説明

操作キー装置

【課題】単純な構成でキーの押下によるスイッチ操作を確保しつつ主装置の外壁からのキートップの突出量の低下及びキートップのがたつきを抑え、操作性を維持する。
【解決手段】この発明の操作キー装置10は、基盤34と操作部材1とから成る。操作部材1のキー11に保持足15を設けた。保持足15の下端は、キー11がフレーム13に対して適正な高さ位置にある状態で、フレーム13の底面と高さ方向の位置が一致する。基盤34の保持足15の下端面に対向する位置には、保持足15が貫通する孔35を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電話機やファクシミリ装置等に配置されるテンキー等の操作キー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電話機やファクシミリ装置等の主装置に装着されているテンキー等の操作キー装置は、送信先の番号の入力や特定の機能の実行開始等の入力操作を受け付ける。この操作キー装置は、図1に示すような押しボタン構造(例えば、特許文献1参照。)が採用されている。
【0003】
図1は、単一の操作キー装置の構造を説明するための説明図である。操作キー装置100は、キー110、ヒンジ120、フレーム130及びタクトスイッチ140等を備えている。キー110は、キートップ110A、キー本体110B等から構成されている。
【0004】
キートップ110Aは、主装置の外壁200に形成された孔210に、外壁200の内面から外面に向かって突出している。キー本体110Bは、キートップ110Aの孔210からの突出量を規制する。突起部110Cは、キー本体110Bの裏面からタクトスイッチ140に向かって突出し、キートップ110Aが押圧操作された際のキー110の押下方向である矢印Y1方向の移動によりタクトスイッチ140を押し下げる。
【0005】
フレーム130は、キー110をヒンジ120を介して浮動支持し、外壁200に固定されている。タクトスイッチ140は、接続された回路基盤を介して主装置の制御部に入力操作の有無を出力する。キー110、ヒンジ120、フレーム130は、操作部材として、熱可塑性の樹脂で一体成型されている。
【0006】
また、近年の操作キー装置には、デザイン性を向上させるべく、図2に示すようにキーの構成をキートップ310Aとキー本体310Bとの別体とし、キートップ310Aを透明の樹脂により形成した構成のものがある。別体としたのは、全てを透明の樹脂で形成すると操作キー装置の内部まで視認できてしまいデザイン上好ましくなく、また透明の樹脂は性質上厚みのある形状を成型することに適さないからである。
【0007】
キー本体310Bは、裏面に図示しないタクトスイッチを押下する突起部310Cを有し、ヒンジ320を介してフレーム330によって浮動支持されている。
【0008】
キー本体310B、ヒンジ320及びフレーム330で構成される操作キー部品は、熱可塑性の樹脂で一体成型されている。操作キー部品は、一体成型後から主装置に装着されるまでの間、表面を上にした状態で保管トレイ等に載置、保管されている。
【0009】
なお、操作キー装置310を主装置に装着した状態を示す図2ではフレーム330の上面とキー本体310Bの上面とが面一にならないが、操作キー部品の成型時には、フレーム330の上面とキー本体310Bの上面とが面一になるように設計されている。組立作業時にキー本体310Bの上面にキートップ310Aを取り付けやすくするためである。
【特許文献1】特開2000−311544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、操作キー装置は、樹脂が完全に硬化する前の操作キー部品を一体成型直後に表面を上にした状態で保管トレイに載置して保管するので、キー本体の重量によりキー本体の支持位置が本来意図する支持位置よりも低下した状態で硬化する。
【0011】
キー本体の支持位置が低下すると、操作キー装置を主装置に装着した際のキー本体のキートップへの当接位置が低下する。キートップの外壁からの突出量が減少して操作性が損なわれる。また、キートップとキー本体とが一体成型されている操作キー装置であっても、一体成型された後の保管状態は同様であるので、同様にキートップの突出量が減少する。
【0012】
一方、支持位置の低下を防ぐため、樹脂が完全に硬化する前の操作キー部品を一体成型直後に表面を下に向けて保管トレイ等に載置することも考えられるが、キー本体の表面が保管トレイの載置面に当接する。このため、載置面上に異物があった場合や載置面が完全な平面でない場合には支持位置の低下、キー本体の表面形状の変形、キー本体の表面の面方向の変化等が生じ、キー本体がキートップを適切に支持できなくなる虞がある。また、キートップとキー本体とが一体成型されている操作キー装置では、キートップがフレームの表面よりも突出しているので、キートップ側を下に向けて保管トレイ等に載置することはできない。
【0013】
この発明の目的は、単純な構成でキー本体を押下方向へ移動させることができるようにしつつ、硬化時のキー本体の沈下を防止することができ、主装置の外壁からのキートップの突出量の減少及びキートップのがたつきを抑え、操作性を維持することができる操作キー部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の操作キー装置は、基盤と操作部材とから成っている。
【0015】
基盤は、表面側から裏面側に向かう押下方向に移動するスイッチを実装している。操作部材は、スイッチに当接する1以上のキー、及び1以上のキーの側面近傍に位置しヒンジを介して1以上のキーを浮動支持する単一のフレームがヒンジを含めて熱可塑性の樹脂で成型されている。
【0016】
キーは裏面側から押下方向に突出する保持足であって押下方向における下端の位置がフレームの底面の位置に一致する保持足を備える。
【0017】
操作キー装置は、基盤に操作部材を載置した状態で保持足の下端の押下方向に空間を形成する間隙形成手段を備える。
【0018】
この構成により、フレームに対してキーが適正な高さ位置にある状態でフレームの下面と保持足の下端との上下方向の位置が一致する。一体成型直後であって樹脂が完全に硬化する前の操作部材を表面を上にした状態で保管トレイに載置すると、保管トレイの上面にフレームの下面と保持足の下端とが当接した状態で、フレームに対するキーの高さ位置が適正になる。操作部材の硬化時に、キー本体の重量によりキー本体の位置が本来意図する位置よりも低下することがない。また、間隙形成手段を備えることにより、保持足の下端と基盤表面との間に空間が生じ、キーを介してスイッチが確実に操作可能となる。
【0019】
キーは裏面側から押下方向に突出する規制足であって下端が基盤に操作部材を載置した状態で基盤の表面から所定距離だけ離間する複数の規制足をさらに備えてもよい。キーが所定距離だけ押下された際に規制足の下端が基盤の表面に当接する。規制足により、キーの押下方向への移動を所定位置までに抑えることができる。
【0020】
また、キーは押下方向に直交する平面で多角形を呈し、保持足は少なくともキーにおけるヒンジとの接合部を含まない対角線上に位置させてもよい。これにより、キーの安定性を確保することができる。保持足は、複数の規制足の少なくとも一部と一体に形成されている。
【0021】
間隙形成手段は、基盤の表面における保持足に対向する位置に形成された孔、又はフレームの底面と基盤の表面との間に配置される間挿部材としてもよい。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、単純な構成でキーを押下方向へ移動させることができるようにしつつ、硬化時のキーの沈下を防止することができ、主装置の外壁からのキートップの突出量の減少及びキートップのがたつきを抑え、操作性を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明の最良の実施形態に係る操作キー部品を備えた操作キー装置を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0024】
図3は、操作キー装置の概略の構成を示す説明図である。操作キー装置10は、ファクシミリ装置等の主装置に装着され、送信先の番号の入力や特定の機能の実行開始等の入力操作を受け付ける。操作キー装置10は、操作部材1と図示しない基盤とから成る。操作部材1はキー11、ヒンジ12及びフレーム13から構成されている。キー11、ヒンジ12、フレーム13は、熱可塑性の樹脂で一体成型されている。図示しない基盤はタクトスイッチ14を実装している。
【0025】
フレーム13は、キー11をヒンジ12を介して浮動支持し、外壁20に固定され、タクトスイッチ14は、接続された回路基盤を介して主装置の制御部に入力操作の有無を出力する。
【0026】
ヒンジ12は樹脂で構成されているため弾力性を有し、キー11を浮動支持することが可能となる。
【0027】
キー11は、キートップ11A、キー本体11B、突起部11C、保持足15を備えている。キートップ11Aは、主装置の外壁20に形成された孔21に、外壁20の内面から外面に向かって突出する。キー本体11Bは、キートップ11Aの孔21からの突出量を規制する。キー本体11Bには、裏面から突起部11Cと保持足15が突出している。突起部11Cは、キー本体11Bの裏面からタクトスイッチ14に向かって突出し、キートップ11Aが押圧操作された際のキー11の押下方向である矢印Y方向の移動によりタクトスイッチ14を押し下げる。保持足15は、キー本体11Bの裏面から図示しない基盤に向かって突出し、保持足15の底面位置はフレーム13の底面位置と同一である。
【0028】
この構造により、保管トレイの上面にフレーム13の下面と保持足15の下端とが当接した状態で、フレーム13に対するキー11の高さ位置が適正になる。操作部材1の硬化時に、成型直後の操作キー部品を平面状の保管トレイに載置した際、キー11の冷却硬化時の自重による沈下を防止し、図示しない基盤からの高さ位置を所定位置にて硬化させることができる。
【0029】
なお、フレーム13を外枠としてその内側に格子状に内枠を形成し、各格子内でキー11をヒンジ12を介して浮動支持することで複数のキー11を備えた操作キー装置にも、この発明を同様に実施できる。
【0030】
図4は、主装置に装着された状態の操作キー装置の断面図である。基盤34には、保持足15の底面に対向する位置に孔35が形成されている。
【0031】
キー本体11Bは、裏面にタクトスイッチ14を押下する突起部11Cを有し、ヒンジ12を介してフレーム13によって浮動支持されている。キートップ11Aが透明な場合には、キートップ11Aの裏面には有色の塗装がされ、数字等の操作キーの機能の表記がされる。また、ユーザからの見た目がよくなるように、さらに、キートップ11Aへの印刷や塗装を行いやすくするために、キートップ11Aとキー本体11Bとが接触する裏面をフラットに形成している。
【0032】
基盤34には、保持足15の下端面に対向する位置に孔35が形成されている。キー11が下方に移動した際に、基盤34と保持足15とが接触することがなく、キー11は、押下方向である矢印Y方向及び矢印Y方向の反対方向である矢印Z方向に往復移動自在に支持され、ユーザの押下により矢印Y方向に移動する。なお、突起部11Cによってタクトスイッチ14を押し下げることができればよいので、孔35に代えて基盤34の表面に十分な深さの凹部を設けてもよい。
【0033】
図5は、この発明の別の実施形態に係る操作キー装置の断面図である。操作キー装置は、操作部材1と基盤34とから成る。操作部材1の構成は図3と同様である。フレーム13の底面と基盤34の表面との間には、間挿部材36が配置されている。間挿部材36は突起部11Cがタクトスイッチ14を押し下げるのに十分な高さである。
【0034】
フレーム13の底面と基盤34との表面との間には、間挿部材36が配置されているため、基盤34と保持足15とが接触することなく、キー11は、押下方向である矢印Y方向及び矢印Y方向の反対方向である矢印Z方向に往復移動自在に支持され、ユーザの押下により矢印Y方向に移動する。
【0035】
図6は、一つのキーを押下方向に対する裏面側から見た概略図である。キー本体11Bの裏面側に突起部11C及び保持足15が突出している。
【0036】
略矩形を呈するキー本体11Bの裏面における各対角線上に合計4本の保持足15がそれぞれ位置している。冷却硬化時に保管トレイ上でのキー11の安定性を確保することができる。なお、冷却硬化時にキー11の安定性を確保するためには、少なくとも3本の保持足15を設ければよい。
【0037】
図7は、一つのキーを押下方向に対する裏面側から見た概略図である。なお、この図は保持足15と規制足16をそれぞれ別に設けた例である。キー本体11Bの裏面側に突起部11C、保持足15及び規制足16が突出している。保持足15は、略矩形を呈するキー本体11Bの裏面における2本の対角線のうちでキー本体11Bとヒンジ12との接合部に近接する対角線と異なる対角線上に位置している。規制足16は、略矩形を呈するキー本体11Bの裏面における2本の対角線のうちでキー11とヒンジ12との接合部に近接する対角線上に位置している。
【0038】
冷却硬化時に、キー本体11Bの平面内でヒンジ12が支持していない部分と保持足15の下端と保管トレイ上面との当接によって支持することができる。2本の保持足で冷却硬化時のキー本体11Bの安定性を確保できる。また、規制足16の下端は、基盤の表面から所定距離だけ離間するため、キーの過度の押下によるタクトスイッチ14の破損を防止する。
【0039】
図8は、一つのキーを押下方向に対する裏面側から見た概略図である。なお、この図は保持足15Aと規制足16Aを一体化させた例である。キー本体11Bの裏面側に突起部11C、保持足15A及び規制足16Aが突出している。保持足15Aの底面位置は図示しないフレームの底面位置と同一である。
【0040】
図示しない基盤における、保持足15A及び規制足16Aの下端面に対向する位置に形成されている図示しない孔の大きさは、保持足15Aよりも大きく、規制足16Aよりも小さい。
【0041】
この構造により、成型直後のキー11を保管トレイに載置した際、キー11の冷却硬化時の自重による沈下を防止し、図示しない基盤からの高さ位置を所定位置にて硬化させることができ、キー11の安定性を確保することができる。規制足16Aにより図示しない基盤の表面から所定距離だけ離間し、キーの過度の押下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】従来の単一の操作キー装置の構造を説明するための説明図である。
【図2】従来の操作キー装置の概略の構成を示す断面図である。
【図3】この発明の単一の操作キー装置の構造を説明するための説明図である。
【図4】この発明の操作キー装置の概略の構成を示す断面図である。
【図5】この発明の操作キー装置の概略の構成を示す断面図である。
【図6】この発明の単一のキーの構造を示す外観図である。
【図7】この発明の単一のキーの構造を示す外観図である。
【図8】この発明の単一のキーの構造を示す外観図である。
【符号の説明】
【0043】
1−操作部材
10−操作キー装置
11−キー
11A−キートップ
11B−キー本体
12−ヒンジ
13−フレーム
14−スイッチ
15−保持足
16−規制足
34−基盤
35−孔(間隙形成手段)
36−間挿部材(間隙形成手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側から裏面側に向かう押下方向に移動するスイッチを実装した基盤と、
前記スイッチに当接する1以上のキー、及び前記1以上のキーの側面近傍に位置しヒンジを介して前記1以上のキーを浮動支持する単一のフレームが前記ヒンジを含めて熱可塑性の樹脂で成型された操作部材と、を含む操作キー装置であって、
前記キーは前記裏面側から前記押下方向に突出する保持足であって前記押下方向における下端の位置が前記フレームの底面の位置に一致する保持足を備え、
前記基盤に前記操作部材を載置した状態で前記保持足の下端の前記押下方向に空間を形成する間隙形成手段を備えた操作キー装置。
【請求項2】
前記キーは、前記裏面側から前記押下方向に突出する規制足であって前記基盤に前記操作部材を載置した状態で前記基盤の表面から所定距離だけ離間する複数の規制足をさらに備え、
前記保持足は、前記複数の規制足の少なくとも一部と一体に形成された請求項1に記載の操作キー装置。
【請求項3】
前記間隙形成手段は、前記基盤の表面における前記保持足に対向する位置に形成された孔である請求項1又は2に記載の操作キー装置。
【請求項4】
前記間隙形成手段は、前記フレームの底面と前記基盤の表面との間に配置される間挿部材である請求項1に記載の操作キー装置。
【請求項5】
前記キーは前記押下方向に直交する平面で多角形を呈し、前記保持足は少なくとも前記キーにおける前記ヒンジとの接合部を含まない対角線上に位置させた、請求項1〜4のいずれかに記載の操作キー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−234912(P2008−234912A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70554(P2007−70554)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】