説明

改札機及び改札方法

【課題】駅係員の負担の軽減及び利用者に対する利便性の向上を実現することが可能な改札機及び改札方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 無線通信処理ユニット110により無線通信可能な通信エリアに翳された券媒体との間で無線通信を行い、CPU60により無線通信により券媒体から読み取った情報に基づいて改札処理を行い、CPU60が改札通路の通行を許可すると判定したのに基づき発行ユニット68により払戻に必要な証明書を発行することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、改札機及び改札方法に係り、特に、無線式の券媒体を取り扱う改札機及び改札方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、改札処理の省力化を目的として、改札機が導入されている。この改札機は、利用者が駅構内や遊戯施設などの施設内に入場する場合や、施設内から出場する場合などに、入場券、プリペイドカード、定期券、乗車券などの磁気式の券媒体を取り込み、券媒体に磁気記録された改札情報に基づいて利用者の通行を許可するか否かの改札処理を行う。
【0003】
列車が遅延して到着した場合には、料金の払戻が行われる。上述したような改札機においては、出場処理において、払戻対象の券媒体が投入されると、券媒体に払戻情報が印字され、排出される(例えば、特許文献1参照)。つまり、この磁気式の券媒体が払戻に必要な証明書となる。この券媒体を窓口に持参すれば、所定料金の払戻が受けられる。
【特許文献1】特開平11−185071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、磁気式の券媒体以外にも無線式の券媒体を取り扱う改札機も実用化されている。このような改札機は、磁気の券媒体による改札処理に加え、無線式の券媒体による改札処理を行う。つまり、このような改札機は、無線式の券媒体と交信し、無線式の券媒体から改札情報に基づいて、利用者の通行の可否を判定する。
【0005】
無線式の券媒体としては、携帯電話などの携帯端末機器や、ICチップを内蔵したICカードなどが採用されている。このような無線式の券媒体は、改札処理に際して、無線通信処理ユニットに翳されるのみで、改札機の内部に取り込まれることはない。このため、無線式の券媒体に対しては、仮に払戻対象の券媒体であったとしても、券媒体自体に払戻情報を印字することはできない。
【0006】
このような場合、券媒体に記憶されている列車情報などの改札情報を読み出し、駅係員が内容を判断して証明書を発行する必要があり、駅係員の負担が増すおそれがある。さらに、このような券媒体を所持している利用者は駅係員の窓口まで出向く必要があり、利用者に対する利便性の低下を招くおそれがある。
【0007】
この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、駅係員の負担の軽減及び利用者に対する利便性の向上を実現することが可能な改札機及び改札方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の態様による改札機は、
無線通信可能な通信エリアに翳された券媒体との間で無線通信を行う通信手段と、
前記通信手段による無線通信により券媒体から読み取った情報に基づいて改札処理を行う改札手段と、
前記改札手段により改札通路の通行を許可する判定がなされたのに基づき、払戻に必要な証明書を発行する発行手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明の第2の態様による改札方法は、
無線通信可能な通信エリアに翳された券媒体との間で無線通信を行い、
無線通信により券媒体から読み取った情報に基づいて改札処理を行い、
改札通路の通行を許可する判定がなされたのに基づき、払戻に必要な証明書を発行する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、駅係員の負担の軽減及び利用者に対する利便性の向上を実現することが可能な改札機及び改札方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の一実施の形態に係る改札機及び改札方法について図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、この実施の形態に係る改札システムは、上位機器(外部機器)として機能するホストコンピュータ10を備えている。このホストコンピュータ10は、駅に設置された複数の改札機100−1、100−2…と通信回線20を介して接続されており、これらの改札機100を監視する。
【0013】
ホストコンピュータ10は、装置全体を制御するとともに下位に接続された各種機器を制御するものであって、複数の改札機100を統括して制御するCPU11を有している。このCPU11には、メモリ部12、表示部13、入力部14、通信制御部15などが接続されている。
【0014】
メモリ部12は、ホストコンピュータ10自体及び改札機100などの下位の機器を制御するための制御データなどの各種データを記憶している。表示部13は、ホストコンピュータ10自体の動作状態、下位の機器の動作状態などを表示する。入力部14は、各改札機100の動作モードなど種々の情報を入力するためのキーボードや、接触を検知したのに基づいて対応する情報を出力するタッチパネルなどを有している。通信制御部15は、下位の機器との間で通信回線20を介して種々の情報の送受信を行う。
【0015】
次に、図1に示した改札システムに適用可能な改札機100の構成について説明する。図2に示すような改札機100は、利用者が通行可能な改札通路に沿って配置されている。入場処理や出場処理などの改札処理を行う改札機100で利用可能な券媒体としては、普通乗車券、定期券、特急券、回数券、入場券、プリペイドカードなどの機能を有する少なくとも無線式の券媒体を対象としているが、磁気式の券媒体を対象としても良い。なお、無線式の券媒体とは、改札機100側との無線通信が可能なICチップを内蔵した携帯電話などの携帯端末機器、ICチップを内蔵したICカードなどである。
【0016】
これら券媒体は、券媒体固有の識別情報や、改札処理に必要な改札情報などを有している。改札情報としては、例えば、利用可能な区間情報、有効期限情報、入場記録情報、出場記録情報、利用者情報、利用額に対応した情報などを有している。このような識別情報や改札情報などの各種情報は、無線式券媒体のメモリ部に所定形式で記憶されている。磁気式券媒体では、識別情報や改札情報などの各種情報は、その券面の磁気記録層に所定形式で磁気記録されている。
【0017】
すなわち、図2に示すように、改札機100は、筐体1を備えている。ここでは、無線式及び磁気式の券媒体を利用可能な改札機について説明するが、上述したように、この実施の形態に適用可能な改札機は、少なくとも無線式の券媒体を利用可能に構成されていれば良い。
【0018】
改札機100の筐体1は、投入口2、取出口3、表示部4、ドア機構5、フレーム6、人間検知センサ7、表示器8、無線通信処理ユニット110などを備えている。投入口2は、筐体1における通行方向上流側に設けられ、施設内への入場時または施設内からの出場時に投入された磁気式の券媒体を受け取り可能である。投入口2の近傍には、券媒体の投入を阻止するためのシャッタが設けられている。また、取出口3は、筐体1における通行方向下流側に設けられ、投入口2から受け取った券媒体を必要に応じて排出する他に、後述する払戻に必要な証明書も排出する。
【0019】
表示部4は、利用者の通行方向に対して筐体1における取出口3の前方に配置され、利用者や係員などに対して種々の案内情報、例えば改札処理の結果や差し引いた利用額に対応した案内画面を所定の表示パターンで表示する。この表示部4は、例えばカラー画像を表示可能に構成されている。
【0020】
ドア機構5は、筐体1における改札通路側の側面に設置され、利用者の通行を制御するために開閉可能に構成されている。このドア機構5は、利用者の通行を可能とする場合(改札処理における判定OKの場合)に改札通路を開放し、また、利用者の通行を阻止する場合(改札処理における判定NGの場合)に改札通路を閉鎖する。
【0021】
フレーム6は、筐体1の上部に設けられ、改札通路を規定するための仕切りとなる。複数の人間検知センサ7は、筐体1及びフレーム6の改札通路側における側面部に設置されている。これらの人間検知センサ7は、利用者の通行(改札通路内の所定位置での利用者の有無)を検知するための出力信号を出力する。表示器8は、フレーム6に配置され、小児券、無効券、または異常券の投入や、機器の異常など装置の動作状態を報知する。
【0022】
無線通信処理ユニット110は、筐体1における通行方向上流側に配置され、無線式の券媒体との間で無線通信を行う。
【0023】
図3に示すように、改札機は、装置全体の制御を司るCPU60を備えている。このCPU60は、券媒体が有する情報に基づいて改札処理を行う改札手段、さらには、改札機を構成する各機構を制御する制御手段として機能する。
【0024】
このCPU60には、メモリ部61、表示制御回路62、ドア制御回路63、通過検知回路64、表示器制御回路65、音声出力制御回路66などが接続されている。
【0025】
メモリ部61は、ROM(read only memory)、RAM(random access memory)、運賃メモリなどを含んでいる。ROMは、CPU60の制御プログラムなどを記憶している。RAMは、制御プログラムのバッファとして情報を記憶するとともに、券媒体から読み取った情報などの各種情報を記憶する。運賃メモリは、入場駅から設置駅までの利用額に対応した運賃情報を記憶している。
【0026】
表示制御回路62は、操作案内や改札処理の結果などに対応した画像を表示するように表示部4を制御する。ドア制御回路63は、改札処理の結果に対応して改札通路を開閉するようにドア機構5の駆動を制御する。通過検知回路64は、人間検知センサ7からの出力信号に基づいて利用者の通過(移動位置)を検知する。表示器制御回路65は、改札機の動作状態などに応じたパターンで点灯するように表示器8を制御する。音声出力制御回路66は、操作案内や改札処理の結果などに対応した音声を出力するようにスピーカ80を駆動する。
【0027】
また、CPU60には、少なくとも無線式の券媒体を処理する無線通信処理ユニット110が接続されている。この実施の形態にかかる改札機100おいては、CPU60には、磁気式の券媒体を処理する磁気処理ユニット67も接続されている。この磁気処理ユニット67の構成については後述する。
【0028】
無線通信処理ユニット110は、無線通信可能な通信エリアに翳された無線式の券媒体との間で無線通信を行う通信手段として機能する。この無線通信処理ユニット110は、無線式の券媒体から改札処理に必要な情報を読み取る機能を有するとともに、改札処理の結果に対応した情報を無線式の券媒体に書き込む機能を有している。
【0029】
CPU60は、利用者が所持する券媒体からこれらの磁気処理ユニット67及び無線通信処理ユニット110を介して読み取った情報に基づいて改札処理を行い、利用者の改札通路の通行を許可できるか否かの判定を行う。
【0030】
さらに、CPU60には、発行ユニット68、通信制御部69などが接続されている。発行ユニット68は、発行手段として機能し、無線式の券媒体を用いて無線通信処理ユニット110により改札処理を行った場合において、必要に応じて払戻に必要な証明書を発行する。
【0031】
通信制御部69は、CPU60の制御に基づき、改札機100より上位の機器、例えばホストコンピュータ10との間で情報通信を行う。この通信制御部69は、受信手段として機能し、上位の機器から払戻設定の入力を受信可能に構成されている。ここでの払戻設定とは、主に、列車到着の遅延に基づく特急料金の払戻処理に必要な設定であり、例えば、ホストコンピュータ10の入力部14を介した入力に基づき、通信制御部15から通信回線20を介して各改札機100に対して送信される。
【0032】
次に、無線式の券媒体の構成例について説明する。
図4に示すように、無線式の券媒体Cは、無線通信処理ユニット110との間での無線通信を制御するCPU201、CPU201に対して駆動電源を供給する電源202などを備えている。このCPU201には、ROMやRAMなどで構成されたメモリ部203、アンテナ204を介して無線通信処理ユニット110から送信されたデータを受信したり、無線通信処理ユニット110に対してデータを送信したりする通信制御部205などが接続されている。
【0033】
図5に示すように、無線通信処理ユニット110は、アンテナ部113を介して、無線式の券媒体Cに対して一定時間の間隔でポーリングコマンド信号を発信している。利用者が券媒体Cをアンテナ部113にかざすと、無線通信によるデータのやり取りが開始される。つまり、このポーリングコマンド信号に対して、券媒体Cから返信信号が通信部111に向けて送信される(ポーリングレスポンス)。
【0034】
そして、通信部111から券媒体Cに対して改札情報を含むデータの送信を要求する(リードコマンド)。券媒体Cの通信制御部205は、アンテナ204を介して無線通信処理ユニット110からのデータ送信要求を受信したのに基づいて、CPU201の制御に基づきメモリ部203に記憶していた改札情報を含むデータをアンテナ204を介して無線通信処理ユニット110に向けて送信する(リードレスポンス)。
【0035】
無線通信処理ユニット110が無線式券媒体Cからデータを受信したのに基づき、改札機におけるCPU60は、受信したデータ(通信結果)に基づいて改札処理を行う(判定)。そして、無線通信処理ユニット110は、CPU60における改札処理の結果に相当する判定結果情報を含むデータを券媒体Cに送信する(判定結果送信、ライトコマンド)。
【0036】
その後、券媒体Cの通信制御部205は、アンテナ204を介して無線通信処理ユニット110から送信されたライトコマンドを受信したのに基づいて、CPU201の制御に基づきメモリ部203に受信したデータを記憶する。そして、通信制御部205は、アンテナ204を介して無線通信処理ユニット110に向けてデータが正常に書き込まれ一連の改札処理が完了したことを通知する(ライトレスポンス)。
【0037】
その後、無線通信処理ユニット110は、券媒体Cからライトレスポンスを受信したのに基づいて、券媒体Cに対して処理を終了するためのクローズコマンドを送信する。券媒体Cは、無線通信処理ユニット110からのクローズコマンドを受信したのに基づいて、無線通信処理ユニット110に対してクローズレスポンスを送信する。無線通信処理ユニット110は、券媒体Cからクローズレスポンスを受信したのに基づいて、改札機におけるCPU60に対して一連の処理が正常に終了した旨を通知する。
【0038】
このようなデータのやり取りにより、券媒体Cと改札機100における無線通信処理ユニット110との間で改札処理に必要な改札情報の無線通信が行われる。
【0039】
次に、発行ユニット68の構成例について説明する。なお、ここでは、発行ユニット68は、磁気処理ユニット67に含まれる構成の一部を利用して構成されているが、この例に限らず、少なくとも証明書用の券紙を発券する発券部と、発券部により発券された券紙に対して払戻しに必要な情報を印刷する印刷部と、を有している構成であれば良い。
【0040】
すなわち、図6に示すように、改札機100の内部機構において、投入口2と取出口3との間には、投入口2から投入された券媒体を矢印aで示した順方向に沿って取出口3に向けて搬送するための搬送経路に沿って、繰出し部31、券整列部32、読取部33、書込部34、ベリファイブ35、入鋏部36、印刷部37、重ね合せ部38などが配置されている。読取部33と書込部34との間には、券反転部39が配置されている。また、ベリファイブ35の下流側と書込部34の上流側とを結合する循環経路上にプール部40が配置されている。また、印刷部37の下流側と入鋏部36の上流側とを結合する循環経路上には、カード印刷部41、カードパンチ部42などが配置されている。印刷部37と重ね合せ部38との間には、集札部43及び別集札部44が配置されている。
【0041】
発行ユニット68を構成する発券部45は、券整列部32と読取部33との間に配置されている。発券部45は、証明書用のロール紙を所定のサイズに切断し発券する構成であっても良いし、所定のサイズに予めカットされた券紙を繰り出して発券する構成であっても良い。発行ユニット68を構成する印刷部としては、磁気処理ユニット67を構成する印刷部37が適用可能である。
【0042】
すなわち、発行ユニット68により証明書を発行する場合には、まず、CPU60の制御に基づき発券部45から券紙を繰出し、読取部33の上流側から矢印aで示した方向に券紙を搬送する。その後、CPU60の制御に基づき印刷部37により搬送されている券紙に対して所定の情報を印刷し、さらに矢印aで示した方向に券紙を搬送し、取出口3から排出する。
【0043】
このような発行ユニット68により発行された証明書には、例えば図7に示すように、列車の利用区間(A駅⇒B駅)、利用日、発車時刻、到着時刻、列車称号、指定座席番号などの他に、払戻証明書である旨の情報などが印字されている。
【0044】
次に、上述した改札機に適用可能な改札処理方法について説明する。
【0045】
すなわち、CPU60は、所定のタイミングにおいて、無線通信処理ユニット110を制御して通信エリアに無線式の券媒体が翳されたか否かを判断する(ST11)。そして、CPU60は、無線式の券媒体が通信エリアに翳されたと判断したのに基づいて(ST11、Y)、無線通信処理ユニット110を制御して券媒体との間で無線通信を行い、券媒体から必要な各種情報を読み取る(ST12)。
【0046】
そして、CPU60は、券媒体から読み取った情報に基づき、改札処理を行う(ST13)。この改札処理においては、CPU60は、利用者の改札通路の通行を許可できるか否かの判定を行う。CPU60は、利用者の通行を阻止するとの判定(判定NG)の場合には(ST14、N)、ドア制御回路63を制御してドア機構5により改札通路を閉鎖する(ST15)。また、CPU60は、利用者の通行を許可するとの判定(判定OK)の場合には(ST14、Y)、ドア制御回路63を制御してドア機構5により改札通路を開放する(ST16)。
【0047】
また、CPU60は、判定OKの場合には、通信制御部69を制御して上位機器から払戻設定の入力を受信したか否かを判断する(ST17)。すなわち、列車の到着が規定時間(例えば2時間)以上遅延している場合には、予め利用者が支払った特急料金が払戻の対象となる。この場合、改札機を管理するホストコンピュータ10の入力部14を介して、払戻設定の入力を受け付ける。ホストコンピュータ10のCPU11は、入力部14を介した払戻設定の入力を受け付けたのに基づいて、通信制御部15を制御して、接続されている改札機100のそれぞれに対して払戻設定を開始する旨の情報を送信する。各改札機100のCPU60は、通信制御部69を介してホストコンピュータ10から払戻設定を開始する旨の情報を受信したのに基づき、払戻設定に切り替わる。
【0048】
CPU60は、払戻設定の入力を受信している場合には、発行ユニット68を制御して判定OKと判断した利用者に対して払戻に必要な証明書を発行する(ST18)。すなわち、CPU60は、発券部45を制御して券紙を繰出した後、印刷部37を制御して無線式の券媒体から読み取った情報に基づき券紙に列車の利用区間(A駅⇒B駅)、利用日、発車時刻、到着時刻、列車称号、指定座席番号などの情報を印字するとともに、同一の券紙に払戻証明書である旨の情報を印字する。そして、CPU60は、このように各種情報が印字された券紙を払戻証明書として取出口3から排出する。
【0049】
CPU60は、取出口3付近に設けられたセンサからの出力に基づき排出した払戻証明書が抜き取られたことを検知し、且つ、人間検知センサ7からの出力に基づき利用者が改札通路を通過したことを検知した場合には、一連の改札処理を終了し、次の利用者の改札処理を受け付ける。
【0050】
以上説明したように、無線式の券媒体との間で無線通信を行うことにより券媒体から読み取った情報に基づいて改札処理を行う機能を有した改札機においては、券媒体が改札機の内部に取り込まれることがないため、券媒体が払戻対象であったとしても、券媒体自体に払戻に必要な情報を印字することができない。
【0051】
そこで、この実施の形態に係る改札機は、券媒体から読み取った情報に基づいて改札処理がなされ、判定OKとの判定がなされたのに基づいて、払戻に必要な証明書を発行する機能を備えている。つまり、利用者が交通機関を利用するに際して予め支払った料金のうち、必要に応じて払戻を行う必要が生じた場合には、改札機側で受信した払戻設定に基づき、判定OKの利用者に対して利用者が所持している券媒体とは別個に払戻に必要な証明書に相当する媒体を発行する。
【0052】
これにより、無線式の券媒体に記憶されている情報の内容を確認するといった手間が省け、また、利用者に対して個別に証明書を発行する手間も省けるため、駅係員の負担を軽減することが可能となる。また、証明書の発行を受けるために利用者が駅係員の窓口まで出向く必要もなくなり、利用者に対する利便性を向上することが可能となる。
【0053】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0054】
上述した実施の形態では、払戻設定は、改札機の上位機器(ホストコンピュータなど)でなされ、上位機器から各改札機に送信された場合について説明したが、各々の改札機に入力部を設け、必要に応じて駅係員による入力を受け付けることにより設定がなされても良い。
【0055】
また、払戻の対象として、特急料金の場合について説明したが、この例に限らず、列車が目的地まで到着できなかった場合などは、運賃や指定料金などを払戻の対象としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態に係る改札システムの構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、この発明の一実施の形態に係る改札機の外観を概略的に示す斜視図である。
【図3】図3は、図2に示した改札機の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】図4は、図2に示した改札機による改札処理対象としての無線式の券媒体の構成を概略的に示す図である。
【図5】図5は、無線式の券媒体と改札機との無線通信による信号のやりとりを説明するための図である。
【図6】図6は、図2に示した改札機に適用可能な発行ユニットの構成例及び磁気処理ユニットの構成例を概略的に示す図である。
【図7】図7は、図6に示した発行ユニットによって発行された証明書のフォーマットの一例を示す図である。
【図8】図8は、図2に示した改札機に適用可能な改札方法及び払戻に必要は証明書の発行処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1…筐体 2…投入口 3…取出口 4…表示部 5…ドア機構 6…フレーム 7…人間検知センサ 8…表示器 10…ホストコンピュータ 11…CPU 14…入力部 15…通信制御部 20…通信回線 37…印刷部 45…発券部 60…CPU 61…メモリ部 67…磁気処理ユニット 68…発行ユニット 69…通信制御部 100…改札機 110…無線通信処理ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信可能な通信エリアに翳された券媒体との間で無線通信を行う通信手段と、
前記通信手段による無線通信により券媒体から読み取った情報に基づいて改札処理を行う改札手段と、
前記改札手段により改札通路の通行を許可する判定がなされたのに基づき、払戻に必要な証明書を発行する発行手段と、
を備えたことを特徴とする改札機。
【請求項2】
無線通信可能な通信エリアに翳された券媒体との間で無線通信を行う通信手段と、
前記通信手段による無線通信により券媒体から読み取った情報に基づいて改札処理を行う改札手段と、
払戻設定の入力を受信する受信手段と、
前記改札手段により改札通路の通行を許可する判定がなされたのに基づき、前記受信手段を介して払戻設定の入力を受信した場合に、払戻に必要な証明書を発行する発行手段と、
を備えたことを特徴とする改札機。
【請求項3】
特急料金分の利用額が予め差し引かれた旨の情報を含む情報を記憶した券媒体が無線通信可能な通信エリアに翳されたのに基づき、券媒体との間で無線通信を行う通信手段と、
前記通信手段による無線通信により券媒体から読み取った情報に基づいて改札処理を行う改札手段と、
列車到着の遅延に基づく特急料金の払戻設定の入力を受信する受信手段と、
前記改札手段により改札通路の通行を許可する判定がなされたのに基づき、前記受信手段を介して払戻設定の入力を受信した場合に、特急料金の払戻に必要な証明書を発行する発行手段と、
を備えたことを特徴とする改札機。
【請求項4】
無線通信可能な通信エリアに翳された券媒体との間で無線通信を行う通信手段と、
前記通信手段による無線通信により券媒体から読み取った情報に基づいて改札処理を行う改札手段と、
前記改札手段により改札通路の通行を許可する判定がなされたのに基づき、前記通信手段を制御して前記券媒体に出場記録情報を書き込む制御手段と、
前記通信手段により前記券媒体に対して出場記録情報が書き込まれたのに基づき、払戻に必要な証明書を発行する発行手段と、
を備えたことを特徴とする改札機。
【請求項5】
前記発行手段は、証明書用の券紙を発券する発券部と、前記発券部により発券された券紙に対して払戻に必要な情報を印刷する印刷部と、を有することを特徴とする請求項1乃至4に記載の改札機。
【請求項6】
無線通信可能な通信エリアに翳された券媒体との間で無線通信を行い、
無線通信により券媒体から読み取った情報に基づいて改札処理を行い、
改札通路の通行を許可する判定がなされたのに基づき、払戻に必要な証明書を発行する、
ことを特徴とする改札方法。
【請求項7】
無線通信可能な通信エリアに翳された券媒体との間で無線通信を行い、
無線通信により券媒体から読み取った情報に基づいて改札処理を行い、
払戻設定の入力を受信した場合に、改札通路の通行を許可する判定がなされたのに基づき、払戻に必要な証明書を発行する、
ことを特徴とする改札方法。
【請求項8】
特急料金分の利用額が予め差し引かれた旨の情報を含む情報を記憶した券媒体が無線通信可能な通信エリアに翳されたのに基づき、券媒体との間で無線通信を行い、
無線通信により券媒体から読み取った情報に基づいて改札処理を行い、
列車到着の遅延に基づく特急料金の払戻設定の入力を受信した場合に、改札通路の通行を許可する判定がなされたのに基づき、特急料金の払戻に必要な証明書を発行する、
ことを特徴とする改札方法。
【請求項9】
無線通信可能な通信エリアに翳された券媒体との間で無線通信を行い、券媒体から改札処理に必要な情報を読み取り、
券媒体から読み取った情報に基づいて改札処理を行い、
改札通路の通行を許可する判定がなされたのに基づき、前記券媒体との間で無線通信を行い、前記券媒体に出場記録情報を書き込み、
前記券媒体に対して出場記録情報が書き込まれたのに基づき、払戻に必要な証明書を発行する、
ことを特徴とする改札方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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