説明

改変された生物学的神経移植片の製造およびその用途

改変3次元構造体は、互いに凝集し合っている生体細胞を含む。生体細胞は、適切に、シュワン細胞および少なくとも1つの他種類の細胞を含む。シュワン細胞を伴う細胞は、適切に、骨髄幹細胞、または1つ以上の抗炎症特性を有する別の種類の細胞であることができる。本構造は、適切には、移植片が、生体において、切断された神経の近位片と遠位片との間に埋め込まれるとき、回復軸索成長を促進する移植片である。この移植片は、任意に、移植片の対向する軸端間に伸びる複数の無細胞導管を含むことができる。バイオプリンティング技術を使用して、複数の多細胞体を積み重ねることによって、成熟を通じて軸索を誘導する移植片になる3次元構築体を組み立てることができ、これらのそれぞれは、多細胞体を積み重ねて、その構造を形成するとき、崩壊を回避するのに十分互いに凝集し合っている複数の生体細胞を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年2月2日出願の米国仮特許出願第61/337,307号の利益を主張し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。本出願はまた、2011年1月31日出願の米国仮特許出願第61/438,097号の利益も主張し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府支援の陳述
本発明は、国立科学財団により授与された助成金第0526854号の下で政府支援により行われた。政府は、本発明において一部権利を有する。
【0003】
本発明は、再生医療および組織工学の分野に関し、より具体的には、軸索を誘導する移植片の生成、および損傷した神経の修復のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0004】
神経は、軸索の封入されたケーブルのような束である。神経は、軸索のそれぞれに沿って伝わる電気化学的な神経刺激の共通経路を提供する。それぞれの神経は、多くの軸索を含む。それぞれの軸索は、神経内膜と呼ばれる一層の結合組織によって取り囲まれている。軸索は、束と呼ばれる群に一緒に束ねられ、それぞれの束は、神経周膜と呼ばれる一層の結合組織によって包まれている。最後に、全神経は、神経上膜と呼ばれる一層の結合組織によって包まれている。
【0005】
神経軸索が切断されたとき、細胞体になおも付着している末端は、近位部に分類され、一方、他方の末端は、遠位部と呼ばれる。末梢神経系(PNS)における神経再生は、軸索発芽によって生じ、近位断端で形成し、軸索発芽が遠位断端に到達するまで成長する。発芽の成長は、シュワン細胞(神経髄鞘細胞)から分泌される化学走化性因子によって支配される。近位軸索は、細胞体が無傷である限り再成長することができ、神経内膜チャネルにおいて、シュワン細胞との接触が行われる。ヒト軸索成長率は、小神経で2mm/日、大神経で5mm/日に達することができる。しかしながら、遠位部は、損傷から数時間以内に、ウォーラー変性が認められ、軸索およびミエリンが退化するが、神経内膜は残る。再生の後期において、残りの神経内膜管は、的確な標的に戻るように軸索成長を誘導する。ウォーラー変性中、シュワン細胞は、神経内膜管に沿って規則正しいカラムに成長し、神経内膜チャネルを保護し、保存するビュングナー帯(boB)を形成する。また、マクロファージおよびシュワン細胞は、再成長を増強させる神経栄養因子を放出する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、多細胞構築体である。この構築体は、切断された神経末端間の神経連結を回復するために、互いに凝集し合って、細長い移植片を形成する複数の生体細胞を有する多細胞領域を含む。複数の無細胞チャネルは、移植片の内部を通じて軸方向に伸びる。
【0007】
本発明の別の態様は、細長い3次元構造体である。この構造体は、複数の改変多細胞体を含む。それぞれの多細胞体は、互いに凝集し合っている複数の生体細胞を含む。この構造体はまた、複数の別個の充填体も含む。それぞれの充填体は、多細胞体から充填体への細胞の移動および内方成長に抵抗する生体適合性材料を含む。多細胞体は、それぞれの多細胞体が、少なくとも1つの他の多細胞体と接触し、充填体が、構造体の対向端間に伸びる複数の無細胞チャネルを形成するように位置付けられ、配置されるパターンで配置される。
【0008】
本発明のなお別の態様は、細長い3次元構造体である。この構造体は、複数の神経支配されない多細胞体を含む。それぞれの多細胞体は、互いに凝集し合っている複数の生体細胞を含む。この構造体は、複数の別個の充填体を含む。それぞれの充填体は、多細胞体から充填体への細胞の移動および内方成長に抵抗する生体適合性材料を含む。多細胞体は、それぞれの多細胞体が、少なくとも1つの他の多細胞体と接触し、充填体が、構造体の対向端間に伸びる複数の無細胞チャネルを形成するように位置付けられ、配置されるパターンで配置される。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、細長い3次元構造体である。この構造体は、複数の多細胞体を含む。それぞれの多細胞体は、組織培養培地と、互いに凝集し合っている複数の生体細胞と、を含む。この構造体は、複数の別個の充填体を含む。それぞれの充填体は、多細胞体から充填体への細胞の移動および内方成長に抵抗する生体適合性材料を含む。多細胞体は、それぞれの多細胞体が、少なくとも1つの他の多細胞体と接触し、充填体が、構造体の対向端間に伸びる複数の無細胞チャネルを形成するように位置付けられ、配置されるパターンで配置される。
【0010】
本発明の別の態様は、移植片が、神経系を有する生体に埋め込まれ、切断された神経末端間の間隙に位置付けられるときに、移植片を通じて再生軸索成長を促進することによって神経機能を回復するための軸索を誘導する移植片である。この移植片は、複数の生体細胞、および細長い3次元構造体の対向端間に伸びる複数の別個の無細胞チャネルを含む、細長い3次元構造体を含む。
【0011】
別の態様において、本発明は、移植片が、神経系を有する生体に埋め込まれ、切断された神経末端間の間隙に位置付けられるときに、移植片を通じて再生軸索成長を促進することによって神経機能を回復するための軸索を誘導する移植片を含む。軸索を誘導する移植片は、複数の生体細胞からなる細長い3次元構造体を含む。この生体細胞は、シュワン細胞を含む。細長い3次元構造体は、改変組織であり、自己移植片ではなく、神経支配されておらず、および/または組織培養培地を含む。
【0012】
本発明のなお別の態様は、移植片が、神経系を有する生体に埋め込まれ、切断された神経末端間の間隙に位置付けられるときに、移植片を通じて再生軸索成長を促進することによって神経機能を回復するための軸索を誘導する移植片である。この移植片は、複数の生体細胞を含む細長い3次元構造体を含む。3次元構造体は、外側部分と、この外側部分の対向端間に軸方向に伸びる中央部分であって、外側部分が中央部分を取り囲むようになっている、中央部分と、を含む。中央部分の生体細胞集団は、外側部分の生体細胞集団中のシュワン細胞の割合よりも高いシュワン細胞の割合を含む。細長い3次元構造体は、改変組織であり、自己移植片ではなく、神経支配されておらず、および/または組織培養培地を含む。
【0013】
本発明のなお別の態様は、移植片が、神経系を有する生体に埋め込まれ、切断された神経末端間の間隙に位置付けられるときに、移植片を通じて再生軸索成長を促進することによって神経機能を回復するための軸索を誘導する移植片である。この移植片は、複数の生体細胞を含む細長い3次元構造体を含む。この複数の生体細胞は、シュワン細胞を含む。少なくとも1つの無細胞チャネルは、細長い3次元構造体の対向端間に伸びる。少なくとも1つの充填体は、無細胞チャネル中にある。この少なくとも1つの充填体は、アガロースを含む。シュワン細胞の少なくともいくつかは、この充填体に隣接する無細胞チャネルに沿って位置する。
【0014】
本発明の別の態様は、互いに凝集し合っている複数の生体細胞を含む多細胞体である。この複数の生体細胞は、第1の型の生体細胞と、第2の型の生体細胞と、を含む。第1の型の生体細胞は、シュワン細胞であり、シュワン細胞は、複数の生体細胞の約0.1パーセントから約20パーセントを構成する。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、互いに凝集し合っている複数の生体細胞を含む多細胞体である。この複数の生体細胞は、第1の型の生体細胞と、第2の型の生体細胞と、を含む。第1の型の生体細胞は、骨髄幹細胞であり、この骨髄幹細胞は、複数の生体細胞の約90パーセントを構成する。
【0016】
本発明の別の態様は、3次元構造体である。この3次元構造体は、複数の細長い多細胞体を含む。それぞれの多細胞体は、互いに凝集し合っている複数の生体細胞を含む。この多細胞体は、対向軸端を有する。この多細胞体は、多細胞体が、互いに対して並列な配向を有し、多細胞体のうちの1つの両末端のうちの少なくとも1つが、多細胞体の隣接するものの対応する末端から軸方向にオフセットされる。
【0017】
本発明の別の態様は、シュワン細胞が集団化した複数の軸方向のチャネルを備える多細胞構築体を生成する方法である。本方法は、
1)選択された生体細胞の間で異なる濃度のシュワン細胞で複数の種類の細胞ペーストを作製するステップと、
2)それぞれの細胞ペーストを細長い形状に成形するステップと、
3)制御環境において、成形した細胞ペーストをインキュベートし、細胞が互いに凝集し合って細長い多細胞桿体を形成することを可能にするステップと、
4)多細胞桿体と同様の大きさの無細胞充填体または支持桿体を作製するステップと、
5)多細胞桿体のそれぞれが、少なくとも1つの他の多細胞桿体と接触し、低濃度のシュワン細胞を有する多細胞桿体は、周辺層に置かれ、一方、高濃度のシュワン細胞を有する多細胞桿体は、中央に置かれるようなパターンに従って複数の多細胞桿体および無細胞桿体を配置するステップと、
6)多細胞桿体を少なくとも1つの他の多細胞桿体と融合させ、所望の構築体を形成するステップと、を含む。
【0018】
ある実施形態において、本明細書に開示されるのは、3次元神経移植片構築体であり、これには、(a)複数の第1の改変多細胞体のそれぞれの改変多細胞体が、複数の第1の生体細胞を含む、複数の第1の改変多細胞体と、(b)複数の第2の改変多細胞体のそれぞれの改変多細胞体が、複数の第2の生体細胞を含む、複数の第2の改変多細胞体と、(c)複数の別個の充填体のそれぞれの別個の充填体が、複数の第1の生体細胞または第2の生体細胞の移動および内方成長に抵抗する生体適合性材料を含む、複数の別個の充填体と、を含み、複数の別個の充填体は、3次元構造体の第1の末端と第2の末端の間に長手方向に伸びる複数の無細胞チャネルを形成する。いくつかの実施形態において、複数の第1の生体細胞および複数の第2の生体細胞は、間葉系幹細胞、骨髄幹細胞、毛包幹細胞、嗅神経鞘細胞、線維芽細胞、平滑筋細胞、シュワン細胞、およびそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、複数の第1の生体細胞は、シュワン細胞を含む。いくつかの実施形態において、複数の第2の生体細胞は、骨髄幹細胞を含む。いくつかの実施形態において、複数の第1の改変多細胞体は、複数の無細胞チャネルの周辺に集中する。いくつかの実施形態において、複数の第2の改変多細胞体は、移植片の外周に集中する。いくつかの実施形態において、充填体は、アガロースを含む。
【0019】
ある実施形態において、本明細書に開示されるのは、チャネル生物学的構造体であり、これには、(a)複数の第1の生体細胞と、(b)複数の第2の生体細胞と、(c)複数の無細胞チャネルと、を含み、複数の無細胞チャネルは、3次元構造体の第1の末端と第2の末端の間に長手方向に伸びる。いくつかの実施形態において、無細胞チャネルは、中空である。いくつかの実施形態において、無細胞チャネルは、充填体で満たされている、あるいは部分的に満たされている。いくつかの実施形態において、複数の第1の生体細胞および複数の第2の生体細胞は、間葉系幹細胞、骨髄幹細胞、毛包幹細胞、嗅神経鞘細胞、線維芽細胞、平滑筋細胞、シュワン細胞、およびそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、複数の第1の生体細胞は、シュワン細胞を含む。いくつかの実施形態において、複数の第2の生体細胞は、骨髄幹細胞を含む。いくつかの実施形態において、複数の第1の生体細胞は、複数の無細胞チャネルの周辺に集中する。いくつかの実施形態において、複数の第2の生体細胞は、移植片の外周に集中する。
【0020】
ある実施形態において、本明細書に開示されるのは、損傷した軸索の近位断端と遠位断端を再接合するための本明細書に開示のチャネル生物学的構造体の使用である。
【0021】
ある実施形態において、本明細書に開示されるのは、損傷した軸索の近位断端と遠位断端を再接合するために、神経移植片を製造するための本明細書に開示のチャネル生物学的構造体の使用である。
【0022】
他の目的および特徴は、以下で、一部分が明白となり、一部分が指摘されよう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】多細胞体および充填体から組み立てられた3次元構造体の一実施形態の透視図である。
【図1A】多細胞体から組み立てられた3次元構造体の別の実施形態の透視図である。
【図2】複数の多細胞体および充填体が、図1に示される3次元構造体を形成するための所定のパターンに従って、互いの上に積み重なっている配列の一実施形態を示す。
【図2A】複数の多細胞体および充填体が、3次元構造体を形成するための所定のパターンに従って、互いの上に積み重なっている配列の別の実施形態を示す。
【図2B】図2Aに示される配列において生成された3次元構造体が、軸索を誘導する移植片に成熟する配列を示す。
【図2C】さらなる安定性のために構築体の末端で積み重ねられたさらなる充填体と組み合わせて、図2Aに示される配列に従って生成された3次元構築体の平面図である。
【図3A】多細胞体を作製する方法の一実施形態を示す。
【図3B】多細胞体を作製する方法の一実施形態を示す。
【図3C】多細胞体を作製する方法の一実施形態を示す。
【図3D】多細胞体を作製する方法の一実施形態を示す。
【図4A】多細胞体の作製で用いるのに適している型を作製する方法の一実施形態を示す。
【図4B】多細胞体の作製で用いるのに適している型を作製する方法の一実施形態を示す。
【図4C】多細胞体の作製で用いるのに適している型を作製する方法の一実施形態を示す。
【図5】その内部特徴を示すために取り出された移植片の一部を用いて、軸索を誘導する移植片の一実施形態の略透視図である。
【図6】軸索を誘導する移植片の一実施形態の写真である。
【図7】シュワン細胞が蛍光標識されている、本明細書に記載の方法に従って改変された軸索を誘導する移植片の一実施形態の横断面の写真である。
【図8】本明細書に記載の方法に従って改変された軸索を誘導する移植片の移植後のラットにおける手術野を示す写真である。
【図9】本明細書に記載の方法に従って改変された軸索を誘導する移植片の移植後のラットにおける手術野を示す写真である。
【図10】ラットに移植してから3週間後に採取された、本明細書に記載の方法に従って改変された軸索を誘導する移植片の一実施形態を含む神経片の写真である。
【図11】図10に示される神経片から採取した横断面の一連の組織学的写真を含み、これらの切片は、それぞれ、ラインAA、BB、CC、DD、およびEEに沿って得られ、図11の左欄の写真は、移植片の全切断面を示す大きさであり、左欄の写真の右側は、左欄の写真の様々な特徴の拡大である。
【図12】本明細書に記載の方法に従って改変された軸索を誘導する移植片を用いてラットに移植してから3週間後の、近位天然神経(左)および遠位天然神経(右)から採取した横断面の2つの組織学的写真を含む。
【図13】コラーゲン導管のみ(パネル(a))、または本明細書に記載の方法に従って改変された軸索を誘導する移植片で満たされたコラーゲン導管(パネル(b))を用いて移植してから12週間後のラットから切除した神経片の全体的形態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
対応する参照文字は、図を通して対応する部分を示す。
【0025】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0026】
毎年、米国だけで、200,000例を超える末梢神経手術が行われている。一般に、これらの手順は、1つ以上の切断された神経を架橋する移植片を必要とする。神経の自然再生は、一般に、2つの末端間が3cmを超えない間隙に限定される。破裂した神経の修復は、神経が、それらの標的に向かって再成長または再生しなければならないため、深刻な臨床課題を示す。場合によっては、顕微鏡手術を通じて直接末端間の再連結が使用される場合があるが、この技術の使用は、神経が伸縮することができる程度(一般に、その元の長さのわずか約10%超)によって制限される。約3cmを超える間隙がある破裂を修復する際の現行の技術は、患者において、別の場所から採取された移植片(すなわち、自己移植片)を使用することである。しかしながら、自己移植片は、複数の外科手術を必要とする可能性があり、さらなる外傷を生じ、ドナー部位での病的状態を引き起こし、神経と移植片の間の不一致による異常な神経再生を招く可能性があり、最終的には、神経機能の十分な回復ができない恐れがある。さらに、修復を必要とする切断された神経が、運動神経である場合でさえ、感覚神経が、一般に、自己移植に使用される。ドナー部位からの感覚神経の摘出は、運動神経の摘出よりも少ない病的状態をもたらすためである(感覚神経のみの摘出は、感覚の喪失をもたらすが、運動機能の喪失はもたらさない)。しかしながら、運動神経の束は、感覚神経の束よりも著しく大きい。したがって、運動神経の間隙への感覚神経の移植は、天然運動神経部分と、移植されている感覚神経部分との間で構造の不一致をもたらす。構造におけるこの不一致は、自己移植片によって生じる場合がある、異常な神経再生について少なくとも部分的に関与すると考えられる。
【0027】
別のアプローチは、自然または人工導管を用いて切断された末端部分をエンチューブレーションすることによって再生を誘導するのに依存する、広範囲に及ぶ神経損傷の修復のための代替法として導入されている。エンチューブレーション(entubulation)技術は、自己神経移植片の採取と関連する病的状態がなく、短神経欠陥を架橋することができるが、修復の結果は、異なる導管材料とは異なる。エンチューブレーション(entubulation)の材料は、合成もしくは自然(例えば、コラーゲン)、または同種(すなわち、同種移植片、例えば、脱細胞化されたヒト死体神経を用いて)であってもよい。
【0028】
末梢神経の修復の際の組織工学技術の使用は、自己移植片、同種移植片、およびエンチューブレーション(entubulation)技術と関連する問題を回避するための期待できる解決法を提供する。しかしながら、いくつかの科学的前進にもかかわらず、患者における損傷した神経を修復するためのバイオ工学構造の用途は、今もなお、非常に限定されている。いくつかの研究は、長手方向に配向した円筒形の構造が、神経内構造を模倣することによって軸索成長を支持することを示している。他の研究は、ある人工導管中のシュワン細胞の存在が、神経再生を改善するが、自己移植片で見られる回復のレベルに達するには十分でないことを示している。さらに、軸索成長は、既存の人工導管移植片に含まれる移植した足場によって引き起こされる炎症性および免疫応答によって低減される場合がある。
【0029】
最近、新しい組織工学技術である「バイオプリンティング」は、所望の形状を有する3次元生物学的構築体を生成するために、発明者の研究室で開発されている。バイオプリンティング技術は、米国特許出願第10/590,446号(米国特許出願公開第2008/0070304号として公開)に記載され、国際特許出願第PCT/US2009/048530号(第WO2010/008905号として公開)および対応する米国特許出願第12/491,228号(米国特許出願公開第2010/0041134号として公開)にさらに記載されている。米国特許出願公開第2008/0070304号および第2010/0041134号、ならびにPCT公開第WO2010/008905号は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。バイオプリンティング技術は、所定のパターンで多細胞体を配置することと、改変組織を形成するようにそれらを融合させることと、を含む方法において、複数の生体細胞を有する改変多細胞体の使用を含む。バイオプリンティングは、一般に、いかなる足場材料も用いずに、明確な建築上の特徴を作成することができる自動化ラピッドプロトタイピング法である。「バイオプリンティング」技術は、3次元組織を生成するのに有望である。
【0030】
バイオ改変した軸索を誘導する移植片を生成するための新規の構造および方法が提供される。特に、神経再生プロセスにおいて誘導管としての役割を果たすことができる新規の改変した生物学的な軸索を誘導する移植片が提供される。移植片は、この誘導を通じて軸索成長を促進するように適合される。
【0031】
この技術は、成熟を通じて所望の改変された軸索を誘導する移植片になることが可能な3次元構築体を組み立てるために使用することができる構成要素としての多細胞体の使用を含む。それぞれの多細胞体は、この多細胞体を単一の物体として取り扱う(例えば、持ち上げ、移動させる)ことができるほど十分に互いに凝集し合っている複数の生体細胞を含む。多細胞体は、1つ以上の充填体(例えば、多細胞体から充填体への細胞の移動および内方成長に抵抗する生体適合性材料を含む充填体)と連結して使用して、成熟を通じて、構造の対向端間に伸びる複数の無細胞チャネルを有する細長い3次元構造体になり得る構築体を組み立てることができる。充填体は、改変した成熟組織の外部から、必要に応じて、内部から(例えば、無細胞チャネルから)も容易に除去することができる。場合によっては、1つ以上の充填体が、移植片中に残存しながら、移植片を移植することが望ましい場合がある。
【0032】
本明細書に記載の軸索を誘導する移植片を作製するために、多細胞体および充填体を用いて、構造体の対向端間に伸びる複数の無細胞チャネルを有する3次元の細長い構造を形成する。軸索を誘導する移植片が、ヒトまたは他の動物において、神経損傷の部位(例えば、切断された神経の末端間の間隙において)で移植されるとき、近位天然神経からの軸索は、軸索を誘導する移植片を通じて、神経構造の遠位末端に成長する。神経発達および再生を支持するシュワン細胞は、軸索を誘導する移植片において、無細胞チャネルと多細胞領域の間の接合面の少なくとも一部で集団化し、これにより、移植片を通じて軸索の成長を促進すると考えられる。いかなる特定の理論にも拘束されないが、損傷した神経において、シュワン細胞および/または切断された軸索によって放出された神経栄養因子は、近位天然神経から、この移植片を通じて、神経の遠位末端への軸索の成長を促進することができる。
【0033】
本発明の材料およびプロセスを用いて、3次元の生物学的に改変した組織を生成する方法の概説を提供し、そのようなプロセスおよび材料は、これより、さらに詳細に説明されよう。
【0034】
多細胞体
この技術は、成熟を通じて所望の改変した軸索を誘導する移植片になることが可能な3次元構築体(図1および2)を組み立てるために使用することができる構成要素としての多細胞体の使用を含む。多細胞体、一般的な組織工学でのそれらの使用、およびバイオ改変した血管を作製する際のそれらの使用は、米国特許出願第12/491,228号(米国特許公開第2010/0041134号として公開)に詳細に記載されており、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特に、多細胞体は、米国特許公開第2010/0041134号、例えば、段落[0054]、[0055]、および[0057]〜[0072]を通じて記載され、米国特許公開第2010/0041134号の図1A〜1Cにおいて示される。
【0035】
簡潔に言えば、それぞれの多細胞体は、この多細胞体を単一の物体として取り扱う(例えば、持ち上げ、移動させる)ことができるほど十分に互いに凝集し合っている複数の生体細胞を含む。多細胞体の凝集力は、その生体細胞が、隣接している多細胞体の生体細胞と凝集可能になるほど十分な時間、その多細胞体が(例えば、作業表面上で、または複数の多細胞体を含む組立部において)、自立できるほど十分であるのが適切である。自立した多細胞体の形態で、複数の生体細胞を持ち上げ、移動する能力は、多くの異なる3次元構築体を組み立てるための柔軟性を提供する。例えば、多細胞体は、1つ以上の充填体(例えば、多細胞体から充填体への細胞の移動および内方成長に抵抗し、充填体への細胞の接着に抵抗することもできる生体適合性材料を含む充填体)と連結して用いて、成熟を通じて、構造体の対向端間に伸びる複数の無細胞チャネルを有する細長い3次元構造体になり得る構築体を組み立てることができる。また、多細胞体および充填体を用いて、成熟を通じて、他の形状を有する改変した組織になる構築体を組み立てることもできる。さらに、多細胞体が自立しているため、支持体のゲルまたは足場において、多細胞体を包理する必要がない。その代わりに、「空中でのプリント」、または低粘性組織培養培地でプリントする能力は、多細胞体が互いに直接接触することを確実にする様式で、多細胞体を配置することを促進する。多細胞体間でのより良好な接触は、成熟中、多細胞体の有効かつ信頼性の高い融合を促進することができる。加えて、充填体は、改変した成熟組織の外部から、必要に応じて、内部(例えば、管状構造体の管腔または無細胞チャネル)からも容易に除去することができる。
【0036】
加えて、本明細書に記載の方法は、改変した軸索を誘導する移植片のために構成要素として細長い(例えば、実質的に桿状または桿状の)多細胞体を使用する。細長い多細胞体が、この多細胞体の長手方向軸に沿って有意な長さを超えて互いに既に凝集し合っているため、多細胞体の融合は、より信頼性があり、より少ない時間で達成することができる。さらに、細長い多細胞体は、十分な長さを有する接触域に沿って多細胞体間の接触を構築するために、並列に隣接している関係に配置することができる。これは、互いに隣接している多細胞体の迅速かつ信頼性がある融合を促進することができる。本出願の図面に示される多細胞体は、円筒状の桿であるが、多細胞体の形状が、本発明の広範囲内で変化させることができることを理解されよう。
【0037】
それぞれの多細胞体は、互いに凝集し合っている複数の生体細胞を含むため、細胞は、組織または器官改変等のバイオ改変プロセス中の容易な操作および処理のために粘弾性コンシステンシーおよび十分な一体性を有する所望の3次元(3D)形状を一緒に形成する。十分な一体性とは、剛性ではないが、粘弾性コンシステンシーを有し、細胞の活力を維持する多細胞体が、次の処理中、その物理的形状を保持することができることを意味する。
【0038】
多細胞体は、1つ以上の事前に選択した細胞型からなり得る。軸索を誘導する移植片を構築するために使用することができる多細胞体を形成するのに使用される細胞は、神経系組織中に一般的に見出される細胞型(例えば、さらに存在する衛星膠細胞の有無にかかわらずシュワン細胞等の膠細胞)を有利に含むことができる。多細胞体を形成するのに使用される細胞はまた、1つ以上の抗炎症特性を示す細胞型(例えば、骨髄幹細胞(BMSC)または間葉系幹細胞)を有利に含むこともできる。多細胞体において抗炎症特性を示す細胞の含有により、他の型の神経移植片を有する移植部位で観察されている炎症を軽減することができる。炎症は、瘢痕組織の形成を促進する可能性があり、移植片への軸索の内方成長を妨げ得るため、神経機能の最適復元には望ましくない。多細胞体を形成するのに適切に使用することができる他の細胞型としては、毛包幹細胞、嗅神経鞘細胞、線維芽細胞、および平滑筋細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
多細胞体は、ホモ細胞型であっても、ヘテロ細胞型あってもよい。ホモ細胞型多細胞体では、複数の生体細胞は、単一細胞型の複数の生体細胞を含む。ホモ細胞型多細胞体の生体細胞のほとんど全ては、単一の細胞型の細胞であり、低レベルの不純物に対してある程度の耐性があり、そのホモ細胞型多細胞体を含む構築体の成熟にごくわずかな影響しか及ぼさない異なる細胞型の細胞を比較的少数含む。対照的に、ヘテロ細胞型多細胞体は、1つを超える細胞型の細胞を有意数含む。例えば、多細胞体は、第1の型の複数の生体細胞と、第2の型の複数の生体細胞(等)を含むことができ、この第2の細胞型は、第1の細胞型とは異なるものである。ヘテロ細胞型多細胞体はまた、第1の型の複数の細胞と、第2の型の複数の細胞と、第3の型の複数の細胞とを含むこともでき、この第1、第2、および第3の細胞型のそれぞれは、第1、第2、および第3の細胞型のうちの他の型とは異なるものである。
【0040】
ヘテロ細胞型細胞体中の生体細胞は、ソーティング(選り分け)されない状態であり得るか、または改変組織に対して特定の内部構造を形成するための融合プロセス中に、「ソーティング(sort out)」(例えば、自己集合)することができる。細胞のソーティングは、差異的接着仮説(Differential Adhesion Hypothesis)(DAH)の予測と整合する。DAHは、構成細胞間の接着性と凝集性相互作用によって生じる組織表面張力および界面張力の観点で、細胞集団の液体様挙動を説明するものである。一般に、細胞は、細胞の接着力の差異に基づきソーティングすることができる。例えば、ヘテロ細胞型多細胞体の中心部にソーティングされる細胞型は、一般に、その多細胞体の外側にソーティングされる細胞よりも接着力が強い(すなわち、表面張力が大きい)。
【0041】
軸索を誘導する移植片を作製するために、いくつかの実施形態において、ホモ細胞型とヘテロ細胞型多細胞体の組み合わせを使用することができる。例えば、第1の型の細胞がシュワン細胞であり、第2の型の細胞がBMSC(または抗炎症特性を有する別の細胞型)であるヘテロ細胞型多細胞体は、軸索を誘導する移植片を作製するために、複数の生体細胞がBMSC(または抗炎症特性を有する別の細胞型)である、ホモ細胞型多細胞体と一緒に使用することができる。ヘテロ細胞型多細胞体では、第1の型の細胞がシュワン細胞であり、第2の型の細胞がBMSC(または抗炎症特性を有する別の細胞型)であり、シュワン細胞は、適切には、多細胞体の複数の生体細胞の約0.1パーセント〜約20パーセント(v/v)、より適切には、多細胞体の複数の生体細胞の約1パーセント〜約15パーセント(v/v)、さらに適切には、多細胞体の複数の生体細胞の約3パーセント〜約10パーセント(v/v)、さらに適切には、多細胞体の複数の生体細胞の約5パーセント〜約10パーセント(v/v)を構成する。例えば、シュワン細胞は、適切には多細胞体の複数の生体細胞の約10%(v/v)を構成する。多細胞体の複数の生体細胞の残りは、BMSC、1つ以上の他の細胞型と組み合わせたBMSC、または任意の他の適切な細胞型であり得る。
【0042】
さらなる例として、軸索を誘導する移植片は、シュワン細胞の比較的高い割合を有する第1の型のヘテロ細胞型多細胞体、およびシュワン細胞の比較的低い割合を有する第2の型のヘテロ細胞型多細胞体を用いて構築することができる。このような場合には、シュワン細胞の比較的高い割合を有するヘテロ細胞型多細胞体では、シュワン細胞は、適切には、多細胞体の複数の生体細胞の約0.1パーセント〜約20パーセント(v/v)、より適切には、多細胞体の複数の生体細胞の約1パーセント〜約15パーセント(v/v)、さらに適切には、多細胞体の複数の生体細胞の約3パーセント〜約10パーセント(v/v)、さらに適切には、多細胞体の複数の生体細胞の約5パーセント〜約10パーセント(v/v)を構成する。例えば、シュワン細胞は、シュワン細胞の比較的高い割合を有する多細胞体の複数の生体細胞の約10%(v/v)を構成する。シュワン細胞の比較的低い割合を有するヘテロ細胞型多細胞体は、実質的には、シュワン細胞を欠いている場合があり、またはシュワン細胞の比較的高い割合を有するヘテロ細胞型多細胞体のシュワン細胞の割合よりも低いシュワン細胞の割合を含む場合がある。
【0043】
多細胞体を作製するのに使用される細胞は、非自己供給源からの細胞であっても、自己供給源からの細胞であってもよい。自己供給源からの細胞を使用するとき、これらの細胞は、修復されるべき神経損傷を有する個人から採取することができ、組織培養中で拡大され、多細胞体を作製するのに使用することができる。例えば、多細胞体がシュワン細胞および/または骨髄幹細胞を含む実施形態において、これらの細胞は、修復する必要がある神経損傷を有するヒトまたは他の動物から採取することができ、多細胞体を作製するために使用することができる、例えば、シュワン細胞は、損傷した神経の切除または別の外科手術中、生検によって採取することができる。あるいは、嗅神経鞘細胞または毛包幹細胞は、修復を必要とする神経損傷を有するヒトまたは動物から採取され、シュワン細胞に分化され得る。BMSCは、当技術分野で知られている様々な手順を用いて、例えば、骨髄穿刺または骨髄生検によって(例えば、骨髄生検ピストルを用いて)患者の骨髄から採取することができる。採取されたシュワン細胞およびBMSCは、次いで、多細胞体を作製するために十分な数の細胞を生成するために、組織培養中で拡大することができる。
【0044】
場合によっては、多細胞体は、複数の細胞に加えて、1つ以上の細胞外マトリックス(ECM)成分、または1つ以上のECM成分の1つ以上の誘導体を適切に含む。例えば、多細胞体は、様々なECMタンパク質(例えば、ゼラチン、フィブリノゲン、フィブリン、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、エラスチン、および/またはプロテオグリカン)を含んでよい。下にさらに詳細に論じられているように、多細胞体を形成するのに用いる細胞ペーストに、ECM成分またはECM成分の誘導体を加えることができる。細胞ペーストに加えるECM成分またはECM成分の誘導体は、ヒトまたは動物の供給源から精製することも、当技術分野で知られている組み換え法によって作製することもできる。あるいは、ECM成分またはECM成分の誘導体を多細胞体中の細胞によって自然に分泌させることも、多細胞体を作製するのに用いる細胞を、当技術分野で知られているいずれかの適切な方法によって遺伝子操作して、1つ以上のECM成分もしくはECM成分の誘導体、および/または、1つ以上の細胞接着分子もしくは細胞−基材接着分子(例えば、セレクチン、インテグリン、免疫グロブリン、およびカドヘリン)の発現レベルを変えることもできる。ECM成分またはECM成分の誘導体は、多細胞体中の細胞の凝集を促すことがある。例えば、ゼラチンおよび/またはフィブリノゲンを、多細胞体を形成するのに用いられる細胞ペーストに適切に加えることができる。次いで、トロンビンを加えることによって、フィブリノゲンをフィブリンに転換させることができる。
【0045】
場合によっては、多細胞体は、組織培養培地を適切に含む。この組織培養培地は、いずれの生理学的な適合性のある培地であることができ、通常は、当技術分野で周知のように、含まれる細胞型(単数または複数)に従って選択することになる。この組織培地は、例えば、糖およびアミノ酸等の基本栄養素、増殖因子、抗生物質(汚染を最小限に抑えるためのもの)等を含んでもよい。
【0046】
さらに、多細胞体は、適切には、神経支配されない(すなわち、実質的に神経がない)ものであることも、非軟骨性であることも、あるいは、神経支配されず、かつ非軟骨性であることもできる。多細胞体は、ヒトの手を加えなくても発生する生物学的構造体とは異なるため、「改変された」多細胞体として説明することができる。換言すると、この多細胞体は、合成のものであり、すなわち、自然発生しないものである。
【0047】
多細胞体は、本発明の範囲内の様々な大きさおよび形状を有することができる。例えば、多細胞体は、適切には、細長い形状を有し、より適切には、実質的に円筒形状(例えば、実質的に桿状)であり得る。多細胞体は、一般に、米国特許公開第2010/0041134号の段落[0067]〜[0072]に記載されるような同じ寸法および特徴を有する。軸索を誘導する移植片を作製するのに用いられる多細胞体の長さは、適切には、少なくとも約1センチメートル、より適切には、少なくとも約2センチメートル、さらに適切には、少なくとも約3センチメートルである。軸索を誘導する移植片を作製するのに用いられる多細胞体の長さは、適切には、約7センチメートル未満、より適切には、約6センチメートル未満、さらに適切には、約5センチメートル未満である。したがって、例えば、多細胞体は、適切には、約1センチメートル〜約7センチメートルの範囲、より適切には、約2センチメートル〜約6センチメートルの範囲、さらに適切には、約3センチメートル〜約5センチメートルの範囲を有する。
【0048】
図1および2に示される多細胞体1は、実質的には円筒形であり、実質的に円形の断面を有するが、異なる大きさおよび形状を有する多細胞体は、本発明の範囲内である。例えば、多細胞体は、本発明の範囲内で、断面が正方形、長方形、三角形、または他の非円形である細長い形状(例えば、円筒形状)であることができる。同様に、多細胞体は、概して、本発明の範囲内で、球状の形状、細長くない円筒形状、または立方体形状を有することができる。
【0049】
多細胞体の作製方法
多細胞体を作製する方法は、米国特許出願公開第2010/0041134号の段落[0073]〜[0096]、およびその刊行物の図3A〜3D、4A〜4D、5A〜5C、および6A〜6Cに示される。本明細書に記載の軸索を誘導する移植片を構築するのに使用される多細胞体は、一般に、同一の様式で調製される。
【0050】
簡潔に言えば、本発明の範囲内で、上記の特徴を有する多細胞体を作製するための様々な方法がある。例えば、多細胞体は、複数の生体細胞を含有するか、または所望の細胞密度および粘度を有する細胞ペーストから製造することができる。細胞ペーストを、所望の形状に成形し、成熟(例えば、インキュベーション)を通じて多細胞体を形成させることができる。別例では、複数の生体細胞を含む細胞ペーストを細長い形状に成形することによって、細長い多細胞体を生成する。細胞ペーストを、制御環境においてインキュベートして、細胞を互いに凝集し合えるようにして、細長い多細胞体を形成させることができる。さらに別例では、細胞ペーストを3次元形状に保つデバイスの中で、複数の生体細胞を含む細胞ペーストを成形することによって多細胞体を生成する。上記のように、平面上で自立するほど十分な凝集力を有する細胞体を生成するのに十分な時間、細胞ペーストを3次元形状に保ちながら、制御環境中でインキュベートする。
【0051】
細胞ペーストは、適切には、(A)細胞または細胞集合体(細胞または細胞集合体は、単一の細胞型であっても、2つ以上の異なる細胞型であってもよい)と、細胞培養培地を(例えば、所定の比率で)混合して、細胞懸濁液を得て、(B)この細胞混合物を圧縮して、所望の細胞密度と粘度を有する細胞ペーストを作製することによって提供することができる。この圧縮作業は、この細胞ペーストに必要な所望の細胞濃度(密度)、粘度、および稠度を実現させるように、細胞培養から得た特定の細胞懸濁液を濃縮することによる等、多くの方法によって実現させることができる。例えば、型内で成形できるペレット中の細胞濃度を実現させるために、細胞培養から得た比較的希薄な細胞懸濁液を、所定の時間、遠心分離してもよい。タンジェンシャルフロー濾過(「TFF」)は、細胞を濃縮または圧縮する別の適切な方法である。また、必要とされる押し出し特性を付与するために、化合物を細胞懸濁液と組み合わせてもよい。本発明で用いてよい適切な化合物のいくつかの例としては、コラーゲン、ヒドロゲル、マトリゲル、ナノ繊維、自己集合性ナノ繊維、ゼラチン、フィブリノゲン等が挙げられる。
【0052】
したがって、これらの方法で用いる細胞ペーストは、適切には、複数の生体細胞を組織培養培地と混合し、これらの生体細胞を(例えば、遠心分離によって)圧縮することによって生成される。1つ以上のECM成分、または1つ以上のECM成分の誘導体を細胞ペースト中に含める場合(下にさらに詳細に論じられるように)、細胞ペレットは、適切には、ECM成分(単数または複数)、またはECMの誘導体(単数または複数)を含有する1つ以上の生理学的に許容される緩衝液中に再懸濁させることができる。
【0053】
さらなる処理のために望ましい細胞ペーストの細胞密度は、細胞型によって異なる場合がある。細胞間相互作用が細胞ペーストの特性を決定し、異なる細胞型により、細胞密度と細胞間相互作用との間で異なる関係を有する。細胞ペーストを成形する前に、細胞間相互作用を増大させるために、細胞を前処理してもよい。例えば、細胞ペーストを成形する前に、細胞間相互作用を高めるために、遠心後に遠心チューブ内で細胞をインキュベートしてもよい。
【0054】
様々な方法を用いて、本発明による細胞ペーストを成形してよい。例えば、(例えば、濃縮/圧縮後に)細胞ペーストを操作するか、手作業で成型するか、またはプレス加工して、所望の形状を実現させてよい。例えば、マイクロピペット(例えば、キャピラリーピペット)のような予め形成済みの器具であって、その器具の内面と同じ形になるように細胞ペーストを成形する器具の中に細胞ペーストを取り込んで(例えば、吸引して)もよい。このマイクロピペット(例えば、キャピラリーピペット)の断面形状は、円形、正方形、長方形、三角形、または他の非円形の断面形状であることができる。細胞ペーストはまた、プラスチック型、金属型、またはゲル型のような予め形成済みの型に細胞ペーストを沈積させることによって、成形してもよい。さらに、遠心鋳造または連続鋳造を用いて、細胞ペーストを成形してもよい。
【0055】
この方法の1つの例では、成形作業は、成形デバイス内に細胞ペーストを保持して、その成形デバイス内で細胞を部分的に互いに凝集し合えるようにすることを含む。例えば、図3Aに示されているように、成形デバイス51(例えば、キャピラリーピペット)の中に細胞ペースト55を吸引して、成熟期間(本明細書ではインキュベーション期間とも称される)にわたって、その成形デバイス内に保持し(図3B)、細胞を少なくとも部分的に互いに凝集し合えるようにすることができる。第1の成形デバイス51内で細胞を十分に凝縮させることができる場合には、1回の成熟ステップ(例えば1回のインキュベーションステップ)のみを有するプロセスで、多細胞体1を生成することができる。例えば、この方法は、適切には、単一の成形デバイス51内で細胞ペースト55を成形することと、成形した細胞ペーストを単一の制御環境中でインキュベートし、細胞を互いに凝集し合えるようにして、多細胞体を形成することができることを含む。この方法の場合、成形デバイス51(例えば、キャピラリーピペット)は、適切には、下にさらに詳細に説明されているように、多細胞体を3次元構築体中に自動的に配置することができるバイオプリンターまたは類似の装置の印刷ヘッドの一部であることができる。細胞ペースト中の、ECM成分またはECM成分の誘導体、例えば、ゼラチンおよび/またはフィブリノゲンの含有により、多細胞体の総体的な凝集力を促進することができるため、単一の成熟ステップでの多細胞体の生成を促進する場合がある。しかしながら、細胞の生存能に影響が及ぶ前に、酸素および/または栄養素に触れる機会を細胞にせいぜい限定的にしか与えないキャピラリーピペットのような成形デバイス内に細胞を保持することができる時間には制限がある。
【0056】
所望の凝集力を実現させるほど十分に長い成熟期間、成形デバイス51内に細胞を保持できない場合には、部分的に凝集した細胞ペースト55を、適切には、その成形デバイス(例えば、キャピラリーピペット)から、栄養素および/または酸素を細胞に供給させる第2の成形デバイス301(例えば、型)に移すと同時に、追加的な成熟期間、細胞をその第2の成形デバイス内に保持する。栄養素および酸素を細胞に供給させる適切な成形デバイス301およびこの型の作製方法の一例は、図4A〜図4Cに示されている。この成形デバイスは、複数の多細胞体(例えば、実質的に同一の多細胞体)を生成するための型301である。型301は、生体適合性基材303を含み、この基材への細胞の移動および内方成長に抵抗し、基材への細胞の接着に抵抗する材料で作られている。型301は、細胞が型に増殖もしくは移動、または接着しないようにするいずれの材料で作られていてもよい。例えば、基材303は、適切には、Teflon(登録商標)(PTFE)、ステレンス鋼、ヒアルロン酸、アガロース、寒天、ポリエチレングリコール、ガラス、金属、プラスチック、またはゲル材料(例えば、アガロースゲルもしくは他のヒドロゲル)、および類似の材料で作ることができる。
【0057】
基材303は、(例えば、第1の成形デバイス51からの)比較的凝集力の小さい複数の細胞を含む組成物を受容するように、かつ、細胞の凝集力が向上して、上記の多細胞体の特徴のいずれも有する多細胞体のように、成熟期間前の組成物よりも凝集力が大きい多細胞体が形成される成熟期間の間、この組成物を所望の3次元形状に保つように成形されている。型301はまた、適切には、(例えば、この型の上に組織培地を分注することによって)組織培地を細胞ペースト55に供給することができるように形作られている。例えば、図3Cおよび3Dに示されているように、複数の細長い溝305は、基材303に形成されている。型301の細長い溝305は、概して、米国特許出願公開第2010/0041134号の段落[0080]に記載されるものと同一の寸法および特徴を有する。
【0058】
本発明の範囲内で、適切な型を作製するための様々な方法がある。例えば、図4A〜4Cは、上記の多細胞体を作製するのに適している型を作製するために使用することができる、概して、201と指定されるツールの一実施形態を示す。一般に、ツール201の一部は、部分的に凝集した細胞ペーストを第2の成熟期間にわたって保持する型301の一部のネガ型となるように形作られている。例えば、ツール201は、適切には、本体203と、本体から伸びている複数の突起205とを含む。それぞれの突起205の大きさと形状は、適切には、細胞ペースト55をある形状に保つことになる型基材中に凹部すなわち受容区域を形成して、この突起によって型内に形成されたその凹部/受容区域内の細胞のいずれも、成形した細胞ペーストの外側から約300マイクロメートルを超えないようにする。このツールの本実施形態に関するさらなる詳細は、米国特許出願公開第2010/0041134号の段落[0082]および図5A〜5Cに提供される。
【0059】
型301を作製するためには、細胞培養皿221は、図4Aに示されているように、凝固するか、またはゲルとして固まるように作製することができる液体223で適切に満たされる。例えば、この液体は、アガロース溶液223であることができる。ツール201を細胞培養皿221の上に配置して(図4B)、縁211が細胞培養皿の周縁225の上にくるとともに、突起205(例えば、フィン)が、ツール201の底部207から液体223まで伸びる。液体223を固化させて、突起205(例えば、フィン)の遠位末端を取り囲む固体またはゲル基材を形成することができる。ツール201を、細胞培養皿から持ち上げて、新たに生成された型301からツール201を引き離す(図4C)。
【0060】
したがって、第2の成形デバイスを用いる場合には、部分的に凝集した細胞ペースト55を、適切には、第1の成形デバイス51(例えば、キャピラリーピペット)から第2の成形デバイス(例えば、図4Cに示されている型301)に移す。部分的に凝集した細胞ペースト55は、第1の成形デバイス51(例えば、キャピラリーピペット)によって、型301の溝305に移すことができる。したがって、この方法は、部分的に凝集した細胞ペースト55を第2の成形デバイス301に移すことと、その部分的に凝集した細胞ペーストを第2の成形デバイス内に保持して、多細胞体を形成させることと、を含む。型301を、その中に保持されている細胞ペースト55とともに制御環境中でインキュベートし、細胞ペースト中の細胞が互いにさらに凝集し合うようにして、多細胞体1を形成させる成熟期間の後には、得られる多細胞体1をキャピラリーピペットまたは他の器具で持ち上げるほど、細胞の凝集力は十分に強力になることになる。キャピラリーピペット51(これより、型301の溝305から持ち上げた成熟した多細胞体1を含有する)は、適切には、下にさらに詳細に説明されているように、多細胞体を3次元構築体中に自動的に配置することができるバイオプリンターまたは類似の装置の印刷ヘッドの一部であることができる。
【0061】
したがって、多細胞体1の作製方法の一例では、成形作業は、細胞ペースト55を第1の成形デバイス51内に保持して、第1の成形デバイス内で細胞を部分的に互いに凝集し合えるようにすることと、その部分的に凝集した細胞ペーストを第2の成形デバイス301に移すことと、その部分的に凝集した細胞ペーストを第2の成形デバイス内に保持して、多細胞体1を形成させることと、を含む。しかしながら、ゼラチンおよび/またはフィブリノゲンを細胞ペーストに加えるようないくつかの実施形態において、細胞が、第1の成形デバイス51内で多細胞体を形成させるほど十分に凝集する場合もあり、細胞ペースト55を第2の成形デバイス301に移して、その細胞ペーストを第2の成形デバイス内に保持するステップは、不要であることもある。
【0062】
第1の成形デバイス51には、適切には、キャピラリーピペットを含むことができ、第2の成形デバイスには、上記の型301等の、細胞を第2の成形デバイスに保ったまま、栄養素と酸素を細胞に供給できるデバイスを含むことができる。
【0063】
多細胞体の断面形状とサイズは、実質的に、その多細胞体を作製するのに用いられる第1の成形デバイスと任意で第2の成形デバイスとの断面形状と大きさに対応することになり、当業者は、上述の断面形状、断面積、直径、および長さを有する多細胞体を作製するのに適している適切な断面形状、断面積、直径、および長さを有する適切な成形デバイスを選択できるであろう。
【0064】
上述のように、多種多様な細胞型を用いて、本発明の多細胞体を作製してよい。したがって、例えば、上で列挙した全ての細胞型を含む、1つ以上の型の細胞または細胞集合体(ヒトおよび動物の体細胞)を出発材料として用いて、細胞ペーストを作製してよい。例えば、シュワン細胞、BMSC、間葉系幹細胞、毛包幹細胞、嗅神経鞘細胞、線維芽細胞、および平滑筋細胞を用いてよい。(例えば、上述のように、生検によって得られた)対象受容者の軸索を誘導する移植片に由来する自己細胞のサンプルを培養して、多細胞体を製造するのに十分な量の細胞を生成することができる。あるいは、非自己ドナーに由来する細胞または1つ以上の構築された細胞株からの細胞のサンプルを培養して、多細胞体を製造するのに十分な量の細胞を生成することができる。対象受容者に由来する細胞から作製した多細胞体は、宿主の炎症反応、または、受容者による、移植組織に対する他の急性もしくは慢性拒絶反応を回避するのに有益である。
【0065】
上述のように、多細胞体は、ホモ細胞型であることも、ヘテロ細胞型であることもできる。ホモ細胞型多細胞体を作製するためには、細胞ペーストは、ホモ細胞型であることが適切である。ホモ細胞型多細胞体を作製するのに用いられる細胞ペースト中の生体細胞のほとんど全ては、単一の細胞型の細胞(例えば、骨髄幹細胞)であることになり、低レベルの不純物に対してある程度の耐性があり、そのような細胞ペーストから作製したホモ細胞型多細胞体を含む構築体の成熟にごくわずかな影響しか及ぼさない異なる細胞型の細胞を比較的少数含む。ホモ細胞型多細胞体を作製して、今度は、そのホモ細胞型多細胞体を用いて軸索を誘導する移植片を作製するためには、細胞ペースト中の複数の生体細胞は、BMSCであることが適切であり得る。
【0066】
一方、ヘテロ細胞型多細胞体を作製するためには、細胞ペーストは、1つを超える細胞型の細胞を有意数含むのが適切である(すなわち、細胞ペーストはヘテロ細胞型となる)。例えば、この細胞ペーストは、第1の型の複数の生体細胞と、第2の型の複数の生体細胞を含むことができ、この第2の細胞型は、第1の細胞型とは異なるものである。別例において、細胞ペーストは、第1の型の複数の生体細胞と、第2の型の複数の生体細胞と、第3の型の複数の生体細胞を含むことができる。したがって、この細胞ペーストを用いてヘテロ細胞型多細胞体を作製して、今度は、そのヘテロ細胞型多細胞体を用いて、軸索を誘導する移植片を作製する場合、細胞ペースト中の複数の生体細胞は、適切には、シュワン細胞、BMSC、間葉系幹細胞、毛包幹細胞、嗅神経細胞、線維芽細胞、および平滑筋細胞から選択される2つ以上の細胞型を含むことができる。例えば、複数の生体細胞は、BMSCおよびシュワン細胞を含んでもよい。そのようなヘテロ細胞型多細胞体は、下でさらに詳細に記載されるように、適切に、BMSCからなるホモ細胞型多細胞体と組み合わせて用いて、軸索を誘導する移植片を構築することができる。上でさらに詳細に記載されるように、ヘテロ細胞型細胞ペーストを用いて多細胞体を作製するとき、細胞の接着強度の相違に基づき、成熟および凝集プロセス中に、生体細胞を「ソーティング(sort out)」してよく、生体細胞は、それらの生理学的な立体配座を回復させる場合がある。
【0067】
複数の生体細胞に加えて、1つ以上のECM成分または1つ以上のECM成分の1つ以上の誘導体(例えば、ゼラチン、フィブリノゲン、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、エラスチン、および/またはプロテオグリカン)を、適切に、細胞ペーストに含めて、上記のように、これらの物質を多細胞体に組み込むことができる。細胞ペーストに加えるECM成分またはECM成分の誘導体は、ヒトまたは動物の供給源から精製することも、当技術分野で知られている組み換え法によって作製することもできる。細胞ペーストへのECM成分またはECM成分の誘導体の添加は、多細胞体中の細胞の凝集を促進する場合がある。例えば、ゼラチンおよび/またはフィブリノゲンを、細胞ペーストに添加することができる。より具体的には、10〜30%のゼラチン溶液と10〜80mg/mLのフィブリノゲン溶液を複数の生体細胞と混合して、ゼラチンとフィブリノゲンを含む細胞懸濁液を形成させることができる。次いで、この細胞懸濁液を(例えば、遠心分離によって)圧縮して、細胞ペーストを形成させることができる。次いで、このプロセスによって形成された細胞ペーストを成形し、制御環境中でインキュベートし、細胞が互いに凝集し合えるようにして、多細胞体を形成させることができる。(例えば、プリントプロセス中に)トロンビンを添加することによって、このフィブリノゲンをフィブリンに転換させることができる。例えば、ゼラチンおよびフィブリノゲン等のECM成分またはECM成分の誘導体を細胞ペーストに含めるときには、成形ステップは、適切には、細胞ペーストを1つの成形デバイス内に保持して、多細胞体を形成させることを含み、インキュベートステップは、適切には、この成形した細胞ペーストを1つの制御環境中でインキュベートし、細胞が互いに凝集し合えるようにして、多細胞体を形成させることを含む。
【0068】
本発明はまた、所望の3次元形状に形成された複数の細胞または細胞集合体を含む、多細胞体を製造するための方法も提供する。本発明の製造方法は、一般に、1)複数の事前に選択した細胞または細胞集合体を含む細胞ペースト(例えば、所望の細胞密度と粘度を有するもの)を提供するステップと、2)この細胞ペーストを(例えば、所望の形状に)成形するステップと、3)成熟を通じて該多細胞体を形成させるステップと、を含む。
【0069】
上記の形成ステップは、多細胞体(例えば、細胞ユニット)の凝縮を確実にするために、1つまたは複数のステップを通じて実現させてもよい。あるプロセスでは、初期成熟時に、細胞ペーストを部分的に安定化させるか、または部分的に硬化させて、さらなる作業を可能にするほど十分な一体性を有する多細胞体を形成させてもよい。
【0070】
一実施形態によれば、この形成ステップは、2つのサブステップ:A)初期成熟のための第1の期間(例えば、所定の期間)にわたって、細胞ペーストをマイクロピペット(例えば、キャピラリーピペット)等の成形デバイス内に保持するサブステップと、B)さらなる成熟のための第2の期間(例えば、所定の期間)にわたって、この成形した細胞ペーストを型等の保持デバイスに沈積させるサブステップであって、この保持デバイスは、細胞がその型に増殖もしくは移動、または接着しないようにできる物質から作られている、サブステップと、を含んでもよい。この初期成熟は、さらなる成熟プロセスでの作業中に、無傷の状態を保つほど十分な安定性がある細胞ペーストを提供する。
【0071】
様々な方法を用いて、さらなる成熟プロセスを促進することができる。一実施形態において、細胞ペーストは、凝集を助長するための期間(細胞型によって決まる場合がある)にわたって、約37℃でインキュベートしてよい。代替として、または加えて、細胞ペーストは、接着を助長する因子および/またはイオンを含む細胞培地の存在下で、保持してもよい。
【0072】
例えば、円筒形状の細胞ペーストが、破損することなくマイクロピペットからその円筒を押し出すことができるような細胞の接着になるまで、マイクロピペット(例えばキャピラリーピペット)中でインキュベートされた後(すなわち、初期成熟プロセス)、次いで、この細胞ペーストが、所望の形状を保つように促すさらなる成熟プロセスで、さらに培地とともにインキュベートおよび培養されてもよい。
【0073】
充填体
本発明はまた、上記の多細胞体と組み合わせて用いて、所望の3次元生物学的改変組織を形成することができる充填体も提供する。充填体は、米国特許出願公開第2010/0041134号の段落[0097]〜[0104]の長さで説明されている。簡潔に言えば、本発明はまた、生物学的構築体を構築するためのビルディングユニットとして、多細胞体と組み合わせて用いられる充填体も提供し、この充填体を用いて、多細胞体が欠けている所望の3次元生物学的構築体の領域を画定する(例えば、多細胞構築体において無細胞チャネルを画定する)。この充填体は、少なくともいくつかの細胞型がその充填体に増殖もしくは移動、または接着しないようにできる無細胞材料から作られている所定の形状を有する充填体であるのが適切である。いくつかの実施形態において、充填体は、ほとんどの細胞型がその充填体に移動しないが、成熟軸索を誘導する移植片の無細胞チャネル中の所定の場所に放置することができ、近位神経構造から軸索を誘導する移植片に、軸索を誘導する移植片を通じて軸索の増殖を可能にする材料(例えば、アガロース)から作られている。この充填体材料は、栄養培地(本明細書では、組織培養培地または細胞培養培地とも称される)に対する透過性があるのが適切である。例えば、この充填体材料は、アガロース、ヒアルロン酸、ポリエチレングリコール、および寒天、もしくは他のヒドロゲルからなる群から選択される生体適合性ゲル材料、または、ゲル以外の可撓性生体適合性物質であるのが適切である。特定の3次元生物学的改変組織を構築するのに用いる充填体の全ては、適切には、同じ材料から、同じ材料の同じ濃度から形成させることができる。例えば、本充填体は、適切には、約0.5%〜約4.5%の濃度のアガロースで作製することができ、より適切には、約1.5%〜約4%の濃度のアガロースで作製することができ、さらに適切には、約2%の濃度のアガロースで作製することができる。別例として、本充填体は、適切には、異なる材料から、または同じ材料の異なる濃度から形成させることができる。例えば、管腔を形成する充填体は、4%のアガロースで作製することができる一方で、所望の3次元生物学的改変組織を構築するために用いられる残りの充填体は、2%のアガロースで作製することができる。本充填体は、円筒形状を有するのが好ましい、対応する多細胞体の形状または大きさに従って、いずれの形状または大きさを呈してもよい。
【0074】
いくつかの実施形態において、本充填体は、その充填体とともに所望の3次元生物学的改変組織を構築するのに用いられる多細胞体の形状および大きさと実質的には同一である形状および大きさを有する。したがって、例えば、本充填体は、適切には、多細胞体1との関連で上に記載の形状のうちのいずれかを有することができる。例えば、充填体と多細胞体の両方とも、実質的に円筒形(例えば、実質的に桿状)であり、(図1に示されるように)実質的に同一の直径を有する実質的に円形の断面を有してもよい。
【0075】
図1および2に示される充填体1は、実質的に円筒形状であり、実質的に円形の断面を有するが、多細胞体が互いに融合したときに、所望の3次元生物学的改変組織が形成されるようなパターンに従って、充填体および多細胞体を、配置することができる限り、異なる大きさおよび形状を有する充填体はまた、本発明の範囲内である。例えば、充填体は、実質的に円筒形(例えば、実質的に桿状)であることができ、この多細胞体は、(米国特許出願公開第2010/0041134号の図8および12に示されるように)実質的に球状であることができる。さらに、充填体および多細胞体は両方とも、細長く、実質的に円筒形であるが、異なる長さを有してもよい。当業者は、様々な大きさおよび形状の充填体および多細胞体を組み合わせて、所望の3次元生物学的改変組織を形成することができる多くの方法があることを認識するであろう。
【0076】
本充填体は、適切には、米国特許出願公開第2010/0041134号の段落[0100]〜[0104]に記載される方法を用いて生成される。
【0077】
3次元構造体
上記の多細胞体および充填体は、軸索を誘導する神経移植片等の3次元の生物学的改変組織を生成するために、本発明の方法に従って使用することができる。簡潔に言えば、複数の多細胞体および複数の充填体は、各多細胞体が、(i)別の多細胞体、または(ii)充填体の少なくとも1つと接触するようなパターンに従って配置される。次いで、多細胞体は、成熟プロセスを通じて少なくとも1つの他の多細胞体と融合され、神経回復手順で用いるのに適している3次元の生物学的改変組織移植片を形成する。次いで、充填体を融合した多細胞体から分離して、改変組織移植片を得ることができるが、いくつかの実施形態において、移植片は、移植を通じて所定の場所に放置する1つ以上の充填体を含むことができる。
【0078】
概して、101と指定される、本発明の3次元構造体の一実施形態が、図1および2に示されている。構造体101は、複数の細長い多細胞体1を含み、これらのそれぞれは、上記の細長い多細胞体1と適切に同一である。例えば、細長い多細胞体1のそれぞれは、空中でプリントすることができる自立した多細胞組織体を生成するために上記の方法に従って、適切に生成されている。多細胞体1は、それぞれの多細胞体が、少なくとも1つの他の多細胞体と接触するパターンで配置される。多細胞体1の少なくとも1つは、十分な長さを有する接触域に沿って別の多細胞体と接触する。十分な長さを超える多細胞体間のこの接触は、米国特許出願公開第2010/0041134号の段落[00106]で詳細に説明され、その刊行物の図1Cに例示される。例えば、図1および2の配置において、多細胞体1のそれぞれは、十分な長さを有する接触域を超える少なくとも1つ(例えば、2つ)の他の多細胞体と接触する。並列に隣接している関係において、接合している細長い多細胞体間の接触域は、少なくとも約1センチメートルの長さを有する。接触域の長さは、多細胞体1の長さに対応することができ、これは、所望の移植片の長さと適切にほぼ等しい。多細胞体1は、図1および2において、互いに接触しているが、成熟の初期段階では、多細胞体は、互いに凝集し合っていない。
【0079】
構造体101はまた、1つ以上の充填体5も含み、これらのそれぞれは、上記の充填体と同一であるのが適切である。例えば、図1および2中の構造体は、複数の別個の充填体5を含む。充填体5は、多細胞体を有するパターンで配置されるため、それぞれの充填体は、少なくとも1つの多細胞体1または別の充填体と接触する。図1および2中の多細胞体1および充填体5が配置されて、多細胞体によって占有されず、充填体によっても占有されない構造101において、複数のスペース17を形成する。スペース17は、組織培養培地を適切に含有することができ、これは、多細胞体1および充填体5の上部上に組織培養培地を注ぐことによって、構造101に添加することができる。したがって、スペース17は、多細胞体1中の細胞に栄養素および/または酸素の供給を促進することができる(例えば、成熟中)。
【0080】
構造体中の多細胞体1の少なくともいくつかは、上記のような、シュワン細胞を含有するヘテロ細胞型細胞体である。例えば、ヘテロ細胞型細胞体は、骨髄幹細胞または間葉系幹細胞等の1つ以上の抗炎症性特性を有する異なる細胞型の細胞と組み合わせたシュワン細胞を適切に含む。シュワン細胞を含有するヘテロ細胞型細胞体は、1′′と指定される第1のセットの多細胞体を形成する。構造体中の多細胞体はまた、シュワン細胞である細胞の割合が、第1のセットの多細胞体中のシュワン細胞である細胞の割合よりも少ない、1′と指定される第2のセットの多細胞体も含む。例えば、第2のセット1′中の多細胞体は、同質細胞体(例えば、実質的にはBMSCのみを含有する)またはヘテロ細胞型細胞体(例えば、BMSCおよび比較的低い数のシュワン細胞を含む)であり得る。
【0081】
第2のセット1′の多細胞体1の少なくともいくつか(例えば、少数のシュワン細胞を有するまたはシュワン細胞がないもの)は、管様構造体31の外層を形成するように配置される。充填体5の少なくとも1つおよび第1のセット1′′の多細胞体の少なくとも1つ(例えば、比較的高い割合のシュワン細胞を有するもの)は、管様構造体31の外層内部であり、管様構造体の外層を形成する多細胞体によって実質的に取り囲まれる。例えば、図1および2中の多細胞体1′は、3つの充填体5および3つの多細胞体1′′(シュワン細胞を含有する)を取り囲む管様構造体31を形成するように六角形構造で配置される。六角形構造の多細胞体1′のそれぞれは、少なくとも2つの近接する細長い多細胞体1と並列に隣接している関係にある。この配置において、管様構造体31の内側の1つ以上の充填体5は、構造体101を通じて伸びる複数の無細胞チャネルを形成するように位置付けられる。充填体5は、多細胞体1から管様構造体31を通じて伸びる細長い空間への細胞の移動および内方成長を適切に防ぎ、これは、以下に記載の方法に従って構造体の成熟後、無細胞チャネルになる。一般に、複数の生体細胞を含む管状改変組織を成熟により生成することができる多細胞体1の任意の配置は、管様構造体の内側に充填体があるかどうかにかかわらず、管様構造体であると見なされ得る。管様構造体は、隣接している多細胞体が、成熟のこの段階で互いに凝集し合っていないという事実によって、管状構造体とは異なり得るため、1つの物体が、管様構造体を形成する隣接する多細胞体の2つの間の空間に押し込まれる場合があることは前述から明らかである。
【0082】
図1Aは、通常、101′′と指定される3次元構造体の別の実施形態を示す。記載がない限り、この構造体101′′は、上記および図1に示される構造体101と同一である。この構造体101′′は、管様構造体31内のいかなる充填体5も含まない。その代わりに、この管様構造体は、シュワン細胞を含有する多細胞体1′′で実質的に満たされている。
【0083】
3次元構造体を作製する方法
上記の多細胞体を使用するための多くの異なる方法があり、これには、充填体5と連結して、本発明の範囲内の上記の3次元の生物学的構築体を生成する細長い多細胞体1を含む。例えば、1つの方法は、一般に、多細胞体のそれぞれが、少なくとも1つの他の多細胞体と接触して、多細胞体の少なくとも1つ(例えば、全て)を少なくとも1つの他の多細胞体に融合させて、所望の3次元生物学的改変組織を生成するようなパターンに従って複数の細長い多細胞体1を配置することを含む。
【0084】
多くの方法を用いて、所望の3次元構造体を生成する所定のパターンで多細胞体を送達することができる。例えば、多細胞体は、互いに、もしくは充填体と接触するように、手作業で置くことも、ピペット、ノズル、もしくは針から押し出すことによって所定の場所に沈積させることも、自動機械によって接触させて位置付けることもできる。例えば、1つ以上の器具(上記の第1の成形デバイス51、上記のような、型301から多細胞体を取り出すキャピラリーピペット、および/または異なる器具を適切に含むことができる)を用いて、多細胞体を持ち上げる(例えば、上記の型301からそれらを取り出す)。この器具によって、3次元構築体が(例えば、図2に示されるように)組み立てられる組み立て領域(例えば、ガラス表面)に多細胞体を移送し、組み立て領域に既に移送され、組み立てられる構築体中に設置されている任意の他の多細胞体および任意の充填体に対して適所に多細胞体を分注するか、あるいは、別の方法で設置する。
【0085】
それぞれの多細胞体1を、その位置に配置した後、このプロセスを繰り返して、構築体に別の多細胞体または充填体を(例えば、既に構築体中に配置されている多細胞体と並べて配置することによって)追加するのが適切である。組み立てられる構築体が、1つ以上の充填体を含む場合、別の器具(図示されていないが、成形デバイス51またはキャピラリーピペットと同様のものであってよい)を用いて、充填体5を持ち上げ(または上記のように充填体を作製し)、充填体を組み立て領域に移送し、充填体を必要とするいずれかの時点で、その充填体をその位置で、組み立てられる構築体中に分注するか、あるいは、別の方法で設置するのが適切である。多細胞体を組み立て領域に移送するために用いられる器具は、多細胞体および充填体を所望のパターンで配置することができるバイオプリンターの印刷ヘッドまたは他の自動化装置によって運ばれるのが適切である。例えば、1つの適切なバイオプリンターは、米国特許出願公開第2004/0253365号に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。NovogenのMMX BIOPRINTERは、適切なバイオプリンターの1つの市販の実施形態である。組織工学の技術分野の当業者は、適切な構築体に多細胞体(および充填体を用いる場合は、充填体)を配置するのに用いることができる他の適切なバイオプリンターおよび類似の装置を熟知しているであろう。組み立て領域に充填体を移送するのに用いる器具は、バイオプリンターの別のヘッドの一部であるのが適切である。バイオプリンターは、複数のヘッドを有することができ、および/または、多細胞体および充填体を移送するための様々な器具を1つ以上のバイオプリンターヘッドに順次に搭載することができる。バイオプリンターまたは類似の装置を用いて、構築体を自動的に組み立てるのが望ましいこともあるが、本明細書に記載の方法は、本発明の範囲内で、手作業で(例えば、1つ以上のキャピラリーピペットを用いて)実施することができる。
【0086】
図2に示されるように、多細胞体1は、1つ以上の充填体5の上に配置する(例えば、積み重ねる)のが適切である。多細胞体1は、他の多細胞体および/または充填体5に隣接して配置するのが適切である。したがって、多細胞体1は、いずれの充填体5の中にも押し込んだり、または埋め込んだりしない。多細胞体をゲルまたは液体に分散させないので、これは「大気中でのプリント」と称することができる。
【0087】
構築体の組み立てが完了すると、構築体の上部の上から組織培養培地を注入するのが適切である。この組織培養培地は、多細胞体と充填体との間の空間17に入って、多細胞体中の細胞を支えることができる。さらなる充填体(図示せず)を図2に示される構造の周辺に積み重ねて、構造体がインキュベートされ、成熟することができる場合、互いと相対的な位置で充填体および多細胞体を保持するのを助長するためのさらなる支持を提供することができる。
【0088】
図2Aおよび2Bは、管状構築体の内側にある充填体および多細胞体1′′が、管様構造体を形成する多細胞体よりも長さが若干短いことを除いて、図2中の構造体101と実質的に同様である構造体の作製方法を示す。これにより、構造体の対向する両端に陥凹部43が作製される。さらなる充填体5(図2C)が、構造体周辺に積み重ねられ、多細胞体の一部が、1つの充填体または多細胞体の末端が別の末端に当接するギャップまたは接合部と重なり合うように、構造体の末端で陥凹43の中に伸びる。特に、図2Cに示されるように、多細胞体1′′および充填体5の陥凹末端45は、管様構造体31を形成する多細胞体1′の末端49から軸方向にオフセットされる。充填体5のいくつかは、陥凹43の中に延在し、陥凹を形成する充填体および多細胞体1′′の陥凹末端45と当接する末端47を有する。外側の管様構造体を形成する多細胞体1′は、当接する末端45、47を重ね合わせるのに十分な長さを有する。これにより、より安定性のある3次元構造体を作製する。構築体が構築される際に、陥凹末端での充填体は、支持を提供する。この構造体によって形成された移植片の末端は、外科医が、移植片それ自体に触れることなく、正確に移植片を配置することができ、天然神経構造の末端に移植片を付着させるための境界線を提供することもできる。あるいは、移植片の末端を、移植前に切除することができる。
【0089】
3次元構築体中の多細胞体を互いに融合させて、生物学的改変組織を生成することができる。「融合させる」、「融合した」、または「融合」とは、接触している多細胞体の細胞が、細胞表面タンパク質間の相互作用を通じて直接的に、あるいは、それらの細胞とECM成分またはECM成分の誘導体との相互作用を通じて間接的に、互いに接着し合うようになることを意味する。融合後、構築体を取り囲むいかなる充填体は、改変組織から引き離すのが適切である。管様構造体を含む構築体の場合には、その管の外側にあるあらゆる充填体を(例えば、管様構築体から形成された管状構造体から剥がすことによって)取り除くことができる。
【0090】
管状構造体の内側にある充填体5は、適切には、所定の場所に放置することができる。他の場合では、充填体5は、下にさらに論じられるように、成熟後および移植前に、3次元構築体から取り除くことができる。充填体5が取り除かれる場合では、これは、適切には、管状構造体の開口端から引き抜くことによって達成することができる。加えて、充填体5が、成熟後、構造体から取り除かれる場合、充填体5は、適切には、構造体から充填体を引き抜きやすくするために、所望に応じて、可撓性材料で作製することができる。別の選択肢は、融合後に(例えば、温度変化、光、または他の刺激によって)融解させることができる材料から充填体5を作製することである。
【0091】
本発明はさらに、多細胞体を用いて、所定の3Dパターンに従って、事前に選択された受容環境中に複数の多細胞体をさらに送達して、細胞ユニットが融合して、所望のバイオ構築体になるようにすることによって、組織(例えば、軸索を誘導する移植片)等の3D形状を有する生物学的構築体を改変する別の方法を提供する。融合される2つ以上の多細胞体は、形状および大きさが同一のものであっても、異なるものであってもよく、同じ細胞型を含んでも、異なる細胞型を含んでもよい。数多くの方法で、この多細胞体をバイオ構築体エンジニアリングに適用してもよい。例えば、所望の構造体の上半分と下半分を含む2つの異なった形状の多細胞体を生成してもよく、これらの多細胞体を接触させ融合させてもよい。あるいは、複数の多細胞体を組み立て、充填体と組み合わせて、所望の形状に融合させてもよい。一実施形態によれば、多細胞体を充填体とともに用いる場合、このエンジニアリング法は、A)複数の多細胞体を所定のパターンに従って、複数の充填体と所定の通りに組み合わせて送達して、層状構築体を形成させるステップ(これにより、多細胞体および充填体は接触している)と、B)成熟のため、事前に選択された制御環境中に層状構築体を沈積させるステップ(これにより、多細胞体が互いに融合し合って、融合した構築体が得られる)と、C)この融合した構築体から充填体を取り除いて、所望の生物学的構築体を生成するステップと、を含んでもよい。
【0092】
損傷した神経を修復するための軸索を誘導する移植片
図5は、本発明の方法に従って改変された、概して、1001と指定される多細胞構築体(例えば、軸索を誘導する移植片)の一例を示す。示されるように、構築体は、中央部1005および末梢部1003を含む細長い多細胞領域を含む。多細胞領域のそれぞれの部分1003、1005は、互いに凝集し合っている複数の生体細胞を含むため、多細胞領域は、損傷した神経への神経機能の回復で用いるのに適している細長い移植片1001を形成する。下でさらに詳細に説明されるように、移植片が神経系を有する生体に埋め込まれ、切断された神経末端間の間隙に位置付けられるときに、移植片1001を適合して、移植片を通じて再生させる軸索成長を促進する(例えば、この神経は、外傷によって切断され、および/または神経回復手順の調製時に、ヘルスケア従事者によって切除される)。移植片1001は、広い意味で管状構造体である。しかしながら、移植片は、いかなる特定の断面形状を有する必要がなく、広範にわたる本発明の範囲内でいかなる中空部分を有する必要もない。
【0093】
多細胞領域は、多細胞体の説明との関連で上記の同じ細胞型を含む。例えば、多細胞領域は、適切には、間葉系幹細胞、骨髄幹細胞、毛包幹細胞、嗅神経鞘細胞、線維芽細胞、平滑筋細胞、シュワン細胞、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される細胞を含む。別例では、多細胞領域中の細胞は、骨髄幹細胞等の1つ以上の抗炎症特性を有する細胞を含む。さらに別例では、多細胞領域中の細胞は、シュワン細胞を含む。さらなる別例では、多細胞領域中の細胞は、骨髄幹細胞およびシュワン細胞を組み合わせて含む。多細胞領域が、シュワン細胞を含む場合、シュワン細胞の数は、多細胞領域中の細胞の総数の、適切には、約0.1パーセント(v/v)〜約20パーセント(v/v)の範囲であり、より適切には、約1パーセント(v/v)〜約15パーセント(v/v)の範囲であり、さらに適切には、約3パーセント(v/v)〜約10(v/v)パーセントの範囲であり、さらに適切には、約5パーセント(v/v)〜約10(v/v)パーセントの範囲である。また、多細胞領域が、シュワン細胞を含む場合、多細胞領域中の他の生体細胞は、適切には、骨髄幹細胞から本質的になることができる。しかしながら、上で記載される特定の例に記述されているもの以外の細胞型の様々な組み合わせは、広範にわたる本発明の範囲内で、移植片の多細胞領域内に存在する場合があることを理解されよう。
【0094】
図5に示される実施形態において、少なくとも1つの無細胞チャネル1007は、多細胞領域によって形成される構造体の対向端間を移植片1001の内部を通じて軸方向に伸びる。より具体的には、図5において、複数の別個の無細胞チャネル1007は、多細胞領域によって形成される構造体の対向端間を移植片1001を通じて伸びる。無細胞チャネル1007の数は、広範にわたる本発明の範囲内で、変えることができる。例えば、適切には、2〜7個の無細胞チャネルがあり、より適切には、3〜5個の無細胞チャネルがある。別例では、少なくとも3個の無細胞チャネルがある。例えば、図5に示される移植片1001は、ちょうど3個の無細胞チャネル1007を有する。無細胞チャネル1007は、適切には、移植片1001を通じて全ての方向に伸びるため、チャネルのそれぞれは、移植片が埋め込まれる場合、実質的には、反対方向の近位神経片と遠位神経片との間の全ての方向に継続的に伸びることができる。しかしながら、無細胞チャネルは、本発明の範囲内で、移植片の全長よりも若干短い長さであり得る。例えば、移植片の外周部1003は、例えば、図2Aおよび2Bで概説される方法を用いることによって、中央部1005(中央部において無細胞チャネルを含む)よりも若干長く作製することができる。必要に応じて、より長い外側部分を有する移植片の末端は、移植のための移植片を用意するために切除することができる。上述のように、移植片を埋め込む一方で、これらの末端が、本発明の範囲内で、でこぼこであることも可能である。
【0095】
無細胞チャネル1007は、図5に示されるように、適切には、並列な配向に配置され、多細胞領域中の細胞によって互いに分離される。例えば、無細胞チャネル1007は、適切には、実質的に互いに平行である。さらに、無細胞チャネル1007は、多細胞領域の部分によって互いに間隔をあけるのが適切である。無細胞チャネル1007はまた、互いに均等に間隔をあけるのが適切である。チャネル間の多細胞領域の部分の厚さは、チャネルの数、および無細胞チャネルのシュワン細胞が集中するライニングを支持するのに十分な厚さを有するチャネルの直径によって異なる。
【0096】
無細胞チャネル1007は、充填体5によって形成されるのが適切である。無細胞チャネル1007の寸法は、実質的には、上記の充填体の寸法に同一であるのが適切であり得る。あるいは、無細胞チャネル1007は、充填体5とは異なる長さのものであり得る。例えば、2つ(またはそれ以上の)充填体は、個々の充填体よりも長い1つの無細胞チャネルを作製するように、端から端まで配置され得る。場合によっては、充填体5を、損傷した神経の部位に移植する前に、移植片1001から取り除くことができる。充填体5を取り除く場合、無細胞チャネル1007は、移植片1001が移植されるとき、空であり、移植片を通じて近位神経断端から遠位神経断端に軸索成長を誘導する中空軸索誘導を形成する。他の場合には、1つ以上の充填体5は、3次元構築体/移植片1001中に残り、損傷した神経部位に移植片の残りとともに移植してもよい。例えば、充填体5が、アガロースで作られ、移植のために、成熟した軸索を誘導する移植片の無細胞チャネル中の所定の場所に放置するとき、近位神経構造からの軸索は、軸索を誘導する移植片に、軸索を誘導する移植片を通じて成長することが見出されている。この場合、充填体5はまた、移植片が、移植前あるいは移植後のいずれかで圧縮される場合、移植片1001へのさらなる機械的一体性を提供し、無細胞チャネル1007の崩壊を防ぐのにも役立つ。
【0097】
シュワン細胞は、適切には、無細胞チャネル1007と移植片1001の多細胞領域の間の接合面の少なくとも一部で集団化する。特に、シュワン細胞の少なくともいくつかは、適切には、軸索の内方成長を支持するために、無細胞チャネル1007に対してシュワン細胞が集中するライニングを形成する。5に示されるように、移植片は、高い割合のシュワン細胞を有する中央部1005と、中央部を取り囲み、低い割合のシュワン細胞を有する周辺部1003を有する。周辺部1003と中央部1005の間の境界線は、異なる境界線であるものとして、図5の概略図に示されるが、移植片の多細胞部分は、実際には、このように違わないが、その代わり、シュワン細胞が集中する中央部から、シュワン細胞が比較的少ないまたはシュワン細胞がない周辺部に段階的移行があることを認識されよう。移植片1001のシュワン細胞が集中する中央部1005は、概して、高い割合のシュワン細胞を含む多細胞充填体1′′によって形成される領域に対応する。移植片1001の中央部1005において、シュワン細胞の全割合は、上記のシュワン細胞を含有する多細胞体1′′におけるシュワン細胞の割合とほぼ同等である。多細胞体1′、1′′、および充填体5によって形成される3次元構築体101の成熟中、シュワン細胞のいくつかは、細胞型をセルフソーティングする差異的接着仮説の説明と一致する様式で、無細胞チャネル1007のライニングにそれら自体をソーティングする。多細胞体1′、1′′からの他の細胞型はまた、本発明の範囲内で、ライニングにも存在し得るが、シュワン細胞は、無細胞チャネル1007のライニングに優先的に近づく。無細胞チャネル1007のシュワン細胞が集中するライニングは、移植片1001の無細胞チャネルへの軸索の内方成長を促進すると考えられる。シュワン細胞は、神経発達および再生の役割を持っていることが知られている。いかなる特定の理論にも拘束されないが、損傷した神経において、シュワン細胞および/または切断された軸索によって放出された神経栄養因子は、軸索を誘導する移植片を通じて、近位天然神経から神経の遠位末端への軸索の成長を促進することができると考えられる。シュワン細胞が、無細胞チャネル1007の表面に沿って位置するため、軸索が移植片中に成長する場合、シュワン細胞は、軸索および/またはアガロース充填体に接触するように位置付けられる。したがって、シュワン細胞によって放出されたシグナリング分子は、この移植片を通じて軸索成長を促進することができる。
【0098】
移植片1001が、インキュベーター内で成熟させるために、上記のような、所定のパターンで多細胞体および充填体を配置することによって組織構築体101を作製させることによって作製した改変組織であることが適切であることを前述から認識されよう。上記の方法を用いた結果として、多細胞領域によって形成された3次元構造体は、神経支配されないことが適切である。さらに、3次元構造体は、多細胞体からのいくつかの残留する組織培養培地を含むのが適切である。対照的に、神経修復のために用いられる多くの先行技術の移植片(自己移植片および同種移植片を含む)は、神経支配される。さらに、先行技術の自己移植片および同種移植片は、いかなる組織培養培地も含まない。
【0099】
いくつかの実施形態において、軸索を誘導する移植片は、充填体によって形成されるいかなる無細胞チャネルも含まない。近位天然神経からの軸索は、本明細書に記載の無細胞チャネルなしで、軸索を誘導する移植片に、軸索を誘導する移植片を通じて成長すると考えられる。下でさらに詳細に説明される、図11は、移植時に、充填体によって占められる無細胞チャネルを含んだ軸索を誘導する移植片を用いて、移植してから3週間後、軸索(参照番号1017によって特定される小さい黒色点)が、3週間の移植の終了時に、移植片中に残留した無細胞チャネル1007の部分の外側の移植片中の多くの場所に存在したことを示す。これは、軸索が、上記の、シュワン細胞が集中する中央部1005を通じて、近位末端から、充填体を通じて成長せずに、あるいは無細胞チャネルを通じて成長せずに、遠位末端に成長することができたことを示唆している。したがって、本明細書に記載の無細胞チャネルを欠いている軸索を誘導する移植片はまた、近位天然神経から、移植片に、移植片を通じて、ならびに天然神経構造体の遠位末端への軸索の成長も支持する可能性がある。
【0100】
軸索を誘導する移植片を用いた損傷した神経の修復
成熟後、軸索を誘導する移植片は、神経への負傷を有する生体(例えば、ヒトまたは他の動物)に埋め込むことができる。軸索を誘導する移植片は、切断された神経末端間の間隙に位置付けることができる。この様式で軸索を誘導する移植片の位置付けは、軸索を誘導する移植片の無細胞チャネルを通じて再生軸索成長を促進し、神経機能の回復をもたらす。より具体的には、切断された天然神経の近位末端からの軸索は、軸索を誘導する移植片の無細胞チャネルを通じて成長し、神経構造体の遠位末端まで成長する。
【0101】
移植前に、軸索を誘導する移植片1001を取り囲む生体適合性材料(例えば、アガロース)が取り除かれ、図5に示されるもののような構造体をあとに残す。無細胞チャネル1007中の生体適合性材料が、近位神経構造から軸索を誘導する移植片に、軸索を誘導する移植片を通じて軸索の成長を可能にする材料である場合、移植のために所定の場所に放置されてもよい。例えば、アガロース充填体5を用いて、無細胞チャネル1007を作製する場合、アガロース充填体が、移植のために無細胞チャネル中に放置されているときでさえ、軸索が、移植片に、移植片を通じて成長することが知られているため、アガロース充填体は、移植前に無細胞チャネルから取り除かれる必要はない。無細胞チャネル1007中の充填体5の放置により、移植片へのさらなる構造的一体性を有利に与えることができる。例えば、充填体は、移植片が、移植前または移植後に圧縮される場合でさえ、無細胞チャネルを開口したままにすることができる。
【0102】
別例として、無細胞チャネル1007中の充填体5は、軸索を誘導する移植片1001の移植前に取り除かれてもよい。無細胞チャネル1007中の充填体5の除去は、例えば、充填体が、軸索の成長を支持しない材料からなる場合には、適切である。無細胞チャネル1007中の充填体5が、移植前に取り除かれる場合、無細胞チャネルは、移植時に、中空であり、軸索が移植片に成長するにつれて、やがて軸索が集団化する。
【0103】
本発明の軸索を誘導する移植片は、負傷の直接的な結果として、あるいは神経切除手術の結果として、切断されている末梢神経系におけるあらゆる神経の修復に使用することができる。軸索を誘導する移植片は、少なくとも約1cm〜約7cmの長さの範囲の切断された神経の間隙の修復に適している長さに、上で説明される方法を用いて構築することができる。軸索を誘導する移植片は、修復されるべき切断された神経の末端間の間隙の長さと少なくとも同じである長さを有するように構築されるのが適切である。したがって、例えば、切断された神経の間隙が、約3cmの長さである場合、軸索を誘導する移植片もまた、少なくとも約3cmの長さであるように調製されるのが適切である。長すぎる移植片は、外科医が神経を露出させたとき、容易に切断することができるため、移植片が短すぎるよりも移植片が長すぎる方がはるかに良い。したがって、移植片は、移植が完了する前に、いつでもより短い切片に切断することができるように、構築されるのが適切である。軸索を誘導する移植片は、特に、神経の自然再生が生じる可能性が低い、ある長さの切断された神経の間隙の修復に適している。大抵、切断された神経の間隙が、約3cm未満の長さであるときにのみ自然再生され、切断された神経の間隙が、2cmの長さであるときにでさえ、確実に自然再生されるとは限らない。したがって、軸索を誘導する移植片は、特に、少なくとも約2cmの切断された神経の間隙の修復に適している。
【0104】
したがって、軸索を誘導する移植片は、約1cm〜約7cmの範囲の長さを有する切断された神経の間隙の修復に適しており、約2cm〜約6cmの範囲の長さを有する切断された神経の間隙の修復により適しており、約3cm〜約5cmの範囲の長さを有する切断された神経の間隙の修復にさらに適している。
【0105】
さらに、軸索を誘導する移植片を作製するために現行の技術を用いることによって、移植片の断面の構造は、修復される神経の断面の構造と一致するように構築することができることを理解されよう。特に、軸索を誘導する移植片の直径は、例えば、多細胞体および/もしくは充填体の直径を変化させることによって、または軸索を誘導する移植片を構築するために用いられる多細胞体およびもしくは充填体の数を変化させることによって、変えることができる。加えて、1つを超える軸索を誘導する移植片を用いて、大きな直径の神経への損傷を修復することができる。さらに、軸索を誘導する移植片中の無細胞チャネルの数は、修復を必要とする損傷した神経の束に適している構造を有する軸索を誘導する移植片を作製するために、本明細書の上に記載される技術を用いて変えることができる。
【0106】
軸索を誘導する移植片は、単独で、あるいはサポートスリーブ(例えば、コラーゲン導管または死体の脱細胞化された神経)の内側のいずれかで、切断された神経の部位に埋め込まれてもよい。当業者は、適切なサポートスリーブを選択することが可能であろう。一般に、他の技術によって(例えば、自己移植片を用いて)損傷した神経を修復するために当技術分野で用いられるコラーゲン導管はまた、本明細書に記載の本発明の軸索を誘導する移植片と関連してサポートスリーブとして用いることにも適している。例えば、Integra Life Sciencesによって販売されているNEUROGENのコラーゲン導管を使用してもよい。
【0107】
軸索を誘導する移植片が挿入される切断された神経の部位は、当技術分野で知られている標準的な外科技術を用いて曝露させることができる。軸索を誘導する移植片が、単独で(例えば、コラーゲン導管なしで)埋め込まれるとき、軸索を誘導する移植片は、外科手術野に浮かせ、外科用接着剤(例えば、フィブリン接着剤)または縫合によりそれぞれの末端で介在移植片として固定するのが適切である。軸索を誘導する移植片が、サポートスリーブ、例えば、コラーゲン導管とともに埋め込まれるとき、コラーゲン導管または他のスリーブは、埋め込まれるべき軸索を誘導する移植片の長さとほぼ一致するように、適切に切断する。コラーゲン導管はまた、その長手方向軸に沿って切断される。次いで、軸索を誘導する移植片は、この外科手術野に、および長手方向に切断した導管に浮かせるのが適切であり、導管中の長手方向の切断部は、再封鎖される。あるいは、軸索を誘導する移植片は、長手方向に切断した導管の内側に置かれ、次いで、この外科手術野に移すことができる。次いで、天然神経構造の遊離端を、適切には、この導管中に取り付け、外科用接着剤または外科用縫合材料(例えば、9−0ナイロン)で固定することができる。軸索を誘導する移植片が、切断された神経構造の両端に固定されると、外科手術野は、当業者に知られている標準的な外科手術技術を用いて閉鎖することができる。
【実施例】
【0108】
実施例1:多細胞体の調製
マウス骨髄幹細胞。マウス骨髄幹細胞(BMSC)は、Eisenberg et al.,Bone Marrow Cells Transdifferentiate to Cardiomyocytes When Introduced into the Embryonic Heart,Stem Cells 24:1236−45(2006)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)によって使用されるものと同一の条件下で単離された。簡潔に言えば、全骨髄が、8〜12週齢の野生型ICRマウスの大腿骨から単離された。イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)で骨を洗い流した後、骨髄を、20ゲージ針を介して反復通過させ、40μm ナイロン製のスリーブを通して濾過した。得られた細胞懸濁液を洗浄し、IMDM/20% ウシ胎仔血清(FBS)とともに、細菌等級のペトリ皿中に4週間置かれ、毎週新たに培地が供給された。単離後、マウスBMSCは、12% ドナーウマ血清、12% ウシ胎仔血清、1mM ヒドロコルチゾン、ならびに1.0×10単位/Lのペニシリンおよびストレプトマイシン(BMSC培地)で補充したIMDM中に培養された。細胞を10cmのペトリ皿上で増殖させ、37℃、5% COでインキュベートした。12個のコンフルエントなペトリ皿が、約2.5mmの外径および3.5cmの長さを有する1つの軸索を誘導する移植片を調製するために必要であった。
【0109】
シュワン細胞。シュワン細胞(CRL−2765)は、ATCCから購入された。培地組成物は、10% FBS、および1.0×10単位/Lのペニシリンおよびストレプトマイシン(シュワン細胞培地)で補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)高グルコースであった。
【0110】
アガロース型の調製
2% アガロース溶液の調製。2gの超高純度の低融点(LMP)アガロースを、100mLの超高純度の水/緩衝溶液(1:1、v/v)中に溶解した。緩衝溶液は、PBS(ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水 1×)またはHBSS(ハンクス平衡塩溶液 1×)であり得る。アガロース溶液は、温水(80℃を超える)を含有するビーカー中に入れ、アガロースが完全に溶解するまで、熱板上に放置した。アガロース溶液は、温度が36℃を上回る限り、液体の状態である。この温度を下回ると、相転移が生じ、粘度が増加し、最終的に、アガロースは、ゲルを形成する。
【0111】
アガロース型の調製。アガロース型は、細胞培養皿221(直径10cm)に適合するTeflonプリント(即ち、Teflonツール201)(図4A〜C)を用いて形成された。組立部(Teflonツール+ペトリ皿)を垂直に保ち、約40mLの予熱しておいたアガロースをTeflonツール中の孔を通してペトリ皿に注ぎ入れた。全ての気泡を除去した後、組立部を4℃で少なくとも1時間置いた。アガロースが完全にゲル化した後、Teflonツール201を取り除くと、アガロース中に溝が現れた(図4C中の溝305を参照)。次いで、10mLの培地をこの型に添加した。
【0112】
多細胞体の調製
BMSC多細胞体。BMSCのコンフルエントなペトリ皿から培地を取り除き、細胞を10mLのPBSで洗浄した。1.5mLのトリプシン0.1%を細胞上に均一に播き、表面から細胞を剥がした。細胞が皿から剥がれ始めたとき、BMSC培地中の5mLの2mM CaCl溶液を、この皿に加えた。得られた細胞懸濁液を900gで5分間遠心分離した。培地を取り除いた(すなわち、上清を取り除いた)後、細胞ペレットを、2mM CaClを含有する200μLのBMSC培地に再懸濁させ、数回、ピペットで吸い上げたり押し出したりして(すなわち、激しくピペッティングして)、細胞クラスターに分解して、実質的に単一の細胞懸濁液を得た。
【0113】
実質的に桿状のBMSC多細胞体の調製のために、15mLの遠心チューブ内に置いた2mLのエッペンドルフチューブに、細胞懸濁液を移した。1300gで2分間遠心分離することによって、高密度ペレットを形成させた。培地(すなわち、上清)を取り除いて、1mLのエッペンドルフピペッターに取り付けられている1mLのチップの中に挿入したキャピラリーチューブ(外径(OD)=1mm;内径(ID)=0.5または0.3mm)に吸引することによって、ペレット(すなわち、細胞ペースト)を移した。細胞ペーストが入っているキャピラリーチューブを、2mM CaClが入っている培地中で15分間、37℃、5% COにてインキュベートした。図3Cに示されるように、得られた成形した細胞ペースト55を、プランジャーを用いて、培地で満たしたアガロース型301の溝305の中にキャピラリーチューブ51から実質的に桿状の細胞体として押し出した。型301を、インキュベーター内に一晩置いた。翌日、成熟した実質的に桿状のBMSC多細胞体1を、図3Dに示されるように、手作業でキャピラリーチューブ51′に吸引し(すなわち、吸い込み)、さらに使用するまで培地中に置いた。
【0114】
(B)混合したBMSCおよびシュワン細胞多細胞体。シュワン細胞のコンフルエントなペトリ皿から培地を取り除き、細胞を10mLのPBSで洗浄した。1.5mLのトリプシン0.1%を細胞上に均一に播き、表面から細胞を剥がした。細胞が皿から剥がれ始めたとき、5mLのシュワン細胞培地を、この皿に加えた。得られた細胞懸濁液を900gで5分間遠心分離した。上記のように、BMSCを、コンフルエントなペトリ皿から剥がし、BMSC培地中の5mLの2mM CaCl溶液に再懸濁し、900gで5分間遠心分離した。BMSCおよびシュワン細胞の両方を含む実質的に桿状の多細胞体を作製するために、細胞ペレットの容量を推定した。約90%のBMSCおよび約10%のシュワン細胞(v/v)が入っている細胞懸濁液を、200μLのBMSC培地中に調製し、1300gで2分間遠心分離して、高密度の細胞ペレットを作製した。BMSCおよびシュワン細胞の両方を含有する多細胞体を、上記の手順に従って、この高密度ペレットから調製した。
【0115】
実施例2:3個の無細胞チャネルを有するバイオ改変した軸索を誘導する移植片の調製
10mLの2% アガロースの予熱した溶液を、10cmのペトリ皿に沈積させ、均一に広げて、均一な層を形成させた。このペトリ皿を4℃で置いて、アガロースをゲル化した。キャピラリーチューブに、2% アガロース溶液を充填し、(冷たい吹き込む空気、または冷却PBS溶液を用いて)冷却して、実質的に桿状の充填体を形成させた。
【0116】
双眼顕微鏡下で、ピストンまたはワイヤを用いて充填体5をキャピラリーチューブ51、51′から押し出し、5cmのアガロース棒(すなわち、充填体)をペトリ皿内部のアガロース層の上に真っ直ぐ置いた。図1および2を参照すると、第2の充填体5を、第1の充填体に並列させ(例えば、隣接して置く)、10個の充填体を沈積して、構造体の1段目の層を形成させた。図1および2に示されるように、構造体の2段目の層に存在する6個の充填体5を沈積させた。3個のBMSC多細胞体1′を、構造体の第2の層の第4、第5、および第6の位置に沈積させて、軸索を誘導する移植片の下層を形成させた。図1および2に示されるように、構造体の3段目の層を、第1、第2、第4、第7、および第8の位置で5個の充填体5、第3および第6の位置で2個のBMSC多細胞体1′、ならびに第5の位置で混合したBMSC/シュワン細胞多細胞体1′′を沈積させることによって形成させた。構造体の4段目の層では、3個の充填体5を、第1、第5、および第7の位置で沈積させ、2個のBMSC多細胞体1′を、第2および第6の位置で沈積させ、2個の混合したBMSC/シュワン細胞多細胞体を、第3および第4の位置1′′で沈積させた。構造体の5段目の層は、3個の充填体5(第1、第3、および第6の位置で)、2個のBMSC多細胞体1′(第2および第5の位置で)、ならびに1個の混合したBMSC/シュワン細胞多細胞体1′′(第4の位置で)から構成させた。構造体の6段目の層を形成させるために、2個のアガロース充填体5を、第1および第5の位置で沈積させ、3個のBMSC多細胞体1′を、第2、第3、および第4の位置で沈積させて、軸索を誘導する移植片の上層を形成させた。7段目の層は、4個のアガロース充填体5から構成させた。沈積プロセス全体を通じて、少量の組織培養培地(一度に約10μL)を構築体の側部に加えて、材料(すなわち、アガロースおよび多細胞体)の脱水を回避した。上記および図1に示される構造体を構築するために用いられる充填体および多細胞体に垂直な配向において、アガロース充填体を構築体の上に置いた。0.5〜1mLの液体アガロースを構造体周辺に注ぎ、構築体の一体性を保った。ゲル化後、全構築体が、完全に沈むまで組織培養培地を加えた。10〜14日間の成熟期間中、構築体を、インキュベーター内に置き、組織培養培地を一日おきに取り替えた。
【0117】
14日後、軸索を誘導する移植片を取り囲むアガロースを取り除き、この移植片は、縫合および移植に耐えるのに十分頑丈であった。図6は、14日間の成熟期間後の10cmの細胞培養皿221における、上記の手順を用いて調製された軸索を誘導する移植片の写真である。
【0118】
実施例3:バイオ改変した軸索を誘導する移植片におけるシュワン細胞の局在化
成熟した軸索を誘導する移植片内の細胞配置を視覚化するために、シュワン細胞は、蛍光性膜色素DiIC18(5)−DS脂質親和性カルボシアニントレーサーで、染色した。これらの蛍光標識されたシュワン細胞を用いて、上で概説した手順を用いて、混合したBMSC/シュワン細胞多細胞体を作製し、得られた混合したBMSC/蛍光標識されたシュワン細胞多細胞体を用いて、上で概説した手順に従って、軸索を誘導する移植片を調製した。10日間の成熟期間後、軸索を誘導する移植片を、アガロースから取り除いた。横断面を、成熟した軸索を誘導する移植片から切除し、蛍光立体顕微鏡を用いて、蛍光染色およびシュワン細胞の局在化を視覚化した。
【0119】
図7で見られるように、シュワン細胞(構造体においてより明るい領域によって示される)は、バイオ改変した軸索を誘導する移植片の中央部1005により集中し、その周辺ではあまり集中していない。したがって、中央部を形成する細胞は、移植片の周辺部を形成する細胞よりも高い割合のシュワン細胞を含むことが認識される。構造体における3個の無細胞チャネル1007は、画像中のより濃い斑として現れる。この写真のカラーバージョンは、シュワン細胞を緑色で示し、米国仮出願第61/337,307号(これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、本出願は、これに対する優先権を主張する)の図2(a)として現れる。本仮出願およびHubbardらの参考文献に表わされるカラー写真を、本明細書の図7として示される白黒写真に置き換える際には、まず、全画像の彩度を増加させ、次いで、全画像の輝度を増加させ、画像をグレースケールに変換し、全画像のコントラストを増加させた。このプロセスは、移植片の緑色蛍光部分を明るくし、移植片のシュワン細胞が集中する部分がより明るく表示され、一方、移植片の他の部分は、改善されたグレースケール写真でより濃いグレーである。
【0120】
シュワン細胞が、軸索を誘導する移植片の中央部により集中し、その周辺にあまり集中していないこの配置は、図5中に略図で示される。図5では、外周部1003は、高濃度のシュワン細胞を有し、無細胞チャネル1007を含む中央部1005と比較して、低濃度のシュワン細胞を有する。
【0121】
実施例4:ラットにおける軸索を誘導する移植片の移植−手順1
軸索を誘導する移植片を通じて軸索の再生は、齧歯類の坐骨神経損傷モデルにおいて研究されている。約400グラムの体重の雌のSprague Dawleyラットに、腹腔内(IP)経路を介して、ケタミン(87mg/kg)およびキシラジン(13mg/kg)の混合溶液で麻酔をかけた。無菌調製およびドレーピング条件下でこれらの手順を行い、手順中および回復時、加温パッドを用いた。ラットは、術前および術後、完全に腹臥位になるまで、1つのケージに入れた。鎮静状態後、ラットの左側面大腿部の毛をそり、ラットの後肢を準備し、無菌状態で覆布した。皮膚切開は、中央の側面大腿部に沿って外科用メスで行われ、皮膚弁を、筋膜を曝露しながら持ち上げた。これは、切開され、腿部の筋肉組織間の間隔は、長手方向に分割され、その分岐点でのおよびその分岐点より遠位の坐骨神経の直接的方向を鋭く曝露した。その分岐点への神経近位の1cmのストレッチが、摘出され、1cmの神経片を切除した。バイオ改変した軸索を誘導する移植片を、この手術野に浮かせ、フィブリン接着剤を用いてそれぞれの末端で介在神経移植片として固定し、封鎖を形成する時間を与えた。創傷を軽く洗浄し、止血は、軽度の圧迫により全手順を通じて達成した。4−0吸収性縫合糸で筋肉および皮膚を閉合した。ラットを隔離されたケージ中の加温パッド上で、腹臥状態まで回復させた。図8は、この手順を用いた軸索を誘導する移植片の移植後のラットにおける外科手術野の写真である。軸索を誘導する移植片1001を、外科手術野1009で見ることができる。
【0122】
実施例5:ラットにおける軸索を誘導する移植片の移植−手順2
約400グラムの体重の雌のSprague Dawleyラットに、腹腔内経路を介して、ケタミン(87mg/kg)およびキシラジン(13mg/kg)の混合溶液で麻酔をかけた。無菌調製およびドレーピング条件下でこれらの手順を行い、手順中および回復中、加温パッドを用いた。ラットは、術前および術後、完全に腹臥位になるまで、1つのケージに入れた。鎮静状態後、ラットの左側面大腿部の毛をそり、ラットの後肢を準備し、無菌状態で覆布した。皮膚切開は、中央の側面大腿部に沿って外科用メスで行われ、皮膚弁を、筋膜を曝露しながら持ち上げた。これは、切開され、腿部の筋肉組織間の間隔は、長手方向に分割され、その分岐点でのおよびその分岐点より遠位の坐骨神経の直接的方向を鋭く曝露した。その分岐点への神経近位の1cmのストレッチが、摘出され、1cmの神経片を切除した。バイオ改変した軸索を誘導する移植片を、1セントメートルの創傷(すなわち、約12〜14ミリメートルの長さ)に適合するように切断された、長手方向に切断された市販のコラーゲン神経誘導管(すなわち、「コラーゲン管」または「コラーゲン導管」)に浮かせ、これをこの改変移植片用のサポートスリーブとして用いた。天然坐骨神経の遊離端を、このコラーゲンサポートスリーブ中に取り付け、9−0ナイロンで固定した。次いで、創傷を洗浄し、止血は、軽度の圧迫により達成した。4−0吸収性縫合糸で筋肉および皮膚を閉合した。ラットを隔離されたケージ中の加温パッド上で、腹臥状態まで回復させた。
【0123】
図9は、この手順を用いて、コラーゲン導管1011の内部に軸索を誘導する移植片の移植後のラットにおける外科手術野1009の写真である。天然神経構造の近位部1013および遠位部1015も可視される。
【0124】
実施例6:移植から3週間後の軸索を誘導する移植片の全体的な形態学的および組織学的評価
移植から3週間後のラットに上記と同じ様式で麻酔をかけ、移植部位を曝露した。バイオ改変した軸索を誘導する移植片、ならびに軸索を誘導する移植片への天然神経近位部分および遠位部分を含む神経片を、ラットから採取し、形態学的観察のために写真撮影した。図10は、上記の手順2を用いた移植から3週間後に採取された軸索を誘導する移植片を含む神経片の写真である。図10中の矢印は、横断面が、組織学的評価のために取られた場所を示す。切片AAは、近位天然神経で切断し、切片BBは、軸索を誘導する移植片との近位天然神経の接合部で切断し、切片CCは、軸索を誘導する移植片の中央部で切断し、切片DDは、遠位天然神経との遠位軸索を誘導する移植片の接合部で切断し、切片EEは、遠位天然神経で切断する。遠位天然神経(すなわち、切片EE)に存在するあらゆる軸索は、軸索を誘導する移植片を通じて再生されている。
【0125】
図11は、4倍および10倍の倍率で、図10中の矢印によって示される切片にほぼ対応する場所から得られた横断面の組織画像である。組織化学のために、採取した神経片は、一晩4% パラホルムアルデヒドで固定した。エタノール系で脱水した後、組織を、パラフィン浸透および包埋の処理を行った。4μmの横断面を、図10中に示される場所で切除し、軸索を検出するために、Bielschowsky染色に供した。
【0126】
図11では、軸索1017は、高倍率(すなわち、10倍)の切片で小さい黒色点として現れる。加えて、コラーゲンサポートスリーブ1011の一部が、低倍率(すなわち、4倍)画像の一部に見ることができる。切片内の白色領域は、無細胞チャネル1007の残留部分である。連続切片のこれらの組織画像は、軸索を誘導する移植片を通じて、近位天然神経から遠位天然神経への軸索の再生を示す。
【0127】
図12は、サポートスリーブとして用いられるコラーゲン導管内部でバイオ改変した軸索を誘導する移植片を用いて移植してから3週間後の、近位天然神経および遠位天然神経から得られた横断面の40倍の倍率で得られた組織画像を示す。図12中のスケールバー1019は、100μmの長さである。軸索1017は、小さな黒色点として現れ、この画像は、高倍率画像において手作業で計数される場合、移植から3週間後の近位断端に存在する軸索の約40%が、バイオ改変した軸索を誘導する移植片を交差し、天然神経の遠位断端に達したことを示す。
【0128】
実施例7:移植から12週間後の軸索を誘導する移植片の全体的形態学
上記の手順に従って、雌のSprague Dawleyラットの坐骨神経において、10mmの切除が行われた。上記の方法を用いて調製されたバイオ改変した軸索を誘導する移植片がない、あるいはこの移植片で満たされた、コラーゲン導管/スリーブを用いて間隙を修復することによる、比較研究が実行された。12週間後、コラーゲン導管(移植時に空であるコラーゲン導管、およびバイオ改変した移植片のためのスリーブとして用いられたコラーゲン導管を意味する)を、近位および遠位神経断端とともに採取し、形態学的観察のために写真撮影した。
【0129】
図13は、コラーゲン導管のみ(パネル(a))による、またはバイオ改変した軸索を誘導する移植片で満たされたコラーゲン導管(パネル(b))による移植から12週間後採取された、導管ならびに近位および遠位神経断端の比較を示す。近位天然神経構造1013は、採取した切片の極左末端において可視される。遠位神経構造1015は、組織によってほとんど取り囲まれているが、採取した神経片の極右末端において可視される。パネル(b)では、コラーゲン導管の一部は、平滑かつ明確な修復部1021を曝露するために取り除かれている。コラーゲン導管中の切断部の境界線は、点線1023によって示される。コラーゲン導管1025の残りは、点線の右側にある。写真は、移植から12週間後、神経の近位断端と遠位断端の間の連続は、いずれかの修復方法を用いて再構築された。しかしながら、軸索を誘導する移植片を含むコラーゲン導管は、より平滑かつより明確な(すなわち、一定直径)連結をもたらした。加えて、軸索を誘導する移植片とともに埋め込まれるコラーゲン導管は、ほぼ完全に無傷であり、一方、コラーゲン導管のみが埋め込まれるとき、ほぼ完全に吸収された。図13のパネル(a)では、コラーゲン導管の唯一の残りの部分が、実線1027で囲まれている。いかなる特定の理論にも拘束されないが、これは、BMSCが、抗炎症特性を有するため、コラーゲン導管が、軸索を誘導する移植片とともに埋め込まれる動物における炎症反応の低下によるものであると考えられる。
【0130】
実施例8:切断されたヒト神経を修復する方法
修復を必要とする神経があるヒト患者が特定される。神経切除手術が、この患者において任意に行われる。神経の近位断端と遠位断端の間の距離とほぼ等しい長さを有する軸索を誘導する移植片が、上で概説される手順に従って調製される。
【0131】
ヒト患者に麻酔をかける。当技術分野で知られている標準的な外科技術を用いて、切断された神経を曝露し、可視化する。軸索を誘導する移植片を、神経の近位断端と遠位断端の間に置き、神経の近位断端と遠位断端を、縫合または外科用接着剤で移植片に固定する。次いで、創傷を洗浄し、止血は、軽度の圧迫により達成する。当技術分野で知られている標準的な外科技術を用いて、筋肉および皮膚を閉合する。
【0132】
実施例9:切断されたヒト神経を修復する方法
修復を必要とする神経があるヒト患者が特定される。神経切除手術が、この患者において任意に行われる。神経の近位断端と遠位断端の間の距離とほぼ等しい長さを有する軸索を誘導する移植片が、上で概説される手順に従って調製される。
【0133】
ヒト患者に麻酔をかける。当技術分野で知られている標準的な外科技術を用いて、修復されるべき神経を曝露し、可視化する。軸索を誘導する移植片を、神経の近位断端と神経の遠位断端の間の空間に適合するように切断された長手方向に切断されたコラーゲンサポートスリーブに浮かせる。コラーゲンサポートスリーブおよび/または移植片の過剰な末端は、存在する場合、取り除くことができる。神経の近位末端および遠位末端は、コラーゲンサポートスリーブ中に取り付け、縫合または外科用接着剤で固定する。次いで、創傷を洗浄し、止血は、軽度の圧迫により達成する。当技術分野で知られている標準的な外科技術を用いて、筋肉および皮膚を閉合する。
【0134】
本発明は、その特定の実施形態と関連させて説明されているが、本発明の方法論は、さらなる修正が可能であることが理解されよう。本特許出願は、一般に、本発明の原理に従っているとともに、本発明と関連する技術分野内の既知または慣例的な実施態様内に入るような本開示からの逸脱形態、および本明細書でこれまで示してきた本質的な特長に適用できるような本開示からの逸脱形態、および添付の特許請求の範囲に従うような本開示からの逸脱形態を含む本発明のあらゆる変形形態、用途、または適合形態を網羅するように意図されている。
【0135】
本明細書の多細胞構築体、3次元構造体、軸索を誘導する移植片、および多細胞体の要素を導入するとき、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、要素のうちの1つまたは複数があることを意味することを意図する。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語ならびにそれらの変形は、包括的であり、列挙された要素の他に追加の要素が存在する可能性があることを意味することを意図する。
【0136】
様々な変更が、本発明の範囲から逸脱することなく、上記のものに行われ得る場合、上記の説明に含まれ、添付図に示される全ての事項は、例示として解釈されるべきであり、限定の意味に解釈されるべきでないことを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多細胞構築体であって、
切断された神経末端間の神経連絡を回復するために、互いに凝集し合って、細長い移植片を形成する複数の生体細胞を含む、多細胞領域と、
前記移植片の内部を通じて軸方向に伸びる複数の無細胞チャネルと、
を含む、多細胞構築体。
【請求項2】
前記無細胞チャネルは、中空であるか、あるいは1つ以上の無細胞材料で満たされている、請求項1に記載の多細胞構築体。
【請求項3】
前記無細胞チャネルは、中空であるか、1つ以上の無細胞材料で部分的に満たされているか、あるいは1つ以上の無細胞材料で完全に満たされている、請求項1に記載の多細胞構築体。
【請求項4】
前記無細胞チャネルは、中空であるか、1つ以上の無細胞材料で部分的に満たされているか、1つ以上の無細胞材料で完全に満たされているか、あるいはそれらの任意の組み合わせである、請求項1に記載の多細胞構築体。
【請求項5】
前記生体細胞は、間葉系幹細胞、骨髄幹細胞、毛包幹細胞、嗅神経鞘細胞、線維芽細胞、平滑筋細胞、シュワン細胞、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される細胞を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多細胞構築体。
【請求項6】
前記生体細胞は、骨髄幹細胞を含む、請求項5に記載の多細胞構築体。
【請求項7】
前記生体細胞は、シュワン細胞を含む、請求項6に記載の多細胞構築体。
【請求項8】
前記多細胞領域中の総生体細胞数の約0.1〜約20パーセントが、シュワン細胞である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の多細胞構築体。
【請求項9】
前記多細胞領域中の総生体細胞数の約1パーセント〜約15パーセントが、シュワン細胞である、請求項8に記載の多細胞構築体。
【請求項10】
前記多細胞領域中の総生体細胞数の1パーセント〜約10パーセントが、シュワン細胞である、請求項9に記載の多細胞構築体。
【請求項11】
前記多細胞領域中の総生体細胞数の約3パーセント〜約10パーセントが、シュワン細胞である、請求項10に記載の多細胞構築体。
【請求項12】
前記多細胞領域中の総生体細胞数の約5パーセント〜約10パーセントが、シュワン細胞である、請求項11に記載の多細胞構築体。
【請求項13】
前記シュワン細胞の少なくともいくつかは、前記無細胞チャネルと前記多細胞領域との間の接合面の少なくとも一部で集団化する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の多細胞構築体。
【請求項14】
前記移植片は、中央部分と、前記中央部分を取り囲む周囲部分とを有し、前記中央部分の細胞がシュワン細胞である割合は、前記周囲部分の細胞がシュワン細胞である割合よりも高い、請求項1〜13のいずれか1項に記載の多細胞構築体。
【請求項15】
前記無細胞チャネル中の前記1つ以上の無細胞材料は、アガロースを含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の多細胞構築体。
【請求項16】
無細胞チャネル数は、2〜5個の範囲である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の多細胞構築体。
【請求項17】
前記生体細胞は、抗炎症特性を有する細胞を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の多細胞構築体。
【請求項18】
前記移植片は、管状である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の多細胞構築体。
【請求項19】
前記移植片は、改変組織である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の多細胞構築体。
【請求項20】
前記移植片は、神経支配されない、請求項1〜19のいずれか1項に記載の多細胞構築体。
【請求項21】
前記移植片は、組織培養培地を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の多細胞構築体。
【請求項22】
細長い3次元構造体であって、
それぞれの多細胞体が、互いに凝集し合っている複数の生体細胞を含む、複数の改変多細胞体と、
それぞれの充填体が、前記多細胞体から前記充填体への細胞の移動および内方成長に抵抗する生体適合性材料を含む、複数の別個の充填体と、を含み、
前記多細胞体は、それぞれの多細胞体が、少なくとも1つの他の多細胞体と接触し、前記充填体が、前記構造体の対向端間に伸びる複数の無細胞チャネルを形成するように位置付けられ、配置されるパターンで配置される、細長い3次元構造体。
【請求項23】
細長い3次元構造体であって、
それぞれの多細胞体が、互いに凝集し合っている複数の生体細胞を含む、複数の神経支配されない多細胞体と、
それぞれの充填体が、前記多細胞体から前記充填体への細胞の移動および内方成長に抵抗する生体適合性材料を含む、複数の別個の充填体と、を含み、
前記多細胞体は、それぞれの多細胞体が、少なくとも1つの他の多細胞体と接触し、前記充填体が、前記構造体の対向端間に伸びる複数の無細胞チャネルを形成するように位置付けられ、配置されるパターンで配置される、細長い3次元構造体。
【請求項24】
細長い3次元構造体であって、
それぞれの多細胞体が、組織培養培地と、互いに凝集し合っている複数の生体細胞と、を含む、複数の多細胞体と、
それぞれの充填体が、前記多細胞体から前記充填体への細胞の移動および内方成長に抵抗する生体適合性材料を含む、複数の別個の充填体と、を含み、
前記多細胞体は、それぞれの多細胞体が、少なくとも1つの他の多細胞体と接触し、前記充填体が、前記構造の対向端間に伸びる複数の無細胞チャネルを形成するように位置付けられ、配置されているパターンで配置される、細長い3次元構造体。
【請求項25】
前記無細胞チャネルは、中空であるか、あるいは1つ以上の無細胞材料で満たされている、請求項22〜24のいずれか1項に記載の細長い3次元構造体。
【請求項26】
前記無細胞チャネルは、中空であるか、1つ以上の無細胞材料で部分的に満たされているか、あるいは1つ以上の無細胞材料で完全に満たされている、請求項22〜24のいずれか1項に記載の細長い3次元構造体。
【請求項27】
前記無細胞チャネルは、中空であるか、1つ以上の無細胞材料で部分的に満たされているか、1つ以上の無細胞材料で完全に満たされているか、あるいはそれらの任意の組み合わせである、請求項22〜24のいずれか1項に記載の細長い3次元構造体。
【請求項28】
前記無細胞チャネルは、互いに並列な配向を有し、前記多細胞体によって互いに分離される、請求項22〜27のいずれか1項に記載の細長い3次元構造体。
【請求項29】
前記構造体の前記対向端間に伸びる少なくとも3つの無細胞チャネルがある、請求項22〜28のいずれか1項に記載の細長い3次元構造体。
【請求項30】
前記複数の生体細胞は、間葉系幹細胞、骨髄幹細胞、毛包幹細胞、嗅神経鞘細胞、線維芽細胞、平滑筋細胞、シュワン細胞、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される細胞を含む、請求項22〜29のいずれか1項に記載の細長い3次元構造体。
【請求項31】
前記複数の生体細胞は、シュワン細胞を含む、請求項22〜30のいずれか1項に記載の細長い3次元構造体。
【請求項32】
前記複数の生体細胞は、骨髄幹細胞を含む、請求項22〜31のいずれか1項に記載の細長い3次元構造体。
【請求項33】
前記多細胞体は、比較的高い割合のシュワン細胞を有する第1の型の多細胞体と、比較的低い割合のシュワン細胞を有する第2の型の多細胞体と、を含む、請求項22〜32のいずれか1項に記載の細長い3次元構造体。
【請求項34】
前記第2の型の多細胞体は、前記第1の型の多細胞体および前記充填体を取り囲むように配置される、請求項33に記載の細長い3次元構造体。
【請求項35】
前記第1の型の多細胞体は、前記充填体に隣接して位置付けられる、請求項33または34のいずれかに記載の細長い3次元構造体。
【請求項36】
前記第2の型の多細胞体は、骨髄幹細胞を含む、請求項33〜35のいずれか1項に記載の細長い3次元構造体。
【請求項37】
前記第1の型の多細胞体は、骨髄幹細胞を含み、前記第2の型の多細胞体中の骨髄幹細胞の割合は、前記第1の型の多細胞体中の骨髄幹細胞の割合よりも高い、請求項36に記載の細長い3次元構造体。
【請求項38】
前記多細胞体の少なくともいくつかは、実質的に桿状である、請求項22〜37のいずれか1項に記載の細長い3次元構造体。
【請求項39】
前記充填体の少なくともいくつかは、実質的に桿状である、請求項22〜38のいずれか1項に記載の細長い3次元構造体。
【請求項40】
前記多細胞体の少なくともいくつかは、実質的に球状である、請求項22〜37のいずれか1項に記載の細長い3次元構造体。
【請求項41】
前記充填体の少なくともいくつかは、実質的に球状である、請求項22〜37および40のいずれか1項に記載の細長い3次元構造体。
【請求項42】
前記充填体の前記生体適合性材料は、前記多細胞体中の細胞の前記充填体への付着に抵抗する、請求項22〜41のいずれか1項に記載の細長い3次元構造体。
【請求項43】
前記充填体の少なくとも1つが、アガロースを含み、前記少なくとも1つの多細胞体中の前記生体細胞は、シュワン細胞を含み、前記少なくとも1つの多細胞体は、アガロースを含有する充填体に隣接してシュワン細胞があるように、前記少なくとも1つの充填体と接触する、請求項22〜42のいずれか1項に記載の細長い3次元構造体。
【請求項44】
軸索を誘導する移植片であって、前記移植片が、神経系を有する生体に埋め込まれ、切断された神経末端間の間隙に位置付けられるときに、前記移植片を通じて再生軸索成長を促進することによって神経機能を回復するためのものであり、前記移植片は、
複数の生体細胞を含む細長い3次元構造体と、
前記細長い3次元構造体の対向端間に伸びる複数の別個の無細胞チャネルと、
を含む、軸索を誘導する移植片。
【請求項45】
前記無細胞チャネルは、中空であるか、あるいは1つ以上の無細胞材料で満たされている、請求項44に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項46】
前記無細胞チャネルは、中空であるか、1つ以上の無細胞材料で部分的に満たされているか、あるいは1つ以上の無細胞材料で完全に満たされている、請求項44に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項47】
前記無細胞チャネルは、中空であるか、1つ以上の無細胞材料で部分的に満たされているか、1つ以上の無細胞材料で完全に満たされているか、あるいはそれらの任意の組み合わせである、請求項44に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項48】
前記複数の生体細胞は、間葉系幹細胞、骨髄幹細胞、毛包幹細胞、嗅神経鞘細胞、線維芽細胞、平滑筋細胞、シュワン細胞、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される細胞を含む、請求項44〜47のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項49】
前記3次元構造は、神経支配されない、請求項44〜48のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項50】
前記細長い3次元構造体は、改変組織である、請求項44〜49のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項51】
前記細長い3次元構造体は、組織培養培地を含む、請求項44〜50のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項52】
前記複数の生体細胞は、シュワン細胞を含む、請求項44〜51のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項53】
前記シュワン細胞の少なくともいくつかは、前記無細胞チャネルの表面に沿って位置する、請求項44〜52のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項54】
前記複数の生体細胞は、抗炎症特性を有する細胞を含む、請求項44〜53のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項55】
前記複数の生体細胞は、骨髄幹細胞を含む、請求項44〜54のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項56】
前記無細胞チャネルは、互いに並列な配向を有し、前記細長い3次元構造体中の前記生体細胞のいくつかによって互いに分離される、請求項44〜55のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項57】
前記細長い3次元構造体の対向端間に伸びる少なくとも3つの無細胞チャネルがある、請求項44〜56のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項58】
前記無細胞チャネルのうちの少なくとも1つにアガロース充填体をさらに含む、請求項44〜57のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項59】
前記生体細胞は、シュワン細胞を含み、前記シュワン細胞のうちの少なくともいくつかは、前記アガロース充填体と接触する、請求項44〜58のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項60】
軸索を誘導する移植片であって、前記移植片が、神経系を有する生体に埋め込まれ、切断された神経末端間の間隙に位置付けられるときに、前記移植片を通じて再生軸索成長を促進することによって神経機能を回復するためのものであり、前記移植片は、
複数の生体細胞からなる細長い3次元構造体であって、前記生体細胞は、シュワン細胞を含み、前記細長い3次元構造体は、改変組織であるか、自己移植片ではないか、神経支配されないか、または組織培養培地を含む、細長い3次元構造体を含む、軸索を誘導する移植片。
【請求項61】
前記細長い3次元構造体は、自己移植片ではない、請求項60に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項62】
前記複数の生体細胞は、少なくとも1つの抗炎症特性を有する細胞を含む、請求項60または61に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項63】
前記少なくとも1つの抗炎症特性を有する細胞は、骨髄幹細胞を含む、請求項62に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項64】
前記複数の生体細胞は、間葉系幹細胞、毛包幹細胞、嗅神経鞘細胞、線維芽細胞、平滑筋細胞、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される細胞をさらに含む、請求項61〜63のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項65】
前記細長い3次元構造体は、神経支配されない、請求項61〜64のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項66】
前記細長い3次元構造体は、改変組織である、請求項61〜65のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項67】
前記細長い3次元構造体は、組織培養培地を含む、請求項60〜66のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項68】
前記3次元構造は、外側部分と、前記外側部分の対向端間に軸方向に伸びる中央部分であって、前記外側部分が前記中央部分を取り囲むようになっている、中央部分と、を含み、前記中央部分の生体細胞集団は、前記外側部分の生体細胞集団中のシュワン細胞の割合よりも高いシュワン細胞の割合を含む、請求項61〜67のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項69】
前記細長い3次元構造体の対向端間に伸びる少なくとも1つの無細胞チャネルをさらに含む、請求項61〜67のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項70】
前記3次元構造体は、前記細長い3次元構造体の対向端間に伸びる複数の別個の無細胞チャネルを含む、請求項61〜69のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項71】
前記無細胞チャネルは、中空であるか、あるいは1つ以上の無細胞材料で満たされている、請求項69または70に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項72】
前記無細胞チャネルは、中空であるか、1つ以上の無細胞材料で部分的に満たされているか、あるいは1つ以上の無細胞材料で完全に満たされている、請求項69または70に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項73】
前記無細胞チャネルは、中空であるか、1つ以上の無細胞材料で部分的に満たされているか、1つ以上の無細胞材料で完全に満たされているか、あるいはそれらの任意の組み合わせである、請求項69または70に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項74】
前記シュワン細胞の少なくともいくつかは、前記無細胞チャネルの表面に沿って位置する、請求項70〜73のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項75】
前記無細胞チャネルは、互いに並列な配向を有し、前記細長い3次元構造体中の前記生体細胞のいくつかによって互いに分離される、請求項69〜74のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項76】
前記細長い3次元構造体の対向端間に伸びる少なくとも3つの無細胞チャネルがある、請求項70〜75のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項77】
前記無細胞チャネルのうちの少なくとも1つにアガロース充填体をさらに含む、請求項70〜76のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項78】
前記シュワン細胞の少なくともいくつかは、前記アガロース充填体と接触する、請求項77に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項79】
軸索を誘導する移植片であって、前記移植片が、神経系を有する生体に埋め込まれ、切断された神経末端間の間隙に位置付けられるときに、前記移植片を通じて再生軸索成長を促進することによって神経機能を回復するためのものであり、前記移植片は、
複数の生体細胞を含む細長い3次元構造体であって、前記3次元構造体は、外側部分と、前記外側部分の対向端間に軸方向に伸びる中央部分であって、前記外側部分が前記中央部分を取り囲むようになっている、中央部分と、を含み、前記中央部分の生体細胞集団は、前記外側部分の生体細胞集団中のシュワン細胞の割合よりも高いシュワン細胞の割合を含み、前記細長い3次元構造体は、改変組織であるか、自己移植片ではないか、神経支配されないか、または組織培養培地を含む、細長い3次元構造体を含む、軸索を誘導する移植片。
【請求項80】
前記細長い3次元構造体は、自己移植片ではない、請求項79に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項81】
前記細長い3次元構造体は、前記細長い3次元構造体の対向端間に伸びる少なくとも1つの無細胞チャネルをさらに含む、請求項79または80に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項82】
前記3次元構造体は、前記対向端間に伸びる複数の別個の無細胞チャネルを含む、請求項81に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項83】
前記無細胞チャネルは、前記中央部分を取り囲む、請求項82に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項84】
前記外側部分は、前記無細胞チャネルを取り囲む、請求項81〜83のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項85】
前記無細胞チャネルは、互いに並列な配向を有し、前記細長い3次元構造体中の前記生体細胞のいくつかによって互いに分離される、請求項81〜84のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項86】
前記細長い3次元構造体の対向端間に伸びる少なくとも3つの無細胞チャネルがある、請求項81〜85のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項87】
前記無細胞チャネルのうちの少なくとも1つにアガロース充填体をさらに含む、請求項81〜86のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項88】
前記シュワン細胞の少なくともいくつかは、前記アガロース充填体と接触する、請求項81〜87のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項89】
前記シュワン細胞の少なくともいくつかは、前記無細胞チャネルの表面に沿って位置する、請求項81〜88のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項90】
前記生体細胞は、骨髄幹細胞を含む、請求項79〜89のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項91】
前記複数の生体細胞は、間葉系幹細胞、毛包幹細胞、嗅神経鞘細胞、線維芽細胞、平滑筋細胞、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される細胞をさらに含む、請求項79〜90のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項92】
前記細長い3次元構造体は、神経支配されない、請求項79〜91のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項93】
前記細長い3次元構造体は、改変組織である、請求項79〜91のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項94】
前記細長い3次元構造体は、組織培養培地を含む、請求項79〜93のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項95】
前記無細胞チャネルは、中空であるか、あるいは1つ以上の無細胞材料で満たされている、請求項81〜94のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項96】
前記無細胞チャネルは、中空であるか、1つ以上の無細胞材料で部分的に満たされているか、あるいは1つ以上の無細胞材料で完全に満たされている、請求項81〜94のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項97】
前記無細胞チャネルは、中空であるか、1つ以上の無細胞材料で部分的に満たされているか、1つ以上の無細胞材料で完全に満たされているか、あるいはそれらの任意の組み合わせである、請求項81〜94のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項98】
軸索を誘導する移植片であって、前記移植片が、神経系を有する生体に埋め込まれ、切断された神経末端間の間隙に位置付けられるときに、前記移植片を通じて再生軸索成長を促進することによって神経機能を回復するためのものであり、前記移植片は、
複数の生体細胞を含む細長い3次元構造体であって、前記複数の生体細胞が、シュワン細胞を含む、細長い3次元構造体と、
前記細長い3次元構造体の対向端間に伸びる少なくとも1つの無細胞チャネルと、
前記無細胞チャネル中の少なくとも1つの充填体であって、アガロースを含む、充填体と、を含み、
前記シュワン細胞の少なくともいくつかは、前記充填体に隣接する無細胞チャネルに沿って位置する、軸索を誘導する移植片。
【請求項99】
前記3次元構造体は、前記細長い3次元構造体の対向端間に伸びる複数の別個の無細胞チャネルを含む、請求項98に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項100】
前記複数の生体細胞は、間葉系幹細胞、骨髄幹細胞、毛包幹細胞、嗅神経鞘細胞、線維芽細胞、平滑筋細胞、シュワン細胞、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される細胞を含む、請求項98または99に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項101】
前記複数の生体細胞は、抗炎症特性を有する細胞を含む、請求項98〜100のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項102】
前記複数の生体細胞は、骨髄幹細胞を含む、請求項98〜101のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項103】
前記無細胞チャネルは、互いに並列な配向を有し、前記細長い3次元構造体中の前記生体細胞のいくつかによって互いに分離される、請求項99〜102のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項104】
前記細長い3次元構造体の対向端間に伸びる少なくとも3つの無細胞チャネルがある、請求項99〜103のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項105】
前記シュワン細胞の少なくともいくつかは、充填体と接触する、請求項98〜104のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項106】
前記無細胞チャネルは、中空であるか、あるいは1つ以上の無細胞材料で満たされている、請求項98〜105のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項107】
前記無細胞チャネルは、中空であるか、1つ以上の無細胞材料で部分的に満たされているか、あるいは1つ以上の無細胞材料で完全に満たされている、請求項98〜105のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項108】
前記無細胞チャネルは、中空であるか、1つ以上の無細胞材料で部分的に満たされているか、1つ以上の無細胞材料で完全に満たされているか、あるいはそれらの任意の組み合わせである、請求項98〜105のいずれか1項に記載の軸索を誘導する移植片。
【請求項109】
複数の生体細胞を含む多細胞体であって、前記細胞は、互いに凝集し合い、前記複数の生体細胞は、第1の型の生体細胞と、第2の型の生体細胞と、を含み、前記第1の型の生体細胞は、シュワン細胞であり、前記シュワン細胞は、前記複数の生体細胞の約0.1パーセントから約20パーセントを構成する、多細胞体。
【請求項110】
シュワン細胞は、前記複数の生体細胞の約1パーセントから約15パーセントを構成する、請求項109に記載の多細胞体。
【請求項111】
シュワン細胞は、前記複数の生体細胞の約1パーセントから約10パーセントを構成する、請求項110に記載の多細胞体。
【請求項112】
シュワン細胞は、前記複数の生体細胞の約3パーセントから約10パーセントを構成する、請求項111に記載の多細胞体。
【請求項113】
シュワン細胞は、前記複数の生体細胞の約5パーセントから約10パーセントを構成する、請求項112に記載の多細胞体。
【請求項114】
前記第2の型の細胞は、骨髄幹細胞である、請求項109〜113のいずれか1項に記載の多細胞体。
【請求項115】
前記骨髄幹細胞は、前記複数の生体細胞の大部分を構成する、請求項114に記載の多細胞体。
【請求項116】
前記多細胞体は、少なくとも約1センチメートルの長さを有する、請求項109〜115のいずれか1項に記載の多細胞体。
【請求項117】
前記多細胞体は、少なくとも約2センチメートルの長さを有する、請求項109〜116のいずれか1項に記載の多細胞体。
【請求項118】
前記多細胞体は、少なくとも約3センチメートルの長さを有する、請求項109〜117のいずれか1項に記載の多細胞体。
【請求項119】
前記多細胞体は、約7センチメートル未満の長さを有する、請求項109〜118のいずれか1項に記載の多細胞体。
【請求項120】
前記多細胞体は、約5センチメートル未満の長さを有する、請求項109〜119のいずれか1項に記載の多細胞体。
【請求項121】
前記多細胞体は、約3センチメートル未満の長さを有する、請求項109〜120のいずれか1項に記載の多細胞体。
【請求項122】
前記多細胞体は、約1センチメートル〜約7センチメートルの範囲の長さを有する、請求項109〜115のいずれか1項に記載の多細胞体。
【請求項123】
前記多細胞体は、約2センチメートル〜約6センチメートルの範囲の長さを有する、請求項109〜115のいずれか1項に記載の多細胞体。
【請求項124】
前記多細胞体は、約3センチメートル〜約5センチメートルの範囲の長さを有する、請求項109〜115のいずれか1項に記載の多細胞体。
【請求項125】
前記多細胞体は、実質的に円筒状であり、実質的に円形の断面を有する、請求項109〜124のいずれか1項に記載の多細胞体。
【請求項126】
前記多細胞体は、組織培養培地をさらに含む、請求項109〜125のいずれか1項に記載の多細胞体。
【請求項127】
前記多細胞体は、神経支配されない、請求項109〜126のいずれか1項に記載の多細胞体。
【請求項128】
前記多細胞体は、改変組織である、請求項109〜127のいずれか1項に記載の多細胞体。
【請求項129】
前記多細胞体中の細胞の凝集力は、前記多細胞体が平面によって支持されるとき、3次元形状を維持することができるように十分強力であり、前記3次元形状は、幅と、前記幅の少なくとも約2分の1の高さである高さと、を含む、請求項109〜128のいずれか1項に記載の多細胞体。
【請求項130】
前記多細胞体中の細胞の凝集力は、前記多細胞体が平面によって支持されるとき、3次元形状を維持することができるように十分強力であり、前記3次元形状は、(i)前記多細胞体の底面上の接触面であって、前記多細胞体が前記面と接触する、接触面を含み、かつ(ii)前記平面上への、前記多細胞体の前記3次元形状の2次元の突出部が、前記接触面の面積を超える面積である面積を有するように構成される、請求項109〜129のいずれか1項に記載の多細胞体。
【請求項131】
前記多細胞体中の細胞の凝集力は、前記多細胞体と実質的に同一である別の多細胞体が、前記多細胞体の上にあるとき、前記多細胞体が前記別の多細胞体の重量を支持することができるように十分に強力である、請求項109〜130のいずれか1項に記載の多細胞体。
【請求項132】
前記多細胞体中の細胞の凝集力は、前記多細胞体が、器具によって持ち上げられることができるように十分強力である、請求項109〜111のいずれか1項に記載の多細胞体。
【請求項133】
複数の生体細胞を含む多細胞体であって、前記細胞は、互いに凝集し合い、前記複数の生体細胞は、第1の型の生体細胞と、第2の型の生体細胞と、を含み、前記第1の型の生体細胞は、骨髄幹細胞であり、前記骨髄幹細胞は、前記複数の生体細胞の約80パーセントを構成する、多細胞体。
【請求項134】
3次元構造体であって、
複数の細長い多細胞体であって、それぞれの多細胞体が、互いに凝集し合っている複数の生体細胞を含み、前記多細胞体は、対向する軸端を有する、複数の細長い多細胞体を含み、
前記多細胞体は、前記多細胞体が、互いに対して並列な配向を有し、前記多細胞体のうちの1つの両末端のうちの少なくとも1つが、前記多細胞体の隣接するものの対応する末端から軸方向にオフセットされる、3次元構造体。
【請求項135】
それぞれの充填体が、前記多細胞体から前記充填体への細胞の移動および内方成長に抵抗する生体適合性材料を含む、1つ以上の充填体をさらに含み、前記充填体が、前記多細胞体とともに3次元パターンで配置される、請求項134に記載の3次元構造体。
【請求項136】
前記充填体は、前記1つの多細胞体のオフセット末端と末端間当接関係に位置付けられる細長い充填体を含む、請求項135に記載の3次元構造。
【請求項137】
前記多細胞体は、多細胞体の第1および第2のセットを含み、前記多細胞体の第1のセットは、前記多細胞体の第2のセットの対応する末端に対して軸方向に陥凹した末端を有し、前記充填体は、前記多細胞体の第1のセットの陥凹した末端と末端間当接関係に位置付けられる1組の細長い充填体を含み、前記第2のセットの多細胞体は、前記セットの前記充填体の前記当接している末端と重なり合うのに十分な長さを有する、請求項135に記載の3次元構造。
【請求項138】
シュワン細胞が集団化した複数の軸方向のチャネルを備える多細胞構築体を生成する方法であって、
1)選択された生体細胞の間で異なる濃度のシュワン細胞を含む複数の種類の細胞ペーストを作製するステップと、
2)それぞれの細胞ペーストを細長い形状に成形するステップと、
3)制御環境において前記成形した細胞ペーストをインキュベートし、前記細胞が互いに凝集し合って細長い多細胞桿体を形成することを可能にするステップと、
4)前記多細胞桿体と同様の大きさの無細胞充填体または支持桿体を作製するステップと、
5)前記多細胞桿体のそれぞれが、少なくとも1つの他の多細胞桿体と接触し、低濃度のシュワン細胞を有する多細胞桿体が周辺層に置かれ、一方、高濃度のシュワン細胞を有する多細胞桿体が中央に置かれるようなパターンに従って、複数の多細胞桿体および無細胞桿体を配置するステップと、
6)前記多細胞桿体を少なくとも1つの他の多細胞桿体と融合させ、所望の構築体を形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項139】
3次元神経移植片構築体であって、
(a)複数の第1の改変多細胞体であって、前記複数の第1の改変多細胞体のそれぞれの改変多細胞体が、複数の第1の生体細胞を含む、第1の改変多細胞体と、
(b)複数の第2の改変多細胞体であって、前記複数の第2の改変多細胞体のそれぞれの改変多細胞体が、複数の第2の生体細胞を含む、第2の改変多細胞体と、
(c)複数の別個の充填体であって、前記複数の別個の充填体のそれぞれの別個の充填体が、前記複数の第1の生体細胞または第2の生体細胞の移動および内方成長に抵抗する生体適合性材料を含む、別個の充填体と、を含み、
前記複数の別個の充填体は、前記3次元構造体の第1の末端と第2の末端の間で長手方向に伸びる複数の無細胞チャネルを形成する、3次元神経移植片構築体。
【請求項140】
前記複数の第1の生体細胞および前記複数の第2の生体細胞は、間葉系幹細胞、骨髄幹細胞、毛包幹細胞、嗅神経鞘細胞、線維芽細胞、平滑筋細胞、シュワン細胞、およびそれらの任意の組み合わせを含む、請求項139に記載の3次元神経移植片構築体。
【請求項141】
前記複数の第1の生体細胞は、シュワン細胞を含む、請求項139に記載の3次元神経移植片構築体。
【請求項142】
前記複数の第2の生体細胞は、骨髄幹細胞を含む、請求項139に記載の3次元神経移植片構築体。
【請求項143】
前記複数の第1の改変多細胞体は、前記複数の無細胞チャネルの周辺に集中する、請求項141に記載の3次元神経移植片構築体。
【請求項144】
前記複数の第2の改変多細胞体は、前記移植片の外周に集中する、請求項142に記載の3次元神経移植片構築体。
【請求項145】
前記充填体は、アガロースを含む、請求項139に記載の3次元神経移植片構築体。
【請求項146】
チャネル生物学的構造体であって、
(a)複数の第1の生体細胞と、
(b)複数の第2の生体細胞と、
(c)複数の無細胞チャネルと、を含み、
前記複数の無細胞チャネルは、前記3次元構造体の第1の末端と第2の末端との間で長手方向に伸びる、チャネル生物学的構造体。
【請求項147】
前記無細胞チャネルが、中空である、請求項146に記載のチャネル生物学的構造体。
【請求項148】
前記無細胞チャネルは、充填体で満たされている、あるいは部分的に満たされている、請求項146に記載のチャネル生物学的構造体。
【請求項149】
前記複数の第1の生体細胞および前記複数の第2の生体細胞は、間葉系幹細胞、骨髄幹細胞、毛包幹細胞、嗅神経鞘細胞、線維芽細胞、平滑筋細胞、シュワン細胞、およびそれらの任意の組み合わせを含む、請求項146に記載のチャネル生物学的構造体。
【請求項150】
前記複数の第1の生体細胞は、シュワン細胞を含む、請求項146に記載のチャネル生物学的構造体。
【請求項151】
前記複数の第2の生体細胞は、骨髄幹細胞を含む、請求項146に記載のチャネル生物学的構造体。
【請求項152】
前記複数の第1の生体細胞は、前記複数の無細胞チャネルの周囲に集中する、請求項150に記載のチャネル生物学的構造体。
【請求項153】
前記複数の第2の生体細胞は、前記移植片の外周に集中する、請求項151に記載のチャネル生物学的構造体。
【請求項154】
損傷した軸索の近位断端と遠位断端とを再接合するための、請求項146〜153のいずれかに記載のチャネル生物学的構造体の使用。
【請求項155】
損傷した軸索の近位断端と遠位断端とを再接合するための神経移植片を製造するための、請求項146〜153のいずれかに記載のチャネル生物学的構造体の使用。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−518591(P2013−518591A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552066(P2012−552066)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2011/023520
【国際公開番号】WO2011/097330
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(512201775)ザ キュレーターズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミズーリ (1)
【Fターム(参考)】