支柱孔における雨水浸入防止用キャップ
【課題】中空支柱の補修時における充填材注入のために穿孔された中空支柱側面の支柱孔に容易に装着することが可能であると共に、脱落を防止し、外部からの雨水の浸入を防止し、中空支柱内部に湿気を籠らせることのない雨水浸入防止用キャップを提供すること。
【解決手段】雨水浸入防止用キャップCは、装着時に支柱孔と支柱孔直下を除く支柱孔の側面周囲に当接すると共にその下端縁2が支柱孔の下端より下方に位置するように延長する縦断面逆U字状縦板部1と、縦板部の下端縁を除く外周から下向き開放面を形成するように前向きに延長する庇部4と、縦板部の縦断面逆U字状をなす内縁上方から後向きに延長すると共に下方が開放され且つ周囲に抜出し防止突縁が設けられた支柱孔への嵌着用中空胴部5とを具備する。
【解決手段】雨水浸入防止用キャップCは、装着時に支柱孔と支柱孔直下を除く支柱孔の側面周囲に当接すると共にその下端縁2が支柱孔の下端より下方に位置するように延長する縦断面逆U字状縦板部1と、縦板部の下端縁を除く外周から下向き開放面を形成するように前向きに延長する庇部4と、縦板部の縦断面逆U字状をなす内縁上方から後向きに延長すると共に下方が開放され且つ周囲に抜出し防止突縁が設けられた支柱孔への嵌着用中空胴部5とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手摺等の中空支柱において、支柱補修時の充填材注入のために中空支柱側面に穿孔された支柱孔における雨水浸入防止用キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
バルコニー手摺等でコンクリートスラブ上に立設される金属製中空支柱は、長年の使用により中空支柱下部に雨水が徐々に貯留されてゆき、貯留水をそのまま放置すると、中空支柱は管内から腐食が始り、やがて支柱の折損を引き起したり、貯留水がアンカー鉄筋を錆びさせることにより膨張し、コンクリートが破裂したりして大事故につながる虞を生じる。このような中空支柱の内部貯留水による障害を防止するために、中空支柱に穿孔し、この孔から貯留水を吸引排出し、更にこの孔から熱硬化性の合成樹脂を注入する方法が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
前記特許文献1には、これらの充填作業の後に、支柱の孔は密閉状態あるいは開放状態とすると記載されている。密閉状態とした場合には一時的に内部の雨水浸入が防止されるが、更に長年の使用により雨水の貯留が生じてしまう虞がある。又開放状態とすれば外側から雨水が孔を通じて直接内部に浸水する欠点がある。したがって中空支柱内部と連通状態を保ちながら外側から孔を通じて雨水が浸入しないようにする手段を設けることが一つの解決方法と考えられる。一方、中空支柱新設時に支柱根元部に別体の排水具を取付けて内部排水を行う技術は従来から知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながらこの例では、排水具は支柱とは別体のジョイント金具に螺子止されてモルタルによって埋込まれるものであり、さらに第一及び第二の各止水板を備えるような複雑な構成を有するものであって、このような技術を支柱補修時の充填材注入のために穿孔された中空支柱側面に貫通する支柱孔に対して、補修作業後に適用することは困難である。
【0004】
【特許文献1】特許第3743721号公報
【特許文献2】実公平4−16836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、手摺等の中空支柱において、支柱補修時の充填材注入のために穿孔された中空支柱側面に貫通する支柱孔に容易に装着することが可能であり、脱落を防止し、外部からの雨水の浸入を防止すると共に中空支柱内部に湿気を籠らせることのない支柱孔における雨水浸入防止用キャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の支柱孔における雨水浸入防止用キャップでは、中空支柱側面に貫通すると共に支柱補修のために充填された内部注入充填材の上面に位置する排水用支柱孔に装着される弾性材料製の雨水浸入防止用キャップにおいて、装着時に該支柱孔と該支柱孔直下を除く該支柱孔の側面周囲に当接すると共にその下端縁が該支柱孔の下端より下方に位置するように延長する縦断面逆U字状縦板部と、該縦板部の該下端縁を除く外周から下向き開放面を形成するように前向きに延長する庇部と、該縦板部の縦断面逆U字状をなす内縁上方から後向きに延長すると共に下方が開放され且つ周囲に抜出し防止突縁が設けられた該支柱孔への嵌着用中空胴部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、次のような効果を奏する。
A.雨水浸入防止用キャップは、抜出し防止突縁が設けられた嵌着用中空胴部を支柱孔に挿入するだけで容易に且つ素早く装着することができると共に、脱落が防止される。
B.支柱内部は外気と連通しているから、湿気が籠ることがない。
C.雨水浸入防止用キャップは、装着時にその下端縁が支柱孔の下端より下方に位置するように延長された縦板部の下端縁を除く外周から下向き開放面を形成するように前向きに延長する庇部を有するから、上方からの雨水をはじくことによって支柱孔に到達させず支柱内部に浸水させない。また支柱孔は支柱補修のために充填された内部注入充填材の上面に位置すると共に、雨水浸入防止用キャップの縦板部、庇部および嵌着用中空胴部はすべて下方が開放されて支柱孔の下端は外部に露出しているから、偶々吹上げる風にのって支柱孔を通じて支柱内部に浸入した雨水は、やがて外部に排出され、支柱内に滞留することがない。
【0008】
D.嵌着用中空胴部が、縦板部の縦断面逆U字状をなす内縁上方から後向きに延長すると共に逆U字状縦断面を有してその両下縁の間が開放され且つ両下縁には縦板部との付け根から後端にかけて下向き傾斜縁と上向き傾斜縁とが連続して形成されている態様では、嵌着用中空胴部を支柱孔に挿入するだけで容易に且つ素早く装着することができる。そして挿入された嵌着用中空胴部の両下縁における下向き傾斜縁と上向き傾斜縁とが形作る山形突縁が雨水浸入防止用キャップの抜出し防止作用を奏する。さらに嵌着用中空胴部の外面周方向に襞状突条が形成されている場合には防水と抜出し防止作用を助長する。また挿入された嵌着用中空胴部下部の弾力による外方への拡張により下向き傾斜面が支柱孔縁を押圧することによって雨水浸入防止用キャップの縦板部を支柱側面に密着させる応力を発生させるから、支柱と縦板部との間に隙間を生じさせない。
E.それに加えて縦板部後面に、支柱側面に当接する後向き周囲突条を形成するように周縁に沿う凹溝条が設けられている場合には、支柱側面に密着させる応力を後向き周囲突条に集中して加えることができるから、支柱と縦板部との密着性を高めることができる。また必要に応じてこの凹溝条に接着剤を配設して支柱と縦板部とを接着することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本願の発明は、中空支柱側面に貫通すると共に支柱補修のために充填された内部注入充填材の上面に位置する排水用支柱孔に装着される弾性材料製の雨水浸入防止用キャップにおいて、装着時に該支柱孔と該支柱孔直下を除く該支柱孔の側面周囲に当接すると共にその下端縁が該支柱孔の下端より下方に位置するように延長する縦断面逆U字状縦板部と、該縦板部の該下端縁を除く外周から下向き開放面を形成するように前向きに延長する庇部と、該縦板部の縦断面逆U字状をなす内縁上方から後向きに延長すると共に下方が開放され且つ周囲に抜出し防止突縁が設けられた該支柱孔への嵌着用中空胴部とを具備することを主な特徴とする。
【0010】
またより具体的な態様として本願の発明は 中空支柱側面に貫通すると共に支柱補修のために充填された内部注入充填材の上面に位置する排水用支柱孔に装着される弾性材料製の雨水浸入防止用キャップにおいて、装着時に該支柱孔と該支柱孔直下を除く該支柱孔の側面周囲に当接すると共にその下端縁が該支柱孔の下端より下方に位置するように延長する縦断面逆U字状縦板部と、該縦板部の該下端縁を除く外周から下向き開放面を形成するように前向きに延長する庇部と、該縦板部の縦断面逆U字状をなす内縁上方から後向きに延長すると共に逆U字状縦断面を有してその両下縁の間が開放され且つ該両下縁には該縦板部との付け根から後端にかけて下向き傾斜縁と上向き傾斜縁とが連続して形成されている嵌着用中空胴部とを具備することを特徴とする。
【0011】
そして防水と抜出し防止作用を助長するために、逆U字状縦断面を有する前記嵌着用中空胴部の外面には周方向に襞状突条が形成されていることを特徴とする。また支柱と縦板部との密着性を高めること、或は接着剤の収容箇所を設けるために、前記縦板部後面には前記支柱側面に当接する後向き周囲突条を形成するように周縁に沿う凹溝条が設けられていることを特徴とする。
【実施例】
【0012】
本発明の実施例について添付図面を参照して説明する。図1乃至図3には、本発明にかかる雨水浸入防止用キャップCの使用状態が示されている。コンクリートスラブS(パラペットを含む。)に基部を埋込まれた中空支柱Pを補修するために、支柱Pの側面には所定径の孔即ち支柱孔Hが穿孔され、この支柱孔Hを通じて吸引ポンプにより支柱P内部に貯留する水を排出する。次に図3に示されるように、熱硬化性樹脂等の内部注入充填材Fを支柱孔Hを通じて充填する。充填材Fを充填する最高位置は、充填材Fの上面が支柱孔Hの下端に到達する位置とされる。充填材Fが硬化することによって脆くなった支柱Pの縦板部は補強される。本発明にかかる雨水浸入防止用キャップCは、このような排水用支柱孔Hに装着されるものであり、図1には装着前の状態が、また図2には装着後の状態が示されている。
【0013】
雨水浸入防止用キャップCは、弾性を有する合成樹脂、合成ゴム等を成型して一体的に製造される。雨水浸入防止用キャップCの一つの実施例では、図4乃至図10で明らかなように、支柱孔Hに装着したときに、支柱孔Hと支柱孔Hの直下を除く支柱孔Hの側面周囲に当接すると共にその下端縁2が支柱孔Hの下端より下方に位置するように延長する縦断面逆U字状縦板部1と、縦板部1の下端縁2を除く外周から下向き開放面3を形成するように前向きに延長する庇部4と、縦板部1の縦断面逆U字状をなす内縁上方から後向きに延長すると共に逆U字状縦断面を有してその両下縁6,6の間が開放され且つ両下縁6,6には縦板部1との付け根から後端にかけて下向き傾斜縁7と上向き傾斜縁8とが連続して形成されている嵌着用中空胴部5とを具備する。そしてこの実施例では、更に逆U字状縦断面を有する嵌着用中空胴部5の外面に周方向に襞状突条9が形成されており、また縦板部1後面には支柱P側面に当接する後向き周囲突条10を形成するように周縁に沿う凹溝条11が形成されている。
【0014】
前記した構造を具備することによって、雨水浸入防止用キャップCは、嵌着用中空胴部5の下向き傾斜縁7と上向き傾斜縁8とが形作る山形突縁が雨水浸入防止用キャップCの抜出し防止作用を奏する抜出し防止突縁として設けられた嵌着用中空胴部5を、補修のために内部に充填材Fを充填した支柱Pの支柱孔Hに外側から挿入するだけで容易に且つ素早く装着することができる。装着された雨水浸入防止用キャップCは、装着時にその下端縁2が支柱孔Hの下端より下方に位置するように延長された縦板部1の下端縁2を除く外周から下向き開放面3を形成するように前向きに延長する庇部4を有するから、上方からの雨水をはじくことによって支柱孔Hに到達させず支柱内部に浸水させない。また支柱孔Hの下端は充填された内部注入充填材Fの上面に位置すると共に、雨水浸入防止用キャップCの縦板部1、庇部4および嵌着用中空胴部5はすべて下方が開放されて支柱孔Hの下端は外部に露出しているから、偶々吹上げる風にのって支柱孔Hを通じて支柱P内部に浸入した雨水は、やがて外部に排出され支柱P内に滞留することがない。そして支柱P内部は常時外気と連通しているから、湿気が籠ることがない。
【0015】
前記実施例では、前記のように挿入された嵌着用中空胴部5の下向き傾斜縁7と上向き傾斜縁8とが形作る山形突縁が雨水浸入防止用キャップCの抜出し防止作用を奏する抜出し防止突縁となっているが、さらに嵌着用中空胴部5の外面周方向に襞状突条9が形成されているので、防水と抜出し防止作用を助長させることができる。但し図11および図12に示されるように、嵌着用中空胴部5の外面周方向に襞状突条9が存在しない実施例も存在する。そして図13に示されるように、挿入された嵌着用中空胴部5下部の弾力による外方への拡張により下向き傾斜面7が支柱孔Hの縁を押圧することによって雨水浸入防止用キャップCの縦板部1を支柱P側面に密着させる応力を発生させるから、支柱Pと縦板部1との間に隙間を生じさせない。また嵌着用中空胴部5に下向き傾斜縁7と上向き傾斜縁8とが形成される場合において、縦板部1後面に、支柱P側面に当接する後向き周囲突条10を形成するように周縁に沿う凹溝条11が設けられている態様では、支柱P側面に密着させる応力を後向き周囲突条10に集中して加えることができるから、支柱Pと縦板部1との密着性をさらに高めることができる。そして必要に応じてこの凹溝条11に接着剤を配設して支柱と縦板部とを接着することも可能である。以上両下縁6,6に下向き傾斜縁7と上向き傾斜縁8とが連続して形成されている嵌着用中空胴部5について述べたが、嵌着用中空胴部5については、両下縁の間が開放された中空棒状の外周に周囲方向に延びる連続突条が形成された態様を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】雨水浸入防止用キャップが装着される支柱を示す斜視図である。
【図2】雨水浸入防止用キャップが装着された支柱を示す斜視図である。
【図3】雨水浸入防止用キャップが装着された支柱を示す縦断面図である。
【図4】雨水浸入防止用キャップの斜視図である。
【図5】雨水浸入防止用キャップの平面図である。
【図6】雨水浸入防止用キャップの正面図である。
【図7】雨水浸入防止用キャップの底面図である。
【図8】雨水浸入防止用キャップの側面図である。
【図9】雨水浸入防止用キャップの背面図である。
【図10】雨水浸入防止用キャップの縦断面図である。
【図11】他の実施例にかかる雨水浸入防止用キャップ平面図である。
【図12】他の実施例にかかる雨水浸入防止用キャップの側面図である。
【図13】雨水浸入防止用キャップの装着状態を示す支柱の縦断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 縦板部
2 下端縁
3 下向き開放面
4 庇部
5 嵌着用中空胴部
6 下縁
7 下向き傾斜縁
8 上向き傾斜縁
9 襞状突条
10 後向き周囲突条
11 凹溝条
C 雨水浸入防止用キャップ
P 支柱
H 支柱孔
F 充填材
【技術分野】
【0001】
本発明は、手摺等の中空支柱において、支柱補修時の充填材注入のために中空支柱側面に穿孔された支柱孔における雨水浸入防止用キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
バルコニー手摺等でコンクリートスラブ上に立設される金属製中空支柱は、長年の使用により中空支柱下部に雨水が徐々に貯留されてゆき、貯留水をそのまま放置すると、中空支柱は管内から腐食が始り、やがて支柱の折損を引き起したり、貯留水がアンカー鉄筋を錆びさせることにより膨張し、コンクリートが破裂したりして大事故につながる虞を生じる。このような中空支柱の内部貯留水による障害を防止するために、中空支柱に穿孔し、この孔から貯留水を吸引排出し、更にこの孔から熱硬化性の合成樹脂を注入する方法が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
前記特許文献1には、これらの充填作業の後に、支柱の孔は密閉状態あるいは開放状態とすると記載されている。密閉状態とした場合には一時的に内部の雨水浸入が防止されるが、更に長年の使用により雨水の貯留が生じてしまう虞がある。又開放状態とすれば外側から雨水が孔を通じて直接内部に浸水する欠点がある。したがって中空支柱内部と連通状態を保ちながら外側から孔を通じて雨水が浸入しないようにする手段を設けることが一つの解決方法と考えられる。一方、中空支柱新設時に支柱根元部に別体の排水具を取付けて内部排水を行う技術は従来から知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながらこの例では、排水具は支柱とは別体のジョイント金具に螺子止されてモルタルによって埋込まれるものであり、さらに第一及び第二の各止水板を備えるような複雑な構成を有するものであって、このような技術を支柱補修時の充填材注入のために穿孔された中空支柱側面に貫通する支柱孔に対して、補修作業後に適用することは困難である。
【0004】
【特許文献1】特許第3743721号公報
【特許文献2】実公平4−16836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、手摺等の中空支柱において、支柱補修時の充填材注入のために穿孔された中空支柱側面に貫通する支柱孔に容易に装着することが可能であり、脱落を防止し、外部からの雨水の浸入を防止すると共に中空支柱内部に湿気を籠らせることのない支柱孔における雨水浸入防止用キャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の支柱孔における雨水浸入防止用キャップでは、中空支柱側面に貫通すると共に支柱補修のために充填された内部注入充填材の上面に位置する排水用支柱孔に装着される弾性材料製の雨水浸入防止用キャップにおいて、装着時に該支柱孔と該支柱孔直下を除く該支柱孔の側面周囲に当接すると共にその下端縁が該支柱孔の下端より下方に位置するように延長する縦断面逆U字状縦板部と、該縦板部の該下端縁を除く外周から下向き開放面を形成するように前向きに延長する庇部と、該縦板部の縦断面逆U字状をなす内縁上方から後向きに延長すると共に下方が開放され且つ周囲に抜出し防止突縁が設けられた該支柱孔への嵌着用中空胴部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、次のような効果を奏する。
A.雨水浸入防止用キャップは、抜出し防止突縁が設けられた嵌着用中空胴部を支柱孔に挿入するだけで容易に且つ素早く装着することができると共に、脱落が防止される。
B.支柱内部は外気と連通しているから、湿気が籠ることがない。
C.雨水浸入防止用キャップは、装着時にその下端縁が支柱孔の下端より下方に位置するように延長された縦板部の下端縁を除く外周から下向き開放面を形成するように前向きに延長する庇部を有するから、上方からの雨水をはじくことによって支柱孔に到達させず支柱内部に浸水させない。また支柱孔は支柱補修のために充填された内部注入充填材の上面に位置すると共に、雨水浸入防止用キャップの縦板部、庇部および嵌着用中空胴部はすべて下方が開放されて支柱孔の下端は外部に露出しているから、偶々吹上げる風にのって支柱孔を通じて支柱内部に浸入した雨水は、やがて外部に排出され、支柱内に滞留することがない。
【0008】
D.嵌着用中空胴部が、縦板部の縦断面逆U字状をなす内縁上方から後向きに延長すると共に逆U字状縦断面を有してその両下縁の間が開放され且つ両下縁には縦板部との付け根から後端にかけて下向き傾斜縁と上向き傾斜縁とが連続して形成されている態様では、嵌着用中空胴部を支柱孔に挿入するだけで容易に且つ素早く装着することができる。そして挿入された嵌着用中空胴部の両下縁における下向き傾斜縁と上向き傾斜縁とが形作る山形突縁が雨水浸入防止用キャップの抜出し防止作用を奏する。さらに嵌着用中空胴部の外面周方向に襞状突条が形成されている場合には防水と抜出し防止作用を助長する。また挿入された嵌着用中空胴部下部の弾力による外方への拡張により下向き傾斜面が支柱孔縁を押圧することによって雨水浸入防止用キャップの縦板部を支柱側面に密着させる応力を発生させるから、支柱と縦板部との間に隙間を生じさせない。
E.それに加えて縦板部後面に、支柱側面に当接する後向き周囲突条を形成するように周縁に沿う凹溝条が設けられている場合には、支柱側面に密着させる応力を後向き周囲突条に集中して加えることができるから、支柱と縦板部との密着性を高めることができる。また必要に応じてこの凹溝条に接着剤を配設して支柱と縦板部とを接着することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本願の発明は、中空支柱側面に貫通すると共に支柱補修のために充填された内部注入充填材の上面に位置する排水用支柱孔に装着される弾性材料製の雨水浸入防止用キャップにおいて、装着時に該支柱孔と該支柱孔直下を除く該支柱孔の側面周囲に当接すると共にその下端縁が該支柱孔の下端より下方に位置するように延長する縦断面逆U字状縦板部と、該縦板部の該下端縁を除く外周から下向き開放面を形成するように前向きに延長する庇部と、該縦板部の縦断面逆U字状をなす内縁上方から後向きに延長すると共に下方が開放され且つ周囲に抜出し防止突縁が設けられた該支柱孔への嵌着用中空胴部とを具備することを主な特徴とする。
【0010】
またより具体的な態様として本願の発明は 中空支柱側面に貫通すると共に支柱補修のために充填された内部注入充填材の上面に位置する排水用支柱孔に装着される弾性材料製の雨水浸入防止用キャップにおいて、装着時に該支柱孔と該支柱孔直下を除く該支柱孔の側面周囲に当接すると共にその下端縁が該支柱孔の下端より下方に位置するように延長する縦断面逆U字状縦板部と、該縦板部の該下端縁を除く外周から下向き開放面を形成するように前向きに延長する庇部と、該縦板部の縦断面逆U字状をなす内縁上方から後向きに延長すると共に逆U字状縦断面を有してその両下縁の間が開放され且つ該両下縁には該縦板部との付け根から後端にかけて下向き傾斜縁と上向き傾斜縁とが連続して形成されている嵌着用中空胴部とを具備することを特徴とする。
【0011】
そして防水と抜出し防止作用を助長するために、逆U字状縦断面を有する前記嵌着用中空胴部の外面には周方向に襞状突条が形成されていることを特徴とする。また支柱と縦板部との密着性を高めること、或は接着剤の収容箇所を設けるために、前記縦板部後面には前記支柱側面に当接する後向き周囲突条を形成するように周縁に沿う凹溝条が設けられていることを特徴とする。
【実施例】
【0012】
本発明の実施例について添付図面を参照して説明する。図1乃至図3には、本発明にかかる雨水浸入防止用キャップCの使用状態が示されている。コンクリートスラブS(パラペットを含む。)に基部を埋込まれた中空支柱Pを補修するために、支柱Pの側面には所定径の孔即ち支柱孔Hが穿孔され、この支柱孔Hを通じて吸引ポンプにより支柱P内部に貯留する水を排出する。次に図3に示されるように、熱硬化性樹脂等の内部注入充填材Fを支柱孔Hを通じて充填する。充填材Fを充填する最高位置は、充填材Fの上面が支柱孔Hの下端に到達する位置とされる。充填材Fが硬化することによって脆くなった支柱Pの縦板部は補強される。本発明にかかる雨水浸入防止用キャップCは、このような排水用支柱孔Hに装着されるものであり、図1には装着前の状態が、また図2には装着後の状態が示されている。
【0013】
雨水浸入防止用キャップCは、弾性を有する合成樹脂、合成ゴム等を成型して一体的に製造される。雨水浸入防止用キャップCの一つの実施例では、図4乃至図10で明らかなように、支柱孔Hに装着したときに、支柱孔Hと支柱孔Hの直下を除く支柱孔Hの側面周囲に当接すると共にその下端縁2が支柱孔Hの下端より下方に位置するように延長する縦断面逆U字状縦板部1と、縦板部1の下端縁2を除く外周から下向き開放面3を形成するように前向きに延長する庇部4と、縦板部1の縦断面逆U字状をなす内縁上方から後向きに延長すると共に逆U字状縦断面を有してその両下縁6,6の間が開放され且つ両下縁6,6には縦板部1との付け根から後端にかけて下向き傾斜縁7と上向き傾斜縁8とが連続して形成されている嵌着用中空胴部5とを具備する。そしてこの実施例では、更に逆U字状縦断面を有する嵌着用中空胴部5の外面に周方向に襞状突条9が形成されており、また縦板部1後面には支柱P側面に当接する後向き周囲突条10を形成するように周縁に沿う凹溝条11が形成されている。
【0014】
前記した構造を具備することによって、雨水浸入防止用キャップCは、嵌着用中空胴部5の下向き傾斜縁7と上向き傾斜縁8とが形作る山形突縁が雨水浸入防止用キャップCの抜出し防止作用を奏する抜出し防止突縁として設けられた嵌着用中空胴部5を、補修のために内部に充填材Fを充填した支柱Pの支柱孔Hに外側から挿入するだけで容易に且つ素早く装着することができる。装着された雨水浸入防止用キャップCは、装着時にその下端縁2が支柱孔Hの下端より下方に位置するように延長された縦板部1の下端縁2を除く外周から下向き開放面3を形成するように前向きに延長する庇部4を有するから、上方からの雨水をはじくことによって支柱孔Hに到達させず支柱内部に浸水させない。また支柱孔Hの下端は充填された内部注入充填材Fの上面に位置すると共に、雨水浸入防止用キャップCの縦板部1、庇部4および嵌着用中空胴部5はすべて下方が開放されて支柱孔Hの下端は外部に露出しているから、偶々吹上げる風にのって支柱孔Hを通じて支柱P内部に浸入した雨水は、やがて外部に排出され支柱P内に滞留することがない。そして支柱P内部は常時外気と連通しているから、湿気が籠ることがない。
【0015】
前記実施例では、前記のように挿入された嵌着用中空胴部5の下向き傾斜縁7と上向き傾斜縁8とが形作る山形突縁が雨水浸入防止用キャップCの抜出し防止作用を奏する抜出し防止突縁となっているが、さらに嵌着用中空胴部5の外面周方向に襞状突条9が形成されているので、防水と抜出し防止作用を助長させることができる。但し図11および図12に示されるように、嵌着用中空胴部5の外面周方向に襞状突条9が存在しない実施例も存在する。そして図13に示されるように、挿入された嵌着用中空胴部5下部の弾力による外方への拡張により下向き傾斜面7が支柱孔Hの縁を押圧することによって雨水浸入防止用キャップCの縦板部1を支柱P側面に密着させる応力を発生させるから、支柱Pと縦板部1との間に隙間を生じさせない。また嵌着用中空胴部5に下向き傾斜縁7と上向き傾斜縁8とが形成される場合において、縦板部1後面に、支柱P側面に当接する後向き周囲突条10を形成するように周縁に沿う凹溝条11が設けられている態様では、支柱P側面に密着させる応力を後向き周囲突条10に集中して加えることができるから、支柱Pと縦板部1との密着性をさらに高めることができる。そして必要に応じてこの凹溝条11に接着剤を配設して支柱と縦板部とを接着することも可能である。以上両下縁6,6に下向き傾斜縁7と上向き傾斜縁8とが連続して形成されている嵌着用中空胴部5について述べたが、嵌着用中空胴部5については、両下縁の間が開放された中空棒状の外周に周囲方向に延びる連続突条が形成された態様を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】雨水浸入防止用キャップが装着される支柱を示す斜視図である。
【図2】雨水浸入防止用キャップが装着された支柱を示す斜視図である。
【図3】雨水浸入防止用キャップが装着された支柱を示す縦断面図である。
【図4】雨水浸入防止用キャップの斜視図である。
【図5】雨水浸入防止用キャップの平面図である。
【図6】雨水浸入防止用キャップの正面図である。
【図7】雨水浸入防止用キャップの底面図である。
【図8】雨水浸入防止用キャップの側面図である。
【図9】雨水浸入防止用キャップの背面図である。
【図10】雨水浸入防止用キャップの縦断面図である。
【図11】他の実施例にかかる雨水浸入防止用キャップ平面図である。
【図12】他の実施例にかかる雨水浸入防止用キャップの側面図である。
【図13】雨水浸入防止用キャップの装着状態を示す支柱の縦断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 縦板部
2 下端縁
3 下向き開放面
4 庇部
5 嵌着用中空胴部
6 下縁
7 下向き傾斜縁
8 上向き傾斜縁
9 襞状突条
10 後向き周囲突条
11 凹溝条
C 雨水浸入防止用キャップ
P 支柱
H 支柱孔
F 充填材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空支柱側面に貫通すると共に支柱補修のために充填された内部注入充填材の上面に位置する排水用支柱孔に装着される弾性材料製の雨水浸入防止用キャップにおいて、装着時に該支柱孔と該支柱孔直下を除く該支柱孔の側面周囲に当接すると共にその下端縁が該支柱孔の下端より下方に位置するように延長する縦断面逆U字状縦板部と、該縦板部の該下端縁を除く外周から下向き開放面を形成するように前向きに延長する庇部と、該縦板部の縦断面逆U字状をなす内縁上方から後向きに延長すると共に下方が開放され且つ周囲に抜出し防止突縁が設けられた該支柱孔への嵌着用中空胴部とを具備することを特徴とする支柱孔における雨水浸入防止用キャップ。
【請求項2】
中空支柱側面に貫通すると共に支柱補修のために充填された内部注入充填材の上面に位置する排水用支柱孔に装着される弾性材料製の雨水浸入防止用キャップにおいて、装着時に該支柱孔と該支柱孔直下を除く該支柱孔の側面周囲に当接すると共にその下端縁が該支柱孔の下端より下方に位置するように延長する縦断面逆U字状縦板部と、該縦板部の該下端縁を除く外周から下向き開放面を形成するように前向きに延長する庇部と、該縦板部の縦断面逆U字状をなす内縁上方から後向きに延長すると共に逆U字状縦断面を有してその両下縁の間が開放され且つ該両下縁には該縦板部との付け根から後端にかけて下向き傾斜縁と上向き傾斜縁とが連続して形成されている嵌着用中空胴部とを具備することを特徴とする支柱孔における雨水浸入防止用キャップ。
【請求項3】
前記嵌着用中空胴部の外面には周方向に襞状突条が形成されていることを特徴とする請求項2記載の支柱孔における雨水浸入防止用キャップ。
【請求項4】
前記縦板部後面には、前記支柱側面に当接する後向き周囲突条を形成するように周縁に沿う凹溝条が設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の支柱孔における雨水浸入防止用キャップ。
【請求項1】
中空支柱側面に貫通すると共に支柱補修のために充填された内部注入充填材の上面に位置する排水用支柱孔に装着される弾性材料製の雨水浸入防止用キャップにおいて、装着時に該支柱孔と該支柱孔直下を除く該支柱孔の側面周囲に当接すると共にその下端縁が該支柱孔の下端より下方に位置するように延長する縦断面逆U字状縦板部と、該縦板部の該下端縁を除く外周から下向き開放面を形成するように前向きに延長する庇部と、該縦板部の縦断面逆U字状をなす内縁上方から後向きに延長すると共に下方が開放され且つ周囲に抜出し防止突縁が設けられた該支柱孔への嵌着用中空胴部とを具備することを特徴とする支柱孔における雨水浸入防止用キャップ。
【請求項2】
中空支柱側面に貫通すると共に支柱補修のために充填された内部注入充填材の上面に位置する排水用支柱孔に装着される弾性材料製の雨水浸入防止用キャップにおいて、装着時に該支柱孔と該支柱孔直下を除く該支柱孔の側面周囲に当接すると共にその下端縁が該支柱孔の下端より下方に位置するように延長する縦断面逆U字状縦板部と、該縦板部の該下端縁を除く外周から下向き開放面を形成するように前向きに延長する庇部と、該縦板部の縦断面逆U字状をなす内縁上方から後向きに延長すると共に逆U字状縦断面を有してその両下縁の間が開放され且つ該両下縁には該縦板部との付け根から後端にかけて下向き傾斜縁と上向き傾斜縁とが連続して形成されている嵌着用中空胴部とを具備することを特徴とする支柱孔における雨水浸入防止用キャップ。
【請求項3】
前記嵌着用中空胴部の外面には周方向に襞状突条が形成されていることを特徴とする請求項2記載の支柱孔における雨水浸入防止用キャップ。
【請求項4】
前記縦板部後面には、前記支柱側面に当接する後向き周囲突条を形成するように周縁に沿う凹溝条が設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の支柱孔における雨水浸入防止用キャップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−262697(P2007−262697A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−86939(P2006−86939)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【特許番号】特許第3947552号(P3947552)
【特許公報発行日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【特許番号】特許第3947552号(P3947552)
【特許公報発行日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】
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