説明

操作量検出装置

【課題】操作量検出装置において、構造を簡素化して製造コストの低減を可能とする一方で荷重制限機能を構成可能とする。
【解決手段】ブレーキペダル11と操作ロッド15を連結軸18により連結し、弾性部材21の各端部22a,22bを連結軸18に対して操作ロッド15の軸線方向に対して交差する方向に離間したブレーキペダル11の各凸部25,26に接触して支持し、弾性部材21の中間部を連結軸18及び連結孔11aにより相対変位可能に連結し、弾性部材21にその弾性変形量を検出してブレーキ操作量として出力する歪センサ30a,30b,31a,31bを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキペダルなどの操作部材の回動動作を操作ロッドの直線動作に変換して操作対象部材に伝達する操作量を検出する操作量検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両のブレーキ装置として、ブレーキペダルから入力された操作量(ペダルストロークや踏力など)に応じてブレーキ装置による制動力、つまり、このブレーキ装置を駆動するホイールシリンダへ供給する制動油圧を電気的に制御する電子制御式ブレーキ装置としてECB(Electronically Controlled Brake)が知られている。
【0003】
このECBは、ポンプによって昇圧した油圧をアキュムレータに蓄えておき、運転者の制動要求に応じて調圧制御して制動油圧としてのホイールシリンダに供給するものである。即ち、運転者がブレーキペダルを踏み込むと、マスタシリンダがその操作量に応じた油圧を発生すると共に、作動油の一部がストロークシミュレータに流れ込み、ブレーキペダルの踏力に応じたブレーキペダルの操作量が調整される一方、ブレーキECUはペダルストロークに応じて車両の目標減速度を設定し、各車輪に付与する制動力分配を決定し、アキュムレータから各ホイールシリンダに対して所定の油圧を付与するようにしている。
【0004】
このような電子制御式ブレーキ装置では、ブレーキペダルから入力された操作量(ペダルストロークや踏力など)を高精度に検出する必要がある。従来のブレーキペダルの操作量検出装置としては、下記特許文献1、2に記載されたものがある。
【0005】
特許文献1に記載された操作力関連信号出力装置は、ブレーキ操作部材に、このブレーキ操作部材と入力ロッドとの相対移動により入力ロッドの軸線と直角な一軸線のまわりに回動する回動部材を取付け、弾性部材によりブレーキ操作部材と入力ロッドとをその入力ロッドの軸方向において互いに離間する向きに付勢し、ブレーキ操作部材と回動部材との間にそれらの相対移動により作動して操作力に関連した信号を出力する信号出力装置を設けたものである。また、特許文献2に記載されたブレーキ操作力検出装置は、装置本体に相対移動可能な検出子を保持し、その検出子と機械的に連携させられて検出子からの荷重を検出する荷重検出器とを設け、運転者により操作されるブレーキ操作部材のブレーキ操作力を検出するものであって、検出子の移動量に対する荷重検出器の出力の比を検出子の移動量が大きい状態において小さい状態より小さくする非線形特性付与装置を設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3453507号公報
【特許文献2】特開2001−018768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来のブレーキペダルの操作量検出装置では、ブレーキ操作部材の操作力を検出子に伝達するための回動レバーが必要となり、また、この回動レバーに対して荷重制限機構などにより検出に必要な荷重のみを取り出す機構も必要となる。そのため、検出機構や荷重制限機構などの構造が複雑となり、製造コストが上昇してしまう。また、構造の複雑化によりメンテナンス性が低下してしまうという問題もある。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためのものであって、構造を簡素化して製造コストの低減を可能とする一方で荷重制限機能を構成可能とする操作量検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の操作量検出装置は、操作部材の回動動作を操作ロッドの直線動作に変換して操作対象部材に伝達される操作量を検出する操作量検出装置において、前記操作部材と前記操作ロッドを連結する連結軸と、一方側が前記連結軸に対して前記操作ロッドの軸線方向に対して交差する方向に離間した前記操作部材の凸部に接触して支持され、他方側が前記連結軸に連結される弾性部材と、該弾性部材の弾性変形量を検出して操作量として出力する検出部と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の操作量検出装置では、前記弾性部材は、長手方向における中間部が前記他方側として前記連結軸に連結され、長手方向における各端部が前記一方側として前記操作部材の凸部に接触して支持されることを特徴としている。
【0011】
本発明の操作量検出装置では、前記操作部材と前記弾性部材とが近接する方向に付勢する付勢部材が設けられることを特徴としている。
【0012】
本発明の操作量検出装置では、前記弾性部材の端部または前記操作部材の凸部に、前記弾性部材と前記操作部材との長手方向における相対移動を規制する拘束部が設けられることを特徴としている。
【0013】
本発明の操作量検出装置では、前記弾性部材に可動子が固定され、該可動子は、前記連結軸と前記操作ロッドの軸線方向に対して相対移動可能に連結されることを特徴としている。
【0014】
本発明の操作量検出装置では、前記可動子と前記連結軸との相対移動量を規制する規制部が設けられることを特徴としている。
【0015】
本発明の操作量検出装置では、前記弾性部材における前記連結軸と前記凸部との間に、前記検出部としての歪センサが設けられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の操作量検出装置によれば、操作部材と操作ロッドを連結する連結軸と、一方側が連結軸に対して操作ロッドの軸線方向に対して交差する方向に離間した操作部材の凸部に接触して支持されて他方側が連結軸に連結される弾性部材と、弾性部材の弾性変形量を検出して操作量として出力する検出部とを設けている。従って、構造を簡素化して製造コストの低減を可能とすることができる一方で、荷重制限機能を構成可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る操作量検出装置を表す一部を切り欠いた要部正面図である。
【図2】図2は、実施例1の操作量検出装置における連結部の構造を表す図1のII−II断面図である。
【図3】図3は、実施例1の操作量検出装置の全体構成を表す正面図である。
【図4】図4は、本発明の実施例2に係る操作量検出装置を表す一部を切り欠いた要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る操作量検出装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の実施例1に係る操作量検出装置を表す一部を切り欠いた要部正面図、図2は、実施例1の操作量検出装置における連結部の構造を表す図1のII−II断面図、図3は、実施例1の操作量検出装置の全体構成を表す正面図である。
【0020】
実施例1の操作量検出装置において、図3に示すように、操作部材としてのブレーキペダル11は、上端部が図示しない車体に固定される取付ブラケット12に回動軸13により回動自在に吊り下げ支持されており、下端部に乗員が踏み込み可能なペダル14が装着されている。一方、操作ロッド15は、先端部がブレーキ装置(図示略)を作動制御する操作対象部材としての図示しないマスタシリンダ及びブレーキブースタに連結されている。
【0021】
また、操作ロッド15は、基端部がクレビス16に螺合し、ロックナット17によりその弛緩が防止されている。このクレビス16は、二股部16a,16b(図2参照)を有しており、ブレーキペダル11の中間部におけるその両側に、この二股部16a,16bが所定間隔をもって位置し、連結軸18がブレーキペダル11及び二股部16a,16bを貫通することで、互いに回動自在に連結されている。
【0022】
従って、乗員がブレーキペダル11を踏み込むと、このブレーキペダル11が回動軸13を介して回動し、その操作量(操作力)が連結軸18及びクレビス16を介して操作ロッド15に伝達されることで、この操作ロッド15が軸方向に移動し、ブレーキブースタ及びマスタシリンダを作動させることができる。
【0023】
実施例1の操作量検出装置は、ブレーキペダル11の回動動作を操作ロッド15の直線動作に変換してマスタシリンダ及びブレーキブースタに伝達される操作量として、ブレーキペダルストローク(または、ブレーキペダル踏力)を検出するものである。そして、実施例1では、上述したブレーキペダル11に対して、操作量検出ユニット20が一つのモジュールとして装着可能となっている。
【0024】
ここで、この操作量検出ユニット20について詳細に説明する。
【0025】
操作量検出ユニット20において、図1及び図2に示すように、操作ロッド15が連結されるクレビス16は、二股部16a,16bが、ブレーキペダル11の中間部におけるその板厚方向の両側に所定間隔をもって配置され、この二股部16a,16bにそれぞれ連結孔16c,16dが形成され、また、ブレーキペダル11には、連結孔11aが形成されている。そして、頭部18aを有する連結軸18が、二股部16a,16bの一方側から各連結孔16c,16d及び連結孔11aを貫通し、先端部にクリップ18bが係止することで抜け止めが施されている。
【0026】
弾性部材21は、金属または合成樹脂などにより製造され、所定厚さを有すると共に、ブレーキペダル11の長手方向に沿って所定長さを有し、所定の荷重により弾性変形可能に構成されている。この弾性部材21は、ブレーキペダル11の前端側に、ブレーキペダル11の長手方向に沿って延設される板形状をなす本体部22と、この本体部22における長手方向の中間部からブレーキペダル11の各平面部に沿うようにほぼ直角に折曲される一対のレバー部23a,23bとから構成されている。
【0027】
本実施例にて、弾性部材21は、上端部及び下端部が本発明の一方側であり、中間部が本発明の他方側であり、この中間部に本発明の可動子としてのレバー部23a,23bが一体に設けられている。この場合、弾性部材21を、一つの板材料をプレス成形等により本体部22とレバー部23a,23bとが一体となるように構成したが、平板形状をなす本体部にコ字形状をなすレバー部をボルトや溶接により接合することで、別部材により弾性部材を構成してもよい。
【0028】
弾性部材21におけるレバー部23a,23bは、ブレーキペダル11におけるその板厚方向の両側に所定間隔をもって位置している。そして、連結軸18が、クレビス16の二股部16a,16bとブレーキペダル11の連結孔11aと共に、レバー部23a,23bの支持孔24a,24bを貫通することで、クレビス16とブレーキペダル11と弾性部材21が相対的に回動自在に連結される。
【0029】
また、弾性部材21における本体部22は、レバー部23a,23bに対して、各端部22a,22bがブレーキペダル11における長手方向の上方及び下方に延出している。一方、ブレーキペダル11は、その前端側に、弾性部材21における本体部22の各端部22a,22bに対向して凸部25,26が一体に形成されている。また、ブレーキペダル11と弾性部材21との間には、付勢部材としての樹脂製のクリップ27が架設されており、このクリップ27の付勢力(弾性力)により、弾性部材21がブレーキペダル11に接近する方向に付勢支持されている。
【0030】
このクリップ27は、コ字形状をなし、ブレーキペダル11の後端側を跨ぐように配置され、各端部に形成された係止部27a,27bが弾性部材21におけるレバー部23a,23bに形成された係止孔28a,28bに係止している。そのため、弾性部材21は、クリップ27の付勢力によりブレーキペダル11側に付勢され、本体部22における各端部22a,22bが、ブレーキペダル11における各凸部25,26に当接(接触)して支持されている。
【0031】
この場合、弾性部材21は、上端部及び下端部(一方側)が連結軸18に対して操作ロッド15の軸線方向に対して交差(直交)する方向(ブレーキペダル11の長手方向)に離間したブレーキペダル11の凸部25,26に当接して支持され、他方側(中間部)が連結軸18に連結されている。また、弾性部材21は、長手方向における他方側(中間部)にレバー部23a,23bが一体に設けられ、このレバー部23a,23bが連結軸18に連結されている。
【0032】
また、ブレーキペダル11の連結孔11aは、真円であって、その内径は、連結軸18の外径より若干大きく設定されており、両者の間には、所定隙間が形成されている。そのため、弾性部材21(レバー部23a,23b)は、連結孔11aに対してこの所定隙間だけ操作ロッド15の軸線方向に沿って相対移動可能となると共に、連結孔11aと連結軸18が本発明の規制部として機能することで、相対移動量が規制される。
【0033】
また、連結軸18上において、ブレーキペダル11と弾性部材21のレバー部23a,23bとは、連結軸18の軸方向に沿って所定隙間(相対移動量)CLだけ相対変位可能に連結されている。
【0034】
弾性部材21は、レバー部23a,23bにおけるブレーキペダル11に対向する面であって、連結軸18と凸部25,26との間に、4つの歪センサ(検出部)30a,30b,31a,31bが装着されている。この歪センサ30a,30b,31a,31bは、操作ロッド15からの反力荷重により弾性部材21が弾性変形するとき、その弾性変形量を検出してブレーキペダル11の操作量として出力する。なお、図3に示すように、取付ブラケット12の上部には、コネクタ32が取付けられており、各歪センサ30a,30b,31a,31bは、このコネクタ32まで配線33がつながれている。
【0035】
従って、乗員がブレーキペダル11を踏み込むと、このブレーキペダル11が回動軸13を介して回動し、その操作量(操作力)が連結軸18及びクレビス16を介して操作ロッド15に伝達される。このとき、ブレーキブースタ及びマスタシリンダの反力が操作ロッド15から連結軸18を介してレバー部23a,23bから弾性部材21に入力し、この弾性部材21が、凸部25,26を支点として連結軸18側に湾曲するように弾性変形する。すると、各歪センサ30a,30b,31a,31bは、弾性部材21が引張方向及び圧縮方向に歪むため、この歪み量(弾性変形量)をブレーキペダル11の操作量として出力する。即ち、歪み量と弾性変形量とブレーキペダル11の操作量は、互いに相関関係にあることから、予め設定されたマップを用いて歪み量をブレーキペダル11の操作量に変換する。
【0036】
また、このとき、レバー部23a,23bは、連結孔11aと連結軸18との間の所定隙間だけ移動可能であることから、弾性部材21は、十分に弾性変形可能であり、また、この弾性変形量が規制されることで、荷重制限機能が発揮される。
【0037】
このように実施例1の操作量検出装置にあっては、ブレーキペダル11と操作ロッド15を連結軸18により連結し、弾性部材21の各端部22a,22bを連結軸18に対して操作ロッド15の軸線方向に対して交差する方向に離間したブレーキペダル11の凸部25,26に接触して支持し、弾性部材21の中間部を連結軸18及び連結孔11aにより相対変位可能に連結し、弾性部材21にその弾性変形量を検出してブレーキ操作量として出力する歪センサ30a,30b,31a,31bを設けている。
【0038】
従って、ブレーキペダル11の操作反力が操作ロッド15を介して弾性部材21に入力すると、この弾性部材21は、凸部25,26を支点として湾曲するように弾性変形し、各歪センサ30a,30b,31a,31bは、弾性部材21の弾性変形量を引張方向及び圧縮方向の歪み量荷重として検出し、これをブレーキペダル11の操作量として出力することができる。即ち、操作量検出ユニット20の構造を簡素化して製造コストの低減を可能とすることができる一方で、荷重制限機能を容易に構成可能とすることができる。
【0039】
この場合、ブレーキペダル11と弾性部材21とは、弾性部材21のレバー部23a,23bを連結軸18によりブレーキペダル11と連結し、各端部22a,22bをブレーキペダル11の凸部25,26に押圧支持している。従って、ブレーキペダル11と弾性部材21との連結関係を簡素化することができ、低コスト化を可能とすることができる。
【0040】
また、実施例1の操作量検出装置では、弾性部材21に可動子としてのレバー部23a,23bを一体に形成し、レバー部23a,23bと連結孔11aとを、操作ロッド15の軸線方向に対して相対移動可能に連結し、レバー部23a,23bを、規制部としての連結軸18と連結孔11aとにより相対移動量を規制している。従って、弾性部材21とレバー部23a,23bを一体化すると共に、連結軸18と連結孔11aによりレバー部23a,23bの相対変位量を規制することで、装置をコンパクトで低コスト化することができる。
【0041】
また、実施例1の操作量検出装置では、ブレーキペダル11と弾性部材21とが近接する方向に付勢する付勢部材としてのクリップ27を設けている。従って、クリップ27の付勢力により弾性部材21の各端部22a,22Bがブレーキペダル11の凸部25,26に当接するように支持することができ、装置のガタを吸収することができると共に、各部材をセンタリングすることができる。
【0042】
また、実施例1の操作量検出装置では、弾性部材21は、中間部をレバー部23a,23bを介して連結軸18によりブレーキペダル11に連結し、各端部22a,22bを凸部25,26を介してブレーキペダル11に支持している。従って、弾性部材21を十分な強度をもって支持することができると共に、弾性部材21の相対変位を適正に許容し、検出精度を向上することができる。
【0043】
更に、実施例1の操作量検出装置では、ブレーキペダル11と操作ロッド15を連結軸18により連結し、連結軸18に対して操作ロッド15の軸線方向に対して交差する方向に離間したブレーキペダル11の凸部25,26を形成し、弾性部材21の中間部にレバー部23a,23bを形成し、連結軸18により操作ロッド15の軸線方向に対してブレーキペダル11と相対移動可能に連結すると共に、弾性部材21の各端部22a,22bをブレーキペダル11の凸部25,26に接触支持し、弾性部材21に弾性変形量を検出して操作量として出力する歪センサ30a,30b,31a,31bを設けている。
【0044】
従って、操作量検出ユニット20としてモジュール化することができ、構造を簡素化及び製造コストの低減を可能とすることができる。
【実施例2】
【0045】
図4は、本発明の実施例2に係る操作量検出装置を表す一部を切り欠いた要部正面図である。なお、本実施例の操作量検出装置における全体構成は、上述した実施例1とほぼ同様であり、図3を用いて説明すると共に、この実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0046】
実施例2の操作量検出装置は、図3及び図4に示すように、ブレーキペダル11の回動動作を操作ロッド15の直線動作に変換してマスタシリンダ及びブレーキブースタに伝達される操作量として、ブレーキペダルストローク(または、ブレーキペダル踏力)を検出するものである。そして、実施例2では、上述したブレーキペダル11に対して、操作量検出ユニット40が一つのモジュールとして装着可能となっている。
【0047】
この操作量検出ユニット40において、弾性部材41は、金属または合成樹脂などにより製造され、所定厚さを有すると共に、ブレーキペダル11の長手方向に沿って所定長さを有し、所定の荷重により弾性変形可能に構成されている。この弾性部材41は、ブレーキペダル11の前端側に、ブレーキペダル11の長手方向に沿って延設される板形状をなす本体部42と、この本体部42における長手方向の中間部からブレーキペダル11の各平面部に沿うようにほぼ直角に折曲される一対のレバー部43a,43bとから構成されている。
【0048】
弾性部材41におけるレバー部43a,43bは、ブレーキペダル11におけるその板厚方向の両側に所定間隔をもって位置している。そして、連結軸18が、クレビス16の二股部16a,16bとブレーキペダル11の連結孔11aと共に、レバー部43a,43bの支持孔44a,44bを貫通することで、クレビス16とブレーキペダル11と弾性部材41が相対的に回動自在に連結される。
【0049】
また、弾性部材41における本体部42は、レバー部43a,43bに対して、各端部がブレーキペダル11における長手方向の上方及び下方に延出し、湾曲部42a,42bが形成されている。一方、ブレーキペダル11は、その前端側に、弾性部材41における本体部42の各湾曲部42a,42bに対向して外面が半円形状をなす凸部45,46が一体に形成されている。また、ブレーキペダル11と弾性部材41との間には、付勢部材としての樹脂製のクリップ27が架設されており、このクリップ27の付勢力(弾性力)により、弾性部材41がブレーキペダル11に接近する方向に付勢支持されている。
【0050】
このクリップ27は、コ字形状をなし、ブレーキペダル11の後端側を跨ぐように配置され、各端部に形成された係止部27a,27bが、弾性部材41におけるレバー部43a,43bの係止孔48a,48bに係止している。そのため、弾性部材41は、クリップ27の付勢力によりブレーキペダル11側に付勢され、本体部42における各湾曲部42a,42bが、ブレーキペダル11における各凸部45,46に当接(接触)して支持されている。
【0051】
この場合、湾曲部42a,42bの曲率半径と凸部45,46の曲率半径がほぼ同様に設定されていることから、弾性部材41は、各湾曲部42a,42bが、ブレーキペダル11における各凸部45,46に当接するように係止することとなり、長手方向における相対移動が規制される。即ち、湾曲部42a,42bが、弾性部材41とブレーキペダル11との長手方向における相対移動を規制する拘束部として機能する。
【0052】
なお、湾曲部42a,42bを、弾性部材41とブレーキペダル11との長手方向における相対移動を規制する拘束部として機能させるとき、その形状は、上述したものに限定されるものではない。例えば、弾性部材41の湾曲部42a,42bがブレーキペダル11の凸部45,46の外側に係止したが、内側に係止してもよい。また、弾性部材の端部をL字形状をなす拘束部としてもよい。即ち、ブレーキペダル11における凸部に対して、弾性部材の拘束部がブレーキペダル11の長手方向に対して交差する方向に係止すればよいものである。
【0053】
弾性部材41は、レバー部43a,43bにおけるブレーキペダル11に対向する面であって、連結軸18と凸部45,46との間に、4つの歪センサ(検出部)30a,30b,31a,31bが装着されている。この歪センサ30a,30b,31a,31bは、操作ロッド15からの反力荷重により弾性部材41が弾性変形するとき、その弾性変形量を検出してブレーキペダル11の操作量として出力する。
【0054】
従って、乗員がブレーキペダル11を踏み込むと、このブレーキペダル11が回動軸13を介して回動し、その操作量(操作力)が連結軸18及びクレビス16を介して操作ロッド15に伝達される。このとき、ブレーキブースタ及びマスタシリンダの反力が操作ロッド15から連結軸18を介してレバー部42a,42bから弾性部材41に入力し、この弾性部材41が、凸部45,46を支点として連結軸18側に湾曲するように弾性変形する。すると、各歪センサ30a,30b,31a,31bは、弾性部材41が引張方向及び圧縮方向に歪むため、この歪み量(弾性変形量)をブレーキペダル11の操作量として出力する。即ち、歪み量と弾性変形量とブレーキペダル11の操作量は、互いに相関関係にあることから、予め設定されたマップを用いて歪み量をブレーキペダル11の操作量に変換する。
【0055】
また、このとき、レバー部43a,43bは、連結孔11aと連結軸18との間の所定隙間だけ移動可能であることから、弾性部材41は、十分に弾性変形可能であり、また、この弾性変形量が規制されることで、荷重制限機能が発揮される。
【0056】
このように実施例2の操作量検出装置にあっては、ブレーキペダル11と操作ロッド15を連結軸18により連結し、弾性部材41の各湾曲部42a,42bを連結軸18に対して操作ロッド15の軸線方向に対して交差する方向に離間したブレーキペダル11の凸部45,46に接触して支持し、弾性部材41の中間部を連結軸18及び連結孔11aにより相対変位可能に連結し、弾性部材41にその弾性変形量を検出してブレーキ操作量として出力する歪センサ30a,30b,31a,31bを設けている。
【0057】
従って、ブレーキペダル11の操作反力が操作ロッド15を介して弾性部材41に入力すると、この弾性部材41は、凸部45,46を支点として湾曲するように弾性変形し、各歪センサ30a,30b,31a,31bは、弾性部材41の弾性変形量を引張方向及び圧縮方向の歪み量荷重として検出し、これをブレーキペダル11の操作量として出力することができる。即ち、操作量検出ユニット40の構造を簡素化して製造コストの低減を可能とすることができる一方で、荷重制限機能を容易に構成可能とすることができる。
【0058】
また、実施例2の操作量検出装置では、弾性部材41の端部に、ブレーキペダル11の凸部45,46に係止することで、弾性部材41とブレーキペダル11との長手方向における相対移動を規制する拘束部としての湾曲部42a,42bを設けている。従って、弾性部材41とブレーキペダル11との位置ずれやがたつきを防止することができ、また、弾性部材41に装着された各歪センサ30a,30b,31a,31bと周辺部材との干渉を防止し、信頼性を向上することができる。
【0059】
なお、この実施例2では、拘束部として、弾性部材41の端部に、ブレーキペダル11の凸部45,46に係止する湾曲部42a,42bを設けたが、ブレーキペダル11側に係止部を設けて弾性部材41側に係止するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明に係る操作量検出装置は、操作反力を受けて弾性変形する弾性部材の一方側を操作ロッドの軸線方向に対して交差する方向に離間した操作部材の凸部に支持することで、構造を簡素化して製造コストの低減を可能とする一方で荷重制限機能を構成可能とするものであり、いずれの操作量検出装置にも有用である。
【符号の説明】
【0061】
11 ブレーキペダル(操作部材)
11a 連結孔(規制部)
13 回動軸
15 操作ロッド
16 クレビス
18 連結軸
20 操作量検出ユニット
21,41 弾性部材
22,42 本体部
22a,22b 端部
23a,23b,43a,43b レバー部(可動子)
25,26,45,46 凸部
27 クリップ (付勢部材)
30a,30b,31a,31b 歪センサ(検出部)
42a,42b 湾曲部(拘束部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部材の回動動作を操作ロッドの直線動作に変換して操作対象部材に伝達される操作量を検出する操作量検出装置において、
前記操作部材と前記操作ロッドを連結する連結軸と、
一方側が前記連結軸に対して前記操作ロッドの軸線方向に対して交差する方向に離間した前記操作部材の凸部に接触して支持され、他方側が前記連結軸に連結される弾性部材と、
該弾性部材の弾性変形量を検出して操作量として出力する検出部と、
を備えることを特徴とする操作量検出装置。
【請求項2】
前記弾性部材は、長手方向における中間部が前記他方側として前記連結軸に連結され、長手方向における各端部が前記一方側として前記操作部材の凸部に接触して支持されることを特徴とする請求項1に記載の操作量検出装置。
【請求項3】
前記操作部材と前記弾性部材とが近接する方向に付勢する付勢部材が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の操作量検出装置。
【請求項4】
前記弾性部材の端部または前記操作部材の凸部に、前記弾性部材と前記操作部材との長手方向における相対移動を規制する拘束部が設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の操作量検出装置。
【請求項5】
前記弾性部材に可動子が固定され、該可動子は、前記連結軸と前記操作ロッドの軸線方向に対して相対移動可能に連結されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の操作量検出装置。
【請求項6】
前記可動子と前記連結軸との相対移動量を規制する規制部が設けられることを特徴とする請求項5に記載の操作量検出装置。
【請求項7】
前記弾性部材における前記連結軸と前記凸部との間に、前記検出部としての歪センサが設けられることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の操作量検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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