撮影装置
【課題】 遮光状態にする部分の色を例えば装置本体の外観の色に合わせて(例えば装置本体の外観の色と同じ色にして)全体の色の調和を図ることの可能な撮影装置を提供する。
【解決手段】 撮影装置本体1と、撮影装置本体1に装着され、着色と非着色とを選択的に制御可能なパネル2とを有し、該パネル2は、撮影装置本体1の所定の機能が必要とされるときに撮影装置本体1と外部との間で光を透過させる必要がある撮影装置本体1の所定の部位に少なくとも配置されている。
【解決手段】 撮影装置本体1と、撮影装置本体1に装着され、着色と非着色とを選択的に制御可能なパネル2とを有し、該パネル2は、撮影装置本体1の所定の機能が必要とされるときに撮影装置本体1と外部との間で光を透過させる必要がある撮影装置本体1の所定の部位に少なくとも配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ,携帯電話,ビデオカメラ,ムービー撮影機器などの撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1には、ストロボ発光部の窓部分から発光部材が見えることなく、カメラ全体のデザインのバランスを崩さずに美観を損ねることのないストロボ発光装置付きカメラが提案されている。このストロボ発光装置付きカメラにあっては、ストロボ発光部の前面にネガLCDが配置されており、ストロボを発光させるときには、制御手段によって上記ネガLCDを透過状態にし、ストロボ光が被写体に向けて照射されるようにする一方で、ストロボ発光時以外は、上記ネガLCDを遮光状態にし、ストロボ発光部内が外部から見えないようにしている。
【特許文献1】特開2004−37730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、特許文献1に記載の技術では、ストロボ発光時以外は、上記ネガLCDを遮光状態にすることによって、ストロボ発光部内が外部から見えないようにしているが、特許文献1に記載の技術では、単にストロボ発光部内を外部から見えないようにするだけであり、例えばカメラ本体の外観の色が例えば青色であるときに、ストロボ発光部内の外部から見えなくする部分をカメラ本体の外観の色(例えば青色)に合わせた色(例えば、カメラ本体の外観の色(例えば青色)と同じ色(例えば青色))にするようにはなっていなかった。すなわち、特許文献1に記載の技術では、ストロボ発光部内の外部から見えなくする部分の色をカメラ本体全体の色と調和させるようにはなっていなかった。
【0004】
本発明は、遮光状態にする部分の色を例えば装置本体の外観の色に合わせて(例えば装置本体の外観の色と同じ色にして)全体の色の調和を図ることの可能な撮影装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、撮影装置本体と、撮影装置本体に装着され、着色と非着色とを選択的に制御可能なパネルとを有し、該パネルは、撮影装置本体の所定の機能が必要とされるときに撮影装置本体と外部との間で光を透過させる必要がある撮影装置本体の所定の部位に少なくとも配置されていることを特徴としている。
【0006】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の撮影装置において、前記パネルには、前記着色時の色を複数の色の中から選択可能な素子が用いられていることを特徴としている。
【0007】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の撮影装置において、前記パネルには、GH液晶素子が用いられていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項4記載の発明は、請求項1または請求項2記載の撮影装置において、前記パネルには、エレクトロクロミック素子が用いられていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の撮影装置において、前記撮影装置本体がストロボ、レンズ、センサを有している場合に、前記パネルは、ストロボ、レンズ、センサのうちの少なくとも1つに対応した部位に配置されていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の撮影装置において、前記パネルは、一対の透明基板の各々に透明電極パターンが形成され、一対の透明基板の各々に形成された透明電極パターン同士が重なり合っている部分が画素となっており、該画素が少なくとも1つ設けられ、該画素の部分において、前記着色と前記非着色とが選択的に制御されるようになっていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項7記載の発明は、請求項6記載の撮影装置において、前記撮影装置本体がストロボ、レンズ、センサを有しており、前記パネルがストロボ、レンズ、センサの全てに対応させて配置されている場合に、前記パネルの各画素は、ストロボ、レンズ、センサのそれぞれに対応した部位に配置されていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項8記載の発明は、請求項6または請求項7記載の撮影装置において、前記パネルの各画素は、互いに独立に制御可能となっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1乃至請求項6記載の発明によれば、撮影装置本体と、撮影装置本体に装着され、着色と非着色とを選択的に制御可能なパネルとを有し、該パネルは、撮影装置本体の所定の機能が必要とされるときに撮影装置本体と外部との間で光を透過させる必要がある撮影装置本体の所定の部位に少なくとも配置されており、前記パネルにおいて着色時(例えば遮光状態時)の色が適宜選択されることによって、遮光状態にする部分の色を例えば装置本体の外観の色に合わせることができて(例えば装置本体の外観の色と同じ色にすることができて)、全体の色の調和を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1,図2,図3は本発明に係る撮影装置の構成例を示す図であり、図1は正面図、図2は側面図である。また、図3(a),(b)は、図1,図2の撮影装置の分解図であり、図3(a)は撮影装置本体の正面図、図3(b)はパネルの正面図である。なお、以下では、撮影装置がストロボ付きカメラ(例えば、デジタルスチルカメラ)であるとして説明する。
【0016】
図1,図2,図3を参照すると、本発明の撮影装置は、撮影装置本体1と、撮影装置本体1に装着され、着色と非着色とを選択的に制御可能なパネル2とを有している。
【0017】
ここで、パネル2は、着色状態となっているときには、光の透過率が低い状態(例えば遮光状態)となっている一方、非着色状態となっているときには、光の透過率が高い状態(例えば透明状態)となっている
【0018】
このようなパネル2には、着色時の色を複数の色の中から選択可能な素子が用いられる。より具体的に、パネル2には、GH液晶(ゲストホスト型液晶)素子を用いることもできるし、あるいは、エレクトロクロミック素子を用いることもできる。
【0019】
図4はGH液晶素子の概略を示す図であり、GH液晶素子は、偏光板が不要であって、一対の透明基板50a,50bの各々に透明電極パターン51a,51bが形成され、透明電極パターン51a,51b上にそれぞれ配向膜52a,52bが形成され、配向膜52a,52b間に、二色性色素を添加した液晶(ゲストホスト型液晶)53が封入されている。そして、一対の透明基板50a,50bの各々に形成された透明電極パターン51a,51b同士が重なり合っている部分が画素となっており、該画素が少なくとも1つ設けられ、該画素の部分において、電気的に液晶53中の液晶とともに二色性色素の配向状態を変化させることにより、前記着色と前記非着色とが選択的に制御されるようになっている。
【0020】
すなわち、GH液晶素子は、電気的に液晶53中の二色性色素の配向状態を変化させることにより、各画素の透過率を制御できるようになっている。GH液晶素子は、非常に多くのGHカラーバリエーション(二色性色素)があり、着色時の色を複数の色の中から(複数の色素の中から)選択可能となっている。
【0021】
図5はエレクトロクロミック素子の概略を示す図である。なお、図5において、図4と対応する箇所には同じ符号を付している。図5を参照すると、エレクトロクロミック素子は、一対の透明基板50a,50bの各々に透明電極パターン51a,51bが形成され、透明電極パターン51a,51bの一方の透明電極パターン(図5の例では、透明電極パターン51a)上に、エレクトロクロミック色素膜54が形成されている。そして、一対の透明基板50a,50bの各々に形成された透明電極パターン51a,51b同士が重なり合っている部分が画素となっており、該画素が少なくとも1つ設けられ、該画素の部分において、電気的に色素膜54の着色状態を変化させることにより、前記着色と前記非着色とが選択的に制御されるようになっている。
【0022】
すなわち、エレクトロクロミック素子は、電気的に色素膜54の着色状態を変えることにより各画素の透過率を制御できるようになっている。なお、エレクトロクロミック素子も、エレクトロクロミック色素の複数の色素材料があるが、安定している(信頼性が高い)のは青色の色素である。
【0023】
GH液晶素子、エレクトロクロミック素子のいずれの素子も、透明電極パターン51a,51b間に加わる電圧に応じて、画素の着色状態(光の透過率)が変わるようになっている。すなわち、透明電極パターン51a,51b間に電圧が印加されていない時には、画素は完全着色の状態(遮光状態)であり、透明電極パターン51a,51b間に所定の電圧が印加されている時には、画素は非着色の状態(透明状態)となる。
【0024】
本発明では、これらの素子の上記特性(すなわち、パネル2の特性)を利用して、撮影装置本体1の所定の部分を、必要に応じて、着色して(遮光状態にして)外部からみえないようにしたり、あるいは、非着色の状態(透明状態)にしたりすることができる。さらに本発明では、これらの素子の上記特性(すなわち、パネル2の特性)を利用して、パネル2の着色時(例えば遮光状態時)の色を複数の色の中から(複数の色素の中から)選択することができるので、着色時(例えば遮光状態時)の色が適宜選択されることによって、遮光状態にする部分の色を例えば装置本体の外観の色などに合わせることができて(例えば装置本体の外観の色と同じ色にすることができて)、全体の色の調和を図ることができる。
【0025】
再び図1,図2,図3を参照すると、本発明の撮影装置では、パネル2は、撮影装置本体1の所定の機能が必要とされるときに撮影装置本体1と外部との間で光を透過させる必要がある撮影装置本体1の所定の部位に少なくとも配置されている。
【0026】
具体的に、撮影装置本体1がストロボ(フラッシュ)11、レンズ(対物レンズ)12、センサ(測距用赤外線センサなど)13を有している場合に、前記パネル2は、ストロボ11、レンズ12、センサ13のうちの少なくとも1つに対応した部位に配置することができる。例えば、前記パネル2は、ストロボ11に対応した部位だけに配置することもできるし、あるいは、図1,図2,図3の例のように、ストロボ11、レンズ12、センサ13の全てに対応させて配置することができる。図1,図2,図3の例のように、ストロボ11、レンズ12、センサ13の全てに対応させてパネル2を配置する場合には、前記パネル2の各画素P1、P2、P3は、ストロボ11、レンズ12、センサ13のそれぞれに対応した部位に配置される。
【0027】
そして、この場合、前記パネル2の各画素P1、P2、P3は、互いに独立に制御可能となっている。すなわち、各画素P1、P2、P3の着色状態,非着色状態は、互いに独立に制御可能となっている。これにより、例えば、ストロボ11に対応したパネル2の画素P1のみを着色状態にし、レンズ12、センサ13のそれぞれに対応したパネル2の各画素P2、P3を非着色状態にすることができる。
【0028】
図6,図7,図8は、ストロボ11、レンズ12、センサ13の全てに対応させてパネル2を配置する場合において、パネル2の各画素P1、P2、P3の制御例を示す図である。
【0029】
図6は撮影装置本体(カメラ)1の電源がOFFの場合のパネル2の状態を示しており、撮影装置本体(カメラ)1の電源がOFFの場合には、パネル2の各画素P1、P2、P3には電圧が印加されておらず、各画素P1、P2、P3は完全着色の状態(遮光状態)となっている。例えばパネル2の着色時(例えば遮光状態時)の色が装置本体1の外観の色と同じ色(例えば青色)である場合、図6の状態では、撮影装置全体が青色になっており、装置本体1内のストロボ11、レンズ12、センサ13を外部から見えないようにすることができるとともに、全体の色の調和が図られている。
【0030】
図6の状態から撮影装置本体(カメラ)1の電源がONとなると、パネル2の状態は図7のようになる。すなわち、撮影装置本体(カメラ)1の電源がONになると、パネル2の画素P2、P3には電圧が印加されるが、画素P1には通常、電圧が印加されていない。従って、このとき、パネル2の画素P2、P3は非着色状態(透明状態)となるが、画素P1は完全着色の状態(遮光状態)となっている。これにより、図7の状態では、装置本体1内のレンズ12、センサ13は外部から見えるようにすることができる一方(すなわち、すなわち、レンズ12、センサ13の機能を使うことができる一方(撮影装置のレンズ機能、センサ機能を発揮させることができる一方))、装置本体1内のストロボ11は相変わらず外部からは見えないようにすることができる。なお、この場合も、画素P2、P3の部分以外は、パネル2の着色時(例えば遮光状態時)の色(例えば、装置本体1の外観の色と同じ色(例えば青色))であるので、全体の色の調和が図られている。
【0031】
図7の状態からストロボ発光(フラッシュ点灯)可能の信号が装置本体1から送られると、ストロボ発光(フラッシュ点灯)可能の信号を受けたときだけ、パネル2の状態は図8のようになる。すなわち、ストロボ発光(フラッシュ点灯)可能の信号を受けると、パネル2の画素P1にも電圧が印加される。従って、このとき、パネル2の画素P1、P2、P3は非着色状態(透明状態)となる。これにより、図8の状態では、装置本体1内のストロボ11、レンズ12、センサ13は外部から見えるようにすることができる。すなわち、撮影装置のストロボ機能、レンズ機能、センサ機能を発揮させることができる。なお、この場合も、画素P1、P2、P3の部分以外は、パネル2の着色時(例えば遮光状態時)の色(例えば、装置本体1の外観の色と同じ色(例えば青色))であるので、全体の色の調和が図られている。
【0032】
このように、本発明では、パネル2によって装置本体1内を外部から見えないようにすることができるだけでなく、様々な色素材料の選択によりパネル2の色を撮影装置本体1の外観の色(ボディーカラー)と同じにするなど好みに合わせた色にすることができる。また、図7,図8に示したように、ストロボ11、レンズ12、センサ13それぞれの使用状況に応じてパネル2の光学特性を変化させることができる。
【0033】
なお、パネル2にGH液晶素子、エレクトロクロミック素子を用いる場合、ストロボ11の光源には、LED(より好ましくは白色LED)が用いられるのが良いが、LEDだけでなく、Xeストロボなどを用いることもできる。ただし、Xeストロボを用いる場合、素子には耐熱性・耐光性が必要である(具体的に、フラッシュ点灯時は液晶分子とともに色素分子を垂直に立てること(光学的に透明状態にすること)で耐久性も向上させることができる)。
【0034】
また、パネル2(GH液晶素子、エレクトロクロミック素子など)は、フィルム化も可能である。
【0035】
以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0036】
実施例1では、パネル2をGH液晶素子として作製した。
【0037】
すなわち、先ず、ITOなどの透明電極がパターン形成された一対のガラス基板(ITOの厚さ:500Å、ガラス板厚:0.7mmt、ガラス材質:青板ガラス)を作製する。ここで、ITOのパターンは例えば図3(b)のようにITO同士が重なり合った部分がストロボやレンズの形状や大きさ、位置と合致するように形成する。
【0038】
次いで、ITO表面に水平配向膜を形成する。ここで、ラビング等による配向処理は、行っても良いし、行わなくても良い。ラビングを行う場合は、上下基板間の配向方向が0−360°になるように行うと良い。液晶のねじれ角が240°以上になると電圧−透過率特性でヒステリシスが生じる(立ち上がりの電圧−透過曲線と立下りの電圧−透過曲線が一致しない)が、全ON/全OFFのみを行うのであれば不都合は生じない。但し、ねじれ角が360°以上になると液晶分子の螺旋構造がセル厚方向ではなく面内方向になり、欠陥(フォーカルコニック配列)となりやすくなるため好ましくない。ねじれ角が小さくなるほど、電圧OFF時の同じ色素添加量に対する色素の色味は薄くなる。一方、電圧をONした時の透過率はほとんど変わらないため相対的に素子のコントラストが低くなる。ON時の透過率は色素添加量が低いほど高くなるので、素子の光学的性能を上げるには、ねじれ角はなるべく大きい方が望ましい。以上より、ねじれ角としては概ね90−270°程度が好ましい。実施例では240°ツイストとなるようラビング処理を行った。
【0039】
次に、片側のガラス基板(下基板)上にギャップコントロール剤を2−5wt%含んだメインシール剤を形成した(形成方法としてはスクリーン印刷もしくはディスペンサーを用いた)。ギャップコントロール剤の径は液晶層が3−15ミクロンになるように材料を選ぶ。実施例では、液晶層5μmとしたためギャップコントロール剤の径は5ミクロンのグラスファイバーを選んだ。このグラスファイバーを三井化学製シール剤ES−7500に3wt%添加し、メインシール剤とした。もう一方のガラス基板(上基板)上にはギャップコントロール剤を散布した。ここでは、5ミクロンのプラスチックボールを乾式のギャップ散布機を用いて散布した。
【0040】
上記のセルにゲストホスト型液晶を真空注入した。ホスト液晶としてΔεが正の液晶(大日本インキ化学工業製)を用いた。ここで、添加する色素は、総量が2−15wt%となるよう添加した。色素としては細かな色調整のために複数の色素を混合する事が望ましい。二色性色素としては例えば青色の色素として林原生物化学研究所製のG−472等が挙げられる。実施例ではG−472を初め、様々な色素を混合しそれぞれ3wt%となるよう液晶中に添加した。また、この液晶中にはカイラル剤がd/p=0〜1程度になるよう添加されている。実施例ではd/p=0.55、カイラル剤はS−811(メルク)を用いた(色素濃度はボディーカラーに応じて変える必要がある)。
【0041】
注入後、注入口にエンドシール剤を塗布し封止した。こうして作製した液晶素子は電圧無印加時には着色状態であり(液晶分子(及び二色性色素)が基板平面に対し水平ねじれ状態で配向しており)、電圧を印加するにつれ液晶分子が垂直に立ってきて二色性色素の色が見えなくなっていき透明になる変化を示した。例えば二色性色素としてG−472を3wt%液晶中に添加した場合のスペクトル特性を図9に示す(0V及び交流5Vを印加)。また、この素子の顕微鏡で見たところ、電圧が印加されていない部分は青く(着色状態)、電圧印加された部分が白く(透過状態)なっていた。また別の色素として、赤、ピンク、橙色の色素を添加した素子を顕微鏡で見たところ、電圧が印加されていない部分は着色され、電圧印加された部分は白く(透過状態)なっていた。このように色素の選択により様々なカラーを有する素子を作製できる。従って、カメラ、携帯電話などのボディーカラーに合わせる事は可能であることがわかる。
【0042】
なお、上記実施例では水平配向膜を用いたが、水平配向膜の代わりに垂直配向膜を用いるとともにΔεが負の液晶を用いても良い。ただしその場合、電圧OFF時に透明になるので、カメラや携帯電話用途には好ましくない(電源不使用時に電圧を印加し続ければ同様の機能を与えられるが、低消費電力機器には向かない)。
【0043】
上記のように、上記と同様のセル構造で、液晶中に添加する二色性色素材料を変更することで、様々な色のLCDを作成することが可能である。
【0044】
図11,図12,図13に二色性色素のバリエーションの例を示す。これらは日本感光色素研究所製の色素を用いている。図11は黄〜橙系、図12は紫系、図13は青系に発色している。なお、図11,図12,図13において、横軸は波長(nm)、縦軸は透過率T(%)である。
【0045】
図14に代表的な白色LEDの発光スペクトルを示す。450nm付近のLED素子の発光色からなる青色光のピークと、570nm付近の励起光からなる黄色光のピークを含んでいる。
【0046】
非点灯時の白色LEDを観察したときに視認される蛍光体の黄色は、外光により570nm付近にピークを持つ蛍光体が発光して視認されるものである。
【0047】
これに対して、例えば図12,図13のスペクトル分布をもつ色素を採用することにより、波長570nm付近の発光色の透過率を抑制し、外部より黄色の観察をされにくくすることができる。
【0048】
また、例えば図11,図12のような色素を採用することで、白色LEDの蛍光体が励起する、例えば波長450nm付近の環境光を抑制カットすることにより、黄色発光そのものを抑制し、外部より黄色の観察をされにくくすることができる。
【0049】
参考に、二色性色素の二色性比Rと吸収ピーク波長を示したバリエーション分布を図15に示す。二色性色素は、棒状の分子主骨格で基本的な色味を決定し、末端基の置換により色の微調整や二色性比を調整することができるため、非常に豊かなバリエーションを持つ。
【0050】
二色性色素は、複数種の二色性色素を同時に添加することもできるので、上記色素を適宜混合して使用することで、さらに多様な色のLCDを作成することができる。
【実施例2】
【0051】
実施例2では、パネル2をエレクトロクロミック素子として作製した。
【0052】
すなわち、先ず、ITOなどの透明電極がパターン形成された一対のガラス基板(ITOの厚さ:500Å、ガラス板厚:0.7mmt、ガラス材質:青板ガラス)を作製する。ここで、ITOのパターンは、例えば図3(b)のようにITO同士が重なり合った部分がストロボやレンズの形状や大きさ、位置と合致するように形成する。
【0053】
次いで、片側の基板上のITO表面にエレクトロクロミック膜を形成する。ここでは、エレクトロクロミック膜として、真空蒸着法により三酸化タングステン(WO3)膜を形成した。なお、エレクトロクロミック膜としては、三酸化タングステン(WO3)膜に限らず、酸化モリブデン、酸化タングステン−モリブデン複合膜、酸化バナジウム、酸化イリジウム、二酸化マンガン、酸化ニッケルや有機系材料(ビオロゲン系、スチリル系化合物など)などを用いても良く、界面膜の透明―着色状態を切り替えるタイプのエレクトロクロミックであれば特に材料には依存せず実施する事ができる。また、真空蒸着法だけでなく、スパッタ法(RFマグネトロンスパッタ法)、メッキ法、LB法、各種印刷法(スクリーン印刷、スピンコート、ダイコートなど)によりエレクトロクロミック膜を形成しても良い。いずれの方法にしても緻密な膜構造は好ましくなく、アモルファスで多くの隙間を持った構造が望ましい。また、積極的に隙間を設けるため、微小な粒径を分散させても良い。ここで用いたWO3膜は、形成後、350℃の温度で30分間、熱処理を行った。
【0054】
もう一方の基板上のITO表面には電子供与膜を形成する場合もあるが、ここでは形成しなかった。
【0055】
次に、WO3膜を形成していない基板上にギャップコントロール剤を2−5wt%含んだメインシール剤を形成した(形成方法としてはスクリーン印刷もしくはディスペンサーを用いた)。ここで、ギャップコントロール剤の径は電解質層が50−200ミクロンになるように材料を選ぶ。実施例では電解質層75μmとしたため、ギャップコントロール剤の径は75ミクロンのプラスチックボールを選んだ。このプラスチックボールを三井化学製シール剤ES−7500に5wt%添加し、メインシール剤とした。
【0056】
上記のセルに電解液を真空注入した。電解液はNaOHを用いた。電解液は、これに限らず、各種液体塩、溶媒(アセトニトリルなど)でもよい。
【0057】
注入後、注入口にエンドシール剤を塗布し封止した。こうして作製したエレクトロクロミック素子の両基板上に透明電極が存在する部分はDC電圧無印加時にはほぼ透明であり、DC電圧を印加するにつれて青く着色し、電圧が高くなるほど着色が濃くなる状態を示した。透明電極部分のスペクトル特性を図10に示す(0VとDC0.7V印加)。このエレクトロクロミック素子は光学状態のメモリー性を有している。従って、一旦電圧を印加し、着色状態にすればその状態を長時間保持する。保持時間は使用材料、作製条件により異なるが、実施例では約2週間その状態を保持した。材料の最適化によりその時間は長くできると思える。尚、着色状態を解消する為には逆方向のDC電圧を与えれば透明状態に戻す事が可能である。実施例ではDC−0.5Vで元の透明状態に戻す事ができた。この透明状態は電圧無印加の状態で半永久的にメモリーされる(実施例1ではメモリー性を有していないが、特に不要である)。
【0058】
実施例2では反射防止膜を用いており、透明性が高い。実施例1では反射防止膜を用いていないが、反射防止膜を用いる事により、実施例2程度(もしくはそれ以上)の透明状態に改善することが可能である。なお、反射防止膜としては一般的なものを用いた(すなわち、屈折率が異なる透明層を所定の厚さで積層したものを用いた)。
【0059】
上述したように、本発明のパネル2を用いることにより、外から見て例えばストロボがどこにあるのかすぐにはわからないほど、装置本体1(ボディー)と外観上一体化させることができる。
【0060】
また、本発明によれば、例えばストロボ部分の色を使用者の好みで選択可能であり、デザイン性を向上させることができる。
【0061】
また、本発明のパネル2では、透過光の損失は少なく偏光板が不要なので、明るい反射色を表現できる。カラー反射板を用いたLCDでは、反射で用いた場合、暗くくすんだカラーになってしまうが、本発明のパネル2では、非常に鮮やかなカラー色を表現できる。
【0062】
また、本発明のパネル2は、着色状態で発光すれば、ストロボ発光色を変える事もできるため、撮影シーンに合わせた色温度で撮影が可能となる。この場合、どのような光源でも対応可能である。
【0063】
また、本発明では、モーターなどのメカが不要であるため、小型・薄型化が可能であり、振動やノイズがなく、信頼性も優れている。
【0064】
また、光源の性能を損なわず、デザインに優位性が持てる。
【0065】
なお、上述の説明では、撮影装置がストロボ付きカメラ(例えば、デジタルスチルカメラ)であるとしたが、撮影装置は、銀塩カメラでも良いし、携帯電話,ビデオカメラ,ムービー撮影機器などでも良い。
【0066】
例えば、近年、カメラ,携帯電話等に多く採用されているLEDストロボやLEDムービーライトの見栄えを、本発明を適用することで改善することができる。すなわち、現在主流の白色LEDは、発光素子自体に含まれる蛍光体が、環境光に含まれる特定波長成分、特に青色光や紫外線により発光し、黄色の発色が観察され、製品デザインにおける問題点とされている。この問題点に対し、本発明のパネル2、例えばGH液晶素子を用い、光源不使用時にはGH液晶素子を非駆動として遮光状態として、GH液晶素子に添加された色素により蛍光体の発光する波長成分をカットし、また、蛍光体の発光そのものをカットすることで、黄色が観察され難くし、光源使用時にはGH液晶素子を駆動として透光状態とすることで、光源機能を有効にすることができる。この場合、GH液晶素子を全面化粧パネルとする必要はなく、LEDストロボやLEDムービーライトの前面のみに配置する構成で目的は達せられる。なお、この例の場合、黄色の補色である青色の色素添加や、LEDに用いられる蛍光体を励起する波長成分を選択的にカットする吸収スペクトルを備えた色素の採用が有効である。
【0067】
さらに、本発明のパネル2では、ストロボ/ムービーライトの色温度変換機能を実現できる。すなわち、現在、色変換フィルタとして各種製品が市場にあるが、色温度の動的変換は在来の上記製品群を用いた場合は困難である。また、色温度変換は、1種のフィルタで1種の効果しか得られない。これに対し、本発明のパネル2、例えばGH液晶素子を用いた照明では、GH液晶を諧調制御することで、例えば色温度の高い光源に対して、色温度を下げる効果が得られる色素の組合せをGH液晶素子に添加し、GH液晶素子を動的に制御することで、高い色温度から低い色温度まで連続的に照明光を変化させることが出来る。同様に、色温度の低い光源に対して、色温度を上げる効果が得られる色素の組合せをGH液晶素子に添加し、GH液晶素子を動的に制御することでも、連続的に色温度を調整することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る撮影装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明に係る撮影装置の構成例を示す図である。
【図3】本発明に係る撮影装置の構成例を示す図である。
【図4】GH液晶素子の概略を示す図である。
【図5】エレクトロクロミック素子の概略を示す図である。
【図6】パネルの各画素の制御例を示す図である。
【図7】パネルの各画素の制御例を示す図である。
【図8】パネルの各画素の制御例を示す図である。
【図9】実施例1において、二色性色素としてG−472を3wt%液晶中に添加した場合のスペクトル特性を示す図である。
【図10】実施例2において、透明電極部分のスペクトル特性を示す図である。
【図11】二色性色素のバリエーションの例を示す図である。
【図12】二色性色素のバリエーションの例を示す図である。
【図13】二色性色素のバリエーションの例を示す図である。
【図14】代表的な白色LEDの発光スペクトルを示す図である。
【図15】二色性色素の二色性比Rと吸収ピーク波長を示したバリエーション分布を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1 撮影装置本体
2 パネル
11 ストロボ(フラッシュ)
12 レンズ(対物レンズ)
13 センサ
50a,50b 透明基板
51a,51b 透明電極パターン
52a,52b 配向膜
53 ゲストホスト型液晶
54 エレクトロクロミック色素膜
P1、P2、P3 画素
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ,携帯電話,ビデオカメラ,ムービー撮影機器などの撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1には、ストロボ発光部の窓部分から発光部材が見えることなく、カメラ全体のデザインのバランスを崩さずに美観を損ねることのないストロボ発光装置付きカメラが提案されている。このストロボ発光装置付きカメラにあっては、ストロボ発光部の前面にネガLCDが配置されており、ストロボを発光させるときには、制御手段によって上記ネガLCDを透過状態にし、ストロボ光が被写体に向けて照射されるようにする一方で、ストロボ発光時以外は、上記ネガLCDを遮光状態にし、ストロボ発光部内が外部から見えないようにしている。
【特許文献1】特開2004−37730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、特許文献1に記載の技術では、ストロボ発光時以外は、上記ネガLCDを遮光状態にすることによって、ストロボ発光部内が外部から見えないようにしているが、特許文献1に記載の技術では、単にストロボ発光部内を外部から見えないようにするだけであり、例えばカメラ本体の外観の色が例えば青色であるときに、ストロボ発光部内の外部から見えなくする部分をカメラ本体の外観の色(例えば青色)に合わせた色(例えば、カメラ本体の外観の色(例えば青色)と同じ色(例えば青色))にするようにはなっていなかった。すなわち、特許文献1に記載の技術では、ストロボ発光部内の外部から見えなくする部分の色をカメラ本体全体の色と調和させるようにはなっていなかった。
【0004】
本発明は、遮光状態にする部分の色を例えば装置本体の外観の色に合わせて(例えば装置本体の外観の色と同じ色にして)全体の色の調和を図ることの可能な撮影装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、撮影装置本体と、撮影装置本体に装着され、着色と非着色とを選択的に制御可能なパネルとを有し、該パネルは、撮影装置本体の所定の機能が必要とされるときに撮影装置本体と外部との間で光を透過させる必要がある撮影装置本体の所定の部位に少なくとも配置されていることを特徴としている。
【0006】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の撮影装置において、前記パネルには、前記着色時の色を複数の色の中から選択可能な素子が用いられていることを特徴としている。
【0007】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の撮影装置において、前記パネルには、GH液晶素子が用いられていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項4記載の発明は、請求項1または請求項2記載の撮影装置において、前記パネルには、エレクトロクロミック素子が用いられていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の撮影装置において、前記撮影装置本体がストロボ、レンズ、センサを有している場合に、前記パネルは、ストロボ、レンズ、センサのうちの少なくとも1つに対応した部位に配置されていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の撮影装置において、前記パネルは、一対の透明基板の各々に透明電極パターンが形成され、一対の透明基板の各々に形成された透明電極パターン同士が重なり合っている部分が画素となっており、該画素が少なくとも1つ設けられ、該画素の部分において、前記着色と前記非着色とが選択的に制御されるようになっていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項7記載の発明は、請求項6記載の撮影装置において、前記撮影装置本体がストロボ、レンズ、センサを有しており、前記パネルがストロボ、レンズ、センサの全てに対応させて配置されている場合に、前記パネルの各画素は、ストロボ、レンズ、センサのそれぞれに対応した部位に配置されていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項8記載の発明は、請求項6または請求項7記載の撮影装置において、前記パネルの各画素は、互いに独立に制御可能となっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1乃至請求項6記載の発明によれば、撮影装置本体と、撮影装置本体に装着され、着色と非着色とを選択的に制御可能なパネルとを有し、該パネルは、撮影装置本体の所定の機能が必要とされるときに撮影装置本体と外部との間で光を透過させる必要がある撮影装置本体の所定の部位に少なくとも配置されており、前記パネルにおいて着色時(例えば遮光状態時)の色が適宜選択されることによって、遮光状態にする部分の色を例えば装置本体の外観の色に合わせることができて(例えば装置本体の外観の色と同じ色にすることができて)、全体の色の調和を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1,図2,図3は本発明に係る撮影装置の構成例を示す図であり、図1は正面図、図2は側面図である。また、図3(a),(b)は、図1,図2の撮影装置の分解図であり、図3(a)は撮影装置本体の正面図、図3(b)はパネルの正面図である。なお、以下では、撮影装置がストロボ付きカメラ(例えば、デジタルスチルカメラ)であるとして説明する。
【0016】
図1,図2,図3を参照すると、本発明の撮影装置は、撮影装置本体1と、撮影装置本体1に装着され、着色と非着色とを選択的に制御可能なパネル2とを有している。
【0017】
ここで、パネル2は、着色状態となっているときには、光の透過率が低い状態(例えば遮光状態)となっている一方、非着色状態となっているときには、光の透過率が高い状態(例えば透明状態)となっている
【0018】
このようなパネル2には、着色時の色を複数の色の中から選択可能な素子が用いられる。より具体的に、パネル2には、GH液晶(ゲストホスト型液晶)素子を用いることもできるし、あるいは、エレクトロクロミック素子を用いることもできる。
【0019】
図4はGH液晶素子の概略を示す図であり、GH液晶素子は、偏光板が不要であって、一対の透明基板50a,50bの各々に透明電極パターン51a,51bが形成され、透明電極パターン51a,51b上にそれぞれ配向膜52a,52bが形成され、配向膜52a,52b間に、二色性色素を添加した液晶(ゲストホスト型液晶)53が封入されている。そして、一対の透明基板50a,50bの各々に形成された透明電極パターン51a,51b同士が重なり合っている部分が画素となっており、該画素が少なくとも1つ設けられ、該画素の部分において、電気的に液晶53中の液晶とともに二色性色素の配向状態を変化させることにより、前記着色と前記非着色とが選択的に制御されるようになっている。
【0020】
すなわち、GH液晶素子は、電気的に液晶53中の二色性色素の配向状態を変化させることにより、各画素の透過率を制御できるようになっている。GH液晶素子は、非常に多くのGHカラーバリエーション(二色性色素)があり、着色時の色を複数の色の中から(複数の色素の中から)選択可能となっている。
【0021】
図5はエレクトロクロミック素子の概略を示す図である。なお、図5において、図4と対応する箇所には同じ符号を付している。図5を参照すると、エレクトロクロミック素子は、一対の透明基板50a,50bの各々に透明電極パターン51a,51bが形成され、透明電極パターン51a,51bの一方の透明電極パターン(図5の例では、透明電極パターン51a)上に、エレクトロクロミック色素膜54が形成されている。そして、一対の透明基板50a,50bの各々に形成された透明電極パターン51a,51b同士が重なり合っている部分が画素となっており、該画素が少なくとも1つ設けられ、該画素の部分において、電気的に色素膜54の着色状態を変化させることにより、前記着色と前記非着色とが選択的に制御されるようになっている。
【0022】
すなわち、エレクトロクロミック素子は、電気的に色素膜54の着色状態を変えることにより各画素の透過率を制御できるようになっている。なお、エレクトロクロミック素子も、エレクトロクロミック色素の複数の色素材料があるが、安定している(信頼性が高い)のは青色の色素である。
【0023】
GH液晶素子、エレクトロクロミック素子のいずれの素子も、透明電極パターン51a,51b間に加わる電圧に応じて、画素の着色状態(光の透過率)が変わるようになっている。すなわち、透明電極パターン51a,51b間に電圧が印加されていない時には、画素は完全着色の状態(遮光状態)であり、透明電極パターン51a,51b間に所定の電圧が印加されている時には、画素は非着色の状態(透明状態)となる。
【0024】
本発明では、これらの素子の上記特性(すなわち、パネル2の特性)を利用して、撮影装置本体1の所定の部分を、必要に応じて、着色して(遮光状態にして)外部からみえないようにしたり、あるいは、非着色の状態(透明状態)にしたりすることができる。さらに本発明では、これらの素子の上記特性(すなわち、パネル2の特性)を利用して、パネル2の着色時(例えば遮光状態時)の色を複数の色の中から(複数の色素の中から)選択することができるので、着色時(例えば遮光状態時)の色が適宜選択されることによって、遮光状態にする部分の色を例えば装置本体の外観の色などに合わせることができて(例えば装置本体の外観の色と同じ色にすることができて)、全体の色の調和を図ることができる。
【0025】
再び図1,図2,図3を参照すると、本発明の撮影装置では、パネル2は、撮影装置本体1の所定の機能が必要とされるときに撮影装置本体1と外部との間で光を透過させる必要がある撮影装置本体1の所定の部位に少なくとも配置されている。
【0026】
具体的に、撮影装置本体1がストロボ(フラッシュ)11、レンズ(対物レンズ)12、センサ(測距用赤外線センサなど)13を有している場合に、前記パネル2は、ストロボ11、レンズ12、センサ13のうちの少なくとも1つに対応した部位に配置することができる。例えば、前記パネル2は、ストロボ11に対応した部位だけに配置することもできるし、あるいは、図1,図2,図3の例のように、ストロボ11、レンズ12、センサ13の全てに対応させて配置することができる。図1,図2,図3の例のように、ストロボ11、レンズ12、センサ13の全てに対応させてパネル2を配置する場合には、前記パネル2の各画素P1、P2、P3は、ストロボ11、レンズ12、センサ13のそれぞれに対応した部位に配置される。
【0027】
そして、この場合、前記パネル2の各画素P1、P2、P3は、互いに独立に制御可能となっている。すなわち、各画素P1、P2、P3の着色状態,非着色状態は、互いに独立に制御可能となっている。これにより、例えば、ストロボ11に対応したパネル2の画素P1のみを着色状態にし、レンズ12、センサ13のそれぞれに対応したパネル2の各画素P2、P3を非着色状態にすることができる。
【0028】
図6,図7,図8は、ストロボ11、レンズ12、センサ13の全てに対応させてパネル2を配置する場合において、パネル2の各画素P1、P2、P3の制御例を示す図である。
【0029】
図6は撮影装置本体(カメラ)1の電源がOFFの場合のパネル2の状態を示しており、撮影装置本体(カメラ)1の電源がOFFの場合には、パネル2の各画素P1、P2、P3には電圧が印加されておらず、各画素P1、P2、P3は完全着色の状態(遮光状態)となっている。例えばパネル2の着色時(例えば遮光状態時)の色が装置本体1の外観の色と同じ色(例えば青色)である場合、図6の状態では、撮影装置全体が青色になっており、装置本体1内のストロボ11、レンズ12、センサ13を外部から見えないようにすることができるとともに、全体の色の調和が図られている。
【0030】
図6の状態から撮影装置本体(カメラ)1の電源がONとなると、パネル2の状態は図7のようになる。すなわち、撮影装置本体(カメラ)1の電源がONになると、パネル2の画素P2、P3には電圧が印加されるが、画素P1には通常、電圧が印加されていない。従って、このとき、パネル2の画素P2、P3は非着色状態(透明状態)となるが、画素P1は完全着色の状態(遮光状態)となっている。これにより、図7の状態では、装置本体1内のレンズ12、センサ13は外部から見えるようにすることができる一方(すなわち、すなわち、レンズ12、センサ13の機能を使うことができる一方(撮影装置のレンズ機能、センサ機能を発揮させることができる一方))、装置本体1内のストロボ11は相変わらず外部からは見えないようにすることができる。なお、この場合も、画素P2、P3の部分以外は、パネル2の着色時(例えば遮光状態時)の色(例えば、装置本体1の外観の色と同じ色(例えば青色))であるので、全体の色の調和が図られている。
【0031】
図7の状態からストロボ発光(フラッシュ点灯)可能の信号が装置本体1から送られると、ストロボ発光(フラッシュ点灯)可能の信号を受けたときだけ、パネル2の状態は図8のようになる。すなわち、ストロボ発光(フラッシュ点灯)可能の信号を受けると、パネル2の画素P1にも電圧が印加される。従って、このとき、パネル2の画素P1、P2、P3は非着色状態(透明状態)となる。これにより、図8の状態では、装置本体1内のストロボ11、レンズ12、センサ13は外部から見えるようにすることができる。すなわち、撮影装置のストロボ機能、レンズ機能、センサ機能を発揮させることができる。なお、この場合も、画素P1、P2、P3の部分以外は、パネル2の着色時(例えば遮光状態時)の色(例えば、装置本体1の外観の色と同じ色(例えば青色))であるので、全体の色の調和が図られている。
【0032】
このように、本発明では、パネル2によって装置本体1内を外部から見えないようにすることができるだけでなく、様々な色素材料の選択によりパネル2の色を撮影装置本体1の外観の色(ボディーカラー)と同じにするなど好みに合わせた色にすることができる。また、図7,図8に示したように、ストロボ11、レンズ12、センサ13それぞれの使用状況に応じてパネル2の光学特性を変化させることができる。
【0033】
なお、パネル2にGH液晶素子、エレクトロクロミック素子を用いる場合、ストロボ11の光源には、LED(より好ましくは白色LED)が用いられるのが良いが、LEDだけでなく、Xeストロボなどを用いることもできる。ただし、Xeストロボを用いる場合、素子には耐熱性・耐光性が必要である(具体的に、フラッシュ点灯時は液晶分子とともに色素分子を垂直に立てること(光学的に透明状態にすること)で耐久性も向上させることができる)。
【0034】
また、パネル2(GH液晶素子、エレクトロクロミック素子など)は、フィルム化も可能である。
【0035】
以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0036】
実施例1では、パネル2をGH液晶素子として作製した。
【0037】
すなわち、先ず、ITOなどの透明電極がパターン形成された一対のガラス基板(ITOの厚さ:500Å、ガラス板厚:0.7mmt、ガラス材質:青板ガラス)を作製する。ここで、ITOのパターンは例えば図3(b)のようにITO同士が重なり合った部分がストロボやレンズの形状や大きさ、位置と合致するように形成する。
【0038】
次いで、ITO表面に水平配向膜を形成する。ここで、ラビング等による配向処理は、行っても良いし、行わなくても良い。ラビングを行う場合は、上下基板間の配向方向が0−360°になるように行うと良い。液晶のねじれ角が240°以上になると電圧−透過率特性でヒステリシスが生じる(立ち上がりの電圧−透過曲線と立下りの電圧−透過曲線が一致しない)が、全ON/全OFFのみを行うのであれば不都合は生じない。但し、ねじれ角が360°以上になると液晶分子の螺旋構造がセル厚方向ではなく面内方向になり、欠陥(フォーカルコニック配列)となりやすくなるため好ましくない。ねじれ角が小さくなるほど、電圧OFF時の同じ色素添加量に対する色素の色味は薄くなる。一方、電圧をONした時の透過率はほとんど変わらないため相対的に素子のコントラストが低くなる。ON時の透過率は色素添加量が低いほど高くなるので、素子の光学的性能を上げるには、ねじれ角はなるべく大きい方が望ましい。以上より、ねじれ角としては概ね90−270°程度が好ましい。実施例では240°ツイストとなるようラビング処理を行った。
【0039】
次に、片側のガラス基板(下基板)上にギャップコントロール剤を2−5wt%含んだメインシール剤を形成した(形成方法としてはスクリーン印刷もしくはディスペンサーを用いた)。ギャップコントロール剤の径は液晶層が3−15ミクロンになるように材料を選ぶ。実施例では、液晶層5μmとしたためギャップコントロール剤の径は5ミクロンのグラスファイバーを選んだ。このグラスファイバーを三井化学製シール剤ES−7500に3wt%添加し、メインシール剤とした。もう一方のガラス基板(上基板)上にはギャップコントロール剤を散布した。ここでは、5ミクロンのプラスチックボールを乾式のギャップ散布機を用いて散布した。
【0040】
上記のセルにゲストホスト型液晶を真空注入した。ホスト液晶としてΔεが正の液晶(大日本インキ化学工業製)を用いた。ここで、添加する色素は、総量が2−15wt%となるよう添加した。色素としては細かな色調整のために複数の色素を混合する事が望ましい。二色性色素としては例えば青色の色素として林原生物化学研究所製のG−472等が挙げられる。実施例ではG−472を初め、様々な色素を混合しそれぞれ3wt%となるよう液晶中に添加した。また、この液晶中にはカイラル剤がd/p=0〜1程度になるよう添加されている。実施例ではd/p=0.55、カイラル剤はS−811(メルク)を用いた(色素濃度はボディーカラーに応じて変える必要がある)。
【0041】
注入後、注入口にエンドシール剤を塗布し封止した。こうして作製した液晶素子は電圧無印加時には着色状態であり(液晶分子(及び二色性色素)が基板平面に対し水平ねじれ状態で配向しており)、電圧を印加するにつれ液晶分子が垂直に立ってきて二色性色素の色が見えなくなっていき透明になる変化を示した。例えば二色性色素としてG−472を3wt%液晶中に添加した場合のスペクトル特性を図9に示す(0V及び交流5Vを印加)。また、この素子の顕微鏡で見たところ、電圧が印加されていない部分は青く(着色状態)、電圧印加された部分が白く(透過状態)なっていた。また別の色素として、赤、ピンク、橙色の色素を添加した素子を顕微鏡で見たところ、電圧が印加されていない部分は着色され、電圧印加された部分は白く(透過状態)なっていた。このように色素の選択により様々なカラーを有する素子を作製できる。従って、カメラ、携帯電話などのボディーカラーに合わせる事は可能であることがわかる。
【0042】
なお、上記実施例では水平配向膜を用いたが、水平配向膜の代わりに垂直配向膜を用いるとともにΔεが負の液晶を用いても良い。ただしその場合、電圧OFF時に透明になるので、カメラや携帯電話用途には好ましくない(電源不使用時に電圧を印加し続ければ同様の機能を与えられるが、低消費電力機器には向かない)。
【0043】
上記のように、上記と同様のセル構造で、液晶中に添加する二色性色素材料を変更することで、様々な色のLCDを作成することが可能である。
【0044】
図11,図12,図13に二色性色素のバリエーションの例を示す。これらは日本感光色素研究所製の色素を用いている。図11は黄〜橙系、図12は紫系、図13は青系に発色している。なお、図11,図12,図13において、横軸は波長(nm)、縦軸は透過率T(%)である。
【0045】
図14に代表的な白色LEDの発光スペクトルを示す。450nm付近のLED素子の発光色からなる青色光のピークと、570nm付近の励起光からなる黄色光のピークを含んでいる。
【0046】
非点灯時の白色LEDを観察したときに視認される蛍光体の黄色は、外光により570nm付近にピークを持つ蛍光体が発光して視認されるものである。
【0047】
これに対して、例えば図12,図13のスペクトル分布をもつ色素を採用することにより、波長570nm付近の発光色の透過率を抑制し、外部より黄色の観察をされにくくすることができる。
【0048】
また、例えば図11,図12のような色素を採用することで、白色LEDの蛍光体が励起する、例えば波長450nm付近の環境光を抑制カットすることにより、黄色発光そのものを抑制し、外部より黄色の観察をされにくくすることができる。
【0049】
参考に、二色性色素の二色性比Rと吸収ピーク波長を示したバリエーション分布を図15に示す。二色性色素は、棒状の分子主骨格で基本的な色味を決定し、末端基の置換により色の微調整や二色性比を調整することができるため、非常に豊かなバリエーションを持つ。
【0050】
二色性色素は、複数種の二色性色素を同時に添加することもできるので、上記色素を適宜混合して使用することで、さらに多様な色のLCDを作成することができる。
【実施例2】
【0051】
実施例2では、パネル2をエレクトロクロミック素子として作製した。
【0052】
すなわち、先ず、ITOなどの透明電極がパターン形成された一対のガラス基板(ITOの厚さ:500Å、ガラス板厚:0.7mmt、ガラス材質:青板ガラス)を作製する。ここで、ITOのパターンは、例えば図3(b)のようにITO同士が重なり合った部分がストロボやレンズの形状や大きさ、位置と合致するように形成する。
【0053】
次いで、片側の基板上のITO表面にエレクトロクロミック膜を形成する。ここでは、エレクトロクロミック膜として、真空蒸着法により三酸化タングステン(WO3)膜を形成した。なお、エレクトロクロミック膜としては、三酸化タングステン(WO3)膜に限らず、酸化モリブデン、酸化タングステン−モリブデン複合膜、酸化バナジウム、酸化イリジウム、二酸化マンガン、酸化ニッケルや有機系材料(ビオロゲン系、スチリル系化合物など)などを用いても良く、界面膜の透明―着色状態を切り替えるタイプのエレクトロクロミックであれば特に材料には依存せず実施する事ができる。また、真空蒸着法だけでなく、スパッタ法(RFマグネトロンスパッタ法)、メッキ法、LB法、各種印刷法(スクリーン印刷、スピンコート、ダイコートなど)によりエレクトロクロミック膜を形成しても良い。いずれの方法にしても緻密な膜構造は好ましくなく、アモルファスで多くの隙間を持った構造が望ましい。また、積極的に隙間を設けるため、微小な粒径を分散させても良い。ここで用いたWO3膜は、形成後、350℃の温度で30分間、熱処理を行った。
【0054】
もう一方の基板上のITO表面には電子供与膜を形成する場合もあるが、ここでは形成しなかった。
【0055】
次に、WO3膜を形成していない基板上にギャップコントロール剤を2−5wt%含んだメインシール剤を形成した(形成方法としてはスクリーン印刷もしくはディスペンサーを用いた)。ここで、ギャップコントロール剤の径は電解質層が50−200ミクロンになるように材料を選ぶ。実施例では電解質層75μmとしたため、ギャップコントロール剤の径は75ミクロンのプラスチックボールを選んだ。このプラスチックボールを三井化学製シール剤ES−7500に5wt%添加し、メインシール剤とした。
【0056】
上記のセルに電解液を真空注入した。電解液はNaOHを用いた。電解液は、これに限らず、各種液体塩、溶媒(アセトニトリルなど)でもよい。
【0057】
注入後、注入口にエンドシール剤を塗布し封止した。こうして作製したエレクトロクロミック素子の両基板上に透明電極が存在する部分はDC電圧無印加時にはほぼ透明であり、DC電圧を印加するにつれて青く着色し、電圧が高くなるほど着色が濃くなる状態を示した。透明電極部分のスペクトル特性を図10に示す(0VとDC0.7V印加)。このエレクトロクロミック素子は光学状態のメモリー性を有している。従って、一旦電圧を印加し、着色状態にすればその状態を長時間保持する。保持時間は使用材料、作製条件により異なるが、実施例では約2週間その状態を保持した。材料の最適化によりその時間は長くできると思える。尚、着色状態を解消する為には逆方向のDC電圧を与えれば透明状態に戻す事が可能である。実施例ではDC−0.5Vで元の透明状態に戻す事ができた。この透明状態は電圧無印加の状態で半永久的にメモリーされる(実施例1ではメモリー性を有していないが、特に不要である)。
【0058】
実施例2では反射防止膜を用いており、透明性が高い。実施例1では反射防止膜を用いていないが、反射防止膜を用いる事により、実施例2程度(もしくはそれ以上)の透明状態に改善することが可能である。なお、反射防止膜としては一般的なものを用いた(すなわち、屈折率が異なる透明層を所定の厚さで積層したものを用いた)。
【0059】
上述したように、本発明のパネル2を用いることにより、外から見て例えばストロボがどこにあるのかすぐにはわからないほど、装置本体1(ボディー)と外観上一体化させることができる。
【0060】
また、本発明によれば、例えばストロボ部分の色を使用者の好みで選択可能であり、デザイン性を向上させることができる。
【0061】
また、本発明のパネル2では、透過光の損失は少なく偏光板が不要なので、明るい反射色を表現できる。カラー反射板を用いたLCDでは、反射で用いた場合、暗くくすんだカラーになってしまうが、本発明のパネル2では、非常に鮮やかなカラー色を表現できる。
【0062】
また、本発明のパネル2は、着色状態で発光すれば、ストロボ発光色を変える事もできるため、撮影シーンに合わせた色温度で撮影が可能となる。この場合、どのような光源でも対応可能である。
【0063】
また、本発明では、モーターなどのメカが不要であるため、小型・薄型化が可能であり、振動やノイズがなく、信頼性も優れている。
【0064】
また、光源の性能を損なわず、デザインに優位性が持てる。
【0065】
なお、上述の説明では、撮影装置がストロボ付きカメラ(例えば、デジタルスチルカメラ)であるとしたが、撮影装置は、銀塩カメラでも良いし、携帯電話,ビデオカメラ,ムービー撮影機器などでも良い。
【0066】
例えば、近年、カメラ,携帯電話等に多く採用されているLEDストロボやLEDムービーライトの見栄えを、本発明を適用することで改善することができる。すなわち、現在主流の白色LEDは、発光素子自体に含まれる蛍光体が、環境光に含まれる特定波長成分、特に青色光や紫外線により発光し、黄色の発色が観察され、製品デザインにおける問題点とされている。この問題点に対し、本発明のパネル2、例えばGH液晶素子を用い、光源不使用時にはGH液晶素子を非駆動として遮光状態として、GH液晶素子に添加された色素により蛍光体の発光する波長成分をカットし、また、蛍光体の発光そのものをカットすることで、黄色が観察され難くし、光源使用時にはGH液晶素子を駆動として透光状態とすることで、光源機能を有効にすることができる。この場合、GH液晶素子を全面化粧パネルとする必要はなく、LEDストロボやLEDムービーライトの前面のみに配置する構成で目的は達せられる。なお、この例の場合、黄色の補色である青色の色素添加や、LEDに用いられる蛍光体を励起する波長成分を選択的にカットする吸収スペクトルを備えた色素の採用が有効である。
【0067】
さらに、本発明のパネル2では、ストロボ/ムービーライトの色温度変換機能を実現できる。すなわち、現在、色変換フィルタとして各種製品が市場にあるが、色温度の動的変換は在来の上記製品群を用いた場合は困難である。また、色温度変換は、1種のフィルタで1種の効果しか得られない。これに対し、本発明のパネル2、例えばGH液晶素子を用いた照明では、GH液晶を諧調制御することで、例えば色温度の高い光源に対して、色温度を下げる効果が得られる色素の組合せをGH液晶素子に添加し、GH液晶素子を動的に制御することで、高い色温度から低い色温度まで連続的に照明光を変化させることが出来る。同様に、色温度の低い光源に対して、色温度を上げる効果が得られる色素の組合せをGH液晶素子に添加し、GH液晶素子を動的に制御することでも、連続的に色温度を調整することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る撮影装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明に係る撮影装置の構成例を示す図である。
【図3】本発明に係る撮影装置の構成例を示す図である。
【図4】GH液晶素子の概略を示す図である。
【図5】エレクトロクロミック素子の概略を示す図である。
【図6】パネルの各画素の制御例を示す図である。
【図7】パネルの各画素の制御例を示す図である。
【図8】パネルの各画素の制御例を示す図である。
【図9】実施例1において、二色性色素としてG−472を3wt%液晶中に添加した場合のスペクトル特性を示す図である。
【図10】実施例2において、透明電極部分のスペクトル特性を示す図である。
【図11】二色性色素のバリエーションの例を示す図である。
【図12】二色性色素のバリエーションの例を示す図である。
【図13】二色性色素のバリエーションの例を示す図である。
【図14】代表的な白色LEDの発光スペクトルを示す図である。
【図15】二色性色素の二色性比Rと吸収ピーク波長を示したバリエーション分布を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1 撮影装置本体
2 パネル
11 ストロボ(フラッシュ)
12 レンズ(対物レンズ)
13 センサ
50a,50b 透明基板
51a,51b 透明電極パターン
52a,52b 配向膜
53 ゲストホスト型液晶
54 エレクトロクロミック色素膜
P1、P2、P3 画素
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置本体と、撮影装置本体に装着され、着色と非着色とを選択的に制御可能なパネルとを有し、該パネルは、撮影装置本体の所定の機能が必要とされるときに撮影装置本体と外部との間で光を透過させる必要がある撮影装置本体の所定の部位に少なくとも配置されていることを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
請求項1記載の撮影装置において、前記パネルには、前記着色時の色を複数の色の中から選択可能な素子が用いられていることを特徴とする撮影装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の撮影装置において、前記パネルには、GH液晶素子が用いられていることを特徴とする撮影装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2記載の撮影装置において、前記パネルには、エレクトロクロミック素子が用いられていることを特徴とする撮影装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の撮影装置において、前記撮影装置本体がストロボ、レンズ、センサを有している場合に、前記パネルは、ストロボ、レンズ、センサのうちの少なくとも1つに対応した部位に配置されていることを特徴とする撮影装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の撮影装置において、前記パネルは、一対の透明基板の各々に透明電極パターンが形成され、一対の透明基板の各々に形成された透明電極パターン同士が重なり合っている部分が画素となっており、該画素が少なくとも1つ設けられ、該画素の部分において、前記着色と前記非着色とが選択的に制御されるようになっていることを特徴とする撮影装置。
【請求項7】
請求項6記載の撮影装置において、前記撮影装置本体がストロボ、レンズ、センサを有しており、前記パネルがストロボ、レンズ、センサの全てに対応させて配置されている場合に、前記パネルの各画素は、ストロボ、レンズ、センサのそれぞれに対応した部位に配置されていることを特徴とする撮影装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7記載の撮影装置において、前記パネルの各画素は、互いに独立に制御可能となっていることを特徴とする撮影装置。
【請求項1】
撮影装置本体と、撮影装置本体に装着され、着色と非着色とを選択的に制御可能なパネルとを有し、該パネルは、撮影装置本体の所定の機能が必要とされるときに撮影装置本体と外部との間で光を透過させる必要がある撮影装置本体の所定の部位に少なくとも配置されていることを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
請求項1記載の撮影装置において、前記パネルには、前記着色時の色を複数の色の中から選択可能な素子が用いられていることを特徴とする撮影装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の撮影装置において、前記パネルには、GH液晶素子が用いられていることを特徴とする撮影装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2記載の撮影装置において、前記パネルには、エレクトロクロミック素子が用いられていることを特徴とする撮影装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の撮影装置において、前記撮影装置本体がストロボ、レンズ、センサを有している場合に、前記パネルは、ストロボ、レンズ、センサのうちの少なくとも1つに対応した部位に配置されていることを特徴とする撮影装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の撮影装置において、前記パネルは、一対の透明基板の各々に透明電極パターンが形成され、一対の透明基板の各々に形成された透明電極パターン同士が重なり合っている部分が画素となっており、該画素が少なくとも1つ設けられ、該画素の部分において、前記着色と前記非着色とが選択的に制御されるようになっていることを特徴とする撮影装置。
【請求項7】
請求項6記載の撮影装置において、前記撮影装置本体がストロボ、レンズ、センサを有しており、前記パネルがストロボ、レンズ、センサの全てに対応させて配置されている場合に、前記パネルの各画素は、ストロボ、レンズ、センサのそれぞれに対応した部位に配置されていることを特徴とする撮影装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7記載の撮影装置において、前記パネルの各画素は、互いに独立に制御可能となっていることを特徴とする撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−162861(P2009−162861A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340125(P2007−340125)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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