説明

改善された付着性を有するUV硬化可能なインク

本発明は、光硬化可能なインクジェットインク組成物、システム、及び方法に関する。1つの例示的な例示的なインクジェットインク組成物は、液体ビヒクル、摩砕顔料、光開始剤及びハロゲン化ポリオレフィンを含む。この態様では、ハロゲン化ポリオレフィンの添加が、非多孔性の基体又は表面張力の低い基体、例えばポリプロピレンへの付着を向上させている。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
インクジェット印刷業界で使用されるインクは、典型的には、液体の分散液、溶液又はエマルジョンである。インクのよく知られた種類としては、油ベースのインク、非水溶媒ベースのインク、水ベースのインク及び固体インクが挙げられる。インクジェット印刷プロセスは、プリントヘッドのオリフィスからインクの滴を印刷媒体へと噴射することを含む。そして、堆積されたインク滴は、例えば熱若しくは強制空気を用いて積極的に乾燥させるか又は周囲環境で乾燥させる。
【0002】
近年、インクを放射線(放射線放射線)によって、特に紫外(UV)硬化によって硬化させることが一般的になってきている。その場合、特別な、放射線硬化可能な(放射線放射線によって硬化可能な)インクを使用し、放射線源に曝すことによって画像を硬化させる。本出願の背景において「硬化」という用語は、液体、例えばインクを、化学作用のある放射線(化学線)に曝すことによって固体に変化させるプロセスを指す。放射線硬化可能なインクの使用及び硬化プロセスは、急速に、確立された従来の乾燥プロセスの代替手法となりつつある。
【0003】
多くの種類のインクの使用に関連する問題のうちの1つは、非多孔性の又は表面張力の低い基板、例えばポリプロピレン、ビニル、ポリオレフィン及びこれらに類するものへの付着力の低さである。ポリプロピレンは、例えば、剛性の及び半剛性の店頭(Point-of-Purchase)ディスプレイ用に広く利用されている。ポリプロピレンの表面は不活性でその表面張力は低いので、極性溶媒、例えばアクリルモノマーによって濡れない。その結果、得られる付着力は低い。加えて、インク充填(ink load)によっては、インクを互いにその上に重ねて印刷する場合、基体上のインク層間の適正な結合が、望ましいとされるものよりも小さくなってしまう場合がある。さらに、UV硬化可能なインクでは特に、このインクはオリゴマーを使用して調製される場合が多いので、その場合、インクは、より典型的な溶媒又は水ベースのインクよりもずっと大きい粘性を有する。このような粘性のインクは噴射が困難であり、さらに典型的には、低周波数(頻度)で噴射させることしかできず、得られる印刷速度は低い。このようなインクは粘度がより高いので、例えば約40℃を超える高い温度で噴射させることも通例である。温度を高くすることによって、そのような条件でなければ高粘性を示すインクにいくらかの制御を付与することができるが、高い温度は、プリントヘッドを含む印刷構造の寿命に不都合な作用を及ぼす。よって、特に、ポリプロピレン又は非多孔性で表面張力の低い他の基体への付着性に関して、UV硬化可能なインクの領域における改善の余地が十分にある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の特定の態様を開示し説明する前に、本発明がここに開示の特定のプロセス及び材料に制限されず、変形が可能であることを理解されたい。さらに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれと同等のものによってのみ規定されるのであって、ここで使用されている用語が特定の態様を説明するためだけに使用されていて、限定を何ら意図していないことも理解されたい。
【0005】
本発明を説明し、また本発明に関し特許請求するに際し、以下の用語を使用する。
【0006】
「1つの」及び「その」(「a」、「an」及び「the」)の付いた単数形は、別途明確に記載がない限り複数の指示対象も含む。よって、例えば、「1つの顔料(a pigment)」という記載は、そのような材料1つ以上を指すことを含む。
【0007】
「硬化」という用語は、例えばインクのような液体を、化学作用のある放射線、例えば光放射線、例えば紫外放射線に曝すことによって、固体へ変化させるプロセスを指す。
【0008】
「非多孔性の(で)」又は「表面張力の低い」という語は、相互交換可能に使用することができ、基体、例えば媒体基体に関していえば、比較的乏しい水の透過性、吸収性及び/又は吸着性を有し得る表面を含む。非多孔性のものとしては、ビニル及び他のプラスチックシート又はフィルム、金属、オフセット用コート媒体、ガラス並びに他の類似の基体が考えられる。これらの定義にしたがって云う、非多孔性で表面張力の低い基体に対する改善された付着性を備えている、インクジェット印刷のための光硬化可能なインク組成物は、液体ビヒクルと、例えばトリエチレングリコールジビニルエーテル(DVE−3)のような摩砕溶媒(milling solvent)によって摩砕(粉砕)された摩砕顔料と、光開始剤と、ハロゲン化ポリオレフィン、例えば塩素化ポリプロピレンとを含んでいてよい。
【0009】
別の態様では、インクジェットインク印刷システムは、非多孔性若しくは表面張力の低い基体、例えばポリプロピレンと、光硬化可能なインクジェットインクと、インクが非多孔性の基体上に印刷されたら光エネルギーをインクジェットインクに付与するように構成されている光エネルギー源とを含んでいてよい。光エネルギーは、UV、IR及び/又は可視光を含み得る。より具体的には、光エネルギーは、光硬化可能なインクジェットインクを硬化するのに適した振動数及びエネルギーレベルを有していてよい。インクジェットインクは、液体ビヒクル、摩砕顔料、光開始剤、及びハロゲン化ポリオレフィンを含んでいてよい。
【0010】
別の態様では、画像を印刷する方法が、光硬化可能なインクジェットインクを、非多孔性の若しくは表面張力の低い基体、例えばポリプロピレン又は他の様々なプラスチック及びプラスチック誘導体に噴射することを含んでいてよい。光硬化可能なインクジェットインクは、液体ビヒクル、摩砕顔料、光開始剤、及びハロゲン化ポリオレフィンを含んでいてよい。他のステップは、基体上に印刷が行われた後、光硬化可能なインクジェットインクに光エネルギーを適用(付与)することを含み、その際、光エネルギーは、光硬化可能なインクジェットインクが硬化するのに適した振動数及びエネルギーレベルを有している。システム及び方法は、印刷のより難しい基体、例えば非多孔性の基体若しくは表面張力の低い基体に対して有用であるが、このインクは、多孔性の基体上への印刷でも利用可能であることにも留意されたい。
【0011】
本発明の一般的な教示によれば、本発明のいくつかの態様によるこれらのインクは典型的には光硬化可能であるので、硬化放射線は紫外放射線であってよく、印刷のために使用されるインクは、UV開始剤としても知られるUV活性化開始剤を含む紫外線(UV)硬化可能なインクであってよい。このような例では、硬化放射線は、例えばUVランプ、青色レーザ、UVレーザ又は紫外線LEDによって照射されるUV放射線であってよい。本発明のいくつかの態様によれば、硬化放射線は、連続モードで作動する紫外放射線の源によって提供することができる。本発明の別の態様によれば、硬化放射線は、フラッシュモード又はパルスモードで(不連続に)作動する紫外放射線の源によって提供することができる。本開示を検討した上で、当業者が知っているであろうUV放射線を付与する別の方法も実施可能である。よって、使用される放射線がインクジェットインクの硬化プロセスを開始するのに適切であれば、UV硬化システム以外のものを含む他の硬化システム、例えばIR又は可視光システムも使用することができる。
【0012】
本発明のいくつかの態様は、光硬化可能なインクジェット記録流体の様々な組成物に関し且つそれを含む。よって、このインク組成物は、オリゴマー、多官能性アクリレート及びウレタンアクリレートを含んでいてよい。さらに、インク組成物は、UV活性化開始剤の存在下で且つUV硬化可能な照射の下で重合反応可能であるアクリレートの混合物を含んでいてよい。UV活性化開始剤の非限定的な例は、アルファアミノケトンUV光開始剤、例えばCiba Irgacure 907、Ciba Irgacure 369及びCiba Irgacure 379、ビスアシルホスフィン酸化物(BAPO)UV光開始剤、例えばIrgacure 907又はIrgacure 819、Darocur 4265及びDarocur TPO、アルファヒドロキシケトンUV光開始剤、例えばIrgacure 184及びDarocur 1173を含んでいてよく、Darocur ITX(2−イソプロピルチオキサントン)のような増感剤を含む又は含まない光開始剤も含む。アクリレートに関しては、上記組成物は、いくつかのアクリレートは極めて反応性が高いので、有用である。さらに、いくつかのアクリレート、例えばモノアクリレートは、良好な溶解力、高い可撓性(フレキシビリティ)及び低いガラス転移温度(Tg)を有する。Tgが低ければ、室温でのインク層の可撓性を向上させ得る。例えば、一態様では、約30℃又は40℃より低いTgを有するモノアクリレートを使用し、モノアクリレートなしで調製された同じインクと比較してインク層の可撓性を向上させることができる。
【0013】
モノアクリレートは、プラスチックへの良好な付着性を有し、より高い可撓性を供し、それによりプラスチックが曲げられた場合でもプラスチックに対する付着を増大させる。いくつかのモノアクリレートは、特定の柔軟な基体並びに他の非多孔性、多孔性及び/又は表面張力の低い基体、例えばポリ塩素化ビニル樹脂(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及びポリオレフィンを変性又は膨張させることができる。基体のこの変性又は膨張もまた、付着を改善せしめる。他のアクリレート、例えばトリアクリレートは、インクの収縮の低減、良好な反応性、機械的特性の向上、及び化学的耐性、例えばより大きな分子量、より小さな架橋密度及びより小さな収縮に寄与する。さらに、いくつかのアクリレート、例えばジアクリレートは、高い溶解力及び非多孔性の表面に対する良好な付着を促進させる高い反応性を有している。よって、上述の又は他の特性のバランスを達成するために適する任意のアクリレート又はアクリレートの組合せを使用することができる。さらに、本発明の範囲はこの点に関して限定されていないが、使用されるアクリレートは、改質された又は誘導されたアクリレートであってもよい。例としては、ポリエーテルポリオールアクリレート、ポリエーテルアクリレートオリゴマー、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(CTFA)、又はアミンアクリレートが挙げられる。アミンアクリレート、特に、例えばCN386及びGenomer 5275は、印刷の際の、印刷されたインクジェットインクの層間の結合及び非多孔性の基体への付着の向上のために有用となり得る。
【0014】
インクジェット記録組成物の種々の成分の相対量は、様々であってよい。例えば、光開始剤の相対量は、約0.1重量%〜約8重量%、別の態様では約0.1重量%〜約4重量%の範囲であってよい。別の態様では、光開始剤の相対量は、約0.2重量%〜約2重量%、又は約0.2重量%〜約1重量%でさえあってよい。別の態様では、ハロゲン化ポリオレフィンの相対量は、約0.5重量%〜約4重量%、又は約1重量%〜約2.5重量%でさえあってよい。同様に、存在し得る様々な他の成分のの相対量は、1重量%〜30重量%であってよい。例えば、アクリレートは、1重量%〜8重量%で存在していてよい。別態様で又は追加的に、インク層の基体への付着を向上させるために、5重量%〜25重量%の相対量のビニルカプロラクタムを使用することもできる。
【0015】
組成物はさらに、任意の着色剤、例えば、例えば摩砕顔料のような顔料、並びに任意の添加剤、例えば分散剤、湿潤剤、界面活性剤、レベリング剤及びこれらに類するものを含んでいてよい。本発明の例示的な態様の調製物中で使用可能な顔料の非限定的な例は、E4GN Yellow 150、RT-355-Magenta、Hostaperm Blue P-BFS Cyan、Sunfast Black 7、PV fast blue BG、PV fast red E5B、PV fast yellow HG、permanent black R30、他の顔料、又は前記顔料のいくつかの混合物を含んでいてよい。より一般的には、本発明で使用される黒色顔料及びカラー顔料は、特に限定されず、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。適した無機顔料は、例えば、酸化チタン、コバルトブルー(CoO−Al)、クロムイエロー(PbCrO)及び酸化鉄を含む。適した有機顔料は、例えば、アゾ顔料、多環式の顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジコ顔料、イソインドリノン顔料及びキノフタロン顔料)、染料キレート(例えば、塩基性染料系キレート及び酸性染料系キレート)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、並びにこれらに類するものを含んでいてよい。上記の又は他の顔料に関連して、本発明の例示的な態様の調製物中で使用可能な分散剤の非限定的な例は、Solsperse 32000、Solsperse 39000、Solsperse 5000、Solsperse 22000、Disperbryk 163、Disperbyk 167、Disperbyk 168、Disperbyk 180、Disperbyk 190、Disperbyk 191又はこれらに類するもの。
【0016】
上述の通り、インクジェットインク組成物は、任意に湿潤剤も含んでいてよい。そのような湿潤剤の非限定的な例は、シリコーンポリエーテルアクリレート、例えばTego Rad 2200 N、Tego Rad 2300及びByk 358Nを含んでいてよい。インクは、ポリエーテル改質ポリジメチルシロキサン湿潤剤、例えばByk 333、Byk 307及びSilwet L-7604。使用の際には、湿潤剤は、インクジェットインク組成物の0.01%〜約10重量%で存在していてよい。
【0017】
本発明の光硬化可能なインクの独特な特徴の1つは、非多孔性で表面張力の低い媒体基体、例えばプラスチックに対する改善された付着性である。このインクは、塩素化ポリプロピレンのようなハロゲン化ポリオレフィンによって、基体上への噴射後に非多孔性で表面張力の低い基体とインクが良好に付着できるように構成されている。上述のように、上記インクジェットインク組成物は、媒体基体上に噴射させることができる。さらに、本発明のシステム及び方法は、媒体基体を含むことができる。本発明で採用されている媒体基体は、非多孔性で表面張力の低い媒体基体を含む。非限定的な例は、プラスチック、PVC、バナー紙及びポリプロピレン、並びに合成紙、例えばユポ合成紙を含む。バナー紙は、具体的には、バナー(長尺広告)を印刷するために構成されたものであり、滑らかな表面を有し、典型的にはカラー印刷のために設計されている。ユポ合成紙は、合成紙の1つの例である。ユポは、耐水性、耐汚れ性並びに極めて大きな強度及び耐久性を有する特定種のポリプロピレンである。
【0018】
本発明の光硬化可能なインクは、1つの種類のポリオレフィンに限定されることはない。ハロゲン化ポリオレフィンの非限定的な例は、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリブチレン、臭素化ポリエチレン、臭素化ポリプロピレン、臭素化ポリブチレン、フッ素化ポリエチレン、フッ素化ポリプロピレン及びフッ素化ポリブチレンを含んでいてよい。よって、これらの例に示されているように、塩素は本発明で使用される好ましいハロゲンであるが、本発明の教示と適合する同類の化学特性を有する他のハロゲンも使用することができる。非限定的な例は、臭素又はフッ素である。
【0019】
本発明の光硬化可能なインクの他の独特な特徴は、高い噴射振動数、例えば18〜20KHzより大きい、25KHzより大きい、又は29KHzより大きい噴射周波数であっても使用前及び/又は使用中に空気又は他の気体をインクから除去する必要なしに調製できるということである。ここに記載のように、このインクが高い周波数で発射できるからといって、このインクは高い発射周波数システムのためのものとして限定されることはない。このインクは、比較的低い発射周波数でも発射させることができる。よって、一般に、UV及び他の光により硬化可能なインクでは、このようなインクは典型的には、インクジェットプロセスと相互に関連する高い気体含有量を特徴としている。本発明のインクは、著しく低い気体含有量を有することを特徴とするとも云える。いくつかの態様では、顔料の摩砕で利用されているプロセスがこの利点に寄与し得る。例えば、顔料を特定の溶媒で摩砕することによって、空気又は気体の発生又は放出を最小限に又は排除することができる。この目的を達成する上でのこのような使用のために適した溶剤の例は、トリエチレングリコールジビニルエーテル(DVE−3)であってよく、これは、従来のインク脱気なしでプリントヘッドを高い吐出周波数で作動させることができる摩砕溶剤の1つの例である。DVE−3はそのような溶剤の単なる1つの例であって、顔料によっては他の溶剤も同様の機能を提供することができることに留意されたい。よって、本発明の態様に基づいて使用することができる摩砕のための他の溶剤の選択もある。本発明の一側面では、顔料及び摩砕溶剤は、互いに比較的非反応性であるように選択することができ、溶剤は、顔料粒子に対し気体の溶解力が最小限から全くないように選択することができる。従来のUVインクは、インク中6〜8重量ppmの溶解酸素値を有することが多かったのに対し、顔料に対する低い気体溶解力を有する摩砕溶媒を使用する本発明のインク、例えばDVE−3は、5重量ppmより少ない、例えば3〜5重量ppmの溶解酸素値を有していてよく、これによりインクの反応性を低下させることができることにも注目されたい。
【0020】
典型的には、フルカラー画像を生成するために、インクセットは、シアン、マゼンタ及びイエローのインクジェットインク組成物を含むことができ、別態様では、シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ及びイエローのインクジェットインク組成物を含むことができる。ブラックインクもこのインクセットに含めることができる。他の組合せも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
インク組成物の以下の例では、成分は、示されている通り、重量パーセントで示されている。以下の例は、本発明の範囲を決して限定するものではないことに留意されたい。よって以下の例は、現在のところ最もよく分かっている本発明の態様を示す。しかし、以下のものは単に例であって、本発明の原理の応用を例示するものにすぎないということに留意されたい。本発明の思想及び範囲を逸脱することがなければ、多数の変形並びに別の組成物、方法及びシステムが当業者によって導かれることが可能である。添付の特許請求の範囲は、そのような変更及び変形を包含することを意図している。よって、本発明は特定の形態を用いて上述しているが、以下の実施例は、現在のところ本発明の最も実際的で好ましい態様であると考えられる形態に関連してさらなる詳細を提供するものである。
【0022】
実施例1


【0023】
実施例2


【0024】
実施例3


【0025】
実施例4


【0026】
本発明の例示的な態様によれば、インク調製物をポリプロピレン基体上に被覆し、約200mj/cmでUV硬化させた。インク層の厚みは約12.5ミクロンであった。インクの粘性は30 cp未満であり、表面張力は26.9dyne/cm、粒径は1ミクロンより小さかった。インクの硬化された層は、インク剥がれ又は亀裂を示さず、標準的な摩耗試験及びテープ試験で耐性があった。本発明の特定の特徴を例示し説明したが、多くの変形形態、置換え形態、変更形態及び同等の形態が、当業者によって得られるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の思想の範囲内にある限りのそのような全ての変形及び変更を包含することも意図されていることに留意されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非多孔性で表面張力の低い基体に対する改善された付着性を有する、インクジェット印刷のための光硬化可能なインク組成物であって、液体ビヒクル、摩砕顔料、光開始剤及びハロゲン化ポリオレフィンを含む、インク組成物。
【請求項2】
前記摩砕顔料が、トリエチレングリコールジビニルエーテルを含む摩砕溶剤中で摩砕されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、モノアクリレートなしで調製された同じインクと比較して、インク層の可撓性を改善するガラス転移温度(Tg)を有するモノアクリレートを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物がアミンアクリレートを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ハロゲン化ポリオレフィンが塩素化ポリオレフィンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ハロゲン化ポリオレフィンが塩素化ポリプロピレンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
a)非多孔性で表面張力の低い媒体基体、
b)少なくとも1つの光硬化可能なインクジェットインクであって、
i)液体ビヒクル、
ii)摩砕顔料、
iii)光開始剤、及び
iv)ハロゲン化ポリオレフィン
を含むインクジェットインク、並びに
c)前記基体に印刷されたインクジェットインクに光エネルギーを加えるように構成された、前記光硬化可能なインクジェットインクを硬化させるのに適した振動数及びエネルギーレベルを有する光エネルギー源
を含む、インクジェットインク印刷システム。
【請求項8】
前記システムが、2つの光硬化可能なインクジェットインクを含み、各インクが、もう一方とは異なる色相又は色密度を有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの光硬化可能なインクジェットインクが、印刷された光硬化可能なインクジェットインク層間の結合を改善する量でアミンアクリレートを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの光硬化可能なインクジェットインクが、ビニルカプロラクタム及びアクリレートの少なくとも1つを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記ハロゲン化ポリオレフィンが、ハロゲン化ポリエチレン、ハロゲン化ポリプロピレン及びハロゲン化ポリブチレンから選択される、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記ハロゲン化ポリオレフィンが塩素化ポリプロピレンを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
前記摩砕顔料が、トリエチレングリコールジビニルエーテルを含む摩砕溶剤中で摩砕されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項14】
前記媒体基体がプラスチック基体である、請求項7に記載のシステム。

【公表番号】特表2010−530922(P2010−530922A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513489(P2010−513489)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/067927
【国際公開番号】WO2008/157836
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】