説明

支持手段のケージランと釣り合いおもりランとの重量差を補償する機器を備えたエレベータ設備装置と、そのような補償を実現する方法

【課題】エレベータケージの位置によって決まる、支持手段の、エレベータケージを支持するケージランと、釣り合いおもりを支持する釣り合いおもりランとの重量差を補償する機器を備えたエレベータ設備装置と、そのような補償を実現する方法の提供。
【解決手段】エレベータケージと、釣り合いおもりと、エネルギーおよび/または制御信号を伝送する一体型伝導体を備えた少なくとも1つの懸吊ケーブル309とを備えたエレベータ設備装置において、支持手段のケージランと釣り合いおもりランとの重量差に対して、エレベータ設備装置の固定点とエレベータケージもしくは釣り合いおもりとの間に懸吊される懸吊ケーブル309によって補償がもたらされ、懸吊ケーブルはそのメートル当りの重量を増加させる手段311を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータケージの位置によって決まる、支持手段の、エレベータケージを支持するケージランと、釣り合いおもりを支持する釣り合いおもりランとの重量差を補償する機器を備えたエレベータ設備装置と、そのような補償を実現する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第1445229号明細書から知られているエレベータ設備装置は、エレベータケージおよび釣り合いおもりと、駆動プーリを備えた駆動ユニットと、駆動プーリの上を走行する支持手段とを備え、エレベータケージと、エネルギーまたは制御信号の伝送をするラインを備えた懸吊ケーブルと並行の昇降路壁との間に、柔軟な重量補償ストランドが据え付けられる。この重量補償ストランドは、例えばリンクチェーンとして、またはワイヤケーブルもしくはベルトの形態で存在することができ、エレベータ設備装置の高さの約半分のところに配設された固定点からエレベータケージの下面まで懸吊ループの形態で延びる。補償用機器が無ければ、ケージ側で長く、釣り合いおもり側で短い支持手段セクションの組み合わせは、例えばエレベータケージの最低位置などで、駆動プーリに大きなトルクを及ぼす。エレベータケージの最高位置では、ケージ側で短く、釣り合いおもり側で長い支持手段セクションの組み合わせは、駆動プーリの他の回転方向にトルクを及ぼす。補償用機器が無ければ、駆動ユニットは、それぞれの負荷の状況に応じて、このトルクを、ケージと釣り合いおもりの重量差から生じるトルクに追加して加えなければならない。欧州特許第1445229号明細書によるエレベータ設備装置では、上述の望ましくない支持手段の重量の影響に対して、1つの重量補償ストランドまたはいくつかの重量補償ストランドによって補償がもたらされ、メートル当たりの重量が、並行に配置された全ての支持手段のメートル当りの重量のおよそ2倍に相当する。
【0003】
欧州特許第1445229号明細書に開示されるエレベータ設備装置は、いくつかの欠点を有する。欠点の1つは、エネルギーまたは制御信号を伝送する一体型伝導体を備えた懸吊ケーブルとは別に、懸吊ケーブルと並行に配置された少なくとも1つの別個の柔軟な重量補償ストランドを据え付けなければならず、その結果、重量補償ストランド自体と、その製造、保管、取り付けのための追加費用が発生する。またさらなる欠点が、そのような柔軟な重量補償ストランドは、メートル当りのそれらの重量に関して限られた数の変形例でしか利用できないという事実にも見出される。したがって、それぞれのエレベータ構成に応じてメートル当り異なった重量を有する支持手段のケージランと釣り合いおもりランとの重量差に対して、最適な補償を実現できない場合が多い。さらに、メートル当り重量のいくつかの変形例で必要になるそのような重量補償ストランドの保管、ならびに追加的に必要となる運搬経費が、大きなコスト増を引き起こす。透明の昇降路を備えるエレベータ設備装置では、追加の重量補償ストランドはさらに設備装置全体の外観を損なってしまう。
【特許文献1】欧州特許第1445229号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が有する目的は、従来技術としてここに言及したエレベータ設備装置の上記欠点を有さないエレベータ設備装置を提供することである。したがって特に、支持手段のケージ側のラン(ケージラン)と釣り合いおもり側のラン(釣り合いおもりラン)との重量差を補償する機器を備えたエレベータ設備装置であって、追加の重量補償ストランドを強いず、したがって製造、運搬および取り付けのコストを節約でき、支持手段のケージランと釣り合いおもりランとの望ましくない重量差に対して最適な補償がもたらされるようにエレベータの設備装置の全ての条件に適合することができ、透明な昇降路を備えるエレベータ設備装置の概観を可能な限り損ねることのないエレベータ設備装置が作り出される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明によるエレベータ設備装置、ならびに本発明の方法によって達成される。本発明によるエレベータ設備の場合、エネルギーおよび/または制御信号を伝送する一体型伝導体を備えた懸吊ケーブルが存在し、これは、支持手段のケージランと釣り合いおもりランとの重量差を少なくとも部分的に補償し、メートル当りのその重量を増加させる手段を備える。
【0006】
「メートル当りの重量」は、メートル長さに関する懸吊ケーブルまたは支持手段の重量として理解されたい。
【0007】
本発明の方法では、エネルギーおよび/または制御信号を伝送する一体型伝導体を備えた懸吊ケーブルであって、メートル当りのその重量を増加させる手段が設けられる懸吊ケーブルが、エレベータ設備装置に据え付けられて、支持手段のケージランと釣り合いおもりランとの重量差を補償する。
【0008】
したがって本発明は、いずれの場合も存在する、エネルギーおよび/または制御信号を伝送する一体型伝導体を含む懸吊ケーブルのメートル当り重量を適切な手段によって増加させ、それらが、エレベータケージのそれぞれの一時的な位置に応じて異なった長さを有する支持手段のケージランと釣り合いおもりランとの望ましくない重量差を補償するという概念に基づく。
【0009】
本発明によって達成される利点を、追加の重量補償用ストランドを、それらの全ての上述の欠点とともに省くことが可能であるということに大きく見出すことができる。
【0010】
本発明と本発明による方法との有利な改良および開発が、従属請求項から明らかであり、以下にそれを述べる。
【0011】
本発明の実施の好ましい形態では、懸吊ケーブルに沿ったおもり要素がそれに固定される。この簡単な実施の形態によって、市販されている懸吊ケーブルを、支持手段の望ましくない重量の影響に対して最適な形でそれらに対して補償をもたらせるように備え付けることができる。
【0012】
有利に、おもり要素が等間隔で懸吊ケーブルに固定される。
【0013】
一体型伝導体を備えた懸吊ケーブルが平坦なケーブルである場合、本発明を特に簡単なやり方で実現することができ、そこでは、おもり要素が懸吊ケーブルの平坦面の一方だけまたは両方に固定される。
【0014】
おもり要素を固定するための締付要素を挿入できる締付用穴が懸吊ケーブルに沿って等間隔で存在するということから、懸吊ケーブルへのおもり要素の簡単で時間節約可能な取り付けが達成される。
【0015】
板形状であることが好ましいおもり要素が、懸吊ケーブルに沿ってそこに等間隔で専らクランプ留め金(fast)によって固定される場合、市販されている、したがって有利な価格の懸吊ケーブルを使用することができる。
【0016】
有利に、おもり要素を等間隔で位置決めするのを容易にするマーキング、例えば懸吊ケーブルのケーシングの色付マーキングまたは圧痕が、懸吊ケーブルに沿って等間隔に存在する。
【0017】
全ての支持手段のケージランと釣り合いおもりランとの重量差を補償するために並行に配置された2つ以上の懸吊ケーブルが必要な場合、並行に配置された懸吊ケーブルを、対応する幅の板形状のおもり要素に一緒に連結することが有利である。一群の懸吊ケーブルをこの方策によって、あらゆる水平方向の振動に抗して安定化させることができる。
【0018】
小さな運搬および取り付け経費しか必要としない本発明の実施の一形態では、エネルギーおよび/または信号のラインに追加して、懸吊ケーブルのケーシング内に、メートル当りの重量を増加させるための、増加する充填材が少なくとも部分的に充填される空洞が存在する。砂、鉄鋼くず、鉛くず、または横切込によって曲がり易くなる金属片が、そのような充填材として問題になる。
【0019】
有利に、空洞は、懸吊ケーブル内の連続した縦通路の形態で存在し、好都合に、これらの空洞への上記重量増加充填材による充填が、懸吊ケーブルの製造、例えば押し出しプロセスなどで行われる。
【0020】
懸吊ケーブルのメートル当り重量が所与の状況に適合されるということから、即ち個々のおもり要素同士の間隔または個々のおもり要素の重量、あるいはおもり要素の間隔だけでなく重量も対応するように選択されるということから、本発明による方法の高い融通性が達成される。
【0021】
本発明の実施の特に好ましい形態によって、支持手段のケージランと釣り合いおもりランとの重量差に対する補償が、少なくとも1つの懸吊ケーブルであってそのメートル当りの重量を増加させる手段を有する懸吊ケーブルによって完全に、専らそれだけによってもたらされる。
【0022】
本発明の実施例を添付図面によって以下に説明するが、参照表示のそれぞれの最初の数字は、参照表示によって示す項目を図示する図面の番号に対応する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1Aは、エレベータ昇降路102、エレベータケージ103、および釣り合いおもり104を備えたエレベータ設備装置101の概略断面図であり、駆動ユニット105がエレベータケージおよび釣り合いおもりを、駆動プーリ106および柔軟な支持手段107によって支持し、駆動する。エレベータケージはその最下位置に示している。一体型伝導体とメートル当りの重量を増加させる手段(ここには示さない)とを備えた懸吊ケーブル109が、エレベータケージ103とエレベータ昇降路102の昇降路壁108との間に配置される。この懸吊ケーブル109は一方でエネルギーおよび制御信号をエレベータケージ103に伝送する役割と、他方で駆動プーリ106に作用する2つのラン107.1および107.2の重量力の影響を補償する役割とを有し、その割合はエレベータケージの位置に応じて変化する。
【0024】
図B1も、図1Aによるエレベータ設備装置を示すが、ここではエレベータケージ103をその最上位置で示す。図1Aおよび図1Bから、エレベータケージが底部に位置決めされると、エレベータケージに繋がる支持手段107のラン107.1は、釣り合いおもり107に繋がるラン107.2よりもかなり大きな重量を有する。それとは対照的に、エレベータケージが頂部に位置決めされる場合(図1B)、エレベータケージに繋がる支持手段107のラン107.1は、釣り合いおもり104に繋がるラン107.2よりも極めて少ない重量を有する。追加の重量補償手段がなければ、駆動ユニット105は、満載されたエレベータケージ103または空のエレベータケージ103の重量と、釣り合いおもり104の重量との最大差から生じるトルクに追加して、駆動プーリ106で、支持手段107の異なった長さのラン107.1、107.2の結果生じるトルクに打ち勝つことができるように設計されなければならなくなる。メートル当りの重量を増加させる手段が設けられた懸吊ケーブル109は、図1Aおよび図1Bに示すエレベータ設備装置で、エレベータケージ103のあらゆる位置で、支持手段107の2つのラン107.1と107.2との間に存在する重量不均衡に対して補償をもたらし、それによって駆動ユニット105の駆動力は、エレベータケージの重量と釣り合いおもりの重量との間の可能な最大重量不均衡とだけ対応するように設計すればよい。懸吊ケーブル109のメートル当りの重量は、ここでは並行して存在する支持手段ストランド107のメートル当りの合計重量の2倍に対応し、懸吊ケーブル109のメートル当りの必要重量を達成するために、2本以上の懸吊ケーブルストランドを並行に配置することもできる。
【0025】
図2Aおよび図2Bは、エレベータケージ203と釣り合いおもり204とを備えた第2のエレベータ設備装置201を、エレベータケージの2つの両極端の位置で示し、エレベータケージは支持手段207のケージラン207.1で、また釣り合いおもりは支持手段207の釣り合いおもりラン207.2で懸吊される。この設備装置の駆動ユニット205は、釣り合いおもり204に配置され、駆動プーリ206を駆動するが、駆動プーリ206は、静止している柔軟な駆動ストランド220との協働によって、ケージラン207.1で懸吊されるエレベータケージ203と、釣り合いおもりラン207.2で懸吊される釣り合いおもり204とを駆動する。メートル当りの重量を増加する手段が設けられた第1懸吊ケーブル209.1は、エレベータ昇降路202の第1昇降路壁208.1からエレベータケージ203に導かれ、同様のそのような第2懸吊ケーブル209.2は、エレベータ昇降路202の第2昇降路壁208.2から釣り合いおもり304に導かれる。実施のこの形態は実際的であるが、それは、少なくともエネルギーを伝送するためのそれぞれの懸吊ケーブルが、エレベータケージ203と釣り合いおもり304とのそれぞれで必要になるからである。2つの懸吊ケーブル209.1、209.2それぞれのメートル当りの重量は、ここでは、並行して存在する支持手段ストランドのメートル当りの合計重量に対応する。
【0026】
図3は、本発明による懸吊ケーブル309であって、おもり要素311をそのメートル当りの重量を増加する手段としてそこに固定して備えた懸吊ケーブル309の断面を示す。懸吊ケーブル309は可撓性の押し出し可能な材料、例えばゴムまたは弾塑性材料の実質的に平坦なケーシング310を備え、その中に導電性金属ストランド312が埋め込まれる。おもり要素311を懸吊ケーブル309に固定できるように、これはその長さに沿って複数の締付用穴313によって設置され、隣接する締付用穴313同士の間には必ず同じ間隔aが存在する。懸吊ケーブル309のそれぞれに必要なメートル当りの重量に応じて、単一の間隔aまたは複数の間隔aを備えたおもり要素が懸吊ケーブルに固定される。これは、図4および5に関連してここに詳しく示すように、懸吊ケーブルの締付用穴313から挿入されたねじ314によって実施されることが好ましい。ねじではなく、他の締付要素または連結要素、例えばリベット、ブラインドリベット、スナップ連結部材なども明らかに使用することができる。必要なメートル当りの重量に対応して、おもり要素311が懸吊ケーブル309の平坦面の一方だけ、あるいは両方に取り付けられ、達成されるべきメートル当りの重量に対応して、異なった重量を備えた一連の利用可能なおもり要素から選択されたおもり要素の使用と組み合わせて、懸吊ケーブルのメートル当りの重量をエレベータ設備装置の仕様に高精度で適合させることができる。
【0027】
図4は、本発明による懸吊ケーブル409の断面図であり、板形状のおもり要素411が懸吊ケーブルの平坦面の一方だけに固定される。おもり要素の固定はねじ込み式連結によって実施され、ねじ414のシャンクが、懸吊ケーブル内に等間隔で存在する締付用穴の1つから挿入される。自動ロック式ナット415が有利にねじ込み式連結に使用される。図4による実施の形態は、メートル当りの重量が比較的僅かにしか増加されない懸吊ケーブルに特に適している。
【0028】
図5は、本発明による懸吊ケーブル509の断面図であり、板形状のおもり要素511が懸吊ケーブルの両方の平坦面に固定され、おもり要素は、おもり要素511を懸吊ケーブル509に対して心合わせし、位置合わせする立ち上がった外側縁511.1を有する。おもり要素511の固定も同様に、自動ロックねじ込み式連結によって実施され、ねじ514のシャンクが、懸吊ケーブル内に等間隔で存在する締付用穴の1つから挿入される。図5による実施の形態は、メートル当りの重量が比較的大きく増加される懸吊ケーブルに特に適している。
【0029】
図6は、本発明による懸吊ケーブル609の断面図であり、板形状のおもり要素611が懸吊ケーブル609の両方の平坦面に、専らクランプ締めによって固定される。おもり要素611は、それらが懸吊ケーブル609を超えて横に突き出るように寸法決めされる。必要なクランプ締め力は、クランプ締めねじ616によって生み出されるが、これは懸吊ケーブル609に横方向に隣接して配置され、2つのおもり要素を一緒に、懸吊ケーブルを超えて突き出るそれらの端部の領域で連結する。自動ロックねじ込み式連結をここで使用することも有利である。図6による実施の形態は、締付用穴が設けられていない市販の懸吊ケーブルに特に適している。
【0030】
図7は、本発明による懸吊ケーブル709の断面図を示し、懸吊ケーブルはそのケーシング710の内部に、重量を増加させる充填材719が充填された一体型空洞718を有する。空洞718は、押し出し成形によって実施される懸吊ケーブルの製造中に作られ、充填され、そこでは例えば鉛くず、鉄鋼くず、砂、または横切込によって柔軟に作られた金属層などを充填材として使用することができる。
【0031】
図8は、本発明による実施の形態を示し、そこでは並行に配置された少なくとも2つの懸吊ケーブル809が、複数の板形状のおもり要素811によって一緒に連結される。そのようにして懸吊ケーブル機器の全体の安定性が向上され、その振動する傾向が大幅に縮小される。
【0032】
さらに、図8ではマーキング817を示すが、それらは懸吊ケーブル809に等間隔で存在し、それによっておもり要素811を同様に等間隔で固定するのを容易にできるようにする。マーキング817は、例えば、それらの製造で、色付マーキング、レーザーマーキング、または窪み付けされた横溝の形態で懸吊ケーブルのケーシングに形成することができる。懸吊ケーブルのこのようなマーキングは、本発明の実施の全ての形態で実現可能であり、そこで等間隔は、懸吊ケーブルに穴を固定することによって予め規定されない。
【0033】
メートル当りの重量を増加させる手段による比較的大きな追加の負荷を受ける懸吊ケーブルには、鋼鉄またはプラスチック材料のケーブルの形態の張力補強物を備え付けることができ、それらは導電体と同じように懸吊ケーブルのケーシングに埋め込まれ、懸吊ケーブルの締付位置領域に個別に固定される。
【0034】
おもり要素の取り付けは、エレベータの構成部品を準備する供給者で実施されるのが好ましい。明らかに、エレベータの据付時に初めておもり要素を、1つまたは複数の懸吊ケーブルに固定することもでき、それは、いくつかの懸吊ケーブルがおもり要素によって一緒に連結される懸吊ケーブルの配置の場合に、特に合理的である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1A】最下位置のエレベータケージと、釣り合いおもりと、支持手段と、エレベータケージおよび釣り合いおもりの間に配置され、支持手段のケージランおよび釣り合いおもりランの重量差を補償する懸吊ケーブルとを備えるエレベータ設備装置の概略的断面図である。
【図1B】エレベータケージがその最上位置に配設される、図1Aによるエレベータ設備装置を示す図である。
【図2A】追加の懸吊ケーブルが釣り合いおもりと昇降路壁の間に配置され、エレベータケージが最下位置に配設される第2のエレベータ設備装置を示す図である。
【図2B】エレベータケージが最上位置に配設される、図2Aによるエレベータケージを示す図である。
【図3】本発明による、おもり要素が固定された懸吊ケーブルの断面図である。
【図4】本発明による、おもり要素が懸吊ケーブルの片側に固定された懸吊ケーブルの断面図である。
【図5】本発明による、2つのおもり要素それぞれが懸吊ケーブルの各側に固定された懸吊ケーブルの断面図である。
【図6】本発明による、2つのおもり要素がクランプ締めによって懸吊ケーブルの各側に固定された懸吊ケーブルの断面図である。
【図7】本発明による、空洞が懸吊ケーブルのケーシング内に一体化され、重量増加充填材が充填される懸吊ケーブルの断面図である。
【図8】本発明による、並行に配置され、おもり要素によって一緒に連結された2つの懸吊ケーブルを示す図である。
【符号の説明】
【0036】
101、201 エレベータ設備装置
102、202 エレベータ昇降路
103、203 エレベータケージ
104、204、304 釣り合いおもり
105、205 駆動ユニット
106、206 駆動プーリ
107、207 支持手段
107.1、207.1 ケージラン
107.2、207.2 釣り合いおもりラン
108、208 昇降路壁
109、209、309、409、509、609、709、809 懸吊ケーブル
220 駆動ストランド
310、710 ケーシング
311、411、511、611、811 おもり要素
311、611、719 重量を増加させる手段
312、712 一体型伝導体
313 締付用穴
314、414、514 締付要素
415 自動ロック式ナット
616 クランプ締めねじ
712 エネルギーおよび/または信号ライン
718 空洞
719 充填材
817 マーキング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータケージ(103、203)を支持する少なくとも1つのケージラン(107.1、207.1)と、釣り合いおもり(104、204)を支持する少なくとも1つの釣り合いおもりラン(107.2、207.2)とを含む少なくとも1つの支持手段(107、207)を備えるエレベータ設備装置(101、201)であって、エネルギーおよび/または制御信号を伝送する一体型伝導体を備えた少なくとも1つの懸吊ケーブル(109、209.1、209.2)が、懸吊ループの形態で、固定点とエレベータケージ(103、203)もしくは釣り合いおもり(104、204)との間に存在し、据え付けられ、
懸吊ケーブル(109、209.1、209.2)が、そのメートル当りの重量を増加させる手段(311、611、719)を含むことを特徴とする、エレベータ設備装置(101、201)。
【請求項2】
懸吊ケーブル(109、209.1、209.2)が、支持手段(107、207)の少なくとも1つのケージラン(107.1、207.1)と少なくとも1つの釣り合いおもりラン(107.2、207.2)との重量差の少なくとも一部に対して補償をもたらすことを特徴とする、請求項1に記載のエレベータ設備装置(101、201)。
【請求項3】
懸吊ケーブル(109、309、409、509、609)に沿ったおもり要素(311、411、511、611)がそこに固定されることを特徴とする、請求項2に記載のエレベータ設備装置(101、201)。
【請求項4】
おもり要素(311、411、511、611)が懸吊ケーブル(309、409、509、609)に等間隔で固定されることを特徴とする、請求項3に記載のエレベータ設備装置。
【請求項5】
懸吊ケーブル(309、409、509、609)が平坦なケーブルであり、おもり要素(311、411、511、611)が平坦面の一方だけまたは両方に固定されることを特徴とする、請求項4に記載のエレベータ設備装置。
【請求項6】
おもり要素(311、411、511)を固定する締付要素(314、414、514)を挿入することができる締付用穴(313)が、懸吊ケーブルに沿って存在することを特徴とする、請求項5に記載のエレベータ設備装置。
【請求項7】
懸吊ケーブル(609、809)に沿ったおもり要素(611、811)がそこに専らクランプ締めによって固定されることを特徴とする、請求項5に記載のエレベータ設備装置。
【請求項8】
おもり要素(811)の等間隔での位置決めを容易にするマーキング(817)が懸吊ケーブル(809)に沿って等間隔に存在することを特徴とする、請求項7に記載のエレベータ設備装置。
【請求項9】
いくつかの並行に配置された懸吊ケーブル(809)が、板形状のおもり要素(811)によって一緒に連結されることを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載のエレベータ設備装置。
【請求項10】
エネルギーおよび/または信号ライン(712)とは別に、懸吊ケーブル(709)のメートル当りの重量を増加させるために、重量増加充填材料(719)が少なくとも部分的に充填された少なくとも1つの空洞(718)が存在することを特徴とする、請求項1または2に記載のエレベータ設備装置。
【請求項11】
空洞(718)が懸吊ケーブル(709)内の連続した縦通路の形態で存在することを特徴とする、請求項10に記載のエレベータ設備装置。
【請求項12】
支持手段(107、207)のケージラン(107.1、207.1)と釣り合いおもりラン(107.2、207.2)との重量差に対する補償が、メートル当りの重量を増加させる手段(311、611、719)を備える少なくとも1つの懸吊ケーブル(109、209、309、609、709)によって完全に、専らそれだけによってもたらされることを特徴とする、請求項2から11のいずれか一項に記載のエレベータ設備装置。
【請求項13】
エレベータ装置(101、201)を構成し、または据え付ける方法であって、エネルギーおよび/または制御信号を伝送する一体型伝導体(312、712)が備えられた少なくとも1つの懸吊ケーブル(109、209、309、509、709)が、固定点とエレベータケージ(103、203)もしくは釣り合いおもり(104、204)との間に懸吊されるように据え付けられ、懸吊ケーブル(109、209、309、509、609、709)のメートル当りの重量が増加される、方法。
【請求項14】
懸吊ケーブル(109、209、309、509、609)のメートル当りの重量を増加させる目的で、おもり要素(311、511、611)が懸吊ケーブル(109、209、309、509、609)に沿って等間隔で固定されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
個々のおもり要素(311、511、611)同士の間隔または個々のおもり要素(311、511、611)の重量、あるいはおもり要素(311、511、611)同士の間隔およびその重量の両方が対応するように選択されるということから、懸吊ケーブル(109、209、309、509、609)のメートル当りの重量が、所与の据付構成に適合されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
メートル当りの重量が増加される懸吊ケーブル(109、209、709)を製造する方法であって、エネルギーおよび/または信号ラインと並行に延びる少なくとも1つの空洞(718)が、懸吊ケーブル(109、209、709)内に作られ、重量を増加する充填材(719)で少なくとも部分的に充填される、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−145605(P2007−145605A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−313864(P2006−313864)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(390040729)インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト (166)
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】