説明

改善された搬送部材を有する静電式装置

本発明は、静電潜像を形成するための1次像形成部材、前記潜像にトナー粒子を適用することにより、現像されたトナー像を形成するための現像ステーション、および前記現像トナー像を1次像形成部材から受像体へ転写させるための転写ステーションを含む静電式複写装置に関するものである。融着装置は、現像トナー像を受像体へ定着させ、受像体上に融着されたトナー像を形成するために含まれる。無端状搬送部材は、受像体を融着装置へまたは融着装置から搬送するために提供されるものであり、負帯電トナー粒子との接触により正に摩擦帯電する吸油性多孔質層を支持する支持体および負帯電トナー粒子との接触により正に摩擦帯電しない多孔質保護被膜最外層を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電式画像複写(electrostatographic image reproduction)に関するものであり、特に剥離油吸収性層を備えた搬送ウェブを含む静電式装置(electrostatographic apparatus)に関する。
【背景技術】
【0002】
静電式プリンターは、高分子トナー粒子を光受容体から受像体へ転写させ、当該トナー粒子を受像体へ熱および圧力により定着させることにより、画像を作り出す。当該粒子の転写を促進させるために、様々な添加剤および油が使用されている。シリコーン油は熱的に安定で、プリンターにおけるトナー粒子および他のポリマーと相溶しないので、通常、剥離油として使用されている;しなしながら、不幸にも、印刷が行われると、装置全体に拡散する傾向がある。剥離油の拡散は、受像体シートの両側への画像の適用を伴う両面印刷を悪化させる。第1画像を受像体の一方の側に適用するときに受像体へ供給された油は、第2画像を反対側へ適用する間、紙搬送ウェブ上、プリンター内へ運び入れられるので、不均一濃度および光沢差などの不愉快な人為的残像現象が生じる。融着油(fuser oil)の適用に関する詳細は米国特許第5,157,445および5,512,409号に示されており、これらの開示内容を参考文献として本明細書中に引用する。
【0003】
インクジェットプリンターは、インクを吸収する受像体へインクの液滴を射出することにより画像を作り出す。受像体上の無機粒子の多孔質被膜は、例えば、インクをより迅速に乾燥させること、画像塗布量を低減すること、およびインク付着量をより均一にすることにより、画質を向上させる。バインダーポリマーへ混合されるシリカおよびアルミナ粒子は紙上の被膜およびポリエチレンテレフタレートなどのプラスチックシート上の被膜に使用される。紙支持体上に不透明被膜を生成させるためには、より大きな粒子を使用することができる一方で、バインダー中で透明な被膜のためには、より小さな粒子が必要とされ、当該バインダーもまた透明で無色が望まれる。有機ポリマー母材中で擬ベーマイトを用いて製造された微孔性インクジェット記録素子が、例えば、米国特許第5,723,211;5,605,750;5,085,698;4,879,166;および4,780,356号に記載されており、これらの開示内容を参考文献として本明細書中に引用する。
【0004】
同様の材料が電子写真式においても使用されている。マエヤマ等の米国特許第5,406,364号には、一片の不織布をアルミナまたはシリカゾルのコロイド溶液へ浸漬することにより製造されたウェブ形態のクリーナーが記載されている。ポリ(ビニルアルコール)が添加されてもよい。当該特許は、多孔性粒子が剥離剤を吸収し、静電式装置の汚染された表面を清浄にできることを教示する。酸化物粒子に関する透明性への言及や粒径への考慮はない。当該ウェブは転写ドラムからシリコーン油を除去するために使用される。被膜は電子写真法において繰り返される帯電および放電を受けないので、絶縁性を有する必要はない。さらに当該材料自身が電子写真法由来のトナーのクリーニングをされるわけではないので、低い表面エネルギーを有する必要はない。
【0005】
ワタナベ等の米国特許第5,903,802号では、擬ベーマイト(pseudo-boehmite)粒子とともに、シリカ粒子、多孔性セラミックおよび発泡金属を用いて、転写部材および光受容体を清浄にする。剥離剤吸収性層は電子写真式装置における供給路部材(feed passage member)などの様々な部分に配置される。当該層は透明である必要がないし、また当該被膜は電子写真法で繰り返される帯電および放電を受けないので、粒径は重要ではない。さらに当該材料自身が電子写真法由来のトナーのクリーニングをされるわけではないので、低い表面エネルギーを有する必要はない。
【0006】
擬ベーマイト被膜はまた電子写真式印刷で使用される光受容体へも適用されている。米国特許第5,693,442号はその開示内容を参考文献として本明細書中に引用するものであり、当該特許には、擬ベーマイトの保護被膜へ含ニッケル染料を混合させ、感光性素子を保護するためのフィルターとして機能させることが記載されている。ポリ(ビニルピロリドン)中、無機粒子および5重量%の含金属染料は、コロナ帯電器の下で帯電でき、アクチニド放射線への露光により放電できる透明層を形成する。
【0007】
米国特許第7,120,380号では、クリーニング助剤としてフッ素化界面活性剤を用いる吸油性層として擬ベーマイトが開示されている。米国特許第7,252,873号において、擬ベーマイトは、高摩擦を示す電子写真式装置用搬送部材の材料として開示されている。米国特許公開第2007/0196151号において、擬ベーマイトは、クリーニング助剤としてワックス保護被膜を用いる吸油性層として開示されている。米国特許公開第2008/0107463号では、クリーニング助剤としてシロキサン表面活性剤を用いる吸油性層としてガンマ−アルミナが開示されている。米国特許公開第2009/0052964号において、ガンマ−アルミナは、クリーニング助剤としてフルオロ界面活性剤を用いる吸油性層として開示されている。このような5つの全ての出願を参考文献として本願へ引用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,157,445号
【特許文献2】米国特許第5,512,409号
【特許文献3】米国特許第5,723,211号
【特許文献4】米国特許第5,605,750号
【特許文献5】米国特許第5,085,698号
【特許文献6】米国特許第4,879,166号
【特許文献7】米国特許第4,780,356号
【特許文献8】米国特許第5,406,364号
【特許文献9】米国特許第5,903,802号
【特許文献10】米国特許第5,693,442号
【特許文献11】米国特許第7,120,380号
【特許文献12】米国特許第7,252,873号
【特許文献13】米国特許公開第2007/0196151号
【特許文献14】米国特許公開第2008/0107463号
【特許文献15】米国特許公開第2009/0052964号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、特に両面印刷操作中、像受像体から複写装置内への剥離油の拡散により生じる不均一濃度および光沢差などの不愉快な人為的残像現象を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、静電潜像を形成するための1次像形成部材、前記潜像にトナー粒子を適用し、現像されたトナー像を形成するための現像ステーション、および前記現像トナー像を1次像形成部材から受像体へ転写させるための転写ステーションを含む静電式複写装置に関するものである。融着装置は、前記現像トナー像を受像体へ定着させ、受像体上に融着されたトナー像を形成するために含まれるものである。無端状搬送部材は、前記受像体を融着装置へまたは融着装置から搬送するために提供されるものであり、当該搬送部材は、負帯電トナー粒子との接触により正に摩擦帯電する吸油性多孔質層を支持する支持体および負帯電トナー粒子との接触により正に摩擦帯電しない多孔質保護被膜最外層を有する。吸油性多孔質層は、アルミナ無機粒子としてシロキサン被覆ガンマ−アルミナを含有してもよく、当該粒子は有機バインダー中、分散される。多孔質保護被膜はバインダー中、シリカ粒子を含有してもよい。シリカ粒子を含む搬送部材は負帯電性トナー粒子に対して負に帯電する。搬送部材はフルオロ界面活性剤を含有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、受像体を融着装置へまたは融着装置から移動させるための無端状ウェブ搬送部材を含む静電式複写装置の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明およびその利点および性能のより深い理解のために、前記図面と関連して、以下の説明および添付の特許請求の範囲に言及する。
【0013】
図1は、一般的に591B,C,MおよびYで示されるブラック(B)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の電子写真モジュールを有する典型的な画像形成用の静電式複写装置を示し、各モジュールは1次像形成用部材、例えば、着色表示粒子画像が形成される光導電性表面を有するドラム503B,C,MおよびY、を含む。画像形成するためには、まずドラム503B,C,MおよびYの外表面をクリーニングステーション504B,C,MおよびYにより清浄にした後、コロナ帯電装置505B,C,MおよびYなどの1次帯電器により均一に帯電させ、均一に帯電した表面を、レーザー506B,C,MおよびYなどの適切な露光装置により露光させて、ドラムの表面上の電荷を選択的に変化させ、これにより、複写されるべき画像に対応する静電像を形成する。静電像は、現像ステーション581B,C,MおよびYにより、当該像を支持する光導電性ドラムへ、着色表示粒子を適用することにより現像される。電子写真モジュールをさらに採用して、さらなる着色表示粒子および/または透明トナー粒子を適用してもよい。
【0014】
表示粒子(および/または透明トナー)画像は、第2または中間画像転写部材、例えば、中間転写ドラム508B,C,MおよびYの外表面へ転写され、当該ドラムは金属製導電性コア541B,C,MおよびY、比較的厚い柔軟層542B,C,MおよびYおよび比較的薄い硬質保護被膜層543B,C,MおよびYを含んでいてもよい。比較的導電性のある中間画像転写部材ドラムを用いて、着色表示粒子画像の当該中間転写部材ドラム表面への転写を、比較的狭いニップおよび比較的適度な電位により達成することができる。
【0015】
中間画像転写部材ドラムの表面に形成された表示粒子画像はそれぞれ、当該中間画像転写部材ドラムと受像体搬送(および転写裏)部材516との間のニップ510B,C,MおよびYへ供給される受像体512a,b,c及びdへ転写され、このように転写ステーションを構成させるので、現像トナー像が第1像形成部材から受像体へ転写される。受像体は適切な受像体供給部(図示しない)から搬送部材516へ供給され、受像体が表示粒子画像を受け取る転写ニップへ供給される。受像体は最終のニップを退出し、通常の融着装置Fへ搬送され、そこで、表示粒子画像を熱および/圧力の適用により受像体へ定着させる。その後、融着画像を支持する受像体は貯蔵場所(図示しない)へ搬送されるか、または通常の裏返し装置機構(図示しない)により反転され、受像体の裏側へ第2画像が転写される。本発明において使用される適切な融着装置および裏返し装置機構は、例えば、米国特許第7,068,959号において記載されており、この開示内容を参考文献として引用する。当該特許においては、転写されたトナー画像を有する受像体を、融着ローラ32および圧力ローラ34を含む融着装置へ搬送するために搬送ベルト26が採用され、、また転写ベルトへ戻される前に受像体を反転させるために裏返し装置40が採用される。
【0016】
搬送部材516は複数の支持部材、例えば、ローラ513および514ならびに521B,C,MおよびYの周りを巻回される。支持ローラ521B,C,MおよびYには、表示粒子画像を中間画像転写部材ドラムから受像体へ強制的に効率よく転写させるのに十分な水準に電源552により電気的にバイアスをかける。同時に、支持ローラ514には、例えば、接地電位、イオン化および転写ニップ上流での早すぎる転写を避けるために十分な水準に電気的にバイアスをかける。受像体512a,b,cおよびdはコロナ帯電器526の補助によりローラ514のところで搬送部材ウェブにくっつく。当該帯電器は、受像体の一方の面(図中、上面)を帯電させ、受像体がウェブと接触する他方の面で電気的に保持されるようにする。接地されたローラ514はウェブ516の裏側へ電荷を供給する。帯電器526にある任意のブレード527は受像体シートと搬送部材ウェブ516との良好な接触を確保する。ニップ510Yの下流において、受像体はローラ513のところでコロナ帯電器524の補助により搬送部材ウェブ516から分離される。当該帯電器は、例えば、受像体上面の電荷を中和する電荷を適用することにより、受像体を放電させる。その後、受像体へ転写されたトナー画像は融着器Fにより受像体へ融着させる。搬送部材ウェブは、搬送部材表面の電荷を中和する対向コロナ帯電器523,524で両表面に電荷を提供することにより再状態調整される。搬送部材ウェブ516の両側は、ブレード560および562などのような、あらゆる適切なクリーナーにより清浄にすることができる。モーターMおよび適切な駆動機構は、動きを示す各矢印により示される方向で様々な部材を駆動させるために提供される。電子写真エンジンにおいては、ベルトなどの1つの成分への駆動を提供し、当該ベルトがドラムを摩擦により駆動させ得るようにすることが知られている。クリーナー111B,C,MおよびYは中間転写ドラム508B,C,MおよびYの表面を清浄にする。
【0017】
図1に示す装置は、複数の電子写真モジュールが並列で作動するフルカラー機である。各電子写真モジュール591B,C,MおよびYは異なる色を創出し、全てのモジュールが同時に作動して四色画像を構成する。この実施態様においては、搬送部材ウェブ516は、各モジュールの中間転写部材により形成されるニップ510B,C,MおよびYを経て、受像体512a,512b,512cおよび512dを連続的に搬送し、各モジュールでは、各受像体がその一方の側に形成されるべき最高で4色(またはそれ以上)の位置合わせされて重なり合った画像を受け取るように、各色がそれぞれの受像体へ順次転写される。様々な異なる色の画像を転写により連続的に受け取るための受像体の軌道は一般的には一直線であり、これにより、厚みが異なる受像体の使用が促進される。搬送部材を裏側で掛けさせ、かつ搬送部材の直線軌道を変えるために、各転写ニップの入口前のところおよび出口後のところに支持構造体575a,b,cおよびdが提供されてもよく、これにより各中間転写部材の周りが搬送部材に包み込まれ、当該包み込みはニップ前およびニップ後のイオン化を減少させる。受像体へ各色を適用する種々のステーションでの位置合わせは、様々な周知の方法により提供されてもよく、例えば、受像体または搬送ベルト上に印刷された表示に従ってニップでの受像体の進入のタイミングを制御することにより提供され、この場合には、センサーが当該表示を感知して信号を提供し、当該信号は各種素子の制御を提供するために使用される。別法においては、表示を使用することなく、素子の速度および/または位置を制御する強力なシステム(robust system)を用いて、制御を提供してもよい。図示されていないが、当該分野で周知のものにより作動する暗号器(encoders)を含むプログラムされたコンピュータおよびセンサーを用いて適切な制御を提供することができる。
【0018】
よく知られているように、融着装置からの定着トナー画像の剥離を促進させるために、シリコーン油などの剥離剤を画像形成された受像体または融着装置のどちらかに適用する(例えば、先に引用された米国特許第5,157,445号の図1に表されたような機構)。既に注目されているように、過剰量のこのような油は、特に両面印刷中、装置の別の部品へ運ばれ得るので、不愉快な人為的残像現象が生じる。
【0019】
本発明によれば、静電式複写装置における受像体搬送部材、例えば、図1中に表される搬送部材516、は支持体上に配置される剥離油吸収性層を含む。搬送部材は、図1中、連続ウェブ516として例示されているが、例えば、ドラムまたはローラなどの他の形態をとってもよい。静電複写装置は1次像形成部材をさらに含む、当該部材は図1中、ドラム503B,C,MおよびYとして例示されているが、例えば、ローラまたはベルトなどの別の形態で構成されていてもよい。図1に表されているように、複写装置は1次像形成部材と共に動作するように連携される中間画像転写部材を任意に含み、該部材は図1中、ドラム508B,C,MおよびYとして表されているが、例えば、ローラまたはベルトなどの別の形態で構成されていてもよい。
【0020】
図1は、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4種のトナー現像ステーションを有するフルカラー複写装置において、本発明に係る吸油性層を備えた搬送部材を表すが、本発明は単一色またはフルカラーより少ない色の複写装置に適用できる。例えば、本発明において使用される受像体搬送部材は、米国特許第6,075,965号の様々な他の実施態様において採用される無端状ウェブ転写裏部材(endless web transfer backing member)として採用されてもよく、当該特許出願の開示内容を参考文献として本明細書中に引用する。上記したように、現像された多色(または単一色)画像は、融着装置により定着された後、貯蔵部位へ搬送することもできるし、または反転させて循環に戻して受像体の裏側へ画像を記録することもできる。
【0021】
搬送部材の表面には、各転写ニップにおいて画像形成サイクル毎に帯電が繰り返して適用される。搬送ウェブは、米国特許第6,075,965号の図8における対向したコロナ帯電器522,523により両表面へ電荷を提供することにより、各サイクルにおいて再び状態調整される。さらなるコロナ帯電器524は約600〜900Vの負電荷を提供して紙または受像体を搬送ウェブへ留め置く(tack down)ので、電子写真プロセス中、受像体が進むときに当該受像体が動くのを防止する。トナー画像が受像体へ転写された後、受像体は搬送ウェブ上、電気的バイアスが印加されるニップまで搬送されるので、当該受像体は脱留め置きされ、融着ステーションへ供給され得る。さらにウェブは、画像の濃度および位置合わせのプロセス制御に使用される様々な着色トナーで画像形成される。従って、搬送部材は、効果的に帯電させ、かつ当該帯電を電子写真サイクル中、維持させる絶縁性を有することが重要である。搬送部材の抵抗率が高湿度のために低下する場合、当該方法による画質が低下する。一般的には、ポリ(エチレンテレフタレート)は良好な絶縁性を有するため、搬送部材の好ましい基材のひとつである。搬送部材上のあらゆる被膜は同程度の絶縁性を維持することが望ましい。
【0022】
トナーの濃度および画像の位置合わせの監視にプロセス制御用のセンサーを使用できるように、層は透明または半透明であることも望ましい。このようなセンサーは、被覆された搬送ウェブを経て反対側の検出器まで光を透過させることにより、またはセンサーの上に取り付けられた検出器へ光を後方反射させることにより、作動させることができる。光は、ウェブを透過した後、別の反射器により反射されてもよいし、支持体自体により反射されてもよい。
【0023】
剥離油吸収性層に関する先の発明では擬ベーマイト粒子が使用された。擬ベーマイトはベーマイトのキセロゲルであって、化学式Al(O)OHで表されるものである。これはベーマイトX線回折パターンを有する結晶質固体である。擬ベーマイトは高度に水和した形態のアルミナであり、大量の水を含有し、このため劣悪な電気絶縁体である。擬ベーマイトは水中で容易に分散され、バインダーとしてのポリ(ビニルアルコール)とともに支持体へ被覆することができる。
【0024】
擬ベーマイトのより縮合された形態がガンマ−アルミナである。ガンマ−アルミナは結晶相のアルミニウム酸化物であり、擬ベーマイトを500〜550℃に3時間加熱することにより製造することができる。ガンマ−アルミナはシリコーンポリマーの充填材粒子として、石油精製用の触媒として、自動車触媒コンバーター(automobile catalytic converters)において使用される。本発明においては、剥離用流体が融着器に由来する電子写真式プリンターにおいてシリコーン剥離用流体を吸収する透明層へガンマ−アルミナを混合させる。ガンマ−アルミナは粉砕技術により有機溶媒中、分散され、ポリ(ビニルアルコール)などのバインダーポリマーとともに様々な支持体上へ被覆することができる。このような被膜は、高湿度であっても、より高い電気抵抗率を示すので、擬ベーマイト粒子を用いて製造される多孔質層よりも有利である。従って、ガンマ−アルミナを用いて製造された透明な多孔質被膜はコロナ帯電器またはローラ帯電器により付与された電荷をより長期間、保持し、電子写真受像体の改善された留め置きおよび画像形成用トナー粒子のより効率的な転写を可能にする。さらに、ガンマ−アルミナおよび有機バインダーを用いたこのような多孔質被膜は、100℃未満で溶融するワックスで保護被覆して、クリーニング中にトナーを除去するように、表面エネルギーがより低い層を形成することができる。ガンマ−アルミナ粒子および被膜をポリ(シロキサン)で変性して抵抗率をさらに増大させ、受像体のより良い留め置きを可能にし、電荷を被膜から除去した後、トナーの除去を促進できることも以下に示されている。
【0025】
ガンマ−アルミナ無機粒子は化学式Alにより表される。ガンマ−アルミナに関する参考文献として、K.ショールバーグ(Sohlberg)、S. J.ペニーコック(Pennycook)およびS. T.パンテリーズ(Pantelides)等のJ. Am. Chem. Soc.(1999年、第121巻、第7493-7499頁)およびJ.テムジン(Temuujin)、T.ジャダムバー、K.J.K.マッケンジー(MacKenzie)、P.アンゲラー(Angerrer)、F.ポルテ(Porte)およびF.リレイ(Riley)等のBull. Mater. Sci,(第23巻、第4号、2000年8月、第301-304頁)が挙げられる。ガンマ−アルミナの細孔特性は粒子の粒径および形状に依存して変化する。粒径は、一次粒径を形成するために凝集体を解砕することの有効性により決定される。擬ベーマイト粒子を500℃で3時間焼成することにより、擬ベーマイト前駆体よりも粒径は小さいが、細孔容積が大きいガンマ−アルミナ結晶が形成される。粒径がより大きな粒子は光を様々な角度で散乱させるので、多孔性の高い被膜を形成する粒径のより小さな粒子を使用することが有利である。ガンマ−アルミナ粒子を比較すると、小径粒子は大径粒子よりも細孔がより小さく、透明になる傾向がある。本発明のために、分散粒径が0.5ミクロン未満の小径粒子を使用するので、多孔質層は透明または半透明である。より好ましくは当該分散粒径は0.3ミクロン未満である。最も好ましくは当該分散粒径は0.25ミクロンである。
【0026】
ガンマ−アルミナの構造は多くの変形体が知られている。アルミナは様々な濃度のランタン、セリウム、ジルコニウム、チタン、タングステン、ネオジム、ケイ素、およびマグネシウム酸化物でドープされていてもよい。ガンマ−アルミナ結晶中、1種以上のドーパントが存在していてもよい。混合シリカ−アルミナ粒子は、シリカが少量の物質からシリカが豊富な物質まで、当該2種の元素があらゆる組成に及ぶものが製造されている。このような物質の酸性特性が、ゼオライトと比較して、以下の文献に記載されている;W. ダニエル(Daniell)、U.シューベルト(Schubert)、R. グロックラー(Glockler)、A.メイヤー(Meyer)、K.ノヴェック(Noweck)およびH.ノジンガー(Knozinger)等によるApplied Catalysis A: General(第196巻(2000年)、第247-260頁)。このような粒子の発売元のひとつにサゾール社があり、商標シラール(SIRAL)で市販されている。
【0027】
ガンマ−アルミナは擬ベーマイトより良好な絶縁体である。擬ベーマイト形態からガンマ−アルミナ形態への粒子の焼成により、擬ベーマイト構造内の多量の水が除去される。擬ベーマイトは水の含有量が高いことを反映して、式AlO(OH)で表されるが、ガンマ−アルミナはアルミナの一般式Alにより、より一層近似して表すことができる。吸油性層の良好な抵抗率を達成するためには、ガンマ−アルミナの高い純度も重要であり、当該純度は擬ベーマイトの製造に使用された方法が反映される。ガンマ−アルミナはまた、擬ベーマイトより高い多孔性を有する。従って、被膜をより薄くすることができるので、使用材料がより少なくなり、亀裂や離層をもたらし得る被覆時の圧力がより小さくなる。ガンマ−アルミナ/ポリ(ビニルブチラール)から製造された10ミクロン厚の被膜は、擬ベーマイト/ポリビニルアルコール(PVA)の20ミクロン厚の被膜と同量のシリコーン剥離流体を吸収する。
【0028】
アルミナ被膜上の静電電荷は、電子写真プロセスでで使用されるトナーと比較して測定することができる。この研究で対象となるトナーはフェライトコアに対して負に帯電するトナーである。このようなトナーは好ましくはポリエステルであり、例えば、米国特許第6,358,656および6,716,560号で記載されているものが挙げられる。当該トナーはシリカの表面処理を必要とする。このような酸化物処理およびアルミナを含む他の酸化物処理は、www.aersoil.comで入手できる、エボニック・インダストリーズ(Evonik Industries)社(もとはデグサ社)テクニカル・インフォメーション1222、トナー用アエロジル・ヒュームド・シリカ(AEROSIL Fumed Silica)およびアエロキシド・ヒュームド・メタル・オキシド(AEROXIDE Fumed Metal Oxides)に記載されている。トナー粒子の摩擦帯電またはガンマ−アルミナを用いて製造された被膜の摩擦帯電は材料および該材料への添加剤、例えば、表面被膜、の特性に関係する。特にアエロジルRY200Lは、製造工程中、PDMSにより表面処理された疎水性ヒュームド・シリカであり、他の粒子と振とうしたとき、負に帯電する。アエロジルR.972は、ジメチルジクロロシランでの処理による疎水性シリカであり、これも負に帯電する。アエロジル130は親水性ヒュームド・シリカである。アエロジル被膜へのアミノシランの添加により当該粒子の正への摩擦帯電が起こり、未処理ヒュームド・アルミナ アエロキシドAluCは僅かに正帯電する。トナーの他の表面に対する摩擦帯電に関する、より一般的な検討が以下の文献でなされている;J. H. アンダーソン(Anderson)のジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Imaging Science and Technology)(第43巻、第5号、1999年9月/10月)。
【0029】
アエロジル(AEROSIL)およびアエロキシド(AEROXIDE)粒子は酸化物をヒューミング(fuming)することにより製造され、粒径が50nm未満の粒子が形成される。対照的に、多孔質層の製造に使用されるガンマ−アルミナはベーマイトから転化され、粒径数百nmまで媒体粉砕される。シリカとアルミナを組み合わせた別の型の粒子がサゾール社よりシラール(SIRAL)酸化物として入手できる。このようなシリカ−アルミナ粒子はSiOおよびAlを様々な組み合わせで含有するものであり、数字がシリカの量を表す。従って、シラール−10はAl:SiOが90:10であって、アルミナがベーマイト相のものである。550℃への加熱により当該アルミナはガンマ相に転化する。
【0030】
有機バインダーは吸油性層で使用され、当該層に機械的強度を付与する。吸油性層の細孔特性および透明性は使用される特定のバインダーに依存する。適切なバインダーとして、有機物質、例えば、澱粉またはその変性生成物の一つ、ポリ(ビニルアルコール)またはその変性生成物の一つ、セルロース誘導体、エーテル−置換ポリ(ホスファゼン)、エーテル−置換アクリレート、エチレンオキシド−ビニルアルコール共重合体、ポリ(ビニルブチラール)(PVB)、ポリ(ビニルホルマール)、ポリオキサゾリン、脂肪族ポリアミド、およびポリ(ビニルピロリドン)が挙げられる。バインダーの選択において重要な因子は、多孔質アルミナ粒子との混和性を有し、透明または半透明な層がもたらされることである。バインダー、好ましくはポリ(ビニルブチラール)、は無機粒子の量に基づいて、好ましくは3重量%〜30重量%、より好ましくは5重量%〜25重量%の量で存在する。バインダーの量が3重量%未満であると、吸油性層の強度が不十分になる傾向がある。一方、当該量が30重量%超であると、その多孔性が不十分になる傾向がある。分散粒径0.5ミクロン未満の分散ガンマ−アルミナにより透明支持体上に製造された被膜は透明〜半透明であるので、プロセス制御センサーによる効果的な操作を可能にする。ポリ(ビニルブチラール)はブチル基で置換されているので、ポリマーのヒドロキシル基がポリ(ビニルアルコール)よりも少なく、極性が小さい。ポリ(ビニルブチラール)はアルコールおよび有機溶媒に溶解するが、水には不溶である。
【0031】
負帯電性保護被膜は多孔質であり、剥離油のガンマ−アルミナ層への拡散を可能にするので、印刷物における人為的残像現象の形成が防止される。保護被膜における粒子のバインダーに対する比率は一般的に高く、多孔質ガンマ−アルミナ層においてとほとんど同様である。バインダーは無機粒子の量に基づいて、好ましくは3重量%〜30重量%、より好ましくは5重量%〜25重量%、最も好ましくは6〜12重量%の量で存在する。ガンマ−アルミナ多孔質層で有用な高分子バインダーは全て使用してもよいが、好ましいバインダーはポリ(ビニルブチラール)であり、これはその他の多くのものよりも疎水性が高いためである。
【0032】
ガンマ−アルミナを用いて製造された被膜は、擬ベーマイトを用いて製造されたものよりも、本質的に絶縁性が高い。上述したように、ガンマ−アルミナ粒子は擬ベーマイト粒子よりも、本質的に抵抗が高い。対応して、ガンマ−アルミナゾルはエタノールまたは1−メチル−2−プロパノンなどの有機溶媒中、粉砕することにより製造されるが、擬ベーマイトとは異なり、水分散性を有さない。ポリ(ビニルブチラール)は有機溶媒に溶解するものであり、このようなバインダーはエタノールまたは3Aアルコール中、ガンマ−アルミナゾルを一般的に安定化し、被膜を透明にすることが見いだされた。当該被膜は抵抗率が70°F/60%RHで約1012Ω/sqであり、当該値は擬ベーマイトおよびポリ(ビニルアルコール)を水から被覆して製造された同等の被膜よりも、およそ2桁分大きな抵抗である。ガンマ−アルミナおよびポリ(ビニルブチラール)を用いて製造された被覆搬送ウェブであって、70°F/60%RHで1×1011Ω/sq以上の最小表面抵抗率を示す抵抗率を有するウェブを有することが好ましい。
【0033】
負帯電性トナーに対して負に摩擦帯電する保護被膜の形成に使用されるヒュームド・シリカ粒子は、PDMS型被膜で被覆して疎水性にすることが好ましい。当該粒子は湿度による影響が一層少なく、相対湿度(RH)が高くても、高抵抗率を維持する。ヒュームド・シリカは純粋なケイ素酸化物であり、ガンマ−アルミナはベーマイトとは異なり、より少ない程度までも原子の格子構造内に水またはヒドロキシル単位を含まない。ヒュームド酸化物粒子は、製造工程で表面処理されている場合には、低分子量シロキサンで表面されることは望ましくない。
【0034】
剥離油吸収性層の乾燥厚みは好ましくは1μm〜40μm、より好ましくは2μm〜30μm、最も好ましくは4〜20μmである。ガンマ−アルミナ/PVBの剥離油吸収性層は、先の研究の擬ベーマイト/PVA層よりも効果が高く、同量の油を吸収させるための層厚を薄くできる。このことは、擬ベーマイト/PVA層と比較したとき、吸油容量が有意に改善されたために可能となる。吸油性層には、添加剤が当該層の抵抗率または透明性を大きく低下させないという条件で、任意に様々な既知の添加剤、例えば、界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、粘度調整剤、防水剤、分散剤、UV吸収剤、防かび剤、媒染剤、硼酸またはボラックス(borax)などの架橋剤などを混合させることもできる。吸油性層には、艶消し剤、例えば、架橋ポリスチレン、架橋ポリアクリレート、またはポリテトラフルオロエチレン(TEFLON)などの、直径が好ましくは1μm〜30μm、より好ましくは2μm〜10μmの艶消しビーズを含有させることもできる。
【0035】
本発明における剥離油層のための保護被膜は典型的には剥離油吸収性層よりもずっと薄いものである。保護被膜の乾燥厚みは好ましくは0.25μm〜10μm、より好ましくは1μm〜5μmである。当該層は、吸油性層の表面をトナーに対して負に帯電させるのに十分な厚みとすることだけが必要である。当該層は高分子バインダー中の酸化物濃度が高いので、当該被膜の磨耗は最小になる傾向がある。
【0036】
吸油性層のためのウェブ支持体は反射性、半透明性または透明性を有することができ、厚みは好ましくは50μm〜500μm、より好ましくは75μm〜300μmとすることができる。ウェブ支持体は、光が透過できるようにするか、または反射するようにするべきである。ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)は好ましい支持体である。ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)などのような他の透明な半結晶質支持体も有用と考えられる。酸化防止剤、帯電防止剤、可塑剤および他の既知の添加剤が任意に当該ウェブ支持体に混合されてもよい。
【0037】
支持体に対する吸油性層の接着は、吸油性層の適用前に支持体表面をコロナ放電処理することにより改善させることができる。別法として、ハロゲン化フェノールまたは部分的に加水分解された塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体から形成された、厚み(すなわち乾燥膜厚)が好ましくは2μm未満の下引き層(undercoating layer)または下塗り層(subbing layer)を、支持体の表面へ適用することができる。
【0038】
ウェブ支持体の裏側には、すなわち、支持体において吸油性層を支持する側の反対側には、任意に、さらに裏面層または被膜(backing layer or coating)が適用されてもよく、これにより、搬送ウェブの機械−取り扱い特性およびその摩擦および抵抗率の制御が改善される。典型的には、裏面層は、バインダーおよび充填剤を含有し、当該充填剤は、例えば、非晶質および結晶質シリカ、ポリ(メチルメタクリレート)、中空状球形ポリスチレンビーズ、微晶質セルロース、亜鉛酸化物、タルクであってよい。裏面層に含有される充填剤は一般にバインダーの2重量%未満であり、当該充填剤材料の平均粒径は5μm〜15μmである。裏面層で使用されるバインダーの典型例として、ゼラチン、キトサン、アクリレート類、メタクリレート類、ポリスチレン類、アクリルアミド類、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルクロライド)−ポリ(ビニルアセテート)共重合体、SBRラテックス、NBRラテックス、およびセルロース誘導体などの重合体材料が挙げられる。
【0039】
支持体に剥離油吸収性層を形成するためには、バインダーを無機粒子へ添加し、スラリーを得、これを、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター、またはコンマコーター(comma coater)を用いて支持体へ被覆した後、乾燥させる。吸油層用被覆組成物はガンマ−アルミナおよびポリ(ビニルブチラール)を重量比3:1〜20:1で含有することが好ましい。
【0040】
本発明はまた、搬送ウェブに対する中間転写ドラムのスリップを防止する方法も提供し、このため、複合画像の改善された位置合わせ方法を提供する。しかしながら、このような改善は静電式プリンターにおける上記素子のみに対して限定して意味されるものではなく、光受容体ドラムまたはベルトとのスリップ抑制も包含する。本発明の一実施態様によれば、摩擦駆動式の静電式複写装置は、色調色別の画像、好ましくは乾燥色調画像、を形成する各モジュールと摩擦的に連結された受像体搬送ウェブ素子、および現像されたトナー画像を定着させて受像体へ融着トナー像を形成するための融着剥離剤を備えた融着装置を有している。受像体搬送ウェブは、支持体、および高分子バインダーに分散されたガンマ−アルミナの無機粒子を含有し、多孔質層を構成する層を含むように形成される。米国特許公報第2007/0196151号には、擬ベーマイトとしての無機粒子、板状および針状形態をとる結晶質無機亜酸化物の凝集体が記載された。米国特許公報第2008/0107463号は、ガンマ−アルミナ/ポリ(ビニルブチラール)から得られた透明被膜の、高い抵抗率および高い油容量を含む付加された全ての利益により、先の発明からの利点を拡張した。米国特許公報第2009/0052964号は、ガンマ−アルミナ/ポリ(ビニルブチラール)/シロキサン/フルオロ界面活性剤から得られた透明被膜における、高い抵抗率および多孔質層表面からのトナーの良好なクリーニングを含む付加された全ての利益により、先の発明からの利点を拡張した。本発明は、負帯電性トナーに対して負に摩擦帯電してトナーの除去を促進する保護被膜に付加された全ての利益により、先の発明からの利点を拡張した。
【0041】
シロキサンポリマーは、ガンマ−アルミナ/ポリ(ビニルブチラール)吸油性層の抵抗率を増大させるのに有用であり、潤滑剤としても作用し、当該層のクリーニングがより効果的に行われる。一般的には、低分子量PDMSは当該層の抵抗率をPET支持体と同等のところまで実質的に高める。例えば、10ミクロン厚被膜が70°F/60%RHで1013〜1015Ω/sqの表面抵抗率で製造されている。このことは、装置停止の数分後でさえ、紙または受像体が良好に留め置かれるという重要な利点をもたらす。ガンマ−アルミナならびにポリ(ビニルブチラール)バインダーおよびPDMSの安定な電気的特性は米国特許公報第2008/0107463号の図2に示されている。ガンマ−アルミナ、ポリ(ビニルブチラール)およびPDMSを用いて製造され、70°F/60%RHで1×1013Ω/sq以上の最小抵抗率を示す抵抗率を有する被覆搬送ウェブを有することが最も好ましい。
【0042】
混合シリカ/ベーマイトアルミナ シラール粒子を焼成することにより、親水性ベーマイトは多孔質ガンマ−アルミナ相へ転化する。550℃で焼成されたシラール粒子は、多孔質層のガンマ−アルミナと同じ低分子量シロキサンを用いた処理により、利益が得られる。その目的は同じであり、被膜の表面抵抗率を低下させて受像体の留め置き性を低下させる湿度に対してほとんど影響を受けない粒子にさせることである。
【0043】
PDMSポリマーは、被覆溶液へアルコキシシランを添加することにより、系内で発生させることもできる。ジメトキシジメチルシラン(DMDMS)をエタノール被覆溶液へ添加することにより、抵抗率を増大させクリーニング特性も改善させるシロキサンセグメントの被膜中での形成がもたらされる。
【0044】
低湿度において多孔質層は乾燥し、高抵抗率を有する。このことは、搬送ウェブの帯電を容易にさせ、その結果、良好な紙の留め置きおよび良好な画像位置合わせならびに搬送ウェブの画像からのプロセス制御がもたらされる。
【0045】
フルオロ界面活性剤はクリーニング助剤として有用であり、吸油性層に混入され、米国特許第7,120,380号および米国特許公報第2006/0165974および2009/0052964号に記載されているように、被覆支持体の表面からのトナー粒子の除去促進をもたらす。フルオロ界面活性剤ゾニル(ZONYL)FSN、水溶性エトキシル化非イオン性フルオロ界面活性剤の吸油性層への添加は、当該界面活性剤の不存在下では容易に除去されないトナー粒子の除去を可能にする。吸油性層はフルオロ界面活性剤を、無機粒子および有機バインダーの全量に対して、好ましくは0.01重量%〜15重量%、より好ましくは0.02重量%〜12重量%の量で含有する。フルオロ界面活性剤は負帯電性保護被膜へ添加することもでき、クリーニングを促進し、クリーニングブレードの潤滑剤として作用する。フルオロ界面活性剤の濃度は保護被膜の40重量%という高濃度であってよい。このような高濃度のフルオロ界面活性剤は被膜全体を通して拡散し、フルオロ界面活性剤の濃度は実際には保護被膜中、効果的にかなり低下することになる。
【0046】
水性適用を目的としたほとんどの界面活性剤のように、ゾニルFSNは半分の疎水性の尾(tail)と半分の疎水性部分からなる。疎水性部分は短いフルオロ炭素鎖C2n+1からなる。親水性部分はエチレングリコール鎖(CO)からなる。純粋な物質はグリース状淡褐色固体であり、界面活性剤被覆助剤として使用されるとき典型的には0.01〜0.1重量%の濃度である。しかしながら、本発明においてゾニルFSNは潤滑剤として働き、搬送ウェブ表面からのトナーのクリーニング時にポリウレタンブレードを助ける。ゾニルFSNを当該層中においてガンマ−アルミナ/ポリ(ビニルブチラール)(90/10)重量部に対して9重量部で添加し、シロキサン6重量部が含有されるとき、最適な特性が得られる。これは、多孔質層中、ゾニルFSN7.8重量%に相当する。別法として、ゾニルFSNは多孔質アルミナ層に保護被覆することができる。
【0047】
先の発明の幾つかには、搬送ウェブ表面からのトナーのクリーニングを助けるためにフルオロ界面活性剤を添加することが記載されていた。しかしながら、ゾニルFSNはフルオロカーボンを有するエチレングリコールから構成されるものであり、このような界面活性剤を擬ベーマイトおよびポリ(ビニルアルコール)と組み合わせると、被膜の抵抗率が特に高湿度で低下することが見い出された。このことは、搬送ウェブに対する紙または受像体の留め置きが不十分になるなどの多くの好ましくない特性をもたらす。これは、導電性ゾニルFSN界面活性剤は電荷が散逸する経路を提供するためである。電荷は意識的にはウェブ帯電器によるウェブ上の場所にあり、受像体をきちんと保持し、プロセス制御目的のためにトナーによる画像形成を可能にするものであるが、当該電荷が散逸すると、画質が低下した画像がもたらされ得る。ガンマ−アルミナ/PVB/シロキサン多孔質層へ添加されると、ウェブの抵抗率も低下するが、抵抗率の低下は擬ベーマイトを基材とした材料ほど大きくはない。
【0048】
WEワックスは長鎖脂肪酸およびアルコールから形成された脂肪酸エステルであり、日本のNOFコーポレーション社により製造されている。当該ワックスは、狭い溶融範囲、溶融の低い吸熱エネルギー、および高い熱安定性により特徴付けられる高純度固体である。100℃未満で溶融する当該ワックスは、ガンマ−アルミナの細孔を塞がない。しかしながらWEワックスは本発明において有用ではない。ガンマ−アルミナのシロキサン被膜は、フィルム表面が表面エネルギーのより高いWEワックスで塗れるのを妨げる。アルミナ分散液への当該ワックスの添加または別の層でのアルミナへのワックスの被覆は、本発明の目的には適さない不十分な被覆をもたらした。10重量%PDMSをWEワックスと混合させた保護被膜層はワックスのスポット状被膜をもたらすことが見い出された。
【0049】
粉砕前にシロキサンを被覆溶液に添加することが特に有利である。これにより、シロキサンの均一な分布および良好な被膜品質がもたらされる。シラノール末端PDMSは良好な被膜の製造に特に有用であるようであり、これは、おそらく、シラノール基がガンマ−アルミナの表面で相互作用するか、またはさらに縮合するためである。PDMSの濃度は比較的高く、被膜固形分の10重量%超である。しかし、PDMSが配合物に添加されると、融着油の油吸収により測定される被覆層の細孔容積が増大し得ることは、まさに驚くべきことである。対照的には、ゾニルFSNのようなフルオロ界面活性剤の添加は油吸収容量を低下させる。PDMSはまた、電子写真プロセス制御の一部としての色および受像体位置合わせ中に付着するトナーのための被膜クリーニングを助ける。
【0050】
多孔質層の表面抵抗率の測定は、どうすれば被覆搬送ウェブが電荷をうまく保持するか、について有効な指摘を与える。表面抵抗率はキースリー・エレクトロメーター(Keithley Electrometer)を用いて測定することができる。PET搬送ウェブ上のガンマ−アルミナ/ポリ(ビニルブチラール)の10ミクロン厚の被膜は表面抵抗率が1012Ω/sq範囲であり、当該抵抗率は、20〜60%RHで1桁を超えて変化しなかった。従って、このような被膜は、同等の擬ベーマイト/PVA吸油層よりも、抵抗率がおよそ2桁を超えて高い。ガンマ−アルミナ/ポリ(ビニルブチラール)へのフルオロ界面活性剤ゾニルFSNの添加により製造されたPET搬送ウェブ上の被膜は抵抗率が僅かに低くなった。6部のゾニルFSNを用いた被膜は表面抵抗率が60%RHで1×1012Ω/sqであり、12部のゾニルFSNを用いた被膜は表面抵抗率が60%RHで6×1011Ω/sqであった。それにもかかわらず、このような値はガンマ−アルミナの代わりに擬ベーマイトを用いた同等の被膜よりもおよそ2桁高い。
【0051】
ゾニルFSNのような界面活性剤のガンマ−アルミナ配合物への添加は、擬ベーマイトを用いて観察されるほど、抵抗率の大きな低下はもたらさない。このことは完全には理解されないが、おそらく、ガンマ−アルミナの水成分が擬ベーマイトと比較して少ないことと関係している。加えて、アルミナ粒子上のシロキサン被膜が被膜の水吸収を防止するのをさらに助け、擬ベーマイト/ゾニルFSN被膜で観察される導電率の増加を軽減する。図2は、90部ガンマ−アルミナ/10部PVB/6部PDMSの配合物に対してフルオロ界面活性剤ゾニルFSNの濃度を増加させたことに伴う表面抵抗率の増加を示すグラフである。ゾニルFSN濃度が多孔質保護被膜の12部(10重量%)以下の間、表面抵抗率は1013Ω/sq超である。当該被覆搬送ウェブはクリーニングが容易であった。ゾニルFSN濃度がこのような範囲のとき、表面抵抗率は対数的に低下したが、1013Ω/sq未満には落ちなかった。実施例3では最適なクリーニングが行われ、ここでは、ゾニルFSNを9部(7.83重量%)用いた被覆搬送ウェブの表面抵抗率は6×1013Ω/sqであった。
【0052】
このような値は最初にガンマ−アルミナにPDMSを被覆したときに得られる抵抗率ほど高くはない。先の出願で報告されたように、10重量%以下のシラノール末端ポリ(ジメチルシロキサン)の添加は当該フィルムの抵抗率を1014Ω/sq領域まで増大させる。実際に、このようなフィルムは、抵抗率の示度がPETで得られる示度に匹敵し、おそらく、キースリー・エレクトロメーターで測定できる範囲の限界に近付いているほど良好な絶縁体である。ガンマ−アルミナ/PDMS被覆ウェブに対する受像体の留め置きは、このような材料の高抵抗率値に相当する非被覆PETウェブを用いたときと、ほとんど同等に良好であった。我々は、ガンマ−アルミナ/ポリ(ビニルブチラール)/シロキサンへのゾニルFSNの添加が、当該被膜の抵抗率の深刻な低下なしに、フィルム表面からのトナーの除去を改善させることを見い出している。このような被膜の表面抵抗率は5×1012Ω/sq超であり、ほとんどの場合において、ゾニルFSNの充填量が12部以下のときの1013〜1014Ω/sq領域内である。フルオロ界面活性剤は被膜のその他の成分と混和し、3Aアルコールの被覆溶液に直接的に添加できる。
【0053】
フルオロ界面活性剤が被膜中に存在しない場合、シロキサンも吸油性層の保護被膜として有用である。シロキサンは、相対湿度が高いときに抵抗率を低下させる湿気に対して保護する別の層を提供し、クリーニングブレードによるトナーのクリーニングを促進する。シロキサンはアルミナ層の表面エネルギーを低下させ、潤滑剤として作用する。シロキサン保護被膜は、油吸収を阻害しないし、電子写真式プリンターの印刷物に人為的残像現象をもたらさない。シロキサンは、環境的に許容できる多くの溶媒で被覆できる。我々は、粘度が20〜35センチストークスである低分子量シラノール末端PDMSの保護被膜の形成に、エタノールを使用できることを先に示している。ヒドロキシル基を有さない10,000センチストークの高分子量PDMSは2−ブタノンから製造できる。しかしながら、100,000センチストークPDMSを使用する試みはプリンターにおける搬送ウェブのスリップをもたらした。これは、おそらく、当該ウェブ自体を巻き上げたときに、その裏面へPDMSが移行したためである。保護被膜を使用することによる固有の不利益は被覆工程がさらに必要なことであり、当該工程は被覆方法をより複雑にして、出費がかさむ。しかしながら、保護被膜は、透明であって、剥離油を下の吸油性アルミナ層へ透過させるのに十分な多孔質である限り、ウェブの磨耗およびクリーニングなどの特性のために層を特別に設計することを可能にする。不幸にも、PDMSの被覆溶液は被覆機のその後の被覆での使用を妨害する傾向がある。PDMSは被覆ローラの表面特性を変化させ、次回の被覆時において望ましくない人為的現象をもたらし得る。作業が完了した後、被覆機の被覆ローラから、保護被膜に使用されたシロキサンをクリーニングすることは、有機溶媒を用いた長時間に及ぶ困難な洗浄処理を必要とし、このようなフィルムの製造を費用がかなりかかるものにする。シロキサンは、表面エネルギーが低いため、他の表面への接触により容易に広がる液体である。シロキサンは周知のこととして含有させることが困難である。
【0054】
フルオロ界面活性剤の被膜は、周囲表面の汚染に関する不利益なしに、シロキサン保護被膜と同等の利益の多くを有する。PDMS物質の液体性とは対照的に、フルオロ界面活性剤はワックス状固体である。フルオロ界面活性剤は、別の層として被覆されるとき、被覆機を妨害するものではなく、シロキサンにとっての有機溶媒の代わりに、水性アルコールへの溶解性があるため、被覆ローラからのクリーニングが容易である。フルオロ界面活性剤はまた、アルケンオキシ−フルオロカーボンの固形性のため、流れるものではなく、全表面を被覆する。我々は、PVBバインダー中におけるシロキサン被覆ガンマ−アルミナ粒子へのフルオロ界面活性剤の添加が、抵抗率の低下をもたらすことなく、多孔質層の改善されたクリーニングをもたらすことを見い出した。フルオロカーボンは表面活性がシロキサンよりも高いので、当該物質は乾燥中、被膜の上面に移行する。このことは、電子写真印刷中におけるプロセス制御および色の位置合わせのためにフィルム上に置かれるトナーを除去することによるフィルムのクリーニングをさらに促進する。
【0055】
フルオロカーボンは任意に、水性アルコールなどの適切な溶媒から保護被覆され、被膜の表面をより完全に被覆することができる。ゾニルFSNをアルコールまたは水のどちらででも希釈することにより、良好な結果が得られている。このことは幾つかの利点をもたらし、例えば、フルオロカーボンは必要とされるところだけに配置されるので、アルミナの基層中、フルオロカーボンはより少ない量で使用される。このことはフルオロ界面活性剤をより少ない量で使用することをもたらし、環境的な利点および経済的な利点の両方がもたらされる。さらに、アルミナ細孔が過剰なフルオロ界面活性剤で当該層中に充填されない場合、当該フィルムの吸油量は一般的により高い。より少量のフルオロ界面活性剤はまた、多孔質被膜のより高い抵抗率をもたらす。別の選択肢は、アルミナ、シロキサン、バインダーおよびフルオロカーボンの保護被膜を薄く、基材被膜よりも高濃度で被覆することである。例えば、フルオロ界面活性剤を30%も含有する層を被覆ウェブの上層として使用することができる。従って、上層はフルオロカーボンの溜めを提供し、下の層を不含にしてより多くの剥離油を保持させる。
【0056】
フルオロ界面活性剤などの潤滑剤は多孔質層のクリーニングを促進するのを助ける一方で、電子写真プロセスで負帯電性トナーを使用する場合に、負帯電性酸化物の保護被膜により潤滑剤の量を低減することができる。クリーニングの促進に必要なフルオロ界面活性剤の量を低減することは、2つの有益な効果をもたらす。第一に、フルオロ界面活性剤は、一般に、ポリ(エチレンオキサイド)などの親水性部分を含有するので、多孔質層の抵抗率を低下させる。第二に、フルオロ界面活性剤は一般に多孔質被膜の約10重量%という高濃度で存在し、当該層中、細孔の空間を占有することにより、剥離油の吸収を低下させる。フルオロ界面活性剤を多孔質アルミナ層へ高濃度で添加するときの対応する量に基づいて、少ない印刷枚数で剥離油の飽和に達し、搬送ウェブの寿命が短くなる。
【0057】
説明した複写装置で画像を両面印刷するとき、画像形成された受像体へ適用された剥離油は、第2の側へ印刷されるシートから搬送ウェブへ移行する。標準非被覆紙搬送ウェブおよび本発明による吸油性層を備えたウェブについて、油濃度を、両面印刷の運転長さの関数として、比較測定している。吸油性被膜は、当該被膜の多孔質内部へ剥離油を集めることにより剥離油人為的現象からの保護を提供し、装置の他の部品への移行による当該表面での剥離油の存在量を減少させる。この機構に基づくと、ウェブの有効寿命は被膜の油容量に依存し、当該油容量は被膜の厚みに依存するものと考えられる。被膜の有効寿命はその計算容量および油の吸収速度の測定値に基づいて予想することができる。本発明のガンマ−アルミナ/ポリ(ビニルブチラール)/PDMS/フルオロ界面活性剤搬送ウェブは、A4相当の約30,000枚印刷後、画像の平面視野において油痕を防止した。ウェブを取り出したとき、当該ウェブはまだ機能していた。擬ベーマイトを用いた先の実験では、当該実験はずっと長く継続できることを示した。非被覆ウェブは印刷18枚後に融着油の筋模様を示す。
【0058】
結論として、ガンマ−アルミナ/ポリ(ビニルブチラール)/シロキサン/フルオロ界面活性剤搬送部材などのような、負帯電トナー粒子との接触により正に帯電する吸油性層上に被覆された無機酸化物の負摩擦帯電性層は、以下の重要な特性を有する;
【0059】
抵抗率が高いので、表面からの電荷の放出を防止し、ウェブに対する受像体の留め置き力の低下を防止する(>5×1012Ω/sq)。
【0060】
受像体からの融着流体剥離油を吸収するための多孔性が高いので、当該流体の他の部品への拡散を防止し、人為的残像現象の発生を防止する(200〜600mg/m/μm)。
【0061】
高分子バインダー中の無機酸化物の機械的特性が良好なために、機械的特性が良好なので、粉体または除粉なしに長寿命被膜が形成される。
【0062】
搬送ウェブに対する中間転写ドラムのスリップを防止するので、複合画像の位置合わせが改善される。
【0063】
表面特性が良好であるので、負摩擦帯電性保護被膜への電子写真位置合わせ中に付着する負帯電性トナーの除去が容易になる。
【0064】
フルオロ界面活性剤は、当該ワックス状固体の適用に使用される被覆機を汚染しないので、製造が容易である。
【0065】
本発明を以下の実施例によりさらに説明するが、本発明はこのような実施例に制限されるものではないことを理解するべきである。
【実施例】
【0066】
ガンマ−アルミナ粉体および混合シリカ−アルミナ粉体は、テキサス州ヒューストンのサゾール・ノース・アメリカ社より、それぞれ商品名カタロックス18HTa−150アルミナおよびシラール(SIRAL)として入手した。カタロックス18HTa−150アルミナは150m/gの表面積および0.446cc/gの細孔容積を有していた。アエロジル(AEROSIL)ヒュームドシリカはニュージャージー州パーシパニーのエボニック・デグサ社より入手した。
【0067】
多孔質吸油性層の被覆配合物のための一般的な製造方法をここで説明する。ガンマ−アルミナを3A−アルコール中、20%固形分にて、2ミクロンジルコニアまたは1.8ミクロンイットリアドープジルコニアビーズを用いて、5日間ロール練りした。ビーズはステンレス鋼スクリーンを用いて濾別し、アルミナ分散液を40ミクロンPALLフィルターを用いて濾過した。粉砕材料として1.0ミクロンイットリアドープジルコニアビーズを用いたネッツ・ラブスターLS1(Netzsch LabStar LS1)超微粉砕機に入れる前に、ポリ(ビニルブチラール)バインダーおよびシラノール末端ポリ(ジメチルシロキサン)を分散液に添加した。典型的には、1リットルの溶液を14%固形分にて1時間粉砕した。バインダーまたはシロキサンを時々さらに添加し、分散液を10ミクロンPALLフィルターで濾過した。シラノール末端ポリ(ジメチルシロキサン)はDMS−S12であって、分子量は400〜700、粘度は16〜32センチストーク(centistoke)であり、米国ペンシルバニア州トゥリータウンのゲレスト社製であった。ポリ(ビニルブチラール)はBH−6(9.2×10分子量;69+/−3モル%ブチラール含有量)であり、MI州トロイのセキスイ・プロダクツLLC社より入手した。
【0068】
白色ガンマ−アルミナ分散液を、102μm厚ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの一方の側のアクリロニトリル−ビニルクロライド−アクリル酸の下塗り層に押出機ホッパーを用いて被覆し、105℃以下で20〜30分間乾燥させた。被膜は柔軟性があり、クリアな透明フィルムであり、ループの外側の被膜と共に超音波シールすることによりループを形成した。
【0069】
ほぼ同様の方法で保護被膜を製造および被覆し、被膜の外観に変化はなかった。
【0070】
比較実施例1
4ミルPET製のネクスプレス(NexPress)搬送ウェブ。
【0071】
比較実施例2
一般的なアルミナ分散液:90部ガンマ−アルミナ/10部ポリ(ビニルブチラール)バインダー/6部シラノール末端PDMS。
ガンマ−アルミナ(400g)、3Aアルコール(1000g)、および2.0mmジルコニアビーズ(5000g)を1ガロンのジャーに入れ、90RPMで48時間ロール練りした。該ビーズを濾別して3A−アルコール(1400g)で濯ぐことによりアルミナを捕集し、14.3%固形分の分散液を得、これを40ミクロンPALLフィルターで濾過して、合計2800gを得た。このような方法で10回分のアルミナ分散液を製造した。その後、アルミナ分散液13,910gを22Lの機械式撹拌機付き三つ口丸底フラスコに充填した。ポリ(ビニルブチラール)BH−6(10重量%の3A−アルコール溶液2150g)を添加用漏斗で添加し、10重量%ポリ(ビニルブチラール)の配合物を得た。シラノール末端PDMS、DMS−S12(132.6g)をアルミナおよびBH−6固形分の全量の6重量%で添加し、13.7%固形分の分散液を得た。分散液を、溶液1リットルにつき25分間、合計453分間ネッツ粉砕した後、10ミクロンPALLフィルターで濾過した。
分散液を目標厚み7.5ミクロンで上記したようにウェブ被覆した。
【0072】
比較実施例3
アルミナおよびBH−6の全量の重量で9部のゾニル(ZONYL)FSN(14.45g@40%活性(active))を、上記した比較実施例2の一般的なアルミナ分散液の撹拌分散液(444g)に添加した。
分散液を目標厚み7.5ミクロンで上記したようにウェブ被覆した。
【0073】
比較実施例4
ガンマ−アルミナ(95g)、アエロジル R972(5g)、3A−アルコール(350g)、および2.0mmジルコニアビーズ(1250g)を1Lのジャーに入れ、90RPMで48時間ロール練りした。該ビーズを濾別して3A−アルコール(350g)で濯ぐことによりアルミナを捕集し、14.3%固形分の分散液を得、これを40ミクロンPALLフィルターで濾過して、合計700gを得た。その後、アルミナ/R972分散液674gを3Lの機械式撹拌機付き三つ口丸底フラスコに充填した。ポリ(ビニルブチラール)BH−6(10重量%の3A−アルコール溶液107.1g)を添加用漏斗で添加し、10重量%ポリ(ビニルブチラール)の配合物を得た。シラノール末端PDMS、DMS−S12(6.43g)をアルミナおよびBH−6固形分の全量の6重量%で添加し、13.7%固形分の分散液を得た。分散液を20分間ネッツ粉砕した後、10ミクロンPALLフィルターで濾過した。この分散液の部分(486g)を、3A−アルコール(64.2)および固形分の重量で9部のゾニルFSN(16.9g@40%活性)の添加を行いながら撹拌した。
分散液を目標厚み7.5ミクロンで上記したようにウェブ被覆した。
【0074】
比較実施例5
ガンマ−アルミナ(95g)、アエロジル RY200(5g)、3A−アルコール(350g)、および2.0mmジルコニアビーズ(1250g)を1Lのジャーに入れ、90RPMで48時間ロール練りした。該ビーズを濾別して3A−アルコール(350g)で濯ぐことによりアルミナを捕集し、14.3%固形分の分散液を得、これを40ミクロンPALLフィルターで濾過して、合計700gを得た。その後、アルミナ/RY200分散液686gを3Lの機械式撹拌機付き三つ口丸底フラスコに充填した。ポリ(ビニルブチラール)BH−6(10重量%の3A−アルコール溶液109.0g)を添加用漏斗で添加し、10重量%ポリ(ビニルブチラール)の配合物を得た。シラノール末端PDMS、DMS−S12(6.54g)をアルミナおよびBH−6固形分の全量の6重量%で添加し、13.7%固形分の分散液を得た。分散液を20分間ネッツ粉砕した後、10ミクロンPALLフィルターで濾過した。この分散液の部分(581g)を、3A−アルコール(61.6)および固形分の重量で9部のゾニルFSN(19.8g@40%活性)の添加を行いながら撹拌した。
分散液を目標厚み7.5ミクロンで上記したようにウェブ被覆した。
【0075】
比較実施例6
ガンマ−アルミナ(95g)、アエロジル130(5g)、3A−アルコール(350g)、および2.0mmジルコニアビーズ(1250g)を1Lのジャーに入れ、90RPMで48時間ロール練りした。該ビーズを濾別して3A−アルコール(350g)で濯ぐことによりアルミナを捕集し、14.3%固形分の分散液を得、これを40ミクロンPALLフィルターで濾過して、合計700gを得た。その後、アルミナ/アエロジル130分散液677gを3Lの機械式撹拌機付き三つ口丸底フラスコに充填した。ポリ(ビニルブチラール)BH−6(10重量%の3A−アルコール溶液107.6g)を添加用漏斗で添加し、10重量%ポリ(ビニルブチラール)の配合物を得た。シラノール末端PDMS、DMS−S12(6.45g)をアルミナおよびBH−6固形分の全量の6重量%で添加し、13.7%固形分の分散液を得た。分散液を20分間ネッツ粉砕した後、10ミクロンPALLフィルターで濾過した。この分散液の部分(726g)を、3A−アルコール(63.4)および固形分の重量で9部のゾニルFSN(24.2g@40%活性)の添加を行いながら撹拌した。
分散液を目標厚み7.5ミクロンで上記したようにウェブ被覆した。
【0076】
実施例1
アエロジル RY200(13.5g)、ポリ(ビニルブチラール)BH−6(1.5)g、および3A−アルコール(485g)を1Lのジャーに入れ、90RPMで48時間ロール練りした。
比較実施例2由来の分散液の基層を7.5ミクロンでPETに被覆し、実施例1の分散液を用いて目標厚み0.5ミクロンで保護被覆した。
【0077】
実施例2
比較実施例3由来の分散液の基層を7.5ミクロンでPETに被覆し、実施例1の分散液を用いて目標厚み0.5ミクロンで保護被覆した。
【0078】
表1は、このようなフィルムが被覆搬送ウェブにとって良好な油容量および抵抗率を有していたことを示している。膜厚は光学顕微鏡を用いて断面により測定した。表面抵抗率はキースリー6517エレクトロメーター/ハイ・レジスタンス・システム(Keithley 6517 Electrometer/High Resistance System)およびキースリー8009レジスタンス・テスト・フィクスチャー(Keithley 8009 Resistance Test Fixture)を用いて測定した。試料はテニー・シックス・チャンバー(Tenney Six Chamber)中、一定の温度および湿度で一晩維持し、各試料は試験直前に別々に取り出した。試料は約7×7cmの正方形であった。吸油量はPET上の10×10cm被膜を用いて重量測定により測定した。試料の重量を小数第4位まで記録した。過剰量のネクスプレス融着油を、該油へ浸漬されていたステンレス鋼ローラーを用いて、試料上に置いた。油が試料の裏面に行かないように気を付けた。当該油は被膜を浸透するので、試料は一般的には光学的に透明になった。10分後、過剰な油を、3Mハイ・パフォーマンス・クロス5208−Wを用いて試料から取り除き、試料を再度、秤量した。重量差を油容量として報告する。
【0079】
トナーと接触する支持体の摩擦帯電特性を測定するための技術
接触または摩擦帯電は、摩擦電気スケールで位置の異なる2つの物質が相互に接触するときはいつでも起こり得るものである。このことは、搬送されて別の印刷で現れる部材上でのトナーバックグラウンド(toner background)を引き起こし得るので、トナー粒子が別の部材と接触する電子写真印刷機において特に問題をはらみ得ることである。
【0080】
トナーが別の部材に対して摩擦帯電する傾向は以下のように測定することができる。接地されたプレートに取り付けられた支持体の電荷を最初に測定する。その後、対象のトナーを含有する動作中の現像ステーションのすぐ近くに支持体を通過させる。付着した全てのトナーを圧縮空気を用いて除去し、支持体の電位を再度、測定する。現像電位の前後の差が摩擦電気的に発生した電圧である。
【0081】
ここで説明する実施例においては、現像ステーションは導電性の円筒状シェルおよび同軸の磁性コアから構成されていた。シェルは約6インチ長および2 1/4インチ径であり、ステンレス鋼製であった。シェルは接地されていた。磁性コアは極方向がコアに対して半径方向の20個の磁石から構成されていた。従って、磁石の極は当該磁石の長軸に対して垂直であった。
【0082】
ネクスプレス2100プリンターで使用される、黒色トナーおよび磁性キャリアを含有する市販の黒色現像剤12グラムをシェルへ供給した。支持体を接地されたアルミニウム定盤へ付け、現像ステーションのシェルの上で約15ミルの間隔をあけた。定盤を2インチ/秒の速度で駆動させた。磁性コアを、現像剤が定盤と同じ方向で流れるような方向で405rpmにて回転させた。その後、シェルの速度を、現像剤と定盤との速度差がないように設定した。
【0083】
支持体の電位をトレック(Trek)静電電圧計を用いて初期に測定した。その後、定盤を現像ステーションの上を通過させ、圧縮空気を用いて全てのトナーを除去し、現像後の支持体電位をもう一度測定した。
【0084】
表1AおよびBは、比較実施例1、すなわちPETウェブが油を全く吸収しなかったことを示す。当該非被覆ウェブは1015Ω/sq超の抵抗率を有し、負帯電性トナーに対して負に摩擦帯電されていた。当該トナーはウェブからの除去が一般的には容易であった。
【0085】
比較実施例2はフルオロ界面活性剤を含有しないアルミナ層である。6ミクロン層は1平方メートルあたり4g近くの良好な剥離油吸収量を示し、より高い湿度で8×1014の良好な抵抗率を示した。被膜は負トナーに対して強く正に帯電し、約+100Vであり、トナーは層からの除去が困難であった。
【0086】
比較実施例3は、クリーニング助剤としてゾニルFSNを9部添加されたものであった。比較実施例3は比較実施例2と比較して油吸収量が低く、抵抗率が低かった。摩擦帯電の結果はほぼ同じであり、被膜が負トナーに対して正に帯電し、フィルムからの除去が困難であることを示した。
【0087】
アルミナを5重量%のシリカと置き換えた比較実施例4,5および6は比較実施例3においてとほぼ同じように挙動した。油吸収量は比較的低かったが、フィルムは5ミクロン未満でわずかに薄かった。高湿度での表面抵抗率は良好ではなかった。摩擦帯電の結果は全てのアルミナ試料とほぼ同じであり、当該表面に負帯電性トナーを置いたとき、正の摩擦帯電を示した。比較実施例5は、負トナーにより負に帯電し、当該トナーの表面からの除去が容易であるデータを示したが、このことを再現することはできなかった。この結果は、この測定時における当該表面の汚染によるものと思われる。
【0088】
実施例1および2の両方は逆帯電およびクリーニング挙動を示す。両方の試料は負トナーにより負に摩擦帯電した。両方の場合、トナーの除去は容易であった。実施例2は、アルミナ基層中にゾニルFSNを9部有するものであり、比較例実施例2および3で観察されたのとほぼ同様に、比較的低い油吸収量および抵抗率をもたらす。
【0089】
【表1A】

【0090】
【表1B】

【0091】
表2より、保護被膜中にシリカを有し、負帯電を示す吸油性ウェブはまた、ネクスプレスカラープリンターにおいて2つのウレタン製クリーニングブレードによりトナーが容易にクリーニングされることが示されている。実施例1および2は全ての条件下でよくクリーニングされた。ウェブを状態調整するための帯電器(web conditioning charger)を切っても入れても全てのパッチ(patches)は除去された。ウェブ状態調整用帯電器を切って行うクリーニングは圧力状態であるが、それにもかかわらず当該クリーニングは良好であった。実施例1および2の両方で状態調整用帯電器を切って試験を繰り返したところ、全ての試みにおいてウェブはブレードによりトナーがクリーニングされた。
【0092】
比較実施例1は非被覆PETウェブであり、シリカが保護被覆された実施例1および2の吸油性ウェブと同様にクリーニングされた。しかしながら比較実施例1は吸油容量がないため、20回の両面印刷の後、油による人為現象が印刷物に生じる。比較実施例2はゾニルFSNフルオロ界面活性剤を含有しない吸油性層であり、全ての条件下においてウェブ上にトナーが高濃度で残留することなしには、電子写真法で駆動させることはできなかった。比較実施例3は吸油性層を有する標準的な搬送ウェブであり、ウェブ状態調整用帯電器が従事する限り、よくクリーニングされた。ウェブ状態調整用帯電器を切ったときは、ウェブ上に大量のトナーが残留した。
【0093】
比較実施例4,5および6の全てでは比較実施例3の標準吸油性ウェブと同様の結果が得られた。これらの全てのウェブはフルオロ界面活性剤を含有したものであり、ウェブ帯電器を入れると、キャリブレーション・パッチ(calibration patches)は良好にクリーニングされた。当該ウェブの中には、クリーニングブレードによりプロセス制御パッチ(process control patches)を十分にクリーニングされたものはなく、ウェブ状態調整用帯電器を切ったとき、ウェブ上のトナー残留量は増大した。これらの結果より、クリーニングの促進のためにフィルム表面の摩擦帯電を変化させるためには、アルミナ吸油性層にシリカを5重量%混合させることは不十分であることが示されている。
【0094】
【表2】

【0095】
比較例実施例7〜9および実施例3〜10
比較例実施例7〜9の分散液は表3における量を用いて比較実施例3で説明したように製造した。このような分散液は、分散液にゾニルFSNが9重量%(比較実施例7および9分散液)または40重量%(比較実施例8分散液)添加されたアルミナ溶液であった。実施例3〜10の分散液は表3における量を用いて実施例1で説明したように製造した。
【0096】
【表3】

【0097】
先に記載した下塗りPET支持材に比較実施例7のアルミナ分散液を被覆した。これは9%ゾニルFSNを含有する単層被膜であるので、比較実施例3の繰り返しである。この一連の実験の対照として供する。
【0098】
その他の全ての試料の下塗り塗料として比較実施例2に記載のアルミナ分散液を用いた。比較実施例2由来のアルミナ分散液はゾニルFSNを含有するものではなく、下塗りPETに比較実施例2と同じ厚みで被覆した。
【0099】
比較実施例2に記載の分散液から製造されたアルミナ基層に由来する被膜の上に、比較実施例8および9のアルミナ分散液および実施例3〜10のアエロジル分散液を乾燥厚み0.5ミクロンで被覆した。比較実施例8および9はそれぞれ40重量%および9重量%ゾニルFSNを含有するアルミナ保護被膜から構成させた。
【0100】
このような被膜の特性を表4に記載する。全ての被膜は良好な吸油量および高い抵抗率を示した。摩擦帯電の結果より、表面にアルミナを有する全ての被膜は負帯電性トナーに対して正に摩擦帯電し、当該トナーはフィルム上、大量に残留したことが示されている。このような被膜は比較実施例7〜9のものである。対照的に、シリカ保護被膜を有する試料は負帯電性トナーに対して負に帯電し、当該トナーは吸油性層からより容易に除去された。このような試料は実施例3〜10のものである。
【0101】
【表4A】

【0102】
【表4B】

【0103】
【表4C】

【0104】
比較実施例10〜12および実施例11および12、シラール 混合アルミナ−シリカ粒子
シラール酸化物はSiOおよびAlを様々な配合で含有するシリカ−アルミナ粒子であり、商品名の後ろの番号はシリカの量を示す。アルミナはサゾール社により提供された試料においてベーマイト相(boehmite phase)にあった。当該粒子を550℃で焼成し、ベーマイトをガンマ−アルミナ相に転化させた。
【0105】
比較実施例10はカタロックス18HTa−150アルミナを用いて行った。比較実施例11および12はそれぞれシラール−1および10を用いて行った。実施例11および12はそれぞれシラール−30および40を用いて行った。分散液は比較実施例3の分散液のために記載したように製造した。量は表5に示す。
【0106】
【表5】

【0107】
ジルコニアビーズを用いてガンマアルミナを3A−アルコール中、90RPMで72時間ロール練りした。当該酸化物をロール練りした後、ジルコニアビーズを3A−アルコールにより洗浄した。表6の量を採用して分散液から被覆用「溶液」を配合した。
【0108】
【表6】

【0109】
分散液を撹拌しながら、成分を滴下した。最終生成物を10ミクロンマイスナー(Meissner)DFAフィルターにより濾過した。下塗りしたPETに溶液を目標厚み5ミクロンで被覆した。
【0110】
このような被膜の特性を表7に示す。全ての被膜は良好な吸油量および高い抵抗率を示した。摩擦帯電の結果より、アルミナおよび10%以下のシリカを含む全ての被膜は負帯電性トナーに対して正に摩擦帯電することが示されている。このような被膜は比較実施例10〜12のものである。対照的に、シリカをより多量で含む試料は負帯電性トナーに対して負に帯電した。このような試料は実施例11および12のものである。
【0111】
【表7】

【0112】
比較実施例13および実施例13
2ミクロンアルミナ粉砕媒体を100kg充填したユニオン・プロセス社製のS−10の60Lセラミック系磨砕機(ceramic lined attritor)において、アルミナの原料分散液を製造した。磨砕機に3A−アルコール(12,250g)およびDMS−S12シラノール(166.7g)を装填した後、カタロックス18HTa−150アルミナ(5000g)をゆっくり添加した。16時間の粉砕の後、白色分散液を排出させ、媒体を3A−アルコール(19750g)で濯ぎ、14%固形分の原料分散液を製造した。
【0113】
原料アルミナ分散液から調製された下塗り塗料用アルミナ分散液(800g)を機械式撹拌機付き三つ口丸底フラスコに入れ、BH−6の3%3A−アルコール溶液(123.30g)、DMS−S12(3.43g)、ゾニルFSN@40%活性(2.37g)を滴下した。分散液をネッツ粉砕し、10ミクロンマイスナーDFIフィルターにより濾過した。下塗りはゾニルFSN0.7部を含んでいた。
【0114】
保護被膜用分散液は、ポリ(ビニルブチラール)の代わりにポリ(ビニルアルコール)の水溶性バインダーをアルコール中で用いて製造した。10重量%ポリ(ビニルアルコール)溶液を90gの撹拌中の脱イオン水に対してポリ(ビニルアルコール)粉体(AH−26ゴーセノール(GOHSENOL)、ニッポンゴウセイ社製)10gの比率で製造し、当該混合物を80℃まで1時間加熱し、透明で粘稠な溶液を製造した。アエロジル200をAH−26 PVA溶液に添加し、シリカを含有する10重量%バインダーの分散液を得た。当該溶液を水の添加により4重量%全固形分まで希釈した。
【0115】
比較実施例13はPET上に上記アルミナ分散液の被膜を有しており、実施例13は上記アルミナにシリカ/PVA分散液による保護被膜フィルムを有していた。
【0116】
【表8】

【0117】
表8の結果より、アルミナ吸油性層は、シリカ/PVAバインダーによる保護被覆後、多孔性を残していることが示されている。比較実施例13のアルミナ層は正の摩擦帯電値をもたらし、実施例13のシリカ保護被膜試料は負帯電性トナーに対して負の摩擦帯電値をもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の部材を含む静電式複写装置;
静電潜像を形成するための1次像形成部材;
前記潜像にトナー粒子を適用することにより、現像されたトナー像を形成するための現像ステーション;
前記現像トナー像を1次像形成部材から受像体へ転写させるための転写ステーション;
前記現像トナー像を受像体へ定着させることにより、受像体上に融着されたトナー像を形成するための融着装置;および
前記受像体を融着装置へまたは融着装置から搬送するための無端状搬送部材であって、負帯電トナー粒子との接触により正に摩擦帯電する吸油性多孔質層を支持する支持体および負帯電トナー粒子との接触により正に摩擦帯電しない多孔質保護被膜最外層を含む搬送部材。
【請求項2】
吸油性多孔質層が、0.5ミクロン未満の平均分散粒径を有し、高分子バインダー中に分散されたガンマ−アルミナ粒子を含有する請求項1に記載の静電式複写装置。
【請求項3】
ガンマ−アルミナ粒子が0.3ミクロン未満の平均分散粒径を有する請求項2に記載の静電式複写装置。
【請求項4】
吸油性多孔質層が透明である請求項1に記載の静電式複写装置。
【請求項5】
吸油性多孔質層が高分子バインダー中に分散されたセラミック粒子を含有する請求項1に記載の静電式複写装置。
【請求項6】
吸油性多孔質層がガンマ−アルミナ粒子およびポリ(ビニルブチラール)を3:1〜20:1の重量比で含有する請求項1に記載の静電式複写装置。
【請求項7】
吸油性多孔質層を支持する支持体が連続ウェブループ、ドラム、およびローラーからなる群から選択される請求項1に記載の静電式複写装置。
【請求項8】
搬送部材が70°F/60%RHで5×1012Ω/sq以上の抵抗率を有する請求項1に記載の静電式複写装置。
【請求項9】
現像ステーションが複数の分離式現像装置を含み、フルカラー画像の複写を可能にする請求項1に記載の静電式複写装置。
【請求項10】
前記複写装置が両面印刷に適合される請求項1に記載の静電式複写装置。
【請求項11】
搬送部材がポリエチレンテレフタレート支持体を含む請求項1に記載の静電式複写装置。
【請求項12】
多孔質保護被膜最外層がシリカ粒子を含む請求項1に記載の静電式複写装置。
【請求項13】
多孔質保護被膜最外層がポリジメチルシロキサンをさらに含む請求項12に記載の静電式複写装置。
【請求項14】
保護被膜がフルオロ界面活性剤をさらに含む請求項12に記載の静電式複写装置。
【請求項15】
フルオロ界面活性剤がゾニル(ZONYL)FSNである請求項14に記載の静電式複写装置。
【請求項16】
搬送部材が70°F/60%RHで5×1012Ω/sq以上の表面抵抗率を有する請求項14に記載の静電式複写装置。
【請求項17】
1次像形成部材と共に動作するように連携された中間像転写部材をさらに含み、現像トナー像を1次像形成部材から受像体へ転写させる請求項1に記載の静電式複写装置。
【請求項18】
負帯電トナー粒子との接触により正に摩擦帯電する吸油性多孔質層を支持する支持体および負帯電トナー粒子との接触により正に摩擦帯電しない多孔質保護被膜最外層を含む無端状搬送部材。
【請求項19】
吸油性多孔質層が、0.5ミクロン未満の平均分散粒径を有し、高分子バインダー中に分散されたガンマ−アルミナ粒子を含有し、多孔質保護被膜最外層がシリカ粒子を含む請求項18に記載の搬送部材。
【請求項20】
保護被膜がフルオロ界面活性剤をさらに含む請求項19に記載の搬送部材。
【請求項21】
搬送部材が70°F/60%RHで5×1012Ω/sq以上の表面抵抗率を有する請求項18に記載の搬送部材。

【公表番号】特表2013−509615(P2013−509615A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536840(P2012−536840)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/052226
【国際公開番号】WO2011/053447
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】