説明

改良された把持アセンブリを有する押し込み式パイプコネクタ

本発明は、押し込み式パイプコネクタ(1)のための把持アセンブリ(5)およびそれを備えたコネクタに関する。この把持アセンブリは、パイプ(4)がいったん挿入されると、コネクタから引抜かれることを防止する。このアセンブリは把持装置および支持構造(10)を備える。この把持装置は、半径方向内側に延びる傾斜した歯(11)と半径方向外側に延びる傾斜した脚(12)とを備える。この支持構造は、把持装置の脚を収容するための環状の溝(15)を備える。この溝は、脚の外側と対向する外側壁(18)と脚(12)の内側と対向する内側壁(16)との間に形成される。半径方向断面において見た場合、この溝の幅(X)は、溝(15)の入口(E)付近で狭く、溝(15)の底(B)に向かって広がっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押し込みタイプのパイプコネクタにおいて使用し、パイプが装填されたときに、コネクタにその挿入されたパイプを保持するように構成された、把持アセンブリに関する。本発明はさらに、そのような把持アセンブリを備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
把持アセンブリは例えば特許文献1から公知である。図6は、挿入されたパイプを有する公知のアセンブリであり、図7は、挿入されたパイプが(引抜き方向に)装填されている同様の把持アセンブリを示す。把持アセンブリは、V状または鞍状(saddle−shaped)の断面を有し、傾斜した歯を半径方向内側に延ばし、かつ傾斜した脚を半径方向外側に延ばした環状の把持装置を備える。このアセンブリはさらに支持構造を備え、把持装置の脚を収容するための円錐形の溝を備える。溝は傾斜した外側壁と傾斜した内側壁との間に規定されおり、それら両方は同じ傾斜角度を有している。この角度は、把持装置の脚の角度よりも大きいものとして特定されている。この記載において、用語「傾斜している」とは、コネクタの中心軸を基準にしているものとする。
【0003】
パイプを挿入する前には、この公知の把持装置は、溝の内側の傾斜した壁に接触し、その脚の先端で静止し、その歯の先端を、パイプの通路へと突出させている。挿入の間には、そのパイプはこれらの歯にトルクをかけて、それによりそれらの歯は外側へ、すなわちパイプの通路の外側へと偏向する。同時に、把持装置は、軸方向に沿って移動されて、内壁の傾斜角度が脚の角度よりも大きいという事実に起因して、脚の先端を内壁に沿って進ませ、かつその内壁によって外側へと付勢させる。
【0004】
この公知の把持装置の不利点は、歯および脚の変形が、比較的大きな挿入力を必要とすることである。また、この把持装置において発生する変形エネルギによって、歯を、パイプの外側表面に対して非常に強く付勢してしまう。これにより、その外側表面に傷を付ける場合もあり、それによって、その表面周囲、すなわち(挿入方向において見た場合)把持装置の下方にある漏れ防止のシールを達成することを困難にする場合がある。結果として、このシールは、パイプの内側に対して達成される必要があるか、または、パイプの外側に対して、すなわち把持装置の上方に対して達成されるかのいずれかが必要となる。第1の選択肢(前述の従来技術の特許文献1に示される)は、コネクタに、パイプの内側にあるシールをサポートするための追加のスピゴットを備えることを必要とする。このように内部においてシーリングを行うコネクタは、例えば、任意の種類のパイプ、例えば銅のパイプには適切ではない。第2の選択肢(把持装置の上方にあるシール)は取付誤差を生じる場合がある。パイプは十分には挿入されない場合があり、というのも、シールリングの抵抗力により、設置者が、ジョイントが既になされていると誤って認識してしまう場合があるからである。パイプは、把持装置によって正しく保持されていないのであれば、その使用中に、続いて動かなくなるかまたは飛び出してしまう場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−180654
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、上述の種類の把持アセンブリを提供することであり、ここで公知の把持アセンブリの不利点は克服されるか、または少なくとも低減される。この目的のために、本発明に係る把持アセンブリは、把持装置の脚を収容するための溝が、半径方向断面において見ると、溝の入口側から溝の底側に向かって増加する幅を有することを特徴とする。
【0007】
このような構成により、溝に収容された脚は所定の角度に亘って回転することができ、これにより、把持装置全体がその方向に(すなわち、接線(tangential)の軸周囲を)回転することができる。このように、パイプの挿入時に、変形または偏向されるのではなく、トルクがかけられるとき、歯は(少なくとも初期の段階においては)妨害することなく、回転される。把持装置は、歯を変形するよりも、より少ない力しか必要としないので、挿入力は低減可能である。パイプの外側表面に対して付勢される弾性的な変形力が著しく低下されるか、または完全になくなるので、パイプが歯によって損傷を受ける危険もまた低減される。結果として、把持装置の下方、すなわち、把持装置を通過したパイプの部分周囲にシールを用意できる。これにより、上方での(upstream)シールまたは内部でのシールに付随している前述の不利点を回避し得る。
【0008】
溝が広がっていくことについては、例えば、線形、漸次的増加、漸次的減少などいかなる態様で生じてもよい。
【0009】
本発明のさらなる態様によれば、内側壁は、溝の入口において、凸状に湾曲した、または丸みが付けられた縁が備わっていてよい。このような縁は、挿入方向における把持装置のためのストッパーの機能を果たすことができ、かつ、さらには梃子の支点として機能してもよい。結果として、把持装置の停止および/または回転は、固定した特定の位置において生じてよい。このようにして、パイプをジョイントする間の把持装置の挙動を、少なくともある程度まで制御することができ、これにより、支持構造の残り(特に、溝の幾何学的形状)を、好ましい方向において、把持装置を支持し、かつさらに誘導するように寸法付けることができる。
【0010】
本発明の別の態様によれば、溝を越えて延びる外側壁は凹状に湾曲しているか、または丸みが付けられた肩部が備わっていてもよい。この肩部は、挿入されたパイプが装填されたとき、把持装置のためのストッパーとして機能し、これにより、パイプおよび把持装置の引き抜き方向における移動を制限する。この肩部は把持装置のための梃子の支点としてさらに機能してもよく、歯がパイプにより深く食い込む位置に向かってこの装置を回転させることができる。
【0011】
肩部の特定の形状、すなわち凹状に湾曲した形状により、把持装置は、その位置における正確な方向(すなわち接線の軸周囲の回転軸)にかかわらず、かつ、その位置での変形(すなわち、先立つ挿入および引き抜き処理の間、歯および/または脚が内側または外側に偏向される程度により決定される、その先端の大きさ)にかからわず、固定された特定の位置において止まる。これは、前述の従来技術である特許文献1に示されるようなV状の肩部とは対照的であり、この文献においては、把持装置の正確な停止位置およびその後の回転可能性は、把持装置が肩部に到達するときの、その把持装置の瞬間的な方向性および変形に多く依存するものである。把持装置のこの瞬間的な方向性および変形は、用いられるパイプの外径に基づいた許容誤差に例えば起因して、個々のケースに従って様々であってよい。例えば、外径が比較的大きいパイプを用いると、歯は、その把持装置がより小さいパイプを用いたときよりも、肩部に到達するときに、さらに偏向され得る。結果として、把持装置の先端はより小さくなり、パイプを引き抜く際には、V状の肩部へさらに付勢されることとなる。これは、パイプの引き抜きを、後の位置において止めるだけでなく、把持装置を、肩部に無理にくさびを打って押し込ませる(wedge)こととなり、これにより、歯がパイプ上でそれらの把持力を上昇させることができるように回転する機会を減じてしまう。肩部へ深く進み過ぎた場合、把持装置の脚は、溝から外れてしまう場合があり、このことは、把持装置の首尾良い機能性にとっては致命的であり得る。
【0012】
本発明に係る把持アセンブリの幾何学的形状は、特定の構想に従い、かつ、パイプの外径の製造許容誤差および/またはパイプの装填条件におけるばらつき等の外部変数とは実質的に無関係に、把持装置を適切に実行することができるように作用する。結果として、把持アセンブリは、首尾良い挿入性能(例えば、低い挿入力、パイプ表面への損傷が殆どないこと等)および首尾良い保持性能(例えば、効果的な把持力によって損傷を最小限にし、パイプの弱体化を最小限に留め、歯の穿通深さを制限する等)を特徴付けるように設計できる。
【0013】
歯の穿通深さを制限することは、本発明において、把持装置の最大回転角度を制御することによってもたらされることができる。これは、次いで、肩部および溝の設計を互いにかみ合わせることによって達成可能であり、ここで、上記したように、肩部は、把持装置の端部位置を正確に定めることができ、また、溝は、この端部位置におけるこの装置の可能な最大回転角度を次いで決定することができる。従って、歯の最大回転角度は、正確に制御可能であり、それにより、パイプへの歯の穿通深さもまた可能である。これは、例えばバリアパイプまたは金属プラスチックパイプ等の多層パイプに特に当てはまってよい。例えば、歯が特定の層を穿通することで、さもなければ、パイプの一体性を危うくするか、または電食をもたらしてしまう(金属プラスチックパイプの場合)とき、歯が特定の層を穿通しないようにすることを助けてもよい。
【0014】
本発明の別の態様によれば、把持アセンブリの歯の数は奇数であってよい。このように歯の数が奇数であることによって、パイプを挿入するとき、軸方向の位置合わせを容易にし得る。
【0015】
本発明のさらなる態様によれば、使用の際、この把持アセンブリに挿入されてもよいパイプ、すなわち、この把持アセンブリが対象とするパイプの外周に対応するピッチ円において少なくとも測定される場合、歯の幅は、隣接する歯の間の間隔の幅と実質的に等しくてよい。(パイプは通常、規格化された直径であることを留意されたい。従って、パイプコネクタおよび把持アセンブリもまた、この規格のパイプの大きさに従っている)。このような設計により、把持されないパイプ部分の幅は、そのパイプの把持される部分の幅と実質的に等しく、その結果、以下でさらに検討するよう利点と共に、約50%の接触比率となる。
【0016】
本記載において、接触比率は、把持アセンブリ、特にその歯が、挿入されているパイプと接触する円周の長さとして規定され、当該パイプの円周の全長の百分率として表される。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、把持アセンブリは、異なる外径のパイプをジョイントするために用いられてよい。このような場合、個々の把持アセンブリの接触比率は、好ましくは、直径の範囲全体に亘って実質的に一定に保たれる。このようにすることによって、「噛み切り(bite off)」と呼ばれる現象の発生は、特に、比較的大きな外径、例えば20mmよりも大きな外径のパイプについて、低減され得る。
【0018】
従来技術の把持アセンブリは、パイプの直径が増加すると、把持アセンブリの接触比が増加する傾向にある。例えば、比較的小さなパイプに対しては、その接触比率は約40%であってよく、これに対して、より大きなパイプに対しては、その接触比率は60%以上であってよい。把持されるパイプの最終的な強さは、「把持されない」部分、すなわち、把持アセンブリの隣接する歯の間に延びるパイプの部分によって大まかに決定されることを出願人は認識している。これらの把持されない部分が少なすぎる場合、局所的な圧力が、この部分がへこみ始める位置に達し得て、この結果パイプが「噛み切られる」場合がある。このように、適切な接触比率を選択し、かつ直径の範囲全体に亘ってこの比率を一定に保つことによって、一貫した統合がその直径の範囲全体に亘って達成可能である。もちろん、この噛み切りといった現象に対しての影響の受け易さは、他のパラメータ、例えば、個々のパイプの壁厚、パイプおよび/または把持アセンブリの材料、把持する歯の「噛み込み」の深さ、パイプが被る装填状況全体等に影響を受ける場合がある。それゆえ、最適な接触比率は、範囲に従って、かつ意図された用途に従って様々であってよい。
【0019】
一般に、歯が十分な強度を有することを保証するために、かつ、十分な総把持力を得るために、好ましい接触比率は30%〜40%より高く、ならびに、把持されない部分が噛み切りによる欠損を防ぐための十分な強度を有することを保証するために、60%〜70%未満である。約50%の接触比率が、最適な結果を提供することができ、一方で十分な把持力を提供し、同時に他方でパイプの一体性を保護することができる。
【0020】
用語「一定の」とは、限定し過ぎないように解釈される必要がある。用語「実質的に」とは、特定の余裕を許容するために加えられており、一定の名目上の値に関して考慮される場合、例えば、±5%であり、なぜならば、特に、実際の接触比率は、コネクタが対象とするパイプの外径上と同じように、そのコネクタおよび把持アセンブリの両方の上で、製造における不可避の許容度に起因して、名目上の値からの幾分かの逸脱を示し得るものだからである。
【0021】
一定の接触比率は、外径が増加すると歯の数が増加し、他方で歯の寸法は実質的に一定であることによってもたらされてよい。あるいは、歯の寸法が増加して、他方で、直径の範囲全体に亘って歯の数が同じに保たれてもよい。もちろん組み合わせることも可能であり、これにより、寸法および歯の数の両方が可変である。
【0022】
一定の接触比率およびその構成的な特徴はまた、特許請求の範囲の主たる請求項の限定的な特徴を含まない把持アセンブリの範囲に亘って有利にも適用されてよい。実際には、一定の接触比率は、例えば、回転ではなく、くさび(wedge)を打って無理やり押し込む作用、あるいは一部の他の把持のための構想に基づいている把持アセンブリに適用可能である。
【0023】
本発明に係る把持アセンブリのさらなる有利な実施形態と、その把持アセンブリが備わったコネクタは特許請求の範囲の従属の請求項において説明される。
【0024】
本発明を説明するために、本発明の例示的な実施形態は、本明細書の以下において、添付の図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明に係る把持アセンブリを有するコネクタの1つの実施形態による1つの部分を示し、この把持アセンブリはパイプを受け取る用意のできた状態にある。
【図2】図2は、図1の把持アセンブリの拡大図を示す。
【図3】図3は、上面図において、本発明に係る把持アセンブリにおいて用いるための把持装置の一実施形態を示す。
【図4】図4は、斜視図において、図3の把持装置を示す。
【図5】図5は、稼働中における本発明に係る把持アセンブリを示し、その左側はパイプを挿入した直後の把持アセンブリを示し、その右側は、パイプが引抜き方向に装填されている把持アセンブリを示す。
【図6】図6は、図5の左側、すなわちパイプの挿入直後に相当する状況における従来技術の把持アセンブリを示す。
【図7】図7は、図5の右側、すなわち挿入されたパイプが引抜き方向に従っている状態に相当する状況における従来技術の図6の把持アセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本記載において、同一または対応の部分は、同一または対応の参照符号(図6および図7に示される従来技術の実施形態を除く)を有する。
【0027】
図1は本発明に従った押し込み式コネクタ1を示し、この押し込み式コネクタはパイプ4(図5に示す)を受け取るための口径3を有するソケット2を備える。口径3は、把持アセンブリ5が備わっており、さらに、シール6および/またはリリース用のカラー7が備わっていてよい。
【0028】
コネクタ1は、パイプの端部に形成されてもよく、例えば、2つの長さのパイプをジョイントするための連結器または屈曲部などの結合部品、あるいは、T字の接合部分、マニホルド、またはバルブなどのより複雑な結合部品の一部であってもよい。これらの結合部品の一部は他のソケットを含み、これらは、図示されたものと類似する構造を有してもよく、または有する必要もない。コネクタ1、より詳細にはソケット2は、様々なプラスチック(ポリブチレン等)および金属(真鍮等)、ならびにそれらの組合せを含む様々な広範な材料から形成できる。
【0029】
シール6は、パイプ4が口径3内に十分に受け取られたとき、口径3の半径方向内側の表面とパイプ4の半径方向外側の表面との間に封止をもたらすように適合されている。図示された実施形態において、シール6は、パイプ4の挿入方向Iにおいて見た場合、把持アセンブリ5の下方に位置する。シール6の特定の形状および構成が本発明に対して妥当というわけではなく、様々な広範な代替的な封止を適切に用いることができる。
【0030】
図2において最も良く理解されるように、把持アセンブリ5は把持装置8および支持構造10を備え、これらの両方は、ソケット2の口径3内に同軸で収容される。
【0031】
図3および図4は、本発明に係る把持装置8の一実施形態を示す。把持装置8は、実質的にV状の断面を有し、傾斜した歯11は半径方向内側に延び、傾斜した脚12は半径方向外側に延びている。歯11および脚12は湾曲したブリッジ部分13によって相互連結しており、この部分13は一緒になって、把持装置8の先端14を形成する。この実施形態において、把持装置8の寸法となっているパイプ端部4の外径に対応するピッチ円Sに沿って測定した場合、歯11の幅wは、隣接する歯11の間の間隔の幅w’に対応する。結果として、パイプ4を挿入するとき、把持されないパイプの部分の幅w’は、把持される部分の幅wと実質的に等しく、この結果、接触する割合が約50%といった有利な比となる。さらなる利点は、これらの設計ルールが、他の直径のパイプのために、他の大きさの把持装置8に容易に転用することができることであり、これにより、直径の範囲に亘って特定の程度の標準化を可能にすることである。把持装置8は、広範な材料、好ましくは、金属または様々なプラスチックあるいはそれらの組合せ等の可撓性の材料から形成可能である。
【0032】
支持構造10は、把持装置8の脚12を受け取るように適合された環状の溝15を備える。溝15は、内側壁16と外側壁18との間に規定される。両方の壁16および18は、パイプ4の挿入方向Iとは反対の方向において減少する半径を有する。外側壁18の半径は、最終的に、内側壁16の半径よりも、より減少する。従って、溝15は、その底Bにおいて最大幅Xを有し、その入り口E付近において最小幅を有する。図2において、壁16および18は、代替の実施形態において、傾斜した円錐形状を有するものとして示されているが、半径の減少については、直線的な性質を有さない場合もある。
【0033】
内側壁16は、凸状に丸みが付けられた縁20において、溝15の入口Eにて終端する。外側壁18は、凹状に丸みが付けられた肩部22において、溝15の入口Eを越えて終端する。
【0034】
図示した実施形態において、内側壁16は、実質的に三角形の断面を有する環状の座部17の外側側面部(outer flank)によって形成される。外側壁18は、ソケット2の一部を形成する包囲キャップ19の内側表面によって形成される。このようなモジュール式の構成は製造における利便性を提供することができる。代替的な実施形態において、コネクタ1および/または支持構造10は、単一の一体化したひと繋がりとして形成されてよく、または、異なる方法において共に組み合わされた部品からできていてもよい。
【0035】
ここで、把持アセンブリ5の動作を、図1、図2、および図5を参照して記載する。図2に最も良く表されているように、内側壁16および把持装置8は、把持装置8が装填を外される(unload)間、溝15の入口E付近に配置された内側壁16の一部に接触し、脚12の先端で静止するように寸法付けがなされている。
【0036】
パイプ4が口径3に挿入されている場合、把持装置8は、矢印Rで示される方向において、軸方向内側に動かされ、接線の軸の周りを回転する。これらの動きは同時に、または連続して(特定の順序はない)生じてよい。この回転は、パイプ4が歯11にトルクをかけることによって生じ、かつ、溝15の広がった形状に起因して可能となり、これにより、脚12は半径方向外側(図2においては上向方向に対応する)に回転することができる。把持装置8の軸方向の動きの間、その脚12は、内側壁16の傾斜した表面に沿って走ってよく、この内側壁16は、これらの脚12をさらに上向きに回転させることを促してもよい。
【0037】
この回転により、把持装置8を通る経路は拡張されて、それにより、パイプ4を、わずかな抵抗力で、かつ、表面を傷つける危険がほぼなく、通すことができる。歯11は、パイプ4の経路から曲げられるのではなく、むしろ実質的には回転される。この回転が、歯11を曲げる(変形)よりも、より少ない力しか必要としないので、パイプ4は、僅かな力で挿入可能である。
【0038】
パイプ4が完全に把持装置8に挿入されると、把持装置8は、内側壁16の丸みが付けられた縁20の先端で静止してよい。歯11は、パイプ4の邪魔にならずに完全に回転され、ここでこの回転の最後の部分は弾性的な変形を通じてもたらされてよい。この弾性的な変形により、歯11はパイプ4の外側表面に対して付勢されるが、その力は低減されている。脚12は、それらの先端がアセンブリ5の外側壁18に接するまで上方に向かって回転する。
【0039】
使用の際、ジョイントが加圧され、図5の右側に示すように、パイプ4が軸方向に装填される。これはパイプ4を矢印Lで示される方向に付勢し、把持装置8が肩部22に接するまでその把持装置8を進ませる。パイプ4がさらに引抜かれると、把持装置8は、肩部22を梃子の支点に用いて、Rの方向に回転してよく、これにより、歯11はパイプ4にさらに深く咬むことができ、それらの把持力を上昇させ、かつパイプ4の引抜きをさらに効果的に回避する。もちろん、把持装置8の回転は、肩部22に到達する以前から既に始まっていてもよい。
【0040】
パイプ4を解放するために、リリース用のカラー7は、その前縁部を歯11に対して作用させるように、軸方向内側に、口径3内へと付勢されてよい。さらなる内側への圧力により、歯11はパイプの外側表面から外されて、それにより、パイプ4は口径3から引抜かれることができる。コネクタ1はその後再利用可能である。
【0041】
コネクタ1は、例えば10mmまたはそれ以下〜32mmまたはそれ以上の範囲の異なる径のパイプを接合するために、異なるサイズであってもよい。これらの値は本発明が保護する範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。コネクタ1は、記載したように、把持アセンブリ5に備わっていてよく、好ましくは、直径の範囲全体に亘って実質的に一定である接触比率で備わっていてよい。このような一定した接触比率は、もちろん、図1から図5に示したものとは異なる別の把持装置8および/または別の支持構造10を有する他の種類の把持アセンブリ5を用いて、もたらされてもよい。
【0042】
把持アセンブリ5の稼動および構造上の特徴についてのさらなる利点についての検討のため、本記載の導入部分を参照されたい。
【0043】
本発明は、本記載および図面に提示した例示的な実施形態に限定されない。図示し、記載した実施形態の(部分々の)あらゆる組合せは、本記載内に組み込まれていることが明確に理解されるものであり、かつ本発明の範囲内にあることもまた明確に理解されるものである。さらに、多くの変形もまた、特許請求の範囲の請求項によって述べられているように、本発明の範囲内で可能である。
【図1−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入されたパイプ(4)がコネクタ(1)から引き抜かれることを防止するための、押し込み式のパイプコネクタ(1)のための把持アセンブリ(5)であって、
前記アセンブリ(5)は把持装置(8)と支持構造(10)とを備え、
前記把持装置(8)は、半径方向内側に延びる傾斜した歯(11)と、半径方向外側に延びる傾斜した脚(12)とを有し、
前記支持構造(10)は、前記把持装置(8)の前記脚(12)を収容するための環状の溝(15)を備え、
前記溝(15)は、前記脚(12)の外側と対向する外側壁(18)と前記脚(12)の内側と対向する内側壁(16)との間に形成され、半径方向断面において見た場合、前記溝(15)の幅(X)は、前記溝(15)の入口(E)付近で狭く、前記溝(15)の底(B)に向かって広がっている、把持アセンブリ(5)。
【請求項2】
前記溝の入口(E)における前記内部壁(16)は凸状に丸みが付けられた縁(20)において終端する、請求項1に記載の把持アセンブリ(5)。
【請求項3】
前記外側壁(18)は、前記把持装置(8)のために、ストッパーおよび/または梃子の支点として機能するために、前記溝(15)を越えて延び、かつ、凹状に丸みが付けられた肩部(22)に続いている、請求項1または請求項2に記載の把持アセンブリ(5)。
【請求項4】
前記支持構造(10)は、実質的に三角形の断面を有する座部(17)を備え、前記座部(17)の半径方向外側側面部は前記溝(15)の前記内側壁(16)を形成する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の把持アセンブリ(5)。
【請求項5】
挿入された前記パイプ(4)と周囲にあるコネクタ(1)の周りに封止を達成するために、挿入方向(I)において見て、前記把持装置(8)の下方に位置するシール(6)をさらに備える、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の把持アセンブリ(5)。
【請求項6】
前記把持装置(8)および前記内側壁(16)の寸法は、前記把持装置(8)が、装填を外された状態において、前記溝(15)の入口(E)付近、少なくとも、前記底(B)よりも、前記溝(15)の入口(E)により近い位置に位置した前記内側壁(16)の部分に接触して、前記脚(12)の先端で静止するようになっている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の把持アセンブリ(5)。
【請求項7】
前記把持装置(8)は奇数の数の歯(11)を有する、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の把持アセンブリ(5)。
【請求項8】
使用の際に、前記把持アセンブリ(5)に挿入され得るパイプ(4)の外周に対応するピッチ円(S)において少なくとも測定されたとき、前記把持装置(8)の前記歯(11)は、隣接する歯(11)の間の間隔の幅(w’)に実質的に等しい幅(w)を有する、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の把持アセンブリ(5)。
【請求項9】
様々なパイプの直径を収容するための、異なる大きさの押し込み式コネクタ(1)のための一連の把持アセンブリ(5)であって、各把持アセンブリ(5)の接触比率は、直径の範囲に亘って実質的に一定であり、前記接触比率は、前記把持装置(8)が、挿入されているパイプ(4)と接触する円周の長さとして規定され、当該パイプの円周の全長の百分率として表される、一連の把持アセンブリ(5)。
【請求項10】
前記接触比率の値は、約30%より高く、好ましくは、約40%より高く、かつ約70%より低く、好ましくは60%より低く、最も好ましくは約50%である、請求項9に記載の一連の把持アセンブリ(5)。
【請求項11】
前記直径の範囲に亘る接触比率の値は、名目上の値で±5%未満で偏位する、請求項9または請求項10に記載の一連の把持アセンブリ(5)。
【請求項12】
各把持装置(8)は、前記直径の範囲に亘って同数の歯(11)を有する、請求項9から請求項11のいずれか一項に記載の一連の把持アセンブリ(5)。
【請求項13】
前記把持装置(8)ごとの歯の数は、各々の把持アセンブリ(5)が対象とするパイプの直径が増加すると、増える、請求項9から請求項12のいずれか一項に記載の一連の把持アセンブリ(5)。
【請求項14】
パイプ(4)、および請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の把持装置(5)を受け取るためのソケット(2)を備える、押し込み式のパイプコネクタ(1)。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−515302(P2012−515302A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545310(P2011−545310)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【国際出願番号】PCT/NL2010/000002
【国際公開番号】WO2010/080027
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(511106226)
【Fターム(参考)】