説明

改良された味を有する亜鉛含有歯磨剤組成物

本発明は、水溶性亜鉛塩を含む抗菌性口腔用組成物に関し、界面活性剤は、スルホ酢酸アルキル、スルホコハク酸ジアルキル、スルホスクシナミン酸ジアルキル(dialkyl sulfosuccinamate)のアルカリ金属又はアンモニウム塩、及びこれらの混合物から選択され、亜鉛塩の収斂性を低減させるのに有効な量で使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性亜鉛塩を含む抗菌性口腔用組成物、特に歯磨剤組成物に関し、界面活性剤は、スルホ酢酸アルキル、スルホコハク酸ジアルキル、スルホスクシナミン酸ジアルキル(dialkyl sulfosuccinamate)のアルカリ金属又はアンモニウム塩、及びこれらの混合物から選択され、亜鉛塩の収斂性を低減させるのに有効な量で使用される。
【背景技術】
【0002】
亜鉛化合物は、特に水溶性塩の形態で口腔ケア製品へ混入され、亜鉛の抗菌性の特質に由来する抗歯垢及び抗結石等の有益な効果を提供することが、従来技術においてよく知られている。又、前記塩の収斂性はよく知られており、それが、口内に不快な味をもたらし、大衆受けする製品へのそれら使用が抑制されている。クエン酸塩等のアニオン対イオンを有する亜鉛の錯体形成は、塩化物等の塩と比較し、その収斂性が低減されるが、通常、はっきりと分かる味が依然として残る。これが、亜鉛含有口腔用組成物に首尾よく使用されてよい香味料に何らかの制限を加える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
口腔用組成物、特に歯磨剤組成物中の亜鉛の収斂性を低減させる他の取組みが記載されている。これらには、PCT国際公開特許WO94/14407、WO96/37183、WO98/37859、WO99/20238、WO00/28952、WO00/61092、WO03/090702及びそれらが列挙するそれ以前の先行技術に記載された取組みが挙げられる。先行研究にもかかわらず、依然として代替法の要望が存在する。特殊な界面活性剤の包含が、口腔用組成物内の亜鉛塩の収斂性低減を可能にすることが今では判明している。これが、組成物の味を改良し、前記組成物の香味設計により大きい柔軟性を与える。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、抗菌に有効な量の水溶性亜鉛、並びにスルホ酢酸アルキル、スルホコハク酸ジアルキル、スルホスクシナミン酸ジアルキル(dialkyl sulfosuccinamate)のアルカリ金属又はアンモニウム塩、及びこれらの混合物から選択される収斂性低減界面活性剤、を含む口腔用組成物、特に歯磨剤組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
特に指示がない限り、本明細書のすべての百分率及び比率は、合計組成物の重量であり、すべての測定は25℃で行われる。
【0006】
本明細書の口腔用組成物は、歯磨剤、残留型口腔ジェル、口内洗浄剤及びチューインガムの形態を取ってよい。練り歯磨き、口内洗浄剤及び残留型口腔ジェルが好ましい形態である。
【0007】
本明細書で使用する時、用語「歯磨剤」は、歯を洗浄する物質を意味し、歯ブラシとの利用に適し、使用後すすぎ落とされる。特に指示がない限り、歯磨剤は、粉末、ペースト、ジェル又は液体処方であってよい。本明細書の歯磨剤組成物は、単一相、複相又は多相生成であってよい。単一相は、液体キャリアであって、その中に均質に又は均等に分散した、例えば歯科用研磨剤のような1以上の不溶性粒子を有する液体キャリアを含んでもよい。
【0008】
残留型口腔ジェルは、歯又は歯肉への利用を目的とした製品で、一時的な利用のみを目的としたものではあるが、歯科充填材又は恒久的な歯科用コーティングとは異なるので、唾液の通常の作用による以外には、利用後すぐにはすすぎ落とされない。残留型口腔ジェルは、WO2004/017933に記載されるこれらの製品のように、局部的に利用され又は歯若しくは歯肉のまわりに行き渡らせることができ、オーバーナイトの使用を目的にしている。「口内洗浄剤」は、口の中に摂取又はスプレーされ、口中に行き渡るようにされ、それから吐き出される、これら液体製品を意味する。
【0009】
本明細書の口腔用組成物の必須成分は、水溶性亜鉛塩である。亜鉛塩は、抗菌剤として有効である。亜鉛塩は、好ましくは、少なくとも水100g当り0.1gの溶解度を有するが、酸化亜鉛等の不溶性物質は、WO94/14407に記載の酸化亜鉛/クエン酸ナトリウムの組み合わせのように他の可溶化物質と一緒に使用する場合、可溶性の亜鉛塩を提供できる。本発明に有用な亜鉛塩としては、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛及びサリチル酸亜鉛が挙げられる。クエン酸ナトリウム亜鉛等の混合塩も又使用できる。好ましい亜鉛塩は、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、マレイン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、グルコン酸亜鉛及びアスコルビン酸亜鉛等の有機酸の亜鉛塩である。カルボン酸の亜鉛塩、特にクエン酸亜鉛及び乳酸亜鉛がより好ましい。クエン酸亜鉛が、特に好ましく、二水和物として市販されている。勿論、異なる亜鉛塩の混合物が使用されてよい。
【0010】
亜鉛塩は、市場に受け入れられる製品に相応の、任意の抗菌に有効な量で使用されてよい。過剰な量の亜鉛は、容認できない味をもたらし、例えば、アニオン性ポリマーの沈殿のように、他の成分との適合性の問題を引き起こし得る。好適な量の亜鉛塩は、0.01〜1.0重量%の亜鉛イオン、好ましくは0.05〜0.3重量%の亜鉛イオンを提供する。
【0011】
本明細書の口腔用組成物は、更に、スルホ酢酸アルキル、スルホコハク酸ジアルキル、スルホスクシナミン酸ジアルキル(dialkyl sulfosuccinamate)のアルカリ金属又はアンモニウム塩、及びこれらの混合物から選択される収斂性低減界面活性剤を含む。好適な市販の物質としては、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム及びジエチルヘキシルスルホ酢酸ナトリウムが挙げられる。スルホ酢酸アルキルのアルカリ金属又はアンモニウム塩が好ましい。
【0012】
収斂性低減界面活性剤と亜鉛イオンを近いモル当量比で使用すると、最良の収斂性低減効果が得られる。市販の界面活性剤は、一般的に物質の混合物を含むため、最適量は、重量比で最適に概算され、最適な収斂性低減界面活性剤と亜鉛イオンの重量比は、1:1〜6:1である。収斂性低減界面活性剤の有用な絶対量は、口腔用組成物の重量で0.1〜2重量%、好ましくは0.2〜0.1重量%の収斂性低減界面活性剤である。
【0013】
本明細書の口腔用組成物には、更に経口可能なキャリアが含まれ、追加の界面活性剤、フッ化物イオン源、抗結石剤、緩衝剤、研磨剤物質、増粘物質、保湿剤、水、香味料、甘味剤、着色剤、及びこれらの混合物等の通例の成分が挙げられる。
【0014】
本発明の組成物は、収斂性低減界面活性剤に追加の界面活性剤を含んでよい。有用な追加の界面活性剤の種類としては、アニオン性、非イオン性、カチオン性及びベタイン界面活性剤が挙げられる。追加のアニオン性界面活性剤は、洗浄性及び発泡性を供給するために含まれてよく、通常は約0.1重量%〜約2.5重量%、好ましくは約0.3重量%〜約2.5重量%及び最も好ましくは約0.5重量%〜約2.0重量%の量で使用される。カチオン性界面活性剤も使用されてよいが、他の成分とそれらの適合性について注意をする必要がある。カチオン性界面活性剤は、典型的に、追加のアニオン性界面活性剤と同様のレベルで使用され、ベタイン界面活性剤も同じように使用される。いくつかの非イオン性界面活性剤は、我々がそれらに環状ジェルを形成するよう所望する場合、20%までといった実質的により高いレベルで有用であり得る。
【0015】
本明細書で有用なアニオン性界面活性剤には、アルキルラジカル中に10〜18個の炭素原子を有するアルキル硫酸の水溶性塩、及び10〜18個の炭素原子を有する脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩が挙げられる。ラウリル硫酸ナトリウム及びココナツモノグリセリドスルホン酸ナトリウムは、この種類の陰イオン性界面活性剤の例である。又本明細書で有用なのは、サルコシネート界面活性剤、イセチオネート界面活性剤、及びタウレート界面活性剤、例えばラウロイルサルコシネート、ミリストイルサルコシネート、パルミトイルサルコシネート、ステアロイルサルコシネート、及びオレオイルサルコシネートである。上記のすべては、一般にそれらのアルカリ金属又はアンモニウム塩として使用される。
【0016】
好適な非イオン性界面活性剤の例としては、ポロキサマー、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合体、長鎖第三級アミンオキシド、長鎖三級ホスフィンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキシド及び前記物質の混合物が挙げられる。好ましいベタイン界面活性剤としては、ココアミドエチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン等が挙げられる。
【0017】
他の抗菌剤も又使用されてよい。こうした剤の中に含まれるのは、非水溶性非カチオン性抗菌剤、例えばハロゲン化ジフェニルエーテル、特にトリクロサン、及びチモールのような精油である。水溶性抗菌剤には、塩化セチルピリジニウムのような第四級アンモニウム塩が挙げられる。酵素は、本発明の組成物に使用されてもよい別の種類の活性物質である。有用な酵素には、プロテアーゼ、溶菌酵素、歯垢基質阻害物質、及びオキシダーゼの分類に属するものが挙げられる。オキシダーゼは又、抗菌特性に加えて、白色化活性/洗浄活性も有する。こうした剤は、米国特許第2,946,725号(ノリス(Norris)ら、1960年7月26日)、及び米国特許第4,051,234号(ギースキー(Gieske)ら、1977年9月27日)に開示されている。
【0018】
他の好ましい任意の試剤は、可溶性ポリリン酸塩、ポリホスホン酸塩、又はピロリン酸塩等の抗結石剤である。本発明の組成物に使用されるピロリン酸塩は、アルカリ金属ピロリン酸塩のいずれであってもよい。具体的な塩には、四アルカリ金属ピロリン酸塩、二アルカリ金属二酸ピロリン酸塩(dialkali metal diacid pyrophosphate)、三アルカリ金属一酸ピロリン酸塩(trialkali metal monoacid pyrophosphate)、及びこれらの混合物が挙げられ、その際アルカリ金属は、好ましくはナトリウム又はカリウムである。この塩は、それらの水和形態及び非水和形態の両方において有用である。本発明の組成物中に有用なピロリン酸塩の有効量は、一般に少なくとも1.0%のピロリン酸塩イオン、好ましくは約1.5%〜約6%、より好ましくは約3.5%〜約6%のこうしたイオンを提供するのに十分である。ピロリン酸塩イオンの前記レベルを組成物に提供できること(すなわち、適切なpHでの理論量)、及びP207‐4以外(例えば、(HP207‐3))のピロリン酸塩形態が、最終製品のpHを定めるとき存在し得ること、が分かる。ピロリン酸塩はカーク・オスマー(Kirk-Othmer)、工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第2版、第15巻、インターサイエンス・パブリッシャーズ(Interscience Publishers)(1968年)に、より詳細に記載されている。又、有用なのは、トリポリリン酸ナトリウム及びヘキサメタリン酸ナトリウムのような溶解性ポリホスフェートである。この種類の他の長鎖抗結石剤は、PCT国際公開特許WO98/22079に記載されている。本明細書で使用するのに特に好ましいのは、約15〜約25個のリン酸単位を含有するポリリン酸ナトリウム塩である。
【0019】
他の好ましい成分は、水溶性フッ化物化合物で、組成物中に約0.0025重量%〜約0.5重量%のフッ化物イオン濃度を与えるのに十分な量が使用され、抗カリエスの効力を提供する。多種多様なフッ化物イオン生成物質が、本発明の組成物中の可溶性フッ化物の供給源として使用され得る。代表的なフッ化物イオン供給源には、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、及びその他多くが挙げられる。フッ化第一スズ及びフッ化ナトリウムは、これらの混合物と同様に特に好ましい。しかしながら、フッ化ナトリウムを長鎖ポリリン酸塩との組み合わせで使用する場合、更に、それは別々の相に保持されるのが好ましい。
【0020】
練り歯磨き又はジェルを作製時、組成物の所望の濃度を付与すること、使用時所望の活性物質放出特性を付与すること、貯蔵安定性を付与すること、及び組成物の安定性を付与すること、等のために、しばしば増粘剤又は結合剤を加える必要がある。増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース等の非イオン性セルロース誘導体、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体の水溶性塩が挙げることができる。だが、カルボキシビニルポリマー等のアニオン性ポリマーは、亜鉛の効力を減らす形で亜鉛塩と互いに作用し合うことができ、且つ、その相互作用は、組成物のレオロジーに望ましくない影響を有するおそれがあることを認識されるべきである。ガムカラヤ、キサンタンガム、アラビアゴム及びトラガカントガム等の天然のゴム類も本明細書で使用されてよい。非常に好ましい増粘剤系には、キサンタンガムとヒドロキシエチルセルロースの混合物を含み、糸ひきの無い増粘組成物を提供する。
【0021】
本明細書の組成物の別の任意であるが好ましい構成成分は、保湿剤である。保湿剤は、歯磨剤が空気に曝されて硬化しないようにしたり、口に潤い感を与えたり、特定の保湿剤については香味料の所望の甘さを付与する役目をする。保湿剤は、純粋な保湿剤ベースで、一般に組成物の約5重量%〜約70重量%、好ましくは約15重量%〜約45重量%含まれる。好適な保湿剤には、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコールのような食用多価アルコール、特にソルビトール及びグリセリンが挙げられる。
【0022】
本明細書の歯磨剤用に好ましい成分は、歯科用研磨剤である。研磨剤は、歯を磨き、及び/又は表面の付着物を除去するように作用する。本明細書での使用が考慮される研磨剤物質は、歯の象牙質を過度に研磨しない任意の物質であることができる。好適な研磨剤としては、不溶性ホスフェート研磨剤(種々のリン酸カルシウムを含有し、例えばリン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、ピロリン酸カルシウム、β相ピロリン酸カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、無水リン酸カルシウム、不溶性のメタリン酸ナトリウムなど)が挙げられる。又好適なのは、チョーク型研磨剤、例えば炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム、キセロゲル、ヒドロゲル、エアロゲル及び沈殿物を含むシリカ、アルミナ及びそれらの水和物、例えばαアルミナ三水和物、アルミノケイ酸塩、例えば焼成ケイ酸アルミニウム及びケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びケイ酸ジルコニウム、例えば三ケイ酸マグネシウム及び熱硬化性重合樹脂、例えば尿素とホルムアルデヒドとの粒子状縮合生成物、ポリメチルメタクリレート、粉末化ポリエチレン、並びに米国特許第3,070,510号(1962年12月25日)に開示されているようなその他のものである。研磨剤の混合物も又使用できる。砥粒研磨物質は、一般に約0.1〜約30ミクロン、好ましくは約5〜約15ミクロンの平均粒子サイズを有する。
【0023】
種々の種類のシリカ歯科用研磨剤は、歯のエナメル質又は象牙質を過度に研磨することなく、極めて優れた歯の洗浄及び研磨性能を提供する。シリカ研磨剤は、沈殿シリカ又はシリカゲルであってよい。好適な沈殿シリカ物質には、商標名「ゼオデント(Zeodent)(登録商標)」のという名で、J.M.フーバ社(Huber Corporation)により市販のもの、特に指定のゼオデント(Zeodent)(登録商標)119又はゼオデント(Zeodent)(登録商標)118を担持したシリカが挙げられる。これらのシリカ研磨剤が、米国特許第4,340,583号(1982年7月29日)及びWO96/09809に記載されている。
【0024】
歯磨剤用に好適な研磨剤レベルは、1%〜40%、好ましくは、2%〜20%といったように少なくとも2%、より好ましくは、5%〜25%といったように少なくとも5%である。
【0025】
香味剤及び甘味剤も好ましくは本組成物に含まれる。広範囲の香味成分を使用できることが本発明の利点である。好適な香味剤及び甘味剤は、当該技術分野において周知である。本明細書の本発明の口腔用組成物の好適な香味料レベルは、0.1重量%〜5.0重量%、より好ましくは0.5重量%〜2.0重量%、及び最も好ましくは約0.7重量%〜約1.8重量%である。広範囲の人々に受け入れられるバランスのとれた風味を提供するため、通常、香味料油は、別々の工程で製造され、天然及び/又は合成起源の多数の構成成分を含む。香味料構成成分は、ミント、香辛料、果物、柑橘類、薬草、薬用及び常用食物香味料の種類(例えば、チョコレート)から選択されることができる。例証となるが、前記構成成分の非限定例としては、リモネン、カリオフィレン、ミルセン、及びフムレン等の炭化水素、メントール、リナロール、3‐デカノール、及びピノカーベオール(pinocarveol)等のアルコール、ピペリトン(piperitone)、メントン、スピカトン(spicatone)、及びl‐カルボン等のケトン、アセトアルデヒド、3‐ヘキサナール、又はn‐オクタナール等のアルデヒド、メントフラン、ピペリトン(piperitone)オキシド、又はカルビルアセテート‐7,7(carvyl acetate-7,7)オキシド等のオキシド、酢酸及びオセニック酸(ocenoic)等の酸、及びジメチルスルフィド等の硫化物が挙げられる。又、構成成分としては、メンチルアセテート、イソブチル酸ベンジル、及び3−酢酸オクチルのようなエステルが挙げられる。又、香味料構成成分としては、例えば、メンタピペリタ(piperita)及びメンタアベンシス(arvensis)からのペパーミント油等の芳香油、メンタカーデイアカ(cardiaca)及びメンタスピカタ(spicata)からのもの等のスペアミント油、セージオイル、オランダセリ油、マジョラム油、カッシア油、クローブ芽油、桂皮油、ユーカリ油及びアニス油が挙げられてよい。他の好適な構成成分は、ケイ皮アルデヒド、オイゲノール、イオノン、アネトール、ユーカリプトール、チモール、サリチル酸メチル、バニリン、エチルバニリン及びバニラ抽出物である。香味料選択により大きい柔軟性を提供することは、本発明の利点であるが、米国特許第6,306,372号及びWO00/28952に記載されているような、特に亜鉛処方に好適な、当該技術分野に記載のこれら香味系も勿論使用されてよい。香味料成分は、香味成分のフェナロリのハンドブック(Fenaroli’s Handbook of Flavor Ingredients)、第3編、第1巻&第2巻、CRCプレス社(CRC Press,Inc.)(1995)、並びにステフェンアルクタンダーの香料及び香味化学物質(Steffen Arctander’s Perfume and Flavour Chemicals)、第1巻&第2巻(1969)に更に詳細に記載されている。又、生理学的冷却剤が、香味料油に組み入られてよい。冷却剤は、多種多様な物質のいずれかであることができる。このような物質に含まれるのは、カルボキサミド、メントール、アセタール、ケタール、ジオール、及びこれらの混合物である。本発明の組成物の好ましい冷却剤は、N‐エチル‐p‐メンタン‐3‐カルボキサミド等のp‐メンタンカルボキサミド(市場で「WS‐3」として既知)及びこれらの混合物、並びにメントングリセリンアセタール(市場で「MGA」として既知)である。本発明に好適な冷却剤の更なる開示が、WO97/06695に記載されている。
【0026】
組成物は、更に、通常の顔料、及び二酸化チタン等の着色剤を含んでよい。
【0027】
本明細書の口腔用組成物に使用される水は、好ましくは、低いイオン含有量であり、有機不純物フリーであるべきである。一般に、水は、本明細書の練り歯磨きの、約10重量%〜約50重量%、好ましくは約20重量%〜約40重量%含まれる。この水の量は、添加される遊離水に加えて、ソルビトールのような他の物質と共に導入される水を包含する。一般に、より多くの量の水が口内洗浄剤に使用され、口内洗浄剤は、更にエタノール及びプロピレングリコール等のその他の溶媒を含んでよい。
【0028】
一般に8未満であるべき本組成物のpHは、緩衝剤の使用により、5〜7の好ましい範囲、より好ましくは約6.0〜約6.7に調節されてよい。亜鉛塩がカルボン酸の場合、一般に緩衝はこの塩により提供される。追加の緩衝又は異なるpHでの緩衝が必要とされる場合、使用されてよい追加の好適な緩衝剤としては、酸性ピロリン酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム、酢酸及び酢酸ナトリウムが挙げられる。歯磨剤のpHは、歯磨剤の3:1水性スラリーから測定される。
【実施例】
【0029】
以下の各実施例において、主容器内の混合は、空気の同伴を避けるため不完全真空下(〜0.09MPa)で行われ、各工程での混合は、混合物が均質になるまで続けられる。
【0030】
実施例1
以下は本発明による3つの練り歯磨き組成物の実施例である。
【表1】

*溶液として
**精製水中にプレミックス
製造指示
水、ソルビトール、クエン酸亜鉛二水和物、フッ化ナトリウム、サッカリンナトリウム、及び、妥当であれば、リン酸塩を主混合容器に加え、混合する。グリセリン中にキサンタンガム及びヒドロキシエチルセルロースを分散し、その混合物を主容器に加え、混合する。シリカ及び二酸化チタンをプレミックスし、主容器に加え、混合する。ポリエチレングリコール‐6、ラウリル硫酸ナトリウム溶液、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム溶液及び香味料を主容器に加え、混合する。
【0031】
実施例2
実施例2は、本発明による別の練り歯磨きである。
【表2】

*溶液として
**精製水中にプレミックス
製造指示
水、ソルビトール、クエン酸亜鉛二水和物、フッ化ナトリウム及びサッカリンナトリウムを主混合容器に加え、混合する。グリセリン中にキサンタンガム及びヒドロキシエチルセルロースを分散し、その混合物を主容器に加え、混合する。シリカ及び二酸化チタンをプレミックスし、主容器に加え、混合する。ポリエチレングリコール‐6、ラウリル硫酸ナトリウム溶液、ジエチルヘキシルスルホ酢酸ナトリウム溶液及び香味料を主容器に加え、混合する。
【0032】
実施例3
これが、本発明による残留型オーバーナイトジェルである。
【表3】

**精製水中でプレミックス
作製指示:
水、クエン酸亜鉛二水和物及びサッカリンナトリウムを本混合容器に加え、混合する。グリセリン中にキサンタンガム及びヒドロキシエチルセルロースを分散し、その混合物を主容器に加え、混合する。シリカ及び二酸化チタンをプレミックスし、主容器に加え、混合する。ポリエチレングリコール‐6、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム溶液及び香味料を主容器に加え、混合する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.口腔用組成物であって、
a)抗菌に有効な量の水溶性亜鉛塩;
b)スルホ酢酸アルキル、スルホコハク酸ジアルキル、スルホスクシナミン酸ジアルキルのアルカリ金属又はアンモニウム塩、及びこれらの混合物から選択される収斂性低減界面活性剤;及び
c)経口可能なキャリア
を含む、口腔用組成物。
【請求項2】
前記亜鉛塩が、有機酸の亜鉛塩、好ましくはカルボン酸の亜鉛塩から選択される、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
前記亜鉛塩が、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、及びこれらの混合物から選択され、好ましくは前記亜鉛塩がクエン酸亜鉛を含む、請求項2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
0.01〜1.0重量%の亜鉛イオン、好ましくは0.05〜0.3重量%の亜鉛イオンを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の口腔用組成物。
【請求項5】
亜鉛イオンに対する前記収斂性低減界面活性剤の重量比が、1:1〜6:1である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の口腔用組成物。
【請求項6】
前記収斂性低減界面活性剤が、スルホ酢酸アルキルのアルカリ金属又はアンモニウム塩、及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の口腔用組成物。
【請求項7】
0.1〜2重量%、好ましくは0.2〜1重量%の前記収斂性低減界面活性剤を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の口腔用組成物。
【請求項8】
更に、アルキル硫酸ナトリウムを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の口腔用組成物。
【請求項9】
前記組成物が、8未満、好ましくは5〜7、より好ましくは6.0〜6.7のpHを有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の口腔用組成物。
【請求項10】
前記組成物が、キサンタンガム及びヒドロキシエチルセルロースを含む増粘剤系を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の口腔用組成物。

【公表番号】特表2008−519043(P2008−519043A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540080(P2007−540080)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/040045
【国際公開番号】WO2006/052762
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】