説明

改善されたスイッチング容量を有するジェネレータ・スイッチ

本発明は、電気的スイッチング・デバイス(1)に係り、特に、ジェネレータ・スイッチ(1)及び改善されたスイッチング・ガスの冷却のための方法に係る。本発明によれば、ガス・ジェット(12)が、噴出領域(7)の中のノズル・ボディ(10)により形成され、バッフル・ウォール(14,140)に向けて方向付けられ、旋回される。このバッフル・ウォール(14,140)は、スイッチング・チャンバ・エンクロージャ(3)のコンポーネントであって、高い熱容量および/または熱伝導率を有し、それによって、スイッチング・ガスの渦形成(13)が、バッフル・ウォール(14,140)上での乱流対流による高効率のスイッチング・ガスの冷却により、実現されることになる。実施形態の例は、なかんずく、バッフル・ウォール(14,140)の形状及びノズル・ボディ(10)の形状に関係している。優位性は、スイッチング・チャンバ・エンクロージャ(3)の高温ガスに対する保護、改善されたスイッチング・ガスの冷却、及びスイッチング定格の増大を含む(図1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧技術の分野に係り、特に、電力分配システムにおけるヘビー・デューティ・サーキット・ブレーカ技術に係る。本発明は、独立特許クレイムの前提書き部分による方法及びジェネレータ・スイッチに基づいている。
【背景技術】
【0002】
本発明は、欧州特許出願 EP 1 403 891 A1 号明細書による先行技術に基づいている。この文献は、サーキット・ブレーカを開示しており、このサーキット・ブレーカでは、アーク発生領域からの排出ガスが、中空コンタクトの中を通って、同軸状に配置された排出ボリュームの中に入り、そこから、更に外側に配置されたクエンチング・チャンバ・ボリューム中に入る。断路定格を増大するために、少なくとも一つの中間ボリュームが、そして場合によれば追加のボリュームが、中空コンタクトと排出ボリュームの間に、同軸状に配置され、ガスが通過することが可能な孔または開口を有する中間ウォールにより互いに分割されている。排出ガスは、インナー・ボリュームからアウター・ボリュームへ径方向に流れ出るスイッチング・ガスにより旋回され、そして、大量の熱エネルギーが、ボリュームの中間ウォールに放出されることが可能である。
【0003】
中空コンタクト・ボリューム、中間ボリューム、そしてもし適切な場合には、追加のボリュームの間のアパーチャ開口は、周囲で互いに対してオフセットされて配置されている。追加のボリュームと排出ボリュームの間のアパーチャ開口は、周囲でおよび/または軸方向に互いに対してオフセットされて配置されている。このことは、蛇行した並びにらせん状の排出ガス経路が予め定められると言う結果をもたらし、排出ガスが排出領域の中に留まっている時間が増大され、排出ガスから放出される熱が改善されることになる。
【0004】
更に、複数の径方向に方向付けられたガス・ジェットを作り出すために、パーフォレイト金属シートの形状のパネルにより、複数の孔が、閉鎖されることが可能であり、そのガス・ジェットは、反対側のウォールに当たり、その衝突ポイントで旋回され、それによって、高温ガスを強く冷却する。冷却を改善する中間ボリュームが、駆動コンタクト側の排出領域に配置される。第二の中間ボリュームが、固定コンタクト側に設けられても良い。全体として、少なくとも一つの更なる中間ボリュームもまた、効率良い排出ガスの冷却を実現するために、サーキット・ブレーカの中に必要になる、即ち、中空コンタクト・ボリューム、排出ボリューム及びスイッチング・チャンバ・ボリュームに加えて、必要になる。
【0005】
独国実用新案第 DE 1 889 068 U 号明細書に、改善された排出ガスの冷却を備えたスイッチ断路器が開示されている。その冷却装置は、ガス出口チャネルの中に同軸状に配置された複数のチューブを有し、そのそれぞれは、径方向に反対側の出口開口を有していて、それによって、スイッチング・ガスが、層流の形状で流れ出る際に、多数の偏向を備えた迷路状の経路の中を通ることになり、また、冷却チューブの広い表面領域をカバーしなければならない。この配置は、それ故に、出口流れの経路をかなり引き伸ばし、排出の中の冷却表面の面積を拡大する。出口開口は、スイッチング・ガス背圧を低く維持するために、広く選択される。冷却チューブの間の流れのチャネルは、スイッチング・ガスのための広い冷却表面の面積を提供するために、狭く選択される。全体として、流れは、層流領域の中に維持され、スイッチング・ガスは、冷却チューブへの層流対流による熱移送により冷却される。
【0006】
欧州特許第 EP 0 720 774 B1 号明細書には、スイッチング・ガスのためのヒートシンクとして、中空の円筒状の金属ワイヤ・メッシュまたは金属ボディを有する高電圧サーキット・ブレーカが開示されている。それに加えて、絶縁ボディが設けられ、更に内側に配置され、クエンチング・ガスが通過することを許さず、金属ボディをクエンチング・ガスから遮蔽し、クエンチング・ガスを材料の気化により前もって冷却し、かくして、金属ワイヤ・メッシュの加熱を抑制する。それが、金属ワイヤ・メッシュを通って流れるときに、クエンチング・ガスが、このメッシュの金属表面との間の相互作用により、更に冷却される。多数のアパーチャ開口のおかげで、金属ワイヤ・メッシュの流れ抵抗が小さく、再び層流の流れに帰着する。
【0007】
独国特許第 DE 102 21 580 B3 号明細書には、遮断器ユニットを有する高電圧サーキット・ブレーカが開示されている。その中において、排出ガスは、180°で二回偏向される。ガスの冷却を改善するために、同軸状に配置された中空の円筒状のパーフォレイト金属シート(その中を流れが径方向に通過する)が、固定コンタクト側に設けられている。このパーフォレイト金属シートは、再び、ヒートシンクとして使用され、このヒートシンクは、クエンチング・ガスに対する流れ抵抗を増大することなく、且つ層流のクエンチング・ガスの流れを妨げることなく、クエンチング・ガスから熱を取り出す。
【特許文献1】欧州特許出願 EP 1 403 891 A1 号明細書
【特許文献2】独国実用新案第 DE 1 889 068 U 号明細書
【特許文献3】欧州特許第 EP 0 720 774 B1 号明細書
【特許文献4】独国特許第 DE 102 21 580 B3 号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、それ故に、改善されたスイッチング定格を備えた電気的スイッチング・デバイスを規定することにある。本発明によれば、この目的は、独立クレイムの特徴により実現される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電力供給システムのための電気的スイッチング・デバイスにおける、特にジェネレータ・スイッチにおける、スイッチング・ガスの冷却のための方法を有している:
前記スイッチング・デバイスは、スイッチング・チャンバ・エンクロージャにより取り囲まれたスイッチング・チャンバを有している;
更に、前記スイッチング・ガスは、スイッチング・プロセスの間に、アーク・クエンチング・ゾーンから噴出領域へ流れ、複数の出口開口を有するボディの中を通過するプロセスの中で、複数の方向付けられたガス・ジェットに分割される;
更に、これらのガス・ジェットは、複数の渦に旋回され、そして、熱エネルギーが、バッフル・ウォールの領域の中での対流により、これらの渦から引き出される;
ここで、更に、前記バッフル・ウォールは、前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャの少なくとも一つの部分により形成され、または、前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャの部分に取り付けられている。
【0010】
その中を流れが通過する前記ボディは、それ故に、前記スイッチング・ガスに十分に大きい背圧を形成し、それによって、狭いガス・ジェットが、前記ボディの前記出口開口から作り出されることが可能になる。その中を流れが通過する前記ボディは、ジェットの形成のために主として使用され、それ自体は、前記スイッチング・ガスに対する冷却効果を有していることを必要としない。
【0011】
改善された排出ガスの冷却が、乱流熱移送による、前記渦から前記バッフル・ウォールへの熱エネルギーの放出により、そして前記バッフル・ウォールからの非常に効率良い熱の放散を可能にすることによって、実現され、ここで、前記バッフル・ウォールは、前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャのコンポーネントとして、または前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャに取り付けられた部分として、設けられる。熱エネルギーが、前記バッフル・ウォールの中に貯えられることが可能であり、または、前記バッフル・ウォールに対して熱的に接続されたヒートシンクへ送られることが可能である。
【0012】
請求項2の(a)でクレイムされている実施形態の例は、前記スイッチング・ガスと前記バッフル・ウォールの間で、電気的なフラッシュオーバーについて心配する必要が無いと言う優位性を有している。その理由は、前記スイッチング・ガスがその中を流れる前記アウター・ボリュームの中に、電位勾配が無いか、または大きな電位勾配が無いからである。まだ絶縁的にセットされていない、大きくイオン化されたスイッチング・ガスであっても、生きている電位にある前記バッフル・ウォールで冷却されることが可能である。
【0013】
請求項2の(b)でクレイムされている実施形態の例は、前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャが、その全体としてまたは少なくともスイッチ・コンタクト側で、前記バッフル・ウォールにより吸収される熱エネルギーの大きなボリュームのヒートシンクとして使用される、と言う優位性を有している。
【0014】
更なる実施形態の例において、前記バッフル・ウォールに到達する前に、前記ガス・ジェットの互いの間での相互作用により、渦の形成がアシストされる。特に、一つの狙いは、前記ボディがの中で形成された前記ガス・ジェットが、前記バッフル・ウォールに到達する前に、それらの軌道が互いに交差するものであることである。これが意味するところは、これらの渦が、前記バッフル・ウォールでの別個のガス・ジェットの衝突により形成されるのみではなく、前記ガス・ジェットの間の相互作用によって、前記バッフル・ウォールまでの途中でも実際に引き起こされることである。
【0015】
極端な場合において相互作用による渦形成が非常に強いために、それぞれのガス・ジェット実際の衝突ポイントが前記バッフル・ウォール上にもはや存在せずに、渦が直接到達する場合もある。その渦は、少なくとも二つのガス・ジェットから形成され、前記バッフル・ウォールでの乱流対流により冷却される。
【0016】
本発明はまた、電力供給システムのための電気的スイッチング・デバイス、特にジェネレータ・スイッチに係る:
この電気的スイッチング・デバイスは、スイッチング・チャンバ・エンクロージャにより取り囲まれ、中心軸並びに第一のコンタクト及び第二のコンタクトを有するスイッチング・チャンバを有し;
スイッチング・ガスがその中を流れる出口開口を備えたボディが、前記第一のまたは第二のコンタクトの噴出領域の中に設けられ;
この噴出領域は、前記ボディにより、インナー・ボリュームとアウター・ボリュームに分割され;
前記スイッチング・ガスの冷却のためのバッフル・ウォールが、前記アウター・ボリュームの中に設けられる;
更に、前記ボディの前記出口開口が、複数の方向付けられたガス・ジェットを作り出すために使用され;
これらのガス・ジェットは、前記バッフル・ウォールに方向付けられ;
複数の渦が、形成され;そして、
それらの渦が、前記スイッチング・ガスから前記バッフル・ウォールへの対流熱移送をもたらす;
ここで、前記バッフル・ウォールは、前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャの少なくとも一つの部分により形成され、または前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャの部分に取り付けられる。
【0017】
前記ボディまたはマルチ・ノズル・ボディは、それ故に、前記スイッチング・ガスを、前記スイッチング・デバイスの少なくとも一つの排出領域の中で、複数の方向付けられたガス・ジェットに分割するために使用され、そして、前記バッフル・ウォールは、前記スイッチング・ガスから、正確にはスイッチング・ガスの渦から、乱流、対流熱移送により熱エネルギーを取り出すために、ジェットの回転運動および/または旋回されたジェットが流れるために使用される。前記バッフル・ウォールは、それ自体がヒートシンクであっても良く、または、ヒートシンクに熱的に接続されても良い。
【0018】
特に、前記バッフル・ウォールは、前記スイッチング・チャンバ・ウォールに近いその位置のために、非常に広い領域を有するようにデザインされても良く、または、前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャのコンポーネントとしてデザインされても良く、そして、ガス・ジェットより引き起こされる多数のスイッチング・ガスの渦の乱流冷却のために使用されることが可能である。本発明に基づきデザインされたスイッチング・デバイスは、改善されたスイッチング・ガスの冷却のために、優れた断路定格を有していることが見出された。
【0019】
請求項6でクレイムされている実施形態の例は、再び、以下の優位性を有している:全ての非常に大きくイオン化された、高温のスイッチング・ガスが、前記バッフル・ウォールにより冷却されることが可能である。バッフル・ウォールの、ヒートシンク及び電流経路としてのダブルの機能は、スイッチング・デバイスが、特にシンプル且つコンパクトにデザインされることを可能にする。
【0020】
請求項7でクレイムされている実施形態の例は、マルチ・ノズル・ボディとしてのボディの機能、及び熱の放散としての前記バッフル・ウォールが、分離していると言う優位性を有している。前記ボディは、かくして、排出領域内でのその配置、及び形状及びそのノズルの配置に関して、最適化されることが可能であり、他方、前記バッフル・ウォールは、これに対して独立に、前記アウター・ボリューム内でのその配置、その熱的な特性、及び前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャへのその熱的な接続に関して、最適化されることが可能である。前記バッフル・ウォールのまたは前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャ部分の大きい熱的マスおよび/または高い熱伝導率のおかげで、前記ガス・ジェットが衝突するポイントでのローカルな加熱が、速やかに、バッフル・ウォールの全体に渡って分配され、そして必要な場合には、前記バッフル・ウォールから放散される。
【0021】
請求項7でクレイムされている実施形態の例は、以下の優位性を有している:本発明に基づく乱流対流冷却が機能し始める電力範囲が、より正確に規定され、そして、特にノズルの最適な配置により、特に、分離、形状および/または配列により、拡大される。特に、ボディのノズルのジェット特性は、位置、そして恐らくは前記バッフル・ウォールの形状の関数としてデザインされることが可能であり、それによって、強い渦形成、及び前記バッフル・ウォールの近傍への及び前記バッフル・ウォールの広い領域に沿っての渦の良好な誘導が実現されることになる。
【0022】
請求項8でクレイムされている実施形態の例は、交差するガス・ジェットが、渦形成プロセスを強化すると言う優位性を有している。更に、渦形成が、早めに、即ちより低い電力範囲で、実現されることが可能である。
【0023】
請求項4及び10から12でクレイムされている実施形態の例は、スイッチング・デバイスの中でのスイッチング・ガスの冷却効率を改善するためのそれ故にスイッチング定格を増大させるための、更なる手段に関係している。
【0024】
本発明の更なる実施形態、優位性及び適用は、従属クレイムから、それらのクレイムの組み合わせから、並びに、以下の説明及び図面からもたらされる。
これらの図の中で、同一の部分には、同一の参照符号が付与されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、スイッチ軸1a及びスイッチング・チャンバ2または遮断器ユニット2を備えたジェネレータ・スイッチ1を示している。このスイッチング・チャンバは、クエンチング・チャンバ9及び排出ボリューム7,8を有している。このスイッチング・チャンバ2は、スイッチング・チャンバ・エンクロージャ3により取り囲まれている。スイッチング・チャンバ・エンクロージャ3は、クエンチング・チャンバ・エンクロージャまたはクエンチング・チャンバ・アイソレータ3c、及び第一の排出エンクロージャ3a、及び第二の排出エンクロージャ3bから構成されている。第一のコンタクトまたはスイッチング・ピン4、及びコンタクト・チューリップ5の形状の第二のコンタクトが、電力電流経路のために、及びアーク遮断のために、設けられ、スイッチ1を開いた際に、それらの間に、アーク6aが飛ぶ。
【0026】
スイッチング・デバイス1の基本的なオペレイションについては、欧州特許第 EP 0 982 748 B1 号明細書の中に開示されており、その開示内容の全てが、ここでリファレンスによりこの明細書の中に包含される。特に、スイッチング・デバイス1の機能が、そこに記載されている。参照符号は、下記のコンポーネントを指している:定格電流経路15、第一の固定定格電流コンタクト16、第二の固定定格電流コンタクト17、可動定格電流コンタクト18、第一のバリア・ウォール19、エロージョン・スイッチング・アレンジメント20、絶縁体ノズル21、スライディング・ガイド22、第二のバリア・ウォール23、加熱ボリューム24、噴出スロット25、ウォール26、噴出シリンダ27、噴出ピストン28、噴出チャネル29、逆止弁30。上記のコンポーネントの機能及び相互作用は、上記の欧州特許第 EP 0 982 748 B1 号明細書の中に、より詳細に説明されている。
【0027】
アーク・スイッチング・コンタクト・ピン4が開く間、アーク・クエンチング・ゾーン6には、加熱ボリューム24からのクエンチング・ガスまたはスイッチング・ガスが噴射される。そのスイッチング・ガスは、次いで、第一及び第二の排出領域7,8の中にが流れ込み、そこで冷却される。本発明によれば、スイッチング・ガスがその中を流れるための出口開口11を備えたボディ10が、今や、例えば、第一の排出領域7の中に配置される。その中をガスが流れるボディ10は、排出領域7を、インナー・ボリューム7aとアウター・ボリューム7bに分割する。
【0028】
スイッチング・ガスを冷却するために、バッフル・ウォール14,140が、アウター・ボリューム7bの中に設けられる。このバッフル・ウォール14,140は、スイッチング・チャンバ・エンクロージャ3の少なくとも一つの部分14により形成され、または、プレート140としてスイッチング・チャンバ・エンクロージャ3の部分取り付けられる。このプレートは、多かれ少なかれ、別個に形成されていても良い。この配置の中で、非常に効率の良い乱流スイッチング・ガスの冷却が実現される。更なる優位性は、スイッチング・チャンバ・エンクロージャ3が、非常に高温のスイッチング・ガスにより直接的に汚染されることが無く、ノズル・ボディ10により幾らか保護されることである。
【0029】
その中をガスが流れるボディ10またはノズル・ボディ10の、バッフル・ウォール14,140との相互作用が、以下のテクストにおいて、図1を参照しながら、より詳細に説明される。高温のスイッチング・ガスの流れ100は、アーク・クエンチング・ゾーン6から、第一の排出領域7の中に流れ、流れ偏向要素7cにより周方向に偏向され、ボディ10のインナー・ウォール(このインナー・ウォールは、この場合、スリーブの形状で描かれている)に沿って逆方向に流れ、かくして、再循環流れ101を形成し、それにより、インナー・ボリューム7aの中に背圧が形成される。
【0030】
スイッチング・ガスは、ガス・ジェット12の形状で外側に流れ、ボディ10の出口開口11を通って、アウター・ボリューム7bの中に入り、それらのガス・ジェット12は、バッフル・ウォール14,140で方向付けられ、渦13を形成する。このことは、典型的には、ガス・ジェット12のバッフル・ウォール14,140への衝突の結果であり、それによって、一つの渦13が、各ガス・ジェット12または衝突位置に対して形成されることになる。
【0031】
図3は、如何にして、渦13が、強いスイッチング・ガスの冷却を、バッフル・ウォール14,140への乱流対流熱移送により、作り出すかについての、より詳細に示している。ガス・ジェット12が、開口11からスイッチング・ガスが流れ出る際に、形成される。出口開口11から出た後、ガス・ジェット12は、境界層12a,12bを形成し、小さい渦13が、分離領域12aの中で作り出され、その強さ及びサイズは、ノズル・ボディ10からの距離の増大に従って増大し、そしてそれらは、バッフル・ウォール14,140に近づいた際に、実質的に軸方向に偏向される。
【0032】
渦領域、渦ゾーンまたは渦境界層130が、バッフル・ウォール14,140の近傍に、即ちバッフル・ウォール領域14aに、形成される、その領域、ゾーンまたは層の中で、渦13がバッフル・ウォール14,140に沿って流れ、そこにその熱エネルギーの一部を渡し、バッフル・ウォール14,140から流れ出て、渦13の出口領域131に入り、再循環され、そして、更なるスイッチング・ガスが、伴流領域132の中に吸い込まれ、冷却のためにバッフル・ウォール14,140に供給される。
【0033】
スイッチング・ガスは、それ故に、バッフル・ウォールの領域14,140内での、繰り返される強いガス交換により強く冷却される。このことは、効率良いヒートシンクとして機能するバッフル・ウォール14,140それ自体に依存している。
【0034】
本発明によれば、このことは、バッフル・ウォール14,140がスイッチング・チャンバ・エンクロージャ3の部分により形成されることより、または、バッフル・ウォール14,140が、プレート140として、または一般的にスイッチング・チャンバ・エンクロージャ3へのヒートシンク140として、スイッチング・チャンバ・エンクロージャ3の部分に取り付られることにより実現される。この目的のために、バッフル・ウォール14,140は、乱流スイッチング・ガスの冷却のために高い熱容量を有していても良い。それに代わってまたはそれに加えて、バッフル・ウォール14,140は、乱流スイッチング・ガスの冷却のために高い熱伝導率を有していても良く、そして、スイッチング・チャンバ・エンクロージャ3に熱伝導性良好な状態で接続されても良い。
【0035】
バッフル・ウォール14,140は、電気的なフラッシュオーバーの危険を減少させるためまたは取り除くために、好ましくは、スイッチング・チャンバ・エンクロージャ3と同じ電位にある。結果として、スイッチング・ガスは、この段階で、バッフル・ウォール14,140との間の相互作用により、予め冷却される必要が無い。実際、そのスイッチング・ガスは、また、高温の且つ特にイオン化された状態であっても良い。特にコンパクトな配置が、バッフル・ウォール14,140をスイッチング・デバイス1の電流経路15の一部とすることにより、実現される。図1において、電流経路15は、定格電流経路であるが、しかしまた、原則として、電力電流経路15であっても良い。
【0036】
ノズル・ボディ10は、低い熱容量および/または低い熱伝導率を有していても良い。ノズル・ボディ10は、それ故に、熱の放散に寄与する必要は無い。しかしながら、追加的な冷却効果、及びノズル・ボディ10内の一様な熱分布は、好ましい。ボディ10の出口開口11は、ノズル110,111,112として機能すべきであり、それらのノズルは、それらの配置、形状および/または配列により、ガス・ジェット12のための所望のジェット特性および/または配列を予め定めることになる。特に、ガス・ジェット12は、ノズル110,111,112の中で、コリメイション(collimation:平行にすること)、拡大または収束されるべきであり、そして、このコリメイション、拡大または収束は、バッフル・ウォール14,140からの距離Hに適合するものであって、それによって、渦が、バッフル・ウォール14,140の近傍、またはバッフル・ウォール14,140の領域14aの中に形成されることになる。
【0037】
図2aは、実施形態の例を示している。この実施形態において、ノズル110が、スイッチング・ガスの流れの方向(径方向に外側に方向付けられている)に漏斗状の形状に先細になる。図2bに示されているように、設けらたノズル111、112は、好ましくは、互いに対して方向付けられ、それによって、対応するガス・ジェット12の軌道121,122が、バッフル・ウォール14,140に到達する前に、互いに交差し、そして、バッフル・ウォール14,140に到達する前に、渦を形成することになる。互いに対して方向付けられたノズル111、112は、特に、互いに隣接するノズル111、112あるいはノズル・グループであっても良い。パネルの開口は、円筒状であっても、またはジェットの方向に円錐状に拡大されても良く、それによってガス・ジェット12が拡大されることになる。
【0038】
出口開口11の更なる変形が、欧州特許出願公開第 EP 1 403 891 A1 号明細書の中に記載されており、その開示内容の全てが、ここでリファレンスによりこの明細書の中に包含される。この文献は、特に、以下について開示している:軸方向におよび/または周囲で互いに対してオフセットされた出口開口;異なる直径を備え中心間で異なる距離を備えた出口開口;それらの形状、サイズ、配置(例えば、主として排出領域の上部におけるもの)及び数に対して最適化された出口開口。
【0039】
高い冷却効率のための、パネルの開口と反対側のウォールの間の距離“H”と、それらの直径“D”との比に対する好ましい範囲として、 1.5<H/D<5 特に、 H/D=2 が開示されている。パネルの開口の中心の間の距離“S”と、それらの直径“D”との比に対しては S/H=1.4 の比が好ましい。もし、この距離を下回ることが無ければ、このことは、衝突ポイントの周りで形成される渦が、互いに対してネガティブな影響を有することなく、ガスが効率良く冷却されることを確実にする。
【0040】
ノズル・ボディ10は、好ましくはスリーブ10であり、特に、金属製のスリーブである。原則として、スリーブ10は、いかなる所望の形状を有していても良く、例えば、中空の円筒状の(図1)に形成され、または、円錐台の形状で先細になり(図2c)、または、円錐状に先細になって(図2d)いても良い。
【0041】
図1において、ロウアー・カバーが、クエンチング・チャンバ9と第一の排出領域7の間の第一のバリア・ウォール19により設けられ、アッパー・カバーが、スイッチング・チャンバ・ウォールにより設けられる。スリーブ10が、ボリュームVの回りを取り囲んでいるが、出口開口11に加えて、他の開口または不完全なスリーブ形状もまた、原則として、許容される、但しそれには、十分な背圧が形成されることが可能であり、それによりジェットの形成が可能であることが前提となる。
【0042】
出口開口11は、好ましくは唯一の開口である。取り囲まれたボリュームVの、出口開口11の全面積Aに対する比は、好ましくは、0.5m<V/A<1.5m、好ましくは、1m<V/A<1.4m、特に好ましくは1.2m<V/A<1.3mの範囲であるべきである。
【0043】
図2cは、出口開口11の上で二つの径方向反対側の領域11a,11bの中により密度高く配置された実施形態の例を示す。
【0044】
バッフル・ウォール14,140の方向への流れは、このようなやり方で、アウター・ボリューム7bの中のスイッチング・ガスの中に、引き起こされることが可能である。ガイドされた流れは、典型的には、円形の経路、ヘリカル経路および/またはスパイラル経路11ab、または、一般的に、スイッチ軸1aの周りの本質的に回転対称の経路11ab上を通る。経路の性質は、出口開口11の配置により、流れガイド要素により、および/またはノズル・ボディ11の形状及びバッフル・ウォール14,140の形状により、選択されまたは影響されることが可能である。
【0045】
例えば、もし、出口開口11が軸方向に均一に配置されている場合、もし、バッフル・ウォール14,140が中空の円筒である場合、そして、もし、ノズル・ボディ10の形状が中空の円筒状である場合、主として円形の経路またはヘリカル経路が、形成されることが可能である、これに対して、もし、ノズル・ボディ10が先細にされた形状を有している場合、主としてスパイラル条の経路11abが、形成されることが可能である。
【0046】
理論的解析が、ノズル・ボディまたはスリーブ10及びバッフル・ウォール14,140の配置の効率“η”から実施された。この効率またはスリーブ10の冷却効率“η”は、スリーブ10の助けによりスイッチング・ガスから引き出される熱エネルギーの、高温のスイッチング・ガスのトータル熱エネルギーに対する比として規定される。それは、概略下記の式で示されることが可能である:
η(t)=(p2 − p2’)/p2,
ここで、p2は、第一の排出領域7内にスリーブ10が無い場合の、スイッチ・コンタクトの分離の後の、スイッチング・ガスの圧力であり、p2’は、第一の排出領域7内にスリーブ10の存在する場合の、インナー・ボリューム要素とアウター・ボリューム7a,7bについて平均した、同様にスイッチ・コンタクトの分離の後の、スイッチング・ガスの圧力である。
【0047】
スリーブ10が無い場合の圧力p2は、実験により測定され、スリーブ10がある場合の圧力p2’は、アウター・ボリューム7b内の第一の圧力を測定し、インナー・ボリューム7a内の第二の圧力をシミュレイションにより計算することにより、そして、第一及び第二の圧力を、対応するボリューム7a,7bで重み付けして平均することにより、決定された。
【0048】
図3は、排出ガス7に対する、金属スリーブ10が無い場合の圧力プロファイル31、及び金属スリーブ32がある場合の圧力プロファイル32を、時間の関数として示している。コンタクト分離33後に、同じ勾配を有する圧力の上昇は、以前の通常値の約50%に制限される。圧力は、今や、電流のゼロ交点34が通過されると直ぐに、もう一度低下し、かくして、スイッチング・プロセスの全体に渡って、相当な圧力減少を、全体としてもたらす。
【0049】
図4は、冷却効率η(t)を示し、この冷却効率は、電流のゼロ交点34の後に、45%よりも大きく、そしてしばらくの間に最大値で60%に到達する。
【0050】
更に、実験室での試験が、金属スリーブ10及びスイッチング・エンクロージャのバッフル・ウォール14を備えたサーキット・ブレーカ1を用いて、実施された。金属スリーブ10のボリューム対領域の比は、この試験において、1.05mであった。この比は、このケースにおいて、出口開口11の幾何学的領域Aの約80%が、実際に有効であると言う事実を考慮に入れている。(この実験室での試験において、サーキット・ブレーカ1の中で、63kAよりも大きい領域内にあり、且つ、大きなアンバランス、長いアーキング時間、及びこれからもたらされる約1MJのエネルギー・インプットを有する電流が、漏電無しで切り離された。それ故に、本発明が、スイッチング・ガスからの熱の放散に対して、大きな改善を行うことが可能であることが、実験的に且つ理論的に、実証された。それに加えて、スイッチング・チャンバ・エンクロージャ3が、金属スリーブ10により、高温ガスに対して保護されることが可能である。
【0051】
更なる実施形態の例(ここには記載されていない)において、更なるガス・ジェットを作り出すための、更なる出口開口を備えた少なくとも一つの更なるボディが、インナー・ボリューム7aの中に設けられ、そしてそのインナー・ボリューム7aが、更なるボディにより、インナー・ボリューム要素とアウター・ボリューム要素に分割される。少なくとも一つの更なるバッフル・ウォールが、アウター・ボリューム要素の中に配置され、それによって、更なるガス・ジェットが、当該更なるバッフル・ウォールに向けて方向付けられることになる。
【0052】
少なくともそれぞれ一つのボディ10、及び少なくともそれぞれ一つの対応するバッフル・ウォール14,140が、好ましくは、第一のコンタクト4の第一の排出領域7の中に、及び第二のコンタクト5の第二の排出領域8の中に、それぞれ設けられる。スイッチング・チャンバ・エンクロージャ3は、スイッチング・ガス、特に、クエンチング・ガス及び排出ガスのための、耐圧密閉型エンクロージャ3であっても良い。スイッチング・チャンバ・エンクロージャ3は、磁場遮蔽のために、アウター・エンクロージャにより取り囲まれていても良い。アウター・エンクロージャは、同時に、スイッチング・デバイス1のための機械的なホルダの形状であることが可能である。
【0053】
本発明は、電気的スイッチング・デバイス1全てのタイプ、特に、ジェネレータ・スイッチ1、回転アークを有するスイッチ、自己吹き消し型スイッチ、ガスまたはSFスイッチ、及びスイッチング・ガスをアーク・クエンチング・ゾーンから排出するための中空コンタクト・チューブを備えたスイッチに対して適用することができる。
【0054】
本発明の更なる主題は、電力供給システムのための電気的スイッチング・デバイス1における、特にジェネレータ・スイッチ1における、スイッチング・ガスの冷却のための方法である。スイッチング・デバイス1は、スイッチング・チャンバ・エンクロージャ3により取り囲まれたスイッチング・チャンバ2を有している;更に、スイッチング・ガスが、スイッチング・プロセスの間に、アーク・クエンチング・ゾーン6から噴出領域7,8へ流れ、複数の出口開口11を有するボディ10の中を通過するプロセスの中で、複数の方向付けられたガス・ジェット12に分割される;更に、ガス・ジェット12は、複数の渦13に旋回され、熱エネルギーが、バッフル・ウォール14,140の領域14aの中での対流により、渦13から引き出される。ここで、前記バッフル・ウォール14,140は、スイッチング・チャンバ・エンクロージャ3の少なくとも一つの部分14により形成され、または、前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャ3の部分に取り付けられている。以下のテクストにおいて、多数の実施形態の例について説明する。
【0055】
前記バッフル・ウォール14,140は、前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャ3と同じ電位に保たれることが可能である。前記バッフル・ウォール14,140は、熱伝導により、前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャ3と同じ温度に保たれても良い。スイッチング・ガスの渦13の形成は、バッフル・ウォール14,140に到達する前の、ガス・ジェット12の互いの間での相互作用によりアシストされることが可能である。特に、前記ボディ10の中で形成されたガス・ジェット12は、前記バッフル・ウォール14,140に到達する前に、それらの軌道121,122が、互いに交差するものである。
【0056】
前記出口開口11のジェット特性は、前記バッフル・ウォール14,140からの距離Hに適合されることも可能であり、それによって、渦13が、バッフル・ウォール14,140の領域14aの近傍またはその中に、形成される。スイッチング・ガス、及び特に渦13は、好ましくは、スイッチング・デバイス1の中心軸1aの周りのバッフル・ウォール14,140に沿う円形の経路、ヘリカル経路またはスパイラル経路上でガイドされる。
【0057】
本発明の更なる主題は、以上で説明されたような、及び請求項5〜13にクレイムされているような、電気的スイッチング・デバイス1、特にジェネレータ・スイッチ1を有する電気的な高電圧装置の部分である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、スイッチング・ガスの冷却のための、金属スリーブ及びエンクロージャ側のバッフル・ウォールを備えたジェネレータ・スイッチを示す。
【図2a】図2aは、金属スリーブの実施形態を示す。
【図2b】図2bは、金属スリーブの実施形態を示す。
【図2c】図2cは、金属スリーブの実施形態を示す。
【図2d】図2dは、金属スリーブの実施形態を示す。
【図3】図3は、乱流対流冷却のオペレイションの方法を図で示す。
【図4】図4は、先行技術に基づく排出圧力、及び本発明に基づく排出圧力を、時間の関数として示す。
【図5】図5は、本発明に基づく冷却効率を、時間の関数として示す。
【符号の説明】
【0059】
1…電気的スイッチング・デバイス、1a…中心軸、スイッチ軸、2…スイッチング・チャンバ、3…スイッチング・チャンバ・エンクロージャ、スイッチング・チャンバ・ウォール、3a…第一の噴出エンクロージャ、3b…第二の噴出エンクロージャ、3c…クエンチング・チャンバ・エンクロージャ、クエンチング・チャンバ・アイソレータ、4…第一のコンタクト、(アーク)スイッチング・ピン、5…第二のコンタクト、(アーク)コンタクト・チューリップ、6…アーク・クエンチング・ゾーン、6a…アーク、7…第一の噴出領域、7a…インナー・ボリューム、7b…アウター・ボリューム、7c…流れ偏向要素、8…第二の噴出領域、9…クエンチング・チャンバ、10…ボディ、ノズル・ボディ、スリーブ、金属スリーブ、100…クエンチング・ゾーンからのスイッチング・ガスの流れ、101…インナー・ボリュームの中の再循環流れ、11…出口開口、11a,11b…径方向反対側の領域、11ab…円形の経路、ヘリカル経路、スパイラル経路、110,111,112…ノズル形状、12…ガス・ジェット、12a…分離領域、12b…渦形成領域、121,122…軌道、13…渦、130…渦領域、(対流)乱流熱移送の領域、渦境界層、131…出口領域、132…伴流領域、サクション領域、14…バッフル・ウォール、スイッチング・チャンバ・エンクロージャ部分、140…バッフル・ウォール、プレート、ヒートシンク、14a…バッフル・ウォール領域、15…電流経路、16…第一の固定定格電流コンタクト、17…第二の固定定格電流コンタクト、18…可動定格電流コンタクト、19…第一のバリア・ウォール、20…エロージョン・スイッチング・アレンジメント、21…絶縁体ノズル、22…スライディング・ガイド、23…第二のバリア・ウォール、24…加熱ボリューム、25…噴出スロット、26…ウォール、27…噴出シリンダ、28…噴出ピストン、29…噴出チャネル、30…逆止弁、31…圧力プロファイル(先行技術)、32…ボディ及びバッフル・ウォールの圧力プロファイル、33…コンタクト分離、34…電流のゼロ交点、D…出口開口の直径、H…出口開口とバッフル・ウォールの間の距離、S…出口開口の間の平均距離、t…時間、η…効率。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給システムのための電気的スイッチング・デバイス(1)における、特にジェネレータ・スイッチ(1)における、スイッチング・ガスの冷却のための方法であって、
前記スイッチング・デバイス(1)は、スイッチング・チャンバ・エンクロージャ(3)により取り囲まれたスイッチング・チャンバ(2)を有しており、
更に、前記スイッチング・ガスは、スイッチング・プロセスの間、アーク・クエンチング・ゾーン(6)から噴出領域(7,8)へ流れ、
複数の出口開口(11)を有するボディ(10)の中を通過し、そして、複数の方向付けられたガス・ジェット(12)に分割されるプロセスの中で、更に、前記ガス・ジェット(12)が複数の渦(13)に旋回され、そして、熱エネルギーが、バッフル・ウォール(14,140)の領域の中での対流により、これらの渦(13)から引き出される、
方法において、
前記バッフル・ウォール(14,140)が、前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャ(3)の少なくとも一つの部分(14)により形成され、または、前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャ(3)の部分に取り付けられていること、
を特徴とする方法。
【請求項2】
下記特徴を有する請求項1に記載のスイッチング・ガスの冷却のための方法:
a) 前記バッフル・ウォール(14,140)は、前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャ(3)と同じ電位に保たれ;および/または、
b) 前記バッフル・ウォール(14,140)は、熱伝導により、前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャ(3)と同じ温度に保たれる。
【請求項3】
下記特徴を有する請求項1または2に記載のスイッチング・ガスの冷却のための方法:
a) 前記渦の形成(13)は、前記バッフル・ウォール(14,140)に到達する前の、前記ガス・ジェット(12)の互いの間での相互作用によりアシストされ;及び、
b) 特に、前記ボディ(10)の中で形成されたガス・ジェット(12)は、前記バッフル・ウォール(14,140)に到達する前に、それらの軌道(121,122)が互いに交差するものである。
【請求項4】
下記特徴を有する請求項1から3のいずれか1項に記載のスイッチング・ガスの冷却のための方法:
a) 前記出口開口(11)のジェット特性は、前記バッフル・ウォール(14,140)からの距離(H)に適合し、それによって、前記渦(13)が、前記バッフル・ウォール(14,140)の前記領域(14a)の近傍またはその中に形成されることになり;および/または、
b) 前記スイッチング・ガス、そして特に前記渦(13)は、前記バッフル・ウォール(14,140)に沿う円形の経路、ヘリカル経路またはスパイラル経路上でガイドされる。
【請求項5】
電力供給システムのための電気的スイッチング・デバイス(1)、特にジェネレータ・スイッチ(1)であって;
スイッチング・チャンバ・エンクロージャ(3)により取り囲まれ、中心軸(1a)、並びに第一のコンタクト(4)及び第二のコンタクト(5)を有するスイッチング・チャンバ(2)を有し、
スイッチング・ガスがその中を流れるための出口開口(11)を備えたボディ(10)が、前記第一のまたは第二のコンタクト(4,5)の噴出領域(7,8)の中に設けられ、
この噴出領域(7,8)は、前記ボディ(10)により、インナー・ボリューム(7a)とアウター・ボリューム(7b)に分割され、
前記スイッチング・ガスを冷却するためのバッフル・ウォール(14,140)が、前記アウター・ボリューム(7b)の中に設けられ、
更に、前記ボディ(10)の出口開口(11)は、複数の方向付けられたガス・ジェット(12)を作り出すために使用され、
前記ガス・ジェット(12)は、前記バッフル・ウォール(14,140)で方向付けられ、
複数の渦(13)が、形成され、
これらの渦(13)が、前記スイッチング・ガスから前記バッフル・ウォール(14,140)への対流熱移送をもたらす、
電気的スイッチング・デバイスにおいて、
前記バッフル・ウォール(14,140)が、前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャ(3)の少なくとも一つの部分(14)により形成され、または、前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャ(3)の部分に取り付けられていること、
を特徴とする電気的スイッチング・デバイス、
【請求項6】
下記特徴を有する請求項5に記載の電気的スイッチング・デバイス(1):
a) 前記バッフル・ウォール(14,140)は、前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャ(3)と同じ電位であり;および/または、
b) 前記バッフル・ウォール(14,140)は、前記スイッチング・デバイス(1)の電流経路(15)の一部である。
【請求項7】
下記特徴を有する請求項5または6に記載の電気的スイッチング・デバイス(1):
a) 前記バッフル・ウォール(14,140)は、前記乱流スイッチング・ガスを冷却するための大きな熱容量を有し;および/または、
b) 前記バッフル・ウォール(14,140)は、前記乱流スイッチング・ガスを冷却するための高い熱伝導率を有し、且つ、前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャ(3)に熱伝導性良好な状態で接続され;および/または、
c) 前記ボディ(10)は、低い熱容量および/または低い熱伝導率を有している。
【請求項8】
下記特徴を有する請求項5から7のいずれか1項に記載の電気的スイッチング・デバイス(1):
a) 前記ボディ(10)の出口開口(11)は、所望のジェット特性および/または前記ガス・ジェット(12)のための配列を、それらの配置、形状および/または配列により、予め定めるノズル(110,111,112)であり;
b) 特に、前記ガス・ジェット(12)は、前記ノズル(110,111,112)の中で、コリメイション、拡大または収束が行われ、そのコリメイション、拡大または収束は、前記バッフル・ウォール(14,140)からの距離(H)に適合し、それによって、前記渦形成が、前記バッフル・ウォール(14,140)の近傍、または前記バッフル・ウォール(14,140)の領域(14a)の中で、起こることになる。
【請求項9】
下記特徴を有する請求項8に記載の電気的スイッチング・デバイス(1):
a) 前記ノズル(110)は、前記スイッチング・ガスの周方向の流れの方向に、漏斗状の形状で先細になり;および/または、
b) ノズル(111、112)、特に互いに隣接するノズル(111、112)が設けられ、それらは、互いに対して方向付けられ、それによって、対応するガス・ジェット(12)の軌道(121,122)が、前記バッフル・ウォール(14,140)に到達する前に互いに交差し、前記バッフル・ウォール(14,140)に到達する前に渦を形成する。
【請求項10】
下記特徴を有する請求項5から9のいずれか1項に記載の電気的スイッチング・デバイス(1):
a) 前記ボディ(10)は、スリーブ(10)、特に金属製のスリーブであって、その取り囲まれたボリュームVは、前記出口開口(11)の全面積Aに対して、0.5m<V/A<1.5m、好ましくは、1m<V/A<1.4m、特に好ましくは、1.2m<V/A<1.3m、の範囲内にある比を形成し;および/または、
b) 前記ボディ(10)の前記出口開口(11)は、流れを誘起するために、二つの径方向反対側の領域(11a,11b)の中により密度高く配置され、その流れは、前記バッフル・ウォール(14,140)上の円形の経路,ヘリカル経路および/またはスパイラル経路上にガイドされ、前記アウター・ボリューム(7b)の中の前記スイッチング・ガスの中に誘起される。
【請求項11】
下記特徴を有する請求項5から10のいずれか1項に記載の電気的スイッチング・デバイス(1):
a) 更なるガス・ジェットを作り出すための、更なる出口開口を備えた少なくとも一つの更なるボディが、前記インナー・ボリューム(7a)の中に設けられ、前記インナー・ボリューム(7a)が、この更なるボディにより、インナー・ボリューム要素とアウター・ボリューム要素に分割され、且つ、
b) 少なくとも一つの更なるバッフル・ウォールが、前記アウター・ボリューム要素の中に配置され、それによって、更なるガス・ジェットが、この更なるバッフル・ウォールに向けて方向付けられる。
【請求項12】
下記特徴を有する請求項5から11のいずれか1項に記載の電気的スイッチング・デバイス(1):
少なくともそれぞれ一つの対応するボディ(10)、及び、少なくともそれぞれ一つの対応するバッフル・ウォール(14,140)が、前記第一のコンタクト(4)の第一の噴出領域(7)の中、及び前記第二のコンタクト(5)の第二の噴出領域(8)の中に設けられている。
【請求項13】
下記特徴を有する請求項5から12のいずれか1項に記載の電気的スイッチング・デバイス(1):
a) 前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャ(3)は、前記スイッチング・ガスのための耐圧式密閉型のエンクロージャ(3)であり;および/または、
b) 前記スイッチング・チャンバ・エンクロージャ(3)は、磁場遮蔽のためのアウター・エンクロージャにより取り囲まれ;および/または、
c)前記スイッチング・デバイス(1)は、ジェネレータ・スイッチ(1)である。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−525944(P2008−525944A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547131(P2007−547131)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【国際出願番号】PCT/CH2004/000752
【国際公開番号】WO2006/066420
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(505063441)アーベーベー・テヒノロギー・アーゲー (96)
【Fターム(参考)】