説明

改善された設計の航空機用ジェットエンジンの中間ケーシング

【課題】航空機用ジェットエンジンの中間ケーシングであって、従来技術に関係する問題を少なくとも部分的に改善する中間ケーシングを提案すること。
【解決手段】航空機用ジェットエンジンの中間ケーシング(21)であって、外殻(23)ならびに外殻に対して半径方向内側に配置された前部および後部フランジ(25、27)を備えるとともに、フランジの間を放射状に外殻(23)まで延びる構造アーム(17)をさらに備え、後部フランジが、推力を吸収するためのロッドを固定するための固定ブラケットを受け止めるための受け止め手段(34)を具備しており、第1の受け止め手段が、後部フランジから来るボス(36)を備え、ボスを貫いて、ブラケットの固定ねじが通過する貫通穴(38)が形成されている中間ケーシングに関する。本発明によれば、ボス(36)の少なくとも1つが、構造アーム(17)のうちの1つに接するまで延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くには、ジェットエンジン、ジェットエンジンを囲むナセル、および剛構造とジェットエンジンを剛構造へと取り付けるための取り付け手段とを備えるパイロンを備える形式の航空機用の推進アセンブリに関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、そのようなアセンブリのジェットエンジンの中間ケーシングに関する。
【背景技術】
【0003】
パイロンは、「EMS」(Engine Mounting Structure「エンジン取り付け構造」)または「エンジンパイロン」としても知られているが、ジェットエンジンを航空機の翼の下方に吊り下げることを可能にし、あるいはこのジェットエンジンをこの同じ翼の上方または機体の後部に取り付けることを可能にする。パイロンは、ジェットエンジンと航空機の所与の構造部分との間に、接続部分を形成するように意図されている。パイロンは、航空機に組み合わせられたジェットエンジンによって生成される力をこの航空機の構造へと伝達できるようにするとともに、エンジンおよび航空機の間の燃料、電気および油圧系統、ならびに空気の引き回しを可能にする。
【0004】
ナセルについては、通常は、ジェットエンジンを囲む複数のカウルであって、開放位置にあるときにジェットエンジンへのアクセスが可能であるカウルを備える。これらのカウルは、ファンカウルおよび逆推力装置カウルとして知られている。
【0005】
ジェットエンジンは、いわゆる中間ケーシングによって後方に向かって延長されたファンケーシングを備え、中間ケーシングが、外殻ならびに前部横フランジおよび後部横フランジを備え、前部横フランジおよび後部横フランジは、互いに平行かつこの外殻に対して半径方向内側に配置されている。さらに、この中間ケーシングが、角度的に分布して前部および後部フランジの間を放射状に外殻まで延びる構造アームを備える。
【0006】
通常は、パイロンは、主構造としても知られている剛構造を備え、この剛構造は、縦長の箱の形状をとり得る。さらに、パイロンは、ジェットエンジンを剛構造へと取り付けるための取り付け手段を備え、これらの手段が、通常は、複数のエンジン取り付け具と、通常は2本の力吸収ロッドで構成される推力を吸収するための装置とを備える。
【0007】
これら2本のロッドは、推進アセンブリの垂直方向および長手方向の中央面に関して対称に配置され、それぞれ前方方向において上述の面から離れるような方法で向けられている。前端が、中間ケーシングの後部フランジへと、この同じフランジへと取り付けられた固定ブラケットを介して固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3398535号明細書
【特許文献2】米国特許第4132069号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1707487号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、力吸収ロッドを通過する推力または軸方向の力は、中間ケーシングへと直接的に導入され、より具体的には、中間ケーシングの後部フランジへと直接的に導入される。これらの推力がきわめて強力であることから、従来技術の解決策は、ロッドの2つの固定ブラケットを受け止めるための手段の近傍において中間ケーシングに複雑な設計をもたらし、このことが、当然ながら、全体としての重量およびサイズに関して不利に働く一方で、この関連する領域は、特にフランジ間空間の機器の存在および/または通過ゆえに、すでにかなりのサイズである。
【0010】
したがって、本発明の目的は、航空機用ジェットエンジンの中間ケーシングであって、従来技術の実施形態に関係する上述の問題を少なくとも部分的に改善する中間ケーシングを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のため、本発明は、航空機用ジェットエンジンの中間ケーシングであって、外殻ならびに互いに平行かつ上記外殻に対して半径方向内側に配置された前部横フランジおよび後部横フランジを備え、角度的に分布して上記前部および後部フランジの間を放射状に上記外殻まで延びている構造アームをさらに備え、上記後部フランジが、ジェットエンジンの推力を吸収するための第1のロッドを固定するための第1の固定ブラケットを受け止めるための第1の受け止め手段を具備しており、上記第1の受け止め手段が、上記後部フランジから来るボスを備え、これらのボスのそれぞれを貫いて、上記第1の固定ブラケットの固定ねじが通過するように設計された少なくとも1つの貫通穴が形成され、これらの貫通穴が、構造アームに対して角度的に離間している中間ケーシングに関する。本発明によれば、上記ボスの少なくとも1つが、上記構造アームのうちの1つに接するまで延びている。
【0012】
結果として、本発明による構成においては、第1の力吸収ロッドから来る推力が、関連する固定ブラケット、固定ねじ、次いでボスへと順に伝えられた後に、これらのボスへと接続された構造アームの1つ以上に達するが、ボスがおおむね後部フランジの厚さの増加に相当し、軸方向に満足できる剛性をもたらす。したがって、構造アームの1つ以上へと接続されたボスの助けによって形成される好ましい力の経路が、採用された設計の簡潔さゆえに、重量またはサイズの問題を生じることなく、推力を伝達するための効果的な解決策の提供を可能にする。
【0013】
好ましくは、構造アームの方向に推力をより上手く伝達するために、ボスのそれぞれが、これらの構造アームのうちの1つに接するまで延びている。
【0014】
この点に関し、ボスのうちのいくつかを、所与の構造アームに接するまで延ばすことができ、残りのボスを、上記所与の構造アームのすぐ隣の構造アームに接するまで延ばすことができる。この状況は、特に、固定ブラケットの角度的な広がりが、固定ブラケットの両側に位置する2つの直接的に隣り合う構造アームの間に画定される角度の広がりよりもわずかに小さい場合に採用される。しかしながら、本発明の範囲から離れることなく、固定ブラケットが、2つの直接的に隣り合う構造アームの間に画定される角度の広がりよりも大きい角度の広がりを有してもよい。
【0015】
好ましくは、それぞれのボスが、実質的に一定な厚さにわたって延びており、ここで、厚さは、該当ボスが設けられるフランジの表面から出発する軸方向の距離として理解されるように意図されている。さらには、ボスの幅も、好ましくは実質的に一定であり、これらのボスが、ボスの長さの方向において関連する構造アームに対して実質的に直角に延びている。
【0016】
好ましくは、それぞれのボスが、上記後部フランジの前面から延びており、すなわちいわゆるフランジ間空間へと延びており、すなわち中間ケーシングの前部フランジに向かい合っている。
【0017】
この点に関し、上記後部フランジの後面から延びる追加のボスが、上記貫通穴のそれぞれに組み合わせられることに留意されたい。ここで、この追加のボスは、ボスを通過する固定用の穴の周囲に配置された実質的に円形の従来からの形状であり、すなわち必ずしも上述のボスの場合のように隣接する構造アームに向かって延びている必要はない。このように、固定用の穴は、関連する構造アームまで延ばされているボスと、後部フランジと、追加のボスとを順に貫いている。
【0018】
この構成において、好ましくは、それぞれの追加のボスが、上記第1の固定ブラケットを支持するための支持面を有する。
【0019】
さらに好ましくは、上記第1の受け止め手段が、上記第1の固定ブラケットのせん断ピンを収容するように設計された穴をさらに備え、この穴が、好ましくは、上述の固定穴の間に位置している。例として、このせん断ピンは、上述の力吸収ロッドの傾きに起因して持ち込まれるジェットエンジンの横平面に向けられたせん断力を、中間ケーシングへと渡すために設けられる。固定ねじと同様に、このせん断ピンも、好ましくは実質的に軸方向に向けられる。
【0020】
そのような場合に、例えば、上記ボスの数が4とされ、それぞれに上記第1の固定ブラケットの固定ねじを通すように設計されたただ1つの貫通穴が具備され、上記受け止め手段が、おおむね十字の形状であって上記後部フランジから延びる4つの枝部を備える補強リブをさらに備え、十字の中心が、上記せん断ピンを収容するように設計された上記穴を通過し、十字の4つの端部が、上記4つのボスにそれぞれ接する。結果として、第1の力吸収ロッドから来るせん断力が、関連する固定ブラケット、せん断ピン、十字形のリブ、次いでボスへと順に伝えられた後に、これらのボスへと接続された構造アームの1つ以上に達し、横および垂直方向に満足できる剛性がもたらされる。したがって、構造アームの1つ以上へと接続されたボスの助け、およびX字形リブとも称される十字形のリブの助けによって形成される好ましい力の経路が、採用された設計の簡潔さゆえに、重量またはサイズの問題を生じることなく、せん断力を伝達するための効果的な解決策の提供を可能にする。
【0021】
好ましくは、上記補強リブが、上記後部フランジの前面から延び、さらに後面からも延びており、したがって後部フランジに対する貫通リブとなっている。しかしながら、補強リブを、本発明の範囲から離れることなく、フランジの2つの面のうちの一方のみから(好ましくは、後面から)突き出すような方法で設けることも可能である。
【0022】
さらに、推力を吸収するための第2のロッドが、ブラケットを受け止めるための受け止め手段であって、上述の第1の受け止め手段と同一または同様の受け止め手段に組み合わせられる。したがって、一般的には、上記後部フランジが、ジェットエンジンの推力を吸収するための第2のロッドを固定するための第2の固定ブラケットを受け止めるための第2の受け止め手段をさらに具備しており、第2の受け止め手段が、上記後部フランジから来るボスを備え、これらのボスのそれぞれを貫いて、上記第2の固定ブラケットの固定ねじが通過するように設計された少なくとも1つの貫通穴が形成され、上記貫通穴が、構造アームに対して角度的に離間しており、上記ボスの少なくとも1つが、上記構造アームのうちの1つに接するまで延びている。
【0023】
好ましくは、中間ケーシングは、鋳造によって、単一の部品にて製作されている。
【0024】
さらに、本発明は、上述のような中間ケーシングを備え、上記外殻が、ファンケーシングの後部の延長部に配置されている航空機用ジェットエンジンに関する。
【0025】
さらに、本発明は、上述のようなジェットエンジンと、剛構造および上記ジェットエンジンを上記剛構造へと取り付けるための手段を備える上記ジェットエンジンのパイロンと、を備え、それらの取り付けるための手段が、推力を吸収するための上記第1および第2のロッドを含む航空機用の推進アセンブリに関する。
【0026】
本発明の他の利点および特徴は、以下の詳細な説明(ただし、本発明がこれらに限定されるわけではない)から明らかになる。
【0027】
この説明は、添付の図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による航空機用の推進アセンブリの概略の側面図を示している。
【図2】図1に示したアセンブリの一部分の斜視図を示しており、ジェットエンジンの中間ケーシングをさらに詳しい方法で示している。
【図3】中間ケーシングについて、図1の線III−IIIに沿って得た2つのフラジの間の断面図を示している。
【図4】中間ケーシングの後部フランジの後部について、図1の線IV−IVに沿って得た断面図を示している。
【図5】図4の線V−Vに沿って得た断面図を示している。
【図6】図4の線VI−VIに沿って得た断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1を参照すると、本発明の一好ましい実施形態による航空機用の推進アセンブリ1を見て取ることができ、このアセンブリ1は、航空機の翼(図示せず)の下方に取り付けられるように設計されている。
【0030】
一般に、一体型推進システムとしても知られている推進アセンブリ1は、ジェットエンジン2、ナセル(図示せず)、およびパイロン4で構成されている。パイロン4が、ジェットエンジンをこのパイロンへと取り付けるための取り付け手段10を備え、これらの手段が、好ましくは、前部エンジン取り付け具6a、後部エンジン取り付け具6b、および推力を吸収するための装置で構成されており、推力を吸収するための装置が、2本のロッド8(図1においては、一方が他方によって隠されている)の形態をとっている。例として、アセンブリ1が、このアセンブリ1を航空機の翼の下方に吊り下げることができるようにする別の1組の取り付け具(図示せず)を備えることに留意されたい。
【0031】
本明細書の残りの部分の全体を通して、Xは、従来、アセンブリ1の長手方向(ジェットエンジン2の長手方向に一致することができる)を示し、この方向Xは、このジェットエンジン2の長手軸5に平行である。他方で、Yは、推進アセンブリ1に対して横方向に向けられた方向を示し、ジェットエンジン2の横方向に一致することができ、Zは、垂直方向または高さ方向を示し、これら3つの方向X、Y、およびZは、互いに直角である。
【0032】
さらに、用語「前」および「後」は、ジェットエンジン2によって加えられる推力に従う航空機の前方方向(矢印7によって概略的に示されている)を基準にして考えられる。
【0033】
図1において、エンジン取り付け具6a、6b、推力吸収ロッド8、およびパイロン4の剛構造11のみが図示されていることを、見て取ることができる。剛構造11を航空機の翼の下方に取り付けるための取り付け手段や、空気力学的フェアリングを支持しつつシステムを分離および保持する二次構造など、このパイロン4の図示されていない残りの構成要素は、従来技術において見られるものと同一または同様であって、当業者に知られている従来の要素である。したがって、これらについての詳しい説明は、ここでは行わない。
【0034】
さらに、ジェットエンジン2は、おおむね従来どおりの設計を有し、すなわち前部のファンケーシング12を、中間ケーシング21によって後方へと延長して備える。
【0035】
中間ケーシング21は、ファンケーシングの後部の空気力学的延長部に位置する外殻23と、この外殻23に対して半径方向内側に配置された横フランジ25、27とを備え、さらに中間ケーシング21は、或る角度にて分布してフランジ25、27の間を外殻23まで放射状に延び、外殻23に接している構造アーム17を備える。
【0036】
最後に、ジェットエンジンは、後方の横フランジ27へと取り付けられ、この横フランジ27から出発して中間ケーシング21を後方へと延長する中央ケーシング16(「コア」ケーシングとしても知られている)を備える。最後に、中央ケーシングがより大きなサイズの後端19(排気ケーシングとしても知られている)まで延びていることに、留意されたい。
【0037】
前部エンジン取り付け具6aが、剛構造11(一次構造としても知られている)の前端とファンケーシング12または中間ケーシング21の外殻23との間に配置されている。
【0038】
後部取り付け具6bについては、剛構造11と中央ケーシング16の後端19との間に配置されている。2つのエンジン取り付け具6a、6bを、垂直方向かつ長手方向に向けられかつ軸5を通過する中央面Pが通過している。
【0039】
この同じ面Pが、各側に推力吸収ロッド8をそれぞれ位置させ、2つの推力吸収ロッドの対称の平面を形成している。図2から見て取ることができるとおり、それぞれのロッド8は、後部エンジン取り付け具6bの本体に関節接続された後端と、横フランジ27へとこのフランジに取り付けられた固定ブラケット30を介して取り付けられた前端とを有する。この同じ図において、それぞれ横向きのディスクまたはリングの形状を有する後方の横フランジ27および前方の横フランジ25が、方向Xにおいてお互いから離間し、間にそれぞれの構造アームまたは出口案内羽根17が進入する空間32(フランジ間空間と称される)を形成していることを、見て取ることができる。
【0040】
本発明の特別な特徴の1つは、固定ブラケット30を受け止めるための受け止め手段の設計にあり、これを、2本のロッド8のうちの一方について、図3から図6を参照して説明する。この点に関し、第2の力吸収ロッドに組み合わせられる他方のブラケットを受け止めるための受け止め手段は、同一または同様の設計であり、したがってさらなる説明は行わない。また、第2のブラケットおよび第2のロッドに組み合わせられる第2の受け止め手段が、好ましくは第1のブラケットおよび第1のロッドに組み合わせられる第1の受け止め手段に対し、上述の面Pに関して対称であることに留意されたい。
【0041】
最初に、特に後部フランジ27を前方から示している図3を参照すると、第1のロッドの前端を関節接続の様相で保持している第1の固定ブラケットを受け止めるための第1の受け止め手段34を見て取ることができ、これらの手段34が、フランジ27から突き出しており、好ましくはフランジ27と一緒に単一の部品にて、例えば鋳造によって製作されている。
【0042】
手段34は、フランジ27の前面40から延びる4つのボス36を備え、これらのボスは、フランジ27における厚さの増加の形態をとっている。4つのボス36のそれぞれを、ブラケットの固定ねじを通すように設計された実質的に軸方向の貫通穴38が通過している。図3に見て取ることができるとおり、4つの穴38は、互いに離間しており、正方形、長方形、あるいは平行四辺形などといった四角形の角を画定している。好ましい実施形態においては、半径方向において互いに離間しているが、角度的には離間していない2つの第1の穴38が、フランジ27において第1のアーム17の近くに形成されている一方で、半径方向において互いに離間しているが、角度的には離間していない2つの第2の穴38が、フランジ27において第1のアームのすぐ隣の第2のアーム17の近くに形成されている。より具体的には、2つの第1の穴38、または図3の左側の穴が、第1のアーム17に対して角度的にずらされており、すなわち接線方向または周方向とも称される第1の角度方向42にずらされている一方で、2つの第2の穴38、または図3の右側の穴が、第2のアーム17に対して角度的にずらされており、すなわち第1の角度方向と反対の第2の角度方向44にずらされている。
【0043】
力吸収ロッドから来る推力または軸方向の力を伝達するために、第1の穴38の周囲を延びているボス36は、第1の構造アーム17に接するまで、すなわち第1の構造アーム17に合流するまで、第2の角度方向44へと延ばされている。同じ方法で、第2の穴38の周囲を延びているボス36は、第2の構造アーム17に接するまで、すなわちやはりこの第2の構造アームに合流するまで、第1の角度方向42へと延ばされている。
【0044】
ボス38は、好ましくはそれぞれのボスについて同じである実質的に一定な厚さにわたって延びており、それぞれのボスが、関連するアーム17に対して実質的に直交するストリップの形状をとり、ストリップの長さは、この同じアームからの距離に応じて長くもなり、短くもなる。
【0045】
次に、フランジ27の後面46を示している図4を参照すると、それぞれの貫通穴38が、この後面から突き出しているさらなるボス48をも貫いていることを、見て取ることができる。これら追加のボス48は、主たるボス36の軸方向の延長にて配置されると考え得るが、必ずしも関連するアーム17まで延びている必要はなく、むしろ反対に、いずれの場合も、ボスを通過する固定用の穴の周囲に配置された実質的に円形の従来からの形状をとることができる。
【0046】
さらに、追加のボス48の後端は、ロッド固定ブラケットを受け止めるように設計された支持面を形成するように、好ましくは平坦であって、横方向に向けられている。この点に関し、関連する4つの端部が好ましくは同一平面にある。
【0047】
例として、図4は、固定ブラケット30を破線にて概略的に示しており、エンジンの軸を中心とする固定ブラケット30の角度的な広がりが、第1および第2のアーム17の間の角度の広がりよりもわずかに小さいことを示している。
【0048】
図3および図4を同時に参照すると、第1の受け止め手段34が、ロッド固定ブラケットのせん断ピンを収容するための穴50(好ましくは、行き止まりの穴である)をさらに備えることに、留意されたい。この穴50は、好ましくは実質的に軸方向であり、好ましくは4つの貫通穴38によって形成される四角形の中心または中心付近に位置している。さらに、この穴50は、フランジ27の両面から突き出すボス52に形成されており、このボスは、前面40に位置する部位が閉じられている一方で、後面46に位置する部位はせん断ピンを通すために開いている。追加のボス48と同じ方法で、後面46に位置するボス52の端部は、ロッド固定ブラケットを受け止めるように設計された支持面を形成するために、好ましくは平坦であって、横方向に向けられている。
【0049】
力吸収ロッドの傾きゆえに中間ケーシングへと持ち込まれるせん断力(横力とも称される)を伝達するために、受け止め手段34は、後部フランジ27の両面から突き出す補強リブ56を備え、補強リブ56は、おおむね十字の形状であって、4つの枝部を備える。このリブ56は、X字形リブとも称されるが、軸方向において見たときに穴50を通過し、したがってボス52を通過する中心と、フランジ27の前面の4つのボス36にそれぞれ接して、ボス36へと効果的に合流する4つの端部とを有する。同じ方法で、4つの端部は、フランジ27の後面の追加の4つのボス48にもそれぞれ接する。
【0050】
次に図5を参照すると、図示の状態において、固定ブラケット30が追加のボス48の後端に当接していることを、見て取ることができる。固定ブラケット30が、軸方向の固定ねじ58の存在によって保持されおり、それぞれの固定ねじ58が、ブラケットの貫通穴、追加のボス48、フランジ27、およびボス36を順に通過し、好ましくは対応するボス36に対して締め付けられる適切なナット60と協働している。
【0051】
さらに、ブラケット30が、図6に示されているとおりボス52へと途中まで進入して行き止まりの穴50に収容される軸方向の固定ピン62を固定に保持している。さらに、ブラケット30を介してロッド8によって伝えられる力のより良好な吸収を保証するため、ピン62の穴50の中心が、好ましくはロッド(図示せず)の軸8’と後部フランジ27およびブラケット30の間の当接面63との交点に合わせられている。
【0052】
当然ながら、当業者であれば、あくまで本発明を限定するものではない例として上述した航空機用の推進アセンブリ1に対して、さまざまな変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 推進アセンブリ
2 ジェットエンジン
4 パイロン
5 長手軸
6a 前部エンジン取り付け具
6b 後部エンジン取り付け具
7 前方方向
8 ロッド
8’ ロッドの軸
10 取り付け手段
11 剛構造
12 ファンケーシング
16 中央ケーシング
17 構造アーム
19 中央ケーシングの後端
21 中間ケーシング
23 外殻
25、27 横フランジ
30 固定ブラケット
32 空間
34 受け止め手段
36、52 ボス
38 貫通穴
40 フランジ27の前面
42 第1の角度方向
44 第2の角度方向
46 フランジ27の後面
48 さらなる追加のボス
50 穴
56 補強リブ
58 固定ねじ
60 ナット
62 固定ピン
63 当接面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻(23)ならびに互いに平行かつ前記外殻に対して半径方向内側に配置された前部横フランジ(25)および後部横フランジ(27)を備え、角度的に分布し、前記前部および後部フランジ(25、27)の間を放射状に前記外殻(23)まで延びている構造アーム(17)をさらに備え、前記後部フランジが、ジェットエンジンの推力を吸収するための第1のロッド(8)を固定するための第1の固定ブラケット(30)を受け止めるための第1の受け止め手段(34)を具備しており、前記第1の受け止め手段が、前記後部フランジ(27)から来るボス(36)を備え、そのボスのそれぞれを貫いて、前記第1の固定ブラケットの固定ねじが通過するように設計された少なくとも1つの貫通穴(38)が形成され、前記貫通穴(38)が、構造アーム(17)に対して角度的に離間している、航空機用ジェットエンジンの中間ケーシング(21)であって、
前記ボス(36)の少なくとも1つが、前記構造アーム(17)のうちの1つに接するまで延びていることを特徴とする、中間ケーシング。
【請求項2】
ボス(36)のそれぞれが、前記構造アーム(17)のうちの1つに接するまで延びていることを特徴とする、請求項1に記載の中間ケーシング。
【請求項3】
ボス(36)のうちのいくつかが、所与の構造アーム(17)に接するまで延びており、残りのボス(36)が、前記所与の構造アームのすぐ隣の構造アーム(17)に接するまで延びていることを特徴とする、請求項2に記載の中間ケーシング。
【請求項4】
それぞれのボス(36)が、実質的に一定な厚さにわたって延びていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の中間ケーシング。
【請求項5】
それぞれのボス(36)が、前記後部フランジ(27)の前面(40)から延びていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の中間ケーシング。
【請求項6】
前記後部フランジ(27)の後面(46)から延びる追加のボス(48)が、前記貫通穴(38)のそれぞれに組み合わせられていることを特徴とする、請求項5に記載の中間ケーシング。
【請求項7】
それぞれの追加のボス(48)が、前記第1の固定ブラケットを支持するための支持面を有することを特徴とする、請求項6に記載の中間ケーシング。
【請求項8】
前記第1の受け止め手段(34)が、前記第1の固定ブラケットのせん断ピン(62)を収容するように設計された穴(50)をさらに備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の中間ケーシング。
【請求項9】
ピン(62)を収容する前記穴(50)の中心が、ロッド(8)の軸(8’)と後部フランジ(27)およびブラケット(30)の間の当接面(63)との交点に合わせられていることを特徴とする、請求項8に記載の中間ケーシング。
【請求項10】
前記ボス(36)の数が4つであって、それぞれが前記第1の固定ブラケットの固定ねじを通すように設計されたただ1つの貫通穴(38)を備え、前記受け止め手段(34)が、おおむね十字の形状であって前記後部フランジ(27)から延びる4つの枝部を備える補強リブ(56)をさらに備え、十字の中心が、前記せん断ピンを収容するように設計された前記穴(50)を通過し、十字の4つの端部が、前記4つのボス(36)にそれぞれ接することを特徴とする、請求項8または9に記載の中間ケーシング。
【請求項11】
前記補強リブ(56)が、前記後部フランジ(27)の前面(40)から延び、さらに後面(46)からも延びていることを特徴とする、請求項10に記載の中間ケーシング。
【請求項12】
前記後部フランジ(27)が、ジェットエンジンの推力を吸収するための第2のロッドを固定するための第2の固定ブラケットを受け止めるための第2の受け止め手段(34)をさらに具備しており、前記第2の受け止め手段が、前記後部フランジ(27)から来るボス(36)を備え、そのボスのそれぞれを貫いて、前記第2の固定ブラケットの固定ねじが通過するように設計された少なくとも1つの貫通穴(38)が形成され、前記貫通穴(38)が、構造アーム(17)に対して角度的に離間しており、前記ボス(36)の少なくとも1つが、前記構造アーム(17)のうちの1つに接するまで延びていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の中間ケーシング。
【請求項13】
単一の部品にて製作されていることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の中間ケーシング。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の中間ケーシング(21)を備え、前記外殻(23)が、ファンケーシング(12)の後部の延長部に配置されている航空機用ジェットエンジン(2)。
【請求項15】
請求項14に記載のジェットエンジンと、剛構造(11)および前記ジェットエンジンを前記剛構造へと取り付けるための手段を備える前記ジェットエンジンのパイロン(4)と、を備え、それらの取り付けるための手段が、推力を吸収するための前記第1および第2のロッド(8、8)を含む航空機用の推進アセンブリ(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−150386(P2009−150386A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−319256(P2008−319256)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(505277691)スネクマ (567)