説明

支承装置

【課題】高荷重支承を実現し、良好な回転追従性を実現しながらも、優れた密閉性を確保する支承装置を提供する。
【解決手段】上部構造物1に配設された上沓11と、下部構造物2に配設された下沓12と、上沓11と下沓12との間に配設された弾性体13と、弾性体13を囲繞する拘束体16と、拘束体16の先端部16dと下部構造物2又は下沓12との間の間隙に配設され、弾性及び/又は可撓性を有し、間隙を密閉する弾性シーリング体20a,20bとで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建築物や橋梁等の各種構造物を支承する支承装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物や橋梁等の構造物の支承装置には、ゴム板と鉄板とを交互に積層し、これらが加硫接着によって相互に接着されて構成されたゴム支承がある(特許文献1参照)。ゴム支承では、ゴムの変位を拘束することで、鉛直バネ剛性を高める工夫や回転追従性能を向上させる工夫がなされている。例えば、ゴム支承では、ゴム板と鉄板とを交互に積層し、これらを加硫接着することによって、ゴムの流動性を低減し、鉛直バネ剛性を高めるようにしている。
【0003】
また、密閉ゴム支承では、ゴム板が下沓となる金属製ポット内に配置され、ゴム板の上にピストン状の上沓が載置され、ゴム板が非圧縮性の流体的に振る舞うように拘束されることで、回転追従性能が得られるように構成されている(特許文献2参照)。なお、この密閉ゴム支承は、鉛直可撓性がないことから金属支承の扱いとなる。
【0004】
更に、所謂コンパクト支承では、大きな鉛直荷重を支持するため、上沓と下沓の相対する面にそれぞれ凹部を設け、それぞれの凹部内にゴム層が配設され、鉛直荷重が加わった際にゴムが撓み変形によって半径方向外方に膨出しないようにして、鉛直バネ剛性の向上を図るようにしている(特許文献3参照)。
【0005】
しかしながら、何れの特許文献の支承装置においても、上沓と下沓との間には間隙が形成されており、当該間隙から内部に水分や塵埃等の異物が侵入する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−1820号公報
【特許文献2】特開2000−178921号公報
【特許文献3】特開2009−13773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高荷重支承を実現し、良好な回転追従性を実現しながらも、内部に水分や塵埃等の異物が侵入することを防止する優れた密閉性を有する支承装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る支承装置は、第一構造物又は第二構造物の一方に配設された第一剛性体と、第一構造物又は第二構造物の他方に配設された第二剛性体と、第一剛性体と第二剛性体との間に配設された弾性体と、弾性体を囲繞する拘束体と、拘束体の先端部と何れかの構造物又は何れかの剛性体との間の間隙に配設され、弾性及び/又は可撓性を有し、間隙を密閉する弾性シーリング体とを備えることにより、弾性シーリング体によって、内部に水分や塵埃等の異物が侵入することを防止することが出来る。
【0009】
また、拘束体は、弾性体の弾性変形を拘束する機能及び/又は弾性体の略密閉状態を保持する機能及び/又は第一剛性体と第二剛性体の相対変位を拘束する機能を有することを特徴としている。更に、第一剛性体、第二剛性体の何れかには、上揚防止部と水平変位防止部とを有する芯材が設けられることにより、例えば第一剛性体に上揚力が加わったとき、第一剛性体と第二剛性体とが乖離することを防止出来ると共に、過剰に第一剛性体と第二剛性体とが水平方向において相対変化することを防止出来る。
【0010】
更に、拘束体の先端部に、フランジ状の上揚防止片を形成することにより、例えば第一剛性体に上揚力が加わったとき、第一剛性体と第二剛性体とが乖離することを防止出来ると共に、過剰に第一剛性体と第二剛性体とが水平方向において相対変化することを防止出来る。
【0011】
更に、弾性シーリング体を、上揚防止片と第一剛性体又は第二剛性体との間の間隙に配設することにより、支承装置の内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止し、支承装置の密閉性を確保することが出来る。
【0012】
更に、弾性シーリング体を、上揚防止片と芯材との間の間隙に配設することにより、支承装置の内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止し、支承装置の密閉性を確保することが出来る。
【0013】
更に、弾性シーリング体が荷重支持可能な弾性体であれば、本発明に係る支承装置は、全体として小型化を実現しつつ、小さな支承面積にして高荷重を支承することが出来る。
【0014】
更に、弾性体の側面及び/又は拘束体の拘束面には、凸部又は凹部が形成されるようにしても良い。更に、所定以上入力されると、弾性体が凸部と凹部とによって作出される隙間の容積を縮小するように弾性変形し、且つ、変形した弾性体が前記拘束体に当接及び/又は圧接して弾性体の変形が拘束されるようにしても良い。更に、弾性体は、第一剛性体と第二剛性体と拘束体とによって囲繞されて半密閉状態とされ、弾性体への荷重の増大に伴って、より高度な密閉状態へと変化するようにしても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る支承装置では、拘束体の先端部に弾性シーリング体が設けられているので、内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止出来る。従って、本発明に係る支承装置では、高荷重支承を実現し、良好な回転追従性を実現しながらも、内部に水分や塵埃等の異物が侵入することを防止し、優れた密閉性を確保することが出来る。よって、本発明に係る支承装置では、優れた防水性及び防錆性を有し、長寿命化を図ることが出来る。更に、本発明に係る支承装置では、弾性シーリング体を荷重支持弾性体とすることにより、弾性シーリング体が弾性体と同様に支承体となり、弾性シーリング体によって荷重を支持することが出来、高荷重支承を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用した支承装置の通常の使用状態を示す断面図である。
【図2】弾性体の斜視図である。
【図3】上部構造物と下部構造物との間に設置される前(荷重が加わる前)の支承装置の断面図であって、弾性体側面の凸部と拘束体の拘束面との間が非接触の状態を示す。
【図4】上部構造物と下部構造物との間に設置される前(荷重が加わる前)の支承装置の断面図であって、弾性体側面の凸部と拘束体の拘束面との間が当接した状態を示す。
【図5】(A)−(E)は、弾性シーリング体の変形例を示す断面図である。
【図6】弾性シーリング体の他の変形例を示す断面図である。
【図7】鉛直方向の変位量と鉛直荷重との関係を示す特性グラフである。
【図8】補強板の位置に凹部を設けた積層型弾性体を用いた支承装置の断面図である。
【図9】補強板の位置に凸部を設けた積層型弾性体を用いた支承装置の断面図である。
【図10】芯材が上沓を貫通した支承装置の断面図である。
【図11】図10の変形例であり、拘束体を下沓に固定した支承装置の断面図である。
【図12】芯材が上/下沓の何れも非貫通の支承装置の変形例を示す断面図である。
【図13】上揚防止片に設けられた配設凹部に弾性シーリング体を配設した支承装置の断面図である。
【図14】上揚防止片に設けられたテーパ部に弾性シーリング体を配設した支承装置の断面図である。
【図15】上揚防止片と芯材との間の間隙に弾性シーリング体を配設した支承装置の断面図である。
【図16】(A)−(C)は、弾性シーリング体の変形例を示す断面図である。
【図17】一実施例の支承装置の断面図である。
【図18】拘束体の拘束面に凸部又は凹部を設けた支承装置の断面図である。
【図19】弾性体の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る支承装置について図面を参照して説明する。なお、以下、支承装置について、以下の順に沿って説明する。
【0018】
1.支承装置の説明
2.弾性体及び拘束体の説明
3.弾性シーリング体の説明
4.支承装置の動作説明
5.積層型弾性体の説明
6.支承装置の変形例1
7.支承装置の変形例2
8.支承装置の変形例3
9.支承装置の変形例4
10.支承装置の変形例5
11.その他の変形例
【0019】
[1.支承装置の説明]
図1に示すように、支承装置10は、橋桁等の上部構造物1と橋脚や橋台といった下部構造物2との間に装着して水平荷重や鉛直荷重、回転荷重等の各種の荷重を支えると共に、地震や風、動的又は静的交通荷重等による揺動や振動、応力を吸収、分散しつつ、支承する橋梁用支承装置である。この支承装置10は、第一剛性体としての上沓11と第二剛性体としての下沓12との間に支承体となる弾性体13が介在されている。また、弾性体13は、上沓11又は下沓12(ここでは上沓11)に固定された拘束体16によって囲繞されている。更に、支承装置10は、拘束体16の先端部16dと上部構造物1又は下部構造物2(ここでは、下部構造物2)との間に、内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止する弾性シーリング体20aが設けられている。
【0020】
上沓11は、金属やセラミックス、或いは硬質樹脂やFRPの如くの強化樹脂等の剛性素材によって構成することが好ましいが、必ずしも剛性素材に限定されるものではなく、弾性素材や剛性素材と弾性素材とを組み合せた材料によっても構成することが出来る。各種素材から構成される上沓11は、平面形状が略多角形、略円形、略長円径、略楕円形等の適宜の形状に設定することが出来るが、方形又は円形とすることが製造上、或いは施工上、交換上有利である。なお、上沓11は、外表面を全体的に弾性体等の被覆層で覆って、耐候性、防錆効果を得るように構成しても良い。
【0021】
上部構造物1に対する上沓11の固定手段は、例えばボルト、ナット等の締結手段を用いて上沓11を上部構造物1に対して直接的に固定しても良いが、ここでは、上沓11よりも広面積の板状をなす上部プレート3を用いて上沓11を上部構造物1に対して間接的に固定している。上沓11の上部構造物1への固定方法は、これらの例に限定されるものではない。
【0022】
なお、可動支承装置として用いるとき等は、上沓11の上部、例えば上沓11と上部プレート3との間に摺滑部材4を配設して、上部構造物1と支承装置10とを相対変位可能に固定しても良い。この摺滑部材4としては、例えば、フッ化炭素樹脂の一種であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の如くの低摩擦係数の表面を有するプレート等を、上沓11の上面に固定したり、又は上部構造物1や上部構造物1に固定される取付手段側の下面に固定することによって構成することが可能である。
【0023】
下沓12は、上沓11同様、金属やセラミックス、或いは硬質樹脂やFRPの如くの強化樹脂等の剛性素材によって構成することが好ましいが、必ずしも剛性素材に限定されるものではなく、弾性素材や剛性素材と弾性素材との組み合せた材料によって構成することも出来る。各種素材から構成される下沓12は、平面形状が略多角形、略円形、略長円径、略楕円形等の適宜の形状に設定することが出来るが、方形又は円形とすることが製造上、又は施工上、交換上で有利である。下沓12の平面形状等は、必ずしも上沓11と一致させる必要はないが、各部のサイズと、凸部や凹部の形状や位置等は下沓12の設定と上沓11の設定を互いに整合させる必要がある。なお、下沓12は、外表面を全体的に弾性体等の被覆層で覆って、耐候性、防錆効果を得るように構成することも出来る。
【0024】
下部構造物2に対する下沓12の固定手段は、例えばボルト、ナット等の締結手段を用いて下沓12を下部構造物2に対して直接的に固定しても良いが、ここでは、下沓12よりも広面積の板状をなす下部プレート5の如くの下部固定手段を用いて下沓12を下部構造物2に対して間接的に固定している。下沓12の下部構造物2への固定方法は、これらの例に限定されるものではない。
【0025】
なお、可動支承装置として用いるとき等は、下沓12の下部、例えば下部プレート5と下沓12との間に摺滑部材6を配設して、下部構造物2と支承装置10とを相対変位可能に固定しても良い。この摺滑部材6としては、例えば、PTFEの如くの低摩擦係数の表面を有するプレート等を、下沓12の下面に固定したり、又は下部構造物2や下部構造物2に固定される取付手段側の上面に固定することが可能である。
【0026】
尚、上沓11や下沓12の直接的又は間接的な固定は、着脱可能な方法とするのが好ましく、ボルト、ナット等による締結はその一例である。
【0027】
[2.弾性体及び拘束体の説明]
弾性体13は、天然ゴムや合成ゴム、熱可塑性エラストマや熱硬化性エラストマを用いることが出来、これらの中でも天然ゴムを主成分として使用することが好ましい。具体的なエラストマ成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(臭素化、塩素化等)、アクリルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ化ゴム、多硫化ゴム、ハイパロン、エチレン酢酸ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレン−メチルアクリレート共重合体、スチレン系エラストマ、ウレタン系エラストマ、ポリオレフィン系エラストマ、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、エポキシ化天然ゴム、trans−ポリイソプレン、ノルボルネン開環重合体(ポリノルボルネン)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ハイスチレン樹脂、イソプレンゴム等のゴムを一種単独、或いは二種以上を併用することが出来る。
【0028】
図2に示す弾性体13は、例えば、円柱状をなし、内部に鉄板といった剛性の補強板が設けられていない弾性層が一つ(単層)のものを示している。この弾性体13は、側面に、周回り方向に、凸部14と凹部15が設けられている。図2に示す例では、周回り方向と直交する厚さ方向に波状を成すように、厚さ方向略中央部に周回り方向に連続した凸部14が設けられ、凸部14の上側と下側に周回り方向に連続した凹部15,15が設けられ、更に、厚さ方向の上下端に周回り方向に連続した凸部14,14が設けられている。
【0029】
なお、弾性体13は、直線状の凸部14が側面の周回り方向に沿って厚さ方向に等間隔に設けられているようにしても良い。更に、凸部14は、周回り方向に様々な間隔をあけて断続的に設けるようにしても良い。更に、凸部14は、厚さ方向の間隔も、等間隔でも、等間隔でなくても良い。また、弾性体13の凸部14は、突起であって、凸部14が設けられていない領域を凹部15とするようにしても良い。更に、この突起状の凸部14は、規則的に設けるようにしても良く、また、大きさや突出方向も様々なものとしても良い。即ち、弾性体13の凸部14と凹部15は、その形状や本数や間隔等は特に限定されるものではない。
【0030】
以上のような弾性体13は、図1に示す例では、下沓12上に配設され、下沓12によって支持される。弾性体13は、上沓11と下沓12との間を接着して高支圧化しても良いが、接着しないことにより、良好な回転追従性を実現することも出来る。
【0031】
また、弾性体13は、図1に示すように、拘束体16によって囲繞されている。拘束体16は、弾性体13の外径よりやや大きい内径を有する円筒体であり、上沓11又は下沓12の何れか、図1では上沓11の外周部に固定されている。例えば、上沓11と拘束体16との結合は、ボルト・ナット等の固定手段16bを用いても良い。なお、固定手段16bとしては、上沓11と拘束体16の何れか一方に雄ねじを設け、他方に雌ねじを設け、これらを互いに螺合して結合するねじ締結によったり、溶接したり、従来公知の結合方法等で行うことも出来る。拘束体16の下沓12側の先端部16dは、下沓12の外周部の外側に位置し、固定されていない。これにより、上沓11は、鉛直荷重の入力があったとき、弾性体13を圧縮しながら鉛直下向きに移動することが出来る。すなわち、拘束体16の下沓12側の先端部16dが下沓12の外周部の外側に位置することで、下沓12が上沓11と下沓12の間に配設される弾性体13の剪断変形を抑制する機能や、弾性体13を略密閉状態に拘束して高支圧化させるピストンの役割を実現する。かくして、下沓12に支持された弾性体13は、上面が上沓11、側面が拘束体16によって包囲され、半密閉の空間に配設されることになる。支承装置10は、半密閉のゴム支承となり、小さな支承面積にして高荷重を支承することが可能となる。
【0032】
ここで、弾性体13と拘束体16との大きさの関係について説明すると、図1の例では、支承装置10が上部構造物1と下部構造物2との間に設置され、支承装置10に対して上部構造物1の荷重によって弾性体13が変形している状態(死荷重が加わった状態)において、弾性体13の側面の凸部14が拘束体16の内周面の拘束面16aに当接した状態となっている。つまり、図3に示すように、上部構造物1と下部構造物2との間に設置される前は、弾性体13の側面の凸部14が拘束体16の内周面の拘束面16aとの間が非接触の状態で、隙間が設けられた状態となっており、上部構造物1と下部構造物2との間に設置されると、上部構造物1の死荷重によって、弾性体13の側面の凸部14が拘束体16の内周面の拘束面16aに当接した状態となる。なお、死荷重の載荷時には、弾性体13の側面の凸部14が拘束体16の内周面の拘束面16aと非接触で、通常の使用範囲を超える高い荷重(例えば大型車両等の交通荷重による活荷重)があった際に、弾性体13の側面の凸部14が拘束体16の内周面の拘束面16aと当接し、更なる高荷重の入力によって拘束面16aに凸部14、並びに、凹部15の膨出変形した部分が圧接されるようにしても良い。
【0033】
更に、図4に示すように、上部構造物1と下部構造物2との間に設置される前において、弾性体13の側面の凸部14が拘束体16の内周面の拘束面16aに当接した状態であっても良い。この場合、弾性体13を拘束体16内に配設する際、拘束体16内における弾性体13を正確に位置決めすることが出来る。なお、拘束体16の拘束面16aと弾性体13との間は、公差程度の微小間隙が存在していても良い。
【0034】
[3.弾性シーリング体の説明]
図1に示すように、弾性シーリング体20aは、例えば、ゴム材料や合成樹脂材料等の弾性特性を有する弾性材料で形成されたリング状のパッキンであり、図1では拘束体16の先端部16dと下部プレート5との間の間隙に配設されている。更に、弾性シーリング体20aは、例えば、断面が矩形状に形成されている。なお、弾性シーリング体20を構成する素材は必ずしも弾性が必要なのではなく、水密性等の密閉性を保ちながら拘束体16の変位に追従することが出来るように構成されていればよく、例えば可撓性を有する素材を用いたり、蛇腹状に形成した金属材料によって構成することも可能である。更に、断面が矩形状に形成された弾性シーリング体20aは、厚さ方向の長さが、支承装置10が上部構造物1と下部構造物2との間に設置された際の拘束体16の先端部16dと下部プレート5との間の間隙よりも長く設けられている。これにより、弾性シーリング体20aは、拘束体16の先端部16dと下部プレート5との間の間隙に、内側又は外側(図1では、内側)に撓んだ状態で配設されている。このような形状の弾性シーリング体20aは、拘束体16の先端部16dと下部プレート5とにそれぞれ接着等によって取り付けられている。
【0035】
このようにして、弾性シーリング体20aは、拘束体16の先端部16dと下部プレート5との間の間隙を閉塞する。従って、弾性シーリング体20aは、支承装置10の内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止出来、支承装置10の密閉性を確保することが出来る。更に、弾性シーリング体20aは、弾性材料等で形成されているので、鉛直荷重によって拘束体16が下部プレート5に対して鉛直変位方向に近接又は離間しても、追従して伸縮することが出来る。よって、弾性シーリング体20aは、鉛直荷重によって拘束体16が下部プレート5に対して鉛直変位方向に近接又は離間しても、支承装置10の内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止出来、支承装置10の密閉性を確保することが出来る。即ち、弾性シーリング体20aは、シーリング機能を有している。
【0036】
なお、弾性シーリング体20aは、下沓12が下部構造物2に直接的に固定されている場合、厚さ方向の長さが、拘束体16の先端部16dと下部構造物2との間の間隙と略同じ長さに設けられ、拘束体16の先端部16dと下部構造物2とにそれぞれ接着等によって取り付けられるようにする。これにより、弾性シーリング体20aは、下沓12が下部構造物2に直接的に固定されている場合であっても、拘束体16の先端部16dと下部構造物2との間の間隙を閉塞することが出来る。従って、弾性シーリング体20aは、支承装置10の内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止出来、支承装置10の密閉性を確保することが出来る。
【0037】
更に、弾性シーリング体20aは、接着して取り付けることに限定されるものではなく、ボルト・ナット等の固定手段のように、従来公知の固定方法で取り付けるようにしても良い。
【0038】
更に、弾性シーリング体20aは、鉛直荷重によって拘束体16が下部構造物2に対して鉛直変位方向に近接又は離間しても追従して伸縮することが出来、更に、支承装置10の密閉性を確保することが出来るものであれば、如何なるものでも良い。
【0039】
例えば、弾性シーリング体20aは、図5(A)に示すように、厚さ方向の長さを、支承装置10が上部構造物1と下部構造物2との間に設置された際の拘束体16の先端部16dと下部プレート5との間の間隙と略同じ長さ又はやや短く設けても良い。更に、弾性シーリング体20aは、図5(B)に示すように、断面が円形状であっても良い。更に、弾性シーリング体20aは、図5(C)に示すように、断面が中空円形状(円筒状)であっても良い。更に、弾性シーリング体20aは、図5(D)に示すように、蛇腹状であっても良い。
【0040】
更に、図5(E)に示すように、円形状又は中空円形状の弾性シーリング体20aは、拘束体16の先端部16dに設けられた配設凹部16eに配設されるようにしても良い。
【0041】
更に、蛇腹状の弾性シーリング体20aは、薄肉金属で形成しても良い。蛇腹状の弾性シーリング体20aは、薄肉金属で形成されていても、その形状から、鉛直荷重によって拘束体16が下部構造物2に対して鉛直変位方向に近接又は離間しても追従して伸縮することが出来、支承装置10の密閉性を確保することが出来る。
【0042】
更に、弾性シーリング体20aは、拘束体16の外周部の先端部16d側に取り付けて、拘束体16の先端部16dと下部構造物2又は下部プレート5の間の間隙を塞ぐようにしても良い。
【0043】
更に、弾性シーリング体20aは、拘束体16の先端部16dと下沓12の外周部との間に亘って取り付けるようにしても良い。
【0044】
更に、弾性シーリング体20aは、図6に示すように、上述した弾性体13の材料のうちの弾性体13と同じ又は異なる材料で形成されたリング部材で構成され、荷重支持可能にするようにしても良い。即ち、弾性シーリング体20aは、弾性体13と同様に支承体となり、シーリング機能に加え、荷重支承機能を有するようにしても良い。
【0045】
[4.支承装置の動作説明]
以上のような支承装置10では、上部構造物1と下部構造物2との間に設置されると、図1に示すように、弾性体13は、通常の使用範囲の荷重(例えば死荷重や死荷重+車両通行時の活荷重)によって、圧縮され、弾性体13の凸部14は、弾性体13を囲繞した拘束体16の拘束面16aに近接又は当接した位置となる。支承装置10は、弾性体13が鉛直荷重の大きさに応じた弾性変形をし、この弾性変形によって側面の凸部14が凹部15により構成された隙間を埋めるように変形しながら、拘束体16の拘束面16aに圧接される。すなわち、弾性体13の変位量は、拘束体16によって制限される。
【0046】
このような支承装置10では、下沓12に支持された弾性体13を、上沓11と拘束体16によって囲繞し、弾性体13の側面に凸部14と凹部15とを設けて、拘束面16aとの間に所定の隙間を有する半密閉された空間部を設けて構成する。従って、入力初期や低荷重の入力時には、鉛直荷重に対する鉛直可撓変位をしながら入力の高荷重化に伴って、徐々に鉛直変位量の増加量が小さくなって弾性率が高くなり、大きな荷重の入力に対しては密閉ゴム支承のように挙動して、小さな支承面積にして高荷重支持を実現する。
【0047】
また、低荷重から高荷重の入力に亘って鉛直面内における回転力の作用時には、弾性体13が拘束体16によって部分的に支持されながらも凸部14又は凹部15による隙間により弾性体13が変形し、弾性体への極端な負荷なく、良好な回転追従性を実現出来る。
【0048】
ここで、図7に、鉛直方向の変位量と鉛直荷重との関係を示す。
線A・・・一般的な積層ゴム支承
なお、ここで言うゴム支承は、密閉ゴム支承ではなく、荷重が加わった際の変位が拘束されていない支承である。
線B・・・拘束体16の内径(ポット部の内径)に対して弾性体13の外形を小さくし、凸部14と凹部15を大きく形成して、拘束面16aと弾性体13の側面との間の隙間を大きくしたときの特性を示す。(隙間大)
線C・・・拘束面16aと弾性体13の側面との間の隙間を線Bの場合より小さくしたときの特性を示す。(隙間中)
線D・・・拘束面16aと弾性体13の側面との間の隙間を最も小さくしたときの特性を示す。(隙間小)
線E・・・拘束面16aと弾性体13の側面との間の隙間を設けない密閉ゴム支承。回転追従性能を有するが、鉛直方向の弾性変位はほとんど無く、金属支承の扱いとなる。
【0049】
なお、本発明では、線A−Eの何れの支承装置も適用可能である。
【0050】
図7の線Aで示すゴム支承では、鉛直荷重が大きくなるに連れて鉛直変位量もほぼ比例的に大きくなり、グラフの傾き(拘束度又はバネ定数)はほぼ一定である。弾性体13の側面に凸部14と凹部15を設けた線B−Dの例によれば、鉛直荷重が大きくなるに連れて鉛直変位量も大きくなるが、その特性は非線形となる。すなわち、鉛直変位に対する鉛直荷重反力の大きさを表すグラフの傾き(拘束度又はバネ定数)は、鉛直変位が大きくなるほど大きくなる。このように、弾性体13の側面に凸部14と凹部15を設けたときには、大きな荷重が入力されたときほど、より高度な密閉状態に変化して鉛直変位量の増加量が小さくなるような特性で、すなわち拘束度を可変として、上部構造物1を支承することが出来る。すなわち、この支承装置10では、適度な鉛直可撓性を有しながら高荷重を支持することが出来る。また、線B−Dの例を見ると、隙間が小さい程、鉛直変位に対する鉛直荷重反力の大きさを表すグラフの傾きの緩やかな範囲(一次勾配)を狭く設定することが出来る。すなわち、鉛直変位が小さくなる。更に、線Eの密閉ゴム支承では、鉛直方向の弾性変位はほとんど見られない。
【0051】
特に、弾性体13の側面に凸部14と凹部15を設けた線B−Dの例によれば、高荷重が加わると、鉛直可撓変位が小さくなり、密閉ゴム支承のように挙動する。したがって、線B−Dの例では、支承する上部構造物1の種類、用途等に応じて、線B−Dにおける使用範囲を設定していくことになる。例えば、死荷重に活荷重が加わったとき、グラフの急勾配の範囲(二次勾配)の領域に含まれるようにすることで、車両通過時の振動や騒音を低減することが出来るようになる。なお、低荷重の載荷では、鉛直撓みがあるため、線B−Dの支承装置は、弾性支承装置に属する扱いとし得る。
【0052】
[5.積層型弾性体の説明]
以上の例では、弾性層が単層の弾性体13を用いた支承装置10を説明したが、弾性体13としては、図8に示すように、弾性層と補強板とが積層された積層構造の弾性体17であっても良い。弾性体17は、内部に補強板17aが設けられ、弾性層17bが複数設けられ、補強板17aと弾性層17bとが加硫接着によって相互に接着されている。単層の弾性体13は、荷重が加わると、自由側面が側方に押し出され、特に厚さ方向の中央部を中心として膨出する。積層型の弾性体17では、補強板17aがあることで、弾性体17の自由側面の膨出が抑制され、耐荷力が増大する。但し、補強板17aの間の弾性層17bの側面も、自由側面であるから荷重の大きさに応じて、側方に僅かに膨出する。しかし、支承装置10では、拘束体16が弾性体17の変形を拘束するので膨出量は僅かとなる。この弾性体17にあっても、側面に、周回り方向に沿った凸部18と凹部19が厚さ方向に設けられている。
【0053】
つまり、図8に示すように、積層型の弾性体17では、側面において、自由側面の弾性層17bの位置に凸部18を設け、補強板17aの位置に凹部19を設けるようにしている。この場合、凸部18は、荷重が加わった際、弾性層17bの自由側面が膨出することで、凹部19より先に拘束体16の拘束面16aに強く圧接されることになる。勿論、本発明では、図9に示すように、補強板17aの位置を凸部18とし、弾性層17bの位置を凹部19としても良い。この場合、凹部19となっている弾性層17bの自由側面が僅かに膨出することで、凸部18と凹部19の部分が同じように拘束体16の拘束面16aと当接され均等に圧接されるようにすることが出来る。積層型の弾性体17は、従来最も膨出量が多い補強板間位置の弾性部であるが、この部位に凸部18を設けた上、拘束体16の拘束面16aによってこの凸部18周辺の膨出量が拘束されているので、高荷重が入力されている際でも内部の補強板17aの周囲における弾性層17bに対する局部応力が緩和される。また、内部の補強板17aが高荷重によってもつぶれにくくなり、補強板17aを薄くすることが出来、支承装置10の全体の厚さの薄型化を実現出来る。
【0054】
積層型弾性体17と拘束体16との大きさの関係については、弾性体13の場合と同様で、図3や図4を用いて説明したように、設置前において、弾性体17の側面の凸部18が拘束体16の内周面の拘束面16aとの間が非接触の状態であっても良いが、接触した状態としても良い。この場合、組立時に、弾性体17の側面の凸部18が拘束体16の内周面の拘束面16aと接触するようになり、位置決め性が向上するので好ましい。なお、本発明において、入力が無い(無荷重)時点での弾性体と拘束体との接触の有無は特に限定されるものではなく、例えば、大きな荷重が入力されたときに、弾性体17の側面の凸部18が拘束体16の内周面の拘束面16aと接触するようにしても良い。
【0055】
なお、上沓と拘束体とを一体に構成しても良い。図8の例では、上沓11と拘束体16とを鉛直方向視において重ねて一体化するように構成している。また、積層型の弾性体17において、鉛直荷重支持性能や水平荷重支持性能、並びに鉛直回転性能は、弾性層の面積や厚さ、数、補強板の面積や厚さ、数等によって調節することが出来る。また、拘束体16は、上沓11の下面の外周側に固定されている。例えば、上沓11と拘束体16との結合は、ボルト・ナット等の固定手段16bを用いても良い。また、固定手段16bとしては、上沓11と拘束体16の何れか一方に雄ねじを設け、他方に雌ねじを設け、これらを互いに螺合して結合するねじ締結によったり、溶接したり、従来公知の結合方法等で行うことも出来る。
【0056】
なお、補強板17aの枚数は、一枚でも複数枚でも良い。更に、複数枚の場合には、例えば、複数の補強板17aを互いに離間して平行に設けても良く、環状の複数の補強板17aを同心円状に設けても良い。
【0057】
[6.支承装置の変形例1]
なお、支承装置10は、上下を逆にして、上沓11を下沓とし、下沓12を上沓として用いても良い。この場合、弾性シーリング体20aは、拘束体16と上部構造物1又は上部プレート3の間に設けるようにする。これにより、このような支承装置10にあっても、弾性シーリング体20aによって、内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止出来、密閉性を確保することが出来る。
【0058】
また、支承装置10は、拘束体16を上沓11ではなく、下沓12の外周部に固定手段16bによって固定するようにしても良い。この場合、拘束体16の先端部16dは、上沓11の外周部の外側に位置し固定されていない。そして、下沓12と拘束体16とによって構成されたポット部に、弾性体17が嵌入され、その後、弾性体17上に上沓11が配設されることになる。このような支承装置10にあっても、上沓11は、鉛直荷重の入力があっとき、弾性体13を圧縮しながら鉛直下向きに変位することが出来、図1の例と同様な効果を得ることが出来る。
【0059】
この場合、弾性シーリング体20aは、拘束体16と上部構造物1又は上部プレート3との間に設けるようにする。これにより、このような支承装置10にあっても、弾性シーリング体20aによって、内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止出来、密閉性を確保することが出来る。
【0060】
[7.支承装置の変形例2]
図10に示す支承装置30は、下沓12に、芯材31が取り付けられ、上揚防止部と水平変位防止部とを設けたものである。また、この支承装置30は、第一剛性体としての上沓11と第二剛性体としての下沓12との間に弾性層と補強板とが積層された積層構造の弾性体17が介在されている。支承装置30の上沓11は、表裏面に貫通した貫通孔32が穿設されている。貫通孔32には、上沓11の上面側から芯材31が挿入される。この貫通孔32は、上沓11が鉛直下向きに変位する分を考慮して、芯材31の先端面が上沓11の上面から突出することなく一段低くなる深さに形成されている。この貫通孔32には、上揚防止片32aがフランジ状に形成されている。
【0061】
貫通孔32に挿通される芯材31は、大径部33となる頭部を有する金属性のボルト状部材から成り、先端部である大径部33が上沓11の貫通孔32の内部に収容可能な大きさに設定されている。この芯材31は、上沓11の貫通孔32より弾性体17の略中央部に形成された挿通孔34に挿通され、更に、下沓12の弾性体17の支持面側に形成されたネジ穴35に螺合されることによって固定される。芯材31は、貫通孔32より挿入され、ネジ穴35に固定されたとき、大径部33が貫通孔32内に一段低くなるように収容される。この芯材31は、下沓12に固定されることで、上沓11と下沓12とが水平方向に相対変位しようとした際に、上揚防止片32aの先端面又は貫通孔32の側面が突き当たり、上沓11の変位が規制される。すなわち、芯材31は、水平変位防止部として機能して、過剰に上沓11と下沓12とが水平方向において相対変位することを防止する。更に、芯材31の大径部33は、貫通孔32の上揚防止片32aの開口径より大きく、上揚防止片32aと係合する。芯材31は、上沓11に上揚力、すなわち上沓11が下沓12に対して相対的に上揚しようとする力が加わったとき、下沓12に固定された芯材31の大径部33に上揚防止片32aが係止されることによって、上沓11と下沓12とが乖離することを防止することが出来る。すなわち、大径部33は、上揚防止部としても機能することになる。
【0062】
また、弾性体17は、図10に示すように、拘束体16によって囲繞されている。拘束体16は、弾性体17の平均外径よりやや大きい内径を有する円筒体であり、上沓11の外周部に固定され、その内側に、弾性体17が収納されるポット部が形成されている。例えば、上沓11と拘束体16との結合は、ボルト・ナット等の固定手段16bを用いても良い。なお、固定手段16bとしては、上沓11と拘束体16の何れか一方に雄ねじを設け、他方に雌ねじを設け、これらを互いに螺合して結合するねじ締結によったり、溶接したり、従来公知の結合方法等で行うことが出来る。
【0063】
拘束体16の下沓12側の先端部16dは、下沓12の外周部の外側に位置し、固定されていない。これにより、上沓11は、鉛直荷重の入力があっとき、弾性体13を圧縮しながら鉛直下向きに変位することが出来る。すなわち、拘束体16の下沓12側の先端部16dは、下沓12の外周部の外側に位置することで、芯材31と協働して、上沓11と下沓12の間に配設される弾性体17の剪断変形を抑制する機能や、弾性体17を半密閉状態に拘束して高支圧化させるシリンダの役割を果たす。かくして、下沓12に支持された弾性体17は、上面が上沓11、側面が拘束体16によって包囲され、半密閉された空間に配設されることになる。すなわち、支承装置30は、半密閉ゴム支承となり、小さな支承面積にして高荷重を支承することが可能となる。
【0064】
このような支承装置30にあっても、上述した支承装置10と同様に、下沓12に支持された弾性体17を、上沓11と拘束体16によって囲繞することで、半密閉された空間部を構成して、半密閉のゴム支承のようにして小さな支承面積にして高荷重支承を実現しながら、弾性体17の側面に凸部18と凹部19とを設けて、拘束面16aとの間に隙間を設けることで、鉛直荷重に対する鉛直可撓変位を実現することが出来る。また、回転作用の際には、凸部18又は凹部19による隙間により弾性体17が変形し良好な回転追従性を実現出来る。そして、図7で示したように、拘束面16aと弾性体17の側面との間に凹部19と凸部18によって隙間を設けることで、大きな荷重が入力されたときほど、より高度な密閉状態に変化して鉛直変位量の増加量を小さくすることが出来る。
【0065】
更に、このような支承装置30にあっても、支承装置10と同様に、拘束体16と下部構造物2又は下部プレート5との間に設けられた弾性シーリング体20aによって内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止出来、密閉性を確保することが出来る。
【0066】
なお、この支承装置30において、支承体となる弾性体17は、弾性層が単層の弾性体13であっても良い(図2参照)。
【0067】
また、上下を逆にして、上沓11を下沓とし、下沓12を上沓として用いても良い。この場合、弾性シーリング体20aは、拘束体16と上部構造物1又は上部プレート3との間に設けるようにする。これにより、このような支承装置30にあっても、弾性シーリング体20aによって内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止出来、密閉性を確保することが出来る。
【0068】
更に、上部構造物1と下部構造物2に設置するにあたっては、上述したように、上部プレート3や下部プレート5を介在させて固定しても良いし、更に、摺滑部材4,6を介在させて固定しても良い(図1参照)。この場合、弾性シーリング体20aは、拘束体16と上部プレート3又は下部プレート5との間、若しくは、拘束体16と摺滑部材4又は摺滑部材6との間に設けるようにする。これにより、このような支承装置30にあっても、弾性シーリング体20aによって内部に水分や塵埃等の異物が浸入すること防止出来、密閉性を確保することが出来る。
【0069】
また、図11に示すように、支承装置30は、拘束体16を上沓11ではなく、下沓12の外周部に固定手段16bによって固定するようにしても良い。この場合、拘束体16の先端部16dは、上沓11の外周部の外側に位置し固定されていない。そして、下沓12と拘束体16とによって構成されたポット部に、弾性体17が嵌入され、その後、弾性体17上に上沓11が配設され、芯材31が弾性体17の挿通孔34に挿通され、下沓12のネジ穴35に固定されることになる。図11に示すような支承装置30にあっても、上沓11は、鉛直荷重の入力があっとき、弾性体13を圧縮しながら鉛直下向きに変位することが出来、図10の例と同様な効果を得ることが出来る。
【0070】
この場合、弾性シーリング体20aは、拘束体16と上部構造物1又は上部プレート3との間に設けるようにする。これにより、このような支承装置30にあっても、弾性シーリング体20aによって内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止出来、密閉性を確保することが出来る。
【0071】
[8.支承装置の変形例3]
図12に示す支承装置40は、芯材41が上沓11と下沓12とを非貫通としたものである。この支承装置40は、下沓12に、芯材41が取り付けられ、上揚防止部と水平変位防止部とを設けたものである。また、この支承装置40は、第一剛性体としての上沓11と第二剛性体としての下沓12との間に弾性層と補強板とが積層された積層構造の弾性体17が介在されている。
【0072】
上沓11は、弾性体17の上面に配設されるものであって、外周部に、拘束体16が固定される。例えば、上沓11と拘束体16との結合は、ボルト・ナット等の固定手段16bを用いても良い。また、固定手段16bとしては、上沓11と拘束体16の何れか一方に雄ねじを設け、他方に雌ねじを設け、これらを互いに螺合して結合するねじ締結によったり、溶接したり、従来公知の結合方法等で行うことが出来る。拘束体16の下沓12側の先端部16dは、フランジ状の上揚防止片42が内側に張り出して形成されている。
【0073】
芯材41は、大径部43となる頭部を有する金属製のボルト状部材から成り、先端部が下沓12の弾性体17の支持面側に形成されたネジ穴44に螺合されることによって固定される。この芯材41は、上端部が大径部43となっており、弾性体17を支持する支持面となっている。また、この大径部43は、上沓11の外周部に固定された拘束体16の上揚防止片42に係合する。下沓12に固定された芯材41の大径部43は、上沓11に上揚力が加わったとき、上沓11側の上揚防止片42が係止されることで、上陽防止部の役割を果たし、上沓11と下沓12とが乖離することを防止する。また、この芯材41の大径部43は、拘束体16の拘束面16aを摺動するような大きさに形成され、弾性体17を半密閉状態に拘束して高支圧化させるピストンのように機能して、鉛直方向の変位を許容し、また、水平変位防止部となって、芯材41で水平方向の変位を制限する。これにより、過剰に上沓11と下沓12とが水平方向において相対変位することを防止することが出来る。更に、上揚防止片42と下沓12との間は、間隙が設けられており、鉛直下向きに上沓11が変位した際に、上揚防止片42が下沓12に突き当たらないようにしている。
【0074】
このような支承装置40にあっても、上述した支承装置10,30と同様に、下沓12に支持された弾性体17を、上沓11と拘束体16によって囲繞することで、半密閉された空間部を構成して、密閉ゴム支承のようにして小さな支承面積にして高荷重支持を実現しながら、弾性体17の側面に凸部18と凹部19とを設けて、拘束面16aとの間に隙間を設けることで、鉛直荷重に応じた鉛直可撓変位を可能とすることが出来る。また、回転作用の際には、凸部18又は凹部19による隙間により弾性体17がより一層変形し易くなり、良好な回転追従性を実現出来る。そして、図7で示したように、拘束面16aと弾性体17の側面との間に凹部19と凸部18によって隙間を設けることで、大きな入力があったときほど、より高度な密閉状態に変化して高支圧化させ鉛直変位量の増加量を小さくすることが出来る。
【0075】
更に、この支承装置40には、上揚防止片42と下沓12との間の間隙に、内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止する弾性シーリング体20bが設けられている。
【0076】
この弾性シーリング体20bは、支承装置10,30の弾性シーリング体20aと同様に、例えば、ゴム材料や合成樹脂材料等の弾性特性を有する弾性材料で形成されたリング状のパッキンであり、拘束体16の先端部16dに形成された上揚防止片42と下沓12との間に配設されている。更に、弾性シーリング体20bは、例えば、断面が矩形状に形成されている。更に、断面が矩形状に形成された弾性シーリング体20bは、厚さ方向の長さが、支承装置40が上部構造物1と下部構造物2との間に設置された際の上揚防止片42と下沓12との間の間隙よりも長く設けられている。これにより、弾性シーリング体20bは、上揚防止片42と下沓12との間の間隙に、内側又は外側(図12では、内側)に撓んだ状態で配設されている。このような形状の弾性シーリング体20bは、上揚防止片42と下沓12とにそれぞれ接着等によって取り付けられている。
【0077】
このようにして、弾性シーリング体20bは、上揚防止片42と下沓12との間の間隙を閉塞する。従って、弾性シーリング体20bは、支承装置40の内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止出来、支承装置40の密閉性を確保することが出来る。更に、弾性シーリング体20bは、弾性材料で形成されているので、鉛直荷重によって上揚防止片42が下沓12に対して鉛直変位方向に近接又は離間しても、追従して伸縮することが出来る。よって、弾性シーリング体20bは、鉛直荷重によって上揚防止片42が下沓12に対して鉛直変位方向に近接又は離間しても、支承装置40の内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止出来、支承装置40の密閉性を確保することが出来る。即ち、弾性シーリング体20bは、シーリング機能を有している。
【0078】
なお、弾性シーリング体20bは、接着して取り付けることに限定されるものではなく、ボルト・ナット等の固定手段のように、従来公知の固定方法で取り付けるようにしても良い。
【0079】
更に、弾性シーリング体20bは、鉛直荷重によって上揚防止片42が下沓12に対して鉛直変位方向に近接又は離間しても追従して伸縮することが出来、更に、支承装置40の密閉性を確保することが出来るものであれば、如何なるものでも良い。
【0080】
例えば、弾性シーリング体20bは、厚さ方向の長さを、支承装置40が上部構造物1と下部構造物2との間に設置された際の上揚防止片42と下沓12との間の間隙と略同じ長さ又はやや短く設けても良い(図5(A)参照)。更に、弾性シーリング体20bは、断面が円形状(図5(B)参照)、中空円形状(図5(C)参照)、蛇腹状(図5(D)参照)であっても良い。
【0081】
更に、図13に示すように、円形状又は中空円形状の弾性シーリング体20bは、上揚防止片42の下沓12と対向する面に設けられた配設凹部42aに配設されるようにしても良い。
【0082】
更に、蛇腹状の弾性シーリング体20bは、薄肉金属で形成されても良い。蛇腹状の弾性シーリング体20bは、薄肉金属で形成されていても、その形状から、鉛直荷重によって上揚防止片42が下沓12に対して鉛直変位方向に近接又は離間しても追従して伸縮することが出来、支承装置40の密閉性を確保することが出来る。更に、蛇腹状の弾性シーリング体20bは、図14に示すように、上揚防止片42の先端面に設けられたテーパ部42bに配設されるようにしても良い。
【0083】
更に、弾性シーリング体20bは、上揚防止片42の外周部に取り付けて、上揚防止片42と下沓12の間の間隙を塞ぐようにしても良い。更に、弾性シーリング体20bは、図15に示すように、上揚防止片42と芯材41との間の間隙に取り付けるようにしても良い。更に、弾性シーリング体20bは、上揚防止片42と大径部43との間の間隙に取り付けるようにしても良い。
【0084】
更に、弾性シーリング体20bは、上述した弾性体13の材料のうちの弾性体13と同じ又は異なる材料で形成されたリング部材で構成され、荷重支持可能にするようにしても良い。即ち、弾性シーリング体20bは、弾性体13と同様に支承体となり、シーリング機能に加え、荷重支承機能を有するようにしても良い。
【0085】
このようなシーリング機能と荷重支承機能とを有する弾性シーリング体20bは、例えば、図16(A)に示すように、上揚防止片42と下沓12との間の間隙に、平面視(厚さ方向視)で弾性体17と重ならないように配設される。更に、弾性シーリング体20bは、図16(B)に示すように、上揚防止片42と下沓12との間の間隙に、平面視(厚さ方向視)で弾性体13と重なるように配設されるようにしても良い。更に、弾性シーリング体20bは、図16(C)に示すように、上揚防止片42と下沓12との間の間隙に、平面視(厚さ方向視)で弾性体17と一部が重なるように配設されるようにしても良い。
【0086】
これら何れの弾性シーリング体20bにあっても、支承装置40の内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止出来、支承装置40の密閉性を確保することが出来ることに加え、弾性体17と共に鉛直荷重を支持することが出来る。
【0087】
更に、図16(B)及び図16(C)に示す弾性シーリング体20bが平面視(厚さ方向視)で弾性体17と少なくとも一部が重なるように設けられて弾性体17と厚さ方向に対して段違いに一部重複する部位を有するように配設されているので、弾性体17と弾性シーリング体20bは、多段の並列ばねとして機能する。これにより、支承装置40では、全体として小型化を実現しつつ、小さな支承面積にして高荷重を支承することが可能となる。更に、弾性シーリング体20bは、上揚防止片42と下沓12との間の間隙と、上揚防止片42と芯材41との間の間隙と、上揚防止片42と大径部43との間の間隙に配設されて、平面視(厚さ方向視)で弾性体17と少なくとも一部が重なるように設けるようにしても良い。
【0088】
更に、この支承装置40において、支承体となる弾性体17は、弾性層が単層の弾性体13であっても良い(図2参照)。また、上下を逆にして、上沓11を下沓とし、下沓12を上沓として用いても良い。更に、上部構造物1と下部構造物2とに設置するにあたっては、上述したように、上部プレート3や下部プレート5を介在させて固定しても良いし、更に、摺滑部材4,6を介在させて固定しても良い(図1参照)。
【0089】
[9.支承装置の変形例4]
図17に示す支承装置50は、図16の支承装置40を更に変形したものである。この支承装置50は、下沓12に、芯材51が取り付けられ、上揚防止部と水平変位防止部とを設けたものである。この支承装置50は、第一剛性体としての上沓11と第二剛性体としての下沓12との間に弾性層17bと補強板17aとが積層された積層構造の弾性体17が介在されている。
【0090】
上沓11は、弾性体17の上面に配設されるものであって、外周部に、拘束体16が固定される。例えば、上沓11と拘束体16との結合は、ボルト・ナット等の固定手段16bを用いることが出来る。また、固定手段16bとしては、上沓11と拘束体16の何れか一方に雄ねじを設け、他方に雌ねじを設け、これらを互いに螺合して結合するねじ締結によったり、溶接したり、従来公知の結合方法等で行うことが出来る。拘束体16の下沓12側の先端部16dは、フランジ状の上揚防止片52が内側に張り出して形成されている。なお、フランジ状の上揚防止片52は、拘束体16の下沓12側の先端部16dに、ボルト・ナット等の固定手段によって固定して設けるようにしても良い。
【0091】
芯材51は、ベースプレートとなる下沓12に下端部が固定される。芯材51の下端面は、位置決め凸部51aが設けられ、位置決め凸部51aが下沓12側の位置決め凹部51bに嵌合されることで、位置決めされる。また、下沓12には、挿通孔55aが形成され、固定ボルト55bが芯材51の下端部に設けられた固定孔55cに締め付けられることで固定される。芯材51の上端部には、弾性体17を支持する支持面となる大径部53が一体的に設けられる。大径部53は、裏面中央部にネジ穴53aが設けられており、ネジ穴53aに、芯材51の先端部に形成されたネジ部54が締め付けられることで一体化される。なお、固定ボルト55bのボルト頭部は、下沓12の挿通孔55aと連通した凹部55dに突出することなく収容されている。
【0092】
芯材51と一体の大径部53は、外周部下面が上沓11の外周部に固定された拘束体16の上揚防止片52と係合する。下沓12との一体の芯材51の大径部53は、上沓11に上揚力が加わったとき、上沓11側の上揚防止片52が係止されることで、上陽防止部の役割を果たし、上沓11と下沓12とが乖離することを防止する。また、この芯材51の大径部53は、拘束体16の拘束面16aを摺動するような大きさに形成され、弾性体17を半密閉状態に拘束して高支圧化させるピストンのように機能して、鉛直方向の変位を許容し、また、水平変位防止部となって、芯材51で水平方向の変位を規制する。これにより、過剰に上沓11と下沓12とが水平方向において相対変位することを防止することが出来る。更に、上揚防止片52と下沓12との間は、間隙が設けられており、鉛直下向きに上沓11が変位した際に、上揚防止片52が下沓12に突き当たらないようにしている。
【0093】
このような支承装置50にあっても、上述した支承装置10,30,40と同様に、下沓12に支持された弾性体17を、上沓11と拘束体16によって囲繞することで、半密閉された空間部を構成して、密閉ゴム支承のようにして小さな支承面積にして高荷重支承を実現しながら、弾性体17の側面に凸部18と凹部19とを設けて、拘束面16aとの間に隙間を設けることで、鉛直荷重に対する鉛直可撓変位を実現することが出来る。また、回転作用の際には、凸部18又は凹部19による隙間により弾性体17がより一層変形し易くなり、良好な回転追従性を実現出来る。そして、図7で示したように、拘束面16aと弾性体17の側面との間に凹部19と凸部18によって隙間を設けることで、大きな荷重があったときほど、より高度な密閉状態に変化して鉛直変位量の増加量を小さくすることが出来る。
【0094】
更に、このような支承装置50にあっても、図16の支承装置40と同様に、上揚防止片52と下沓12との間の間隙に設けられた弾性シーリング体20bによって内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止出来、密閉性を確保することが出来る。更に、このような支承装置50にあっても、図16の支承装置40と同様に、弾性シーリング体20bを荷重支持可能に設けることで、支承装置50の内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止出来、支承装置50の密閉性を確保することが出来ることに加え、弾性体17と共に鉛直荷重を支持することが出来る。
【0095】
なお、この支承装置50において、支承体となる弾性体17は、弾性層が単層の弾性体13であっても良い(図2参照)。また、上下を逆にして、上沓11を下沓とし、下沓12を上沓として用いても良い。更に、上部構造物1と下部構造物2に設置するにあたっては、上述したように、上部プレート3や下部プレート5を介在させて固定しても良いし、更に、摺滑部材4,6を介在させて固定しても良い(図1参照)。
【0096】
[10.支承装置の変形例5]
以上の例では、弾性体13,17の側面に凸部14,18と凹部15,19を設けた場合を説明したが、図18に示すように、弾性体13,17の側面には、凸部14,18と凹部15,19を設けず、代わりに、拘束体16の拘束面16aに、周回り方向に沿った凸部61又は凹部62を設けるようにしても良い。なお、支承装置の構造は、図12に示した支承装置40と同一であるため詳細は省略する。なお、ここでは、一例として、積層型弾性体17を用いるようにしている。図18では、拘束体16の下沓12側の先端部16dには、フランジ状の上揚防止片42が内側に張り出すように、ボルト・ナット等の固定手段16cによって固定されている。
【0097】
このような支承装置の組立は、拘束体16に上沓11を固定手段16bで固定し、ポット部を形成してから、又は、少なくとも拘束体16の芯材41を挿入し、上揚防止片42を固定手段16cで固定し、ポット部を形成してから、弾性体17をポット部に嵌入するようにすれば良い。
【0098】
図18に示す拘束体16の拘束面16aには、自由側面の弾性層17bの位置に凸部61を設け、補強板17aの位置に凹部62を設けるようにしている。この場合、凸部61は、荷重が加わった際、弾性層17bの自由側面が膨出することで、凹部62より先に、補強板17a,17a間の側方に膨出した側面が圧接されることになる。
【0099】
なお、補強板17aの位置を凸部61とし、弾性層17bの位置を凹部62としても良い。この場合、凹部62となっている弾性層17bの自由側面が僅かに膨出することで、凸部61と凹部62の部分が同じように拘束体16の拘束面16aに圧接されるようにすることが出来る。このように、拘束体16の拘束面16aに凸部61と凹部62を設けた場合にも、弾性体13,17の側面に凸部14,18と凹部15,19を設けた場合と類似した作用効果を得ることが出来る。
【0100】
更に、このような支承装置50にあっても、図16の支承装置40や図17の支承装置50と同様に、上揚防止片52と下沓12との間に設けられた弾性シーリング体20bによって内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止出来、密閉性を確保することが出来る。更に、このような支承装置50にあっても、図16の支承装置40と同様に、弾性シーリング体20bを荷重支持可能に設けることで、支承装置50の内部に水分や塵埃等の異物が浸入することを防止出来、支承装置50の密閉性を確保することが出来ることに加え、弾性体17と共に鉛直荷重を支持することが出来る。
【0101】
[11.その他の変形例]
なお、弾性シーリング体20a,20bを、二重に設けても良い。例えば、図6に示すシーリング機能と荷重支承機能とを有する弾性シーリング体20aの他に、図1及び図5(A)−図5(E)に示すシーリング機能を有する別途弾性シーリング体を、拘束体16の上沓11又は下沓12と対向する面の弾性シーリング体20aよりも外側、又は、拘束体16の外周部等に設けるようにしても良い。更に、図16に示すシーリング機能と荷重支承機能とを有する弾性シーリング体20bの他に、図12及び図5(A)−図5(E)に示すシーリング機能を有する別途弾性シーリング体を、上揚防止片42の上沓11又は下沓12と対向する面の弾性シーリング体20bよりも外側、又は、上揚防止片42の外周部等に設けるようにしても良い。更に、図16に示すシーリング機能と荷重支承機能とを有する弾性シーリング体20bの他に、図15に示すシーリング機能を有する別途弾性シーリング体を設けるようにしても良い。
【0102】
更に、弾性体13,17は、側面に、周回り方向に沿って凸部14,18と凹部15,19とが設けられることに限定されるものではなく、図19に示すように、厚さ方向に沿って凸部14,18と凹部15,19とが設けられるようにしても良い。これにより、弾性体13,17は、円滑にポット部に挿入することが出来る。更に、厚さ方向に沿って設けられた凸部14,18と凹部15,19は、直線状であっても良く、波状であっても良い。更に、厚さ方向に沿って設けられた凸部14,18と凹部15,19は、連続的であっても良く、断続的であっても良い。更に、厚さ方向に沿って設けられた凸部14,18と凹部15,19は、周回り方向の間隔が等間隔であっても良く、等間隔でなくても良い。
【0103】
即ち、本発明において、弾性体13,17の凸部14,18と凹部15,19は、その形状や本数や間隔等は特に限定されるものではない。更に、弾性体13,17は、凸部14,18と凹部15,19とが設けられていなくとも良い。
【0104】
更に、上述の説明では、本発明の支承装置として橋梁用支承装置について説明したが、本発明は橋梁用支承装置に限定されることはなく、各種の構造物の制震、免震用の支承装置として採用することが出来る。
【符号の説明】
【0105】
1 上部構造物、2 下部構造物、3 上部プレート、4 摺滑部材、5 下部プレート、6 摺滑部材、10 支承装置、11 上沓、12 下沓、13 弾性体、13a 一方の端面、13b 他方の端面、14 凸部、15 凹部、16 拘束体、16a 拘束面、16b 固定手段、16c 固定手段、16d 先端部、16e 配設凹部、17 弾性体、17a 補強板、17b 弾性層、18 凸部、19 凹部、20a 弾性シーリング体、20b 弾性シーリング体、30 支承装置、31 芯材、32 貫通孔、32a 上揚防止片、33 大径部、34 挿通孔、35 ネジ穴、40 支承装置、41 芯材、42 上揚防止片、42a 配設凹部、42b テーパ部、43 大径部、44 ネジ穴、50 支承装置、51 芯材、51a 位置決め凸部、51b 位置決め凹部、52 上揚防止片、53 大径部、53a ネジ穴、54 ネジ部、55a 挿通孔、55b 固定ボルト、55c 固定孔、55d 凹部、61 凸部、62 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一構造物又は第二構造物の一方に配設された第一剛性体と、
第一構造物又は第二構造物の他方に配設された第二剛性体と、
前記第一剛性体と前記第二剛性体との間に配設された弾性体と、
前記弾性体を囲繞する拘束体と、
前記拘束体の先端部と前記何れかの構造物又は前記何れかの剛性体との間の間隙に配設され、弾性及び/又は可撓性を有し、該間隙を密閉する弾性シーリング体とを備えている支承装置。
【請求項2】
前記拘束体は、前記弾性体の弾性変形を拘束する機能及び/又は前記弾性体の略密閉状態を保持する機能及び/又は前記第一剛性体と前記第二剛性体の相対変位を拘束する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の支承装置。
【請求項3】
前記第一剛性体、前記第二剛性体の何れかには、芯材が設けられ、
前記芯材は、上揚防止部と水平変位防止部とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の支承装置。
【請求項4】
前記拘束体の先端部には、フランジ状の上揚防止片が設けられていることを特徴とする請求項1−3の何れかに記載の支承装置。
【請求項5】
前記弾性シーリング体は、前記上揚防止片と前記第一剛性体又は前記第二剛性体との間の間隙に配設されていることを特徴とする請求項1−4の何れかに記載の支承装置。
【請求項6】
前記弾性シーリング体は、前記上揚防止片と前記芯材との間の間隙に配設されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の支承装置。
【請求項7】
前記弾性シーリング体は、荷重支持可能な弾性体であることを特徴とする請求項1−6の何れかに記載の支承装置。
【請求項8】
前記弾性体の側面及び/又は前記拘束体の拘束面には、凸部及び/又は凹部が形成されている請求項1−7の何れかに記載の支承装置。
【請求項9】
所定以上入力されると、前記弾性体が前記凸部と前記凹部とによって作出される隙間の容積を縮小するように弾性変形し、且つ、変形した前記弾性体が前記拘束体に当接及び/又は圧接して前記弾性体の変形が拘束されるように構成されることを特徴とする請求項8に記載の支承装置。
【請求項10】
前記弾性体は、前記第一剛性体と前記第二剛性体と前記拘束体とによって囲繞されて半密閉状態とされ、
前記弾性体への荷重の増大に伴って、より高度な密閉状態へと変化することを特徴とする請求項1−9の何れかに記載の支承装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−64243(P2013−64243A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202448(P2011−202448)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(509338994)株式会社IHIインフラシステム (104)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【出願人】(510202167)Next Innovation合同会社 (30)
【Fターム(参考)】