共に、前記判定手段により再度判定処理を実行させるように制御する請求項4記載の撮影装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記所定時間内においても、前記単一色の画像と、前記撮影手段で撮影された画像上の被写体の領域とが重なったか否かを判定し、
前記記録制御手段は、前記判定手段により、前記所定時間内において、前記単一色の画像と前記被写体の領域とが重ならなくなったと判定された場合には、前記記録手段への画像の記録を行うことなく、前記単一色の画像と前記被写体の領域とが重なっていないことを警告するか、前記判定手段により再度判定処理を実行させるか、または前記単一色の画像と前記被写体の領域とが重なっていないことを警告すると共に、前記判定手段により再度判定処理を実行させるように制御する
請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の撮影装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記分身画像の向き、大きさ、及び姿勢の少なくとも1つを、指示された状態に変更して表示するように制御する請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の撮影装置。
【請求項8】
コンピュータを、
撮影手段で撮影されて表示された記録前の画像に、被写体を擬似的に表した分身画像を指示された位置に重畳して表示手段に表示するように制御する表示制御手段、
撮影された画像の記録の指示があった場合に、前記分身画像を単一色の画像に変換する変換手段、
前記単一色の画像と、前記撮影手段で撮影された画像上の被写体の領域とが重なったか否かを判定する判定手段、及び
前記判定手段により、前記単一色の画像と前記被写体の領域とが重なったと判定されたときから所定時間経過後に、前記撮影手段で撮影された画像を記録手段に記録するように制御する記録制御手段
として機能させるための撮影プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−73512(P2012−73512A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219662(P2010−219662)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】