説明

操作デバイス

【課題】ディスプレイ装置の画面上に表示された機能を選択し、選択された機能を実行させるためのものであって、操作性を向上し、ユーザが複数の方向から操作するいずれの場合においても違和感のない操作を可能とする。
【解決手段】インストルメントパネルの中央部にディスプレイ装置4を設け、センターコンソールに操作デバイス5を設ける。操作デバイス5を、パームレスト部を有する筐体に、ポインティング装置12及び、4個の決定スイッチ13〜16を設けて構成する。ディスプレイ装置4の画面に、複数の機能選択項目が並ぶメニュー画面やリスト表示画面を表示させる。ユーザは、ポインティング装置12の操作ノブの操作により、カーソルを移動させて所望の機能選択項目を選択し、その状態で、いずれかの決定スイッチ13〜16をオン操作することにより、決定指示を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置の画面上に表示された機能を選択し、選択された機能を実行させるための操作デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の操作デバイスとして、例えばパソコンにおいて、画面上の位置を特定するためのポインティングデバイスとして用いられるマウス型入力装置(以下単に「マウス」という)が知られている(例えば特許文献1参照)。このマウスは、本体ケースに、自らの移動方向及び移動量を検出する機構(例えば光学式のセンサ)を備えると共に、左右2個の押ボタンスイッチを有して構成されている。
【0003】
そして、ユーザは、本体ケースを移動させることにより、ディスプレイ装置の画面上において、カーソルをXY方向に自在に移動させて例えば所望のアイコン(コマンド等)を指し示し、その状態で、左側の押ボタンを例えば人差し指で押圧操作(左クリック)することにより、そのアイコンの選択が確定されるようになっている。またこのとき、マウスに設けられた右側の押ボタンの例えば中指での操作(右クリック)によって、左側の押ボタンの操作とは別の機能が実現されるようになっている。尚、一般に、このマウスは、パソコン(ディスプレイ装置)に正対したユーザの右側に置き、ユーザが右手で操作するに適した構成とされている。
【特許文献1】特開2003−131806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、自動車等の車両において、例えばカーナビゲーション装置、カーオーディオ装置、カーエアコン装置等の複数の車載機器に対する操作を統合して行うために、インパネの中央部にディスプレイ装置を備えると共に、センターコンソール部分に操作デバイス(遠隔操作装置)を備えたシステムが供されてきている。例えば、BMW社の「iDrive」と称されるシステムや、メルセデス−ベンツ社の「COMANDシステム」と称されるシステムが知られている。
【0005】
これらのものは、操作デバイスに、回転操作及び押圧操作の双方が可能な回転ダイヤルを採用しており、回転ダイヤルを回転させてポインティング操作(ディスプレイの画面中の項目選択)を行い、その後、回転ダイヤルを押下げ操作することによって、決定を行うものとなっている。また、操作デバイスをセンターコンソール部分に設けたことによって、運転席のドライバと助手席の同乗者との両方から操作が可能となる。ところが、これらは、ポインティング操作のために回転ダイヤルを採用しているために、例えば50音表を使った語句の入力操作等においては、操作時間がかかる不具合があった。
【0006】
本発明者らは、操作ノブを傾動操作させて選択操作を行うジョイスティック型の操作デバイスを、上記した回転ダイヤルに置き換える構成を考えた。しかし、操作ノブの傾動操作と押圧操作とを行う場合、操作ノブが大きく傾いた状態で押圧操作する場合に、ポインティング位置がずれてしまいやすいなど、操作性が低下するものとなる。そこで、更に、ジョイスティックの操作ノブ(軸部)とは別の位置に、押ボタンスイッチからなる決定スイッチを設ける構成が考えられる。
【0007】
しかしながら、そのような決定スイッチを設ける場合、今度は決定スイッチを設ける位置が問題となる。即ち、例えば右ハンドルの日本車の場合、ドライバは左手で操作デバイスを操作することになるが、例えばドライバが左手の親指で操作しやすい位置に決定スイッチを設けるようにすると、右手を使う助手席の同乗者については、決定スイッチの操作がしにくくなる。つまり、例えば車両に適用した場合、運転席(ドライバ)、助手席(同乗者)のどちらからでも操作しやすく、いずれにおいても違和感なく操作できる操作デバイスが望まれるのである。
【0008】
尚、ユーザの掌の大きさやノブの持ち方などによっても、操作しやすい決定スイッチの位置が異なってくる事情が生ずる。また、上記したマウス型の操作デバイスにおいても、右利きのユーザだけでなく、左利きのユーザについても操作しやすいもの、つまり左手でも違和感なく操作できるものが要望される。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ディスプレイ装置の画面上に表示された機能を選択し、選択された機能を実行させるためのものであって、操作性に優れ、ユーザが複数の方向から操作するいずれの場合においても違和感なく操作することができる操作デバイスを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の操作デバイスは、ディスプレイ装置の画面上に表示された機能を選択し、選択された機能を実行させるためのものであって、筐体と、この筐体に設けられ前記画面上に表示された機能選択項目を選択するための機能選択スイッチと、前記筐体に設けられ、前記機能選択スイッチにより選択された機能選択項目の決定指示を行うための2個以上の決定スイッチとを備えると共に、前記2個以上の決定スイッチのいずれの操作によっても、同じタイミングで同じ決定指示を行うことができるように構成されているところに特徴を有する(請求項1の発明)。
【0011】
上記構成によれば、機能選択スイッチとは別体に決定スイッチを設けたので、操作性の向上を図ることができる。そして、筐体に決定スイッチを複数個設け、いずれの決定スイッチが操作された場合でも、同じタイミングで同じ決定指示を行うことができるので、ユーザは、操作しやすい方の決定スイッチを操作すれば良くなる。ユーザは、いずれの方向からでも違和感なく操作することができ、ユーザにとって都合良く決定操作を行うことができる。
【0012】
本発明の操作デバイスは、車両に搭載され、車載機器に対する各種の機能を実行させるためのものに適用することができ、この際、前記2個以上の決定スイッチは、車両の走行中,停止中にかかわらず常に同一機能を実現するように構成することができる(請求項2の発明)。これによれば、ユーザが操作デバイスを操作することにより、車載機器に対する各種の機能を選択し実行させることができる。このとき、車両の走行中,停止中にかかわらず決定スイッチによる決定操作が可能となるので、走行中でも、例えばドライバ以外の乗員が安全に操作を行うことができ、操作者を判別して操作を制限するための手段も不要となる。
【0013】
この場合、操作デバイスを、車両の隣り合うシート間に位置して設置することができ(請求項3の発明)、これにより、隣り合うシートに座っている両側の乗員のいずれも、操作デバイスを同様に操作することが可能となる。またこのとき、少なくとも、車両の前後方向を基準とした筐体の左右部位に位置して2個の決定スイッチを設けることができ(請求項4の発明)、これにより、左右のいずれの方向からも、つまり左右いずれの手でも同様に違和感なく決定スイッチを操作することができる。
【0014】
本発明においては、前記筐体の表面部を、ユーザが掌を載せた状態で、該手が安定的に固定された状態となるパームレスト機能を有する形状に構成することができる(請求項5の発明)。これによれば、操作者が、掌を筐体の表面部に載せた状態で手が安定するので、機能選択スイッチ及び決定スイッチを操作する場合の操作性を、より一層向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を車載用の操作デバイスに適用した一実施例について、図面を参照しながら説明する。尚、本実施例では、車載機器としての、カーナビゲーション装置、カーオーディオ装置、カーエアコン装置に対する入力、指示などの操作(遠隔操作)を統合して行うための操作システムを具体例としている。また、本実施例では、いわゆる右ハンドル車(日本車)を対象としているが、左ハンドル車にも適用できることは勿論である。
【0016】
図4は、車両(自動車)の車室1(この場合右ハンドルの日本車)の前部の様子を概略的に示しており、また、図1は、本実施例の操作システムの電気的構成を概略的に示している。ここで、図4に示すように、車室1内には、運転席のシートS1及び助手席のシートS2が右左に隣り合って設けられており、その前部にはインストルメントパネル2が設けられていると共に、そのインストルメントパネル2の中央下部から、運転席及び助手席のシートS1,S2間に延びるように、センターコンソール3が設けられている。
【0017】
前記インストルメントパネル2の中央部には、図1にも示すように、ディスプレイ装置4が設けられている。また、詳しくは後述するように、センターコンソール3には、図示しないシフトレバーの近傍に位置して、本実施例に係る操作デバイス5が設けられるようになっている。この操作デバイス5は、運転席のドライバが左手で操作するのに適した位置(さほど手を伸ばさなくとも手元で容易に操作できる位置)であり、且つ、助手席の同乗者が右手で容易に操作できる位置に配設されている。
【0018】
前記ディスプレイ装置4は、例えばフルカラー液晶ディスプレイからなり、その画面4aの表面には図示しないタッチパネルが設けられている。図1に示すように、このディスプレイ装置4の画面4aの表示は、画面描画ボード6(図1参照)により制御されるようになっている。この画面描画ボード6には、カーナビゲーション装置7、カーオーディオ装置を制御するオーディオコントローラ8、カーエアコン装置を制御するエアコンコントローラ9、後述する信号処理部10が接続されている。尚、本実施例では、カーオーディオ装置には、ラジオ及びTVが含まれている。
【0019】
このディスプレイ装置4の画面4aには、カーナビゲーション装置7により、ナビゲーション画面(車両の現在地及び進行方向を周辺の道路地図と重ねて表示する画面)が表示されたり、オーディオコントローラ8により、TV画面が表示されたり、後述するように、ユーザが、各種の指示入力や設定を行なうための選択画面(図5参照)や、各種のメッセージ等が表示されたりするようになっている。
【0020】
さて、前記操作デバイス5について、図2及び図3も参照して述べる。この操作デバイス5は、例えばプラスチック製の筐体11と、この筐体11に設けられ機能選択項目を選択するための機能選択スイッチたるポインティング装置12(図1参照)と、筐体11に設けられ決定指示を行うための2個以上この場合第1〜第4の4個の決定スイッチ13〜16とを備えて構成されている。
【0021】
前記筐体11は、前記センターコンソール3の上面部に取付けられる矩形平板状のベース部11aと、このベース部11aの上面から上方に丸みをもって盛上がり車両の前後方向にやや長い楕円形状(いわば横向きに置いた卵を水平に半分に切った上半分の形状)をなすパームレスト部11bとを一体に有して構成されている。この場合、パームレスト部11bは、ユーザが掌を載せた状態でその手が安定的に固定された状態となるパームレスト機能を有するものとされており、運転席のドライバが左手の掌を載せた状態、あるいは助手席の同乗者が右手の掌を載せた状態のどちらであっても、同様に手が安定的に固定されるようになっている。
【0022】
前記ポインティング装置12は、例えばジョイスティック機構からなり、前記パームレスト部11bの上面の中心前寄り部分に、例えば半球状をなす操作ノブ12aを有して構成されている。この場合、操作ノブ12aは、ユーザ(ドライバ及び同乗者)がパームレスト部11bに掌を載せて手を安定させた状態で、例えば人差し指及び中指を使って、どちらからでも同様に操作できる位置に設けられている。この操作ノブ12aは、垂直軸を中心に360度方向に回動(傾動)操作可能に設けられており、そのポインティング装置12は、操作ノブ12aの操作方向及び操作量に応じた信号を前記信号処理部10に出力するようになっている。
【0023】
前記信号処理部10は、ポインティング装置12からの信号に応じて、ディスプレイ装置4の画面4a上でカーソルC(図5参照)を移動させるようになっている。これにより、後述するように、ユーザは、ディスプレイ装置4の画面4a上に例えば複数の機能選択項目(文字が記されたキーやアイコン)を並べて構成される選択画面が表示された状態で、ポインティング装置12の操作によっていずれかの機能選択項目を選択することができるようになっている。
【0024】
前記4個の決定スイッチ13〜16は、例えば押ボタンの下面側にタクトスイッチを備える押ボタンスイッチからなり、前記パームレスト部11bの表面の前記操作ノブ12aの周囲に分散して設けられている。具体的には、第1の決定スイッチ13は、操作ノブ12aの右前部に位置して設けられ、第2の決定スイッチ14は、それとは左右対称な位置に設けられている。第3の決定スイッチ15は、操作ノブ12aの右後部に位置して設けられ、第4の決定スイッチ16は、それとは左右対称な位置に設けられている。
【0025】
この場合、運転席のドライバが左手の掌をパームレスト部11bに置いた際に、人差し指で押圧操作しやすい場所に第1の決定スイッチ13が位置され、親指で操作しやすい場所に第3の決定スイッチ15が位置されている。一方、助手席の同乗者が右手の掌をパームレスト部11bに置いた際に、人差し指で押圧操作しやすい場所に第2の決定スイッチ14が位置され、親指で操作しやすい場所に第4の決定スイッチ16が位置されるようになる。
【0026】
これら4個の決定スイッチ13〜16は、ポインティング装置12によって選択された機能選択項目の決定指示を行う機能を果たすものであり、これら第1〜第4の決定スイッチ13〜16の操作信号は、前記信号処理部10に入力される。このとき、4個のいずれの決定スイッチ13〜16が操作されても、同じタイミングで同じ指示を行うことができるようになっている。また本実施例では、これら4個の決定スイッチ13〜16は、車両の走行中、停止中にかかわらず、常に同一機能(決定指示の機能)を果たすようになっている。
【0027】
更に、本実施例では、この操作デバイス15には、筐体11のベース部11aの前辺部に沿って、機能実行を直接指示するための、例えば4個のショートカットスイッチ17〜20が設けられている。これら4個のショートカットスイッチ17〜20は、押ボタンスイッチからなり、ユーザの操作によって、後述するようなメニュー画面等における選択操作を経ずとも、ダイレクトに各機能を実行させるために設けられている。
【0028】
この場合、ショートカットスイッチ17〜20は、例えば、順に、ナビゲーション画面の表示、目的地設定実行、カーエアコン装置オン(オフ)、カーオーディオ装置オン(オフ)の機能を果たすものとされており、これらショートカットスイッチ17〜20の信号も前記信号処理部10に入力されるようになっている。
【0029】
そして、前記信号処理部10は、マイコン等を含んで構成され、前記操作デバイス5の操作内容に応じた操作信号(ポインティング装置12の操作方向及び操作量の信号、決定スイッチ13〜16の操作信号、ショートカットスイッチ17〜20の操作信号)が入力されるようになっている。信号処理部10は、その入力信号に応じて、画面描画ボード6に対してディスプレイ装置4の画面4aの描画処理を実行させたり、画面描画ボード6を介して、カーナビゲーション装置7、オーディオコントローラ8、エアコンコントローラ9に対して各種機能の実行を指示する信号を与えて、当該機能を実行させたりするようになっている。
【0030】
このとき、信号処理部10は、そのソフトウエア的構成(プログラムの実行)により、例えば、電源オン時には、画面描画ボード6を介してディスプレイ装置4の画面4aにメニュー画面(図5(a)参照)を表示させる。図5(a)に例示するように、このメニュー画面では、例えば「ナビゲーション」、「エアコン」、「ラジオ」、「テレビ」の4つの機能選択項目Aが表示され、ユーザは、操作デバイス5を操作することにより、いずれかの機能を選択し実行させることができるようになっている。
【0031】
上記のように、ユーザが、ポインティング装置12の操作ノブ12aを操作することにより、信号処理部10及び画面描画ボード6を介して、画面4a上で、その操作に応じてカーソルCが移動される。ユーザがカーソルCを所望の項目A部分に持ってくるようにし、その状態で、いずれかの決定スイッチ13〜16をオン操作することにより、信号処理部10は、選択(選択が確定)された項目Aに応じた処理(カーエアコン装置のオン、ラジオのオン等)を実行させるようになっている。
【0032】
また、詳しく図示はしないが、例えばユーザが「ナビゲーション」の処理を選択し、さらに、次の画面で目的地検索の実行を指示した場合、カーナビゲーション装置7は、ディスプレイ装置4の画面4aに、複数の選択項目(施設等の分類)を含んだ選択画面を表示させてユーザに検索すべき分類を選択指定させ、その指定操作に基づいて、該当する目的地を検索(抽出)する。すると、ディスプレイ装置4の画面4aに、検索された目的地候補の選択項目として並ぶリスト表示画面が表示される。
【0033】
図5(b)は、このリスト表示画面の例を示しており、画面4aには、例えば6個の選択項目B(「項目1」〜「項目6」)が縦に6段に並んで表示され、ページスクロール項目D(「次頁」及び「前頁」の2つ)が併せて表示される。ここで、ユーザは、やはりポインティング装置12の操作ノブ12aを操作することにより、カーソルCを所望の選択項目B部分に移動させることができ、その状態で、いずれかの決定スイッチ13〜16をオン操作することにより、目的地が決定(確定)され、カーナビゲーション装置7は、その目的地までの推奨する経路を求める経路探索、及びその経路を案内する経路案内の処理を行うようになっている。
【0034】
上記構成の操作デバイス5においては、機能選択スイッチとしてのポインティング装置12(操作ノブ12a)とは別体に決定スイッチ13〜16を設けたので、1つの操作ノブを回転操作及び押圧操作する場合と異なり、操作ミスが起こりにくく、ユーザにとっての操作性の向上を図ることができる。この場合、ユーザは、筐体11に設けられたパームレスト部11bに掌を載せた状態で手が安定するので、操作ノブ12a及び決定スイッチ13〜16を操作する場合の操作性がより一層優れたものとなる。
【0035】
そして、筐体11に4個の決定スイッチ13〜16を設け、いずれの決定スイッチ13〜16が操作された場合でも、同じタイミングで同じ決定指示を行うことができるように構成した。従って、ユーザは、決定操作を行う場合、決定スイッチ13〜16のうち操作しやすいいずれかを操作すれば良くなり、ユーザにとって都合良く決定操作を行うことができる。しかも、ユーザが操作すべきボタンをいちいち見て確認するようなことも不要となり、スムーズな操作が可能である。
【0036】
このとき、操作デバイス5を、運転席と助手席との間のセンターコンソール3部分に配置したので、運転席のドライバ及び助手席の同乗者のどちらからでも、容易に操作することができる。特に、筐体11(パームレスト部11b)の中心の操作ノブ12aに対し、同じタイミングで同じ決定指示を行うことができる4個の決定スイッチ13〜16が、筐体11の左右に位置して前後に夫々設けられているので、ドライバ及び同乗者のどちらもが、親指又は人差し指で、同様に違和感なく操作することができる。
【0037】
ところで、車両走行の安全性を確保するため、車両の走行中はカーナビゲーション装置等の操作を禁止する(スイッチ操作を無効にする)ようにしたものがある。しかし、その構成では、助手席の同乗者であっても走行中はカーナビゲーション装置の操作ができなくなる不具合が生ずる。ところが、本実施例では、車両の走行中,停止中にかかわらず決定スイッチ13〜16による決定操作が可能となる(全ての決定スイッチ13〜16が同一機能を果たす)ので、走行中でも、例えばドライバ以外の乗員が安全に操作を行うことができる。
【0038】
このように本実施例によれば、ディスプレイ装置4の画面4a上に表示された機能を選択し、選択された機能を実行させるための操作デバイス5に、機能選択項目を選択するための機能選択スイッチとしてのポインティング装置12と、選択された機能選択項目の決定指示を行うための4個の決定スイッチ13〜16とを設けると共に、それら決定スイッチ13〜16のいずれの操作によっても、同じタイミングで同じ決定指示を行うことができるように構成したので、操作性に優れ、ユーザが複数の方向から操作するいずれの場合においても違和感なく操作することができるという優れた効果を奏する。
【0039】
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、以下のような拡張、変更が可能である。即ち、上記実施例では、機能選択スイッチ(ポインティング装置12)として、ジョイスティック機構を採用したが、それ以外にも、例えば、トラックボール(ハプティックデバイス)、8方向(4方向)スイッチ、タッチトレーサ、回転スイッチ、スライドスイッチ等を採用することもできる。パームレスト部の形状としても、上記のものに限定されず、種々の変形が可能である。
【0040】
また、上記実施例では、パームレスト部11bに、4個の決定スイッチ13〜16を設けるようにしたが、6個以上あるいは、2個の決定スイッチを左右対称的に設ける構成としても良い。決定スイッチを2個設ける場合には、機能選択スイッチの左右に位置して、前後方向に長い押ボタンを設けるようにすると、効果的である。また、2個以上の決定スイッチを設けると共に、それ以外の別のスイッチ、例えば取消し(戻る)スイッチを設けるようにしても良い。別のスイッチを設ける場合、決定スイッチを設ける場所以外であって、ユーザがいちいち見なくても決定スイッチとは区別できる位置或いは形態に設けることが望ましい。
【0041】
そして、上記実施例では、操作デバイス5を、車載機器としての、カーナビゲーション装置、カーオーディオ装置、カーエアコン装置に対する操作を統合して行うものとしたが、それ以外の車載機器、例えば、電動ミラー、パワーウインド、ワイパ、ランプ類等の操作も行えるようにしても良い。単一の機器に対する操作を行うものであっても良い。また、操作デバイスを設ける位置としても、センターコンソール3上に限らず、例えばインストルメントパネルのディスプレイ装置の近傍などであっても良い。
【0042】
さらに、本発明は、車載機器の操作に限らず、例えばパソコン等の操作を行うためのいわゆるマウス型の操作デバイスとして構成しても良い。また、機能選択項目の表示形態(画面構成)についても、例えば画面の下や左右の辺部にメニューバーを設けて、そこから選択する構成とする等、種々の変形が可能である。その他、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、車載機器の操作システムの電気的構成を概略的に示すブロック図
【図2】操作デバイスの平面図
【図3】操作デバイスの斜視図
【図4】車室内前部の様子を示す図
【図5】メニュー画面(a)及びリスト表示画面(b)の例を示す図
【符号の説明】
【0044】
図面中、1は車室、3はセンターコンソール、4はディスプレイ装置、4aは画面、5は操作デバイス、6は画面描画ボード、7はカーナビゲーション装置、8はオーディオコントローラ、9はエアコンコントローラ、10は信号処理部、11は筐体、11bはパームレスト部、12はポインティング装置(機能選択スイッチ)、12aは操作ノブ、13〜16は決定スイッチを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ装置の画面上に表示された機能を選択し、選択された機能を実行させるための操作デバイスであって、
筐体と、この筐体に設けられ前記画面上に表示された機能選択項目を選択するための機能選択スイッチと、前記筐体に設けられ、前記機能選択スイッチにより選択された機能選択項目の決定指示を行うための2個以上の決定スイッチとを備えると共に、
前記2個以上の決定スイッチのいずれの操作によっても、同じタイミングで同じ決定指示を行うことができるように構成されていることを特徴とする操作デバイス。
【請求項2】
車両に搭載され、車載機器に対する各種の機能を実行させるためのものであって、前記2個以上の決定スイッチは、車両の走行中,停止中にかかわらず常に同一機能を実現することを特徴とする請求項1記載の操作デバイス。
【請求項3】
車両の隣り合うシート間に位置して設置されることを特徴とする請求項2記載の操作デバイス。
【請求項4】
少なくとも、車両の前後方向を基準とした前記筐体の左右部位に位置して2個の決定スイッチが設けられていることを特徴とする請求項2又は3記載の操作デバイス。
【請求項5】
前記筐体の表面部は、ユーザが掌を載せた状態で、該手が安定的に固定された状態となるパームレスト機能を有する形状に構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の操作デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−242960(P2008−242960A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84583(P2007−84583)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】