説明

改善されたエージング特性を有する低密度ポリウレタンフォームのための自触媒性ポリオールの共触媒作用

本発明は、自触媒性アミン系ポリオールと、酸でブロックされたゲル化アミン触媒との共触媒作用に関し、さらに、この触媒の組み合わせの、改善されたエージング特性、及び少ないVOC(揮発性有機化合物)放出量を有する低密度ポリウレタンフォームの製造における使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自触媒性アミン系ポリオールと酸でブロックされたゲル化アミン触媒との共触媒作用に関し、さらに、この触媒の組み合わせの、優れたエージング特性、高いフォーム硬度、及び少ないVOC(揮発性有機化合物)を有する低密度ポリウレタンフォームの製造における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルキレンオキシドの重合に基づくポリエーテルポリオール、及び/又はポリエステルポリオールは、イソシアネートとともに、ポリウレタン系の主成分である。ポリオールは、充填剤を有するポリオール、例えばSAN(スチレン/アクリロニトリル)、PIPA(ポリイソシアネート重付加)、又はPHD(ポリ尿素)ポリオールであってもよく、これらはG.エルテル(Oertel)、ハンサー・パブリッシャー(Hanser publisher)の「ポリウレタンハンドブック」(Polyurethane Handbook)に記載されている。これらの系は一般に、追加成分、例えば架橋剤、鎖延長剤、界面活性剤、整泡剤、安定剤、酸化防止剤、難燃剤、最終的な充填剤、並びに典型的には触媒、例えば第3級アミン及び/又は有機金属塩を含有する。
【0003】
第3級アミン触媒は、イソシアネートと水との間の反応をより活性化させやすい発泡触媒;及びイソシアネートとポリオールとの間の反応に好都合なゲル化型アミンの2種類がある。これらの触媒活性は、アミンの構造に依存し、すなわち脂肪族の第3級アミン、例えばナイアックス(Niax)*99(ゼネラル・エレクトリック(General Electric)の商標)として知られるビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルは典型的な発泡触媒であり、一方、環状化合物、例えばトリエチレンジアム(triethylenediame)、又はダブコ(Dabco)*結晶(エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ・インコーポレイテッド(Air Products & Chemicals inc)の商標)は、標準的なゲル化触媒である。
【0004】
有機金属触媒、例えば鉛又は水銀の塩は、ポリウレタン製品がエージングすると浸出するために環境問題が発生しうる。他のもの、例えばスズ塩は、ポリウレタンのエージングに対して有害であることが多い。
【0005】
上記のような第3級アミン触媒は、一般に不堅牢アミンであると見なされており、ウレタンポリマーマトリックス内と反応せず、ポリマー中に低分子量化合物として残留する。その結果、これらの触媒を使用して新しく製造したフォームは、典型的なアミン臭を示すことが多く、フォギング(揮発性の生成物又はVOCの放出)を引き起こす。さらにこのような不堅牢触媒は、蒸発して、自動車内装に使用されるポリ塩化ビニル系箔を汚し、ポリカーボネート挿入物を劣化させる。
【0006】
種々の代替触媒が提案されている。その1つは、水素イソシアネート反応基、すなわちヒドロキシル、又は第1級及び/又は第2級アミンを含有するアミン触媒の使用である。そのような化合物は、欧州特許出願公開第677,540号明細書、欧州特許出願公開第747,407号明細書、及び欧州特許出願公開第1,109,847号明細書;並びに米国特許第3,448,065号明細書、同第4,122,038号明細書、同第4,368,278号明細書、及び同第4,510,269号明細書に開示されている。この触媒組成物に関して報告されている利点は、これらのアミンがポリウレタン生成物中に組み込まれることである。しかし、このような反応性触媒は、発泡反応中に移動性が失われるのを補償するためにポリウレタン形成において多量で使用する必要があり、これらは一官能性であるので、連鎖停止剤として機能する。したがって、これらの反応性アミン触媒は、ポリマーの重合に悪影響を及ぼし、ポリウレタン製品の物理的性質、特にフォームのエージングに対して影響を及ぼす。
【0007】
酸でブロックされたアミン触媒塩は、例えば、米国特許第2,932,621号明細書、同第3,769,244号明細書、同第3,862,150号明細書、同第4,086,213号明細書、同第4,115,634号明細書、同第4,165,412号明細書、同第4,204,062号明細書、同第4,456,696号明細書、同第4,464,488号明細書、同第5,489,618号明細書、同第6,387,972号明細書;並びに欧州特許出願公開第1,018,525号明細書及び同第1,018,526号明細書に開示されているように、反応を遅延させることが報告されている。
【0008】
特殊なアミンで反応開始するポリオールの使用が、欧州特許第539,819号明細書、米国特許第5,672,636号明細書、及び国際公開第01/58,976号パンフレットにおいて提案されている。これらのポリオールは自触媒特性を有し、すなわちこれらはそれ自体が触媒として機能し、さらにウレタンポリマー中に組み込まれる。別の種類の自触媒性ポリオールは、鎖中に存在するか、ポリオールのキャッピングにおいて導入されるかのいずれかで第3級アミンを含有する自触媒性ポリオールである。
【0009】
これらの自触媒性ポリオールは、連鎖停止剤ではないため、反応性アミンよりもフォームのエージングに関して優れているが、ポリウレタン反応のすべてを完全に触媒するわけではなく、すなわち、特に多量の水を含有する配合物において、発泡とゲル化との間でバランスのとれた特徴が得られる。またこれらからは、より柔らかいフォームが得られる傾向にある。従って、第3級アミン系自触媒性ポリオールは、低密度フォーム配合物において共触媒作用が必要となる。
【0010】
従って、ゲル化と発泡反応との間で適切なバランスが得られる自触媒活性を有するポリオールが引き続き必要とされている。ポリウレタン組成物中の不堅牢アミン量が減少するが、良好なフォーム特性、例えば良好なエージング特性を維持することも引き続き必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的の一つは、自触媒性ポリオールと少ない量の不堅牢アミン系共触媒との組み合わせを使用して優れたエージング特性、高いフォーム硬度を有する低密度ポリウレタンフォームを製造することである。
【0012】
本発明の別の目的は、有機金属触媒の非存在下又は有機金属触媒を実質的に減量してポリウレタン製品を製造することである。アミンの減量、及び有機金属触媒の減量又は排除によって、このような触媒に関連する不利益を最小限にしたり回避したりすることができる。
【0013】
本発明のさらなる目的は、良好なフォーム硬化が行うことができ、すなわち高い含水量及び高イソシアネートインデックスにおいてもサイクル時間が短く、同時に不堅牢触媒量が最小限でありVOCが減少する、ポリウレタン触媒系を提供することである。
【0014】
別の態様において、本発明の新規ポリウレタン触媒を使用することによって、製造プラントの雰囲気中の触媒蒸気量を減少させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、
(a)少なくとも1種類の液体有機ポリイソシアネートと、
(b)ポリオール組成物であって、
(b1)2から8の官能価、及び15から200のヒドロキシル価を有する0から98重量%のポリオール化合物と、
(b2)2から8の官能価、15から200のヒドロキシル価を有し、自触媒機能を付与する少なくとも1つの第3級アミン基を含有する重量基準で2から100のポリオール化合物とを含み、
上記重量%がポリオール組成物(b)の総量を基準にしているポリオール組成物と、
(c)環状構造を有し、モル基準で80%以下が酸でブロックされている少なくとも1種類のゲル化アミン触媒の存在下、
(d)発泡剤としての水の存在下、及び
(e)場合により、ポリウレタンフォームの製造においてそれ自体知られている添加剤、触媒、又は助剤と、
の混合物の反応によって、可撓性ポリウレタンフォームを製造する方法に関する。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、ポリオール(b2)と酸でブロックされたアミン(c)との組み合わせが、従来の不堅牢及び/又は反応性のアミン触媒の少なくとも10(重量)%、より好ましくは20%、最も好ましくは少なくとも30%に取って代わりながら、ポリウレタンフォーム製造時に同じ加工条件が維持される方法に関する。(b2)及び(c)の最も好ましい添加量は、別の従来の不堅牢又は反応性の第3級アミン触媒又は有機金属塩が不要となる場合である。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、自触媒性ポリオール(b2)及び酸でブロックされたアミン(c)のゲル化触媒の組み合わせ以外の他の触媒が存在しない方法に関する。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、酸でブロックされたアミン(c)のゲル化触媒がイソシアネートと反応することができる反応性水素を含有する方法に関する。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、自触媒性ポリオール(b2)がN−メチル及び/又はN,N−ジメチルアミノ基を有する開始剤のアルキレンオキシド付加体である方法に関する。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、ポリオール(b2)が、アミンで反応開始するポリオール及びアミンでキャップされたポリオールのブレンドである方法に関する。
【0021】
別の実施形態においては、ゲル化アミン触媒(c)を部分的にブロックするために使用される酸がカルボン酸である。
【0022】
別の実施形態においては、ゲル化アミン触媒を部分的にブロックし、触媒(c)を精製するために使用される酸が、少なくとも1つのヒドロキシル部分を含有するカルボン酸である。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、発泡剤(d)が水のみである方法に関する。
【0024】
別の実施形態において、本発明は、発泡剤(d)としての水の量が少なくとも3.5PHP(ポリオール100部当たりの部数)(b)である方法に関する。
【0025】
別の実施形態において、本発明は、ポリウレタンフォームが成形される方法に関する。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、ポリウレタンフォーム密度が70kg/m3未満となる方法に関する。
【0027】
別の実施形態において、本発明は、ポリウレタン成形部品が8分未満で離型される方法に関する。
【0028】
別の実施形態において、本発明は、ポリウレタンフォームが、多重硬度フォーム、すなわち種々の硬度を有する部品の製造に使用される方法に関する。
【0029】
別の実施形態において、本発明は、ポリウレタンフォームが自動車のシート及び詰め物の製造に使用される方法に関する。
【0030】
別の実施形態において、本発明は、ポリイソシアネート(a)が、過剰のポリイソシアネートと(b2)で定義されるポリオールとの反応生成物である少なくとも1種類のポリイソシアネートを含有する前述の方法に関する。
【0031】
さらなる実施形態において、本発明は、ポリオール(b)が、過剰のポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られるポリオール末端プレポリマーを含有し、上記ポリオールが(b2)によって定義されるものである前述の方法に関する。
【0032】
本発明は、前述の方法のいずれかによって製造されたポリウレタンフォームをさらに提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明によると、酸でブロックされたアミン触媒(c)を、自触媒性ポリオール(b2)を含むポリウレタン反応混合物に加えることによって、混合物中への従来の不堅牢又は反応性の第3級アミン触媒、或いは有機金属触媒の使用の必要性が減少する。場合により、これらの酸でブロックされた触媒(c)は反応性水素を含有し、イソシアネートと反応してポリマーの一部となることができる。ポリウレタン反応混合物に対するこのポリオール(b2)と触媒(c)との組み合わせは、成形フォームの製造における型滞留時間を短縮したり、一部のポリウレタン製品の性質、例えばフォーム硬度、引裂強度、又は熱及び湿度エージングを改善したりすることもできる。
【0034】
本発明は、ポリウレタン触媒系であって、良好なフォーム加工性が得られ、すなわちスクラップ量が最小限になり、同時に製造されたポリウレタンフォームの物理的性質、例えばフォームの耐荷重性、引裂強度、引張強度、及び伸び、並びにフォームのエージングには悪影響を与えず、従来の又は反応性のアミン触媒の量を減少させる、又は使用しないこと、及び有機金属触媒を使用しないことによって改善することさえ可能なポリウレタン触媒系をさらに提供する。
【0035】
本発明は、自触媒性ポリオール及びアミン系共触媒の組み合わせを使用することによって、反応性、例えば発泡及び/又はゲル化の速度を調整する手段も提供する。
【0036】
自触媒性ポリオール(b2)と、酸でブロックされた環状のゲル化型アミン触媒(c)との組み合わせは、従来のポリオール(b1)、例えばSAN、PHD、又はPIPAのタイプのコポリマーポリオールなどと併用することができる。本明細書において使用される場合、ポリオールという用語は、イソシアネートとの反応を進行させることができる活性水素原子を含有する少なくとも1つの基を有する材料のことである。このような化合物で好ましいものは、1分子当たり、第1級又は第2級の少なくとも2つのヒドロキシル基、或いは第1級又は第2級の少なくとも2つのアミン基、カルボン酸基、又はチオール基を有する材料である。1分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基又は少なくとも2つのアミン基を有する化合物が、ポリイソシアネートとの望ましい反応性のため特に好ましい。
【0037】
本発明のポリウレタンフォームの製造に使用することができる好適なポリオール(b1)は当技術分野において周知であり、本明細書に記載されるもの、並びに他のあらゆる市販のポリオール及び/又はSAN、PIPA、又はPHDのコポリマーポリオールが挙げられる。このようなポリオールは、G.エルテル(Oertel)、ハンサー・パブリッシャー(Hanser publisher)の「ポリウレタンハンドブック」(Polyurethane Handbook)に記載されている。1又はそれ以上のポリオール及び/又は1又はそれ以上のコポリマーポリオールの混合物も、本発明によるポリウレタン製品の製造に使用することができる。
【0038】
ポリオール組成物(b)は、一般に0から98%、好ましくは1から97%、より好ましくは5から95重量%のポリオール(b1)と、残部のポリオール(b2)とを含み、ここで(b1)及び(b2)の全パーセントが100である。
【0039】
代表的なポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリヒドロキシ末端アセタール樹脂、ヒドロキシル末端アミン、及びポリアミンが挙げられる。これら及びその他の好適なイソシアネート反応性材料の例は、米国特許第4,394,491号明細書により詳細に記載されている。使用できる別のポリオールとしては、ポリアルキレンカーボネート系ポリオール及びポリホスフェート系ポリオールが挙げられる。好ましいものは、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、又はそれらの組み合わせを、2から8個、好ましくは2から6個の活性水素原子を有する開始剤に加えて調製されるポリオールである。この重合の触媒作用は、アニオン又はカチオンのいずれであってもよく、KOH、CsOH、三フッ化ホウ素、或いは複シアン化物錯体(double cyanide complex)(DMC)触媒、例えばヘキサシアノコバルト酸亜鉛、又は第4級ホスファゼニウム化合物などの使用することができる。アルカリ触媒を使用してポリオールを生成する場合、これらの触媒は好ましくは、適切な仕上げステップ、例えば凝集、ケイ酸マグネシウム分離、又は酸中和/濾過によって、生成終了時にポリオールから除去される。
【0040】
使用されるポリオール又はそれらのブレンドは、製造すべきポリウレタンフォームの最終用途に依存する。使用されるポリオール又はポリオール(複数)のヒドロキシル価及び分子量は、従って、広範囲にわたって変動させることができる。一般に、使用されるポリオールのヒドロキシル価は15から200とすることができる。
【0041】
可撓性ポリウレタンフォームの製造において、ポリオールは、好ましくはポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールである。これらのポリオールは、一般に、平均公称官能価が2から5、好ましくは2から4、より好ましくは3から4の範囲であり、平均ヒドロキシル価が15から200mgKOH/g、好ましくは20から70mgKOH/gの範囲である。ポリオールブレンドは、全体のポリオールブレンドが上記パラメーターの範囲内の値を有するのであれば、官能価及びヒドロキシル価の好ましい範囲から外れたポリオールを含有することができる。さらに厳密に言えば、具体的なフォームの用途が、ベースポリオールの選択にも影響を与える。一例として、成形フォームの場合、ベースポリオールのヒドロキシル価を20から60程度とすることができ、エチレンオキシド(EO)キャッピングを有することができ、スラブ材フォームの場合、ヒドロキシル価を25から75程度とすることができ、混合供給EO/PO(プロピレンオキシド)であるか、EOのキャップがわずかであるか、100%PO系であるかのいずれかである。
【0042】
ポリオール(b1)の生成のための開始剤は、一般に、アルキレンオキシドと反応する2から8個の官能基を有する。好適な開始剤分子の例は、水、有機ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、フタル酸、及びテレフタル酸、並びに多価、特に2価から8価のアルコール、又はジアルキレングリコール、例えばエタンジオール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール及びスクロース、或いはそれらのブレンドである。ポリオール(b2)のための開始剤としては、第3級アミンを含有する線状及び環状のアミン化合物、例えばエタノールジアミン、トリエタノールアミン、並びに、トルエンジアミンの種々の異性体、エチレンジアミン、N−メチル−1,2−エタンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジメチルエタノールアミン、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、N,N−ジメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジメチルジプロピレントリアミン、アミノプロピル−イミダゾール、N−アミノエチルピペラジンが挙げられる。自触媒性ポリオール(b2)は、アミンを含有するポリオールを主成分としている。好ましくは、ポリオール(b2)の開始剤は、N−アルキル、N,N−ジアルキルアミン基、又はそれらの混合物を含有し、この場合のアルキル基はC1からC3アルキルである。好ましくは、この開始剤はN−メチル及び/又はN,N−ジメチルアミノ基を含有する。このような自触媒性ポリオールは当技術分野において公知である。好適な開始剤の例としては、米国特許第5,476,969号明細書及び同第5,672,636号明細書に開示される開始剤、欧州特許第0488219号明細書、並びに欧州特許出願公開第1268598号明細書、同第1319034号明細書、及び同第1419189号明細書に開示される第3級アミンジオールが挙げられ、これらの開示は本明細書に組み込まれる。或いは、ポリエーテルポリオールを生成する場合にアルキルアジリジンをコモノマーとして使用することによって、ポリオール鎖中への第3級アミン官能基の一体化を行うことができる。第3級アミンを含有するポリオールは、国際公開第94/02,525号パンフレットに記載されるように、第3級アミン基、例えばN,N−ジアルキル−グルシジルアミン(glcidylamine)でポリオールをキャップすることによって得ることもできる。
【0043】
第3級アミンを含有する好ましい開始剤の例としては、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N−ジメチルジプロピレントリアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)デチレンジアミン(detylenediamine)、トリプロピレンテトラミン、テトラプロピレンペンタミン、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、3,3’−ジアミノ−N−エチルジプロピルアミン、2,2’−ジアミノ−N−メチルジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3,−プロパンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,2−エタンジアミン、N,N−ジアルキルグリシジルアミン、N−メチル−1,2−エタンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N−N−ジメチル−トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、3,3’ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、2,2’−ジアミノ−N−メチルジエチルアミン、2,3−ジアミノ−N−メチル−エチルプロピルアミン、及び3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミンが挙げられる。3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロパンジアミン、及びN,N−ジメチルジプロピレントリアミンで反応開始するポリオールが特に好ましい。
【0044】
自触媒性ポリオールの性質は、ポリオール(b1)に関して前述したのと同様に広範囲で変動させることができ、平均分子量、ヒドロキシル価、官能価などのパラメーターは、一般にその配合物の最終用途、すなわちポリウレタン製品の種類に基づいて選択される。適切なヒドロキシル価、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びブチレンオキシドの量、官能価、及び当量を有するポリオールの選択は、当業者に周知の標準的な手順である。例えば、エチレンオキシド量の多いポリオールは親水性であり、水−イソシアネート又は尿素の反応をより触媒しやすくなる場合があり、一方、プロピレンオキシド又はブチレンオキシド量の多いポリオールはより疎水性となり、ウレタン反応に好都合となる。
【0045】
酸でブロックされたアミン触媒(c)は、室温において液体又は固体のいずれかである。グリコール又は水、或いはあらゆる他の適切な溶媒又は希釈剤中に溶解させることができる。酸とアミン塩を形成するために使用されるアミンは、イソシアネートと活性活性水素を含有する化合物との反応を触媒するのに使用されるあらゆる第3級アミンであってよい。好ましくは、酸でブロックされたゲル化型アミン触媒(c)は、環状構造を基礎としている。このようなゲル化第3級アミンの例は、トリエチレンジアミンすなわち(TEDA)、3−ヒドロキシメチルキヌクリジン、3−キヌクリジノール、イミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチル−2−イミダゾロン、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ−エンすなわち(DBN)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ−7−エンすなわちDBU)、N,N’−ジメチルピペラジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、ジメチルベンジルアミン、N−メチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、N−アミノプロピル−ピロリジン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、及びジメチルシクロヘキシルアミンである。驚くべきことに、部分的に酸でブロックし、アミン系自触媒性ポリオール(b2)と併用することによって、よりバランスのとれたポリウレタン反応が起こり、それによって改善されたフォームエージング特性が得られることが分かった。
【0046】
酸でブロックされたゲル化触媒は、種々の化学反応を介して製造することができる。好ましくはこれらが固体である場合は希釈剤又は溶媒と混合し、次に、反応器を適切に冷却することで発熱を制御しながら、撹拌しながら酸をゆっくり加える。
【0047】
環状アミンを中和して触媒(c)を得るために使用される酸は、有機酸、例えばカルボン酸又はアミノ酸、或いは非有機酸、例えば硫酸又はリン酸であってよい。好ましくはこれらの酸は、カルボン酸、例えばギ酸又は酢酸であり、より好ましくはこれらは、米国特許第5,489,618号明細書に記載されるようにヒドロキシル官能性を有する。第5,489,618号明細書に開示されている好ましいヒドロキシルカルボン酸としては、クエン酸、ジメチロールプロプリオン酸(dimethylolproprionic acid)、2−ヒドロキシメチルプロピオン酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシル安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、β−ヒドロキシ酪酸、クレソ酸(cresoic acid)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、レソルシル酸、ヒドロフェルラ酸、及びそれらの混合物が挙げられる。他の好ましい酸は、欧州特許出願公開第1,018,525号明細書に記載されるようなハロ官能性を有するカルボン酸、又は欧州特許出願公開第1,018,526号明細書に記載されるようなアリールオキシ置換カルボン酸である。この酸は、米国特許第6,432,86号明細書に記載されるようなエステルであってもよい。これは欧州特許出願公開第989,146号明細書に開示されるような二酸であってよい。別の可能性として不飽和酸、例えばアクリル酸が挙げられる。
【0048】
これらの酸とアミンとの間のモル比は0.8未満であり、これはこのアミンが1つの第3級アミン基を含有する場合に、そのアミンの80%以下が中和されることを意味する。好ましくはアミンは50%未満が中和され、すなわちわずか50%以下の第3級窒素がブロックされる。より好ましくはアミンは25%未満が中和される。
【0049】
なんらかの理論によって束縛するものではないが、ポリウレタンフォームの調製のためにポリオール、水、アミン、界面活性剤、架橋剤のブレンドを作製すると、ゲル化アミンをブロックして触媒(c)を得るために使用される酸が、自触媒性ポリオール(b2)の一部が中和すると考えられる。別のアミン共触媒を加える場合にも同じことが発生しうる。さらに、架橋剤は、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン系である場合には部分的に中和することもできる。
【0050】
発泡性アミン、例えば脂肪族第3級アミンとして良好なゲル化触媒活性を得るために、触媒(c)に使用されるアミンが環状であることが重要であり、一度酸で中和されると、本発明において観察されるようなより良いフォーム特性を得るために必要なバランスのとれた触媒特性が得られない。低密度フォームを製造するための配合物中の含水量が高いことも重要である。再び、なんらかの理論によって束縛するものではないが、ポリオール(b2)と酸でブロックされた脂肪族アミンとの組み合わせによって、発泡側に近く、ゲル化側に対しては不十分な反応特性が得られると考えられる。
【0051】
酸でブロックされたゲル化アミン触媒(c)のポリオール(b2)に対する重量比は、具体的な用途に必要な反応特性に依存して変動する。通常、ポリオール(b2)は最大100部の量で使用されるが、好ましくは60部未満の量で使用され、一方、触媒(c)は2部未満の量で使用され、より好ましくは1部未満の量で使用される。一般に、特殊な硬化性を有する触媒の基本量が反応混合物に使用される場合、ポリオール(b2)と触媒(c)との組み合わせは、反応混合物が従来の触媒よりも少なくとも10重量%少ない場合に硬化時間が同等となるような量で加えられる。好ましくは、(b2)と(c)との組み合わせは、基本量よりも20%少ない触媒を含有する反応混合物を得るために加えられる。より好ましくは(b2)及び(c)を加えることによって、必要な触媒量が基本量よりも30%減少する。(b2)及び(c)の最も好ましい添加量は、他の従来の不堅牢又は反応性の第3級アミン触媒又は有機金属塩が不要となる量である。
【0052】
別の実施形態において、従来のアミンの量及び有機金属触媒の量を、同じ量に維持することができ、自触媒性ポリオールと酸でブロックされたアミンとの組み合わせを使用してフォーム硬化を速くすることで型滞留時間を短縮することができる。
【0053】
2種類以上の、酸でブロックされたゲル化アミン触媒(c)の組み合わせ、又は2種類以上の自触媒性ポリオール(b2)の組み合わせを使用して、1つのポリウレタン配合物中で十分な結果を得ることもできる。例えば発泡反応及びゲル化反応を調整したい場合、自触媒性ポリオール(b2)又はゲル化触媒(c)のいずれかのアミン構造を異なる第3級アミンによる改質、官能性、当量など、及びそれらのそれぞれの配合物中の量の変更が行われる。ゲル化アミンを中和するために複数の酸を組み合わせることも、反応特性及び最終的な遅延作用の調整の同じ理由で考慮される。
【0054】
ポリイソシアネートとあらかじめ反応させたポリオール、及び遊離のイソシアネート官能基を有さないポリオール(b2)を、ポリウレタン形成において使用することもできる。ポリオール(b2)を主成分とするイソシアネートプレポリマーは、標準的設備を使用し、従来方法を使用して調製することができ、例えばポリオール(b2)を反応器中で加熱し、撹拌しながらイソシアネートをゆっくりと加え、最終的に第2のポリオールを加えることによって、又は第1のポリオールをジイソシアネートとあらかじめ反応させた後、ポリオール(b2)を加えることによって調製することができる。
本発明の自触媒性ポリマーとともに使用することができるイソシアネートとしては、脂肪族、脂環式、アリール脂肪族、及び芳香族のイソシアネートが挙げられる。芳香族イソシアネート、特に芳香族ポリイソシアネートが好ましい。
【0055】
好適な芳香族イソシアネートの例としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の4,4’−、2,4’及び2,2’−異性体、それらのブレンド、並びにポリマー及びモノマーのMDIブレンド、トルエン−2,4−及び2,6−ジイソシアネート(TDI)、m−及びp−フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネート−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニル−メタン−4,4’−ジイソシアネート、及びジフェニルエーテルジイソシアネート、並びに2,4,6−トリイソシアナトトルエン、及び2,4,4’−トリイソシアナトジフェニルエーテルが挙げられる。
【0056】
市販のトルエンジイソシアネートの2,4−及び2,6−異性体の混合物などのイソシアネートの混合物を使用することができる。粗ポリイソシアネートも本発明の実施に使用することができ、例えばトルエンジアミン混合物のホスゲン化によって得られる粗トルエンジイソシアネート、又は粗メチレンジフェニルアミンのホスゲン化によって得られる粗ジフェニルメタンジイソシアネートを使用することができる。TDI/MDIブレンドを使用することもできる。ポリオール(b1)、ポリオール(b2)、又は本明細書に記載されるあらゆる他のポリオールのいずれかを使用して製造されるMDI又はTDI系のプレポリマーを使用することもできる。イソシアネート末端プレポリマーは、過剰のポリイソシアネートと、ポリオール、例えばアミノ化ポリオール、又はそれらのイミン/エナミン、又はポリアミンとの反応によって調製される。
【0057】
脂肪族ポリイソシアネートの例としては、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、上記芳香族イソシアネートの飽和類似体、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0058】
剛性又は半剛性フォームの製造に好ましいポリジイソシアネートは、ポリメチレンポリフェニレンイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネートの2,2’、2,4’及び4,4’異性体、並びにそれらの混合物である。可撓性フォームを製造する場合、好ましいポリイソシアネートは、トルエン−2,4−及び2,6−ジイソシアネート、又はMDI、或いはTDI/MDIの組み合わせ、又はそれらより製造されたプレポリマーである。
【0059】
ポリオール(b2)を主成分とするイソシアネート末端プレポリマーを、ポリウレタン形成に使用することもできる。
【0060】
ポリウレタン系フォームを製造する場合、一般に発泡剤が必要となる。可撓性ポリウレタンフォームの製造においては、発泡剤として水が好ましい。100重量部のポリオールを基準とすると、水の量は好ましくは0.5から10重量部、より好ましくは2から7重量部の範囲である。他の発泡剤は、液体又は気体の二酸化炭素、メチレンクロライド、アセトン、ペンタン、イソペンタン、メチラール又はジメトキシメタン、ジメチルカーボネートであってよい。人工的に減少又は増加させた大気圧の使用も本発明において考慮することができる。
【0061】
以上の重要成分に加えて、ポリウレタンポリマーの調製には特定の他の成分の使用が望ましい場合が多い。特に、このような追加成分としては、他のアミン触媒、界面活性剤、防腐剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、補強剤、安定剤、及び充填剤、例えばポリウレタンフォームを再利用した粉末が挙げられる。
【0062】
ポリウレタンフォームの製造において、硬化するまでの発泡反応混合物を安定化させるために一定量の界面活性剤を使用することが一般に好ましい。このような界面活性剤は、液体又は固体のオルガノシリコーン界面活性剤を含むと好都合である。他の界面活性剤としては、長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、長鎖アルキル酸硫酸エステルの第3級アミン又はアルカノールアミン塩、アルキルするオン酸エステル、及びアルキルアリールスルホン酸が挙げられる。このような界面活性剤は、破壊、及び大きく不均一なセルの形成に対して発泡反応混合物を安定化させるのに十分な量で使用される。典型的には、100重量部の全ポリオール(b)当たり0.2から3部の界面活性剤がこの目的に十分となる。
【0063】
架橋剤又は鎖延長剤を、必要であれば加えることができる。架橋剤又は鎖延長剤としては、低分子多価アルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及びグリセリン;低分子アミンポリオール、例えばジエタノールアミン及びトリエタノールアミン;ポリアミン、例えばエチレンジアミン、キシリレンジアミン(xlylenediamine)、及びメチレン−ビス(o−クロロアニリン)が挙げられる。このような架橋剤又は鎖延長剤の使用は、米国特許第4,863,979号明細書及び同第4,963,399号明細書、並びに欧州特許出願公開第549,120号明細書に開示されているように当技術分野において公知である。
【0064】
輸送に使用するフォームを調製する場合、場合により添加剤として難燃剤が挙げられる。あらゆる公知の液体又は固体の難燃剤を、本発明の自触媒性ポリオールとともに使用することができる。一般にこのような難燃剤は、ハロゲン置換ホスフェート及び無機防炎剤である。一般的なハロゲン置換ホスフェートは、トリクレシルホスフェート、トリス(1,3−ジクロロプロピルホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、及びテトラキス(2−クロロエチル)エチレンジホスフェートである。無機難燃剤としては、赤リン、酸化アルミニウム水和物、三酸化アンチモン、硫酸アンモニウム、膨張性黒鉛、尿素又はメラミンシアヌレート、或いは少なくとも2種類の難燃剤の混合物が挙げられる。一般に、使用される場合、難燃剤は、存在する全ポリオール100重量部当たり、5から50重量部、好ましくは5から25重量部の量で加えられる。ほとんどの難燃剤は酸性であるが、このような添加剤の使用が本発明に適合していることが分かった。
【0065】
本発明により製造されたフォームの用途は、当分野において周知の用途である。可撓性フォームは、家具、マットレス、ソファ、包装、靴底、自動車シート、サンバイザー、肘掛け、ドアパネル、防音部品、及びダッシュボードなどの用途が見い出されている。
【0066】
ポリウレタン製品を製造するための加工は当技術分野において周知である。一般に、ポリウレタンを形成する反応混合物の成分を、あらゆる好都合な方法で、例えば、G.エルテル(Oertel)、ハンサー・パブリッシャー(Hanser publisher)の「ポリウレタンハンドブック」(Polyurethane Handbook)に記載されるような目的で従来技術に記載されるあらゆる混合装置によって、互いに混合することができる。
【0067】
ポリウレタン製品は、射出、注型、吹き付け、キャスティング、カレンダー加工などによって連続又は不連続のいずれかで製造され、これらは、フリーライズ又は成形条件下で、離型剤を使用又は非使用で、型内キャスティング、或いはあらゆる挿入物又はスキンを型内に配置して製造される。可撓性フォームにおいては、それらは1つ又は二重の硬度を有することができる。
【0068】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供しており、限定として解釈すべきでは決してない。特に明記しない限り、すべての部数及びパーセント値は重量を基準としている。
【実施例】
【0069】
実施例において使用した原材料の説明を以下に示す。
DEOAは、水中85%ジエタノールアミンである。
ナイアックス(Niax)Y−10184は、ゼネラル・エレクトリック(General Electric)より入手可能なシリコーン型界面活性剤である。
ダブコ(Dabco)DC 5169は、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ・インコーポレイテッド(Air Products and Chemicals Inc.)より入手可能なシリコーン型界面活性剤である。
ダブコ(Dabco)33LVは、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ・インコーポレイテッドより入手可能な第3級アミン触媒である。
ダブコ(DABCO)8154は、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ・インコーポレイテッドより入手可能な独自開発の酸でブロックされたゲル化第3級アミンである。
ナイアックスA−1は、ゼネラル・エレクトリックより入手可能な第3級アミン触媒である。
ナイアックスA−300は、ゼネラル・エレクトリックより入手可能な独自開発の酸でブロックされたゲル化第3級アミン触媒である。
ナイアックスA−400は、ゼネラル・エレクトリックより入手可能な独自開発の酸でブロックされた発泡第3級アミン触媒である。
サリチル酸は、アルドリッチ(Aldrich)より入手可能なカルボン酸である。
ポリオールAは、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミンで反応開始し、15%のエチレンオキシドでキャップした1,700当量(EW)のプロポキシル化テトロールである。
ポリオールBは、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミンで反応開始し、20%のエチレンオキシドでキャップした1,700当量(EW)のプロポキシル化テトロールである。
スペクフレックス(SPECFLEX)NC632は、ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company)より入手可能な、グリセロール及びソルビトールのブレンドで反応開始した1,700EWのポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールである。
スペクフレックス(Specflex)NC−630は、ダウ・ケミカル・カンパニーより入手可能な、グリセロール及びスクロースのブレンドで反応開始した1,700EWのポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールである。
ボラノール(Voranol)4053は、ダウ・ケミカル・カンパニーより入手可能な、気泡開放剤(cell opener)として使用される高EO含有ヘキソールである。
スペクフレックス(SPECFLEX)NC−700は、ダウ・ケミカル・カンパニーより入手可能な、平均ヒドロキシル価が20の40%SAN型コポリマーポリオールである。
ボラネート(VORANATE)T−80は、ダウ・ケミカル・カンパニーより入手可能なTDI80/20イソシアネートである。
【0070】
研究所の実験台で製造されるフォームは、25℃でコンディショニングしたポリオール、界面活性剤、架橋剤、触媒、及び水をあらかじめブレンドすることによって製造される。同様に25℃でコンディショニングしたイソシアネートを、3,000RPMで撹拌しながら5秒間で加える。混合終了後、反応物を、60℃に加熱した30×30×10cmのアルミニウム型に注ぎ、続いて型を閉じる。使用前に、この型には、クルーバー・ケミー(Klueber Chemie)より入手可能な剥離剤クルーバー(Klueber)41−2013をスプレーしておく。部品を型から手で取りだし、その部品の内部及び外部の欠陥を調べることによって、4分におけるフォーム硬化を評価する。欠陥がなければ、その部品は合格と評価される。
【0071】
機械で製造されるフォームは、キャノン(Cannon)高圧装置を使用して調製される。型の大きさは40×40×10cmであり、離型時間は6分である。
【0072】
すべてのフォームはASTM D−3574−83試験方法に準拠して試験される。
【0073】
(比較例1A)
酸でブロックされたゲル化環状アミン触媒(c)の調製:
88.83gの水に、10.16g(又は0.0299mmol TEDA)のダブコ33LVを加える。このブレンドを室温で撹拌して、均一ブレンドを得る。次に、撹拌しながら1.01g(又は0.0073mmol)のサリチル酸をゆっくりと溶解させる。わずかな発熱の後、室温で冷却すると均一溶液が得られる。この実施例1aは本発明の一部ではない。これは、モル基準で、約12.2%又は24.4%のアミンブロックに対応する。
【0074】
(実施例1)
ポリオールマスターバッチの調製:
以下のポリオールブレンドを調製する(数値単位はg):
溶液例1A 3.94
スペクフレックスNC−632 20
スペクフレックスNC−700 30
ポリオールA 50
DEOA 0.8
ダブコDC−5169 0.60
【0075】
本発明の実施例2は、アミンで反応開始するポリオールのポリオールAを、他のポリオール、架橋剤、界面活性剤、及び酸でブロックされたアミン触媒とブレンドした場合に良好なブレンドが得られることを示している。このブレンド中の全アミンを基準にすると、酸中和量は1%未満である。
【0076】
(実施例2及び比較例2A)
以下の表1における処方を使用して、実験室における発泡試験を行う。加えられる材料の値は重量部である。
【表1】

HACSは、湿度老化圧縮永久ひずみ(Humid Aged Compression Set)を意味する。この試験はたわみ50%及び75%の両方で実施する。
【0077】
実施例2は、少量の酸をフォーム配合物に加えてアミンTEDAを部分的にブロックすることにより、同じ加工性、特に離型時間が得られ、一方、フォーム湿度エージングは、従来の酸でブロックしていないアミン触媒に基づく比較例3aよりも改善され、フォームは50%CFD(圧縮力たわみ)試験に基づくとフォームがより硬くなっていることを示している。
【0078】
(実施例3及び比較例3A、3B、3C)
以下の処方を使用して、高圧キャノン(Cannon)装置を使用してフォームを製造する。
【表2】

ナイアックスA−300は50%の水を含有する。
【0079】
実施例3は、(b2)タイプの自触媒性ポリオールBを、酸でブロックされたゲル化触媒、たとえばナイアックスA−300と併用することによって、優れたフォームエージング特性が得られ、全体のアミン濃度が、従来のポリオール及び通常の触媒(ナイアックスA−1及びダブコ33LV)に基づく対照実験(実施例3Aは本発明の一部ではない)よりも実質的に減少していることが分かる。さらに実施例3においては、ナイアックスA−1が使用されないが、フォーム加工性、特に離型時間に影響を与えていない。
【0080】
比較例3B及び3C(本発明の一部ではない)は、直鎖ゲル化アミン触媒であるダブコ33LVを単独使用、又は酸でブロックされた発泡アミン触媒であるナイアックスA−400と併用する場合、(b2)タイプの自触媒性ポリオールBと併用すると、本発明によって得られるほど良好な特性を有するフォームは得られないことを示している。
【0081】
(実施例4)
以下の処方(下記の表を参照)により、6分の離型時間における良好なグリーン強度、及び許容される圧縮永久ひずみを有する低密度フォームが得られる:
【表3】

【0082】
本発明の他の実施形態は、本明細書又は本明細書に開示される本発明の実施を考慮すれば、当業者には明らかとなるであろう。本明細書及び実施例は、単なる例として見なされることを意図しており、本発明の真の範囲及び意図は請求項によって示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種類の液体有機ポリイソシアネートと、
(b)ポリオール組成物であって、
(b1)2から8の官能価、及び15から200のヒドロキシル価を有する0から98重量%のポリオール化合物と、
(b2)2から8の官能価、15から200のヒドロキシル価を有し、自触媒機能を付与する少なくとも1つの第3級アミン基を含有する重量基準で2から100のポリオール化合物とを含み、
上記重量%がポリオール組成物(b)の総量を基準にしているポリオール組成物と、
(c)環状構造を有し、モル基準で80%以下が酸でブロックされている少なくとも1種類のゲル化アミン触媒の存在下、
(d)発泡剤としての水の存在下、及び
(e)場合により、ポリウレタンフォームの製造においてそれ自体知られている添加剤、触媒、又は助剤と、
の混合物の反応によって、可撓性ポリウレタンフォームを製造する方法。
【請求項2】
ポリオール(b2)が、N−アルキル、N,N−ジアルキルアミノ基、又はそれらの混合物を有する開始剤のアルキレンオキシド付加体であり、前記アルキル基がC1からC3アルキル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリオール(b2)が、N−メチル、N,N−ジメチルアミノ基、又はそれらの混合物を有する開始剤のアルキレンオキシド付加体である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ポリオール(b2)が、N,N−ジアルキル−グルシジルアミン(glcidylamine)でキャップされたヒドロキシル末端ポリオールである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ゲル化アミン触媒(c)が、トリエチレンジアミン、3−ヒドロキシメチルキヌクリジン、3−キヌクリジノール、イミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチル−2−イミダゾロン、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ−エン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ−7−エン、N,N’−ジメチルピペラジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、ジメチルベンジルアミン、N−メチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、N−アミノプロピル−ピロリジン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ジメチルシクロヘキシルアミン、又はそれらの混合物である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ゲル化アミン触媒(c)が、トリエチレンジアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ−7−エン、3−ヒドロキシメチルキヌクリジンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ゲル化アミン触媒が、有機酸、アミノ酸、又は非有機酸で部分的にブロックされている請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ゲル化アミン触媒が、カルボン酸を含む有機酸で部分的にブロックされている請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記有機酸が1又はそれ以上のヒドロキシル基をさらに含有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記有機酸がサリチル(salicyclic)酸又はグリコール酸又はグルコン酸である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ゲル化アミン触媒は、モル基準で50%以下が酸でブロックされている、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
先行請求項のいずれか1項によって製造された可撓性フォーム。
【請求項13】
ポリオール組成物であって、(b1)2から8の官能価、及び15から200のヒドロキシル価を有する0から98重量%のポリオール化合物と、
(b2)2から8の官能価、15から200のヒドロキシル価を有し、自触媒機能を付与する少なくとも1つの第3級アミン基を含有する重量基準で2から100のポリオール化合物と(上記重量%はポリオール組成物(b)の総量を基準にしている)を、
(c)環状構造を有し、モル基準で80%以下が酸でブロックされている少なくとも1種類のゲル化アミン触媒の存在下で含む、ポリオール組成物。

【公表番号】特表2007−535606(P2007−535606A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510961(P2007−510961)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/014555
【国際公開番号】WO2005/111109
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】