説明

操作装置

【課題】互いに構造の異なる複数種の操作部材を具備しながらも、高い生産性を有することが可能な操作装置を提供する。
【解決手段】複数の操作部材20と、互いに同一の形状を有し、各操作部材20に共通して用いられ、固定されることが可能な複数の被固定部品30とを備え、操作部材20が、係止孔26fの開口方向が互いに異なるように取付部材1に取付けられる複数種のものを含み、各被固定部品30は、いずれの操作部材20の係止孔26fにも係合可能な形状を有してその係合により被固定部品30を操作部材20に固定する複数の係止突起34とを有し、これらの係止突起34が、各被固定部品20が各操作部材30に対して特定の共通の姿勢にある状態で係止突起34のうちのいずれかが係止孔26fに係合可能となるように、各操作部材20の係止孔26fの開口方向に対応する複数の方向に突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部材と操作部材に固定される被固定部品とを備える操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のインストゥルメントパネル等には、操作部材と操作部材に固定される被固定部品とを備える操作装置が取付けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、パネルに取付けられる押釦スイッチを操作する操作部材と、この操作部材に固定される導光体とを有するスイッチ装置が開示されている。前記操作部材は、導光体を囲む筒状部を有しており、この筒状部の後端部が前記導光体を係止する係止部として機能している。前記導光体は、特定方向に延びる形状を有しており、左右方向に延びる姿勢で前記操作部材に固定されている。具体的には、この導光体の上面には上方に突出する係止突起が設けられている。そして、この導光体は、前記筒状部内に挿入された状態で前記係止突起が前記筒状部の後端部に係止されることで操作部材に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−80231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動車のインストゥルメントパネル等においては、例えば前記特許文献1に記載されるように、複数の操作部材とこれらの操作部材に固定される複数の被固定部品が共通の取付部材(パネル)に取付けられることにより、一つのまとまった操作装置を構成する場合がある。このような操作装置の生産性を高めてそのコストを削減するための手段として、前記各操作装置およびこれらに取付けられる被固定部品の形状および構造を共通化することが有効である。しかし、前記各操作装置は、これらの配置、用途、機能などの関係から全て同一の形状および構造にすることは難しい。かかる事情から形状または構造の互いに異なる複数種の操作部材を具備せざるを得ない場合、これに応じて被固定部品についても互いに形状の異なる複数種のものを用意しなければならないのが実状である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、互いに構造の異なる複数種の操作部材を具備しながらも、高い生産性を有することが可能な操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記のような操作装置の中には、これに含まれる複数の操作部材の形状や構造が互いに異なる場合でも、これらの操作部材に固定される被固定部品には共通のものが使用可能であるものが少なからず存在する(例えば各操作ボタンにその位置を照明により表示するためのインジケータが固定される場合など)。この場合、当該被固定部品の形状を共通化することにより、当該操作装置の生産性を高めることが可能である。しかし、その一方、複数の操作部材の形状や構造が互いに異なることから、それぞれの操作部材において前記被固定部品を固定するための構造を共通化することが困難であるという事情がある。
【0008】
本発明は、このような観点からなされたものであって、被固定部品が固定される部分の構造が互いに異なる複数種の操作部材を具備しながらも、前記被固定部品の形状の共通化を可能にすることにより、高い生産性を有することができる操作装置を提供するものである。具体的に、本発明に係る操作装置は、操作装置であって、共通の取付部材に取付けられる複数の操作部材と、互いに同一の形状を有し、前記各操作部材に共通して用いられ、固定されることが可能な複数の被固定部品とを備え、前記各操作部材には、前記被固定部品を係止するための係止孔がそれぞれ形成されており、前記操作部材には、前記係止孔の開口方向が互いに異なるように前記取付部材に取付けられる複数種のものが含まれ、前記各被固定部品は、本体部と、この本体部から外側に突出するとともにいずれの操作部材の係止孔にも係合可能な形状を有してその係合により当該被固定部品を当該操作部材に固定する複数の係止突起とを有し、これらの係止突起は、前記各被固定部品が前記各操作部材に対して特定の共通の姿勢にある状態で当該係止突起のうちのいずれかが当該操作部材の係止孔に係合可能となるように、前記本体部から前記各操作部材の係止孔の開口方向に対応する複数の方向に突出することを特徴とする操作装置を提供する。
【0009】
この操作装置では、操作部材に係止孔の開口方向が互いに異なる種類のものを含むとともに、これら操作部材にそれぞれ共通の姿勢で被固定部品を固定しなければならない場合においても、被固定部品の形状の共通化が可能であって、これにより生産性を高めることができる。すなわち、この操作装置では、複数の係止孔の開口方向に対応して係止突起が複数の方向に突出しており、開口方向に対応した係止突起を係止孔に係合することで、被固定部品の姿勢を操作部材によらず共通に保つことができる。
【0010】
例えば、前記各被固定部品の本体部が、180度反転しても同一の形状を保つ略長方形断面を画定する一対の長辺側側面および一対の短辺側側面を有し、前記係止突起が、前記本体部の2つの長辺側側面のうちの少なくとも一方および前記短辺側側面の少なくとも一方から前記被係止突起が突出するものであれば、前記係止孔の開口方向が90度ずつ異なる最大で4種類の操作部材に対して、共通の被固定部品を使用しつつ、各被固定部品の姿勢を共通に保つことができる。
【0011】
この場合には、特に、前記一対の長辺側側面および前記一対の短辺側側面のうちの少なくとも一方については、その対をなす側面のうちのいずれか一方にのみから前記被係止突起が突出するように構成されるのが好ましい。このように一部の係止突起を省略しても、被固定部品を180度回転させることで被固定部品の本体部を同一の姿勢で操作部材に固定することができる。従って、係止突起の数を少なくしながら不都合なく被固定部品を固定することができる。
【0012】
また、本発明において、前記各操作部材は、前記長辺側側面および前記短辺側側面にそれぞれ対向する内側面を有する複数の保持壁を有し、前記複数の保持壁のうちのいずれかが前記係止孔を有する係止壁であり、前記被固定部品は、この被固定部品の本体部が前記保持壁で囲まれた領域に挿入された状態で前記係止壁の係止孔と係合することが可能な位置に前記被係止突起を有するのが好ましい。
【0013】
このようにすれば、各被固定部品を保持壁で囲まれた領域に挿入することで、各被固定部品が特定の姿勢となる状態で前記係止孔と係止突起との係合を確実に行なうことができる。
【0014】
また、本発明において、前記保持壁のうち前記係止壁を除く非係止壁には、前記係止孔に前記被固定部品のいずれかの被係止突起が係合された状態でそれ以外の被係止突起と当該非係止壁との接触を回避する形状の切欠が形成されているのが好ましい。
【0015】
このようにすれば、係止孔に係合されない係止突起と非係止壁との接触を回避して被固定部品を前記保持部内に安定して保持することができる。
【0016】
本発明は、例えば、前記複数の操作部材として、前記取り付け部材のうち押圧操作を受けることが可能な位置にそれぞれ取付けられて周方向に並ぶ複数の押しボタンを有するとともに、前記各被固定部品として、その本体部の長辺方向に並ぶ複数のスリットが形成された発光面を有して前記各操作部材のインジケータを構成する複数の導光部材とを有し、、前記各押しボタンが、前記保持部を囲む外壁をそれぞれ有するものに好適である。この場合には、前記各外壁が、前記各押しボタンが前記取り付け部材に取付けられた状態において径方向外側に位置して周方向に延びる外周壁をそれぞれ有し、前記係止孔が、前記保持部の側壁のうち前記各押しボタンが前記取り付け部材に取付けられた状態において前記外周壁に近い位置に配置される側壁に形成されていればよい。
【0017】
この装置では、押しボタンを周方向に配列させつつ、全ての導光部材をその長辺側側面が上下方向を向き前記スリットが水平方向を向く姿勢で各操作部材に固定することができ、全ての押しボタンのインジケータにおいて光を均一に水平方向に拡散させて表示効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、互いに構造の異なる複数種の操作部材を具備しながらも、高い生産性を有する操作装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る操作装置の概略分解斜視図である。
【図2】図1に示す操作装置の背面図である。
【図3】図1に示す操作装置の一部の概略分解斜視図である。
【図4】図1に示す操作装置の一部の概略分解斜視図である。
【図5】図1に示す操作装置の導光体の概略斜視図である。
【図6】図5に示す導光体の正面図である。
【図7】図2のA−A線断面図である。
【図8】図7の部分拡大図である。
【図9】係止突起と非係止壁との接触を回避するための他の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
ここでは、本発明に係る操作装置10が車両のインストゥルメントパネル1(取付部材)に取付けられる場合について説明する。
【0022】
図1は前記操作装置10の概略斜視図である。
【0023】
前記操作装置10は、8個の押しボタン(操作部材)20(20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h)と、これら押しボタン20にそれぞれ固定される8個の導光体(被固定部品)30とを有している。これら導光体30は、照明用光源40(図7参照)の光を押しボタン20の表側に導くためのものである。これら導光体30は、互いに同一の形状、構造を有しており、前記押しボタン20に対して共通して使用、固定される。
【0024】
前記各押しボタン20は、それぞれ図示しないスイッチ素子を押圧操作するためのものである。これら押しボタン20は周方向に並ぶ状態でインストゥルメントパネル1に取り付けられて、図2等に示すように、全体としてドーナツ状を形作る。これら押しボタン20は、ほぼ同様の構造を有している。これら押しボタン20は、図3および図4に示すように、前面パネル22と、外壁24と、導光体保持部26と、圧部28とをそれぞれ有している。
【0025】
前記前面パネル22は、使用者によって操作される部分である。この前面パネル22には、この前面パネル22を前後方向に貫通するインジケータ用孔22aが形成されている。このインジケータ用孔22aは、前記導光体30の後述するプリズム部33が挿入され部分である。このインジケータ用孔22aはこのプリズム部33に対応して略長方形状を有している。
【0026】
前記外壁24は、前記前面パネル22の外側端から後方に向かって突出する形状を有している。具体的には、この外壁24は、4枚の壁すなわち押しボタン20がインストゥルメントパネル1に取付けられた状態で径方向外側に位置して周方向に延びる外周壁24aと、径方向内側に位置して周方向に延びる内周壁24bと、この外周壁24aの上端と内周壁24bの上端との間で径方向に延びる上側壁24cと、この外周壁24aの下端と内周壁24bの下端との間で径方向に延びる下側壁24dとを有している。
【0027】
前記押圧部28は、前記前面パネル22に加えられた操作力を前記スイッチ素子に伝達してスイッチ素子を押圧操作するためのものである。この押圧部28は、前記外壁24の外周壁24aの後端面からさらに後方に突出する形状を有している。この押圧部28は、前記前面パネル22が押圧操作されることで後方にスライド変位し、前記スイッチ素子を押圧操作する。
【0028】
前記導光体保持部26は、前記導光体30を保持するためのものである。この導光体保持部26は、前記外壁24で囲まれた部分に設けられている。この導光体保持部26は、前記前面パネル22の後側面のうち前記インジケータ用孔22aを囲む部分から後方に延びる略角筒状を有している。この導光体保持部26は、その内側に前記導光体30が挿入されることでこの導光体30を前記前面パネル22の後側に保持する。具体的には、この導光体保持部26は、4枚の保持壁すなわち押しボタン20がインストゥルメントパネル1に取り付けられて前記導光体30が挿入された状態でこの導光体30の上側に位置して左右方向に延びる上側保持壁26aと、導光体30の下側に位置して左右方向に延びる下側保持壁26bと、この上側保持壁26aの右端と下側保持壁26bの右端との間で上下方向に延びる右側保持壁26cと、この上側保持壁26aの左端と下側保持壁26bの左端との間で上下方向に延びる左側保持壁26dとを有している。
【0029】
前記導光体保持部26の4枚の保持壁のうち1つの保持壁には、この保持壁の表裏を貫通する係止孔26fが形成されている。この係止孔26fは、前記導光体30の後述する係止突起34と係合する部分である。前記導光体30は、その係止突起がこの係止孔26fと係合することで、この導光体保持部26の内側に固定される。前記係止孔26fが形成される保持壁および係止孔26fの開口方向は、押しボタン20の取付け位置に応じて異なってる。
【0030】
すなわち、前記保持部26は前記外壁24で囲まれた部分に設けられている。そのため、この保持部26と外壁24とを例えば金型内での樹脂成形にて一体に形成し、かつ、この保持部26に係止孔26fを開けようとすると、金型の構造上、前記外壁24に係止孔形成用の孔を形成する必要がある。ただし、外壁24のうち上側壁24aと下側壁24bとはそれぞれ他の押しボタンと隣接している。そのため、これらの壁に孔を開けると、この孔から漏れた光が他の押しボタンを不適切に照明するおそれがある。また、外壁24のうち内周壁24bは、他の押しボタンの内周壁24bと対向している。そのため、この内周壁24bに孔を開けた場合にも他の押しボタンを不適切に照明するおそれがある。そこで、本操作装置1では、外壁24のうち外周壁24aに係止孔形成用の孔22fが形成されている。そして、この係止孔形成用の穴22fに対応して、前記係止孔26fは前記係止孔形成用の孔22fが形成された外壁24の外周壁24aに近い側壁に、この外周壁24aに向かって開口するよう形成されている。
【0031】
そして、前記外壁24の外周壁24bは周方向に沿って延びている。そのため、押しボタン20が取付けられる位置によって、各押しボタン20の外周壁24aの上下左右方向の向きは異なり、これに応じて、前記係止孔26fが形成される保持壁および係止孔26fの開口方向が異なっている。
【0032】
具体的には、8つの押しボタン20のうち、上側に取付けられる第1押しボタン20aおよび第8押しボタン20hでは、各外周壁24aはそれぞれ前面パネル22の上端側に位置して略水平方向に延びている。そのため、これら第1押しボタン20aおよび第2押しボタン20bでは、前記係止孔26fは、前記保持部26の保持壁のうち上側に設けられた上側保持壁26aに上下方向に開口するよう形成されている。一方、上下中央付近の左側に取付けられる第2押しボタン20bおよび第3押しボタン20cでは、各外周壁24aはそれぞれ前面パネル22の左端側に位置して略垂直方向に延びている。そのため、これら第3押しボタン20aおよび第4押しボタン20bでは、前記係止孔26fは、前記保持壁のうち左側に設けられた左側保持壁26dに左右に開口するよう形成されている。同様に、第4押しボタン20dおよび第5押しボタン20eでは、係止孔26fは、前記下側保持壁26bに上下に開口するよう形成されている。また、第6押しボタン20fおよび第7押しボタン20gでは、係止孔26fは、前記右側保持壁26cに左右に開口するよう形成されている。
【0033】
図7に示すように、前記保持部26の保持壁のうち前記係止孔26fが形成された係止壁を除く非係止壁の前後方向の長さは、前記係止壁の長さよりも短く、これら非係止壁の後端は前記係止孔26fが形成される位置よりも前側に位置している。
【0034】
前記導光体30は、前述のように、照明用光源の光を押しボタン20の表側に導くものである。この照明用光源は、例えば、スイッチ素子の出力に応じて点灯する。この導光体30は、導光体本体部(本体部)32と、係止突起34とを有している。
【0035】
前記導光体本体部32は、前後方向に延びる略直方体状を有し、長方形断面を画定する一対の長辺側側面32a、32bと、一対の短辺側側面32c、32dとを有している。この導光体本体部32の前部には、インジケータとして機能するプリズム部33が設けられている。このプリズム部33は、直方体状であって、その長方形断面の長辺がこの導光体本体32の長辺方向と同じ方向に延びる形状を有している。この導光体30が前記保持部26の内側に挿入された状態において、このプリズム部33は前記インジケータ用孔22a内に挿入される。そして、このプリズム部33の前端面33aは、このインジケータ用孔22を介して外部に露出して発光面として機能する。このプリズム部33の前端面33aにはこの導光体本体部32の長辺方向に並ぶ複数のスリットが形成されており、前記照明用光源の光はこの前端面33aにおいて長辺方向に拡散する。
【0036】
前記係止突起34は、前記保持部26に形成された係止孔26fと係合する部分である。この係合により、前記導光体30は、前記プリズム部33が前記インジケータ用孔22a内に挿入された状態で前記保持部26内に固定される。本操作装置1では、1つの導光体30に対して3つの係止突起(第1係止突起34a、第2係止突起34c、第3係止突起34d)が設けられている。これら係止突起34a,34c、34dは、それぞれ導光体本体部部32の側面から外側に突出する形状を有している。具体的には、第1係止突起34aは、前記導光体本体部32の長辺側側面の一方の面32aに設けられており、第2係止突起34cおよび第3係止突起34dは、前記導光体本体部32の短辺側側面の各側面32c、32dにそれぞれ設けられている。これら第1係止突起34a、34c、34dは前記導光体本体部32の前端面からの距離が同じ位置に設けられている。
【0037】
ここで、操作装置10がインストゥルメントパネル1に取付けられる本実施形態では、インジケータが運転者等に対して高い表示効果を有するために、前記プリズム部33において光が水平方向に拡散し、かつ、全ての押しボタン20において前記プリズム部33の発光量が均一であることが求められる。そのため、全ての導光体30がその導光体本体32の長辺が水平に延びるような姿勢すなわち導光体本体部32の長辺側側面が上下方向を向く姿勢(以下特定の姿勢という)となるよう固定されることが求められる。なお、本実施形態では、前記プリズム部33および導光体本体部32は180度反転した状態で同じ形状を有しており、一対の長辺側側面のうちいずれの面が上方を向いていてもよい。
【0038】
一方、本操作装置10では、前述のように、前記保持部24の保持壁のうち前記係止孔26fが形成された保持壁の上下左右の位置および係止孔の開口方向が押しボタン20毎に異なっている。そのため、特許文献1に開示されているような導光体の一側面にのみ係止突起が設けられている従来の構成では、係止孔と係合する係止突起を前記長辺側側面に設けた導光体と、前記短辺側側面に設けた導光体との2種類の導光体を準備して、押しボタン毎に対応する導光体を固定する必要がある。そのため、この従来の構成では、2種類の導光体を製造せねばならないとともに押しボタンの種類に応じて異なる導光体を取り付けねばならず取り付けの手間がかかる。
【0039】
これに対して、本操作装置10では、導光体30に3つの係止突起34が設けられており、同じ種類の導光体30を用いつつ全ての導光体30を前記特定の姿勢で前記保持部26内に固定することができる。すなわち、導光体30を前記特定の姿勢とした状態において、前記第1係止突起34aは上方に突出し、前記第2係止突起34bは右側に突出し、前記第3係止突起34dは上方に突出しており、係止孔26fが上側保持壁26a、右側保持壁26b、左側保持壁26cのいずれに形成されている場合においても導光体30を前記特定の姿勢としたまま係止突起34と係止孔26fとを係合することができる。また、導光体30を180度回転させて前記第1係止突起34aを下方に突出させることで、第1係止突起34aを下側保持壁26bに形成された係止孔26fと係合させることができる。前述のように、導光体本体部32は180度回転させても同じ形状を保つため、この場合にも前記導光体30を前記特定の姿勢とすることができる。このようにして、本操作装置10では、多種類の導光体30を製造することなく、前記プリズム部33において照明用光源40の光を水平方向に拡散し、かつ、全ての押しボタン20において前記プリズム部33の発光量を均一にすることができる。そして、同種の導光体30を利用することで、各押しボタン20に導光体30を容易に固定することができ、取り付けの手間を抑えることができる。
【0040】
ここで、前述のように、前記保持部26の保持壁のうち係止孔26fが形成されていない非係止壁の後端は前記係止孔26fが形成される位置よりも前側に位置している。そのため、図7に示すように、保持部26内に導光体30が挿入された状態において、係止孔26fと係合しない係止突起34と非係止壁との接触が回避され、この接触により導光体30が保持部26内でがたつくのが回避される。また、導光体30の保持部26への挿入を容易に行うことができる。
【0041】
なお、前記係止突起34は、各側面から外側に突出して前記係止孔26fと係合することで前記導光体30を固定できるものであれば、それ以外の詳細な形状は特に限定されないが、本操作装置10では、図8に示すように、係止突起34の後端面34fが前方に向かうに従って各側面からの突出量が増加するように傾斜しており、導光体30の保持部内でのがたつきが抑制されている。すなわち、後端面34fがこのように傾斜していると、この後端面34fが保持部の側壁と前後方向に当接した際に、前方向の力に加えて突出方向と反対の方向の力が加えられるため、導光体30がこの突出方向にがたつくのが抑制される。
【0042】
以上のように、本操作装置10では、押しボタン20に応じて開口方向の異なる係止孔26fに対応して導光体30に互いに異なる方向に突出する複数の係止突起34が設けられており、前記係止孔26fの開口方向に対応した係止突起34が係止孔26fと係合することで、各押しボタン20において導光体30を同じ姿勢に固定することができる。
【0043】
ここで、前記係止突起34は、導光体30のうち長辺側側面32a、32bのいずれか一方と短辺側側面32c、32dのいずれか一方にのみ設けられていてもよい。また、全ての側面に設けられていてもよい。ただし、導光体30が180度回転しても同じ形状を保つ場合には、係止突起34を長辺側側面32a、32bのいずれか一方と短辺側側面32c、32dのいずれか一方にのみに設けることで係止突起34の数を減らすのがよい。
【0044】
前記保持部26は省略可能である。ただし、この保持部26を設けるとともにこの保持壁に係止孔26fを形成すれば、導光体30をこの保持部26内に挿入することで導光体30を特定の姿勢としつつ係止突起34と係止孔26fとを確実に係合させることができる。
【0045】
また、保持部26において、係止孔26fと係合しない係止突起34と非係止壁との接触を回避するための具体的構成は前記に限らない。例えば、図9に示すように、非係止壁を斜視壁と同じ長さとしつつこの非係止壁の後部のうち係止突起34と対向する部分を含む部分を前方に向かって切欠くことで、前記接触を回避するようにしてもよい。
【0046】
前記導光体本体部32の具体的形状は前記に限らない。例えば、断面が他の多角形を有していてもよい。また、180度回転することで同じ姿勢となるものでなくてもよい。
【0047】
また、本発明における操作部材は前記押しボタン20に限らない。また、本発明における被固定部品は前記導光体30に限らない。
【符号の説明】
【0048】
1 インストゥルメントパネル(取付部材)
10 操作装置
20 押しボタン(操作部材)
26 保持部
26f 係止孔
30 導光体(被固定部品)
32 導光体本体部
34 係止突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作装置であって、
共通の取付部材に取付けられる複数の操作部材と、
互いに同一の形状を有し、前記各操作部材に共通して用いられ、固定されることが可能な複数の被固定部品とを備え、
前記各操作部材には、前記被固定部品を係止するための係止孔がそれぞれ形成されており、
前記操作部材には、前記係止孔の開口方向が互いに異なるように前記取付部材に取付けられる複数種のものが含まれ、
前記各被固定部品は、本体部と、この本体部から外側に突出するとともにいずれの操作部材の係止孔にも係合可能な形状を有してその係合により当該被固定部品を当該操作部材に固定する複数の係止突起とを有し、
これらの係止突起は、前記各被固定部品が前記各操作部材に対して特定の共通の姿勢にある状態で当該係止突起のうちのいずれかが当該操作部材の係止孔に係合可能となるように、前記本体部から前記各操作部材の係止孔の開口方向に対応する複数の方向に突出することを特徴とする操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の操作装置において、
前記各被固定部品の本体部は、180度反転しても同一の形状を保つ略長方形断面を画定する一対の長辺側側面および一対の短辺側側面を有し、
前記係止突起は、前記本体部の2つの長辺側側面のうちの少なくとも一方および前記短辺側側面の少なくとも一方から前記被係止突起が突出することを特徴とする操作装置。
【請求項3】
請求項2に記載の操作装置において、
前記一対の長辺側側面および前記一対の短辺側側面のうちの少なくとも一方については、その対をなす側面のうちのいずれか一方にのみから前記被係止突起が突出することを特徴とする操作装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の操作装置において、
前記各操作部材は、前記長辺側側面および前記短辺側側面にそれぞれ対向する内側面を有する複数の保持壁を有し、
前記複数の保持壁のうちのいずれかが前記係止孔を有する係止壁であり、
前記被固定部品は、この被固定部品の本体部が前記保持壁で囲まれた領域に挿入された状態で前記係止壁の係止孔と係合することが可能な位置に前記被係止突起を有することを特徴とする操作装置。
【請求項5】
請求項4に記載の操作装置において、
前記保持壁のうち前記係止壁を除く非係止壁には、前記係止孔に前記被固定部品のいずれかの被係止突起が係合された状態でそれ以外の被係止突起と当該非係止壁との接触を回避する形状の切欠が形成されていることを特徴とする操作装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれかに記載の操作装置において、
前記複数の操作部材として、前記取り付け部材のうち押圧操作を受けることが可能な位置にそれぞれ取付けられて周方向に並ぶ複数の押しボタンを有するとともに、前記各被固定部品として、その本体部の長辺方向に並ぶ複数のスリットが形成された発光面を有して前記各操作部材のインジケータを構成する複数の導光部材とを有し、
前記各押しボタンは、前記保持部を囲む外壁をそれぞれ有し、
前記各外壁は、前記各押しボタンが前記取り付け部材に取付けられた状態において径方向外側に位置し周方向に延びる外周壁をそれぞれ有し、
前記係止孔は、前記保持部の側壁のうち前記各押しボタンが前記取り付け部材に取付けられた状態において前記外周壁に近い位置に配置される側壁に形成されており、
前記各導光部材は、その本体部の長辺側側面が上下方向を向く姿勢で前記各操作部材に固定されることを特徴とする操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−225324(P2010−225324A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68622(P2009−68622)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】