説明

改善された放熱効率を有するCOF型半導体パッケージ

【課題】絶縁フィルム、金属パターン、表面絶縁層、半導体チップを備えるCOF型半導体パッケージを提供する。
【解決手段】金属パターンは、半導体チップ200と電気的に連結された回路パターン120、及び回路パターン120に対して電気的に絶縁された孤立パターン130から構成される。絶縁フィルム140に、孤立パターン130の一部を絶縁フィルム140の下面に露出させる放熱孔150が形成される。回路パターン120のうち一部は絶縁フィルム140上に延設されて、残りの回路パターン120に比べてその表面積が広くなるように構成された延長パターン125として構成される。半導体チップ200から発生した熱がその下部の孤立パターン130を介して基板の背面に放出されるので、孤立パターン130が放熱パッドとして機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体パッケージに関するもので、より詳細には半導体チップがフィルム上に付着したCOF(Chip−On−Film)型半導体パッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
COF型半導体パッケージはTCP(Tape Carrier Package)と比較してより薄いテープ配線基板を使用することができ、配線パターンを一層稠密に設計できる特徴を有している。特にCOF型半導体パッケージは外部接続端子としてソルダーボールの代わりにテープ配線基板上に形成された入出力端子パターンを使用し、入出力端子パターンを印刷回路基板やディスプレーパネルに直接付着して実装する。
【0003】
TCP技術は1980年代末に高解像度モニターの大量生産のために導入し、その後市場で最も好まれるパッケージング方法であった。しかし、半導体素子の微細ピッチ化による工程コストの低減及び収率の向上を図るために、1990年代末からはCOFパッケージング技術の市場で占める比率が順次増加している。しかし、高解像度を有するディスプレー装置を実現するためにTV、モニターなどの駆動周波数が60ヘルツ(Hz)に増加してからドライバー−ICの駆動負荷が上昇するようになり、これによってCOFパッケージング技術を適用する場合、IC(Integrated Circuit)チップの発熱問題が深刻に台頭している。
【0004】
前述した問題を解決するために、半導体チップが実装される配線フィルムの下面に放熱パッドを付着する方法が提案されている。例えば、図1に示すように、COF型半導体パッケージにおいて、柔軟性を有するフィルム11上に半導体集積回路が形成されたチップ18が接着剤(不図示)により付着されている。ここで、フィルム11は下部絶縁層10、リ―ド12及び表面絶縁層14が互いに積層して構成される。そして、下部絶縁層10の下部面上に、放熱パッド20が接着剤21により付着されている。このような構造のCOF型半導体パッケージにおいては、チップ18の動作により発生する熱がモールディング樹脂層16、リ―ド12及び下部絶縁層10を介して放熱パッド20に伝えられ、この放熱パッド20により外側に放熱される。
【0005】
前述した放熱パッド20が付着したCOF型半導体パッケージは放熱パッド20によってパッケージの厚さが増加して薄型化に不利である。また、チップから発生した熱が相異なる材料の構成要素、即ちモールディング樹脂層16、リ―ド12、下部絶縁層10及び放熱パッド20を介して放熱されるため、放熱効果が少ない。さらに、下部絶縁層10に接着剤21により付着される放熱パッド20は「A」部分のような角部分に集中的に作用する摩擦力のような外力によって下部絶縁層10から容易に剥離する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前述した従来技術の問題点を解決するためになされたもので、COF型半導体パッケージの放熱性能を向上し、且つ放熱パッドの剥離問題が発生しないCOF型半導体パッケージを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るCOF型半導体パッケージは、絶縁フィルム、前記絶縁フィルム上に形成された金属パターン、及び前記金属パターンを保護する表面絶縁層が順次積層されたテープ配線基板;及び前記テープ配線基板上に実装された半導体チップ;を含む。ここで、前記金属パターンは前記半導体チップと電気的に連結された回路パターン、及び前記回路パターンに対して電気的に絶縁された孤立パターンを含んで構成される。
【0008】
前記絶縁フィルムに、前記孤立パターンの一部を前記絶縁フィルムの下面に露出させる放熱放熱孔が形成される。
【0009】
前記孤立パターンに、前記チップの端子のうち熱発生を誘発する程度が他の端子に比べて大きい端子である発熱端子が連結される。前記発熱端子は、前記チップに駆動電源を供給するための電源供給端子を含む。
【0010】
前記孤立パターンに、前記チップの端子のうち接地端子を連結することができる。
【0011】
前記回路パターンのうち一部は、前記絶縁フィルム上に延設されて残りの前記回路パターンに比べてその表面積が広くなるように形成した延長パターンとして構成されることができる。
【0012】
前記絶縁フィルムに、前記延長パターンの一部を前記絶縁フィルムの下面に露出させる放熱孔が形成される。
【0013】
前記絶縁フィルムの下面に、放熱部が形成される。前記放熱部は、前記放熱孔を通じて前記絶縁フィルムの下面に露出した前記延長パターンと連結されて前記延長パターンを通じて伝えられた熱を外部に放熱させる。
【0014】
前記回路パターンは前記絶縁フィルム上の一方向に沿って線状に配置され、前記延長パターンは前記絶縁フィルム上の中央部位に向けて延在する。より具体的には、前記回路パターンは平行な二線をなすように配置され、前記延長パターンは前記二線の前記回路パターンからそれぞれ交互に延在する。
【0015】
前記延長パターンはその端部が他部位に比べて広い幅を有するように拡張された形状に形成される。
【0016】
前記放熱孔は前記延長パターンの前記端部に対応する位置に形成される。
【0017】
前記延長パターンのうち少なくともいずれか一つに、前記チップの端子のうち熱発生を誘発する程度が他の端子に比べて大きい端子である発熱端子が連結される。前記発熱端子は、前記チップに駆動電源を供給するための電源供給端子を含む。
【0018】
前記延長パターンのうち少なくともいずれか一つに、前記チップの端子のうち接地端子が連結される。
【0019】
前記チップの端子はバンプを介さず前記回路パターンに直接接触できる。
【0020】
本発明(1)は、
絶縁フィルム、前記絶縁フィルム上に形成された金属パターン、及び前記金属パターンを保護する表面絶縁層が順次積層されたテープ配線基板;及び
前記テープ配線基板上に実装された半導体チップ;を含み、
前記金属パターンが前記半導体チップと電気的に連結された回路パターン、及び前記回路パターンに対して電気的に絶縁された孤立パターンを含むことを特徴とするCOF型半導体パッケージである。
本発明(2)は、
前記絶縁フィルムに、前記孤立パターンの一部を前記絶縁フィルムの下面に露出させる放熱孔が形成されていることを特徴とする、本発明(1)に記載のCOF型半導体パッケージである。
本発明(3)は、
前記孤立パターンに、前記チップの端子のうち熱発生を誘発する程度が他の端子に比べて大きい端子である発熱端子が連結されることを特徴とする、本発明(1)または(2)に記載のCOF型半導体パッケージである。
本発明(4)は、
前記チップに駆動電源を供給するための電源供給端子を前記発熱端子が含むことを特徴とする、本発明(3)に記載のCOF型半導体パッケージである。
本発明(5)は、
前記孤立パターンに、前記チップの端子のうち接地端子が連結されることを特徴とする、本発明(1)または(2)に記載のCOF型半導体パッケージである。
本発明(6)は、
前記回路パターンのうち一部が、前記絶縁フィルム上に延設されて残りの前記回路パターンに比べてその表面積が広くなるように形成した延長パターンとして構成されることを特徴とする、本発明(1)に記載のCOF型半導体パッケージである。
本発明(7)は、
前記絶縁フィルムに、前記延長パターンの一部を前記絶縁フィルムの下面に露出させる放熱孔が形成されていることを特徴とする、本発明(6)に記載のCOF型半導体パッケージである。
本発明(8)は、
前記絶縁フィルムの下面に形成され、前記放熱孔を通じて前記絶縁フィルムの下面に露出した前記延長パターンと連結され、前記延長パターンを通じて伝えられた熱を外部に放熱させる放熱部をさらに含むことを特徴とする、本発明(7)に記載のCOF型半導体パッケージである。
本発明(9)は、
前記回路パターンが前記絶縁フィルム上の一方向に沿って線状に配置され、前記延長パターンが前記絶縁フィルム上の中央部位に向けて延在していることを特徴とする、本発明(6)に記載のCOF型半導体パッケージである。
本発明(10)は、
前記回路パターンが平行な二線をなすように配置され、前記延長パターンが前記二線の前記回路パターンからそれぞれ交互に延在していることを特徴とする、本発明(9)に記載のCOF型半導体パッケージである。
本発明(11)は、
前記延長パターンがその端部が他の部位に比べて広い幅を有するように拡張した形状に形成されることを特徴とする、本発明(6)ないし(10)のいずれか一発明のCOF型半導体パッケージである。
本発明(12)は、
前記放熱孔が前記延長パターンの前記端部に対応する位置に形成されることを特徴とする、本発明(11)に記載のCOF型半導体パッケージである。
本発明(13)は、
前記延長パターンのうち少なくともいずれか一つに、前記チップの端子のうち熱発生を誘発する程度が他の端子に比べて大きい端子である発熱端子が連結されることを特徴とする、本発明(6)ないし(10)のいずれか一発明のCOF型半導体パッケージである。
本発明(14)は、
前記チップに駆動電源を供給するための電源供給端子を前記発熱端子が含むことを特徴とする、本発明(13)に記載のCOF型半導体パッケージである。
本発明(15)は、
前記延長パターンのうち少なくともいずれか一つに、前記チップの端子のうち接地端子が連結されることを特徴とする、本発明(6)ないし(10)のいずれか一発明のCOF型半導体パッケージである。
本発明(16)は、
前記チップの端子がバンプを介さず前記回路パターンに直接接触することを特徴とする、本発明(6)ないし(10)のいずれか一発明のCOF型半導体パッケージである。
【発明の効果】
【0021】
前述した構造のCOF型半導体パッケージにおいては、半導体チップから発生した熱がその下部の孤立パターンを介して基板の背面に放出されるので、孤立パターンが放熱パッドとして機能できる。また、孤立パターンはテープ配線基板の内部に形成されるので、摩擦などの外力により剥離する恐れが全くない。
【0022】
また、孤立パターンは半導体チップの下部でチップ実装領域と重なるように配置されることができ、したがって半導体チップから発生する電磁波を減少させる付随的な効果が得られる。さらに、光から発生する紫外線(UV;Ultraviolet)により半導体チップの誤動作を引き起こす恐れがあるが、孤立パターンはこのような紫外線による干渉を遮断する役割も行うことができる。
【0023】
さらに、回路パターンのうち一部が絶縁フィルム上の剰余空間を利用して広い領域を占める延長パターンとして構成され、このような延長パターンが放熱孔を通じて絶縁フィルムの下面に露出することによって、延長パターンに接触されたチップの端子を通した放熱効果が増大する。さらに、電源供給端子のような発熱端子が延長パターンに接触するように構成することによって、放熱効果を一層高めることができ、接地端子を延長パターンに接触するように構成することによって、静電気防止効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】放熱パッドを備えた従来のCOF型半導体パッケージの断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るCOF型半導体パッケージの断面図である。
【図3】図2に示したCOF型半導体パッケージ用テープ配線基板の平面図である。
【図4】第1実施形態の変形例を示したCOF型半導体パッケージの断面図である。
【図5】図4に示したCOF型半導体パッケージ用テープ配線基板の平面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るCOF型半導体パッケージ用テープ配線基板の平面図である。
【図7】図6の断面図である。
【図8】第2実施形態の変形例を示した図面である。
【図9】第2実施形態のもう一つの変形例を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係るCOF型半導体パッケージの好ましい実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
第1実施形態
図2及び図3を通じて本発明の第1実施形態に係るCOF型半導体パッケージの構造を説明すれば次の通りである。
【0027】
本発明に係るCOF型半導体パッケージはテープ配線基板100の上部に半導体チップ200が実装された構造を有する。ここで、テープ配線基板100は柔軟性を有している絶縁フィルム110と、この絶縁フィルム110上に形成された金属パターン120、130と、金属パターン120、130を保護する表面絶縁層140から構成される。通常、絶縁フィルム110はポリイミドで構成され、金属パターン120、130は電気伝導度に優れた金属(例えば銅)で構成され、表面絶縁層140はレジスト(Resist)層として構成することができる。そして、所定の集積回路が形成された半導体チップ200は、このテープ配線基板100の上部にモールディング樹脂160により接着される。
【0028】
一方、テープ配線基板100に含まれた金属パターンは、半導体チップ200と電気的に連結される回路パターン120と、この回路パターン120に対して電気的に絶縁された孤立パターン130に区分される。ここで、回路パターン120上に、バンプ122が配設され、半導体チップ200の下面周りに形成された端子(不図示)がバンプ122を介して回路パターン120と電気的に連結される。
【0029】
また、孤立パターン130は半導体チップ200が実装される領域(図3の「CA」)を定義し、半導体チップ200はこの孤立パターン130と重なるように配置される。ここで、孤立パターン130は半導体チップ200及び回路パターン120とは電気的に完全に絶縁した状態であり、その上部に、モールディング樹脂160が注入されて半導体チップ200の下面が接着するようになる。
【0030】
図3はテープ配線基板100の平面図であって、半導体チップ200を実装する領域CAが露出した状態を示す。図3に示すように、チップ実装領域CAにほぼ重なる位置に孤立パターン130が形成され、その周囲に、多数の回路パターン120が孤立パターン130と所定の距離を置いて離間して絶縁した状態に形成される。さらに、パッケージ化した完成品においては、孤立パターン130と回路パターン120がモールディング樹脂160により電気的に絶縁した状態が安全に確保できる。
【0031】
前述した構造のテープ配線基板100及びCOF型半導体パッケージにおいては、半導体チップ200から発生した熱がその下部の孤立パターン130を介して基板の背面に放出される構造を有する。即ち、孤立パターン130は半導体パッケージの放熱パッドとして機能できる。半導体チップ200と孤立パターン130が互いに近接して配置されているので、半導体チップ200から発生した熱は大部分孤立パターン130に直接伝えられ、熱伝導度に優れた金属材料の孤立パターン130によって放熱が容易に行われる。
【0032】
また、前述した従来技術とは異なり、本発明で放熱パッドとして機能する孤立パターン130は、テープ配線基板100の内部に形成されるので、摩擦などの外力により剥離する恐れが全くない。さらに、孤立パターン130の周囲にモールディング樹脂160が形成されているので、テープ配線基板100を曲げて配置する場合にも、孤立パターン130と、この孤立パターン130の周辺に形成された回路パターン120との間の絶縁状態を安全に維持できる。
【0033】
さらに、孤立パターン130は半導体チップ200の下部にチップ実装領域CAと重なるように配置されるので、半導体チップ200から発生する電磁波を孤立パターン130の中心部に引き寄せて電気的な安全性と電磁波による干渉を減少させる付随的な効果が得られる。さらに、光から発生する紫外線により半導体チップ200の誤動作を引き起こす恐れがあるが、孤立パターン130はこのような紫外線による干渉を遮断する役割も行うことができる。
【0034】
図4及び図5には孤立パターン130の形成によるパッケージの放熱効果を極大化できる変形例を示す。この変形例を示した図4及び図5においては、図2及び図3の構成要素と同一の構成要素については同一の参照符号を付した。
【0035】
この変形例における半導体パッケージに、孤立パターン130とその下部に位置した絶縁フィルム110の一部を貫通する放熱孔150がさらに形成されている。これによって、孤立パターン130が絶縁フィルム110の下面に露出するので、半導体チップ200から発生した熱をさらに効果的に放出できる。この変形例においては、放熱孔150が絶縁フィルム110だけでなく、孤立パターン130まで延在している例を示したが、これとは異なり絶縁フィルム110の一部だけを除去した状態で形成することができる。
【0036】
第2実施形態
図6及び図7は本発明の第2実施形態を示す図面である。本実施形態においても前述した第1実施形態と同一の構成要素については同一の参照符号を付した。
【0037】
図6に示したように、一般的に回路パターン120は絶縁フィルム110上の一方向に沿って線状に配置され、特に大部分の回路パターン120は絶縁フィルム110上の長さ方向に沿って二線をなす形態で配置されている。このような回路パターン120のうち一部は絶縁フィルム110上に延設され、残りの回路パターン120に比べてその表面積が広くなるように形成した延長パターン125として構成される。延長パターン125は図6のように絶縁フィルム110上の中央部位に向けて延在することによって、回路パターン120が形成されていない絶縁フィルム110上の剰余空間を利用して延長パターン125が形成されるように構成される。
【0038】
絶縁フィルム110上において延長パターン125が形成されていない領域に、前述した第1実施形態と同一の概念の孤立パターン130が形成されている。したがって、本実施形態においては孤立パターン130と延長パターン125が共に形成される。延長パターン125は回路パターン120のうち一部が延在して構成されるので、回路パターン120と電気的に連結されており、孤立パターン130は延長パターン125が形成された領域を除いた領域に形成されることによって、回路パターン120と電気的に絶縁した状態を維持する。
【0039】
一方、図6に示したように、延長パターン125は回路パターン120をなす二線からそれぞれ交互に延在して形成される。即ち、第1の延長パターン125は図2の下側線状の回路パターン120のうちいずれか一つから上方に延長されて構成され、その右側の第2の延長パターン125は図2の上側線状の回路パターン120のうちいずれか一つから下方に延長されて構成される。このように上側線状の回路パターン120と下側線状の回路パターン120から交互に延長パターン125が形成される。また、延長パターン125はその端部が他部位に比べて広い幅を有するように拡張された形状に形成され、このために図2にはその端部が正方形に形成された形態を例示している。延長パターン125の端部が拡張された形状を有することは延長パターン125の面積をできるだけ広くするためであり、延長パターン125の形状は正方形に限定されるものではなく、例えば円板状などに形成することができる。
【0040】
図7に示したように、放熱孔150は絶縁フィルム110の板面を上下方に貫通するように形成され、この放熱孔150を通じて延長パターン125が絶縁フィルム110の下面に露出している。放熱孔150は、好ましくは延長パターン125が形成された領域に対応する位置に形成することによって、延長パターン125が絶縁フィルム110の下面に露出するように構成できるが、放熱孔150は必ず延長パターン125に対応して形成するものではなく、延長パターン125の以外に他の回路パターン120または孤立パターン130に対しても形成することができる。延長パターン125に対応する放熱孔150は、延長パターン125の正方形端部位置に形成することによって、できるだけ広い領域の延長パターン125部分が絶縁フィルム110の下面に露出するように構成されることが好ましい。
【0041】
一方、チップ200に形成された端子(不図示)はデータ通信のための端子、電源供給のための端子、接地のための端子などのような多様な用途の端子から構成され、このような用途の差に起因して全ての端子の発熱程度が同一ではない。例えば、電源供給端子は他の端子に比べて発熱が激しく、データ通信端子のうちで多量のデータ通信が行われる端子はほとんど使用しない端子に比べて発熱程度が激しくなる。したがって、このように他の端子に比べて発熱誘発程度が大きい発熱端子に対しては放熱の必要性がより大きくなるので、本発明においては、このような発熱端子を延長パターン125に連結し、残りの端子は延長パターン125以外に他の回路パターン120に連結させて構成される。このために、絶縁フィルム110上に装着されるチップ200の仕様に合せてチップ200の端子のうち発熱誘発端子、特に電源供給端子の位置に対応する回路パターン120が延長パターン125で構成されるように、個々のチップ200の仕様によって回路パターン120を変形して製作することが好ましい。
【0042】
また、放熱問題の以外にも一般的にチップパッケージにおいては、ESD(Electro Static Diacharge)を重要な問題に考えている。チップ200から発生する静電気を効果的に防止することによって、チップの誤動作と故障を防止しなければならない。静電気を防止する方法のうち一つとしてチップ200の端子のうち接地端子に接触する回路パターン120の面積を増加させる方法を考えることができる。このような点に着目して本発明においては、接地端子が延長パターン125に接触するように構成される。このような構成の同様にチップ200の仕様を通じて接地端子の位置を把握し、接地端子が接触する位置の回路パターン120を延長パターン125として構成されることによって、実現可能である。
【0043】
このような構成を有する本発明によれば、回路パターン120のうち一部が絶縁フィルム110上の剰余空間を利用して広い領域を占める延長パターン125として構成されることによって、延長パターン125に接触したチップ200の端子を通した放熱効果が増大する。特に、延長パターン125が並んだ二列の線状に配置した回路パターン120から交互に延在するように構成され、延長パターン125の端部を側傍に拡張した形態に形成することによって、延長パターン125が占める全体領域を増加させて放熱効果を一層高めることができる。また、延長パターン125が形成された領域に対して絶縁フィルム110上に放熱孔150を形成することによって、延長パターン125に伝えられたチップ200の熱が絶縁フィルム110の下側に効果的に放出できるようになる。
【0044】
さらに、チップ200の電源供給端子などのような発熱端子が延長パターン125に接触するように構成されることによって、放熱効果を一層高めることができ、チップ200の接地端子が延長パターン125に接触するように構成されることによって、静電気防止効果もやはり高めることができる。
【0045】
図8は本発明の第2実施形態の変形例を示す図面である。この変形例においては絶縁フィルム110の下面に追加の放熱部128が形成されている点を除いて、他の構成は図6及び図7の実施形態と同様である。放熱部128は放熱孔150を通じて絶縁フィルム110の下面に露出した回路パターン120(より正確には延長パターン125)に連結され、回路パターン120を通じて伝えられた熱を外部に放熱させる機能を行う。前述したように放熱孔150を通じて絶縁フィルム110の下面に露出する回路パターン120は延長パターン125であるので、放熱部128に連結された回路パターン120は延長パターン125である。放熱部128は回路パターン120と同一の材料で製作でき、または放熱効果などを考えて他の材料で製作することができる。
【0046】
孤立パターン130もやはり放熱孔150を通じて放熱部128に連結することができる。この場合には回路パターン120と孤立パターン130との間に短絡が生じないように、互いに区画した多数の放熱部128をそれぞれのパターン120、130に連結することが好ましい。回路パターン120の間にも短絡が生じないように互いに区画した多数の放熱部128を各回路パターン120に連結するように構成される。しかし、回路パターン120のうち互いに短絡しても構わない回路パターン120が存在する場合には、これらに対応する放熱部128を互いに連結しても構わない。
【0047】
このような構造によれば、放熱部128により絶縁フィルム110の下面に露出した領域が増加するので、延長パターン125を通した放熱効果がさらに増加する。
【0048】
一方、COFパッケージは終局的にはチップ200を必要とする外部ディバイスの機構的構造物260、例えばLCDのような装置内のLCM(Liquid Crystal Module)上に装着される。このような機構的構造物上にCOFパッケージを装着する際、時図8に示したように放熱部128が構造物260の表面に接触するように装着することによって、放熱部128を通した放熱の効果を顕著に増加させることができる。
【0049】
図9は第2実施形態のもう一つの変形例を示した図面である。この変形例では図6及び7の実施形態と比較する時バンプ122が存在しない点を除いては実質的に同様であり、これによって他の構成要素についての具体的な説明は省略する。本実施形態においてチップ200の端子はバンプ122を介さず回路パターン120に直接接触している。このようにチップ200の端子と回路パターン120を直接連結する場合、チップ10の下面が回路パターン120及び孤立パターン130に最大限密着し、それによる放熱効果がさらに増加する。
【0050】
一方、前述した第2実施形態において、チップの発熱端子または接地端子が延長パターン125のうち少なくともいずれか一つに連結される構成は、第1実施形態に対しても類似の方式で適用することができる。即ち、第1実施形態において、チップ200の電源供給端子のような発熱端子を孤立パターン130に連結させることによって、放熱効果を高めることができ、またはチップ200の接地端子を孤立パターン130に連結させることによって、ESD防止効果を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように本発明のCOF型半導体パッケージにおいては、半導体チップから発生した熱がその下部の孤立パターンを介して基板の背面に放出されるので、孤立パターンが放熱パッドとして機能できる。また、孤立パターンはテープ配線基板の内部に形成されるので、摩擦などの外力により剥離する恐れが全くない。
【0052】
また、孤立パターンは半導体チップの下部でチップ実装領域と重なるように配置されることができ、したがって半導体チップから発生する電磁波を減少させる付随的な効果が得られる。さらに、光から発生する紫外線により半導体チップの誤動作を引き起こす恐れがあるが、孤立パターンはこのような紫外線による干渉を遮断する役割も行うことができる。
【0053】
さらに、回路パターンのうち一部が絶縁フィルム上の剰余空間を利用して広い領域を占める延長パターンとして構成され、このような延長パターンが放熱孔を通じて絶縁フィルムの下面に露出することによって、延長パターンに接触されたチップの端子を通した放熱効果が増大する。さらに、電源供給端子のような発熱端子が延長パターンに接触するように構成されることによって、放熱効果を一層高めることができ、接地端子が延長パターンに接触するように構成されることによって、静電気防止効果も得られる。従って、本発明の産業利用性はきわめて高いものといえる。
【0054】
一方、本明細書内で本発明をいくつかの好ましい実施形態によって記述したが、当業者ならば、添付の特許請求範囲に開示した本発明の範疇及び思想から外れずに、多くの変形及び修正がなされ得ることがわかるはずである。
【符号の説明】
【0055】
10 下部絶縁層
11 フィルム
12 リ―ド
14 表面絶縁層
16 モールディング樹脂層
18 チップ
20 放熱パッド
21 接着剤
100 テープ配線基板
110 絶縁フィルム
120 回路パターン
122 バンプ
125 延長パターン
128 放熱部
130 孤立パターン
140 表面絶縁層
150 放熱孔
160 モールディング樹脂
200 半導体チップ
260 機構的構造物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁フィルム、前記絶縁フィルム上に形成された金属パターン、及び前記金属パターンを保護する表面絶縁層が順次積層されたテープ配線基板;及び
前記テープ配線基板上に実装された半導体チップ;を含み、
前記金属パターンが前記半導体チップと電気的に連結された回路パターン、及び前記回路パターンに対して電気的に絶縁された孤立パターンを含むことを特徴とするCOF型半導体パッケージ。
【請求項2】
前記絶縁フィルムに、前記孤立パターンの一部を前記絶縁フィルムの下面に露出させる放熱孔が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のCOF型半導体パッケージ。
【請求項3】
前記孤立パターンに、前記チップの端子のうち熱発生を誘発する程度が他の端子に比べて大きい端子である発熱端子が連結されることを特徴とする、請求項1または2に記載のCOF型半導体パッケージ。
【請求項4】
前記チップに駆動電源を供給するための電源供給端子を前記発熱端子が含むことを特徴とする、請求項3に記載のCOF型半導体パッケージ。
【請求項5】
前記孤立パターンに、前記チップの端子のうち接地端子が連結されることを特徴とする、請求項1または2に記載のCOF型半導体パッケージ。
【請求項6】
前記回路パターンのうち一部が、前記絶縁フィルム上に延設されて残りの前記回路パターンに比べてその表面積が広くなるように形成した延長パターンとして構成されることを特徴とする、請求項1に記載のCOF型半導体パッケージ。
【請求項7】
前記絶縁フィルムに、前記延長パターンの一部を前記絶縁フィルムの下面に露出させる放熱孔が形成されていることを特徴とする、請求項6に記載のCOF型半導体パッケージ。
【請求項8】
前記絶縁フィルムの下面に形成され、前記放熱孔を通じて前記絶縁フィルムの下面に露出した前記延長パターンと連結され、前記延長パターンを通じて伝えられた熱を外部に放熱させる放熱部をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載のCOF型半導体パッケージ。
【請求項9】
前記回路パターンが前記絶縁フィルム上の一方向に沿って線状に配置され、前記延長パターンが前記絶縁フィルム上の中央部位に向けて延在していることを特徴とする、請求項6に記載のCOF型半導体パッケージ。
【請求項10】
前記回路パターンが平行な二線をなすように配置され、前記延長パターンが前記二線の前記回路パターンからそれぞれ交互に延在していることを特徴とする、請求項9に記載のCOF型半導体パッケージ。
【請求項11】
前記延長パターンがその端部が他の部位に比べて広い幅を有するように拡張した形状に形成されることを特徴とする、請求項6ないし10のいずれか一項に記載のCOF型半導体パッケージ。
【請求項12】
前記放熱孔が前記延長パターンの前記端部に対応する位置に形成されることを特徴とする、請求項11に記載のCOF型半導体パッケージ。
【請求項13】
前記延長パターンのうち少なくともいずれか一つに、前記チップの端子のうち熱発生を誘発する程度が他の端子に比べて大きい端子である発熱端子が連結されることを特徴とする、請求項6ないし10のいずれか一項に記載のCOF型半導体パッケージ。
【請求項14】
前記チップに駆動電源を供給するための電源供給端子を前記発熱端子が含むことを特徴とする、請求項13に記載のCOF型半導体パッケージ。
【請求項15】
前記延長パターンのうち少なくともいずれか一つに、前記チップの端子のうち接地端子が連結されることを特徴とする、請求項6ないし10のいずれか一項に記載のCOF型半導体パッケージ。
【請求項16】
前記チップの端子がバンプを介さず前記回路パターンに直接接触することを特徴とする、請求項6ないし10のいずれか一項に記載のCOF型半導体パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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