説明

操作レバー

【課題】歩行型管理機等の移動農機に備える変速レバーのように、着脱自在に設ける操作レバーの着脱性を向上させる。
【解決手段】操作レバー12を基端側のレバー軸12aと、該基端側のレバー軸12aに着脱自在に連結する先端側のレバー軸12bとで構成するにあたり、一側のレバー軸12aの端部に嵌挿可能なパイプ体19を他側のレバー軸12bの端部に固設し、更に前記一側のレバー軸12aに連結孔H2を、またパイプ体19にも連結孔H1を形成して、両連結孔H1,H2に連結ピン21を嵌入することにより、両レバー軸12a,12bを連結固定できる連結部Aを構成すると共に、両連結孔H1,H2の孔中心が略一致した状態で先端側のレバー軸12bを仮保持する位置決め手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行型管理機等の変速レバーのように着脱自在に設ける操作レバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの動力をミッションケース内の変速機構を介して走行装置に伝達し、またミッションケース内の耕耘変速機構を介してロータリ式の耕耘装置に伝達すると共に、
運転操作具としてのハンドルと、このハンドルを折り畳んだ時に容易に取り外すことができる着脱自在な変速レバーを備えた歩行型管理機を本出願人自ら出願している(特許文献1参照)。
【特許文献1】特願2005−007462号(図1−図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した着脱自在な変速レバーは、雌ネジと雄ネジとからなる継手により着脱部を構成しており、脱着時にスパナ等の工具を必要とすると共に手間が掛かるといった不具合を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、操作レバーを基端側のレバー軸と、該基端側のレバー軸に着脱自在に連結する先端側のレバー軸とで構成するにあたり、一側のレバー軸の端部に嵌挿可能なパイプ体を他側のレバー軸の端部に固設し、更に前記一側のレバー軸に連結孔を、またパイプ体にも連結孔を形成して、両連結孔に連結ピンを嵌入することにより、両レバー軸を連結固定できる連結部を構成すると共に、両連結孔の孔中心が略一致した状態で先端側のレバー軸を仮保持する位置決め手段を設けたことを第1の特徴としている。
【0005】
そして、前記位置決め手段を、両レバー軸の連結側端部に形成した傾斜端面の面合わせにより構成したことを第2の特徴としている。
【0006】
また、前記位置決め手段を、両レバー軸の連結側端部に形成した段付き端面の面合わせにより構成したことを第3の特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、操作レバーを基端側のレバー軸と、該基端側のレバー軸に着脱自在に連結する先端側のレバー軸とで構成するにあたり、一側のレバー軸の端部に嵌挿可能なパイプ体を他側のレバー軸の端部に固設し、更に前記一側のレバー軸に連結孔を、またパイプ体にも連結孔を形成して、両連結孔に連結ピンを嵌入することにより、両レバー軸を連結固定できる連結部を構成すると共に、両連結孔の孔中心が略一致した状態で先端側のレバー軸を仮保持する位置決め手段を設けたことによって、前記操作レバーを構成する先端側のレバー軸の着脱を工具を使用せずに容易に行うことができると共に、基端側のレバー軸に先端側のレバー軸を連結する際は、前記位置決め手段によって、両レバー軸の連結部を構成する一側のレバー軸の端部に備えるパイプ体と、該パイプ体に嵌挿する他側のレバー軸とに形成した連結孔の孔中心が略一致するので、両連結孔への連結ピンの嵌入が簡単に行えるようになる。
【0008】
そして、請求項2及び請求項3の発明によれば、前記位置決め手段を、両レバー軸の連結側端部に形成した傾斜端面の面合わせ、または両レバー軸の連結側端部に形成した段付き端面の面合わせにより構成したことによって、両レバー軸の連結部を構成する一側のレバー軸の端部に備えるパイプ体に他側のレバー軸を嵌挿するだけで、前記両連結孔の孔中心が略一致した状態で先端側のレバー軸を容易に仮保持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、移動農機の一例である歩行型管理機1の全体斜視図、図2は、同じく全体側面図であって、歩行型管理機1は、機体フレームに兼用される側面視で略への字状のミッションケース2を備えている。そして、ミッションケース2の後端部左右両側には、車軸3を介して走行装置である走行車輪4を軸支すると共に、ミッションケース2の前端部には、左右外側方に延出するロータリ耕転軸5を軸支している。
【0010】
また、ミッションケース2の上部には、原動機であるエンジン6が搭載してあり、このエンジン6は、テンションクラッチからなる図示しないメインクラッチを介して、ミッションケース2に動力を入力している。そして、ミッションケース2には、走行動力を変速する走行変速機構と、耕耘動力を変速する耕転変速機構とを含むトランスミッションが内装されている。即ち、ミッションケース2は、エンジン6から走行車輪4に駆動力を伝達する走行伝動ケースと、エンジン6からロータリ耕転軸5に駆動力を伝達する耕転伝動ケースを兼ねている。
【0011】
また、ミッションケース2の後部には、斜め上方に向かって突出する左右一対のハンドルブラケット7を螺設している。そして、両ハンドルブラケット7の後端部は、後方持ち手として兼用される横パイプ8を介して一体的に連結されている。更に、横パイプ8の左右両端部に、平面視で略U字状に形成した操縦ハンドル9の基端部をノブ付きボルト10を用いて取り付けてあり、このノブ付きボルト10を締め込むことにより、操縦ハンドル9が横パイプ8に対して固定される一方、ノブ付きボルト10を緩めると、当該ノブ付きボルト10を回動支点とする操縦ハンドル9の前後回動が可能になる。
【0012】
即ち、路上走行時や耕耘作業時には、操縦ハンドル9を後方斜め上方に突出する姿勢で固定しているが、非作業時には、図2に二点鎖線で示すように、ノブ付きボルト10を緩めて操縦ハンドル9を前倒し方向に回動させることにより、当該操縦ハンドル9を折り畳んだ状態で格納できるようにしてある。これによって、歩行型管理機1の機体をコンパクトに格納することができるので、機体の運搬や収納作業が容易に行えるようになる。
【0013】
また、操縦ハンドル9の把持部9a近傍には、メインクラッチを入り切り操作するメインクラッチレバー11を設けてあり、このメインクラッチレバー11を操作することにより、走行車輪4及びロータリ耕転軸5への駆動力の伝達を入り切りすることができる。
【0014】
また、ミッションケース2からは、後方斜め上方に向かって主変速レバー12を突設している。この主変速レバー12は、走行車輪4及びロータリ耕転軸5の変速操作に兼用されるものであり、当該主変速レバー12は、レバーガイド13のガイド孔に沿って前後及び左右に操作することができる。
【0015】
そして、主変速レバー12の基端部側には、該主変速レバー12の連結部Aを設けている。この連結部Aは、変速レバー12の一部または全体を自在に着脱することができるものであり、上述したように、操縦ハンドル9を折り畳んだ時、当該変速レバー12の一部または全体を取り外すことにより、機体を更にコンパクトに格納することができるようになる。尚、上述の如く操縦ハンドル9を折り畳んだ時、主変速レバー12の連結部Aが大きく突出しないように、当該連結部Aを、エンジン6上部のカバー体6aよりも下方で、且つ操縦ハンドル9の回動支点であるノブ付きボルト10近傍の高さ位置に設けている。
【0016】
次に、主変速レバー12の基端部側に設ける連結部(着脱部)Aの構成について説明する。主変速レバー12は、図3に示すように、基端側の短いレバー軸12aと、該基端側の短いレバー軸12aに着脱自在に連結する先端側の長いレバー軸12bからなり、基端側のレバー軸12aは、ミッションケース2内の走行変速機構に連繋するシフター軸16に直交するように設けたボス17に回動可能に支承されている。また、先端側のレバー軸12bは、上端部に把持用のグリップ18を装着すると共に、その基部(下端部)には、上述した連結部Aを構成するパイプ体19を固設している。
【0017】
そして、このパイプ体19に連結孔H1を、また基端側のレバー軸12aにも連結孔H2を形成してあり、当該パイプ体19に基端側のレバー軸12a上端部を嵌装した状態で
、両連結孔H1,H2に連結ピン(スナップピン)21を嵌入することにより、基端側のレバー軸12aと先端側のレバー軸12bとを一体に連結固定できるように構成している。ところで、パイプ体19を基端側のレバー軸12aの先端部に固設して連結部Aを構成
してもよいが、その時は、水抜き穴を設ける等の防錆対策が必要である。
【0018】
更に詳しくは、図4に示すように、基端側のレバー軸12aの上端には、連結孔H2を基準とする図中寸法h1及びh2からなる傾斜端面S1を形成している。一方、先端側のレバー軸12bの下端(基端)部は、パイプ体19に一部を嵌装した状態で固設(溶接固定)すると共に、当該レバー軸12bの下端には、パイプ体19に形成した連結孔H1を基準とする図中寸法h1及びh2からなる傾斜端面S2を形成している。
【0019】
そして、上述した基端側のレバー軸12aの上端に形成した傾斜端面S1と、先端側のレバー軸12bの下端に形成した傾斜端面S2とは、基端側のレバー軸12aに先端側のレバー軸12bを連結する際、両レバー軸12a,12bの連結部Aを構成する先端側のレバー軸12bのパイプ体19と、該パイプ19体に嵌挿する基端側のレバー軸12aの先端とに形成した連結孔H1,H2への連結ピン21の嵌入を容易にする位置決め手段として作用する。
【0020】
即ち、両レバー軸12a,12bの連結側端部に相対する傾斜端面S1,S2を形成することによって、基端側のレバー軸12aの先端に、先端側のレバー軸12bの基端部に固設したパイプ体19を嵌挿するだけで、前記傾斜端面S1,S2の面合わせがなされると同時に、パイプ体19と基端側のレバー軸12aの先端とに形成した連結孔H1,H2の位置決めもなされる。換言すると、両連結孔H1,H2の孔中心が略一致した状態で先端側のレバー軸12bを仮保持することができるようになっている。
【0021】
したがって、変速操作レバー12を構成する先端側のレバー軸12bを着脱する際は、工具を使用せずに容易に行うことができると共に、基端側のレバー軸12aに先端側のレバー軸12bを連結する際は、前記位置決め手段によって、両レバー軸12a,12bの連結部Aを構成する先端側のレバー軸12bの端部に備えるパイプ体19と、該パイプ体19に嵌挿する基端側のレバー軸12aとに形成した連結孔H1,H2の孔中心が略一致するので、両連結孔H1,H2への連結ピン21の嵌入が簡単に行えるようになる。
【0022】
尚、上述した両レバー軸12a,12bの連結側端部の面合わせによる連結孔H1,H2の位置決め手段は、図5及び図6に示すような実施形態を採用してもよい。即ち、図5に示す実施形態は、両レバー軸12a,12bの連結側端部を相対する凹凸状の傾斜端面S1,S2に形成したものであり、また、図6に示す実施形態は、両レバー軸12a,12bの連結側端部を相対する段付き端面S3,S4に形成したものである。
【0023】
そして、先端側のレバー軸12bを連結部Aから取り外した後は、図1に示すように、ロータリ耕転軸5に装着した複数の耕耘爪25の上方を覆うロータリカバー26の上部に収納できるようになっている。即ち、ロータリカバー26の上部には、先端側のレバー軸12bを係合保持する左右一対の保持部材27が設けてあり、当該レバー軸12bをロータリカバー25の上面に沿ってその幅内にコンパクトに収納することができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】歩行型管理機の斜視図。
【図2】歩行型管理機の側面図。
【図3】主変速レバーの構成を示す側面図。
【図4】主変速レバーの連結部の構成を示す断面図(第1実施例)。
【図5】主変速レバーの連結部の構成を示す断面図(第2実施例)。
【図6】主変速レバーの連結部の構成を示す断面図(第3実施例)。
【符号の説明】
【0025】
12 操作レバー
12a 基端部側のレバー軸
12b 先端側のレバー軸
19 パイプ体
21 連結ピン
A 連結部
H1 連結孔(パイプ体)
H2 連結孔(基端部側のレバー軸)
S1 傾斜端面(基端側のレバー軸)
S2 傾斜端面(先端側のレバー軸)
S3 段付き端面(基端側のレバー軸)
S4 段付き端面(先端側のレバー軸)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作レバー(12)を基端側のレバー軸(12a)と、該基端側のレバー軸(12a)に着脱自在に連結する先端側のレバー軸(12b)とで構成するにあたり、一側のレバー軸(12a)の端部に嵌挿可能なパイプ体(19)を他側のレバー軸(12b)の端部に固設し、更に前記一側のレバー軸(12a)に連結孔(H2)を、またパイプ体(19)にも連結孔(H1)を形成して、両連結孔(H1,H2)に連結ピン(21)を嵌入することにより、両レバー軸(12a,12b)を連結固定できる連結部(A)を構成すると共に、両連結孔(H1,H2)の孔中心が略一致した状態で先端側のレバー軸(12b)を仮保持する位置決め手段を設けたことを特徴とする操作レバー。
【請求項2】
前記位置決め手段を、両レバー軸(12a,12b)の連結側端部に形成した傾斜端面(S1,S2)の面合わせにより構成した請求項1に記載の操作レバー。
【請求項3】
前記位置決め手段を、両レバー軸(12a,12b)の連結側端部に形成した段付き端面(S3,S4)の面合わせにより構成した請求項1に記載の操作レバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−249904(P2007−249904A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76169(P2006−76169)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】