説明

改良されたマイコプラズマハイオニューモニエバクテリンワクチン

【課題】単回投与後の感染からの免疫化を都合よく提供する、改良されたマイコプラズマ ハイオニューモニエバクテリンワクチン組成物の提供。
【解決手段】本願は、不活性化されたマイコプラズマ ハイオニューモニエバクテリンおよび、組み合わせにて、単回投与後にマイコプラズマ ハイオニューモニエ感染からの免疫化を提供し、そして、マイコプラズマ ハイオニューモニエバクテリンに特異的な、および細胞媒介性免疫化および局所(分泌IgA)免疫化を含む免疫化反応を誘発するところのアジュバント混合物を含む組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本明細書中に出典明示によりその全開示を組み込む、2000年12月19日に出願された、同時に係属している仮出願出願番号60/256,637号からの優先権を主張する。
本発明は、マイコプラズマ ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)に対する予防免疫性を誘導するための改良法であって、特に、マイコプラズマ ハイオニューモニエによる感染に対してレシピエント動物を単回投与にて免疫化するのに有効な量で、不活性化されたマイコプラズマ ハイオニューモニエバクテリンを用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイコプラズマ ハイオニューモニエは、ブタのマイコプラズマ肺炎の病原体である。この疾患は、低下した体重増加および乏しい栄養効率のために養豚産業において経済的損失の重要な原因である。該疾患は、慢性のせき、くすんだヘアコート、発育遅延および数週間続く元気のない様子を引き起こす。特に腹部先端(ventral apical)および心臓葉(cardiac lobes)における硬化の紫色から灰色の特徴的な領域が感染した動物において認められる。該疾患はほとんど死亡を引き起こさないが、罹患したブタは、死亡またはストレスに帰する日和見感染の病原体による二次感染をしばしば被りやすい。経済的損失だけでも、一年で2億〜2億5千万ドルと見積もられている。
【0003】
マイコプラズマ ハイオニューモニエは、細胞壁を欠く増殖の遅い、培養条件の面倒な細菌である。それは、同様に呼吸器に住みつく一般的な第二の病原体であるマイコプラズマ ヒヨリニス(Mycoplasma hyorhinis)のために、呼吸器から分離するのがしばしば困難である。疾患は、咳により生じるエアゾールにより、および罹患したもしくは回復期にあるキャリアブタから直接接触により蔓延する。感染した動物と感染していない動物が混在することで、早期のおよび頻繁な再感染を生じる。感染は、分娩期のキャリアの雌ブタによる子ブタの感染でしばしば始まる。群管理法により、感染は寿命の後のほうまで明らかにならない可能性がある。さらなる感染は、ブタが集中管理された場合に引き離された後にたいてい認められる。明白な疾患は6週齡またはそれ以上の齡のブタにおいて通常認められる。罹患した動物において、発育速度および栄養効率が懸著に低下する。抗生物質を用いる処置は値段がはり、かつ長期の使用を必要とする。再感染も問題である。感染およびその結果を防ぐために、ワクチンが現在最も有効な方法である。
【0004】
フォート・ダッジ・アニマル・ヘルス(FDAH)は、マイコプラズマ ハイオニューモニエバクテリンを、マイコプラズマ ハイオニューモニエにより引き起こされる臨床徴候から健康なブタを保護するためのワクチンとしての使用のために、Suvasyn(登録商標)Respifend(登録商標)MHの名称下に売買する。ワクチンは、アジュバントとしてカルボポル(Carbopol)を含み、および第1の予防接種の2〜3週後に第2の投与を行う、少なくとも1週齡のブタのための2回投与ワクチンとして推薦されている。しかし、2回投与ワクチンは、疾患に対して全保護を提供するために動物の第2の処置を要するという明らかな不都合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、ワクチンの単回投与の投与にて予防免疫性を誘導し、およびこの生物体により引き起こされる疾患を予防する、マイコプラズマ ハイオニューモニエに対する有効な予防接種を提供することが、本発明の目的である。
マイコプラズマ ハイオニューモニエにより引き起こされる感染および疾患に対するブタおける使用に適した、および他のバクテリンおよび/または類毒素と組み合わせて用いられてよいワクチン組成物を提供することが、本発明の別の目的である。
【0006】
病原たる生物体がマイコプラズマ ハイオニューモニエである疾患の、ワクチンの単回投与の後で予防免疫性を誘発するようにバクテリンの免疫原性を高めるアジュバント処方を用いることによる予防または緩和法を提供することが、本発明のいっそうさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の他の目的および態様は、以下に示す詳細な説明から明らかとなろう。
本発明は、マイコプラズマ ハイオニューモニエによる感染に対して動物を免疫化するための、不活性化されたマイコプラズマ ハイオニューモニエバクテリンの免疫化量;アクリル酸ポリマーおよび代謝可能なオイルならびにポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの混合物を含むアジュバント混合物;および、医薬上許容されるキャリアを含むワクチン組成物であって、単回投与後に、マイコプラズマ ハイオニューモニエからの予防免疫性を誘発するワクチン組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
更なる態様において、本発明により、マイコプラズマ ハイオニューモニエによる感染に対して動物を免疫化するための免疫原性組成物であって、不活性化されたマイコプラズマ ハイオニューモニエバクテリンを前記アジュバント混合物、および医薬上許容される安定化剤、キャリア、または希釈剤と組み合わせて含む免疫原性組成物が提供される。アジュバントはたいてい、約1−25%(v/v)、および好ましくは約5−12%(v/v)の最終濃度でこのワクチン組成物中に存在する。組成物はさらに、1またはそれ以上の病原体、ヘモフィラス パラサイス(Haemonphilus parasuis)、パスツレラ マルチオシダ(Pasteurella multioida)、ストレプトコッカム サイス(Streptococcum suis)、アクチノバシラス プレウロニューモニエ(Actionobacillus pleuropneumoniae)、ボルデテラ ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)、サルモネラ コレラ(Salmonella choleraesuis)およびレプトスピラなどからの不活性化されたバクテリンまたは精製類毒素を含む他のワクチン成分を含んでもよく、および筋肉内、皮下、経口、エアゾル、または鼻腔内経路により投与されてよい。
【0009】
さらに別の態様において、本発明により、マイコプラズマ ハイオニューモニエにより引き起こされる疾患に対して、不活性化されたマイコプラズマ ハイオニューモニエバクテリンおよびアジュバント混合物を含む前記ワクチンの単回投与を投与することにより動物を予防する方法が提供される。
【0010】
全特許、特許出願、および本明細書中に引用される他の文献は、本明細書中にその全容を出典明示により組み込む。矛盾する場合には、本開示が勝ることになる。
本明細書に用いるように、「バクテリン」は、不活性化された、および所定のアジュバントと組み合わせて、動物に投与された場合に、予防免疫性を誘発して疾患または感染から保護することができる細菌回収物である。
「アジュバント」は、ワクチン組成物において、マイコプラズマ ハイオニューモニエバクテリンの免疫原性および効力を高める1またはそれ以上の物質から成る組成物を意味する。
【0011】
本明細書および請求項に用いられているように、MHDCEなる用語は、マイコプラズマ ハイオニューモニエDNA細胞同等物を示す。
「免疫化量」は、マイコプラズマ ハイオニューモニエに対して免疫化を提供するバクテリンの量である。「免疫化量」は、種、品種、年齢、サイズ、健康状態、および動物が同じ生物体に対するワクチンをすでに受容しているかどうかに依存するであろう。
【0012】
本発明により、単回投与免疫化に適した、マイコプラズマ ニューモニエに対するワクチンが提供される。本発明のワクチンは、バクテリンの免疫原性を高める、および予防免疫性を誘導する単回投与を提供するアジュバント混合物を含む。
ワクチンは、当該分野で常套である方法により、新たに回収した培養物から調製されてよい(例えば、米国特許第5,338,543号または米国特許第5,565,205号ならびに以下の実施例2を参照されたい)。つまり、生物体を、PPLO(プレウロニューモニエ様生物体)完全培地[Difco. Laboratories]などの培養培地中で増殖させてよい。生物体の増殖は、色調変化単位(color changing unit)(CCU)を測定するなどの常套法によりモニターし、そして、有意に高い力価に達した時に回収する。処方のためにワクチン中に含ませる前に、常套法によりストックをさらに濃縮するかまたは凍結乾燥してよい。Thomas, et al., Agri-Practice, Vol. 7 No. 5, pp. 26-30に記載されているような他の方法を用いることができる。
【0013】
本発明のワクチンは、アジュバント混合物および1またはそれ以上の医薬上許容されるキャリアと組み合わせた不活性化されたマイコプラズマ ハイオニューモニエバクテリンを含む。使用に適したキャリアには、水性媒質、例えば、塩水、リン酸緩衝塩水、最小必須培地(MEM)、またはHEPESバッファーを含むMEMが含まれる。
【0014】
本発明のワクチン組成物における使用のためのアジュバント混合物は免疫反応を高め、およびアクリル酸ポリマーの、代謝可能なオイル、例えば不飽和テルペン炭化水素またはその水素化生成物、好ましくはスクアラン(2,3,10,15,19,23−ヘキサメチルテトラコサン)またはスクアレン、およびポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの混合物との混合物から成る。そのようなアクリル酸ポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであってよい。アクリル酸ポリマーは、好ましくはカーボマーである。カーボマーは、商品名カルボポル(Carbopol)の下に市場入手可能である。アクリル酸ポリマーは、例えば、その開示を出典明示により本明細書中に組み込む米国特許第2,909,462号および3,790,665号に記載されている。ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーは、固体および液体成分の懸濁に役立つ界面活性剤、好ましくは液体界面活性剤である。界面活性剤は、ポリマーとして、商品名プルロニック(登録商標)の下に入手可能である。好ましい界面活性剤は、商品名プロロニック(登録商標)L121の下に市場入手可能なポロキサマー401である。
【0015】
免疫原性刺激アジュバント混合物は、典型的には、約1%〜25%、好ましくは約2%〜15%、より好ましくは約5%〜12%v/vのv/v量で、本発明のワクチン組成物中に存在する。アジュバント混合物の使用量およびアジュバントの2つの成分の割合は、他のバクテリンまたは精製類毒素の添加により変化してよい。アジュバント混合物は一般に、水性媒質中にエマルジョンとして処方された、代謝可能なオイル、アクリル酸ポリマー、およびポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーを含む。
【0016】
このアジュバント混合物において、代謝可能なオイルおよびアクリル酸ポリマーはそれぞれ、約10〜150ml/Lおよび約0.5〜10g/Lの範囲の量で存在してよい。アジュバント混合物の好ましい具体例において、代謝可能なオイルおよびポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー成分の混合物は、約50〜100ml/Lの量で存在していてよいスクアランおよびプルロニック(登録商標)L121(ポロキサマー401)の混合物であり、およびカルボキシメチレンポリマーは、約2ml/Lの量で存在していてよいカルボポル934P(カーバマー934P)である。典型的には、アジュバント混合物は、約1:25〜1:50のアクリル酸ポリマー:代謝可能なオイル/ポリオキシエチレン-ポリプロピレンブロックコポリマー混合物を含む。
【0017】
好ましいアクリル酸ポリマーは、ポリアリルスクロースと架橋結合したアクリル酸のポリマーであり、および化学式(CHCHOOOH)を有するカルボポル934P NFおよび941NFなどの、B.F Goodrichにより売買されているものである。これらのポリマーは水性キャリアと適切に処方する水性ゲルを形成する。好ましいポリオキシエチレン-ポリプロピレンブロックコポリマーは、Pluronic(登録商標)L121、L61、L81、またはL101としてBASFにより売買されている非イオン性界面活性剤である。
【0018】
本発明のワクチンは、筋肉内、皮下、鼻腔、腹腔、または経口経路により、好ましくは筋肉内または皮下経路により投与されてよい。
本発明のワクチンは、一般に、不活性化されたマイコプラズマ ハイオニューモニエ、代謝可能なオイル、ポリオキシエチレン-ポリプロピレンブロックコポリマー、およびアクリル酸ポリマーを水中油型エマルジョンの形態で含む。ワクチンは好ましくは、0.5〜10g/Lの範囲内の濃度でアクリル酸ポリマーを含む。ワクチンは、好ましくは2〜6ml/Lの範囲内の濃度で代謝可能なオイルを含む。ワクチンは好ましくは、1〜3ml/Lの範囲内の濃度でポリオキシエチレン−プロピレンブロックコポリマーを含む。
【0019】
単回投与のためには、ワクチンは好ましくは、約1×10〜3×1011MHDCE/mL、好ましくは約1×10〜3×10MHDCE/mLに対応する量のマイコプラズマ ニューモニエバクテリンを含む。約1〜5mL、好ましくは2mLを動物当たりに、筋肉内、皮下、または腹腔内投与してよい。1〜10mL、好ましくは2〜5mLを経口または鼻腔内投与してよい。
以下の実施例により、本発明を、その範囲を制限することなくさらに説明することを意図する。
【実施例】
【0020】
実施例1
マイコプラズマ ハイオニューモニエバクテリン
ワクチン組成物の調製
ウイルスストックに関する記載. マイコプラズマ ハイオニューモニエは、かなり多数の容易に入手可能な源から得ることができる。一具体例において、マイコプラズマ ハイオニューモニエ株P−5722−3を用いてよい。培養物は、インディアナ州ウェストラファイエットにあるPurdue大学のC. Armstrong氏から得た。マイコプラズマ ハイオニューモニエ培養物を受け取った後、7回マイコプラズマ ハイオニューモニエブロスに通し、マスターシードを確立した。
【0021】
細胞培養. マイコプラズマ ハイオニューモニエをBacto PPLO粉末、酵母抽出物、グルコース、L−シスステインヒドロクロライド、アンピシリン、酢酸タリウム、フェノールレッド、泡止め剤、通常の無菌のブタ血清、および水を含んでいる培地中で18−144時間増殖させた。不活性化のために、バイナリーエチレンイミン(BEI)を発酵容器内の産生培養物に対して添加する。pHを7.4へと調整し、次いで常套法に従い回収して、マイコプラズマ ハイオニューモニエバクテリンを得る。
【0022】
ワクチン組成物の調製
用いた保存剤の組成および割合
回収したバクテリンをチメロサールおよびエチレンジアミネートテトラ−酢酸、テトラ−ナトリウム塩(EDTA)のそれぞれわずか0.01および0.07%の添加により保存する。アンピシリンU.S.Pは、増殖培地中、0.250g/lで存在する。残存アンピシリン濃度は、回収した液体の体積に依存して最終生成物において変化し、完成した生成物における残存アンピシリン濃度は30μg/mlを超えない。
【0023】
製品の標準化. マイコプラズマ濃度は、DNA蛍光アッセイにより定量する。
1またはそれ以上のテルペン炭化水素を含む代謝可能なオイルおよびポリオキシエチレン−ポリプロピレンブロックコポリマーの混合物、例えばスクアラン/プロニックL121混合物を、10gの塩化ナトリウム、0.25gの塩化カリウム、2.72gのリン酸ナトリウム二塩基酸、0.25gのリン酸カリウム一塩基酸、20mLのプルロニックL121(BASFコーポレーション)、40mLのスクアラン(コダック)、3.2mLのトゥイーン80を1000mlに対して十分量の900mLの精製水中に溶解することにより調製する。混合後、成分をオートクレーブしてよい。混合物を次いで、適当なエマルジョンが形成されるまで均質化する。ホルマリンを0.2%の最終濃度まで添加してよく、またはチメロサールを1:10,000の最終濃度まで添加してよい。
【0024】
シリアルを作製するためのユニットのアッセンブリー
十分量のマイコプラズマ ハイオニューモニエ濃縮物を、アジュバント、保存剤、および希釈剤と、アジテーターを備えた無菌容器中に無菌状態で合わせ、そして30分ほど混合する。
【表1】

【0025】
最終容器の充填および封入に関する方法および技術
容器. 製品を無菌の200-500ミクロンのフィルターエレメントを通して粗濾過し、次いで9CFR114.6中にて指定される条件下で、無菌最終容器中へ、充填操作のために指定された部屋の中で充填してよい。ガラス性またはプラスチック容器をゴム栓でふさぎ、そしてアルミニウム封印紙でしわをつけて封じる。各2.0mlの投与製剤は、2×10ほどのマイコプラズマ ハイオニューモニエDNA細胞同等物を含む。
【0026】
効能に関する試験. 完成された製品の大量の、もしくは最終的なサンプルを、以下のように効能に関して試験することができる。
効能試験のためのアッセイ法:6〜7週齡の、Harlan Sprague Dawleyまたは他のふさわしい供給業者からの委託販売のICR雌マウスを用いる。最少20匹が、それぞれ未知および引用のバクテリンでの免疫化のために必要である。最少5匹のマウスを非予防接種対照として確保する。試験および引用バクテリンは、別個に完全に混合する。5/8インチの針による25ゲージで適合させた無菌の使い捨ての注射器を用いて、マウスを、宿主動物投与量の10分の1(0.2mL)にて鼠蹊領域に皮下接種する。マウスの各グループを別個の単位として飼育し、14日間、食餌および水を自由に摂ることができるようにする。各マウスを次いで麻酔する。麻酔したマウスを仰向けにする。一つの手で頭を押さえ、一つの前足を体から離して伸ばす。解剖用のメスを用いて、伸ばした前足と胸部の間に約1/2−インチの長さの皮膚切開をなし、腕の動脈を切断する。針のない3.0mLの注射器を用いて、切開にて溜まる血液を集める。血液をラベルをつけた試験管に注ぎ、そして凝血させる。血餅が生じた管を1,000×gにて遠心分離し、血餅から血清を分離する。個々の血清を−20℃またはそれより低温で、試験まで貯蔵する。
【0027】
血清学的試験:ELISA法を用いて、引用および/または未知のバクテリンに対するマウスの抗体反応を測定する。ELISA法を、Dynatechからの使い捨てImmulon II平底マイクロタイタープレートまたは同等物、およびELISAプレートリーダーを用いて行う。
【0028】
試験試薬:
【表2】


【表3】

【0029】
陽性対照血清:陽性対照血清は、マイコプラズマ ハイオニューモニエバクテリンで予防接種したマウスからの血清を溜めたものである。
【0030】
コンジュゲートおよび基質
アフィニティ精製した抗−マウスIgGペルオキシダーゼー標識コンジュゲートを、KirkegaardおよびPerry Laboratories, Inc.から得た(カタログ番号074-1802)。コンジュゲートの最適の希釈を決定するための方法を以下に示す。ペルオキシダーゼ基質溶液(ABTS)は、KirkegaardおよびPerry, Incから得る。
コンジュゲートの滴定:Immulon II平底プレートを、10mMのGBS中に希釈した、20μg/mLのマイコプラズマ ハイオニューモニエ完全細胞抗原で100μl/ウェルにて覆う。プレートを1時間ほど37℃+2℃にてインキュベートし、次いで18時間ほどおよび1週間ほど2−7℃へと移す。使用前にプレートを、各洗浄の間に1分間の浸漬時間を取って、3回PBSTにて洗浄し、次いで液を除いて乾燥させる。陽性対照血清のPBST中1:40希釈物を調製し、次いで希釈した陽性血清(100μL/ウェル)をプレート中のウェルの半分に添加する。PBSTをウェルの残りの半分に添加する。プレートを1時間室温でインキュベートし、その後プレートを3回洗浄する。コンジュゲートした血清は、PBSTで、1:100希釈で始め、1:10,240希釈で終える2倍連続希釈する。100μlの各コンジュゲート希釈物を陽性血清の4つのウェルおよびPBSTの4つのウェルに添加し、次いで1時間半室温にて反応させる。プレートを4回洗浄し、次いで100μlのペルオキシダーゼ基質溶液(abts)をウェル当たりに添加する。プレートを、Tλ=450の2波長設定にて読む。PBST対照の値を陽性対照血清の値から差し引いた場合に陽性対照血清に関して0.850〜1.050の記録を示すコンジュゲートの希釈を選択する。
【0031】
試験抗原
マイコプラズマ ハイオニューモニエ抗原は、完全細胞調製物であり、フォート・ダッジアニマルヘルスにより供給される。
ELISAを以下のように行う。Dynatech Immulon II平底マイクロタイタープレートを用いる。1バイアルの凍結乾燥したマイコプラズマ ハイオニューモニエ完全細胞抗原をグリシン緩衝塩水(GBS)で10mlへと復元する。復元したマイコプラズマタンパク質の濃度は20μg/mLである。100μl(2μg)の希釈抗原を次いでプレートの全ウェルに添加する。プレートを37±2℃にて1時間ほどインキュベートし、次いで最短18時間、および最長1週間2−7℃へ移す。プレートを、各洗浄の間に1分間浸漬して、PBSTで3回洗浄し、次いで液を除いて乾燥させる。血清をPBSTにて1:40に希釈する。陽性対照血清を各プレートに関して4倍にて含める。ウェル当たりのサンプル容積は100μlである。シリアル試験血清サンプルおよび引用血清サンプルは、同じプレートにおいて2倍で試験する。プレートを1時間室温でインキュベートし、次いで3回PBSTで洗浄する。PBSTにて希釈した、100μlの抗−マウスIgGペルオキシダーゼ−標識コンジュゲート(KirkegaardおよびPerry)を全ウェルに添加し、次いでウェルを30分間室温にてインキュベートする。プレートを4回PBSTで洗浄する。100μlのペルオキシダーゼ基質溶液(ABTS)を全ウェルに添加し、次いでプレートを、器械をPBST対照ウェルに対してブランクにする場合に陽性対照血清が0.850〜1.050のOD405(450)に達するまでインキュベートする。プレートを記録し、次いでPBSTウェルに対してブランクをとる。有効な試験であるためには、引用バクテリンで接種したマウスの血清は0.500の最小平均値を生じなければならず、および非ワクチン処置対照マウスの血清は、0.100の最大平均値を超えてはならない。または、引用バクテリンで接種したマウスの血清の平均値と非予防接種対照マウスの血清の平均値の間の差は、0.400より大きいか、それと等しくなければならない。
【0032】
シリアル予防接種、引用予防接種、および対照に関する平均値を以下のように算定および評価する。十分と見なされるためには、試験バクテリンは引用と等しいかまたはそれより大きい平均の平均光学濃度値を示さなければならない。または、片側スチューデントT検定を用いて、試験バクテリンは引用バクテリンよりも有意に(p<0.05信頼レベル)低い必要はない。1.686に等しいかまたはそれより大きい算定T値はいずれも引用および試験バクテリンの間の有意な差を示し、試験バクテリンが却下される原因となる。1.686未満の算定T値はいずれも、十分なシリアルを示す。製品の効能に関連しないいずれかの理由のために不十分であると、試験により決定されたあらゆる試験バクテリンを再試験し、そして、最初の試験は無効とみなす。
【0033】
実施例2
試験ワクチン
試験のためのワクチンは、1またはそれ以上のテルペン炭化水素を含む代謝可能なオイルおよびポリオキシエチレン−ポリプロピレンブロックコポリマーの5%の混合物(スクアラン/プルロニックL121混合物)をアジュバントとして、および0.2%のアクリル酸ポリマー(カルボポル)、および2×10のM.ハイオニューモニエDNA細胞同等物(MHDCE)を1投与量当たりに用いて、実施例1に記載する方法に従い調製した。
【0034】
実施例3
本試験は、3週齡における実施例2のワクチンの単回投与予防接種により誘導される、ブタにおける4ヶ月の免疫性持続(DOI)を立証するために設計した。
2つの別個の動物試験を、本試験に関して行った。両試験の全ブタは予防接種の時点で血清陰性であり(抗体力価<10)、動物がマイコプラズマ ハイオニューモニエに罹患しやすいことを示した。対照群の全ブタは、攻撃前、ずっと血清陰性であった。これは、予防接種したブタにおける免疫反応がワクチンによるものであり、いずれの環境への暴露によるものでもなかったことを示す。
【0035】
第1の試験では、実施例2のワクチンを、市場入手可能な製品、Boehringer Ingelheim (BI)により製造されたIngelvac M. hyo(登録商標)と共に用いて、高レベルの毒性M.ハイオニューモニエ(.4×10生物体)攻撃により評価した。18-21日齡の22匹(22)のブタを、実施例2のワクチンで筋肉内(IM)予防接種し、および8匹(8)のブタをIngelvac M. hyo(登録商標)[シリアル271032]で予防接種した。22匹(22)のブタを攻撃対照として、および10匹のブタを非攻撃対照として用いた。予防接種および攻撃対照群のブタは、予防接種後4ヶ月で毒性のM.ハイオニューモニエで攻撃した。実施例2のワクチンで予防接種したブタは、15.9%の平均の肺障害を有し、および攻撃対照ブタは19.6%の平均の肺障害を有した。実施例2のワクチンで予防接種した群における平均の肺障害は、ブタをアイオワ州立大学(ISU)により推奨される投与量よりも高い投与量で攻撃したにもかからわず対照よりも少なかったが、しかし、差は有意ではなかった(p=0.19)。同様に、市場入手可能な製品、Ingelvac M. hyo(登録商標)を、同じ投与量の攻撃を用いた動物の同じ群において評価した場合、肺障害の同様のレベルを認めた(14.6%)。Ingelvac M. hyo(登録商標)予防接種群と対照群の間(p=0.27)およびIngelvac M. hyo(登録商標)予防接種群と実施例2のワクチンで予防接種した群の間に有意な差はなかった。
【0036】
第2の試験では、実施例2のワクチンを、予防接種後4ヶ月での、ISUにより示唆されるレベル(1.0×10生物体)での毒性M.ハイオニューモニエ攻撃により評価した。23匹(23)のブタを21日齡にてワクチンの単回投与にて予防接種し、25匹のブタを攻撃対照として、および7匹のブタを非攻撃対照として用いた。予防接種および攻撃対照群のブタは、予防接種後4ヶ月で、毒性のM.ハイオニューモニエで攻撃した。対照群は10.4%の平均の肺障害を有し、および予防接種群は5.5%の平均の肺障害を有した。予防接種群と対照群の間には有意な差があった(p=0.031)。これは、実施例2のワクチンが、予防免疫性を刺激するのに効果的であり、これが、3週齡のブタにおける単回投与の予防接種後少なくとも4ヶ月持続し得ることを示す。
【0037】
2つの試験における実施例2のワクチンに関連するデータを合わせ、そして分析した場合、予防接種群の平均の肺障害は、対照群のものよりも有意に少なかった。
結論として、実施例2のワクチンにより、3週齡のブタにおける単回投与の予防接種後4ヶ月での毒性のM.ハイオニューモニエ攻撃に対して予防免疫性が誘導される。
【0038】
実験データ
2つの別個の試験を本試験において行った。試験1では、67匹(67)のブタを、マイクロソフトエクセル無作為化プログラムを用いて4つの群に割り当てた。24匹(24)のブタを実施例2に従い調製したワクチンの単回投与にて筋肉内(IM)にて18-21日齡にて予防接種した。24匹(24)のブタを攻撃対照として、および10匹のブタを非攻撃対照として用いた。9匹のブタを市販の製品、Infelvac M.hyo(登録商標)、[シリアル271032、Boehringer Ingelheim (BI)により製造]で、ラベルの指示に従って、IMにて予防接種した。5匹のブタ(実施例2のワクチンで予防接種した2匹のブタ、BIワクチンで予防接種した1匹、および2匹の対照)は、予防接種に関係のない理由のために、予防接種維持期間中に死亡した。予防接種群および攻撃対照群の残るブタを14mLの毒性M.ハイオニューモニエ(1.4×10生物体)で、予防接種後4ヶ月で攻撃した。全4群のブタを攻撃後30日で安楽死させ、そして、肺障害を、試験における各ブタに関してスコアした。
【0039】
第2の試験では、25匹(25)のブタを、実施例2に従い調製したワクチンの単回投与にて、21日齡にてIM予防接種した。25匹(25)のブタを攻撃対照として用い、そして10匹のブタを非攻撃対照として用いた。2匹のブタは、予防接種に関係のない理由のために死亡し、そして1匹のブタは予防接種維持期間中に誤って売却された。予防接種および攻撃対照群の残るブタを、10mLの毒性M.ハイオニューモニエ(1.0×10生物体)で、予防接種後4ヶ月にて攻撃した。2匹のブタは、予防接種/攻撃に関係のない理由のために、攻撃後の観察期間中に死亡した。全3群の中の残るブタを、攻撃後30日で安楽死させ、そして肺障害を試験の各ブタに関してスコアした。
【0040】
予防接種
予防接種群における各ブタに、試験ワクチンの単回2ml投与量を首の側面にてIMにて施した。
【0041】
攻撃および死体解剖
毒性M.ハイオニューモニエ攻撃ストック、凍結(−70℃)肺ホモジェネートは、アイオワ州立大学(ISU)からDr. Eileen Thacker氏により調製された。攻撃ストックは純粋であることが確認され、そして、mL当たり約10のM.ハイオニューモニエを含んだ。推奨される攻撃投与量は、1:100希釈ストックの10ml(即ち、1.0×10生物体)である。
【0042】
第1試験における予防接種および攻撃対照群のブタは、14mlの1:100期釈ストック(即ち、1.4×10生物体)で攻撃した。第2の試験のブタは、推奨されるように10mlの1:100希釈ストック(即ち、1.0×10生物体)で攻撃した。
攻撃の日、ホモジェネートを温水下に迅速に溶解し、滅菌M.ハイオニューモニエ増殖培地を用いてISUによる推奨に従い希釈した。ブタに、50mg/mLのキシラジン、50mg/mLのケタミン、および100mg/mLのテラゾールから成るキシラジン−ケタミン−テラゾール(登録商標)の混合物を鎮静剤として飲ませた。麻酔薬の混合物は、IMにて0.01−0.02mL/Ib体重にて与えた。各ブタに、攻撃物質の14mL(第1試験)または10mL(第2試験)の単回投与を気管内投与した。針の配置が正確であることを保証するために、空気を攻撃投与の投与前に注射器に引き入れた。非予防接種非攻撃対照ブタは別の部屋に維持し、そして攻撃しなかった。
攻撃後(DPC)30日にて、全ブタを安楽死させた。肺を取り出し、そして著しい肺障害を、試験群に関する知識を持たない個人によりスコアした。
【0043】
サンプル収集および試験
血液サンプルを予防接種日(0DPV)、予防接種後1ヶ月(1MPV)、4MPV/0DPC、および30DPCにおいて、競合ELISAキット(DAKO Co.により製造)により検出されるM.ハイオニューモニエに対する血清抗体のために、全ブタから収集した。血清サンプルは試験前、−20℃にて貯蔵した。
【0044】
データ分析
肺障害スコアを、分散分析(ANOVA)により、予防接種群および非予防接種群の間で比較した。肺スコアを逆正弦変換して、残差の分布を改良した。
結果および論考
血清学:両試験の全ブタを、市販の競合ELISAキットにより、1:10の血清希釈を全試験に関して用いて、M.ハイオニューモニエに対する血清抗体に関して試験した。全ブタは予防接種の時点で血清陰性であり(抗体力価<10)、動物がM.ハイオニューモニエに罹患しやすいことを示した。対照群の全ブタは攻撃前ずっと血清陰性のままであった。これは、予防接種したブタにおける免疫化反応がワクチンによるものであり、およびいずれの環境の暴露にもよるものではないことを示す。予防接種群における全ブタおよび攻撃対照群のブタのほとんど(試験1の22匹のブタの内の18匹および試験2の25匹のブタの内の15匹)は攻撃後M.ハイオニューモニエに対して血清変換し、一方、全非攻撃動物は血清陰性をのままであった。これは、攻撃がM.ハイオニューモニエ特異的であったことを示す。試験動物の血清学的状態を、表1にまとめる。
【0045】
第1試験における免疫原性試験
第1試験は、実施例2のワクチンが、予防接種後4ヶ月でのISUにより推奨されるよりも高レベルの攻撃に対して予防することができる強い免疫化を刺激することができるかどうかを決定するために行った。この試験は、実施例2のワクチンを市場入手可能なIngelvbac M. hyo(登録商標)と、予防接種後4ヶ月で予防免疫化を刺激するその能力に関して比較するものであった。
【0046】
FDAH Suvaxyn MH-1で予防接種した22匹のブタ、および認可された製品、Ingelvac M. hyo(登録商標)シリアル271,032で予防接種した8匹のブタを、ブタ当たり1.4×10生物体の攻撃物質(ブタ当たり1.0×10の生物体がISUにより推奨されている、セクション5.5を参照されたい)で攻撃した。22匹のブタを攻撃対照として用い、および10匹のブタを非攻撃対照として用いた。肺障害の割合を、表2にまとめる。実施例2のワクチンで予防接種したブタは、15.9%の平均肺障害を有し、および攻撃対照ブタは19.6%の平均肺障害を有した。実施例2のワクチンで予防接種した群における肺障害は、ブタを高投与量のM.ハイオニューモニエで攻撃した場合ですら、対照よりも少なかった。しかし、差は有意ではなかった(p=0.19)。同様に、市場入手可能な製品、Ingelvac M. hyo(登録商標)を同じ投与量の攻撃を用いた動物の同じ群にて評価した場合、同様のレベルの肺障害を得た(14.6%)。Ingelvac M.hyo(登録商標)予防接種群と対照群の間(p=0.27)およびIngelvac M.hyo(登録商標)予防接種群と実施例2のワクチンで予防接種した群の間(p=0.88)に有意な差はなかった。
【0047】
実施例2のワクチンを受容している群において、障害の有意でない数値の低下が記録されたが、この試験で得られたデータは、この試験で用いた高攻撃投与量(1.4×10生物体)が、市販のIngelvac製品により刺激されたブタの免疫化に対してすら、おそらくは圧倒するものであったことを示す。この攻撃レベルは20-25匹の動物から成る群サイズを用いる予防接種/攻撃試験評価に関しては、より大きな群サイズを用いて有意性が判明される可能性はあるが、おそらくは適当でない。
【0048】
第2試験における免疫原性試験
試験2における予防接種および攻撃対照群のブタは、ISUにより推奨される攻撃投与量(1.0×10生物体)にて、予防接種後4ヶ月にて評価し、4ヶ月のDOIを立証した。肺の障害の割合を表3にまとめる。対照群は10.4%の平均の肺障害を有した。予防接種群は5.5%の平均の肺障害を有した。予防接種群と対照群の間には優位な差があった(p=0.031)。これは、実施例2のワクチンが予防免疫性を刺激するのに効果的であり、予防免疫性が、3週齡のブタにおける単回投与の予防接種後、少なくとも4ヶ月持続し得ることを示す。
【0049】
両試験を合わせた結果の評価
2つの試験が明らかに異なる一方で、群における試験の効果は有意ではなかった。群の効果の大きさは、2つの試験の間で同様であった。つまり、群の効果は試験を考慮せずに評価することができた。フルモデルの分析は群と試験の間の相互作用が有意ではないことを示したので、これは、群の効果が両試験において同じであったという見解を支持し、そして2つの試験からのデータの組み合わせを単一の分析とすることが正当化される。このようにして、2つの試験からの実施例2のワクチンに関係するデータを合わせ、そして肺の障害に関する逆正弦変換変数を、独立変数として群および試験を用いて分析した場合(縮約モデル)、該群は統計学的に有意である(p=0.013)。
【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【0050】
実施例4
単回投与による投与の6ヶ月後の毒性攻撃に対する本発明のワクチン組成物により誘導される長期免疫性の評価
実施例1および2に記載する本質的に同じ方法を用いて、および以下に示す量を用いて、試験ワクチンAを調製した。
【表8】

【0051】
概要
33匹の21日齡のブタを本評価に加えた。20匹のブタを3週齡にてワクチンAの単回投与にて筋肉内にて(IM)予防接種した。10匹のブタを非予防接種対照として、および3匹のブタを非予防接種環境対照として用いた。
全ブタは予防接種の時点で血清陰性であり(抗体力価<10)、動物が、M.ハイオニューモニエに罹患しやすいことを示した。対照群における全ブタは、攻撃前、ずっと血清陰性のままであった。これは、予防接種したブタにおける免疫化反応がワクチンによるものであり、いかなる環境への暴露によるものでもなかったことを示す。
【0052】
予防接種の6ヶ月後、20匹の予防接種ブタと10匹の非予防接種対照ブタを、毒性M.ハイオニューモニエ(ブタ当たり1.0×10生物体)で攻撃した。3匹のブタを非攻撃対照として用いた。予防接種ブタは3.6%の平均の肺障害スコアを有し、および攻撃対照ブタは、14.6%の平均の肺障害スコアを有した。予防接種群における肺障害は、対照におけるものよりも有意に少なかった(p=0.0215)。
本評価にて得られたデータは、試験ワクチンAが、単回投与の予防接種の6ヶ月後の毒性M.ハイオニューモニエ攻撃に対して長期の予防免疫性を誘導したことを立証する。
【0053】
実験設計
33匹の21日齡のブタを、マイコロソフトエクセル無作為化プログラムを乱雑に(by litter)用いて3つの群(予防接種群、攻撃対照群、および非攻撃環境対照群)に無作為に割り当てた。20匹のブタを3週齡にて試験ワクチンAの単回投与にて筋肉内に予防接種した。10匹のブタを攻撃対照として、および3匹のブタを非攻撃環境対照として用いた。予防接種群および攻撃対照群のブタを、予防接種の6ヶ月後にブタ当たり10mLの毒性M.ハイオニューモニエ(1.0×10生物体)培養物で攻撃した。3匹の非予防接種ブタを、非攻撃対照として用いた。攻撃ブタおよび非攻撃対照ブタを、攻撃後26日にて安楽死させ、そして肺障害を各ブタに関してスコアした。
予防接種群の各ブタには、首の側面にIMにて、単回2mLの投与量の試験ワクチンを与えた。
【0054】
攻撃および死体解剖
毒性M.ハイオニューモニエ攻撃ストック、凍結(−70℃)肺ホモジェネートは、アイオワ州立大学(ISU)からDr. Eileen Thackerにより調製された。攻撃ストックは純粋であることが確認され、そして約10のM.ハイオニューモニエ生物体をmL当たりに含んだ。
ブタを1:100希釈のストック10mL(即ち、約1.0×10生物体)で攻撃した。
攻撃の日、ホモジェネートを温水下で迅速に解凍し、そしてISUによる推奨に従い、滅菌M.ハイオニューモニエ増殖培地を用いて希釈した。ブタに、50mg/mLのキシラジン、50mg/mLのケタミン、および100mg/mLのテラゾールから成るキシラジン−ケタミン−テラゾール(登録商標)の混合物を鎮静剤として飲ませた。麻酔薬の混合物は、IMにて0.01−0.02mL/Ib体重にて与えた。各ブタに攻撃物質の単回10mL投与量(1.0×10生物体)を、気管内投与した。針の配置が正確であることを保証するために、攻撃投与の投与前に空気を注射器に引き入れた。非予防接種非攻撃対照ブタは別の部屋に維持し、そして攻撃はしなかった。
攻撃後(DPC)26日にて、全ブタを安楽死させた。肺を取り出し、そして著しい肺障害を、実施例3に記載するようにスコアした。
【0055】
サンプルの収集および試験
血液サンプルを、予防接種の日(0DPV)、35DPV、−1DPC、および26DPCにて、競合ELISAキット(DAKO Co.により製造)により検出されるようなM.ハイオニューモニエに対する血清抗体の測定のために収集した。血清サンプルは、試験される前、−20℃にて貯蔵した。
【0056】
データ分析
肺障害スコアを、片側ANOVAにより、予防接種と対照の間で比較した。肺障害スコアを逆正弦変換して、残差の分布を改良した。肺障害スコアに関する正規性の仮定は疑わしかったので、肺障害スコアと逆正弦変換肺障害スコアを、Wilcoxon Rank Sum試験により分析した。有意なレベルはp<0.05に設定した。非パラメトリックなWilcoxon Rnak Sum試験からの結果を、報告のために用いた。
【0057】
結果および論考
血清学
全ブタを、全試験の1:10血清希釈を用いて、市販の競合ELISAキットにより、M.ハイオニューモニエに対する血清抗体に関して試験した。疑わしい試験結果を有するサンプルは、キットの説明に従い、データ分析において陽性として扱う。全ブタは予防接種の時点で血清陰性であり(抗体力価<10)、動物がM.ハイオニューモニエに罹患しやすいことを示した。対照群における全ブタは攻撃前、ずっと血清陰性のままであった。予防接種後、20匹の予防接種ブタの15匹(15/20)が少なくとも一度、M.ハイオニューモニエに対して血清陽性となった(35DPVおよび−1DPCにて収集されたサンプル)。これは、予防接種ブタにおける免疫化反応がワクチンによるものであり、いずれの環境への暴露によるものでもなかったことを示す。全予防接種ブタ、および攻撃対照群の10匹のブタの内の4匹が、攻撃後、M.ハイオニューモニエに対して血清陽性となったが、全非攻撃動物は血清陰性のままであった。試験動物の血清学的状態を表4にまとめる。
【0058】
肺障害スコア
試験ワクチンAで予防接種した20匹のブタおよび10匹の非予防接種対照ブタを、予防接種の6ヶ月後に毒性M.ハイオニューモニエ(ブタ当たり1.0×10生物体)で攻撃した。3匹のブタを非攻撃対照として用いた。20匹の予防接種ブタの内の8匹(40%)が攻撃後に肺障害を進行させなかったが、対照群においては、10匹のブタの内の1匹のみ(10%)が肺障害を有しなかった。肺障害の割合を表5にまとめる。予防接種ブタは3.6%の平均の肺障害スコアを有し、および攻撃対照ブタは14.6%の平均の肺障害スコアを有した。予防接種群における肺障害は、対照よりも有意に少なかった(p=0.0215)。
【表9】

【表10】

【0059】
表4および5にて示されるデータから認めることができるように、試験ワクチンAは、3週齢にて予防接種されたブタにおいて、単回投与後6ヶ月間の毒性M.ハイオニューモニエ攻撃に対する予防免疫性を誘導する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイコプラズマ ハイオニューモニエによる感染に対してヒト以外の動物を免疫化するためのワクチン組成物であって、
免疫化量のマイコプラズマ ハイオニューモニエバクテリン;
アクリル酸ポリマー、および代謝可能なオイルとポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの混合物を含むアジュバント混合物;および、
医薬上許容されるキャリアを含み、単回投与後、6ヶ月の期間、該ヒト以外の動物にてマイコプラズマ ハイオニューモニエからの予防免疫性を誘発するところの組成物。
【請求項2】
アジュバント混合物が、アクリル酸ポリマーの、代謝可能なオイルとポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとの混合物に対する比率が1:25〜1:50である、アクリル酸ポリマーと、1またはそれ以上のテルペン炭化水素を含む代謝可能なオイルおよびポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの混合物とから成る、請求項1記載のワクチン組成物。
【請求項3】
アジュバント混合物が、ワクチン組成物の1−25%v/vを構成する、請求項1記載のワクチン組成物。
【請求項4】
アクリル酸ポリマーが、1%v/vの最終濃度で存在し、およびテルペン炭化水素とポリオキシエチレン−ポリプロピレンブロックコポリマーとの混合物が5%〜約10%v/vの最終濃度で存在する、請求項3記載のワクチン組成物。
【請求項5】
アジュバント混合物が、ワクチン組成物の2%〜15%v/vを構成する、請求項3記載のワクチン組成物。
【請求項6】
アジュバント混合物が、ワクチン組成物の5%〜12%v/vを構成する、請求項5記載のワクチン組成物。
【請求項7】
代謝可能なオイルがスクアランまたはスクアレンである、請求項1記載のワクチン組成物。
【請求項8】
アクリル酸ポリマーがカルボポルである、請求項6または請求項7記載のワクチン組成物。
【請求項9】
ヘモフィラス パラサイス、パスツレラ マルトシダ、ストレプトコッカム サイス、アクチノバシラス プレウロニューモニエ、ボルデテラ ブロンキセプチカ、サルモネラ コレラおよびレプトスピラ細菌から成る群から選択される少なくとも一つのバクテリンをさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項記載のワクチン組成物。
【請求項10】
マイコプラズマ ハイオニューモニエにより引き起こされる疾患に対してブタ動物を保護する方法であって、
免疫化量のマイコプラズマ ハイオニューモニエバクテリン;
アクリル酸ポリマーと、代謝可能なオイルおよびポリオキシエチレン-ポリプロピレンブロックコポリマーの混合物とから成るアジュバント混合物;および、
医薬上許容されるキャリアから成るワクチン組成物を当該ブタ動物に投与することを含み、単回投与後、6ヶ月の期間、マイコプラズマ ハイオニューモニエ疾患に対して当該ブタ動物に予防免疫性を誘発するところの方法。
【請求項11】
バクテリンの免疫化量が、1×10〜3×1011マイコプラズマ ハイオニューモニエと同等の免疫原性を有するDNA細胞(MHDCE)/mLである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
バクテリンの免疫化量が、1×10〜3×10MHDCE/mLである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
ワクチン組成物が、筋肉内、皮下、腹腔内、エアゾル、経口、または鼻腔内経路により投与される、請求項10記載の方法。
【請求項14】
アジュバント混合物が、1−25%v/vの最終濃度で存在している、アクリル酸ポリマーおよび1またはそれ以上のテルペン炭化水素から成る代謝可能なオイルとポリオキシエチレン-ポリプロピレンブロックコポリマーの混合物から成る、請求項10記載の方法。
【請求項15】
アジュバント混合物のアクリル酸ポリマーがカルボポルである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
アジュバント混合物の代謝可能なオイルが、スクアレンおよびスクアランからなる群から選択されるテルペン炭化水素である、請求項14記載の方法。
【請求項17】
ヘモフィラス パラサイス、パスツレラ マルトシダ、ストレプトコッカム サイス、アクチノバシラス プレウロニューモニエ、ボルデテラ ブロンキセプチカ、サルモネラ コレラおよびレプトスピラ細菌から成る群から選択される少なくとも一つのさらなるバクテリンを同時投与することをさらに含む、請求項10〜16のいずれか1項記載の方法。

【公開番号】特開2009−73855(P2009−73855A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291001(P2008−291001)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【分割の表示】特願2002−551004(P2002−551004)の分割
【原出願日】平成13年12月11日(2001.12.11)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】