説明

操作パネル機構

【課題】クッションや不織布を貼り付けることなく、操作パネルを固定パネル前面を覆う位置や傾斜状態に停止させるときに衝突による衝撃が発生しない操作パネル機構を提供する。
【解決手段】筐体前面に配置された固定パネル2と、固定パネル前面で駆動する操作パネルと、筐体下部に設けられ前後方向に移動可能なスライダ3と、固定パネルの左右側面に設けられ前後方向に移動可能なロックスライダ4と、操作パネル上部に取り付けられたローラと、ロックスライダに設けられ固定パネルの左右側面に前後方向の移動を付勢するバネ7とを備え、ローラは固定パネルに形成された垂直ガイド面とロックスライダに設けられたガイド面の間で移動し、全閉状態の場合はスライダがロックスライダを後方に移動させて垂直ガイド面とガイド面で圧接挟持され、全開状態の場合はバネによりスライダがロックスライダを前方に移動させるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に係わり、特に操作パネル機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、操作パネルの上部に設けたローラを筐体の前面に配置された固定パネルの縦方向ガイド溝に案内させ、操作パネル下部を前後方向に移動自在のスライダに回動自在に支持し、スライダを前後方向に移動させることにより、操作パネルの固定パネル前面を開閉させるように駆動させる操作パネル機構が用いられている。
【0003】
このような操作パネル機構は、固定パネルに設けた記録媒体挿入口を操作パネルで塞ぐ状態で使用することにより、電子機器前面の操作パネルを大型としてスペースを有効利用でき、カーナビゲーション装置やカーオーディオ装置に広く用いられる。
【0004】
しかしながら、上記の方式の操作パネル機構では、操作パネル上部に設けられたローラを固定パネルのガイド溝内を可動させるために、ガイド溝とローラの間にクリアランスが設けられており、車載用の場合には振動が発生すると、ローラがガイド溝に衝突したり、移動部材の他の部分が固定部材と衝突して異音が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−307066号公報
【0006】
そのために、特許文献1のように、固定パネルと操作パネルの間にクッションを貼り、クッションの弾力で衝撃を吸収し、また、部品同士が衝突する場所には不織布を貼って異音の発生を抑えていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の操作パネル機構において、衝突による衝撃を吸収するためにクッションを貼る場合には、クッション材の寸法のバラツキが大きいため、振動の抑制効果が十分に得られないことや操作パネルが締まりきれないことがあった。また、操作パネルは開閉途中の傾斜状態で停止させて使用することが多く、同一位置に長時間停止させると、クッションが経年変化で潰れて振動抑制効果がなくなることがあった。
【0008】
また、クッションや不織布を貼る場合には、クッションや不織布が擦り切れたり、剥がれ落ちたりして動作不良を起こすこともあった。さらに、クッションや不織布の厚みや幅寸法のバラツキが大きく、正確に位置決めして貼り付けることが困難で、生産効率が悪くなっていた。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、クッションや不織布を貼り付けることなく、操作パネルを固定パネル前面を覆う位置に停止させたときや傾斜状態に停止させて使用状態とするときに、部品同士の衝突による衝撃が発生しない操作パネル機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、筐体の前面に配置された固定パネルと、固定パネルの前面で駆動する操作パネルと、筐体下部に設けられ、前後方向に移動可能なスライダと、固定パネルの左右側面に設けられ、前後方向に移動可能なロックスライダと、操作パネル上部に取り付けられたローラと、ロックスライダに設けられ、固定パネルの左右側面に前後方向の移動を付勢するバネと、を備え、ローラは、固定パネルに形成された一方の垂直ガイド面とロックスライダに設けられた他方のガイド面との間で移動し、全閉状態の場合はスライダが前記ロックスライダを後方に移動させて垂直ガイド面とガイド面とで圧接挟持され、全開状態の場合はバネによりスライダがロックスライダを前方に移動させるように構成したものである。
【0011】
また、ロックスライダに設けられた他方のガイド面は下方が前記固定パネルに形成された一方の垂直ガイド面から離れるように傾斜されるように構成したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の操作パネル機構によれば、操作パネルが固定パネルの前面を覆う位置や使用状態となる傾斜位置で可動部が固定部と衝突する衝撃が発生せず、しかも可動部と固定部との間にクッションや不織布を介在させていないので、経年変化による不具合が発生せず、また、製造工程に手間がかからない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例である操作パネル機構を示す斜視図である。
【図2】同操作パネル機構の他の状態を示す斜視図である。
【図3】同操作パネル機構を一部部材を除いて他の方向から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の操作パネル機構について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は本発明の実施例である車載用電子機器の操作パネル機構を示す斜視図、図2は同操作パネル機構の他の状態を示す斜視図、図3は同操作パネル機構を一部部材を除いて他の方向から見た斜視図である。
【0016】
図1では、操作パネル1が固定パネル2の前面を露出する傾斜位置に移動されており、図2では操作パネル1が固定パネル2の前面を覆う垂直位置に移動されている。固定パネル2は図示していない筐体の前面位置に固定されており、その左右側面にロックスライダ4を前後方向移動可能に支持している。
【0017】
スライダ3は筐体下部に配置されており、図示していない駆動装置により前後方向に移動される。スライダ3の先端部にねじ込まれたねじ5は操作パネル1の下部を回動自在に支持している。
【0018】
ロックスライダ4は固定パネル2の側面にロックスライダ4の長穴4aを挿通する4個のねじ6により前後方向移動可能に支持されている。なお、図1、図2では固定パネル2の右側面のみが見えているが、固定パネル2の左側面にも対称形状のものが支持されている。そして、図2に示すように、固定パネル2に設けた突起2bとロックスライダ4の長方形4cの端面に配置されたコイルばね7によりロックスライダ4は前方に付勢されている。ロックスライダ4に設けたボス4dは、スライダ3の水平溝3aを挿通している。
【0019】
図3に示すように、操作パネル1の側面に立設された軸1aに回転自在に支持されたローラ1bは固定パネル2内側の空間の一方の垂直ガイド面2aとロックスライダ4の正面側に延びて下方が垂直ガイド面2aから離れる方向に傾斜しているリブ4bが形成するガイド面の間に配置されている。
【0020】
前記したように、操作パネル1の下端部はスライダ3により前後方向に移動されるが、その移動に伴って操作パネル1の上部に立設された軸1aに挿入されたローラ1bがガイド面2aとリブ4bのガイド面の間を移動することにより、操作パネル1が傾動する。
【0021】
図2に示すように、スライダ3が後方移動端まで移動したときは、操作パネル1の下端部は後退し、操作パネル1の上端部は最上昇位置まで上昇し、操作パネル1は垂直に立ち上がった状態となり、固定パネル2の記録媒体挿入口2cは操作パネル1で覆われている。
【0022】
この記録媒体挿入口2cが操作パネル1により覆われる状態は車載用電子機器が通常に置かれる状態であり、この状態で車両が走行されることが多い。このとき、ロックスライダ4のボス4dがスライダ3の水平溝3aの前端面に押され、ロックスライダ4がコイルばね7の弾力に抗して後退している。そして、ロックスライダ4のリブ4bがローラ1bを固定パネル2の一方の垂直ガイド面2aに圧接してローラ1bを不動状態にロックする。このように、ローラ1bがロックされているので、車両が走行しても振動により衝撃が発生することが防止される。
【0023】
図1に示すように、スライダ3が前方移動端まで移動したときは、操作パネル1の下端部は前進し、操作パネル1の上端部は最下降位置まで下降し、操作パネル1は最大傾斜位置に傾斜した状態となり、固定パネル2の記録媒体挿入口2cは露出された状態となり記録媒体の挿入や交換が行われる。
【0024】
なお、スライダ3が図2に示す位置から前進を始めるとき、ロックスライダ4のリブ4bがコイルばね7の弾力により、図3に示す矢印A方向に前進するので、ローラ1bのロックは解除され、ローラ1bはスムーズに下降可能となる。そして、リブ4bは下方が固定パネル2の一方の垂直ガイド面2aから離れる方向に傾斜しているので、垂直ガイド面2aから離れる方向に傾斜しているので、垂直ガイド面2aとリブ4bの間隔は下方ほど広くなり、ローラ1bは動きやすくなる。
【0025】
図1に示す状態から、スライダ3が図2に示す位置まで移動するときは、上記とは逆に操作パネル1が立ち上がるが、その途中の傾斜位置で操作パネル1の表示部が使用者から見やすく、また操作部の操作がしやすい位置があり、その位置に操作パネル1を停止して操作パネル1を操作するようになっている。その停止位置はスライダ3の位置を検出する図示していないスイッチにより検出され、スライダ駆動装置の電源がオフとされる。図1および図2に示す位置についても同様にしてスライダ駆動装置の電源がオフされる。
【0026】
この操作パネル1の操作位置でも操作パネル1のローラ1bがロックされる構成となっている。すなわち、図1に示すロックスライダ4に設けたコイルばね7の弾性により、ロックスライダ4を後退させてローラ1bをリブ4bで固定する。
【0027】
このように、操作パネル1が傾斜した使用状態にあるときもローラ1bがロックされているので、車両が走行しても振動により衝撃が発生することが防止される。
【0028】
本発明の操作パネル機構によれば、操作パネルが固定パネルの前面を覆う位置や使用状態となる傾斜位置で可動部が固定部と衝突する衝撃が発生せず、しかも可動部と固定部との間のクッションや不織布を介在させていないので、経年変化による不具合が発生せず、また製造に手間がかからない。従って、振動環境で使用される車載用機器に本発明を適用する効果が大きい。
【符号の説明】
【0029】
1 操作パネル、1a 軸、1b ローラ
2 固定パネル、2a 一方の垂直ガイド面、2b 突起、2c 記録媒体挿入口
3 スライダ、3a 水平溝
4 ロックスライダ、4a 長穴、4b リブ、4c 長方形、4d ボス
5 ねじ
6 ねじ
7 コイルばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の前面に配置された固定パネルと、
前記固定パネルの前面で駆動する操作パネルと、
前記筐体下部に設けられ、前後方向に移動可能なスライダと、
前記固定パネルの左右側面に設けられ、前後方向に移動可能なロックスライダと、
前記操作パネル上部に取り付けられたローラと、
前記ロックスライダに設けられ、前記固定パネルの左右側面に前後方向の移動を付勢するバネと、を備え、
前記ローラは、
前記固定パネルに形成された一方の垂直ガイド面と前記ロックスライダに設けられた他方のガイド面との間で移動し、全閉状態の場合は前記スライダが前記ロックスライダを後方に移動させて前記垂直ガイド面と前記ガイド面とで圧接挟持され、全開状態の場合は前記バネにより前記スライダが前記ロックスライダを前方に移動させるように構成されている
ことを特徴とする操作パネル機構。
【請求項2】
前記ロックスライダに設けられた他方のガイド面は下方が前記固定パネルに形成された一方の垂直ガイド面から離れるように傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の操作パネル機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−169418(P2012−169418A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28521(P2011−28521)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】