操作入力装置
【課題】静電容量センサを採用した操作入力装置であって、誤検出が少なく万人が確実性高く操作可能な優れた操作性を備えた操作入力装置を提供すること。
【解決手段】内周面52に囲まれた凹み部50の底部51に配設された第1電極31と、第1電極31の周囲に配設された第2電極32と、の間の静電容量の変化を検出する静電容量センサ3を含む操作スイッチ5を備えたリモコン1において、第2電極32は、少なくとも凹み部50の内周面52に沿って配設された部分を有し、第1電極31は、凹み部50に面する表面積が第2電極32よりも小さく形成されている。
【解決手段】内周面52に囲まれた凹み部50の底部51に配設された第1電極31と、第1電極31の周囲に配設された第2電極32と、の間の静電容量の変化を検出する静電容量センサ3を含む操作スイッチ5を備えたリモコン1において、第2電極32は、少なくとも凹み部50の内周面52に沿って配設された部分を有し、第1電極31は、凹み部50に面する表面積が第2電極32よりも小さく形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象機器を動作させるための操作を入力する操作入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、対象機器に対する各種の操作を入力するための操作入力装置として、人体を検出可能な静電容量センサを採用した装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。静電容量センサによれば、電位差が設けられた一対の電極間の静電容量の変化に応じて人体を検出可能である。
【0003】
このような静電容量センサを採用した操作入力装置であれば、操作面に対するタッチ操作はもちろん、操作面へのタッチを必要としない非接触操作の検出も可能である。一般に、静電容量センサにおいては、電極間に形成される電界の電束密度が高密度であるほど、人体が近づいたときの静電容量の変化が大きくなり高感度になる傾向がある。
【0004】
しかしながら、前記従来の静電容量センサを採用した操作入力装置では、次のような問題がある。すなわち、老若男女、多様な操作者が確実性高く操作できる操作入力装置を実現するためには、操作位置のばらつき等をある程度吸収できるように検出領域を広く形成する必要がある一方、検出領域を広く形成すると誤検出が誘発され易くなり、操作者が意図しない対象機器の誤作動が発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−291924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、静電容量センサを採用した操作入力装置であって、誤検出が少なく万人が確実性高く操作可能な優れた操作性を備えた操作入力装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、操作を検出する静電容量センサを備えた操作スイッチを含む操作入力装置であって、
前記静電容量センサは、操作面から窪むように設けられた凹み部の底部に配設された第1電極と、
少なくとも前記凹み部の内周面に沿って配設された部分を含むように前記第1電極の周囲に配設された第2電極と、を有し、
前記第1電極の前記凹み部に面する表面積が、前記操作面及び前記凹み部に面する前記第2電極の表面積よりも小さい操作入力装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0008】
本発明の操作入力装置では、前記第1電極の方が前記第2電極よりも表面積が小さく設定されている。そのため、前記第1電極と前記第2電極との間(以下、適宜、電極間という。)では、大面積の前記第2電極から小面積の前記第1電極に向かって次第に電束が収束していくような電界が形成され、前記第1電極周辺の電束密度が高密度になっている。さらに、周辺の電束密度が高くなる前記第1電極は、前記凹み部の底部に奥まって配設されている。それ故、前記操作入力装置では、電束密度が高く高感度な検出領域が前記凹み部の内部を中心として形成されることになる。
【0009】
前記操作面から窪むように設けられた凹み部であれば、操作する側の意図しない動作により手や指先等が入り込むおそれが少ない。それ故、前記凹み部の内部を中心に形成された検出領域においては、上記のような動作が誤って検出されるおそれが少なくなっている。一方、操作する側からすれば、窪んだ前記凹み部が操作する際の目標となり得る。操作の目標があれば、操作する側の操作位置のばらつきを低減でき、操作する指先等を前記凹み部に向けて確実性高く誘導できる。
【0010】
このように、本発明の操作入力装置は、前記凹み部に向けて操作を確実性高く誘導できると共に、該凹み部に向けて行われた操作を確実性高く検出できる優れた操作入力装置である。
【0011】
本発明における静電容量センサの検出対象としては、例えば、指先や手の平や拳や頭や足先などの人体がある。
また、本発明の操作入力装置における凹み部は、底部に対向して位置する開口部を介してのみ外部に連通し、全周に渡って内周面に取り囲まれた完全な凹み部であっても良いが、内周面の一部が欠落した不完全な凹み部であっても良い。また、深さ方向に直交する断面形状は、どのような断面形状(開口部では開口形状)であっても良い。丸形状であっても矩形状であっても三角形状であっても良い。さらに、深さ方向に次第に窄まる錐形状であっても良く、深さによらず略一定の断面形状を呈する筒状であっても良い。開口部の大きさとしては、操作する指先等、被検出対象を収容できる程度の大きさであることが好ましく、さらに好ましくは、被検出対象よりもひと回り大きい程度で大き過ぎないサイズが好ましい。例えば、指先の大きさに適当なサイズで指を差し入れたくなるような凹み部であれば、操作する指先の位置的なばらつきを一層低減できる。
【0012】
また、上記のごとく全周に渡って内周面に取り囲まれた凹み部の場合、前記凹み部の周囲を隙間無く全周に渡って取り囲むように前記第2電極を配設しても良く、周方向において飛び飛びに配置された前記第2電極を配設しても良い。さらに、前記内周面において、深さ方向の全域に渡って前記第2電極を配設することも良いが、前記第2電極の配設範囲を深さ方向の一部に制限することも良い。さらに、前記第2電極としては、前記凹み部の内周面に沿う部分のみによって形成された電極であっても良い。なお、この場合、前記操作面に面する表面積はほぼゼロになる。
【0013】
また、前記操作スイッチを複数備えており、
少なくとも何れか2つの操作スイッチの間で前記第2電極の一部が共有されているか、あるいは少なくとも何れか2つの操作スイッチに対応する前記第2電極が一体的に形成されていることが好ましい(請求項2)。
【0014】
前記操作スイッチを複数備えた操作入力装置では、操作スイッチ間の干渉を回避する必要がある。したがって、操作を確実性高く検出できるという本発明の作用効果が一層有効となる。さらに、上記のように2つの操作スイッチの間で前記第2電極の一部を共有したり、一体的に形成すれば、複数の操作スイッチの配置効率を向上でき、操作スイッチのサイズを十分に確保しつつ装置全体の小型化を実現できる。
【0015】
また、前記凹み部の底部から浮き上がって目視される操作マークを立体的に表示する立体表示手段を備えていることが好ましい(請求項3)。
前記凹み部の底部から浮き上がって目視される操作マークは、上記のごとく凹み部の内部を中心として形成された検出領域を指し示すのに好適である。さらに、前記操作マークを表示すれば、操作する際の目標が一層明確になり操作する側の位置的なばらつきを一層低減できる。なお、前記凹み部の開口部に略一致して前記操作マークを立体表示することも良い。この場合には、操作面にタッチするのと同様の操作感を非接触で実現できるようになる。特に、トイレや台所や洗面台などタッチ操作が敬遠されるような環境に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1における、リモコンを示す斜視図。
【図2】実施例1における、操作スイッチの断面構造を示す断面図(図1におけるA−A線矢視断面図。)。
【図3】実施例1における、リモコンのシステム構成を示すブロック図。
【図4】実施例1における、操作スイッチの検出領域を説明する説明図。
【図5】実施例1における、電極の配設構造を示す説明図。
【図6】実施例1における、その他の電極構造を示す説明図。
【図7】実施例1における、その他の電極構造を示す説明図。
【図8】実施例2における、操作スイッチの断面構造を示す断面図(図1におけるA−A線矢視断面に相当する断面図。)。
【図9】実施例2における、リモコンを示す斜視図。
【図10】実施例3における、リモコンを示す斜視図。
【図11】実施例3における、その他の電極構造を示す説明図。
【図12】実施例3における、その他の操作スイッチを示す斜視図。
【図13】実施例4における、リモコンを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、操作検出用のセンサとして静電容量センサ3を採用したリモコン1に関する例である。内容について、図1〜図7を用いて説明する。
本例のリモコン1は、図示しないシャワー機能付きの便器を操作するための操作入力装置である。このリモコン1は、例えば、トイレルームの壁等、便座に着座する使用者が操作し易い位置に設置される。
【0018】
浅底箱状を呈するリモコン1のおもて面に当たる操作面10には、図1及び図2のごとく、臀部シャワーのスタートスイッチ5Bや停止スイッチ5Aなど6個の操作スイッチ5A〜Fが配置されている。それぞれの操作スイッチ5A〜Fは、操作面10に設けられた凹み部50を利用して形成されている。凹み部50は、直径約25mmの開口部55を介して操作面10に開口すると共に、底部51に向かって次第に内径が小さくなる末窄まりの内部形状を有している。底部51には、直径約15mmの底面が形成されている。
【0019】
各操作スイッチ5A〜Fは、第1電極31と第2電極32との間(以下、適宜、電極間と記載する。)の静電容量の変化を検出する静電容量センサ3を含んで構成されている。
第1電極31は、凹み部50の底部51の略中央に配置されている。凹み部50に面する第1電極31の表面形状は、直径1〜5mmの円形状である。第2電極32は、凹み部50を全周に渡って取り囲むように配設されている。この第2電極32は、底部51に向かって次第に窄まる錐形状部321と、その後端から外周側に延設されたつば状(フランジ状)の縁部322と、を組み合わせた立体形状を有している。第2電極32における錐形状部321が凹み部50の内周面52に沿って配設され、つば状の縁部322が操作面10に沿って配設されている。
【0020】
リモコン1の内部には、図1及び図3のごとく、各操作スイッチ5A〜F及び赤外線送信器38が電気的に接続された制御基板2が収容されている。制御基板2には、各操作スイッチ5A〜Fに対する操作を検出する検出部21、赤外線送信器38を制御する制御部22が配設されている。
【0021】
検出部21は、各操作スイッチ5A〜Fの静電容量センサ3の電極間の静電容量の変化に基づき、操作の有無を検出する。検出部21は、凹み部50に差し入れられた指先等に起因した静電容量の変化を検出し、これにより操作の有無を判断する。このとき、静電容量の変化を検出する際の閾値に応じて検出領域の形成範囲が決定され、閾値が小さいほど検出領域が広範囲となり、閾値が大きいほど検出領域が狭い範囲となる。
【0022】
制御部22は、検出部21により操作が検出された操作スイッチ5に対応する赤外線信号を出力させるように赤外線送信機38を制御する。例えば、臀部シャワーのスタートスイッチ5Bが操作された場合であれば、臀部シャワーのスタート信号が赤外線送信器38から出力される。
【0023】
以上のような構成の本例のリモコン1では、各操作スイッチ5A〜Fの第1電極31が正電位に保持され、第2電極32が基準電位であるゼロボルトに保持されている。上記のごとく、本例では、第2電極32が凹み部50の内周面52から外周に渡って配設されている一方、第1電極31は、凹み部50の底部51に配設されている。このように配設された電極間の電界では、図4のごとく、第1電極31に向けて収束するように電束が形成されている。これにより、各操作スイッチ5A〜Eでは、凹み部50の底部51周辺に電束密度の高い領域が形成されることになる。さらに、本例の静電容量センサ3では、第1電極31の凹み部50に面する表面積が、第2電極32の凹み部50及び操作面10に面する表面積に比べて格段に小さくなっている。そのため、第1電極31周辺で電束がさらに集約されて一層、高密度になっている。
【0024】
加えて、本例の静電容量センサ3では、第1電極31が凹み部50の底部51に奥まって配置されている。そのため、第1電極31周辺の電束の拡がり度合いが抑制されて平行に近くなり、電束密度の高密度領域が底部51の垂直方向、すなわち凹み部50の深さ方向に沿って長細く形成されることになる。これにより、本例の各操作スイッチ5A〜Eでは、図4中のハッチング領域で示すごとく、底部51から開口部55に向けて立設されるような長細く横方向の拡がりを抑えたシャープな検出領域310が形成される。
【0025】
本例のリモコン1の操作スイッチ5A〜Eの横方向の拡がりを抑えた検出領域310によれば、隣り合う他の操作スイッチ5が操作される際に起こり得る、例えば、操作の指とは異なる指を検出してしまったり等の誤検出を未然に抑制できる。また、操作面10から窪んだ凹み部50であれば、操作する側の意図しない動作により手や指先等が入り込むおそれも少ない。
一方、操作する側にとっては、凹み部50が操作する際の目標となり得る。操作の目標があれば、操作位置のばらつきを低減でき、凹み部50に向けて操作の指先等を位置精度高く確実に誘導できる。
【0026】
このように本例のリモコン1は、操作スイッチ5の凹み部50に向けて操作を確実性高く誘導できると共に、その操作を確実性高く検出できる優れた特性の操作入力装置である。
なお、本例では、図5(a)のごとく第1電極31の周囲に全周に渡って第2電極32を配設したが、これに代えて、同図(b)のごとく第1電極31を取り囲むように飛び飛びに離散的に第2電極32を配設したり、同図(c)のごとく第1電極31を挟み込むように第2電極32を対向して配設することも良い。なお、同図では、凹み部50の図示を省略してある。
【0027】
また、本例の第2電極32に代えて、図6(a)のごとく、つば状の縁部322(図2参照)を省いた第2電極32を採用することもできる。さらに、本例では、凹み部50の内周面52において、深さ方向の全域に渡って第2電極32を配設したが、これに代えて、同図(b)のごとく、第2電極32の配設範囲を内周面52の深さ方向の一部に制限しても良い。さらに、本例の凹み部50に代えて、同図(c)のごとく、一定の円形断面を有する凹み部50を採用することも良い。この場合には、円筒形状の第2電極32を採用することができる。
【0028】
さらに、図7に示すごとく、隣り合う操作スイッチ5を近づけて配置すると共に、各操作スイッチ5の第2電極32を一体的に形成することも良い。図7(a)は、つば状の縁部322を介して第2電極32を連結した例である。図7(b)及び(c)は、図6(a)あるいは(c)の操作スイッチ5を近づけて配置すると共に、隣り合う操作スイッチ5の第2電極32を外接させて一体化した例である。
【0029】
なお、本例は、シャワー機能付きの便器を操作するためのリモコン1に関する例であるが、操作対象としては、給湯装置や、空調設備や、給水装置等であっても良い。さらに、本例の操作入力装置を操作対象の機器に組み込むことも可能である。
また、本例の操作入力装置は、6個の操作スイッチ5A〜Fを含むリモコン1であるが、操作スイッチを1個だけ備えた操作入力装置であっても良い。さらに、操作スイッチが1個だけの操作入力装置を水栓等の操作対象に組み込むことも良い。水栓の吐止水スイッチや、流量や温度等を調整するスイッチとして利用可能である。このような操作入力装置を水栓等に組み込む個数は、1個であっても複数であっても良い。必要な数の操作スイッチが予め配設された操作入力装置をユニットとして水栓等に組み込むことも可能である。
【0030】
(実施例2)
本例は、実施例1に基づいて、凹み部50の底部51から立体的に浮き上がって目視される操作マーク400を表示するレンチキュラーシート(立体表示手段)4を追加した例である。この内容について、図8及び図9を参照して説明する。
本例のレンチキュラーシート4は、図8に示すごとく、凹み部50の底部51に配設されている。第1電極31は、レンチキュラーシート4の裏面側に配設されている。
【0031】
レンチキュラーシート4は、立体的に浮き上がって目視される虚像を観者に提示するシート状部材である。レンチキュラーシート4は、レンチキュラーレンズ41と、3D画像シート42と、の2層構造を有している。3D画像シート42は、操作マーク400の元絵の3D画像が透明シートの表面に印刷された画像シートである。3D画像シート42では、左目用の像が印刷された短冊状の左像エリア421と、右目用の像が印刷された短冊状の右像エリア422と、が交互に配置されている。
【0032】
レンチキュラーレンズ41は、1組の左像エリア421及び右像エリア422を覆う畝状の凸部411を、エリア421・422の組毎に複数設けた透明シートである。畝状の凸部411の1本1本は、3D画像シート42の左目用の像を観者の左目の網膜に結像させ、右目用の像を右目の網膜に結像させるレンズ機能を備えている。
【0033】
レンチキュラーレンズ41を介して3D画像シート42を見込んだとき、観者の右目で右目用の像が視認され、左目で左目用の像が視認される。本例の3D画像シート42では、右目用の像、左目用の像として、いわゆる立体視効果を生じるステレオ画像が設定されており、立体的に浮かび上がる操作マーク400を目視させることが可能である。本例では、図9のごとく、各操作スイッチ5の凹み部50の開口部55に操作マーク400が浮かび上がって見えるように立体表示効果の度合いが設定されている。
【0034】
本例のリモコン1では、操作面10と略面一に浮かび上がって目視される操作マーク400に対する非接触操作によって、シャワー機能付きの便器を操作可能である。このリモコン1によれば、平滑な操作面10に対してタッチ操作を行う従来のリモコンとほぼ同様の操作感を非接触操作で実現できる。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
【0035】
なお、浮かび上がり量としては、凹み部50の内側に操作マーク400が立体表示される程度であっても良く、凹み部50から若干飛び出すように操作マーク400が立体表示される程度であっても良い。
また、本例では、レンチキュラーレンズ41を利用して操作マーク400の立体表示を実現したが、立体表示の方法としては、本例のレンチキュラー方式に代えて、スリットや液晶等を利用して左右の目に異なる画像が見えるようにして立体表示を可能とするパララックスバリア(視差バリア)方式や、ホログラムによる立体表示を可能とするホログラフィー方式や、マイクロレンズアレイ等、他の立体表示方法を採用することもできる。
【0036】
(実施例3)
本例は、実施例1のリモコンに基づいて、操作スイッチ5を構成する凹み部50の形状を変更した例である。この内容について、図10〜図12を参照して説明する。
本例のリモコン1では、図10のごとく、その上側面に当たる操作面10に操作スイッチ5A〜Eが配置されている。各操作スイッチ5A〜Eの断面正方形状の凹み部50は、操作面10に開口しているほか、リモコンのおもて面11側の内周面が欠落している。
【0037】
操作スイッチ5A〜Eでは、同図中の破線円内に拡大して示すように、操作面10と平行をなす底面51に沿って第1電極31が配設されている。また、第2電極32は、凹み部50に面する3面の内周面52に沿って配設され、凹み部50を取り囲むように断面略コの字状に形成されている。なお、破線円内の拡大図では、電極構造の理解を容易にするため、リモコン1の外形状を破線で、各電極31、32を実線により図示してある。
【0038】
本例のリモコン1の各操作スイッチ5A〜Eは、操作面10の上方から凹み部50に向けて指先等を近づけて操作しても良いし、内周面が途切れたおもて面11側から凹み部50に向けて指を差し入れて操作することもできる。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
【0039】
なお、図11のごとく、隣り合う操作スイッチ5を近づけて配置することもできる。このとき、隣り合う凹み部50を区画する内周壁520の内部に配設される第2電極32を隣り合う操作スイッチ5の間で共有することも良い。さらに、図12のごとく、本例の凹み部50の形状を図12のごとく変更しても良い。同図(a)は、操作面10における開口形状が半円形状、同図(b)は、同形状が三角形状の例である。なお、図11及び図12では、図10中の破線円内の拡大図と同様、リモコン1の外形状を破線で、各電極31、32を実線により図示してある。さらに、実施例2のような操作マークを立体表示することも良い。この場合、操作面10と略面一をなす操作マークの他に、おもて面11と略面一をなす操作マークを立体表示させることも良い。
【0040】
(実施例4)
本例は、実施例1のリモコンを基にして、操作スイッチ5A〜Cの配設構造を変更した例である。この内容について、図13を参照して説明する。
本例のリモコン1では、トイレルーム側のおもて面に当たる操作面10に溝状の凹み部50が形成されている。断面半円形状の凹み部50は、横方向全域に渡って延設され、その両端においてリモコン1の側面に開口している。本例のリモコン1では、この凹み部50を利用して操作スイッチ5A〜Cが形成されている。
【0041】
凹み部50の底部51には、溝方向における略等間隔の3箇所に第1電極31が配設されている。また、平板を湾曲させたごとき断面半円状の第2電極32が、凹み部50の内周面52に沿うように配設されている。第2電極32には、第1電極31の配設領域を回避するための丸穴320が3箇所、穿孔されている。
【0042】
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
なお、凹み部50の断面形状としては、本例の半円形に代えて、三角形状、台形状、四角形状等であっても良い。
【0043】
以上、実施例1〜4のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形あるいは変更した技術を包含している。
【符号の説明】
【0044】
1…リモコン(操作入力装置)、10…操作面、2…制御基板、21…検出部、22…制御部、3…静電容量センサ、31…第1電極、32…第2電極、38…赤外線送信器、4…レンチキュラーシート(立体表示手段)、400…操作マーク、5…操作スイッチ、50…凹み部、51…底部、52…内周面、55…開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象機器を動作させるための操作を入力する操作入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、対象機器に対する各種の操作を入力するための操作入力装置として、人体を検出可能な静電容量センサを採用した装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。静電容量センサによれば、電位差が設けられた一対の電極間の静電容量の変化に応じて人体を検出可能である。
【0003】
このような静電容量センサを採用した操作入力装置であれば、操作面に対するタッチ操作はもちろん、操作面へのタッチを必要としない非接触操作の検出も可能である。一般に、静電容量センサにおいては、電極間に形成される電界の電束密度が高密度であるほど、人体が近づいたときの静電容量の変化が大きくなり高感度になる傾向がある。
【0004】
しかしながら、前記従来の静電容量センサを採用した操作入力装置では、次のような問題がある。すなわち、老若男女、多様な操作者が確実性高く操作できる操作入力装置を実現するためには、操作位置のばらつき等をある程度吸収できるように検出領域を広く形成する必要がある一方、検出領域を広く形成すると誤検出が誘発され易くなり、操作者が意図しない対象機器の誤作動が発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−291924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、静電容量センサを採用した操作入力装置であって、誤検出が少なく万人が確実性高く操作可能な優れた操作性を備えた操作入力装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、操作を検出する静電容量センサを備えた操作スイッチを含む操作入力装置であって、
前記静電容量センサは、操作面から窪むように設けられた凹み部の底部に配設された第1電極と、
少なくとも前記凹み部の内周面に沿って配設された部分を含むように前記第1電極の周囲に配設された第2電極と、を有し、
前記第1電極の前記凹み部に面する表面積が、前記操作面及び前記凹み部に面する前記第2電極の表面積よりも小さい操作入力装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0008】
本発明の操作入力装置では、前記第1電極の方が前記第2電極よりも表面積が小さく設定されている。そのため、前記第1電極と前記第2電極との間(以下、適宜、電極間という。)では、大面積の前記第2電極から小面積の前記第1電極に向かって次第に電束が収束していくような電界が形成され、前記第1電極周辺の電束密度が高密度になっている。さらに、周辺の電束密度が高くなる前記第1電極は、前記凹み部の底部に奥まって配設されている。それ故、前記操作入力装置では、電束密度が高く高感度な検出領域が前記凹み部の内部を中心として形成されることになる。
【0009】
前記操作面から窪むように設けられた凹み部であれば、操作する側の意図しない動作により手や指先等が入り込むおそれが少ない。それ故、前記凹み部の内部を中心に形成された検出領域においては、上記のような動作が誤って検出されるおそれが少なくなっている。一方、操作する側からすれば、窪んだ前記凹み部が操作する際の目標となり得る。操作の目標があれば、操作する側の操作位置のばらつきを低減でき、操作する指先等を前記凹み部に向けて確実性高く誘導できる。
【0010】
このように、本発明の操作入力装置は、前記凹み部に向けて操作を確実性高く誘導できると共に、該凹み部に向けて行われた操作を確実性高く検出できる優れた操作入力装置である。
【0011】
本発明における静電容量センサの検出対象としては、例えば、指先や手の平や拳や頭や足先などの人体がある。
また、本発明の操作入力装置における凹み部は、底部に対向して位置する開口部を介してのみ外部に連通し、全周に渡って内周面に取り囲まれた完全な凹み部であっても良いが、内周面の一部が欠落した不完全な凹み部であっても良い。また、深さ方向に直交する断面形状は、どのような断面形状(開口部では開口形状)であっても良い。丸形状であっても矩形状であっても三角形状であっても良い。さらに、深さ方向に次第に窄まる錐形状であっても良く、深さによらず略一定の断面形状を呈する筒状であっても良い。開口部の大きさとしては、操作する指先等、被検出対象を収容できる程度の大きさであることが好ましく、さらに好ましくは、被検出対象よりもひと回り大きい程度で大き過ぎないサイズが好ましい。例えば、指先の大きさに適当なサイズで指を差し入れたくなるような凹み部であれば、操作する指先の位置的なばらつきを一層低減できる。
【0012】
また、上記のごとく全周に渡って内周面に取り囲まれた凹み部の場合、前記凹み部の周囲を隙間無く全周に渡って取り囲むように前記第2電極を配設しても良く、周方向において飛び飛びに配置された前記第2電極を配設しても良い。さらに、前記内周面において、深さ方向の全域に渡って前記第2電極を配設することも良いが、前記第2電極の配設範囲を深さ方向の一部に制限することも良い。さらに、前記第2電極としては、前記凹み部の内周面に沿う部分のみによって形成された電極であっても良い。なお、この場合、前記操作面に面する表面積はほぼゼロになる。
【0013】
また、前記操作スイッチを複数備えており、
少なくとも何れか2つの操作スイッチの間で前記第2電極の一部が共有されているか、あるいは少なくとも何れか2つの操作スイッチに対応する前記第2電極が一体的に形成されていることが好ましい(請求項2)。
【0014】
前記操作スイッチを複数備えた操作入力装置では、操作スイッチ間の干渉を回避する必要がある。したがって、操作を確実性高く検出できるという本発明の作用効果が一層有効となる。さらに、上記のように2つの操作スイッチの間で前記第2電極の一部を共有したり、一体的に形成すれば、複数の操作スイッチの配置効率を向上でき、操作スイッチのサイズを十分に確保しつつ装置全体の小型化を実現できる。
【0015】
また、前記凹み部の底部から浮き上がって目視される操作マークを立体的に表示する立体表示手段を備えていることが好ましい(請求項3)。
前記凹み部の底部から浮き上がって目視される操作マークは、上記のごとく凹み部の内部を中心として形成された検出領域を指し示すのに好適である。さらに、前記操作マークを表示すれば、操作する際の目標が一層明確になり操作する側の位置的なばらつきを一層低減できる。なお、前記凹み部の開口部に略一致して前記操作マークを立体表示することも良い。この場合には、操作面にタッチするのと同様の操作感を非接触で実現できるようになる。特に、トイレや台所や洗面台などタッチ操作が敬遠されるような環境に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1における、リモコンを示す斜視図。
【図2】実施例1における、操作スイッチの断面構造を示す断面図(図1におけるA−A線矢視断面図。)。
【図3】実施例1における、リモコンのシステム構成を示すブロック図。
【図4】実施例1における、操作スイッチの検出領域を説明する説明図。
【図5】実施例1における、電極の配設構造を示す説明図。
【図6】実施例1における、その他の電極構造を示す説明図。
【図7】実施例1における、その他の電極構造を示す説明図。
【図8】実施例2における、操作スイッチの断面構造を示す断面図(図1におけるA−A線矢視断面に相当する断面図。)。
【図9】実施例2における、リモコンを示す斜視図。
【図10】実施例3における、リモコンを示す斜視図。
【図11】実施例3における、その他の電極構造を示す説明図。
【図12】実施例3における、その他の操作スイッチを示す斜視図。
【図13】実施例4における、リモコンを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、操作検出用のセンサとして静電容量センサ3を採用したリモコン1に関する例である。内容について、図1〜図7を用いて説明する。
本例のリモコン1は、図示しないシャワー機能付きの便器を操作するための操作入力装置である。このリモコン1は、例えば、トイレルームの壁等、便座に着座する使用者が操作し易い位置に設置される。
【0018】
浅底箱状を呈するリモコン1のおもて面に当たる操作面10には、図1及び図2のごとく、臀部シャワーのスタートスイッチ5Bや停止スイッチ5Aなど6個の操作スイッチ5A〜Fが配置されている。それぞれの操作スイッチ5A〜Fは、操作面10に設けられた凹み部50を利用して形成されている。凹み部50は、直径約25mmの開口部55を介して操作面10に開口すると共に、底部51に向かって次第に内径が小さくなる末窄まりの内部形状を有している。底部51には、直径約15mmの底面が形成されている。
【0019】
各操作スイッチ5A〜Fは、第1電極31と第2電極32との間(以下、適宜、電極間と記載する。)の静電容量の変化を検出する静電容量センサ3を含んで構成されている。
第1電極31は、凹み部50の底部51の略中央に配置されている。凹み部50に面する第1電極31の表面形状は、直径1〜5mmの円形状である。第2電極32は、凹み部50を全周に渡って取り囲むように配設されている。この第2電極32は、底部51に向かって次第に窄まる錐形状部321と、その後端から外周側に延設されたつば状(フランジ状)の縁部322と、を組み合わせた立体形状を有している。第2電極32における錐形状部321が凹み部50の内周面52に沿って配設され、つば状の縁部322が操作面10に沿って配設されている。
【0020】
リモコン1の内部には、図1及び図3のごとく、各操作スイッチ5A〜F及び赤外線送信器38が電気的に接続された制御基板2が収容されている。制御基板2には、各操作スイッチ5A〜Fに対する操作を検出する検出部21、赤外線送信器38を制御する制御部22が配設されている。
【0021】
検出部21は、各操作スイッチ5A〜Fの静電容量センサ3の電極間の静電容量の変化に基づき、操作の有無を検出する。検出部21は、凹み部50に差し入れられた指先等に起因した静電容量の変化を検出し、これにより操作の有無を判断する。このとき、静電容量の変化を検出する際の閾値に応じて検出領域の形成範囲が決定され、閾値が小さいほど検出領域が広範囲となり、閾値が大きいほど検出領域が狭い範囲となる。
【0022】
制御部22は、検出部21により操作が検出された操作スイッチ5に対応する赤外線信号を出力させるように赤外線送信機38を制御する。例えば、臀部シャワーのスタートスイッチ5Bが操作された場合であれば、臀部シャワーのスタート信号が赤外線送信器38から出力される。
【0023】
以上のような構成の本例のリモコン1では、各操作スイッチ5A〜Fの第1電極31が正電位に保持され、第2電極32が基準電位であるゼロボルトに保持されている。上記のごとく、本例では、第2電極32が凹み部50の内周面52から外周に渡って配設されている一方、第1電極31は、凹み部50の底部51に配設されている。このように配設された電極間の電界では、図4のごとく、第1電極31に向けて収束するように電束が形成されている。これにより、各操作スイッチ5A〜Eでは、凹み部50の底部51周辺に電束密度の高い領域が形成されることになる。さらに、本例の静電容量センサ3では、第1電極31の凹み部50に面する表面積が、第2電極32の凹み部50及び操作面10に面する表面積に比べて格段に小さくなっている。そのため、第1電極31周辺で電束がさらに集約されて一層、高密度になっている。
【0024】
加えて、本例の静電容量センサ3では、第1電極31が凹み部50の底部51に奥まって配置されている。そのため、第1電極31周辺の電束の拡がり度合いが抑制されて平行に近くなり、電束密度の高密度領域が底部51の垂直方向、すなわち凹み部50の深さ方向に沿って長細く形成されることになる。これにより、本例の各操作スイッチ5A〜Eでは、図4中のハッチング領域で示すごとく、底部51から開口部55に向けて立設されるような長細く横方向の拡がりを抑えたシャープな検出領域310が形成される。
【0025】
本例のリモコン1の操作スイッチ5A〜Eの横方向の拡がりを抑えた検出領域310によれば、隣り合う他の操作スイッチ5が操作される際に起こり得る、例えば、操作の指とは異なる指を検出してしまったり等の誤検出を未然に抑制できる。また、操作面10から窪んだ凹み部50であれば、操作する側の意図しない動作により手や指先等が入り込むおそれも少ない。
一方、操作する側にとっては、凹み部50が操作する際の目標となり得る。操作の目標があれば、操作位置のばらつきを低減でき、凹み部50に向けて操作の指先等を位置精度高く確実に誘導できる。
【0026】
このように本例のリモコン1は、操作スイッチ5の凹み部50に向けて操作を確実性高く誘導できると共に、その操作を確実性高く検出できる優れた特性の操作入力装置である。
なお、本例では、図5(a)のごとく第1電極31の周囲に全周に渡って第2電極32を配設したが、これに代えて、同図(b)のごとく第1電極31を取り囲むように飛び飛びに離散的に第2電極32を配設したり、同図(c)のごとく第1電極31を挟み込むように第2電極32を対向して配設することも良い。なお、同図では、凹み部50の図示を省略してある。
【0027】
また、本例の第2電極32に代えて、図6(a)のごとく、つば状の縁部322(図2参照)を省いた第2電極32を採用することもできる。さらに、本例では、凹み部50の内周面52において、深さ方向の全域に渡って第2電極32を配設したが、これに代えて、同図(b)のごとく、第2電極32の配設範囲を内周面52の深さ方向の一部に制限しても良い。さらに、本例の凹み部50に代えて、同図(c)のごとく、一定の円形断面を有する凹み部50を採用することも良い。この場合には、円筒形状の第2電極32を採用することができる。
【0028】
さらに、図7に示すごとく、隣り合う操作スイッチ5を近づけて配置すると共に、各操作スイッチ5の第2電極32を一体的に形成することも良い。図7(a)は、つば状の縁部322を介して第2電極32を連結した例である。図7(b)及び(c)は、図6(a)あるいは(c)の操作スイッチ5を近づけて配置すると共に、隣り合う操作スイッチ5の第2電極32を外接させて一体化した例である。
【0029】
なお、本例は、シャワー機能付きの便器を操作するためのリモコン1に関する例であるが、操作対象としては、給湯装置や、空調設備や、給水装置等であっても良い。さらに、本例の操作入力装置を操作対象の機器に組み込むことも可能である。
また、本例の操作入力装置は、6個の操作スイッチ5A〜Fを含むリモコン1であるが、操作スイッチを1個だけ備えた操作入力装置であっても良い。さらに、操作スイッチが1個だけの操作入力装置を水栓等の操作対象に組み込むことも良い。水栓の吐止水スイッチや、流量や温度等を調整するスイッチとして利用可能である。このような操作入力装置を水栓等に組み込む個数は、1個であっても複数であっても良い。必要な数の操作スイッチが予め配設された操作入力装置をユニットとして水栓等に組み込むことも可能である。
【0030】
(実施例2)
本例は、実施例1に基づいて、凹み部50の底部51から立体的に浮き上がって目視される操作マーク400を表示するレンチキュラーシート(立体表示手段)4を追加した例である。この内容について、図8及び図9を参照して説明する。
本例のレンチキュラーシート4は、図8に示すごとく、凹み部50の底部51に配設されている。第1電極31は、レンチキュラーシート4の裏面側に配設されている。
【0031】
レンチキュラーシート4は、立体的に浮き上がって目視される虚像を観者に提示するシート状部材である。レンチキュラーシート4は、レンチキュラーレンズ41と、3D画像シート42と、の2層構造を有している。3D画像シート42は、操作マーク400の元絵の3D画像が透明シートの表面に印刷された画像シートである。3D画像シート42では、左目用の像が印刷された短冊状の左像エリア421と、右目用の像が印刷された短冊状の右像エリア422と、が交互に配置されている。
【0032】
レンチキュラーレンズ41は、1組の左像エリア421及び右像エリア422を覆う畝状の凸部411を、エリア421・422の組毎に複数設けた透明シートである。畝状の凸部411の1本1本は、3D画像シート42の左目用の像を観者の左目の網膜に結像させ、右目用の像を右目の網膜に結像させるレンズ機能を備えている。
【0033】
レンチキュラーレンズ41を介して3D画像シート42を見込んだとき、観者の右目で右目用の像が視認され、左目で左目用の像が視認される。本例の3D画像シート42では、右目用の像、左目用の像として、いわゆる立体視効果を生じるステレオ画像が設定されており、立体的に浮かび上がる操作マーク400を目視させることが可能である。本例では、図9のごとく、各操作スイッチ5の凹み部50の開口部55に操作マーク400が浮かび上がって見えるように立体表示効果の度合いが設定されている。
【0034】
本例のリモコン1では、操作面10と略面一に浮かび上がって目視される操作マーク400に対する非接触操作によって、シャワー機能付きの便器を操作可能である。このリモコン1によれば、平滑な操作面10に対してタッチ操作を行う従来のリモコンとほぼ同様の操作感を非接触操作で実現できる。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
【0035】
なお、浮かび上がり量としては、凹み部50の内側に操作マーク400が立体表示される程度であっても良く、凹み部50から若干飛び出すように操作マーク400が立体表示される程度であっても良い。
また、本例では、レンチキュラーレンズ41を利用して操作マーク400の立体表示を実現したが、立体表示の方法としては、本例のレンチキュラー方式に代えて、スリットや液晶等を利用して左右の目に異なる画像が見えるようにして立体表示を可能とするパララックスバリア(視差バリア)方式や、ホログラムによる立体表示を可能とするホログラフィー方式や、マイクロレンズアレイ等、他の立体表示方法を採用することもできる。
【0036】
(実施例3)
本例は、実施例1のリモコンに基づいて、操作スイッチ5を構成する凹み部50の形状を変更した例である。この内容について、図10〜図12を参照して説明する。
本例のリモコン1では、図10のごとく、その上側面に当たる操作面10に操作スイッチ5A〜Eが配置されている。各操作スイッチ5A〜Eの断面正方形状の凹み部50は、操作面10に開口しているほか、リモコンのおもて面11側の内周面が欠落している。
【0037】
操作スイッチ5A〜Eでは、同図中の破線円内に拡大して示すように、操作面10と平行をなす底面51に沿って第1電極31が配設されている。また、第2電極32は、凹み部50に面する3面の内周面52に沿って配設され、凹み部50を取り囲むように断面略コの字状に形成されている。なお、破線円内の拡大図では、電極構造の理解を容易にするため、リモコン1の外形状を破線で、各電極31、32を実線により図示してある。
【0038】
本例のリモコン1の各操作スイッチ5A〜Eは、操作面10の上方から凹み部50に向けて指先等を近づけて操作しても良いし、内周面が途切れたおもて面11側から凹み部50に向けて指を差し入れて操作することもできる。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
【0039】
なお、図11のごとく、隣り合う操作スイッチ5を近づけて配置することもできる。このとき、隣り合う凹み部50を区画する内周壁520の内部に配設される第2電極32を隣り合う操作スイッチ5の間で共有することも良い。さらに、図12のごとく、本例の凹み部50の形状を図12のごとく変更しても良い。同図(a)は、操作面10における開口形状が半円形状、同図(b)は、同形状が三角形状の例である。なお、図11及び図12では、図10中の破線円内の拡大図と同様、リモコン1の外形状を破線で、各電極31、32を実線により図示してある。さらに、実施例2のような操作マークを立体表示することも良い。この場合、操作面10と略面一をなす操作マークの他に、おもて面11と略面一をなす操作マークを立体表示させることも良い。
【0040】
(実施例4)
本例は、実施例1のリモコンを基にして、操作スイッチ5A〜Cの配設構造を変更した例である。この内容について、図13を参照して説明する。
本例のリモコン1では、トイレルーム側のおもて面に当たる操作面10に溝状の凹み部50が形成されている。断面半円形状の凹み部50は、横方向全域に渡って延設され、その両端においてリモコン1の側面に開口している。本例のリモコン1では、この凹み部50を利用して操作スイッチ5A〜Cが形成されている。
【0041】
凹み部50の底部51には、溝方向における略等間隔の3箇所に第1電極31が配設されている。また、平板を湾曲させたごとき断面半円状の第2電極32が、凹み部50の内周面52に沿うように配設されている。第2電極32には、第1電極31の配設領域を回避するための丸穴320が3箇所、穿孔されている。
【0042】
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
なお、凹み部50の断面形状としては、本例の半円形に代えて、三角形状、台形状、四角形状等であっても良い。
【0043】
以上、実施例1〜4のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形あるいは変更した技術を包含している。
【符号の説明】
【0044】
1…リモコン(操作入力装置)、10…操作面、2…制御基板、21…検出部、22…制御部、3…静電容量センサ、31…第1電極、32…第2電極、38…赤外線送信器、4…レンチキュラーシート(立体表示手段)、400…操作マーク、5…操作スイッチ、50…凹み部、51…底部、52…内周面、55…開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作を検出する静電容量センサを備えた操作スイッチを含む操作入力装置であって、
前記静電容量センサは、操作面から窪むように設けられた凹み部の底部に配設された第1電極と、
少なくとも前記凹み部の内周面に沿って配設された部分を含むように前記第1電極の周囲に配設された第2電極と、を有し、
前記第1電極の前記凹み部に面する表面積が、前記操作面及び前記凹み部に面する前記第2電極の表面積よりも小さい操作入力装置。
【請求項2】
請求項1において、前記操作スイッチを複数備えており、
少なくとも何れか2つの操作スイッチの間で前記第2電極の一部が共有されているか、あるいは少なくとも何れか2つの操作スイッチに対応する前記第2電極が一体的に形成されている操作入力装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記凹み部の底部から浮き上がって目視される操作マークを立体的に表示する立体表示手段を備えた操作入力装置。
【請求項1】
操作を検出する静電容量センサを備えた操作スイッチを含む操作入力装置であって、
前記静電容量センサは、操作面から窪むように設けられた凹み部の底部に配設された第1電極と、
少なくとも前記凹み部の内周面に沿って配設された部分を含むように前記第1電極の周囲に配設された第2電極と、を有し、
前記第1電極の前記凹み部に面する表面積が、前記操作面及び前記凹み部に面する前記第2電極の表面積よりも小さい操作入力装置。
【請求項2】
請求項1において、前記操作スイッチを複数備えており、
少なくとも何れか2つの操作スイッチの間で前記第2電極の一部が共有されているか、あるいは少なくとも何れか2つの操作スイッチに対応する前記第2電極が一体的に形成されている操作入力装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記凹み部の底部から浮き上がって目視される操作マークを立体的に表示する立体表示手段を備えた操作入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−195166(P2012−195166A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58363(P2011−58363)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
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