説明

改善された溶解特性および応力特性を有する水溶性フィルムならびにそれにより作製されたパケット

第1の組成物を含有する少なくとも1種類の密封区画をもつパウチを開示する。前記少なくとも1種類の密封区画の少なくとも1つの壁は、任意の好適な厚さをもつ水溶性フィルムから作製される。前記水溶性フィルムは、約76ミクロンの厚さを持つ場合にかかるフィルムが約620〜約920、または約665〜約920、または約710〜約920の溶解指数;および約145〜約626、または約155〜約480、または約165〜約325の応力指数をもつことを特徴とするように、PVOHポリマーを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
いずれも2010年1月29日に出願された米国特許仮出願第61/299,836号および第61/299,834号に対する優先権の利益が主張されており、それぞれが参照により全体として本明細書中に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、一般には、水溶性フィルムおよび水溶性フィルムを含むパウチに関する。さらに具体的には、本開示は、良好な冷水溶解度、濡れ手耐湿性(wet hand moisture resistance)、および機械的性質を含む所望の特性を持つ水溶性フィルムおよび水溶性フィルムを含むパウチに関する。
【背景技術】
【0003】
水溶性ポリマーフィルムは、送達する材料の分散、流し込み、溶解、および計量供給を簡略にするための包装材としてよく用いられる。例えば、水溶性フィルムで作られたパウチは、洗濯または食器洗い用の洗剤などの家事用組成物の包装によく用いられる。消費者は、バケツ、シンク、または洗濯機などの撹拌槽に、パウチ状の(pouched)組成物を直接添加することができる。都合の良いことに、これが正確な計量供給を提供するとともに、消費者の組成物計量の手間を省く。また、パウチ状の組成物は、例えば瓶から液状洗剤を注ぐ際など、同様の組成物を容器から分注する際に起こりがちな散乱も少なくする可能性がある。要するに、予め計量した可溶性ポリマーフィルムのパウチは、さまざまな用途での消費者の利便性を提供する。
【0004】
近年市販されるパウチの製作に用いられる水溶性ポリマーフィルムのあるものは、洗濯サイクルの間に溶解し、洗濯中の洗濯物にフィルムの残渣を残す場合がある。このような問題は、例えばパウチが冷水中、例えば5℃程度の冷水中で用いられる場合のような応力条件下の洗濯に用いられる場合に特に起こりやすいと思われる。とりわけ、環境問題とエネルギー経費が、消費者の欲求を冷たい水での洗濯へと駆り立てている。
【0005】
あるいは、冷水中で完全に溶解する水溶性ポリマーフィルムは、消費者市場向けにパウチを製造するには水分と湿気に対して敏感すぎる可能性もある。例えば、ぬれた手でパウチを扱ったことによる高度の湿気または水滴によって、可溶性パウチがくっつき合い、および/またはパケットを通して溶け出し、パウチの中身が漏れる原因となることもある。
【0006】
ポリビニルアルコール系ポリマーを含む一部のフィルムで製作されたパウチは、上述の問題にある程度うまく対処することができた。しかしながら、これらのパウチの有効寿命について、一部のポリビニルポリマーフィルムの冷水溶解度は、特定の洗剤組成物と接触したときに低下する可能性がある。理論に縛られるわけではなく、フィルムとパウチ内の組成物との間の化学的な相互作用によって、フィルムの可溶度が低下すると考えられている。そのため、これらのパウチが古くなるにつれて、冷水による洗濯サイクルの間に溶解性が不十分になり、洗濯中の洗濯物にフィルムの残滓が残る可能性がある。
【0007】
ポリビニルアルコール系ポリマー以外のポリマーを含む水溶性フィルムで作られたパウチは、上述の問題にそれぞれうまく対処できない可能性がある。例えば、デンプンおよび/またはセルロース誘導体を含む高分子フィルムは、良好な濡れ手耐湿性を提供する可能性がある。しかし、良好な冷水溶解度を得るには、このようなフィルムをきわめて薄くする必要があるため、加工性に係る性質を含めて、その機械的性質が損なわれる可能性がある。また、デンプンおよび/またはセルロース誘導体を含むフィルムは、同じような厚さのポリビニルアルコール系ポリマーを含むフィルムと比べて機械的な伸縮性または伸びに欠けることを考えると、加工しやすいとはとても言えない。
【0008】
そのため、古くなった場合でさえも十分な冷水溶解度、濡れ手耐湿性、および、十分な加工性を含むがこれに限定されない機械的性質という所望の特性を有する水溶性フィルムを含むパケットが、依然として必要とされる。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、特性の新規の組み合わせを持つ水溶性フィルムを提供することにより、前述の問題の各々を対処する手段を提供する。これらの特性はそれぞれ以下のように定量化される。
【0010】
冷水溶解度は、フィルムの溶解時間として定量化される。溶解時間は開示されたスライド溶解試験を用いて測定される。
【0011】
濡れ手耐湿性は、フィルムの水分および湿気に対する感度、すなわちフィルムの湿潤時取扱い特性(wet-handling characteristic)により定量化される。濡れ手耐湿性は、以下に記載の破裂強度を用いて測定される。
【0012】
これら2つの物理的特性を組み合わせてフィルムの溶解指数を提供する。これらのパラメータはそれぞれ消費者の経験の様々な局面、すなわち洗濯された衣類のパウチ残渣や濡れた手に付着することによるパウチ同士の接着に関連するため、これらは、等式(1):
(1)溶解指数=7×(溶解時間)+(破裂強度)
で定義される溶解指数に利用される等式において、異なる重要性をもつ。
【0013】
フィルムの機械的性質は、100%伸び率でのその応力とその最大抗張力により定量化される。これらの数量はASTM D882、「薄い可塑性シートの引っ張り特性に関する標準試験方法(Standard Test Method for Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting)」を用いて測定される。
【0014】
これらの2種類のフィルム機械的性質を組み合わせて、以下の等式(2):

(2)応力指数=(100%伸び率での応力)×(最大抗張力)
により定義されるフィルムの応力指数を提供する。
【0015】
理論に束縛されることを望まないが、非常に高い、すなわち約920を超える溶解指数をもつフィルムは使用中に十分に溶解しないパウチを提供する場合があると考えられている。一方で、非常に低い、すなわち約620未満の溶解指数を持つフィルムは、水分および湿気に対し過度な感度を示すパウチを消費者市場に提供する場合があると考えられている。さらに、非常に高い、すなわち約626の応力指数を持つフィルムは、空洞に成形することが困難であるためパウチに加工することが難しい場合があると考えられている。一方で、非常に低い、すなわち約145未満の応力指数を持つフィルムは、パウチに加工中にピンホールを形成しやすい場合があると考えられている。
【0016】
本開示によるパウチは、第1の組成物を含有する少なくとも1つの密封区画を持ち、前記少なくとも1つの密封区画のうち少なくとも1つの壁が任意の適切な厚さを持つ水溶性フィルムから作られる。前記水溶性フィルムは、フィルムの厚さが約76ミクロン(μm)である場合に、(a)溶解指数が約620〜約920、または約665〜約920、または約710〜約920であり;かつ(b)応力指数が約145〜約626、または約155〜約480、または約165〜約325である特徴を持つように、1種類以上のポリビニルアルコール(PVOH)ポリマーを含む。
【0017】
本開示は、添付の図面を参照することにより、より簡単に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、フィルム試料の水中の分解時間および水溶解時間を測定するために使用される試験装置の斜視図である。
【図2】図2は、フィルム試料の水溶解度を測定するための試験装置と手順を例示する試験構成の斜視図である。
【図3】図3は、図2の試験構成の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
本明細書で使用される「含む(Comprising)」は、様々な区画、成分、または段階が本開示を実施する際に相まって利用され得ることを意味する。したがって、「含む」という用語は、より限定的な用語「から基本的に成る(consisting essentially of)」および「から成る(consisting of)」を包含する。本開示の組成物は、本明細書に記載の必要とされかつ任意の要素のいずれをも含み得、これらから本質的になり得るか、またはこれらからなり得る。
【0020】
本明細書で使用される「古い(Aged)」フィルムは、消費者の実際の使用経験、すなわち製品の製造、輸送、および消費者の自宅での保管から製品の使用までを表す長期間にわたり、液体および/または粉末組成物に曝されている(または接触している)フィルムを意味する。試験用にフィルムを老朽化させる方法を以下に詳述する。
【0021】
本明細書で使用される「新しい(Fresh)」フィルムは、典型的な消費者の洗浄剤用に、液体または粉末組成物に曝されていないフィルムを意味する。このフィルムは、典型的なフィルムの輸送および/または製造工場での保管により、環境大気湿度に曝されている。
【0022】
本明細書に使用される「液体」には、ペースト、液体、ゲル、発泡体、およびムースが含まれる。液体の限定されない例としては、軽質または重質の液状洗剤組成物、布地増強剤、硬表面洗浄用組成物、洗濯および食器洗いによく用いられるゲル洗剤、漂白および洗濯用添加剤、シャンプー、ボディーソープ、および他のパーソナルケア用組成物が含まれる。気体(例えば懸濁気泡、または固体、例えば粒子)が、液体内部に含まれ得る。
【0023】
本明細書に使用される「固体」には、粉末、集塊、またはその混合物が含まれる。固体の限定されない例としては、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、およびパールボール(pearlised ball)が挙げられる。固体、例えば固形組成物は、洗浄面の有益性、前処理面の有益性、および/または美的な効果を提供する可能性があるが、これに限定されるものではない。
【0024】
本明細書で使用される「布地ケア有益剤(Fabric care benefit agent)」は、材料の十分な量が衣類/布地に存在する場合に、布地の柔軟性、着色防止、毛玉/ケバの減少、摩耗防止、しわ防止などの布地ケアの有益性を衣類、布地、特に木綿および木綿を多く含む衣類上に提供し得るあらゆる材料を意味する。布地ケア有益剤の非限定的な例として、陽イオン性界面活性剤、シリコン類、ポリオレフィンワックス類、ラテックス類、油性の糖誘導体、陽イオン性多糖類、脂肪酸、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0025】
本明細書に使用される「沈着補助剤(Deposition aid)」は、洗濯中の布地に布地ケア有益剤の付着を十分に増進させる任意の陽イオン性ポリマーまたは陽イオン性ポリマーの組み合わせを意味する。
【0026】
別の指定のない限り、百分率、部、比率の全ては、本開示のフィルム組成物の総乾燥質量またはパケット内容組成物の総重量に基づき、かつ測定はすべて約25℃で実施した。別の指定のない限り、掲載された成分に係わる質量はすべて活性レベルに基づくものであるため、市販の材料に含まれている可能性のある担体または副産物を含まない。
【0027】
本明細書に記載の全ての数的範囲は、その範囲内のそれぞれ個々の数値を包含すること、および記載されたその範囲の上限および下限を包含することを意味する。
【0028】
本明細書に記載の寸法(dimension)および値(value)は、列挙された正確な数値に対して厳密に制限されると解釈されない。むしろ別の指定のない限り、そのような寸法のそれぞれは、列挙した値とその値前後の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図される。例えば、「40mm」と記載された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0029】
本明細書に記載のパウチは、水溶性フィルムを含む。水溶性フィルム、水溶性フィルムを含むパウチ類、パウチ類(すなわち「パウチ組成物」)とともに含まれる組成物、パウチ用の包装、およびパウチを利用する洗浄工程を本明細書の以下に記載する。
【0030】
本明細書において、パケット(複数可)およびパウチ(複数可)という用語は置き換え可能と考えなければならない。ある特定の実施形態において、パケット(複数可)およびパウチ(複数可)という用語は、それぞれ、前記フィルムを用いて製作された容器、および好ましくは中に材料を入れて密封した、例えば一定用量送達システムのような形の密封容器を指すために用いられる。密封パウチは、ヒートシール、溶媒接着、および接着密封(例えば、水溶性接着剤を用いて)などのプロセスおよび特徴を含む任意の適切な方法で製作することができる。
【0031】
水溶性フィルム
本明細書に記載のパウチは水溶性フィルムを含む。水溶性フィルムは1種類以上のPVOHポリマーを含むPVOH樹脂を全体で約50質量%を含む。フィルムは、そのフィルムが約76ミクロン(μm)の厚さを持つ場合に(a)約620〜約920、または約665〜約920、または約710〜約920の溶解指数;および(b)約145〜約626、または約155〜約480、または約165〜約325の応力指数であることを特徴とするように、任意の適する厚さを持ち得る。フィルムは以下の特性のうち任意の1つ以上を持ち得る:
【0032】
本明細書に記載のフィルムは、1つ以上のポリビニルアルコール(PVOH)ポリマーを含み、フィルムのPVOH樹脂分を構成する。本明細書の教示によって、1つまたは複数のPVOHポリマーを選択またはブレンドし、水溶液中で溶解可能なフィルムなどの物品を創作することができる。高分子量PVOHポリマーは、残留湿気耐性が比較的良好であるものの、水溶性が低く、熱成形が難しいが、これはPVOHポリマーの温度感度に起因する面がある。低分子量PVOHポリマーは、冷水溶解度が良好であるが、残留湿気に対する反応性が高くて商業環境または消費者環境では機能せず、熱成形が難しいが、これは液体またはゲルを充填した場合のピンホールおよびそれに続く浸透に起因する面がある。
【0033】
ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルの通常は加水分解または鹸化と呼ばれるアルコール分解によって調製されるのが一般的な合成樹脂である。実質的にすべてのアセテート基がアルコール基に転換されて完全に加水分解されたPVOHは、強い水素結合で結ばれた高結晶質ポリマーであり、約140°F(約60℃)を超える熱水の中でのみ溶解する。ポリ酢酸ビニルの加水分解後に十分な数のアセテート基が残留している場合、つまり、PVOHの加水分解が部分的である場合は、ポリマーの水素結合が弱くなり、結晶性が低くなり、一般に約50°F(約10℃)の冷水に溶解する。そのようなものとして、部分的に加水分解されたPVOHポリマーはビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマー、つまりPVOHコポリマーである。そのため、上述の組成物には、部分的に加水分解された1種類以上のPVOHコポリマーが用いられる。
【0034】
フィルムの総PVOH樹脂分の加水分解度は、最低でも80%、84%、または85%、そして最高でも92%、90%、89%、88%、または87%、例えば、約84%〜約90%、または85%〜88%の範囲、または86.5%であってよい。本明細書において、加水分解度は、ビニルアルコール単位に変換された酢酸ビニル単位の百分率として表される。
【0035】
PVOHポリマーの粘度(μ)は、調整したばかりの溶液を、British Standard EN ISO 15023−2:2006 Annex E Brookfield Test Methodに記載のUVアダプタ付Brookfield LV型粘度計を用いて測定することによって決定する。20℃での4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度を記載するのが国際慣行である。別の指定のない限り、本明細書にセンチポアズ(cP)で指定された粘度はすべて、20℃での4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度を表わすと理解しなければならない。同様に、ある樹脂が特定の粘度を有する(または有さない)と記載されている場合は、別の指定のない限り、指定された粘度が、対応する分子量分布を本質的に有する樹脂の平均粘度である。PVOH樹脂に応じて、樹脂の多分散指数(PDI)は約1.5〜約5、またはそれを超える範囲であってもよい。市販PVOHポリマーのPDIは通常約1.8〜約2.3の範囲であり、一般的な市販PVOHポリマーは、1.7まで低く、2.9まで高いPDIを有してもよい。このような市販PVOHポリマーは、指定された公称粘度および指定された加水分解度に基づいて区別するのが一般的であり、例えば、MOWIOL13−88は、指定された公称粘度が13cP、指定された加水分解度が88%である。
【0036】
PVOH樹脂は、粘度平均が最低でも約13.5cP、14cP、15cP、16cP、または17cP、そして最高でも約20cP、19cP、18cP、17.5cP、例えば、約13.5cP〜約20cP、または約14cP〜約19cP、または約16cP〜約18cP、または約17cP〜約17.5cPの範囲であってよい。PVOH樹脂の粘度がPVOH樹脂の平均分子量
【化1】

と相関していることは、当技術分野では周知であり、粘度は
【化2】

の代用としてよく用いられる。従って、本明細書に開示される水溶性フィルムの性能または特性にPVOH樹脂の粘度変化が及ぼす影響に関する本開示の教示は、同じ特性にPVOH樹脂の
【化3】

の変化が及ぼす影響にも相応に適応される。
【0037】
通常、市販されるPVOH樹脂の多分散指数(PDI)値は約1.8〜約2.2である。本明細書で用いる総PVOH樹脂分は、最低でも1.3、1.5、1.8、2、2.5、3、かつ最高でも6、5.5、5、4.5、4、3.5、例えば、約1〜約5、または約2〜約4.5の範囲、または約2.5〜約4の範囲であってよい。
【0038】
PVOHポリマーの混合物
PVOH樹脂はPVOHポリマーの混合物を含むこともできる。例えば、PVOH樹脂は少なくとも2種類のPVOHポリマーを含み、本明細書においては、第1のPVOHポリマーの粘度が第2のPVOHポリマーの粘度より少なくてもよい。第1のPVOHポリマーの粘度が、最低でも約8cP、10cP、12cP、または13cP、および最高でも約40cP、20cP、15cP、または13cPであってよく、例えば、約8cP〜約40cP、または約10cP〜約20cP、または約10cP〜約15cP、または約12cP〜約14cPの範囲、または13cPであってもよい。また、第2のPVOHポリマーの粘度が、最低でも約10cP、20cP、または22cP、かつ最高でも約40cP、30cP、25cP、または24cPであってよく、例えば、約10cP〜約40cP、または20〜約30cP、または約20〜約25cP、または約22〜約24の範囲、または23cPであってもよい。
【0039】
総PVOH樹脂分の加水分解度が本明細書に記載の範囲内である限り、個々のPVOHポリマーは任意の適切な加水分解度であってよい。
【0040】
PVOH樹脂は、重量平均分子量
【化4】

が約50,000〜約300,000ドルトンまたは約60,000〜約150,000ドルトンの範囲にある第1のPVOHポリマー、および
【化5】

が約60,000〜約300,000ドルトン、または約80,000〜250,000ドルトンの範囲にある第2のPVOHポリマーを、追加または代替で任意に含んでもよく;
【0041】
PVOH樹脂は、粘度が約10〜約40CPの範囲であり、かつ加水分解度が約84%〜約92%の範囲である1以上のさらなるPVOHポリマーを、さらに含んでもよい。
【0042】
PVOH樹脂に含まれる第1のPVOHポリマーの平均粘度が約11cP未満、かつ多分散指数が約1.8〜約2.3の範囲である場合に、一つの実施形態では、PVOH樹脂が含有する第1のPVOHポリマーは約30質量%未満である。同様に、PVOH樹脂は
【化6】

が約70,000ドルトン未満のPVOHポリマーを、約30質量%未満含有する。
【0043】
PVOH樹脂は、本明細書に記載のフィルムの総PVOH樹脂分のうち、第1のPVOHポリマーを約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90質量%、そして第2のPVOHポリマーを約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90質量%含むことができ、例えば、第1のPVOHポリマーを約30〜約85質量%、または、第1のPVOHポリマーを約45〜約55質量%含むことができる。例えば、PVOH樹脂はそれぞれのPVOHポリマーを約50質量%ずつ含有することができ、ここで、第1のPVOHポリマーの粘度は約13cPであり、第2のPVOHポリマーの粘度は約23cPである。
【0044】
一つの実施形態は、粘度が約10〜約15cPの範囲であり、加水分解度が約84%〜約92%の範囲である第1のPVOHポリマーを約40〜約85質量%含むPVOH樹脂を特徴とする。別の種類の実施形態は、粘度が約10〜約15cPの範囲であり、加水分解度が約84%〜約92%の範囲である第1のPVOHポリマーを約45〜約55質量%含むPVOH樹脂を特徴とする。PVOH樹脂は、粘度が約20〜約25cPの範囲であり、加水分解度が約84%〜約92%の範囲である第2のPVOHポリマーを約15〜約60質量%含むことができる。企図される1つのクラスの実施形態は、第2のPVOHポリマーを約45〜約55%含むPVOH樹脂を特徴とする。
【0045】
PVOH樹脂に複数のPVOHポリマーが含まれる場合は、PVOH樹脂のPDI値が、含まれるいずれのPVOHポリマーのPDI値よりも大きい。任意で、PVOH樹脂のPDI値は、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.5、または5.0である。
【0046】
フィルムの組成
水溶性フィルムは、全体で、最低でも約50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、70質量%、75質量%、80質量%、85質量%、90質量%のPVOHポリマーを含有する。
【0047】
PVOH樹脂の選択に当たっては、PDI値が約2より大きく、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、または5.0のPVOH樹脂を選ぶことが望ましい;例えば、PVOH樹脂のPDI値は、樹脂に含まれるいずれのPVOHポリマーのPDI値よりも大きくてよい。
【0048】
また、加重平均加水分解度
【化7】

が約80〜約92%、または約83〜約90%、または約85〜約89%であるPVOH樹脂を選ぶことが望ましい。
【化8】

は、
【数1】

の式で算出し、ここで、WiはそれぞれのPVOHポリマーの質量部分であり、Hiはそれぞれの加水分解度である。
【0049】
さらに、加重対数粘度平均
【化9】

が約10〜約25、または約12〜約22、または約13.5〜約20であるPVOH樹脂を選ぶのが望ましい。
【化10】

は、
【数2】

の式によって算出し、ここで、μiはそれぞれのPVOHポリマーの粘度である。
【0050】
さらにまた、樹脂選択指数(Resin Selection Index)(RSI)が0.255〜0.315、または0.260〜0.310、または0.265〜0.305、または0.270〜0.300、または0.275〜0.295、好ましくは0.275〜0.300の範囲であるPVOH樹脂を選ぶのが望ましい。RSIは、
【数3】

の式によって算出し、ここで、μtは17であり、μiはそれぞれのPVOHポリマーの各平均粘度であり、そしてWiはそれぞれのPVOHポリマーの質量部分である。
【0051】
任意で、水溶性フィルムは1層または類似の複数の層から成る独立したフィルムである。水溶性フィルムはさらに任意で、基本的にPVOH樹脂ならびに本明細書に記載の可塑剤および添加剤から成ってもよく、かつ溶解度、熱成形性能、または可溶度と熱成形性能との両方に影響を及ぼすような他のフィルム層から、基本的に自由であってもよい。
【0052】
フィルムのPVOH樹脂部分は、基本的にPVOHポリマーから成り得るか、または完全にPVOHポリマーから成り得る。水溶性フィルムはまた、PVOHポリマーに加えてフィルム形成ポリマーも含むことができる。このような添加ポリマーは、フィルムの総質量に基づいて、約0.1〜約40%、または約1〜30%の質量パーセントでフィルムに存在することができる。限定されない例としては、デンプン、セルロース系材料、スルホポリエステル、およびその混合物が挙げられる。さらなる限定されない例としては:ポリアルキレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸および塩、ポリアミノ酸もしくはペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプンおよびゼラチンをはじめとする多糖類、キサンタンなどの天然ゴム、およびカラゲーニンが挙げられる。
【0053】
水溶性フィルムは、可塑剤、潤滑剤、剥離剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、抗酸化剤、粘着防止剤(detackifying agent)、消泡剤、層状ケイ酸塩型ナノ粘土などのナノ粒子(例えば、ナトリウムモンモリロナイト)、漂白剤(例えば、重亜硫酸ナトリウム、他)、および他の機能性成分などであるがこれに限定されない他の補助剤および加工剤を、意図されるその目的に適した量で含有することができる。可塑剤を含む実施形態が好ましい。かかる薬剤の量は、個別にまたは合わせて、約50質量%まで、約20質量%まで、または15質量%まで、または約10質量%まで、または約5質量%まで、例えば4質量%までであってもよい。
【0054】
可塑剤としては、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、400MWまでのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、エタノールアミン、およびその組み合わせが挙げられるが、これに限定はされない。好ましい可塑剤は、グリセリン、ソルビトール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、またはその組み合わせである。可塑剤の総量は、約1質量%〜約40質量%、または約10質量%〜約40質量%、または約15質量%〜約35質量%、または約20質量%〜約30質量%の範囲、例えば約25質量%であってよい。グリセリン、プロピレングリコール、およびソルビトールの組み合わせを用いることもできる。任意で、グリセリンを約5質量%〜約30質量%、または約5質量%〜約20質量%、例えば13質量%の量で用いることもできる。任意で、プロピレングリコールを約1質量%〜約20質量%、または約3質量%〜約10質量%、例えば約6質量%の量で用いることもできる。任意で、ソルビトールを約1質量%〜約20質量%、または約2質量%〜約10質量%、例えば約5質量%の量で用いることもできる。
【0055】
水溶性フィルムはさらに、カールフィッシャー滴定で測定した残留湿気量が、最低でも4質量%、例えば約4〜約10質量%の範囲であってよい。
【0056】
本発明のさらなる具体的な実施形態として、以下の表1の個々のセルに提示されているように平均加水分解度、加重ログ平均粘度、および樹脂選択指数を組み合わせたものを持つフィルムが挙げられる。
【0057】
【表1】

【0058】
フィルムの作製方法
予定される一つのクラスの実施形態は、例えば、第1のPVOHポリマーと第2のポリマーとを混合し、一体共成形し、または溶接することによって水溶性フィルムを形成することを特徴とする。このポリマーをまず混合すると、好ましくは結果として生じる混合剤を溶接することによって水溶性フィルムが形成される。ポリマーを溶接する場合、例えば溶剤溶接または熱溶接によって水溶性フィルムを形成し得る。
【0059】
フィルムは、洗浄用作用物質を含む洗剤組成物を入れるためのパウチを作り、それによりパケットを成形するのに有用である。洗浄用作用物質は、粉末、ゲル、ペースト、液体、錠剤、またはその任意の組み合わせなどの任意の形態であってよい。フィルムはまた、向上した湿潤取扱(wet handling)と少ない冷水残渣が所望される他の任意の用途にも有用である。フィルムは、パウチおよび/またはパケットの少なくとも1つの側壁、任意でパウチおよび/またはパケット全体、を形成し、好ましくは、前記少なくとも1つの側壁の外表面を形成する。
【0060】
本明細書に記載のフィルムはまた、同一のフィルム、または他の高分子材料との組み合わせで作られた2つ以上の区画のあるパウチの作製にも用いることができる。さらなるフィルムは、例えば、当技術分野で公知の同じまたは異なる高分子材料を、一体成形、ブロー成形、押出成形、またはブロー押出成形することによって得ることができる。一つの種類の実施形態では、前記さらなるフィルムとしての使用に適したポリマー、コポリマー、またはその誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸および塩、ポリアミノ酸もしくはペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプンおよびゼラチンをはじめとする多糖類、キサンタンなどの天然ゴム、ならびにカラゲーニンから選択される。例えば、ポリマーは、ポリアクリレートおよび水溶性アクリレート重合体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ならびにその組み合わせから、または、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール重合体およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ならびにその組み合わせから選択することができる。予定される一つのクラスの実施形態は、パウチの材料、例えば上述のPVOH樹脂の中のポリマーのレベルが少なくとも60%であることを特徴とする。
【0061】
パウチ
本開示のパウチは、少なくとも1つの密封区画を含む。従って、パウチは単一の区画または複数の区画を含むことができる。複数の区画を含む実施形態では、それぞれの区画には、同一の組成物および/または異なる組成物が入っていてよい。また、組成物は液体、固体、およびその組み合わせ(例えば、液体に懸濁された固体)をはじめとする任意の適切な形態をとることができるが、これに限定はされない。一部の実施形態では、パウチには第1、第2、および第3の区画が含まれ、その一つ一つにそれぞれ異なる第1、第2、および第3の組成物が入っている。一部の実施形態では、組成物は、欧州特許出願第09161692.0号(2009年6月2日に出願され、Proctor&Gamble社に譲渡)に記載される通り、実質的に異なっている。
【0062】
多区画パウチの区画は、大きさおよび/または容積が同じでも異なってもよい。本多区画パウチの区画は分離されていてもよく、または任意の適切な様式で連接されていてもよい。一部の実施形態では、第2および/または第3および/またはそれに続く区画が、第1の区画の上に重なっている。一実施形態では、第3の区画を第2の区画の上に重ね、これをさらに第1の区画に重ねてサンドイッチ構造にすることができる。あるいは、第2および第3の区画を第1の区画の上に重ねることもできる。しかし、第1、第2、および任意で第3およびそれに続く区画が、横並びの関係で互いに結合していてもよい。区画を一列に包装し、パーフォレーションラインで個別に分離できるようにしてもよい。従って、エンドユーザーが、例えばある区画の組成物を用いて布地の前処理や後処理をするために、一列に並んだ残りの区画から各区画を個別に引き離すこともできる。
【0063】
一部の実施形態では、多区画パウチは、大きい第1の区画およびそれより小さい2つの区画から成る3つの区画を含む。第2および第3の小さめの区画は、第1の大きい区画の上に重ねられる。区画の大きさおよび幾何構造は、この並べ方を達成できるように選択される。区画の幾何構造は、同じでも異なってもよい。一部の実施形態では、第2および任意で第3の区画は、それぞれ第1の区画とは異なる幾何構造および形状を有する。これらの実施形態では、第2および任意で第3の区画は、デザインとして第1の区画の上に配置される。デザインは、装飾的、教育的、または例示的、例えば概念または指示を例示するもの、および/または製品の由来を示すために用いられるものであってよい。一部の実施形態では、第1の区画は、周長にわたって密封された2つの大きな面を備えた最も大きい区画であり、そして第2の区画はこれより小さく、第1の区画の一つの面の表面積の約75%未満、または約50%未満を覆っている。第3の区画が存在する実施形態では、上述の構造は同じであってよいが、第2および第3の区画は第1の区画の一つの面の表面積の約60%未満、または50%未満、または45%未満を覆っている。
【0064】
本開示のパウチは、1つ以上の異なるフィルムを含んでよい。例えば、単一区画の実施形態では、パウチが1つの壁でできており、それ自体の上に折りたたまれて端部が密封されているか、またはその代わりに、2つの壁でできており、端部を合わせて密封してあってよい。多区画の実施形態では、パウチが1枚または複数のフィルムでできており、ある任意のパウチ区画が、単一のフィルム、または異なる組成物を有する複数のフィルムで作られた壁(複数)を備えていてよい。一実施形態では、多区画パウチが少なくとも3つの壁を含む:外側上方壁;外側下方壁;および隔壁である。外側上方壁および外側下方壁は、通常対抗しており、パウチの外部を形成する。隔壁はパウチの内部にあり、通常対抗する外壁の密封線に沿って固定されている。隔壁は、多区画パウチの内部を少なくとも第1の区画と第2の区画とに分ける。
【0065】
パウチは、任意の適切な設備および方法を用いて作製することができる。例えば、単一区画パウチは、当技術分野で一般に公知の垂直形式充填技術、水平形式充填技術、またはロータリードラム充填技術を用いて作ってもよい。このような工程は、連続的か断続的かのいずれかである。フィルムを湿らせ、および/または加熱して、その展性を向上させることもできる。この方法はまた、適切な型にフィルムを引き寄せるための真空の使用も伴ってよい。型にフィルムを引き寄せるための真空は、フィルムが表面の水平な部分に置かれてから、約0.2秒〜約5秒間、または約0.3秒〜約3秒、または約0.5秒〜約1.5秒間適用することができる。この真空は、10ミリバール〜1000ミリバール、または100ミリバールから600ミリバールの負圧(under-pressure)を提供するものであってよい。
【0066】
パウチを製作するための型は、パウチに必要な寸法に応じて、任意の形状、長さ、幅、および深さであってよい。型はまた、所望であれば、サイズおよび形状も1個1個異なるものであってよい。例えば、最終のパウチの容積は、約5ml〜約300ml、または約10ml〜150ml、または約20ml〜約100mlであってよく、型のサイズがそれに応じて調製される。
【0067】
フィルムには、通常は熱成形として知られる工程で熱を適用することができる。熱は、任意の適切な手段を用いて適用してよい。例えば、フィルムは、表面上に供給する前に、または表面上に載せてすぐに、加熱エレメントの下または熱気の中を通すことによって直接加熱してもよい。あるいは、表面を加熱するか、またはフィルム上に熱いアイテムを適用することによって、間接的に加熱してもよい。一部の実施態様では、フィルムは赤外線を用いて加熱する。フィルムは、約50〜約150℃、または約50〜約120℃、約60〜約130℃、約70〜約120℃、または約60〜約90℃の温度まで加熱してよい。あるいは、フィルムは、任意の適切な手段で、例えば表面上にフィルムを供給する前かまたはフィルムを載せた直後に湿潤剤(水、フィルム材料の溶液、またはフィルム材料の可塑剤)をフィルムにスプレーすることによって直接的に、または表面を湿潤化するかもしくは湿潤なアイテムをフィルムに適用することによって間接的に、湿潤化することができる。
【0068】
フィルムがいったん加熱および/または湿潤化された時点で、好ましくは真空を用いて適当な型にフィルムを引き込んでよい。成形フィルムの充填は、任意の適切な手段を利用して実行することができる。一部の実施形態では、最も好ましい方法は、製品の形態および所要の充填速度によって異なる。一部の実施形態では、フィルムはインライン充填技術で充填される。充填後の開いたパウチを、次に第2のフィルムを用いて任意の適切な方法で閉じる。これは、横向姿勢の間に連続した均一の運動で実行してよい。閉鎖は、開いたパウチ上の全体にわたって第2のフィルム、好ましくは水溶性フィルムを連続的に供給した後に、好ましくは第1および第2のフィルムを合わせて、通常は型と型との間、つまりパウチ間を密封することによって実行することができる。
【0069】
パウチおよび/またはその個々の区画の密封には、任意の適切な方法を用いることができる。このような手段の限定されない例としては、ヒートシール、溶剤接着、溶剤または湿潤接合、およびその組み合わせが挙げられる。通常は、密封を形成する部分だけを熱または溶剤で処理する。熱または溶剤は、通常は閉鎖材料上に、かつ通常は密封を形成する区域に限り、任意の方法で適用することができる。溶剤または湿潤接合または接着を用いる場合は、熱も適用することが好ましい。好ましい湿潤または溶剤接合/接着法は、型と型との間の領域または閉鎖材上に溶剤を噴霧または印刷することによって選択的に適用し、次に、これらの領域上に圧力をかけて密封を形成する。例えば、(任意で熱も供給する)上記の密封用ロールおよびベルトを用いることができる。
【0070】
成形されたパウチを、次に切断装置で切断する。切断は、任意の公知の方法を用いて実行することができる。切断は、連続的に、かつ好ましくは一定速度で、かつ好ましくは横向姿勢の間に実施するのが好ましい場合もある。切断装置は、例えば鋭いアイテムまたは熱いアイテムであってよく、後者の場合は、熱いアイテムがフィルム/接合面を「焼き」切る。
【0071】
多区画パウチの異なる区画は、横並びのスタイルで一緒に作製することもでき、ここで、結果として生じる結合したパウチは切断により分離されてもされなくてもよい。あるいは、区画は別々に作製することもできる。
【0072】
一部の実施形態では、パウチは以下のステップを含む工程に従って作製することもできる:
a) (上述のように)第1の区画を形成するステップ;
b) ステップ(a)で形成された閉鎖区画の一部または全部の内部にくぼみを形成し、第1の区画の上に重ねた第2の成形区画を生成するステップ;
c) 第2の区画を充填し、第3のフィルムを用いて閉鎖するステップ;
d) 第1、第2、および第3のフィルムを密封するステップ;および
e) フィルムを切断して多区画パウチを作製するステップ。
ステップ(b)で形成されたくぼみは、ステップ(a)で準備された区画に真空を適用することによって得ることができる。
【0073】
一部の実施形態では、国際公開第2009/152031号(2008年6月13日に出願され、Proctor&Gamble社に譲渡される)に記載された通り、第2および/または第3の区画(複数可)を別のステップで作製してから、第1の区画と組み合わせることもできる。
【0074】
一部の実施形態では、以下のステップを含む工程に従ってパウチを作成してもよい:
a) 第1の成形機上に第1のフィルムを用いて、任意で熱および/または真空を用いて、第1の区画を形成するステップ;
b) 第1の区画に第1の組成物を充填するステップ;
c) 第2の成形機上で、任意で熱および真空を用いて第2のフィルムを変形させ、第2および任意で第3の成形区画を作製するステップ;
d) 第2および任意で第3の区画を充填するステップ;
e) 第3のフィルムを用いて、第2および任意で第3の区画を密封するステップ;
f) 密封された第2および任意で第3の区画を第1の区画の上に配置するステップ;
g) 第1、第2、および任意で第3の区画を密封するステップ;および
h) フィルム(複数)を切断して多区画パウチを作製するステップ。
【0075】
第1および第2の成形機は、上記のプロセスを実行するためのその能力に基づいて選択してよい。一部の実施形態では、第1の成形機は好ましくは横型成形機であり、第2の成形機は好ましくはロータリードラム成形機であり、好ましくは第1の成形機の上方に位置する。
【0076】
適切な送り工程の使用によって、いくつかの異なるもしくは特定の組成物および/または異なるもしくは特定の液体、ゲル、またはペースト組成物を組み込んだ多区画パウチの製造が可能となり得ることは理解されるべきである。
【0077】
パウチ組成物
本発明のパウチは、さまざまな組成物を含むことができる。多区画パウチは、それぞれの区画に同じまたは異なる組成物を入れることができる。本開示のこの特徴は、相容れない成分同士(例えば、漂白剤と酵素)を含有する組成物を、互いから物理的に分離または区分して保持するために利用することができる。かかる区分が、係る成分の耐用年数を延長させ、および/または物理的な不安定性を低下させると考えられている。加えて、もしくはその代わりとして、かかる区分が、欧州特許出願第09161692.0号(2009年6月2日に出願され、Procter&Gamble社に譲渡される)に記載されたような美的な有益性を提供することもある。
【0078】
有用な組成物の限定されない例としては、軽質および重質の液体洗剤組成物、硬表面洗浄用組成物、布地増強剤、洗濯によく用いられる洗剤ゲル、ならびに漂白剤および洗濯用添加物、シャンプー、ボディーソープ、および他のパーソナルケア用組成物が挙げられる。本発明のパウチに役立つ組成物は、液体、固体、または粉末の形をとってよい。液体組成物は固体を含み得る。固体には、粉末または集塊、例えばマイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、または1以上のパールボール(pearlized ball)、またはその混合物を含むことができる。
【0079】
洗濯用組成物、洗濯用添加組成物、および/または布地増強組成物を含むパウチでは、組成物は以下の限定されない成分リストを含んでよい:布地ケア有益剤;洗浄性酵素;沈着補助剤;レオロジー変性剤;ビルダー;ブリーチ;漂白剤;ブリーチ前駆体;ブリーチ増強剤;ブリーチ触媒剤;香料および/または香料マイクロカプセル(例えば、US第5,137,646号を参照されたい);香料添加ゼオライト;デンプン封入アコード;ポリグリセロールエステル;白化剤;真珠箔剤;酵素安定化系;陰イオン性染料固定剤、陰イオン性界面活性剤錯化剤、およびその混合物をはじめとする除去薬;蛍光増白剤または蛍光剤;防汚ポリマーおよび/または懸濁ポリマー;分散剤;消泡剤;非水溶媒;脂肪酸;石鹸水サプレッサー、例えばシリコン石鹸水サプレッサー;(米国特許出願公開第2003/0060390A1、p65〜77を参照されたい);陽イオン性デンプン(米国特許出願公開2004/0204337A1および米国特許出願公開2007/0219111A1を参照されたい);スカム分散剤(米国特許出願公開2003/0126282A1、p89−90を参照されたい);染料;着色料;乳濁剤;抗酸化剤;トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩、およびナフタレンスルホン酸塩などのヒドロトロープ;カラースペックル;着色ビーズ、球、または押出物;粘度柔軟剤。これらの成分のうち任意の1つまたは複数が、欧州特許出願第09161692.0号(2009年6月2日出願)、米国特許出願公開第2003/0139312A1号(2000年5月11日出願)、および米国特許出願第61/229981号(2009年6月30日出願)に記載されており、このいずれもがProcter&Gamble社に譲渡されている。加えて、または代りとして、組成物は、界面活性剤および/または溶媒系を含んでもよく、そのそれぞれについて以下に述べる。
【0080】
界面活性剤:
本開示の組成物は、好ましくは約1〜約80質量%の界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、第1の組成物の成分として特に好ましい。好ましくは、第1の組成物が、約5〜50質量%の界面活性剤を含む。第2および第3の組成物は、0.1〜99.9%のレベルの界面活性剤を含んでよい。
【0081】
利用する洗浄性界面活性剤は、陰イオンタイプ、非イオンタイプ、両性イオンタイプ、両性タイプ、または陽イオンタイプのものであってもよく、またはこれらのタイプの適合混合物を含んでもよい。さらに好ましくは、界面活性剤は、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性の界面活性剤、およびその混合物から成る群から選択される。本明細書で有用な洗浄界面活性剤は、米国特許第3,664,961号(Norris、1972年5月23日発行)、米国特許第3,919,678号(Laughlin et al., 1975年12月30日発行)、米国特許第4,222,905号(Cockrell、1980年9月16日発行)、および米国特許第4,239,659号(Murphy、1980年12月16日発行)に記載されている。陰イオン性および非イオン性界面活性剤が好ましい。
【0082】
有用な陰イオン性界面活性剤はそれ自体、いくつかの異なるタイプのものであってよい。例えば、高級脂肪酸の水溶性塩、即ち「石鹸」は、本発明の組成物の有用な陰イオン性界面活性剤である。これには、約8〜約24個の炭素原子、好ましくは約12〜約18個の炭素原子を含む高級脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、およびアルカリアンモニウム塩などのアルカリ金属石鹸が含まれる。石鹸は、脂肪または油脂の直接的な鹸化、または自由脂肪酸の中性化によって作製することができる。特に有用なのは、ココナツ油および硬脂から誘導される脂肪酸混合物のナトリウム塩およびカリウム塩、すなわち、ナトリウムまたはカリウムの硬脂およびヤシ油石鹸である。
【0083】
本明細書の使用に適したさらなる非石鹸陰イオン性界面活性剤としては、分子構造に約10〜約20の炭素原子を含むアルカリ基およびスルホン酸または硫酸エステル基を持つ有機イオウ反応生成物の水溶性塩、好ましくはアルカリ金属塩およびアンモニウム塩が挙げられる。(「アルキル」という用語には、アクリル基のアルキル部分が含まれる)。この合成界面活性剤の群の例としては:a)アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、およびアルキル硫酸アンモニウム、特に、硬脂またはヤシ油のグリセリドを低下させることによって産生されたものをはじめとする高級アルコール(C8−C18炭素原子)を硫酸化して得られたもの;b)アルキルポリエトキシレート硫酸ナトリウム、アルキルポリエトキシレート硫酸カリウム、およびアルキルポリエトキシレート硫酸アンモニウム、特に、アルキル基が10〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を含み、ポリエトキシレート鎖が1〜15、好ましくは1〜6のエトキシレート部分を含むもの;およびc)直鎖または分岐鎖の立体配置の中で、アルキル基が約9〜約15個の炭素原子を含むアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびアルキルベンゼンスルホン酸カリウム、例えば、米国特許第2,22,099号および同第2,477,383号に記載のもの、が挙げられる。特に大切なのは、C11−C13 LASと略されるアルキル基の炭素原子平均数が約11〜13個の線状の直鎖(linear straight-chain)アルキルベンゼンスルホン酸塩である。
【0084】
一部の実施形態では、総陰イオン性界面活性剤、すなわち石鹸と非石鹸陰イオン性界面活性剤が、約1質量%〜約65質量%、約2質量%〜約50質量%、または約5質量%〜約45質量%の質量パーセントで組成物中に存在する。
【0085】
好ましい非イオン性界面活性剤は、式がR1(OC24nOHのものであり、ここでR1はC10−C16のアルキル基またはC8−C12のアルキルフェニル基であり、nは3〜約80である。特に好ましいのは、アルコール1モル当たり約5〜約20モルの酸化エチレンを有するC12−C15のアルコールの縮合生成物、例えばアルコール1モル当たり約6.5モルの酸化エチレンで縮合されたC12−C13のアルコールである。
【0086】
溶媒系:
本組成物の溶媒系は、水だけを含有する溶媒系、または水を含む有機溶媒混合物であってよい。好ましい有機溶媒には、1,2−プロパンジオール、エタノール、グリセロール、ジプロピレングリコール、メチルプロパンジオール、およびその混合物がある。他の低級アルコール、モノエタノールアミンおよびトリエタノールアミンなどのC1−C4アルカノールアミンも使用することができる。溶媒系は、例えば本開示の無水固体の実施形態には存在しないことも可能であるが、約0.1%〜約98%、好ましくは少なくとも約1%〜約50%、より一般的には約5%〜約25%の範囲のレベルで存在する方が一般的である。
【0087】
本明細書の組成物は、通常は成分を混合することによって調製することができる。真珠光沢材料を用いる場合は、混合の遅い段階で添加するべきである。レオロジー変性剤を用いる場合は、まずプリミックスを作り、その中の一部の水にレオロジー変性剤および任意で本組成物の構成に用いる他の成分を分散させることが好ましい。このプリミックスは、構造性の液体になるように作ることが好ましい。次に、この構造性のプリミックスに対し、これが撹拌されている間に、界面活性剤(複数可)および基本的な洗濯用添加物質を、水および任意で用いられる洗剤組成物用添加剤と共に添加する。
【0088】
有用な組成物のpHは、約4〜約12、約5〜約11、約6〜約10、約6.5〜約8.5、または約7〜約7.5のpHであってよい。洗濯用洗剤の組成物は、pHが約8〜約10であってよい。洗濯用洗剤の添加組成物は、約4〜約8のpHであってよい。布地増強剤は、約4〜約8のpHであってよい。
【0089】
洗剤のpHは、20±2℃における洗剤の10%(質量/容積)水溶液のpHと定義される。固体および粉末洗剤の場合は、これは20±2℃における洗剤の1%(質量/容積)水溶液のpHと定義される。±0.01pHまで測定することのできる任意の計器が適している。Orion計器(Thermo Scientific, Clintinpark Keppekouter, Ninovesteenweg 198, 9320 Erembodegem Aalst, Belgium)または同等物が、許容しうる計器である。pH計は、カロメルまたは銀/銀塩化物基準のある適切なガラスの電極を備えていなければならない。一例として、Mettler DB115が挙げられる。この電極は、メーカー推奨の電解質溶液の中に保管すること。
【0090】
洗剤の10%水溶液は、以下の手順で作製する。±0.02グラムまで正確に測定することのできる天秤を用いて、10±0.05グラムの試料を計る。試料を、100mLのメスフラスコに移し、精製水(水の伝導率が<5μS/cmであれば、脱イオン水および/または蒸留水が適している)で容積まで希釈し、完全に混合する。結果として生じる溶液の約50mLをビーカーの中に注ぎ、温度を20±2℃に調整し、pH計のメーカーの標準手順に従ってpHを測定する(pHアセンブリーの設定および較正にも、供給業者の取扱説明書に従うことがきわめて重要)。
【0091】
固形洗剤および粉末洗剤の場合は、以下の手順で洗剤の1%水溶液を調製する。±0.02グラムまで正確に測定することのできる天秤を用いて、10±0.05グラムの試料をはかる。試料を1000mLのメスフラスコに移し、精製水(水の伝導率が<5μS/cmであれば、脱イオンおよび/または蒸留水が適している)で容積まで希釈し、完全に混合する。結果として生じる溶液の約50mLをビーカーの中に注ぎ、温度を20±2℃に調整し、pH計のメーカーの標準手順に従ってpHを測定する(pHアセンブリーの設定および較正にも、供給業者の取扱説明書に従うことがきわめて重要)。
【0092】
包装
本開示のパウチは保管用および/または販売用に包装した状態であり得る。一部の実施形態では、包装は透けて見えるまたは部分的に透けて見える容器、例えば透明もしくは半透明の袋、タブ型容器、大型容器、または瓶であってよい。包装は可塑性材料またはその他の適する材料で作られてもよく、但し材料は輸送中にパウチを保護するのに十分な強度を持つ。このようなパックはまた、使用者がパックを開いてその中にパウチがいくつ残っているか見る必要がないので非常に有用である。あるいは、そのパックは、おそらくそのパックの視覚的に特徴的な中身を表すしるしまたはアートワークが描かれた、透けて見えない外装であり得る。一部の実施形態では、包装は少なくとも部分的に防湿層を提供し得る。
【0093】
洗浄工程:
本開示のパウチは、これに限定されないが、洗濯物、皿、および体の洗浄などの洗浄用途(例えばシャンプーまたは石鹸)に適している。パウチは手洗いおよび/または機械洗浄の条件に適している。機械洗浄の場合、パウチは分配用トレー(dispensing drawer)から供給されるかまたは直接洗浄器のドラムに添加されてもよい。
【0094】
試験方法
特許申請するフィルムの特性に関するデータを得るために利用される試験方法を以下に提供する。
【0095】
粘度測定:
PVOHポリマーの粘度(μ)は、British Standard EN ISO 15023−2:2006 Annex E Brookfield Test methodに記載のULアダプタ付Brookfield LV型粘度計を用いて、新しく作製した溶液を測定することにより決定する。20℃での4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度を記載するのが国際慣行である。センチポアズ(cP)で本明細書に指定された全ての粘度は、別の指定のない限り、20℃での4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度を表すことを理解すべきである。
【0096】
古いフィルム:
古いフィルムを以下のように作製する。3インチ×3インチパウチを新しいフィルムより作製し、その中に表2に記載された成分を含む50mlの試験用組成物を密封する。新しいフィルムの光沢面はパウチの外面を形成し、フィルムの艶消面はパウチの内面を形成する。
【0097】
【表2】

【0098】
試験するフィルム領域が完全に試験用組成物と接触した状態にするのを確実にするために、パウチを充填して気泡を最小限にする。次いでパウチをノートの紙で裏打ちしたアルミトレーにのせる。次いでトレーを4ミルの高密度ポリエチレン(HDPE)の袋に加熱密封する。17インチ×22インチのHDPEの袋を用いて13インチ×18インチのトレーを封入する。13.5インチ×17インチのHDPEの袋を用いて9.5インチ×13インチのトレーを封入する。トレーをある方向に維持してパウチ内部の任意の気泡が試験するフィルム領域から離れたパウチの隅にあるようにする。パウチを含むトレーを、38℃かつ45%相対湿度(RH)に制御されたオーブン内に120時間配置する。次いでパウチをオーブンから取り出し、HDPEの袋内に維持したまま、約25%RHの室温(20+/−5℃)に戻した。オーブンから取り出して5〜8時間のうちにパウチを、試験するフィルム領域を切断することなく慎重に切り開く。試験用組成物をパウチから排出する。パウチをさらに切断して全ての密封エリアを取り除いて、試験する領域にあるフィルムを任意の残存する試験用組成物をきれいにふき取る。パウチの切開の10分以内に、得られた古いフィルムで次いで破裂強度試験およびスライド溶解試験を下記のように行った。
【0099】
スライド溶解試験:
MONOSOL試験方法205(MSTM205)を添付の図1〜3を参考にして説明する。
【0100】
装置および材料:
600mLビーカー12
マグネチックスターラ14(Labline Model No.1250または同等のもの)
マグネチック撹拌棒16(5cm)
温度計(0〜100℃、±1℃)
テンプレート、ステンレス鋼(3.8cm×3.2cm)
タイマ、(0〜300秒、秒単位まで正確)
ポラロイド社製35mmスライド式マウント20(または同等のもの)
ポラロイド社製35mmスライド式マウントホルダー25(または同等のもの、図1を参照のこと)
蒸留水
【0101】
試験片:
1. ステンレス鋼テンプレートを用いてフィルム試料から3つの試験片を切断する(すなわち3.8cm×3.2cm片)。フィルムウェブから切断する場合、試験片はウェブの横方向に沿って等間隔に配置されたウェブの領域から切断しなければならない。
2. 各試験片を別個の35mmスライド式マウント20に係止する。
3. ビーカー12に500mLの蒸留水を充填する。温度計で水温を測定し、必要に応じて水を加熱または冷却して温度を10℃(約50°F)に維持する。
4. 水柱の高さに印をつける。マグネチックスターラ14をホルダー25の基部27に配置する。ビーカー12をマグネチックスターラ14上に配置し、マグネチック撹拌棒16をビーカー12に加えて、スターラ14を回転させ、さらに渦が発達して水柱の高さのおよそ5分の1の高さに発達させるまで撹拌速度を調節する。渦の深さに印をつける。
5. MONOSOL社製35mmスライド式マウントホルダー25のワニ口クランプ26で35mmスライド式マウント20を固定し(図1)、図2に示すようにスライド式マウント20の長いほうの端21が水面と平行になるようにする。ホルダー25の深さ調節器28は、降下させた場合にクランプ26の末端が水面下0.6cmとなるように設定させるべきである。スライド式マウント20の短い側面23のうち1つがビーカー12の側面に隣接すべきであり、もう一方は撹拌棒16の中心の上に直接配置され、図3に示すようにフィルム表面が水の流れに垂直になるようにする。
6. ある動作では、固定したスライドおよびクランプを水中に落下させてタイマーを開始する。フィルムが粉々になる場合、分解が生じている。目で見えるフィルムの全てがスライド式マウントから放出する場合、未溶解フィルム断片のその溶液を監視し続けながら水の中からスライドを引き上げる。フィルム断片の全てがもはや可視化されず、溶液が透明になる場合、溶解が生じている。
【0102】
データの記録:
結果は以下を含むべきである:
試料の完全な識別;
個々のおよび平均の分解時間ならびに溶解時間;および
試料を試験した際の水温。
完全に溶解させるための時間(秒単位)を得る。
【0103】
100%伸び率での応力試験:
100%伸び率でのフィルムの応力をASTM D 882、「Standard Test Method for Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting」を利用して測定する。この試験はModel 5544 Instron(登録商標)引張試験機で進められる。本試験に利用されるInstron(登録商標)のグリップは試験結果に影響を与え得る。それ故、本試験はモデル番号2702−032のフェース(ゴムコートで25mm幅)を持つInstron(登録商標)グリップを利用して進める。
【0104】
最大抗張力試験:
最大抗張力をASTM D 882、「Standard Test Method for Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting」を利用して測定する。この試験はModel 5544 Instron(登録商標)引張試験機で進められる。本試験に利用されるInstron(登録商標)のグリップは試験結果に影響を与え得る。それ故、本試験はモデル番号2702−032のフェース(ゴムコートで25mm幅)を持つInstron(登録商標)グリップを利用して進める。
【0105】
破裂強度試験:
逆浸透(23℃)により得られる脱イオン水の4μl滴を試験するフィルム領域に滴下(約23℃かつ約25%のRH)し、フィルム背面に2.5ポンド/平方インチ(psig)圧力の圧縮空気でしっかりとクランプする。液滴を、フィルムのクランプされた円形の曝露領域(直径21mm)の中心に緩やかに滴下する。液滴の滴下から破裂(burst)までの時間(すなわち圧力が2.0psig以下となる時間)を記録する。フィルム測定器をまた記録する。試験するフィルム領域は、典型的なパウチの外面を形成する光沢面上で液滴を受ける。新しいまたは古いフィルムの光沢面がしたがって本試験での液滴を受ける。
【0106】
熱成形試験:
本明細書に記載のフィルムは、好ましくは熱成形が可能である。本明細書において、熱成形工程後に得られた成型フィルムのピンホール試験の結果が、2%未満、好ましくは1%未満、さらに好ましくは0.5%未満であれば、フィルムは熱成形可能である(熱成形加工試験(Thermoforming Converting Test)に合格)。任意で、熱成形工程後に得られる成形フィルムの加圧ピンホール試験の結果は、4%未満、好ましくは2%未満、さらに好ましくは1%未満であってよい。
【0107】
フィルムの熱成形は、フィルムを加熱し、型に入れて成形した後そのまま冷ますプロセスであり、こうすればフィルムは型の形状を保持する。熱成形は、次のプロセスのうち任意の1以上を用いて実施することができる:熱で柔らかくしたフィルムを手で型全体にかぶせる工程、または柔らかくしたフィルムを型に合わせて圧力誘導により成形する工程(例えば、真空成型)、または押出成形されたばかりで温度が正確に分かるシートを成形トリミング場に自動高速割出しする工程、またはフィルムの自動配置、プラグおよび/または空気圧による延伸および加圧成形。フィルムの延伸の程度は、面積延伸倍率によって定義され、これはポケット(またはキャビティ)の表面積を成形前のフィルムの表面積で割ったものである。面積延伸倍率(areal depth of drawとも呼ばれる)は、Technology of Thermoforming、James L. Throne、Hanser 出版(1996)、第7章4節、488〜494ページ(ISBN3−446−17812−0)に記述された方法に従って算出することができる。本明細書の熱成形フィルムに関して、面積延伸倍率は1.05〜2.7の間であってよく、好ましくは1.2〜2.3の範囲、最も好ましくは1.3〜2.0の範囲である。
【0108】
ピンホール試験は、出発厚さが25〜150μmの範囲、好ましくは50〜100μmの範囲、最も好ましくは60〜90μmの範囲のフィルムに対して実施することができる。フィルムの厚さは、当業者に公知の任意の技術を用いて測定することができる。例えば、電子膜厚計Thwing−Albertモデル89−100(Thwing−Albert;14W. Collings Avenue,West Berlin NJ 08091 USA)を用いれば得ることができる。厚さを測定する前の少なくとも24時間は、22±5℃および相対湿度40±20%でフイルムの状態を調整する必要がある。幅60mmで長さ60mmのフィルム1シートが得られ、また25の測定結果が得られる(シート全体にわたって間隔をあけて配置)。従って、厚さは25の測定結果の平均値+/−標準偏差である。
【0109】
ピンホール試験および加圧ピンホール試験は、少なくともパウチの片面として熱成形フィルムを含むパウチの液漏れのパーセンテージを測定する。試験の試料の作成は、PVOHフィルムから水溶性の容器を作成する手順を含み、これは、PVOHフィルムを熱成形してポケットにし、ポケットに組成物を充填し、充填したポケットの上に第2のフィルムを重ね、そしてこの2枚のフィルムを合わせて密封することによって実施される。密封は、任意の適切な方法で実施することができる。例えば、密封は、本明細書に組み込まれる国際公開第02/16205号の開示に従って実施することができる。ここでは、22±5℃および44±20%RHの大気条件で、厚さ76μm±4μmのフィルムを105±15℃で熱成形して面積延伸倍率2.0の空洞にし、最小厚さ30μm±5μmの熱成形フィルムを形成する。次に、表1の材料を含む試験溶液を熱成形フィルムに充填し、密封してパウチにする。
【0110】
【表3】

【0111】
次に、パウチを22±5℃および40±20%RHで24時間、熱成形フィルムが吸収紙に接触するようにして個別に吸収紙の上に置く。24時間後、(封鎖部または密封の工程でできた欠陥を通した液漏れに対して)フィルムの熱成形部分に液漏れが起きたパウチの全数を数える。次に、ピンホールのあるパウチの割合を、((液漏れパウチの数)/パウチの全数)×100%で決定する。好ましくは、約500このパウチを製造し、試験する。特に、密封パウチに圧力をかけるとピンホールの発見が容易になる。そのために、加圧ピンホール試験では、ピンホール試験と同じ手順のほかに、パウチを吸収紙の上に置いた後でパウチの上に重り(約0.1N/cm2)を置く工程が加わる。
【実施例】
【0112】
以下は本開示にしたがってパウチを作製するために組み合わせたフィルムおよび組成物の例示的な実施形態である。別に指定されない限り、全ての値は総組成物の質量パーセントとして提供され、また「100まで」または「残分」等は、その参照の成分を、提供する値の和が100となるまで添加することを意味する。
【0113】
I.フィルム
指定された質量パーセントの指定されたポリマーを混合することにより、以下の試料を調製した。PVOHポリマーは、ポリマー等級の製品番号によって指定されるのが一般的である。例えば、PVOHポリマー13−88は、規定の公称粘度が約13cP、およびビニルアルコール単位に変換された酢酸ビニル単位として表わされる名目上の加水分解度が約88%の部分的に加水分解されたポリビニルアルコールである。下記に掲載する実施例の形成に用いるPVOHポリマーは、そのポリマー等級製品番号で指定される。
【0114】
表4に関し、指定のポリマーを可塑剤および他の微量添加剤と共に水中で混合することにより、フィルムを作成した。下記表の樹脂の質量パーセントは、総PVOH樹脂分の質量部で特定する。樹脂は乾燥質量でフィルム成分の大きな部分を占め(総質量で約67〜約75%、平均69%)、ほかにはグリセリン、プロピレングリコール、およびソルビトールをはじめとする総量約19〜約29質量%(平均24質量%)の可塑剤、および微量(合わせて約3〜8質量%)の安定剤ならびに粘着防止剤、消泡剤、漂白剤、充填材、および界面活性剤の湿潤剤をはじめとする加工助剤がある。溶液は約71℃〜約93℃の温度範囲に維持され、平滑面に熱い溶液を塗布して水分を乾燥させ、Karl Fischer滴定による測定で厚さ範囲約60〜90μm(通常76μm)、残留水分分約4〜約10質量%のフィルムを形成することによって成形された。
【0115】
【表4】

【0116】
II.組成物
以下の組成物A〜Qは本開示のパウチの1つ以上の区画で使用される。
【0117】
組成物A〜Gは表5および6に見られる成分を混合することにより調製された液体洗濯用洗剤である:
【0118】
【表5】


1 好ましいLASは、ほかにも約9〜約15個の炭素原子を含む直鎖状のアルキル基1つを含む。

【0119】
【表6】

【0120】
組成物Hは、表7での成分を混合することにより調製された漂白添加剤である:
【0121】
【表7】


1 テトラアセチルエチレンジアミン
【0122】
組成物I〜Nは表8に見られる成分を混合することにより調製された顆粒状洗濯用洗剤である:
【0123】
【表8】


1 ランダムグラフトコポリマーは、酢酸ポリビニルをグラフト化したポリエチレンオキシドコポリマーであり、ポリエチレンオキシドの主鎖と多数の酢酸ポリビニル側鎖を持つ。ポリエチレンオキシド主鎖の分子量は約6000であり、酢酸ポリビニルに対するポリエチレンオキシドの質量比は約40〜60であり、50エチレンオキシド単位当たりのグラフト点は1以下である。

【0124】
組成物O〜Tは表9および表10に見られる成分を混合して別個の区画にて液体と固体の組成物を密封することにより調製された液体の単一区画(Q、R、S、およびT)および液体と固体の多区画(O、P)の布地増強剤である:
【0125】
【表9】

【0126】
【表10】

1 ジ(アシロキシエチル)(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム硫酸メチル、ここで、アシル基は部分的に水素化されたキャノーラ油脂肪酸に由来する。
2 部分的に水素化されたキャノーラ油脂肪酸
3 2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール
4 ヤシ油脂肪酸のペグ6コカミド−ポリエチレングリコールアミド
5 ヒドロキシエタンジホスホン酸のナトリウム塩
6 供給業者が柔軟作用剤に入れた材料
【0127】
III.パウチ
単一区画パウチは表4に記載の1つ以上のフィルムと1つ以上の組成物A〜Nを利用して作製される。パウチの作製手段は、上述の方法セクションに記載される。
【0128】
多区画パウチは表4に記載の1つ以上のフィルムを利用して作製される。パウチの作製手段は、上述の方法セクションに記載される。以下の実施例「パウチA」は、3つの別個の区画をもち、その各々が個々に以下の表11に記載の組成物1〜3のうち1つを包み込む:
【0129】
【表11】

【0130】
以下の実施例のパウチB、C、およびDは、多区画パウチである。それぞれが表4に記載の1つ以上のフィルムを利用して作製される。パウチの作製手段は、上述の方法セクションに記載される。パウチB、C、およびDのそれぞれが3つの別個の区画をもち、その各々が個々に以下の表12に記載の液体洗剤組成物1〜3のうち1つを包み込む:
【0131】
【表12】




1 米国第169744号に記載された硫酸モノ−[2−(3,4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(2−エチル−ヘキシルオキシメチル)−エチル]エステル
2 PAP=フタロイル−アミノ−ペルオキシカプロン酸、70%活性ウェットケークとして
3 −NH当たり20エトキシレート基のポリエチレンイミン(MW=600)
4 エトキシレート化チオフェン、EO(R1+R2)=5
5 RA=予備アルカリ度(例えば>5gのNaOH当量/100g用量)
【0132】
以下の実施例は、表13からの液体組成物(XLi)と表14からのその各粉末組成物(XPi)とを含む二重区画パウチである。各パウチは表4に記載の1つ以上のフィルムを利用して作製される。パウチの作製手段は、上述の方法セクションに記載される。
【0133】
【表13】


1. 直鎖C11-13アルキルベンゼンスルホン酸
2. (ビス(C25O)(C24O)n)(CH3)−N+−CxH2x−N+−(CH3)−bis((C25O)(C24O)n)、ここで、n=15〜30、およびx=3〜8
3. ランダムグラフトコポリマーは、ポリ酢酸ビニルをグラフト化したポリエチレンオキシドコポリマーであり、ポリエチレンオキシドを主鎖とし、複数のポリ酢酸ビニル側鎖を持つ。ポリエチレンオキシド主鎖の分子量は、約6000であり、ポリ酢酸ビニルに対するポリエチレンオキシドの質量比は約40〜60であり、ポリエチレンオキシド50単位当たりのグラフト点は1以下である。
【0134】
【表14】

【0135】
データ
本開示に従ったフィルム(フィルムあたり10試料)および市販のフィルムに関してデータを収集する。各フィルムを新しいフィルムの場合および古いフィルムの場合で試験する。指数を、データを利用して以下の式(1)および(2)を用いて決定する:
(1) 溶解指数=7×(古いフィルムの溶解時間)+(古いフィルムの破裂強度)
(2) 応力指数=(100%伸び率での応力)×(最大抗張力)
【0136】
【表15】


1. M8630はMONOSOL. LLC, Merrillville, IN (USA)より入手可能なPVOHコポリマーフィルムである
2. M8900はMONOSOL. LLC, Merrillville, IN (USA)により入手可能なPVOHコポリマーフィルムである
3. 試料Aは100%のPVOH樹脂分の場合の23cPの公称粘度および88の公称加水分解度を持つPVOHポリマーを含むPVOHコポリマーフィルムである
4. 試料Bは、15cPの公称粘度および79の公称加水分解度を持つPVOHポリマーが1質量部に対し、26cPの公称粘度および88の公称加水分解度を持つPVOHポリマーが2質量部である比率(これら3質量部がフィルムで100%のPVOH樹脂分を形成する)をもつPVOHコポリマーフィルムである。
【0137】
本明細書に記述される全ての文献(任意の相互参照されるまたは関連する特許出願を含む)は、明確に除外または別に制限されないかぎり、これによりその全体が引用により組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、またはそれが単独でもしくは他の任意の参照との任意の組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、または開示することを認めるものではない。さらに、本文献における用語の任意の意味または定義が、参考として組み込まれた文献におけるその用語の任意の意味または定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味または定義を適用するものとする。
【0138】
本開示の態様:
本開示の第1の態様は、任意の適する厚さを持つ水溶性フィルムであり、前記水溶性フィルムは全体で少なくとも50質量%のPVOHポリマーを樹脂形態で含み、前記水溶性フィルムが約76ミクロンの厚さを持つ場合に(a)約620〜約920、または約665〜約920、または約710〜約920の溶解指数;および(b)約145〜約626、または約155〜約480、または約165〜約325の応力指数を持つことを特徴とするような水溶性ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂を含み、
前記樹脂は、20℃の4質量%水溶液として、平均粘度が最低でも約13.5cP、14cP、15cP、16cP、または17cP、かつ最高でも約20cP、19cP、18cP、17.5cP、例えば、約13.5cP〜約20cP、または約14cP〜約19cP、または約16cP〜約18cP、または約17cP〜約17.5cPの範囲であり;
そして、加水分解度が最低でも84%または85%、かつ最高でも約92%、90%、89%、88%、または87%、例えば、約84%〜約90%、または85%〜88%の範囲、または86.5%であり;
樹脂はさらに、平均粘度が約11cP未満、多分散指数が約1.8〜2.3の範囲であるPVOHポリマーを、30質量%以下しか持たない。
【0139】
第1の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂は少なくとも2種類のPVOHポリマーを含むことができ、
第1のPVOHポリマーは、粘度が最低でも約8cP、10cP、12cP、または13cP、かつ最高でも約40cP、20cP、15cP、または13cP、例えば、約8cP〜約40cP、または約10cP〜約20cP、または約10cP〜20cP、または約10cP〜約15cP、または約12cP〜約14cPの範囲、または13cPであり;そして
第2のPVOHポリマーは、粘度が最低でも約10cP、20cP、または22cP、かつ最高でも約40cP、30cP、25cP、または24cP、例えば、約10cP〜約40cP、または20〜約30cP、または約20〜約25cP、または約22〜約24の範囲、または約23cPであり;
第1のPVOHポリマーの粘度は、第2のPVOHポリマーの粘度より低い。
【0140】
第1の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂は、多分散指数(PDI)値が約1〜約5の範囲である第1のPVOHポリマーと、PDI値が約1〜約5の範囲である第2のPVOHポリマーとを有し、それぞれのPVOHポリマーが、約1.5〜約3、または約1.7〜約2.2の範囲のPDI値を持ち得る。
【0141】
第1の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂は、第1のPVOHポリマーを約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90質量%、そして第2のPVOHポリマーを約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90質量%、例えば、第1のPVOHポリマーを約30〜約85質量%、または第1のPVOHポリマーを約45〜約55質量%含み得る。
【0142】
第1の態様のいずれか1つの実施形態において、総PVOH樹脂分は、約2、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、または5.0を超えるPDI値を持ち得る。例えば、総樹脂量のPDI値は、樹脂に含まれるいずれの個々のPVOHポリマーのPDI値よりも大きいものであり得る。
【0143】
第1の態様のいずれか1つの実施形態において、第1のPVOHポリマーは、重量平均分子量(Mw)が約50,000〜約300,000ドルトンまたは約60,000〜約150,000ドルトンの範囲であり得、かつ第2のPVOHポリマーは、Mwが約60,000〜約300,000ドルトンまたは約80,000〜約250,000ドルトンの範囲であり得る。任意で、第2のPVOHポリマーは第1のPVOHポリマーより大きいMwを持ち得、さらに任意で、樹脂は、Mwが約70,000ドルトン未満のPVOHポリマーを約30質量%以下しか持ち得ない。
【0144】
第1の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムはさらに、可塑剤を含み得る。
【0145】
第1の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムは、少なくとも4質量%、例えば約4〜約10質量%の範囲の残留湿分を持ち得る。
【0146】
第1の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムは、破裂強度の試験値が約20秒超、好ましくは30秒超、およびより好ましくは40秒超であることを特徴とし得る。
【0147】
第1の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムは、洗濯残渣値が最高でも約4.5、4.0、3.5、3.0、2.9、または2.8、好ましくは約2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、または2.0であることを特徴とし得る。
【0148】
第1の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムは熱成形が可能であり得る。
【0149】
第1の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂選択指数の値は、0.255〜0.315、または0.260〜0.310、または0.265〜0.305、または0.270〜0.300、または0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲であり得る。
【0150】
本開示の第2の態様は、任意の適する厚さを持つ水溶性フィルムであり、前記水溶性フィルムは約4〜約10質量%の水と全体で少なくとも50質量%のPVOHポリマーを樹脂形態で含み、これにより前記水溶性フィルムが約76ミクロンの厚さを持つ場合に(a)約620〜約920、または約665〜約920、または約710〜約920の溶解指数;および(b)約145〜約626、または約155〜約480、または約165〜約325の応力指数を持つことを特徴とし、
前記樹脂は、第1および第2のPVOHポリマーのブレンド材を含み、
第1のPVOHポリマーは、粘度が最低でも8cPまたは10cP、最高でも40cP、20cP,または15cP、例えば、約8cP〜約40cP、または約10cP〜約20cP、または約10cP〜約15cPの範囲であり;かつ
第2のPVOHポリマーは、粘度が最低でも10cPまたは20cP、最高でも40cP、30cP、または25cP、例えば、約10cP〜約40cP、または約20cP〜約30cP、または約20cP〜約25cPの範囲であり;
第1のPVOHポリマーの粘度は、第2のPVOHポリマーの粘度より低く;
および、前記樹脂は、平均粘度が約11cP未満、かつ多分散指数が約1.8〜約2.3の範囲のPVOHポリマーを30質量%以下しか有さない。
【0151】
第2の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂は、任意で約13.5cP〜約20cPの粘度平均と、さらに任意で、最低でも84%または85%、最高でも約92%、90%、89%、88%、または87%、例えば約84%〜約90%または85%〜88%の範囲、または86.5%の加水分解度とを持つ。
【0152】
第2の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂は、多分散指数(PDI)値が約1〜約5の範囲の第1のPVOHポリマーと、PDI値が約1〜約5の範囲の第2のPVOHポリマーとを含むことができ、それぞれのPVOHポリマーは、約1.5〜約3または約1.7〜約2.2の範囲のPDI値を持ち得る。
【0153】
第2の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂は、第1のPVOHポリマーを約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90質量%、および第2のPVOHポリマーを約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、76、80、85、90質量%、例えば、第1のPVOHポリマーを約30〜約85質量%または約45〜約55質量%含むことができる。
【0154】
第2の態様のいずれか1つの実施形態において、総PVOH樹脂分は、約2、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、または5.0のPDI値を持つことができ、例えば、総樹脂分のPDI値は、樹脂に含まれる個々のPVOHポリマーのいずれのPDI値よりも大きくてよい。
【0155】
第2の態様のいずれか1つの実施形態において、第1のPVOHポリマーは、重量平均分子量(Mw) が約50,000〜約300,000ドルトンまたは約60,000〜約150,000ドルトンの範囲であってよく;かつ第2のPVOHポリマーは、Mwが約60,000〜約300,000ドルトンまたは約80,000〜約250,000ドルトンの範囲であってよく;第2のポリオールポリマーは、第1のポリオールポリマーよりMwが大きく;そして任意で、樹脂は、Mwが約70,000ドルトン未満のPVOHポリマーを30質量%以下しか持たない。
【0156】
第2の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムは、約20秒超、好ましくは30秒超、およびより好ましくは40秒超の破裂強度の試験値を特徴とし得る。
【0157】
第2の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムは、最高でも約4.5、4.0、3.5、3.0、2.9、または2.8、好ましくは約2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、または2.0の選択残渣値を特徴とし得る。
【0158】
第2の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムは、さらに可塑剤を含み得る。
【0159】
第2の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムは熱成形が可能であり得る。
【0160】
第2の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂選択指数の値は、0.255〜0.315、または0.260〜0.310、または0.265〜0.305、または0.270〜0.300、または0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲であり得る。
【0161】
本開示の第3の態様は、任意の適する厚さを持ち、約4〜約10質量%の水と全体で少なくとも50質量%の樹脂形態でのPVOHポリマーと任意で可塑剤を含む水溶性フィルムであり、これによりこれにより前記水溶性フィルムが約76ミクロンの厚さを持つ場合に(a)約620〜約920、または約665〜約920、または約710〜約920の溶解指数;および(b)約145〜約626、または約155〜約480、または約165〜約325の応力指数を持つことを特徴とし、
前記樹脂は、約50,000〜約300,000ドルトンの範囲のMwと、
約84%〜約92%、90%、または約85%〜約88%の範囲の加水分解度とを持ち;
前記樹脂はさらに、Mwが約70,000ドルトン未満のPVOHポリマーを30質量%以下しか持たない。
【0162】
第3の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂は任意で、約13.5cP〜約20cPの範囲の粘度平均を持つことができ、かつ、樹脂はさらに任意で、平均粘度が11cP未満、かつ多分散指数が約1.8〜約2.3の範囲のPVOHポリマーを以下しか持つことができない。
【0163】
第3の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂は、少なくとも2種類のPVOHポリマーを含むことができ、
第1のPVOHポリマーは、最低でも約8cP、10cP、12cP、または13cP、かつ最高でも約40cP、20cP、15cP、または13cP、例えば、約8cP〜約40cP、約10cP〜約20cP、約10cP〜約15cP、または約12cP〜約14cPの範囲、または13cPの粘度を持ち;そして
第2のPVOHポリマーは、最低でも約10cP、20cP、または22cP、かつ最高でも約40cP、30cP、25cP、または24cP、例えば、約10cP〜約40cP、約20cP〜約30cP、または約20cP〜約25cP、約22cP〜約24cPの範囲、または約23cPの粘度を持ち;
第1のPVOHポリマーの粘度は、第2のPVOHポリマーの粘度より低い。
【0164】
第3の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂は、多分散指数(PDI)の値が約1〜約5の範囲の第1のPVOHポリマーと;PDI値が約1〜約5の範囲の第2のPVOHポリマーとを含むことができ;それぞれのPVOHポリマーが、約1.5〜約3、または約1.7〜約2.2の範囲のPDI値を持ち得る。
【0165】
第3の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90質量%の第1のPVOHポリマー、および約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90質量%の第2のPVOHポリマー、例えば、約30〜約85質量%の第1のPVOHポリマー、または、約45〜約55質量%の第1のPVOHポリマーを含むことができる。
【0166】
第3の態様のいずれか1つの実施形態において、総PVOH樹脂分は、約2、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、または5.0より大きいPDI値を持つことができ、例えば、総樹脂分のPDI値は、樹脂に含まれる個々のPVOHポリマーのいずれのPDI値より大きいものであり得る。
【0167】
第3の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムは、破裂強度の試験値が約20秒超、好ましくは30秒超、およびより好ましくは40秒超であることを特徴とし得る。
【0168】
第3の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムは、洗濯残渣値が最高でも約4.5、4.0、3.5、3.0、2.9、または2.8、好ましくは最高でも約2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、または2.0であることを特徴とし得る。
【0169】
第3の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムは熱成形が可能であり得る。
【0170】
第3の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂選択指数の値は、0.255〜0.315、または0.260〜0.310、または0.265〜0.305、または0.270〜0.300、または0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲であり得る。
【0171】
本開示の第4の態様は、任意の適する厚さを持つ水溶性フィルムであり、前記水溶性フィルムは、約76ミクロンの厚さを持つ場合に(a)約620〜約920、または約665〜約920、または約710〜約920の溶解指数;および(b)約145〜約626、または約155〜約480、または約165〜約325の応力指数を持つことを特徴とするような、0.270〜0.300の樹脂選択指数を持つ樹脂の形態で、全体で少なくとも50質量%のPVOHポリマーを含む。
【0172】
第4の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂は、任意で約13.5cP〜約20cPの範囲の粘度平均と、さらに任意で、最低でも84%〜85%、かつ最高でも約92%、90%、89%、88%、または87%、例えば、約84%〜約90%、または85%〜88%の範囲、または86.5%の加水分解度を持ち得る。
【0173】
第4の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂は、少なくとも2種類のPVOHポリマーを含むことができ、
第1のPVOHポリマーは、最低でも約8cP、10cP、12cP、または13cP、かつ最高でも約40cP、20cP、15cP、または13cP、例えば、約8cP〜約40cP、または約10cP〜約20cP、または約10cP〜約15cPまたは約12cP〜約14cPの範囲、または13cPの粘度を持ち;そして
第2のPVOHポリマーは、最低でも約10cP、20cP、または22cP、かつ最高でも約40cP、30cP、25cP、または24cP、例えば、約10cP〜約40cP、または20cP〜約30cP、または約20cP〜約25cP、または約22cP〜24cPの範囲、または約23cPの粘度を持ち;
第1のPVOHポリマーの粘度は、第2のPVOHポリマーの粘度より低い。
【0174】
第4の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂は、約1〜約5の範囲の多分散指数(PDI)値をもつ第1のPVOHポリマーと、約1〜約5の範囲のPDI値を持つ第2のPVOHポリマーとを含むことができ、かつそれぞれのPVOHポリマーは、約1.5〜約3、または約1.7〜約2.2の範囲のPDI値を持ち得る。
【0175】
第4の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂は、第1のPVOHポリマーを約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90質量%、および第2のPVOHポリマーを約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90質量%含むことができ、例えば、第1のポリマーを約30〜約85質量%、または第1のポリマーを約45〜約55質量%含み得る。
【0176】
第4の態様のいずれか1つの実施形態において、総PVOH樹脂分は、約2、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、または5.0より大きいPDI値を持つことができ、例えば、総樹脂分のPDI値は、樹脂に含まれる個々のPVOHポリマーのいずれのPDI値よりも大きいものであり得る。
【0177】
第4の態様のいずれか1つの実施形態において、第1のPVOHポリマーは、約50,000〜約300,000ドルトン、または約60,000〜150,000ドルトンの範囲の重量平均分子量(Mw)を持つことができ、かつ第2のPVOHポリマーは、約60,000〜約300,000ドルトン、または約80,000〜約250,000ドルトンの範囲のMwを持つことができ、第2のポリオールポリマーは、第1のポリオールポリマーより大きいMwを持ち、任意で、樹脂は、約70,000ドルトン以下のMwを持つPVOHポリマーを30質量%以下しか持たない。
【0178】
第4の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムは、さらに可塑剤を持つことができる。
【0179】
第4の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムは、約4〜約10質量%の残留水分を持ち得る。
【0180】
第4の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムは、破裂強度の試験値が約20秒超、好ましくは30秒超、およびより好ましくは40秒超であることを特徴とすることができる。
【0181】
第4の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムは、水滴耐性値が最高でも約4.5、4.0、3.5、3.0、2.9、または2.8、好ましくは、最高でも約2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、または2.0であることを特徴とすることができる。
【0182】
第4の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムは熱成形が可能であり得る。
【0183】
本開示の第5の態様は、任意の適する厚さを持つ水溶性フィルムの作製方法であり、前記水溶性フィルムは約4〜約10質量%の水、全体で少なくとも50質量%の樹脂形態でのPVOHポリマー、および任意で可塑剤を含み、これによりこれにより前記水溶性フィルムが約76ミクロンの厚さを持つ場合に(a)約620〜約920、または約665〜約920、または約710〜約920の溶解指数;および(b)約145〜約626、または約155〜約480、または約165〜約325の応力指数を持つことを特徴とし、
前記方法は、PVOH樹脂からフィルムを成形することを含み、樹脂は、粘度平均が約13.5cP〜約20cPの範囲であり、加水分解度が最低でも84%または85%、かつ最高でも約92%、90%、89%、88%、または87%、例えば、約84%〜約90%または85%〜88%の範囲、または86.5%であり、樹脂はさらに、約11cPより低い平均粘度と、約1.8〜約2.3の範囲の多分散指数とを持つPVOHポリマーを、30質量%以下しか持たない。
【0184】
第5の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂は、少なくとも2種類のPVOHポリマーを含み、
第1のPVOHポリマーは、粘度が最低でも8cP、10cP、12cP、または13cP、かつ最高でも約40cP、20cP、15cP、または13cPであり、例えば、約8cP〜約40cP、または約10cP〜約20cP、または約10cP〜約15cP、または約12cP〜約14cPの範囲、または13cPであり;そして
第2のPVOHポリマーは、粘度が最低でも約10cP、20cP,または22cP、かつ最高でも約40cP、30cP、25cP,または24cPであり、例えば、約10cP〜約40cP、または20〜約30cP、または約20〜約25cP、または約22〜約24の範囲、または23cPであり;
第1のPVOHポリマーの粘度は、第2のポリマーの粘度より低い。
【0185】
第5の態様のいずれか1つの実施形態において、前記方法は、第1のPVOHポリマーと第2のPVOHポリマーとを混合し、共成形し、または溶接してPVOH樹脂を形成することを含み得る。
【0186】
第5の態様のいずれか1つの実施形態において、前記樹脂は、多分散指数(PDI)値が約1〜約5の範囲第1のPVOHポリマーと、PDI値が約1〜約5の範囲である第2のPVOHポリマーを含むことができ、それぞれのPVOH樹脂は、PDI値が約1.5〜約3、または約1.7〜約2.2の範囲であり得る。
【0187】
第5の態様のいずれか1つの実施形態において、前記樹脂は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90質量%の第1のPVOHポリマーと、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90質量%の第2のPVOHポリマーを含むことができ、例えば、約30〜約85質量%の第1のPVOHポリマー、または、約45〜約55質量%の第1のPVOHポリマーを含み得る。
【0188】
第5の態様のいずれか1つの実施形態において、総PVOH樹脂分は、約2、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、または5.0より大きいPDI値を持つことができ、例えば、総樹脂分のPDI値は、樹脂に含まれる個々のPVOHポリマーのいずれのPDI値よりも大きいものであり得る。
【0189】
第5の態様のいずれか1つの実施形態において、第1のPVOHポリマーは、約50,000〜約300,000ドルトン、または約60,000〜150,000ドルトンの範囲の重量平均分子量(Mw)を持つことができ、かつ第2のPVOHポリマーは、約60,000〜約300,000ドルトン、または約80,000〜約250,000ドルトンの範囲のMwを持つことができ、第2のポリオールポリマーは、第1のポリオールポリマーより大きいMwを持つことができ、そして任意で、前記樹脂は、Mwが約70,000ドルトン未満のPVOHポリマーを、約30質量%以下しか持たない。
【0190】
第5の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムは、破裂強度の試験値が約20秒超、好ましくは30秒超、およびより好ましくは40秒超であることを特徴とする。
【0191】
第5の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムは、洗濯残渣値が最高でも約4.5、4.0、3.5、3.0、2.9、または2.8、好ましくは、最高でも約2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、または2.0であることを特徴とする。
【0192】
第5の態様のいずれか1つの実施形態において、フィルムは熱成形が可能であり得る。
【0193】
第5の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂選択指数の値は、0.255〜0.315、または0.260〜0.310、または0.265〜0.305、または0.270〜0.300、または0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲であり得る。
【0194】
本開示の第6の態様は、本明細書に記述されたPVOHフィルムを含む、密封可能なパウチまたはパケットである。
【0195】
第6の態様のいずれか1つの実施形態において、PVOHフィルムは、パウチまたはパケットの外壁として配置される。
【0196】
第6の態様のいずれか1つの実施形態において、パウチまたはパケットは、単一の区画、または複数の区画を含むことができ、任意で、本開示のPVOHフィルムを含むパウチまたはパケット全体の外壁を伴い、さらに任意で、同じく本開示のPVOHフィルムを含む少なくとも1つの外壁を伴う。パウチまたはパケットの1つ以上の外壁を形成するPVOHフィルム(単数または複数)は、多区画パウチまたはパケットの1つ以上の内壁を形成するフィルム(単数または複数)と同じであっても異なってもよく、任意で同じである。
【0197】
第6の態様のいずれか1つの実施形態において、樹脂選択指数値は、0.255〜0.315、または0.260〜0.310、または0.265〜0.305、または0.270〜0.300、または0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲である。
【0198】
本開示の第7の態様は、任意の適する厚さを持つ水溶性フィルムであり、前記水溶性フィルムは、約76ミクロンの厚さを持つ場合に(a)約620〜約920、または約665〜約920、または約710〜約920の溶解指数;および(b)約145〜約626、または約155〜約480、または約165〜約325の応力指数を持つことを特徴とするような、少なくとも50質量%のPVOH樹脂を含む。
【0199】
本開示の第8の態様は、本明細書、例えば第1〜第7の態様のうち任意の1つ以上に記載のPVOHフィルムを含むパウチである。パウチは第1の組成物を含有する少なくとも1つの密封区画を含み、そのうち少なくとも1つの密封区画の少なくとも1つの壁が、任意の適する厚さの本明細書に記載のPVOHフィルムから作製される。
【0200】
本開示の第8の態様による一部の実施形態では、以下のうち1つ以上が当てはまり得る:パウチの少なくとも1つの壁がパウチの外壁として配置される;少なくとも1つの壁が第1の組成物と接触している;第1の組成物は液体、固体、およびその混合物の群から選択される;および/または第1の組成物は質量%単位で、全体で約1質量%から約65質量%の陰イオン性界面活性剤を含む。
【0201】
本開示の第8の態様による一部の実施形態では、パウチはさらに第2の組成物を含有する第2の密封区画を含み、第2の密封区画と第1の密封区画とがパウチの内部を分割する壁を共有するように前記第2の密封区画が第1の区画と一般に重なり合わせた関係にある。第2の組成物は液体、固体、およびその混合物から選択される。
【0202】
本開示の第8の態様による一部の実施形態では、パウチはさらに第3の組成物を含有する第3の密封区画を含み、第3の密封区画と第1の密封区画とがパウチの内部を分割する壁を共有するように前記第3の密封区画が第1の区画と一般に重なり合わせた関係にある。パウチの第3の組成物は液体、固体、およびその混合物から選択される。
【0203】
本開示の第8の態様による一部の実施形態では、第1の組成物および第2の組成物は以下の組み合わせ:液体、液体;液体、粉末;粉末、粉末;および粉末、液体のうち1つから選択される。
【0204】
第8の態様による一部の実施形態では、第1、第2、および第3の組成物は、以下の組み合わせ:固体、液体、液体、および液体、液体、液体のうち1つから選択される。
【0205】
本開示の第9の態様は、少なくとも、第1の組成物を含有する第1の密封区画と第2の組成物を含有する第2の密封区画を含む多区画パウチであり、このうち第2の密封区画は、第2の密封区画と第1の密封区画とがパウチの内部を分割する壁を共有するように前記第2の密封区画が第1の区画と一般に重なり合わせた関係にあり;また第1および第2の密封区画のそれぞれのうち少なくとも1つの壁が、本明細書、例えば第1〜第7の態様のうち任意の1つ以上に記載のPVOHフィルムから作製される。
【0206】
第9の態様による一部の実施形態では、第1の組成物および第2の組成物は、以下の組み合わせ:液体、液体;液体、粉末;粉末、粉末;および粉末、液体のうち1つから選択される。
【0207】
本開示の第8、9、または10の態様のいずれかにおいて、組成物は、液体軽質および液体重質の液体洗剤組成物、粉末洗剤組成物、手洗い用および/または機械洗い用の食器洗い洗剤;硬表面洗浄組成物、織物増強剤、洗濯によく用いられる洗剤ゲル、ならびに漂白剤および洗濯用添加剤、シャンプー、およびボディーソープの群から選択される。
【0208】
本開示の具体的な実施形態を例示および説明する一方で、様々な他の変更および修正が本発明の精神および範囲から逸脱しない範囲内でなされ得ることは当業者に明白であろう。したがって、本発明の範囲内であるそのような変更および修正の全てが、添付の特許請求の範囲において包含されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の適切な厚さを有する水溶性フィルムであって、
前記水溶性フィルムが:
平均粘度が約13.5cP〜約20cPの範囲であり加水分解度が約84%〜約92%の範囲である少なくとも50質量%の水溶性ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂を含み;
前記フィルムがさらに平均粘度が約11cPより低いPVOHポリマーを30質量%以下しか有さない;および
前記フィルムはさらに、約76ミクロンの厚さを有する場合に、溶解指数が約620〜約920、好ましくは約665〜約920、より好ましくは710〜約920の範囲であり、前記フィルムが約76ミクロンの厚さを有する場合に応力指数が約145〜約626、好ましくは約155〜約480、より好ましくは約165〜約325の範囲であることを特徴とし、かつ前記フィルムが熱成形性である、水溶性フィルム。
【請求項2】
前記PVOH樹脂が、約8cP〜約40cPの範囲、好ましくは約10cP〜約20cPの範囲;およびより好ましくは約10cP〜約15cPの範囲の粘度である第1のPVOHポリマーと;約10cP〜約40cPの範囲、好ましくは約20cP〜約30cPの範囲、およびより好ましくは約20cP〜約25cPの範囲の粘度である第2のPVOHポリマーとを含む、請求項1に記載の水溶性フィルム。
【請求項3】
約1質量%〜約40質量%、好ましくは約15質量%〜約35質量%の可塑剤をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
【請求項4】
前記可塑剤が、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、2−メチイル(methyyl)−1,3−プロパンジオール、およびその混合物から成る群より選択される材料を含む、請求項3に記載の水溶性フィルム。
【請求項5】
少なくとも約4質量%の残留湿分、好ましくは約4質量%〜約10質量%の範囲の残留湿分をさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
【請求項6】
前記フィルムが約76ミクロンの厚さである場合、破裂強度が少なくとも約25秒;好ましくは少なくとも約30秒であることを特徴とする、前記請求項のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
【請求項7】
前記PVOH樹脂が、0.255〜0.315の範囲、好ましくは0.260〜0.310の範囲、さらに好ましくは0.265〜0.305の範囲、より好ましくは0.270〜0.300の範囲の樹脂選択指数値を特徴とする、上記請求項のいずれか1項に記載の水溶性フィルム。
【請求項8】
前記請求項のいずれか1項に記載の水溶性フィルムを有するパウチ。
【請求項9】
前記水溶性フィルムが成形フィルムを有する、請求項8に記載のパウチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−518008(P2013−518008A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551297(P2012−551297)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2011/022828
【国際公開番号】WO2011/094472
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(508122415)モノソル リミテッド ライアビリティ カンパニー (8)
【Fターム(参考)】