説明

改良された菓子製品およびその製造方法

本発明は、カルシウム親水コロイド複合材料と少なくとも1種の糖アルコールを含む凝集体、それを調製する方法およびその様々な用途に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルシウム親水コロイド複合材料と少なくとも1種の糖アルコールとを含む凝集体、該凝集体を含む菓子製品および該凝集体を取得するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
その味のためだけでなく、機能的利益のために魅力がある菓子製品に関する顧客のどんどん増加する要求に起因して、ますます革新的な菓子が開発されている。それらの中には、特に、非齲蝕性であり、糖尿病を患う消費者にとって好適である無糖菓子製品などの、消費者にとっていくらかの健康効果を提供するものがある。そのような型の無糖菓子製品は、例えば、DE 195 32 395 C2またはDE 196 39 342 C2に開示されている。多くのさらなる文献が、糖アルコールなどのシュガーレス成分により、およびスクロースの非存在に起因して調製された食物、特に、チューイングガムおよび飴が、いくらかの健康効果を提供することを記載している。
【0003】
しかしながら、これらの製品は健康、特に、歯の健康を害さないが、消費者の健康をさらに促進する菓子を提供することが有利であろう。この目的のために、WO 2004/028262は、コーティングされたチューイングガムの使用であって、少なくとも1つの該コーティング層の中に、わずかに水溶性のカルシウム塩またはそのようなカルシウム塩とさらなる成分との混合物が含まれる、前記使用を記載している。そのようなチューイングガムは、歯の材料中のミネラルの喪失からの相殺を意味する、歯の材料の再石灰化を促進すると言われる。さらに、前記材料により、いわゆる新石灰化プロセスが可能になり、生体模倣材料の形成を誘導する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記チューイングガムにより提供される新石灰化プロセスの効率は、ある程度までしか与えられない。従って、本発明の課題は、菓子の性質のものだけでなく、有益な健康効果をさらに提供し、特に、改善された歯の再石灰化および新石灰化プロセスをもたらす製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、カルシウム親水コロイド複合材料と少なくとも1種の糖アルコールとを含む凝集体の提供により前記問題を解決する。本発明はまた、前記凝集体および該凝集体を含むか、またはそれから製造される菓子製品を取得するための方法の提供によりこの問題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
驚くべきことに、本発明の有利な凝集体を含む菓子製品は、特に、歯の健康を保ち、かつ促進することにより、かなりの健康利益を提供するだけでなく、非常に好ましい感覚刺激およびセンサープロフィールも示すことが見出された。本発明の凝集体を含む製品は、驚くべきことに、その構成要素、すなわち、糖アルコール成分、特に、カルシウム塩成分および親水コロイド成分の極めて均質な分布を示し、表面の滑らかさ、製品全体の質感および消費者による許容性を改善する。最も有利には、カルシウム塩、特に、カルシウム親水コロイド複合材料は、前記凝集体および特に、該凝集体を含むか、またはそれから作製される製品中に、非常に均質かつ微細に分布し、次いで、消費者、特に、消費者の歯および他の口器への該複合材料の高密度で均質な適用が可能になる。かくして、本発明は、カルシウム成分のより良好な分散を誘導し、そのカルシウム成分の改良された、特に、より一定かつより速い放出を可能にする。明らかに、これは、少なくとも1種の糖アルコールとカルシウム親水コロイド複合材料との徹底的かつ分離不可能な混合により、前記製品への特異的構造的寄与を提供する、本発明で開発された凝集体の形成に起因するものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】アパタイト-ゼラチン-複合材料(1%)とイソマルトGS-F(粒子の90%が100〜800μmのサイズを有する)を含む凝集体を示す。
【図2】アパタイト-ゼラチン-複合材料(1%)とイソマルトGS-PAを含む凝集体を示す。
【図3】イソマルトに基づく錠剤における破壊強度と圧力との関係を示す。
【図4】ハードキャラメル中に最終含量0.6重量%のアパタイト-ゼラチン-複合材料の凝集体を含むハードキャラメルから作製された浸漬溶液を用いる処理後の象牙質板を示す。
【図5】ハードキャラメル中に最終濃度0.2重量%のアパタイト-ゼラチン-複合材料の凝集体を含むハードキャラメルから作製された浸漬溶液を用いる処理後の象牙質板を示す。
【図6】実施例1の凝集体を含む圧縮製品から作製された浸漬溶液を用いる象牙質板の処理を示す(未処理)。
【図7】実施例1の凝集体を含む圧縮製品から作製された浸漬溶液を用いる象牙質板の処理を示す(1.0%のアパタイト-ゼラチン-複合材料を含む圧縮製品顆粒を用いる処理)。
【図8】実施例1の凝集体を含む圧縮製品から作製された浸漬溶液を用いる象牙質板の処理を示す(0.2%のアパタイト-ゼラチン-複合材料を含む圧縮製品顆粒を用いる処理)。
【図9】比較例としての押出しハードキャラメルの塊の表面を示す。
【図10】本発明の凝集体を用いて調製された押出しハードキャラメルの塊の表面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
かくして、好ましくは、本発明の凝集体の同一性を、元素、特に、カルシウムおよびリンの部位特異的マッピングと同時に、光学顕微鏡法および走査電子顕微鏡法、特に、エネルギー分散X線分光分析(EDX)により認識することができる。
【0009】
特に好ましい実施形態においては、本発明の製品中の本発明の凝集体の存在を、菓子製品の埋め込まれたサンプル上での光学顕微鏡法および走査電子顕微鏡法、特に、エネルギー分散X線分光分析(EDX)により認識することができる。
【0010】
好ましくは、本発明の凝集体の成分の形態のわずかに水溶性のカルシウム塩を含む該凝集体の添加により、生体材料の新しい層が歯の上で形成し得る。この材料は、天然の硬い歯の組織と化学的かつ構造的に非常に類似している。従って、それはカルシウムおよびリン酸を欠損する領域(病変)のミネラル含量を、依然として適切な位置にその結晶構造で補うだけでなく(一般的な歯の再石灰化)、歯に付着し、そのナノ構造中で象牙質様である新しい材料を形成する(歯の新石灰化)。本発明の文脈における再石灰化は、歯の材料中でのイオンの再堆積である、すなわち、エナメル質および象牙質などの存在する硬い組織内でのイオンを欠損する病変の充填である。生体材料のこの新しい形成を、以後、新石灰化と呼ぶ。本発明の文脈においては、用語「石灰化」は、再石灰化だけでなく、新石灰化も含む。
【0011】
本発明の文脈においては、複合材料は、カルシウム塩、好ましくは、わずかに水溶性のカルシウム塩と、少なくとも1種の他の成分、すなわち、親水コロイド材料とを含む複合材料であり、この複合材料は、顕微鏡レベルで不均一であるが、肉眼では均一であるように見える。
【0012】
少なくとも1種の糖アルコールと、好ましくは、親水コロイド成分、好ましくは、タンパク質成分を含むわずかに水溶性のカルシウム塩の複合物との凝集体は、歯の再石灰化に加えて、完全に新しい結晶の形成により、歯の象牙質および/または歯のエナメル質における比較的大きい程度の損傷を軽減することもできる。
【0013】
石灰化された組織、例えば、歯の材料の天然の形成においては、タンパク質マトリックスが、歯または骨におけるヒドロキシアパタイトの規則的蓄積を引き起こし、このタンパク質マトリックスは、象牙質の場合、原理的にはコラーゲンおよびまた他のタンパク質からなる。好ましくは、わずかに可溶性のカルシウム塩と親水コロイドの複合物を含む本発明の凝集体に関して、新石灰化は生体石灰化と同様の様式で進行し、これは歯の健康に対して特に有益な効果をもたらす。
【0014】
本発明の文脈においては、凝集体は凝集プロセスにより得られる製品である。凝集プロセスは、少なくとも2種の異なる物質を、遠心分離、篩い、沈降などの物理的分離工程によりそれ以上分割することができない様式で、それらを物理的に混合するプロセスである。
【0015】
本発明の特に好ましい実施形態においては、凝集体は、カルシウム親水コロイド複合材料と混合された粉砕された糖アルコールの小さい結晶である。そのような凝集体は、特に、そのカルシウム成分に関して、優れた、特に、均質かつ均一な崩壊および溶解プロフィールを提供する。カルシウム親水コロイド複合材料は、これに関して、糖アルコール粒子の結合剤として機能する。
【0016】
本発明の好ましい実施形態においては、凝集体は、特に、流動床凝集装置を用いる、流動床凝集プロセスの使用により得られた製品である。流動床凝集プロセスは、流動床中で凝集させようとする両物質を、特に、該物質を流動させ、凝集体を産生する条件にそれらをかける、液体もしくは気体、特に、空気の流れの中に分布させることを特徴とする。特に好ましい実施形態においては、本発明の凝集体を、水性分散物の形態のカルシウム親水コロイド複合材料と、乾燥および粉末化形態の少なくとも1種の糖アルコールとを、流動する気流中に噴霧することにより調製し、ここで、両物質を、同時に、または一方の後に他方を、すなわち、最初に少なくとも1種の糖アルコール、次いで、水性分散物、または最初に水性分散物、次いで、少なくとも1種の糖アルコールを噴霧することができる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態においては、前記糖アルコールを、イソマルト、イソマルトGS、1,1-GPM (1-O-α-D-グルコピラノシル-D-マンニトール)、1,6-GPS (6-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール)、1,1-GPS (1-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール)、1,1-GPS、1,1-GPMおよび1,6-GPSの混合物、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、マルチトールシロップ、マルチトール、ソルビトールならびにエリスリトールからなる群より選択する。
【0018】
本発明の特に好ましい実施形態においては、用いられる糖アルコールは、100μm未満、好ましくは、50μm未満の直径を有する粒子の形態にあり、特に、該粒子の90%が、100μm未満、好ましくは、50μm未満の直径を有する。
【0019】
本発明の文脈においては、イソマルトGSは、71〜79%の1,6-GPSと21〜29%の1,1-GPM、好ましくは75%の1,6-GPSと25%の1,1-GPMの比率の1,6-GPSと1,1-GPMの混合物である。イソマルトは、43〜57%の1,6-GPSと43〜57%の1,1-GPMの混合物、好ましくは、1:1混合物である(値は乾燥物質における重量%で与えられる)。
【0020】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、用いられる糖アルコールは、粉砕されたイソマルト、特に、粉砕されたイソマルト粒子が100μm未満(PF)、好ましくは50μm未満(PA)の直径を有する粉砕されたイソマルトである。
【0021】
本発明の好ましい実施形態においては、前記凝集体は、粒子の90%が100μm未満、好ましくは50μm未満の直径を有する、粒子の形態の少なくとも1種の当アルコール、特に、イソマルトまたはイソマルトGSを含む。
【0022】
特に好ましい実施形態においては、用いられる糖アルコール、特に、イソマルトまたはイソマルトGSを、粒子の全部または少なくとも90%が、100μm未満、好ましくは50μm未満の直径を有する、粒子の形態で使用する。好ましい実施形態においては、これらの粒子は、特に好ましくは、その中心および表面を含む完全な凝集体を通して、カルシウム塩を意味するカルシウム成分の均一かつ均質な分布をもたらす。かくして、この好ましい実施形態においては、100μm未満、好ましくは50μm未満の直径を有するイソマルトまたはイソマルトGS粒子の使用は、例えば、凝集体の表面上で、局所クラスターまたはより高濃度のカルシウム成分を形成することなく、三次元の均質かつ均一な分布をもたらす。
【0023】
本発明の好ましい実施形態においては、前記糖アルコール粒子は、凝集体中で均質に分布する。
【0024】
本発明の好ましい実施形態においては、カルシウム親水コロイド複合材料は、カルシウム塩と親水コロイド成分とを含む。
【0025】
本発明の好ましい実施形態においては、前記凝集体は、1000 nm未満の直径を有するカルシウム塩の粒子の形態の該カルシウム塩を含み、好ましくは、該粒子の少なくとも90%が1000 nm未満の直径を有する。
【0026】
さらに好ましい実施形態においては、本発明に従って用いられるカルシウム塩を、結晶の形態で、または多数の結晶もしくは粒子を含む粒子の形態で使用し、この粒子は1000 nm未満、好ましくは300 nm未満の平均粒子径を有し、またこの粒子は好ましくは、棹状もしくは血小板形状、特に、血小板様の形態である。
【0027】
さらに好ましい実施形態においては、本発明に従うカルシウム塩の単一結晶は、2〜50 nmの幅および10〜150 nmの長さ、好ましくは、2〜15 nmの幅および10〜50 nmの長さ、好ましくは、3〜11 nmの幅および15〜25 nmの長さを有する。
【0028】
さらに好ましい実施形態においては、本発明に従って用いられるカルシウム塩は、1000 nm未満、好ましくは300 nm未満の平均粒子径を有する。
【0029】
さらに好ましい実施形態においては、用いられるカルシウム塩の粒子は、血小板様の形態を有し、10〜150 nmの長さおよび5〜150 nmの幅を有する。
【0030】
さらに好ましい実施形態においては、カルシウム塩の粒子は、1〜4、好ましくは1〜3、最も好ましくは1〜2の長さと幅の関係を有する。
【0031】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、カルシウム塩の粒子は、0.1 x 10〜15 m2〜90 x 10〜15 m2、好ましくは、0.5 x 10〜15 m2〜50 x 10〜15 m2、好ましくは、1.0 x 10〜15 m2〜30 x 10〜15 m2、特に、1.5 x 10〜15 m2〜15 x 10〜15 m2のサイズを有する。
【0032】
本明細書に記載の粒子径を、走査電子顕微鏡法(SEM)および透過電子顕微鏡法(TEM)または他の光学技術もしくはスクリーニング技術により、例えば、粒度測定器を用いて測定する。
【0033】
本発明の好ましい実施形態においては、前記カルシウム塩の粒子は、5〜300 nmの直径を有し、好ましくは、該粒子の少なくとも90%が5〜300 nmの直径を有する。
【0034】
本発明の好ましい実施形態においては、前記カルシウム塩は、わずかに水溶性のカルシウム塩であり、好ましくは棹状および血小板状の結晶の形態にある。
【0035】
わずかに水溶性のカルシウム塩とは、20℃で、0.1重量(1 g/l)未満で水中に可溶性である塩を指す。
【0036】
好ましい実施形態に従えば、好ましくは、わずかに水溶性のカルシウム塩は、1000 nm未満の粒子径または粒子微粒度を有する。本発明の文脈においては、粒子微粒度は、その最も大きい長さの方向の粒子直径である。平均粒子径微粒度は、体積平均値に関する。
【0037】
好ましい実施形態に従えば、前記カルシウム塩、好ましくは、わずかに水溶性のカルシウム塩は、5〜300 nm、特に5〜100 nmの粒子径または粒子微粒度を有する。これらの特に低い粒子径または粒子微粒度の利点は、これらの一次粒子が、特に有効な歯の再石灰化を示し、さらに、硬い歯の組織と非常に類似する材料の新しい新石灰化層を形成する能力を有する。
【0038】
特に好ましい実施形態に従えば、前記カルシウム塩は、細長い形状、特に、棹状または血小板様の形状を有する。これは、それらが生物アパタイト、例えば、骨アパタイトまたは象牙質アパタイトの形状と非常に類似するという特定の利点を有し、従って、再石灰化および新石灰化のための特に良好な能力を有する。
【0039】
本発明の好ましい実施形態においては、前記カルシウム塩の粒子は、20〜70 nm、好ましくは、20〜30 nmの直径を有し、好ましくは、該粒子の少なくとも90%が20〜70 nm、好ましくは20〜30 nmの直径を有する。
【0040】
本発明にとって好ましいカルシウム塩は、ヒドロキシリン酸カルシウム(Ca5[OH(PO4)3])もしくはヒドロキシアパタイト、フルオロリン酸カルシウム(Ca5[F(PO4)3])もしくはフルオロアパタイト、組成(Ca5(PO4)3(OH,F)のフッ素ドープヒドロキシアパタイトおよびフッ化カルシウム (CaF2)またはホタル石、ならびにまた、リン酸ジ-、トリ-もしくはテトラカルシウムなどの他のリン酸カルシウム (Ca2P2O7、Ca3(PO4)2、Ca4P2O9)、オキシアパタイト(Ca10(PO4)6O)もしくは非化学量論的ヒドロキシアパタイト(Ca5-1/2 (x+y) (PO4)3x (HPO4)x(OH)1-y)である。炭酸含有非化学量論的アパタイト、例えば、Ca5-1/2 (x+y+z) (PO4)3-x-z (HPO4)x (CO3)z(OH)1-y、リン酸水素カルシウム、例えば、CaH(PO4)・2H2Oおよびリン酸オクタカルシウム、例えば、Ca8H2(PO4)6・5H2Oも好ましい。
【0041】
本発明の好ましい実施形態においては、前記カルシウム塩を、アパタイト、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、フッ素ドープヒドロキシアパタイト、炭酸含有非化学量論的アパタイト、炭酸アパタイトおよび炭酸フルオロアパタイトからなる群より選択する。
【0042】
本発明の最も好ましいカルシウム親水コロイド複合材料は、特に、明確に識別できる結晶形態を有する、微粉化されたわずかに可溶性のカルシウム塩、好ましくは、ヒドロキシアパタイトナノ粒子を含み、従って、その粒子微粒度が5〜300 nmの範囲にあり、微粉化タンパク質、タンパク質加水分解物もしくはその誘導体が、微粉化カルシウム塩がタンパク質構造上にあり、外見上これらを空間的に再生するような様式で空間的構造を形成するものである。好ましくはそのような好適なナノ粒子カルシウム塩とタンパク質成分からなる複合材料は、それらに由来する糖アルコール凝集体を含む製品の消費の際に、歯の特に良好な石灰化を誘導する。
【0043】
わずかに水溶性のカルシウム塩を、特に容易に棹状形態にあるタンパク質鎖に付加することができる。これは、前記複合材料の粘着の顕著な改善をもたらす。特に本明細書において好適であるミネラルは、5〜300 nm、好ましくは5〜100 nmの粒子微粒度を有する一次粒子であるが、これは、これらの特に小さい結晶が生物アパタイトの形状と非常に類似するからであり、また、小さいサイズがタンパク質鎖にさらに良好に付加することもできるからである。これらの複合物は結果として、特に有効な歯の石灰化を誘導する。
【0044】
本発明の好ましいカルシウム塩は、ヒドロキシアパタイト、炭酸含有非化学量論的アパタイト、フルオロアパタイト、フッ素ドープヒドロキシアパタイトおよびその混合物から選択される微粉化されたわずかに水溶性のカルシウム塩である。
【0045】
本発明の好ましい実施形態においては、前記カルシウム塩を、凝集体中に均質に分布させる。
【0046】
本発明の好ましい実施形態においては、前記親水コロイド成分は、タンパク質成分である。
【0047】
本発明に従って、親水コロイド材料、特に、タンパク質成分を、カルシウム塩の表面に吸着させ、その結果として、親水コロイド材料、好ましくはタンパク質成分と、カルシウム塩、好ましくはわずかに水溶性のカルシウム塩との複合材料が形成される。本発明の複合物においては、カルシウム塩の一次粒子を、親水コロイド、特に、タンパク質成分の主鎖に結合させる。特に、吸着されたコロイド、好ましくはタンパク質により、成分の凝固およびカルシウム塩の凝集をも防止し、結晶の成長が遅れる。歯の石灰化の場合、および特に、新石灰化の場合、緩い結晶構造を形成することしかできない、未制御の結晶成長が起こらない場合、それは非常に有利である。タンパク質主鎖により、結晶成長は制御された様式で進行することができる。かくして、特に堅く、固形の結晶構造が形成される。
【0048】
好ましくは、前記複合物中に存在するタンパク質成分を、特に、タンパク質、タンパク質破壊産物およびタンパク質またはタンパク質破壊産物の誘導体から選択する。
【0049】
好ましいタンパク質成分は、その起源とは無関係の全てのタンパク質、例えば、動物タンパク質、植物タンパク質または微生物由来のタンパク質である。好ましい動物タンパク質は、例えば、コラーゲン、フィブロイン、エラスチン、ケラチンおよびアルブミンである。好ましい植物タンパク質は、例えば、小麦産物および小麦胚芽産物(グルテン)、米タンパク質、大豆タンパク質、オート麦タンパク質、豆タンパク質、アーモンドタンパク質およびジャガイモタンパク質である。単細胞タンパク質、例えば、酵母タンパク質または細菌タンパク質も好適である。
【0050】
タンパク質破壊産物は、水に不溶性のタンパク質の加水分解的、酸化的または還元的破壊により、より低い分子量を有し、改善された水溶性を有するオリゴペプチドおよびポリペプチド構造を得ることにより取得可能である産物である。
【0051】
水に不溶性のタンパク質の加水分解的破壊は、最も重要な破壊方法である;それは酸、アルカリまたは酵素の触媒影響下で進行し得る。好ましい好適なものは、特に、水溶性を達成するのに必要とされるものよりもさらに破壊されないタンパク質破壊産物である。
【0052】
少ない破壊タンパク質加水分解物は、例えば、本発明の文脈において好ましいゼラチンを含み、15,000〜400,000 Dの範囲の分子質量を有し得る。ゼラチンは、原理的には酸性またはアルカリ条件下でコラーゲンを加水分解することにより産生されるポリペプチドである。酸性もしくは強酸性条件下で、または酵素作用下で産生されるゼラチンが特に好ましい。
【0053】
本発明の文脈においては、タンパク質およびタンパク質破壊産物の誘導体は、例えば、遊離アミノ基のアシル化により、エチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドおよびヒドロキシル、アミノもしくはカルボキシル基の付加によるか、または例えば、エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドもしくは3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを用いる、タンパク質もしくはタンパク質破壊産物のヒドロキシル基もしくはそのヒドロキシアルキル誘導体のアルキル化により得られる化学的に改変されたタンパク質またはタンパク質加水分解物である。
【0054】
特に好ましい実施形態においては、親水コロイド成分は、ゼラチン、その加水分解物ならびにカゼインおよびその加水分解物からなる群より選択されるタンパク質成分である。
【0055】
カルシウム親水コロイド複合材料中の親水コロイド、特に、タンパク質成分の量は、カルシウム親水コロイド複合材料全体の重量に基づいて、好ましくは0.1〜50重量%であるが、好ましくは、1.0〜45重量%、特に、20〜40重量%である。好ましい実施形態においては、カルシウム親水コロイド複合材料中の親水コロイド、特に、タンパク質成分の量は、カルシウム親水コロイド複合材料の乾燥重量に基づいて、35〜45%、特に、40%である。
【0056】
さらに好ましい実施形態においては、カルシウム親水コロイド複合材料中のカルシウム塩の量は、カルシウム親水コロイド複合材料の乾燥重量の、50〜99.9重量%、好ましくは、55〜99重量%、好ましくは60〜80重量%、最も好ましくは55〜65%および特に、60重量%である。
【0057】
特に好ましい実施形態においては、カルシウム親水コロイド複合材料は、0.1〜50重量%、好ましくは、1.0〜45重量%、最も好ましくは20〜40重量%の親水コロイド成分と、50〜99.9重量%、好ましくは55〜99重量%および好ましくは60〜80重量%のカルシウム塩を含む。
【0058】
さらに好ましい実施形態においては、カルシウム親水コロイド複合材料は、上記で同定された2種の成分に加えて、好ましくは、さらなる成分、すなわち、いわゆる複合添加物、例えば、0.1〜40重量%(カルシウム親水コロイド複合材料の乾燥重量に基づく)の量の非結晶形態のリン酸カルシウムを含んでもよい。
【0059】
好ましい実施形態においては、本発明の凝集体中のカルシウム親水コロイド複合材料の量は、凝集体の乾燥重量に基づいて、0.05〜5.0重量%、好ましくは0.1〜2.0重量%、最も好ましくは、0.5〜1.5重量%、特に、0.2〜2.0重量%である。
【0060】
特に好ましい実施形態においては、本発明の凝集体中の少なくとも1種の糖アルコールの量は、凝集体の乾燥重量に基づいて、95.0〜99.95%、好ましくは98.0〜99.9%、好ましくは98.5〜99.5%、特に、98.0〜99.8%である。
【0061】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、前記凝集体は、0.05〜5.0重量%、好ましくは0.1〜2.0重量%、好ましくは0.5〜1.5重量%、好ましくは0.2〜2.0重量%のカルシウム親水コロイド複合材料と、95.0〜99.95重量%、好ましくは98.0〜99.9重量%、好ましくは98.5〜99.5重量%、好ましくは98.0〜99.8重量%の少なくとも1種の糖アルコールとを含む。好ましくは、そのような凝集体は、必要に応じて、以下に説明するような、0.1〜40重量%(凝集体の乾燥重量に基づく)の凝集体添加物をも含んでもよい。
【0062】
さらに好ましい実施形態においては、前記凝集体は、上記の両成分に加えて、すなわち、カルシウム親水コロイド複合材料と少なくとも1種の糖アルコールに加えて、さらなる成分、すなわち、いわゆる凝集体添加物、例えば、0.1〜40重量%(凝集体の乾燥重量に基づく)の両の非結晶形態のリン酸カルシウムを含んでもよいことが予見される。
【0063】
前記凝集体の水含量は、凝集体の全体の重量に基づいて、好ましくは1.5〜6重量%、好ましくは2〜5.5重量%である。
【0064】
特に好ましい実施形態においては、本発明の凝集体は、好ましくは0.1〜1重量%(乾燥重量に基づく)、好ましくは0.1〜0.7重量%の灰含量(800℃)を有する。
【0065】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、本発明の凝集体は、好ましくは0.3〜1重量%、好ましくは0.4〜0.9重量%(乾燥重量に基づく)の全体の窒素含量(KJ)を有する。
【0066】
本発明の好ましい実施形態においては、前記凝集体は、63〜1000μm、好ましくは100〜800μmの直径を有し、好ましくは、凝集体の少なくとも90%が63〜1000μm、好ましくは100〜800μmの直径を有する。
【0067】
本発明の好ましい実施形態においては、前記凝集体は100〜500μmの直径を有し、好ましくは、凝集体の少なくとも90%が100〜500μmの直径を有する。
【0068】
本発明の好ましい実施形態においては、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、好ましくは、少なくとも90%、特に、少なくとも95%、好ましくは、少なくとも99.9%の凝集体(凝集体の乾燥重量に基づく)は、カルシウム親水コロイド複合材料および少なくとも1種の糖アルコールである。
【0069】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の凝集体は、好ましくは、0.30〜0.70、好ましくは0.40〜0.55のかさ密度(g/cm3)を有する。
【0070】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、本発明の凝集体は、好ましくは0.40〜0.70、好ましくは0.50〜0.65の突き固め密度(tamped density)を有する。
【0071】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、本発明の凝集体は、好ましくは32〜38°、好ましくは34〜37°の安息角を有する。
【0072】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、本発明の凝集体は、38〜49 s/100 g、好ましくは39〜49 s/100 gの流動性(6 mm)/流動時間を有する。
【0073】
さらに好ましい実施形態においては、本発明の凝集体は、好ましくは0.20〜0.45、好ましくは0.30〜0.45のd'(mm)を有する。
【0074】
本発明の好ましい実施形態においては、前記カルシウム塩、カルシウム親水コロイド複合材料またはその両方を、1種以上の表面改変剤によりコーティングする。好ましくは、カルシウム塩、特に、微粉化カルシウム塩を、少なくとも1種の表面改変剤でコーティングする。
【0075】
この方法により、例えば、複合材料の製造を、ナノ粒子状のカルシウム塩を分散させるのが難しい場合でも容易にすることができる。表面改変剤をナノ粒子の表面上に吸着させ、カルシウム塩の分散性が増加し、これはナノ粒子の凝集が防止されるような様式で変化する。
【0076】
さらに、表面改変は、複合材料の構造およびまた、ナノ粒子状のカルシウム塩を含むさらなる成分のローディングにも影響し得る。この様式で、複合材料を石灰化プロセスにおいて用いる場合、石灰化プロセスの経過速度に影響させることができる。
【0077】
表面改変剤は、本発明の文脈においては、微粉化粒子の表面に物理的に付着するが、これらと化学的に反応しない物質である。表面に吸着したか、または結合した表面改変剤の個々の分子は、分子間結合を実質的に含まない。表面改変剤は、特に、分散剤を意味すると取られる。分散剤は界面活性剤および保護コロイドの用語の下で当業者には公知である。好適な界面活性剤またはポリマー保護コロイドは、DE 198 58 662 A1に開示されている。
【0078】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明は、本発明の凝集体を含む菓子製品またはそのコーティングに関する。本発明の製品は、そのカルシウム成分の優れた、均質かつ均一な放出を提供し、次いで、改善された様式で消費者の歯の象牙質細管を閉じることができる。従って、本発明の製品は、痛みを感じる歯の治療にとって特に有用である。特に、前記カルシウム成分は、前記菓子製品、例えば、ハードキャラメルを通して、またはコーティング中で適用される場合は、そのコーティングを通して、均質に分布する。好ましい実施形態においては、本発明は、本発明の凝集体を含む無糖菓子製品または菓子製品の無糖コーティングに関する。
【0079】
本発明の特に好ましい実施形態においては、本発明の凝集体から作製された、好ましくは、そのような凝集体から実質的に作製された、菓子製品、好ましくは無糖製品も提供する。本発明の文脈においては、本発明の凝集体から作製された菓子製品とは、その製造のために凝集体を用いる製品であって、特に、0.1〜100%の遊離体、好ましくは、1〜100%、最も好ましくは、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%〜100%の遊離体(製品の乾燥物質に基づく)が凝集体である、前記製品を指す。
【0080】
特に好ましい実施形態においては、前記菓子製品は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または好ましくは90%〜100%(製品の乾燥重量に基づく)の量の凝集体を含む。
【0081】
さらに好ましい実施形態においては、前記菓子製品は、10重量%〜50重量%、好ましくは10重量%〜40重量%、好ましくは、20重量%〜35重量%(製品の乾燥重量に基づく)の量の凝集体を含む。
【0082】
さらに好ましい実施形態においては、前記菓子製品は、70重量%〜99.8重量%、好ましくは80重量%〜99.6重量%、最も好ましくは90重量%〜99.5重量%(製品の乾燥重量に基づく)の量の凝集体を含む。
【0083】
さらに好ましい実施形態においては、本発明の凝集体を含む菓子製品の特定の性質に応じて、さらなる製品添加物が該菓子製品またはそのコーティング中に存在してもよい。
【0084】
菓子製品の性質に応じて、それは0.05〜60重量%、好ましくは0.1〜60重量%、好ましくは1〜50重量%、最も好ましくは1〜40重量%のそのような製品添加物を含む。そのような製品添加物は、食品および強い甘味料などの甘味成分、ガム基剤、可塑剤、滑沢剤、乳化剤、タンパク質成分、乳製品原料、ミルク成分、脂肪および人工脂肪、植物脂肪、ビタミン、ミネラル、製薬上の活性成分、保存剤、芳香剤、ペパーミント、メントール、果実、イチゴ香料などの香料、着色料、TiO2、クエン酸などの食用酸、ならびに食物繊維である。
【0085】
菓子製品または製品がコーティングされた製品である場合、特にそのコーティングは、本発明の凝集体に加えて、カゼイン、カゼインの成分、リンタンパク質、ホスホペプチドもしくはその塩を含み、該リンタンパク質もしくはホスホペプチドはホスホセリン、ホスホトレオニン、ホスホチロシン、ホスホヒスチジンもしくはホスホリジンを含むのが特に好ましい。好ましくは、前記菓子製品またはそのコーティングは、好ましくは、CaCPP、FeCPP、ZnCPP、リン酸カルシウムCPPまたはフッ化カルシウムCPPなどの二価もしくは三価金属を一緒に含むカゼインホスホペプチド(CPP)、特に、ホスホセリンを含む。
【0086】
特に好ましい実施形態においては、本発明の菓子製品、特に、チューイングガム、ハードもしくはソフトキャラメル、または製品をコーティングする場合、好ましくはそのコーティングは、歯のエナメル質表面下病変を再石灰化するためのさらなる物質として、カゼインホスホペプチド非結晶性リン酸カルシウム(CPP-ACP)を含む。
【0087】
さらに好ましい実施形態においては、本発明の菓子製品またはコーティングする場合、好ましくは、そのコーティング、特に、チューイングガムもしくはハードキャラメルは、本発明の凝集体に加えて、CPP-ACPとクエン酸とを含む。
【0088】
さらに好ましい実施形態においては、本発明は、本発明の凝集体と、1つの相として少なくとも1種の水溶性カルシウム化合物を、別の相として少なくとも1種の水溶性無機リン酸(ホスフェート)、必要に応じて少なくとも1種の水溶性フッ素化合物を含む2相系とを含む、菓子製品、または該菓子製品をコーティングする場合、好ましくはそのコーティングに関し、さらに好ましい実施形態においては、水溶性カルシウム塩は塩化カルシウムまたは硝酸カルシウムであってよい。
【0089】
さらに好ましい実施形態においては、本発明は、本発明の凝集体と、カルシウム、炭酸(カーボネート)および重炭酸(ビカーボネート)を一緒に含むアルギニンを含む複合体(CaviStat(登録商標)/SensiStat(登録商標))とを含む、菓子製品、または該菓子製品をコーティングする場合、好ましくは、そのコーティングに関する。
【0090】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、本発明の凝集体に加えて、カリウム塩、ストロンチウム塩、亜鉛もしくはストロンチウムイオンの組合せおよびその混合物からなる群より選択される神経脱感作剤を含む、菓子製品または、菓子製品がコーティングされた製品である場合、好ましくはそのコーティングを提供する。好ましくは、前記塩を、少なくとも1種の水膨潤性または水溶性ポリマーを含む、制御された溶解組成物と結合させることができる。
【0091】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、本発明の凝集体に加えて、酵素と少なくとも1種のポリアニオンドメイン、例えば、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸もしくはポリカルボン酸とを含む改変された酵素を含み、該酵素が該ポリアニオンドメインのそれぞれを含むか、またはそれに共有結合する、菓子製品、または該菓子製品がコーティングされた製品である場合、好ましくはそのコーティングを提供する。
【0092】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、本発明の凝集体に加えて、水溶性のカルシウム-リン酸塩、または第1の担体中のカルシウムとリン酸塩との一体的な組合せならびにさらに、第2の担体中のアルカリ材料とフッ化物イオン源を含む、菓子製品、または該菓子製品がコーティングされた製品である場合、好ましくは、そのコーティングを提供する。
【0093】
さらに好ましい実施形態においては、本発明は、本発明の凝集体に加えて、リン酸テトラカルシウム/リン酸ジカルシウムを含む、本発明の菓子製品、またはコーティングする場合、好ましくはそのコーティング、特に、チューイングガム、またはソフトもしくはハードキャラメルを提供する。
【0094】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、本発明の凝集体に加えて、生体活性ガラス粒子、特に、25μm以下、15μm以下、好ましくは10μm以下の粒子径を有する生体活性ガラス粒子を含む、菓子製品、または該菓子製品がコーティングされた製品である場合、好ましくは、そのコーティングを提供する。本発明における使用のための生体活性ガラスは、例えば、「An introduction to Bioceramics」、HenchおよびWilson(編)、World Scientific, New Jersey, (1993)に記載されている。
【0095】
本発明の好ましい実施形態においては、前記菓子製品は、以下の組成:40〜90重量%の二酸化ケイ素(SiO2)、4〜50重量%の酸化カルシウム(CaO)、1〜15重量%の酸化リン(P2O5)および0〜35重量%の酸化ナトリウム(Na2O)を有する生体活性ガラスを含む。好ましくは、前記生体活性ガラスは、40〜60重量%の二酸化ケイ素(SiO2)、10〜30重量%の酸化カルシウム(CaO)、2〜8重量%の酸化リン(P2O5)および10〜30重量%の酸化ナトリウム(Na2O)を含む。酸化物は、固体溶液もしくは混合酸化物として、または酸化物の混合物として存在してもよい。
【0096】
さらに好ましい実施形態においては、Al2O3、B2O3、CaF2、MgOまたはK2Oをガラス粒子中にさらに含有させることができる。CaF2の好ましい範囲は0〜25重量%である。B2O3の好ましい範囲は0〜10重量%である。Al2O3の好ましい範囲は約0〜5重量%である。K2Oの好ましい範囲は0〜10重量%である。MgOの好ましい範囲は0〜5重量%である。
【0097】
特に好ましい実施形態においては、本発明の菓子製品は、製品添加物として、チクロ、サッカリン、アスパルテーム、グリシリシン、ネオヘスペリジン-ジヒドロカルコン、ステビオシド、特に、高含量のレバウジオシドAを含むステビオシド、タウマチン、モネリン、アセサルフェーム、アリテーム、スクラロースまたはその混合物から選択される強力な甘味料を含む。
【0098】
本発明の好ましい実施形態においては、前記製品を、チューイングガム、チョコレート製品、タフィー、マシュマロ、ヌガー、トローチ、ロゼンジ、ファッジ、フォンダン、ゼリー、ガム、錠剤、ハードキャンディおよびソフトキャンディからなる群より選択する。
【0099】
本発明の文脈においては、ハードキャンディおよびソフトキャンディはハードキャラメルおよびソフトキャラメルとも呼ばれる。
【0100】
特に好ましい実施形態においては、本発明は、優れた感覚刺激性およびセンサー特性を有し、そのカルシウム塩含量を一定かつ均一に放出し、同時に、消費者の健康に対して有益な効果をもたらす菓子製品を提供する。多くは、カルシウム親水コロイド複合材料と少なくとも1種の糖アルコールとの凝集組合せを含む特定の構造の凝集体に起因して、その成分、特に、該カルシウム塩と親水コロイド材料の極端に均質な分布を示し、次いで、好ましい特性をもたらす菓子製品を製造することができる。
【0101】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の凝集体を含むか、または特に、カルシウム親水コロイド複合材料とイソマルトを含む凝集体から作製されるハードキャンディを提供する。さらに好ましい実施形態においては、本発明は、本発明の凝集体を含むか、またはカルシウム親水コロイド複合材料とイソマルトGSを含む凝集体から作製されるハードキャンディを提供する。好ましくは、これらの実施形態の両方において、親水コロイド成分はゼラチンであり、カルシウム塩はアパタイトである。本発明のハードキャンディ、特に、カルシウム親水コロイド複合材料と少なくとも1種の糖アルコールの量が少なくとも60%、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%(ハードキャラメルの乾燥物質上の重量%)であるものは、非常に滑らかな表面、ゼラチンおよび特に、カルシウム成分の均質な分布を示し、優れた感覚刺激性およびセンサープロフィールを有すると消費者により判断される。前記ハードキャンディを、本発明の凝集体と、得られるハードキャンディの他の成分とを混合し、例えば、調理または押出加工によりそれらを加熱した後、形成させ、冷却してハードキャンディを得ることにより調製することができる。
【0102】
本発明の好ましい実施形態においては、前記菓子製品はコーティングされた製品である。好ましい実施形態においては、コーティングされた製品は、コーティングされたゼリー、コーティングされたガム、コーティングされたチョコレート製品、コーティングされたタフィー、コーティングされたチューイングガム、コーティングされたソフトキャラメルまたはコーティングされた錠剤である。
【0103】
本発明の好ましい実施形態においては、前記凝集体をコーティング中に含有させ、好ましくはその中に単独で含有させる。
【0104】
本発明の特に好ましい実施形態においては、コーティングされた製品、特に、ソフトキャラメル、錠剤またはチューイングガムのコアを含むコーティングされた製品であって、該コーティングが本発明の凝集体を含むか、またはそれから作製される前記製品を提供する。
【0105】
特に好ましい実施形態においては、そのようなコーティングされたソフトキャラメルのコーティングは、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましい実施形態においては、少なくとも95%の量(コーティングの乾燥重量に基づく)の本発明の凝集体を含むか、またはそれから作製される。
【0106】
特に好ましい実施形態においては、本発明は、コーティングが本発明に従う凝集体を含むか、またはそれから作製される、コーティングされたチューイングガムを提供する。特に好ましい実施形態においては、そのようなチューイングガムのコーティングは、コーティング全体の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%の量(コーティングの乾燥重量に基づく)の凝集体を含む。
【0107】
そのようなコーティングは、有益な健康特性および消費者を引きつける特性を含む優れた感覚刺激性およびセンサーコーティングを提供する。カルシウム塩と親水コロイド成分の両方を、コーティング中に同等かつ均質に分布させる。好ましくは、そのようなソフトキャラメルまたはチューイングガムのための凝集体において用いられる少なくとも1種の糖アルコールは、イソマルト、または最も好ましくはイソマルトGSである。
【0108】
本発明の好ましい実施形態においては、コーティングが少なくとも2〜100個のコーティング層を含む、コーティングされたチューイングガムまたはソフトキャラメルを提供する。
【0109】
さらに好ましい実施形態においては、チューイングガムまたはソフトキャラメルのコアを、少なくとも1種のハードコーティング工程によりコーティングする。
【0110】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、ハードコーティング工程は、少なくとも本発明の凝集体を含む溶液または懸濁液を、チューイングガムまたはソフトキャラメルのコアに適用し、適用された溶液または懸濁液を乾燥することを含む。特に好ましい実施形態においては、適用された溶液または懸濁液の乾燥を、コーティングされたコア全体に空気を通し、従って、それらを空気、特に空気流により、好ましくは20〜80℃の温度で乾燥することにより行う。
【0111】
さらに好ましい実施形態においては、本発明は、前記チューイングガムが少なくとも1種のソフトコーティング工程によりコーティングされるコアを含む、上記で同定されたチューイングガムまたはソフトキャラメルを予見する。特に好ましい実施形態においては、ソフトコーティング工程は、コーティング成分、好ましくは、本発明の凝集体を含む溶液または懸濁液を、チューイングガムまたはソフトキャラメルのコアに適用し、適用された溶液または懸濁液に、乾燥および粉末物質、特に、糖アルコールまたは本発明の凝集体をまぶすことを含む。かくして、1つの好ましい実施形態においては、前記凝集体を、コーティング媒体中で、または別の好ましい実施形態においては、まぶし工程において、または別の好ましい実施形態においては、その両方において、コアに添加することができる。
【0112】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、コーティングされた製品を、ソフトおよびハードコーティングプロセスの組合せであって、コーティング溶液または懸濁液の乾燥を、空気、特に、20〜80℃の空気で乾燥し、かつ適用された溶液または懸濁液に、乾燥および粉末物質をまぶすことにより達成し、好ましい実施形態においては、該乾燥および粉末物質の量がコーティング成分全体の20〜75%である、前記組合せにおいてコーティングする。
【0113】
本発明の特に好ましい実施形態においては、ソフトまたはハードコーティングプロセスにおいて用いられる溶液または懸濁液は、前記凝集体の総量またはその一部を含む。
【0114】
さらに好ましい実施形態においては、まぶし工程に用いられる乾燥および粉末化糖アルコールならびに乾燥および粉末化された本発明の凝集体は、糖アルコールもしくは凝集体の総量またはその一部である。
【0115】
さらに好ましい実施形態においては、コーティング成分の一部、特に、少なくとも1種の糖アルコールの一部および本発明の凝集体の一部は、コーティング溶液または懸濁液中に存在し、別の一部を乾燥および粉末化形態でまぶしに用いる。
【0116】
さらに好ましい実施形態においては、ハードコーティングまたはソフトコーティング工程を数回、好ましくは2〜120回繰り返して、対応する数のコーティング層を得る。
【0117】
さらに、本発明は、甘味料と増量剤の両方として、特に、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%および好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは60重量%、好ましくは70重量%(チューイングガム全体の乾燥重量に基づく)の量の本発明の凝集体を含むチューイングガムを提供する。好ましくは、前記凝集体中で用いられる少なくとも1種の糖アルコールは、イソマルトまたはイソマルトGSである。そのようなチューイングガムは、成分、特に、カルシウム塩と親水コロイド成分がチューイングガム質量中に同等かつ均質に分布し、改善された感覚刺激性およびセンサー作用を提供する。
【0118】
さらに好ましい実施形態においては、本発明は、本発明の凝集体を含むか、またはそれから作製された圧縮製品、特に、錠剤に関する。好ましくは、そのような錠剤は、圧縮製品の乾燥重量に基づいて、少なくとも70%、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%の量の前記凝集体を含む。これらの製品は、改善された感覚刺激性およびセンサー作用を示し、非常に滑らかな表面を示す。
【0119】
本発明における使用のためのカルシウム親水コロイド複合材料を、好ましくは親水コロイド、特にタンパク質成分の存在下で、水溶性リン酸および/またはフッ化物塩の水溶液を用いて、水溶性カルシウム塩の水溶液から沈降させることにより製造することができる。様々な方法がDE 199 30 335に記載されている。
【0120】
カルシウム塩の一次粒子が表面改変された本発明の複合材料を、上記と同様の沈降方法であるが、ナノ粒子状のカルシウム塩の沈降または1種以上の表面改変剤の存在下で起こる複合材料の沈降を用いて製造することができる。
【0121】
本発明の好ましい実施形態においては、カルシウム親水コロイド複合材料と少なくとも1種の糖アルコールとを含む凝集体の調製のための方法(プロセス)は、a)カルシウム親水コロイド複合材料と少なくとも1種の糖アルコールを提供すること、b)それらが凝集するのに好適な条件下で、流動床、特に、気体もしくは液体の流れの中に該少なくとも1種の糖アルコールとカルシウム親水コロイド複合材料を分布させることを含む。本発明の好ましい実施形態においては、工程b)における凝集を、流動床凝集として、特に、流動床凝集装置中で、または連続操作される装置中で実施する。
【0122】
特に好ましい実施形態においては、気体または液体の流動流は、流動空気流である。
【0123】
本発明の好ましい実施形態においては、前記カルシウム親水コロイド複合材料を提供し、好ましくは、流動性気体または液体中に、特に、空気流中にそれを噴霧することにより、分散物、特に、水性分散物の形態で流動床中に分布させる。好ましくは、前記噴霧を、圧力下で行う。好ましくは、水性分散物は、40℃を超える温度、好ましくは、50℃に加熱された高粘度のゲル状構造のものである。
【0124】
好ましくは、前記分散物は、水中のカルシウム親水コロイド複合材料の均質な分散物である。
【0125】
本発明の好ましい実施形態においては、少なくとも1種の糖アルコールを提供し、好ましくは、該少なくとも1種の糖アルコールを流動性気体または液体、特に、空気流中に噴霧することにより、固体形態の流動床中に分布させる。好ましくは、前記噴霧を圧力下で行う。
【0126】
特に好ましい実施形態においては、凝集するのに好適な条件とは、カルシウム親水コロイド複合材料と少なくとも1種の糖アルコールが、接触、特に、互いに密接な、または完全な物理的接触をもたらす条件を指す。特に好ましい実施形態においては、凝集するのに好適な条件は、攪拌下、好ましくは高圧下、および好ましくは高温下での条件も指す。
【0127】
本発明の好ましい実施形態においては、カルシウム親水コロイド複合材料と少なくとも1種の糖アルコールの両方を、流動床、特に、空気または液体の流れの中に同時に噴霧することが予見される。
【0128】
さらに好ましい実施形態においては、最初に、少なくとも1種の糖アルコールを、流動床中に入れるか、または分布させ、特に、気体または液体の流動流中に、特に乾燥および粉末化形態で噴霧した後、カルシウム親水コロイド複合材料の水性分散物をその上に噴霧することが予見される。
【0129】
本発明のさらなる実施形態においては、最初に、カルシウム親水コロイド複合材料の水性分散物を、流動床中に入れるか、または分布させ、特に、気体または液体の流動流中に噴霧した後、少なくとも1種の糖アルコールを乾燥および粉末化形態でその上に噴霧する。
【0130】
本発明の特に好ましい実施形態においては、カルシウム親水コロイド複合材料を、好ましくは圧力下で、特に、ノズルを介して噴霧することにより、流動床、特に、気体または液体、特に、空気流中で糖アルコールに添加する。
【0131】
さらに好ましい実施形態においては、カルシウム親水コロイド複合材料に関する噴霧圧力は、好ましくは2.0バール〜4.0バールである。
【0132】
特に好ましい実施形態においては、凝集体の調製のためのプロセスは、連続操作プロセスである。他の実施形態においては、本発明のプロセスは不連続操作プロセスである。
【0133】
特に好ましい実施形態においては、カルシウム親水コロイド複合材料の水性分散物は、8%〜20%、好ましくは10%〜15%、最も好ましくは12%のカルシウム親水コロイド複合材料と、80%〜92%、好ましくは85%〜90%、最も好ましくは88%の水(水性カルシウム親水コロイド複合材料分散物の総重量に基づく)を含む。
【0134】
好ましくは、凝集プロセスにおける使用のための水性カルシウム親水コロイド複合材料分散物の温度は、55〜60℃である。
【0135】
本発明の特に好ましい実施形態においては、本発明のプロセスにおいて用いられる少なくとも1種の糖アルコールは、イソマルトGS、特に、GS-PA(GS-PAとは粒子の90%が50μmより小さいイソマルトGSを指す)である。前記糖アルコールは、コーティングされた製品のコーティングの製造にとって特に有用である。
【0136】
さらに好ましい実施形態においては、好ましく用いられる少なくとも1種の糖アルコールは、イソマルトST、好ましくはイソマルトST-PA(ST-PAとは、粒子の90%が50μmより小さいイソマルトSTを指す)である。好ましくは、前記糖アルコールは、ハードキャンディの製造にとって有用である。
【0137】
本発明の好ましい実施形態においては、水性カルシウム親水コロイド複合材料分散物と、好ましくは固体形態の少なくとも1種の糖アルコールの割合は、5%〜30%、好ましくは50%〜25%、好ましくは5%〜20%および好ましくは10%〜25%の水性分散物と、70%〜95%、好ましくは75%〜95%および好ましくは80%〜95%、好ましくは75%〜90%(凝集体分散物全体の重量に基づく)の少なくとも1種の糖アルコールである。
【0138】
特に好ましい実施形態においては、凝集、すなわち、工程b)における接触時間は、45〜90分、好ましくは60分である。
【0139】
特に好ましい実施形態においては、工程b)において得られる凝集体を、粉砕プロセスに供する。
【0140】
本発明の好ましい実施形態においては、工程b)において得られる凝集体を、例えば、転倒分類器または振動スクリーニング装置中でのサイズ分画に供する。
【0141】
特に好ましい実施形態においては、前記凝集体をサイズ分画して、粒子の90%が90μmより大きい凝集体を得る。
【0142】
特に好ましい実施形態においては、本発明の凝集体は、凝集体粒子の90%が90μmより大きい粒子サイズ分布を有する。好ましい実施形態においては、該凝集体は、6.0〜7.2 m2/g、特に6.2 m2/gの比表面積を有する。好ましい実施形態においては、前記凝集体は、45〜55%、特に、45%の多孔率を有する。
【0143】
好ましくは、サイズ分画を、スクリーニング装置、特に、篩い装置中で行う。好ましくは、得られる凝集体のサイズは、0.1 mm〜1.0 mm、最も好ましくは0.1 mm〜0.5 mmである。
【0144】
本発明の好ましい実施形態においては、工程b)において得られる凝集体を、凝集の後に、好ましくは空気流を用いて乾燥して、本質的に乾燥した凝集体、好ましくは乾燥凝集体を得る。
【0145】
本発明の好ましい実施形態においては、前記凝集体をサイズ分画の後に乾燥する。
【0146】
特に好ましい実施形態においては、前記凝集体の乾燥時間は、10〜30分、好ましくは20分である。さらに好ましい実施形態においては、注入乾燥空気の乾燥温度は、65〜100℃、好ましくは80℃である。さらに好ましい実施形態においては、前記凝集体の温度は、45℃〜70℃、好ましくは50℃〜60℃である。
【0147】
本発明の凝集体の製造を、湿潤凝集化、および続いて、流動床中での乾燥により達成することもできる。
【0148】
本発明の凝集体の製造を、糖アルコールとカルシウム親水コロイド複合材料とを含む懸濁液のスプレー乾燥により達成することもできる。
【0149】
好ましい実施形態においては、本発明は、上記で同定されたプロセスのいずれか1つ、特に、サイズ分画および/または凝集体の乾燥により得られる凝集体にも関する。
【0150】
本発明はまた、本発明の凝集体の使用ならびに、特に、ヒトまたは動物体において、好ましくは、感覚刺激的およびセンサー的に改善された菓子製品において、ならびにその製造のためのプロセスにおいて、有効量の凝集体または有効量の凝集体を含む製品を、歯の手入れ、歯の修復、虫歯予防、虫歯治療、損傷からの骨および歯の保護、骨および歯の欠損の修復、または石灰化、再石灰化もしくは新石灰化された骨もしくは歯、好ましくは、歯のエナメル質および/もしくは象牙質の構造の形成に予防的または治療的に用いる、それを使用する方法に関する。
【0151】
本発明はまた、本発明の凝集体の使用およびそれを含む菓子製品ならびに好ましくは感覚刺激的およびセンサー的に改善された菓子製品において、ならびにその製造のためのプロセスにおいて、痛みを感じる歯と戦うために、有効量の凝集体または有効量の本発明の凝集体を含む製品を、動物またはヒトの体内で予防的または治療的に用いる、それを使用する方法に関する。
【0152】
本発明はまた、本発明の凝集体の使用およびそれを含む菓子製品ならびに好ましくは感覚刺激的およびセンサー的に改善された菓子製品において、ならびにその製造のためのプロセスにおいて、虫歯と戦うために動物またはヒトの体内で、有効量の凝集体または有効量の本発明の凝集体を含む製品を予防的または治療的に用いる、それを使用する方法に関する。
【0153】
本発明はまた、本発明の凝集体の使用およびそれを含む菓子製品ならびに好ましくは感覚刺激的およびセンサー的に改善された菓子製品において、ならびにその製造のためのプロセスにおいて、歯の欠損を再石灰化するために、動物またはヒトの体内で、有効量の凝集体または有効量の本発明の凝集体を含む製品を予防的または治療的に用いる、それを使用する方法に関する。
【0154】
本発明のさらに好ましい実施形態は、下位請求項の発明特定事項である。
【0155】
本発明を以下の実施例および添付の図面を用いてさらに例示する。
【0156】
(実施例)
【実施例1】
【0157】
凝集体の製造
A) アパタイト-タンパク質複合体の製造
アパタイト-ゼラチン複合体を製造するために、2000 mlの脱塩水を、25℃に温度調節した4 lのガラスビーカーに入れ、44.10 g(0.30 mol)のCaCl2・2H2O(Fisher Chemicals p.a.)を溶解する。これとは別に、35 gのゼラチン(A型、DGF-Stoess, Eberbach)を、約50℃で350 mlの脱塩水に溶解する。両溶液を混合し、推進攪拌装置を用いて激しく攪拌する。このpHを、希釈した水性塩基を用いて7.0に設定する。
【0158】
このゼラチンおよびカルシウム塩溶液に、自動供給設定を用いて、120分間激しく攪拌しながら、ポンプにより300 mlの予めpH 7.0に設定した0.6 M (NH4)2HPO4溶液を等量に添加する。pHを、希釈した水性塩基の制御された添加により、pH 7.0で一定に保持する。添加が完了した後、溶液をさらに24時間に渡って攪拌する。次いで、分散物を遠心チューブに入れ、遠心分離により溶液から固体含量を分離する。脱塩水中で振とうすることにより残渣を5回抽出した後、遠心分離を再開することにより、塩素がもはや検出されなくなるまで塩を実質的に抽出する。アパタイト-ゼラチン-複合材料が得られる。
【0159】
B) イソマルトGSまたはイソマルト凝集体の製造
乾燥および粉末化イソマルトGS-PAまたはST-PAを、流動床凝集装置の床に充填し、この床を流動させる。上記の工程Aで得られるアパタイト-ゼラチン-複合材料を水中に分散させて、88%の水と22%のアパタイト-ゼラチン-複合体を含む分散物を取得する。分散物は55〜60℃の温度を有し、これを強力な攪拌プロセスにかけて、その成分の均質な分布を有する完全な固体ゲル状構造を取得する。上部/底部スプレー系により、水性分散物中の複合材料を、粉末化イソマルトGS-PA(チューイングガムのコーティングの調製のため)またはイソマルトST-PA(ハードキャンディの調製のため)糖アルコール材料上、流動空気流中に噴霧する。水性分散物と固体糖アルコールの割合は、5〜20%の水性分散物と80〜95%の糖アルコールである。分散物のための噴霧速度は、500 g/分〜5000 g/分であり、噴霧量は15 kg/h〜100 kg/hであり、噴霧圧力は2.5バール〜4.0バールである。凝集を60分間行う。その後、凝集体を80℃の注入空気温度で20分間、一定の気流を用いて乾燥し、それによって凝集体は50〜60℃の温度を有する。次いで、凝集体を篩い装置(転倒分類器/振動スクリーニング装置)中でサイズ分画して、0.1〜0.5 mmの凝集体を得る。図1および2は、本発明の凝集体を示す。図1は、1重量%のカルシウム親水コロイド複合材料含量を有するイソマルトGS-Fに基づく凝集体の顕微鏡写真であり、図2は、1重量%のカルシウム親水コロイド複合材料を含むイソマルトGS-PAに基づく凝集体の顕微鏡写真である。
【0160】
イソマルトGS-PA(50μm以下)またはイソマルトGS-F(100ビス800μm)を含む凝集体のEDX分析(実施例6と比較)(それぞれ、1%のアパタイト-ゼラチン-複合材料含量を有する)は、イソマルトGS-PAに基づく凝集体については、凝集体全体を通して、カルシウム成分の特に均一かつ均質な三次元分布を示すが、GS-Fに基づく凝集体については、表面に濃縮されたカルシウム成分分布が観察される。
【0161】
以下の表1は、上記プロセスに従って調製された凝集体の物理的および化学的パラメーターを列挙する。
【表1】

【実施例2】
【0162】
コーティングされたチューイングガム
【表2】

【0163】
7.5 kgの従来のチューイングガムのコアを、上記で確認されるコーティングレシピにおける主要成分として実施例1の凝集体を用いて、65℃で163分間、従来のハードコーティングプロセスにおいてコーティングした。チューイングガムのコーティングは優れた感覚刺激特性、光学特性およびセンサー特性を提供し、特に、カルシウム親水コロイド複合材料の特に均一な分布を示した。
【0164】
コーティングされたチューイングガムの様々なサンプルの灰含量(800℃、grav.)(コーティング中の含量に基づく)(g/100 g)は、0.56〜2.17であった。全体の窒素含量(KJ)は、g/kgで0.56〜1.52であった。
【実施例3】
【0165】
ペパーミントハードキャンディ
【表3】

【0166】
前記成分を混合し、155℃〜160℃に沸騰させ、冷却し、形成させて、ハードボイルドキャンディを得る。
【0167】
このキャンディは、良好な透明度および明度、そのカルシウム成分の均一な分布ならびに滑らかな表面を有する。それらは優れた保存期限性を示す。
【実施例4】
【0168】
ハードキャラメルのセンサー(知覚)特性 - 比較試験
本発明のハードキャラメルのセンサー評価は、以下のように調製された比較用ハードキャンディと比較して、以下の結果を示した。
【表4】

【0169】
比較用ハードキャラメルを、調理ポット中で以下のように製造した:
・調理ポット中でイソマルトと水を170℃に加熱し、冷却する、
・アパタイト-ゼラチン複合材料を別に添加し、155℃に加熱する、
・他の成分を添加する、
・ハードキャラメルを作製する。
【実施例5】
【0170】
圧縮製品/錠剤
【表5】

【0171】
【表6】

【0172】
上記で確認されるレシピの成分を、鋤剪断混合装置(plogh shear mixer)中で製造した。混合時間は150 U/分で4分間であった。錠剤を、Fette回転沈降プレス機1200(3000錠/時間)で製造した。この錠剤は丸い場合、12 mmの直径を有し、500 mgの重量を有する。
【0173】
同じ手順を、表6のレシピを用いて繰り返した。図3は、適用した圧力に応じた錠剤の破壊強度を示す。
【実施例6】
【0174】
歯の健康に対する凝集体を含む菓子製品の効果
実施例1の凝集体を含む表12に列挙される菓子製品を調製した。以下に示すアパタイト-ゼラチン-複合材料の量は、複合体を含む凝集体ではなく、最終的な菓子製品(コーティングされた製品に関しては、コーティングのみに基づく)に基づいて算出する。
【表7】

【0175】
SBF(人工体液)溶液は、無機イオンの濃度関係に関して、天然の唾液と等価な溶液である。このモデル液は、唾液の炭酸含量またはその有機成分を考慮に入れていない。その組成を以下の表にまとめる。ヒドロキシアパタイトの形成に関しては、SBFは、天然の唾液と同様、カルシウムおよびリン酸(ホスフェート)において過飽和である。
【表8】

【0176】
浸漬溶液を調製するために、表12に与えられ、実施例1の凝集体から作製された6 gの菓子製品を、30 gの脱イオン水に溶解した。菓子製品中の凝集体の出発濃度に応じて、これにより、12〜60 mgのアパタイト-ゼラチン-複合材料(0.04〜0.2重量%の濃度と同等)を含む溶液が得られた。
【0177】
この溶液はハードキャラメルから容易に調製される。コーティングされたチューイングガムの場合、活性成分を含む殻を、機械的手段によりチューイングガムから最初に除去した。バッチMS 235/xの圧縮製品は、気泡形成および綿状沈殿を示し、バッチMS 261/xおよび262/xの場合には、あまり顕著ではなかった。
【表9】

【0178】
約0.8 x 0.8 cmのサイズの象牙質板を、ウシの歯根から切り出した後、研磨した。象牙質板を用いる浸漬実験は、口中の咀嚼状況を模倣することを目的とするものであった。
【0179】
自動浸漬装置を用いて、浸漬実験を行った。この装置は、交流式で活性成分溶液中に象牙質板を浸漬することができ、浸漬時間を個別に設定することができる。以下の実施例は、典型的な浸漬プログラムを反映する:
1)活性成分溶液中で2分間浸漬する
2)SBF溶液中で15分間浸漬する(SBF溶液を2時間毎に交換する)、
3)このサイクルを約8時間繰り返す。
【0180】
浸漬プログラムの完了後、柔らかい歯ブラシおよび混合物(水/グリセロール)を用いて、象牙質板を30秒間ブラッシングする。次いで、板をSBFでリンスし、空気乾燥する。
【0181】
ESEM(環境制御型走査電子顕微鏡法)
従来の走査電子顕微鏡においては、試験しようとするサンプルを10-5 Torrの高減圧下で保持する。この調査を、EDAX-EDXを用いてPhilips XL-30環境制御型走査電子顕微鏡 (ESEM)を用いて行った。測定を、約0.7 Torrの水蒸気圧で低減圧モードで行った。陰極電圧は20 kVであった。測定のために、象牙質板を、導電接着フィルムを用いてアルミニウム担体に固定した。全ての板を、処理の前後に試験した。処理前の試験を行って、露出した象牙質細管を含む好適な領域を同定した。好適な領域を、外科用メスを用いて引っ掻くことによりマーキングした。1,000x、2,000x、および4,000xの倍率の代表的な画像を保存した。板を人工体液(SBF)で湿らせた後、最初の処理を行った。
【0182】
また、処理後の調査を、以前にマーキングした領域に焦点を当てた。その後の手順は、以前の試験のものと同一であった。
【0183】
EDX(エネルギー分散X線分析)
EDXは、固体の表面に近い領域の空間解像分析または薄層の特性評価のために用いられる古典的手順である。EDX手順は、サンプルに電子(走査電子顕微鏡において電子ビーム)を照射することにより引き起こされるX線放射スペクトルを分析する。X線スペクトル中でのスペクトル線の分析により、サンプルの元素組成を同定し、その強度を用いてそれを定量することができる。EDXは電子顕微鏡法(REMまたはTEM)と組合せられることが多い。精巧に焦点を当てた一次電子ビームを用いる走査により、サンプル表面状の元素分布を高い空間解像度で画像化することができる。
【0184】
この試験は、標本状の象牙質様物質の蓄積を検出するものである。この物質の形成を、象牙質細管の閉塞度により良好に追跡することができる。象牙質細管の閉塞は、脱感作する歯における試験された製剤の効力の尺度である。
【0185】
結果
2つの偽薬サンプル(ハードキャラメルと圧縮製品の基本主要部)を、その新石灰化効果について試験した。浸漬後の象牙質細管の閉塞は明らかではなかった。SBF中で象牙質板を保存する場合、すなわち、浸漬溶液を用いる処理を行わない場合、象牙質細管の閉塞を誘導しない。
【0186】
ハードキャラメル
本実施例は、本発明の凝集体を含むハードキャラメルから作製された溶液中に象牙質板を浸漬することにより、開いた象牙質細管を効率的に閉じることができることを示す。かくして、生成された層は電子顕微鏡においては非常に滑らかなようであり、機械的手段(ブラッシング、超音波浴中での処理)によっては歯から除去することができない。閉塞は、1重量%(キャンディの乾燥重量)のアパタイト-ゼラチン-複合材料を含むキャンディだけでなく、より低い濃度(0.6〜0.2重量%)でも達成される。より低い活性成分濃度および同じ浸漬時間で生成される層はより薄く、これは閉じた細管と周囲の物質の対照比の差異から、電子顕微鏡法において明らかであった。
【0187】
カルシウム-リンの量比に関する層の組成は天然のヒドロキシアパタイトのものと一致する。
【0188】
図4および5は、ハードキャラメルから作製された浸漬溶液を用いる処理後の象牙質板を示す:ハードキャラメル中の0.6重量%のアパタイト-ゼラチン-複合材料(図4)と、ハードキャラメル中の0.2重量%のアパタイト-ゼラチン-複合材料(図5)。
【0189】
圧縮製品
2番目のバッチ(MS 261/x)の粉末およびステアリン酸マグネシウム非含有圧縮製品の生の塊の使用により、効率的な石灰化が誘導された。以前に記載のように、調査において用いた全てのアパタイト-ゼラチン濃度(生の塊中の0.2〜1重量%のアパタイト-ゼラチン-複合材料)で層の成長が観察された。作られた材料は滑らかであり、機械的に耐性である。
【0190】
図6〜8は、実施例1の凝集体を含む圧縮製品から作製された浸漬溶液を用いる象牙質板の処理を示す:未処理(図6);1.0%のアパタイト-ゼラチン-複合材料を含む圧縮製品顆粒(図7);0.2%のアパタイト-ゼラチン-複合材料を含む圧縮製品顆粒(図8)。
【0191】
コーティングされたチューイングガム
アパタイト-ゼラチン-複合材料を含む凝集体は、コーティング材料中にのみ存在したが、コアはそれらを含まないままである。1番目のバッチに由来するコーティングされたチューイングガムを用いる実験は、象牙質細管の閉塞を、濃い層のヒドロキシアパタイトの形成により達成することができることを示す。また、2番目のバッチにおいても、同種の様式で象牙質板を閉じる滑らかで機械的に安定な層の形成を観察することができた。
【0192】
センサー特性
前記凝集体を含むハードキャラメル、錠剤およびコーティングされたチューイングガムは、優れたセンサー特性を示した。視覚的検査により、アパタイト-ゼラチン-複合材料の均質な領域のみを検出することができる。前記製品の表面は非常に滑らかであると感じられる。
【実施例7】
【0193】
SEM比較試験
比較のために、本発明の凝集体から作製されたハードキャラメル塊とは対照的に、アパタイト-ゼラチン-複合材料を、少なくとも1種の糖アルコールで最初に凝集化することなくハードキャラメル塊のレシピにおいて用いた、ハードキャラメル塊から走査電子顕微鏡(SEM)写真も作製した。
【0194】
図9は、本発明の凝集体の形態ではなく、純粋な形態のアパタイト-ゼラチン-複合材料を含む部分的に溶解したハードキャラメル塊上でのアパタイト-ゼラチン-粒子(クラスター)を示す。ハードキャラメル塊の表面上のアパタイト-ゼラチンの粒子は、粗さおよび不愉快なセンサー感覚の原因となる。これらは、視覚的にさえ観察することができる。
【0195】
図10は、本発明の凝集体を含む部分的に溶解したハードキャラメル塊を示す。アパタイト-ゼラチン-複合材料は、均質に分布する。光学的にもSEMによっても、クラスター化されたアパタイト-ゼラチン粒子は観察されなかった。
【0196】
かくして、アパタイト-ゼラチン-複合材料と一緒に凝集化された形態の少なくとも1種の糖アルコールを含む本発明の凝集体の使用は、分布を劇的に改善し、特に、製品中のカルシウム成分の均質かつ微細な分布をもたらし、改善された製品をもたらすことが明確に認められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウム親水コロイド複合材料と少なくとも1種の糖アルコールを含む凝集体。
【請求項2】
前記凝集体が粒子の形態の少なくとも1種の糖アルコールを含み、該粒子の90%が100μm未満、好ましくは50μm未満の直径を有する、請求項1に記載の凝集体。
【請求項3】
カルシウム親水コロイド複合材料がカルシウム塩と親水コロイド成分を含む、請求項1に記載の凝集体。
【請求項4】
前記凝集体が1000 nm未満の直径を有する粒子の形態のカルシウム塩を含む、請求項3に記載の凝集体。
【請求項5】
前記カルシウム塩の粒子が5〜300 nmの直径を有する、請求項4に記載の凝集体。
【請求項6】
前記カルシウム塩の粒子が20〜30 nmの直径を有する、請求項5に記載の凝集体。
【請求項7】
前記カルシウム塩が、アパタイト、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、フッ素ドープヒドロキシアパタイト、炭酸含有非化学量論的アパタイト、炭酸アパタイトおよび炭酸フルオロアパタイトからなる群より選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の凝集体。
【請求項8】
前記親水コロイド成分がタンパク質成分である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の凝集体。
【請求項9】
前記親水コロイド成分が、ゼラチン、ゼラチン加水分解物、カゼインおよびカゼイン加水分解物からなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の凝集体。
【請求項10】
前記糖アルコールが、イソマルト、イソマルトGS、1,1-GPM (1-O-α-D-グルコピラノシル-D-マンニトール)、1,6-GPS (6-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール)、1,1-GPS (1-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール)、1,1-GPS、1,1-GPMおよび1,6-GPSの混合物、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、マルチトールシロップ、マルチトール、ソルビトールおよびエリスリトールからなる群より選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の凝集体。
【請求項11】
前記カルシウム塩が前記凝集体中に均質に分布する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の凝集体。
【請求項12】
前記カルシウム塩および/または前記カルシウム親水コロイド複合材料を、1種以上の表面改変剤によりコーティングする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の凝集体。
【請求項13】
前記凝集体が100〜800μmの直径を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の凝集体。
【請求項14】
前記凝集体が100〜500μmの直径を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の凝集体。
【請求項15】
前記糖アルコール粒子が前記凝集体中に均質に分布する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の凝集体。
【請求項16】
前記凝集体の少なくとも90%(凝集体の乾燥重量に基づく)がカルシウム親水コロイド複合材料と少なくとも1種の糖アルコールである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の凝集体。
【請求項17】
前記凝集体の0.05〜5%(凝集体の乾燥重量に基づく)がカルシウム親水コロイド複合材料である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の凝集体。
【請求項18】
前記凝集体の95〜99.95重量%(凝集体の乾燥重量に基づく)が少なくとも1種の糖アルコールである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の凝集体。
【請求項19】
前記カルシウム塩が、好ましくは棹状結晶の形態のわずかに水溶性のカルシウム塩である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の凝集体。
【請求項20】
前記凝集体が凝集体添加物、好ましくは非結晶性リン酸カルシウムをさらに含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の凝集体。
【請求項21】
非結晶性リン酸カルシウムが、カルシウム親水コロイド複合材料中に含まれる、請求項20に記載の凝集体。
【請求項22】
請求項1〜21および45のいずれか1項に記載の凝集体を含む菓子製品。
【請求項23】
強力な甘味料、ガム基剤、可塑剤、乳化剤、滑沢剤、タンパク質成分、ミルク成分、脂肪および人工脂肪、植物脂肪、ビタミン、ミネラル、製薬上の活性成分、保存剤、芳香剤、ペパーミント、メントール、果実、イチゴ香料などの香料、着色料、TiO2、クエン酸などの食用酸、ならびに食物繊維からなる群より選択される製品添加物を含む、請求項22に記載の菓子製品。
【請求項24】
チクロ、サッカリン、アスパルテーム、グリシリシン、ネオヘスペリジン-ジヒドロカルコン、ステビオシド、タウマチン、モネリン、アセサルフェーム、アリテーム、スクラロースまたはその混合物の群より選択される強力な甘味料を含む、請求項22または23に記載の菓子製品。
【請求項25】
a)カゼインホスホペプチド-非結晶性リン酸カルシウム(CPP-ACP)、b)リン酸テトラカルシウム/リン酸ジカルシウム、c)少なくとも1種の可溶性フッ素化合物と共に、水溶性カルシウム化合物と水溶性無機リン酸を含む2相系、d)カリウム塩、e)ストロンチウム塩、f)ストロンチウムイオンと亜鉛イオンの組合せ、g)酵素とポリアニオンドメインを含む改変された酵素、h)生体活性ガラス粒子、i)アルギニン、カルシウム、炭酸および重炭酸の複合体、ならびにj)その組合せの群より選択される製品添加物を含む、請求項22、23または24に記載の菓子製品。
【請求項26】
前記菓子製品が、チューイングガム、ゼリー、ガム、錠剤、ヌガー、ファッジ、フォンダン、タフィー、トローチ、ロゼンジ、チョコレート製品、ハードキャンディおよびソフトキャンディからなる群より選択される、請求項22〜25のいずれか1項に記載の菓子製品。
【請求項27】
前記菓子製品がコーティングされた製品である、請求項22〜26のいずれか1項に記載の菓子製品。
【請求項28】
菓子製品または菓子製品のコーティングの少なくとも90%が、請求項1〜21のいずれか1項に記載の凝集体から製造される(それぞれ乾燥重量に基づく)、請求項22〜27のいずれか1項に記載の菓子製品。
【請求項29】
前記凝集体がコーティング中に含まれる、請求項22〜28のいずれか1項に記載の菓子製品。
【請求項30】
前記凝集体が、少なくとも1種の糖アルコールとしてイソマルトまたはイソマルトGSを含む、請求項22〜29のいずれか1項に記載のハードキャンディ。
【請求項31】
前記凝集体が、少なくとも1種の糖アルコールとしてイソマルトまたはイソマルトGSを含む、請求項22〜30のいずれか1項に記載のコーティングされたチューイングガム、コーティングされたソフトキャンディまたはコーティングされた錠剤。
【請求項32】
カルシウム親水コロイド複合材料と少なくとも1種の糖アルコールを含む凝集体の調製方法であって、
a)カルシウム親水コロイド複合材料と少なくとも1種の糖アルコールを提供すること、
b)該カルシウム親水コロイド複合材料と少なくとも1種の糖アルコールを、それらを凝集させるのに好適な条件下で流動床中に分布させること、
を含む、前記方法。
【請求項33】
前記流動床が気体または液体の流れである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
気体の流れが空気流である、請求項32および33に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも1種の糖アルコールを固体形態で提供する、請求項32〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
カルシウム親水コロイド複合材料を水性分散物として提供する、請求項32〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
カルシウム親水コロイド複合材料を、流動性空気流中に圧力下で噴霧する、請求項32〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
カルシウム親水コロイド複合材料が、30〜80℃、好ましくは55〜60℃の温度を有する、請求項32〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1種の糖アルコールを、流動性空気流中に圧力下で噴霧する、請求項32〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
工程b)の第1相において、少なくとも1種の糖アルコールを流動床中に分布させ、第2相において、カルシウム親水コロイド複合材料をその中に分布させる、請求項32〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
工程b)における凝集化を、流動床凝集装置中で実施する、請求項32〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
工程b)で得られる凝集体をサイズ分画に供する、請求項32〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
工程b)で得られる凝集体を、凝集化の後に乾燥させる、請求項32〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記凝集体をサイズ分画の後に乾燥させる、請求項32〜43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
請求項1〜44のいずれか1項に従って得られる凝集体。
【請求項46】
請求項1〜21もしくは45のいずれか1項に記載の有効量の凝集体または有効量の該凝集体を含む請求項22〜31のいずれか1項に記載の菓子製品を、動物またはヒトに投与することを含む、それを必要とする動物またはヒトにおいて痛みを感じる歯と予防的または治療的に戦うための方法。
【請求項47】
請求項1〜21もしくは45のいずれか1項に記載の有効量の凝集体または有効量の該凝集体を含む請求項22〜31のいずれか1項に記載の菓子製品を、動物またはヒトに投与することを含む、それを必要とする動物またはヒトにおいて虫歯と予防的または治療的に戦うための方法。
【請求項48】
請求項1〜21もしくは45のいずれか1項に記載の有効量の凝集体または有効量の該凝集体を含む請求項22〜31のいずれか1項に記載の菓子製品を、動物またはヒトに投与することを含む、それを必要とする動物またはヒトにおいて歯の欠損を予防的または治療的に再石灰化するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−534481(P2010−534481A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518532(P2010−518532)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005926
【国際公開番号】WO2009/015791
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(500175772)ズートツッカー アクチェンゲゼルシャフト マンハイム/オクセンフルト (47)
【Fターム(参考)】