説明

改善された急速崩壊性錠剤

本発明は、口中において40秒未満の唾液との接触で崩壊する、改善された多粒子錠剤に関する。本発明は、固有の圧縮特性を有する被覆された活性成分の粒子と、担体の混合物に基づくものであり、被覆された活性成分粒子に対する担体混合物の割合は0.4から6重量部であり、担体混合物は、崩壊剤、結合特性を有する希釈可溶性剤、潤滑剤、透水剤;及び有利には潤滑剤、甘味料、香料及び着色料を含むものであり、錠剤の重量に対する崩壊剤の割合が1から15重量%であり、錠剤の重量に対する可溶性剤の割合が30から90重量%であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固有の圧縮特性を有する被覆された活性成分の粒子と、賦形剤の混合物を含む、口中において40秒未満で口中で崩壊するタイプの、急速崩壊性錠剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
イブプロフェン、パラセタモール、及びアスピリンを、本発明の錠剤を製造するために用いることができる活性成分の例として言及することができる。
【0003】 イブプロフェンに基づく錠剤はすでに知られている。
【0004】 例えば、米国特許第5,215,755号は、ヒドロキシエチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース/ヒドロキシプロピルメチルセルロース混合物に基づく被膜を有する顆粒形態でイブプロフェンが存在する、咀嚼錠剤を記載している。この被膜は、エチルセルロースのみに基づく従来技術の被膜で見られた欠点を克服するために、選ばれたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、口中において40秒未満で急速に崩壊するだけでなく、風味が良く、工業的製造を可能にする満足すべき硬度特性を有し、これにより通常の保管条件で十分良好に保存できて患者による取り扱いを可能にするような、被覆された活性成分の粒子によって得られる錠剤を提供することであり、この錠剤は活性成分の生物利用性を最適化する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の錠剤は、固有の圧縮特性を有する被覆された活性成分の粒子と、賦形剤の混合物に基づくものであり、被覆された活性成分粒子に対する賦形剤混合物の比が0.4から6重量部、好ましくは1から4重量部であり、上記賦形剤の混合物が−崩壊剤;
−平均粒子径が100から500μmの直接圧縮可能な製品の形態、又は平均粒子径が100μm未満の粉末形態のいずれかである、13未満の炭素原子を有するポリオールからなる、結合特性を有する可溶性希釈剤であって、 このポリオールは、好ましくはマンニトール、キシリトール、ソルビトール及びマルチトールを含む群から選択されるが、ソルビトールは単独で用いられることができないと理解され、 かつ結合特性を有する可溶性希釈剤がひとつしかない場合、それは直接圧縮可能な製品の形態で用いられるが、結合特性を有する可溶性希釈剤が少なくとも2つある場合、1つは直接圧縮可能な形態で他方は粉末形態で存在するがポリオールは同じものであってもよく、粉末ポリオールに対する直接圧縮可能ポリオールの比は、99/1から20/80、好ましくは80/20から20/80であると理解されるもの;−潤滑剤;
−透水剤;及び−有利には潤滑剤、甘味料、香料及び着色料を含むものであり、錠剤の重量に対する崩壊剤の割合が1から15重量%、好ましくは2から7重量%であり、錠剤の重量に対する可溶剤の割合が30から90重量%、好ましくは40から70重量%であることを特徴としている。
【0007】 結合特性を有する可溶性希釈剤は、13未満の炭素原子を有するポリオールからなり、100と500マイクロメーターの間の平均粒子径を有する直接圧縮可能な製品の形態、又は100マイクロメーター未満の平均粒子径を有する粉末の形態であり、このポリオールは、好ましくはマンニトール、キシリトール、ソルビトール及びマルチトールを含む群から選択されるが、ソルビトールは単独で用いられることができない。
【0008】 結合特性を有する可溶性希釈剤が1つしかない場合、したがって、ソルビトールでない場合、それは直接圧縮可能な製品の形態で用いられる。
【0009】 結合特性を有する可溶性希釈剤が少なくとも2つ用いられる場合、1つは直接圧縮可能な製品形態で存在し、他方は、同じポリオールからなるものであってもよいが、その構成粒子の平均径が100マイクロメーター未満の粉末形態で存在し、粉末ポリオールに対する直接圧縮可能ポリオールの比は、99/1から20/80、好ましくは80/20から20/80である。
【0010】
【発明の実施の形態】
崩壊剤は、特に、架橋されたカルボキシメチルセルロースナトリウム(当業者にはクロスカルメロースとして知られている)、クロスポビドン及びその混合物を含む群から選択される。この崩壊剤の選択と割合によって、錠剤が少なくとも30℃までの温度において漏れのない包装で保存されるとき、錠剤は、通常の取り扱い条件のために許容できる硬さを保持する。
【0011】 賦形剤を構成するための崩壊剤と溶解剤の選ばれる割合は、各々、錠剤の重量に対して、1から15重量%と30から90重量%である。
【0012】 賦形剤のこの混合物で好ましく用いられる潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、微細化ポリオキシエチレングリコール(微細化Macrogol 6000)、及びその混合物を含む群より選択される。それは錠剤の全重量に対して、0.05〜2%の割合で用いることができる。
【0013】 用いられる透水剤は、特に水性溶媒に高い親和性を有するシリカ、例えば、商標Syloidによってさらによく知られている沈澱シリカ、マルトデキストリン、β−シクロデキストリン、及びその混合物を含む群より選択される化合物である。
【0014】 透水剤は、唾液の浸透を容易にし、錠剤の崩壊を助ける親水性の網状構造を創出する。
【0015】 本発明の錠剤の最も有利な実施態様の1つは、透水剤が、商標Syloid FP244によってよく知られている沈澱シリカである。実際に、このシリカは錠剤の崩壊を助けるだけでなく、その流動促進剤としての特性によって、圧縮の間、粒子の再配置を促進し、一方で最適な製造条件を確実とするために必要とされる疎水性潤滑剤の量を減少させることを可能にし、他方でこれらの工業的条件で取り扱い可能な錠剤を製造するために必要とされる圧縮力の強度を減少させることを可能にする。
【0016】 透水剤の割合は、錠剤の重量に対して0.5から5%である。
【0017】 甘味料及び任意に香料及び着色料もまた、本発明の錠剤の圧縮物の一部を形成する賦形剤の混合物に含まれる。
【0018】 甘味料は、特にアスパルテーム、アセサルフェームカリウム、糖酸ナトリウム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、及びその混合物を含む群から選択される。
【0019】 香料及び着色料は、錠剤の調製のために薬局で従来用いられていたものである。
【0020】 問題となるタイプのすでに存在する錠剤と比較して、本発明の錠剤は、改善された風味と、特に改善された味と舌触りを有しており、活性成分投与に対する錠剤重量の比を減少させることが可能である。
【0021】 それらは、満足すべき硬さを有し、操作上特別の注意を払うことなく、標準の操作条件において取り扱われることを可能にする。例えば、これらの条件を満足する硬度は、一般的に20と70ニュートンの間であることが指摘される。
【0022】 本発明の錠剤は、以下の方法、又は他の適当な方法で調製することが可能である。固有の圧縮特性を有する被覆された活性成分の粒子は、上記の割合で、崩壊剤、結合特性を有する可溶性希釈剤、透水剤及び有利には潤滑剤、甘味料、香料及び着色料を含む賦形剤の混合物に添加される。こうして得られた混合物は、ドライミキサーで均質化され、ついで得られた錠剤に、満足すべき硬度を与える圧縮力をかけ、工業的に製造されることが可能で、操作上特別の注意を払うことなく通常の条件で取り扱われることが可能となり、例としてこれらの条件を満足する硬度は一般的に20と70ニュートンの間である。
【0023】
【実施例】
実施例1:200mgのイブプロフェンを含む錠剤 表1は、この錠剤の単位処方と百分処方を示す。
【0024】
【表1】


【0025】 この錠剤を以下のようにして調製する。
【0026】 表1に示す賦形剤をメッシュサイズ1000μmの格子の篩にかける。
【0027】 別の成分を、適当な容量の別の容器内に計量する。
【0028】 被覆されたイブプロフェン粒子(以下の表2に示される組成を有する)、顆粒化マンニトール、粉末マンニトール、クロスカルメロース、アスパルテーム、アセサルフェームカリウム、沈澱シリカ及び香料を回転ミキサー内に導入する。
【0029】 均質な混合物が調製される。
【0030】 ミキサーを止め、ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合物の重量に応じて混合操作を1〜5分間続ける。
【0031】 得られる混合物を、回転機で圧縮して、以下の特性を有する錠剤を得る:−平均重量が665mgと735mgの間;
−破壊強度が20と50Nの間;
−口中の平均崩壊時間が40秒未満。
【0032】 この崩壊時間は、錠剤が口中で唾液に接触するように置かれた瞬間と、唾液に接触した錠剤の崩壊から生じる懸濁液が呑まれた瞬間との間の時間に相当する。
【0033】
【表2】


【0034】 実施例2:500mgのアスピリンを含む錠剤 表3は、この錠剤の単位処方と百分処方を示す。
【0035】
【表3】


【0036】 錠剤を、以下の表4に示された組成を有する被覆顆粒を用いて、実施例1と同様に調製する。
【0037】
【表4】


【0038】 実施例3:500mgのパラセタモールを含む錠剤 表5は、この錠剤の単位処方と百分処方を示す。
【0039】
【表5】


【0040】 錠剤を、以下の表6に示された組成を有する被覆顆粒を用いて、実施例1と同様に調製する。
【0041】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】 固有の圧縮特性を有する被覆された活性成分の粒子と、賦形剤の混合物に基づく錠剤であって、被覆された活性成分粒子に対する賦形剤混合物の比が0.4から6重量部、好ましくは1から4重量部であり、上記賦形剤の混合物が−崩壊剤;
−平均粒子径が100から500μmの直接圧縮可能な製品の形態、又は平均粒子径が100μm未満の粉末形態のいずれかである、13未満の炭素原子を有するポリオールからなる、結合特性を有する可溶性希釈剤であって、 このポリオールは、好ましくはマンニトール、キシリトール、ソルビトール及びマルチトールを含む群から選択されるが、ソルビトールは単独で用いられることができないと理解され、 かつ結合特性を有する可溶性希釈剤が1つしかない場合、それは直接圧縮可能な製品の形態で用いられるが、結合特性を有する可溶性希釈剤が少なくとも2つある場合、1つは直接圧縮可能な形態で他方は粉末形態で存在するがポリオールは同じものであってもよく、粉末ポリオールに対する直接圧縮可能ポリオールの比は、99/1から20/80、好ましくは80/20から20/80であると理解されるもの;
−潤滑剤;
−透水剤;及び−有利には潤滑剤、甘味料、香料及び着色料を含むものであり、錠剤の重量に対する崩壊剤の割合が1から15重量%、好ましくは2から7重量%であり、錠剤の重量に対する可溶剤の割合が30から90重量%、好ましくは40から70重量%であることを特徴とする、口中において40秒未満の唾液との接触で崩壊する、改善された多粒子錠剤。
【請求項2】 前記活性成分が、特に、アスピリン、パラセタモール、及びイブプロフェンを含む群より選択されることを特徴とする、請求項1記載の錠剤。
【請求項3】 前記崩壊剤が、特に、クロスカルメロース、クロスポビドン及びそれらの混合物を含む群より選択されることを特徴とする、請求項1又は2記載の錠剤。
【請求項4】 上記透水剤が、沈澱シリカ等の水性溶媒に高い親和性を有するシリカ、マルトデキストリン、β−シクロデキストリン、及びその混合物を含む群より選択されることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項記載の錠剤。
【請求項5】 上記透水剤が沈澱シリカであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の錠剤。
【請求項6】 上記透水剤の割合が、錠剤の重量に対して0.1から10%、好ましくは0.5から5%であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の錠剤。
【請求項7】 上記潤滑剤が、特にステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、微細化ポリオキシエチレングリコール、及びその混合物を含む群より選択されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項記載の錠剤。
【請求項8】 上記甘味料が、特にアスパルテーム、アセサルフェームカリウム、糖酸ナトリウム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、及びその混合物を含む群から選択されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項記載の錠剤。

【公表番号】特表2002−529392(P2002−529392A)
【公表日】平成14年9月10日(2002.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−580588(P2000−580588)
【出願日】平成11年11月3日(1999.11.3)
【国際出願番号】PCT/FR99/02681
【国際公開番号】WO00/27357
【国際公開日】平成12年5月18日(2000.5.18)
【出願人】
【氏名又は名称】ラボラトワール・デ・プロデュイ・エティーク・エティファーム・ソシエテ・アノニム
【Fターム(参考)】